以下、本開示における一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(一方向に延伸すると共に、隣り合う配線間の空隙を有する複数の配線を有する配線層上に異なる材料からなる絶縁膜を積層し、その絶縁膜を間に、複数の配線の上方に、例えば接合用のパッド電極となる導電膜を有する撮像素子の例)
1-1.配線構造の構成
1-2.配線構造の製造方法
1-3.撮像素子の構成
1-4.撮像素子の製造方法
1-5.作用・効果
2.変形例
2-1.変形例1(配線構造の製造工程の他の例)
2-2.変形例2(配線構造の製造工程の他の例)
2-3.変形例3(配線構造の製造工程の他の例)
2-4.変形例4(配線構造の製造工程の他の例)
2-5.変形例5(平面型TGを用いた例)
2-6.変形例6(パネル外縁でCu-Cu接合を用いた例)
2-7.変形例7(センサ画素と読み出し回路との間にオフセットを設けた例)
2-8.変形例8(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
2-9.変形例9(読み出し回路の設けられたシリコン基板が島状となっている例)
2-10.変形例10(FDを8つのセンサ画素で共有した例)
2-11.変形例11(カラム信号処理回路を一般的なカラムADC回路で構成した例)
2-12.変形例12(撮像装置を、7つの基板を積層して構成した例)
2-13.変形例13(ロジック回路を第1基板、第2基板に設けた例)
2-14.変形例14(ロジック回路を第7基板に設けた例)
3.適用例
4.応用例
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る配線構造(配線構造100)の垂直方向の断面構成の一例を模式的に表したものである。図2Aは、図1に示した配線構造100の水平方向の断面構成の一例を模式的に表したものである。図2Bは、図1に示した配線構造100の水平方向の断面構成の他の例を模式的に表したものである。また、図1は、図2Aに示したI-I線の断面に対応している。配線構造100は、例えば、複数の配線層が積層された多層配線構造を有するものであり、例えば、後述する撮像素子1に適用可能なものである。
本実施の形態の配線構造100は、一方向(例えばY軸方向)に延伸する複数の配線(例えば、配線112X1~配線112X6)を有する配線層112に、例えば、隣り合う配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112X4と配線112X5との間に、それぞれ空隙Gを形成する絶縁膜123と、表面が平坦な絶縁膜124がこの順に積層されたものである。更に、一方向に延伸する複数の配線112X1~配線112X6の少なくとも一部(例えば、図1では、配線112X1~配線112X4)と正対する位置には、絶縁膜123および絶縁膜124を間にして、導電膜127(具体的には、導電膜127X1)が設けられている。この複数の配線112X1~配線112X6および配線層112が、それぞれ、本開示の「第1の配線」および「第1の配線層」の一具体例に相当する。絶縁膜123が本開示の「第1の絶縁膜」の一具体例に相当し、絶縁膜124が本開示の「第2の絶縁膜」の一具体例に相当する。更に、導電膜127X1が、本開示の「第1の導電膜」の一具体例に相当する。
(1-1.配線構造の構成)
配線構造100は、例えばシリコン基板(図示せず)等の上に、第1層110および第2層120がこの順に積層された構成を有する。第1層110は、複数の配線(例えば、配線112X1~配線112X6)からなる配線層112を有し、第2層120は、例えば、第1層110に設けられた複数の配線112X1~配線112X5の隣り合う配線間に空隙Gを形成する絶縁膜122と、絶縁膜122を覆う共に、表面が平坦な絶縁膜123と、絶縁膜122および絶縁膜123を間に形成された導電膜127を有する。導電膜127は、例えば、空隙Gが形成された空隙形成領域100Xの上方に設けられた導電膜127X1と、空隙Gが形成されていない配線(例えば、配線112X6)の上方に設けられた導電膜127X2とを有する。
第1層110は、絶縁膜111に複数の配線(例えば、配線112X1~配線112X6)を有する配線層112が埋め込み形成されている。
絶縁膜111は、例えば、比誘電率(k)が3.0以下の低誘電率材料(Low-k材料)を用いて形成されている。具体的には、絶縁膜111の材料としては、例えば、SiOC、SiOCH、ポーラスシリカ、SiOF、無機SOG、有機SOGおよびポリアリルエーテル等の有機高分子等が挙げられる。
配線層112は、例えば一方向に延伸する複数の配線からなり、例えば、Y軸方向に延伸する配線112X1~配線112X6を有する。配線112X1~配線112X6は、例えばLine(L)/Space(S)=40~200nm/40~200nmで並列形成されている。配線112X1~配線112X6は、例えば、絶縁膜111に設けられた開口H1に埋め込み形成されており、例えば、開口H1の側面および底面に形成されたバリアメタル112Aと、開口H1を埋設する金属膜112Bとから構成されている。バリアメタル112Aの材料としては、例えば、Ti(チタン)もしくはTa(タンタル)の単体、またはそれらの窒化物あるいは合金等が挙げられる。金属膜112Bの材料としては、例えば、Cu(銅),W(タングステン)またはアルミニウム(Al)等の低抵抗金属を主体とする金属材料が挙げられる。
第1層110には、隣り合う配線の間、具体的には、例えば、配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112V4と配線112X5との間にそれぞれ空隙Gを形成するための開口H2が設けられている。この開口H2は、後述する空隙形成領域100Xに相当する。
開口H2内では、隣り合う配線の間(配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4および配線112V4と配線112X5との間)の絶縁膜111は、後述するフォトリソグラフィ技術を用いたドライエッチングにより、所定の深さまで掘り込まれている。開口H2内の配線(配線112X2,112X3,112X4,112X5)は、後述するフォトリソグラフィ技術を用いたドライエッチングにより、上面の一部または全部が後退し、開口H2の外側の配線(例えば、配線112X1,112X6)とは異なる断面形状となっている。特に、詳細は後述するが、複数の配線112X1~112X6の配列方向(X軸方向)の開口H2の端部は、空隙Gが形成される複数の配線のうちの両端の配線(例えば、配線112X2,112X5)上に形成されている。このため、配線112X2,112X5は、それぞれ、左右非対称な断面形状をとなっている。具体的には、配線112X2,112X5は、図1に示したように、空隙Gと隣接する側の上面の端部に段差が形成されており、その反対側の上面の端部は略直角な断面形状を有している。
第2層120は、複数の絶縁膜(絶縁膜121~126)が積層されると共に、例えば、最上層の絶縁膜126に導電膜127が埋め込み形成されている。具体的には、第1層110側から順に、絶縁膜121、絶縁膜122、絶縁膜123、絶縁膜124、絶縁膜125および絶縁膜126がこの順に積層されている。配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112V4と配線112X5との間の開口H2は、第2層120を構成する絶縁膜123によって閉塞されている。これにより、配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112V4と配線112X5との間には、それぞれ、並走する配線間の容量を低下させる空隙Gが、配線112X1~配線112X6の延伸方向の全体または一部領域に亘って形成される(空隙形成領域100X)。
この空隙形成領域100Xは、具体的には、例えば図2Aに示したように、配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112V4と配線112X5との間に連続して設けられている。あるいは、例えば後述する撮像素子1のように、複数の配線(例えば、パッド電極58および複数の垂直信号線24)が絶縁層(例えば絶縁層57)を間にして積層され、その略対向する位置においてビアVを介して電気的に接続されており、その下層側の複数の配線(複数の垂直信号線24)間に空隙Gを形成する場合には、空隙形成領域100Xは、例えば、図2Bに示したように、ビアVを避けて形成することが好ましい。つまり、空隙形成領域100Xは、ビアVを間に複数の領域に分けて形成するようにしてもよい。
絶縁膜121は、例えば、銅(Cu)を用いて配線112X1~配線112X6を形成した場合に、銅(Cu)の拡散を防ぐためのものである。絶縁膜121は、上記開口H2を除く、絶縁膜111および埋め込み形成された配線112X1および配線112X6ならびに開口H2の端部が形成される配線112X2および配線112X5の一部を覆うように設けられている。絶縁膜121は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)またはSiCxNy等を用いて形成されている。
絶縁膜122は、絶縁膜121と同様に、例えば、銅(Cu)を用いて配線112X1~配線112X6を形成した場合に、銅(Cu)の拡散を防ぐためのものである。絶縁膜122は、絶縁膜121上に設けられると共に、開口H2の側面および底面を覆うように延在形成されている。絶縁膜122は、上記のように、銅(Cu)の拡散を防ぐ絶縁材料を、段差被覆性に優れた製法を用いることで形成することができる。具体的には、絶縁膜122は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)またはSiCxNy等を、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて形成されている。
絶縁膜123は、絶縁膜122上に設けられると共に、開口H2内の隣り合う複数の配線間に空隙Gを形成するためのものである。絶縁膜123は、被覆性が低く、例えば、比誘電率(k)が3.0以下のLow-k材料を用いて形成されている。具体的には、絶縁膜132Aの材料としては、例えば、SiOC、SiOCH、ポーラスシリカ、SiOF、無機SOG、有機SOGおよびポリアリルエーテル等の有機高分子等が挙げられる。
絶縁膜124は、絶縁膜123上に設けられ、絶縁膜123の、空隙Gの上方の凹凸を埋め、空隙Gの上方に、詳細は後述するが、Cu-Cu接合等のハイブリッドボンディングを用いたデバイスの積層が可能な平坦な表面を形成するためのものである。絶縁膜124の材料としては、例えば、絶縁膜123よりも研磨レートの高く、例えば、比誘電率(k)が4.0付近となる材料を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx),SiOC,SiOFおよびSiON等が挙げられる。なお、絶縁膜124は、上記材料のいずれか1種からなる単層膜でもよいし、2種以上からなる積層膜として形成されていてもよい。
絶縁膜125は、後述する導電膜127を成膜した際に生じる応力による反りを低減するためのものである。絶縁膜125は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって成膜され、例えば、比誘電率(k)が7.0以上となる、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)等を用いて形成することができる。
絶縁膜126は、絶縁膜125上に設けられ、例えば、後述する撮像素子1の第2基板20と第3基板30との接合面を形成するものである。絶縁膜126の材料としては、接合面の平坦化が可能なように、例えば、絶縁膜123よりも研磨レートの高く、例えば、比誘電率(k)が4.0付近となる材料を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx),SiOC,SiOFおよびSiON等が挙げられる。なお、絶縁膜126は、上記材料のいずれか1種からなる単層膜でもよいし、2種以上からなる積層膜として形成されていてもよい。
導電膜127は、例えば、一方向に延伸する配線112X1~配線112X6を有する配線層112の直上に設けられる配線層であり、例えば、絶縁膜126および絶縁膜125の一部に設けられた開口H3に埋め込み形成され、絶縁膜126と同一平面を形成している。導電膜127は、複数の導電膜(例えば、導電膜127X1および導電膜127X2)を有し、少なくとも一部の導電膜127は、一方向に延伸すると共に、配線112X1~配線112X6の少なくとも一部と正対するように設けられている。一例として、図1では、導電膜127X1が、例えば、配線間に空隙Gを有する配線112X2、配線112X3および配線112X4と正対する位置に、例えば、配線112X2および配線112X3と同様に、Y軸方向に延在して形成されている。開口H3内には、絶縁膜121~絶縁膜125を貫通し、配線112X1まで達する開口H4がさらに設けられている。導電膜127X1は、この開口H4内にも埋め込まれており、配線112X1と電気的に接続されている。
導電膜127は、開口H3および開口H4の側面および底面に形成されたバリアメタル127Aと、開口H3および開口H4を埋設する金属膜127Bとから構成されている。バリアメタル127Aの材料としては、例えば、Ti(チタン)もしくはTa(タンタル)の単体、またはそれらの窒化物やあるいは合金等が挙げられる。金属膜127Bの材料としては、例えば、Cu(銅),W(タングステン)またはアルミニウム(Al)等の低抵抗金属を主体とする金属材料が挙げられる。
(1-2.配線構造の製造方法)
まず、絶縁膜111に配線112X1~配線112X6を含む配線層112を埋め込み形成した後、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて表面を研磨し、第1層110を形成する。続いて、図3Aに示したように、第1層110上に、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)法またがCVD法を用いて、絶縁膜121を、例えば、5nm~250nmの厚みで成膜する。
次に、図3Bに示したように、フォトリソグラフィ技術を用いて、配線121X2~配線112X5に対応する位置に開口131Hを有するレジスト膜131を、絶縁膜121上にパターニングする。続いて、図3Cに示したように、開口131H内に露出している絶縁膜121、配線112X2~配線112X5の一部および絶縁膜111を、例えばドライエッチングして開口H2(空隙形成領域X)を形成する。このとき、レジスト膜131のパターンは、空隙形成領域100Xが以下のようなパターンとなるように形成することが好ましい。
例えば、空隙形成領域100Xは、図4に示したように、複数の配線(例えば配線112X2~112X5)の配列方向(X軸方向)の空隙形成領域100Xの端部100Exが、それぞれの配線間に空隙Gを形成する複数の配線のうちの両端の配線(配線112X2,112X5)上に形成されることが好ましい。更に、複数の配線(例えば配線112X2,112X5)の上方に絶縁膜を間に他の配線(図示せず)が形成され、その他の配線と電気的に接続するためのビアVが設けられている場合には、複数の配線の延伸方向(Y軸方向)の空隙形成領域100Xの端部100Eyは、ビアVから所定の距離離れていることが好ましい。
具体的には、空隙形成領域100Xの端部100Exと、端部100Exが形成される配線(例えば配線112X2)の空隙Gが形成される側の側面との距離Xは、配線112X2の幅Dよりも小さいことが好ましい(D>X)。また、空隙形成領域100Xの端部100Eyと、ビアVとの距離Yは、空隙形成領域100XのY軸方向の中点からビアVまでの距離Lよりも小さいことが好ましい(L>Y)。更に、XおよびYは、それぞれ、下記数式(1),(2)を満たすことが好ましい。XおよびYが、上記を満たすことにより、空隙形成領域100Xの端部100Exは、空隙Gが形成される複数の配線の両端の配線(配線112X2,112X5)上に形成され、空隙形成領域100Xの端部100Eyは、ビアVを避けて形成されるようになる。
(数1)
X>√((CD3σ_配線/2)2+(CD3σ_空隙形成領域/2)2+(OVL3σX/2)2)・・・(1)
(数2)
Y>√((CD3σ_ヒ゛ア/2)2+(CD3σ_空隙形成領域/2)2+(OVL3σY/2)2)・・・(2)
なお、CD3σ_配線は、配線(例えば配線112X2)のX軸方向の両端部の標準偏差(ばらつき)×3であり、CD3σ_空隙形成領域は、空隙形成領域100XのX軸方向の両端部の標準偏差(ばらつき)×3であり、CD3σ_ヒ゛アは、ビアVのX軸方向の両端部の標準偏差(ばらつき)×3である。L3σXおよびL3σYは、それぞれ、レジスト膜131のパターンの、例えば中心位置のX軸方向およびY軸方向の標準偏差(ばらつき)×3である。
更に、空隙形成領域100Xを形成するレジスト膜131の開口131Hは、以下のような平面形状とすることが好ましい。例えば図5Aに示したように、レジスト膜131の開口131Hを矩形形状(A)にした場合、それによって形成される開口H2は、光近接効果により略楕円形状(B)となり、各配線間に形成される空隙Gの形成範囲にばらつきが生じる。このため、レジスト膜131の開口131Hの平面形状は、例えば図5Bに示したような、開口131の四隅に光近接効果補正(OPC)を付加した形状(A)とすることが好ましい。これにより、略矩形形状を有する開口H2(B)が形成され、各配線間に形成される空隙Gの形成範囲が略一様となる。
次に、レジスト膜131を除去した後、図3Dに示したように、例えば、ALD法を用いて、絶縁膜121上および開口H2の側面および底面を被覆する絶縁膜122を、例えば、0.5nm~15nmの厚みで成膜する。続いて、図3Eに示したように、例えばCVD法を用いて、例えばSiOCあるいは窒化シリコンからなる、例えば膜厚100nm~500nmの絶縁膜123を成膜する。これにより、開口H2は閉塞され、配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112X4と配線112V5との間に空隙Gが形成される。
次に、図3Fに示したように、絶縁膜123上に、例えばCVD法を用いて、例えばSiOxからなる、膜厚200nm~300nmの絶縁膜124を成膜する。続いて、図3Gに示したように、例えばCMP法を用いて絶縁膜124を研磨し、表面を平坦化する。
次に、例えば、CVD法を用いて、絶縁膜124上に絶縁膜125を、例えば、50nm~500nmの厚みで成膜した後、例えばCVD法により、絶縁膜125上に絶縁膜126を、例えば、100nm~2μmの厚みで成膜する。続いて、開口H2と同様の方法を用いて、絶縁膜126および絶縁膜125の一部を、例えばドライエッチングして開口H3を形成した後、さらに、開口H3内に、絶縁膜121~絶縁膜125を貫通して配線112X1まで達する開口H4を形成する。その後、例えば、スパッタを用いて開口H3および開口H4の側面および底面にバリアメタル127Aを成膜した後、例えば、メッキを用いて開口H3および開口H4内に、金属膜127Bを成膜する。最後に、絶縁膜126上に形成されたバリアメタル127Aおよび金属膜127Bを研磨して除去し、絶縁膜126および導電膜127が同一平面を構成する平坦面を形成する。以上により、図1に示した配線構造100が完成する。
(1-3.撮像素子の構成)
図6は、本開示の一実施の形態に係る撮像素子(撮像素子1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。図7は、図6に示した撮像素子1の概略構成の一例を表したものである。撮像素子1は、半導体基板11に、光電変換を行うセンサ画素12を有する第1基板10と、半導体基板21に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画像信号を出力する読み出し回路22を有する第2基板20と、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有する第3基板30とが積層された3次元構造を有する撮像素子である。上記配線構造100は、例えば、図8に示したように、例えば、第3基板30と接合される第2基板20の接合面近傍の配線構造に適用される。
第1基板10は、上記のように、半導体基板11に、光電変換を行う複数のセンサ画素12を有している。半導体基板11は、本開示の「第1半導体基板」の一具体例に相当する。複数のセンサ画素12は、第1基板10における画素領域13内に行列状に設けられている。第2基板20は、半導体基板21に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路22を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。半導体基板21は、本開示の「第2半導体基板」の一具体例に相当する。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。第3基板30は、半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。半導体基板31は、本開示の「第3半導体基板」の一具体例に相当する。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35およびシステム制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、センサ画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
垂直駆動回路33は、例えば、複数のセンサ画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各センサ画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34および水平駆動回路35)の駆動を制御する。
図9は、センサ画素12および読み出し回路22の一例を表したものである。以下では、図9に示したように、4つのセンサ画素12が1つの読み出し回路22を共有している場合について説明する。ここで、「共有」とは、4つのセンサ画素12の出力が共通の読み出し回路22に入力されることを指している。
各センサ画素12は、互いに共通の構成要素を有している。図9には、各センサ画素12の構成要素を互いに区別するために、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。以下では、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のある場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾に識別番号を付与するが、各センサ画素12の構成要素を互いに区別する必要のない場合には、各センサ画素12の構成要素の符号の末尾の識別番号を省略するものとする。
各センサ画素12は、例えば、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRと、転送トランジスタTRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持するフローティングディフュージョンFDとを有している。フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を発生する。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。転送トランジスタTRのドレインがフローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、転送トランジスタTRのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。転送トランジスタTRは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
1つの読み出し回路22を共有する各センサ画素12のフローティングディフュージョンFDは、互いに電気的に接続されると共に、共通の読み出し回路22の入力端に電気的に接続されている。読み出し回路22は、例えば、リセットトランジスタRSTと、選択トランジスタSELと、増幅トランジスタAMPとを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。リセットトランジスタRSTのソース(読み出し回路22の入力端)がフローティングディフュージョンFDに電気的に接続されており、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲートは画素駆動線23に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースが選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23に電気的に接続されている。
転送トランジスタTRは、転送トランジスタTRがオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、例えば、図6に示したように、半導体基板11の表面からpウェル層42を貫通してPD41に達する深さまで延在している。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSELは、読み出し回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、ソースフォロア型のアンプを構成しており、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力するものである。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELは、例えば、CMOSトランジスタである。
なお、図10に示したように、選択トランジスタSELが、電源線VDDと増幅トランジスタAMPとの間に設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTのドレインが電源線VDDおよび選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが増幅トランジスタAMPのドレインに電気的に接続されており、選択トランジスタSELのゲートが画素駆動線23に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソース(読み出し回路22の出力端)が垂直信号線24に電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲートがリセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。また、図11および図12に示したように、FD転送トランジスタFDGが、リセットトランジスタRSTのソースと増幅トランジスタAMPのゲートとの間に設けられていてもよい。
FD転送トランジスタFDGは、変換効率を切り替える際に用いられる。一般に、暗い場所での撮影時には画素信号が小さい。Q=CVに基づき、電荷電圧変換を行う際に、フローティングディフュージョンFDの容量(FD容量C)が大きければ、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが小さくなってしまう。一方、明るい場所では、画素信号が大きくなるので、FD容量Cが大きくなければ、フローティングディフュージョンFDで、フォトダイオードPDの電荷を受けきれない。さらに、増幅トランジスタAMPで電圧に変換した際のVが大きくなりすぎないように(言い換えると、小さくなるように)、FD容量Cが大きくなっている必要がある。これらを踏まえると、FD転送トランジスタFDGをオンにしたときには、FD転送トランジスタFDG分のゲート容量が増えるので、全体のFD容量Cが大きくなる。一方、FD転送トランジスタFDGをオフにしたときには、全体のFD容量Cが小さくなる。このように、FD転送トランジスタFDGをオンオフ切り替えることで、FD容量Cを可変にし、変換効率を切り替えることができる。
図13は、複数の読み出し回路22と、複数の垂直信号線24との接続態様の一例を表したものである。複数の読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、複数の垂直信号線24は、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。例えば、図13に示したように、4つの読み出し回路22が、垂直信号線24の延在方向(例えば列方向)に並んで配置されている場合、4つの垂直信号線24が、読み出し回路22ごとに1つずつ割り当てられていてもよい。なお、図13では、各垂直信号線24を区別するために、各垂直信号線24の符号の末尾に識別番号(1,2,3,4)が付与されている。
次に、撮像素子1の垂直方向の断面構成について図6を用いて説明する。撮像素子1は、上記のように、第1基板10、第2基板20および第3基板30がこの順に積層された構成を有し、さらに、第1基板10の裏面(光入射面)側に、カラーフィルタ40および受光レンズ50を備えている。カラーフィルタ40および受光レンズ50は、それぞれ、例えば、センサ画素12ごとに1つずつ設けられている。つまり、撮像素子1は、裏面照射型の撮像素子である。
第1基板10は、半導体基板11の表面(面11S1)上に絶縁層46を積層して構成されている。第1基板10は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層46を有している。絶縁層46は、半導体基板11と、後述の半導体基板21との間に設けられている。半導体基板11は、シリコン基板で構成されている。半導体基板11は、例えば、表面の一部およびその近傍に、pウェル層42を有しており、それ以外の領域(pウェル層42よりも深い領域)に、pウェル層42とは異なる導電型のPD41を有している。pウェル層42は、p型の半導体領域で構成されている。PD41は、pウェル層42とは異なる導電型(具体的にはn型)の半導体領域で構成されている。半導体基板11は、pウェル層42内に、pウェル層42とは異なる導電型(具体的にはn型)の半導体領域として、フローティングディフュージョンFDを有している。
第1基板10は、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDをセンサ画素12ごとに有している。第1基板10は、半導体基板11の面11S1側(光入射面側とは反対側、第2基板20側)の一部に、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDが設けられた構成となっている。第1基板10は、各センサ画素12を分離する素子分離部43を有している。素子分離部43は、半導体基板11の法線方向(半導体基板11の表面に対して垂直な方向)に延在して形成されている。素子分離部43は、互いに隣接する2つのセンサ画素12の間に設けられている。素子分離部43は、互いに隣接するセンサ画素12同士を電気的に分離する。素子分離部43は、例えば、酸化シリコンによって構成されている。素子分離部43は、例えば、半導体基板11を貫通している。第1基板10は、例えば、さらに、素子分離部43の側面であって、且つ、フォトダイオードPD側の面に接するpウェル層44を有している。pウェル層44は、フォトダイオードPDとは異なる導電型(具体的にはp型)の半導体領域で構成されている。第1基板10は、例えば、さらに、半導体基板11の裏面(面11S2、他の面)に接する固定電荷膜45を有している。固定電荷膜45は、半導体基板11の受光面側の界面準位に起因する暗電流の発生を抑制するため、負に帯電している。固定電荷膜45は、例えば、負の固定電荷を有する絶縁膜によって形成されている。そのような絶縁膜の材料としては、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコン、酸化アルミニウム、酸化チタンまたは酸化タンタルが挙げられる。固定電荷膜45が誘起する電界により、半導体基板11の受光面側の界面にホール蓄積層が形成される。このホール蓄積層によって、界面からの電子の発生が抑制される。カラーフィルタ40は、半導体基板11の裏面側に設けられている。カラーフィルタ40は、例えば、固定電荷膜45に接して設けられており、固定電荷膜45を介してセンサ画素12と対向する位置に設けられている。受光レンズ50は、例えば、カラーフィルタ40に接して設けられており、カラーフィルタ40および固定電荷膜45を介してセンサ画素12と対向する位置に設けられている。
第2基板20は、半導体基板21上に絶縁層52を積層して構成されている。絶縁層52は、第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層52を有している。絶縁層52は、半導体基板21と、半導体基板31との間に設けられている。半導体基板21は、シリコン基板で構成されている。第2基板20は、4つのセンサ画素12ごとに、1つの読み出し回路22を有している。第2基板20は、半導体基板21の表面(第3基板30と対向する面21S1、一の面)側の一部に読み出し回路22が設けられた構成となっている。第2基板20は、半導体基板11の表面(面11S1)に対して半導体基板21の裏面(面21S2)を向けて第1基板10に貼り合わされている。つまり、第2基板20は、第1基板10に、フェイストゥーバックで貼り合わされている。第2基板20は、さらに、半導体基板21と同一の層内に、半導体基板21を貫通する絶縁層53を有している。第2基板20は、層間絶縁膜51の一部として、絶縁層53を有している。絶縁層53は、後述の貫通配線54の側面を覆うように設けられている。
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、層間絶縁膜51と、層間絶縁膜51内に設けられた貫通配線54を有している。上記積層体は、センサ画素12ごとに、1つの貫通配線54を有している。貫通配線54は、半導体基板21の法線方向に延びており、層間絶縁膜51のうち、絶縁層53を含む箇所を貫通して設けられている。第1基板10および第2基板20は、貫通配線54によって互いに電気的に接続されている。具体的には、貫通配線54は、フローティングディフュージョンFDおよび後述の接続配線55に電気的に接続されている。
第1基板10および第2基板20からなる積層体は、さらに、層間絶縁膜51内に設けられた貫通配線47,48(後述の図14参照)を有している。上記積層体は、センサ画素12ごとに、1つの貫通配線47と、1つの貫通配線48とを有している。貫通配線47,48は、それぞれ、半導体基板21の法線方向に延びており、層間絶縁膜51のうち、絶縁層53を含む箇所を貫通して設けられている。第1基板10および第2基板20は、貫通配線47,48によって互いに電気的に接続されている。具体的には、貫通配線47は、半導体基板11のpウェル層42と、第2基板20内の配線とに電気的に接続されている。貫通配線48は、転送ゲートTGおよび画素駆動線23に電気的に接続されている。
第2基板20は、例えば、絶縁層52内に、読み出し回路22や半導体基板21と電気的に接続された複数の接続部59を有している。第2基板20は、さらに、例えば、絶縁層52上に配線層56を有している。配線層56は、例えば、絶縁層57と、絶縁層57内に設けられた複数の画素駆動線23および複数の垂直信号線24を有している。配線層56は、さらに、例えば、絶縁層57内に複数の接続配線55を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。接続配線55は、読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12に含まれるフローティングディフュージョンFDに電気的に接続された各貫通配線54を互いに電気的に接続している。ここで、貫通配線54,48の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも多く、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数の2倍となっている。また、貫通配線54,48,47の総数は、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも多く、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数の3倍となっている。
配線層56は、さらに、例えば、絶縁層57内に複数のパッド電極58を有している。各パッド電極58は、例えば、Cu(銅)、タングステン(W)、Al(アルミニウム)等の金属で形成されている。各パッド電極58は、配線層56の表面に露出している。各パッド電極58は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。複数のパッド電極58は、例えば、画素駆動線23および垂直信号線24ごとに1つずつ設けられている。ここで、パッド電極58の総数(または、パッド電極58とパッド電極64(後述)との接合の総数は、例えば、第1基板10に含まれるセンサ画素12の総数よりも少ない。
図8は、上記配線構造100を、撮像素子1に適用した際の断面構成を模式的に表したものである。本実施の形態では、例えば、複数の垂直信号線24が、上記配線構造100における配線112X3および配線112X4に相当し、電源線VSSが、上記配線構造100における配線112X2および配線112X5に相当する。図6では示していないが、絶縁層57は、図8に示したように複数の絶縁膜151~絶縁膜157を含んで構成されており、そのうちの絶縁膜154が、互いに並走する電源線VSSと垂直信号線24との間および複数の垂直信号線24の配線間に空隙Gを形成している。配線層56の表面に露出している各パッド電極58は、上記配線構造100における導電膜127X1および導電膜127X2に相当する。
各パッド電極58のうち一部(パッド電極58X1)は、グラウンド線(配線112X1)と電気的に接続されている。グラウンド線は、例えば、図示していないが、半導体基板11のpウェルやグランド(GND)に接続されている。これにより、パッド電極58X1は、垂直信号線24の積層方向に対するシールド配線として用いることができ、垂直信号線24におけるノイズの発生を低減することが可能となる。
更に、シールド配線として機能するパッド電極58X1は、後述する第3基板30側のパッド電極64X1と接合されている。これにより、シールド配線をパッド電極58X1単独で形成した場合と比較して、シールド配線のインピーダンスを下げることが可能となる。また、シールド配線として機能するパッド電極58X1は、例えば、垂直信号線24と同様に、画素領域13を縦断するように設けられており、画素領域13の領域端を超えた周縁近傍で終端している。
第3基板30は、例えば、半導体基板31上に層間絶縁膜61を積層して構成されている。なお、第3基板30は、後述するように、第2基板20に、表面側の面同士で貼り合わされていることから、第3基板30内の構成について説明する際には、上下の説明が、図面での上下方向とは逆となっている。半導体基板31は、シリコン基板で構成されている。第3基板30は、半導体基板31の表面(面31S1)側の一部にロジック回路32が設けられた構成となっている。第3基板30は、さらに、例えば、層間絶縁膜61上に配線層62を有している。配線層62は、例えば、絶縁層63と、絶縁層63内に設けられた複数のパッド電極64(例えば、パッド電極64X1およびパッド電極64X2)を有している。複数のパッド電極64は、ロジック回路32と電気的に接続されている。各パッド電極64は、例えば、Cu(銅)で形成されている。各パッド電極64は、配線層62の表面に露出している。各パッド電極64は、第2基板20と第3基板30との電気的な接続と、第2基板20と第3基板30との貼り合わせに用いられる。また、パッド電極64は、必ずしも複数でなくてもよく、1つでもロジック回路32と電気的に接続が可能である。第2基板20および第3基板30は、パッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。つまり、転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)は、貫通配線54と、パッド電極58,64とを介して、ロジック回路32に電気的に接続されている。第3基板30は、半導体基板21の表面(面21S1)側に半導体基板31の表面(面31S1)を向けて第2基板20に貼り合わされている。つまり、第3基板30は、第2基板20に、フェイストゥーフェイスで貼り合わされている。
図14および図15は、撮像素子1の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図14および図15の上側の図は、図1の断面Sec1での断面構成の一例を表す図であり、図14および図15の下側の図は、図1の断面Sec2での断面構成の一例を表す図である。図14には、2×2の4つのセンサ画素12を2組、第2方向Hに並べた構成が例示されており、図15には、2×2の4つのセンサ画素12を4組、第1方向Vおよび第2方向Hに並べた構成が例示されている。なお、図14および図15の上側の断面図では、図1の断面Sec1での断面構成の一例を表す図に、半導体基板11の表面構成の一例を表す図が重ね合わされると共に、絶縁層46が省略されている。また、図14および図15の下側の断面図では、図1の断面Sec2での断面構成の一例を表す図に、半導体基板21の表面構成の一例を表す図が重ね合わされている。
図14および図15に示したように、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47は、第1基板10の面内において第1方向V(図14の上下方向、図15の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、図14および図15には、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。第1方向Vは、マトリクス状の配置された複数のセンサ画素12の2つの配列方向(例えば行方向および列方向)のうち一方の配列方向(例えば列方向)と平行となっている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、素子分離部43を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送ゲートTGは、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
絶縁層53は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板21は、第1方向Vに延在すると共に、絶縁層53を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、複数組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と対向する領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、絶縁層53の左隣りのブロック21A内の増幅トランジスタAMPと、絶縁層53の右隣りのブロック21A内のリセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELとによって構成されている。
図16、図17、図18および図19は、撮像素子1の水平面内での配線レイアウトの一例を表したものである。図16~図19には、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が4つのセンサ画素12と対向する領域内に設けられている場合が例示されている。図16~図19に記載の配線は、例えば、配線層56において互いに異なる層内に設けられている。
互いに隣接する4つの貫通配線54は、例えば、図16に示したように、接続配線55と電気的に接続されている。互いに隣接する4つの貫通配線54は、さらに、例えば、図16に示したように、接続配線55および接続部59を介して、絶縁層53の左隣りブロック21Aに含まれる増幅トランジスタAMPのゲートと、絶縁層53の右隣りブロック21Aに含まれるリセットトランジスタRSTのゲートとに電気的に接続されている。
電源線VDDは、例えば、図17に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。電源線VDDは、例えば、図17に示したように、接続部59を介して、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22の増幅トランジスタAMPのドレインおよびリセットトランジスタRSTのドレインに電気的に接続されている。2本の画素駆動線23が、例えば、図17に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。一方の画素駆動線23(第2制御線)は、例えば、図17に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22のリセットトランジスタRSTのゲートに電気的に接続された配線RSTGである。他方の画素駆動線23(第3制御線)は、例えば、図17に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22の選択トランジスタSELのゲートに電気的に接続された配線SELGである。各読み出し回路22において、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとが、例えば、図17に示したように、配線25を介して、互いに電気的に接続されている。
2本の電源線VSSが、例えば、図18に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。各電源線VSSは、例えば、図18に示したように、第2方向Hに並んで配置された各センサ画素12と対向する位置において、複数の貫通配線47に電気的に接続されている。4本の画素駆動線23が、例えば、図18に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。4本の画素駆動線23の各々は、例えば、図18に示したように、第2方向Hに並んで配置された各読み出し回路22に対応する4つのセンサ画素12のうちの1つのセンサ画素12の貫通配線48に電気的に接続された配線TRGである。つまり、4本の画素駆動線23(第1制御線)は、第2方向Hに並んで配置された各センサ画素12の転送トランジスタTRのゲート(転送ゲートTG)に電気的に接続されている。図18では、各配線TRGを区別するために、各配線TRGの末尾に識別子(1,2,3,4)が付与されている。
垂直信号線24は、例えば、図19に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路22と対向する位置に配置されている。垂直信号線24(出力線)は、例えば、図19に示したように、第1方向Vに並んで配置された各読み出し回路22の出力端(増幅トランジスタAMPのソース)に電気的に接続されている。
(1-4.撮像素子の製造方法)
次に、撮像素子1の製造方法について説明する。図20A~図20Gは、撮像素子1の製造過程の一例を表したものである。
まず、半導体基板11に、pウェル層42や、素子分離部43、pウェル層44を形成する。次に、半導体基板11に、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRおよびフローティングディフュージョンFDを形成する(図20A)。これにより、半導体基板11に、センサ画素12が形成される。このとき、センサ画素12に用いる電極材料として、サリサイドプロセスによるCoSi2やNiSi等の耐熱性の低い材料を用いないことが好ましい。むしろ、センサ画素12に用いる電極材料としては、耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。耐熱性の高い材料としては、例えば、ポリシリコンが挙げられる。その後、半導体基板11上に、絶縁層46を形成する(図20A)。このようにして、第1基板10が形成される。
次に、第1基板10(絶縁層46B)上に、半導体基板21を貼り合わせる(図20B)。その後、必要に応じて半導体基板21を薄肉化する。この際、半導体基板21の厚さを、読み出し回路22の形成に必要な膜厚にする。半導体基板21の厚さは、一般的には数百nm程度である。しかし、読み出し回路22のコンセプトによっては、FD(Fully Depletion)型も可能であるので、その場合には、半導体基板21の厚さとしては、数nm~数μmの範囲を採り得る。
続いて、半導体基板21と同一の層内に、絶縁層53を形成する(図20C)。絶縁層53を、例えば、フローティングディフュージョンFDと対向する箇所に形成する。例えば、半導体基板21に対して、半導体基板21を貫通するスリット(開口21H)を形成して、半導体基板21を複数のブロック21Aに分離する。その後、スリットを埋め込むように、絶縁層53を形成する。その後、半導体基板21の各ブロック21Aに、増幅トランジスタAMP等を含む読み出し回路22を形成する(図20C)。このとき、センサ画素12の電極材料として、耐熱性の高い金属材料が用いられている場合には、読み出し回路22のゲート絶縁膜を、熱酸化により形成することが可能である。
次に、半導体基板21上に絶縁層52を形成する。このようにして、絶縁層46,52,53からなる層間絶縁膜51を形成する。続いて、層間絶縁膜51に貫通孔51A,51Bを形成する(図20D)。具体的には、絶縁層52のうち、読み出し回路22と対向する箇所に、絶縁層52を貫通する貫通孔51Bを形成する。また、層間絶縁膜51のうち、フローティングディフュージョンFDと対向する箇所(つまり、絶縁層53と対向する箇所)に、層間絶縁膜51を貫通する貫通孔51Aを形成する。
続いて、貫通孔51A,51Bに導電性材料を埋め込むことにより、貫通孔51A内に貫通配線54を形成すると共に、貫通孔51B内に接続部59を形成する(図20E)。さらに、絶縁層52上に、貫通配線54と接続部59とを互いに電気的に接続する接続配線55を形成する(図20E)。その後、配線層56を、絶縁層52上に形成する(図20F)。このようにして、第2基板20が形成される。
次に、第2基板20を、半導体基板31の表面側に半導体基板21の表面を向けて、ロジック回路32や配線層62が形成された第3基板30に貼り合わせる(図20G)。このとき、第2基板20のパッド電極58と、第3基板30のパッド電極64とを互いに接合することにより、第2基板20と第3基板30とを互いに電気的に接続する。このようにして、撮像素子1が製造される。
(1-5.作用・効果)
本実施の形態の配線構造100およびこれを適用した撮像素子1では、一方向(例えばY軸方向)に延伸する複数の配線(例えば、配線112X1~配線112X6)を有する配線層112上に、例えば、隣り合う配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112X4と配線112X5との間に、それぞれ空隙Gを形成する絶縁膜123および表面が平坦な絶縁膜124をこの順に積層した。更に、この絶縁膜123および絶縁膜124を間にして、複数の配線112X1~配線112X6の少なくとも一部(例えば、配線間に空隙Gを有する配線112X2、配線112X3および配線112X4)と正対する位置に導電膜127を設けるようにした。これにより、配線構造100を撮像素子1の第2基板20の、第3基板30との接合面およびその近傍の配線構造に適用することが可能となる。具体的には、導電膜127を、第2基板20と第3基板30とのCu-Cu接合用のパッド電極58として用いることが可能となる。以下、これについて説明する。
前述したように、近年、半導体装置では、半導体集積回路素子の微細化に伴い、素子間および素子内を結ぶ配線の間隔が狭くなってきており、配線間の容量(寄生容量)が増加する傾向にある。このため、一般的な半導体装置では、Low-k材料を用いて積層方向の配線間を電気的に絶縁すると共に、並列する配線間に空隙を設けることで、配線間の寄生容量の低下が図られている。このような半導体装置では、空隙を形成するLow-k材料からなる絶縁膜の、空隙の上方の表面には凹凸が形成される。
上記のような半導体装置において、配線間に空隙を有する配線層の直上に、3次元接続技術の1つであるハイブリッドボンディングを適用しようとすると、空隙上方の段差によってウェハオンウェハ(WoW)の接合性が著しく劣化する。WoWの接合性を向上させる方法として、絶縁膜の表面を平坦化処理することが考えられるが、Low-k材料からなる絶縁膜は、WoW接合が可能なレベルまで表面を平坦化することが難しい。
これに対して、本実施の形態では、一方向に延伸する複数の配線112X1~配線112X6の配線間に空隙Gを形成する絶縁膜123上に、表面が平坦な絶縁膜124を設け、絶縁膜123および絶縁膜124を間にして、WoW接合に用いることが可能な導電膜127を形成するようにした。導電膜127は、絶縁膜124に積層された絶縁膜126に埋め込み形成されており、導電膜127と絶縁膜126とは、WoW接合が可能なレベルの同一平面を形成することができる。これにより、例えば、3次元構造を有する撮像素子1において、例えば、画素領域13を縦断する複数の垂直信号線24の配線間に空隙Gを形成すると共に、複数の垂直信号線24の直上に、Cu-Cu接合に用いられるパッド電極58を形成することが可能となる。
以上により、本実施の形態の撮像素子1では、画素領域13を縦断する複数の垂直信号線24の配線間の配線容量を低減することが可能となる。また、配線間に空隙Gを有する、例えば、垂直信号線24の直上に、他の配線層を挟むことなくCu-Cu接合用のパッド電極58を形成することができるため、例えば、半導体基板21等の法線方向に延びる貫通配線47,48の長さを短縮することが可能となる。よって、貫通配線47,48間の配線容量を低減させることが可能となる。
また、本実施の形態では、第3基板30とのCu-Cu接合に用いられるパッド電極58の1つ(例えば、パッド電極58X1)を、半導体基板11のpウェルや、グランド(GND)に接続されているグラウンド線とを電気的に接続したので、パッド電極58X1に、垂直信号線24の積層方向に対するシールド配線としての機能を付加することが可能となる。よって、垂直信号線24におけるノイズの発生が低減され、例えば、撮像素子1の画質を向上させることが可能となる。
また、Cu-Cu接合用のパッド電極58X1をシールド配線として用いることにより、パッド電極58X1と接合される第3基板30側のパッド電極64X1も垂直信号線24の積層方向に対するシールド配線として用いることができる。これにより、シールド配線のインピーダンスを下げることが可能となる。よって、垂直信号線24におけるノイズの発生をさらに低減させることが可能となる。
また、配線間に空隙を設ける場合、配線間の空隙は、一般に、リソグラフィ技術によるパターニング後、配線間の絶縁膜をドライエッチングで加工して形成する。しかしながら、配線と空隙を形成するパターンとの重ね合わせの位置がずれると、意図しない箇所に空隙が形成される虞がある。例えば、空隙を形成するパターンの端部が配線間に位置した場合、配線間に絶縁膜の一部が残存し、各配線間に形成される空隙の形状が不均一になる。空隙の形状が不均一になると、配線間の配線容量が変わり、電気的特性が悪化してしまう。また、上下の配線間を導通させるビアを形成する位置に空隙を形成すると、ドライエッチング時に配線が加工されることにより、電気特性の悪化や断線が懸念される。
これに対して、本実施の形態では、上記製造工程におけるばらつきを考慮し、複数の配線(例えば配線112X2~112X5)の配列方向(X軸方向)の空隙形成領域100Xの端部100Exが配線間に空隙Gが形成される両端の配線上に形成されるように、また、複数の配線の延伸方向(Y軸方向)の空隙形成領域100Xの端部100EyがビアVを避けて形成されるようにした。具体的には、配線幅Dに対して、空隙Gと隣接する側の側面から空隙形成領域100Xの端部100Exまでの距離XがD>Xを満たすと共に、空隙形成領域100XのY軸方向の中点からビアVまでの距離Lに対して、空隙形成領域100Xの端部100EyからビアVまでの距離YがL>Yを満たし、さらに、X,Yがそれぞれ上記数式(1),(2)を満たすようにレジスト膜131のパターンを形成するようにした。これにより、各配線間には、略一様な形状の空隙Gがセルフアライメントに形成されるようになる。よって、空隙の形状のばらつきによる配線容量のばらつきの発生を低減することが可能となる。
以下に、変形例1~14について説明する。なお、以下の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図21A~図21Kは、本開示の配線構造(配線構造100A)の製造工程の一変形例(変形例1)を表したものである。
まず、上記実施の形態と同様にして、配線112X2と配線112X3との間、配線112X3と配線112X4との間および配線112X4と配線112X5との間に空隙Gを形成する絶縁膜123を形成(図3E)した後、例えば、図21Aの断面図(A)および平面図(B)に示したように、絶縁膜123上に、配線112X1と正対する位置に、リソグラフィ技術により、配線112X1の配線幅と同等以上の開口を有するレジスト膜132をパターニングする。
続いて、図21Bに示したように、レジスト膜132から露出した、配線112X1の上方およびその周辺の絶縁膜123および絶縁膜122の一部を、例えばドライエッチングして開口H5を形成し、例えば、アッシングによりレジスト膜132を除去する。次に、図21Cに示したように、開口H5内および絶縁膜123上に、例えば、CVD法を用いて、例えばSiOxからなる、膜厚50nm~2μmの絶縁膜124を成膜した後、図21Dに示したように、例えばCMP法を用いて絶縁膜124を研磨して表面を平坦化する。
続いて、図21Eに示したように、絶縁膜124上に絶縁膜125および絶縁膜126を上記実施の形態と同様の方法を用いて成膜した後、絶縁膜126上に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、配線112X1~配線112X4と正対する位置および配線112X6の上方に開口を有するレジスト膜133をパターニングする。
次に、図21Fに示したように、絶縁膜126および絶縁膜125の一部を、例えばドライエッチングして開口H6を形成した後、例えば、アッシングによりレジスト膜133を除去する。続いて、図21Gに示したように、例えば、フォトリソグラフィ技術により、配線112X1と正対する位置に開口を有するレジスト膜134を、開口H6内の絶縁膜125および絶縁膜126上にパターニングする。次に、図21Hに示したように、配線112X1上の絶縁膜122~絶縁膜125をエッチングして開口H7を形成する。
続いて、図21Iに示したように、例えば、アッシングによりレジスト膜134を除去した後、図21Jに示したように、開口H7内に露出した絶縁膜121を、例えばドライエッチングにより除去し、配線112X1の表面を露出させる。次に、例えばスパッタを用いて開口H6および開口H7の側面および底面にバリアメタル127Aを成膜した後、例えば、メッキを用いて開口H6および開口H7内に、金属膜127Bを成膜する。最後に、絶縁膜126上に形成されたバリアメタル127Aおよび金属膜127Bを研磨する。以上により、図21Kに示したような、配線112X1と導電膜127とを電気的に接続する接続部周囲に低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123のない配線構造100Aが完成する。
一般に、図1に示したような、下層の配線(配線112X1)と上層の配線(導電膜127)とを電気的に接続するための開口を形成する場合には、開口加工後の後処理として、残ったレジスト膜を除去するアッシング工程が常温条件下にて行われる。
ところで、図6に示したような撮像素子1では、第2基板20と第3基板30とのCu-Cu接合に用いられるパッド電極58,64のサイズはμmオーダーであるため、コストの観点から、リソグラフィ工程において長波長光源の露光機が選択される。長波長光源の露光機を選択する場合、より厚膜なレジスト膜が必要となる。その場合、ドライエッチング後のレジスト膜の除去工程において、例えば200℃以上の雰囲気下でのアッシングが必要となる。
図1に示した配線構造のように、配線112X1と導電膜127X1とを電気的に接続する接続部を形成する開口に、低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123が露出していると、上記のような高温条件のアッシングを行った場合、例えば、図22に示したように、絶縁膜123部分がボーイング形状となる。これは、高温アッシングによって、絶縁膜123を構成する低誘電率材料(Low-k材料)のメチル基(Si-CHx)が切れ、さらに、その後のウェットプロセスによって膜後退が加速されることによって発生する現象である。
このような状態で、開口H7内にバリアメタル127Aを成膜しようとすると、ボーイング形状部においてバリアメタル127Aの被覆性が悪化し、バリア特性が劣化する。バリア特性が劣化した状態で、例えば銅(Cu)からなる金属膜127Bを埋め込んだ場合、銅が絶縁膜中へ拡散しやすくなり、例えば、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)の懸念が高まる。更に、歪なボーイング形状部においては、金属膜127Bの埋め込み不良が発生しやすくなり、例えば、配線の導通不良等を引き起こす虞がある。
これに対して、本変形例では、配線112X1と導電膜127とを電気的に接続する開口H7の周囲の絶縁膜123を予め除去し、低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123よりもアッシング耐性の高い、例えばSiOxからなる絶縁膜124を埋め込むようにした。これにより、所望の形状を有する開口H7を形成することが可能となる。よって、図21Kに示した配線構造100Aおよびこれを適用した撮像素子1の製造歩留まりおよび電気的な信頼性を向上させることが可能となる。
(2-2.変形例2)
図23A~図23Fは、本開示の配線構造(配線構造100B)の製造工程の一変形例(変形例2)を表したものである。
まず、上記実施の形態と同様にして、絶縁膜124の表面を平坦化した後、絶縁膜125および絶縁膜126をこの順に形成する(図3G)。続いて、上記変形例1と同様にして、絶縁膜126および絶縁膜125の一部をエッチングして開口H6を形成した後、例えば、フォトリソグラフィ技術により、配線112X1と正対する位置に開口を有するレジスト膜134を開口H6内および絶縁膜126上にパターニングし、図23Aに示したように、配線112X1上の絶縁膜123~絶縁膜126をエッチングして開口H7を形成する。
次に、図23Bに示したように、例えば、常温アッシングによりレジスト膜134を除去する。このとき、レジスト膜134を厚膜に形成した場合、図23Bに示したように、例えば、形成面積の大きなレジスト膜134が部分的に残存する場合がある。続いて、図23Cに示したように、例えばALD法を用いて、例えば、残存するレジスト膜134上および絶縁膜126の上面ならびに開口H6および開口H7の側面および底面に、例えば、SiOxからなる保護膜128を形成する。なお、保護膜128は、アッシング耐性を有する絶縁材料からなるものであればよい。保護膜128の材料としては、SiOxの他に、例えばSiNやSiCN等を用いることができる。
次に、図23Dに示したように、例えば、全面エッチバックにより、上面に形成された保護膜128を除去する。続いて、図23Eに示したように、外周端およびその近傍に残存するレジスト膜134を、高温アッシングにより除去すると共に、開口H7内に露出した絶縁膜121および絶縁膜122を除去する。このとき、開口H7内の低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123は保護膜128で被覆されているため、上述したような絶縁膜123の後退は起こらない。
次に、例えばスパッタを用いて開口H6および開口H7の側面および底面にバリアメタル127Aを成膜した後、例えば、メッキを用いて開口H6および開口H7内に、金属膜127Bを成膜する。最後に、絶縁膜126上に形成されたバリアメタル127Aおよび金属膜127Bを研磨する。最後に、絶縁膜126上に形成されたバリアメタル127Aおよび金属膜127Bを研磨する。以上により、図23Fに示したような、配線112X1と導電膜127とを電気的に接続する接続部周囲に保護膜128を有する配線構造100Bが完成する。よって、上記変形例1と同様に、配線構造100Bおよびこれを適用した撮像素子1の製造歩留まりおよび電気的な信頼性を向上させることが可能となる。
(2-3.変形例3)
図24A~図24Hは、本開示の配線構造(配線構造100C)の製造工程の一変形例(変形例3)を表したものである。
まず、上記実施の形態と同様にして絶縁膜124まで形成した後、絶縁膜124の表面を平坦化する(図3G)。続いて、図24Aに示したように、上記変形例1と同様にして、フォトリソグラフィ技術により、絶縁膜124上の配線112X1と正対する位置に開口を有するレジスト膜135を形成する。
次に、図24Bに示したように、配線112X1上の絶縁膜121~絶縁膜124をエッチングして開口H8を形成した後、アッシングにより、レジスト膜135を除去する。このとき、アッシングは常温にて行うため、低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123の後退は起こらない。続いて、図24Cに示したように、例えばスパッタを用いて、開口H8の側面および底面ならびに絶縁膜124上にバリアメタル129Aを成膜した後、例えばCVDやスパッタを用いて開口H68内およびバリアメタル129A上に、例えば、タングステン(W)からなる金属膜129Bを成膜する。
次に、図24Dに示したように、例えばCMPにより、絶縁膜124上のバリアメタル129Aおよび金属膜129Bを研磨して除去する。これにより、配線112X1と導電膜127とを電気的に接続する接続部(ビア129)が形成される。続いて、図24Eに示したように、例えば、CVD法により、絶縁膜124およびビア129上に、例えば絶縁膜125ならびに絶縁膜126を成膜した後、図24Fに示したように、絶縁膜126上に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、配線112X1~配線112X4と正対する位置および配線112X6上に開口を有するレジスト膜136をパターニングする。
次に、図24Gに示したように、例えば、ドライエッチングにより、絶縁膜126および絶縁膜125を貫通し、ビア129を露出させる開口9を形成する。続いて、図24Hに示したように、上記変形例2と同様の方法を用いて、バリアメタル127Aおよび金属膜127Bからなる導電膜127(導電膜127X1,127X2)を形成する。以上により、配線112X1と導電膜127とがタングステン(W)からなるビア129によって電気的に接続された配線構造100Cが完成する。よって、上記変形例1と同様に、配線構造100Cおよびこれを適用した撮像素子1の製造歩留まりおよび電気的な信頼性を向上させることが可能となる。
また、本変形例では、上記実施の形態の配線構造100Aとは異なり、配線112X1と導電膜127ならびに接続部(ビア129)を同時形成していないが、接続部(ビア129)を、タングステン(W)を用いて形成しているため、銅(Cu)拡散を防ぐための絶縁膜の形成を省くことが可能となる。Cu拡散防止の特性を持つ絶縁膜は、例えば比誘電率が5.0以上と比較的誘電率の高い膜となるため、実効誘電率が上昇する虞がある。これに対して、本変形例では、実効誘電率を上昇させることなく、配線構造100Cを形成することが可能となる。
(2-4.変形例4)
図25A~図25Gは、本開示の配線構造(配線構造100D)の製造工程の一変形例(変形例4)を表したものである。
まず、上記変形例3と同様にして、図25Aに示したように、配線112X1上の絶縁膜121~絶縁膜124をエッチングして開口H8を形成した後、常温アッシングにより、レジスト膜135を除去する。続いて、図25Bに示したように、例えばスパッタを用いて、開口H8の側面および底面ならびに絶縁膜124上にバリアメタル130Aを成膜した後、例えばメッキ法により、開口H8内およびバリアメタル130A上に、例えば、銅(Cu)からなる金属膜130Bを成膜する。
次に、図25Cに示したように、例えばCMPにより、絶縁膜124上のバリアメタル130Aおよび金属膜130Bを研磨して除去する。これにより、配線112X1と導電膜127とを電気的に接続するビア130が形成される。続いて、図25Dに示したように、例えば、CVD法により、絶縁膜124およびビア130上に、絶縁膜141、絶縁膜125および絶縁膜126をこの順に成膜する。絶縁膜141は、銅(Cu)の拡散を防ぐためのものであり、例えば、比誘電率(k)が5.0以上となる。絶縁膜141は、例えば、窒化シリコン(SiNx)、SiCxNy等を用いて形成される。
続いて、図25Eに示したように、絶縁膜126上に、例えば、フォトリソグラフィ技術により、配線112X1~配線112X4と正対する位置および配線112X6上に開口を有するレジスト膜137をパターニングする。次に、図25Fに示したように、例えば、ドライエッチングにより、絶縁膜126、絶縁膜125および絶縁膜141を貫通し、ビア130を露出させる開口9を形成する。
続いて、図25Gに示したように、上記変形例2と同様の方法を用いて、バリアメタル127Aおよび金属膜127Bからなる導電膜127(導電膜127X1,127X2)を形成する。以上により、アッシング時に低誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜123を後退させることなく、配線112X1と導電膜127とが電気的に接続された配線構造100Dが完成する。よって、上記変形例1と同様に、配線構造100Dおよびこれを適用した撮像素子1の製造歩留まりおよび電気的な信頼性を向上させることが可能となる。
(2-5.変形例5)
図26は、上記実施の形態の変形例(変形例5)に係る撮像素子(撮像素子1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。本変形例では、転送トランジスタTRが、平面型の転送ゲートTGを有している。そのため、転送ゲートTGは、pウェル層42を貫通しておらず、半導体基板11の表面だけに形成されている。転送トランジスタTRに平面型の転送ゲートTGが用いられる場合であっても、撮像素子1は、上記実施の形態と同様の効果を有する。
(2-6.変形例6)
図27は、上記実施の形態の変形例(変形例6)に係る撮像素子(撮像素子1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。本変形例では、第2基板20と第3基板30との電気的な接続が、第1基板10における周辺領域14と対向する領域でなされている。周辺領域14は、第1基板10の額縁領域に相当しており、画素領域13の周縁に設けられている。本変形例では、第2基板20は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極58を有しており、第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に、複数のパッド電極64を有している。第2基板20および第3基板30は、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。
このように、本変形例では、第2基板20および第3基板30が、周辺領域14と対向する領域に設けられたパッド電極58,64同士の接合によって、互いに電気的に接続されている。これにより、画素領域13と対向する領域で、パッド電極58,64同士を接合する場合と比べて、1画素あたりの面積の微細化を阻害するおそれを低減することができる。従って、上記実施の形態の効果に加えて、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子1を提供することができる。
(2-7.変形例7)
図28は、上記実施の形態の変形例(変形例7)に係る撮像素子(撮像素子1)の垂直方向の断面構成の一例を表したものである。図29は、上記実施の形態の変形例(変形例7)に係る撮像素子(撮像素子1)の垂直方向の断面構成の他の例を表すものである。図28および図29の上側の図は、図1の断面Sec1での断面構成の一変形例であり、図28の下側の図は、図1の断面Sec2での断面構成の一変形例である。なお、図28および図29の上側の断面図では、図1の断面Sec1での断面構成の一変形例を表す図に、図1の半導体基板11の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされると共に、絶縁層46が省略されている。また、図28および図29の下側の断面図では、図1の断面Sec2での断面構成の一変形例を表す図に、半導体基板21の表面構成の一変形例を表す図が重ね合わされている。
図28および図29に示したように、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47(図中の行列状に配置された複数のドット)は、第1基板10の面内において第1方向V(図28および図29の左右方向)に帯状に並んで配置されている。なお、図28および図29には、複数の貫通配線54、複数の貫通配線48および複数の貫通配線47が第1方向Vに2列に並んで配置されている場合が例示されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つのフローティングディフュージョンFDは、例えば、素子分離部43を介して互いに近接して配置されている。読み出し回路22を共有する4つのセンサ画素12において、4つの転送ゲートTG(TG1,TG2,TG3,TG4)は、4つのフローティングディフュージョンFDを囲むように配置されており、例えば、4つの転送ゲートTGによって円環形状となる形状となっている。
絶縁層53は、第1方向Vに延在する複数のブロックで構成されている。半導体基板21は、第1方向Vに延在すると共に、絶縁層53を介して第1方向Vと直交する第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第2方向Hにずれて配置されている。
図28では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック21A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRSTおよび選択トランジスタSELによって構成されている。
図29では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、第2基板20において、4つのセンサ画素12と対向する領域を第2方向Hにずらした領域内にある、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、1つのブロック21A内の増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよびFD転送トランジスタFDGによって構成されている。
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22は、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、4つのセンサ画素12と正対する位置から第2方向Hにずれて配置されている。このようにした場合には、配線25を短くすることができ、または、配線25を省略して、増幅トランジスタAMPのソースと、選択トランジスタSELのドレインとを共通の不純物領域で構成することもできる。その結果、読み出し回路22のサイズを小さくしたり、読み出し回路22内の他の箇所のサイズを大きくしたりすることができる。
(2-8.変形例8)
図30は、上記実施の形態の変形例(変形例8)に係る撮像素子(撮像素子1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図30には、図16の断面構成の一変形例が示されている。
本変形例では、半導体基板21が、絶縁層53を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
(2-9.変形例9)
図31は、上記実施の形態の変形例(変形例9)に係る撮像素子(撮像素子1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図31には、図30の断面構成の一変形例が示されている。
本変形例では、4つのセンサ画素12によって共有される1つの読み出し回路22が、例えば、4つのセンサ画素12と正対して配置されておらず、第1方向Vにずれて配置されている。本変形例では、さらに、変形例8と同様、半導体基板21が、絶縁層53を介して第1方向Vおよび第2方向Hに並んで配置された複数の島状のブロック21Aで構成されている。各ブロック21Aには、例えば、一組のリセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMPおよび選択トランジスタSELが設けられている。本変形例では、さらに、複数の貫通配線47および複数の貫通配線54が、第2方向Hにも配列されている。具体的には、複数の貫通配線47が、ある読み出し回路22を共有する4つの貫通配線54と、その読み出し回路22の第2方向Hに隣接する他の読み出し回路22を共有する4つの貫通配線54との間に配置されている。このようにした場合には、互いに隣接する読み出し回路22同士のクロストークを、絶縁層53および貫通配線47によって抑制することができ、再生画像上での解像度低下や混色による画質劣化を抑制することができる。
(2-10.変形例10)
図32は、上記実施の形態の変形例(変形例10)に係る撮像素子(撮像素子1)の水平方向の断面構成の一例を表したものである。図32には、図14の断面構成の一変形例が示されている。
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12ごとに、1つの貫通配線54が設けられている。
マトリクス状に配置された複数のセンサ画素12において、1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12に対応する単位領域を、1つのセンサ画素12分だけ第1方向Vにずらすことにより得られる領域に対応する4つのセンサ画素12を、便宜的に、4つのセンサ画素12Aと称することとする。このとき、本変形例では、第1基板10は、貫通配線47を4つのセンサ画素12Aごとに共有している。従って、本変形例では、4つのセンサ画素12Aごとに、1つの貫通配線47が設けられている。
本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。素子分離部43は、半導体基板11の法線方向から見て、センサ画素12を完全には囲っておらず、フローティングディフュージョンFD(貫通配線54)の近傍と、貫通配線47の近傍に、隙間(未形成領域)を有している。そして、その隙間によって、4つのセンサ画素12による1つの貫通配線54の共有や、4つのセンサ画素12Aによる1つの貫通配線47の共有を可能にしている。本変形例では、第2基板20は、フローティングディフュージョンFDを共有する4つのセンサ画素12ごとに読み出し回路22を有している。
図33は、本変形例に係る撮像素子1の水平方向の断面構成の他の例を表したものである。図33には、図30の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。更に、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。
図34は、本変形例に係る撮像素子1の水平方向の断面構成の他の例を表したものである。図34には、図31の断面構成の一変形例が示されている。本変形例では、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに有し、フローティングディフュージョンFDを4つのセンサ画素12ごとに共有している。更に、第1基板10は、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTRをセンサ画素12ごとに分離する素子分離部43を有している。
(2-11.変形例11)
図35は、上記実施の形態および変形例5~6の変形例(変形例11)に係る撮像素子(撮像素子1)の回路構成の一例を表したものである。本変形例に係る撮像素子1は、列並列ADC搭載のCMOSイメージセンサである。
図35に示すように、本変形例に係る撮像素子1は、光電変換部を含む複数のセンサ画素12が行列状(マトリックス状)に2次元配置されてなる画素領域13に加えて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36を有する構成となっている。
このシステム構成において、システム制御回路36は、マスタークロックMCKに基づいて、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35等の動作の基準となるクロック信号や制御信号等を生成し、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38および水平駆動回路35等に対して与える。
また、垂直駆動回路33は、画素領域13の各センサ画素12と共に、第1基板10形成されており、さらに、読み出し回路22の形成されている第2基板20にも形成される。カラム信号処理回路34、参照電圧供給部38、水平駆動回路35、水平出力線37およびシステム制御回路36は、第3基板30に形成される。
センサ画素12としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フォトダイオードPDの他に、フォトダイオードPDで光電変換して得られる電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTRとを有する構成のものを用いることができる。また、読み出し回路22としては、ここでは図示を省略するが、例えば、フローティングディフュージョンFDの電位を制御するリセットトランジスタRSTと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する増幅トランジスタAMPと、画素選択を行うための選択トランジスタSELとを有する3トランジスタ構成のものを用いることができる。
画素領域13には、センサ画素12が2次元配置されると共に、このm行n列の画素配置に対して行毎に画素駆動線23が配線され、列毎に垂直信号線24が配線されている。複数の画素駆動線23の各一端は、垂直駆動回路33の各行に対応した各出力端に接続されている。垂直駆動回路33は、シフトレジスタ等によって構成され、複数の画素駆動線23を介して画素領域13の行アドレスや行走査の制御を行う。
カラム信号処理回路34は、例えば、画素領域13の画素列毎、即ち、垂直信号線24毎に設けられたADC(アナログ-デジタル変換回路)34-1~34-mを有し、画素領域13の各センサ画素12から列毎に出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。
参照電圧供給部38は、時間が経過するにつれてレベルが傾斜状に変化する、いわゆるランプ(RAMP)波形の参照電圧Vrefを生成する手段として、例えばDAC(デジタル-アナログ変換回路)38Aを有している。なお、ランプ波形の参照電圧Vrefを生成する手段としては、DAC38Aに限られるものではない。
DAC38Aは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS1による制御の下に、当該システム制御回路36から与えられるクロックCKに基づいてランプ波形の参照電圧Vrefを生成してカラム信号処理回路34のADC34-1~34-mに対して供給する。
なお、ADC34-1~34-mの各々は、センサ画素12全ての情報を読み出すプログレッシブ走査方式での通常フレームレートモードと、通常フレームレートモード時に比べて、センサ画素12の露光時間を1/Nに設定してフレームレートをN倍、例えば2倍に上げる高速フレームレートモードとの各動作モードに対応したAD変換動作を選択的に行い得る構成となっている。この動作モードの切り替えは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2,CS3による制御によって実行される。また、システム制御回路36に対しては、外部のシステムコントローラ(図示せず)から、通常フレームレートモードと高速フレームレートモードの各動作モードとを切り替えるための指示情報が与えられる。
ADC34-1~34-mは全て同じ構成となっており、ここでは、ADC34-mを例に挙げて説明するものとする。ADC34-mは、比較器34A、計数手段である例えばアップ/ダウンカウンタ(図中、U/DCNTと記している)34B、転送スイッチ34Cおよびメモリ装置34Dを有する構成となっている。
比較器34Aは、画素領域13のn列目の各センサ画素12から出力される信号に応じた垂直信号線24の信号電圧Vxと、参照電圧供給部38から供給されるランプ波形の参照電圧Vrefとを比較し、例えば、参照電圧Vrefが信号電圧Vxよりも大なるときに出力Vcoが“H”レベルになり、参照電圧Vrefが信号電圧Vx以下のときに出力Vcoが“L”レベルになる。
アップ/ダウンカウンタ34Bは非同期カウンタであり、システム制御回路36から与えられる制御信号CS2による制御の下に、システム制御回路36からクロックCKがDAC18Aと同時に与えられ、当該クロックCKに同期してダウン(DOWN)カウントまたはアップ(UP)カウントを行うことにより、比較器34Aでの比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。
具体的には、通常フレームレートモードでは、1つのセンサ画素12からの信号の読み出し動作において、1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことにより1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことにより2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
一方、高速フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのカウント結果をそのまま保持しておき、引き続き、次の行のセンサ画素12について、前回のカウント結果から1回目の読み出し動作時にダウンカウントを行うことで1回目の読み出し時の比較時間を計測し、2回目の読み出し動作時にアップカウントを行うことで2回目の読み出し時の比較時間を計測する。
転送スイッチ34Cは、システム制御回路36から与えられる制御信号CS3による制御の下に、通常フレームレートモードでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン(閉)状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
一方、例えばN=2の高速フレームレートでは、ある行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオフ(開)状態のままであり、引き続き、次の行のセンサ画素12についてのアップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作が完了した時点でオン状態となって当該アップ/ダウンカウンタ34Bの垂直2画素分についてのカウント結果をメモリ装置34Dに転送する。
このようにして、画素領域13の各センサ画素12から垂直信号線24を経由して列毎に供給されるアナログ信号が、ADC34-1~34-mにおける比較器34Aおよびアップ/ダウンカウンタ34Bの各動作により、Nビットのデジタル信号に変換されてメモリ装置34Dに格納される。
水平駆動回路35は、シフトレジスタ等によって構成され、カラム信号処理回路34におけるADC34-1~34-mの列アドレスや列走査の制御を行う。この水平駆動回路35による制御の下に、ADC34-1~34-mの各々でAD変換されたNビットのデジタル信号は順に水平出力線37に読み出され、当該水平出力線37を経由して撮像データとして出力される。
なお、本開示には直接関連しないため特に図示しないが、水平出力線37を経由して出力される撮像データに対して各種の信号処理を施す回路等を、上記構成要素以外に設けることも可能である。
上記構成の本変形例に係る列並列ADC搭載の撮像素子1では、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果を、転送スイッチ34Cを介して選択的にメモリ装置34Dに転送することができるため、アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント動作と、当該アップ/ダウンカウンタ34Bのカウント結果の水平出力線37への読み出し動作とを独立して制御することが可能である。
(2-12.変形例12)
図36は、図35の撮像素子を3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成した例を表したものである。本変形例では、第1基板10において、中央部分に、複数のセンサ画素12を含む画素領域13が形成されており、画素領域13の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。また、第2基板20において、中央部分に、複数の読み出し回路22を含む読み出し回路領域15が形成されており、読み出し回路領域15の周囲に垂直駆動回路33が形成されている。第3基板30において、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、システム制御回路36、水平出力線37および参照電圧供給部38が形成されている。これにより、上記実施の形態およびその変形例と同様、基板同士を電気的に接続する構造に起因して、チップサイズが大きくなったり、1画素あたりの面積の微細化を阻害したりしてしまうことがない。その結果、今までと同等のチップサイズで、1画素あたりの面積の微細化を阻害することのない3層構造の撮像素子1を提供することができる。なお、垂直駆動回路33は、第1基板10のみに形成されても、第2基板20のみに形成されてもよい。
(2-13.変形例13)
図37は、上記実施の形態およびその変形例5~12の変形例(変形例13)に係る撮像素子(撮像素子1)の断面構成の一例を表したものである。上記実施および変形例5~12等では、撮像素子1は、3つの基板(第1基板10,第2基板20,第3基板30)を積層して構成されていた。しかし、上記第5の実施の形態における撮像素子5,6のように、2つの基板(第1基板10,第2基板20)を積層して構成されていてもよい。このとき、ロジック回路32は、例えば、図37に示したように、第1基板10と、第2基板20とに分けて形成されていてもよい。ここで、ロジック回路32のうち、第1基板10側に設けられた回路32Aでは、高温プロセスに耐え得る材料(例えば、high-k)からなる高誘電率膜とメタルゲート電極とが積層されたゲート構造を有するトランジスタが設けられている。一方、第2基板20側に設けられた回路32Bでは、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域26が形成されている。シリサイドからなる低抵抗領域は、半導体基板の材料と金属との化合物で形成されている。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化等の高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32のうち、第2基板20側に設けられた回路32Bにおいて、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域26を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
(2-14.変形例14)
図38は、上記実施の形態およびその変形例5~12の変形例(変形例14)に係る撮像素子1の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態およびその変形例5~12に係る第3基板30のロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSi等のサリサイド (Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域39が形成されていてもよい。これにより、センサ画素12を形成する際に、熱酸化等の高温プロセスを用いることができる。また、ロジック回路32において、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、シリサイドからなる低抵抗領域39を設けた場合には、接触抵抗を低減することができる。その結果、ロジック回路32での演算速度を高速化することができる。
なお、上記実施の形態およびその変形例5~14では、導電型が逆になっていてもよい。例えば、上記実施の形態およびその変形例5~14の記載において、p型をn型に読み替えると共に、n型をp型に読み替えてもよい。このようにした場合であっても、上記実施の形態およびその変形例5~14と同様の効果を得ることができる。
<3.適用例>
図39は、上記実施の形態およびその変形例5~14に係る撮像素子(撮像素子1)を備えた撮像システム7の概略構成の一例を表したものである。
撮像システム7は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像素子や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置等の電子機器である。撮像システム7は、例えば、光学系241、シャッタ装置242、撮像素子1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248を備えている。撮像システム7において、シャッタ装置242、撮像素子1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246、操作部247および電源部248は、バスライン249を介して相互に接続されている。
撮像素子1は、入射光に応じた画像データを出力する。光学系241は、1枚または複数枚のレンズを有するものであり、被写体からの光(入射光)を撮像素子1に導き、撮像素子1の受光面に結像させる。シャッタ装置242は、光学系241および撮像素子1の間に配置され、操作部247の制御に従って、撮像素子1への光照射期間および遮光期間を制御する。DSP回路243は、撮像素子1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ244は、DSP回路243により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部245は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像素子1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部246は、撮像素子1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部247は、ユーザによる操作に従い、撮像システム7が有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部248は、撮像素子1、DSP回路243、フレームメモリ244、表示部245、記憶部246および操作部247の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
次に、撮像システム7における撮像手順について説明する。
図40は、撮像システム7における撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部247を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部247は、撮像指令を撮像素子1に送信する(ステップS102)。撮像素子1(具体的にはシステム制御回路36)は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
撮像素子1は、光学系241およびシャッタ装置242を介して受光面に結像された光(画像データ)をDSP回路243に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョンFDに一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路243は、撮像素子1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理等)を行う(ステップS104)。DSP回路243は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ244に保持させ、フレームメモリ244は、画像データを記憶部246に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システム7における撮像が行われる。
本適用例では、撮像素子1が撮像システム7に適用される。これにより、撮像素子1を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な撮像システム7を提供することができる。
図41は、非積層型の固体撮像素子(固体撮像素子23210)および本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像素子(固体撮像素子23020)の構成例の概要を示す図である。
図41のAは、非積層型の固体撮像素子の概略構成例を示している。固体撮像素子23010は、図41のAに示すように、1枚のダイ(半導体基板)23011を有する。このダイ23011には、画素がアレイ状に配置された画素領域23012と、画素の駆動その他の各種の制御を行う制御回路23013と、信号処理するためのロジック回路23014とが搭載されている。
図41のB及びCは、積層型の固体撮像素子の概略構成例を示している。固体撮像素子23020は、図41のB及びCに示すように、センサダイ23021とロジックダイ23024との2枚のダイが積層され、電気的に接続されて、1つの半導体チップとして構成されている。このセンサ第23021およびロジックダイ23024が、本開示の「第1基板」および「第2基板」の一具体例に相当する。
図41のBでは、センサダイ23021には、画素領域23012と制御回路23013が搭載され、ロジックダイ23024には、信号処理を行う信号処理回路を含むロジック回路23014が搭載されている。さらに、センサ第20321には、例えば、上述した読み出し回路22等が搭載されていてもよい。
図41のCでは、センサダイ23021には、画素領域23012が搭載され、ロジックダイ23024には、制御回路23013及びロジック回路23014が搭載されている。
図42は、積層型の固体撮像素子23020の第1の構成例を示す断面図である。
センサダイ23021には、画素領域23012となる画素を構成するPD(フォトダイオード)や、FD(フローティングディフュージョン)、Tr(MOS FET)、及び、制御回路23013となるTr等が形成される。さらに、センサダイ23021には、複数層、本例では3層の配線23110を有する配線層23101が形成される。なお、制御回路23013(となるTr)は、センサダイ23021ではなく、ロジックダイ23024に構成することができる。
ロジックダイ23024には、ロジック回路23014を構成するTrが形成される。さらに、ロジックダイ23024には、複数層、本例では3層の配線23170を有する配線層23161が形成される。また、ロジックダイ23024には、内壁面に絶縁膜23172が形成された接続孔23171が形成され、接続孔23171内には、配線23170等と接続される接続導体23173が埋め込まれる。
センサダイ23021とロジックダイ23024とは、互いの配線層23101及び23161が向き合うように貼り合わされ、これにより、センサダイ23021とロジックダイ23024とが積層された積層型の固体撮像素子23020が構成されている。センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面には、保護膜等の膜23191が形成されている。
センサダイ23021には、センサダイ23021の裏面側(PDに光が入射する側)(上側)からセンサダイ23021を貫通してロジックダイ23024の最上層の配線23170に達する接続孔23111が形成される。さらに、センサダイ23021には、接続孔23111に近接して、センサダイ23021の裏面側から1層目の配線23110に達する接続孔23121が形成される。接続孔23111の内壁面には、絶縁膜23112が形成され、接続孔23121の内壁面には、絶縁膜23122が形成される。そして、接続孔23111及び23121内には、接続導体23113及び23123がそれぞれ埋め込まれる。接続導体23113と接続導体23123とは、センサダイ23021の裏面側で電気的に接続され、これにより、センサダイ23021とロジックダイ23024とが、配線層23101、接続孔23121、接続孔23111、及び、配線層23161を介して、電気的に接続される。
図43は、積層型の固体撮像素子23020の第2の構成例を示す断面図である。
固体撮像素子23020の第2の構成例では、センサダイ23021に形成する1つの接続孔23211によって、センサダイ23021(の配線層23101(の配線23110))と、ロジックダイ23024(の配線層23161(の配線23170))とが電気的に接続される。
すなわち、図43では、接続孔23211が、センサダイ23021の裏面側からセンサダイ23021を貫通してロジックダイ23024の最上層の配線23170に達し、且つ、センサダイ23021の最上層の配線23110に達するように形成される。接続孔23211の内壁面には、絶縁膜23212が形成され、接続孔23211内には、接続導体23213が埋め込まれる。上述の図42では、2つの接続孔23111及び23121によって、センサダイ23021とロジックダイ23024とが電気的に接続されるが、図43では、1つの接続孔23211によって、センサダイ23021とロジックダイ23024とが電気的に接続される。
図44は、積層型の固体撮像素子23020の第3の構成例を示す断面図である。
図44の固体撮像素子23020は、センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面に、保護膜等の膜23191が形成されていない点で、センサダイ23021とロジックダイ23024とが貼り合わされる面に、保護膜等の膜23191が形成されている図42の場合と異なる。
図44の固体撮像素子23020は、配線23110及び23170が直接接触するように、センサダイ23021とロジックダイ23024とを重ね合わせ、所要の加重をかけながら加熱し、配線23110及び23170を直接接合することで構成される。
図45は、本開示に係る技術を適用し得る積層型の固体撮像素子の他の構成例を示す断面図である。
図45では、固体撮像素子23401は、センサダイ23411と、ロジックダイ23412と、メモリダイ23413との3枚のダイが積層された3層の積層構造になっている。
メモリダイ23413は、例えば、ロジックダイ23412で行われる信号処理において一時的に必要となるデータの記憶を行うメモリ回路を有する。
図45では、センサダイ23411の下に、ロジックダイ23412及びメモリダイ23413が、その順番で積層されているが、ロジックダイ23412及びメモリダイ23413は、逆順、すなわち、メモリダイ23413及びロジックダイ23412の順番で、センサダイ23411の下に積層することができる。
なお、図45では、センサダイ23411には、画素の光電変換部となるPDや、画素Trのソース/ドレイン領域が形成されている。
PDの周囲にはゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成され、ゲート電極と対のソース/ドレイン領域により画素Tr23421、画素Tr23422が形成されている。
PDに隣接する画素Tr23421が転送Trであり、その画素Tr23421を構成する対のソース/ドレイン領域の一方がFDになっている。
また、センサダイ23411には、層間絶縁膜が形成され、層間絶縁膜には、接続孔が形成される。接続孔には、画素Tr23421、及び、画素Tr23422に接続する接続導体23431が形成されている。
さらに、センサダイ23411には、各接続導体23431に接続する複数層の配線23432を有する配線層23433が形成されている。
また、センサダイ23411の配線層23433の最下層には、外部接続用の電極となるアルミパッド23434が形成されている。すなわち、センサダイ23411では、配線23432よりもロジックダイ23412との接着面23440に近い位置にアルミパッド23434が形成されている。アルミパッド23434は、外部との信号の入出力に係る配線の一端として用いられる。
さらに、センサダイ23411には、ロジックダイ23412との電気的接続に用いられるコンタクト23441が形成されている。コンタクト23441は、ロジックダイ23412のコンタクト23451に接続されるとともに、センサダイ23411のアルミパッド23442にも接続されている。
そして、センサダイ23411には、センサダイ23411の裏面側(上側)からアルミパッド23442に達するようにパッド孔23443が形成されている。
本開示に係る技術は、以上のような固体撮像素子に適用することができる。例えば、配線23110や配線層23161には、例えば、上述した複数の画素駆動線23および複数の垂直信号線24が設けられていてもよい。その場合、この複数の垂直信号線24の配線間に図1に示したような空隙Gが形成することで、配線間の容量を低減することができる。また、配線間の容量の増加を抑えることで、配線容量のばらつきを低減することができる。
<4.応用例>
(応用例1)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
図46は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図46に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させると共に、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図46の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
図47は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
図47では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
なお、図47には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。更に、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、上記実施の形態およびその変形例に係る撮像素子1は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、ノイズの少ない高精細な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
(応用例2)
図48は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図48では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向且つて照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。更に、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注すると共に当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
図49は、図48に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を小型化もしくは高精細化することができるので、小型もしくは高精細な内視鏡11100を提供することができる。
以上、実施の形態およびその変形例1~14、適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記変形例1~4では、上記実施の形態に示した配線間に空隙Gを有する配線構造100の変形例としてその製造方法を説明したが、本技術は、誘電率材料(Low-k材料)からなる絶縁膜を用いた配線構造を有するものであれば、配線間に空隙Gの有無に関わらず適用することができ、上記変形例1~4と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態等では、複数の画素駆動線23は行方向に、複数の垂直信号線は列方向に延在する例を示したが、互いに同一方向に延在するようにしてもよい。また、画素駆動線23は、垂直方向等、適宜その延在方向を変えることができる。
更に、上記実施の形態等では、3次元構造を有する撮像素子を例に本技術を説明したがこれに限らない。本技術は、3次元積層型の大規模集積化(LSI)されたあらゆる半導体装置に適用することができる。
なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、一方向に延伸する複数の第1の配線を有する第1の配線層上に、隣り合う複数の第1の配線の間に空隙を形成する第1の絶縁膜を設け、さらに表面が平坦な第2の絶縁膜を設けることにより、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を間にして、複数の第1の配線の少なくとも一部と正対する位置に、例えば、接合用のパッド電極として用いることが可能な第1の導電膜を形成することができるようになる。よって、例えば、積層方向に延びる貫通配線の長さを短縮することが可能となり、配線容量を低減することができるようになる。
(1)
誘電率kが3.0以下の低誘電率材料を用いて形成された第5の絶縁膜に埋め込まれ、一方向に延伸する複数の第1の配線を有する第1の配線層と、
前記第5の絶縁膜および前記第1の配線層に積層され、隣り合う前記複数の第1の配線の間に空隙を形成すると共に誘電率kが3.0以下の低誘電率材料を用いて形成された、前記複数の第1の配線の上方に窪みを有する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に積層されると共に表面が平坦な、前記第1の絶縁膜よりも研磨レートの高い材料を用いて形成された第2の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を間に、前記複数の第1の配線の少なくとも一部と正対する第1の導電膜と
を備えた撮像素子。
(2)
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を貫通し、前記複数の第1の配線の一部と前記第1の導電膜とを電気的に接続する接続部をさらに有する、前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
前記接続部は、前記第1の導電膜と一体形成されている、前記(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記接続部は、前記第1の導電膜とは異なる材料を用いて形成されている、前記(2)または(3)に記載の撮像素子。
(5)
前記接続部の周囲には、前記第1の絶縁膜とは異なる絶縁膜が形成されている、前記(2)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(6)
前記複数の第1の配線のうち、隣り合う配線間に前記空隙が形成されている両端の前記第1の配線は、それぞれ、左右非対称な断面形状を有している、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(7)
隣り合う配線間に前記空隙が形成されている両端の前記第1の配線は、前記空隙と隣接する上面端部に段差を有し、前記空隙とは反対側の上面端部は略直角な断面形状を有している、前記(6)に記載の撮像素子。
(8)
前記空隙は、前記複数の第1の配線を含む空隙形成領域に設けられている、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(9)
前記空隙形成領域は、前記第1の配線上に前記第1の配線の並列方向の端部を有する、前記(8)に記載の撮像素子。
(10)
前記空隙形成領域は、前記複数の第1の配線の延伸方向に複数の領域に分かれて形成されている、前記(8)または(9)に記載の撮像素子。
(11)
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を間に、前記複数の第1の配線と少なくとも一部が対向すると共に、前記複数の第1の配線とビアを介して電気的に接続された1または複数の第2の配線をさらに備え、
前記空隙形成領域は、前記ビアを間に複数の領域に分かれて形成されている、前記(8)乃至(10)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(12)
第3の絶縁膜をさらに有し、
前記第1の導電膜は、前記第3の絶縁膜に埋め込み形成され、前記第1の導電膜の表面は、前記第3の絶縁膜と同一平面を形成している、前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(13)
前記第2の絶縁膜は、酸化シリコン(SiOx),SiOC,SiOFまたはSiONを用いて形成されている、前記(1)乃至(12)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(14)
前記第2の絶縁膜と前記第3の絶縁膜との間に、反りを矯正する第4の絶縁膜をさらに有する、前記(12)または(13)に記載の撮像素子。
(15)
第1半導体基板に、光電変換を行うセンサ画素を有する第1基板と、
第2半導体基板に、前記センサ画素から出力された電荷に基づく画素信号を出力する読み出し回路を有する第2基板と、
第3半導体基板に、前記画素信号を処理するロジック回路および前記画素信号を保持するメモリ回路の少なくとも一方を有する第3基板とをさらに備え、
前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板はこの順に積層されている、前記(1)乃至(14)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子。
(16)
更に、
前記第2基板は、前記第3基板と面する側に、前記第1の導電膜が埋め込み形成された第3の絶縁膜を含む多層配線層を有し、
前記第3基板は、前記第2基板と面する側に、前記第2基板と面する面と同一平面を形成する第2の導電膜を含む多層配線層を有し、
前記第2基板および前記第3基板は、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との接合によって、互いに電気的に接続されている、前記(15)に記載の撮像素子。
(17)
誘電率kが3.0以下の低誘電率材料を用いて形成された第5の絶縁膜に一方向に延伸する複数の第1の配線を有する第1の配線層を埋め込み形成し、
前記第1の配線層の所定の領域において、隣り合う前記複数の第1の配線の間に第1の開口を形成し、
誘電率kが3.0以下の低誘電率材料を用いて第1の絶縁膜を成膜することにより、前記隣り合う前記複数の第1の配線の間に空隙を形成し、
前記第1の絶縁膜よりも研磨レートの高い材料を用いて前記第1の絶縁膜を覆う第2の絶縁膜を成膜した後、前記第2の絶縁膜の表面を平坦化し、
前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜を間にして前記複数の第1の配線の少なくとも一部と正対する位置に第1の導電膜を形成する
撮像素子の製造方法。
(18)
前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜をさらに形成し、
前記第3の絶縁膜、前記第2の絶縁膜および前記第1の絶縁膜を貫通し、前記複数の第1の配線のいずれかに達する第2の開口および前記第3の絶縁膜の一部を貫通する第3の開口を設けた後、前記第2の開口および前記第3の開口に前記第1の導電膜を埋設する、前記(17)に記載の撮像素子の製造方法。
(19)
前記第2の絶縁膜を平坦化した後、
前記第2の絶縁膜および前記第1の絶縁膜を貫通し、前記複数の第1の配線のいずれかに達する接続部を形成し、前記第1の配線層と前記第1の導電膜とを電気的に接続する、
前記(17)または(18)に記載の撮像素子の製造方法。
(20)
前記第1の絶縁膜を成膜した後、
前記複数の第1の配線のいずれかに達する第4の開口を形成し、前記第2の絶縁膜を成膜する、前記(17)乃至(19)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子の製造方法。
(21)
前記第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜をさらに形成した後、
2段階エッチングにより前記第2の絶縁膜および前記第1の絶縁膜を貫通し、前記複数の第1の配線のいずれかに達する第5の開口を形成し、
前記第5の開口の側面および底面を被覆する保護膜を形成した後、
前記複数の第1の配線の少なくとも一部と正対すると共に、前記第5の開口を埋設する前記第1の導電膜を成膜する、前記(17)乃至(20)のうちのいずれか1つに記載の撮像素子の製造方法。