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JP7642270B1 - 浮体式原子力発電システム - Google Patents

浮体式原子力発電システム Download PDF

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JP7642270B1
JP7642270B1 JP2024151787A JP2024151787A JP7642270B1 JP 7642270 B1 JP7642270 B1 JP 7642270B1 JP 2024151787 A JP2024151787 A JP 2024151787A JP 2024151787 A JP2024151787 A JP 2024151787A JP 7642270 B1 JP7642270 B1 JP 7642270B1
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Abstract

【課題】本願は、非常用の電源系統をより強固にした浮体式原子力発電システムを開示する。【解決手段】浮体式原子力発電システムであって、原子炉と、原子炉の熱によって発生した蒸気で駆動するタービン発電機と、原子炉とタービン発電機が配置されており、海上に係留される浮体と、少なくとも非常時に原子炉冷却用の所定設備へ給電可能な非常用系統と、非常用系統に繋がらない設備へ給電可能な常用系統と、を有する浮体内電源系統と、を備え、非常用系統には、自然エネルギーによって発電する常用発電設備が接続される。【選択図】図3

Description

本発明は、浮体式原子力発電システムに関する。
原子力発電システムには、外部電源が喪失した際にも原子炉の冷却機能を維持するための非常用電源が備わっている。例えば、特許文献1には、原子力発電所の非常用電源として風力発電装置を用いることが提案されている。
特開2004-44508号公報
原子力発電システムを海上に浮かべる場合、送電のために浮体と陸地の電力系統とを電気的に繋ぐ海底ケーブルを敷設することになる。陸地の電力系統へ繋がるこのような海底ケーブルは、原子力発電システム側から見た場合、外部電源として位置づけられる。よって、このような浮体式原子力発電システムに非常用電源を用意する場合、当該非常用電源は浮体に設けるのが自然である。
また、原子力発電システムの電源系統は、一般的に、安全性に関わる重要設備へ給電する非常用系統と、作動不能に陥っても直ちには安全性に支障のない通常設備へ給電する常用系統とを有しており、外部電源喪失時は基本的に非常用電源が非常用系統へのみ給電を行う。このため、原子力発電システムを浮体式にした場合、浮体の外部の電源は常用電源として位置付けられ、浮体の外部の電源を常用系統ではなく非常用系統へ優先的に給電することは難しい。
そこで、本願は、非常用の電源系統をより強固にした浮体式原子力発電システムを開示する。
上記課題を解決するため、本発明では、非常時に原子炉冷却用の所定設備へ給電可能な非常用系統に対し、自然エネルギーによって発電する常用発電設備を接続することにした。
詳細には、本発明は、浮体式原子力発電システムであって、原子炉と、原子炉の熱によって発生した蒸気で駆動するタービン発電機と、原子炉とタービン発電機が配置されており、海上に係留される浮体と、少なくとも非常時に原子炉冷却用の所定設備へ給電可能な非常用系統と、非常用系統に繋がらない設備へ給電可能な常用系統と、を有する浮体内電源系統と、を備え、非常用系統には、自然エネルギーによって発電する常用発電設備が接続される。
上記の常用発電設備は、自然エネルギーによって発電するため、平常時も外部電源喪失時も発電可能である。このため、このような常用発電設備を非常用系統に繋いでおけば、平常時には浮体式原子力発電システムの自家消費の一部または全部を常用発電設備の電力で賄うことが可能であり、且つ、外部電源喪失時は常用発電設備の電力を非常用系統へ給電することが可能となる。したがって、このような浮体式原子力発電システムであれば、
非常用の電源系統がより強固であると言える。
なお、非常用系統には、浮体又は浮体の周辺に配置される常用発電設備が接続されてもよい。常用発電設備が浮体又は浮体の周辺に配置されていれば、常用発電設備が浮体から遠隔の地に配置されている場合に比べて、外部電源喪失時に常用発電設備から非常用系統へより確実に給電可能である。
また、常用発電設備は、浮体の周辺に配置される洋上風力発電設備であり、非常用系統には、洋上風力発電設備が海底経由の電線により接続されてもよい。非常用系統と洋上風力発電設備が海底経由の電線により接続されていれば、当該電線が浮体に干渉しない。
また、非常時に非常用系統へ給電可能な非常用発電機を更に備え、非常用系統は、平常時には常用発電設備の電力を非常用系統経由で常用系統へ給電可能であり、非常時には、常用系統から遮断されることで、非常用発電機と常用発電設備の電力を所定設備へのみ給電してもよい。これによれば、外部電源喪失時は常用発電設備と非常用発電機が協働して非常用系統へ給電可能となる。したがって、このような浮体式原子力発電システムであれば、非常用の電源系統がより強固であると言える。
上記の浮体式原子力発電システムであれば、非常用の電源系統がより強固である。
図1は、実施形態に係る浮体式原子力発電システムの機器配置を示した概略図である。 図2は、実施形態に係る浮体式原子力発電システムの系統構成を示した概略図である。 図3は、浮体内の電源系統の概略を示した単線結線図である。 図4は、風力発電設備の設置方法の第1例を示した図である。 図5は、風力発電設備の設置方法の第2例を示した図である。 図6は、風力発電設備の設置方法の第3例を示した図である。
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
<機器配置の概要>
図1は、実施形態に係る浮体式原子力発電システム1の機器配置を示した概略図である。図1(A)では、浮体式原子力発電システム1に備わる各種機器類のレイアウトを上方から見た場合について示している。また、図1(B)では、浮体式原子力発電システム1に備わる各種機器類のレイアウトを側方から見た場合について示している。
浮体式原子力発電システム1は、海上に浮かべることが可能な浮体式の発電システムである。このため、浮体式原子力発電システム1は、浮体2を備える。浮体2は、図1(A)を見ると判るように、流線形の浮体となっている。しかし、浮体2は、海上を自律航行することを目的とした船舶ではない。浮体2は、浮体式原子力発電システム1で発電した電力を陸上へ送電するため、海上で係留された状態で浮遊する。そして、浮体2は、潮流に対する抵抗を抑制するため、長手方向における一端のみが係留され、他端が係留されない状態で海上を浮遊する。このため、浮体2は、海上において、吹き流しのように浮遊する。すなわち、浮体2は、潮流を受けると、係留されている部分が自然に潮流の上流側を向く姿勢で海上を浮遊する。
浮体2がこのような流線形の浮体であるため、本実施形態では、便宜上、浮体2の長手方向のうち係留されている部分の方を「船首側」と称し、係留されていない部分の方を「船尾側」と称する。よって、図1においては、紙面左側が「船首側」、紙面右側が「船尾側」となる。また、図1(B)については、浮体2の左舷側から見た場合における浮体式原子力発電システム1の内部構成を示すことになる。
なお、本実施形態では、流線形の浮体2を例示するが、浮体2は、非流線形の浮体であってもよい。浮体式原子力発電システム1に用いる浮体2としては、例えば、上面視円形の円筒状の浮体、上面視方形の直方体状の浮体、その他各種形状の浮体であってもよい。
浮体式原子力発電システム1は、図1に示すように、浮体2の中央部付近に配置される原子炉3と、原子炉3よりも船首側に配置されるタービン発電機4とを備える。原子炉3は、核分裂によって発生する熱で水を沸騰させることにより、蒸気を発生する。タービン発電機4は、蒸気駆動のタービンで発電機を回転させることにより、発電する。なお、本実施形態では、原子炉3の蒸気でタービン発電機4を駆動する沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)の浮体式原子力発電システム1を例示するが、浮体式原子力発
電システム1は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)であ
ってもよいし、その他各種の方式を用いたものであってもよい。
浮体式原子力発電システム1は、上述した浮体2、原子炉3、タービン発電機4の他にも各種の機器類等が備わっている。浮体式原子力発電システム1は、例えば、原子炉3の周辺に原子炉設備エリア5,7、ピット6、燃料プール8を備える。また、浮体式原子力発電システム1は、原子炉3よりも船尾側に配置される淡水化装置9、IC/PCCSプール10、各種設備エリア12、居住エリア13、廃棄物処理室24を備える。また、浮体式原子力発電システム1は、原子炉3とタービン発電機4との間に配置される復水貯蔵タンク14を備える。また、浮体式原子力発電システム1は、浮体2の船首付近に配置されるレイダウンエリア18、付帯設備エリア19を備える。付帯設備エリア19には、主変圧器20と補助ボイラー21が設けられている。また、浮体式原子力発電システム1は、浮体2の船首付近の甲板上に軽油タンク23を備える。また、浮体式原子力発電システム1には、浮体2の姿勢を制御するための船首バラストタンク25、船底バラストタンク26、船尾バラストタンク27、側面バラストタンク28を備える。
原子炉設備エリア5,7には、原子炉3の格納容器外に設置する各種の原子炉設備が配置される。原子炉設備エリア5,7に配置される機器類としては、例えば、非常用炉心冷却系や残留熱除去系といった各種の原子炉冷却設備のポンプ及び弁、燃料プールを冷却するプール水冷却系のポンプ及び弁、制御用圧縮空気設備、換気空調設備、非常用電源となる非常用ディーゼル発電機、蓄電池による直流電源設備、その他の各種設備が配置される。
ピット6は、定期検査や燃料交換の際に各種物品を一時的に配置するためのピットである。ピット6に配置する物品としては、例えば、原子炉3内において核燃料の上方に配置される汽水分離機や蒸気乾燥器などが挙げられる。
燃料プール8は、未使用あるいは使用済の核燃料を保管するためのプールである。原子炉3の核燃料は、燃料集合体の形態となっている。このため、燃料プール8には、燃料集合体同士を適正な間隔で収めるためのラックが設けられている。また、燃料プール8の上部には、燃料集合体を原子炉3と燃料プール8との間で移送するための燃料交換機が設けられている。
淡水化装置9は、海水を淡水化する装置である。浮体式原子力発電システム1は、海上に浮かべた状態で使用されるので、陸上にある施設のように、塩分を殆ど含まない淡水を河川から得ることができない。このため、浮体式原子力発電システム1は、原子炉冷却水やその他各種の水を確保するために、海水から塩分を除去して淡水化するための淡水化装置9を備えている。淡水化装置9の淡水化方式としては、逆浸透膜法や蒸発法といった各種方式が適用可能である。
IC/PCCSプール10には、IC熱交換器及びPCCS熱交換器が配置される。IC熱交換器は、非常用復水器(IC:Isolation Condenser)の設備であり、全交流電源
喪失等が発生して格納容器が隔離状態となった場合に原子炉3を冷却する。PCCS熱交換器は、静的格納容器冷却系(PCCS:Passive Containment Cooling System)の設備であり、過酷事故時等に格納容器内へ放出される水蒸気を冷却する。
各種設備エリア12には、浮体式原子力発電システム1の運転操作を行うための中央制御室、放射線管理区域への入退域を管理するための入退域管理室、その他各種の設備が設けられている。なお、前述した非常用ディーゼル発電機や直流電源設備は、原子炉設備エリア5,7ではなく各種設備エリア12に設けられていてもよい。
居住エリア13には、浮体式原子力発電システム1に滞在する運転員等が居住するための居住設備が配置される。居住設備としては、例えば、寝台などが配置された個室、調理機器などが配置された食堂、入浴設備、娯楽設備、その他各種の設備が挙げられる。
廃棄物処理室24には、放射性廃棄物を処理するための各種設備が配置される。廃棄物処理室24で処理される放射性廃棄物としては、例えば、放射線管理区域で発生する廃液等の液体廃棄物、各種作業に伴って発生する廃材等の雑固体廃棄物が挙げられる。これらの廃棄物は、廃棄物処理室24において蒸発濃縮、圧縮あるいは焼却等により減容されて浮体2内に保管された後、浮体2から搬出される。
復水貯蔵タンク14は、原子炉3へ給水可能な水を貯蔵するタンクである。復水貯蔵タンク14は、タービン発電機4の復水器や緊急用の炉心冷却システムと接続されており、通常運転中における復水器への水補給や緊急時における原子炉3への注水等に利用される。
レイダウンエリア18は、タービン発電機4等の各種大型機器の分解点検を行うための作業スペースである。レイダウンエリア18は、タービン発電機4のオペレーティングフロアと同床のスペースとなっており、オペレーティングフロアの上部に設置されているクレーン設備で大型機器を容易に移送可能となっている。
付帯設備エリア19には、主変圧器20や補助ボイラー21といった各種の付帯設備が配置される。主変圧器20は、タービン発電機4で発電した電気を電力系統の電圧へ昇圧するための変圧器である。また、補助ボイラー21は、軽油を燃焼させて発生した熱で蒸気を発生させるボイラーである。
浮体式原子力発電システム1は、浮体2の船首側に設けられたアンカーチェーン22で海上に係留される。そして、前述したとおり、浮体式原子力発電システム1は、潮流を受けると、係留されている部分が自然に潮流の上流側を向く姿勢で海上を浮遊する。このため、浮体式原子力発電システム1と陸上の電力系統とを接続するための海底ケーブルは、アンカーチェーン22と同様、浮体2の船首付近から海底に向かって垂下される。このため、タービン発電機4で発電した電気を電力系統の電圧へ昇圧するための主変圧器20は、図1に示すように、海底ケーブルに近い浮体2の船首付近に配置されるのが合理的であ
る。
また、補助ボイラー21は、浮体式原子力発電システム1の起動時において、タービン発電機4のグランド用蒸気、タービン周辺の水蒸気設備の加温等に利用される。このため、補助ボイラー21についても、タービン発電機4付近に配置されるのが合理的である。
このため、浮体式原子力発電システム1では、浮体2の船首側に設けられた付帯設備エリア19に主変圧器20と補助ボイラー21を配置する形態を採っている。また、浮体式原子力発電システム1では、補助ボイラー21へ供給する軽油を蓄えるための軽油タンク23を付帯設備エリア19の上側に配置する形態を採っている。なお、付帯設備エリア19には、主変圧器20と補助ボイラー21のみならず、例えば、海底ケーブルと主変圧器20との電気的な接続を開閉するための断路器(LS:Line Switch)といった開閉設備
が設置されていてもよい。
船首バラストタンク25と船底バラストタンク26と船尾バラストタンク27と側面バラストタンク28は、浮体2の姿勢を制御するためのバラスト水を受け入れるためのタンクである。船首バラストタンク25と船底バラストタンク26と船尾バラストタンク27のバラスト水は、浮体式原子力発電システム1の非常時に原子炉3を冷却するための海水として利用することも可能である。船首バラストタンク25と船底バラストタンク26と船尾バラストタンク27への注水は、例えば、浮体2の船底等に設けられた取水口を開くことにより、海水の水圧で自然に行うことが可能である。注水には、必要に応じてポンプ等を併用してもよい。また、船首バラストタンク25と船底バラストタンク26と船尾バラストタンク27からの排水は、ポンプあるいはエゼクターにより行うことが可能である。
本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1の機器配置の概要については、以上のとおりであるが、上述の機器配置は一例であり、その他の機器配置を採用してもよい。次に、浮体式原子力発電システム1の系統構成の概要について説明する。
<系統構成の概要>
図2は、実施形態に係る浮体式原子力発電システム1の系統構成を示した概略図である。浮体式原子力発電システム1は、主に原子炉系Rとタービン系Tで構成されている。前述の原子炉3は、原子炉系Rの主要機器である。また、前述のタービン発電機4は、タービン系Tの主要機器である。
原子炉3を擁する原子炉系Rには、格納容器3A、核燃料3B、制御棒3C、再循環ポンプ3D、圧力容器3E等の各種設備が備わっている。また、タービン発電機4を擁するタービン系Tには、タービン発電機4を構成するタービン4A及び発電機4Bの他に、復水器4C、循環水配管4D、循環水ポンプ4E、給水ポンプ4F等の各種設備が備わっている。
格納容器3Aは、核燃料3B等を収めた圧力容器3Eを格納する容器であり、原子炉3の溶融事故の際などに圧力容器3Eから放出された放射性物質を閉じ込める役割を果たす。格納容器3Aは、コンクリートで構成してもよいし、或いは、浮体2を構成する鋼材で構成してもよい。格納容器3Aは、原子炉3を収めた圧力容器3Eを中心部に内包し、圧力容器3Eの上側に上部ドライウェル3M、圧力容器3Eの下側に下部ドライウェル3Nを形成する。また、格納容器3Aは、下部ドライウェル3Nの周囲にサプレッションプール3Hを有する。
圧力容器3Eは、核燃料3B等を内包する容器であり、原子炉3を冷却するための水や
蒸気を閉じ込める役割を果たす。圧力容器3Eの中心部には、核燃料3Bが燃料集合体の形態で数百体配置されることにより、原子炉3の本体が形成される。原子炉3の本体には、圧力容器3Eの下部に設けられた駆動機構によって上下動可能な制御棒3Cが燃料集合体の隙間に挿入される。制御棒3Cが原子炉3から引き抜かれて原子炉3が臨界状態になると、原子炉3が継続的に発熱する。また、制御棒3Cが原子炉3に挿入されて原子炉3が未臨界状態になると、原子炉3の発熱が徐々に減衰する。
圧力容器3Eには、再循環ポンプ3Dが設けられている。再循環ポンプ3Dは、圧力容器3E内の液相部で原子炉冷却材である水を強制循環させることにより、原子炉3の熱除去及び原子炉出力の制御を担う。なお、本実施形態の浮体式原子力発電システム1では、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)を想定しているため、図2では再循環ポンプ3Dが圧力容器3Eに設けられた形態となっているが、浮体式原子力発電システム1はこれに限定されない。浮体式原子力発電システム1は、例えば、圧力容器3Eの外側に再循環ポンプや循環配管を配置した再循環系統を有するものであってもよい。
圧力容器3Eには、圧力容器3E内で発生した蒸気をタービン系Tのタービン発電機4へ送るための主蒸気管3Lが接続されている。主蒸気管3Lは、格納容器3Aの内外を繋ぐ配管であるため、格納容器3Aを隔離可能にするための主蒸気隔離弁3J,3Kが格納容器3Aの貫通部付近に設けられている。そして、主蒸気隔離弁3J,3Kが閉じている際に圧力容器3Eの内圧が過大になるのを防ぐための逃がし安全弁3Fが主蒸気管3Lの途中に設けられている。逃がし安全弁3Fの下流側にある排気管3Gの端部は、サプレッションプール3H内に配置されている。
タービン発電機4を構成するタービン4A及び発電機4Bは、同一の回転軸で繋がっている。タービン4Aは、ケーシング内に羽根車を収めた構造となっている。そして、タービン4Aの下側には、タービン4Aを通過した蒸気を凝縮させるための復水器4Cが設けられている。復水器4C内には、浮体2外装面の喫水線より下側に設けた取水口と放水口とを繋ぐ循環水配管4Dの経路の一部を形成する細管が多数設けられており、循環水配管4Dの経路上に設けられた循環水ポンプ4Eによって送水される海水の冷熱で蒸気を凝縮するようになっている。このため、主蒸気管3Lを通じて原子炉3から供給される蒸気と復水器4C内との圧力差により、発電機4Bを回転させるための動力が羽根車に加わる。これにより、発電機4Bが回転し、発電する。また、復水器4C内で凝縮した復水は、給水ポンプ4Fによって給水配管4G経由で圧力容器3E内へ再び給水される。
なお、図2では原子炉系Rやタービン系Tの概略を示しているに過ぎず、実際には多種多様な機器が設けられている。例えば、主蒸気管3Lのタービン4A付近には蒸気加減弁やタービンバイパス弁などの重要な機器が設けられている。タービンバイパス弁は、定格出力における主蒸気の全量を、タービン4Aを通らずに復水器4Cへ直接送る100%バイパス可能なものであってもよいし、或いは、それ以下のバイパス能力であってもよい。また、給水配管4Gには給水流量調整弁や復水脱塩装置、給水加熱器などの重要な機器類が設けられている。また、格納容器3Aの内外には、緊急炉心冷却システムの配管などが設けられている。また、タービン4Aは、高圧タービンと複数の低圧タービンが組み合わさっている。
また、図2では各機器が一系統のみ図示されているが、浮体式原子力発電システム1の各機器は多重化されている。例えば、循環水ポンプ4Eや給水ポンプ4Fは複数設けられている。
原子炉系Rでは、原子炉3が所定の原子炉出力を維持するように制御棒3Cの位置調整
が行われる。また、タービン系Tでは、タービン発電機4が所定の回転速度を維持するように蒸気加減弁の開度調整が行われ、原子炉3が所定の水位を保つように給水ポンプ4Fの給水流量が調整される。浮体式原子力発電システム1は、このように構成されていることにより、原子炉3の核反応によって発生する熱エネルギーを、系統周波数に同期する発電機4Bを通じて電気エネルギーとして電力系統へ送電する。
本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1の系統構成の概要については、以上のとおりである。次に、浮体式原子力発電システム1の電源系統について説明する。図3は、浮体2内の電源系統の概略を示した単線結線図である。
浮体式原子力発電システム1内の電源系統は、主に常用系統と非常用系統とに区分されている。非常用系統は、外部電源喪失時に非常用の発電機で給電可能な系統である。このため、非常用系統には、安全性に関わる重要設備が繋がっている。一方、常用系統は、外部電源喪失時に停電する系統である。このため、常用系統には、作動不能に陥っても直ちには安全性に支障のない通常設備が繋がっている。
具体的には、図3に示すように、浮体式原子力発電システム1内の電源系統では、交流6.9kVの母線であるM/C(Metal Clad:メタクラ)のうち、M/C A-1,A-2,B-1,B-2が常用系統に属し、M/C C,D,E,Fが非常用系統に属している。また、交流480Vの母線であるP/C(Power Center:パワーセンタ)のうち、M/C Cの配下に位置するP/C Cなどが非常用系統に属しており、その他のP/Cが上位のM/Cに各々対応する形で常用系統又は非常用系統に属している。
M/C CやP/C Cといった非常用系統に繋がる重要設備としては、図3に示すように、残留熱除去系(RHR)、原子炉補機冷却系(RCW)、制御棒駆動機構(CRD、FMCRD)、原子炉補機冷却海水系(RSW)、換気空調補機非常用冷却水系(HECW)、直流125V用充電器、IA(制御用空気)圧縮機といった各種設備や、その他の設備類が挙げられる。残留熱除去系や原子炉補機冷却系といった設備は、運転中のみならず、停止中の原子炉の冷却能力を維持するためにも不可欠の設備であるため、外部電源喪失を伴う原子炉スクラム直後においても作動が要求される重要な設備である。
一方、M/C A-1といった常用系統に繋がる通常設備としては、図3に示すように、給水ポンプ(FWP)、高圧復水ポンプ(HPCP)、低圧復水ポンプ(LPCP)、タービン補機冷却系(TCW)、再循環ポンプ(RIP)といった各種設備や、その他の設備類が挙げられる。給水ポンプや高圧復水ポンプといった設備は、常に作動可能な状態であることが望ましいものも含まれるが、外部電源喪失を伴う原子炉スクラム直後において必ずしも作動が要求される設備ではない。例えば、主復水器の冷却能力は、非常用炉心冷却システム(ECCS)の冷却能力よりも高いため、循環水ポンプや給水ポンプといった復水関係の設備が作動状態にあることは原子炉冷却能力確保の観点で好ましい。しかしながら、循環水ポンプや給水ポンプといった復水関係の設備は、消費電力が大きいために非常用電源で電力を賄うのは現実的でなく、また、非常用炉心冷却システム(ECCS)でも炉心Cを十分に冷却できるように設計されている。よって、浮体式原子力発電システム1では、これらの設備を常用系統に繋いでおき、外部電源喪失時は非常用系統と常用系統との接続を遮断器で解除することにより、出力に限りのある非常用電源だけでも、外部電源喪失時に非常用系統の電力を賄えるようにしている。
浮体式原子力発電システム1内の電源系統へ給電する経路としては、いくつかのパターンが存在する。第1のパターンとしては、例えば、浮体式原子力発電システム1で発電を行っていない状態におけるパターンであり、海底ケーブルを通じて陸地の電力系統と繋ぐための送電回線(Line1、Line2)を通じて、起動変圧器(A-STr、B-S
Tr)経由で各M/Cへ給電するパターンが挙げられる。図3では、送電回線として275kVのものを例示しているため、起動変圧器は275kVを6.9kVへ降圧することになる。第1のパターンにおいては、Line1とLine2の両方から受電してもよいし、送電回線の保守点検等の事情により何れか一方からのみ受電してもよい。
第2のパターンとしては、例えば、浮体式原子力発電システム1で発電を行っている状態におけるパターンであり、タービン系Tの主発電機MGeから主変圧器MTr経由で送電回線(Line1、Line2)へ送電しつつ、主発電機MGeからの電力の一部を所内変圧器(A-HTr、B-HTr)経由で各M/Cへ給電するパターンが挙げられる。図3では、主発電機MGeとして27kVのものを例示しているため、主変圧器は27kVを275kVへ昇圧し、所内変圧器は27kVを6.9kVへ降圧することになる。なお、本パターンは、タービン発電機4が主蒸気を全量バイパスすることが可能な場合(100%バイパス運転)、送電回線(Line1、Line2)への送電は行わずに、主発電機MGeからの電力の全てを所内変圧器(A-HTr、B-HTr)経由で各M/Cへ給電する場合もある。
第3のパターンとしては、例えば、送電回線(Line1、Line2)側の系統事故等により外部電源が喪失した状態におけるパターンであり、通常の原子力発電所であれば非常用電源であるディーゼル発電機(DG)から非常用系統のM/Cへ直接給電するパターンである。一般的な原子力発電所において非常用系統のM/Cの電圧が低下した場合、図3に例示するM/C Cの場合であれば、M/C Cの電圧が低下するとディーゼル発電機(M/C Cに繋がるDG)が直ちに自動起動し、M/C Cへの給電を開始する。しかし、本実施形態の浮体式原子力発電システム1では、ディーゼル発電機による給電以外に、自然エネルギーによって発電する常用発電設備等による非常用系統への給電が可能となっている。
すなわち、浮体式原子力発電システム1では、図3の「※」に例示するように、ディーゼル発電機(DG)以外に風力発電設備(WTG)及び太陽光発電設備(PV)が各M/C C,D,E,Fに接続されている。また、各M/C C,D,E,Fには、外部電源(EXP)用の接続口が備わっている。外部電源用の接続口は、例えば、浮体式原子力発電システム1が電源喪失に陥った場合に備えるものであり、浮体2に係留した他の船舶から電力の供給を受ける場合に使用される。
風力発電設備(WTG)が発生する交流電力の周波数は、風車の回転速度や変速機の変速比等に応じて異なる。また、太陽光発電設備(PV)が発生する直流電力の電圧や電流は、太陽光パネルに入射する太陽光の光量等に応じて異なる。このため、本実施形態では、M/Cの母線と太陽光発電設備(PV)のコンバータP1及び風力発電設備(WTG)のコンバータP2とを繋ぐ回路の途中に大型の蓄電池設備P3を設け、蓄電池設備P3からインバータP4経由でM/Cの母線へ交流電力を供給する形態を採っている。
風力発電設備及び太陽光発電設備は、自然エネルギーによって発電する設備であるため、非常時のみならず平常時も発電する。そこで、本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1では、風力発電設備及び太陽光発電設備を非常用系統の各M/C C,D,E,Fへ直接接続することで、平常時は浮体式原子力発電システム1の自家消費の一部または全部を風力発電設備及び太陽光発電設備の電力で賄う。また、外部電源喪失により常用系統が停電した場合には、非常用系統の各M/C C,D,E,Fへ接続されている風力発電設備及び太陽光発電設備が、蓄電池設備P3経由で非常用電源として非常用系統のM/Cに電力を供給する。このため、風力発電設備と太陽光発電設備の少なくとも何れかが発電しているか、或いは、蓄電池設備P3に充電残量がある限り、外部電源が喪失していても非常用系統のM/Cへ電力を供給し続けることが可能である。また、風力発電設備と太陽
光発電設備の両方が発電を停止し、更に、蓄電池設備P3の充電残量が失われた場合であっても、非常用系統のM/Cの電圧の低下を検知すると給電を行うディーゼル発電機の電力により、非常用系統のM/Cへの電力の供給を維持し続けることが可能である。
ディーゼル発電機用の燃料(軽油)を貯蔵するタンクの容量には限りがある。このため、外部電源喪失が想定外の長期間に渡って続いた場合、燃料が枯渇する恐れがある。この点、本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1であれば、燃料を必要としない風力発電設備及び太陽光発電設備という自然エネルギーによる発電設備が非常用系統のM/Cに接続されており、更に、蓄電池設備P3が設けられているため、通常の原子力発電所で起こり得るようなディーゼル発電機の燃料の枯渇による非常用系統の停電の可能性を可及的に抑制可能である。また、本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1であれば、平常時に発電する風力発電設備及び太陽光発電設備という常用発電設備が蓄電池設備P3経由で非常用系統のM/Cに接続されているため、外部電源喪失が喪失しても非常用系統のM/Cが一時的に停電することを防ぐことが可能である。また、本実施形態に係る浮体式原子力発電システム1であれば、外部電源喪失の非常時に必要な電力を賄うことが可能なディーゼル発電機に加えて、風力発電設備及び太陽光発電設備という他の発電設備を用いることが可能であるため、外部電源喪失状態においても常用系統の設備を作動させるために必要な余剰電力を確保することも容易である。
更に、本実施形態では、非常用のM/Cの母線と太陽光発電設備(PV)のコンバータP1及び風力発電設備(WTG)のコンバータP2とを繋ぐ回路の途中に大型の蓄電池設備P3を設けているため、平常時(パターン1及びパターン2)においては蓄電池設備P3を満充電状態に保ちつつ、風力発電設備(WTG)と太陽光発電設備(PV)の発電電力を浮体式原子力発電システム1の内外の電気設備へ供給可能である。また、外部電源喪失時(パターン3)においては、ディーゼル発電機(DG)の電力のみならず、蓄電池設備P3の蓄電電力、風力発電設備(WTG)と太陽光発電設備(PV)の発電電力を非常用のM/Cの各負荷へ供給することができる。このため、本実施形態では、蓄電池設備P3の容量を以下のように設定している。
例えば、浮体式原子力発電システム1において冷却材喪失事故(LOCA)が発生し、非常用炉心冷却システム(ECCS)が擁する高圧注水系等の大型ポンプが作動した場合、初期(事故発生から15分間)にこれらの大型ポンプの注水によって消費される電力は、4系統(C,D,E,F)のうちの1系統あたりで約1.5MWh(6MW×0.25h)と見積もられる。そして、初期が経過した後の継続的な炉心冷却における、残留熱除去系や補機冷却系統等の各種非常用負荷によって消費される電力は、仮に事故発生から72時間以内と想定した場合、4系統(C,D,E,F)のうちの1系統あたりで約110MWh(1.5MWh+1505kW×72h)と見積もられる。
このため、本実施形態では、1つの蓄電池設備P3の蓄電容量を118MWhとする。そして、このような蓄電池設備P3を各M/C C,D,E,Fに設けることで、計472MWhの容量の蓄電池設備を浮体2内に擁している。本実施形態では、浮体2内にこのような容量の蓄電池設備を擁することで、外部電源が喪失し且つ非常用ディーゼル発電機や自然エネルギーの電力も得られない場合であっても、約72時間の炉心Cの冷却を可能とする。
なお、このような大容量の蓄電池設備は、例えば、浮体2内においても比較的空きスペースの多いタービン発電機4の下部等へ設置することが好ましい。このような箇所に大容量の蓄電池設備を設置すれば、浮体2内において比較的重量の大きい原子炉3寄りへの重心の偏りをタービン発電機4側へ寄せることで、浮体2の重心の位置をより適切にすることも可能となる。
このような大容量の蓄電池設備としては、例えば、チタン酸リチウム二次電池といった比較的安全性の高い蓄電池設備が好適である。チタン酸リチウム二次電池の場合、船舶用コンテナのサイズに規格化された既製品として、全長7.5m、全幅2.5m、全高3.5mで蓄電容量が約500kWhのものが存在する(重量は約5.5t)。このような既製品で計472MWhの容量を確保するには、当該既製品が計960基必要となる。しかし、例えば、全長120m、全幅70m、全高12mの空間を確保すれば、計960基(全長方向に16基で120m、全幅方向に20基で70m、全高方向に3基(3段)で約12m)を格納することが可能であり、このような空間は、浮体2内においてタービン発電機4の下部へ比較的容易に確保することができる。したがって、浮体2内の空間の空きスペースによっては、更に多くの蓄電容量の蓄電池設備を配置することも可能である。1基あたり約5.5tの蓄電池設備をタービン発電機4の下部に計960基配置した場合、浮体2全体の浮力を多少失わせることができる。この結果、このような蓄電池設備を設けない場合に比べて浮体2が沈み、浮体2の重心が低くなって浮体2の姿勢を安定させることが可能となる。このため、このような蓄電池設備を設けない場合に比べて、浮体2の揺れが抑制され、浮体式原子力発電システム1の各設備の安定的な運用が可能となる。
なお、このような蓄電容量の蓄電池設備を充電することに鑑みた場合、太陽光発電設備(PV)や風力発電設備(WTG)についても、蓄電池設備の蓄電容量に見合う発電能力を有していることが好ましい。例えば、M/C C,D,E,Fの4系統のうちの1系統について、太陽光発電設備(PV)の発電能力が500kW程度、風力発電設備(WTG)の発電能力が5MW程度であれば、蓄電池設備の蓄電容量に見合った発電能力と考えられる。
また、例えば、蓄電池設備P3の電池容量が極めて小さく、外部電源喪失時にディーゼル発電機(DG)を併用した方がよいシステム構成の場合には、外部電源の喪失と同時にディーゼル発電機(DG)を起動し、蓄電池設備P3から給電されている非常用系統の各M/C C,D,E,Fへディーゼル発電機(DG)を並列運転させてもよい。この場合、M/Cの電圧及び周波数が適正な値となるように、蓄電池設備P3のインバータ及びディーゼル発電機の自動電圧調整器(AVR)と調速機(ガバナ)による調整が行われる。
次に、風力発電設備の設置方法について説明する。
<風力発電設備のレイアウトの第1例>
図4は、風力発電設備の設置方法の第1例を示した図である。図4(A)では浮体2を上から見た状態の図が示され、図4(B)では浮体2を横から見た状態の図が示されている。前述したように、浮体2は、海上においてアンカーチェーン22により係留されるため、吹き流しのように浮遊する。このため、浮体2は、アンカーチェーン22によって係留されている船首が自然に潮流の上流側を向く姿勢で海上を浮遊し、図4に示すように、アンカーチェーン22による係留部分を中心に旋回する。そこで、本第1例においては、風力発電設備101の旋回範囲よりも外側に風力発電設備101を設置する。図4において、風力発電設備101は、海底にケーブルで係留された浮体式の洋上風力発電設備が例示されているが、風力発電設備101は着床式の洋上風力発電設備であってもよい。
風力発電設備101をこのような方法で設置すれば、浮体2の周囲に風力発電設備101を容易に設置可能である。また、アンカーチェーン22により係留される浮体2が風力発電設備101へ接触することもない。
本第1例の場合、非常用系統のM/Cと風力発電設備101とを繋ぐ電線は、一端側が風力発電設備101を係留するケーブルと共に風力発電設備101から海底へ垂下され、
他端側が浮体2を係留するアンカーチェーン22と共に浮体2から海底へ垂下された状態となる。このため、浮体2と風力発電設備101とを繋ぐ電線が浮体2の旋回により浮体2と干渉することもない。
<風力発電設備のレイアウトの第2例>
図5は、風力発電設備の設置方法の第2例を示した図である。図5(A)では浮体2を上から見た状態の図が示され、図5(B)では浮体2を横から見た状態の図が示されている。本第2例においては、浮体2の船尾側に風力発電設備101を繋いでいる。図5では、浮体2の船尾側に風力発電設備101を2基直列に繋いでいるが、風力発電設備101の基数は1基でもよいし3基以上でもよい。本第2例において、風力発電設備101は、浮体式に限られ、且つ、海底に係留されないことが前提となる。
浮体2は、アンカーチェーン22による係留部分を中心に旋回する。しかし、旋回は潮流を受けて行われるため、浮体式であり且つ海底に係留されない風力発電設備101を浮体2の船尾側に繋げば、風力発電設備101は自ずと浮体2の下流側に位置する。故に、風力発電設備101が浮体2の旋回を阻害することがない。
風力発電設備101をこのような方法で設置すれば、浮体2の周囲に風力発電設備101を容易に設置可能である。また、アンカーチェーン22により係留される浮体2が風力発電設備101へ接触することもない。更に、アンカーチェーン22による浮体2の係留を解除し、浮体2をタグボートなどで牽引すれば、風力発電設備101を浮体2と共に海上輸送可能である。
本第1例の場合、非常用系統のM/Cと風力発電設備101とを繋ぐ電線は、海底を経由せずに浮体2と風力発電設備101との間で直接架け渡される。浮体2が旋回すれば風力発電設備101も同じように動くため、浮体2と風力発電設備101とを繋ぐ電線が浮体2や風力発電設備101に干渉することもない。
<風力発電設備のレイアウトの第3例>
図6は、風力発電設備の設置方法の第3例を示した図である。図6(A)では浮体2を上から見た状態の図が示され、図6(B)では浮体2を横から見た状態の図が示されている。本第3例においては、風力発電設備101を浮体2に搭載している。図6では、浮体2に風力発電設備101を2基搭載しているが、風力発電設備101の基数は1基でもよいし3基以上でもよい。
風力発電設備101をこのような方法で設置すれば、非常用系統のM/Cと風力発電設備101とを容易に接続できる。また、浮体2の周囲に風力発電設備101用の浮体などを設置する必要が無い。よって、浮体2の動きに風力発電設備101が何ら影響しない。
<発電設備のレイアウトに関するその他の例>
風力発電設備の設置方法は上記の3つの例に限定されない。風力発電設備は、例えば、上記の3つの例を適宜組み合わせた形態で設置してもよい。また、太陽光発電設備についても、風力発電設備のレイアウトの第1例や第2例のように海上へ設置してもよいが、風力発電設備のレイアウトの第3例のように浮体2の上面(甲板)に設置するのが合理的である。
R・・原子炉系:T・・タービン系:F・・浮上用浮体:C・・炉心:1・・浮体式原子力発電システム:2・・浮体:3・・原子炉:4・・タービン発電機:5・・原子炉設備エリア:6・・ピット:7・・原子炉設備エリア:8・・燃料プール:9・・淡水化装置
:10・・IC/PCCSプール:12・・各種設備エリア:13・・居住エリア:14・・復水貯蔵タンク:18・・レイダウンエリア:19・・付帯設備エリア:20・・主変圧器:21・・補助ボイラー:22・・アンカーチェーン:23・・軽油タンク:24・・廃棄物処理室:25・・船首バラストタンク:26・・船底バラストタンク:27・・船尾バラストタンク:28・・側面バラストタンク:3A・・格納容器:3B・・核燃料:3C・・制御棒:3D・・再循環ポンプ:3E・・圧力容器:3F・・逃がし安全弁:3G・・排気管:3H・・サプレッションプール:3J・・主蒸気隔離弁:3K・・主蒸気隔離弁:3L・・主蒸気管:3M・・上部ドライウェル:3N・・下部ドライウェル:4A・・タービン:4B・・発電機:4C・・復水器:4D・・循環水配管:4E・・循環水ポンプ:4F・・給水ポンプ:4G・・給水配管:101・・風力発電設備:102・・太陽光発電設備:P1,P2・・コンバータ:P3・・蓄電池設備:P4・・インバータ

Claims (4)

  1. 原子炉と、
    前記原子炉の熱によって発生した蒸気で駆動するタービン発電機と、
    前記原子炉と前記タービン発電機が配置されており、海上に係留される浮体と、
    少なくとも非常時に原子炉冷却用の所定設備へ給電可能な非常用系統と、前記非常用系統に繋がらない設備へ給電可能な常用系統と、を有する浮体内電源系統と、を備え、
    前記非常用系統には、自然エネルギーによって発電する常用発電設備が接続される、
    浮体式原子力発電システム。
  2. 前記非常用系統には、前記浮体又は前記浮体の周辺に配置される前記常用発電設備が接続される、
    請求項1に記載の浮体式原子力発電システム。
  3. 前記常用発電設備は、前記浮体の周辺に配置される洋上風力発電設備であり、
    前記非常用系統には、前記洋上風力発電設備が海底経由の電線により接続される、
    請求項2に記載の浮体式原子力発電システム。
  4. 非常時に前記非常用系統へ給電可能な非常用発電機を更に備え、
    前記非常用系統は、
    平常時には前記常用発電設備の電力を前記非常用系統経由で前記常用系統へ給電可能であり、
    非常時には、前記常用系統から遮断されることで、前記非常用発電機と前記常用発電設備の電力を前記所定設備へのみ給電する、
    請求項1に記載の浮体式原子力発電システム。
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Small Modular Reactors for Marine-based Nuclear Power Plant,A supplement to : IAEA Advanced Reactors Information System (ARIS),オーストリア,IAEA,2023年11月

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