以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の情報処理システムの構成の一例を示す模式図である。情報処理システムは、ピアツーピア(P2P)のネットワーク1に接続された複数の台帳管理ノード10を備える分散台帳システム、それぞれの台帳管理ノードに接続される、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、販売管理端末70、電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、リサイクルサーバ150及び履歴情報サーバ170を備える。診断情報サーバ120には、診断方法解析端末160が接続されている。なお、電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、リサイクルサーバ150及び履歴情報サーバ170の各サーバは、便宜上区分しているのであり、各サーバが有する機能は他のサーバと統合してもよく、他のサーバに分散させてもよい。各サーバは、1台のサーバに統合してもよく、2台以上のサーバに分散させてもよい。また、分散台帳システムは、必須の構成ではなく、各端末と各サーバとで構成される、いわゆるクライアント・サーバの如く構成でもよい。
診断管理端末20は、自動車や電池のメーカ、自動車のシェアリング等の事業者の事業所やオフィス等に設置される端末である。簡易診断現場端末30は、4S店(4S)(中国のディーラー店)、シェアリング等の整備事業者の整備場やオフィス等に設置される端末である。詳細診断現場端末40は、リファービッシュや解体事業者の工場やオフィス等に設置される端末である。詳細診断管理端末50は、リサイクル事業者の工場やオフィス等に設置される端末である。電池管理端末60は、リユース運用管理者の事業所やオフィス等に設置される端末である。販売管理端末70は、電力会社等のリユース電池のユーザの事業所やオフィス等に設置される端末である。なお、本明細書で自動車又は車両は、HEV、EVであるとする。
電池情報サーバ110は、電池に関連する電池情報を記録する電池DB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、電池DBに電池情報を書き込む機能、電池DBから電池情報を読み出す機能、電地DBを更新する機能などを有する。診断情報サーバ120は、電池の劣化度合いを診断する機能を備える。また、診断情報サーバ120は、電池の診断情報を記録する診断DB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、診断DBに診断情報を書き込む機能、診断DBから診断情報を読み出す機能、診断DBを更新する機能などを有する。運用情報サーバ130は、電池の運用情報を記録する運用DB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、運用DBに運用情報を書き込む機能、運用DBから運用情報を読み出す機能、運用DBを更新する機能などを有する。販売情報サーバ140は、電池の販売関連情報を記録する販売DB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、販売DBに販売関連情報を書き込む機能、販売DBから販売関連情報を読み出す機能、販売DBを更新する機能などを有する。リサイクルサーバ150は、電池のリサイクル関連情報を記録するリサイクルDB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、リサイクルDBにリサイクル関連情報を書き込む機能、リサイクルDBからリサイクル関連情報を読み出す機能、リサイクルDBを更新する機能などを有する。履歴情報サーバ170は、電池の履歴情報を記録する履歴DB(不図示)にアクセスするためのサーバであり、履歴DBに履歴情報を書き込む機能、履歴DBから履歴情報を読み出す機能、履歴DBを更新する機能などを有する。
分散台帳システムは、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、及び販売管理端末70それぞれの各端末において実行される処理に関する情報、当該各端末から提供される情報を後述の分散台帳に記録して管理する。また、分散台帳システムは、当該各端末に分散台帳に記録した情報を提供することができる。
分散台帳システムは、電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、及びリサイクルサーバ150それぞれの各サーバにおいて実行される処理に関する情報、当該各サーバから提供される情報を分散台帳に記録して管理する。また、分散台帳システムは、当該各サーバに分散台帳に記録した情報を提供することができる。
図2は台帳管理ノード10の構成の一例を示す模式図である。台帳管理ノード10は、コンピュータ又はコンピュータシステムで構成することができる。台帳管理ノード10は、自動車や電池のメーカ、自動車のシェアリング等の事業者の事業所やオフィス等、4S店(中国のディーラー店)、シェアリング等の整備事業者の整備場やオフィス等、リファービッシュや解体事業者の工場やオフィス等、リサイクル事業者の工場やオフィス等、リユース運用管理者の事業所やオフィス等、電力会社等のリユース電池のユーザの事業所やオフィス等に設置される。なお、台帳管理ノード10は、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、又は販売管理端末70として機能してもよい。
台帳管理ノード10は、通信部11、台帳情報生成部12、台帳記録部13、台帳情報参照部14、及びデータベース15を備える。
通信部11は、ネットワーク1に接続された他の台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。通信部11は、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、及び販売管理端末70との通信を行う機能を備える。また、通信部11は、電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、及びリサイクルサーバ150との通信を行う機能を備える。
データベース15は、記録内容の書き換えが可能な不揮発性の半導体メモリや、ハードディスク等で構成することができる。データベース15は、ノードリスト151、及び分散台帳152を記録している。
ノードリスト151は、分散台帳システムにおいて適正に登録された台帳管理ノード10を識別する識別情報と対応付けて、当該台帳管理ノード10のIPアドレス及び電子証明書が登録されている。電子証明書には、各台帳管理ノード10の公開鍵及び電子署名が記録されている。新たな台帳管理ノード10が適正に登録されると、ノードリスト151に当該登録が反映される。
図3は分散台帳152の構成の一例を示す模式図である。図3に示すように、分散台帳152は、複数の台帳情報200を備える。複数の台帳情報200は、縦列接続され、いわゆるブロックチェーンを構成する。各台帳情報200は、タイムスタンプ201、直前の台帳情報のハッシュ値(「ハッシュ値」ともいう)202、及び記録情報203を有する。タイムスタンプ201は、当該台帳情報が生成された日時を示す情報である。ハッシュ値202は、直前の台帳情報に予め設定されたハッシュ関数に基づいて生成される値である。記録情報203は、台帳情報200に登録する情報の本体部分である。記録情報203には、例えば、電池ID(電池を識別するための識別情報)に対応付けて、電池の製造時点からリサイクルされるまでの期間に亘る、劣化度合いの診断、売買取引、修理再生、走行利用や定置利用等の再利用、廃棄などの各イベントの情報や、当該電池の使用履歴、当該電池の運用履歴などの情報が含まれる。
台帳情報生成部12は、通信部11を介して、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、及び販売管理端末70、並びに電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、及びリサイクルサーバ150から取得する情報を用いて、分散台帳152に記録する台帳情報200を生成する。
台帳記録部13は、他の台帳管理ノード10にて新たに生成された台帳情報200が分散台帳システムにおいて予め設定された合意規則(「コンセンサス・アルゴリズム」とも称する)を満たしているか否かを判定する。台帳記録部13は、所定の合意規則を満たす台帳情報200を分散台帳152に記録する。この場合、新たな台帳情報は、縦列接続された台帳情報200の末尾に追加される。
台帳情報参照部14は、通信部11を介して、診断管理端末20、簡易診断現場端末30、詳細診断現場端末40、詳細診断管理端末50、電池管理端末60、及び販売管理端末70、並びに電池情報サーバ110、診断情報サーバ120、運用情報サーバ130、販売情報サーバ140、及びリサイクルサーバ150から分散台帳152の内容を参照する要求を受信すると、当該要求に対応する記録情報203を分散台帳152から読み出し、読み出した記録情報203を要求元へ送信する。
図4は診断管理端末20の構成の一例を示すブロック図である。診断管理端末20は、端末全体を制御する制御部21、通信部22、記憶部23、表示パネル24、操作部25及び情報提供部26を備える。診断管理端末20は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部22は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。記憶部23は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、通信部22を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部23は、診断管理端末20内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
表示パネル24は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる。操作部25は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部25は、タッチパネル等で構成され、表示パネル24上で文字の入力操作、表示パネル24に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
情報提供部26は、通信部22を介して、電池の実績データ、最適な運用方法などの情報を台帳管理ノード10に提供することができる。情報提供部26は、電池情報、電池の診断情報、運用状態、使用履歴などの情報に基づいて、電池の運用実績を特定し、あるいは、電池の平均寿命、リサイクル率などを算出することができる。情報提供部26は、電池の運用実績、平均寿命などの情報に基づいて電池の最適な運用方法を特定することができる。
上述のように、電池、自動車等のメーカ、シェアリング等の事業者は、診断管理端末20を用いて、自社の関係する電池の残存能力情報を取得し、車両運用の方法と比較することで電池の長寿命化を可能とする運用方法を明確にすることができる。また、当該事業者は、電池がリサイクルされるまでの使用履歴をトレースすることにより、電池の適正な処理、リサイクル率などを把握することができる。
図5は簡易診断現場端末30の構成の一例を示すブロック図である。簡易診断現場端末30は、端末全体を制御する制御部31、通信部32、記憶部33、表示パネル34、操作部35及びインタフェース部36を備える。簡易診断現場端末30は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部32は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。記憶部33は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、通信部32を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部33は、簡易診断現場端末30内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
表示パネル34は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる。操作部35は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部35は、タッチパネル等で構成され、表示パネル34上で文字の入力操作、表示パネル34に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
インタフェース部36は、電池(例えば、電池パック)を接続するための複数の端子、電池を計測する際の計測切替スイッチ等を備え、電池の電流、電圧などのデータを計測することができる。ここで、電池パックは、複数の電池モジュールで構成され、各電池モジュールは、複数のセル(電池セル)が直列に、または直列かつ並列に接続されている。
制御部31は、通信部32を介して、電池の電池情報(例えば、電池が搭載された車両のメーカ名、車種、年式、電池ID、電池の計測データなど)とともに診断情報要求を診断情報サーバ120に送信することができる。診断情報サーバ120は、受信した電池情報及び計測データを用いて電池の劣化度合いを診断することができる。また、診断情報サーバ120は、販売情報サーバ140と連携することにより、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を用いて、劣化度合いを診断した電池の取引価格を求めることができる。制御部31は、通信部32を介して、診断情報サーバ120から電池の劣化度合いを示す診断結果(診断情報)、電池の取引価格を取得することができる。
4S店、シェアリング等の整備事業者は、簡易診断現場端末30を用いて、整備場に搬入された種々のメーカの自動車に搭載された種々の電池の電池残存能力を計測するため、簡易診断現場端末30に必要な車両情報を入力した後、電池を端子に接続し、複数の診断技術を用いた総合診断を行い、電池診断結果、買取価格を確認することができる。以下、多種類の電池に対応した広範な診断システムの詳細について説明する。
図6は診断情報サーバ120の構成の一例を示すブロック図である。診断情報サーバ120は、サーバ全体を制御する制御部121、通信部122、記憶部123、切替部124、登録部125、及び診断部126を備える。制御部121は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部122は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。通信部122は、例えば、簡易診断現場端末30から診断情報要求とともに、電池情報、電池の計測データを受信する。また、通信部122は、電池情報サーバ110から電池情報を取得することができる。また、通信部122は、販売情報サーバ140から電池の販売関連情報を取得することができる。
記憶部123は、ハードディスク又は半導体メモリ等で構成され、通信部122を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部123は、診断情報サーバ120内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
切替部124は、通信部122を介して取得した電池情報に基づいて、電池の劣化診断に用いる診断方式を選択的に切り替えることができる。
登録部125は、新たに開発又は設計された簡易方式の診断アルゴリズムを登録する機能を備える。登録部125は、新しい簡易方式の診断アルゴリズムの追加や古い簡易方式のアルゴリズムを更新することができる。
診断部126は、診断アルゴリズムD1(127)、診断アルゴリズムD2(128)、診断アルゴリズムD3(129)、充放電アルゴリズム135を備える。診断アルゴリズムD1~D3は、簡易方式の診断アルゴリズムであり、診断に要する時間が比較的短い、高速診断方式である。充放電アルゴリズムは、診断結果の精度は高いが診断に要する時間が比較的長い。切替部124は、電池情報、あるいはユーザが選択した診断方式に基づいて、所要の診断アルゴリズムを選択することができる。診断部126は、選択した診断アルゴリズムを用いて電池の劣化度合いを診断する。なお、図6の例では、便宜上、簡易方式の診断アルゴリズムを3つ図示しているが、診断部126は、4つ以上の診断アルゴリズムを有することができる。
図7は電池の劣化度合いを診断する診断方法の一例を示す説明図である。カテゴリが第1診断方式は、診断に要する時間が長いが診断結果の精度が高いことを特徴とし、第1診断方法は、例えば、完全充放電を用いた容量計測を行うものである。当該診断方法は、完全充放電時の放電電流積算法によるものであり、一度電池を満充電(SOC:State of Chargeが100%)まで充電した後で、SOCが0%になるまで放電させ、放電する際に電流積算法を用いて満充電容量を求め、初期満充電容量で除算してSOH(State of Health)を推定するものである。
第2診断方式は、第1診断方式よりも診断時間が短い(例えば、0.1秒~10分程度)簡易方式の診断方式である。第2診断方式は、例えば、充電曲線解析法、放電曲線解析法、内部抵抗からのテーブルルックアップ、モデルに基づく推定などの診断方式を含む。
充電曲線解析法は、初めに充電中の電池の電圧、電流、及び温度を測定し、これらのデータを充電曲線として記録し、電池の内部状態を表すパラメータの初期値を設定し、回帰計算によってパラメータの推定を行って電池の状態(例えば、電池容量)を算出するものである。
放電曲線解析法は、放電曲線を電圧で微分するなどにより特徴づけて、電池の正極と負極の各活物質の容量変化を抽出し、電池の状態(例えば、電池容量)を算出するものである。
内部抵抗からのテーブルルックアップは、SOHと内部抵抗の関係を予め取得してテーブル化し、計測した内部抵抗からテーブルルックアップでSOHを求めるものである。
モデルに基づく推定は、SOC推定で用いるモデルの中の特定のパラメータとSOHを関連付けた上で、そのパラメータを推定することにより、SOHを推定するものである。例えば、電池の満充電容量を等価回路モデル内のコンデンサの容量で表して、その容量を推定することで、SOHを求めることができる。また、ニューラルネットワークを用いてSOHを推定することも可能である。なお、診断方法は、図に例示したものに限定されない。図7に例示するような診断方法は、例えば、自動車メーカ毎、電池メーカ毎、電池の種別毎に区分して構成してもよい。例えば、自動車メーカM1、M2、M3用、及びその他の自動車メーカ用の如く区分することができる。
診断方法解析端末160は、CPU(例えば、複数のプロセッサコアを実装したマルチ・プロセッサなど)、GPU(Graphics Processing Units)、DSP(Digital Signal Processors)、FPGA(Field-Programmable Gate Arrays)などのハードウェアを備える。診断方法解析端末160は、ニューラルネットワークで構成される簡易方式の診断アルゴリズムに、診断精度の高い第1診断方式で得られたデータを学習用データとして用いることにより、診断情報サーバ120用の新たな診断アルゴリズムの生成や、簡易方式の診断アルゴリズムの再学習を行うことができる。
診断情報サーバ120(登録部125)は、第1診断方式よりも診断時間が短い第2診断方式を随時登録し、登録した第2診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断することができる。これにより、市場において、新たに投入される自動車や当該自動車に搭載される新しい電池に対してもタイムリーに劣化度合いを推定することができる。
また、診断方法解析端末160は、第1診断方式で得られたデータを学習用データとして、診断方式を解析する事業者に提供することもできる。
次に、簡易診断現場端末30での操作について説明する。簡易診断現場端末30は、電池情報入力モード、診断結果提示モード、電池評価結果モードの各モードを切り替えて表示することができる。
図8は電池情報入力モード301の一例を示す模式図である。整備事業者等の整備場に搬入された自動車に搭載された電池を簡易診断現場端末30に接続し、整備事業者等のユーザは、電池情報入力モード301を選択することにより、各種情報を入力又は選択することができる。入力又は選択する情報は、例えば、自動車のメーカ名、車種、年式、自動車の管理番号、車両番号(メーカの製造番号など)、自動車の利用状況(例えば、走行距離、使用年数、使用頻度、1日の平均走行距離など)を含む。入力する情報は、直接入力してもよく、複数の選択肢を表示して該当するものを選択してもよい。図示していないが、簡易診断現場端末30は、電池ID、電池の計測データ(例えば、電流、電圧、温度などを含めてもよい)を入力情報に含めることができる。電池IDは、例えば、電池に貼付されている二次元バーコード等を読み取ることにより入力することができる。なお、電池情報入力モード301で入力する情報は、ユーザが携帯する通信端末(例えば、スマートフォン等)から無線通信を利用して簡易診断現場端末30に送信するようにしてもよい。
簡易診断現場端末30は、入力された情報を診断情報サーバ120へ送信する。
図9は診断結果提示モード302の一例を示す模式図である。診断情報サーバ120は、入力された情報に基づいて、電池情報サーバ110から当該電池に関する電池情報を取得し、これらの情報に基づいて、電池の劣化度合いの診断に用いる診断アルゴリズムを1又は複数選択し、選択した診断アルゴリズムを用いて電池の劣化度合いを診断することができる。診断結果提示モード302は、診断結果を含む。診断結果提示モード302では、例えば、自動車の管理番号、診断方式、推奨方式、診断方式A~Cが表示される。ここで、推奨方式は、例えば、自動車メーカ、あるいは自動車メーカと紐づいている電池メーカ毎に固有の診断方式や最適な診断方式がある場合、当該診断方式を推奨方式として推奨することができる。また、電池の型番に応じて診断方式を推奨することもできる。ユーザが診断方式を選択して「診断実行」アイコンを操作することにより、選択された診断方式による診断結果1~3が表示される。診断結果(劣化度合い)は、例えば、電池の容量が何%であるか(新品の容量を100%とする)を表示することができる。一般的には、70%が容量の保証値である。また、劣化度合いを、電池の残存寿命(何年後に寿命になるか)で表示してもよい。
診断方式及び対応する診断結果の数は、ユーザが選択してもよく、予め設定された数でもよい。図9に示すように、少なくとも3つの診断方式に基づく診断結果を表示することにより、仮に診断結果がばらついた場合でも、最も確からしい診断結果を特定できる。また、電池の劣化度合いの診断を簡易診断現場端末30で行い、簡易診断現場端末30が行った診断による診断結果を分散台帳システムに送信して、診断DBや所定のDBに記録してもよい。
上述のように、電池の劣化度合いの診断方式と当該診断方式を用いたときの劣化度合いの診断結果を表示するので、自動車のユーザは、正規のディーラーに依頼しなくても自分の車に搭載されている電池の劣化度合いを簡単に把握することができる。
図10は電池評価結果モード303の一例を示す模式図である。電池評価結果モード303では、診断方式、総合結果、買取価格、詳細条件が表示される。図の例では、総合結果と買取価格の両方が表示されているが、いずれか一方のみを表示してもよい。また、総合結果に代えて、各診断方式による診断結果それぞれを表示してもよい。詳細条件は、例えば、電池の売買に関する契約条項などの情報を含む。契約条項は、例えば、売主及び買主による売買、売買代金額、支払い期限、所有権移転の時期、契約不適合責任、危険負担などを定める文言が含まれる。「実行する」アイコンを操作すると、電池の買取契約を成立させるための処理が実行され、「実行しない」アイコンを操作すると電池の売買契約は成立しない。なお、診断結果と買取価格は、いずれか一方だけを表示してもよい。
図11は電池の診断結果と買取価格とを対応付けて記録される情報の一例を示す模式図である。図11に示す情報は、例えば、診断DBに記録することができるが、他のDBに記録するようにしてもよい。図11に示すように、電池IDに対応付けて車種、年式、診断日、診断方式、診断結果(例えば、SOH)、買取価格の各情報が記録される。車種及び年式は、電池が搭載されている自動車の車種及び年式である。診断方式は、第1診断方式(完全充放電方式)又は第2診断方式(簡易方式)のいずれでもよいが、ここでは利用頻度が高いと予想される簡易方式としている。診断結果は、例えば、SOH=75%とし、診断結果等に基づいて算定された買取価格は10万円とする。なお、買取価格はあくまで説明のための例であって、これに限定されるものではない。図11に例示する情報は、分散台帳システムに記録される。
図12は比較例としての電池の買取価格の一例を示す模式図である。図12に示す比較例は、本実施の形態の第1診断方式(完全充放電方式)又は第2診断方式(簡易方式)を行うことなく決定される買取価格の例を示す。すなわち、自動車の車種や年式は様々であり、自動車に搭載される電池も自動車のメーカによって異なる場合もあり、電池の種類も様々である。そうすると、電池の劣化度合いを診断しようとしても、適切な診断方式が分からない、あるいはそもそも診断方式が確立されていない等の事情があるので、電池の買取価格を決定する際に電池の劣化度合いを判断材料とすることができない場合が多いと考えられる。このような場合、図12に示すように、電池の買取価格を、当該電池を搭載する自動車の走行距離や使用期間(新車登録から現在までの期間)などによって、決定される。また、電池の劣化度合いが分からないので市場では、買取価格をできるだけ安く設定する傾向がある。図12の例では、図11と同等の電池の買取価格を7万円としている。
上述のように、本実施の形態によれば、様々な電池の診断をワンストップで行うことができる広範な診断システムを提供することができるので、電池の買取価格の算定に、電池の劣化度合い(診断結果)を組み込むことができ、電池の市場価格の低下を抑制することができる。これにより、電池の残存価値が明確になり、電池を再利用するリース市場の拡大や創出を図ることができる。
図13は電池の買取決定後の診断結果と買取価格とを対応付けて記録される情報の一例を示す模式図である。図13に示す情報は、例えば、診断DBに記録することができるが、他のDBに記録するようにしてもよい。図13Aに示すように、電池IDに対応付けて買取価格、診断日、診断方式、診断結果(例えば、SOH)、更新後の買取価格の各情報が記録される。買取価格は、図11で例示した買取価格である。電池の買取が決定された後に、電池の診断を行うことも想定される。診断日は買取決定後の診断日である。自動車を整備工場に持ち込んで行う診断と比較して、買取決定がされた電池の診断は余裕をもって行うことが想定されるので、ここでは、電池の診断方式は完全充放電方式としている。完全充放電方式の結果、SOHは85%であったとする。図11に例示した簡易方式では、SOHが75%であった。より正確な診断方式による電池の劣化度合いが、当初の診断結果よりもあまり進行していないことが判明したとする。そうすると、買取価格は高めに設定することができるので、例えば、更新後の買取価格を12万円とすることができる。更新後の買取価格は、例えば、電池を買い取った4S店、シェアリング等の整備事業者が、リユース運用管理者(リファービッシュ・解体事業者を含めてもよい)に転売する際の取引価格となる。電池の実際の取引価格とは、更新後の買取価格でもよく、最近の市場価格(相場価格)でもよい。なお、取引単位は、電池パック単位とすることができるが、電池モジュール単位でもよく、セル単位でもよい。
また、図13Bに示すように、電池IDに対応付けて買取価格、最近の取引状況、更新後の買取価格の各情報が記録される。買取価格は、図11で例示した買取価格である。電池の買取が決定された後に、電池の取引状況が更新されることも想定される。図13Bの例では、電池ID:XXXの最近の市場価格が10.5万円~11.5万円であるとする。そうすると、当初設定した買取価格よりも市場価格の方が高いので、買取価格は高めに設定することができるので、例えば、更新後の買取価格を11万円とすることができる。図13に例示する情報は、分散台帳システムに記録される。
上述のように、電池の買取価格が決定された後でも、当該電池を再度診断すること、あるいは市場価格が変動することも考えられ、これらの要因を考慮して買取価格を更新することにより、電池の残存価値をより一層明確化することができる。
上述のように、電池の劣化度合いの診断結果及び取引価格が表示されるので、ユーザは、自身が保有する電池の市場価値を容易に把握することができる。また、上述のように、電池の取引に関する契約条項を表示し、電池の取引の可否を受け付けるように構成することにより、電池の取引を容易に行うことができ、市場価値が十分に残存している電池の流通を促進することができる。
電池の取引価格(買取価格)の算定方式は、例えば、以下のような式で求めることができる。すなわち、取引価格C=(a+b+c+d+e)×C0 ここで、aは劣化度合い、すなわちSOH(健全度)に対する重み係数である。SOHが大きいほどaの値を大きくすることができる。bは診断方式に対する重み係数である。例えば、診断方式が1つの簡易方式の場合、複数の簡易方式による総合診断の場合、完全充放電方式の場合のそれぞれの重み係数をb1、b2、b3とすると、b1<b2<b3のように設定できる。診断方式の信頼性が高くなるほどb(b1、b2、b3)の値を大きくすることができる。cは自動車メーカや電池メーカのブランド力に対する重み係数であり、ブランド力が大きいほどcの値を大きくすることができる。dは電池の使用期間に対する重み係数であり、使用期間が短いほどdの値を大きくすることができる。eは電池の取引状況を反映する重み係数であり、市場価格が高いほどeの値を大きくすることができる。なお、重み係数a~eは、適宜正規化すればよい。取引価格は、機械学習によって生成された学習済みモデルを用いて算定してもよい。前述の重み係数は、固定的なものではない。例えば、診断結果に関する情報が収集されることにより、一層適正な買取価格を算定すべく、重み係数を修正することもでき、また学習済みモデルを再学習することもできる。
上述のように、診断情報サーバ120は、電池に関する電池情報(電池関連情報)を取得し、取得した電池情報、及び電池の劣化度合いを診断する複数の診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断し、診断した劣化度合い及び劣化度合いに応じた電池の取引価格の少なくとも一方を出力することができる。診断情報サーバ120は、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を用いて、診断した劣化度合いに応じた電池の取引価格を算出することができる。
また、診断情報サーバ120は、複数の診断方式を用いて診断された各劣化度合い対して所定の演算を行って、電池の劣化度合い(総合結果)を診断することができる。所定の演算は、例えば、複数の診断結果の平均値でもよく、中央値でもよい。
市場には種々の自動車メーカが存在し、搭載される電池も多種多様であり、これら種々の電池の容量を的確に推定する手法は従来確立されていない。本実施の形態では、診断対象の電池の電池情報を取得し、当該電池に適用可能な診断アルゴリズムを複数選択して劣化度合いを推定するので、自動車のユーザが使用中の各メーカの自動車に搭載されている種々の電池の劣化度合いを推定することができる。これにより、自動車のユーザは、正規のディーラーに依頼しなくても自分の車に搭載されている電池の劣化度合いを簡単に把握することができる。また、業界全体の観点から見ると、市場で使用中の自動車の電池の容量を評価する手法を確立することができる。
本実施の形態では、買取価格が表示されるので、自動車のユーザは、自動車の電池を今交換すれば、どの程度の金額を差し引いて新しい電池に交換できるのか判断することができ、同時に整備事業者も電池の取引価格を把握することができる。一般的に電池の劣化度合いが小さいほど、電池の市場価値は高いので、市場価値が無くならないタイミングで電池を走行利用や定置利用など再利用することができ、市場価値がある電池を十分に利用する機会を提供することが可能となる。
図14は詳細診断現場端末40の構成の一例を示すブロック図である。詳細診断現場端末40は、端末全体を制御する制御部41、通信部42、記憶部43、電池パック診断部44、表示パネル45、操作部46及びセル診断部47を備える。詳細診断現場端末40は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部42は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。通信部42は、電池情報サーバ110から対象の電池の電池情報を取得することができる。また、通信部42は、診断情報サーバ120から対象の電池の診断情報を取得することができる。
記憶部43は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、通信部42を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部43は、詳細診断現場端末40内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
表示パネル45は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる。操作部46は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部46は、タッチパネル等で構成され、表示パネル45上で文字の入力操作、表示パネル45に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
電池パック診断部44は、修理再生(リファービッシュ等)の対象となる電池パックの状態を診断する機能を備える。電池パックを所要の端子に接続することにより、電池の電圧、電流、温度、SOC(State of Charge)などを計測することができる。電池パック診断部44は、前述の完全充放電時の放電電流積算法による第1診断方式を用いて電池パックの劣化度合いを推定することができる。また、電池パック診断部44は、前述の第2診断方式による診断も行うことができる。
セル診断部47は、対象の電池パックをセルに分けた後、セル単位で電圧、電流、温度、SOC(State of Charge)などを計測することができる。セル診断部47は、前述の完全充放電時の放電電流積算法による第1診断方式を用いて電池パックの劣化度合いを推定することができる。なお、セル毎に搭載されているメモリにセルの状態(例えば、電圧、電流、温度などの時系列データ)を記録することができるセルの場合、セル診断部47は、セル内のメモリからデータを読み取ってセルの劣化度合いを推定できる。また、詳細診断現場端末40は、セル診断部47で得られたデータを学習用データとして、診断方式を解析する事業者に提供することもできる。
詳細診断現場端末40(制御部41)は、通信部42を介して、車両から取り外された電池に関する電池情報を電池情報サーバ110から取得し、電池の劣化度合いを示す診断情報を診断情報サーバ120から取得し、取得した電池情報及び診断情報に基づいて修理再生の可否を判定することができる。例えば、劣化度合いを示すSOHが所定の閾値以下であれば、修理再生不可とすることができる。ここで、閾値は、例えば、電池が定置利用として利用することができない程度の値とすることができる。
詳細診断現場端末40は、修理再生対象の電池又は修理再生した修理再生電池に関する電池情報を電池情報サーバ110から取得し、取得した電池関連情報、完全充放電時の放電電流積算法による第1診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断し、診断結果を診断情報サーバ120に送信して診断DBに記録することができる。
詳細診断現場端末40は、所要の診断方式を用いて、修理再生対象の電池に含まれる複数のセルそれぞれの劣化度合いを診断し、診断結果を診断情報サーバ120に送信して診断DBに記録することができる。
リファービッシュ・解体事業者は、詳細診断現場端末40を用いて、修理再生(リファービッシュ等)の対象となる電池の電池情報、診断情報をそれぞれ電池情報サーバ110、診断情報サーバ120から取得することができる。リファービッシュ・解体事業者は、詳細診断現場端末40を用いて、電池パックの事前診断状況を確認するとともに、さらにセル単位での詳細診断を行うことができる。リファービッシュ・解体事業者によって行われた詳細診断結果は、診断情報サーバ120によって診断DBに記録される。また、リファービッシュ・解体事業者によって電池の修理再生(例えば、電池パック内の一部の不良セルを交換する場合、良品と判断されたセルを集めてリパックして電池パックを組み上げる場合など)が行われた場合、修理再生した修理再生電池に関する電池関連情報を診断情報サーバ120に送信して診断DBに記録することができる。
図15は電池が修理再生された場合に記録される情報の一例を示す模式図である。図15に示す情報は、例えば、診断DBに記録することができるが、他のDBに記録するようにしてもよい。図15に示すように、電池IDに対応付けて修理再生日、修理再生前の診断結果、修理再生前診断の診断方式、修理再生内容、修理再生後の診断結果、修理再生後診断の診断方式の各情報が記録される。図15の例では、修理再生前の診断方式は完全充放電方式であり、その診断結果はSOHが75%であるとする。修理再生内容は、電池パックの交換やセルの交換などとすることができるが、ここでは、セル交換としている。なお、図示していないが、交換したセルの数、電池に組み込まれたセルのセルID、電池から取り外されたセルのセルID、個々のセルの診断結果などを記録してもよい。修理再生後の診断方式は完全充放電方式であり、その診断結果はSOHが85%であるとする。不良のセルを取り外し、良品のセルと交換することにより、電池のSOHが高くなり、電池の残存価値を向上させることができる。また、図15の他の例では、修理再生前の診断方式は完全充放電方式であり、その診断結果はSOHが40%であるとする。閾値が45%とすると、SOHが閾値以下なので、修理再生不可と判断され、当該電池は、例えば、リサイクル事業者に送られる。
図16は詳細診断管理端末50の構成の一例を示すブロック図である。詳細診断管理端末50は、端末全体を制御する制御部51、通信部52、記憶部53、表示パネル54、操作部55及びインタフェース部56を備える。詳細診断管理端末50は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部52は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。通信部52は、電池情報サーバ110から電池情報(例えば、廃棄対象の電池に関する情報)を取得することができる。通信部52は、診断情報サーバ120から、廃棄対象の電池の診断情報を取得することができる。
記憶部53は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、通信部52を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部53は、詳細診断管理端末50内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
表示パネル54は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる。操作部55は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部55は、タッチパネル等で構成され、表示パネル54上で文字の入力操作、表示パネル54に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
インタフェース部56は、電池(例えば、電池パック)を接続するための複数の端子、電池を計測する際の計測切替スイッチ等を備え、電池の電流、電圧などのデータを計測することができる。インタフェース部56には、廃棄対象の電池を接続することができる。
制御部51は、インタフェース部56を介して、廃棄対象の電池を計測し、例えば、残存容量の計測、残存容量がある場合、電池を所定の放電電流値で完全に放電させることができる。これにより、電池を廃棄するために電池を分解する際の感電を防止できる。
リサイクル事業者は、詳細診断管理端末50を用いて、廃棄対象の電池情報(例えば、電池の製造時の成分情報に基づく廃棄電池に含まれるレアメタル成分に関する情報など)を取得するとともに、当該電池の診断情報を取得して確認することができる。レアメタル成分は、例えば、電池DBから取得することができる。また、リサイクル事業者は、詳細診断管理端末50を用いて、電池の取り扱い方法を確認し、電池に含まれるレアメタルの成分に合わせて精錬等を行うことができる。リサイクルの際には、レアメタル成分に応じて廃棄電池を分別し、成分が類似する廃棄電池を集めてリサイクル処理を行うことができる。
詳細診断管理端末50は、廃棄された廃棄電池に含まれるレアメタル成分に応じたリサイクル処理の内容をリサイクルサーバ150に送信することができる。リサイクルサーバ150は、リサイクルの内容をリサイクルDBに記録することができる。
図17は電池がリサイクルされた場合に記録される情報の一例を示す模式図である。図17に示す情報は、例えば、リサイクルDBに記録することができるが、他のDBに記録するようにしてもよい。図17に示すように、電池IDに対応付けてリサイクル完了日、リサイクル業者、電池種別、レアメタル成分、リサイクル方式などの情報が記録される。電池種別は、例えば、リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリなどの種別を示す。レアメタル成分は、例えば、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンなどを含む。リサイクル方式は、レアメタル成分に応じたリサイクル処理を行うことができる。例えば、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンなどの成分比率、最も多い成分などに応じてリサイクル方式を決定することができる。また、リサイクル方式は、電池種別に応じて最適な方式が決定され、実際に行われた方式が記録される。これにより、ユーザは、当該電池のリサイクルに関する情報を把握することができる。
詳細診断管理端末50は、リサイクル処理の内容を、電池の製造者又は自動車の製造者の端末装置に送信してもよい。リサイクル処理の内容は、例えば、電池の素材名(例えば、鉄鋼、アルミニウム、銅、樹脂、LiNiO2など)の重量に対してリサイクル処理重量(リサイクル及び廃棄物量)、リサイクル率などを含めることができる。これにより、自動車メーカ、電池メーカそれぞれの電池のリサイクル率、処理重量などを俯瞰的に把握できるようになる。
図18は電池管理端末60の構成の一例を示すブロック図である。電池管理端末60は、端末全体を制御する制御部61、通信部62、記憶部63、表示パネル64、操作部65及び情報提供部66を備える。電池管理端末60は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などで構成することができる。
通信部62は、台帳管理ノード10との通信を行う機能を備える。通信部52は、電池情報サーバ110から電池情報(例えば、再利用された電池に関する情報)を取得することができる。通信部52は、診断情報サーバ120から、再利用電池の診断情報を取得することができる。また、通信部52は、運用情報サーバ130から、再利用電池の運用情報を取得することができる。
ここで、再利用された電池は、例えば、定置利用された電池とすることができる。当該電池の診断情報は、電池が設置された設備(例えば、電力事業者の電源設備、通信事業者の基地局など)に併設された診断装置によって取得することができ、当該診断装置から診断情報が診断情報サーバ120に送信されて診断DBに記録される。運用情報も、電池が設置された設備に併設された管理装置によって取得することができ、当該管理装置から運用情報が運用情報サーバ130に送信されて運用DBに記録される。
記憶部63は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、通信部62を介して取得した情報を記憶することができる。また、記憶部63は、電池管理端末60内の処理結果などの所要の情報を記憶することができる。
表示パネル64は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成することができる。操作部65は、例えば、キーボード、マウス等で構成することができる。また、操作部65は、タッチパネル等で構成され、表示パネル64上で文字の入力操作、表示パネル64に表示されたアイコン、画像又は文字等に対する操作を行うようにしてもよい。
情報提供部66は、通信部62を介して取得した、再利用電池の運用状態及び診断情報(例えば、劣化度合い)を保険会社に提供するための情報を生成することができる。
電池管理端末60は、車載用の電池を再利用した再利用電池に関する電池情報を電池情報サーバ110から取得し、取得した電池情報に応じた診断方式を用いて、診断した再利用電池の劣化度合いを診断情報サーバ120に送信して診断DBに記録することができる。この場合、電池の診断には、診断情報サーバ120の機能を用いればよい。
図19は電池が再利用された場合に記録される情報の一例を示す模式図である。図19に示す情報は、例えば、運用DBに記録することができるが、他のDBに記録するようにしてもよい。図19に示すように、電池IDに対応付けて再利用事業者、再利用場所、再利用期間、再利用中の診断日、診断結果などの情報が記録される。再利用事業者は、事業者の名称でもよくID等でもよい。再利用事業者は、再利用が走行利用であれば、自動車の所有者(ユーザ)や自動車を運用している業者などであり、再利用が定置利用であれば、電力会社、電源設備会社、通信事業者などの事業者である。再利用場所は、例えば、XX工場蓄電池、OO発電所蓄電池、OX会社電気自動車、OO市XX氏(個人)のような内容とすることができる。再利用期間は、当該電池の利用期間を示す。再利用中の診断日は、利用期間中に再度、劣化度合いの診断が行われた場合、その診断日を示す。診断結果は、例えば、SOHであり、図の例では、60%となっている。所要の航続距離を必要とする自動車には搭載できないが、定置用であれば十分に再利用することが可能であり、電池の高付加価値サービスの提供が可能となる。
電池管理端末60は、再利用電池の運用状態を運用情報サーバ130から取得し、再利用電池の劣化度合いを診断情報サーバ120から取得し、取得した運用状態及び劣化度合いを保険会社に提供することができる。
上述のように、リユース運用管理者は、電池管理端末60を用いて、再利用対象の電池をリユース電池ユーザに提供した後、当該再利用電池の継続的な診断を行い、再利用電池の品質管理を行うことができる。また、リユース運用管理者は、再利用電池の運用状態及び診断情報(例えば、劣化度合い)を保険会社に所要のタイミングで提供することができる。
販売管理端末70は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。リユース電池ユーザは、販売管理端末70を用いて、車載用の電池を再利用(例えば、定置利用、走行利用)するため電池の取引を行ったときの取引価格(買取価格)を入力する。販売管理端末70は、入力された取引価格を販売情報サーバ140に送信する、販売情報サーバ140は、取引価格を含む取引情報を取引DBに記録することができる。
販売情報サーバ140は、劣化度合いが診断された電池の実際の取引価格を取引DBに記録し、取引DBに記録した取引価格に基づいて、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を決定することができる。算定方式は、例えば、以下のような式で求めることができる。すなわち、取引価格C=(α+β+γ)×C0 ここで、αは劣化度合い、すなわちSOH(健全度)に対する重み係数、βは自動車メーカや電池メーカのブランド力に対する重み係数、γは電池の使用期間に対する重み係数、C0は基準取引価格である。SOHが高いほど、係数αを大きくすることができ、ブランド力が高いほど、係数βを大きくすることができ、電池の使用期間が短いほど、係数γを大きくすることができる。種々の電池を再利用対象として購入したユーザから、種々の電池の取引価格を収集することにより、市場における電池の価格変動が分かる。価格変動に応じて算定方式を随時調整することにより、市場の取引事情を考慮した算定方法を決定することができ、算定方式の精度を向上させることができる。
次に、分散台帳システムを用いた広範な診断システムのプラットフォーム化について説明する。
図20は簡易診断現場端末30と分散台帳システムとの間の処理の一例を示すフロー図である。「4S店、シェアリング等の整備事業者」は、簡易診断現場端末30を用いるので、以下、簡易診断現場端末30を主体として説明する。以下、S1~S11の処理について説明する。
S1:簡易診断現場端末30は、電池情報が入力される。ここでは、整備対象の電池パックID:001の電池情報が入力される。入力される電池情報は、図8に例示した情報とすることができる。
S2:簡易診断現場端末30は、診断情報要求を分散台帳システムに送信する。簡易診断現場端末30は、診断情報要求とともに、入力された電池情報(電池ID、電池の計測データを含む)を分散台帳システムに送信することができる。
S3:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、診断情報サーバ120に対して、診断要求を送信する。ここで、診断情報サーバ120は、取得した電池情報、及び電池の劣化度合いを診断する複数の診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断することができる。なお、電池の劣化度合いの診断を簡易診断現場端末30で行い、簡易診断現場端末30が行った診断による診断結果を分散台帳システムに送信して、診断DBや所定のDBに記録してもよい。
S4:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、診断情報サーバ120から診断結果(電池の劣化度合いの推定結果)を取得する。
S5:分散台帳システムは、診断結果を分散台帳152に記録する。
S6:分散台帳システムは、診断結果に応じた買取価格を算出する。なお、ここでは、分散台帳システムは、診断情報サーバ120又は販売情報サーバ140に対して、買取価格の算出を依頼し、診断情報サーバ120又は販売情報サーバ140が算出した買取価格を取得するものとする。
S7:分散台帳システムは、診断結果、買取価格を簡易診断現場端末30に通知する。ここで、簡易診断現場端末30は、図10に例示した情報を表示することができる。また、この時点では、図11に例示した情報が診断DB又は所定のDBに記録されている。
S8:簡易診断現場端末30で買取決定の操作がされる。
S9:簡易診断現場端末30は、取引情報の記録要求を分散台帳システムに送信する。
S10:分散台帳システムは、取引情報を分散台帳152に記録する。
S11:分散台帳システムは、認定情報(認定日、正規査定フラグなど)を生成して分散台帳152に記録する。また、この時点以降では、図13に例示した情報が診断DB又は所定のDBに記録されている。
上述のように、車載用の電池に対して予め登録されている診断方式による劣化度合いの診断が行われた場合、かつ、取引価格で取引が行われた場合、電池を識別する識別情報(例えば、電池ID)に対応付けた認定情報(認定日、正規査定)を分散台帳152に記憶することができる。この場合、電池IDに対応付けて、4S店、シェアリング等の整備事業者のIDを分散台帳152に記憶してもよい。認定情報は、診断システムのプラットフォームにおいて、正規の事業者による正規の診断方式、正規の取引が行われたことを証明することができる情報であれば、どのような形式でもよい。認定情報は、事業者に対する認定情報と、電池に対する認定情報の両方を含む。
台帳管理ノード10が実行する処理は、スマートコントラクトによって実現することができる。すなわち、予め登録されている診断方式で電池の劣化度合いを診断し、予め登録されている売買条件で取引が行われると、仲介者を挟むことなく、電池ID、事業者ID(事業者を識別する識別符号)に対して正規査定のフラグが設定され、例えば、当該電池IDの電池の認定数、当該事業者IDの事業者の認定数に1が加算されるように、自動的にプログラムが実行される。
認定情報には、認定レベル(例えば、レベル1~5の如く)を含めることができる。事業者に対する認定情報の場合、当該事業者による処理(診断、売買などのイベント)の数(認定数)や、一定期間内の認定数などに応じて認定レベルを決定することができる。電池に対する認定情報の場合、例えば、当該電池を取り扱った1又は複数の事業者の認定レベル(例えば、平均値)に応じて決定してもよい。また、電池の認定レベルについては、1つの診断方式で診断された電池よりも、複数の診断方式で診断された電池の方が認定レベルを高くすることができる。また、簡易方式の第2診断方式で診断された電池よりも、完全充放電に基づく第1診断方式で診断された電池の方が認定レベルを高くすることができる。これにより、取引される電池の信用度を反映することができる。また、診断システムのプラットフォームに加入している事業者の信用度を反映することができる。また、電池に対する認定レベルについては、例えば、正規の(認定された)4S店、シェアリング等の事業者、リファービッシュ・解体事業者、リユース運用管理者、リサイクル事業者を通じてリサイクルされた場合には、それぞれの事業者での処理に対応してポイントが加算され、一部の事業者が正規ではない場合には、ポイントを加算しないようにすることができる。電池ID毎に付与された認定レベルは、例えば、自動車メーカ又は電池メーカの認定レベルとして集計される。
図21は詳細診断現場端末40と分散台帳システムとの間の処理の一例を示すフロー図である。「リファービッシュ・解体事業者」は、詳細診断現場端末40を用いるので、以下、詳細診断現場端末40を主体として説明する。以下、S31~S41の処理について説明する。
S31:詳細診断現場端末40は、電池IDが入力される。ここでは、車両から取り外された、修理再生対象の電池パックID:002の電池IDが入力される。
S32:詳細診断現場端末40は、入力された電池IDに関する電池情報要求・診断情報要求を分散台帳システムに送信する。
S33:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、電池情報サーバ110に対して、電池情報要求を送信し、電池情報サーバ110から当該電池IDに関する電池情報を取得する。
S34:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、診断情報サーバ120に対して、診断情報要求を送信し、診断情報サーバ120から当該電池IDに関する診断情報を取得する。
S35:分散台帳システムは、取得した電池情報・診断情報を詳細診断現場端末40に通知する。
S36:詳細診断現場端末40は、修理再生(リファービッシュ等)の対象となる電池パックの状態を診断する。
S37:詳細診断現場端末40は、対象の電池パックをセルに分けた後、セル単位で電圧、電流、温度、SOCなどを計測する、セル診断を行う。ここで、良品のセルと不良品のセルとを層別することができる。
S38:リファービッシュ・解体事業者は、電池の修理再生を行い、修理再生の内容を特定できる情報を詳細診断現場端末40に入力する。
S39:詳細診断現場端末40は、修理再生した電池の電池情報(例えば、交換したセル、交換したモジュールなど)の記録要求を分散台帳システムに送信する。なお、図示していないが、リファービッシュ・解体事業者は、修理再生後の電池を、例えば、完全充放電時の放電電流積算法による第1診断方式を用いて診断し、診断結果を診断情報サーバ120に送信して診断DBに記録するようにしてもよい。
S40:分散台帳システムは、修理再生した電池の電池情報を分散台帳152に記録する。また、この時点では、図15に例示した情報が診断DB又は所定のDBに記録されている。
S41:分散台帳システムは、認定情報(認定日、正規査定フラグなど)を生成して分散台帳152に記録する。
認定情報には、認定レベル(例えば、レベル1~5の如く)を含めることができる。例えば、事業者による処理(修理再生の取り扱い件数)の数(認定数)や、一定期間内の認定数などに応じて認定レベルを決定することができる。
図20の場合と同様、台帳管理ノード10が実行する処理は、スマートコントラクトによって実現することができる。
上述のように、詳細診断現場端末40は、車両から取り外された電池に関する電池情報を電池情報サーバ110(電池DB)から取得し、電池の劣化度合いを診断情報サーバ120(診断DB)から取得し、取得した電池情報及び劣化度合いに基づいて修理再生の可否及び診断方法の少なくとも一方を判定してもよい。
また、詳細診断現場端末40は、所要の診断方式を用いて、修理再生対象の電池に含まれる複数のセルそれぞれの劣化度合いを診断し、診断結果を診断情報サーバ120(診断DB)に記録してもよい。
また、詳細診断現場端末40は、修理再生した修理再生電池に関する電池情報を電池情報サーバ110(電池DB)に記録してもよい。
電池の修理再生が行われた場合、当該電池の電池IDに対応付けて、修理再生を実施したリファービッシュ・解体事業者(事業者ID)、修理再生の内容(例えば、交換されたセルの数、セルID、交換されたモジュールの数、モジュールIDなど)、修理再生後の診断結果(最終診断情報)を分散台帳システムに記憶してもよい。
図22は電池管理端末60と分散台帳システムとの間の処理の一例を示すフロー図である。「リユース運用管理者」は、電池管理端末60を用いるので、以下、電池管理端末60を主体として説明する。以下、S51~S61の処理について説明する。
S51:電池管理端末60は、再利用電池の電池情報要求を分散台帳システムに送信する。
S52:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、電池情報サーバ110に対して、電池情報要求を送信し、電池情報サーバ110から再利用電池の電池情報を取得する。
S53:分散台帳システムは、取得した電池情報を電池管理端末60に通知する。
S54:電池管理端末60は、再利用電池の運用状態要求を分散台帳システムに送信する。
S55:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、運用情報サーバ130に対して、運用状態要求を送信し、運用情報サーバ130から再利用電池の運用状態を取得する。
S56:分散台帳システムは、取得した運用状態を電池管理端末60に通知する。
S57:電池管理端末60は、再利用電池の診断を行う。ここでは、電力会社の電源設備に定置用として組み込まれた再利用電池を診断する診断装置から診断結果を取得することができる。また、診断装置は、再利用された電池の電池情報に応じて適宜の診断方式を用いることができる。
S58:電池管理端末60は、診断結果の記録要求を分散台帳システムに送信する。
S59:分散台帳システムは、再利用電池の診断結果を分散台帳152に記録する。また、この時点では、図19に例示した情報が運用DB又は所定のDBに記録されている。
S60:分散台帳システムは、認定情報(認定日、正規査定フラグなど)を生成して分散台帳152に記録する。
認定情報には、認定レベル(例えば、レベル1~5の如く)を含めることができる。例えば、リユース運用管理者による、再利用電池の個数、運用実績期間、再利用事業者の数、認定数や、一定期間内の認定数などに応じて認定レベルを決定することができる。
S61:電池管理端末60は、再利用電池の運用状態、診断結果を所要のタイミングで保険会社に報告する。
図20の場合と同様、台帳管理ノード10が実行する処理は、スマートコントラクトによって実現することができる。
上述のように、電池管理端末60は、車載用の電池を再利用した再利用電池に関する電池情報を電池情報サーバ110(電池DB)から取得し、取得した電池情報に応じた診断方式を用いて、診断した再利用電池の劣化度合いを診断情報サーバ120(診断DB)に記録してもよい。
また、電池管理端末60は、再利用電池の運用状態を運用情報サーバ130(運用DB)から取得し、再利用電池の劣化度合いを診断情報サーバ120(診断DB)から取得し、取得した運用状態及び劣化度合いを保険会社の端末装置に出力してもよい。
図23は詳細診断管理端末50と分散台帳システムとの間の処理の一例を示すフロー図である。「リサイクル事業者」は、詳細診断管理端末50を用いるので、以下、詳細診断管理端末50を主体として説明する。以下、S71~S80の処理について説明する。
S71:多数の廃棄対象の電池(図では、電池ID:00X、00Y、00Z、…)がリサイクル事業者に持ち込まれたとする。詳細診断管理端末50は、廃棄対象の電池の電池情報要求を分散台帳システムに送信する。
S72:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、電池情報サーバ110に対して、電池情報要求を送信し、電池情報サーバ110から廃棄対象の電池の電池情報を取得する。
S73:分散台帳システムは、取得した電池情報を詳細診断管理端末50に通知する。
S74:詳細診断管理端末50は、廃棄対象の電池の計測を行う。ここでは、電池の残存容量の計測を行う。残存容量がある場合、電池を所定の放電電流値で完全に放電させることができる。これにより、電池を廃棄するために電池を分解する際の感電を防止できる。
S75:詳細診断管理端末50は、廃棄対象の電池情報(例えば、電池の製造時の成分情報に基づく電池に含まれるレアメタル成分)に基づいて、多数の廃棄対象の電池のレアメタル成分を判定する。
S76:詳細診断管理端末50は、廃棄電池の分別を行う。ここでは、廃棄電池の分別を行うプログラムを予めインストールしておき、それぞれの廃棄対象の電池のレアメタル成分の多少に応じて、成分が類似する電池を同じグループに区分することにより、廃棄電池の分別を支援することができる。
S77:リサイクル事業者は、精錬を行う。
S78:詳細診断管理端末50は、リサイクル完了の記録要求を分散台帳システムに送信する。
S79:分散台帳システムは、リサイクル完了を分散台帳152に記録する。また、この時点では、図17に例示した情報がリサイクルDB又は所定のDBに記録されている。
S80:分散台帳システムは、認定情報(認定日、正規査定フラグなど)を生成して分散台帳152に記録する。
認定情報には、認定レベル(例えば、レベル1~5の如く)を含めることができる。例えば、リサイクル事業者による、リサイクル処理重量(リサイクル及び廃棄物量)、リサイクル率、認定数や、一定期間内の認定数などに応じて認定レベルを決定することができる。
図20の場合と同様、台帳管理ノード10が実行する処理は、スマートコントラクトによって実現することができる。
上述のように、詳細診断管理端末50は、廃棄された廃棄電池に含まれるレアメタル成分に応じたリサイクル処理の内容をリサイクルサーバ150(リサイクルDB)に記録してもよい。
また、詳細診断管理端末50は、リサイクル処理の内容を、電池の製造者又は車両の製造者に提供してもよい。
電池のリサイクルが行われた場合、当該電池の電池IDに対応付けて、リサイクル事業者によるリサイクル処理の内容を分散台帳システムに記憶してもよい。
図24は診断管理端末20と分散台帳システムとの間の処理の一例を示すフロー図である。「メーカ、シェアリング事業者」は、診断管理端末20を用いるので、以下、診断管理端末20を主体として説明する。以下、S91~S99の処理について説明する。
S91:診断管理端末20は、電池の電池情報要求、診断情報要求、運用状態要求、使用履歴要求を分散台帳システムに送信する。
S92:分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、電池情報サーバ110に対して、電池情報要求を送信し、電池情報サーバ110から電池情報を取得する。分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、診断情報サーバ120に対して、診断情報要求を送信し、診断情報サーバ120から診断情報を取得する。分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、運用情報サーバ130に対して、運用状態要求を送信し、運用情報サーバ130から電池の運用状態を取得する。分散台帳システムは、台帳管理ノード10を介して、リサイクルサーバ150に対して、使用履歴要求を送信し、リサイクルサーバ150から電池の使用履歴を取得する。なお、ここでは、電池の使用履歴をリサイクルDBに記録しているが、他のDBに記録してもよい。
S93:分散台帳システムは、電池の電池情報、診断情報、運用状態、使用履歴を診断管理端末20に通知する。
S94:診断管理端末20は、電池の運用実績を特定する。
S95:診断管理端末20は、特定した運用実績に基づいて、電池の平均寿命、リサイクル率を算出する。
S96:診断管理端末20は、算出した平均寿命、運用実績、診断情報などに基づいて、当該電池の最適な運用方法を特定する。ここで、最適な運用方法は、電池の種別に応じて異なる場合があり、また、同種の電池でも、電池の運用計画(例えば、1日の充放電プラン、充放電量などの負荷パターン)に応じて異なる場合がある。
S97:診断管理端末20は、電池の実績データ、最適な運用方法を分散台帳システムに対して提供する。
S98:分散台帳システムは、提供された情報を分散台帳152に記録する。
S99:分散台帳システムは、認定情報(認定日、正規査定フラグなど)を生成して分散台帳152に記録する。
認定情報には、認定レベル(例えば、レベル1~5の如く)を含めることができる。例えば、メーカ、シェアリング事業者による、情報提供の件数や情報量、リサイクル率、認定数や、一定期間内の認定数などに応じて認定レベルを決定することができる。
図20の場合と同様、台帳管理ノード10が実行する処理は、スマートコントラクトによって実現することができる。
本実施の形態によれば、種々の電池の電池情報、診断情報、運用状態、使用履歴が共通のプラットフォームの下に共有されるので、自社の電池だけでなく、他社の電池についても最適な運用方法を顧客に提案することができる。また、診断システムのプラットフォームに加入する自動車メーカや電池メーカは、自社に対する認定数や、自社が製造販売する電池に対する認定数が多くなれば、市場における評価が高くなり優位性を持つことが可能となる。
次に、分散台帳システムによって提供される情報の表示例について説明する。
図25は事業者の評価情報表示画面311の一例を示す模式図である。ここで、事業者は、診断システムのプラットフォームに加入する、前述の電池や自動車等のメーカ・シェアリング等の事業者、4S店・シェアリング等の整備事業者、リファービッシュ・解体事業者、リサイクル事業者、リユース運用管理者、リユース電池ユーザのいずれの種別の事業者でもよい。
評価情報表示画面311において、事業者は、事業者種別、事業者名を入力することができる。事業者種別、事業者名の入力は、直接入力してもよく、リストを表示し、リストから選択してもよい。「決定」アイコンを操作すると、入力した事業者の評価情報が表示される。評価情報は、例えば、総合評価、事業期間、認定総数、過去1年間の認定数などを含むが、これらに限定されるものではない。総合評価は、例えば、5段階で表され、星の数で評価値(図の例では、4.5ポイント)を表示することができる。「詳細」アイコンを操作すると、以下のように、認定内容を表示することができる。
図26は認定情報表示画面312の一例を示す模式図である。認定情報は、認定日、及び認定内容がリスト形式で表示することができる。表示順序は、日付け順など、適宜変更できるようにしてもよい。認定内容は、イベント(例えば、診断、売買、修理再生、再利用、リサイクルなど)の具体的な内容とすることができる。絞り込み条件は、認定情報の数が多い場合、例えば、最新の50件、年月日の範囲などの条件を設定する欄であり、絞り込み条件を設定して、「実行」アイコンを操作することにより、認定情報を絞り込むことができる。
図27は評価情報検索画面313の一例を示す模式図である。図の例では、検索条件として、事業者種別(メーカ・シェアリング等の事業者、4S店・シェアリング等の整備事業者、リファービッシュ・解体事業者、リサイクル事業者、リユース運用管理者、リユース電池ユーザ)、総合評価がOO以上、認定数がOO以上の如く条件を設定することができる。なお、検索条件は図の例に限定されない。検索条件を設定して、「検索」アイコンを操作することにより、例えば、図25に例示した評価情報の如く情報を表示することができる。
図28は評価情報ランキング画面314の一例を示す模式図である。評価情報ランキング画面314では、事業者種別毎に、総合評価が高い順に、事業者の総合評価、認定数、事業者名がリスト形式で表示される。また、表示された事業者の中から所望の事業者を選択して(選択ボックスにチェックを入れる)、「詳細」アイコンを操作することにより、選択した事業者の評価情報の詳細を確認することができる。
これにより、事業者種別毎に、どの事業者が高い評価を得ているのかを容易に確認することができる。また、事業者にとって見れば、自社の評価が公開されるので、自社のサービスを高める動機付けとなる。また、同業他社と比較できるので、自社のポジションが他社と比べて良いのか悪いのか容易に判断できるので、自社のサービスの推進や変更を行うための参考情報として活用できる。
図29は電池検索画面315の一例を示す模式図である。電池検索画面315では、検索条件として、自動車メーカ、車種、年式、電池メーカの全部又は一部を入力することができる。また、検索条件として、電池の現在の利用形態を入力することができる。利用形態としては、走行利用、定置利用、リサイクル済のいずれかを選択することができる。走行利用は、新品の電池が車両に搭載された後、当該電池を車両から取り外し、別の車両(例えば、航続距離が短くてもよい車両)に再利用されているものである。定置利用は、新品の電池が車両に搭載された後、当該電池を車両から取り外し、定置型の蓄電装置などに再利用されているものである。また、検索条件として、電池の価格帯を入力することができる。電池単体で市場に流通している場合には、価格帯によって電池を検索することができる。検索条件を入力して、「検索」アイコンを操作すると、以下のような電池利用情報を表示することができる。
図30は電池利用情報画面316の一例を示す模式図である。電池利用情報画面316では、電池IDに紐付けて、利用態様、価格などが表示される。図30の例は、電池の利用形態として、「リサイクル済」を選択した場合を示し、利用態様は、リサイクルまでの全ての利用態様が表示されている。また、表示された電池IDの中から所望の電池IDを選択して(選択ボックスにチェックを入れる)、「選択」アイコンを操作することにより、以下のように、選択した電池IDに関する履歴情報を表示することができる。
図31は電池の履歴情報画面317の第1例を示す模式図である。電池の履歴情報画面317では、電池ID毎に、電池メーカ、電池の型番、電池の評価、電池の履歴情報が表示される。評価は、例えば、5段階で表され、星の数で評価値(図の例では、4.5ポイント)を表示することができる。履歴情報には、年月日、業者、イベント、利用形態(走行利用又は定置利用)のそれぞれが日付け順に表示される。例えば、電池メーカによる製造、整備事業者による診断や売買、リファービッシュ・解体事業者による再生や売買、リユース業者による診断、リサイクル事業者によるリサイクルなどが一覧で表示される。なお、履歴情報は、履歴情報サーバ170によって履歴DBに記録される。
図31の履歴情報に表示される業者は、正規に登録された事業者であり、正規登録された事業者による正規処理(イベントで示す各処理)がなされていることを確認することができ、電池IDに対応付けてプラットフォーム認定を受けていることを証明することができる。
上述のように、車載用の電池の使用開始から廃棄までの劣化度合いの診断、運用、取引、再利用、修理再生、及びリサイクル少なくとも1つが、予め登録されている事業者によって行われた場合、電池を識別する識別情報に対応付けた認定情報を分散台帳システムに記憶してもよい。
図32は電池の履歴情報画面318の第2例を示す模式図である。図32の例では、2つの電池(電池ID:XXXXと電池ID:OOOO)の履歴情報が表示されている。2つの電池は、ユーザが適宜選定することができる。電池ID:XXXXは、各業者による所定の処理が行われ、電池の製造時から現在までの履歴情報がトレースできる状態で記録されている。各業者及び各処理は、認定済みであるとする。当該電池は、適正な業者によって適正に処理されており、かつ現在までの使用履歴が明確になっているので、評価は、たとえば、4.5の如く比較的高い。一方、電池ID:OOOOは、履歴情報が過去のある時点までしか残っておらず、当該時点以降はトレースが不可の状態となっているので、当該電池の評価は、例えば、2.5の如く比較的低い。
このように、現時点までの履歴情報が記録されている電池と、履歴情報が一部又は全部欠落している電池とで、評価の高低に差を付けることにより、適正な業者による適正な処理を行って確実にトレースを行うことが動機付けられる。これにより、適正な電池の流通が促進され、電池の市場価値を高めることができる。
本実施形態の情報処理方法は、車載用の電池に関する電池関連情報を取得し、取得した電池関連情報、及び電池の劣化度合いを診断する複数の診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断し、診断した劣化度合い及び前記劣化度合いに応じた前記電池の取引価格の少なくとも一方を出力する。
本実施形態の情報処理方法は、前記複数の診断方式を用いて診断された各劣化度合い対して所定の演算を行って、電池の劣化度合いを診断する。
本実施形態の情報処理方法は、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を用いて、診断した劣化度合いに応じた電池の取引価格を出力する。
本実施形態の情報処理方法は、劣化度合いが診断された電池の実際の取引価格を収集し、収集した取引価格に基づいて、前記算定方式を決定する。
本実施形態の情報処理方法は、修理再生対象の電池又は修理再生した修理再生電池に関する電池関連情報を取得し、取得した電池関連情報、完全充放電時の放電電流積算法による第1診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断し、診断結果を記録する。
本実施形態の情報処理方法は、前記第1診断方式よりも診断時間が短い第2診断方式を随時登録し、登録した第2診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断する。
本実施形態の情報処理方法は、車載用の電池に対して予め登録されている診断方式による劣化度合いの診断が行われた場合、かつ、前記取引価格で取引が行われた場合、前記電池を識別する識別情報に対応付けた認定情報を分散台帳システムに記憶する。
本実施形態の情報処理方法は、電池の劣化度合いの診断方式と前記診断方式を用いた劣化度合いの診断結果を表示する。
本実施形態の情報処理方法は、電池の劣化度合いの診断結果及び取引価格を表示する。
本実施形態の情報処理方法は、電池の取引に関する契約条項を表示し、電池の取引の可否を受け付ける。
本実施形態の情報処理装置は、車載用の電池に関する電池関連情報を取得する取得部と、取得した電池関連情報、及び電池の劣化度合いを診断する複数の診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断する診断部と、診断した劣化度合い及び前記劣化度合いに応じた前記電池の取引価格の少なくとも一方を出力する出力部とを備える。
本実施形態の情報処理方法は、車載用の電池に関する電池関連情報を電池DBから取得し、取得した電池関連情報に応じた、電池の劣化度合いを診断する診断方式を用いて、診断した電池の劣化度合いを診断DBに記録し、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を用いて、劣化度合いを診断した電池の取引価格を提示する。
本実施形態の情報処理方法は、劣化度合いが診断された電池の実際の取引価格を取引DBに記録し、前記取引DBに記録した取引価格に基づいて、前記算定方式を決定する。
本実施形態の情報処理方法は、車両から取り外された電池に関する電池関連情報を前記電池DBから取得し、前記電池の劣化度合いを前記診断DBから取得し、取得した電池関連情報及び劣化度合いに基づいて修理再生の可否及び診断方法の少なくとも一方を判定する。
本実施形態の情報処理方法は、所要の診断方式を用いて、修理再生対象の電池に含まれる複数のセルそれぞれの劣化度合いを診断し、診断結果を前記診断DBに記録する。
本実施形態の情報処理方法は、修理再生した修理再生電池に関する電池関連情報を前記電池DBに記録する。
本実施形態の情報処理方法は、車載用の電池を再利用した再利用電池に関する電池関連情報を前記電池DBから取得し、取得した電池関連情報に応じた前記診断方式を用いて、診断した再利用電池の劣化度合いを前記診断DBに記録する。
本実施形態の情報処理方法は、再利用電池の運用状態を運用DBから取得し、前記再利用電池の劣化度合いを前記診断DBから取得し、取得した運用状態及び劣化度合いを保険会社に提供する。
本実施形態の情報処理方法は、廃棄された廃棄電池に含まれるレアメタル成分に応じたリサイクル処理の内容をリサイクルDBに記録する。
本実施形態の情報処理方法は、前記リサイクル処理の内容を、電池の製造者又は車両の製造者に提供する。
本実施形態の情報処理方法は、車載用の電池の使用開始から廃棄までの劣化度合いの診断、運用、取引、再利用、修理再生、及びリサイクル少なくとも1つが、予め登録されている事業者によって行われた場合、前記電池を識別する識別情報に対応付けた認定情報を分散台帳システムに記憶する。
本実施形態の情報処理装置は、車載用の電池に関する電池関連情報を電池DBから取得する取得部と、取得した電池関連情報に応じた、電池の劣化度合いを診断する診断方式を用いて、診断した電池の劣化度合いを記録する診断DBと、電池の劣化度合いと取引価格との関係を定めた算定方式を用いて、劣化度合いを診断した電池の取引価格を提示する提示部とを備える。
本実施形態の情報処理システムは、整備事業者端末装置、リファービッシュ事業者端末装置、リサイクル事業者端末装置及びサーバを備え、前記サーバは、前記整備事業者端末装置から入力された電池関連情報に応じた、電池の劣化度合いを診断する診断方式を用いて、電池の劣化度合いを診断して診断結果を診断DBに記録し、前記リファービッシュ事業者端末装置から入力された電池関連情報、及び所要の診断方式を用いて、修理再生対象の電池に含まれる複数のセルそれぞれの劣化度合いを診断して診断結果を前記診断DBに記録し、前記リサイクル事業者端末装置から入力された、廃棄された廃棄電池に含まれるレアメタル成分に応じたリサイクル処理の内容をリサイクルDBに記録し、前記整備事業者端末装置、リファービッシュ事業者端末装置、及びリサイクル事業者端末装置は、前記診断DB及びリサイクルDBにアクセス可能である。