JPH04244673A - 内燃機関のピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関のピストンの
改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術およびその課題】自動車用機関等にあって
は、低燃費化のためピストンに対する軽量小型化の要求
が強いが、一方、高出力化のため負荷の増大に伴い高強
度化が求められている。

【０００３】従来のピストンは、燃焼室を画成するヘッ
ド部からシリンダに沿って円筒状に連なるスカート部を
備え、このスカート部は側圧がかからないピストンピン
の端部方向に切欠きが形成され、質量軽減とシリンダに
対する摺接面積を減じている（例えば特開昭６１−８１
５５８号公報、参照）。

【０００４】しかしながら、このような従来装置にあっ
ては、スカート部が広い範囲で円筒状に形成されている
ため、ピストンが受ける燃焼圧力または慣性力によりス
カート部がシリンダに押し付けられるスラスト側または
反スラスト側において、この荷重が最も大きくなるピン
の側方領域でシリンダに対する面圧が過大となったり、
あるいはそれ以外の領域で不要にシリンダに対する摺接
面積を増大させることになった。

【０００５】また、この対策として、円筒状スカート部
の側圧がかからない領域を大きく切欠くと、スカート部
の剛性分布が不均一となり、スカッフ等を発生する原因
になった。

【０００６】本発明はこうした従来の問題点を解決する
ことを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、燃焼室を画成
するヘッド部と、ヘッド部からリング溝部を介してシリ
ンダに沿って延びるスカート部と、ピストンピンを嵌挿
させるピンボス部とをそれぞれ備える内燃機関のピスト
ンにおいて、前記リング溝部からシリンダに沿って延び
る一対のスカート上辺部と、スカート上辺部から比較的
に小さい周方向の幅でシリンダに沿って延びるスカート
下辺部とにより前記スカート部を構成し、スカート上辺
部をピストン中心軸に直交するピストンピン軸心面を含
むピストンピンの側方領域に設けるとともに、スカート
下辺部と前記ピンボス部とを梁状に結ぶ補強梁部を形成
した。

【０００８】

【作用】ピストンが受ける燃焼圧力または慣性力により
スカート部がシリンダに押し付けられるスラスト側また
は反スラスト側において、この荷重が最も大きくなるピ
ストンピンの側方領域では、スカート上辺部が周方向に
広い範囲で拡がっているため、スカート上辺部がシリン
ダに押し付けられる接触面圧を有効に分散させ、ピスト
ンおよびシリンダの摩耗が抑制される。

【０００９】スカート下辺部がスラスト側または反スラ
スト側で軸方向に延びているため、シリンダの軸方向に
ついて十分な接触長さを確保し、シリンダに対するピス
トンの姿勢が制御され、スラップ音を低減できる。

【００１０】ピストンが受ける燃焼ガス圧力または慣性
力によりスカート部がシリンダに押し付けられる荷重は
、スカート下辺部と各ピンボス部とを梁状に結ぶ各補強
梁部によって支持され、この荷重によりスカート部がピ
ストンの径方向内側に倒れ込む撓み量を小さくし、十分
な剛性を確保できる。

【００１１】このようにして、各スカート上辺部から比
較的に小さい周方向の幅でシリンダに沿って延びるスカ
ート下辺部とでスカート部が構成されることにより、ピ
ストンの軽量化がはかれるとともに、スカート部におけ
る不要な接触面積を削減して、ピストンの摩擦損失を低
減できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

【００１３】図１，図２，図３にそれぞれ示すように、
ピストン１の円盤型ヘッド部２は、その頂面２ａで燃焼
室を画成し、その外周にリング溝部３を有している。各
リング溝部３にはシリンダとの間に圧力リングとオイル
リングがそれぞれ介装され、高圧燃焼ガスが燃焼室から
クランクケースへ洩れるのを防ぎ、シリンダ壁面の潤滑
油膜を調整するようになっている。

【００１４】図中、Ｓ１はピストンピンの中心軸Ｏ４に
直交してピストン中心軸Ｏ１を含むピストン軸心面、Ｓ
４はピストン中心軸Ｏ１に直交してピストンピンの中心
軸Ｏ４を含むピストンピン軸心面である。

【００１５】スカート部１０はピストン軸心面Ｓ１につ
いて対称的にＴ字形に拡がり、リング溝部３のランド部
３ａからシリンダに沿って延びる一対のスカート上辺部
５と、各スカート上辺部５から比較的に小さい周方向の
幅でシリンダに沿って延びる一対のスカート下辺部６と
によって構成される。

【００１６】各スカート上辺部５はピストンピン軸心面
Ｓ４を含むピストンピンの側方領域に設けられ、ピン軸
心面Ｓ４より上方に位置する面積が、下方に位置する面
積より所定の比率で大きくなるように形成される。この
比率は、ピストンピンより上方領域に懸かる荷重が、ピ
ストンピンより下方領域に懸かる荷重より大きくなるこ
とに対応して、シリンダに対する接触面圧の分布を均一
化するように設定される。

【００１７】各スカート上辺部５は、ピストン軸方向に
所定の幅Ｘ１を有し、各スカート上辺部５の面積は、ピ
ストン１が受けるスラスト側または反スラスト側の最大
荷重に対応して、シリンダに対する接触面圧を許容値以
下に抑えるように設定される。

【００１８】図４，図５にそれぞれ示すように、スカー
ト上辺部５およびスカート下辺部６の横断面は、ピスト
ンピンに直交するピストン軸心面Ｓ１上に焦点をもつ楕
円形に形成される。この楕円形はスラスト、反スラスト
方向に長径をもち、機関運転時は熱膨張によりこの楕円
形が真円に近づき、シリンダに接触する面積を増大させ
るようになっている。

【００１９】図６，図７にそれぞれ示すように、スカー
ト上辺部５からスカート下辺部６にかけての縦断面形状
は、基本的に前期楕円形の長径をピストン軸方向に沿っ
て変化させてその上下で絞られるバレル形に形成される
。これにより、スカート上辺部５およびスカート下辺部
６の縁部とシリンダの間に楔形断面の隙間が空き、この
楔形断面の隙間を介してスカート部の表面とシリンダ間
に潤滑油が送り込まれ、潤滑油膜切れを防止し、良好な
潤滑性を維持されるようになっている。

【００２０】なお、図４〜図７に図示した各部の寸法は
、便宜上実際よりも誇張して大きくしてあるが、実際に
は数１０μｍ程度のかなり小さいものである。

【００２１】各スカート下辺部６のピストン軸方向の距
離Ｘ２は、シリンダに対するピストン１の傾きを十分に
抑えるように設定される。

【００２２】各スカート部１０の剛性を確保するため、
その内側には各スカート下辺部６と各ピンボス部４とを
梁状に結ぶ２対の補強梁部１１が一体形成される。

【００２３】各補強梁部１１は、それぞれの一端が前後
ピンボス部４の外周に略直交して結合し、それぞれの他
端が各スカート下辺部６の背面６ａに結合する。補強梁
部１１はその断面厚さが各ピンボス部４から各スカート
下辺部６にかけて次第に細くなり、かつ各スカート下辺
部６の円弧断面の接線方向に湾曲している。

【００２４】この実施例では、補強梁部１１の断面形状
を図８に示すように略長方形に形成している。補強梁部
１１の断面形状および断面面積は、機関負荷によるスカ
ート下辺部６への最大入力に応じて、十分な剛性および
強度が確保されるように決定される。他の実施例として
、図９に示すようにコの字形断面に形成して、このコの
字形の右辺をピストン径方向外側に配置したり，あるい
は図１０に示すようにＴ字形断面に形成して、このＴ字
形の上辺をピストン径方向外側に形成して、この部分の
軽量化をはかることも考えられる。

【００２５】このようにして、スカート部１０がスカー
ト上辺部５と、これから比較的に小さい周方向の幅で延
びるスカート下辺部６とで構成されることにより、燃焼
ガス圧力および慣性力によりシリンダに押し付けられる
圧力がほとんど懸からないピストンピンの端部方向には
、大きな切欠き９が形成され、ピストン１の質量軽減と
、スカート部１０のシリンダに対する不要な接触面積を
削減して、ピストン１の摩擦損失を低減できる。

【００２６】スカート上辺部５がピストンピンの側方領
域に設けられることにより、ピストン１が受ける燃焼ガ
ス圧力または慣性力により各スカート上辺部５がシリン
ダに押し付けられる接触面圧を有効に分散させ、ピスト
ンおよびシリンダの摩耗が抑制される。

【００２７】スカート下辺部６がスラスト側または反ス
ラスト側で軸方向に延びているため、シリンダの軸方向
について十分な接触長さを確保し、シリンダに対するピ
ストン１の姿勢が制御され、スラップ音を低減できる。

【００２８】ピストン１が受ける燃焼ガス圧力または慣
性力によりスカート部１０がシリンダに押し付けられる
荷重は、スカート下辺部６と各ピンボス部４とを梁状に
結ぶ各補強梁部１１によって支持される。すなわち、ス
カート上辺部５はその上端がリング溝部３とヘッド部２
およびピンボス部４を介してピストンピンによって支持
され、その下端がスカート下辺部６とピンボス部４を介
してピストンピンによって支持されるため、シリンダか
らスカート部１０に懸かる荷重によりスカート部１０が
ピストンの径方向内側に倒れ込む撓み量を小さくし、十
分な剛性を確保してスカッフを防止できる。

【００２９】次に、図１１，図１２にそれぞれ示す他の
実施例について説明する。

【００３０】スカート部２０は、ヘッド部２からリング
溝部３を介してシリンダに沿って延びる一対のスカート
上辺部２５と、各スカート上辺部２５から比較的に小さ
い周方向の幅でシリンダに沿って延びる二対のスカート
下辺部２６とによって構成される。４本のスカート下辺
部２６と前後ピンボス部４とを梁状に結ぶ４本の補強梁
部２１が一体形成される。

【００３１】各スカート上辺部２５は、ピストン軸方向
に所定の幅Ｘ１を有し、各スカート上辺部５の面積は、
ピストン１が受けるスラスト側または反スラスト側の最
大荷重に対応して、シリンダに対する接触面圧を許容値
以下に抑えるように設定される。

【００３２】各スカート下辺部２６のピストン軸方向の
距離Ｘ２は、シリンダに対するピストン１の傾きを十分
に抑えるように設定される。二対のスカート下辺部２６
の合計接触面積は、前記実施例における一対のスカート
下辺部６の合計接触面積と同等に設定される。

【００３３】ピストン１が受ける燃焼圧力または慣性力
により各スカート部２０がシリンダに押し付けられる荷
重は、各スカート下辺部２６と各ピンボス部４とを梁状
に結ぶ補強梁部２１によって支持され、スカート部２０
の剛性が十分に確保される。

【００３４】この場合、４本のスカート下辺部２６がシ
リンダに沿って延びることにより、ピストン１の左右方
向の傾きを抑制するとともに、前後方向の傾きを有効に
抑制し、ピンボス部４のピン穴またはピストンピンの摩
耗を抑えられるとともに、ピストン１がシリンダ壁面に
叩きつけられて騒音を発生することを防止できる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、内燃機関
のピストンにおいて、リング溝部からシリンダに沿って
延びるスカート上辺部と、スカート上辺部から比較的に
小さい周方向の幅でシリンダに沿って延びるスカート下
辺部とによりスカート部を構成し、スカート上辺部をピ
ストンピンの側方領域に設けるとともに、各スカート上
辺部とピンボス部とを梁状に結ぶ補強梁部を形成したた
め、スカート部は十分な剛性をもってシリンダに対する
接触面圧を有効に分散させ、ピストンの軽量小型化をは
かることと、ピストンの作動性および耐久性を確保する
ことを両立できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すピストンの正面図である
。

【図２】同じくピストンの側面図である。

【図３】同じくピストンを下方から見た平面図である。

【図４】同じく図２のＤ−Ｄ線に沿う輪郭図である。

【図５】同じく図２のＢ−Ｂ線に沿う輪郭図ある。

【図６】同じく図２のＡ−Ａ線に沿う輪郭図である。

【図７】同じく図２のＣ−Ｃ線に沿う輪郭図である。

【図８】同じく図２のＥ−Ｅ線に沿う断面図である。

【図９】他の実施例を示す補強梁部の断面図である。

【図１０】他の実施例を示す補強梁部の断面図である。

【図１１】他の実施例を示すピストンの正面図である。

【図１２】同じくピストンの側面図である。

【図１３】同じくピストンを下方から見た平面図である
。

【符号の説明】

１　　ピストン ２　　ヘッド部 ３　　リング溝部 ４　　ピンボス部 ５　　スカート上辺部 ６　　スカート下辺部 １０　　スカート部 １１　　補強梁部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　燃焼室を画成するヘッド部と、ヘッド
   部からリング溝部を介してシリンダに沿って延びるスカ
   ート部と、ピストンピンを嵌挿させるピンボス部とをそ
   れぞれ備える内燃機関のピストンにおいて、前記リング
   溝部からシリンダに沿って延びる一対のスカート上辺部
   と、スカート上辺部から比較的に小さい周方向の幅でシ
   リンダに沿って延びるスカート下辺部とにより前記スカ
   ート部を構成し、スカート上辺部をピストン中心軸に直
   交するピストンピン軸心面を含むピストンピンの側方領
   域に設けるとともに、スカート下辺部と前記ピンボス部
   とを梁状に結ぶ補強梁部を形成したことを特徴とする内
   燃機関のピストン。