JPH0315655B2 - - Google Patents
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- JPH0315655B2 JPH0315655B2 JP57019740A JP1974082A JPH0315655B2 JP H0315655 B2 JPH0315655 B2 JP H0315655B2 JP 57019740 A JP57019740 A JP 57019740A JP 1974082 A JP1974082 A JP 1974082A JP H0315655 B2 JPH0315655 B2 JP H0315655B2
- Authority
- JP
- Japan
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- epoxy resin
- compound
- weight
- alkenylphenol
- resin
- Prior art date
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- Expired - Lifetime
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Description
本発明は熱硬化性成形組成物に係り、特に貯蔵
安定性が良好なうえに速硬化性で、しかも成形品
は高温の機械特性に優れ、高温で長期間使用して
も劣化が起らない熱硬化性成形組成物に関する。 周知のように、酸無水物、アミン化合物、フエ
ノール化合物、イソシアネート化合物等を硬化剤
にしたエポキシ樹脂組成物は硬化物の機械、電
気、化学的諸特性が良好なために注型、含浸、塗
装、積層及び成形材料等の広い分野に利用されて
いる。 しかし、上記のような各種硬化剤を配合したエ
ポキシ樹脂組成物においては貯蔵安定性、硬化
性、硬化物の耐熱性等の要求を同時に満足するこ
とが難しく、工業上重要な技術課題になつてい
る。例えば、成形材料の分野では硬化剤として酸
無水物芳香族ポリアミン、フエノールノボラツ
ク、ポリアミノビスマレイミドなどが用いられ
る。ところがこれらの硬化剤を配合したエポキシ
樹脂は硬化に際して高温長時間の加熱が必要なた
め、通常は硬化促進剤を配合し硬化時間の短縮を
図つている。しかし、それでも成形材料の成形に
は3分前後の時間を要し熱可塑性成形組成物に比
べると成形時間が長くその短縮が強く望まれてい
る。更に、芳香族ポリアミン又はポリアミノビス
マレイミドを用いた系は貯蔵安定性に問題があ
る。また、成形品の耐熱性を樹脂硬化物のガラス
転移温度を例にとつてみると酸無水物、芳香族ポ
リアミン、フエノールノボラツク系は高高150℃
前後であり耐熱性が劣る。これに対しポリアミノ
ビスマレイミド系はガラス転移温度が200℃以上
になり硬化物の高温の機械、電気特性が良好であ
る。しかし、上記のように貯蔵安定性並びに硬化
性に問題がある。 ところで、特開昭49−93494号、特開昭53−
71300号(特公昭55−29522号)あるいは特開昭55
−36212号によればエポキシ樹脂の硬化剤として
フエノールノボラツクの代りにアルケニルフエノ
ール系の共重合体を使用すると硬化促進剤を併用
することなしに比較的短時間の加熱で硬化物にな
り得てしかも硬化物は耐熱性が優れ、注型用ある
いは銅張積層板や電気絶縁材用の含浸用に有用な
ことが記載されている。しかし、エポキシ樹脂の
硬化剤として使用して耐熱性の良好な硬化物を与
えることのできるアルケニルフエノール系重合体
は重合度20以上(分子量約3000以上)の高重合体
であり、温度が160℃以上と高く、また溶融粘度
も極めて高い。そのため上記公知例では複合材料
を作製する具体的方法として、まず樹脂組成物を
硬化温度以下の温度で加熱溶融するか、あるいは
適当な溶媒に溶解し、該溶融物あるいは溶液を有
機繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、アスベスト、鉱
さい綿、マイカ等の補強材に含浸させ、溶液を用
いた場合には含浸後溶媒を揮発その他適当な手段
で除去し、含浸物例えばいわゆるバルクモールデ
イングコンパウンド、あるいはプリプレグマツト
とする方法が提示されているが、作業性が著しく
劣るという問題がある。また、アルケニルフエノ
ール系重合体は硬化促進剤を併用しなくてもエポ
キシ樹脂とは180℃以上の温度で30〜90分程度加
熱すれば硬化するが、熱硬化性成形組成物は熱可
塑性成形組成物に比べて成形時間が長いことから
速硬化タイプのものが強く望まれており、速硬化
性の成形組成物を得るためには硬化促進剤の使用
が必須条件になる。アルケニルフエノール系重合
体を硬化剤とするエポキシ樹脂組成物に有効な硬
化促進剤としては第3級アミン、ポリアミン、尿
素、ジシアンジアミド、ジメチルホルムアミド、
三フツ化ホウ素、アミン錯体などが知られてい
る。しかし、これらの硬化促進剤を用いて樹脂組
成物を加熱溶融しようとすると、樹脂組成物が加
熱中にゲル化してしまつたり、作製した成形組成
物の貯蔵安定性あるいは硬化性が充分でない等の
問題点がある。また、成形組成物の作成方法とし
て樹脂組成物を適当な溶媒に溶解し、この溶液を
各種補強材あるいは充てん剤に含浸させた後溶媒
を除去する方法は作業が非常に煩雑なうえに、残
留溶媒の影響によつて樹脂本来の機械特性や電気
特性あるいは長期の熱劣化特性が著しく損われる
欠点がある。そのため、アルケニルフエノール系
重合体を硬化剤とするエポキシ樹脂系の成形組成
物はこれまで余り実用されたことがなかつた。 本発明は上記現状にかんがみてなされたもので
あり、特に貯蔵安定性が良好なうえに、速硬化性
で、しかも成形品は耐熱耐久性が優れた成形組成
物を提供するものである。 すなわち、本発明を概説すれば、本発明は、(a)
エポキシ樹脂、(b)アルケニルフエノール系重合
体、(c)潜在性硬化促進剤よりなる樹脂成分と(d)繊
維及び/又は粒状充てん剤を必須成分とする熱硬
化性成形組成物において、上記(a)エポキシ樹脂は
軟化温度が65℃以下又は室温で液状のエポキシ樹
脂、(b)アルケニルフエノール系重合体は粒径が
74μm以下の粉末、(c)潜在性硬化促進剤は一般式
() (ここで、R1はハロゲン、R2及びR3は水素、
アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又
は置換シクロアルキル基を表す。nは0〜2の整
数を表す)で示される尿素系化合物又はアンモニ
ウム化合物、ホスホニウム化合物、アルソニウム
化合物、イミダゾリニウム化合物、ピリジニウム
化合物若しくはモルホリニウム化合物の各テトラ
置換ボロン塩からなる群から選ばれる1種以上の
化合物であり、かつ、前記(b)〜(d)の各成分を30〜
80℃に加熱した装置で予備混練した後、(a)エポキ
シ樹脂を加えて更に混練を行い、硬化反応が生起
する前に冷却を行うことにより、上記のアルケニ
ルフエノール系重合体が粉末のまま充てん剤と共
にエポキシ樹脂に分散混合していることを特徴と
する熱硬化性成形組成物に関する。 本発明に使用する(a)エポキシ樹脂は一分子中に
少なくとも2個以上のエポキシ基を有する公知の
エポキシ樹脂全般を指すものであるが軟化温度が
65℃以下又は室温で液状のものを使用する。具体
的にはビスフエノールAとエピクロルヒドリンと
から得られるビスフエノール型エポキシ樹脂、ノ
ボラツク樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて
得られるノボラツク型エポキシ樹脂、キシレンと
ホルマリンあるいはトルエンとパラホルムアルデ
ヒドとを反応させて得られるキシレン樹脂若しく
はトルエン樹脂とフエノール類との縮合物にエピ
クロルヒドリンを反応させて得られるポリフエノ
ール系エポキシ樹脂、レゾールあるいはハイドロ
キノンのような多価フエノール系樹脂にエピクロ
ルヒドリンを反応させて得られるポリヒドロキシ
ベンゼン系エポキシ樹脂、芳香族あるいは脂肪族
カルボン酸にエピクロルヒドリンを反応させて得
られるエポキシ樹脂、ビニルポリマーから得られ
るエポキシ樹脂、グリセリンのような多価アルコ
ールから得られるエポキシ樹脂、シクロヘキセ
ン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン
のような脂環式化合物から得られるエポキシ樹
脂、でんぷんあるいは不飽和高級脂肪酸のごとき
天然物から得られるエポキシ樹脂、アニリンある
いは脂肪族アミンなどから得られる含窒素エポキ
シ樹脂、イソシアヌル酸から得られる含窒素ヘテ
ロ環を有するエポキシ樹脂、エポキシ樹脂にシラ
ノールを反応させて得られる含ケイ素エポキシ樹
脂、炭素−炭素2重結合を有するケイ素化合物を
酸化して得られる含ケイ素エポキシ樹脂、オレフ
イン性の不飽和基を有する亜りん酸エステルを過
酢酸でエポキシ化したエポキシ亜りん酸、ケイ
素、りん以外の重金属をキレートの形で含むエポ
キシ樹脂などがあり、これらは単独又は2種以上
混合して用いることができる。 また、(b)アルケニルフエノール系重合体とはビ
ニルフエノール、n−プロペニルフエノール、イ
ソプロペニルフエノール、n−ブテニルフエノー
ルあるいはこれらの誘導体などを熱重合、イオン
重合又はラジカル重合させて得られるポリマーで
ある。その重合度は数量体から数万量体まで広範
囲のものがあるが、樹脂組成物の取扱い性、成形
組成物作製時の作業性、成形組成物の成形性、成
形品の諸特性等との関連で重合度は20〜80(平均
分子量で3000〜8000程度、溶融温度で160〜220
℃)のものが望ましい。 またアルケニルフエノール系重合体は粉末のま
ま充てん剤成分と共にエポキシ樹脂と混合するた
め、その粒径はなるべく細かい方が良く200メツ
シユ(74μm)以下の微粉末のものを用いる。 更に、本発明で使用する(c)潜在性硬化促進剤の
具体例としては、3−(パラクロロフエニル)−
1、1−ジメチルウレア、3−(3,4−ジクロ
ロフエニル)−1,1−ジメチルウレア、3−
(3,4−ジクロロフエニル)−1−メトキシ−1
−メチルウレア、3−(3,4−ジクロロフエニ
ル)−1,1−ジエチルウレア、1−(2−メチル
シクロヘキシル)−3−フエニルウレアなどであ
り、また各種テトラ置換ボロン塩としてはトリメ
チルアンモニウムテトラフエニルボレート、トリ
エチルアンモニウムテトラフエニルボレート、ト
リフエニルアンモニウムテトラフエニルボレー
ト、ジエチルメチルアンモニウムテトラフエニル
ボレート、テトラブチルアンモニウムテトラブチ
ルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラフ
エニルボレート、テトラフエニルホスホニウムテ
トラフエニルボレート、テトラフエニルホスホニ
ウムテトラブチルボレート、テトラブチルホスホ
ニウムテトラブチルボレート、テトラメチルアル
ソニウムテトラフエニルボレート、テトラフエニ
ルアルソニウムテトラフエニルボレート、ジメチ
ルジエチルアルソニウムテトラフエニルボレート
あるいはイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、2−エチル−4−メチルイミダゾリニウムテ
トラフエニルボレート、2−エチル−1,4−ジ
メチルイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、1−シアノエチル−2−フエニルイミダゾリ
ニウムテトラフエニルボレート、1−アリル−2
−メチルイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、ピリジニウムテトラフエニルボレート、モル
ホリニウムテトラフエニルボレート、メチルモル
ホリニウムテトラフエニルボレートなどがあり、
これらの1種以上を配合して用いる。 上記の各樹脂成分の配合割合は特に限定される
ものではないが、(a)のエポキシ樹脂と(b)のアルケ
ニルフエノール系重合体は(a)のエポキシ基のモル
数/(b)の水酸基のモル数=0.8〜1.2の範囲が望ま
しく、また、(c)の潜在性硬化促進剤は100重量部
の(a)に対し0.1〜5重量部の範囲が望ましい。こ
れは、エポキシ樹脂に対するアルケニルフエノー
ル系重合体の配合量が少な過ぎると硬化物の耐熱
性が充分でなく、逆に多過ぎると充てん剤との混
練が難くなり、硬化物の耐熱性も余り向上がみら
れないためである。また、潜在性硬化促進剤は
0.1重量部未満では硬化促進性が低く、逆に5重
量部を越えると硬化が促進され過ぎ成形性や成形
品の機械特性、加熱劣化特性等の低下が起るため
である。 次に、繊維及び/又は粒状の充てん剤はガラス
繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、ウ
オラストナイト繊維、アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、セラミツク繊維、銅、アルミ、鋼、ステン
レス鋼等の金属繊維、セルロース、ナイロン、ケ
ブラー等の有機繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、ジルコン、マイカ、クレー、タルク、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石こ
う、ドーソナイト、ホウ砂、シリカ、溶融石英ガ
ラス、アルミナ、硫酸バリウム、カオリン、ケイ
藻土、ガラスビーズ、チタン白、グラフアイト、
カーボンブラツク、二硫化モリブデン、テフロン
パウダー、フツ化黒鉛、窒化ホウ素、酸化ベリリ
ウム、各種金属粉などである。 上記の繊維及び/又は粒状充てん剤は成形組成
物の成形収縮率、熱膨張係数の低減、熱伝導率、
耐摩耗性、機械強度、耐クリープ性等の向上、導
電性、帯電防止性の付与等樹脂成分だけでは得ら
れない各種特性の付与あるいは向上を目的に配合
するものであり、その配合量は(a)〜(c)の樹脂成分
100重量部に対して50〜500重量部、望ましくは
200〜400重量部の範囲で用いる。これらの配合量
が少な過ぎると成形組成物に必要とされる上記の
諸特性が充分得られず、逆に配合量が多過ぎると
組成物の混練がし難くなるほか、組成物の流動性
が著しく低下し、諸特性が優れた成形品の成形が
困難になる。 なお、本発明の成形組成物には目的を損わない
範囲でシリコーン樹脂、ポリブタジエン系樹脂、
ビスマレイミド、ポリアミノビスマレイミド化合
物などの改質材、顔料、染料、離型剤、カツプリ
ング剤等を配合することができる。 次に、上記各成分の混合方法について述べる。
本発明においてアルケニルフエノール系重合体は
粉末のまま充てん剤と共にエポキシ樹脂に分散混
合する。そのため、各成分は比較的低温で混合す
ることができるため混合中にエポキシ樹脂の硬化
を進行することがない。また、アルケニルフエノ
ール系重合体は混合した成形組成物中に粉末とし
て分散混合しているため貯蔵温度(室温)ではエ
ポキシ樹脂とは反応し難く貯蔵安定性が良い。な
お、後述の具体例で示すように得られた成形組成
物の成形はアルケニルフエノール系重合体の溶融
温度より高い温度で行うので、アルケニルフエノ
ール系重合体は成形時に溶融し、エポキシ樹脂と
反応硬化するため成形品の諸特性には何ら問題は
ない。混練装置は材料組成に応じてニーダ、リボ
ンミキサー、押出機等を使用することができる。
例えば、ニーダを用いる場合はニーダの混練槽を
あらかじめ30〜80℃に加熱しておき、まず、アル
ケニルフエノール系重合体の粉末、充てん剤、潜
在性硬化促進剤及び必要に応じ各種添加剤の混合
を行う。その後、エポキシ樹脂を添加し更に混合
を続ければアルケニルフエノール系重合体が粉末
のまま分散した熱硬化性の成形組成物が得られ
る。混練温度は、30〜80℃であると、流動性、材
料の特性に好適であり、また硬化反応を回避する
ことができる。このようにして作製した成形組成
物は、常温では半固形〜固形状であり、押出機あ
るいは粉砕機を用いて所望の大きさに造粒し成形
組成物として使用することができる。なお、上記
製造方法は一例を示したものであり、このような
方法に限定されるものではない。 以下実施例、比較例及び対比例により本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれに限定さ
れない。 比較例1〜3、実施例4〜6 アルケニルフエノール系重合体としてレジンM
(丸善石油製ポリ−p−ビニルフエノール樹脂、
平均分子量6000、溶融温度170℃、水酸基当量
120)を68部、潜在性硬化促進剤として表1に示
す各種化合物1〜3重量部、充てん剤として長さ
3mmのガラス繊維100重量部及び平均粒径4.2μm
の溶融石英ガラス粉300重量部、離型剤としてス
テアリン酸亜鉛2重量部を60℃に加熱したニーダ
中で5分間混合し、これに更にエポキシ樹脂とし
てDEN−438〔ダウケミカル社製ノボラツク型エ
ポキシ樹脂、軟化温度38℃、粘度430P(50℃)、
エポキシ当量180〕の100重量部を加え15分間混練
し、目的とする成形組成物を作製した。これらの
各成形組成物について190℃で1.5分及び3分間の
成形を行つた(成形圧力150Kg/cm2)場合の成形
品の硬度、ガラス転移温度及び成形組成物の貯蔵
安定性を測定した。結果を表1に示す。
安定性が良好なうえに速硬化性で、しかも成形品
は高温の機械特性に優れ、高温で長期間使用して
も劣化が起らない熱硬化性成形組成物に関する。 周知のように、酸無水物、アミン化合物、フエ
ノール化合物、イソシアネート化合物等を硬化剤
にしたエポキシ樹脂組成物は硬化物の機械、電
気、化学的諸特性が良好なために注型、含浸、塗
装、積層及び成形材料等の広い分野に利用されて
いる。 しかし、上記のような各種硬化剤を配合したエ
ポキシ樹脂組成物においては貯蔵安定性、硬化
性、硬化物の耐熱性等の要求を同時に満足するこ
とが難しく、工業上重要な技術課題になつてい
る。例えば、成形材料の分野では硬化剤として酸
無水物芳香族ポリアミン、フエノールノボラツ
ク、ポリアミノビスマレイミドなどが用いられ
る。ところがこれらの硬化剤を配合したエポキシ
樹脂は硬化に際して高温長時間の加熱が必要なた
め、通常は硬化促進剤を配合し硬化時間の短縮を
図つている。しかし、それでも成形材料の成形に
は3分前後の時間を要し熱可塑性成形組成物に比
べると成形時間が長くその短縮が強く望まれてい
る。更に、芳香族ポリアミン又はポリアミノビス
マレイミドを用いた系は貯蔵安定性に問題があ
る。また、成形品の耐熱性を樹脂硬化物のガラス
転移温度を例にとつてみると酸無水物、芳香族ポ
リアミン、フエノールノボラツク系は高高150℃
前後であり耐熱性が劣る。これに対しポリアミノ
ビスマレイミド系はガラス転移温度が200℃以上
になり硬化物の高温の機械、電気特性が良好であ
る。しかし、上記のように貯蔵安定性並びに硬化
性に問題がある。 ところで、特開昭49−93494号、特開昭53−
71300号(特公昭55−29522号)あるいは特開昭55
−36212号によればエポキシ樹脂の硬化剤として
フエノールノボラツクの代りにアルケニルフエノ
ール系の共重合体を使用すると硬化促進剤を併用
することなしに比較的短時間の加熱で硬化物にな
り得てしかも硬化物は耐熱性が優れ、注型用ある
いは銅張積層板や電気絶縁材用の含浸用に有用な
ことが記載されている。しかし、エポキシ樹脂の
硬化剤として使用して耐熱性の良好な硬化物を与
えることのできるアルケニルフエノール系重合体
は重合度20以上(分子量約3000以上)の高重合体
であり、温度が160℃以上と高く、また溶融粘度
も極めて高い。そのため上記公知例では複合材料
を作製する具体的方法として、まず樹脂組成物を
硬化温度以下の温度で加熱溶融するか、あるいは
適当な溶媒に溶解し、該溶融物あるいは溶液を有
機繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、アスベスト、鉱
さい綿、マイカ等の補強材に含浸させ、溶液を用
いた場合には含浸後溶媒を揮発その他適当な手段
で除去し、含浸物例えばいわゆるバルクモールデ
イングコンパウンド、あるいはプリプレグマツト
とする方法が提示されているが、作業性が著しく
劣るという問題がある。また、アルケニルフエノ
ール系重合体は硬化促進剤を併用しなくてもエポ
キシ樹脂とは180℃以上の温度で30〜90分程度加
熱すれば硬化するが、熱硬化性成形組成物は熱可
塑性成形組成物に比べて成形時間が長いことから
速硬化タイプのものが強く望まれており、速硬化
性の成形組成物を得るためには硬化促進剤の使用
が必須条件になる。アルケニルフエノール系重合
体を硬化剤とするエポキシ樹脂組成物に有効な硬
化促進剤としては第3級アミン、ポリアミン、尿
素、ジシアンジアミド、ジメチルホルムアミド、
三フツ化ホウ素、アミン錯体などが知られてい
る。しかし、これらの硬化促進剤を用いて樹脂組
成物を加熱溶融しようとすると、樹脂組成物が加
熱中にゲル化してしまつたり、作製した成形組成
物の貯蔵安定性あるいは硬化性が充分でない等の
問題点がある。また、成形組成物の作成方法とし
て樹脂組成物を適当な溶媒に溶解し、この溶液を
各種補強材あるいは充てん剤に含浸させた後溶媒
を除去する方法は作業が非常に煩雑なうえに、残
留溶媒の影響によつて樹脂本来の機械特性や電気
特性あるいは長期の熱劣化特性が著しく損われる
欠点がある。そのため、アルケニルフエノール系
重合体を硬化剤とするエポキシ樹脂系の成形組成
物はこれまで余り実用されたことがなかつた。 本発明は上記現状にかんがみてなされたもので
あり、特に貯蔵安定性が良好なうえに、速硬化性
で、しかも成形品は耐熱耐久性が優れた成形組成
物を提供するものである。 すなわち、本発明を概説すれば、本発明は、(a)
エポキシ樹脂、(b)アルケニルフエノール系重合
体、(c)潜在性硬化促進剤よりなる樹脂成分と(d)繊
維及び/又は粒状充てん剤を必須成分とする熱硬
化性成形組成物において、上記(a)エポキシ樹脂は
軟化温度が65℃以下又は室温で液状のエポキシ樹
脂、(b)アルケニルフエノール系重合体は粒径が
74μm以下の粉末、(c)潜在性硬化促進剤は一般式
() (ここで、R1はハロゲン、R2及びR3は水素、
アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又
は置換シクロアルキル基を表す。nは0〜2の整
数を表す)で示される尿素系化合物又はアンモニ
ウム化合物、ホスホニウム化合物、アルソニウム
化合物、イミダゾリニウム化合物、ピリジニウム
化合物若しくはモルホリニウム化合物の各テトラ
置換ボロン塩からなる群から選ばれる1種以上の
化合物であり、かつ、前記(b)〜(d)の各成分を30〜
80℃に加熱した装置で予備混練した後、(a)エポキ
シ樹脂を加えて更に混練を行い、硬化反応が生起
する前に冷却を行うことにより、上記のアルケニ
ルフエノール系重合体が粉末のまま充てん剤と共
にエポキシ樹脂に分散混合していることを特徴と
する熱硬化性成形組成物に関する。 本発明に使用する(a)エポキシ樹脂は一分子中に
少なくとも2個以上のエポキシ基を有する公知の
エポキシ樹脂全般を指すものであるが軟化温度が
65℃以下又は室温で液状のものを使用する。具体
的にはビスフエノールAとエピクロルヒドリンと
から得られるビスフエノール型エポキシ樹脂、ノ
ボラツク樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて
得られるノボラツク型エポキシ樹脂、キシレンと
ホルマリンあるいはトルエンとパラホルムアルデ
ヒドとを反応させて得られるキシレン樹脂若しく
はトルエン樹脂とフエノール類との縮合物にエピ
クロルヒドリンを反応させて得られるポリフエノ
ール系エポキシ樹脂、レゾールあるいはハイドロ
キノンのような多価フエノール系樹脂にエピクロ
ルヒドリンを反応させて得られるポリヒドロキシ
ベンゼン系エポキシ樹脂、芳香族あるいは脂肪族
カルボン酸にエピクロルヒドリンを反応させて得
られるエポキシ樹脂、ビニルポリマーから得られ
るエポキシ樹脂、グリセリンのような多価アルコ
ールから得られるエポキシ樹脂、シクロヘキセ
ン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン
のような脂環式化合物から得られるエポキシ樹
脂、でんぷんあるいは不飽和高級脂肪酸のごとき
天然物から得られるエポキシ樹脂、アニリンある
いは脂肪族アミンなどから得られる含窒素エポキ
シ樹脂、イソシアヌル酸から得られる含窒素ヘテ
ロ環を有するエポキシ樹脂、エポキシ樹脂にシラ
ノールを反応させて得られる含ケイ素エポキシ樹
脂、炭素−炭素2重結合を有するケイ素化合物を
酸化して得られる含ケイ素エポキシ樹脂、オレフ
イン性の不飽和基を有する亜りん酸エステルを過
酢酸でエポキシ化したエポキシ亜りん酸、ケイ
素、りん以外の重金属をキレートの形で含むエポ
キシ樹脂などがあり、これらは単独又は2種以上
混合して用いることができる。 また、(b)アルケニルフエノール系重合体とはビ
ニルフエノール、n−プロペニルフエノール、イ
ソプロペニルフエノール、n−ブテニルフエノー
ルあるいはこれらの誘導体などを熱重合、イオン
重合又はラジカル重合させて得られるポリマーで
ある。その重合度は数量体から数万量体まで広範
囲のものがあるが、樹脂組成物の取扱い性、成形
組成物作製時の作業性、成形組成物の成形性、成
形品の諸特性等との関連で重合度は20〜80(平均
分子量で3000〜8000程度、溶融温度で160〜220
℃)のものが望ましい。 またアルケニルフエノール系重合体は粉末のま
ま充てん剤成分と共にエポキシ樹脂と混合するた
め、その粒径はなるべく細かい方が良く200メツ
シユ(74μm)以下の微粉末のものを用いる。 更に、本発明で使用する(c)潜在性硬化促進剤の
具体例としては、3−(パラクロロフエニル)−
1、1−ジメチルウレア、3−(3,4−ジクロ
ロフエニル)−1,1−ジメチルウレア、3−
(3,4−ジクロロフエニル)−1−メトキシ−1
−メチルウレア、3−(3,4−ジクロロフエニ
ル)−1,1−ジエチルウレア、1−(2−メチル
シクロヘキシル)−3−フエニルウレアなどであ
り、また各種テトラ置換ボロン塩としてはトリメ
チルアンモニウムテトラフエニルボレート、トリ
エチルアンモニウムテトラフエニルボレート、ト
リフエニルアンモニウムテトラフエニルボレー
ト、ジエチルメチルアンモニウムテトラフエニル
ボレート、テトラブチルアンモニウムテトラブチ
ルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラフ
エニルボレート、テトラフエニルホスホニウムテ
トラフエニルボレート、テトラフエニルホスホニ
ウムテトラブチルボレート、テトラブチルホスホ
ニウムテトラブチルボレート、テトラメチルアル
ソニウムテトラフエニルボレート、テトラフエニ
ルアルソニウムテトラフエニルボレート、ジメチ
ルジエチルアルソニウムテトラフエニルボレート
あるいはイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、2−エチル−4−メチルイミダゾリニウムテ
トラフエニルボレート、2−エチル−1,4−ジ
メチルイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、1−シアノエチル−2−フエニルイミダゾリ
ニウムテトラフエニルボレート、1−アリル−2
−メチルイミダゾリニウムテトラフエニルボレー
ト、ピリジニウムテトラフエニルボレート、モル
ホリニウムテトラフエニルボレート、メチルモル
ホリニウムテトラフエニルボレートなどがあり、
これらの1種以上を配合して用いる。 上記の各樹脂成分の配合割合は特に限定される
ものではないが、(a)のエポキシ樹脂と(b)のアルケ
ニルフエノール系重合体は(a)のエポキシ基のモル
数/(b)の水酸基のモル数=0.8〜1.2の範囲が望ま
しく、また、(c)の潜在性硬化促進剤は100重量部
の(a)に対し0.1〜5重量部の範囲が望ましい。こ
れは、エポキシ樹脂に対するアルケニルフエノー
ル系重合体の配合量が少な過ぎると硬化物の耐熱
性が充分でなく、逆に多過ぎると充てん剤との混
練が難くなり、硬化物の耐熱性も余り向上がみら
れないためである。また、潜在性硬化促進剤は
0.1重量部未満では硬化促進性が低く、逆に5重
量部を越えると硬化が促進され過ぎ成形性や成形
品の機械特性、加熱劣化特性等の低下が起るため
である。 次に、繊維及び/又は粒状の充てん剤はガラス
繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、ウ
オラストナイト繊維、アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、セラミツク繊維、銅、アルミ、鋼、ステン
レス鋼等の金属繊維、セルロース、ナイロン、ケ
ブラー等の有機繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、ジルコン、マイカ、クレー、タルク、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石こ
う、ドーソナイト、ホウ砂、シリカ、溶融石英ガ
ラス、アルミナ、硫酸バリウム、カオリン、ケイ
藻土、ガラスビーズ、チタン白、グラフアイト、
カーボンブラツク、二硫化モリブデン、テフロン
パウダー、フツ化黒鉛、窒化ホウ素、酸化ベリリ
ウム、各種金属粉などである。 上記の繊維及び/又は粒状充てん剤は成形組成
物の成形収縮率、熱膨張係数の低減、熱伝導率、
耐摩耗性、機械強度、耐クリープ性等の向上、導
電性、帯電防止性の付与等樹脂成分だけでは得ら
れない各種特性の付与あるいは向上を目的に配合
するものであり、その配合量は(a)〜(c)の樹脂成分
100重量部に対して50〜500重量部、望ましくは
200〜400重量部の範囲で用いる。これらの配合量
が少な過ぎると成形組成物に必要とされる上記の
諸特性が充分得られず、逆に配合量が多過ぎると
組成物の混練がし難くなるほか、組成物の流動性
が著しく低下し、諸特性が優れた成形品の成形が
困難になる。 なお、本発明の成形組成物には目的を損わない
範囲でシリコーン樹脂、ポリブタジエン系樹脂、
ビスマレイミド、ポリアミノビスマレイミド化合
物などの改質材、顔料、染料、離型剤、カツプリ
ング剤等を配合することができる。 次に、上記各成分の混合方法について述べる。
本発明においてアルケニルフエノール系重合体は
粉末のまま充てん剤と共にエポキシ樹脂に分散混
合する。そのため、各成分は比較的低温で混合す
ることができるため混合中にエポキシ樹脂の硬化
を進行することがない。また、アルケニルフエノ
ール系重合体は混合した成形組成物中に粉末とし
て分散混合しているため貯蔵温度(室温)ではエ
ポキシ樹脂とは反応し難く貯蔵安定性が良い。な
お、後述の具体例で示すように得られた成形組成
物の成形はアルケニルフエノール系重合体の溶融
温度より高い温度で行うので、アルケニルフエノ
ール系重合体は成形時に溶融し、エポキシ樹脂と
反応硬化するため成形品の諸特性には何ら問題は
ない。混練装置は材料組成に応じてニーダ、リボ
ンミキサー、押出機等を使用することができる。
例えば、ニーダを用いる場合はニーダの混練槽を
あらかじめ30〜80℃に加熱しておき、まず、アル
ケニルフエノール系重合体の粉末、充てん剤、潜
在性硬化促進剤及び必要に応じ各種添加剤の混合
を行う。その後、エポキシ樹脂を添加し更に混合
を続ければアルケニルフエノール系重合体が粉末
のまま分散した熱硬化性の成形組成物が得られ
る。混練温度は、30〜80℃であると、流動性、材
料の特性に好適であり、また硬化反応を回避する
ことができる。このようにして作製した成形組成
物は、常温では半固形〜固形状であり、押出機あ
るいは粉砕機を用いて所望の大きさに造粒し成形
組成物として使用することができる。なお、上記
製造方法は一例を示したものであり、このような
方法に限定されるものではない。 以下実施例、比較例及び対比例により本発明を
より具体的に説明するが、本発明はこれに限定さ
れない。 比較例1〜3、実施例4〜6 アルケニルフエノール系重合体としてレジンM
(丸善石油製ポリ−p−ビニルフエノール樹脂、
平均分子量6000、溶融温度170℃、水酸基当量
120)を68部、潜在性硬化促進剤として表1に示
す各種化合物1〜3重量部、充てん剤として長さ
3mmのガラス繊維100重量部及び平均粒径4.2μm
の溶融石英ガラス粉300重量部、離型剤としてス
テアリン酸亜鉛2重量部を60℃に加熱したニーダ
中で5分間混合し、これに更にエポキシ樹脂とし
てDEN−438〔ダウケミカル社製ノボラツク型エ
ポキシ樹脂、軟化温度38℃、粘度430P(50℃)、
エポキシ当量180〕の100重量部を加え15分間混練
し、目的とする成形組成物を作製した。これらの
各成形組成物について190℃で1.5分及び3分間の
成形を行つた(成形圧力150Kg/cm2)場合の成形
品の硬度、ガラス転移温度及び成形組成物の貯蔵
安定性を測定した。結果を表1に示す。
【表】
表1から明らかなように潜在性硬化促進剤とし
て2−エチル−4−メチルイミダゾール(比較例
1)及びBF3・2−メチルイミダゾール(比較例
2)を使用した場合エポキシ樹脂がニーダ中でゲ
ル化してしまい成形組成物を作製することができ
なかつた。また、BF3、ピペリジン(比較例3)
を使用した場合は樹脂の硬化性が遅く、190℃/
3分の成形では高温物質の良好な成形品が得られ
なかつた。これに対し、3−(パラクロロフエニ
ル)1,1−ジメチルウレア(実施例1)及び各
種のテトラ置換ボロン塩を使用した(実施例2〜
6)場合は貯蔵安定性が良好なうえに速硬化性且
つ高温物性の良い良好な成形品が得られた。 比較例 4〜9 室温で液状のエピコート828〔シエル化学社製粘
度150P(25℃)、エポキシ当量190〕又は前記DEN
−438のそれぞれ100重量部にアルケニルフエノー
ル系重合体として前記レジンMを68重量部加え、
これを約130℃に加熱し溶融混合した。潜在性硬
化促進剤にはそれぞれBF3・ピペリジンを3重量
部、3−(パラクロロフエニル)−1,1−ジメチ
ルウレアを3重量部又はテトラフエニルホスホニ
ウムテトラフエニルボレートを3重量部用い前記
実施例と同様の方法で成形組成物を作製し、諸特
性を評価した。結果を表2に示す。
て2−エチル−4−メチルイミダゾール(比較例
1)及びBF3・2−メチルイミダゾール(比較例
2)を使用した場合エポキシ樹脂がニーダ中でゲ
ル化してしまい成形組成物を作製することができ
なかつた。また、BF3、ピペリジン(比較例3)
を使用した場合は樹脂の硬化性が遅く、190℃/
3分の成形では高温物質の良好な成形品が得られ
なかつた。これに対し、3−(パラクロロフエニ
ル)1,1−ジメチルウレア(実施例1)及び各
種のテトラ置換ボロン塩を使用した(実施例2〜
6)場合は貯蔵安定性が良好なうえに速硬化性且
つ高温物性の良い良好な成形品が得られた。 比較例 4〜9 室温で液状のエピコート828〔シエル化学社製粘
度150P(25℃)、エポキシ当量190〕又は前記DEN
−438のそれぞれ100重量部にアルケニルフエノー
ル系重合体として前記レジンMを68重量部加え、
これを約130℃に加熱し溶融混合した。潜在性硬
化促進剤にはそれぞれBF3・ピペリジンを3重量
部、3−(パラクロロフエニル)−1,1−ジメチ
ルウレアを3重量部又はテトラフエニルホスホニ
ウムテトラフエニルボレートを3重量部用い前記
実施例と同様の方法で成形組成物を作製し、諸特
性を評価した。結果を表2に示す。
【表】
表2から明らかなように、BF3・ピペリジンを
使用した(比較例4及び7)場合には成形組成物
の貯蔵安定性は良いが硬化性が悪く短時間の成形
で高温物性が良好な成形品を得ることができな
い。また、3−(パラクロロフエニル)−1,1−
ジメチルウレアを用いた(比較例5及び8)場合
にはニーダで混練中に樹脂の硬化反応が進行し、
得られた成形組成物は貯蔵安定性が著しく劣る。
比較例6及び9のものも貯蔵安定性が劣る。 比較例 10 エポキシ樹脂として前記DEN−438を100重量
部、アルケニルフエノール系重合体として前記レ
ジンMを68重量部及び潜在性硬化促進剤としてテ
トラフエニルホスホニウム・テトラフエニルボレ
ートの3重量部をメチルエチルケトンに溶解し、
樹脂成分70重量%のワニスを調製した。前記実施
例と同様にニーダを用いてこのワニスに充てん剤
としてガラス短繊維100重量部、溶融石英ガラス
粉300重量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛2
重量部を混合した。その後減圧乾燥器でメチルエ
チルケトンを除去し、成形組成物を作製した。 実施例 7 アルケニルフエノール系重合体として前記レジ
ンMを65重量部、潜在性硬化促進剤としてテトラ
フエニルホスホニウム・テトラフエニルボレート
3重量部、充てん剤として長さ3mmのガラス短繊
維100重量部及び平均粒径4.2μmの溶融石英ガラ
ス粉300重量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛
2重量部を50℃に加熱したニーダ中で5分間混合
し、これに更にエポキシ樹脂として前記エピコー
ト828を100重量部加えて15分間混練し、目的とす
る成形組成物を作製した。 比較例 11 エポキシ樹脂として前記エピコート828を100重
量部、アルケニルフエノール系重合体として前記
レジンMを68重量部及び潜在性硬化促進剤として
テトラフエニルホスホニウム・テトラフエニルボ
レート3重量部をメチルエチルケトンに溶解し、
樹脂分80重量%のワニスを調製した。前記実施例
と同様にニーダを用いこのワニスをガラス短繊維
100重量部、溶融石英ガラス粉300重量部、離型剤
としてステアリン酸亜鉛2重量部を混合した。そ
の後減圧乾燥器でメチルエチルケトンを除去し、
成形組成物を作製した。 対比例 1 上記実施例3及び比較例9及び10の成形組成物
は、製造方法は異なる材料組成が共通している。
これら各成形組成物を用いて成形した成形品につ
いて加熱劣化試験を行つた。結果を第1図及び第
2図に示す。第1図において、縦軸は重量減少率
(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表
す。また、第2図において、縦軸は曲げ強度保持
率(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を
表す。 これらの結果から明らかなように、溶媒を用い
て作製した比較例10の成形組成物はアルケニルフ
エノール系重合体を粉末のまま分散混合した実施
例3の成形組成物に比べて加熱減量及び曲げ強度
の低下率が大きく、成形品の長期の熱劣化特性が
劣る。 対比例 2 上記実施例7及び比較例6及び11で作製した成
形組成物を用いて成形した成形品について加熱劣
化試験を行つた。結果を第3図及び第4図に示
す。第3図において、縦軸は重量減少率(%)
を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表す。ま
た、第4図において、縦軸は曲げ強度保持率
(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表
す。 これらの結果から明らかなように、エポキシ樹
脂としてエピコート828を用いた場合にも、溶媒
を用いて作製した比較例11の成形組成物はアルケ
ニルフエノール系重合体を粉末のまま分散混合し
た実施例7の成形組成物に比べて加熱減量及び曲
げ強度の低下率が大きく、成形品の長期熱劣化特
性が劣る。 対比例 3 上記実施例3の組成物を用い、混練条件と材料
特性の関係について検討した結果を下記表3に示
す。
使用した(比較例4及び7)場合には成形組成物
の貯蔵安定性は良いが硬化性が悪く短時間の成形
で高温物性が良好な成形品を得ることができな
い。また、3−(パラクロロフエニル)−1,1−
ジメチルウレアを用いた(比較例5及び8)場合
にはニーダで混練中に樹脂の硬化反応が進行し、
得られた成形組成物は貯蔵安定性が著しく劣る。
比較例6及び9のものも貯蔵安定性が劣る。 比較例 10 エポキシ樹脂として前記DEN−438を100重量
部、アルケニルフエノール系重合体として前記レ
ジンMを68重量部及び潜在性硬化促進剤としてテ
トラフエニルホスホニウム・テトラフエニルボレ
ートの3重量部をメチルエチルケトンに溶解し、
樹脂成分70重量%のワニスを調製した。前記実施
例と同様にニーダを用いてこのワニスに充てん剤
としてガラス短繊維100重量部、溶融石英ガラス
粉300重量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛2
重量部を混合した。その後減圧乾燥器でメチルエ
チルケトンを除去し、成形組成物を作製した。 実施例 7 アルケニルフエノール系重合体として前記レジ
ンMを65重量部、潜在性硬化促進剤としてテトラ
フエニルホスホニウム・テトラフエニルボレート
3重量部、充てん剤として長さ3mmのガラス短繊
維100重量部及び平均粒径4.2μmの溶融石英ガラ
ス粉300重量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛
2重量部を50℃に加熱したニーダ中で5分間混合
し、これに更にエポキシ樹脂として前記エピコー
ト828を100重量部加えて15分間混練し、目的とす
る成形組成物を作製した。 比較例 11 エポキシ樹脂として前記エピコート828を100重
量部、アルケニルフエノール系重合体として前記
レジンMを68重量部及び潜在性硬化促進剤として
テトラフエニルホスホニウム・テトラフエニルボ
レート3重量部をメチルエチルケトンに溶解し、
樹脂分80重量%のワニスを調製した。前記実施例
と同様にニーダを用いこのワニスをガラス短繊維
100重量部、溶融石英ガラス粉300重量部、離型剤
としてステアリン酸亜鉛2重量部を混合した。そ
の後減圧乾燥器でメチルエチルケトンを除去し、
成形組成物を作製した。 対比例 1 上記実施例3及び比較例9及び10の成形組成物
は、製造方法は異なる材料組成が共通している。
これら各成形組成物を用いて成形した成形品につ
いて加熱劣化試験を行つた。結果を第1図及び第
2図に示す。第1図において、縦軸は重量減少率
(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表
す。また、第2図において、縦軸は曲げ強度保持
率(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を
表す。 これらの結果から明らかなように、溶媒を用い
て作製した比較例10の成形組成物はアルケニルフ
エノール系重合体を粉末のまま分散混合した実施
例3の成形組成物に比べて加熱減量及び曲げ強度
の低下率が大きく、成形品の長期の熱劣化特性が
劣る。 対比例 2 上記実施例7及び比較例6及び11で作製した成
形組成物を用いて成形した成形品について加熱劣
化試験を行つた。結果を第3図及び第4図に示
す。第3図において、縦軸は重量減少率(%)
を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表す。ま
た、第4図において、縦軸は曲げ強度保持率
(%)を、横軸は250℃での加熱日数(日)を表
す。 これらの結果から明らかなように、エポキシ樹
脂としてエピコート828を用いた場合にも、溶媒
を用いて作製した比較例11の成形組成物はアルケ
ニルフエノール系重合体を粉末のまま分散混合し
た実施例7の成形組成物に比べて加熱減量及び曲
げ強度の低下率が大きく、成形品の長期熱劣化特
性が劣る。 対比例 3 上記実施例3の組成物を用い、混練条件と材料
特性の関係について検討した結果を下記表3に示
す。
【表】
上記表3から明らかなように、一括混練(エポ
キシ樹脂同時添加)を行つた場合にはできあがつ
た材料は流動性(スパイラルフロー)や成形品の
曲げ強度が低く、貯蔵安定性も劣る傾向にある。
これは各素材の分散、混合状態が十分でないこ
と、混練中にアルケニルフエノール重合体がエポ
キシ樹脂に溶融し硬化反応が部分的に進行したり
することが主な原因と推定される。 混練温度の影響に関しては一括混練の場合は温
度の上昇と共に流動性が低下する傾向がみられ、
成形品の曲が強度も分割混練に比べると低くなつ
ている。これは混練温度の上昇と共にアルケニル
フエノール重合体がエポキシ樹脂に溶解し硬化反
応が進行しやすくなること、各素材の分散、混合
状態が十分でないことが原因と推定される。 一方、分割混練の場合は混練温度80℃において
流動性が最も良く、成形品の曲げ強度が最も高く
なつた。これはエポキシ樹脂を除く他の素材を予
備混合した後エポキシ樹脂を添加混練するため、
各素材の分散、混合状態が良好なこと、各素材が
混練温度に近付いてからエポキシ樹脂を添加する
ため混練時の摩擦、発熱が少なく、アルケニルフ
エノール重合体のエポキシ樹脂に対する溶解が少
なくなるためと推定される。 このように本発明により製造された成形組成物
は、貯蔵安定性が良好なうえに速硬化性で、しか
も成形品は高温の機械特性、長期の熱劣化特性に
も優れているという実用上極めて優れた効果を持
つている。
キシ樹脂同時添加)を行つた場合にはできあがつ
た材料は流動性(スパイラルフロー)や成形品の
曲げ強度が低く、貯蔵安定性も劣る傾向にある。
これは各素材の分散、混合状態が十分でないこ
と、混練中にアルケニルフエノール重合体がエポ
キシ樹脂に溶融し硬化反応が部分的に進行したり
することが主な原因と推定される。 混練温度の影響に関しては一括混練の場合は温
度の上昇と共に流動性が低下する傾向がみられ、
成形品の曲が強度も分割混練に比べると低くなつ
ている。これは混練温度の上昇と共にアルケニル
フエノール重合体がエポキシ樹脂に溶解し硬化反
応が進行しやすくなること、各素材の分散、混合
状態が十分でないことが原因と推定される。 一方、分割混練の場合は混練温度80℃において
流動性が最も良く、成形品の曲げ強度が最も高く
なつた。これはエポキシ樹脂を除く他の素材を予
備混合した後エポキシ樹脂を添加混練するため、
各素材の分散、混合状態が良好なこと、各素材が
混練温度に近付いてからエポキシ樹脂を添加する
ため混練時の摩擦、発熱が少なく、アルケニルフ
エノール重合体のエポキシ樹脂に対する溶解が少
なくなるためと推定される。 このように本発明により製造された成形組成物
は、貯蔵安定性が良好なうえに速硬化性で、しか
も成形品は高温の機械特性、長期の熱劣化特性に
も優れているという実用上極めて優れた効果を持
つている。
第1図及び第2図は、実施例3及び比較例9及
び10で作製した成形組成物を用いて成形した成形
品について加熱劣化試験を行つた結果の比較を示
すグラフである。また、第3図及び第4図は、実
施例7及び比較例6及び11で作製した成形組成物
を用いて成形した成形品について加熱劣化試験を
行つた結果の比較を示すグラフである。
び10で作製した成形組成物を用いて成形した成形
品について加熱劣化試験を行つた結果の比較を示
すグラフである。また、第3図及び第4図は、実
施例7及び比較例6及び11で作製した成形組成物
を用いて成形した成形品について加熱劣化試験を
行つた結果の比較を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 (a)エポキシ樹脂、(b)アルケニルフエノール系
重合体、(c)潜在性硬化促進剤よりなる樹脂成分と
(d)繊維及び/又は粒状充てん剤を必須成分とする
熱硬化性成形組成物において、上記(a)エポキシ樹
脂は軟化温度が65℃以下又は室温で液状のエポキ
シ樹脂、(b)アルケニルフエノール系重合体は粒径
が74μm以下の粉末、(c)潜在性硬化促進剤は一般
式() (ここで、R1はハロゲン、R2及びR3は水素、
アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又
は置換シクロアルキル基を表す。nは0〜2の整
数を表す)で示される尿素系化合物又はアンモニ
ウム化合物、ホスホニウム化合物、アルソニウム
化合物、イミダゾリニウム化合物、ピリジニウム
化合物若しくはモルホリニウム化合物の各テトラ
置換ボロン塩からなる群から選ばれる1種以上の
化合物であり、かつ、前記(b)〜(d)の各成分を30〜
80℃に加熱した装置で予備混練した後、(a)エポキ
シ樹脂を加えて更に混練を行い、硬化反応が生起
する前に冷却を行うことにより、上記のアルケニ
ルフエノール系重合体が粉末のまま充てん剤と共
にエポキシ樹脂に分散混合していることを特徴と
する熱硬化性成形組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1974082A JPS58138729A (ja) | 1982-02-12 | 1982-02-12 | 熱硬化性成形組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1974082A JPS58138729A (ja) | 1982-02-12 | 1982-02-12 | 熱硬化性成形組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58138729A JPS58138729A (ja) | 1983-08-17 |
JPH0315655B2 true JPH0315655B2 (ja) | 1991-03-01 |
Family
ID=12007727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1974082A Granted JPS58138729A (ja) | 1982-02-12 | 1982-02-12 | 熱硬化性成形組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58138729A (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4594291A (en) * | 1984-07-17 | 1986-06-10 | The Dow Chemical Company | Curable, partially advanced epoxy resins |
US5503937A (en) * | 1984-07-17 | 1996-04-02 | The Dow Chemical Company | Curable composition which comprises adducts of heterocyclic compounds |
US4946817A (en) * | 1984-07-17 | 1990-08-07 | The Dow Chemical Company | Latent catalysts for epoxy-containing compounds |
US4925901A (en) * | 1988-02-12 | 1990-05-15 | The Dow Chemical Company | Latent, curable, catalyzed mixtures of epoxy-containing and phenolic hydroxyl-containing compounds |
ES2074479T3 (es) * | 1988-09-29 | 1995-09-16 | Ciba Geigy Ag | Mezclas de resinas epoxidicas. |
US5140079A (en) * | 1990-02-06 | 1992-08-18 | The Dow Chemical Company | Latent, curable, catalyzed mixtures of epoxy-containing and phenolic-hydroxyl-containing compounds containing compounds or complexes formed from contacting organic phosphines or arsines with weak nucleophilic acids |
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JPS5390400A (en) * | 1977-01-20 | 1978-08-09 | Hitachi Chem Co Ltd | Powdery epoxy resin composition |
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1982
- 1982-02-12 JP JP1974082A patent/JPS58138729A/ja active Granted
Patent Citations (2)
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58138729A (ja) | 1983-08-17 |
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