JP7623246B2 - 多電極片面サブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
これに対し、例えば、特許文献1には、第1電極の極性:直流で電極側マイナス、第1電極と第2電極との電極間距離:80mm以上160mm以下、第2電極と第3電極との電極間距離:80mm以上160mm以下、第1電極のアーク電圧:25~40V、第2電極の溶接電流:800~1400Aの条件で溶接を行うことを特徴とする多電極片面1層サブマージアーク溶接方法が開示されている。これにより、厚板においても高温割れを抑制することができる。
また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本実施形態に係る多電極片面サブマージアーク溶接方法(以下、単に「溶接方法」と称することがある。)では、例えば図1に示すような溶接装置を用いるが、かかる溶接装置に限定されるものではない。
フラックスカッパーバッキング法を用いる場合には、図3に示すような裏当て装置50aが架台フレーム11の上に配置されている。裏当装置50aの裏当銅板55の上には裏当フラックス52が散布されている。なお、裏当フラックス52は図示しない架台の上に載置された鋼板20の底面に接している。
また、フラックスバッキング法を用いる場合には、図4に示すような裏当装置50bが架台フレーム11の上に配置されている。裏当装置50bの耐火性キャンバス56内には、耐熱カバー57上に下敷フラックス58が充填され、その上に裏当フラックス52が散布されている。なお、裏当フラックス52は図示しない架台の上に載置された鋼板20の底面に接している。
溶接機12は、架台フレーム11の上方、すなわち鋼板20の上方に配置される。そして、図2に示すように、鋼板20の溶接開先部Mの表側から鋼板20を溶接するものである。溶接機12は、複数の電極15を含む複数の溶接トーチを備えている。
これに対し、本実施形態に係る溶接方法を用いることで、フラックスバッキング法であっても裏ビード高さを安定させることができる。このように、本発明は、フラックスバッキング法とともに用いることで、フラックスバッキング法の利点を生かしつつ、従来課題となっていた裏ビード高さを安定させることもできる。そのため、本実施形態に係る溶接方法は、フラックスバッキング法を用いることが好ましい。
本実施形態に係る溶接方法は、例えば上記<溶接装置>に記載した装置であって、図5に示すように、溶接進行方向Xの先頭から第1電極15a、第2電極15b及び第3電極15cの順に配置された少なくとも3つの電極15を含む溶接機を用いる。
第1電極15aと第2電極15bの極性を交流とし、それらの位相差を0°~90°又は275°~360°とし、第2電極15bと第3電極15cとの電極間距離L2を210mm~320mmとする。
本実施形態において、第1電極15aの極性は交流とする。これにより、磁気吹きの発生を抑制することができるため、裏ビード高さが安定する。一方、第1電極15aの極性を直流とすると磁気吹きが発生しやすく、アークが偏向するために、裏ビード高さが不安定となる。
裏ビード高さのさらなる安定化と高温割れの発生防止を図る観点から、第1電極15aのアーク電圧は32V以上がより好ましく、34V以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、第1電極15aのアーク電圧は、42V以下がより好ましく、40V以下がさらに好ましい。
なお、上記は好ましい数値範囲を例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第1電極15aのアーク電圧を、例えば、28Vとしたり、48Vとしたりすることを何ら排除するものではない。上記数値範囲外のアーク電圧であっても、裏ビード高さを十分に安定させることができ、また、高温割れも十分に発生し難いものとすることができる。
裏ビード高さのさらなる安定化と高温割れの発生防止を図る観点から、第1電極15aの溶接電流は900A以上がより好ましく、1000A以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、第1電極15aの溶接電流は1550A以下がより好ましく、1400A以下がさらに好ましい。
なお、上記は好ましい数値範囲を例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第1電極15aの溶接電流は、例えば、850Aとしたり、1650Aとしたりすることを何ら排除するものではない。上記数値範囲外の溶接電流であっても、裏ビード高さを十分に安定させることができ、また、高温割れも十分に発生し難いものとすることができる。
第1電極15aの後退角θ1は、溶け込みが得られやすく、裏ビード高さを安定して得る観点から、1°以上が好ましく、また、15°以下が好ましい。
裏ビード高さのさらなる安定化とスラグ巻込み発生防止を図る観点から、第1電極15aのワイヤ径は直径4.0mm以上がより好ましく、また、直径4.8mm以下がより好ましい。
また、第1電極15aのワイヤ16aは、溶け込みが深く、耐吸湿性も良好であることから、ソリッドワイヤが好ましい。
ここで、JIS Z 3200:2005におけるサブマージアーク溶接用ソリッドワイヤの公称径とは、直径3.2mm、直径4.0mm、直径4.8mm、直径6.4mmであり、それらの許容差は±0.06mmである。
本実施形態において、第2電極15bの極性は交流とする。これにより、磁気吹きの発生を抑制することができるため、裏ビード高さが安定する。一方、第2電極15bの極性を直流とすると磁気吹きが発生しやすく、アークが偏向するために、裏ビード高さが不安定となる。
なお、上記は好ましい一例を示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
裏ビード高さのさらなる安定化と高温割れの発生防止を図る観点から、第2電極15bのアーク電圧は30V以上がより好ましく、32V以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、第2電極のアーク電圧は、40V以下がより好ましく、38V以下がさらに好ましい。
なお、上記は好ましい数値範囲を例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第2電極15bのアーク電圧を、例えば、26Vとしたり、45Vとしたりすることを何ら排除するものではない。上記数値範囲外のアーク電圧であっても、裏ビード高さを十分に安定させることができ、また、高温割れも十分に発生し難いものとすることができる。
裏ビード高さのさらなる安定化と高温割れの発生防止を図る観点から、第2電極15bの溶接電流は700A以上がより好ましい。また、同様の観点から、第2電極15bの溶接電流は1200A以下がより好ましく、1100A以下がさらに好ましい。
なお、上記は好ましい数値範囲を例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第2電極15bの溶接電流は、例えば、550Aとしたり、1400Aとしたりすることを何ら排除するものではない。上記数値範囲外の溶接電流であっても、裏ビード高さを十分に安定させることができ、また、高温割れも十分に発生し難いものとすることができる。
第2電極15bの後退角θ2は1°以上が好ましく、また、15°以下が好ましい。かかる範囲内とすることで、第2電極15bで形成される溶融池が溶接進行方向Xに押し流されにくくなる。その結果、第1電極15aで形成される溶融池の状態を阻害せず、裏ビード高さを安定させることができる。
裏ビード高さのさらなる安定化とスラグ巻込み発生防止を図る観点から、第2電極15bのワイヤ径は直径4.8mm以上がより好ましい。
本実施形態において、第3電極15cの極性は、直流、交流のいずれも使用でき、直流の場合には、直流棒プラスであるDCEPと直流棒マイナスであるDCENのいずれも使用できる。中でも、溶接金属中にワイヤの化学成分が多く歩留まるようにし、溶接金属の化学成分の歩留まりがより安定し、機械的性質を良好なものとする観点から、交流が好ましい。
なお、上記は好ましい一例を示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第3電極15cの電源特性を定電圧とすることを何ら排除するものではなく、定電圧であっても溶け込みは十分に安定し、高温割れを十分に発生し難いものとすることができる。
また、第2電極15bと第3電極15cとの距離を210mm以上とすることに合わせて第3電極15cの溶接電流を高くすることで、スラグ巻込みを防ぐことができる。このようなスラグ巻込みを防止する観点からは、第3電極15cの溶接電流は800A以上が好ましく、900A以上がより好ましい。
第3電極15cの前進角θ3は1°以上が好ましく、また、15°以下が好ましい。かかる範囲内とすることで、第3電極15cのアークは溶接進行方向Xに傾くので、第1電極15a及び第2電極15bで形成されたスラグが、第3電極15cのアーク熱で溶かされるので、ワイヤがスラグに衝突せずに済むために、アークが安定する。
裏ビード高さのさらなる安定化とスラグ巻込み発生防止を図る観点から、第3電極15cのワイヤ径は直径4.8mm以上がより好ましい。
本実施形態に係る溶接方法における電極15は、溶接進行方向Xの先頭から順に、第1電極15a~第3電極15cとなる少なくとも3つの電極を含めばよく、それ以上は任意である。
例えば図5に示すように、溶接機12の電極15は、図中矢印で示す溶接進行方向Xの先頭から順に、第1電極15a、第2電極15b、第3電極15cの3つの電極を備える。各電極15は溶接線方向に沿って配置されている。この電極15は、必要に応じてさらに図5中の破線で示す第4電極15dを含めた4つの電極を備えてもよい。
なお、上記は好ましい一例を示したに過ぎず、これに限定されるものではない。すなわち、第4電極15dやそれ以降の電極の電源特性を定電圧とすることを何ら排除するものではなく、定電圧であっても溶け込みは十分に安定し、高温割れを十分に発生し難いものとすることができる。
第1電極15aと第2電極15bの交流の位相差は、0°~90°又は275°~360°とする。なお、360°と0°とは同じである。
第1電極15aと第2電極15bの位相差を上記範囲とすることで、第3電極15c以降の電極で発生する溶接金属が、第1電極15aと第2電極15bを用いた溶接で形成する溶接金属に対し深く溶け込み、スラグ巻込み及び高温割れを発生し難くすることができる。この溶け込みの深さは、第1電極15aと第2電極15bを用いた溶接で形成する溶接金属及びスラグの表面が平滑となる影響と考えられる。
なお、第1電極15aと第2電極15bの位相差が90°超275°未満の場合には、耐スラグ巻込み性及び耐高温割れ性が劣化する。
裏ビード高さをより安定化する観点から、電極間距離L1は30mm以上がより好ましく、45mm以上がさらに好ましい。また、同様の観点から、電極間距離L1は70mm以下がより好ましく、60mm以下がさらに好ましい。
V1/V2で表される比率は、より好ましくは1.03以上であり、さらに好ましくは1.05以上である。V1/V2で表される比率の上限は特に限定されないが、実際的には1.5以下であり、好ましくは1.3以下である。
ただし、上記第1電極15aと第2電極15bの少なくとも一方は、ワイヤの突出し長さA1,A2を20mm以上とすることが好ましい。ワイヤの突出し長さA1,A2を20mm以上とすることにより、ワイヤがチップに融着しにくくなる。ワイヤの突出し長さA1,A2は25mm以上とすることがより好ましい。また、上記第1電極15aと第2電極15bの少なくとも一方は、ワイヤの突出し長さA1,A2を40mm以下とすることが好ましい。ワイヤの突出し長さA1,A2を40mm以下とすることにより、ワイヤ狙い位置のズレを生じにくくなり、溶込み及び裏ビード高さが安定する。
第2電極15bと第3電極15cの電極間距離L2は、210mm~320mmである。かかる範囲とすることで、第2電極15bと第3電極15cとの間隔が適切であるので第2電極による溶接後の冷却が適切となる。具体的には、第2電極15bによる溶接で形成されたプールが冷却されてから第3電極15cによる溶接を行うことができる。そのため、第1電極15aと第2電極15bの溶接のみで裏ビードを形成することができ、裏ビード高さが安定となる。
また、電極間距離L2が320mmを超えると、第2電極15bと第3電極15cとの間隔が大きすぎて、第2電極15bによる溶接で形成されるスラグが完全に凝固して、第2電極15bによる溶接で形成する溶接金属を覆う。そのため、第3電極15cを用いたアーク開始時に、第3電極15cのワイヤの先端が、第2電極15bによる溶接で形成される溶接金属に届かず、アークが発生しない。
また、電極間距離L2は320mm以下であればよいが、アークスタートの安定性の観点から、310mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましい。
例えば、第3電極15cと第4電極15dとの電極間距離は任意に設定できる。また、溶接速度は、例えば34cm/分~110cm/分が挙げられるが、これに限定されるものではない。
鋼板20は、特に限定されないが、例えば造船用鋼板が挙げられる。造船用鋼板の場合、長さは例えば10m~40mである。
本実施形態における溶接を行う場合、図2に示すように、鋼板20同士を突き合わせ、溶接開先部Mの位置で、断続又は連続した面内仮付がなされる。この鋼板20の始端31及び終端32には、クレータを処理するためのタブ21とタブ22が取り付けられている。
なお、図2は一実施態様に過ぎず、これに限定されるものではない。
表フラックス51の種類は特に問わないが、鉄粉入りのボンドフラックスが特に好ましい。表フラックス51中に鉄粉を含むことにより溶接金属の溶け込み深さが得られやすくなり、耐高温割れ性がより良好になる。
本実施形態に係る溶接方法を適用した多電極片面サブマージアーク溶接の概略について図1~図5を参照して説明するが、下記の方法に限定されるものではない
準備工程では、まず、図1や図2に示すようなタブ21とタブ22が取り付けられ、断続又は連続した面内仮付がされた鋼板20と鋼板20を準備する。
次に、図3に示すような裏当装置50aの裏当銅板55の上面に、図示しないフラックス供給手段により裏当フラックス52を供給する。また、図4に示すように、裏当装置50bの耐火性キャンバス56内の耐熱カバー57の上面に、図示しないフラックス供給手段により下敷フラックス58を供給し、さらにその上に裏当フラックス52を供給してもよい。
開先充填材を用いて溶接することで、仮付けビードの影響を緩和することができ、裏ビード高さをより安定させることができる。特に、開先充填材をフラックスバッキング法と組合せて用いると効果的である。
開先充填材の種類は特に問わず、鉄粉や、軟鋼のカットワイヤ等が挙げられる。
電極調整工程では、第1電極15aを交流とし、また、第1電極15a~第3電極15cの電極間距離L1、L2を上述した条件となるように調整する。なお、準備工程と電極調整工程の順序は特に規定されるものではなく、どちらの工程を先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
溶接工程では、まず、溶接装置100の溶接機12を溶接開始位置に移動させる。次に、第2電極15bを交流とし、所望する条件で溶接電流を供給して、溶接機12を作動させる。そして、鋼板20の始端31から終端32(いずれも図2参照)に向かって、図1の矢印で示すように、溶接機12を溶接機ビーム13に沿って所定速度で移動させつつ表フラックス51を供給し、鋼板20と鋼板20を溶接する。
端面に斜面を形成した2枚の鋼板について、端面を相互に対向させて突き合わせ、V字形開先を形成した。このV字形開先は、開先角が35°であり、ルートギャップが0mmである。また、鋼板の長さは1.2m、鋼板の厚さは40mmとした。
鋼板の組成、使用したワイヤの組成及び表フラックスの組成を表1に示す。
各試験例の第1電極と第2電極の交流の位相差、第2電極と第3電極の位相差、第3電極と第4電極の位相差、第2電極と第3電極との電極間距離は、それぞれ表2に示すとおりである。また、各電極のワイヤ径、外部特性、極性、溶接電流、アーク電圧、トーチの後退角・前進角及びワイヤの突出し長さ、並びに、溶接速度、第1電極と第2電極との電極間距離及び第3電極と第4電極との電極間距離は、すべての試験例で同一の条件とし、表3に示す条件とした。なお、表2と表3に示す条件以外の条件は、従来公知の条件であり、全て同一条件とした。
上記条件のうち、トーチの後退角・前進角は、図5に示すように、各電極の中心線と、溶接進行方向Xを法線とする面がなす角度で表される。なお、溶接進行方向Xと垂直である場合を0°とし、後退角の場合は溶接進行方向X側をプラスとする。前進角の場合は、溶接進行方向Xに対して反対側をプラスとする。
各溶接方法により得られた溶接試験体の裏ビードについて、高さ、標準偏差及び変動係数から裏ビード高さの安定性を評価した。
裏ビードの高さは、レーザ変位計を用い、鋼板の始端から600mm~900mmの範囲を、0.1mm間隔で計測し、その平均値を高さとした。
標準偏差は、レーザ変位計を用い、鋼板の始端から600mm~900mmの範囲を、0.1mm間隔で計測して求めた。
変動係数cvは、上記で得られた裏ビードの高さと標準偏差を用いて、(標準偏差/裏ビード高さ)として得られる値である。
裏ビード高さの安定性は、上記で得られた変動係数cvの値から下記基準で評価した。結果を表2に示す。
◎(極めて安定):cv<0.35
○(安定):0.35≦cv<0.50
×(不安定):0.50≦cv
図6に示すように、本実施形態に係る溶接方法で形成される溶接金属は、第1電極及び第2電極で形成される溶接金属60と、第3電極以降の電極で形成される溶接金属61からなる。
第1電極及び第2電極で形成される溶接金属60の組織は、デンドライトが真横に成長し高温割れが発生し易い。そのため、第3電極以降の電極で形成される溶接金属が深く溶け込み、その脆弱な組織を溶かすことで耐高温割れ性は良好となる。
そこで、断面マクロ組織から、第3電極以降の電極で形成される溶接金属61の溶け込み深さTを計測して評価した。なお、本試験例においては、第3電極以降の電極で形成される溶接金属61とは、第3電極及び第4電極で形成される溶接金属である。
○(良好):{12/(16×t)}≦T<{14/(16×t)}
×(不良):T<{12/(16×t)}、又は、T≧{16/(16×t)}
溶接金属の溶け込み幅を用いて、スラグ巻き込みの評価を行った。溶接金属の溶け込み幅は、上記耐高温割れ性の評価と同様、断面マクロ組織より評価できる。
具体的には、図6の対向する一対の矢印で示した箇所が、鋼板の下端から10mmの高さの位置の例であるが、鋼板の下端から10mmの高さにおける溶接金属の溶け込み幅から、下記基準で評価した。溶接金属の溶け込み幅が11.0mm超であればスラグ巻き込みの発生を防止できる。また、溶接金属の溶け込み幅が11.0mm以下であると、スラグ巻き込みが発生しやすい状態となる。
○(良好):溶接金属の溶け込み幅が11.0mm超
×(不良):溶接金属の溶け込み幅が11.0mm以下
具体的には、比較例1~3で得られた溶接試験体は、第1電極と第2電極の交流の位相差が本発明の範囲外であり、耐高温割れ性及び溶接金属の溶け込み幅が不良となった。
比較例5で得られた溶接試験体は、第2電極と第3電極との電極間距離が上限値を超えており、第3電極のアークが発生しなかった。そのため、評価対象とすることもできなかった。そのため、表2では評価結果はすべて「-」としている。
12 溶接機
13 溶接機ビーム
15 電極
15a 第1電極
15b 第2電極
15c 第3電極
15d 第4電極
16a~16d ワイヤ
17a~17d チップ
20 鋼板
21、22 タブ
31 始端
32 終端
50a、50b 裏当装置
51 表フラックス
52 裏当フラックス
53 スラグ
54 溶接金属
55 裏当銅板
56 耐火性キャンバス
57 耐熱カバー
58 下敷フラックス
59 エアホース
60 第1電極及び第2電極で形成される溶接金属
61 第3電極以降の電極で形成される溶接金属
100 溶接装置
A1~A4 ワイヤ突出し長さ
L1、L2 電極間距離
T 第3電極以降の電極で形成される溶接金属の溶け込み深さ
t 鋼板の板厚
Claims (6)
- 複数の電極を用いて、突き合わされた2枚の鋼板の片面を接合する多電極片面サブマージアーク溶接方法であって、
前記電極は、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極の少なくとも4つの電極を含み、
前記第1電極を溶接進行方向の先頭とし、次いで前記第2電極、前記第3電極、前記第4電極の順に各前記電極を溶接線方向に沿って配置し、
前記第1電極の極性:交流、
前記第1電極の後退角θ 1 :1°以上15°以下、
前記第2電極の極性:交流、
前記第1電極と前記第2電極の交流の位相差:0°~90°又は275°~360°、及び
前記第2電極と前記第3電極との電極間距離:210mm~320mm、
前記第4電極の電源特性:定電流又は垂下特性、
の条件で、1パスかつ1層溶接を行う、多電極片面サブマージアーク溶接方法。 - 前記第1電極のワイヤ径が直径3.2mm~6.4mmである、請求項1に記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
- 前記第2電極のワイヤ径が直径4.0mm~6.4mmであり、かつ前記第3電極のワイヤ径が直径4.0mm~6.4mmである、請求項1又は2に記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
- 前記第1電極と前記第2電極との電極間距離が25mm以上80mm未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
- 前記第1電極の電源特性が定電圧である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
- フラックスバッキング法を用いる、請求項1~4のいずれか1項に記載の多電極片面サブマージアーク溶接方法。
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