JPH0124231B2 - - Google Patents
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- JPH0124231B2 JPH0124231B2 JP10493783A JP10493783A JPH0124231B2 JP H0124231 B2 JPH0124231 B2 JP H0124231B2 JP 10493783 A JP10493783 A JP 10493783A JP 10493783 A JP10493783 A JP 10493783A JP H0124231 B2 JPH0124231 B2 JP H0124231B2
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- Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
Description
本発明は、高速銀めつき液に関するものであ
り、特に、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル、
ニツケル合金などの銀よりも卑な金属から成る基
材を浸漬しても、銀の置換析出が生じないよう
に、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物を
含有せしめた高速銀めつき液に関するものであ
る。 最近では、電子部品材料に銀めつきを施すとき
経済的観点から、高速度めつき法が広く採用され
ている。この方法は、銀のめつき速度を大きくす
るため、めつき液を高温にし、めつき液中の銀濃
度を高め、めつき液の流速を大きくして行なわれ
る。この方法に用いられる高速銀めつき液は、フ
リーのシアン化物の濃度を十分低く保たれねばな
らない。これは、フリーのシアン化物の濃度が高
いとこのフリーのシアン化物が高温で激しく分解
し、多量のシアンガスが発生して危険となるため
である。そこで、高速銀めつき液には、銀塩をシ
アン化銀アルカリの形で導入し、さらに電解時に
陰極から生成するフリーのシアン化物を徐々に分
解させて除去し、蓄積せしめないようにするた
め、液のPHを7.5〜9.0程度に保つためのPH緩衝系
を形成することが特徴である。 また、現在では、高価格である銀をさらに有効
に利用するため高速で、めつき必要部分のみにめ
つきを行う高速部分めつき法が行われている。 この高速部分めつき法は、めつき不要部分にマ
スクを施し、被めつき部分に銀めつき液をポンプ
により高速で噴出させ、被めつき基材と不溶性陽
極の間に電流を流すことにより、めつきを施すと
いうジエツトめつき法が主体である。このような
高速度部分銀めつきにおいての従来の最大の問題
点は、銀めつきを施したい銀より卑なる金属基材
上に、銀めつき液に浸漬しただけで銀が置換析出
してしまうことである。この銀の置換析出は金属
基材として、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル
合金を用いた時に顕著である。この置換析出した
銀は、通常基材との密着性が悪く、この上に電解
で銀めつきを施した場合、めつき皮膜のはがれや
加熱時にふくれや変色が生じ、めつき不良の原因
となる。このめつき不良は、電子部品の銀めつき
に関しては特に致命的である。また、これのみな
らず、部分めつきの場合はめつき不要部分にも析
出することになるため、高価格の銀が損失されて
しまう。従来のめつき方法では、このような密着
性の悪い銀の置換析出を防ぐためには、銀濃度の
低いめつき液から、ストライクめつきとよばれる
薄い銀めつきを施し、その後、通常のめつきをそ
の上へ施している。しかし、部分めつきに関して
はストライクめつきを行うことは、めつきの密着
性を向上させることはできるが、めつき不要部分
にもストライクめつきを行わねばならないため銀
の損失となる。このような高速部分めつきにおけ
る銀の置換析出を防止する目的で、メルカプト化
合物を含有せしめた銀めつき液も提案されてい
る。(特開昭55−34699号)しかし、ここで推奨さ
れているチオ乳酸やチオリンゴ酸は悪臭を有する
うえに、銅イオンの存在下では、銀の置換析出を
防止する効果が消失し易いという欠点を有してい
る。 従つて、例えば、銅基材上へ銀めつきを行う場
合に、銀の置換析出が少しずつおこつて銅イオン
が液中に蓄積したり、また外部から銅イオンが混
入するなどにより、液中の銅イオンの濃度が高ま
ると、この後は、同じメルカプタン化合物を添加
して置換析出を防止しようとしても置換析出を防
止する効果はすぐ消失してしまう。このことは、
液の管理を困難にするものである。 また、他にも、銀の置換析出を防止する目的
で、「環状核に直接結合したメルカプト基を有す
る芳香族または複素環化合物を含む銀めつき液」
(特開昭57−43995号)や「ジチオカルバミン酸も
しくはその塩および/又はチオセミカルバジツド
もしくはその塩を添加して成る銀めつき液(特開
昭57−131382号)も提案されている。しかし、こ
れらで提案されている化合物は、フリーのシアン
化物の濃度が高い銀めつき液中に添加すれば銀よ
り卑な金属の浸漬による銀の置換析出を防止する
ことができるが、高速度めつきで用いられるフリ
ーのシアン化物が十分低くなつている銀めつき液
中では沈殿物を生じせしめ、置換析出を防止する
効果は有しない。 以上のように、現在までの既存技術では高速度
部分めつきにおいて、銀の置換析出を防止して密
着性の良好な銀めつき皮膜を得、銀の損失を防ぐ
ことは必ずしも十分ではないのである。 本発明は、上述のような既存技術の欠点を解決
するために、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物を
用い、フリーのシアン化物濃度が十分低い高速銀
めつき液において銀の置換析出を防止し、銀スト
ライクめつきなしで該基材上へ密着性の良好な銀
めつきを施すことを目的としたものである。この (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物の
銀の置換析出を防止する効果はきわめて高く、し
かも、悪臭を有さず、Cuイオンの存在下におい
ても効果を消失しにくい。また、フリーのシアン
化物濃度が十分低い高速銀めつき液中に添加して
も沈殿を生じない。 これらの化合物は、通常のフリーのシアン化物
濃度が十分低い高速度銀めつき液に、0.05g/l
含有せしめれば完全に置換析出を防止することが
でき、条件によつては0.02g/lでも十分な効果
が得られる。 本発明に用いられる (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物
は、チオン基の両側にN原子が付いていること、
さらに環状となつていることで、高速めつきを行
う場合の高温,高流速,高電流密度という厳しい
条件下でも分解されにくく、安定化されている。
これに対し、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を有していても環状でない
化合物や、環状であつてもチオン基の両側共にN
原子が付いていない化合物では、高速めつきが行
われる条件下では分解し易い。このような分解反
応に対しては、
り、特に、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル、
ニツケル合金などの銀よりも卑な金属から成る基
材を浸漬しても、銀の置換析出が生じないよう
に、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物を
含有せしめた高速銀めつき液に関するものであ
る。 最近では、電子部品材料に銀めつきを施すとき
経済的観点から、高速度めつき法が広く採用され
ている。この方法は、銀のめつき速度を大きくす
るため、めつき液を高温にし、めつき液中の銀濃
度を高め、めつき液の流速を大きくして行なわれ
る。この方法に用いられる高速銀めつき液は、フ
リーのシアン化物の濃度を十分低く保たれねばな
らない。これは、フリーのシアン化物の濃度が高
いとこのフリーのシアン化物が高温で激しく分解
し、多量のシアンガスが発生して危険となるため
である。そこで、高速銀めつき液には、銀塩をシ
アン化銀アルカリの形で導入し、さらに電解時に
陰極から生成するフリーのシアン化物を徐々に分
解させて除去し、蓄積せしめないようにするた
め、液のPHを7.5〜9.0程度に保つためのPH緩衝系
を形成することが特徴である。 また、現在では、高価格である銀をさらに有効
に利用するため高速で、めつき必要部分のみにめ
つきを行う高速部分めつき法が行われている。 この高速部分めつき法は、めつき不要部分にマ
スクを施し、被めつき部分に銀めつき液をポンプ
により高速で噴出させ、被めつき基材と不溶性陽
極の間に電流を流すことにより、めつきを施すと
いうジエツトめつき法が主体である。このような
高速度部分銀めつきにおいての従来の最大の問題
点は、銀めつきを施したい銀より卑なる金属基材
上に、銀めつき液に浸漬しただけで銀が置換析出
してしまうことである。この銀の置換析出は金属
基材として、銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル
合金を用いた時に顕著である。この置換析出した
銀は、通常基材との密着性が悪く、この上に電解
で銀めつきを施した場合、めつき皮膜のはがれや
加熱時にふくれや変色が生じ、めつき不良の原因
となる。このめつき不良は、電子部品の銀めつき
に関しては特に致命的である。また、これのみな
らず、部分めつきの場合はめつき不要部分にも析
出することになるため、高価格の銀が損失されて
しまう。従来のめつき方法では、このような密着
性の悪い銀の置換析出を防ぐためには、銀濃度の
低いめつき液から、ストライクめつきとよばれる
薄い銀めつきを施し、その後、通常のめつきをそ
の上へ施している。しかし、部分めつきに関して
はストライクめつきを行うことは、めつきの密着
性を向上させることはできるが、めつき不要部分
にもストライクめつきを行わねばならないため銀
の損失となる。このような高速部分めつきにおけ
る銀の置換析出を防止する目的で、メルカプト化
合物を含有せしめた銀めつき液も提案されてい
る。(特開昭55−34699号)しかし、ここで推奨さ
れているチオ乳酸やチオリンゴ酸は悪臭を有する
うえに、銅イオンの存在下では、銀の置換析出を
防止する効果が消失し易いという欠点を有してい
る。 従つて、例えば、銅基材上へ銀めつきを行う場
合に、銀の置換析出が少しずつおこつて銅イオン
が液中に蓄積したり、また外部から銅イオンが混
入するなどにより、液中の銅イオンの濃度が高ま
ると、この後は、同じメルカプタン化合物を添加
して置換析出を防止しようとしても置換析出を防
止する効果はすぐ消失してしまう。このことは、
液の管理を困難にするものである。 また、他にも、銀の置換析出を防止する目的
で、「環状核に直接結合したメルカプト基を有す
る芳香族または複素環化合物を含む銀めつき液」
(特開昭57−43995号)や「ジチオカルバミン酸も
しくはその塩および/又はチオセミカルバジツド
もしくはその塩を添加して成る銀めつき液(特開
昭57−131382号)も提案されている。しかし、こ
れらで提案されている化合物は、フリーのシアン
化物の濃度が高い銀めつき液中に添加すれば銀よ
り卑な金属の浸漬による銀の置換析出を防止する
ことができるが、高速度めつきで用いられるフリ
ーのシアン化物が十分低くなつている銀めつき液
中では沈殿物を生じせしめ、置換析出を防止する
効果は有しない。 以上のように、現在までの既存技術では高速度
部分めつきにおいて、銀の置換析出を防止して密
着性の良好な銀めつき皮膜を得、銀の損失を防ぐ
ことは必ずしも十分ではないのである。 本発明は、上述のような既存技術の欠点を解決
するために、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物を
用い、フリーのシアン化物濃度が十分低い高速銀
めつき液において銀の置換析出を防止し、銀スト
ライクめつきなしで該基材上へ密着性の良好な銀
めつきを施すことを目的としたものである。この (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物の
銀の置換析出を防止する効果はきわめて高く、し
かも、悪臭を有さず、Cuイオンの存在下におい
ても効果を消失しにくい。また、フリーのシアン
化物濃度が十分低い高速銀めつき液中に添加して
も沈殿を生じない。 これらの化合物は、通常のフリーのシアン化物
濃度が十分低い高速度銀めつき液に、0.05g/l
含有せしめれば完全に置換析出を防止することが
でき、条件によつては0.02g/lでも十分な効果
が得られる。 本発明に用いられる (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物
は、チオン基の両側にN原子が付いていること、
さらに環状となつていることで、高速めつきを行
う場合の高温,高流速,高電流密度という厳しい
条件下でも分解されにくく、安定化されている。
これに対し、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を有していても環状でない
化合物や、環状であつてもチオン基の両側共にN
原子が付いていない化合物では、高速めつきが行
われる条件下では分解し易い。このような分解反
応に対しては、
【式】なるチオウレイレ
ン基を含む環状化合物で、しかも環が5員環また
は6員環であり、そして、環の他の構成原子がC
またはNである化合物が特に安定である。 本発明に用いられる (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物と
しては、2−チオバルビツル酸、2−イミダゾリ
ジンチオン、1−フエニル−2−テトラゾリン−
5−チオンまたはこれらの誘導体が拳げられる。
これら環状化合物の添加量は、銀の置換析出を防
止するのに必要かつ十分な量添加すれば良いが、
一般に浴に対し10〜300mg/lの添加量が好適で
ある。 本発明の高速銀めつき液は、銀塩としてシアン
化銀アルカリを含有する。シアン化銀アルカリと
しては、シアン化銀ナトリウムも用い得るが、一
般にシアン化銀カリウムが最良である。また、液
のPH緩衝性と、電気伝導性を付与するためリン
酸、ピロリン酸、クエン酸のアルカリ金属塩を含
有する。また、ホウ酸などのPH緩衝塩をさらに加
えてもよい。 本発明の高速銀めつき液は通常の装置を用い、
通常の高速めつきを行うときの条件で使用され得
る。例えば、銀塩の濃度は、銀として50〜80g/
l、液温は40〜80℃、電流密度は20〜200A/d
m2PHは7.5〜9.0の間で使用され得る。このような
条件で適当な流速で高速めつきを行うと、得られ
る銀めつき皮膜は密着性がよく、均一、平滑で、
硬度も低く、電子部品用の銀めつきとしては最適
のものである。ただ、光沢は低いが、もし、光沢
の高いめつき皮膜を得たい場合は、セレン化合物
を添加すればよい。また使用者の目的に応じてア
ンチモン化合物、EDTA、その他の界面活性剤
など当業者に公知の成分を添加し、めつき皮膜の
性質やめつき条件を改めることを拒むものではな
い。 以上のように、本発明の高速銀めつき液は、
銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル、ニツケル合
金などの銀よりも卑な金属基材に対して高速めつ
きを施すときに、銀の置換析出を防止するため、
めつき皮膜の密着性が高められ、銀の損失をなく
すことができる。しかも、銅イオンなどの不純物
によりこの効果が失われず、きわめて液の管理が
容易であり、消耗成分を随時補充し、定期的に活
性炭過を行えば半恒久的な使用が可能である。 以下に本発明の実施例について説明する。 実施例 1 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K2HPO4 90g/l 2−チオバルビツル酸 50mg/l これをPH8.3に調整し、通常の方法でアルカリ
脱脂、酸洗を施したリン青銅板を浸漬したとこ
ろ、リン青銅板上への銀の置換析出は全く生じな
かつた。さらにこの液を用い同じ処理を施したリ
ン青銅板にジエツトめつき法で高速部分めつきを
行つた。電流密度は100A/dm2液温は65℃とし
た。得られた銀めつき皮膜は均一、平滑で硬度も
低いものであつた。密着性は良好であり、これを
350℃で2分間加熱したところ、ふくれなどの外
観変化は生じなかつた。 実施例 2 実施例1の2−チオバルビツル酸のかわりに2
−イミダゾリジンチオンを30mg/l添加し、同様
の実験を行つたところ、ほとんど同じ結果を得
た。 実施例 3 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K4P2O7 70g/l H3BO3 30g/l 1−フエニル−2−テトラゾリン −5−チオン 30mg/l この溶液をPH8.3に調整し、通常の方法でアル
カリ脱脂、酸洗を施したリン青銅板を浸漬したと
ころ、リン青銅板上への銀の置換析出は全く生じ
なかつた。 次にこの組成の高速銀めつき液を用い、同じ前
処理をしたリン青銅板に100A/dm2の電流密度
で65℃でジエツトめつき法により高速部分めつき
を行つた。得られた銀めつき皮膜は、均一、平滑
で密着性は良好であり、これを350℃で2分間加
熱してもふくれなどの外観変化は生じなかつた。 なお、実施例1〜3において、それぞれ2−チ
オバルビツル酸、2−イミダゾリジンチオン、1
−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオンを含
まない溶液で同様の実験を行うと、いずれも密着
性の悪い銀の置換析出がおこつた。 比較実験結果 1 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K2HPO4 90g/l これをPH8.3に調整し、表1の化合物をそれぞ
れ濃度が100mg/lとなるように添加し、ジエツ
トめつき法で高速部分めつきを行うこととした。
は6員環であり、そして、環の他の構成原子がC
またはNである化合物が特に安定である。 本発明に用いられる (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物と
しては、2−チオバルビツル酸、2−イミダゾリ
ジンチオン、1−フエニル−2−テトラゾリン−
5−チオンまたはこれらの誘導体が拳げられる。
これら環状化合物の添加量は、銀の置換析出を防
止するのに必要かつ十分な量添加すれば良いが、
一般に浴に対し10〜300mg/lの添加量が好適で
ある。 本発明の高速銀めつき液は、銀塩としてシアン
化銀アルカリを含有する。シアン化銀アルカリと
しては、シアン化銀ナトリウムも用い得るが、一
般にシアン化銀カリウムが最良である。また、液
のPH緩衝性と、電気伝導性を付与するためリン
酸、ピロリン酸、クエン酸のアルカリ金属塩を含
有する。また、ホウ酸などのPH緩衝塩をさらに加
えてもよい。 本発明の高速銀めつき液は通常の装置を用い、
通常の高速めつきを行うときの条件で使用され得
る。例えば、銀塩の濃度は、銀として50〜80g/
l、液温は40〜80℃、電流密度は20〜200A/d
m2PHは7.5〜9.0の間で使用され得る。このような
条件で適当な流速で高速めつきを行うと、得られ
る銀めつき皮膜は密着性がよく、均一、平滑で、
硬度も低く、電子部品用の銀めつきとしては最適
のものである。ただ、光沢は低いが、もし、光沢
の高いめつき皮膜を得たい場合は、セレン化合物
を添加すればよい。また使用者の目的に応じてア
ンチモン化合物、EDTA、その他の界面活性剤
など当業者に公知の成分を添加し、めつき皮膜の
性質やめつき条件を改めることを拒むものではな
い。 以上のように、本発明の高速銀めつき液は、
銅、銅合金、鉄、鉄合金、ニツケル、ニツケル合
金などの銀よりも卑な金属基材に対して高速めつ
きを施すときに、銀の置換析出を防止するため、
めつき皮膜の密着性が高められ、銀の損失をなく
すことができる。しかも、銅イオンなどの不純物
によりこの効果が失われず、きわめて液の管理が
容易であり、消耗成分を随時補充し、定期的に活
性炭過を行えば半恒久的な使用が可能である。 以下に本発明の実施例について説明する。 実施例 1 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K2HPO4 90g/l 2−チオバルビツル酸 50mg/l これをPH8.3に調整し、通常の方法でアルカリ
脱脂、酸洗を施したリン青銅板を浸漬したとこ
ろ、リン青銅板上への銀の置換析出は全く生じな
かつた。さらにこの液を用い同じ処理を施したリ
ン青銅板にジエツトめつき法で高速部分めつきを
行つた。電流密度は100A/dm2液温は65℃とし
た。得られた銀めつき皮膜は均一、平滑で硬度も
低いものであつた。密着性は良好であり、これを
350℃で2分間加熱したところ、ふくれなどの外
観変化は生じなかつた。 実施例 2 実施例1の2−チオバルビツル酸のかわりに2
−イミダゾリジンチオンを30mg/l添加し、同様
の実験を行つたところ、ほとんど同じ結果を得
た。 実施例 3 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K4P2O7 70g/l H3BO3 30g/l 1−フエニル−2−テトラゾリン −5−チオン 30mg/l この溶液をPH8.3に調整し、通常の方法でアル
カリ脱脂、酸洗を施したリン青銅板を浸漬したと
ころ、リン青銅板上への銀の置換析出は全く生じ
なかつた。 次にこの組成の高速銀めつき液を用い、同じ前
処理をしたリン青銅板に100A/dm2の電流密度
で65℃でジエツトめつき法により高速部分めつき
を行つた。得られた銀めつき皮膜は、均一、平滑
で密着性は良好であり、これを350℃で2分間加
熱してもふくれなどの外観変化は生じなかつた。 なお、実施例1〜3において、それぞれ2−チ
オバルビツル酸、2−イミダゾリジンチオン、1
−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオンを含
まない溶液で同様の実験を行うと、いずれも密着
性の悪い銀の置換析出がおこつた。 比較実験結果 1 次の組成の高速銀めつき液を作製した。 KAg(CN)2 120g/l K2HPO4 90g/l これをPH8.3に調整し、表1の化合物をそれぞ
れ濃度が100mg/lとなるように添加し、ジエツ
トめつき法で高速部分めつきを行うこととした。
【表】
【表】
置換析出防止効果の欄の印は、次のことを示す。
〇;銀の置換析出が全く生じず、リン青銅板の
色の変化がない。 △;銀の置換析出が部分的におこり、リン青銅
板が部分的に白色化する。 ×;銀の置換析出が全面でおこり、リン青銅板
が完全に白色化する。 表1に示すように、本発明の添加剤である2−
チオバルビツル酸、2−イミダゾリジンチオン、
1−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオンは
沈殿を生じしめなかつた。しかし、比較例として
挙げたもののいくつかは沈殿を生じた。これらの
高速銀めつき液に通常の方法でアルカリ脱脂、酸
洗を施したリン青銅板を30秒間浸漬したところ、
各添加剤による銀の置換析出の防止効果は表1に
示すようになつた。 このような置換析出を生じしめる高速銀めつき
液を用い、前処理をしたリン青銅板に実施例1と
同じ条件で高速銀めつきを行うと、めつき不要部
分に多量の銀が析出したのみならず、得られた銀
めつき皮膜は、外観上むらが大きく、密着性が悪
く、350℃で2分間加熱を行うと変色、ふくれを
生じた。 比較実験結果 2 比較実験結果1と同じ組成の高速銀めつき液を
作製し、リン青銅板を浸漬して銅イオンを溶出さ
せた。この液に次の化合物 Γ チオ乳酸 Γ チオリンゴ酸 Γ 2−チオバルビツル酸 Γ 2−イミダゾリジンチオン Γ 1−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオ
ン を50mg/lずつ添加した。 この溶液を用い、通常の方法でアルカリ脱脂、
酸洗を施したリン青銅板を浸漬すると全て置換析
出は生じなかつた。さらに、これらの銀めつき液
を用い、実施例1と同様の条件で高速度部分めつ
きを行つたところ、いずれも良好な銀めつき皮膜
が得られた。 この銀めつき液をこの後72時間放置した。同じ
様に前処理を施したリン青銅板を浸漬したとこ
ろ、チオ乳酸、チオリンゴ酸を添加した溶液で
は、密着性の悪い銀の置換析出が生じた。さらに
高速度めつきを行うと、得られた銀めつき液皮膜
は密着性が悪く、外観上むらが多いものであつ
た。 一方、本発明の添加剤である2−チオバルビツ
ル酸、2−イミダゾリジンチオン、1−フエニル
−2−テトラゾリン−5−チオンを添加した溶液
では、72時間の放置の後も前処理したリン青銅板
上への銀の置換析出は完全に防止されていた。高
速めつきを行うと、得られた銀めつき皮膜は以前
と変わらず、良好なものであつた。また、240時
間以上の放置の後も同様の結果が得られた。
色の変化がない。 △;銀の置換析出が部分的におこり、リン青銅
板が部分的に白色化する。 ×;銀の置換析出が全面でおこり、リン青銅板
が完全に白色化する。 表1に示すように、本発明の添加剤である2−
チオバルビツル酸、2−イミダゾリジンチオン、
1−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオンは
沈殿を生じしめなかつた。しかし、比較例として
挙げたもののいくつかは沈殿を生じた。これらの
高速銀めつき液に通常の方法でアルカリ脱脂、酸
洗を施したリン青銅板を30秒間浸漬したところ、
各添加剤による銀の置換析出の防止効果は表1に
示すようになつた。 このような置換析出を生じしめる高速銀めつき
液を用い、前処理をしたリン青銅板に実施例1と
同じ条件で高速銀めつきを行うと、めつき不要部
分に多量の銀が析出したのみならず、得られた銀
めつき皮膜は、外観上むらが大きく、密着性が悪
く、350℃で2分間加熱を行うと変色、ふくれを
生じた。 比較実験結果 2 比較実験結果1と同じ組成の高速銀めつき液を
作製し、リン青銅板を浸漬して銅イオンを溶出さ
せた。この液に次の化合物 Γ チオ乳酸 Γ チオリンゴ酸 Γ 2−チオバルビツル酸 Γ 2−イミダゾリジンチオン Γ 1−フエニル−2−テトラゾリン−5−チオ
ン を50mg/lずつ添加した。 この溶液を用い、通常の方法でアルカリ脱脂、
酸洗を施したリン青銅板を浸漬すると全て置換析
出は生じなかつた。さらに、これらの銀めつき液
を用い、実施例1と同様の条件で高速度部分めつ
きを行つたところ、いずれも良好な銀めつき皮膜
が得られた。 この銀めつき液をこの後72時間放置した。同じ
様に前処理を施したリン青銅板を浸漬したとこ
ろ、チオ乳酸、チオリンゴ酸を添加した溶液で
は、密着性の悪い銀の置換析出が生じた。さらに
高速度めつきを行うと、得られた銀めつき液皮膜
は密着性が悪く、外観上むらが多いものであつ
た。 一方、本発明の添加剤である2−チオバルビツ
ル酸、2−イミダゾリジンチオン、1−フエニル
−2−テトラゾリン−5−チオンを添加した溶液
では、72時間の放置の後も前処理したリン青銅板
上への銀の置換析出は完全に防止されていた。高
速めつきを行うと、得られた銀めつき皮膜は以前
と変わらず、良好なものであつた。また、240時
間以上の放置の後も同様の結果が得られた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 銅、銅合金、銅めつき素地または鉄、鉄合
金、ニツケル、ニツケル合金などの銀より卑な金
属のいずれかから成る基材上へ銀を電気めつきす
るための銀めつき液において、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物を
銀の置換析出を防止するに十分な量添加し、浸漬
による該基材上への銀の置換析出を防止すること
を特徴とする高速銀めつき液。 2 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物
は、環が5員環または6員環であり、そして、環
の他の構成原子がCまたはNである特許請求の範
囲第1項に記載の高速銀めつき液。 3 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物
は、2−チオバルビツル酸、2−イミダゾリジン
チオン、1−フエニル−2−テトラゾリン−5−
チオンまたはこれらの誘導体である特許請求の範
囲第2項に記載の高速銀めつき液。 4 高速銀めつき液は、銀塩としてシアン化銀ア
ルカリを含有し、かつ、 (R1,R2は水素またはアルキル基またはアリ
ール基) なるチオウレイレン基を環内に含む環状化合物の
存在下で、浸漬による銀の置換析出が防止できる
ように、フリーのシアン化物の量が十分低くなつ
ている特許請求の範囲第1項に記載の高速銀めつ
き液。 5 高速銀めつき液は、リン酸、ピロリン酸、ク
エン酸のアルカリ金属塩の中から選ばれる塩を電
気伝導性及びPH緩衝性を付与するために含有し、
PHが7.5〜9.0の範囲内に調整された特許請求の範
囲第1項に記載の高速銀めつき液。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10493783A JPS59232288A (ja) | 1983-06-14 | 1983-06-14 | 高速銀めつき液 |
US06/617,215 US4614568A (en) | 1983-06-14 | 1984-06-04 | High-speed silver plating and baths therefor |
KR1019840003181A KR890001106B1 (ko) | 1983-06-14 | 1984-06-07 | 고속 은도금 |
GB08414641A GB2141441B (en) | 1983-06-14 | 1984-06-08 | High-speed silver plating |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10493783A JPS59232288A (ja) | 1983-06-14 | 1983-06-14 | 高速銀めつき液 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59232288A JPS59232288A (ja) | 1984-12-27 |
JPH0124231B2 true JPH0124231B2 (ja) | 1989-05-10 |
Family
ID=14394003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10493783A Granted JPS59232288A (ja) | 1983-06-14 | 1983-06-14 | 高速銀めつき液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59232288A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014112430A1 (ja) * | 2013-01-15 | 2014-07-24 | 三菱瓦斯化学株式会社 | シリコンエッチング液およびエッチング方法並びに微小電気機械素子 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4604167A (en) * | 1984-01-26 | 1986-08-05 | Shinko Electric Industries Co., Ltd. | Silver plating solution and silver plating process and pretreatment solution therefor |
JPS6223996A (ja) * | 1985-07-23 | 1987-01-31 | Nippon Mining Co Ltd | 銀めつき方法 |
JP6230778B2 (ja) * | 2012-05-31 | 2017-11-15 | 日亜化学工業株式会社 | 光半導体装置用電解銀めっき液 |
-
1983
- 1983-06-14 JP JP10493783A patent/JPS59232288A/ja active Granted
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014112430A1 (ja) * | 2013-01-15 | 2014-07-24 | 三菱瓦斯化学株式会社 | シリコンエッチング液およびエッチング方法並びに微小電気機械素子 |
JPWO2014112430A1 (ja) * | 2013-01-15 | 2017-01-19 | 三菱瓦斯化学株式会社 | シリコンエッチング液およびエッチング方法並びに微小電気機械素子 |
US9875904B2 (en) | 2013-01-15 | 2018-01-23 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Silicon etching liquid, silicon etching method, and microelectromechanical element |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59232288A (ja) | 1984-12-27 |
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