JPH0313848B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は根鉢の支持施工方法、さらに詳しく
は、公園、舗道、その他博覧会場等で人為的に植
設される樹木を支持しながら施工するための樹木
の支持施工方法に関する。 （従来の技術） 従来、本発明に最も近似する先行技術として、
本件出願人による特願昭61−37834号に係る樹木
支持施工方法がある。 すなわち、この支持施工方法は、先ず第１図の
ように予め地面に形成された植穴２内に樹木１の
根元部１ａを収納し、次にその根元部１ａに、第
８図イ，ロのように根元用のワイヤー２０にゴム
製のホース２１を被嵌せしめた計４個の支持体２
２を外嵌し、その後、同図ハのように支持体２２
の根元用のワイヤー２０の一端と、予め植穴２内
に打ち込まれたアンカー２３とに張設用のワイヤ
ー２４を連結し、前記張設用のワイヤー２４を根
鉢３の外周面に沿つて張設してそのワイヤー２４
の張力によつて樹木１を支持施工する方法であ
る。 （発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来の方法においては次の
ような問題点が生じていた。 (イ) 樹木の根元部に外嵌される根元用のワイヤー
２０は、１重にのみ巻装されてなるため、前記
４個の支持体２２の４本の根元用ワイヤー２０
のうち、１本のワイヤー２０に着目すれば、そ
の根元用のワイヤー２０は、前記張設用のワイ
ヤー２４の張力によつて、前記樹木１の根元部
１ａに対して一方向のみから圧接されることと
なり、その結果、圧接力が分散して根元部１ａ
に作用する力のバランスが悪くなるという問題
点があつた。 (ロ) 従つて、このような圧接力のバランスを維持
するためにはどうしても上記のような計４本の
根元用のワイヤー２０，…を前記根元部１ａに
外嵌して前記張設用のワイヤー２４の張力によ
りそれぞれ４方向から根元部１ａに圧接するこ
とが必要となり、４本の根元用のワイヤー２０
を装着しなければならないために、その作業が
非常に煩雑になるという問題点があつた。 (ハ) さらに、支持体２２が樹木の根元部１ａに外
嵌されて該根元部１ａを圧接支持すると、支持
体２２内の根元用のワイヤー２０が直接根元部
１ａに食い込むこととなり、その結果、樹木を
損傷するおそれがある他、樹皮による酸素の吸
収等がスムーズに行われないという問題点があ
つた。 本発明は上述のような問題点をすべて解決する
ためになされたもので、樹木の根元部に対して
は、１本の根元用ワイヤーのみで、圧接力が分散
されることなく確実に圧接支持することができる
とともに根元用ワイヤー装着の作業性もよく、且
つ樹木に対する根元用ワイヤーの不用意な食い込
み等が防止でき、しかも張設用のワイヤーの張設
及び弛緩もワンタツチで非常に容易に行なうこと
ができ、全体としての樹木の支持施工を非常に容
易に行なわしめることを目的とする。 （問題点を解決するための手段） 本発明は、このような目的を達成すべく上記問
題点を解決せんとしてなされたもので、その問題
点を解決するための手段は、予め地面に形成され
た植穴２内に樹木１の根元部１ａ及び根鉢３を収
納し、次に前記樹木１の根元部１ａの外周にブロ
ツク片４を配置するとともに該ブロツク片４を介
して根元用のワイヤー６を少なくとも２重以上に
巻装し、且つ前記根鉢３の外周面に沿つて張設可
能な張設用のワイヤー８を、前記根元用のワイヤ
ー６と、前記植穴２内に予め打ち込まれた打込み
部材とに連結してウインチ１２によつて張設し、
その後、前記植穴２を土等により閉塞して前記根
元部１ａ及び根鉢３を地中に埋設することによつ
て樹木１を支持施工することにある。 （作用） すなわち、このような構成になるために、前記
ウインチ１２によつて張設用のワイヤー８を張設
すると、その張設用のワイヤー８が根鉢３を支持
するとともにその張設用のワイヤー８の張力が前
記根元用のワイヤー６に作用して該根元用のワイ
ヤーが樹木１の根元部１ａ側に圧接されることと
なる。この場合において、根元用のワイヤー６は
少なくとも２重以上に巻装されてなるため、該根
元用のワイヤー６の前記根元部１ａに対する圧接
力が分散されることもなく、該根元用のワイヤー
６はバランス良く根元部１ａを圧接支持し、又該
根元部１ａと根元用のワイヤー６間にはブロツク
片４が介装されてなるため、該根元用のワイヤー
６は該根元部１ａに直接食い込むことがないので
ある。しかも前記ウインチ１２によつて張設用の
ワイヤー８の張設はワンタツチで非常に容易に行
なうことができるのである。 （実施例） 以下、本発明の実施例について図面に従つて説
明する。 先ず、第１図のように、予め地面に形成された
植穴２内に樹木１の根元部１ａ並びに根鉢３を収
納する。 次に、第２図イのように外開き可能な２枚の抵
抗板１８，１８を有するアンカー１０にガイドパ
イプ１７を取り付けて植穴２の底面に形成された
縦穴１９内に収納した後、同図ロのように前記ガ
イドパイプ１７の先端部１７ａをロツトハンマー
２５で叩いて抵抗板１８，１８を外側に展開させ
ると、該抵抗板１８，１８が穴底の土に食い込ん
でアンカー１０は確実に固定されることとなる。
このようにしてアンカー１０を予め植穴２内に打
ち込んでおく。 次に、第３図のように前記樹木１の根元部１ａ
に、ガラス繊維を含有した低発泡ウレタンからな
る多数（計10個）のブロツク片４，…を配置し、
そのブロツク片４を介してゴム製のリング体５を
外嵌して前記ブロツク片４を仮固定した後、第４
図のよううに前記ブロツク片４の外側に１本の根
元用のワイヤー６を巻装する。そしてこの根元用
のワイヤー６には、同図に示すように、樹木１に
対して２重に巻装するとともに、２重目のワイヤ
ーを１重目のワイヤーに対して１回くぐらせて樹
木１に装着させ、さらその根元用のワイヤー６の
両端６ａ，６ｂは止め具２７によつて止着する。
尚、第４図において７，…は該根元用のワイヤー
６の略等間隔の４箇所に取り付けられたリング状
の止め具を示す。 次に、前記根元用のワイヤー６とは別の１本の
張設用のワイヤー８を、該張設用のワイヤー８と
根鉢３の肩部３ａの所定位置４箇所との間に、第
５図ハに示すような略Ｌ字状の合成樹脂製の保護
パツト９を根鉢３の肩部３ａに沿うようにして介
在した状態で、同図イ，ロのように根鉢３の外周
面に沿わせながら、前記根元用のワイヤー６に取
り付けられた止め具７，…に掛け回すとともに、
予め植穴２の底面に打ち込まれたアンカー１０の
一端側のリング部１１に順次掛け回して、その両
端８ａ，８ｂをウインチ１２に取り付ける。これ
をより詳細に説明すると、第６図に示すように前
記張設用のワイヤー８の一端８ａをウインチ１２
の一端側に設けられたピン１３に巻装し、他端８
ｂをウインチ１２の他端側に設けられたロール１
４の孔１５に挿通せしめる。尚、このウインチ１
２は、張設用ワイヤー８の張力のバランスを考慮
して第５図ロに示すように張設用のワイヤー８の
対角線上に２個設けられている。 そしてこの状態で前記ウインチ１２のハンドル
１６を操作すると、ラチエツト２６を介してロー
ル１４が回転し、それによつて前記孔１５に挿通
された張設用のワイヤー８の他端８ｂが前記ロー
ル１４に徐々に巻装され、それによつて前記張設
用のワイヤー８に張力が生じてその張力によつて
前記根鉢３が支持されるとともに、該張設用のワ
イヤー８の張力が根元用のワイヤー６にも作用
し、その根元用のワイヤー６が前記樹木１の根元
部１ａに圧接されて該根元部１ａが根元用のワイ
ヤー６にて圧接支持されることとなるのである。 この場合において、樹木１の根元部１ａの周囲
に巻装される根元用のワイヤー６と樹木１間に
は、上記のようなブロツク片４，…が介装されて
なるため、該根元用のワイヤー６が直接樹木１に
食い込むことがなく、樹木１の損傷が防止され、
又、根元用のワイヤー６が２重に巻装されてなる
ため、前記根元用のワイヤー６の樹木１に対する
圧接力が分散することもないのである。さらに前
記張設用のワイヤー８にる張設は、前記ウインチ
１２によつてワンタツチで非常に容易に行うこと
ができるのである。 さらに、略Ｔ字状の保護パツト９が根鉢３の肩
部３ａに沿うように該根鉢３と張設用のワイヤー
８間に介装されてなるため、該張設用ワイヤー８
に張力が生じた場合、保護パツト９には根鉢側に
力がかかり、従つて保護パツト９は位置ずれする
ことがなく、根鉢３と張設用のワイヤー８間に確
実に介装されるために、張設用ワイヤー８が根鉢
３に不用意に食い込むこともないのである。 このようにして樹木１の根元部１ａを支持した
後、第７図のように植穴２に土砂を埋めることに
よつて樹木１の支持施工が完成する。 そして、樹木１の根元部１ａが成長した場合に
は、該根元部１ａと根元用のワイヤー６間のブロ
ツク片４を順次抜き取ることによつて該根元用の
ワイヤー６の圧接力を弱めることができるため、
前記樹木１の成長に応じた圧接支持が可能とな
る。 尚、上述のようにして施工された樹木の支持力
を試験したところ、次表のような結果が得られ
た。

【表】 尚、上記表において、数字の単位はKgである。 又、試験方法は、地上の高さ約３ｍの上記ケヤ
キ、クス等の樹木を、レツカー車によつて引き倒
し、約70度に傾いた時点で転倒と見なして所要の
引つ張り力を測定した。 これによれば、上記実施例において施工された
樹木の支持力は、従来の樹木の施工手段に比べて
著しく増大することとなつたのである。 尚、上記実施例では、根元用のワイヤー６を２
重にして樹木１の根元部１ａに巻装してなるが、
２重に限らず、３重、４重に巻装されてもよい。
要は少なくとも２重以上に巻装されればよいので
ある。 さらに、根元用のワイヤー６と樹木１の根元部
１ａ間に介装されるブロツク片４の材質も決して
該実施例のガラス繊維を含有した低発泡ウレタン
に限定されるものではないが、この低発泡ウレタ
ンのように軽量で樹木１を損傷させるおそれもな
く、且つ腐敗しにくい材質のものが好ましい。
又、介装されるブロツク片４の個数も問わない。 さらに、該実施例では、アンカー１０として外
開し可能な抵抗板１８，１８を有するものを使用
したため、アンカー１０を打ち込むための労力が
少なく、その打ち込み作業が非常に容易になると
いう好ましい効果が得られたが、アンカー１０の
種類は決してこれに限定されるものではなく、ま
たアンカー以外のたとえば木製の杭等の打ち込み
部材を使用してもよい。要は地中に打ち込み可能
で前記張設用のワイヤー８等に連結可能な打込み
部材が使用されていればよいのである。 さらに、該実施例では、根鉢３の肩部と張設用
ワイヤー８間に介装される保護パツト９として略
Ｔ字状のものを使用したため、上記のように位置
ずれを生じさせないという好ましい効果が得ら
れ、又この保護パツト９は合成樹脂製なるために
腐敗しにくいという利点が得られたが、保護パツ
ト９の形状や材質は決してこれに限定されるもの
ではなく、且つこの保護パツト９自体必ずしも本
発明に必須のものではない。 さらに該実施例では、根元用のワイヤー６を巻
装する前に、ゴム製のリング体５を予め樹木１に
外嵌することによつて該リング体５と樹木１間に
上記ブロツク片４を介装して該ブロツク片４を仮
固定してなるため、その後の根元用のワイヤー６
の巻装が容易に行えるという好ましい効果が得ら
れたが、リング体５を設けずに、上記根元用のワ
イヤー６を直接ブロツク片４を介して樹木１の根
元部１ａに巻装してもよく、従つてリング体５で
ブロツク片４を仮固定することは条件ではない。
尚、リング体５でブロツク片４を仮固定する場合
には、その仮固定の後にリング体５を抜きとつて
もよく、又抜きとらずにそのまま装着しておいて
もよい。 又、該実施例では樹木１の根元部１ａの外周に
直接ブロツク片４を配置してなるが、このブロツ
ク片４と根元部１ａとの間に保護用のシートを介
装させてもよく、この場合にはブロツク片４の樹
木１に対する圧接力が緩和される利点がある。さ
らにこのようなシートは、上記ゴム製のリング体
５の代わりにブロツク片４の仮固定用として使用
してもよく、この場合、シートによつてブロツク
片４を覆い隠すと、外観体裁が良好となる利点が
ある。 さらに上記アンカー１０を打ち込む手順につい
ても問うものではなく、根元用のワイヤー６を樹
木１の根元部１ａに外嵌する前又は後のいずれで
あつてもよい。 さらに、根元用のワイヤー６の材質も、たとえ
ばステンレス等の金属製のものの他、塩化ビニル
樹脂等の合成樹脂であつてもよく、その材質は決
して問うものではない。 同様に、張設用のワイヤー８の材質も問わな
い。 （発明の効果） 本発明は以上のような特徴を有するものなるた
め、次のような効果を有するに至つた。 (イ) 樹木の根元部に、根元用のワイヤーが少なく
とも２重以上に巻装されてなるため、張設用の
ワイヤーの張力によつて生ずる根元用ワイヤー
の根元部に対する圧接力は従来のように分散さ
れることもなく、樹木の根元部に対してバラン
ス良く作用し、よつてその圧接支持が確実に行
なわれることとなる。 (ロ) しかもこのように根元用のワイヤーを２重以
上に巻装して圧接力の分散を防止できる結果、
従来のように根元用のワイヤーを複数（４本）
準備する必要もなく、よつてその作業性が従来
に比べて著しく向上することになるという効果
がある。 (ハ) さらに、根元用のワイヤーと樹木の根元部間
にはブロツク片が介装されてなるため、根元用
のワイヤーが従来のように樹木の根元部に直接
接触して食い込むおそれもなく、よつて樹木の
不用意な損傷が防止されるとともに、樹皮から
の酸素の吸収等を何ら妨げることもないという
利点がある。 (ニ) さらに上記張設用のワイヤーは、ウインチに
よつて張設可能なるため、ウインチの操作によ
つて張設用ワイヤーの張設及び弛緩さらには根
元用ワイヤーの樹木根元部に対する圧接支持等
をワンタツチで非常に容易に行えることになる
という格別な効果を有するに至つた。 (ホ) しかもウインチの締付けの調整によつて樹木
の根や幹の成長に応じて張設用ワイヤーの根鉢
に対する支持力や根元用ワイヤーの根元部に対
する圧接力を任意に調整することができるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は植穴内に樹木の根鉢を収納する工程の
概略斜視図。第２図はアンカーを打ち込む工程を
示し、イは縦穴内にアンカーを収納した状態の概
略断面図、ロはアンカーの抵抗板を作用させた状
態の概略断面図。第３図はブロツク片及びリング
体の取り付け工程を示し、イは斜視図、ロはイの
Ａ−Ａ線断面図。第４図はワイヤーの樹木根元部
への取付工程を示す斜視図。第５図は張設用ワイ
ヤーを巻装した状態を示し、イは概略斜視図、ロ
は平面図、ハはロのＣ−Ｃ線拡大断面図。第６図
はウインチを示し、イは平面図、ロは側面図。第
７図は支持施工完成状態の概略斜視図。第８図は
従来例を示し、イは概略平面図、ロは概略側面
図、ハは概略斜視図。 １……樹木、１ａ……根元部、４……ブロツク
片、６……根元用のワイヤー、８……張設用のワ
イヤー、１０……アンカー、１２……ウインチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 予め地面に形成された植穴２内に樹木１の根
   元部１ａ及び根鉢３を収納し、次に前記樹木１の
   根元部１ａの外周にブロツク片４を配置するとと
   もに該ブロツク片４を介して根元用のワイヤー６
   を少なくとも２重以上に巻装し、且つ前記根鉢３
   の外周面に沿つて張設可能な張設用のワイヤー８
   を、前記根元用のワイヤー６と、地中に予め打ち
   込まれた打込み部材とに連結してウインチ１２に
   よつて張設し、その後、前記植穴２を土等により
   閉塞して前記根元部１ａ及び根鉢３を地中に埋設
   することによつて樹木１を支持施工することを特
   徴とする樹木の支持施工方法。 ２ 前記打込み部材が、外開き可能な抵抗板１
   ８，１８を有するアンカー１０である特許請求の
   範囲第１項記載の樹木の支持施工方法。 ３ 前記張設用のワイヤー８と根鉢３の肩部間に
   保護パツト９が介装される特許請求の範囲第１項
   記載の樹木の支持施工方法。