新たな抗がん療法、特にATR阻害剤に基づく抗がん療法が必要とされている。
一態様では、本発明は、式(I):
[式中、
は二重結合であり、各Yが独立してNまたはCR4であるか;あるいは
は単結合であり、各Yが独立してNRY、カルボニル、またはC(RY)2であり、その場合、各RYは独立してHまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
R1は、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたはHであり;
R2は、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、ハロゲン、-N(R5)2、-OR5、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または-Q-R5Bであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールまたは任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキルであり;
各R4は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルケニル、または任意選択で置換されるC2-6アルキニルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC6-10アリールであり;
R5Bは、ヒドロキシル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または任意選択で置換されるアルコキシであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルコキシアルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレン、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレン、または任意選択で置換されるC6-10アリーレンであり;
Xは水素またはハロゲンである]の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、
は二重結合である。いくつかの実施形態では、
は単結合である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(II):
[式中、
各Yは、独立してNまたはCR4であり;残りの変数は式(I)に関して記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、式(I)または(II)の化合物において、
各Yは、独立してNまたはCR4であり;
R1は、Hまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
R2は、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、または-SO2R5Aであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであり;
各R4は独立して、水素または任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたは任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I-a):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I-b):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IA):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IA-a):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IB):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IB-a):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IC):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(IC-a):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(ID):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(ID-a):
[式中、変数はすべて本明細書に記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R1はメチルである。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、または-SO2R5Aである。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R2は、式(A):
[式中、
nは0、1、2、または3であり;
R7は、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、各RAは、独立して、Hまたはアルキルであるか、あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、式(B):
[式中、R7は、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、各RAは、独立して、Hまたはアルキルであるか、あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、任意選択で置換される非芳香族C2-9ヘテロシクリルである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、任意選択で置換される、非芳香族の架橋されたC2-9ヘテロシクリルである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、任意選択で置換される非芳香族のスピロC2-9ヘテロシクリルである。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、-Q-R5Bである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレンである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R5Bは、ヒドロキシルである。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R2は、
である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、任意選択で置換される、少なくとも1つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリールである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、任意選択で置換される、2つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリールである。式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、式(C):
[式中、Aは、任意選択で置換される単環式C1-9ヘテロアリール環である]の基である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、式(C1):
[式中、R8は、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されるC1-6アルキルである]の基である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、Aは、任意選択で置換される、2つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリール環である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、
である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R3は、
である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、R4は水素である。
式(I)、(II)、(IA)、(IA-a)、(IB)、(IB-a)、(IC)、(IC-a)、(ID)、及び(ID-a)のいずれかのいくつかの実施形態では、Xは水素である。
いくつかの実施形態では、化合物は、化合物1~152(例えば、化合物1~140)及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される(例えば、化合物は、1、2、3、4、5、6、7、8、43、45、47、48、49、52、53、55、57、58、59、61、62、63、73、74、77、80、81、82、84、86、87、92、93、94、95、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、118、119、120、121、122、123、125、126、127、128、129、130、131、132、133、135、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、150、151、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される)。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、重水素で同位体濃縮されている。
さらなる態様では、本発明は、細胞を本発明の化合物と接触させることにより、ATRキナーゼを発現する細胞においてATRキナーゼを阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞はin vitroである。いくつかの実施形態では、細胞は対象内にある。
さらに別の態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物または本発明の医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象を治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、対象は、細胞過剰増殖の症状を有する疾患または病態(例えば、疾患または病態が、がんまたは前悪性病態もしくは前がん性病態である)に罹患しており、治療を必要としている。いくつかの実施形態では、がんは、癌腫、肉腫、腺癌、白血病、または黒色腫である。
いくつかの実施形態では、がんは、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞上皮癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱状細胞癌、腺管癌、硬性癌腫、胚性癌、脳様癌、類表皮癌、腺様上皮癌、外方発育癌、潰瘍性癌、線維性癌、膠状癌、膠様質癌、巨大細胞癌、巨大細胞様癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子質癌、副腎様癌、小児胚性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッカー癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、悪性黒色腫、軟性癌、粘液性癌、粘液癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘膜癌(carcinoma mucosum)、粘膜癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、骨様癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、髄質様癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌、扁平細胞癌、弦状癌、血管拡張性癌、毛細血管拡張性癌、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、及び絨毛癌からなる群より選択される癌腫である。
いくつかの実施形態では、がんは、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、絨毛癌、胎芽性肉腫、ウイルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽肉腫、巨大細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、及び毛細血管拡張性肉腫からなる群より選択される肉腫である。
いくつかの実施形態では、がんは、非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、及び未分化細胞白血病からなる群より選択される白血病である。
いくつかの実施形態では、がんは、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、及び表在拡大型黒色腫からなる群より選択される黒色腫である。
いくつかの実施形態では、がんは、前立腺癌、甲状腺癌、内分泌系癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌、髄芽腫、膨大部癌、大腸癌、または膵臓癌である。
いくつかの実施形態では、がんは、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵臓癌、悪性カルチノイド、膀胱癌、前がん性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、食道癌、尿路性器癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内分泌または膵外分泌の新生物、髄様甲状腺癌、甲状腺髄様癌、黒色腫、大腸癌、甲状腺乳頭癌、肝細胞癌、または前立腺癌である。
いくつかの実施形態では、対象は、前がん性病態に罹患しており、治療を必要としている。
本発明はまた、以下に列挙する条項によって説明される。
1.式(I):
[式中、
は二重結合であり、各Yが独立してNまたはCR4であるか;あるいは
は単結合であり、各Yが独立してNRY、カルボニル、またはC(RY)2であり、その場合、各RYは独立してHまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
R1は、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたはHであり;
R2は、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、ハロゲン、-N(R5)2、-OR5、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または-Q-R5Bであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールまたは任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキルであり;
各R4は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルケニル、または任意選択で置換されるC2-6アルキニルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC6-10アリールであり;
R5Bは、ヒドロキシル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または任意選択で置換されるアルコキシであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルコキシアルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレン、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレン、または任意選択で置換されるC6-10アリーレンであり;
Xは水素またはハロゲンである]の化合物またはその薬学的に許容される塩。
2.
が二重結合である、条項1の化合物。
3.
が単結合である、条項1の化合物。
4.前記化合物が、式(II):
[式中、
各Yは、独立してNまたはCR4であり;
R1は、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたはHであり;
R2は、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、ハロゲン、-N(R5)2、-OR5、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または-Q-R5Bであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールまたは任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキルであり;
各R4は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルケニル、または任意選択で置換されるC2-6アルキニルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC6-10アリールであり;
R5Bは、ヒドロキシル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または任意選択で置換されるアルコキシであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルコキシアルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレン、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレン、または任意選択で置換されるC6-10アリーレンであり;
Xは水素またはハロゲンである]の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項1の化合物。
5.前記化合物が、式(I-a):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項1の化合物。
6.前記化合物が、式(IA):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項1の化合物。
7.前記化合物が、式(IA-a):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項6の化合物。
8.前記化合物が、式(IB):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項1の化合物。
9.前記化合物が、式(IB-a):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項8の化合物。
10.前記化合物が、式(IC):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項1の化合物。
11.前記化合物が、式(IC-a):
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、条項10の化合物。
12.R1がメチルである、条項1~11のいずれか1つの化合物。
13.R2が、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、または-SO2R5Aである、条項1~12のいずれか1つの化合物。
14.各R5Aが、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたは任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルである、条項1~13のいずれか1つの化合物。
15.各R6が、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成する、条項1~13のいずれか1つの化合物。
16.R2が、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルである、条項1~15のいずれか1つの化合物。
17.R2が、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、ヒドロキシ、またはアルコキシにより任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルであり、各RAが、独立して、Hまたはアルキルであるか;あるいは、両方のRAが、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する、条項16の化合物。
18.R2が、式(A):
[式中、
nは0、1、2、または3であり;
R7が、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、各RAは、独立して、Hまたはアルキルであるか、あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基である、条項16の化合物。
19.R2が、式(B):
[式中、R7が、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、各RAは、独立して、Hまたはアルキルであるか;あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基である、条項1~15のいずれか1つの化合物。
20.R7が、アルキルスルホニル、シアノ、または-CON(RA)2である、条項18または19の化合物。
21.R2が、任意選択で置換されるC1-6アルキルである、条項1~12のいずれか1つの化合物。
22.R2が、任意選択で置換される第3級C3-6アルキルである、条項21の化合物。
23.R2が、任意選択で置換される非芳香族C2-9ヘテロシクリルである、条項1~15のいずれか1つの化合物。
24.R2が、任意選択で置換される、非芳香族の架橋されたC2-9ヘテロシクリルである、条項23の化合物。
25.R2が、任意選択で置換される、非芳香族のスピロC2-9ヘテロシクリルである、条項23の化合物。
26.R2が、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルである、条項1~15のいずれか1つの化合物。
27.R2が、任意選択で置換されるスピロC3-8シクロアルキルである、条項26の化合物。
28.R2が-Q-R5Bである、条項1~12のいずれか1つの化合物。
29.Qが、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレンである、条項28の化合物。
30.Qが、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレンである、条項28の化合物。
31.Qが、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレンである、条項28の化合物。
32.Qが、任意選択で置換されるC6-10アリーレンである、条項28の化合物。
33.R5Bが、任意選択で置換されるC1-6アルキルである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
34.R5Bがヒドロキシルである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
35.R5Bが、任意選択で置換されるC6-10アリールである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
36.R5Bが、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
37.R5Bが-N(R5)2である、条項28~32のいずれか1つの化合物。
38.各R5が水素である、条項37の化合物。
39.R5Bが、任意選択で置換されるアルコキシである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
38.R5Bが-SO2N(R6)2である、条項28~32のいずれか1つの化合物。
39.各R6が水素である、条項38の化合物。
40.R5Bが-SO2R5Aである、条項28~32のいずれか1つの化合物。
41.R5Aが、任意選択で置換されるC1-6アルキルである、条項40の化合物。
42.R2が、
である、条項1~15のいずれか1つの化合物。
43.R2が、
である、条項42の化合物。
44.R2が、
である、条項42の化合物。
45.R2が、
である、条項42の化合物。
46.R2が、
である、条項42の化合物。
47.R2が、
である、条項42の化合物。
48.R2が、
である、条項42の化合物。
49.R2が、
である、条項42の化合物。
50.R2が、
である、条項42の化合物。
51.R2が、
である、条項42の化合物。
52.R2が、
である、条項42の化合物。
53.R2が、
である、条項42の化合物。
54.R2が、
である、条項42の化合物。
55.R2が、
である、条項42の化合物。
56.R2が、
である、条項42の化合物。
57.R2が、
である、条項42の化合物。
58.R2が、
である、条項42の化合物。
59.R2が、
である、条項42の化合物。
60.R2が、
である、条項42の化合物。
61.R2が、
である、条項42の化合物。
62.R2が、
である、条項61の化合物。
63.R2が、
である、条項42の化合物。
64.R2が、
である、条項42の化合物。
65.R2が、
である、条項42の化合物。
66.R2が、
である、条項42の化合物。
67.R2が、
である、条項42の化合物。
68.R2が、
である、条項42の化合物。
69.R2が、
である、条項42の化合物。
70.R3が、任意選択で置換される、少なくとも1つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリールである、条項1~69のいずれか1つの化合物。
71.R3が、任意選択で置換される、2つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリールである、条項70の化合物。
72.R3が、式(C):
[式中、Aは、任意選択で置換される単環式C1-9ヘテロアリール環である]の基である、条項70の化合物。
73.R3が、式(C1):
[式中、R8は、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されるC1-6アルキルである]の基である、条項70の化合物。
74.R8が、水素またはハロゲンである、条項73の化合物。
75.Aが、任意選択で置換される、2つの窒素原子を含む単環式C1-9ヘテロアリール環である、条項72~74のいずれか1つの化合物。
76.R3が、
である、条項1~75のいずれか1つの化合物。
77.R3が、
である、条項76の化合物。
78.R3が、
である、条項76の化合物。
79.R3が、
である、条項76の化合物。
80.R3が、
である、条項76の化合物。
81.R4が水素である、条項1~80のいずれか1つの化合物。
82.R4がハロゲンである、条項1~80のいずれか1つの化合物。
83.R4が、任意選択で置換されるC2-6アルケニルである、条項1~80のいずれか1つの化合物。
84.Xが水素である、条項1~80のいずれか1つの化合物。
85.化合物1~152及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される化合物。
87.前記化合物が、
化合物1、2、3、4、5、6、7、8、24、43、45、47、48、49、52、53、55、57、58、59、61、62、63、73、74、77、80、81、82、84、86、87、92、93、94、95、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、118、119、120、121、122、123、125、126、127、128、129、130、131、132、133、135、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、150、151、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
88.前記化合物が、化合物6、8、43、48、92、126、128、130、131、141、142、143、145、150、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
89.前記化合物が、化合物2、4、7、47、49、63、86、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
90.前記化合物が、化合物57、62、73、74、80、81、82、84、87、93、94、95、99、100、106、107、108、109、111、112、113、114、115、116、118、119、120、121、122、123、135、137、138、144、146、147、148、151、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
91.前記化合物が、化合物57、62、87、93、94、95、99、100、106、107、108、109、111、112、113、114、115、116、118、119、120、121、122、123、135、147、148、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
92.前記化合物が、化合物61、105、107、110、112、113、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
93.前記化合物が、化合物121、122、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項56の化合物。
94.前記化合物が、化合物125、127、129、138、139、140、144、146、151、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
95.前記化合物が、化合物58、123、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
96.前記化合物が、化合物1、3、5、59、77、97、98、101、102、103、104、106、114、115、132、133、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
97.前記化合物が、化合物45,52、55、及びその薬学的に許容される塩からなる群より選択される、条項85の化合物。
98.前記化合物が、化合物1またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
99.前記化合物が、化合物2またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
100.前記化合物が、化合物3またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
101.前記化合物が、化合物4またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
102.前記化合物が、化合物5またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
103.前記化合物が、化合物6またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
104.前記化合物が、化合物7またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
105.前記化合物が、化合物8またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
106.前記化合物が、化合物9またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
107.前記化合物が、化合物86またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
108.前記化合物が、化合物99またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
109.前記化合物が、化合物100またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
110.前記化合物が、化合物115またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
111.前記化合物が、化合物120またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
112.前記化合物が、化合物121またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
113.前記化合物が、化合物125またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
114.前記化合物が、化合物126またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
115.前記化合物が、化合物138またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
116.前記化合物が、化合物139またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
117.前記化合物が、化合物140またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
118.前記化合物が、化合物142またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
119.前記化合物が、化合物144またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
120.前記化合物が、化合物147またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
121.前記化合物が、化合物148またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
122.前記化合物が、化合物150またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
123.前記化合物が、化合物151またはその薬学的に許容される塩である、条項85の化合物。
124.条項1~123のいずれか1つの化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
125.前記化合物が重水素で同位体濃縮されている、条項124の医薬組成物。
126.ATRキナーゼを発現する細胞においてATRキナーゼを阻害する方法であって、前記細胞を条項1~123のいずれか1つの化合物と接触させることを含む、前記方法。
127.前記細胞がin vitroである、条項126の方法。
128.前記細胞が対象内にある、条項126の方法。
129.条項1~123のいずれか1つの化合物または条項124または125の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記対象を治療する方法。
130.前記対象が、細胞過剰増殖の症状を有する疾患または病態に罹患しており、治療を必要としている、条項128または129の方法。
131.前記疾患または前記病態ががんである、条項130の方法。
132.前記がんが固形腫瘍である、条項131の方法。
133.前記がんが、癌腫、肉腫、腺癌、白血病、または黒色腫である、条項131の方法。
134.前記がんが、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞上皮癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱状細胞癌、腺管癌、硬性癌腫、胚性癌、脳様癌、類表皮癌、腺様上皮癌、外方発育癌、潰瘍性癌、線維性癌、膠状癌、膠様質癌、巨大細胞癌、巨大細胞様癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子質癌、副腎様癌、小児胚性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッカー癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、悪性黒色腫、軟性癌、粘液性癌、粘液癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘膜癌(carcinoma mucosum)、粘膜癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、骨様癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、髄質様癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌、扁平細胞癌、弦状癌、血管拡張性癌、毛細血管拡張性癌、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、及び絨毛癌からなる群より選択される癌腫である、条項131の方法。
135.前記がんが、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、絨毛癌、胎芽性肉腫、ウイルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽肉腫、巨大細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、及び毛細血管拡張性肉腫からなる群より選択される肉腫である、条項131の方法。
136.前記がんが、非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、及び未分化細胞白血病からなる群より選択される白血病である、条項131の方法。
137.前記がんが慢性リンパ性白血病である、条項136の方法。
138.前記がんがリンパ腫である、条項131の方法。
139.前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫-慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫-ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)/濾胞性T細胞リンパ腫(FTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、または節外性NK/T細胞性リンパ腫、鼻腔型である、条項138の方法。
140.前記リンパ腫がマントル細胞リンパ腫である、条項139の方法。
141.前記がんが、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、及び表在拡大型黒色腫からなる群より選択される黒色腫である、条項131の方法。
142.前記がんが、前立腺癌、甲状腺癌、内分泌系癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌、髄芽腫、膨大部癌、大腸癌、または膵臓癌である、条項131の方法。
143.前記がんが前立腺癌である、条項131の方法。
144.前記がんが膨大部癌である、条項131の方法。
145.前記がんが大腸癌である、条項131の方法。
146.前記がんが肺癌である、条項131の方法。
147.前記がんが非小細胞肺癌である、条項131の方法。
148.前記がんが卵巣癌である、条項131の方法。
149.前記がんが膵臓癌である、条項131の方法。
150.前記がんが、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵島細胞腫、悪性カルチノイド、膀胱癌、前がん性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿路性器癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内分泌もしくは膵外分泌の新生物、髄様甲状腺癌、甲状腺髄様癌、黒色腫、大腸癌、甲状腺乳頭癌、肝細胞癌、または前立腺癌である、条項131の方法。
151.前記対象が、前がん性病態に罹患しており、治療を必要としている、条項129の方法。
略語
有機化学、医薬品化学、薬理学、及び医学の分野で一般的に使用され、当該分野の専門家に周知されている略語及び用語を本明細書で使用する。代表的な略語と定義を以下に示す。
Acはアセチル[CH3C(O)-]、Ac2Oは無水酢酸である;AcOHは酢酸である;APCは抗原提示細胞である;aq.は水性である;9-BBNは9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナンである;BINAPは(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル)である;Bnはベンジルである;BOCはtert-ブチルオキシカルボニルである;CDIはカルボニルジイミダゾールである;DCMはジクロロメタンである;DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルである;DIBALは水素化ジイソブチルアルミニウムである;DIPEAはジイソプロピルエチルアミンである;DMAはジメチルアセトアミドである;DMAPは4-ジメチルアミノピリジンである;DMFはN,N-ジメチルホルムアミドである;DMSOはジメチルスルホキシドである;dppfは1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである;EDAC(またはEDC)は1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミドHClである;ESIはエレクトロスプレーイオン化質量分析である;Et2Oはジエチルエーテルである;Et3Nはトリエチルアミンである;Etはエチルである;EtOAcは酢酸エチルである;EtOHはエタノールである;3-F-Phは3-フルオロフェニルであり、HATUは、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファートである;HClは塩酸である;HOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである;HPLCは高速液体クロマトグラフィーである;LCMSは質量スペクトル検出を備えるHPLCである;LiHMDSはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである;LGは脱離基である;Mはモル濃度である;mCPBAはメタクロロ過安息香酸である;mmolはミリモルである;Meはメチルである;MeCNはアセトニトリルである;MeOHはメタノールである;Msはメタンスルホニルである;MSは質量分析法である;Nは規定である;NaHMDSはナトリウムヘキサメチルジシラジドである;NaOAcは酢酸ナトリウムである;NaOtBuはナトリウムtert-ブトキシドである;NMOはN-メチルモルホリンN-オキシドである;NMPはN-メチルピロリジノンである;NMRは核磁気共鳴分光法である;Pd2(dba)3はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムである;PdCl2(PPh3)2は、ジクロロビス-(トリフェニルホスフェン)パラジウムである;PGは不特定の保護基を示す;Phはフェニルである;PhMeはトルエンである;PPh3はトリフェニルホスフィンである;PMBはパラメトキシベンジルである;rtは室温である;RBFは丸底フラスコである;RuPhos Pd G1はクロロ-(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2-アミノエチル)フェニル]パラジウム(II)である;SEMは[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルである;SFCは超臨界流体クロマトグラフィーである;SNArは求核性芳香族置換である;TBABはテトラブチルアンモニウムブロミドである;TBAFはテトラブチルアンモニウムフルオリドである;TBSはtert-ブチルジメチルシリルである;tBuはtert-ブチルである;Tfはトリフラートである;TFAはトリフルオロ酢酸である;THFはテトラヒドロフランである;THPはテトラヒドロピランである;TLCは薄層クロマトグラフィーである;TMADはテトラメチルアゾジカルボキサミドである;TMSはトリメチルシリルである;TPAPはテトラプロピルアンモニウムペルルテナートである;Tsはp-トルエンスルホニルである;UPLCは超高速液体クロマトグラフィーである。
定義
本明細書で使用される「異常」という用語は、正常とは異なることを指す。酵素活性の説明に使用される場合、異常とは、活性が正常対照または正常な非罹患対照試料の平均を超えるかまたは未満であることを指す。異常な活性とは、疾患をもたらす量の活性を指す場合があり、その場合、(例えば、本明細書に記載の化合物を投与するか、または本明細書に記載の方法を使用することにより)異常な活性が正常量または非疾患関連量に戻ると、疾患または1つ以上の疾患症状の軽減が得られる。異常な活性は、当該酵素の基質の修飾を測定することにより測定することができ、活性変化の差が2倍以上であれば異常とみなすことができる。異常な活性はまた、別の補完的経路の欠陥の結果として、特定のシグナル伝達経路への依存が増加することを指す場合もある。
本明細書で使用される「アシル」という用語は、基-C(=O)-Rを表し、その場合、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルを表す。アシルは、各R基それぞれについて、本明細書に記載される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「腺癌」という用語は、生物内の器官を覆う腺細胞に起因する悪性腫瘍を表す。腺癌の非限定的な例として、非小細胞肺癌、前立腺癌、膵臓癌、食道癌、及び大腸癌が挙げられる。
本明細書で使用される「アルカノイル」という用語は、水素またはアルキル基がカルボニル基を介して親分子基に結合されるものを表し、ホルミル(すなわち、カルボキシアルデヒド基)、アセチル、プロピオニル、ブチリル、及びイソブチリルによって例示される。非置換アルカノイル基は1~7個の炭素を含む。アルカノイル基は、アルキル基について、本明細書に記載される通り非置換でも置換されてもよい(例えば、任意選択で置換されるC1~7アルカノイル)。末尾「-(オ)イル」を本明細書で定義される別の基、例えば、アリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルに付加して、「アリーロイル」、「シクロアルカノイル」、及び「(ヘテロシクリル)オイル」を定義することができる。これらの基は、それぞれアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルで置換されたカルボニル基を表す。「アリーロイル」、「シクロアルカノイル」、及び「(ヘテロシクリル)オイル」のそれぞれは、「アリール」、「シクロアルキル」、または「ヘテロシクリル」について定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つ、2つ、または3つの炭素-炭素二重結合を含む一価の直鎖または分枝鎖の非環式炭化水素基を表す。アルケニル基の非限定的な例として、エテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、1-メチルエテニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、1-メチルプロパ-1-エニル、2-メチルプロパ-1-エニル、及び1-メチルプロパ-2-エニルが挙げられる。アルケニル基は、アルキルについて本明細書で定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、特に指定のない限り、式-OR(式中、RはC1-6アルキル基である)の化学置換基を表す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、本明細書で定義される通り、さらに置換することができる。「アルコキシ」という用語は、本明細書で定義される他の用語、例えば、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルと組み合わせて、「アリールアルコキシ」基、「シクロアルキルアルコキシ」基、及び「(ヘテロシクリル)アルコキシ」基を定義することができる。これらの基は、それぞれアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルで置換されたアルコキシ基を表す。「アリールアルコキシ」、「シクロアルキルアルコキシ」、及び「(ヘテロシクリル)アルコキシ」のそれぞれは、個々の部分ごとに、本明細書で定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルコキシアルキル」という用語は、式-L-O-R(式中、LはC1-6アルキレンであり、RはC1-6アルキルである)の化学置換基を表す。任意選択で置換されるアルコキシアルキルは、アルキルについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるアルコキシアルキルである。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖の非環式飽和炭化水素基を指し、非置換の場合、特に指定のない限り、1~12個の炭素を有する。ある特定の好ましい実施形態では、非置換アルキルは、1~6個の炭素を有する。アルキル基は、メチル;エチル;n-プロピル及びイソプロピル;n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチル;ネオペンチルなどによって例示され、価数の許容範囲で、1つ、2つ、3つの置換基、または炭素が2つ以上あるアルキル基の場合は4つ以上の置換基で、任意選択で置換されてもよく、その置換基は独立して、アミノ;アリール;アリールオキシ;アジド;シクロアルキル;シクロアルコキシ;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ハロ;ヘテロシクリル;(ヘテロシクリル)オキシ;ヘテロアリール;ヒドロキシ;ニトロ;チオール;シリル;シアノ;アルキルスルホニル;アルキルスルフィニル;アルキルスルフェニル;=O;=S;-SO2R(式中、Rはアミノまたはシクロアルキルである);=NR’(式中、R’は、H、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルである)からなる群より選択される。置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または価数の許容範囲で、各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、二価のアルキル基を指す。任意選択で置換されるアルキレンは、アルキルについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるアルキレンである。
本明細書で使用される「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で定義される式-N(RN1)2または-NHRN1(式中、RN1はアルキルである)を有する基を指す。アルキルアミノのアルキル部分は、アルキルについて定義される通り任意選択で置換されてもよい。置換されたアルキルアミノの各任意の置換基は、それ自体が非置換でもよく、または価数の許容範囲で、各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキルスルフェニル」という用語は、式-S-(アルキル)の基を表す。アルキルスルフェニルは、アルキルについて定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキルスルフィニル」という用語は、式-S(O)-(アルキル)の基を表す。アルキルスルフィニルは、アルキルについて定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O)2-(アルキル)の基を表す。アルキルスルホニルは、アルキルについて定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、炭素原子が2~6個の一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を表し、エチニル、1-プロピニルなどによって例示される。アルキニル基は、アルキルについて定義される通り、非置換でも置換されてもよい(例えば、任意選択で置換されるアルキニル)。
本明細書で使用される「アミノ」という用語は、-N(RN1)2を表し、アミノが非置換である場合、RN1はいずれもHであり;アミノが置換されている場合、各RN1は独立して、H、-OH、-NO2、-N(RN2)2、-SO2ORN2、-SO2RN2、-SORN2、-COORN2、N-保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクリルであり、ただし、少なくとも1つのRN1は、Hではなく、各RN2は独立して、H、アルキル、またはアリールである。置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、アミノは、非置換アミノ(すなわち、-NH2)または置換アミノ(例えば、NHRN1)であり、その場合、RN1は独立して、-OH、SO2ORN2、-SO2RN2、-SORN2、-COORN2、任意選択で置換されるアルキル、または任意選択で置換されるアリールであり、各RN2は、任意選択で置換されるアルキルまたは任意選択で置換されるアリールであり得る。いくつかの実施形態では、置換アミノは、アルキル基が、アルキルについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるアルキルアミノであってよい。いくつかの実施形態では、アミノ基は、-NHRN1であり、RN1は任意選択で置換されるアルキルである。
本明細書で使用される「アリール」という用語は、1つまたは2つの芳香環を有する単環式、二環式、または多環式の炭素環系を表す。アリール基は、6~10個の炭素原子を含み得る。非置換炭素環式アリール基内の原子はすべて炭素原子である。炭素環式アリール基の非限定的な例として、フェニル、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。アリール基は、非置換でも、アルキル;アルケニル;アルキニル;アルコキシ;アルキルスルフィニル;アルキルスルフェニル;アルキルスルホニル;アミノ;アリール;アリールオキシ;アジド;シクロアルキル;シクロアルコキシ;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ハロ;ヘテロアルキル;ヘテロシクリル;(ヘテロシクリル)オキシ;ヒドロキシ;ニトロ;チオール;シリル;及びシアノからなる群より独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基で置換されてもよい。置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アリールアルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基を表す。アリール部分及びアルキル部分は、本明細書に記載される通り、個々の基のように任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「アリーレン」という用語は、二価のアリール基を指す。任意選択で置換されるアリーレンは、アリールについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるアリーレンである。
本明細書で使用される「アリールオキシ」という用語は、特に指定のない限り、式-OR(式中、Rはアリール基である)の化学置換基を表す。任意選択で置換されるアリールオキシにおいて、アリール基は、アリールについて本明細書に記載される通り任意選択で置換される。
本明細書で使用される「ATR阻害剤」という用語は、in vitro、細胞培養液中、または動物の体内を問わず、酵素ATRキナーゼと接触させると、ATRキナーゼの活性を低下させ、ATRキナーゼのIC50の測定値が10μM以下(例えば、5μM以下または1μM以下)であるような化合物を表す。ある特定のATR阻害剤では、ATRキナーゼのIC50は100nM以下(例えば、10nM以下、または1nM以下)であり得、100pMまたは10pM程度に下げることもできる。好ましくは、ATRキナーゼのIC50は、1nM~1μM(例えば、1nM~750nM、1nM~500nM、または1nM~250nM)である。
本明細書で使用される「ATRキナーゼ」という用語は、毛細血管拡張性運動失調症及びRAD-3関連プロテインキナーゼを指す。
本明細書で使用される「アジド」という用語は、-N3基を表す。
本明細書で使用される「がん」という用語は、白血病、癌腫、及び肉腫を含む、哺乳動物(例えば、ヒト)に見られるあらゆる種類のがん、新生物、または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができるがんの非限定的な例として、前立腺癌、甲状腺癌、内分泌系癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、頭頸部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌、髄芽腫、膨大部癌、大腸癌、及び膵臓癌が挙げられる。追加の非限定的な例には、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵島細胞腫、悪性カルチノイド、膀胱癌、前がん性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿路性器癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内分泌または膵外分泌の新生物、髄様甲状腺癌、甲状腺髄様癌、黒色腫、大腸癌、甲状腺乳頭癌、肝細胞癌、及び前立腺癌を含み得る。
本明細書で使用される「炭素環式」という用語は、芳香族または非芳香族であり得る環が炭素原子によって形成されている、任意選択で置換されるC3~16単環式、二環式、または三環式構造を表す。炭素環式構造として、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、及び特定のアリール基が挙げられる。
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、-C(O)-基を表す。
本明細書で使用される「癌腫」という用語は、周囲の組織に浸潤して転移を引き起こす傾向がある上皮細胞からなる悪性の新生物を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる癌腫の非限定的な例として、例えば、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞上皮癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱状細胞癌、腺管癌、硬性癌腫、胚性癌、脳様癌、類表皮癌、腺様上皮癌、外方発育癌、潰瘍性癌、線維性癌、膠状癌、膠様質癌、巨大細胞癌、巨大細胞様癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子質癌、副腎様癌、小児胚性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッカー癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、悪性黒色腫、軟性癌、粘液性癌、粘液癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘膜癌(carcinoma mucosum)、粘膜癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、骨様癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、髄質様癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌、扁平細胞癌、弦状癌、血管拡張性癌、毛細血管拡張性癌、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、及び絨毛癌が挙げられる。
本明細書で使用される「シアノ」という用語は、-CN基を表す。
本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、特に指定のない限り、環内に少なくとも1つの二重結合及び3~10個の炭素を有する非芳香族炭素環式基(例えば、C3-10シクロアルケニル)を指す。シクロアルケニルの非限定的な例として、シクロプロパ-1-エニル、シクロプロパ-2-エニル、シクロブタ-1-エニル、シクロブタ-1-エニル、シクロブタ-2-エニル、シクロペンタ-1-エニル、シクロペンタ-2-エニル、シクロペンタ-3-エニル、ノルボルネン-1-イル、ノルボルネン-2-イル、ノルボルネン-5-イル、及びノルボルネン-7-イルが挙げられる。シクロアルケニル基は、シクロアルキルについて記載される通り、非置換でも置換されてもよい(例えば、任意選択で置換されるシクロアルケニル)。
本明細書で使用される「シクロアルケニルアルキル」という用語は、それぞれ本明細書で定義される通りシクロアルケニル基で置換されたアルキル基を表す。シクロアルケニル部分及びアルキル部分は、本明細書で定義される個々の基のように置換されてもよい。
本明細書で使用される「シクロアルコキシ」という用語は、特に指定のない限り、式-OR(式中、Rはシクロアルキル基である)の化学置換基を表す。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、本明細書で定義される通り、さらに置換することができる。
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、特に指定のない限り、3~10個の炭素を有する環状アルキル基(例えば、C3-C10シクロアルキル)を指す。シクロアルキル基は、単環式または二環式であり得る。二環式シクロアルキル基は、p及びqの合計が2、3、4、5、6、7、または8であるという条件で、p及びqのそれぞれが、独立して、1、2、3、4、5、6、または7であるビシクロ[p.q.0]アルキル型であり得る。あるいは、二環式シクロアルキル基は、架橋シクロアルキル構造、例えば、p、q、及びrの合計が、3、4、5、6、7、または8であるという条件で、rが1、2、または3であり、p及びqのそれぞれが、独立して、1、2、3、4、5、または6であるビシクロ[p.q.r]アルキルを含み得る。シクロアルキル基は、スピロ環基、例えば、p及びqの合計が、4、5、6、7、8、または9であるという条件で、p及びqのそれぞれが、独立して、2、3、4、5、6、または7であるスピロ[p.q]アルキルであり得る。シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1-ビシクロ[2.2.1.]ヘプチル、2-ビシクロ[2.2.1.]ヘプチル、5-ビシクロ[2.2.1.]ヘプチル、7-ビシクロ[2.2.1.]ヘプチル、及びデカリニルが挙げられる。シクロアルキル基は、非置換でも、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基で置換されてもよく(例えば、任意選択で置換されるシクロアルケニル)、その置換基は独立して、アルキル;アルケニル;アルキニル;アルコキシ;アルキルスルフィニル;アルキルスルフェニル;アルキルスルホニル;アミノ;アリール;アリールオキシ;アジド;シクロアルキル;シクロアルコキシ;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ハロ;ヘテロアルキル;ヘテロシクリル;(ヘテロシクリル)オキシ;ヘテロアリール;ヒドロキシ;ニトロ;チオール;シリル;シアノ;=O;=S;-SO2R(式中、Rはアミノまたはシクロアルキルである);=NR’(式中、R’は、H、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルである);または-CON(RA)2(式中、各RAは独立してHまたはアルキルであるか、あるいは両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になってヘテロシクリルを形成する)からなる群より選択される。置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。
本明細書で使用される「シクロアルキルアルキル」という用語は、それぞれ本明細書で定義される通りシクロアルキル基で置換されたアルキル基を表す。シクロアルキル部分及びアルキル部分は、本明細書に記載される個々の基のように任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「シクロアルキレン」という用語は、二価のシクロアルキル基を表す。任意選択で置換されるシクロアルキレンは、シクロアルキルについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるシクロアルキレンである。
本明細書で使用される「シクロアルキニル」という用語は、特に指定のない限り、1つまたは2つの炭素-炭素三重結合を有し、8~12個の炭素を有する一価の炭素環式基を指す。シクロアルキニルは、1つの渡環結合または渡環架橋を含み得る。シクロアルキニルの非限定的な例として、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル、及びシクロデカジイニルが挙げられる。シクロアルキニル基は、シクロアルキルについて定義される通り、非置換でも置換されてもよい(例えば、任意選択で置換されるシクロアルキニル)。
「疾患」または「病態」とは、本明細書で提供される化合物または方法によって治療することができる患者または対象の状態または健康状態を指す。
本明細書で使用される「ハロ」という用語は、臭素、塩素、ヨウ素、及びフッ素から選択されるハロゲンを表す。
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、1つまたは2つのヘテロ原子によって1回中断される;毎回、独立して1つまたは2つのヘテロ原子によって2回中断される;毎回、独立して1つまたは2つのヘテロ原子によって3回中断される;または毎回、独立して1つまたは2つのヘテロ原子によって4回中断されるアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を指す。各ヘテロ原子は、独立して、O、N、またはSである。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、OまたはNである。ヘテロアルキル基はいずれも、2つの隣接する酸素原子または硫黄原子を含まない。ヘテロアルキル基は、非置換でも置換されてもよい(例えば、任意選択で置換されるヘテロアルキル)。ヘテロアルキルが置換され、置換基がヘテロ原子に結合している場合、置換基は、ヘテロ原子の性質及び価数に従って選択される。したがって、ヘテロ原子に結合する置換基は、価数の許容範囲で、=O、-N(RN2)2、-SO2ORN3、-SO2RN2、-SORN3、-COORN3、N保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリル、またはシアノからなる群より選択され、その場合、各RN2は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロシクリルであり、各RN3は独立して、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロシクリルである。この置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。ヘテロアルキルが置換され、置換基が炭素に結合している場合、置換基は、ヘテロ原子に結合している炭素原子の置換基がCl、Br、またはIでない限り、アルキルについて記載されたものから選択される。炭素原子はヘテロアルキル基の末端に存在すると理解される。
本明細書で使用される「ヘテロアリールアルキル」という用語は、それぞれ本明細書で定義される通りヘテロアリール基で置換されたアルキル基を表す。ヘテロアリール部分及びアルキル部分は、本明細書に記載される個々の基のように任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロアリーレン」という用語は、二価のヘテロアリールを表す。任意選択で置換されるヘテロアリーレンは、ヘテロアリールについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるヘテロアリーレンである。
本明細書で使用される「ヘテロアリールオキシ」という用語は、Rがヘテロアリールである構造-ORを指す。ヘテロアリールオキシは、ヘテロシクリルについて定義される通り任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、特に指定のない限り、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を含む、縮合、架橋、及び/またはスピロ3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、または8員環を有する単環式、二環式、三環式、または四環式環系を表す。いくつかの実施形態では、「ヘテロシクリル」は、特に指定のない限り、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を含む、縮合または架橋5員環、6員環、7員環、または8員環を有する単環式、二環式、三環式、または四環式環系を表す。ヘテロシクリルは芳香族でも非芳香族でもあり得る。非芳香族5員ヘテロシクリルは0個または1個の二重結合を有し、非芳香族6員及び7員のヘテロシクリル基は0~2個の二重結合を有し、非芳香族8員ヘテロシクリル基は0~2個の二重結合及び/または0個もしくは1個の炭素-炭素三重結合を有する。ヘテロシクリル基は、特に指定のない限り、1~16個の炭素原子を含む。ある特定のヘテロシクリル基は、最大9個の炭素原子を含み得る。非芳香族ヘテロシクリル基として、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニイル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリルなどが挙げられる。複素環系が少なくとも1つの芳香族共鳴構造または少なくとも1つの芳香族互変異性体を有する場合、そのような構造は芳香族ヘテロシクリル(すなわち、ヘテロアリール)である。ヘテロアリール基の非限定的な例として、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、インドリル、イソインダゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピロリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリニル、チアジアゾリル(例えば、1,3,4-チアジアゾール)、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどが挙げられる。「ヘテロシクリル」という用語はまた、1つ以上の炭素及び/またはヘテロ原子が単環式環の隣接していない2員を架橋する架橋多環式構造を有する複素環式化合物、例えばキヌクリジン、トロパン、またはジアザ-ビシクロ[2.2.2]オクタンを表す。「ヘテロシクリル」という用語には、上記複素環のいずれかが、1つ、2つ、または3つの炭素環、例えば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、または別の単環式複素環と縮合されている二環式基、三環式基、及び四環式基を包含する。縮合ヘテロシクリルの例として、1,2,3,5,8,8a-ヘキサヒドロインドリジン;2,3-ジヒドロベンゾフラン;2,3-ジヒドロインドール;及び2,3-ジヒドロベンゾチオフェンが挙げられる。ヘテロシクリル基は、非置換でも、アルキル;アルケニル;アルキニル;アルコキシ;アルキルスルフィニル;アルキルスルフェニル;アルキルスルホニル;アミノ;アリール;アリールオキシ;アジド;シクロアルキル;シクロアルコキシ;シクロアルケニル;シクロアルキニル;ハロ;ヘテロアルキル;ヘテロシクリル;(ヘテロシクリル)オキシ;ヒドロキシ;ニトロ;チオール;シリル;シアノ;=O;=S;=NR’(式中、R’は、H、アルキル、アリール、またはヘテロシクリルである)からなる群より独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基で置換されてもよい。置換基のそれぞれは、それ自体が非置換でもよく、または各基それぞれについて本明細書で定義される非置換の置換基(複数可)で置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、それぞれ本明細書で定義される通りヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を表す。ヘテロシクリル部分及びアルキル部分は、本明細書に記載される個々の基のように任意選択で置換されてもよい。
本明細書で使用される「ヘテロシクリレン」という用語は、二価のヘテロシクリルを表す。任意選択で置換されるヘテロシクリレンは、ヘテロシクリルについて本明細書に記載される通り、任意選択で置換されるヘテロシクリレンである。
本明細書で使用される「(ヘテロシクリル)オキシ」という用語は、特に指定のない限り、式-OR(式中、Rはヘテロシクリル基である)の化学置換基を表す。(ヘテロシクリル)オキシは、ヘテロシクリルについて定義されるように任意選択で置換されてもよい。
本明細書で同義に使用される「ヒドロキシル」及び「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を表す。
本明細書で使用される「同位体濃縮」という用語は、分子内の所定の位置にある1つの同位体の同位体含有量が、この同位体の天然存在量よりも少なくとも100倍多い薬学的活性剤を指す。例えば、重水素について同位体濃縮された組成物には、少なくとも1つの水素原子の位置に、重水素の天然存在量よりも少なくとも100倍多い存在量の重水素を有する活性剤を包含する。好ましくは、重水素の同位体濃縮は、重水素が天然存在量よりも少なくとも1000倍多い。より好ましくは、重水素の同位体濃縮は、重水素が天然存在量よりも少なくとも4000倍(例えば、少なくとも4750倍、例えば、最大5000倍)多い。
本明細書で使用される「白血病」という用語は、広義に造血器官の進行性悪性疾患を指し、一般に、血液及び骨髄における白血球及びその前駆体の誤った増殖及び発達を特徴とする。白血病は一般に、(1)疾患の期間及び特徴(急性または慢性);(2)関与する細胞型;骨髄(骨髄性)、リンパ(リンパ性)、または単球;ならびに(3)白血性または非白血性(亜白血性)の異常細胞数の増加または非増加に基づいて臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的な白血病として、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、及び未分化細胞白血病が挙げられる。
本明細書で使用される「リンパ腫」という用語は、免疫起源の細胞から生じるがんを指す。T細胞及びB細胞リンパ腫の非限定的な例として、非ホジキンリンパ腫及びホジキン病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫-慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫-ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)/濾胞性T細胞リンパ腫(FTCL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、または節外性NK/T細胞性リンパ腫、鼻腔型が挙げられる。
本明細書で使用される「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の器官のメラノサイト系に起因する腫瘍を意味すると解釈される。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる黒色腫として、例えば、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、及び表在拡大型黒色腫が挙げられる。
本明細書で使用される「ニトロ」という用語は、-NO2基を表す。
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、二価の酸素原子を表す(例えば、オキソの構造は、=Oと示される場合がある)。
本明細書で使用される「Ph」という用語は、フェニルを表す。
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載の化合物を含有し、薬学的に許容される賦形剤と製剤化され、哺乳動物における疾患の治療のために治療レジメンの一環として政府規制当局の承認を得て製造または販売される組成物を表す。医薬組成物は、例えば、単位剤形での経口投与用(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、ゲルキャップ剤、またはシロップ剤);局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として);静脈内投与用(例えば、粒子状塞栓物質を含まない滅菌溶液として、及び静脈内使用に適した溶媒系で);または本明細書に記載の他の任意の製剤に製剤化することができる。
本明細書で同義に使用される「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に記載の化合物以外であり、患者に非毒性かつ非炎症性である特性を有する任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解可能であるビヒクル)を指す。賦形剤は、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮助剤、崩壊剤、染料(色素)、皮膚軟化剤、乳化剤、増量剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはコーティング、香味剤、香料、流動促進剤(流動賦活剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、または水和水を含み得る。例示的な賦形剤として、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、この塩が、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなく、堅実な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに適しており、妥当なベネフィット/リスク比に見合うことを表す。薬学的に許容される塩は当技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。塩は、本明細書に記載の化合物の最終的な単離及び精製中に、原位置で調製することも、あるいは遊離塩基を好適な有機酸と反応させることにより別途調製することもできる。代表的な酸付加塩として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンのカチオン、例えば、限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられる。
本明細書で使用される「前悪性」または「前がん性」という用語は、悪性ではないが、悪性化する傾向のある病態を指す。前悪性状態の非限定的な例として、骨髄異形成症候群、結腸のポリープ、皮膚の光線性角化症、子宮頸部の異形成、肺の化生、及び白板症が挙げられる。
本明細書で使用される「保護基」という用語は、ヒドロキシ、アミノ、またはカルボニルが、化学合成中に1種以上の望ましくない反応に関与しないようにすることを目的とした基を表す。本明細書で使用される「O-保護基」という用語は、ヒドロキシ基またはカルボニル基が、化学合成中に1種以上の望ましくない反応に関与しないようにすることを目的とした基を表す。本明細書で使用される「N-保護基」という用語は、窒素含有(例えば、アミノ、アミド、N-H複素環、またはヒドラジン)基が、化学合成中に1種以上の望ましくない反応に関与しないようにすることを目的とした基を表す。一般的に使用されるO-保護基及びN-保護基は、Greene,“Protective Groups in Organic Synthesis,” 3rd Edition(John Wiley & Sons,New York,1999)に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。例示的なO-保護基及びN-保護基として、アルカノイル基、アリーロイル基、またはカルバミル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、t-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、4,4’-ジメトキシトリチル、イソブチリル、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジノ、及び4-ニトロベンゾイルが挙げられる。
カルボニル含有基を保護するための例示的なO-保護基として、アセタール、アシラール、1,3-ジチアン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、及び1,3-ジチオランが挙げられるが、これらに限定されない。
他のO-保護基として、置換されたアルキル、アリール、及びアリール-アルキルエーテル(例えば、トリチル;メチルチオメチル;メトキシメチル;ベンジルオキシメチル;シロキシメチル;2,2,2,-トリクロロエトキシメチル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;エトキシエチル;1-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]エチル;2-トリメチルシリルエチル;t-ブチルエーテル;p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、p-ニトロフェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、及びニトロベンジル);シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;t-ブチルジメチルシリル;t-ブチルジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリフェニルシリル;及びジフェニルメチルシリル);カルボネート(例えば、メチル、メトキシメチル、9-フルオレニルメチル;エチル;2,2,2-トリクロロエチル;2-(トリメチルシリル)エチル;ビニル、アリル、ニトロフェニル;ベンジル;メトキシベンジル;3,4-ジメトキシベンジル;及びニトロベンジル)が挙げられるが、これらに限定されない。
他のN-保護基として、アラニン、ロイシン、フェニルアラニンなどの保護または非保護Dアミノ酸、Lアミノ酸、またはD,Lアミノ酸などの不斉補助剤;スルホニル含有基、例えば、ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなど;カルバメート形成基、例えば、ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、pメトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、pブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2、-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなど;アリール-アルキル基、例えば、ベンジル、p-メトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなど;シリルアルキルアセタール基、例えば[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル;及びシリル基、例えば、トリメチルシリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。有用なN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、ジメトキシベンジル、[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
「互変異性体」という用語は、多くの場合、プロトンの転位によって容易に相互変換する構造異性体を指す。互変異性体は、分光特性の相違によって識別できるが、通常は個々に分離できない異なった化学種である。互変異性体の非限定的な例として、ケトン-エノール、エナミン-イミン、アミド-イミド酸、ニトロソ-オキシム、ケテン-イノール、及びアミノ酸-カルボン酸アンモニウムが挙げられる。
一般に「肉腫」という用語は、胚性結合組織のような物質で構成され、通常は線維状物質または均質な物質に埋没した密な充実性の細胞で構成される腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる肉腫の非限定的な例として、例えば、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、絨毛癌、胎芽性肉腫、ウイルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽肉腫、巨大細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、及び毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
本明細書で使用される「対象」という用語は、当技術分野において公知である、対象由来試料(複数可)の臨床検査(複数可)の有無によらず、資格のある専門家(例えば、医師または看護師)によって、疾患または病態に罹患しているか、またはそのリスクがあると判断されたヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を表す。好ましくは、対象はヒトである。疾患及び病態の非限定的な例として、細胞の過剰増殖の症状を有する疾患、例えば、がんが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」とは、疾患または病態の改善、改良、安定化、予防、または治癒を意図した、対象の医療管理を指す。この用語には、積極的治療(疾患または病態の改善に向けた治療);因果治療(関連する疾患または病態の原因に向けた治療);対症的治療(疾患または病態の症状を緩和するよう設計された治療);予防治療(関連する疾患または病態の発症を最小限に抑えるかまたは部分的もしくは完全な抑制に向けた治療);及び補助治療(別の療法を補足するために用いられる治療)が包含される。
一般に、本発明は、化合物、それを含有する医薬組成物、化合物の調製方法、及び使用方法を提供する。本発明の化合物は、ATRキナーゼ阻害剤であり得る。このような化合物を使用すると、細胞、例えば、対象の細胞においてATRキナーゼを阻害することができる。対象は、疾患または病態、例えば、細胞過剰増殖の症状を有する疾患または病態、例えばがんの治療を必要とするものであり得る。本明細書に開示される化合物のATRキナーゼ阻害活性は、がんの治療を必要とする対象の治療に有用である。本明細書に開示される化合物を使用して治療することができるがんの非限定的な例は、Foote et al.,J.Med.Chem.,61:9889-9907,2018;Wengner et al.,Mol.Cancer Ther.,doi:10.1158/1535-7163.MCT-19-0019;及びDillon and Harrington,”Targeting ATR for Cancer Therapy:ATR-Targeted Drug Candidates” in Targeting the DNA Damage Response for Anti-Cancer Therapy,Eds.:Pollard and Curtin;Humana Press,Cham(2018),pp.99-127に示されている。
本発明は、式(I):
[式中、
は二重結合であり、各Yが独立してNまたはCR4であるか;あるいは
は単結合であり、各Yが独立してNRY、カルボニル、またはC(RY)2であり、その場合、各RYは独立してHまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
R1は、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたはHであり;
R2は、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、ハロゲン、-N(R5)2、-OR5、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または-Q-R5Bであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールまたは任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキルであり;
各R4は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルケニル、または任意選択で置換されるC2-6アルキニルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC6-10アリールであり;
R5Bは、ヒドロキシル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または任意選択で置換されるアルコキシであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルコキシアルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレン、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレン、または任意選択で置換されるC6-10アリーレンであり;
Xは水素またはハロゲンである]の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
本発明の化合物は、例えば、式(II):
[式中、
各Yは、独立してNまたはCR4であり;
R1は、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたはHであり;
R2は、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、ハロゲン、-N(R5)2、-OR5、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または-Q-R5Bであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールまたは任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキルであり;
各R4は、独立して、水素、ハロゲン、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルケニル、または任意選択で置換されるC2-6アルキニルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC6-10アリールであり;
R5Bは、ヒドロキシル、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、-SO2R5A、または任意選択で置換されるアルコキシであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC2-6アルコキシアルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
Qは、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキレン、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリーレン、または任意選択で置換されるC6-10アリーレンであり;
Xは水素またはハロゲンである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
いくつかの実施形態では、式(II)、(I)、または(I-b)の化合物において、
各Yは、独立してNまたはCR4であり;
R1は、Hまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
R2は、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキル、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールC1-6アルキル、-N(R5)2、-CON(R6)2、-SO2N(R6)2、または-SO2R5Aであり;
R3は、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであり;
各R4は独立して、Hまたは任意選択で置換されるC1-6アルキルであり;
各R5は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、または-SO2R5Aであり、各R5Aが、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたは任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルであるか;あるいは、両方のR5は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成し;
各R5Aは、独立して、任意選択で置換されるC1-6アルキルまたは任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルであり;
各R6は、独立して、水素、任意選択で置換されるC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリールC1-6アルキル、任意選択で置換されるC6-10アリール、または任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリールであるか;あるいは、両方のR6は、それらが結合する原子と一緒になって、任意選択で置換されるC2-9ヘテロシクリルを形成する。
本発明の化合物は、例えば、式(I-a):
[式中、Y、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明の化合物は、例えば、式(I-b):
[式中、Y、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明の化合物は、例えば、式(IA):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
式(IA)の化合物は、例えば、式(IA-a):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明の化合物は、例えば、式(IB):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
式(IB)の化合物は、例えば、式(IB-a):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明の化合物は、例えば、式(IC):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
式(IC)の化合物は、例えば、式(IC-a):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明の化合物は、例えば、式(ID):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
式(ID)の化合物は、例えば、式(ID-a):
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、式(I)について記載された通りである]の化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
好ましくは、R1はメチルである。
本発明の化合物において、R2は、例えば、任意選択で置換されるC3-8シクロアルキルであり得る。例えば、R2は、式(A):
[式中、
nは0、1、2、または3であり;
R7が、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、各RAは、独立して、Hまたはアルキルであるか、あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基であり得る。
本発明の化合物において、R2は、例えば、任意選択で置換されるC1-6アルキル(例えば、任意選択で置換される第3級C3-6アルキル)であり得る。例えば、R2は、式(B):
[式中、R7は、水素、アルキルスルホニル、シアノ、-CON(RA)2、-SON(RA)2、任意選択で置換されるC1-9ヘテロアリール、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、ここで、各RAが、独立して、Hまたはアルキルであるか、あるいは、両方のRAは、それらが結合する原子と一緒になって、C2-9ヘテロシクリルを形成する]の基であり得る。
本発明の化合物において、R2は、例えば、任意選択で置換される非芳香族C2-9ヘテロシクリルであり得る。
本発明の化合物において、R2は、例えば
であり得る。
本発明の化合物において、R3は、例えば、任意選択で置換される、少なくとも1つの窒素原子(例えば、2つの窒素原子)を含む単環式C1-9ヘテロアリールであり得る。例えば、R3は、式(C):
[式中、Aは、任意選択で置換される単環式C1-9ヘテロアリール環である]の基であり得る。
本発明のいくつかの化合物において、Aは、例えば、式(C1):
[式中、R8は、水素、ハロゲン、または任意選択で置換されるC1-6アルキルである]の基であり得る。
本発明の化合物において、R3は、例えば、
であり得る。
本発明の化合物において、R3は、例えば、
であり得る。
本発明の化合物において、R4は、例えば、水素であり得る。
本発明の化合物は、例えば、以下の表1に列挙される化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
本発明は、(可能な場合)本明細書に開示される化合物の個々のジアステレオマー、エナンチオマー、エピマー、及びアトロプ異性体、ならびにラセミ混合物を含むそのジアステレオマー及び/またはエナンチオマーの混合物を含む。本明細書に開示される特定の立体化学が好ましいが、ジアステレオマー、エナンチオマー、エピマー、アトロプ異性体、及びこれらの混合物を含む他の立体異性体もまた、ATR介在型疾患の治療において有用性を有し得る。不活性または活性の低いジアステレオ異性体及びエナンチオマーは、例えば、受容体及び活性化機構に関連する科学的研究に有用であり得る。
ある特定の分子は、複数の互変異性体形態で存在する可能性があると理解される。本発明は、実施例において1つの互変異性体しか示されていない場合であっても、すべての互変異性体を含む。
本発明はまた、化合物の薬学的に許容される塩、ならびに化合物及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を含む。このような化合物は、例えば、ある特定の種類のがんにおいて、及びがんが患者に発症した後に、その進行を遅延させるために特に有用である。
本明細書に開示される化合物は、(a)化合物(複数可)またはその薬学的に許容される塩、及び(b)薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物に使用することができる。化合物は、1種以上の他の活性医薬成分を含む医薬組成物に使用することができる。化合物は、本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩が活性成分のみである医薬組成物に使用することができる。
光学異性体-ジアステレオマー-幾何異性体-互変異性体
本明細書に開示される化合物は、例えば、1つ以上の立体中心を含んでもよく、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマー、ならびにジアステレオマー及び/またはエナンチオマーの混合物として存在してもよい。本発明は、本明細書に開示される化合物のそのような異性体形態をすべて含む。混合物中の可能な立体異性体、及び純粋な化合物または部分精製された化合物として可能な立体異性体(例えば、エナンチオマー及び/またはジアステレオマー)はすべて、本発明の範囲内に含まれると意図される(すなわち、純粋な化合物として、または混合物中の立体中心の可能な組み合わせすべて)。
本明細書に記載の化合物のいくつかは、回転障害のある結合を含有してもよく、それにより2つの個々の回転異性体、すなわちアトロプ異性体を分離し、異なる生物活性を有することを検出できる点で有利であり得る。可能なアトロプ異性体はすべて、本発明の範囲内に包含されると意図される。
本明細書に記載の化合物のいくつかは、オレフィン二重結合を含んでもよく、特に指定のない限り、E及びZ幾何異性体の両方を含むことを意図する。
本明細書に記載の化合物のいくつかは、水素の異なる結合点を伴って存在してもよく、これを互変異性体と称する。一例は、ケト-エノール互変異性体として知られるケトンとそのエノール型である。個々の互変異性体に加え、その混合物も本発明に包含される。
1つ以上の不斉中心を有する本明細書に開示される化合物は、当技術分野において周知の方法によって、ジアステレオ異性体、エナンチオマーなどに分離することができる。
あるいは、キラル中心を有するエナンチオマー及び他の化合物は、光学的に純粋な出発物質及び/または公知の立体配置の試薬を使用した立体特異的合成によって合成することができる。
代謝物-プロドラッグ
本発明は治療活性代謝物を含み、この代謝物自体が特許請求の範囲内に包含される。本発明はまたプロドラッグを含み、これは、患者に投与されているとき、または患者に投与された後に、特許請求される化合物に変換される化合物である。この用途の特許請求される化学構造は、場合によってはそれ自体がプロドラッグであり得る。
同位体濃縮誘導体
本発明は、分子内の1つ以上の位置に同位体濃縮された分子を含む。したがって、重水素で濃縮された化合物は、特許請求の範囲内に包含される。
本発明の化合物の調製方法
本発明の化合物は、当技術分野において公知である反応及び技術、ならびに本明細書に記載されているものを使用して調製することができる。
方法A
本発明の化合物は、スキームAに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。市販の4-シアノ-7-アザインドールを、標準条件下で酸に加水分解してエステル化することができる。6位の位置特異的塩素化は、酸化剤、例えばmCPBAによる7-アザの酸化と、それに続くメシルクロリドによる塩素化によって達成することができる。インドールの窒素を、好適な保護基(PG)、例えば、SEMまたはTHPで保護することができる。6-クロロは、任意選択でパラジウム(0)または銅(I)によって触媒できるSNAr条件下で、モルホリンに適切に置換され、脱離させることができる。次に、エステルを、好適な還元剤、例えば、LiBH4またはDIBAL-Hでアルコールに還元することにより誘導体化し、メシレート基またはヨード基を形成することにより活性化し、メタンスルフィン酸ナトリウムで置換してメチルスルホンを形成することができる。塩基及び相間移動触媒の存在下でジブロモエタンを使用して、ベンジル位のシクロプロパン化を行うことができる。次に、アザインドールの脱保護により主要中間体が得られ、これを適切なヨウ化アリールまたはヨウ化ヘテロアリール(R3-I)とのパラジウム触媒または銅触媒カップリングにより誘導体化し、本発明の化合物を生成することができる。置換反応を促進するための保護基をR3が有する場合、本発明の化合物を得るには、酸、塩基、及び/またはフッ化物条件を使用する脱保護工程を必要とする場合がある。
方法B
本発明の化合物はまた、スキームBに示され、本明細書に記載される通り調製することもできる。市販の4-クロロ-7-アザインドールを、7-アザ基の酸化と硫酸ジメチルによるメチル化により活性化して求核置換することができる。適切に置換されるモルホリンの付加とそれに続くメタノールの原位置除去により、6-モルホリノアザインドールが得られる。次に、アリール基またはヘテロアリール基(R3)を、銅を介したアリール化反応によって付加することができる。ヘテロアリール基の性質に応じて、このカップリング反応の前に保護基の配置を必要とする場合がある。いくつかの異なる方法で4-クロロ基を誘導体化し、本発明の化合物を得ることができる。例えば、パラジウムまたは銅を介したカップリングを使用して、R2位にアリール基またはヘテロアリール基を導入することができる。あるいは、R2が置換アミンである場合、SNAr条件下またはBuchwald型カップリング条件下で、塩化物置換を行うことができる。硫化物を使用して4-クロロ基を置換することもでき、任意選択でこれを酸化してスルホンを生成することができる。R3が保護基を有する場合、本発明の化合物を得るには、酸、塩基、及び/またはフッ化物条件を使用する脱保護工程を必要とする場合がある。
方法C
本発明の化合物は、スキームCに示され、本明細書に記載される通り調製できる主要中間体Aから調製することができる。保護された5-アミノピラゾールは、適切なアルデヒドをヒドラジン水和物及びアクリロニトリルと縮合することによって調製することができる。次に、還流酢酸中でのジアルキルオキサロ酢酸塩との縮合により、置換アザインダゾールを生成する。トリフル酸無水物によるヒドロキシル基の活性化とそれに続くモルホリン誘導体による求核置換により、主要中間体Aを生成する。
方法D
中間体Aは、スキームDに示され、本明細書に記載される通り、アルキルエステルを基に変換することにより、本発明の化合物に変換することができる。例えば、中間体Aを還元基、例えば、DIBAL-H、LiBH4、またはNaBH4で処理すると、第1級アルコールが生成され、これを試薬、例えばMsClまたはTsClで活性化することができる。脱離基をスルホン酸アルキルで置換するとベンジルスルホンが得られ、ハロゲン化アルキルを用いて塩基性条件下でこれをアルキル化することができる。次に、方法Aに記載される脱保護及びアリール化により、本発明の化合物を得る。
方法E
本発明の化合物は、スキームEに示され、本明細書に記載される中間体Aから調製することができる。中間体Aをメチルマグネシウムブロミドのようなアルキル化剤で処理して、アルキルエステル基を第3級アルコールに変換することができる。この物質を方法Aに記載される通り脱保護及びアリール化して、本発明の化合物を得ることができる。
方法F
本発明の化合物は、スキームFに示され、本明細書に記載される中間体Aから調製することができる。中間体Aは酸性条件下で脱保護した後、銅触媒条件下でアリール化することができる。次に、エステル基を、任意選択でヨウ化リチウムが存在する状態で、薬剤、例えばメシルクロリドまたはトシルクロリドにより還元及び活性化することができる。次に、シアン化ナトリウムで置換すると、本発明の例示的な化合物であるアリールアセトニトリルが得られる。この種の化合物を、塩基存在下でハロゲン化アルキルによりアルキル化して、本発明の化合物であるジアルキル化アリールアセトニトリルを得ることができる。R-Xがジハロアルカンの場合、2つのR基が3~7員環である対応する環状誘導体が形成される。あるいは、第1級アルコールを光延条件下でシアノヒドリンとカップリングして、ニトリル誘導体を直接得ることができる。またニトリルを塩基性条件下でまたは金属触媒の存在下で第1級アミドに加水分解して、本発明の化合物を得ることができる。
方法G
本発明の化合物は、スキームGに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。N-保護5,7-ジクロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンをパラジウム触媒下でアリールボロン酸により処理し、適切なR2基を導入することができる。第2のクロロ置換基は、任意選択でパラジウム(0)または銅(I)によって触媒できるSNAr条件下で、モルホリンに適切に置換され、脱離させることができる。方法Aに記載される保護基の除去とそれに続くアリール化により、本発明の化合物を得る。
方法H
本発明の化合物は、スキームHに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。方法Aに記載される保護アザインドールにアルキルグリニャール試薬を添加し、第3級アルコールを生成する。方法Aに記載されるアザインドールの保護基の除去とそれに続くアリール化により、本発明の化合物を得る。
方法I
本発明の化合物は、スキームIに示され、本明細書に記載される中間体Aから調製することができる。中間体Aのエステルを対応する酸に加水分解した後、適切なカップリング試薬、例えばEDCまたはHATUを使用するアミド形成条件下でアミドにより処理することができる。次に、アザインドールの脱保護により主要中間体が得られ、これを適切なヨウ化アリールまたはヨウ化ヘテロアリール(R3-I)とのパラジウムまたは銅触媒カップリングにより誘導体化し、本発明の化合物を生成することができる。置換反応を促進するための保護基をR3が有する場合、本発明の化合物を得るには、酸、塩基、及び/またはフッ化物条件を使用する脱保護工程を必要とする場合がある。
方法J
本発明の化合物は、スキームJに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。方法Fから得たエステル中間体を、標準条件下、例えば、LiOHまたはNaOHの水溶液で、対応する酸に加水分解することができる。活性化剤、例えばCDIまたはEDCを使用して、この酸をヒドラジンとカップリングして、ヒドラジドを生成することができる。これをホルミル化(R=H)またはアシル化(R=アルキル、アリール)してジアシルヒドラジンを得ることができ、これを環化して本発明の化合物を得ることができる。POCl3で環化を行うと、オキサジアゾールが生成される。ローソン試薬で環化を行うと、チアジアゾールが生成される。この環化を促進するための保護基をR3が有する場合、本発明の化合物を得るには、酸、塩基、及び/またはフッ化物条件を使用する脱保護工程を必要とする場合がある。
方法K
本発明の化合物は、スキームKに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。5-クロロ-3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジンは、任意選択でパラジウム(0)または銅(I)によって触媒できるSNAr条件下で、モルホリンに適切に置換され、脱離させることができる。トリアゾリルの窒素を適切なヨウ化アリールまたはヨウ化ヘテロアリール(R3-I)とのパラジウム触媒または銅触媒カップリングにより誘導体化し、適切なR3基を導入することができる。7位の位置特異的塩素化は、酸化剤、例えばmCPBAによる3-アザ酸化と、それに続くメシルクロリドによる塩素化によって達成することができる。いくつかの異なる方法で7-クロロ基を誘導体化し、本発明の化合物を得ることができる。例えば、パラジウムまたは銅を介したカップリングを使用して、R2位にアリール基またはヘテロアリール基を導入することができる。あるいは、R2が置換アミンである場合、SNAr条件下またはBuchwald型カップリング条件下で、塩化物置換を行うことができる。硫化物を使用して4-クロロ基を置換することもでき、任意選択でこれを酸化してスルホンを生成することができる。この環化を促進するための保護基をR3が有する場合、本発明の化合物を得るには、酸、塩基、及び/またはフッ化物条件を使用する脱保護工程を必要とする場合がある。
方法L
2,6-ジフルオロ-4-ヨードピリジンを強塩基でメタル化して、ギ酸エチルなどの適切なホルミル化剤で捕捉することによりホルミル化することができる。得られるアルデヒドを、適切に置換されるピラゾールヒドラジンと縮合して、対応するヒドラジンを形成し、これを高温に加熱することにより環化してアザインダゾールにすることができる。アザインダゾールのフッ素置換基を、SNAr条件下で適切に置換されるモルホリンにより脱離させ、主要中間体Bを得ることができる。ピラゾールNHを適切な保護基で保護すると、主要中間体Cが、通常はN-保護位置異性体の混合物として得られる。
方法M
本発明の化合物は、スキームMに示され、本明細書に記載される通り調製することができ、主要中間体Cをパラジウム触媒下でアリールボロン酸により処理し、適切なR2基を導入することができる。保護基の除去により、本発明の化合物を得る。
方法N
本発明の化合物は、スキームNに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。アルキルリチウムまたはアルキルマグネシウムハライドで主要中間体Cをメタル化すると、アリールリチウムまたはアリールマグネシウムブロミドを生成でき、これを適切なケトンに付加して、第3級アルコール誘導体を生成することができる。ケトンが1つ以上の位置に重水素の濃縮を含む場合、得られる生成物も重水素が同位体濃縮されることになる。保護基の除去により、本発明の化合物を得る。あるいは、保護基が存在しない場合、主要中間体Bを使用して、この化学反応を実施し、本発明の化合物を直接得ることができる。
方法O
本発明の化合物は、スキームOに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。主要中間体Cを炭素系、窒素系、または硫黄系の求核試薬により処理し、ヨード基を脱離させ、適切なR2基を導入することができる。保護基の除去により、本発明の化合物を得る。
方法P
本発明の化合物は、スキームPに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。臭素化剤での処理により、臭素原子をアザインダゾール環の3位に導入し、本発明の化合物を得ることができる。Pd触媒下でのアルキルスタナン、ビニルスタナン、またはアリールスタナンにより処理し、本発明の化合物を得る。
方法Q
本発明の化合物は、スキームQに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。2,6-ジフルオロ-4-ヨードニコチンアルデヒドをヒドラジンと環化して6-フルオロ-4-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジンを形成し、さらに置換モルホリンによるSNAr反応を施すことができる。得られる中間体に、塩基性条件下で2-シアノプロパンによる2回目のSNAr反応を施し、二置換アザインダゾール環系を得ることができる。アザインダゾールのNHでのウルマンカップリングと、それに続く脱保護により、本発明の化合物を得る。
方法R
本発明の化合物は、スキームRに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。ビス(ピナコラト)ジボロン、パラジウム触媒、及び塩基の処理により、中間体Cをボロン酸試薬に変換することができる。次に、このボロン酸をパラジウム触媒下でアリールハライドまたはアリールトリフラートで処理し、適切なR2基を導入することができる。保護基の除去により、本発明の化合物を得る。
方法S
本発明の化合物は、スキームRに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。中間体Cを5位で塩素化することができる。得られる中間体をパラジウム触媒下でアリールボロン酸またはアリールボロン酸エステルで処理し、適切なR2基を導入することができる。保護基の除去により、本発明の化合物を得る。
方法T
本発明の化合物は、スキームTに示され、本明細書に記載される通り調製することができる。2,6-ジフルオロ-4-ヨード-ピリジン-3-カルボキシアルデヒドを置換モルホリンで処理して、6-フルオロ置換基を選択的に脱離させることができる。アルデヒドの酸化に続いて、適切に保護された複素環式ヒドラジンによるヒドラジド形成が行われる。塩基性条件下でヒドラジドを環化して、ヨードピラゾロピリジノン環系を形成することができる。炭素、酸素、または硫黄の求核試薬によりこの中間体に引き続きSNAr反応を施すか、または優先的には、パラジウム触媒下でアリールボロン酸により処理し、適切なR2基を導入することができる。引き続き保護基を除去すると、本発明の化合物が得られる。
治療方法
本発明の化合物は、有効量の本発明の化合物を対象に投与することにより、対象においてATRキナーゼが介在する疾患または病態の治療に使用することができる。
疾患または病態は、細胞過剰増殖の症状を有し得る。例えば、疾患または病態はがんであり得る。がんは、例えば、癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、白血病、または黒色腫であり得る。がんは、例えば、固形腫瘍であり得る。
がんの非限定的な例として、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、多発性骨髄腫、脳癌、神経膠腫、肺癌、唾液腺癌、胃癌、胸腺上皮癌、甲状腺癌、白血病、黒色腫、リンパ腫、消化器癌、膵臓癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌、及び肝臓癌が挙げられる。
癌腫の非限定的な例として、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞上皮癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、基底細胞癌(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱状細胞癌、腺管癌、硬性癌腫、胚性癌、脳様癌、類表皮癌、腺様上皮癌、外方発育癌、潰瘍性癌、線維性癌、膠状癌、膠様質癌、巨大細胞癌、巨大細胞様癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子質癌、副腎様癌、小児胚性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッカー癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、悪性黒色腫、軟性癌、粘液性癌、粘液癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘膜癌(carcinoma mucosum)、粘膜癌(mucous carcinoma)、粘液腫様癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、骨様癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、髄質様癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、スキルス癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌、扁平細胞癌、弦状癌、血管拡張性癌、毛細血管拡張性癌、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌、及び絨毛癌が挙げられる。
肉腫の非限定的な例として、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、絨毛癌、胎芽性肉腫、ウイルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽肉腫、巨大細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、及び毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
白血病の非限定的な例として、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞性白血病、血芽球性白血病、血球芽細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病、及び未分化細胞白血病が挙げられる。
黒色腫の非限定的な例として、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、及び表在拡大型黒色腫が挙げられる。
本発明の化合物は、経口、舌下、頬側、経皮、皮内、筋肉内、非経口、静脈内、動脈内、頭蓋内、皮下、眼窩内、脳室内、脊髄内、腹腔内、鼻腔内、吸入、腫瘍内、及び局所投与からなる群より選択される経路によって投与することができる。
本発明の方法は、対象がATR阻害剤療法の候補であると特定する工程を含み得る。例えば、(i)ATMシグナル伝達カスケードの欠損に伴うがんを対象が有するかどうか;(ii)がん、がん細胞、またはがん促進遺伝子もしくはがん遺伝子の遺伝的異常発現細胞を対象が有するかどうか;(iii)がん、がん細胞、または塩基除去修復に関与するタンパク質または遺伝子に1つ以上の欠損(複数可)をもつ細胞を対象が有するかどうか;(iv)相同組換えに関与するタンパク質または遺伝子に欠損を伴うがんを対象が有するかどうか;(v)ATR阻害剤に対する感受性またはATRの遺伝的摂動に関与しているタンパク質または遺伝子に欠損を伴うがんを対象が有するかどうか;あるいは(vi)ATR阻害剤に対する感受性に関与している遺伝子またはタンパク質の特徴を伴うがんを対象が有するかどうかを決定することにより、対象がATR阻害剤療法の候補であると特定することができる。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、ATMシグナル伝達カスケードに異常を伴うがんを有する対象を治療することができる。例えば、ATMシグナル伝達カスケードの異常は、例えば、以下のタンパク質/遺伝子、すなわち限定されないが、ATM、p53、CHK2、MRE11、RAD50、NBS1、53BP1、MDC1、H2AX、MCPH1/BRIT1、CTIP、及びSMC1のうち、1つ以上の発現または活性の変化であり得る。ATMシグナル伝達の異常は、次の通り特定することができる。CHK2のリン酸化の20%以上の変化が、ATMシグナル伝達カスケードの異常の指標であり得る。あるいは、二本鎖DNA切断に応答した細胞周期のG1期及びS期での細胞停止の無効化が、ATMシグナル伝達カスケードの異常の指標であり得る。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、がん、がん細胞、またはがん促進タンパク質もしくはがん遺伝子の異常発現を伴う細胞を有する対象を治療することができる。例えば、がん細胞は、以下のタンパク質/遺伝子、すなわち限定されないが、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、MYC、MOS、E2F、CDC25A、CDC4、CDK2、CCNE1、CCNA1、DNAPK、APOBEC3、CDC6、及びRB1のうち、1つ以上の発現または活性の変化を引き起こす遺伝子異常を有し得る。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、がん、がん細胞、または塩基除去修復に関与するタンパク質または遺伝子に1つ以上の異常(複数可)を伴う細胞を有する対象を治療することができる。例えば、塩基除去修復タンパク質の異常は、以下のタンパク質/遺伝子、すなわち限定されないが、UNG、SMUG1、MBD4、TDG、OGG1、MYH、NTH1、MPG、NEIL1、NEIL2、NEIL3(DNAグリコシラーゼ);APE1、APEX2(APエンドヌクレアーゼ);LIG1、LIG3(DNAリガーゼI及びIII);XRCC1(LIG3補因子);PNK、PNKP(ポリヌクレオチドキナーゼ及びホスファターゼ);PARP1、PARP2(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ);PolB、PolG(ポリメラーゼ);FEN1(エンドヌクレアーゼ)またはアプラタキシンのうち、1つ以上の発現または活性の変化であり得る。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、がん、がん細胞、または相同組換えに関与するタンパク質または遺伝子に1つ以上の異常(複数可)を伴う細胞を有する対象を治療することができる。例えば、相同組換えの異常は、以下のタンパク質/遺伝子、すなわち限定されないが、BRCA1、BRCA2、MRE11、RAD50、RAD51、RAD52、RAD54L、NBN、ATM、H2AX、PALB2、RPA、BRIP1、BARD1、ATR、ATRX、CHK1、CHK2、MDM2、MDM4、FANCA、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、及びFANCLのうち、1つ以上の発現または活性の変化であり得る。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、がん、がん細胞、またはATR阻害剤に対する感受性もしくはATRシグナル伝達経路の遺伝的摂動に関与するタンパク質または遺伝子に1つ以上の異常(複数可)を伴う細胞を有する対象を治療することができる。例えば、ATR阻害剤に対する感受性またはATRの遺伝的摂動に関与している遺伝子の異常は、以下のタンパク質/遺伝子、すなわち限定されないが、ATR、CHK1、ERCC1、ERCC2、RAD17、RAD1、RAD9A、ERCC4、ATM、FANCE、GCP3、IDH1、PALB2、PMS2、ARID1A、SLX4、MSH4、RRM2、POLA、POLD1、RRM1、WEE1、CLSPN、PGBD5、XRCC1、XRCC3、XRCC5、KDM5D、CDC6、SLFN11、TLK1、及びTLK2のうち、1つ以上の発現または活性の変化であり得る。
腫瘍がタンパク質または遺伝子に異常を有するかどうかを決定する当技術分野において公知である方法は数多く存在する。例えば、腫瘍の試料に対して、ゲノムDNAまたはmRNA産物いずれかの指定された各遺伝子(例えば、UNG、PARP1、またはLIG1など)の配列決定を実施して、遺伝子産物の機能または発現を調節すると予測される変異が存在するかどうかを確定することができる。変異性不活性化に加えて、腫瘍細胞はそのプロモーター領域を高メチル化することにより、遺伝子発現を低下させるように遺伝子を調節することができる。これは、最も一般的には、対象となる塩基除去修復遺伝子のプロモーターのメチル化レベルを定量するメチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して評価される。DNA修復遺伝子プロモーターのメチル化の分析は商業利用されている。
遺伝子の発現レベルは、標準技術、例えば、定量的逆転写酵素結合ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、RNA-Seq遺伝子発現解析、及びタンパク質発現に対する免疫組織化学染色(IHC)を使用して、各遺伝子のmRNA産物及びタンパク質産物のレベルを直接定量することによって評価することができる。タンパク質の異常な過剰発現につながる遺伝子の増幅、または過小発現につながる遺伝子の欠損(それぞれ)を、対象となる遺伝子に対して特異的なプローブを使用するFISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)分析によっても測定することができる。
上記の方法(遺伝子配列、プロモーターのメチル化、及びmRNA発現)を使用して、対象となる他の遺伝子またはタンパク質、例えば、腫瘍、または細胞のDNA修復経路の欠損によって発現されるDNA損傷がん遺伝子の状態(例えば、発現または変異)を特性決定することもできる。
記載された化合物、組成物、及び方法を使用して、ATR阻害剤に対する感受性に関与している遺伝的特徴を有するがんに罹患している対象を治療することができる。いくつかの実施形態では、遺伝的特徴とは、以下のうちの1つ以上、すなわちHTERT及び/またはATRXのmRNAまたはタンパク質発現の非存在下での細胞形質転換、C環または部分的二本鎖及び環状の染色体外テロメア繰り返し配列(ECTR)の存在、長さが異なるテロメアの存在、ならびにALT関連前骨髄球性白血病(PML)核小体(APB)の存在を示す陽性染色を特徴とするテロメア選択的伸長(ALT)のある細胞である。
細胞内のALT特性を決定する方法はいくつか存在する。この方法の非限定的な例として、以下が挙げられる。HTERT及びATRXの発現は、ウエスタンブロット、免疫組織化学染色(IHC)、またはmRNA発現(qRT-PCR)アッセイによって測定することができる。C環の存在はPCRアッセイで測定でき、長さの異なるテロメアの存在は、末端制限断片長の分布を用いて細胞集団のテロメア長の範囲が不均一であることを測定するテロメア制限断片分析(TRF)によって測定することができる。APBの存在を示す染色は、IHCを使用して、テロメアDNA及びPMLタンパク質に対するプローブと共染色することにより行うことができる。
医薬組成物
本明細書に記載の方法に使用される化合物は、好ましくは、in vivo投与に適した生物学的適合性のある形態でヒト対象に投与するための医薬組成物に製剤化される。医薬組成物は通常、本明細書に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む。ある特定の医薬組成物は、本明細書に記載の1種以上の追加の薬学的活性剤を含んでもよい。
本明細書に記載の化合物はまた、遊離塩基の形態で、塩、双性イオン、溶媒和物の形態で、もしくはプロドラッグ、またはそれらの医薬組成物として使用することができる。すべての形態が本発明の範囲内である。当業者は理解されるであろうが、化合物、塩、双性イオン、溶媒和物、プロドラッグ、またはそれらの医薬組成物は、選択された投与経路に応じて様々な形態で患者に投与することができる。本明細書に記載の方法に使用される化合物は、例えば、経口投与、非経口投与、頬側投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、パッチ投与、ポンプ投与、または経皮投与、及びそれに応じて製剤化された医薬組成物によって投与することができる。非経口投与として、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内、くも膜下腔内、直腸、及び局所といった投与様式が挙げられる。非経口投与は、選択された期間にわたる持続注入によるものであってよい。
ヒト用途の場合、本発明の化合物は、単独で、または意図される投与経路及び標準薬務に関して選択された薬学的担体と混合して投与することができる。したがって、本発明に従って使用される医薬組成物は、本発明の化合物の製剤への加工を容易にし、製薬に使用することができる賦形剤及び補助剤を含む1種以上の薬理学的に許容される担体を使用して従来の方法で製剤化することができる。
本発明はまた、1種以上の薬学的に許容される担体を含有し得る医薬組成物を含む。本発明の医薬組成物の製造において、活性成分は通常、賦形剤と混合されるか、賦形剤で希釈されるか、またはそのような担体内部に、例えばカプセル、サシェ、紙、または他の容器の形態で封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分にとってビヒクル、担体、または媒体として作用する固体、半固体、または液体物質(例えば正常生理食塩水)であり得る。したがって、組成物は、錠剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳剤、液剤、シロップ剤、ならびに軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤の形態であり得る。当技術分野において公知であるように、希釈剤の種類は、意図される投与経路に応じて異なり得る。得られる組成物に、追加の薬剤、例えば、防腐剤を含んでもよい。
賦形剤または担体は、投与の様式及び経路に基づいて選択される。好適な薬学的担体、ならびに医薬製剤に使用される薬学的必需品は、当分野において周知の参考書であるRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Gennaro,Ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2005)、及びUSP/NF(米国薬局方及び国民医薬品集)に記載されている。好適な賦形剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースである。製剤はさらに、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;保存剤、例えばメチルベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエート;甘味剤;ならびに着香剤を含み得る。他の例示的な賦形剤は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th Edition,Rowe et al.,Eds.,Pharmaceutical Press(2009)に記載されている。
これらの医薬組成物は、従来の方法で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥といったプロセスによって製造することができる。当技術分野において周知されている製剤の製造方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Gennaro,Ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2005)、及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkに記載されている。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。そのような組成物の製剤化及び調製は、医薬製剤分野の当業者に周知されている。製剤を調製する際、他の成分と合剤にする前に、活性化合物を粉砕して適切な粒径にすることができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒径に粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粉砕により粒径を、例えば約40メッシュに調整し、製剤中でほぼ均一に分散させることができる。
投与量
本明細書に記載の方法に使用される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、またはその医薬組成物の投与量は、多くの要因、例えば、化合物の薬力学的特性;投与方法;レシピエントの年齢、健康状態、及び体重;症状の性質及び程度;治療の頻度、及び該当する場合は同時治療の種類;ならびに治療される動物における化合物のクリアランス速度に応じて異なり得る。当業者は、上記の要因に基づいて適切な投与量を決定することができる。本明細書に記載の方法に使用される化合物は、最初に適当な投与量で投与し、臨床反応に応じて、その投与量を必要に応じて調整することができる。一般に、本発明の化合物の適当な1日用量は、治療効果を生み出すのに有効な最低用量である化合物の量であると考えられる。そのような有効用量は一般に上記の要因に応じて異なることになる。
本発明の化合物は単回用量または複数回用量で患者に投与することができる。複数回用量を投与する場合、各用量を互いに、例えば1~24時間、1~7日、1~4週間、または1~12か月ごとに分割してもよい。日程に従って化合物を投与することも、または所定の日程を定めずに化合物を投与することもできる。活性化合物は、例えば、毎日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、もしくは12回、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、もしくは6日ごと、毎週1回、2回、3回、4回、5回、6回、もしくは7回、毎月1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回、または毎年1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、もしくは12回投与することができる。特定の対象についての具体的な投与量レジメンは、必要とする個体に応じて、及び組成物の投与を管理または指導する個人の職業的判断に応じて、経時的に調整する必要があると理解すべきである。
最終的に適切な量及び投与レジメンを主治医が決定することになるが、本発明の化合物の有効量は、例えば、1日総投与量、例えば0.05mg~3000mgの本明細書に記載のいずれかの化合物であり得る。あるいは、投与量は、患者の体重を用いて算出することができる。そのような用量範囲は、例えば、10~1000mg(例えば、50~800mg)を含み得る。いくつかの実施形態では、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1000mgの化合物が投与される。
本発明の方法では、本発明の化合物の複数回用量を患者に投与する期間は様々であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の化合物の用量は、1~7日;1~12週間;または1~3か月である期間にわたって患者に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、例えば4~11か月または1~30年である期間にわたって患者に投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、症状の発症時に患者に投与される。このような実施形態のいずれにおいても、投与する化合物量を投与期間中に変更してもよい。化合物が毎日投与される場合、例えば、毎日1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、または12回投与を行うことができる。
製剤
本明細書に記載の方法のいずれかを使用して、本明細書に記載の病態のいずれかを治療できると特定された化合物を、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤とともに単位剤形で患者または動物に投与することができる。そのような療法に使用するための化学化合物は、医薬品化学分野の当業者に公知である任意の標準技術によって製造及び単離することができる。従来の薬務を使用して、特定された化合物を疾患または病態に罹患している患者に投与するための適した製剤または組成物を提供することができる。投与は、患者が症状を示す前に開始される場合がある。
本発明に使用される、化合物(例えば本発明の化合物)またはその医薬組成物の例示的な投与経路として、経口、舌下、頬側、経皮、皮内、筋肉内、非経口、静脈内、動脈内、頭蓋内、皮下、眼窩内、脳室内、脊髄内、腹腔内、鼻腔内、吸入、及び局所投与が挙げられる。化合物は、望ましくは、薬学的に許容される担体とともに投与される。本明細書に記載の障害を治療するために製剤化された本明細書に記載の化合物の医薬製剤もまた、本発明の一部である。
経口投与用製剤
本発明が企図する医薬組成物には、経口投与用に製剤化されたもの(「経口剤形」)が含まれる。経口剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤もしくは懸濁剤、散剤、または液晶もしくは固体結晶の形態であり得、これらは、非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分(複数可)を含有する。このような賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または増量剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに滑沢剤、流動促進剤、及び付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、またはタルク)であり得る。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、着香剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
経口投与用製剤はまた、咀嚼錠として、不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と活性成分が混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、または水もしくは油性媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と活性成分が混合されている軟質ゼラチンカプセルとして存在してもよい。散剤、顆粒剤、及びペレット剤は、錠剤及びカプセル剤について上記に述べた成分を使用して、例えば、ミキサー、流動床装置、または噴霧乾燥装置を使用する従来の方法で調製することができる。
経口用途の制御放出組成物は、活性原薬の溶解及び/または拡散を制御して活性薬物を放出するように構築することができる。制御放出及び目標とする血漿濃度対時間プロファイルを得るには、いくつかの手段のいずれを遂行してもよい。一例では、制御放出は、例えば、様々な種類の制御放出組成物及びコーティングを含む、様々な製剤化パラメーター及び成分の適切な選択によって得られる。例として、単一単位または複数単位の錠剤またはカプセル剤組成物、油剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフィア剤、ナノ粒子剤、パッチ剤、及びリポソーム剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、生分解性、pH、及び/または温度に感受性のポリマーコーティングを含む。
溶解または拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル剤、ペレット剤、または顆粒剤の適切なコーティングによって、または適切なマトリクスへの化合物の取り込みによって達成することができる。制御放出コーティングは、上記に述べるコーティング物質の1つ以上、及び/または、例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス、ヒマシ油ワックス、カルナウバロウ、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、及び/またはポリエチレングリコールを含み得る。制御放出マトリクス製剤において、マトリクス材料は、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバロウ及びステアリルアルコール、carbopol 934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/またはハロゲン化フルオロカーボンも含み得る。
経口投与の場合に本発明の化合物及び組成物を組み込むことができる液体形態として、水溶液、適切に着香されたシロップ、水性または油性懸濁液、及び食用油(例えば、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油)を用いた着香乳剤、ならびにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
非経口投与用製剤
本発明の方法に使用される本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の薬学的に許容される非経口(例えば、静脈内または筋肉内)製剤で投与することができる。医薬製剤はまた、従来の非毒性の薬学的に許容される担体及びアジュバントを含有する剤形または製剤で非経口(静脈内、筋肉内、皮下など)投与することができる。特に、非経口投与に適した製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図するレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射液、ならびに懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。例えば、そのような組成物を調製するには、本発明の化合物を、非経口に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁することができる。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、適量の塩酸、水酸化ナトリウム、または適切な緩衝液で適切なpHに調整された水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。水性製剤はまた、1種以上の防腐剤、例えばメチル、エチル、またはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートを含有することができる。非経口製剤に関する追加情報は、例えば、米国薬局方-国民医薬品集(USP-NF)で参照することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
非経口製剤は、USP-NFによって非経口投与に適すると確認された5つの一般的な種類の調製物、すなわち
(1)「薬物注射液」:原薬(例えば、本発明の化合物)である液体製剤、またはその溶液;
(2)「注射用薬物」:薬物注射液としての非経口投与に適した滅菌ビヒクルと合一される乾燥固体としての原薬(例えば、本発明の化合物);
(3)「薬物注射用乳剤」:適切な乳剤媒体に溶解または分散された原薬(例えば、本発明の化合物)の液体調製物;
(4)「薬物注射用懸濁液」:適切な液体媒体に懸濁された原薬(例えば、本発明の化合物)の液体調製物;
(5)「注射用懸濁液用薬物」:薬物注射用懸濁液としての非経口投与に適した滅菌ビヒクルと合一される乾燥固体としての原薬(例えば、本発明の化合物)のうちいずれであってもよい。
非経口投与用の例示的な製剤として、界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースと適切に混合して調製された化合物の水溶液が挙げられる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、及びその混合物(アルコール含有または非含有)中で、ならびに油中で分散液を調製することもできる。通常の保存及び使用条件下では、これらの調製物に微生物の増殖を防止する防腐剤を含有してもよい。好適な製剤の選択及び調製のための従来的な手順及び成分は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Gennaro,Ed.,Lippincott Williams & Wilkins(2005)及びThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 36 NF31),2013年刊行に記載されている。
非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、または生理食塩水、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、植物由来の油、または硬化ナフタレンを含有してもよい。生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを使用して、化合物の放出を制御することができる。他の有用な可能性のある、化合物の非経口送達系として、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋込型注入システム、及びリポソームが挙げられる。吸入用製剤は、例えばラクトースなどの賦形剤を含有してもよく、あるいは、例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸、及びデオキシコール酸を含有する水溶液であっても、経鼻液滴の形態、またはゲルとして投与するための油性溶液であってもよい。
非経口製剤は、化合物の即時放出用または持続的/長期放出用に製剤化することができる。化合物の非経口放出用の例示的な製剤として、水溶液、再構成用の散剤、共溶媒溶液、油/水乳剤、懸濁液、油系溶液、リポソーム、マイクロスフィア、及びポリマーゲルが挙げられる。
組み合わせ
本発明の化合物は、1種以上の追加薬剤、例えば、
(a)細胞毒性剤;
(b)代謝拮抗剤;
(c)アルキル化剤;
(d)アントラサイクリン;
(e)抗生物質;
(f)抗有糸分裂剤;
(g)ホルモン療法;
(h)シグナル伝達阻害剤;
(i)遺伝子発現調節剤;
(j)アポトーシス誘導剤;
(k)血管新生阻害剤;
(l)免疫療法剤;
(m)DNA損傷修復阻害剤;
または
それらの組み合わせ
と組み合わせて対象に投与することができる。
細胞毒性剤は、例えば、アクチノマイシン-D、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミフォスチン、アンホテリシン、アムサクリン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲランウシ型結核菌(BCG)、ベンダムスチン、ベキサロテン、ベバシズマブ、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セツキシマブ、シスプラチン、クロラムブシル、クラドリビン、クロファラビン、コルヒチン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、サイトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノルビシン、1-デヒドロテストステロン、デニロイキン、デキサメタゾン、デクスラゾキサン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エメチン、エピルビシン、エルロチニブ、エピガロカテキン没食子酸、エポエチンアルファ、エストラムスチン、エチジウムブロミド、エトポシド、エベロリムス、フィルグラスチム、フィナスネート、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5-FU)、フルベストラント、ガンシクロビル、ゲルダナマイシン、ゲムシタビン、グルココルチコイド、グラミシジンD、酢酸ヒストレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、イリノテカン、インターフェロン、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、イキサベピロン、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、レバミソール、リドカイン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メトプリン、メトロニダゾール、ミトラマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、ナンドロロン、ネララビン、ニロチニブ、ノフェツモマブ、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、パリフェルミン、パミドロン酸、ペグアデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジン、プロプラノロール、ピューロマイシン、キナクリン、ラジシコール、放射性同位体、ラルチトレキセド、ラパマイシン、ラスブリカーゼ、サリノスポラミドA、サルグラモスチム、スニチニブ、テモゾロミド、テニポシド、テトラカイン、6-チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ゾレドロネート、またはそれらの組み合わせであり得る。
代謝拮抗剤は、例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン、クラドリビン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、カペシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、フルダラビン、プララトレキサート、クロファラビン、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、ネララビン、トリメトレキサート、チオグアニン、ペントスタチン、またはそれらの組み合わせであり得る。
アルキル化剤は、例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、cis-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、アルトレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、ヘキサメチルメラミン、アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジン、テモゾロミド、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ウラムスチン、ベンダムスチン、トラベクテジン、セムスチン、またはそれらの組み合わせであり得る。
アントラサイクリンは、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アカルラビシン、アルドキソルビシン、アムルビシン、アナマイシン、カルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、またはそれらの組み合わせであり得る。
抗生物質は、例えば、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン、ピバンピシリン、ピブメシリナム、チカルシリン、アズトレオナム、イミペネム、ドリペネム、エルタペネム、メロペネム、セファロスポリン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、リンコマイシン、プリスチナマイシン、キヌプリスチン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ペニシリン、アモキシシリン、セファレキシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、オフロキサシン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、チゲサイクリン、クロラムフェニコール、メトロニダゾール、チニダゾール、ニトロフラントイン、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、リネゾリド、サイクロセリン、リファマイシン、ポリミキシンB、バシトラシン、バイオマイシン、カプレオマイシン、キノロン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、4’-デオキシドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、プリカマイシン、マイトマイシン-c、ミトキサントロン、またはそれらの組み合わせであり得る。
抗有糸分裂剤は、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ドセタキセル、エストラムスチン、イキサベピロン、パクリタキセル、マイタンシノイド、ドラスタチン、クリプトフィシン、またはそれらの組み合わせであり得る。
シグナル伝達阻害剤は、例えば、イマチニブ、トラスツズマブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、ベムラフェニブ、ラパチニブ、ボルテゾミブ、セツキシマブ、パニツムマブ、マツズマブ、ゲフィチニブ、STI 571、ラパマイシン、フラボピリドール、イマチニブメシル酸塩、バタラニブ、セマキシニブ、モテサニブ、アキシチニブ、アファチニブ、ボスチニブ、クリゾチニブ、カボザンチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、パゾパニブ、ラパチニブ、バンデタニブ、またはそれらの組み合わせであり得る。
遺伝子発現調節剤は、例えば、siRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、HDAC阻害剤、またはそれらの組み合わせであり得る。HDAC阻害剤は、例えば、トリコスタチンA、トラポキシンB、バルプロ酸、ボリノスタット、ベリノスタット、LAQ824、パノビノスタット、エンチノスタット、タセジナリン、モセチノスタット、ギビノスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、キシノスタット、ロシリノスタット、プラシノスタット、CHR-3996、酪酸、フェニル酪酸、4SC202、ロミデプシン、シルチノール、カンビノール、EX-527、ニコチンアミド、またはそれらの組み合わせであり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、クストリセン、アパトルセン、AZD9150、トラベデルセン、EZN-2968、LErafAON-ETU、またはそれらの組み合わせであり得る。siRNAは、例えば、ALN-VSP、CALAA-01、Atu-027、SPC2996、またはそれらの組み合わせであり得る。
ホルモン療法は、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アンタゴニストであり得る。ホルモン療法は、例えば、ファーマゴン、リュープロリン、ゴセレリン、ブセレリン、フルタミド、ビカルタミド、ケトコナゾール、アミノグルテチミド、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシルプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、クエン酸トレミフィン、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、アナストロゾール、ニルタミド、トリプトレリン、ヒストレリン、アビラテロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、トレチノイン、フェンレチニド、トロキサシタビン、またはそれらの組み合わせであり得る。
アポトーシス誘導剤は、例えば、組換えヒトTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、カンプトテシン、ボルテゾミブ、エトポシド、タモキシフェン、またはそれらの組み合わせであり得る。
血管新生阻害剤は、例えば、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、またはそれらの組み合わせであり得る。
免疫療法剤は、例えば、モノクローナル抗体、がんワクチン(例えば、樹状細胞(DC)ワクチン)、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、養子T細胞療法、カルメット・ゲランウシ型結核菌(BCG)、GM-CSF、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イミキモド、またはそれらの組み合わせであり得る。モノクローナル抗体は、例えば、抗CTLA4、抗PD1、抗PD-L1、抗LAG3、抗KIR、またはそれらの組み合わせであり得る。モノクローナル抗体は、例えば、アレムツズマブ、トラスツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、ブリナツモマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ペルツズマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トシツモマブ、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、トシツモマブ、またはそれらの組み合わせであり得る。がんワクチンは、例えば、Sipuleucel-T、BioVaxID、NeuVax、DCVax、SuVaxM、CIMAvax(登録商標)、Provenge(登録商標)、hsp110シャペロン複合体ワクチン、CDX-1401、MIS416、CDX-110、GVAX膵臓ワクチン、HyperAcute(商標)膵臓ワクチン、GTOP-99(MyVax(登録商標))、またはImprime PGG(登録商標)であり得る。腫瘍溶解性ウイルスは、例えば、タリモジンラヘルパレプベクであり得る。サイトカインは、例えば、IL-2、IFNα、またはそれらの組み合わせであり得る。養子T細胞療法は、例えば、チサゲンレクルユーセル、アキシカブタゲンシロルユーセル、またはそれらの組み合わせであり得る。
DNA損傷修復阻害剤は、例えば、PARP阻害剤、細胞チェックポイントキナーゼ阻害剤、またはそれらの組み合わせであり得る。PARP阻害剤は、例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ(ABT-888)、ニラパリブ(ZL-2306)、イニパリブ(BSI-201)、タラゾパリブ(BMN 673)、2X-121、CEP-9722、KU-0059436(AZD2281)、PF-01367338、またはそれらの組み合わせであり得る。細胞チェックポイントキナーゼ阻害剤は、例えば、MK-1775またはAZD1775、AZD7762、LY2606368、PF-0477736、AZD0156、GDC-0575、ARRY-575、CCT245737、PNT-737、またはそれらの組み合わせであり得る。
以下の実施例は、本発明の例示を意図する。それらは、いかなる場合にも本発明を限定することを意味しない。
実施例1.化合物の調製
化合物1
工程1.4-クロロ-7-アザインドール(25g)のDMA(140mL)懸濁液を真空/N2ガスでパージした(3サイクル)。次に、亜鉛粉末(1.07g)、シアン化亜鉛(11.26g)、dppf(2.72g)、及びPd2(dba)3(2.39g)を添加した。混合物を真空/N2ガスで再度パージし(3サイクル)、120℃まで4時間加熱した。反応混合物を100℃に冷却し、30分間かけて水(428mL)を添加した。次に、混合物を2時間かけて室温に冷却した。粗生成物を濾過し、水(2×95mL)で洗浄した後、3N HCl(150mL)に加え、混合物を室温で2時間撹拌した。不溶物を濾過により除去した。pH12に達するまで50%NaOH水溶液を濾液に添加した。濾過及び乾燥により、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボニトリル(11.6g)を黄褐色の固体として得た。
工程2.水(100mL)及びEtOH(100mL)中の、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボニトリル(10.4g)とNaOH(29g)の混合物を18時間加熱還流した。室温に冷却した後、混合物を濃HClで処理し、pHを約2にした。固体を濾取し、高真空下で乾燥させて、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸(11.8g)を黄褐色の固体として得た。
工程3.0℃のEtOH(120mL)に、塩化チオニル(12.4mL)を滴下した。混合物を室温で30分間撹拌した後、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸(12.0g)を添加し、反応混合物を8時間加熱還流した。室温に冷却した後、減圧下で溶媒を除去した。こうして得た残渣を水(150mL)に懸濁し、pHを飽和K2CO3水溶液でpH9に調整した。混合物をEtOAc(2×150mL)で抽出した。合一した抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(10.5g)を黄褐色の固体として得た。
工程4.EtOAc(95mL)中の1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(9.5g)混合物に、0℃で、mCPBA(15.5g)を少しずつ添加した。反応混合物を室温に温め、3時間撹拌した。沈殿物を濾過し、EtOAc(3×30mL)で洗浄し、高真空下で残渣を乾燥させて、4-(エトキシカルボニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン7-オキシド(8.8g)を薄黄色の固体として得た。
工程5.4-(エトキシカルボニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン7-オキシド(25.5g)のDMF(250mL)溶液に、メタンスルホニルクロリド(11.5mL)を滴下した。次に、混合物を80℃まで1時間加熱した後、室温に冷却し、追加のメタンスルホニルクロリド(11.5mL)を添加した。再度、混合物を80℃で1時間加熱した。0℃に冷却した後、反応混合物を激しく撹拌しながら氷水(480mL)に注いだ。次に、混合物を0℃で2時間撹拌した。沈殿物を濾過し、水(3×200mL)で洗浄した。高真空下で残渣を乾燥させて、6-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(25.0g)をベージュ色の固体として得て、これをさらに精製することなく以降の工程で使用した。
工程6.6-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(25g)のDMF(250mL)溶液に、0℃で、NaH(6.68g)を45分間かけて添加し、続いて0℃で1時間撹拌した。SEM-Cl(23.6mL)を20分間かけて添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。水(300mL)をゆっくり添加し、混合物をEtOAc(2×200mL)で抽出した後、ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(15~30%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、6-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(32.4g)を橙色の油として得た。
工程7.6-クロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(32.3g)のトルエン(150mL)溶液に、(R)-3-メチルモルホリン(12.4mL)、BINAP(3.4g)、及び炭酸セシウム(89g)を添加した。混合物を脱気し(真空/アルゴンの3サイクル)、酢酸パラジウム(1.0g)を添加し、反応混合物を再度脱気した後、120℃まで4時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、珪藻土のパッドに通して濾過し、EtOAc(2×250mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮乾固し、シリカゲルクロマトグラフィー(0~40%EtOAc/ヘキサン)により精製して、(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(26g)を黄色の油として得た。
工程8.(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(4.9g)のTHF(80mL)溶液に、MeOH(0.048mL)を添加した。反応混合物を65℃に加熱した後、2M LiBH4のTHF(9mL)溶液を1時間かけて滴下した。反応混合物を65℃で18時間撹拌した。室温に冷却した後、アセトン(2mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。NH4Cl/水(100mL)の1:1飽和水溶液で混合物を希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(5~50%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)メタノール(3.9g)を黄色のガムとして得た。
工程9.(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)メタノール(7.5g)のジクロロメタン(70mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(2.8mL)、続いてメタンスルホニルクロリド(1.55mL)を添加した。反応混合物を室温で90分間撹拌した後、ジクロロメタン(100mL)及び水(100mL)で希釈した。層を分配し、水層をジクロロメタン(100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチル(9g)を黄色のガムとして得て、これをさらに精製することなく以降の工程で使用した。
工程10.(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチル(9g)のジオキサン(80mL)溶液に、LiI(5.3g)を添加した。混合物をアルゴン下で100℃まで2.5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をEtOAc(100mL)及び水(100mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(80mL)で抽出した。合一した有機抽出物を2M亜硫酸水素ナトリウム(80mL)、水(80mL)、ブライン(80mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮して、(R)-4-(4-(ヨードメチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(9.6g)を暗色の油として得て、これをさらに精製することなく以降の工程でそのまま使用した。
工程11.(R)-4-(4-(ヨードメチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(9.6g)のDMF(80mL)溶液に、メタンスルフィン酸ナトリウム(2.4g)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(100mL)及び水(100mL)で希釈し、層を分配し、水層をEtOAc(80mL)で抽出した。合一した有機抽出物をチオ硫酸ナトリウム水溶液(80mL)、水(80mL)、及びブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(10~90%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、(R)-3-メチル-4-(4-((メチルスルホニル)メチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(7.5g)を灰緑色のガムとして得た。
工程12.(R)-3-メチル-4-(4-((メチルスルホニル)メチル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(7.5g)のトルエン(80mL)溶液に、TBAB(1g)及び50%NaOH(36mL)、続いて1,2-ジブロモエタン(2mL)を添加した。混合物を65℃まで18時間加熱した。次に、混合物を65℃で撹拌しながら、追加の1,2-ジブロモエタン(16mL)をシリンジポンプで18時間かけて添加した。反応混合物を65℃でさらに18時間熟成させた後、室温に冷却した。混合物をEtOAc(200mL)及び水(150mL)で希釈し、層を分配し、水層をEtOAc(100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(10~80%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(5.4g)を黄色の泡状物として得た。
工程13.(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(5.4g)のジクロロメタン(50mL)溶液に、0℃で、TFA(18mL)を添加した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。トルエン(40mL)を添加し、混合物を濃縮した。残渣をジオキサン(40mL)で希釈し、3N NaOHを添加して混合物のpHをpH10に調整した。混合物を80℃まで3時間加熱した後、室温に冷却した。混合物をEtOAc(150mL)及び水(150mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(30~100%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(1.65g)を淡黄色の泡状物として得た。
工程14.3-ヨード-1H-ピラゾール(2.5g)のDMF(25mL)溶液に、0℃で、炭酸セシウム(9.43g)を添加した。SEM-Cl(2.8mL)を15分間かけて添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。水(60mL)をゆっくり添加し、混合物をEt2O(60mL)で分配した。水層をEt2O(30mL)で抽出し、合一した有機抽出物を水(3×50mL)、ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(0~30%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、3-ヨード-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(3.3g)を無色の液体として得た。1H-NMRは、1:1比の2つの位置異性体を示した。
工程15.マイクロ波容器内の(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(100mg)、3-ヨード-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(145mg)、炭酸セシウム(244mg)、及びL-プロリン(21mg)に、NMP(1mL)、続いてCuBr(20mg)を添加した。容器に蓋をして脱気した後(3サイクル真空/アルゴン)、150℃まで4時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を20mLのNH4Cl:H2O:NH4OH(4:3:1)及びEtOAc(15mL)でクエンチし、珪藻土に通して濾過し、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(20~100%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(25mg)を位置異性体の混合物として得た。
工程16.(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(25mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に、TFA(0.2mL)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。トルエン(10mL)を添加し、揮発性物質を減圧下で除去した。ジオキサン(3mL)及び飽和NaHCO3水溶液(3mL)に残渣を溶解し、混合物を65℃まで18時間、次に80℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。シリカゲルクロマトグラフィー(20~100%EtOAc/ヘキサン)により残渣を精製して、目的とする生成物を得た。CH3CN(1mL)及び水(1mL)に残渣を懸濁し、凍結乾燥して、(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(15mg)を薄黄色の泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.66(d;J=3.74Hz;1H);7.62(d;J=2.36Hz;1H);6.98(s;1H);6.78(s;1H);6.59(d;J=3.76Hz;1H);4.32-4.37(m;1H);4.05-4.09(m;1H);3.87-3.91(m;1H);3.83-3.84(m;2H);3.64-3.71(m;1H);3.28-3.35(m;1H);2.83(s;3H);1.93-1.96(m;2H);1.39-1.42(m;2H);1.29(d;J=6.71Hz;3H).MS:[M+1]:402.2。
中間体A
工程1.アクリロニトリル(12.4mL)のTHF(75mL)冷(0℃)溶液に、ヒドラジン一水和物(8.7mL)を30分間かけて滴下して、内部温度を10℃未満に保持した。得られた混合物を氷浴中で30分間撹拌した後、室温まで3時間温めた。混合物を氷浴で再度冷却し、2,4-ジメトキシベンズアルデヒド(31g)を10分間かけて添加した。得られた混合物を氷浴中で25分間撹拌し、室温まで1時間温めた後、真空で濃縮し、撹拌しながら高真空下に一晩置いて水を除去した。
得られた残渣をn-BuOH(70mL)に溶解し、NaOMe(20.4g)で処理すると暗発色及び発熱が生じた。混合物を1時間加熱還流し、室温に冷却し、ブラインに注いだ。EtOAcを添加し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、珪藻土パッドに通して濾過し、真空で濃縮した。物質を高真空下に置いて、残留n-BuOHを除去した。同じ規模でこの手順を繰り返し、合一した物質を1:1EtOAc/ヘキサンでシリカゲルに溶出して精製し、35gの1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピラゾール-5-アミンを得た。
工程2.1-(2,4-ジメトキシベンジル)-1H-ピラゾール-5-アミン(14g)のAcOH(140mL)溶液に、オキサル酢酸ジエチルナトリウム塩(16.1g)を添加した。得られた懸濁液を油浴に入れ、2時間加熱還流した。反応物を氷浴で冷却した後、急速撹拌しながら440mLの冷水に滴下漏斗を介してゆっくり添加した。得られた懸濁液を2時間撹拌し、濾過し、水ですすぎ、一晩風乾して、19.2gの1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-ヒドロキシ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチルを黄色の固体として得た。
工程3.1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-ヒドロキシ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(11.0g)のアセトニトリル(100mL)懸濁液に、0℃で、ピリジン(1.8mL)を添加し、続いて内部温度が5℃未満に維持されるような速度でトリフル酸無水物(3.8mL)を添加した。反応混合物を1時間かけて室温まで温め、水(100mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固して、10gの1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチルを黄色の固体として得て、これをさらに精製することなく以降の工程で使用した。
工程4.粗製1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(10g)のDMF(100mL)溶液に、0℃で、(R)-3-メチルモルホリン(6.8g)及びピリジン(2.0mL)を添加した。反応混合物を室温で5日間撹拌した後、水(100mL)及びEtOAc(120mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(100mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。10~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(120gカラム)により残渣を精製して、5.8gの(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(中間体A)を黄色のガムとして得た。LCMS(+ESI):m/z=441.1[M+H]+。
化合物2
工程1.-78℃で中間体A(400mg)のTHF(4mL)溶液に、MeMgBr(3M/Et2O、1mL)を添加し、反応混合物を室温まで温めた。反応混合物を冷却した飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAc(2×30mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。10~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(40gカラム)により残渣を精製して、380mgの(R)-2-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オールを黄色の油として得た。
工程2.(R)-2-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オール(380mg)のジクロロメタン(4mL)溶液に、室温で、TFA(1.36mL)を添加し、溶液を18時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をEtOAc(30mL)に懸濁し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。水層をEtOAc(20mL)で抽出し、合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固し、160mgの(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オールを得た。
工程3.(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オール(160mg)、SEMで保護した3-ヨードピラゾール(376mg)、CS2CO3(475mg)、L-プロリン(13mg)、CuBr(13mg)、及びNMP(3mL)をマイクロ波管に入れた。次に、容器に蓋をして脱気し(3サイクル真空/アルゴン)、150℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、次いで10~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24gカラム)により精製して、100mgの(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オールを黄色のガムとして得た。1H-NMR及びLCMSは、SEMでN-保護されたピラゾールの2つの位置異性体を示した。
工程4.(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オール(100mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に、室温で、TFA(0.211mL)を添加し、反応混合物を18時間撹拌した。トルエン(10mL)を添加し、揮発性物質を減圧下で除去した。フラスコを高真空下に置き、残留TFAを除去した。残渣をジオキサン(3mL)で希釈し、1N NaOH(1mL)を添加した。反応混合物を3時間加熱還流し、室温に冷却した後、EtOAc(20mL)及び水(20mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。40~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(12gカラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製した。目的とする生成物画分を合一し、濃縮乾固した。CH3CN(1mL)及び水(1mL)で残渣を希釈し、凍結乾燥して、目的とする生成物、(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパン-2-オール22mgを無色の泡状物として得た。254nmでのHPLCによる純度:93.0%,1H NMR(400MHz,CDCl3):δ8.12(s;1H);7.63(d;J=2.10Hz;1H);6.83(s;1H);6.72(s;1H);4.45-4.49(m;1H);4.02-4.09(m;2H);3.77-3.86(m;3H);3.66(td;J=11.90;3.16Hz;1H);3.39(td;J=12.73;3.87Hz;1H);1.73(s;6H);1.35(d;J=6.74Hz;3H)。
化合物3
工程1.中間体A(3.4g)のTHF(35mL)溶液に、MeOH(0.062mL)を添加した。反応混合物を65℃に加熱した後、2M LiBH4のTHF(5.8mL)溶液を1時間かけて滴下した。反応混合物を65℃で4時間撹拌した後、室温に冷却した。アセトン(1mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。NH4Cl/水(80mL)の1:1飽和水溶液及びEtOAc(80mL)で混合物を希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(40mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(80gカラム)により残渣を精製して、(R)-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノール及び(R)-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノールを無色の泡状物(位置異性体の分離可能な混合物)として得た。
工程2.(R)-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノール(600mg)のジクロロメタン(7mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(0.141mL)、続いてメタンスルホニルクロリド(0.254mL)を添加した。反応混合物を室温で90分間撹拌した後、ジクロロメタン(40mL)及び水(40mL)で希釈した。層を分配し、水層をジクロロメタン(30mL)で抽出し、合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、700mgの(R)-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチルを得て、これをさらに精製することなく以降の工程で使用した。
工程3.(R)-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-6-(3-メチルモルホリノ)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチル(700mg)のジオキサン(7mL)溶液に、LiI(393mg)を添加した。混合物をアルゴン下で50℃まで2.5時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をEtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(30mL)で抽出した。合一した有機抽出物を2M亜硫酸水素ナトリウム(50mL)、水(50mL)、及びブライン(50mL)で洗浄した後、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固して、760mgの(R)-4-(2-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(ヨードメチル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンを得て、これをさらに精製することなく以降の工程でそのまま使用した。
工程4.(R)-4-(2-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(ヨードメチル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(790mg)のDMF(8mL)溶液に、メタンスルフィン酸ナトリウム(190mg)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、EtOAc(40mL)及び水(40mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(30mL)で抽出した。合一した有機抽出物をチオ硫酸ナトリウム水溶液(50mL)、水(50mL)、及びブラインで洗浄した後、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するIsco CombiFlash(40gカラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、640mgの(R)-4-(2-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-((メチルスルホニル)メチル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンを無色の泡状物として得た。
工程5:(R)-4-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-((メチルスルホニル)メチル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(640mg)のトルエン(3mL)溶液に、TBAB(45mg)及び1,2-ジブロモエタン(0.156mL)、続いて50%NaOH(2.9mL)を添加した。反応混合物を60℃まで2時間加熱した。追加の1,2-ジブロモエタン(0.5mL)を添加し、再度、混合物を60℃で18時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をEtOAc(30mL)及び水(25mL)で希釈し、層を分配し、水層をEtOAc(20mL)で抽出した。合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24gカラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、510mgの(R)-4-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(1-メチルスルホニル)シクロプロピル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンを薄黄色の泡状物として得た。
工程6.(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリン:(R)-4-(1-(2,4-ジメトキシベンジル)-4-(1-メチルスルホニル)シクロプロピル)-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(510mg)のジクロロメタン(5mL)溶液に、0℃で、TFA(1.6mL)を添加した。反応混合物を室温に温め、5時間撹拌した。トルエン(10mL)を反応混合物に添加し、真空後、トルエン(10mL)と共蒸着して揮発性物質を除去した。激しく撹拌しながらEtOAc(50mL)及び飽和NaHCO3水溶液(40mL)に残渣を溶解した。層を分配し、水層をEtOAc(30mL)で抽出した。合一した抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固して、350mgの(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリンを薄黄色の泡状物として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
工程7.(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(160mg)、ピラゾール(310mg)、CS2CO3(390mg)、L-プロリン(11mg)、CuBr(11mg)、及びNMP(2mL)をマイクロ波管に入れた。容器に蓋をして脱気した後(3サイクル真空/アルゴン)、150℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をEtOAc(20mL)及びNH4Cl:H2O:NH4OH(4:3:1、20mL)で希釈した後、珪藻土に通して濾過した。層を分離し、水層をEtOAc(20mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。20~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24gカラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリン及び対応するSEM-ピラゾール位置異性体を得た。
工程8.(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(37mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に、TFA(0.319mL)を添加し、反応混合物を18時間撹拌した。トルエン(10mL)を添加し、揮発性物質を減圧下で除去した。ジオキサン(3mL)及び飽和NaHCO3水溶液(3mL)に残渣を溶解し、混合物を65℃まで4時間、次いで80℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をジクロロメタン(2×15mL)で抽出し、合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。EtOAc及び5%MeOH/EtOAcで溶出する、シリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製した。得られた残渣をCH3CN(2mL)及び水(2mL)に懸濁し、凍結乾燥して、23mgの(R)-3-メチル-4-(4-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)モルホリンを薄黄色の泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ8.11(s;1H);7.70(d;J=2.26Hz;1H);6.93(d;J=2.26Hz;1H);6.84(s;1H);4.41-4.43(m;1H);4.06-4.09(m;2H);3.77-3.87(m;2H);3.61-3.68(m;1H);3.33-3.40(m;1H);2.85(s;3H);1.97-2.00(m;2H);1.41-1.44(m;2H);1.35(d;J=6.78Hz;3H).[M+1]:m/z403.1。
化合物4
工程1.中間体A(5.8g、13.167mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液に、0℃で、TFA(20mL)を添加した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した。トルエン(60mL)を添加し、真空下、及びトルエン(20mL)と共蒸着して揮発性物質を除去した。残渣をジクロロメタン(300mL)に溶解した後、激しく撹拌しながら飽和NaHCO3水溶液(200mL)で処理した。層を分離し、水層をジクロロメタン(150mL)で抽出した。合一した抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固して、3.8gの(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチルを黄色の固体として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
工程2.(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸エチル(3.8g)、ピラゾール(6.37g)、CS2CO3(10.7g)、L-プロリン(300mg)、CuBr(292mg)、及びNMP(40mL)の混合物を脱気し(3サイクル真空/アルゴン)、150℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を10%クエン酸で希釈してpHを約6~7に調整し、EtOAcを添加した(350mL)。混合物を珪藻土に通して濾過し、EtOAcで洗浄した。層を分配し、水層をEtOAc(150mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。0~10%MeOH/ジクロロメタンで溶出する、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、3.6gの(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ))メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸及びそのSEM位置異性体を黄色の油として得た。
工程3.(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸(3.6g)のDMF(36mL)溶液に、炭酸カリウム(2.7g)、続いてヨードメタン(0.6mL)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。EtOAc(50mL)及び水(50mL)を添加し、層を分離し、水層をEtOAc(40mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。0~70%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(80gカラム)により残渣を精製して、2.2gの(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸メチルを黄色の固体として得た。
工程4.(R)-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-カルボン酸メチル(2.2g)のTHF(20mL)及びMeOH(0.038mL)溶液に、室温で、水素化ホウ素リチウム(3.4mL)を添加した。混合物を65℃まで4時間加熱した後、室温に冷却した。アセトン(1mL)を添加し、30分間撹拌した。(1:1)NH4Cl/水(50mL)で混合物を希釈した後、EtOAc(2×40mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固し、2gの(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノールを得て、これをさらに精製することなく使用した。
工程5.(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノール(2g)のジクロロメタン(20mL)溶液に、0℃で、Et3N(0.69mL)、続いてMsCl(0.38mL)を添加した。次に、反応物を室温で2時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(60mL)及び水(60mL)で希釈した。層を分配し、水層をジクロロメタン(30mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮し、2.3gの(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチルを得て、これをさらに精製することなく以降の工程で使用した。
工程6.(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタンスルホン酸メチル(2.3g)のDMF(18mL)溶液に、室温で、NaCN(325mg)を添加した。反応混合物を18時間撹拌した後、EtOAc(40mL)及び水(40mL)で希釈した。層を分配し、水層をEtOAc(35mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮した。20~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24gカラム)により残渣を精製して、440mgの(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)アセトニトリルを得た。
工程7.(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)アセトニトリル(430mg)のTHF(5mL)溶液に、0℃で、ヨードメタン(0.148mL)を添加し、続いてカリウムtert-ブトキシド(2.37mL)を10分間かけて滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液に注ぎ、EtOAc(2×35mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。10~90%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24g Gold SiO2カラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、140mgの(R)-2-メチル-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパンニトリルを得た。
工程8.(R)-2-メチル-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパンニトリル(90mg)のEtOH/H2O(2mL/0.4mL)溶液に、ヒドリド(亜ホスフィン酸ジメチル-kP)[水素ビス(ジメチルホスフィナイト-kP)]白金(II)(4mg)を添加した。混合物を80℃まで加熱した後、冷却し、濃縮乾固した。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(12g Gold SiO2カラム)により残渣をシリカに吸着させて精製し、82mgの(R)-2-メチル-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパンアミドを無色の固体として得た。
工程9.(R)-2-メチル-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパンアミド(81mg)のジクロロメタン(2mL)溶液に、TFA(0.30mL)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。追加のTFA(0.5mL)を添加し、混合物を6時間撹拌した。トルエン(10mL)を添加し、揮発性物質を減圧下で除去した。5mLのMeOH/水(85:15)で残渣を希釈し、室温で18時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をEtOAc(25mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(20mL)で処理した。層を分配し、水層をEtOAc(20mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮乾固した。80~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(12g Gold SiO2カラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、23mgの(R)-2-メチル-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)プロパンアミドを無色の泡状物として得た。1H NMR(400MHz,DMSO):δ12.80(s;1H);7.90(s;1H);7.83(s;1H);7.06(s;1H);7.02(s;1H);6.76-6.77(m;1H);6.65(s;1H);4.47-4.50(m;1H);4.06(d;J=13.56Hz;1H);3.99(d;J=11.46Hz;1H);3.78(d;J=11.34Hz;1H);3.63-3.66(m;1H);3.47-3.53(m;1H);3.17-3.23(m;1H);1.54(s;6H);1.22(d;J=6.68Hz;3H).MS(+ESI):m/z370.2。
化合物5
工程1.実施例4の工程5から得た(R)-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾール[3,4-b]ピリジン-4-イル)メタノール(115mg)及び2-ヒドロキシイソブチロニトリル(0.07mL)の乾燥トルエン(10mL)溶液に、トリブチルホスフィン(0.2mL)及びTMAD(133.6mg)を添加し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した後、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥して、濃縮乾固した後、10~80%EtOAc/ヘキサンで溶出するCombi-Flash(12gカラム)により精製して、110mgの(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)アセトニトリルを薄黄色の油として得た。
工程2:(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)アセトニトリル(68mg)のトルエン(2mL)溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド(9.66mg)及び50%NaOH(0.5mL)、続いて1,5-ジブロモペンタン(0.027mL)を添加した。混合物を65℃まで2時間加熱した後、水で希釈し、EtOAcで抽出した。合一した有機抽出物をNaSO4で脱水し、濃縮乾固し、20~80%EtOAc/ヘキサンで溶出するCombi-Flash(4gカラム)により精製して、54mgの(R)-1-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)シクロヘキサン-1-カルボニトリルを薄黄色の油として得た。
工程3.(R)-1-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)シクロヘキサン-1-カルボニトリル(54mg)のジクロロメタン(2mL)溶液に、TFA(0.27mL)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。5mLのMeOH/H2O(85:15)に残渣を溶解し、室温で18時間撹拌し、濃縮した。残渣をEtOAc(25mL)に溶解し、飽和NaHCO3水溶液(25mL)を添加した。層を分配し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮した。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(4gカラム)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、11mgの(R)-1-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)シクロヘキサン-1-カルボニトリルをオフホワイトの泡状物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.37(d;3H);1.96(d;5H);2.09(t;2H);2.29(d;2H);3.39(td;1H);3.65(td;1H);3.87-3.77(m;2H);4.08(d;3H);4.49(d;1H);6.82(s;1H);6.99(d;1H);7.80(d;1H);8.22(s;1H)。
化合物6
工程1.EtOAc(600mL)に4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(35g)を機械的に撹拌した懸濁液に、0℃で、mCPBA(51.41g)を30分間かけて少しずつ添加した。次に、反応混合物を室温で18時間撹拌し、固体を濾取し、n-ヘプタン(350mL)で洗浄した。残渣を高真空下で乾燥させて、62gの4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン7-オキシド3-クロロベンゾエートを灰色の固体として得た。
工程2.アセトニトリル(300mL)中の4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン7-オキシド3-クロロベンゾエート(30g)の混合物に硫酸ジメチル(9.6mL)を添加し、反応混合物を60℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、(R)-3-メチルホリン(14g)、続いてジイソプロピルエチルアミン(48.2mL)を添加し、反応混合物を60℃まで18時間加熱した。室温に冷却した後、揮発性物質を真空で除去し、10~40%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製して、12gの(R)-4-(4-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンを薄灰色の固体として得た。
工程3.ジオキサン(110mL)中の、(R)-4-(4-クロロ-1Hピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(11.64g)、ヨードピラゾール(15.11g)、CuI(81mg)、trans-N,N-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.66mL)、及びK3PO4(17.23g)の混合物をアルゴンで3回パージし、110℃まで18時間加熱した。混合物を冷却し、シリカゲルパッドに通して濾過し、EtOAc(700mL)で溶出した。濾液を真空で濃縮乾固した後、10~25%EtOAc/ヘキサンで溶出する、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。純粋画分を合一し、濃縮して、19.3gの(R)-4-(4-クロロ-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンをSEM位置異性体の混合物として得た。
工程4.(R)-4-(4-クロロ-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(5.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.25g)、Pd2(dba)3(510mg)、及びトリシクロヘキシルホスフィン(780mg)のジオキサン(70mL)溶液に酢酸カリウム(3.32g)を添加した。混合物をアルゴンでパージし、100℃まで一晩加熱した後、冷却し、酢酸エチルで希釈し、珪藻土のパッドに通して濾過した。濾液を濃縮乾固し、反応条件を再度施した。一晩経過後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、珪藻土のパッドに通して濾過し、濃縮乾固した。0~50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製し、4.38gの(R)-3-メチル-4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリンを黄色の粉末として得た。
工程5.(R)-3-メチル-4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(106mg)、2-ブロモフェニルメチルスルホン(93mg)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(10mg)を入れた1ドラムバイアルに、ジオキサン(1mL)及び2N Na2CO3(250μL)を添加した。混合物を排気し、アルゴンでパージし(3回)、120℃で24時間加熱した後、冷却して水と酢酸エチルに分配した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗物質を、0~100%酢酸エチル/ヘキサンを使用するRedisep Gold Column(12g)で精製し、76mgの(R)-3-メチル-4-(4-(2-(メチルスルホニル)フェニル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリンを得た。
工程6:(R)-3-メチル-4-(4-(2-(メチルスルホニル)フェニル)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリン(76mg)のジクロロメタン(2mL)溶液にTFA(0.45mL)を添加した。反応物を室温で一晩撹拌した後、濃縮し、85/15のMeOH/H2Oに再溶解し、さらに4時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルと水に分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合一した有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。粗物質を、40~60%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するRedisepカラム(24g)で精製して、58mgの(R)-3-メチル-4-(4-(2-(メチルスルホニル)フェニル)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)モルホリンを得た。1H NMR(d6-DMSO)δ12.7(s,1H),8.2(d1H),7.8(m,1H),7.7(m,2H),7.6(m1H),7.5(m1H),7.0(s,1H),6.7(s,1H),4.3(m,1H),4.0(m,1H),3.7(m,2H),3.5(m,1H),3.2(m,1H),2.9(s,3H),1.2(d3H)。
化合物7
工程1.4-クロロ-3-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン7-オキシド3-クロロベンゾエート(508mg)のアセトニトリル(10mL)溶液に、3-クロロ安息香酸(275mg)及び硫酸ジメチル(0.29mL)を添加し、反応物を60℃で36時間加熱した。冷却後、(R)-3-メチルモルホリン(423mg)及びDIPEA(1.45mL)を添加し、反応物を60℃で26時間加熱した。反応混合物を濃縮し、40~100%酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、243mgの(R)-4-(4-クロロ-3-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリンを得た。
工程2.(R)-4-(4-クロロ-3-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(2.08g)を入れた100mLフラスコに、ジオキサン(20mL)中の3-ヨード-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(2.79g)を添加した。混合物にアルゴンを吹き込み、粉砕したK3PO4(2.9g)、続いてtrans-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(111mg)及びCuI(15mg)を添加した。反応物を100℃で44時間加熱した後、珪藻土に通して濾過し、酢酸エチルですすいだ。濾液を水で洗浄し、有機層をNa2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。0~100%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するRedisep Goldカラム(80g)で精製し、2.53gの(R)-3-メチル-4-(6-(1-(メチルスルホニル)シクロプロピル)-2-((1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)チオ)ピリミジン-4-イル)モルホリンを位置異性体の混合物として得た。
工程3.(R)-4-(4-クロロ-3-メチル-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(138mg)のTHF(1mL)溶液に、イソブチロニトリル(350μL)、続いてLiHMDS(THF中1M、2.7mL)を添加した。混合物をマイクロ波にて100℃で15分間加熱した後、冷却し、飽和NH4Cl水溶液と酢酸エチルに分配した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、合一した有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。0~100%酢酸エチル/ヘキサンを使用するRedisep Goldカラム(24g)で精製し、136mgの(R)-2-メチル-2-(3-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)プロパンニトリルを油として得た。
工程4.(R)-2-メチル-2-(3-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)プロパンニトリル(135mg)のジクロロメタン(1mL)溶液にTFA(250μL)を添加した。反応物を室温で3日間撹拌した後、濃縮し、酢酸エチルと飽和NaHCO3水溶液に分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(3回)。合一した有機層をNa2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。30~100%酢酸エチル/ヘキサンを使用するRedisep Goldカラム(12g)で精製し、15mgの(R)-2-メチル-2-(3-メチル-6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)プロパンニトリルを得た。1H NMR(d6-DMSO)δ12.7(s,1H),7.8(s,1H),7.6(s,1H),6.9(s,1H),6.6(s,1H),5.7(s,1H),4.4(m,1H),4.0(m,1H),3.9(m,1H),3.8(m,1H),3.7(m,1H),3.5(m,1H),3.2(m,1H),2.6(s,3H),1.2(d3H)。
化合物8
工程1.5,7-ジクロロ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(457mg)と2-(クロロメトキシ)エチル-トリメチル-シラン(516μL)のDMF(8mL)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(509μL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。水及びEt2Oを添加し、相を分離した。水相をEt2Oで抽出し(2回)、合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗混合物を、0~70%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製して、473mgの2-[(5,7-ジクロロイミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メトキシ]エチルトリメチルシラン(暫定的帰属)及び120mgの2-[(5,7-ジクロロイミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル)メトキシ]エチルトリメチルシラン(暫定的帰属)を得た。主異性体:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.22(s,1H),7.35(s,1H),5.64(s,2H),3.69-3.48(m,2H),0.99-0.85(m,2H),-0.04(s,9H).LCMS:318.12(M+H)。副異性体:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.21(s,1H),7.30(s,1H),5.74(s,2H),3.68-3.42(m,2H),1.05-0.84(m,2H),-0.07(s,9H)。LCMS:319.97(M+H)。LCMS:318.25(M+H)。
工程2.窒素下で、2-[(5,7-ジクロロイミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(90mg)、K3PO4(2M、424μL)、及び(2-メチルスルホニルフェニル)ボロン酸(68mg)のジオキサン(1mL)溶液に、Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2(31mg)を添加した後、80℃で一晩撹拌した。水をEtOAcとともに添加し、相を分離した。水相をEtOAcで抽出し(2回)、合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。粗混合物を、0~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを使用して精製して、2-[[7-クロロ-5-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シランを位置異性体の1:1混合物として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.22(dd,J=7.7,1.6Hz,1H),8.14(s,1H),7.79-7.64(m,2H),7.41(dd,J=7.3,1.6Hz,1H),7.33(s,1H),5.67(s,2H),3.77-3.63(m,2H),3.03(s,3H),1.04-0.91(m,2H),-0.03(s,9H)。LCMS:437.94(M+H)。
工程3.2-[[7-クロロ-5-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(640mg)の乾燥ジオキサン(1mL)溶液に、炭酸セシウム(952mg)、RuPhos Pd G1メチルt-ブチルエーテル付加物(119mg)、及び(3R)-3-メチルモルホリン(332μL)を添加した。混合物を窒素でパージした後、密封バイアル内で100℃まで16時間加熱した。水及びEtOAcを添加し、相を分離した。水相をEtOAcで抽出し(2回)、合一した有機抽出物をブラインで洗浄した後、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をDMSOに溶解し、逆相クロマトグラフィーを使用して精製して、490mgのトリメチル-[2-[[5-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-7-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]メトキシ]エチル]シランを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.21(dd,J=7.9,1.4Hz,1H),7.95(s,1H),7.68(td,J=7.5,1.4Hz,1H),7.59(td,J=7.7,1.5Hz,1H),7.52(dd,J=7.5,1.4Hz,1H),6.62(s,1H),5.56(d,J=2.3Hz,2H),5.06(s,1H),4.33(d,J=13.2Hz,1H),4.03(dd,J=11.4,3.6Hz,1H),3.93(dd,J=11.4,3.1Hz,1H),3.84-3.71(m,2H),3.63-3.53(m,2H),3.49(td,J=6.5,5.5,3.8Hz,1H),3.32(s,3H),1.34(d,J=6.7Hz,3H),0.97-0.83(m,2H),-0.06(s,9H)。LCMS:505.19(M+H)。
工程4.トリメチル-[2-[[5-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-7-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]メトキシ]エチル]シラン(55mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に、TFA(250μL)をゆっくり添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。追加のTFA(250μL)を添加し、週末中、混合物を撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗残渣をEtOAcに溶解し、NaHCO3の飽和溶液で処理した後、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し(2回)、合一した有機抽出物を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。逆相クロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、31mgの(3R)-3-メチル-4-[7-(2-メチルスルホニルフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-イル]モルホリンを得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.23(dd,J=7.9,1.4Hz,1H),7.74(s,1H),7.70(td,J=7.5,1.4Hz,1H),7.63(td,J=7.7,1.5Hz,1H),7.48(dd,J=7.5,1.4Hz,1H),6.73(s,1H),4.25(q,J=7.0Hz,1H),4.02(dd,J=11.4,3.6Hz,1H),3.92-3.84(m,1H),3.80(d,J=2.1Hz,2H),3.64(td,J=11.7,3.0Hz,1H),3.27(td,J=12.5,3.8Hz,1H),2.97(s,3H),1.27(d,J=6.7Hz,3H)。LCMS:374.08(M+H)。
工程5.窒素下で、(3R)-3-メチル-4-[5-(2-メチルスルホニルフェニル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-7-イル]モルホリン(290mg)、2-[(3-ヨードピラゾール-1-イル)メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(510mg)、3-(1,1-ジフルオロエチル)ベンゼンスルフィン酸(54mg)、及び炭酸セシウム(634mg)のNMP(3.5mL)溶液に、臭化銅(45mg)を添加し、混合物を120℃で一晩加熱した。混合物を冷却し、飽和NH4Cl水溶液、水、及び水酸化アンモニウム(4:1:3)で処理し、EtOAcで抽出した。水相をEtOAcで抽出し(2回)、合一した有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。逆相クロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製して、220mgのトリメチル-[2-[[3-[5-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-7-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル]シランを位置異性体の混合物として得た。LCMS:569.38(M+H)。
工程6.トリメチル-[2-[[3-[5-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-7-(2-メチルスルホニルフェニル)イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル]シラン(14mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に、TFA(56μL)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、混合物をジオキサン(1mL)に溶解し、3N NaOHを使用してpH約10に塩基性化し、80℃で3時間加熱した。混合物をEtOAcと水に分配した。水相をEtOAcで抽出し(2回)、合一した有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮した。残渣をDMSOに溶解し、逆相クロマトグラフィーを使用して精製して、3.7mgの(3R)-3-メチル-4-[7-(2-メチルスルホニルフェニル)-3-(1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾール[4,5-b]ピリジン-5-イル]モルホリンを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ13.03(s,1H),8.47(s,1H),8.14(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.96(d,J=2.3Hz,1H),7.80(dtd,J=21.7,7.5,1.5Hz,2H),7.52(dd,J=7.4,1.5Hz,1H),6.97(d,J=2.2Hz,1H),6.79(s,1H),4.42-4.32(m,1H),3.99(d,J=11.8Hz,2H),3.82-3.65(m,2H),3.54(td,J=11.7,3.0Hz,1H),3.19(s,3H),3.18-3.07(m,1H),1.19(d,J=6.6Hz,3H)。LCMS:438.94(M+H)。
中間体C
工程1.-5℃の3-アミノピラゾール(24.7g、297mmol)の6N HCl(181mL)溶液に、NaNO2(300mL、297mmol)の1M水溶液を添加した。次に、SnCl2(113g、595mmol)の濃HCl(510mL)溶液を滴下し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて、3-ヒドラジニリデン-3H-ピラゾールを薄茶色の固体として得て、これをさらに精製することなくそのまま使用した。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,δppm):9.90(s,3H),7.65(d,J=2.4Hz,1H),5.81(d,J=2.3Hz,1H)。
工程2.加熱乾燥した500mLのRBFに、2,6-ジフルオロ-4-ヨードピリジン(17g、70.5mmol)及び無水THF(255mL)を入れた。黄色の反応混合物を-78℃に冷却し、商用LDA(THF/ヘキサン中1.0M、84.7mL、84.7mmol)を、内部温度が-68℃未満に維持されるような速度で滴下した。薄茶色の溶液を-78℃で1時間撹拌した後、ギ酸エチル(8.5mL、105.678mmol)を10分間かけて添加した。反応は、TLCでモニターし、30分後に完了した。ギ酸(5.3mL、140.5mmol)を滴下し、混合物を-78℃で10分間撹拌した後、EtOAc(150mL)で希釈した。混合物を0℃に温め、水(100mL)を添加した。層を分離し、水層をEtOAc(150mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮し、19gの2,6-ジフルオロ-4-ヨード-ピリジン-3-カルバルデヒドを薄茶色の固体として得た。1H NMR:(400MHz,CDCl3),δ10.11(s,1H),7.54(d;J=2.87Hz;1H)。
工程3.3-ヒドラジニリデン-3H-ピラゾール(12.5g、94.3mmol)の95%EtOH(70mL)懸濁液に、2,6-ジフルオロ-4-ヨード-ピリジン-3-カルバルデヒド(4.4g、16.3mmol)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌した。次に、揮発性物質の大部分を減圧下で除去した。橙色の混合物をEtOAc及びNaHCO3に溶解し、室温で15分間撹拌し、激しいガス発生が生じた。相を分離し、水相をEtOAcで3回抽出した。合一した有機抽出物を水及びブラインで洗浄した後、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させ、(E)-3-((2-(1H-ピラゾール-3-イル)ヒドラジニリデン)メチル)-2,6-ジフルオロ-4-ヨードピリジン(5.5g、15.9mmol)を黄色/橙色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)12.02(s,1H),10.89(s,1H),7.92(s,1H),7.82(d,1H),7.54(s,1H),5.97(s,1H)。
工程4.(E)-3-((2-(1H-ピラゾール-3-イル)ヒドラジニリデン)メチル)-2,6-ジフルオロ-4-ヨードピリジン(8.6g、24.7mmol)のNMP(115mL)溶液を20mLのバッチに分割し、マイクロ波反応器内にて200℃で20分間加熱した。次に、激しく撹拌しながら、合一した混合物を水に滴下し、白濁した混合物を得て、これを室温で5分間撹拌した後、0℃に冷却した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、ブフナー漏斗で1時間、減圧下で1時間乾燥させて、6-フルオロ-4-ヨード-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(6.8g、20.7mmol)を薄茶色の粉末として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ13.13(s,1H),8.29(s,1H),7.95(t,1H),7.71(d,1H),6.67(t,1H)。
工程5.6-フルオロ-4-ヨード-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(6.8g、20.7mmol)及び(R)-3-メチルモルホリン(1.24mL、7.23mmol)のDMSO(35mL)溶液を厚壁チューブ内に密閉し、120℃で45分間加熱した。次に、水で満たされた三角フラスコに、激しく撹拌しながら混合物を滴下した。白濁した混合物を室温で5分間、次いで0℃で20分間撹拌した。沈殿物をブフナー漏斗で濾過し、沈殿物を水で洗浄し、ブフナー漏斗上で一晩乾燥させて、(R)-4-(4-ヨード-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(6.9g、16.8mmol)を得た(中間体B)。
工程6.中間体B(2.00g、4.88mmol)のDMF(20mL)溶液に、2-(クロロメトキシ)エチルトリメチルシラン(1.04mL、5.8mmol)、続いてジイソプロピルエチルアミン(1.28mL、7.3mmol)を添加し、得られた混合物を40分間撹拌した。混合物をEtOAcと水に分配し、水相をEtOAcで抽出した(2回)。合一した有機層を水(2回)及びブラインで洗浄した後、Na2SO4で脱水し、濾過し、蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配0~80%EtOAc/ヘキサン)で精製し、2-[[3-[4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチルトリメチルシラン(0.67g、1.25mmol)及び2-[[5-[4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチルトリメチルシラン(0.17g、0.31mmol)を得た。
化合物86
工程1.丸底フラスコ中で、2,6-ジフルオロ-4-ヨード-ピリジン-3-カルバルデヒド(1.76g、6.54mmol)をDME(15mL)に溶解し、ヒドラジン水和物(535μL、純度65%、7.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。不均一な黄色の溶液に水を添加し、それを室温で30分間撹拌した。次に、得られた固体を濾取し、水ですすぎ、真空下で一晩乾燥させて、6-フルオロ-4-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジンを得た。
工程2.RBF中で、6-フルオロ-4-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(2.18g、8.29mmol)をDMSO(30mL)に溶解した。この溶液に、(3R)-3-メチルモルホリン(3.43g、33.94mmol、3.85mL)を添加し、反応混合物を120℃で一晩撹拌した後、反応物を室温までゆっくり冷却した。水を5~10分間かけてゆっくり添加し、フラスコを氷浴に入れ、溶液を1時間撹拌した。次に、得られた固体を濾取し、水で洗浄し、吸引で1時間風乾し、真空下で一晩乾燥して、(3R)-4-(4-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチル-モルホリン(2.12g、6.16mmol)を得た。
工程3.RBF中で、6-フルオロ-4-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン(1.54g、5.86mmol)をDMF(40mL)に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に60wt%の水素化ナトリウム(281.0mg、7.03mmol、純度60%)を添加し、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次に、SEM-Cl(1.46g、8.78mmol、1.55mL)を添加し、この溶液を0℃で5分間撹拌した後、室温に戻し、さらに1時間撹拌した。飽和NH4Cl、続いて水を添加し、混合物を30分間撹拌し、得られた固体を濾取し、真空下で一晩乾燥させて、2-[(6-フルオロ-4-ヨード-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-2-イル)メトキシ]エチル-トリメチル-シランをSEM位置異性体の混合物として得た。
工程4.RBF中で、2-[[4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(103mg、217.11μmol)をTHF(1mL)に溶解した。この溶液に、2-メチルプロパンニトリル(150.15mg、2.17mmol、195μL)、続いてLiHMDS(1M、1.09mL)を添加した。反応混合物を20℃で15分間撹拌した後、マイクロ波照射下で100℃まで12分間加熱した。水をEtOAcとともに添加し、相を分離した。水相をEtOAcで2回抽出した。合一した有機相をブラインの飽和水溶液で洗浄した後、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。15.5g Gold C18 Iscoカラム、及び10~100%水/MeCNの溶出を使用して粗生成物を精製して、2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリルを得た。
工程5.RBF中で、2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリル(690mg、1.66mmol)をDCM(30mL)に溶解し、TFA(3.80mL、50mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、揮発性物質を真空で除去した。粗製物を1mLのDMSOに溶解し、15.5g Gold C18 Iscoカラム及び5~100%水/MeCNの溶出を使用して精製して、2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリルを得た。
工程6.2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリル(100mg、0.35mmol)、5-ヨード-3-メチル-1-テトラヒドロピラン-2-イル-ピラゾール(205mg、0.7mmol)、炭酸セシウム(285mg、0.87mmol)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(100mg、0.70mmol)のNMP(1.2mL)溶液を窒素で5分間フラッシュした後、ヨウ化銅(67mg、0.35mmol)を添加した。混合物を120℃まで16時間加熱した。水を添加し、混合物を30分間撹拌し、得られた固体を濾取し、真空下で1時間乾燥させた。次に、1mLのDMSOに固体を溶解し、逆相Combiflash(20CVで5~100%水/MeCN)により精製し、2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-(5-メチル-2-テトラヒドロピラン-2-イル-ピラゾール-3-イル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリルを得た。
工程7.丸底フラスコ中で、2-メチル-2-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-(5-メチル-2-テトラヒドロピラン-2-イル-ピラゾール-3-イル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]プロパンニトリル(42mg、93μmol)をMeOH(0.5mL)に溶解した。この溶液に、MeOH(1.25M、112μL)中のHClを添加し、反応混合物を60℃で1時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、15.5g Gold C18 Iscoカラム及び5~100%水/MeCNの溶出を使用して粗製物を精製して、化合物86を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.51(s,1H),8.27(s,1H),6.73(s,1H),6.49(d,J=2.0Hz,1H),4.46(s,1H),4.09-4.00(m,1H),3.97(dd,J=11.4,3.5Hz,1H),3.76(d,J=11.4Hz,1H),3.64(dd,J=11.5,3.1Hz,1H),3.49(td,J=11.9,3.1Hz,1H),3.19(td,J=12.6,3.8Hz,1H),2.30(s,3H),1.85(s,6H),1.20(d,J=6.7Hz,3H)。
化合物99
工程1.2-[[5-[4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(500mg、0.92mmol)のTHF(8mL)溶液を-78℃に冷却し、nBuLi(2.5M、0.48mL)でゆっくり処理した。混合物をそのまま40分間撹拌した。次に、テトラヒドロピラン-3-オン(27μL、2.78mmol)のTHF(1.5mL)溶液を混合物に添加した。フラスコをドライアイス浴から取り出し、撹拌を1時間続けた。次に、混合物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、EtOAcを添加し、相を分離した。水相をEtOAcで2回以上抽出し、合一した有機抽出物をブラインの飽和溶液で洗浄した後、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させて、3-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-[2-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-3-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]テトラヒドロピラン-3-オールを得た。
工程2.3-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-[2-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-3-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]テトラヒドロピラン-3-オール(168mg、0.325mmol)、トリエチルシラン(291mg、2.50mmol、0.4mL)、DCM(1mL)、TFA(5.96g、52.3mmol、4mL)の溶液を室温で10分間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、逆相クロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、化合物99と化合物100の混合物を得て、これらをSFCによって分離した。
化合物121
工程1.中間体C(200mg、0.37mmol)のTHF(4mL)溶液を-78℃に冷却し、nBuLi(2.5M、0.19mL)でゆっくり処理した。混合物を40分間撹拌した後、8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オン(27μL、1.2mmol)のTHF(0.4mL)溶液を添加した。次に、フラスコをドライアイス浴から取り出し、1.5時間かけて室温に温めた。次に、混合物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。水相をEtOAcで2回以上抽出し、合一した有機抽出物をブラインの飽和溶液で洗浄した後、Na2SO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をさらに精製することなく次の工程で使用した。
工程2.3-[6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-[2-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール-3-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]-8-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オール(100mg、0.18mmol)及びトリエチルシラン(0.23mL、1.42mmol)のDCM(1mL)溶液をTFA(2.3mL、30mmol)により室温で処理し、10分間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、0~10%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー、次いで0~100%MeCN/H2Oで溶出する逆相クロマトグラフィーを使用して残渣を精製して、化合物121を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.79(s,1H),8.04(s,1H),7.83(s,1H),6.80(s,1H),6.78(s,1H),5.33(s,1H),4.49-4.40(m,3H),4.05-3.91(m,2H),3.77(d,J=11.4Hz,1H),3.64(dd,J=11.5,3.1Hz,1H),3.49(td,J=11.7,2.9Hz,1H),3.23-3.11(m,1H),2.43-2.31(m,4H),1.81(dd,J=20.9,11.5Hz,4H),1.20(d,J=6.6Hz,3H)。
化合物125
工程1.室温の2-アミノ-3-ブロモピリジン(1.0g、5.8mmol)のDCM(10mL)溶液に、ジ-tert-ブチルジカルバメート(2.65g、12.1mmol)及びDMAP(35mg、0.29mmol)を添加し、続いてEt3N(1.8mL、12.9mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した後、水(50mL)とDCM(40mL)に分配した。水層をDCM(40mL)で抽出し、合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、真空で濃縮した。100%ヘキサンから35%EtOAc/ヘキサンの勾配で25分間かけて溶出するCombi-Flash(80g Gold SiO2)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製し、1.8gの(3-ブロモピリジン-2-イル)ジカルバミン酸ジ-tert-ブチルを無色の固体として得た。MS(+ESI)m/z395.1/397.1(M+Na)。
工程2.(3-ブロモピリジン-2-イル)ジカルバミン酸ジ-tert-ブチル(150mg、0.40mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(204mg、0.80mmol)、及び酢酸カリウム(120mg、1.21mmol)を、乾燥DMF(1mL)、続いてPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(33mg、0.04mmol)に溶解した。反応物をアルゴンでパージした後、85℃まで16時間加熱した。混合物をEtOAcで希釈し、セライトパッドに通して濾過した。揮発性物質を蒸発させて、(tert-ブトキシカルボニル)(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチルを得て、これをさらに精製することなく使用した。
工程3.2-[[3-[4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチルトリメチルシラン(120mg、0.22mmol)、K3PO4(142mg、0.66mmol)、Pd(dppfCl2).CH2Cl2(9mg、0.011mmol)、及び(tert-ブトキシカルボニル)(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(186mg、0.44mmol)を、乾燥DMF(2mL)に溶解した。反応物をアルゴンでパージし、85℃まで16時間加熱した。H2O(0.1%ギ酸)中の5~100%MeCNを使用するcombiflash(C18、26g)により生成物を20分間精製して、(R)-(tert-ブトキシカルボニル)(3-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(35mg)を得た。
工程4.(R)-(tert-ブトキシカルボニル)(3-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(35mg、0.05mmol)のDCM(1.5mL)溶液に、TFA(0.40mL、5.2mmol)及びEt3SiH(0.03mL、0.17mmol)を添加し、反応物を1.5時間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、EtOAc中の0~100%ヘキサンを使用するcombi-flash(SiO2、4g)により残渣を15分間精製して、(R)-3-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ピリジン-2-アミン(18mg)を得た。
化合物126
工程1.(R)-4-(4-ヨード-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル)-3-メチルモルホリン(中間体C、700mg、1.30mmol)、(2-(N-(tert-ブチル)スルファモイル)フェニル)ボロン酸(492mg、1.68mmol)、2M K2CO3(2mL、4mmol)、Pd(PPh3)4(75mg、0.065mmol)、及びジオキサン(7mL)をマイクロ波管に入れた。管を密閉し、N2でフラッシュした(真空/N2の3サイクル)。混合物を100℃まで5時間加熱した。LCMSは完全な反応を示した。室温に冷却した後、混合物をEtOAc(40mL)及び水(40mL)で希釈した。層を分離し、水層をEtOAc(70mL)で抽出した。合一した有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。20~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(40gカラム、SiO2 Gold)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製して、700mgの(R)-N-(tert-ブチル)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ベンゼンスルホンアミドを得た。
工程2.(R)-N-(tert-ブチル)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ベンゼンスルホンアミド(700mg、1.12mmol)及びトリエチルシラン(0.68mL、4.26mmol)のDCM(10mL)溶液に、室温で、TFA(9mL、118mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、残渣をTFA(10mL)に溶解した。混合物を室温で18時間撹拌した後、40℃まで1時間、50℃まで1時間加熱した。揮発性物質を減圧下で除去し、DCM(3回)と共蒸着させた。30~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するISCO CombiFlash(24gカラム、Gold SiO2)により残渣をシリカゲルに吸着させて精製した。目的とする生成物画分を合一し、減圧下で濃縮乾固した。CH3CN(3mL)及び水(5mL)に残渣を溶解し、凍結乾燥して、350mgの(R)-2-(6-(3-メチルモルホリノ)-1-(1H-ピラゾール-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)ベンゼンスルホンアミドを薄黄色の泡状物として得た。+ESI [M+1]: 440.2.254nmでのHPLCによる純度:99%超、10~90%CH3CN/H2O(+0.1%ギ酸)20分間超。1H NMR(400MHz,DMSO):δ12.83(s;1H);8.11-8.13(m;1H);7.86(s;1H);7.68-7.72(m;2H);7.61(s;1H);7.50-7.52(m;1H);7.42(s;2H);6.83(s;1H);6.80(s;1H);4.33-4.38(m;1H);4.08(d;J=13.32Hz;1H);3.97-4.00(m;1H);3.73-3.76(m;1H);3.64-3.68(m;1H);3.49-3.55(m;1H);3.15-3.21(m;1H);1.22(d;J=6.61Hz;3H)。
化合物138
工程1.(3R)-4-[4-ヨード-1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル]-3-メチル-モルホリン(500mg、0.943mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(359mg、1.41mmol)、及び酢酸カリウム(324mg、3.30mmol)をDMF(5mL)中で合一し、10分間、超音波処理しながら混合物にN2を吹き込むことにより、この溶液を脱気した。次に、Pd(dppf)Cl2.DCM(69mg、0.0943mmol)を添加し、混合物を再度5分間脱気した。次に、反応物を95℃まで2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、EtOAcと水に分配した(各3容量)。有機層を水(2×3容量)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮乾固した。次に、生成物をcombiflash(0~100%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
工程2.(3R)-4-[1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-6-イル]-3-メチル-モルホリン(220mg、0.415mmol)及び3-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン(200mg、0.830mmol)のDMF(9mL)溶液に、K2CO3水溶液(1.1mL、1.24mmol)、次いでPd(dppf)Cl2-DCM錯体(68mg、0.083mmol)を添加した。反応物をマイクロ波で110℃まで10分間加熱した。混合物を室温に冷却し、EtOAcと水に分配した(各3容量)。有機層を水(2×3容量)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮乾固した。次に、生成物をcombiflash(0~100%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
工程3.3-[1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン(120mg、0.213mmol)をトリフルオロ酢酸(3.0mL、0.21mmol)に溶解し、反応物を2時間撹拌した。反応物を蒸発乾固し、残渣をDMSO(1mL)に溶解し、生成物を逆相combiflash(5~95%MeCN/水)により精製した。+ESI[M+1]:445.0.254nmでのHPLCによる純度:99%超、10~90%CH3CN/H2O(+0.1%ギ酸)20分間超。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.81(s,1H),7.84(brm,2H),7.72(d,J=7.5Hz,1H),7.09(d,J=7.5Hz,1H),6.86-6.77(m,2H),6.45(s,2H),4.48(s,1H),4.11(d,J=13.4Hz,1H),4.07-3.93(m,1H),3.75(d,J=11.3Hz,1H),3.64(d,J=9.8Hz,1H),3.49(t,J=11.1Hz,1H),3.20(t,J=12.6Hz,1H),1.20(d,J=6.9Hz,3H)。
化合物139
工程1.[1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]ボロン酸(250mg、0.558mmol)及び3-ブロモ-6-メチル-ピリジン-2-アミン(0.33mL、1.12mmol)のDMF(9mL)溶液に、K2CO3(1.1mL、1.67mmol)を添加し、窒素でフラッシュした後、Pd(dppf)Cl2-DCM錯体(91mg、0.11mmol)を添加した。反応物をマイクロ波にて100℃で10分間加熱した後、混合物を室温に冷却し、EtOAcと水に分配した(各3容量)。有機層を水(2×3容量)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮乾固した。次に、生成物をcombiflash(0~100%EtOAc/ヘキサン)により精製した。
工程2.3-[1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル]-6-メチル-ピリジン-2-アミン(250mg、0.490mmol)をトリフルオロ酢酸(4.0mL、0.49mmol)に溶解し、反応物を60℃に加熱し、UPLC-MSでモニターした。1時間後、反応物を室温に冷却し、翌日蒸発乾固した。生成物を逆相クロマトグラフィー(5~95%MeCN/水)により精製した。+ESI[M+1]:391.0 254nmでのHPLCによる純度:99%超、10~90%CH3CN/H2O(+0.1%ギ酸)20分間超。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.81(s,1H),7.84(br,2H),7.59(br,1H),6.82-6.76(m,2H),6.68(s,1H),4.46(s,1H),4.09(d,J=13.3Hz,1H),3.97(d,J=10.2Hz,1H),3.75(d,J=11.3Hz,1H),3.64(d,J=11.8Hz,1H),3.49(t,J=10.6Hz,1H),3.19(t,J=13.0Hz,1H),2.55-2.50(m,3H),2.38(s,3H),1.22(d,J=6.6Hz,3H)。
化合物149
工程1.中間体C(690mg、1.28mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、N-クロロスクシンイミド(170mg、1.27mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。溶液を65℃まで1時間加熱した後、さらに138mgのN-クロロスクシンイミドを追加で添加し、65℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、0~100%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより残渣を精製して、2-[[5-[5-クロロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(240mg)を得た。
工程2.2-[[5-[5-クロロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル-トリメチル-シラン(107mg、0.187mmol)及び4,4,5,5-テトラメチル-2-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3,2-ジオキサンボロラン(0.33mL、0.382mmol)の1,4-ジオキサン(1mL)溶液に、K3PO4(0.50mL、0.560mmol)を添加した。バイアルを窒素でフラッシュした後、Pd(dppf)Cl2(30mg、0.0373mmol)を添加し、マイクロ波下で110℃まで3時間加熱した。この溶液を水及びDCMで希釈し、相分離器で濾過した。水相をDCMで2回洗浄し、合一した有機抽出物を減圧下で蒸発させた。生成物をさらに精製することなく次の反応で使用した。
工程3.未精製の2-[[5-[5-クロロ-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-4-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-1-イル]ピラゾール-1-イル]メトキシ]エチル-トリメチルシラン(110mg、0.186mmol)のDCM(1mL)溶液に、0.2mLのトリエチルシラン及び1mLのTFAを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。0~100%MeCN/H2Oで溶出する逆相クロマトグラフィーを使用して残渣を精製し、続いて0~10%MeOH/DCMで溶出する順相クロマトグラフィーを使用してさらに精製し、目的とする生成物をアトロプ異性体の1:1混合物として得て、生物学的試験に使用した。キラルSFCを使用してさらに精製すると、2種の分離したアトロプ異性体(それぞれ4.0mg、6.8%、及び4.7mg、8.0%)が得られる。質量分析:m/z:463.2.
化合物150
工程1.2,6-ジフルオロ-4-ヨード-ピリジン-3-カルボキシアルデヒド(9.00g、33.5mmol)をDMSO(330mL)に溶解し、(3R)-3-メチルモルホリン(3.8mL、33.3mmol)を添加した。溶液を120℃で2時間加熱した。溶液を冷却し、激しく撹拌しながら水(1.5L)に滴下した。次に氷を加え、懸濁液をさらに2時間撹拌した。固体を濾過し、所内真空装置で15時間乾燥させた。得られたベージュ色の固体(10.9g)を最小量のDCMに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(0~100%EtOAc/ヘキサン勾配)により精製して、2-フルオロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルバルデヒド(6.36g、18.16mmol)をベージュ色の固体として得た。
工程2.2-フルオロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルバルデヒド(5.86g、16.7mmol)のtert-ブタノール(20mL)及び水(6.5mL)溶液に、室温で、2-メチル-2-ブテン(82mL、164mmol)、亜塩素酸ナトリウム(7.56g、83.6mmol)、及びリン酸一ナトリウム二水和物(2.64g、16.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で15時間撹拌した。亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液をゆっくり添加し、続いて酸性pHに達するまでギ酸を加えた。EtOAcを添加し、相を分離した。水相をEtOAcで3回抽出し、合一した有機抽出物をMgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させて、ベージュ色の固体を得た。この物質をEt2Oで30分間トリチュレーションした後、濾過して2.06gのオフホワイトの固体を得た。濾液を濃縮し、0~100%MeCN/水の勾配を使用して100g C18カラムで精製して、さらに2.83gのベージュ色の固体を得て、合計4.89gの2-フルオロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルボン酸を得た。
工程3.2-フルオロ-4-ヨード-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルボン酸(4.89g、13.4mmol)のDMF(67mL)溶液に、アザニウミル-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]アンモニウムジクロリド(4.65g、16.0mmol)、続いて2,6-ルチジン(12mL、100mmol)を添加した。次に、HATU(6.17g、16.2mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、激しく撹拌しながら溶液を水(400mL)に滴下して懸濁液を得て、これを1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体を真空下で15時間乾燥させて、2-フルオロ-4-ヨード-N’-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルボヒドラジド(7.48g、13.2mmol)をベージュ色の固体として得た。
工程4.2-フルオロ-4-ヨード-N’-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリジン-3-カルボヒドラジド(2.00g、3.53mmol)をDMF(70mL)に溶解し、NaH(285mg、7.13mmol)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌した後、30分間かけて60℃までゆっくり加熱した。水、ブライン、及びEtOAcを添加し、相を分離した。水相をEtOAcで3回抽出し、合一した有機物をMgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られた物質をシリカゲルクロマトグラフィー(0~10%MeOH/DCMの勾配)により精製して、4-ヨード-1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-オン(1.19g、2.18mmol)を褐色の固体として得た。
工程5.4-ヨード-1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-オン(100mg、0.183mmol)及び2-トリフルオロメチルフェニルボロン酸(87mg、0.43mmol)の1,4-ジオキサン(1.8mL)溶液に、K2CO3(0.28mL、0.55mmol)を添加した。混合物を窒素で5分間フラッシュした後、Pd(dppf)Cl2(30mg、0.037mmol)を添加し、次いでマイクロ波照射下で110℃まで15分間加熱した。水をDCMとともに添加し、相を分離した。水相をDCMで3回抽出して、有機抽出物を合一し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させて、1-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]ピラゾール-3-イル]-6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-4-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-オン(103mg、0.182mmol)を黒色の固体として得た。物質を精製せずに次の工程で使用した。
工程6.工程5の未精製物質をトリフルオロ酢酸(2.0mL)に溶解し、60℃で1.5時間撹拌した後、真空で濃縮した。得られた物質をDMSO(1mL)に溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(0~100%MeCN/水の勾配)により精製して、6-[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]-1-(1H-ピラゾール-5-イル)-4-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-2H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-3-オン(35mg、0.079mmol)をベージュ色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ12.60(s,1H),10.86(s,1H),7.84(d,J=7.8Hz,1H),7.79-7.75(m,1H),7.73(t,J=7.5Hz,1H),7.65(t,J=7.6Hz,1H),7.47(d,J=7.0Hz,1H),6.76(s,1H),6.48(d,J=5.5Hz,1H),4.44-4.33(m,1H),4.12-4.03(m,1H),4.01-3.91(m,1H),3.73(d,J=11.4Hz,1H),3.65(dd,J=11.4,2.7Hz,1H),3.57-3.46(m,1H),3.17(td,J=12.7,12.2,3.5Hz,1H),1.20(dd,J=10.9,6.6Hz,3H)。
実施例2.ATR/ATRIP酵素アッセイ
ATRキナーゼ活性の検出にAlphaScreenシステムを利用して基質タンパク質p53のリン酸化を測定した。アッセイ緩衝液(50mM Hepes pH7.4、0.1mMバナデート、0.5mM DTT、0.1mM EGTA、5mM MnCl2、0.01%Brij-30、1%グリセロール、0.05%BSA)で最終濃度0.63nMにした組換え型精製ATR/ATRIP(Eurofins、カタログ番号14-953)を、10%DMSOで段階希釈した化合物と混合した。DMSOの最終濃度は1.25%であった。アッセイ緩衝液中の、GST標識p53(全長、Enzo Life Sciences、カタログ番号BML-FW9370)とアデノシン5’-三リン酸、ATP(Sigma-Aldrich、カタログ番号10519979001、Roche Diagnostic)のプレミックスを、最終濃度が25nM GST-p53及び3μM ATPである酵素:化合物の混合物に添加した。反応を室温で1時間進行させた後、最終希釈率1:3000のホスホ-p53(Ser15)抗体(New England Biolabs、カタログ番号9284S)、緩衝液(50mM Tris中60mM EDTA、pH7.4、及び0.1%BSA)中の最終ビーズ濃度が14.3μg/mLのグルタチオンドナービーズ(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号6765301)、及び14.3μg/mLのプロテインAアクセプタービーズ(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号670137)のプレミックスを添加して停止した。プレートを暗所にて室温で4時間インキュベートし、AlphaScreen専用フィルターを使用してBMG Polarstarで読み取った。アッセイは、白色ポリプロピレンハーフエリアプレート(Costar、カタログ番号3693)を使用して96ウェル形式で実行した。4パラメーターフィットアルゴリズムを使用してIC50値を決定した。
実施例3.Hela細胞におけるATRアッセイ
通常培地F-12K 10%FBSを入れた25μLウェルあたり16K細胞の密度で、HeLa S3細胞を384プレート形式に播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。次に、培地をウェルあたり20μLのOpti-MEM(フェノールレッド非含有)に交換し、5μLの段階希釈化合物をアッセイプレートに添加して、最終DMSO濃度を0.5%にした。細胞及び化合物を室温で20分間インキュベートした後、5μLのゲムシタビンを最終濃度1.5μMで添加した。プレートを37℃、5%CO2で3.5~4時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を15μLのPerkinElmer溶解緩衝液で10~20分間溶解した。次に、4μLの溶解物を近接ホワイトプレート384形式(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号6008280)に移した。Ser345でのCHK1リン酸化の定量は、Alphascreen SureFire CHK1 p-Ser345(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号TGRCHK1S10K)及びAlphascreenプロテインA(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号67060617C)を使用して実施した。AlphaScreen専用フィルターを使用して、Envisionでプレートを読み取った。4パラメーターフィットアルゴリズムを使用してIC50値を決定した。
例示的な調製化合物及びATR/ATRIP酵素アッセイにおけるそれらの活性を以下の表2に示す。
表2において、「方法」の列は、化合物の調製に使用した上記の調製方法を示している。
例示的な調製化合物、及びHeLa S3全細胞アッセイにおけるATR阻害活性を以下の表3に示す。
表3において、「方法」の列は、化合物の調製に使用した上記の調製方法を示している。
他の実施形態
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない、記載された本発明の種々の変更及び変形例が当業者に明らかであろう。本発明は特定の実施形態に関連して説明されているが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないものと理解されるべきである。実際には、当業者には明らかである、本発明の実施形態の様々な変形例が、本発明の範囲内であることが意図されている。
他の実施形態が特許請求の範囲内である。