JP7576966B2 - 強化白金合金及び強化白金合金の製造方法、並びにガラス製造装置 - Google Patents
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Description
(I-1)本発明に係る強化白金合金の構成元素・組成
本発明に係る強化白金合金の構成元素は、Zrを必須添加元素とする添加元素と、マトリックスの構成元素であるPt又はPt及びRhと、酸素及び不可避不純物である。
(1)添加元素
添加元素は、強化白金合金中で酸化物の形態で存在し、分散粒子として合金の強化に寄与する。Zrを必須の添加元素とするのは、Zr酸化物(ZrO2)は、熱膨張係数が比較的Ptに近いことによる。また、Zr酸化物は、溶融ガラスに対して着色等の悪影響を及ぼし難いからである。更に、ZrはPtよりも酸化物生成自由エネルギーが低いことから、分散粒子の形成が容易である。後述の通り、本発明においては、合金中に微量に含まれる添加元素を高度に酸化して超微細の酸化物を形成することが求められる。以上の特性及び要求に応じるため、Zrは必須の添加元素となる。
本発明に係る強化白金合金は、Pt又はPtRh合金をマトリックスとした分散強化型合金である。よって、Pt又はPt及びRhは、本発明において主要な構成元素である。マトリックスとしてPtに加えPtRh合金が適用されるのは、マトリックスの強度向上のためである。マトリックスをPtRh合金とする場合、Rhの含有量は、5質量%以上40質量%以下であるものが好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
酸素は、強化白金合金中でZr等の添加元素と共に酸化物の形態で存在する。よって、酸素は必須的に含まれる元素といえる。強化白金合金の酸素の含有量は、添加元素の含有量、合金製造工程における酸化処理の条件、酸化処理前の白金合金中の不可避不純物の含有量等によって変化する。そして、本発明に係る強化白金合金の酸素含有量は、Zr等の添加元素の酸化物に起因する理論酸素含有量に対して1.0倍以上2.0倍以下であることが好ましい。理論酸素含有量とは、強化白金合金中の添加元素が全て酸化物を生成したと仮定したときの合金中の酸素原子濃度である。理論酸素含有量の算出は、各添加元素の酸化物が化学量論組成の酸化物(ZrO2、Y2O3、CeO2等)であるとして、各添加元素の含有量に基づき計算される。
本発明に係る強化白金合金の不可避不純物としては、Al、Fe、Co、Ni、Si、W等が挙げられる。また、Pd、Au、Ag、Ir、Ru等の貴金属も不可避不純物となり得る。更に、マトリックスをPt(純Pt)とする場合には、上記に加えてRhも不可避不純物となり得る。これらの不可避不純物は、母合金を製造する際の各原料金属(Pt、Rh)に含まれる不純物に由来する他、圧縮成形や鍛造加工等の加工装置から混入することもある。もっとも、後述の通り、本発明に係る強化白金合金は、白金合金粉末の湿式粉砕処理や脱ガス処理を必須としない比較的シンプルな工程で製造可能であることから、製造過程での不純物混入は低減されている。これらの意図されずに含まれる不可避不純物の含有量は、合計で500ppm以下とすることが好ましい。
強化白金合金は、白金又は白金合金をマトリックス(母相)とし、ここに酸化物粒子が分散する材料組織を示す。本発明に係る強化白金合金も同様であり、Pt又はPtRh合金からなるマトリックス中にZrを必須とする添加元素の酸化物粒子が分散している。
上記のとおり、本発明に係る強化白金合金は、高温クリープ試験によるクリープ特性(クリープ破断時間)と、常温引張試験における引張特性(破断伸び)の双方を規定することで特定される。
本発明に係る強化白金合金は、1400℃で応力10MPaの高温クリープ試験によるクリープ破断時間が100時間以上であることを要する。本発明に係る強化白金合金は、従来の強化白金合金で問題が生じていた要因として、高すぎる高温強度を見出したことからなされた発明である。但し、高温強度を過度に低下させることは好ましくない。本発明では、必要且つ最適な高温強度として、上記したクリープ試験によるクリープ破断時間を規定する。このクリープ試験の条件として、温度1400℃とし、応力10MPaとしたのは、熔解槽等の使用温度や負荷応力を想定しつつ、それよりも大きな負荷を課すためである。
本発明に係る強化白金合金は、上記高温クリープ特性に加えて、常温引張試験における破断伸びが35%以上であることを要する。この破断伸び特性は、常温における材料の柔軟性・柔らかさを示唆する特性である。本発明に係る強化白金合金は、常温での柔軟性を獲得することで、加工によって導入される歪や格子欠陥の蓄積を抑制することができる。熔解槽等のガラス製造装置は、通常、常温での加工で製造される。上記の通り、熔解槽は絞り加工で製造されることが多く、底面外周部の加工度が高くなる。本発明によれば、加工によるダメージの蓄積が少ない熔解槽等の製造が可能となり、それらの稼働中の割れ破損を抑制できる。
上述の通り、本発明に係る強化白金合金は、高温域では従来の分散粒子による強化白金合金としてのクリープ強度を有する一方、常温域では柔軟性を有する白金合金である。一般的には、強度と柔軟性とは相反する性質であり、本発明はそれら双方に関する物性値をバランス良く有する白金系材料である。
これまで述べた通り、本発明に係る強化白金合金は、Zr含有量を0.04質量%以上0.25質量%以下とする。本発明に係る強化白金合金は、この範囲内におけるZr含有量の調整により、上記した高温クリープ特性と常温引張伸びを維持しつつ、他の物性又は高温クリープ特性の更なる向上のいずれかの物性を獲得できる。
次に、本発明に係る強化白金合金の製造方法について説明する。本発明の強化白金合金の製造方法は、基本的に、従来技術である粉末冶金法に従う。粉末冶金法では、まず、母合金となる白金合金から白金合金粉末を製造する。そして、白金合金粉末を酸化処理して酸化物が分散した合金粉末を製造した後、成型及び適宜の加工工程を経た後にアニールすることで所望の形状と物性(高温クリープ特性、常温引張特性)の強化白金合金が製造される。従来の製造工程では、白金合金粉末の酸化処理前に、湿式粉砕(ボールミル粉砕)やその後の脱ガス処理等を付加する等の改良が加えられている(特許文献4、5)。
本発明では、まず、母合金となる白金合金を得る。母合金は、添加元素として必須的に0.04質量%以上0.25質量%以下のZrを含み、残部がPt又はPt及びRhと不可避不純物とからなる白金合金である。強化白金合金がZr以外の他の添加元素(Y、Ce等)を含む場合は、これらの他の添加元素を含む母合金とする。この白金合金の製造については、一般的な貴金属の熔解鋳造法による。
酸化処理は、白金合金からなる白金合金粉末中の添加元素(Zr等)を酸化して酸化物粒子を生成するための工程であり、必須の工程である。本発明においては、この酸化処理工程に関し、以下の点において留意する必要がある。
本発明では、酸化処理において、白金合金粉末を自然載置した状態で加熱酸化することを要する。本発明において自然載置状態とは、個々に独立した状態の白金合金粉末を無負荷で酸化処理雰囲気内に載置した状態である。例えば、上記従来技術で行われる酸化処理前の脱ガス処理(特許文献5)においては、白金合金粉末を型に充填して加熱焼成する処理がなされる。この脱ガス処理においては、白金合金粉末に吸着したガス成分が脱離するが、これと同時に白金合金粉末は緩やかに焼結して固まった状態となる。この焼結による白金合金粉末の粉末塊は、緻密度は低いものの、焼結による内部応力が残留した状態にある。また、白金合金粉末同士が結合した状態にある。
本発明に係る強化白金合金の製造では、酸化処理における雰囲気として酸素含有量(酸素分圧)が50%以上とすることを必須条件とする。従来の強化白金合金の製造では、熱処理雰囲気を大気雰囲気とする場合が多い。本発明においては、含有量が制限された添加元素を効果的に酸化する必要があることから酸化処理の雰囲気の酸素含有量を厳密に制御することとした。本発明者等の検討によれば、本発明の製造方法で酸化処理雰囲気を大気雰囲気とすると、酸化物粒子の粗大化が生じる傾向にある。酸化処理雰囲気の酸素含有量については、好ましくは80%以上であり、より好ましくは99%以上とする。
ところで、上記した従来の強化白金合金の製造方法では、高温クリープ特性の上昇のため、白金合金粉末の酸化処理の前後において、いくつかの改善点が提案されている。例えば、白金合金粉末(酸化処理前後の白金合金粉末)を溶媒(水又は有機溶媒若しくは水と有機溶媒との混合溶媒)中でボールミル等によって湿式粉砕する工程(特許文献2、4)や、湿式粉砕後の白金合金粉末を真空中で加熱する脱ガス処理工程(特許文献5)といった付加的なプロセスが知られている。これらの付加的プロセスは、添加元素の酸化物の状態や使用過程における材料の膨れ・変形抑制に有効であるとされている。
そして、酸化処理がなされ酸化物粒子が分散した白金合金からなる白金合金粉末について成型加工を行い、緻密度の高い白金合金のインゴットを製造する。また、成型加工は、その後に圧延工程を行う場合、加工に適した形状とする。成型工程における具体的加工方法としては、熱間鍛造加工が適用できる。白金合金粉末は、上述の酸化処理による加熱による焼結によって粉末塊となることが多い。熱間加工においては、この白金合金粉末塊を、1000℃以上1400℃以下に加熱して加工するのが好ましい。熱間鍛造は、加熱と鍛造加工とを1セットとして複数回行うことが好ましい。
成型加工後の強化白金合金については、必要に応じて圧延加工等の後加工工程を行って強化白金合金の板材等を製造することができる。また、用途(適用されるガラス製造装置)に応じた形状に成形加工するため、圧延加工、押出加工、引き抜き加工等の加工工程を更に付加することもできる。これらの後加工工程は、同じ加工プロセスを複数繰り返し行っても良いし、異なる加工プロセスを組み合わせて行っても良い。また、複数回の加工を行う場合、加工硬化を考慮した中間熱処理を行なっても良い。
以上の成型加工工程の後及び適宜の後加工工程の後には、強化白金合金を熱処理(アニール処理)する。アニールによって再結晶組織を発現させて好適な材料組織を得るためである。アニール処理の条件は、加熱温度を1000℃以上1500℃以下とし、処理時間を0.5時間以上3時間以下とすることが好ましい。アニール処理は、大気中で行うことができるが、非酸化性雰囲気で行っても良い。
本発明に係る強化白金合金は、高温環境下で使用される各種装置の構成材料として好適である。特に、本発明は、各種のガラス材料を製造するガラス製造装置の構成部材として有用である。本発明に係るガラス製造装置としては、溶融ガラスを貯留可能な塔槽類として、溶解槽、清澄槽、撹拌槽等が挙げられる。また、撹拌槽で溶融ガラスを撹拌して均質化処理を行うスターラー(撹拌棒)も対象となる。更に、溶融ガラス成形するための装置や紡糸のためのブッシング(ノズル及びベースプレート)も対象となる。特に好ましくは、製造時に部分的に強加工を受け得る熔解槽等の塔槽類である。但し、製造時の加工の有無や加工の強弱によらず、本発明は、広く各種のガラス製造装置の構成材料とすることができる。よって、本発明は、溶融ガラスを流通させる樋形状の流路、スロート、接続パイプ等にも適用可能である。
また、ガラス製造装置以外の用途として、本発明に係る強化白金合金は、単結晶育成等で使用される坩堝の構成材料としても有用である。
まず、真空アーク溶解により、ボタン状のPt-12質量%Zr合金50.0gを母合金として作製した。この母合金と純Ptとを真空溶解で鋳造してPt-0.07質量%Zrの白金合金の棒材(寸法:φ44mm×260mm)を製造した。そして、この棒材を電極とした電極誘導溶解ガスアトマイズ装置により、白金合金(Pt-0.07質量%Zr合金)のアトマイズ粉末を製造した。このとき製造された白金合金のアトマイズ粉末は粒径300μm以下であり、製造したアトマイズ粉末の全てを回収して、その後の工程に供した。
製造したアトマイズ粉末を、特段の圧力を付与することなく、そのまま、アトマイズ装置の回収容器から熱処理用容器に投入した。そして、この自然載置状態のままで酸化処理のための熱処理に供した。酸化処理は、純酸素雰囲気中、1300℃で6時間加熱し、Zr酸化物粒子が分散したPt合金からなるアトマイズ粉末とした。尚、この酸化処理による加熱によって白金合金粉末は焼結し粉末塊となった。
上記の酸化処理で得られた白金合金粉末塊を熱処理用容器から取り出して熱間鍛造による成型加工を行った。熱間鍛造加工では、白金合金粉末塊を1300℃に加熱して鍛造加工した。鍛造加工は6セット行った。そして、成型加工工程の後、冷間圧延加工して1mm厚の白金合金板材を製造した。冷間圧延工程中には、中間熱処理(大気中で1250℃、30分間の焼鈍処理)を行い複数回の圧延をして前記板材とした。圧延加工後、白金合金板材を1400℃で1時間アニールして強化白金合金の板材を製造した。
この比較例では、アトマイズ粉末を湿式粉砕及び脱ガス処理した後に酸化処理を行った。アトマイズ粉末と球径5mmのPt-ZrO2合金製ボールを、湿式粉碎機であるアトライタポット(Pt-ZrO2合金製)に投入した。ポット内を密閉した後、有機溶媒(ヘプタン)を導入した。その後、 回転速度215rpmで粉碎用羽根を回転し、 約5時間の湿式微粉砕処理を行った。粉砕後の白金合金微粉末は、120℃で7時間乾燥処理をして有機溶媒を除去した。
脱ガス処理によってカーボン製容器内で固化した白金合金粉末塊を酸化処理した。この酸化処理では、白金合金粉末塊を大気雰囲気中1300℃で1時間加熱した。その後、第1実施形態と同様に熱間鍛造及び圧延加工し、更に、アニール処理を行って強化白金合金の板材を製造した。
[酸化処理後の白金合金粉末及び強化白金合金のミクロ組織]
図1は、本実施形態及び比較例の強化白金合金の製造工程において、酸化処理後の白金合金粉末(白金合金粉末塊)の表面を観察したときのSEM写真(倍率10000倍)である。比較例の白金合金粉末では、丸みを帯びた酸化物粒子(ZrO2)が連結しているのがわかる。本実施形態の白金合金粉末では、微細な酸化物粒子が孤立した状態で分散している。この酸化物粒子の粒径・分布状態の相違は、比較例のZr含有量(0.30質量%)が、本実施形態のZr含有量(0.07質量%)よりも多いことによるものと考えられる。但し、これらの白金合金粉末においては、白金マトリックスの表面形態において相違する。本実施形態の酸化処理後の白金合金粉末においては、すべり面の露出と推定される表面起伏による段差が見られる。一方、比較例の酸化処理後の白金合金粉末のマトリックスには、そのような形態変化がない。本発明者等は、比較例の製造工程における脱ガス処理や湿式粉砕の際に導入された歪や残留応力の影響によるものと推定している。このマトリックスの形態の相違が、成型・アニール後の強化白金合金の特性にどのような機構で影響を及ぼすかは明らかではない。しかし、後述する強化白金合金の断面組織や、高温クリープ特性・常温引張特性の結果を考慮すると、酸化処理後の白金合金粉末における上記相違点が何らかの作用を及ぼしていると考察される。
上記で製造した第1実施形態、比較例の強化白金合金について、高温クリープ試験を行った。上記で製造した強化白金合金の板材から、クリープ試験及び常温引張試験用の試験片(JIS 13B引張試験片)を加工採取した。試験温度は1400℃とし、一定荷重での 応力破壊 (クリープ) 試験を行った。本実施形態では、複数の荷重(応力)を設定し、各設定荷重における高温クリープ試験をした。本実施形態の強化白金合金については、8、10、12、15、20、25MPaの各荷重における破断時間を測定した(n=2)。また、比較例の強化白金合金では、15、20、25MPaとしてクリープ試験を行って破断時間を測定した(n=2)。尚、比較例の強化白金合金のZr含有量が比較的大きいことを考慮し、比較例の荷重は高めとしている。そして、各荷重における破断時間をプロットし、表計算ソフトウエア(Microsoft社 Excel 2010)による累乗近似によりクリープ曲線を作成した。
本実施形態及び比較例の強化白金合金について、ガラス製造装置である熔解槽の使用状態を模擬した熱疲労試験を行った。上記で製造した板材から、300mm(L)×100mm(W)の板材を切り出して試験材とした。熱疲労試験では、まず、試験材の両端に通電加熱用電極を取付けて所定の試験温度に加熱する。この加熱状態の試験材の中央部分に一定時間エアーを吹付けて局所的に冷却する。これにより加熱で膨張した試験材の中央部分のみが収縮して熱応力が発生する。そして、エアー吹付け後、所定時間経過後に再度エアー吹付けを行なう。この加熱-冷却サイクルを繰り返し、割れの有無を確認することで熱疲労に対する耐性を評価できる。本実施形態の熱疲労試験では、詳細には、下記の条件にて実施した。
・試験温度:1400℃
・通電条件:5V/1350A
・エアー吹付け条件:6L/3秒間
・サイクル条件:20秒間/1サイクル
Zr含有量が0.04質量%の強化白金合金については、10、12、15MPaで試験を行った。また、Zr含有量が0.1質量%以上の強化白金合金については、15、20、25MPaで試験を行った。そして、常温引張試験の方法も第1実施形態と同様とした。更に、本実施形態でも第1実施形態と同様の熱疲労試験(サイクル数5000回)を行った。
ここで、第2実施形態で製造した強化白金合金について、添加元素としてZrのみを含む強化白金合金(Zr濃度;0.01質量%、0.04質量%、0.07質量%、0.10質量%、0.14質量%、0.21質量%、0.30質量%)について酸素含有量を測定した。酸素含油量の測定は、酸素・窒素分析装置(EMGA-920 株式会社堀場製作所製)を使用した。そして、実際の酸素含有量の測定と共に、各合金の理論酸素含有量を算出した。理論酸素含有量の算出には、合金中のZrが全てZrO2を生成したと仮定した。
Claims (7)
- Pt又はRh含有量が5質量%以上40質量%以下のPtRh合金からなるマトリックス中に添加元素の酸化物からなる分散粒子が分散してなり、前記酸化物が分散した白金合金粉末が成型されてなる強化白金合金において、
前記強化白金合金は、前記添加元素として必須的に0.04質量%以上0.25質量%以下のZrを含み、残部が前記マトリックスの構成金属と酸素及び不可避不純物とからなり、
1400℃で応力10MPaの高温クリープ試験によるクリープ破断時間が100時間以上であり、
且つ、常温引張試験における破断伸びが35%以上であることを特徴とする強化白金合金。 - 添加元素として0.04質量%以上0.12質量%以下のZrを含み、
1400℃で応力20MPaの高温クリープ試験によるクリープ歪速度が3×10-5%/sec以上3×10-4%/sec以下である請求項1記載の強化白金合金。 - 添加元素として0.12質量%超0.25質量%以下のZrを含み、
1400℃で応力20MPaの高温クリープ試験によるクリープ破断時間が20時間以上である請求項1記載の強化白金合金。 - 添加元素として、更に、Y、Ce、Sc、Hfの少なくともいずれかを含み、添加元素の合計含有量が0.04質量%以上0.25質量%以下である請求項1~請求項3のいずれかに記載の強化白金合金。
- 強化白金合金の酸素含有量は、前記添加元素の酸化物に起因する理論酸素含有量に対して1.0倍以上2.0倍以下である請求項1~請求項4のいずれかに記載の強化白金合金。
- 請求項1~請求項5のいずれかに記載の強化白金合金の製造方法であって、
添加元素として必須的に0.04質量%以上0.25質量%以下のZrを含み、残部がPt又はPt及びRhと不可避不純物とからなる白金合金粉末を製造する工程と、
前記白金合金粉末を800℃以上1400℃以下で加熱して酸化処理する工程と、
前記酸化処理後の白金合金粉末を成型する工程と、
成型後の白金合金インゴットをアニールする工程と、を含み、
前記酸化処理は、前記の白金合金粉末を製造する工程で製造された前記白金合金粉末を、粉砕処理することなくそのまま無負荷の自然載置した状態で、酸素含有量が50%以上100%以下の処理雰囲気中で加熱する工程である強化白金合金の製造方法。 - 請求項1~請求項5のいずれかに記載の強化白金合金からなるガラス製造装置。
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