以下、本開示の好適な実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
図1に、3次元積層電子デバイス製造装置10を示す。3次元積層電子デバイス製造装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、装着ユニット26と、加熱部214と、撮影部218と、制御装置(図2参照)27を備えている。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と装着ユニット26と加熱部214と撮影部218とは、3次元積層電子デバイス製造装置10のベース28の上に配置されている。ベース28は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース28の長手方向をX軸方向、ベース28の短手方向をY軸方向と称して説明する。
また、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向を、Z軸方向(図6,図12参照)と称して説明する。なお、Z軸方向は、ベース28の上下方向であって、水平面に対して垂直の方向である。さらに、Z軸方向は、3次元積層電子デバイス222(図4の(i)参照)の上下方向、つまり、3次元積層電子デバイス222の高さ方向である。
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース28の上に配設されている。Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのため、Y軸スライドレール50は、X軸方向に移動可能とされている。そして、そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース28上の任意の位置に移動する。
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基材(不図示)が載せられる。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基材のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基材が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60をZ軸方向で昇降させる。
なお、基材には、熱または溶剤で溶けるワックス系の材料(例えば、ろう材)で作られたものが使用される。しかしながら、基材は、これに限られるものでなく、例えば、剥離性のある下地の素材(例えば、接着力の弱い両面テープ、フィルム材等)で作られたものであってもよい。但し、そのような両面テープが基材として使用される場合には、基材は、その接着力によって基台60に固定的に保持されるため、保持装置62は不要となる。
第1造形ユニット22は、ステージ52の基台60に載置された基材の上に回路配線層を造形するユニットであり、第1印刷部72と、焼成部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(図2参照)76を有しており、基台60に載置された基材の上に、金属インクを線状に吐出する。金属インクは、金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
焼成部74は、レーザ照射装置(図2参照)78を有している。レーザ照射装置78は、基材の上に吐出された金属インクにレーザを照射する装置であり、レーザが照射された金属インクは焼成し、回路配線層が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子保護膜の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の回路配線層が形成される。
また、第2造形ユニット24は、ステージ52の基台60に載せられた基材の上に絶縁層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(図2参照)88を有しており、基台60に載せられた基材の上に紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂である。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子の変形によって樹脂を複数のノズルから吐出するピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
硬化部86は、平坦化装置(図2参照)90と照射装置(図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって基材の上に吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、基材の上に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基材の上に吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、絶縁層が形成される。
また、装着ユニット26は、ステージ52の基台60に載せられた基材の上に電子部品(図4参照)250を装着するユニットであり、供給部100と、装着部102とを有している。供給部100は、テーピング化された電子部品250を1つずつ送り出すテープフィーダ(図2参照)110を複数有しており、供給位置において、電子部品250を供給する。なお、供給部100は、テープフィーダ110に限らず、トレイから電子部品250をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。また、供給部100は、テープ型とトレイ型との両方、あるいはそれ以外の供給装置を備えた構成でもよい。
装着部102は、装着ヘッド(図2参照)112と、移動装置(図2参照)114とを有している。装着ヘッド112は、電子部品250を吸着保持するための吸着ノズル(図示省略)を有している。吸着ノズルは、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品250を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品250を離脱する。また、移動装置114は、テープフィーダ110による電子部品250の供給位置と、基台60に載せられた基材との間で、装着ヘッド112を移動させる。これにより、装着部102では、テープフィーダ110から供給された電子部品250が、吸着ノズルにより保持され、その吸着ノズルによって保持された電子部品250が、基材の上に装着される。
転写ユニット200は、ステージ52の基台60に載置された基材の上に、第1導電性接着剤と、第2導電性接着剤を転写するユニットである。第1導電性接着剤と第2導電性接着剤は、加熱により硬化する導電性ペーストである。但し、第1導電性接着剤は、その加熱に先立って、紫外線で硬化される。その紫外線の照射は、上記照射装置92で行われる。
さらに、転写ユニット200は、供給部202と、転写部204とを有している。供給部202は、第1接着剤供給装置206(図3参照)と、第2接着剤供給装置208(図3参照)とを有している。第1接着剤供給装置206は、第1導電性接着剤が吐出されたディップ皿(図示省略)を有し、そのディップ皿において、スキージ(図示省略)で押し広げられることによって厚みが均一にされた状態の第1導電性接着剤を供給する。同様にして、第2接着剤供給装置208は、第2導電性接着剤が吐出されたディップ皿(図示省略)を有し、そのディップ皿において、スキージ(図示省略)で押し広げられることによって厚みが均一にされた状態の第2導電性接着剤を供給する。
転写部204は、転写ヘッド210(図3参照)と、移動装置(図3参照)212とを有している。転写ヘッド210は、第1導電性接着剤または第2導電性接着剤を転写するための転写針(図示省略)を複数有している。転写針は、第1接着剤供給装置206または第2接着剤供給装置208の各ディップ皿において、第1導電性接着剤または第2導電性接着剤にディップされる。これにより、転写針の先端には、第1導電性接着剤または第2導電性接着剤が付着する。なお、転写ヘッド210は、複数の転写針を、第1導電性接着剤を付着させるものと、第2導電性接着剤を付着させるものとに分けて使用する。また、移動装置212は、第1接着剤供給装置206または第2接着剤供給装置208の各ディップ皿と、基台60に載置された基材との間で、転写ヘッド210を移動させる。これにより、転写部204では、転写針の先端に付着された第1導電性接着剤または第2導電性接着剤が、基材の上に転写される。
加熱部214は、照射装置(図3参照)216を有している。照射装置216は、赤外線ランプまたは赤外線ヒータを備えており、基材の上に赤外線を照射する。これにより、基材の上に転写された第1導電性接着剤または第2導電性接着剤が、加熱により硬化する。なお、加熱部214は、照射装置216に代えて、電気炉を備えてもよい。
撮影部218は、カメラ220(図3参照)を有している。カメラ220は、ステージ52が撮影部218の下方に移動した際において、基台60に載せられた基材の真上に位置するように設けられている。これにより、カメラ220は、基材を、その上方から撮影することが可能である。
また、制御装置27は、図2及び図3に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122とを備えている。複数の駆動回路122は、図2に示すように、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、レーザ照射装置78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92、テープフィーダ110、装着ヘッド112、移動装置114に接続されている。さらに、複数の駆動回路122は、図3に示すように、上記第1接着剤供給装置206、第2接着剤供給装置208、転写ヘッド210、移動装置212、照射装置216、カメラ220に接続されている。コントローラ120は、CPU125、ROM126、RAM127、EEPROM128等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、装着ユニット26、転写ユニット200、加熱部214、撮影部218の作動が、コントローラ120によって制御される。なお、EEPROM128には、3次元積層電子デバイス製造装置10向けの製造プロセスデータ129(以下、プロセスデータ129という。)が記憶されている。
また、コントローラ120は、画像処理装置130を備えている。画像処理装置130は、カメラ220によって得られた撮像データを処理するものである。これにより、コントローラ120は、撮像データから各種情報を取得する。さらに、コントローラ120は、画像処理装置130によって、3次元CG(コンピュータグラフィックス)を行うことが可能である。
さらに、制御装置27は、図2に示すように、通信回路124を備えている。通信回路124は、コントローラ120とPC(Personal Computer)134とに接続されている。PC134は、ディスプレイ134等を備えている。これにより、コントローラ120は、例えば、PC134のディスプレイ134の作動を制御し、あるいは、PC134から各種情報を取得することが可能である。
図4に、3次元積層電子デバイス製造装置10で行われる3次元積層電子デバイス222の製造方法を示す。3次元積層電子デバイス222の製造方法では、フルアディティブ法による3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが、3次元情報に基づいて行われる。これにより、(i)のプロセス完了後には、3次元積層電子デバイス222が製造される。3次元情報は、3次元積層電子デバイス222の3次元CADデータを利用して作成された上記プロセスデータ129であって、例えば、PC134から3次元積層電子デバイス製造装置10の制御装置27に送信されることによって、コントローラ120のEEPROM128に記憶されている。
(a)の絶縁層形成プロセスでは、基材の上に、1層目の絶縁層228が形成される。そのためには、ステージ52が第2造形ユニット24の下方に移動される。これにより、ステージ52の基台60に対してセットされている基材は、第2造形ユニット24の下方に移動される。さらに、第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、基材の上面に対して紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、硬化部86において、平坦化装置90が、その吐出された紫外線硬化樹脂を、その膜厚が均一となるように平坦化する。その後、照射装置92が、その平坦化された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化樹脂が硬化する。以後、上述した第2造形ユニット24における工程(つまり、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程)が繰り返されることによって、基材の上では、1層目の絶縁層228が形成される。
但し、第2造形ユニット24における工程では、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程が繰り返される際において、インクジェットヘッド88が、基材の上面に対して、所定の部分が概して円形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。これにより、1層目の絶縁層228では、2つの貫通孔230がZ軸方向に沿って形成される。なお、各貫通孔230は、1層目の絶縁層228の上面から下面に向かうに連れて少しずつ広がる形状である。
(b)の回路配線層形成のプロセスでは、1層目の絶縁層228の上に、1層目の回路配線層232が形成され、硬化される。そのためには、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。さらに、第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、1層目の絶縁層228の上面に対して、金属インクを配線回路パターンに応じて線状に吐出する。これにより、1層目の絶縁層228の上面では、1層目の回路配線層232が2つ形成される。その後、焼成部74において、レーザ照射装置78が、その線状に吐出された金属インクにレーザを照射する。これにより、金属インクが硬化する。このようにして、1層目の絶縁層228の上面では、1層目の各回路配線層232が硬化される。
(c)のビア形成のプロセスでは、ステージ52が転写ユニット200の下方に移動される。転写ユニット200では、第1接着剤供給装置206において供給された第1導電性接着剤が、転写ヘッド210の転写針の先端に付着される。その付着された第1導電性接着剤は、転写ヘッド210が移動装置212で移動するに伴って、1層目の絶縁層228の各貫通孔230に充填される。これにより、1層目の絶縁層228では、第1導電性接着が各貫通孔230に転写される。その後、ステージ52が第2造形ユニット24の硬化部86に移動される。硬化部86では、照射装置92が、その転写された第1導電性接着剤に紫外線を照射する。これにより、1層目の絶縁層228では、各貫通孔230内の第1導電性接着剤が硬化することによって、1層目の各ビア234が、1層目の各回路配線層232に電気的に接続された構造で形成される。
(d)の絶縁層形成のプロセスでは、1層目の絶縁層228の上に、2層目の絶縁層236が形成される。そのためには、上記(a)の絶縁層形成と同様なプロセスが行われる。その際、2層目の絶縁層236では、2つの貫通孔238がZ軸方向に沿って形成される。各貫通孔238では、1層目の絶縁層228の一部と1層目の各回路配線層232の一部とが露出している。なお、各貫通孔238は、2層目の絶縁層236の上面から下面に向かうに連れて少しずつ広がる形状である。
(e)の回路配線層形成のプロセスでは、2層目の絶縁層236の上に、2層目の回路配線層240が2つ形成され、硬化される。そのためには、上記(b)の回路配線層形成と同様なプロセスが行われる。
(f)のビア形成のプロセスでは、上記(c)のビア形成と同様なプロセスが行われる。これにより、2層目の絶縁層236では、各貫通孔238内の第1導電性接着剤が硬化することによって、2層目の各ビア242が、1層目の各回路配線層232と2層目の各回路配線層240とに電気的に接続された構造で形成される。
(g)のキャビティ層形成のプロセスでは、2層目の絶縁層236の上に、3層目の絶縁層244が形成される。そのためには、上記(a)の絶縁層形成と同様なプロセスが行われる。但し、第2造形ユニット24における工程では、第2印刷部84の工程と硬化部86の工程が繰り返される際において、インクジェットヘッド88が、2層目の絶縁層236の上面に対して、所定の部分が概して矩形に露出するように、紫外線硬化樹脂を吐出する。これにより、3層目の絶縁層244では、キャビティ246が形成される。さらに、3層目の絶縁層244は、キャビティ246によって、2つに分離される。なお、キャビティ246内では、2層目の各回路配線層240の一部が露出している。
(h)の接続バンプ形成のプロセスでは、ステージ52が転写ユニット200の下方に移動される。転写ユニット200では、第2接着剤供給装置208において供給された第2導電性接着剤が、転写ヘッド210の転写針の先端に付着される。その付着された第2導電性接着剤は、転写ヘッド210が移動装置212で移動するに伴って、キャビティ246内で一部が露出している2層目の各回路配線層240の上面に転写される。これにより、キャビティ246内では、各バンプ248が、2層目の各回路配線層240に電気的に接続された構造で形成される。
(i)部品実装のプロセスでは、ステージ52が装着ユニット26の下方に移動される。装着ユニット26では、テープフィーダ110により供給された電子部品250が、装着ヘッド112の吸着ノズルに保持される。その保持された電子部品250は、装着ヘッド112が移動装置114で移動するに伴って、キャビティ246内に装着される。その際、電子部品250の各電極(図示省略)は、下方を向き、2層目の回路配線層240にバンプ248を介して接続される。なお、キャビティ246内では、2つの電子部品250が装着される。
その後、ステージ52が加熱部214の下方に移動される。加熱部214では、照射装置216が、基材の上に赤外線を照射する。これにより、第1導電性接着剤(1,2層目の各ビア234,242)に加えて、第2導電性接着剤(各バンプ248)が硬化し、電子部品250が固定される。このようにして、3次元積層電子デバイス222が製造される。
3次元積層電子デバイス製造装置10では、例えば、図5のフローチャートで示す表示方法12を実現するための処理プログラムが、コントローラ120のROM126に記憶されており、コントローラ120のCPU125によって実行される。これにより、3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258(図10参照)が、上記図4に示す3次元積層造形で製造された3次元積層電子デバイス222に基づいて生成され、PC132のディスプレイ134に表示される。以下、表示方法12のフローチャートを説明する。
先ず、製造処理S10及び撮像処理S12が、3次元積層電子デバイス222の製造が終了するまで(S14:NO)、繰り返し行われる。その際、製造処理S10が繰り返される度に、3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが、順次行われる。さらに、撮像処理S12が繰り返される度に、つまり、3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが完了する度に、ステージ52が、撮影部218の下方に移動され、カメラ220によって撮影される。例えば、(a)の絶縁層形成のプロセスが完了した場合、図6に示すように、撮影部218では、各貫通孔230を備えた1層目の絶縁層228が、その上方からカメラ220で撮影され、画像I(a)が取得される。
従って、3次元積層電子デバイス222の製造が終了したときは(S14:YES)、図7に示すように、複数の画像I(a)~I(i)が取得される。各画像I(a)~I(i)には、3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが完了した時の3次元積層電子デバイス222(以下、プロセス完了体という。)が、その上方から映し出されている。
従って、画像I(a)には、(a)の絶縁層形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(a)として、各貫通孔230を備えた1層目の絶縁層228が、映し出されている。画像I(b)には、(b)の回路配線層形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(b)として、1層目の絶縁層228と、その1層目の絶縁層228に形成された1層目の各回路配線層232とが、映し出されている。
画像I(c)には、(c)のビア形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(c)のうち、1層目の絶縁層228及び1層目の各回路配線層232と、その1層目の絶縁層228に形成された1層目の各ビア234とが、映し出されている。画像I(d)には、(d)の絶縁層形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(d)のうち、1層目の絶縁層228及び1層目の各回路配線層232と、各貫通孔238を備えた2層目の絶縁層236とが、映し出されている。なお、画像I(d)において、1層目の絶縁層228及び1層目の各回路配線層232は、各貫通孔238内に映し出されている。
画像I(e)には、(e)の回路配線層形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(e)のうち、1層目の絶縁層228及び2層目の絶縁層236と、その2層目の絶縁層236に形成された2層目の各回路配線層240とが、映し出されている。なお、画像I(e)において、1層目の絶縁層228は、各貫通孔238内に映し出されている。画像I(f)には、(f)のビア形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(f)のうち、2層目の絶縁層236及び2層目の各回路配線層240と、その2層目の絶縁層236に形成された2層目の各ビア242とが、映し出されている。
画像I(g)には、(g)のキャビティ層形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(g)のうち、2層目の絶縁層236及び2層目の各回路配線層240と、その2層目の絶縁層236に形成された3層目の各絶縁層244と、その3層目の各絶縁層244の間に形成されたキャビティ246とが、映し出されている。画像I(h)には、(h)の接続バンプ形成のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(h)のうち、2層目の絶縁層236、2層目の各回路配線層240、3層目の各絶縁層244、及びキャビティ246と、その2層目の各回路配線層240に形成された各バンプ248とが、映し出されている。
画像I(i)には、(i)の部品実装のプロセスが完了した時のプロセス完了体252(i)のうち、2層目の絶縁層236、2層目の各回路配線層240、3層目の各絶縁層244、及びキャビティ246と、そのキャビティ246内に装着された各電子部品250とが、映し出されている。なお、上記図4は、各プロセス完了体252(a)~252(i)を示す斜視図でもある。また、以下の説明において、各画像I(a)~I(i)を区別せずに総称する場合は画像Iと表記し、各プロセス完了体252(a)~252(i)を区別せずに総称する場合はプロセス完了体252と表記する。
このようにして、上記図5の撮像処理S12では、3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが完了する度に、プロセス完了時の3次元積層電子デバイス222がプロセス完了体252としてカメラ220で撮影されることによって、プロセス完了体252の画像Iが取得される。その後、3次元積層電子デバイス222の製造が終了すると(S14:YES)、切取処理S16が行われる。
切取処理S16では、3次元積層造形の(a)~(i)のプロセス毎の造形部分が、画像処理装置130によって、各画像I(a)~I(i)から抽出される。その抽出は、プロセスデータ129に含まれている各造形部分に関するデータに基づいて行われる。図8に示すように、画像I(a)では、(a)の絶縁層形成のプロセスの造形部分254(a)として、1層目の絶縁層228を示す画像領域が抽出される。画像I(b)では、(b)の回路配線層形成のプロセスの造形部分254(b)として、1層目の各回路配線層232を示す画像領域が抽出される。画像I(c)では、(c)のビア形成のプロセスの造形部分254(c)として、1層目の各ビア234を示す画像領域が抽出される。
画像I(d)では、(d)の絶縁層形成のプロセスの造形部分254(d)として、2層目の絶縁層236を示す画像領域が抽出される。画像I(e)では、(e)の回路配線層形成のプロセスの造形部分254(e)として、2層目の各回路配線層240を示す画像領域が抽出される。画像I(f)では、(f)のビア形成のプロセスの造形部分254(f)として、2層目の各ビア242を示す画像領域が抽出される。
画像I(g)では、(g)のキャビティ層形成のプロセスの造形部分254(g)として、3層目の各絶縁層244を示す画像領域が抽出される。画像I(h)では、(h)の接続バンプ形成のプロセスの造形部分254(h)として、各バンプ248を示す画像領域が抽出される。画像I(i)では、(i)の部品実装のプロセスの造形部分254(i)として、各電子部品250を示す画像領域が抽出される。なお、以下の説明において、各造形部分254(a)~254(i)を区別せずに総称する場合は造形部分254と表記する。
このようにして、上記図5の切取処理S16では、プロセスデータ129に含まれている造形部分254に関するデータに基づいて、画像Iから造形部分254の画像領域が抽出される。その後は、押出処理S18が行われる。
押出処理S18では、造形部分254の画像領域が、3次元積層電子デバイス222の高さ方向のうち、3次元積層電子デバイス222の下方に相当する方向へ押し出されることによって、造形部分254の3Dモデルが生成される。その押し出しは、画像処理装置130が、プロセスデータ129に含まれている造形部分254に関するデータに基づいて行う。これにより、図9に示すように、各3Dモデル256(a)~256(i)が生成される。
3Dモデル256(a)は、(a)の絶縁層形成のプロセスの造形部分254(a)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(a)に関するデータに基づいて、1層目の絶縁層228を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(a)は、1層目の絶縁層228の3Dモデルである。
3Dモデル256(b)は、(b)の回路配線層形成のプロセスの造形部分254(b)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(b)に関するデータに基づいて、1層目の各回路配線層232を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(b)は、1層目の各回路配線層232の3Dモデルである。
3Dモデル256(c)は、(c)のビア形成のプロセスの造形部分254(c)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(c)に関するデータに基づいて、1層目の各ビア234を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(c)は、1層目の各ビア234の3Dモデルである。但し、この場合、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(c)に関するデータには、1層目の絶縁層228に形成される各貫通孔230に関するデータが使用される。従って、3Dモデル256(c)が生成される際において、1層目の各ビア234を示す画像領域は、3次元積層電子デバイス222の下方に相当する方向へ進むに連れて少しずつ広がるように押し出される。
3Dモデル256(d)は、(d)の絶縁層形成のプロセスの造形部分254(d)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(d)に関するデータに基づいて、2層目の絶縁層236を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(d)は、2層目の絶縁層236の3Dモデルである。
3Dモデル256(e)は、(e)の回路配線層形成のプロセスの造形部分254(e)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(e)に関するデータに基づいて、2層目の各回路配線層240を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(e)は、2層目の各回路配線層240の3Dモデルである。
3Dモデル256(f)は、(f)のビア形成のプロセスの造形部分254(f)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(f)に関するデータに基づいて、2層目の各ビア242を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(f)は、2層目の各ビア242の3Dモデルである。但し、この場合、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(f)に関するデータには、2層目の絶縁層236に形成される各貫通孔238に関するデータが使用される。従って、3Dモデル256(f)が生成される際において、2層目の各ビア242を示す画像領域は、3次元積層電子デバイス222の下方に相当する方向へ進むに連れて少しずつ広がるように押し出される。
3Dモデル256(g)は、(g)のキャビティ層形成のプロセスの造形部分254(g)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(g)に関するデータに基づいて、3層目の各絶縁層244を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(g)は、3層目の各絶縁層244の3Dモデルである。
3Dモデル256(h)は、(h)の接続バンプ形成のプロセスの造形部分254(h)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(h)に関するデータに基づいて、各バンプ248を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(h)は、各バンプ248の3Dモデルである。
3Dモデル256(i)は、(i)の部品実装のプロセスの造形部分254(i)の3Dモデルであって、プロセスデータ129に含まれている造形部分254(i)に関するデータに基づいて、各電子部品250を示す画像領域が押し出されることによって生成される。つまり、3Dモデル256(i)は、各電子部品250の3Dモデルである。なお、以下の説明において、各3Dモデル256(a)~256(i)を区別せずに総称する場合は3Dモデル256と表記する。
このようにして、上記図5の押出処理S18では、プロセスデータ129に含まれている造形部分254に関するデータに基づいて、造形部分254の画像領域が、3次元積層電子デバイス222の下方に相当する方向へ押し出されることによって、造形部分254の3Dモデル256が生成される。その後は、判定処理S20が行われる。
判定処理S20では、3次元積層造形の造形異常が判定される。その判定では、画像処理装置130によって、造形部分254の3Dモデル256を示すデータが、基準データと比較照合される。基準データは、各3Dモデル256(a)~256(i)毎に用意され、ROM126又はEEPROM128に予め記憶されている。比較照合の結果、造形部分254の3Dモデル256を示すデータと基準データとの間の一致度が、一定基準未満である場合には3次元積層造形が異常であると判定され、一定基準以上である場合には3次元積層造形が正常であると判定される。
ここで、3次元積層造形が異常である場合(S20:YES)、異常処理S22が行われる。異常処理S22では、3次元積層造形が異常である旨が、例えば、PC132のディスプレイ134に表示されることによって報知される。なお、この場合、報知音が、PC132から出力されてもよい。その後、表示方法12は終了するが、後述する配置処理S24が引き続き行われてもよい。
これに対して、3次元積層造形が正常である場合(S20:NO)、配置処理S24が行われる。配置処理S24では、造形部分254の3Dモデル256が組み合わされることによって、3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258が生成される。その組み合わせは、画像処理装置130が、プロセスデータ129に含まれている各造形部分254(a)~254(i)の高さ方向に関するデータ等に基づいて、各3Dモデル256(a)~256(i)を配置することによって行う。
ビューア処理S26では、3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258が、3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258の回転表示もしくは断面表示、または造形部分254の3Dモデル256の移動表示もしくは回転表示が少なくとも可能なビューアで、PC132のディスプレイ134に表示される。なお、そのようなビューアのアプリケーションソフトウエアは、コントローラ120のROM126に記憶されており、コントローラ120のCPU125によって実行される。さらに、その表示では、例えば、図10に示すように、3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258が透けた状態にあり、3次元積層電子デバイス222の外部から視認が不可能な1層目の絶縁層228、1層目の各回路配線層232、1層目の各ビア234、2層目の絶縁層236、2層目の各回路配線層240、2層目の各ビア242、各バンプ248のそれぞれの上面が映し出される。その後、表示方法12は終了する。
また、3次元積層電子デバイス製造装置10では、上記図5のフローチャートで示す表示方法12を実現するための処理プログラムに代えて、図11のフローチャートで示す表示方法12を実現するための処理プログラムが、コントローラ120のROM126に記憶され、コントローラ120のCPU125によって実行されてもよい。以下、そのような場合の表示方法12のフローチャートを説明する。但し、以下の説明では、上記図5のフローチャートと図11のフローチャートとの同一箇所は、同一の符号を付し、その説明を省略する。
撮像処理S32では、撮像処理S32が繰り返される度に、つまり、3次元積層造形の(a)~(i)の各プロセスが完了する度に、ステージ52が、撮影部218の下方に移動され、カメラ220によって撮影される。例えば、(a)の絶縁層形成のプロセスが完了した場合、図12に示すように、撮影部218では、各貫通孔230を備えた1層目の絶縁層228が、その上方からカメラ220で撮影される。但し、カメラ220は、2台分のレンズ機構とシャッター機構とを備えており、異なる2方向から同時に撮影を行う。これにより、画像I1(a)及び画像I2(a)が取得される。画像I1(a)及び画像I2(a)には、プロセス完了体252(a)が映し出される。このような点は、3次元積層造形の(b)~(i)の各プロセスについても、同様である。なお、撮影部218は、2台のカメラによって、異なる2方向から同時に撮影を行ってもよい。
3次元処理S36では、画像処理装置130によって、3次元積層造形の(a)~(i)のプロセス毎にプロセス完了体252の3Dモデルが生成される。その生成は、(a)の絶縁層形成のプロセスの場合、画像I1(a)及び画像I2(a)に基づいて行われる。これにより、図13に示すように、(a)の絶縁層形成のプロセス完了時のプロセス完了体252(a)について、3Dモデル260(a)が生成される。このような点は、3次元積層造形の(b)~(i)の各プロセスについても、同様であり、(b)~(i)の各プロセス完了時のプロセス完了体252(b)~252(i)について、3Dモデル260(b)~260(i)が生成される。なお、以下の説明において、各3Dモデル260(a)~260(i)を区別せずに総称する場合は3Dモデル260と表記する。
差分処理S38では、画像処理装置130によって、造形部分254の3Dモデル256が生成される。その生成は、3次元積層造形で前後に連続するプロセスに対応した2つのプロセス完了体252の3Dモデル260間で差分を抽出することによって行われる。例えば、(b)の回路配線層形成のプロセスの造形部分254(b)の3Dモデル256(b)の生成は、(a)の絶縁層形成のプロセス完了時のプロセス完了体252(a)の3Dモデル260(a)と、(b)の回路配線層形成のプロセス完了時のプロセス完了体252(b)の3Dモデル260(b)との間で差分を抽出することによって行われる。このような生成は、(c)~(i)の各プロセスの造形部分254(c)~(i)の3Dモデル256(b)~(i)についても、同様である。
但し、(a)の絶縁層形成のプロセスの造形部分254(a)の3Dモデル256(a)については、(a)の絶縁層形成のプロセス完了時のプロセス完了体252(a)の3Dモデル260(a)が使用される。
以上詳細に説明したように、本実施形態の3次元積層電子デバイス製造装置10では、3次元積層造形で製造された3次元積層電子デバイス222をカメラ220で撮影した画像I(画像I1(a)及び画像I2(a)等を含む。)から3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258が生成され、その3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258がディスプレイ134に表示されるので、3次元積層造形を立体的に検証することが可能である。
ちなみに、本実施形態において、3次元積層電子デバイス製造装置10は、3次元造形物製造装置の一例である。コントローラ120は、3次元CG処理部の一例である。プロセスデータ129は、3次元情報の一例である。PC132は、報知装置の一例である。3次元積層電子デバイス222は、3次元造形物の一例である。3次元積層電子デバイス222の3Dモデル258は、3次元造形物の3Dモデルの一例である。各造形部分254(a)~254(i)に関するデータは、造形部分に関する情報の一例である。各造形部分254(a)~254(i)の高さ方向に関するデータは、造形部分の高さ方向に関する情報の一例である。
撮像処理S12を実行するコントローラ120は、取得処理部の一例である。切取処理S16及び押出処理S18を実行するコントローラ120は、第1生成処理部の一例である。判定処理S20及び異常処理S22を実行するコントローラ120は、異常処理部の一例である。配置処理S24を実行するコントローラ120は、第2生成処理部の一例である。ビューア処理S26を実行するコントローラ120は、表示処理部の一例である。撮像処理S32を実行するコントローラ120は、取得処理部の一例である。3次元処理S36及び差分処理S38を実行するコントローラ120は、第1生成処理部の一例である。3次元処理S36を実行するコントローラ120は、第3生成処理部の一例である。差分処理S38を実行するコントローラ120は、第4生成処理部の一例である。
撮像処理S12は、取得工程の一例である。切取処理S16及び押出処理S18は、第1生成工程の一例である。配置処理S24は、第2生成工程の一例である。ビューア処理S26は、表示工程の一例である。撮像処理S32は、取得工程の一例である。3次元処理S36及び差分処理S38は、第1生成工程の一例である。
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、プロセスデータ129に代えて、3次元積層電子デバイス222の3次元CADデータが使用されてもよい。また、3次元積層電子デバイス222の透けた状態の3Dモデル258が任意の層位置でスライスされたモデルを表示するものとしてもよい。
また、カメラ220は、各インクジェットヘッド76,88及び装着ヘッド112のいずれかに設けられてもよい。この場合、撮影部218は不要である。なお、各カメラ220が1台分のレンズ機構とシャッター機構を備えるものであるときは、撮像処理S32における異なる2方向からの撮影は、各インクジェットヘッド76,88または装着ヘッド112が2つの撮影位置に移動することによって行われる。
また、上記図5のフローチャートで示す表示方法12を実現するための処理プログラムや、上記図11のフローチャートで示す表示方法12を実現するための処理プログラムは、PC132で行われてもよいし、3次元積層電子デバイス製造装置10に通信ネットワークを介して接続された制御装置で行われてもよい。