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JP7623544B1 - 抄造マット及び抄造マットの製造方法 - Google Patents

抄造マット及び抄造マットの製造方法 Download PDF

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JP7623544B1
JP7623544B1 JP2024175135A JP2024175135A JP7623544B1 JP 7623544 B1 JP7623544 B1 JP 7623544B1 JP 2024175135 A JP2024175135 A JP 2024175135A JP 2024175135 A JP2024175135 A JP 2024175135A JP 7623544 B1 JP7623544 B1 JP 7623544B1
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fiber
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敏幸 前田
航 松田
侑希 吉川
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

【課題】 初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを提供する。【解決手段】 異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットであって、上記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むことを特徴とする抄造マット。【選択図】 図1

Description

本発明は、抄造マット及び抄造マットの製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素やコージェライトなどの多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容するケーシングと、排ガス処理体とケーシングとの間に配設される保持シール材(マット材)とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。この保持シール材(マット材)は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体とケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。
このようなマット材として、特許文献1には、耐高温性無定形無機繊維を含む、低温排出ガス処理装置における脆性構造に対する支持体を用意する為の非膨張性マットであって、約50%のAl及び約50%のSiOを有するアルミナ/シリカ繊維を含むマットが開示されている。
特表2002-531720号公報
特許文献1に記載されたような、約50%のAl及び約50%のSiOを有するアルミナ/シリカ繊維は、リフラクトリーセラミック繊維と呼ばれる繊維である。このようなリフラクトリーセラミック繊維からなるマットは、面圧が低く、排ガス処理体が、排ガスの圧力により脱落しやすいという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを提供することである。
すなわち、本発明の抄造マットは、異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットであって、上記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むことを特徴とする。
アルミナ繊維は固く、マット材がアルミナ繊維からなると、マット材の初期面圧が高くなる。その一方で、リフラクトリーセラミック繊維は折れやすく、リフラクトリーセラミック繊維からなるマット材が繰り返し圧縮を受けると、リフラクトリーセラミック繊維が折れて面圧が低くなる。
一方、リフラクトリーセラミック繊維は柔らかく、マット材がリフラクトリーセラミック繊維からなると、マット材の初期面圧は低くなる。
本発明の抄造マットは、アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維を含むので、アルミナ繊維によるマット材の初期面圧の向上効果、及び、リフラクトリーセラミック繊維によるマット材が繰り返し圧縮を受けた際の面圧の維持効果のバランスが取れている。
そのため、本発明の抄造マットは、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる。
本発明の抄造マットでは、上記無機繊維は、上記アルミナ繊維が5wt%以上、上記リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されていることが好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の重量割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる効果を好適に発揮することができる。
本発明の抄造マットでは、無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満であることが好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の本数の割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる効果を好適に発揮することができる。
本発明の抄造マットでは、上記有機物は有機バインダであり、上記無機物は無機バインダであることが好ましい。
有機バインダ及び無機バインダは、無機繊維同士を接着し、抄造マットの形状を維持する。
また、抄造マットから無機繊維が脱落すること、及び、飛散することを抑止することができる。
本発明の抄造マットでは、上記有機バインダのガラス転移温度Tgは、5℃以下であることが好ましい。
上記有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃以下であると、有機バインダにより形成される有機バインダ皮膜の強度を高くしつつ、皮膜伸度が高くて可撓性に優れた抄造マットとすることができる。
本発明の抄造マットでは、上記有機バインダは、水溶性有機重合体として機能するアクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール、熱可塑性樹脂として機能するスチレン樹脂、並びに、熱硬化樹脂として機能するエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の抄造マットでは、上記無機バインダは、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア、窒化ホウ素、ダイヤモンド及び軽石からなる少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの有機バインダ及び無機バインダは、無機繊維同士を接着し、抄造マットの形状を維持するのに適している。
本発明の抄造マットは、無機繊維成形体を水中で開繊し、開繊された無機繊維を含むスラリーを作製する開繊工程と、上記スラリーを抄造して抄造マットとする抄造工程とを経て作製されることが好ましい。
開繊工程では、複数の無機繊維が交絡して形成された繊維束が形成される。
このような繊維束は心材として働くので、抄造マットの面圧を向上させることができる。
本発明の抄造マットでは、上記無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含むことが好ましい。
無機繊維成形体が、ニードルマット由来であっても、抄造マット由来であっても、開繊工程において繊維束を形成することができる。
なお、上記第1無機繊維成形体は、上記アルミナ繊維を含むことが好ましい。
また、上記第2無機繊維成形体は、上記リフラクトリーセラミック繊維を含むことが好ましい。
本発明の抄造マットは、上記抄造工程において、バッチ抄造又は連続抄造により抄造を行うことにより得られた抄造マットであることが好ましい。
バッチ抄造又は連続抄造を行うことにより、容易に本発明の抄造マットを得ることができる。
本発明の抄造マットは、10本以上の上記無機繊維が撚れるように交絡して形成された繊維束を含み、上記繊維束の少なくとも1つはちぢれた状態の繊維束であり、下記なぞり長さ測定方法で測定した上記ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さの方が、上記ちぢれた状態の繊維束の長さよりも0.1mm以上長いことが好ましい。
なぞり長さの測定方法:
ちぢれた状態の繊維束を平面上に静置する。
静置された上記ちぢれた状態の繊維束を上方から見て、上記ちぢれた状態の繊維束の一方の端部から他方の端部までを上記ちぢれた状態の繊維束に沿ってなぞり、そのなぞった距離を、「ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さ」とする。
ちぢれた状態の繊維束は弾性があり、このような繊維束を含む抄造マットは面圧が高くなる。
本発明の抄造マットは、上記有機物としてさらに有機フィブリルを含むことが好ましい。
なお、上記有機フィブリルは、セルロース、アクリル、アラミド、PVAをフィブリル化して、繊維端部や表面に微細繊維を毛羽立てる形態が好ましい。
本発明の抄造マットの製造方法は、異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットの製造方法であって、上記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含み、上記アルミナ繊維(AF)と、上記リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むスラリーを抄造して抄造マットとする抄造工程を含むことを特徴とする。
本発明の抄造マットの製造方法により、上記本発明の抄造マットを製造することができる。
本発明の抄造マットの製造方法では、上記無機繊維は、上記アルミナ繊維が5wt%以上、上記リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されていることが好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の重量割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを製造することができる。
本発明の抄造マットの製造方法では、上記スラリーから無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満であることが好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の本数の割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを製造することができる。
本発明の抄造マットの製造方法は、上記アルミナ繊維と、上記リフラクトリーセラミック繊維とを含む無機繊維成形体を水中で開繊し、スラリーを作製する開繊工程を含むことが好ましい。
開繊工程を行うことにより、複数の無機繊維が交絡して形成された繊維束が形成される。
このような繊維束は心材として働くので、製造される抄造マットの面圧を向上させることができる。
本発明の抄造マットの製造方法では、上記無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含むことが好ましい。
無機繊維成形体が、ニードルマット由来であっても、抄造マット由来であっても、開繊工程において繊維束を形成することができる。
なお、上記第1無機繊維成形体は、上記アルミナ繊維を含むことが好ましい。
また、上記第2無機繊維成形体は、上記リフラクトリーセラミック繊維を含むことが好ましい。
本発明の抄造マットの製造方法では、上記抄造工程において上記スラリーが上記有機物として有機フィブリルを含むことが好ましい。
また、本発明の抄造マットの製造方法では、上記開繊工程において、水中において有機フィブリルを開繊し、上記スラリーを作製することが好ましい。
本発明によれば、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを提供することができる。
図1は、本発明の抄造マットの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の抄造マットに抄造マットが含まれる場合の抄造マットの無機繊維の一例を模式的に示す拡大図である。 図3は、ちぢれた状態の繊維束の一例の模式図である。 図4は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の抄造マットについて具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明に係る抄造マットを、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の抄造マットの一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、抄造マット10は、無機繊維から構成される平面視矩形の抄造マットである。
抄造マット10は、一方の端部11に凸部11aが設けられており、他方の端部12に凹部12aが設けられた、平面視矩形の形状である。
詳しくは後述するが、抄造マット10は、排ガス処理体に巻き付けられて、排ガス浄化装置に配置される。
凸部11a及び凹部12aは、抄造マット10を排ガス処理体に巻き付けた際に、丁度嵌合する形状である。
このような凸部11a及び凹部12aが設けられていると、抄造マット10を後述する排ガス浄化装置に配置した際にシール性が向上する。
抄造マット10は、有機物として有機バインダを含み、無機物として無機バインダを含む。
有機バインダ及び無機バインダは、無機繊維同士を接着し、抄造マット10の形状を維持する。
また、抄造マット10から無機繊維が脱落すること、及び、飛散することを抑止することができる。
また、抄造マット10には、有機物としてセルロース、アクリル、アラミド、PVA等からなる有機フィブリルを含んでいてもよい。
有機フィブリルは、端部及び表面から微細繊維(フィブリル)を有するフィブリル化しており、微細繊維が無機繊維に絡みついて密着性を向上させている。
有機フィブリルは、上記有機物からなる繊維端部や表面に微細繊維を毛羽立てる形態が好ましい。
抄造マット10では、無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含む。
また、無機繊維は、アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維以外の他の無機繊維を含んでいてもよい。他の無機繊維としては、シリカ繊維、グラスウール、ロックウール等が挙げられる。
本明細書において、「アルミナ繊維」とは、繊維を構成するAlの重量割合が60重量%を超える繊維を意味する。
本明細書において、「リフラクトリーセラミック繊維」とは、繊維を構成するAlの重量割合が60重量%以下の繊維を意味する。
アルミナ繊維としては、Al及びSiOを含む繊維が好ましく、その重量割合は、Al:SiO=70:30~80:20であることが好ましい。
リフラクトリーセラミック繊維としては、Al及びSiOを含む繊維が好ましく、その重量割合は、Al:SiO=40:60~60:40であることが好ましい。
アルミナ繊維は固く、マット材がアルミナ繊維からなると、マット材の初期面圧が高くなる。その一方で、リフラクトリーセラミック繊維は折れやすく、リフラクトリーセラミック繊維からなるマット材が繰り返し圧縮を受けると、リフラクトリーセラミック繊維が折れて面圧が低くなる。
一方、リフラクトリーセラミック繊維は柔らかく、マット材がリフラクトリーセラミック繊維からなると、マット材の初期面圧は低くなる。
抄造マット10は、アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維を含むので、アルミナ繊維によるマット材の初期面圧の向上効果、及び、リフラクトリーセラミック繊維によるマット材が繰り返し圧縮を受けた際の面圧の維持効果のバランスが取れている。
そのため、抄造マット10は、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる。
抄造マット10では、上記無機繊維は、アルミナ繊維が5wt%以上、リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されていることが好ましく、アルミナ繊維が10~30wt%、リフラクトリーセラミック繊維が70~90wt%の重量割合で構成されていることがより好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の重量割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる効果を好適に発揮することができる。
なお、抄造マット10の柔軟性を向上させたい場合には、アルミナ繊維の重量割合を30wt%未満にすることが好ましく、抄造マット10を硬くしたい場合には、アルミナ繊維の重量割合を30wt%以上にすることが好ましい。
抄造マット10では、無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満であることが好ましく、アルミナ繊維の本数が、20~50%であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、50~80%であることがより好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の本数の割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる効果を好適に発揮することができる。
抄造マット10では、無機繊維が100重量部に対し、有機バインダを0.1~20重量部含むことが好ましく、0.5~10重量部含むことがより好ましい。
また、無機繊維が100重量部に対し、無機バインダを0.1~10重量部含むことが好ましく、0.5~3.0重量部含むことがより好ましい。
有機バインダ及び無機バインダは、無機繊維同士を接着し、抄造マットの形状を維持する。
有機バインダ及び無機バインダの含有量が上記範囲であると、無機繊維同士の接着が適度となり、抄造マットの柔軟性と形状維持性を両立することができる。
抄造マット10では、有機バインダのガラス転移温度Tgは、5℃以下であることが好ましく、-35~5℃であることがより好ましい。
有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃以下であると、有機バインダにより形成される有機バインダ皮膜の強度を高くしつつ、皮膜伸度が高くて可撓性に優れた抄造マットとすることができる。
また、抄造マット10を排ガス処理体に巻きつける際等にマット裂けが発生しにくくなる。さらに、有機バインダ皮膜が硬くなり過ぎないため、無機繊維が破断した際に、無機繊維同士を繋ぎ止める効果を発揮し、無機繊維の飛散を抑制することができる。
有機バインダのガラス転移温度Tgが-50℃未満のものは高価であり、製造コストが高くなる。
有機バインダのガラス転移温度Tgが5℃を超える場合、抄造マットの可撓性が低下し、破断伸度が低下してしまうことがある。
本発明の抄造マットでは、上記有機バインダは、水溶性有機重合体であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化樹脂であってもよい。
水溶性有機重合体としては、アクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが挙げられる。熱可塑性樹脂としてはスチレン樹脂が挙げられる。熱硬化樹脂として機能するエポキシ樹脂が挙げられる。
抄造マット10では、無機バインダは、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア、窒化ホウ素、ダイヤモンド及び軽石からなる少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの有機バインダ及び無機バインダは、無機繊維同士を接着し、抄造マットの形状を維持するのに適している。
抄造マット10は、10本以上の上記無機繊維が撚れるように交絡して形成された繊維束を含んでいてもよい。
このような繊維束を含む抄造マットについて図面を用いて説明する。
図2は、本発明の抄造マットに抄造マットが含まれる場合の抄造マットの無機繊維の一例を模式的に示す拡大図である。
図2に示すように、抄造マットは、10本以上の無機繊維20が撚れるように交絡して形成された繊維束21、及び、繊維束21を構成しない無機繊維22を含んでいてもよい。
繊維束21は、ストレート状態(図2中、符号「21a」で示す状態)であってもよく、ちぢれ状態(図2中、符号「21b」で示す状態)であってもよい。
本明細書において、繊維束とは、抄造マットにおいて無機繊維が集中して交絡し、他の部分よりも密度が高くなっている部分を意味する。
繊維束21の平均長さ(図2中、符号Lで示す長さの平均値)は、5~15mmであることが好ましく、7~13mmであることがより好ましく、8~10mmであることがさらに好ましい。
繊維束21の平均幅(図2中、符号Wで示す長さの平均値)は、0.2~1.0mmであることが好ましく、0.2~0.8mmであることがより好ましい。
なお、図2に示すように、繊維束21がストレート状態の繊維束21aである場合、及び、ちぢれた状態の繊維束21bである場合ともに、その最大幅(図2中、それぞれ符号Wa及びWbで示す長さ)が、繊維束21の幅である。
繊維束21は、10本以上の無機繊維20が撚れるように交絡して形成されており、互いに支えあっているので、押圧に対し変形しにくい。そのため、抄造マットに押圧がかかる場合において、繊維束21は心材として働き、繊維束21を構成しない無機繊維22に係る押圧を緩和することができる。従って、繊維束21を構成しない無機繊維22が押圧により折れてしまうことを防ぐことができる。その結果、抄造マットは面圧が高くなる。
特に、繊維束21がちぢれた状態の繊維束21bである場合、この効果が好適に発揮され、抄造マットの面圧がより高くなる。
繊維束の平均長さが、5mm未満であると、繊維束が短すぎ、繊維束が心材として繊維束を構成しない無機繊維にかかる押圧を緩和しにくくなる。
繊維束の平均長さが、15mmを超えると、繊維束が長すぎるので、繊維束の側面に押圧を受けると、曲がりやすくなり、心材として機能しにくくなる。
繊維束の平均幅が、0.2mm未満であると、繊維束の強度が低くなり、繊維束が曲がりやすくなり、心材として機能しにくくなる。
繊維束の平均幅が、1.0mmを超えると、繊維束の強度が高くなりすぎ、抄造マット全体の柔軟性が低下する。
ここで、ちぢれた状態の繊維束21bについて以下に図面を用いて詳述する。
図3は、ちぢれた状態の繊維束の一例の模式図である。
図3に示すちぢれた状態の繊維束21bは、下記なぞり長さ測定方法で測定したちぢれた状態の繊維束21bのなぞり長さLの方が、ちぢれた状態の繊維束21bの長さLよりも長いことが好ましく、0.1mm以上長いことがより好ましく、0.2~0.6mm長いことがさらに好ましい。
(なぞり長さの測定方法)
ちぢれた状態の繊維束21bを平面上に静置する。
次に、静置されたちぢれた状態の繊維束21bを上方から見て、ちぢれた状態の繊維束21bの一方の端部Pから他方の端部Pまでをちぢれた状態の繊維束21bに沿ってなぞり、そのなぞった距離Lを、「ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さ」とする。
ちぢれた状態の繊維束21bのなぞり長さLの方が、ちぢれた状態の繊維束21bの長さLよりも長いと、ちぢれた状態の繊維束21bの弾性が高くなり、抄造マット10の面圧が向上する。
抄造マット10は、図3に示すちぢれた状態の繊維束21bにおいて、「ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さ」を測定する際に、端部Pと端部Pとを結ぶ線分Sを2回以上横切るように、ちぢれた状態の繊維束21bをなぞれるような、ちぢれた状態の繊維束21bを含むことが好ましい。
このようなちぢれた状態の繊維束21bは、ちぢれの程度が好適となり、ちぢれた状態の繊維束21bの弾性が高くなり、抄造マット10の面圧が向上する。
抄造マット10では、ちぢれた状態の繊維束21bの長さLに対する、ちぢれた状態の繊維束21bのなぞり長さLの比が、L/L=1.1~1.6であることが好ましい。
抄造マット10では、下記式(1)の値が、0.1以上であることが好ましく、0.2~0.6であることがより好ましい。
(L-L)/Wb・・・(1)
なお、「Wb」は、ちぢれた状態の繊維束21bの幅を意味する。
抄造マット10では、ちぢれた状態の繊維束21bを平面上に静置し、上方から見たちぢれた状態の繊維束21bの面積は2.6~8.3mmであることが好ましい。
抄造マット10では、繊維束21に含まれるちぢれた状態の繊維束21bの数の割合は、85%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、10~30%であることがよりさらに好ましい。
繊維束21は、複数の無機繊維20が交絡して形成されており、互いに支えあっているので、押圧に対し変形しにくい。そのため、抄造マット10に押圧がかかる場合において、繊維束21は心材として働き、繊維束21を構成しない無機繊維22に係る押圧を緩和することができる。従って、繊維束21を構成しない無機繊維22が押圧により折れてしまうことを防ぐことができる。その結果、抄造マット10は面圧が高くなる。
次に、本発明の抄造マットの製造方法の一例について説明する。
以下に説明する本発明の抄造マットの製造方法の一例は、(1)開繊工程及び(2)抄造工程とを含む。以下、各工程について説明する。
(1)開繊工程
本工程では、アルミナ繊維と、リフラクトリーセラミック繊維とを含む無機繊維成形体を水中で開繊しスラリーを作製する。
スラリーはアルミナ繊維と、リフラクトリーセラミック繊維とを含むので、後の工程を経て製造されるマット材において、アルミナ繊維によるマット材の初期面圧の向上効果、及び、リフラクトリーセラミック繊維によるマット材が繰り返し圧縮を受けた際の面圧の維持効果のバランスが取れる。
そのため、製造される抄造マットは、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる。
なお、上記スラリーにおいて、上記無機繊維は、アルミナ繊維が5wt%以上、リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されていることが好ましく、アルミナ繊維が10~30wt%、リフラクトリーセラミック繊維が70~90wt%の重量割合で構成されていることがより好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の重量割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる効果を好適に発揮することができる。
また、上記スラリーにおいて、無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満であることが好ましく、アルミナ繊維の本数が、20~50%であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、50~80%であることがより好ましい。
アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の本数の割合が上記範囲であると、両者のバランスが取れ、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる抄造マットを製造することができる。
また、無機繊維成形体を開繊する際、無機繊維が完全に開繊されず、複数の無機繊維が交絡した繊維束が形成される。
このような繊維束は心材として働くので、製造される抄造マットの面圧を向上させることができる。
本発明の抄造マットの製造方法では、無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含むことが好ましい。
無機繊維成形体が、ニードルマット由来であっても、抄造マット由来であっても、開繊工程において繊維束21を形成することができる。
なお、上記第1無機繊維成形体は、上記アルミナ繊維を含むことが好ましい。
また、上記第2無機繊維成形体は、上記リフラクトリーセラミック繊維を含むことが好ましい。
開繊の例としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、第1無機繊維成形体及び/又は第2無機繊維成形体を700~1000℃で1.0~8.0時間焼成する。好ましい焼成温度は、800~950℃である。
これにより、無機繊維成形体に含まれる有機バインダを熱分解することができ、無機繊維成形体を開繊しやすくなる。
次に、焼成後の無機繊維成形体を常温になるまで静置し、その後、無機繊維成形体を手でほぐす。
次に、無機繊維成形体を、重量比50~400倍量の水に入れ、攪拌して開繊を行うことにより無機繊維を含むスラリーを作製する。当該重量比は、100~200倍量であることが好ましい。
また、攪拌の条件は適宜設定することが好ましいが、例えば、10Lのスラリーを作製する際は、撹拌機として、(製品名:SMT-101、製造元:ASONE)を用い、回転数が500~1000rpm、攪拌時間が200~900秒の条件で攪拌することが好ましい。好ましくは、回転速度650~850rpm、攪拌時間500~700秒であり、より好ましくは、回転速度700~800rpm、攪拌時間500~650秒である。
次に、スラリーに有機バインダ及び無機バインダを加える。
有機バインダは、製造される抄造マットにおいて、無機繊維が100重量部に対し、0.1~20重量部となるように加えることが好ましく、0.5~15.0重量部となるように加えることがより好ましい。
無機バインダは、製造される抄造マットにおいて、無機繊維が100重量部に対し、0.1~10重量部となるように加えることが好ましく、0.5~3.0重量部となるように加えることがより好ましい。
好ましい有機バインダ及び無機バインダの種類は既に説明しているので、ここでの説明は省略する。
(2)抄造工程
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器にスラリーを流し込み、スラリー中の溶媒を脱溶媒処理することで無機繊維集合体を得る。そして、無機繊維集合体を脱水及び乾燥する。
なお、抄造工程では、無機繊維集合体を加熱加圧して乾燥してもよい。加熱加圧の際、熱風を無機繊維集合体に通気させて乾燥する熱処理をしてもよく、熱処理をせずに湿潤状態としてもよい。
熱処理をする場合には、有機バインダの熱による劣化を防ぐため、加熱温度や熱風温度は100~250℃であることが好ましい。100~250℃の範囲においては、有機バインダの劣化を抑制しつつ、水分を無機繊維集合体からとばすことができる。加熱温度や熱風温度が100℃未満の場合、無機繊維集合体の中央部まで温度が伝わらず、乾燥時間が長くなる。また、250℃を超えると、有機バインダを劣化させてしまい、繊維間の拘束力を低減させるため、無機繊維集合体の厚みが制御しにくくなる。
以上の工程を経て、本発明の抄造マットを製造することができる。
なお、本発明の抄造マットの製造方法では、抄造工程において、バッチ抄造又は連続抄造を行うことが好ましい。
バッチ抄造又は連続抄造を行うことにより、容易に本発明の抄造マットを得ることができる。
上記抄造マットの製造方法では、開繊工程を行った後に、抄造工程を行っているが、本発明の抄造マットの製造方法では、アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維を含むスラリーを準備し、抄造してマット材を製造できれば、開繊工程を行わなくてもよい。
次に、本発明の抄造マットの使用方法について説明する。
図4は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、排ガス浄化装置100は、金属ケーシング30と、金属ケーシング30に収容された排ガス処理体40と、排ガス処理体40及び金属ケーシング30の間に配設された抄造マット10とを備えている。抄造マット10は本発明の抄造マットである。
排ガス処理体40は、多数のセル41がセル壁42を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、金属ケーシング30の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と、排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
図4に示す排ガス浄化装置100では、排ガス処理体40として、各々のセルにおけるいずれか一方が封止材43によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いているが、いずれの端面にも封止材による目封じがなされていない触媒担体を用いてもよい。
図4に示すように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置100に流入した排ガス(図4中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、排ガス処理体(ハニカムフィルタ)40の排ガス流入側端面40aに開口した一のセル41に流入し、セル41を隔てるセル壁42を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁42で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面40bに開口した他のセル41から流出し、外部に排出される。
上記の通り、抄造マット10は、初期面圧が高く、かつ、繰り返し圧縮を受けたとしても面圧を維持することができる。
そのため、排ガス浄化装置100の使用初期において、排ガス処理体40が、排ガスから高い圧力を受けたとしても、排ガス処理体40が、金属ケーシング30から脱落することを防ぐことができる。また、この脱落を防ぐ効果を長期間維持することができる。
排ガス処理体40は、炭化ケイ素や窒化ケイ素などの非酸化多孔質セラミックからなっていてもよく、サイアロン、アルミナ、コーデェライト、ムライト等の酸化多孔質セラミックからなっていてもよい。これらの中では、炭化ケイ素であることが好ましい。
排ガス処理体40が炭化ケイ素質の多孔質セラミックである場合、多孔質セラミックの気孔率は特に限定されないが、35~60%であることが好ましい。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがある。
また、多孔質セラミックの平均気孔径は5~30μmであることが好ましい。
平均気孔径が5μm未満であると、PMが容易に目詰まりを起こすことがある。
平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがある。
なお、上記気孔率及び気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の従来公知の方法により測定することができる。
排ガス処理体40の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、好ましい下限は、31.0個/cm(200個/inch)、好ましい上限は、93.0個/cm(600個/inch)である。また、より好ましい下限は、38.8個/cm(250個/inch)、より好ましい上限は、77.5個/cm(500個/inch)である。
排ガス処理体40には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が好ましく、この中では、白金がより好ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これら触媒が担持されていると、PMを燃焼除去しやすくなり、有毒な排ガスの浄化も可能になる。
(金属ケーシング)
金属ケーシング30は、略円筒形である。
金属ケーシング30の内径(排ガス処理体を収容する部分の内径)は、抄造マット10が巻き付けられた排ガス処理体40の直径より若干短くなっていることが好ましい。
金属ケーシング30は、特に限定されないが、ステンレス鋼からなることが好ましい。
本明細書には以下の事項が開示されている。
本開示(1)は、異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットであって、上記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むことを特徴とする抄造マットである。
本開示(2)は、上記無機繊維は、上記アルミナ繊維が5wt%以上、上記リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されている本開示(1)に記載の抄造マットである。
本開示(3)は、上記抄造マットは、無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、
上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満である本開示(1)又は(2)に記載の抄造マットである。
本開示(4)は、上記有機物は有機バインダであり、上記無機物は無機バインダである本開示(1)~(3)のいずれかに記載の抄造マットである。
本開示(5)は、上記有機バインダのガラス転移温度Tgは、5℃以下である本開示(4)に記載の抄造マットである。
本開示(6)は、上記有機バインダは、水溶性有機重合体として機能するアクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール、熱可塑性樹脂として機能するスチレン樹脂、並びに、熱硬化樹脂として機能するエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である本開示(4)又は(5)に記載の抄造マットである。
本開示(7)は、上記無機バインダは、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア、窒化ホウ素、ダイヤモンド及び軽石からなる少なくとも1種を含む本開示(4)~(6)のいずれかに記載の抄造マットである。
本開示(8)は、無機繊維成形体を水中で開繊し、開繊された無機繊維を含むスラリーを作製する開繊工程と、上記スラリーを抄造して抄造マットとする抄造工程とを経て作製された本開示(1)~(7)のいずれかに記載の抄造マットである。
本開示(9)は、上記無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含む本開示(8)に記載の抄造マットである。
本開示(10)は、上記第1無機繊維成形体は、上記アルミナ繊維を含む本開示(9)に記載の抄造マットである。
本開示(11)は、上記第2無機繊維成形体は、上記リフラクトリーセラミック繊維を含む本開示(9)に記載の抄造マットである。
本開示(12)は、上記抄造工程では、バッチ抄造又は連続抄造により抄造を行う本開示(8)~(11)に記載の抄造マットである。
本開示(13)は、上記抄造マットは、10本以上の上記無機繊維が撚れるように交絡して形成された繊維束を含み、上記繊維束の少なくとも1つはちぢれた状態の繊維束であり、下記なぞり長さ測定方法で測定した上記ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さの方が、上記ちぢれた状態の繊維束の長さよりも0.1mm以上長い本開示(1)~(12)のいずれかに記載の抄造マットである。
なぞり長さの測定方法:
ちぢれた状態の繊維束を平面上に静置する。
静置された上記ちぢれた状態の繊維束を上方から見て、上記ちぢれた状態の繊維束の一方の端部から他方の端部までを上記ちぢれた状態の繊維束に沿ってなぞり、そのなぞった距離を、「ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さ」とする。
本開示(14)は、さらに上記有機物として有機フィブリルを含む本開示(1)~(13)のいずれかに記載の抄造マットである。
本開示(15)は、異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットの製造方法であって、上記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含み、上記アルミナ繊維(AF)と、上記リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むスラリーを抄造して抄造マットとする抄造工程を含むことを特徴とする抄造マットの製造方法である。
本開示(16)は、上記無機繊維は、上記アルミナ繊維が5wt%以上、上記リフラクトリーセラミック繊維が95wt%未満の重量割合で構成されている本開示(15)に記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(17)は、上記スラリーから無作為に任意の上記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、上記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、上記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満である本開示(15)又は(16)に記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(18)は、上記アルミナ繊維と、上記リフラクトリーセラミック繊維とを含む無機繊維成形体を水中で開繊し、上記スラリーを作製する開繊工程をさらに含む本開示(15)~(17)のいずれかに記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(19)は、上記無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含む本開示(18)に記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(20)は、上記第1無機繊維成形体は、上記アルミナ繊維を含む本開示(19)に記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(21)は、上記第2無機繊維成形体は、上記リフラクトリーセラミック繊維を含む本開示(19)又は(20)に記載の抄造マットの製造方法である。
本開示(22)は、上記抄造工程では、上記スラリーはさらに上記有機物として有機フィブリルを含む本開示(15)~(21)に記載の抄造マットの製造方法である。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
Al:SiO=72:28(重量比)であるアルミナ繊維からなり、かさ密度が0.17g/mmであり、ニードル痕の密度が21個/cmの密度であるニードルマット由来の第1無機繊維成形体を準備した。
Al:SiO=50:50(重量比)であるリフラクトリーセラミック繊維からなり、かさ密度が1.2g/mmである抄造マット由来の第2無機繊維成形体を準備した。
次に、第1無機繊維成形体を800℃で1時間焼成し、第1無機繊維成形体及び第2無機繊維成形体に含まれる有機バインダを熱分解させた。
次に、焼成後の第1無機繊維成形体を常温になるまで静置し、その後、第1無機繊維成形体及び第2無機繊維成形体を手でほぐした。
次に、第1無機繊維成形体を5.0g、第2無機繊維成形体を5.0g取り出し、0.4Lの水に入れた。その後、撹拌機(製品名:SMT-101、製造元:ASONE)を用い、回転数が1000rpm、攪拌時間が10分間の条件で攪拌して、開繊を行うことにより、無機繊維のスラリーを作製した。
なお、スラリーから無作為に無機繊維を100本抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別したところ、アルミナ繊維の割合が71%であり、リフラクトリーセラミック繊維の割合が29%であった。
まあ、無機繊維の100重量部に対し、アルミナ繊維の重量割合が70重量部であり、リフラクトリーセラミック繊維の重量割合が30重量部であった。
次に、スラリーに有機バインダを、無機繊維が100重量部に対し、0.5~10重量部となるように加えた。
また、スラリーに無機バインダを、無機繊維が100重量部に対し、0.3~3.0重量部となるように加えた。
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器にスラリーを流し込み、スラリー中の溶媒を脱溶媒処理することで無機繊維集合体を得た。その後、無機繊維集合体を脱水し、150~210℃、5分~1時間の条件で乾燥することにより実施例1に係る抄造マットを製造した。
(実施例2)、(実施例3)及び(比較例1)
使用する第1無機繊維成形体及び第2無機繊維成形体を調整し、表1に示すように、アルミナ繊維及びリフラクトリーセラミック繊維の割合(重量割合)を変更した以外は、実施例1と同様に実施例2、実施例3及び比較例1に係る抄造マットを製造した。
Figure 0007623544000002
(面圧の測定)
実施例1~実施例3及び比較例1に係る抄造マットを試験機(製品名:SMT-101、製造元:ASONE)にセットし、空隙かさ密度(GBD)が0.40mm/gとなるまで25.4mm/minの速度で圧縮した。空隙かさ密度(GBD)が0.40mm/gの状態で10min間保持した。その後、25.4mm/minの速度で抄造マットを解放した。
この圧縮及び解放を1000サイクル行った。その後、各抄造マットの面圧を測定した。
結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1~実施例3に係る抄造マットは、繰り返し圧縮と解放とを繰り返しても面圧が高いことが示された。
10 抄造マット
11 一方の端部
11a 凸部
12 他方の端部
12a 凹部
20、22 無機繊維
21、21a、21b 繊維束
30 金属ケーシング
40 排ガス処理体
40a 排ガス流入側端部
40b 排ガス排出側端部
41 セル
42 セル壁
43 封止材
100 排ガス浄化装置

Claims (15)

  1. 異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットであって、
    前記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含み、
    前記無機繊維は、前記アルミナ繊維が10~30wt%、前記リフラクトリーセラミック繊維が70~90wt%の重量割合で構成されていることを特徴とする抄造マット。
  2. 前記抄造マットは、無作為に任意の前記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、
    前記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、前記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満である請求項1に記載の抄造マット。
  3. 前記有機物は有機バインダであり、前記無機物は無機バインダである請求項1又は2に記載の抄造マット。
  4. 前記有機バインダのガラス転移温度Tgは、5℃以下である請求項に記載の抄造マット。
  5. 前記有機バインダは、水溶性有機重合体として機能するアクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルアルコール、熱可塑性樹脂として機能するスチレン樹脂、並びに、熱硬化樹脂として機能するエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項に記載の抄造マット。
  6. 前記無機バインダは、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア、窒化ホウ素、ダイヤモンド及び軽石からなる少なくとも1種を含む請求項に記載の抄造マット。
  7. 前記抄造マットは、10本以上の前記無機繊維が撚れるように交絡して形成された繊維束を含み、
    前記繊維束の少なくとも1つはちぢれた状態の繊維束であり、
    下記なぞり長さ測定方法で測定した前記ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さの方が、前記ちぢれた状態の繊維束の長さよりも0.1mm以上長い請求項1又は2に記載の抄造マット。
    なぞり長さの測定方法:
    ちぢれた状態の繊維束を平面上に静置する。
    静置された前記ちぢれた状態の繊維束を上方から見て、前記ちぢれた状態の繊維束の一方の端部から他方の端部までを前記ちぢれた状態の繊維束に沿ってなぞり、そのなぞった距離を、「ちぢれた状態の繊維束のなぞり長さ」とする。
  8. さらに前記有機物として有機フィブリルを含む請求項1又は2に記載の抄造マット。
  9. 異なる2種類以上の無機繊維と有機物と無機物とから構成される抄造マットの製造方法であって、
    前記無機繊維は、アルミナ繊維(AF)と、リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含み、
    前記アルミナ繊維(AF)と、前記リフラクトリーセラミック繊維(RCF)とを含むスラリーを抄造して抄造マットとする抄造工程を含み、
    前記無機繊維は、前記アルミナ繊維が10~30wt%、前記リフラクトリーセラミック繊維が70~90wt%の重量割合で構成されていることを特徴とする抄造マットの製造方法。
  10. 前記スラリーから無作為に任意の前記無機繊維を抜き出して、アルミナ繊維であるか、リフラクトリーセラミック繊維であるかを判別した際に、
    前記アルミナ繊維の本数が、3%以上であり、前記リフラクトリーセラミック繊維の本数が、97%未満である請求項に記載の抄造マットの製造方法。
  11. 前記アルミナ繊維と、前記リフラクトリーセラミック繊維とを含む無機繊維成形体を水中で開繊し、前記スラリーを作製する開繊工程をさらに含む請求項又は10に記載の抄造マットの製造方法。
  12. 前記無機繊維成形体は、ニードルマット由来の第1無機繊維成形体及び/又は抄造マット由来の第2無機繊維成形体を含む請求項11に記載の抄造マットの製造方法。
  13. 前記第1無機繊維成形体は、前記アルミナ繊維を含む請求項12に記載の抄造マットの製造方法。
  14. 前記第2無機繊維成形体は、前記リフラクトリーセラミック繊維を含む請求項12に記載の抄造マットの製造方法。
  15. 前記抄造工程では、前記スラリーはさらに前記有機物として有機フィブリルを含む請求項又は10に記載の抄造マットの製造方法。
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