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JP7600405B2 - 被覆工具および切削工具 - Google Patents

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Description

本開示は、被覆工具および切削工具に関する。
旋削加工や転削加工等の切削加工に用いられる工具として、超硬合金、サーメット、セラミックス等の基体の表面を被覆層でコーティングすることによって耐摩耗性等を向上させた被覆工具が知られている。
国際公開第2019/146710号 国際公開第2011/016488号 国際公開第2010/007958号
本開示の一態様による被覆工具は、基体と、基体の上に位置する少なくとも1層の被覆層とを備える。被覆層は、周期表4a、5a、6a族元素、AlおよびSiの中から選ばれた少なくとも1種の元素と、CおよびNの中から選ばれた少なくとも1種の元素とからなる立方晶の結晶を含有する。被覆層は、立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値(I1max)を有し、且つ、I1maxの85%以上のX線強度となる角度領域(θ1F)が、30°以上90°以下の領域で90%以上を占める。
図1は、実施形態に係る被覆工具の一例を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る被覆工具の一例を示す側断面図である。 図3は、実施形態に係る被覆層の一例を示す断面図である。 図4は、図3に示すH部の模式拡大図である。 図5は、実施形態に係る被覆層に含まれる立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のX線強度分布を表すグラフである。 図6は、実施形態に係る被覆層に含まれる立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のX線強度分布を表すグラフである。 図7は、実施形態に係る切削工具の一例を示す正面図である。 図8は、試料No.1~No.8について、被覆層に含まれる立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のX線強度分布における各種数値をまとめた表である。 図9は、試料No.1~No.6について、被覆層に含まれる立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のX線強度分布における各種数値をまとめた表である。 図10は、試料No.1~No.8について実施した切削試験の結果をまとめた表である。
以下に、本開示による被覆工具および切削工具を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による被覆工具および切削工具が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
上述した従来技術には、耐衝撃性を向上させるという点で更なる改善の余地がある。
<被覆工具>
図1は、実施形態に係る被覆工具の一例を示す斜視図である。また、図2は、実施形態に係る被覆工具1の一例を示す側断面図である。図1に示すように、実施形態に係る被覆工具1は、チップ本体2を有する。
(チップ本体2)
チップ本体2は、たとえば、上面および下面(図1に示すZ軸と交わる面)の形状が平行四辺形である六面体形状を有する。
チップ本体2の1つのコーナー部は、切刃部として機能する。切刃部は、第1面(たとえば上面)と、第1面に連接する第2面(たとえば側面)とを有する。実施形態において、第1面は切削により生じた切屑をすくい取る「すくい面」として機能し、第2面は「逃げ面」として機能する。第1面と第2面とが交わる稜線の少なくとも一部には、切刃が位置しており、被覆工具1は、かかる切刃を被削材に当てることによって被削材を切削する。
チップ本体2の中央部には、チップ本体2を上下に貫通する貫通孔5が位置する。貫通孔5には、後述するホルダ70に被覆工具1を取り付けるためのネジ75が挿入される(図7参照)。
図2に示すように、チップ本体2は、基体10と、被覆層20とを有する。
(基体10)
基体10は、たとえば超硬合金で形成される。超硬合金は、W(タングステン)、具体的には、WC(炭化タングステン)を含有する。また、超硬合金は、Ni(ニッケル)やCo(コバルト)を含有していてもよい。たとえば、基体10は、WCからなる硬質粒子を硬質相成分とし、Coを結合相の主成分とするWC基超硬合金からなる。
また、基体10は、サーメットで形成されてもよい。サーメットは、たとえばTi(チタン)、具体的には、TiC(炭化チタン)またはTiN(窒化チタン)を含有する。また、サーメットは、NiやCoを含有していてもよい。
また、基体10は、立方晶窒化硼素(cBN)粒子を含有する立方晶窒化硼素質焼結体で形成されてもよい。基体10は、立方晶窒化硼素(cBN)粒子に限らず、六方晶窒化硼素(hBN)、菱面体晶窒化硼素(rBN)、ウルツ鉱窒化硼素(wBN)等の粒子を含有していてもよい。
(被覆層20)
被覆層20は、例えば、基体10の耐摩耗性、耐熱性等を向上させることを目的として基体10に被覆される。図2の例では、被覆層20が基体10を全体的に被覆している。被覆層20は、少なくとも基体10の上に位置していればよい。被覆層20が基体10の第1面(ここでは、上面)に位置する場合、第1面の耐摩耗性、耐熱性が高い。被覆層20が基体10の第2面(ここでは、側面)に位置する場合、第2面の耐摩耗性、耐熱性が高い。
ここで、被覆層20の具体的な構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る被覆層20の一例を示す断面図である。
図3に示すように、被覆層20は、後述する中間層22と比較して耐摩耗性に優れた層である。被覆層20は、1層以上の金属窒化物層を有する。また、被覆層20は、複数の金属窒化物層が積層された第1被覆層23と、第1被覆層23の上に位置する第2被覆層24とを有していてもよい。
被覆層20は、周期表4a、5a、6a族元素、AlおよびSiの中から選ばれた少なくとも1種の元素と、CおよびNの中から選ばれた少なくとも1種の元素とからなる立方晶の結晶を含有する。なお、4a族元素は、Ti,Zr,HfおよびRfであり、5a族元素は、V,Nb,TaおよびDbであり、6a族元素は、Cr,Mo,WおよびSgである。被覆層20の構成については後述する。
(中間層22)
基体10と被覆層20との間には、中間層22が位置していてもよい。具体的には、中間層22は、一方の面(ここでは下面)において基体10の上面に接し、且つ、他方の面(ここでは上面)において被覆層20(第1被覆層23)の下面に接する。
中間層22は、基体10との密着性が被覆層20と比べて高い。このような特性を有する金属元素としては、たとえば、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Al、Si、Y、Tiが挙げられる。中間層22は、上記金属元素のうち少なくとも1種以上の金属元素を含有する。たとえば、中間層22は、Tiを含有していても良い。なお、Siは、半金属元素であるが、本明細書においては、半金属元素も金属元素に含まれるものとする。
中間層22がTiを含有する場合、中間層22におけるTiの含有量は、1.5原子%以上であってもよい。たとえば、中間層22におけるTiの含有量は、2.0原子%以上であってもよい。
中間層22は、上記金属元素(Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Al、Si、Y、Ti)以外の成分を含有していてもよい。ただし、基体10との密着性の観点から、中間層22は、上記金属元素を合量で少なくとも95原子%以上含有していてもよい。より好ましくは、中間層22は、上記金属元素を合量で98原子%以上含有してもよい。なお、中間層22における金属成分の割合は、たとえば、STEM(走査透過電子顕微鏡)に付属しているEDS(エネルギー分散型X線分光器)を用いた分析により特定可能である。
このように、実施形態に係る被覆工具1では、基体10との濡れ性が被覆層20と比べて高い中間層22を基体10と被覆層20との間に設けることにより、基体10と被覆層20との密着性を向上させることができる。なお、中間層22は、被覆層20との密着性も高いため、被覆層20が中間層22から剥離するといったことも生じにくい。
中間層22は、アークイオンプレーティング法(AIP法)を用いて成膜されてもよい。AIP法は、真空雰囲気でアーク放電を利用してターゲット金属を蒸発させ、N2ガスと結合することによって金属窒化物を成膜する方法である。このとき、被コーティング物である基体10に印加されるバイアス電圧は、400V以上であってもよい。なお、被覆層20も、AIP法により成膜されてもよい。
なお、中間層22の厚みは、たとえば0.1nm以上、20.0nm未満であってもよい。
(第1被覆層23および第2被覆層24)
次に、第1被覆層23および第2被覆層24の構成について図4を参照して説明する。図4は、図3に示すH部の模式拡大図である。
図4に示すように、被覆層20は、中間層22の上に位置する第1被覆層23と、第1被覆層23の上に位置する第2被覆層24とを有する。
第1被覆層23は、複数の第1層23aと複数の第2層23bとを有する。第1被覆層23は、第1層23aと第2層23bとが厚み方向に交互に積層された縞状構成を有している。
第1層23aおよび第2層23bの厚みは、それぞれ50nm以下としてもよい。薄く形成された第1層23aおよび第2層23bは、残留応力が小さく、剥離やクラック等が生じ難いため、被覆層20の耐久性が高くなる。
第1層23aは、中間層22に接する層であり、第2層23bは、第1層23a上に形成される。
第1被覆層23、具体的には、第1層23aおよび第2層23bは、Al、Cr、Si、第5族元素、第6族元素およびTiを除く第4族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、CおよびNからなる群より選択される少なくとも1種の元素とからなっていてもよい。具体的には、第1層23aおよび第2層23bは、Al、第5族元素、第6族元素およびTiを除く第4族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、CおよびNからなる群より選択される少なくとも1種の元素と、Siおよび、Crとを有していてもよい。
さらに具体的には、第1層23aおよび第2層23bは、Al、Cr、SiおよびNを有していてもよい。すなわち、第1層23aおよび第2層23bは、Al、CrおよびSiの窒化物であるAlCrSiNを含有するAlCrSiN層であってもよい。なお、「AlCrSiN」との表記は、AlとCrとSiとNとが任意の割合で存在することを意味しており、必ずしもAlとCrとSiとNとが1対1対1対1で存在することを意味するものではない。
このように、中間層22に含まれる金属(たとえば、Si)を含有する第1層23aを中間層22の上に位置させることで、中間層22と被覆層20との密着性が高い。これにより、被覆層20が中間層22から剥離し難くなるため、被覆層20の耐久性が高い。
第1層23aおよび第2層23bは、それぞれAlとCrとSiとNとを含有していてもよい。ここで、第1層23aにおけるAl含有量を第1Al含有量とし、第1層23aにおけるCr含有量を第1Cr含有量とし、第1層23aにおけるSi含有量を第1Si含有量とする。また、第2層23bにおけるAl含有量を第2Al含有量とし、第2層23bにおけるCr含有量を第2Cr含有量とし、第2層23bにおけるSi含有量を第2Si含有量とする。
この場合、第1Al含有量は、第2Al含有量より多く、第1Cr含有量は、第2Cr含有量より少なく、第1Si含有量は、第2Si含有量より多くてもよい。第1被覆層23に含まれる金属元素に占めるAlとCrとSiとの合計は、98原子%以上であってもよい。
第2被覆層24は、Ti、SiおよびNを有していてもよい。すなわち、第2被覆層24は、TiおよびSiを含有する窒化物層(TiSiN層)であってもよい。なお、「TiSiN層」との表記は、TiとSiとNとが任意の割合で存在することを意味しており、必ずしもTiとSiとNとが1対1対1で存在することを意味するものではない。
これにより、たとえば、第2被覆層24の摩擦係数が低い場合には、被覆工具1の耐溶着性を向上させることができる。また、たとえば、第2被覆層24の硬度が高い場合には、被覆工具1の耐摩耗性を向上させることができる。また、たとえば、第2被覆層24の酸化開始温度が高い場合には、被覆工具1の耐酸化性を向上させることができる。
第2被覆層24は、少なくとも2つの層が厚み方向に位置する縞状構造を有していてもよい。第2被覆層24の縞状構造が有する各層は、たとえば、Tiと、Siと、Nとを含有していてもよい。この場合、第2被覆層24は、Tiの含有量(以下、「Ti含有量」と記載する)、Siの含有量(以下、「Si含有量」と記載する)およびNの含有量(以下、「N含有量」と記載する)が、第2被覆層24の厚み方向に沿ってそれぞれ増減を繰り返していてもよい。第2被覆層24に含まれる金属元素のうち、TiおよびSiの合計は、98原子%以上であってもよい。また、第2被覆層24は、厚み方向に交互に位置する第3層および第4層を有していてもよい。
<(111)面に関する正極点図のX線強度分布について>
図5は、実施形態に係る被覆層20に含まれる立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のX線強度分布を表すグラフである。図5に示す正極点図の横軸はα軸(あおり軸)の角度を示しており、縦軸はあおり方向におけるX線強度を示している。
立方晶の結晶における(111)面の配向性は、(111)面に関する正極点図のX線強度分布により評価することができる。たとえば、(111)面に関する正極点図のX線強度分布において、45°の位置にピークがあるとき、基体10の表面に対して(111)面が45°傾いている立方晶の結晶の数が多いことになる。
図5に示すように、実施形態に係る被覆層20は、立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値I1maxを有する。
ここで、I1maxの85%以上の強度となるα軸の角度領域をθ1Fとする。実施形態に係る被覆層20において、θ1Fはα軸の角度が30°以上90°以下の領域で90%以上であってもよい。かかる構成によれば、結晶方位がある程度揃うことで、突発欠損が低減する。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1、耐衝撃性が高い。
また、図5に示す(111)面に関する正極点図において、I1maxを示すα軸の角度θ1maxより高角度側の角度領域の第1領域とし、θ1maxより低角度側の角度領域の第2領域とする。また、第1領域内のX線強度の最小値をI11minとし、第2領域内のX線強度の最小値をI12minとする。
この場合、被覆層20は、I1maxとI11minの差(I1max-I11min)が、I1maxとI12minの差(I1max-I12min)より小さく、I11minがI1maxの85%以上であってもよい。
被覆層20の配向性をこのような構成とした場合、被覆層20に結晶配向性が高い領域が存在することとなる。これにより、かかる被覆層20を有する被覆工具1は、様々な方向からの衝撃に耐えることができる。したがって、実施形態に係る被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
また、図5に示す(111)面に関する正極点図において、被覆層20は、I12minがI1maxの5%以上20%以下であってもよい。
被覆層20の配向性をこのような構成とした場合、被覆層20への衝撃が弱い方向の配向を小さくできる。これにより、多くの配向を、衝撃の強い方向へ揃えることができる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
また、図5に示す(111)面に関する正極点図において、被覆層20は、θ1maxが35°以上55°以下であってもよい。
θ1maxがこの範囲に存在する場合、被覆層20は、水平方向及び垂直方向の両方からの衝撃に強くなる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
また、図5に示す(111)面に関する正極点図において、被覆層20は、第1領域に少なくとも1つの変曲点を有していてもよい。
被覆層20の配向性をこのような構成とした場合、配向性が高くなる領域を大きくすることができる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
<(200)面に関する正極点図のX線強度分布について>
図6は、実施形態に係る被覆層20に含まれる立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のX線強度分布を表すグラフである。図6に示す正極点図の横軸はα軸(あおり軸)の角度を示しており、縦軸はあおり方向におけるX線強度を示している。
図6に示すように、実施形態に係る被覆層20は、立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値I2maxを有する。ここで、I2maxを示すα軸の角度をθ2maxとし、θ2maxより高角度側の角度領域を第3領域とし、θ2maxより低角度側の角度領域を第4領域とする。また、第3領域内のX線強度の最小値をI23minとし、第4領域内のX線強度の最小値をI24minとする。
図6に示す(200)面に関する正極点図において、被覆層20は、I2maxとI23minの差(I2max-I23min)が、I2maxとI24minとの差(I2max-I24min)より小さく、I23minがI2maxの95%以上であってもよい。
被覆層20をこのような構成とした場合、被覆層20は、I2maxと強度が近い領域を有することになり、様々な方向からの衝撃に対してチッピング及び欠損を防止することができる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
また、図6に示す(200)面に関する正極点図において、被覆層20は、I24minがI2maxの2%以上35%以下であってもよい。
被覆層20の配向性をこのような構成とした場合、被覆層20への衝撃が弱い方向の配向を小さくできる。これにより、多くの配向を、衝撃の強い方向へ揃えることができる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
また、図6に示す(200)面に関する正極点図において、実施形態に係る被覆層20は、θ2maxが70°以上85°以下であってもよい。
θ2maxがこの範囲に存在する場合、被覆層20は、水平方向及び垂直方向の両方からの衝撃に強くなる。したがって、かかる構成の被覆層20を有する被覆工具1は、耐衝撃性が高い。
被覆層20は、たとえば、物理蒸着(PVD)法などを用いることによって、基体10の上に位置させることが可能である。たとえば、貫通孔5の内周面で基体10を保持した状態で上記の蒸着法を利用して被覆層20を形成した場合、貫通孔5の内周面を除く基体10の表面の全体を覆うように被覆層20を位置させることができる。
<切削工具>
次に、上述した被覆工具1を備えた切削工具の構成について図7を参照して説明する。図7は、実施形態に係る切削工具の一例を示す正面図である。
図7に示すように、実施形態に係る切削工具100は、被覆工具1と、被覆工具1を固定するためのホルダ70とを有する。
ホルダ70は、第1端(図7における上端)から第2端(図7における下端)に向かって伸びる棒状の部材である。ホルダ70は、たとえば、鋼、鋳鉄製である。特に、これらの部材の中で靱性の高い鋼が用いられることが好ましい。
ホルダ70は、第1端側の端部にポケット73を有する。ポケット73は、被覆工具1が装着される部分であり、被削材の回転方向と交わる着座面と、着座面に対して傾斜する拘束側面とを有する。着座面には、後述するネジ75を螺合させるネジ孔が設けられている。
被覆工具1は、ホルダ70のポケット73に位置し、ネジ75によってホルダ70に装着される。すなわち、被覆工具1の貫通孔5にネジ75を挿入し、このネジ75の先端をポケット73の着座面に形成されたネジ孔に挿入してネジ部同士を螺合させる。これにより、被覆工具1は、切刃部分がホルダ70から外方に突出するようにホルダ70に装着される。
実施形態においては、いわゆる旋削加工に用いられる切削工具を例示している。旋削加工としては、例えば、内径加工、外径加工及び溝入れ加工が挙げられる。なお、切削工具としては旋削加工に用いられるものに限定されない。例えば、転削加工に用いられる切削工具に被覆工具1を用いてもよい。転削加工に用いられる切削工具としては、たとえば、平フライス、正面フライス、側フライス、溝切りフライスなどフライス、1枚刃エンドミル、複数刃エンドミル、テーパ刃エンドミル、ボールエンドミルなどのエンドミルなどが挙げられる。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る被覆工具1の製造方法の一例について説明する。なお、本態様の被覆工具の製造方法は、下記の製造方法に限定されるものではない。
被覆層は、たとえば物理蒸着法により形成されてもよい。物理蒸着法としては、例えば、イオンプレーティング法及びスパッタリング法などが挙げられる。一例として、イオンプレーティング法で被覆層を作製する場合には、下記の方法によって被覆層を作製することができる。
最初に、中間層の製造方法の一例を示す。8×10-3~1×10-4Paの減圧環境下において基体を加熱して表面温度を500~600℃にする。次に、雰囲気ガスとしてアルゴンガスを導入し、圧力を3.0Paに保持する。次に、バイアス電圧を-400Vとして、アルゴンボンバード処理を11分行う。次に、圧力を0.1Paに減圧させ、Ti金属蒸発源に130~160Aのアーク電流を印可し、0.3分間処理し、基体の表面に対して中間層としてのTi含有中間層を形成する。所望の厚みの中間層を作製するために、アルゴンボンバード処理及びTi含有中間層形成処理を繰り返してもよい。但し、2回目以降のアルゴンボンバード処理では、バイアス電圧を-200Vとする。
次に、第1被覆層をイオンプレーティング法で作製する方法の一例を示す。まず、一例としてCr、SiおよびAlの各金属ターゲット、または複合化した合金ターゲット、または焼結体ターゲットを準備する。
次に、金属源である上記のターゲットをアーク放電またはグロー放電などによって蒸発させてイオン化する。イオン化した金属を、窒素源の窒素(N)ガス、などと反応させるとともに、基体の表面に蒸着させる。以上の手順によってAlCrSiN層を形成することが可能である。
上記の手順において、基体の温度を500~600℃とし、窒素ガス圧力を1.0~6.0Paとし、基体に-50~-200Vの直流バイアス電圧を印可して、アーク放電電流を100~200Aとしてもよい。
第1被覆層の組成は、アルミニウム金属ターゲット、クロム金属ターゲット、アルミニウム-シリコン複合化合金ターゲット、および、クロム-シリコン複合化合金ターゲットにかかるアーク放電・グロー放電時の電圧・電流値をそれぞれのターゲット毎に独立に制御することによって調整することができる。また、被覆層の組成は、被覆時間や雰囲気ガス圧の制御によっても調整することができる。実施形態の一例においてはアーク放電・グロー放電時の電圧・電流値を変化させることにより、ターゲット金属のイオン化量を変化させることができる。また、ターゲット毎にアーク放電・グロー放電時の電流値を周期的に変えることにより、ターゲット金属のイオン化量を周期的に変化させることができる。ターゲットのアーク放電・グロー放電時の電流値は、0.01~0.5minの間隔で周期的に変えることにより、ターゲット金属のイオン化量を周期的に変化させることができる。これにより被覆層の厚み方向において、各金属元素の含有割合がそれぞれの周期で変化する構成とすることができる。
上記の手順を行う際に、Al、Siの量が少なくなるように、また、Crの量が多くなるよう、Al、Si、Crの組成を変化させ、その後、Al、Siの量が多くなるように、また、Crの量が少なくなるよう、Al、Si、Crの組成を変化させることによって、第1層および第2層を有する第1被覆層を作製することが可能である。
次に、TiSiN層である第2被覆層の製造方法の一例について説明する。
第1被覆層と同様に、第2被覆層も物理蒸着法により形成されてもよい。一例として、まず、Ti金属ターゲット及びTi-Si複合化合金ターゲットを準備する。そして、用意した各ターゲットにかかるアーク放電・グロー放電時の電圧・電流値をターゲット毎に独立に制御することによって縞状構造を有する第2被覆層を作製することができる。
上記の手順において、基体の温度を500~600℃とし、窒素ガス圧力を1.0~6.0Paとし、基体に-50~-200Vの直流バイアス電圧を印可して、アーク放電電流を100~200A、アーク電流の変化周期を0.01~0.5min、としてもよい。
以下、本開示の実施例を具体的に説明する。なお、本開示は以下に示す実施例に限定されるものではない。
基体がWCからなり、中間層がTi含有層からなり、第1被覆層がAlCrSiN層からなり、第2被覆層がTiSiN層からなる被覆工具を試料No.1とした。試料No.1は本開示の実施例に相当する。
1×10-3Paの減圧環境下において基体を加熱して表面温度を550℃にした。次に、雰囲気ガスとしてアルゴンガスを導入し、圧力を3.0Paに保持した。次に、バイアス電圧を-400Vとして、アルゴンボンバード処理を11分行った。次に、圧力を0.1Paに減圧し、Ti金属蒸発源に150Aのアーク電流を印可し、0.3分間処理し、基体の表面に対してTi含有層を形成した。アルゴンボンバード処理及びTi含有層形成処理を繰り返し、合計3回行うことで、層厚8nmの中間層を形成した。但し、2回目及び3回目のアルゴンボンバード処理では、バイアス電圧を-200Vとした。
<アルゴンボンバード処理の処理条件>
(1)バイアス電圧:-400V
(2)圧力:3Pa
(3)処理時間:11分
<Ti含有層の成膜条件>
(1)アーク電流:150A
(2)バイアス電圧:-400V
(3)圧力:0.1Pa
(4)処理時間:0.3分
<2回目以降のアルゴンボンバード処理条件>
(1)バイアス電圧:-200V
(2)圧力:3Pa
(3)処理時間:1分
中間層は、拡散による他の金属元素を含有していてもよい。例えば、中間層がTiを含有する場合、Ti以外の金属元素を50~98原子%含有していてもよい。
次に、第1被覆層を形成した。基体が収容されたチャンバの内部に雰囲気ガス及びN源としてNガスを導入し、チャンバの内部の圧力を3Paに保持した。次にAl金属、Cr金属、及びAl50Si50合金蒸発源にそれぞれ、-130Vのバイアス電圧、及びアーク電流をそれぞれ、135~150A、120~150A、110~120Aで15min間、各アーク電流を0.04minの周期で繰り返し印加し、平均厚み1.8μmの第1被覆層であるAl50Cr39Si11N層を形成した。
次に、第2被覆層を形成した。Ti金属、及びTi50Si50合金蒸発源にそれぞれ、-100Vのバイアス電圧、及びアーク電流をそれぞれ、100~200A、100~200A、で各アーク電流を10min間、0.04min周期で繰り返し印加し、平均厚み1.2μmの第2被覆層であるTi86Si14N層を形成した。
試料No.1に対するX線強度分布の測定条件は、以下の通りとした。なお、試料面法線が入射線と回折線で決まる平面上にあるとき、α角を90°とする。α角が90°のとき、正極点図上では中心の点となる。
(1)平板コリメータ
(2)走査方法:同心円
(3)β走査範囲:0°以上360°以下/2.5°ピッチ
(4)θ固定角度:Ti86Si14N結晶の(111)面の回折角度は36.0°から38.0°までの間で回折強度が最も高くなる角度とする。Ti86Si14N結晶の(200)面の回折角度は42.0°から44.0°までの間で回折強度が最も高くなる角度とする。
(5)α走査範囲:0°以上90°以下/2.5°ステップ
(6)ターゲット:CuKα、電圧:45kV、電流:40mA
被覆層を形成した2KMBL0200-0800-S4形状の被覆ボールエンドミルを用いて切削試験を行った。切削試験においては、切削長1mごとに刃先逃げ面を観察し、チッピングの有無を顕微鏡にて観察し、チッピングが発生した時点の切削長から計算される衝撃回数を求めた。下記に試験条件を示す。また、比較例として、従来からある製品(試料No.2~No.8)についても同様の試験を行った。
<切削試験条件>
(1)被削材:SKD11H
(2)回転数:16900min-1
(3)テーブル送り:1320mm/min
(4)切り込み量(ap×ae):0.08mm×0.2mm
(5)切削状態:湿式
(6)クーラント:オイルミスト
<(111)面に関する正極点図のX線強度分布について>
図8は、試料No.1~No.8について、被覆層に含まれる立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のX線強度分布における各種数値をまとめた表である。
図8に示すように、試料No.1において、X線強度の最大値であるI1maxの85%以上のX線強度となる角度領域(θ1F)は、56.8°であった。また、30°以上90°以下の角度領域においてθ1Fが占める割合、すなわち、θ1F/(90°-30°)は、94.6%であった。
これに対し、試料No.2~No.8におけるθ1F/(90°-30°)は、それぞれ、50.0%、42.5%、55.8%、61.7%、48.3%、31.7%および25.0%である。すなわち、試料No.2~No.8はいずれも、30°以上90°以下の角度領域においてθ1Fが占める割合は、90%未満である。
また、試料No.1において、X線強度の最大値であるI1maxと第1領域におけるX線強度の最小値であるI11minとの差(I1max-I11min)は375であり、X線強度の最大値であるI1maxと第2領域におけるX線強度の最小値であるI12minとの差は、2663であった。また、試料No.1において、I1maxに対するI11minの比率、すなわち、I11min/I1maxは、86.8%であった。
このように、試料No.1において、I1maxとI11minとの差(I1max-I11min)は、I1maxとI12minとの差よりも小さく、I11minは、I1maxの85%以上であった。これに対し、試料No.2~No.8はいずれも、I11minがI1maxの85%未満である。
また、試料No.1において、I1maxに対するI12minの比率、すなわち、I12min/I1maxは、6.0%であった。このように、試料No.1において、I12minは、I1maxの5%以上20%以下である。これに対し、試料No.2~No.4,No.7,No.8は、I12minがI1maxの5%未満であり、試料No.5,No.6は、I12minがI1maxの20%超であった。
また、試料No.1において、θ1maxは、45°であった。このように、試料No.1において、θ1maxは、35°以上55°以下であった。これに対し、試料No.2~No.8のθ1maxは、それぞれ60°、32.5°、32.5°、60°、40°、80°、60°であった。
また、試料No.1は、60°の位置に変曲点を有する。すなわち、試料No.1は、第1領域に1つの変曲点を有する。これに対し、試料No.2は、第1領域における85°の位置に変曲点を有し、試料No.3は、第1領域における47.5°および80°の位置にそれぞれ変曲点を有し、試料No.4は、第1領域における47.5°、60°、82.5°の位置にそれぞれ変曲点を有する。また、試料No.5は、変曲点を有さず、試料No.6は、第1領域における85°の位置に変曲点を有し、試料No.7は、変曲点を有さず、試料No.8は、第1領域における75°の位置に変曲点を有する。
<(200)面に関する正極点図のX線強度分布について>
図9は、試料No.1~No.6について、被覆層に含まれる立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のX線強度分布における各種数値をまとめた表である。
図9に示すように、試料No.1において、X線強度の最大値であるI2maxと第3領域におけるX線強度の最小値であるI23minとの差(I2max-I23min)は、61であり、I2maxと第4領域におけるX線強度の最小値であるI24minとの差(I2max-I24min)は、4912であった。また、試料No.1において、I2maxに対するI23minの比率、すなわち、I23min/I2maxは、98.8%であった。このように、試料No.1は、I2maxとI23minとの差(I2max-I23min)が、I2maxとI24minとの差(I2max-I24min)より小さく、I23minがI2maxの95%以上である。
これに対し、試料No.2~No.6は、I2maxに対するI23minの比率、すなわち、I23min/I2maxが、それぞれ58.4%、49.9%、37.8%、90.5%、56.9%であり、いずれも95%未満であった。
また、試料No.1において、I2maxに対するI24minの比率は、2.4%であった。このように、試料No.1において、I24minはI2maxの2%以上35%以下である。これに対し、試料No.2~No.4は、I24minがI2maxの2%未満であり、試料No.5,No.6は、I24minはI2maxの35%超である。
また、試料No.1において、θ2maxは、82.5°であった。このように、試料No.1は、θ2maxが70°以上85°以下である。これに対し、試料No.2~No.6のθ2maxは、それぞれ67.5°、65°、20°、70°、70°、75°であった。
<切削試験結果>
図10は、試料No.1~No.8について実施した切削試験の結果をまとめた表である。図10に示すように、本開示に実施例に相当する試料No.1は、衝撃回数128000回でもチッピングが発生しなかった。これに対し、比較例である試料No.2~No.8は、衝撃回数30000~50000回でチッピングが発生した。
このように、本開示の実施例に相当する試料No.1は、比較例である試料No.2~No.8と比較して、チッピングが生じるまでの衝撃回数が多かった。この結果から、本開示による被覆工具は、耐衝撃性が高いことがわかる。
上述してきたように、実施形態に係る被覆工具(一例として、被覆工具1)は、基体(一例として、基体10)と、基体の上に位置する少なくとも1層の被覆層(一例として、被覆層20)とを備える。被覆層は、周期表4a、5a、6a族元素、AlおよびSiの中から選ばれた少なくとも1種の元素と、CおよびNの中から選ばれた少なくとも1種の元素とからなる立方晶の結晶を含有する。また、被覆層は、立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値(I1max)を有し、且つ、I1maxの85%以上のX線強度となる角度領域(θ1F)が、30°以上90°以下の領域で90%以上を占める。
したがって、実施形態に係る被覆工具によれば、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、図1に示した被覆工具1の形状はあくまで一例であって、本開示による被覆工具の形状を限定するものではない。本開示による被覆工具は、たとえば、回転軸を有し、第1端から第2端にかけて延びる棒形状の本体と、本体の第1端に位置する切刃と、切刃から本体の第2端の側に向かって螺旋状に延びた溝とを有していてもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 被覆工具
2 チップ本体
5 貫通孔
10 基体
20 被覆層
22 中間層
23 第1被覆層
24 第2被覆層
70 ホルダ
73 ポケット
75 ネジ
100 切削工具

Claims (9)

  1. 基体と、該基体の上に位置する少なくとも1層の被覆層とを備え、
    該被覆層は、周期表4a、5a、6a族元素、AlおよびSiの中から選ばれた少なくとも1種の元素と、CおよびNの中から選ばれた少なくとも1種の元素とからなる立方晶の結晶を含有し、
    前記被覆層は、前記立方晶の結晶の(111)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値(I1max)を有し、且つ、前記I1maxの85%以上のX線強度となる角度領域(θ1F)が、30°以上90°以下の領域の90%以上を占める、被覆工具。
  2. 前記(111)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記I1maxを示すα軸の角度(θ1max)より高角度側の領域である第1領域におけるX線強度の最小値(I11min)と前記I1maxとの差(I1max-I11min)が、前記θ1maxより低角度側の領域である第2領域におけるX線強度の最小値(I12min)と前記I1maxとの差(I1max-I12min)より小さく、前記I11minが前記I1maxの85%以上である、請求項1に記載の被覆工具。
  3. 前記(111)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記第1領域に少なくとも1つの変曲点を有する、請求項2に記載の被覆工具。
  4. 前記(111)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記I12minが前記I1maxの5%以上20%以下である、請求項2または3に記載の被覆工具。
  5. 前記(111)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記I1maxを示すα軸の角度(θ1max)が35°以上55°以下である、請求項1に記載の被覆工具。
  6. 前記被覆層は、前記立方晶の結晶の(200)面に関する正極点図のα軸のX線強度分布におけるα軸の角度が0°以上90°以下の測定範囲において、X線強度の最大値(I 2max )を有し、
    前記I 2max を示すα軸の角度(θ 2max )より高角度側の領域である第3領域におけるX線強度の最小値(I 23min )と前記I 2max との差(I 2max -I 23min )が、前記θ 2max より低角度側の領域である第4領域におけるX線強度の最小値(I 24min )と前記I 2max との差(I 2max -I 24min )より小さく、前記I 23min が前記I 2max の95%以上である、請求項1に記載の被覆工具。
  7. 前記(200)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記I 24min が前記I 2max の2%以上35%以下である、請求項6に記載の被覆工具。
  8. 前記(200)面に関する正極点図において、前記被覆層は、前記θ 2max が70°以上85°以下である、請求項6に記載の被覆工具。
  9. 端部にポケットを有する棒状のホルダと、
    前記ポケット内に位置する、請求項1に記載の被覆工具と
    を有する、切削工具。
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