JP7600798B2 - 積層成形体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が58~73重量%である変性ポリエステル系エラストマーからなる接着性樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、特定のメルトフローレートと密度を有する変性ポリエチレンと未変性ポリエチレンとを含む組成物よりなる接着層が、初期接着強度及び溶剤耐久性に優れることが記載されている。
すなわち本発明は、以下を要旨とする。
なお、本発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
密度は、JIS K7112に準拠して、水中置換法で測定される。
融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。具体的には、一旦300℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて昇温して測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とする。単位は℃である。
JIS K6253(D硬度)に準拠して、デュロメーターにより測定されるJIS-D硬度である。
後述のポリエステル系エラストマーおよび変性ポリエステル系エラストマーのMFR(メルトフローレート)は、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。測定に際して、ポリエステル系エラストマーおよび変性ポリエステル系エラストマーを、ペレット状態で100℃、4時間で真空乾燥し、含有水分を除去する。
変性ポリエチレンのMFRは、JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
変性ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率は、試料を重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール混合溶媒に溶かし、核磁気共鳴装置(Bruker社製 AVANCE400分光計)を用いて、室温で1HNMRスペクトルを測定し、その水素スペクトルの化学シフトに基づいて算出される。
2種類以上の変性ポリエステル系エラストマーを用いる場合は、各変性ポリエステル系エラストマーを対象試料とし、各々上記と同様に測定してポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率を算出し、各変性ポリエステル系エラストマーの配合質量比により比例計算で算出することもできる。
なお、理論上、変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率と、変性前のポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率とは、同じ値となる。即ち、変性前と変性後でポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率に変化はないとみなすことができる。
以下において、本発明に係る接着樹脂層に含まれる変性ポリエステル系エラストマーを「本発明の変性ポリエステル系エラストマー」と称し、変性前のポリエステル系エラストマーを単に「ポリエステル系エラストマー」又は「成分(A)」と称す場合がある。
また、ポリエステル系エラストマーの変性に用いる不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を「成分(B)」、変性処理に用いるラジカル発生剤を「成分(C)」と称す場合がある。
なお、本発明の変性ポリエステル系エラストマーとしては、本発明で規定されるポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率、好ましくは更に後述の好適な酸変性率を満たす限り、ポリエステル系エラストマーの変性により得られた変性ポリエステル系エラストマーと未変性ポリエステル系エラストマーとを混合したものを用いてもよい。
本発明に係る接着樹脂層は、変性ポリエステル系エラストマーを含むため、ガスバリア性樹脂層、特に、エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド系樹脂との接着性を十分なものとすることができる。また、本発明の変性ポリエステル系エラストマーはポリエステルが主骨格であるため、ポリエステル系樹脂との相溶性が高く、密着性が高い。
また、本発明の変性ポリエステル系エラストマーにおけるポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が36~53質量%であることで、接着性と溶剤耐久性を両立させることができる。これは、変性ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントに、変性により不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体が多く結合しているためと推定されることによる。即ち、変性ポリエステル系エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを36質量%以上と十分量含有していれば、変性度(変性ポリエステル系エラストマーに含まれる不飽和カルボン酸成分の含有率)が高くなり、ガスバリア性樹脂との接着性を十分満足することができる。一方、変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率が53質量%以下で残りの部分に十分量の高結晶性のハードセグメントを含むことにより、変性ポリエステル系エラストマーとしての結晶性が高くなる結果、溶剤耐久性が優れたものとなる。
本発明に係るポリエステル系エラストマーは、芳香族ポリエステルを含有するハードセグメントと、ポリアルキレンエーテルグリコールを含有するソフトセグメントとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体である。
本発明に係るポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率は、後述の変性ポリエステル系エラストマーと同様の理由から、36~53質量%、好ましくは38~50質量%である。
変性ポリエステル系エラストマーと同様、2種以上のポリエステル系エラストマーを用いる場合、一部のポリエステル系エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率35~53質量%を外れるものであっても、全体としてのポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率が36~53質量%の範囲内であればよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールは、ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が、36~53質量%、好ましくは38~50質量%となるように用いられる。
前述の通り、2種以上のポリエステル系エラストマーを用いる場合、一部のポリエステル系エラストマーがポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率35~53質量%を外れるものであっても、全体としてのポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率が36~53質量%の範囲内であればよい。
ポリエステル系エラストマーの変性に用いる不飽和カルボン酸としては、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの不飽和カルボン酸の酸無水物、カルボン酸エステルが例示され、更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミド等の誘導体であってもよい。これらの誘導体の中では、酸無水物が好ましい。
ポリエステル系エラストマーを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体により変性処理するに際し、ラジカル反応を行うために通常ラジカル発生剤が用いられる。
ラジカル発生剤としては、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類等が挙げられる。これらのうちで、ジアシルパーオキサイド類としては、ジベンゾイルパーオキサイドや2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましく用いられる。これらのラジカル発生剤は、ポリエステル系エラストマーの種類や、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の種類や、変性条件に応じて適宜選択すればよく、また2種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤は有機溶剤等に溶解して加えることもできる。
本発明の変性ポリエステル系エラストマーは、公知のいかなる方法を用いて製造して良く、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応法を使用することができるが、通常は溶融混練反応法が好ましい。
溶融混練は、樹脂が熱劣化しないように、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上で、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の範囲で行われる。
本発明の変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率は、36~53質量%である。変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が36~53質量%であることで、これを接着樹脂層として用いた場合に、接着性と溶剤耐久性とを満足することができる。変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が上記範囲の上限を超える場合、結晶性が低下して溶剤耐久性が劣る傾向となる。変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が上記範囲の下限未満の場合には、低温耐衝撃性や、エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド系樹脂への接着性が低下する傾向となる。このような観点から本発明の変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率の下限は、好ましくは38質量%以上である。一方、本発明の変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率の上限は、好ましくは50質量%以下である。
本発明の変性ポリエステル系エラストマーは、ポリエステル系エラストマーに対して上述の好適な配合量で不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体とラジカル発生剤を用いて製造されたものであればよく、その酸変性率には特に制限はないが、0.01~8であることが好ましい。酸変性率が上記範囲の下限以上であれば、ガスバリア性樹脂層との十分な接着性が得られる。酸変性率が上記範囲の上限以下であれば、不飽和カルボン酸及び/その誘導体による変色を抑制することが可能である。酸変性率の下限は0.1以上がより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.16以上であることが特に好ましい。酸変性率の上限は4以下であることがより好ましく、0.8以下であることが更に好ましい。
なお、変性ポリエステル系エラストマーの酸変性率は、後述の実施例の項に記載の方法で測定、算出される。
本発明に係る接着樹脂層は、本発明の変性ポリエステル系エラストマーを接着樹脂層の構成成分全体に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上含有する。変性ポリエステル系エラストマーの含有率が上記下限以上であれば、ガスバリア性樹脂層との接着性、溶剤耐久性を十分に高めることができる。なお、変性ポリエステル系エラストマーの含有率の上限には特に制限はなく、100質量%であってもよい。
本発明に係るガスバリア性樹脂層は、エチレン・ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂層であることが好ましい。エチレン・ビニルアルコール共重合体は、アルコールの存在下、エチレン・酢酸ビニル共重合体をケン化して製造される。ガスバリア性樹脂層を構成するエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレン含有率が好ましくは15~65モル%、より好ましくは20~50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を、そのケン化度が好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上になるようにケン化したものが好ましく用いられる。
このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製「ソアノール(登録商標)」、株式会社クラレ製「エバール(登録商標)」、長春集団製「エバシン」が挙げられる。
本発明の積層成形体は、香気保存性、剛性、耐熱性、耐寒性、表面印刷性等の機能性を付与するために、更にポリエステル系樹脂の層を含んでいてもよい。前記ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸とポリアルコールを脱水縮合して製造され、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合して得られるものが挙げられる。
本発明の積層成形体は、更に上記以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、上記接着樹脂層、ガスバリア性樹脂層、ポリエステル系樹脂層の構成樹脂以外の樹脂からなる層や以下に示す基材層が挙げられる。
本発明の積層成形体は、本発明の変性ポリエステル系エラストマーを含む接着樹脂層と、ガスバリア性樹脂層とを含む積層成形体であり、2層または3層以上に積層された積層成形体とすることが好ましい。中でも、エチレン・ビニルアルコール共重合体を主成分とするガスバリア性樹脂層と、必要に応じて前述のポリエステル系樹脂層を有することが好ましい。とりわけポリエステル系樹脂層、本発明の変性ポリエステル系エラストマーを含む接着樹脂層、ガスバリア性樹脂層の順に積層された積層成形体が好適に用いられる。この場合、例えば、ポリエステル系樹脂層/接着樹脂層/ガスバリア性樹脂層/接着樹脂層/ポリエステル系樹脂層のように、一部の層を2層以上積層した積層成形体とすることもできる。
本発明の積層成形体の形態としては、積層フィルム、積層シート、積層チューブ等が挙げられる。ここで、「フィルム」と「シート」は何れも面状の成形体を意味し、同義である。
ガスバリア性樹脂層の厚みは、一般的には0.002~1mmである。
ポリエステル系樹脂層の厚みは、一般的には0.01~3mmである。
本発明の積層成形体を製造する方法としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた、個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出手法によるインフレーションフィルム、キャストフィルム、シート、チューブ、パイプ、ボトルや、溶融した個々の樹脂を同一金型内に逐次的に射出する、共射出成形であってもよく、また、未延伸の試験管状のパリソン等の共押出積層を行ってもよい。
以下の実施例及び比較例において積層成形体の製造に用いた原材料は以下の通りである。
<成分(A)>
A-1:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が45質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.16g/cm3、融点:189.9℃、JIS-D硬度:43、MFR:21g/10分)を用いた。
A-2:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が32質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.20g/cm3、融点:205.1℃、JIS-D硬度:54、MFR:22g/10分)を用いた。
A′-1:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が73質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.07g/cm3、融点:160.1℃、JIS-D硬度:24、MFR:20g/10分)を用いた。
A′-2:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が64質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.10g/cm3、融点:186.1℃、JIS-D硬度:31、MFR:21g/10分)を用いた。
A′-3:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が61質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.10g/cm3、融点:160.6℃、JIS-D硬度:38、MFR:17g/10分)を用いた。
A′-4:ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有率が20質量%のポリエステル系エラストマー(密度:1.26g/cm3、融点:220.0℃、JIS-D硬度:60、MFR:60g/10分)を用いた。
B:不飽和カルボン酸無水物
和光純薬工業株式会社製「無水マレイン酸(試薬特級)」(粒径5~10mm)を、粒径1mm以下となるように小型ミキサーを用いて粉砕したものを用いた。
C:ベンゾイルパーオキサイド
日本油脂株式会社製「ナイパー(登録商標)BMTK-40」を用いた。
X:BASF社製フェノール系酸化防止剤「Irganox1010(登録商標)」を用いた。
酸変性ポリエチレン
三菱ケミカル株式会社社製「モディック(登録商標)H501E」(MFR:0.8g/10分、密度:0.92g/cm3)を用いた。
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)
株式会社クラレ製「エバール(登録商標)L171B」を用いた。
三菱ケミカル株式会社「テファブロック(登録商標)B1921」を用いた。
実施例及び比較例において、物性評価は、以下に示す方法によって行った。
ポリエステル系エラストマー及び変性ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコール含有率は、前述の方法に従って測定した。
酸変性率は、赤外分光測定装置(JASCOFT/IR610、日本分光株式会社製)で測定した際の、変性ポリエステル系エラストマー中における不飽和カルボン酸成分の含有率である。酸変性率は、変性ポリエステル系エラストマーのペレットを230℃で厚さ20~50μmのシート状にプレス成形したサンプル中の、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収(1900~1600cm-1)とハードセグメント中の芳香環特有の吸収(1000~800cm-1)の比を測定することにより求めた。
得られた変性ポリエステル系エラストマー又は比較の酸変性ポリエチレンを溶融温度240℃、金型温度40℃にて射出成形し、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を得た後、イソオクタン/トルエンを等量(体積)配合した混合液に60℃で168時間浸漬し、下式により膨潤度(%)を算出した。
膨潤度(%)=[{W1-W0}/W0]× 100
浸漬前の試験片重量:W0(g)
浸漬後の試験片重量:W1(g)
膨潤度が40%以下であれば、積層成形体の変形や脆化を抑えることができ実用可能と評価した。
一般に積層体の層間強度が2N/15mm以上あれば実用に足る強度であると考えられる。
<溶剤浸漬前の接着強度>
各例で得られた5層フィルムを成形方向と平行に幅15mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃の恒温雰囲気下にて、速度300mm/minでTピール剥離試験を行い、接着強度を測定した。ここで、実施例1~3及び比較例1~5の接着強度は、エチレン・ビニルアルコール共重合体層と接着樹脂層との界面における接着強度である。比較例6の接着強度は、ポリエステル系樹脂層と接着樹脂層との界面における接着強度である。
<溶剤浸漬後の接着強度>
各例で得られた5層フィルムについて、上記と同様にして作製した短冊状試験片を、イソオクタン/トルエンを等量(体積)配合した混合液に60℃で168時間浸漬し、取り出し後5分以内に、23℃の恒温雰囲気下にて、速度300mm/minでTピール剥離試験を行い、接着強度を測定した。上記と同じく、実施例1~3及び比較例1~5の接着強度は、エチレン・ビニルアルコール共重合体層と接着樹脂層との界面における接着強度である。比較例6の接着強度は、ポリエステル系樹脂層と接着樹脂層との界面における接着強度である。
<変性ポリエステルエラストマーの製造>
表1の通り、ポリエステル系エラストマーA-1を100質量部、Bを0.5質量部、Cを0.1質量部、Xを0.1質量部用い、これらをドライブレンドして混合し、二軸押出機(日本製鋼社製、TEX25αIII、D=25mmφ、L/D=53)を用いて設定温度180~240℃、スクリュー回転数200~400rpm、押出量15~30kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の変性ポリエステルエラストマーを得た。
この変性ポリエステル系エラストマーについて、膨潤度の測定を行った。
幅320mmの4種5層マルチマニホールド型Tダイスを有する多層フィルム成形機(株式会社プラ技研)を用い、ポリエステル系樹脂層/変性ポリエステル系エラストマーよりなる接着樹脂層/エチレン・ビニルアルコール共重合体層/変性ポリエステル系エラストマーよりなる接着樹脂層/ポリエステル系樹脂層の積層成形体として、5層フィルムを作製した。Tダイスの温度を250℃に設定し、成形速度10m/min.、キャストロール温度30℃、各層の厚みが140μm/40μm/40μm/40μm/140μmの総厚み400μmのフィルムを得た。
得られた5層フィルムについて、接着強度の測定を行った。
変性ポリエステル系エラストマーの製造において、表1に記載の配合したこと以外は実施例1と同様に変性ポリエステルエラストマーを得、同様に積層成形体を製造し、それぞれ測定を行った。結果を表1に示す。
接着樹脂層に変性ポリエステル系エラストマーの代りに酸変性ポリエチレンの「モディックH501E」を用いたこと以外は実施例1と同様に積層成形体を製造し、接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
これに対して、変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率が本発明の規定範囲よりも低い比較例1,2では、酸変性率も低く、接着性も溶剤耐久性も劣る。
変性ポリエステル系エラストマーのポリアルキレンエーテルグリコールセグメント含有率が本発明の規定範囲よりも高い比較例3~5では、溶剤耐久性が劣る。
酸変性ポリエチレンを用いた比較例6は、接着性が得られない。
Claims (3)
- 少なくとも、変性ポリエステル系エラストマーを含む接着樹脂層とガスバリア性樹脂層とを含む積層成形体であって、
該変性ポリエステル系エラストマーは、芳香族ポリエステルを含有するハードセグメントと、ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有するソフトセグメントとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体よりなるポリエステル系エラストマーを、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体により変性してなる変性ポリエステル系エラストマーであり、かつ、該変性ポリエステル系エラストマーにおけるポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有率が36~53質量%であり、
前記接着樹脂層が、前記変性ポリエステル系エラストマーを前記接着樹脂層の構成成分全体に対し、50質量%以上含む接着樹脂層であり、
前記ガスバリア性樹脂層がエチレン・ビニルアルコール共重合体及びポリアミド系重合体から選択されるいずれか一種を含む、積層成形体。 - 前記ガスバリア性樹脂層がエチレン・ビニルアルコール共重合体を主成分とする樹脂層である、請求項1に記載の積層成形体。
- 更にポリエステル系樹脂層を有する積層成形体であって、前記ガスバリア性樹脂層と該ポリエステル系樹脂層との間に前記接着樹脂層を有する、請求項1又は2に記載の積層成形体。
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