以下、本発明に係る現像剤補給容器について具体的に説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において現像剤補給容器の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施例に記載された現像剤補給容器の構成だけに限定する意図はない。
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給システム、つまり、現像剤補給装置と現像剤補給容器の構成について順に説明する。
(画像形成装置)
現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成について図1を用いて説明する。
同図において、100は複写機本体(以下、画像形成装置本体もしくは装置本体という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体104(以下、感光体)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(1成分現像器)201aにより現像剤T(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本例では現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤Tとして1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤Tを用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤Tとして非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
105~108は記録媒体(以下、「シート」ともいう)Sを収容するカセットである。これらカセット105~108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。ここで記録媒体としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。
そして、給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111、112は転写帯電器、分離帯電器である。ここで、転写帯電器111によって、感光体104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体104から分離する。
この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体104の回りには現像手段としての現像器201a、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201aは原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤Tを付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤Tを除去するためのものである。
(現像剤補給装置)
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給装置201について、図1~図4を用いて説明する。ここで、図2(a)は現像剤補給装置201の部分断面図、図2(b)は現像剤補給容器1を装着する装着部10の斜視図、図2(c)は装着部10の断面図を示している。また、図3は、制御系並びに、現像剤補給容器1と現像剤補給装置201を部分的に拡大した断面図を示している。図4は制御系による現像剤補給の流れを説明するフローチャートである。
現像剤補給装置201は、図1に示すように、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)10と、現像剤補給容器1から排出された現像剤Tを一時的に貯留するホッパ10aと、現像器201aと、を有している。現像剤補給容器1は、図2(c)に示すように、装着部10に対してM方向に装着される構成となっている。つまり、現像剤補給容器1の長手方向(回転軸線方向)がほぼこのM方向と一致するように装着部10に装着される。なお、このM方向は、後述する図7(a)のX方向と実質平行である。また、現像剤補給容器1の装着部10からの取り出し方向はこのM方向とは反対の方向となる。
現像器201aは、図1及び図2(a)に示すように、現像ローラ201fと、撹拌部材201c、送り部材201d、201eを有している。そして、現像剤補給容器1から補給された現像剤Tは撹拌部材201cにより撹拌され、送り部材201d、201eにより現像ローラ201fに送られて、現像ローラ201fにより感光体104に供給される。
なお、現像ローラ201fには、ローラ上の現像剤コート量を規制する現像ブレード201g、現像器201aとの間の現像剤の漏れを防止するために現像ローラ201fに接触配置された漏れ防止シート201hが設けられている。
また、装着部10には、図2(b)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部4(図6(a)参照)と当接することでフランジ部4の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)11が設けられている。
また、装着部10は、現像剤補給容器1が装着された際に、後述する現像剤補給容器1の排出口(排出孔)4a(図6(b)参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口(現像剤受入れ孔)13を有している。そして、現像剤補給容器1の排出口4aから現像剤が現像剤受入れ口13を通して現像器201aへと供給される。なお、本実施例において、現像剤受入れ口13の直径φは、装着部10内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的より、微細口(ピンホール)として約3mmに設定されている。なお、現像剤受入れ口の直径は排出口4aから現像剤が排出できる直径であればよい。
また、ホッパ10aは、図3に示すように、現像器201aへ現像剤Tを搬送するための搬送スクリュー10bと、現像器201aと連通した開口10cと、ホッパ10a内に収容されている現像剤Tの量を検出する現像剤センサ10dを有している。
更に、装着部10は、図2(b)、(c)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500(不図示)から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部10にセットされた状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
また、駆動モータ500は、図3に示すように、制御装置(CPU)600(不図示)によりその動作を制御される構成となっている。制御装置600は、図3に示すように、残量センサ10dから入力された現像剤残量情報に基づき、駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。なお、本例において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化を図ることができる。
(現像剤補給容器の装着/取り出し方法)
次に、現像剤補給容器1の装着/取り出し方法について説明する。
まず、操作者が、交換カバーを開き、現像剤補給容器1を現像剤補給装置201の装着部10へ挿入、装着させる。この装着動作に伴い、現像剤補給容器1のフランジ部4が現像剤補給装置201に保持、固定される。
その後、操作者が交換カバーを閉じることで、装着工程が終了する。その後、制御装置600が駆動モータ500を制御することにより、駆動ギア300を適宜のタイミングで回転させる。
一方、現像剤補給容器1内の現像剤が空となってしまった場合には、操作者が、交換カバーを開き、装着部10から現像剤補給容器1を取り出す。そして、予め用意してある新しい現像剤補給容器1を装着部10へと挿入、装着し、交換カバーを閉じることにより、現像剤補給容器1の取り出し~再装着に至る交換作業が終了する。
(現像剤補給装置による現像剤補給制御)
次に、現像剤補給装置201による現像剤補給制御について、図4のフローチャートを基に説明する。この現像剤補給制御は、制御装置(CPU)600により各種機器を制御することにより実行される。
図3に示すように、現像剤センサ10dの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500の作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ10a内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。
具体的には、まず、現像剤センサ10dがホッパ10a内の現像剤収容量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量未満であると判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤が検出されなかった場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給動作を実行する(S101)。
この現像剤補給動作の結果、現像剤センサ10dにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定された場合、つまり、現像剤センサ10dにより現像剤Tが検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤Tの補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤Tが消費されてホッパ10a内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
このように、現像剤補給容器1から排出された現像剤Tを、ホッパ10a内に一時的に貯留し、その後、現像器201aへ補給する構成でも構わないが、本例では、以下のような現像剤補給装置201の構成としている。
具体的には、図5に示すように、上述したホッパ10aを省き、現像剤補給容器1から現像器201aへ直接的に現像剤Tを補給する構成である。この図5は、現像剤補給装置201として2成分現像器800を用いた例である。この現像器800には、現像剤Tが補給される攪拌室と現像スリーブ800aへ現像剤Tを供給する現像室を有しており、攪拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなる攪拌スクリュー800bが設置されている。そして、攪拌室と現像室は長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。
また、攪拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ800cが設置されており、この磁気センサ800cの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。なお、この構成の場合、現像剤補給容器から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本例では、後述するように、現像剤補給容器1内の現像剤は排出口4aから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ部3aによる容積可変動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ10aを省くことができ、図5のような例であっても、現像室へ現像剤を安定的に補給することが可能である。
(現像剤補給容器)
次に、現像剤補給システムの構成要素である現像剤補給容器1の構成について、図6、図7を用いて説明する。ここで、図6(a)は現像剤補給容器1の全体斜視図、図6(b)は現像剤補給容器1の排出口4a周辺の部分拡大図、図6(c)は現像剤補給容器1を装着部10に装着した状態を示す正面図である。また、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部が使用上最大限伸張された状態の部分断面図、(c)はポンプ部が使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
現像剤補給容器1は、図6(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤Tを収容する内部空間を備えた現像剤収容部2(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部2kと排出部4c(図5参照)、ポンプ部3a(図5参照)が現像剤収容部2として機能する。さらに、現像剤補給容器1は、現像剤収容部2の長手方向(現像剤搬送方向)一端側にフランジ部4(非回転部とも呼ぶ)を有している。また、円筒部2kはこのフランジ部4に対して相対回転可能に構成されている。なお、円筒部2kの断面形状を、現像剤補給工程における回転動作に影響を与えない範囲内において、非円形状としても構わない。例えば、楕円形状のものや多角形状のものを採用しても構わない。
なお、本例では、図7(b)に示すように、現像剤収容室として機能する円筒部2kの全長L1が約460mm、現像剤排出室として機能する排出部4cが設置されている領域の長さL2は約21mmに設定している。また、図7(b)に示すように、ポンプ部3aの全長L3(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約30mm、図7(c)に示すように、ポンプ部3aの全長L4(使用上の伸縮可能範囲の中で最も縮んだ状態のとき)は約24mmとなっている。
また、本例では、図6、7に示すように、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態のとき円筒部2kと排出部4cが水平方向に並ぶように構成されている。つまり、円筒部2kは、その水平方向長さがその鉛直方向長さよりも充分に長く、その水平方向側が排出部4cと接続された構成となっている。従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態のとき排出部4cの鉛直上方に円筒部2kが位置するように構成する場合に比して、後述する排出口4a上に存在する現像剤の量が少なくすることができる。その為、排出口4a近傍の現像剤が圧密され難く、吸排気動作を円滑に行うことが可能となる。
(現像剤補給容器の材質)
本例では、後述するように、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1内の容積を変化させることにより、排出口4aから現像剤を排出させる構成となっている。よって、現像剤補給容器1の材質としては、容積の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
また、本例では、現像剤補給容器1は、外部とは排出口4aを通じてのみ連通しており、排出口4aを除き外部から密閉された構成としている。つまり、ポンプ部3aにより現像剤補給容器1の容積を減少、増加させて排出口4aから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
そこで、本例では、現像剤収容部2と排出部4cの材質をポリスチレン樹脂とし、ポンプ部3aの材質をポリプロピレン樹脂としている。
なお、使用する材質に関して、現像剤収容部2と排出部4cは容積可変に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ部3aの材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤補給容器1の容積を変化させることができる材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、ポンプ部3a、現像剤収容部2、排出部4cのそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、それぞれを同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
以下、フランジ部4、円筒部2k、ポンプ部3a、駆動受け機構2d、駆動変換機構2e(カム溝)、の構成について、順に、詳細に説明する。
(フランジ部)
フランジ部4について、図7、図13を用いて説明する。図13(a)は現像剤補給容器1のフランジ部4を示す斜視図、(b)は現像剤補給容器1のフランジ部4を示す部分断面図、(c)は現像剤補給容器1のフランジ部4を示す正面図である。
図7、図13に示すように、現像剤収容部2内(現像剤収容室内)から搬送されてきた現像剤Tを一時的に貯留するための中空の排出部(現像剤排出室)4cが設けられている。この排出部4cの底部には、現像剤補給容器1の外へ現像剤の排出を許容する、つまり、現像剤補給装置201へ現像剤を補給するための小さな排出口4aが形成されている。この排出口4aの大きさについては後述する。また、排出口4aの上部には、排出前の現像剤を一定量貯留可能な現像剤貯留部4dが設けられている。
さらに、フランジ部4には排出口4aを開閉するシャッタ4bが設けられている。このシャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、装着部10に設けられた突き当て部21(必要に応じて図2(b)参照)と突き当たるように構成されている。従って、シャッタ4bは、現像剤補給容器1の装着部10への装着動作に伴い、円筒部2kの回転軸線方向(M方向とは逆方向)へ現像剤補給容器1に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ4bから排出口4aが露出されて開封動作が完了する。
この時点で、排出口4aは装着部10の現像剤受入れ口13と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1からの現像剤補給が可能な状態となる。
また、フランジ部4は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201の装着部10に装着されると、実質不動となるように構成されている。
具体的には、フランジ部4が自ら円筒部2kの回転方向へ回転することがないように、図2(b)に示す回転方向規制部11が設けられている。
従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に装着された状態では、フランジ部4に設けられている排出部4cも、円筒部2kの回転方向へ回転することが実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
また、フランジ部4には後述する円筒部2kに設けられた摺動部2q(図14参照)と回転軸方向で当接するフランジ爪4qを備えている。回転軸方向で摺動部2qとフランジ爪4qは当接しているため、円筒部2kは回転軸方向への移動が規制されている。なお、フランジ爪4qと摺動部2qは回転方向に当接しないように設けられている。そのため、円筒部2kは回転方向への規制は受けることなく、現像剤Tを搬送することが可能となっている。
なお、詳細については後述するが、フランジ部4にはカムリング部材に対向する対向面(対向部)にX方向の逆方向(図7(a)参照)に突出している凸部4mと、凸部4mからX方向にへこんでいる凹部4nを設けている。そして、図15(a)、(b)に示すカムリング部材のフランジ部4に対向する対向面(対向部)に設けられた凸部2m、凹部2nと回転軸方向でフランジ部4の凸部4m、凹部4nが当接する構成となっており、ポンプ部3aの伸縮動作に伴いカム溝2eが回転軸方向に移動するのを規制している。
(フランジ部の排出口について)
本例では、現像剤補給容器1の排出口4aについて、現像剤補給容器1が現像剤補給装置201に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、排出口4aの開口サイズは、重力作用のみでは現像剤補給容器から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、排出口4aが現像剤で実質閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。これにより、以下の効果を期待できる。
(1)排出口4aから現像剤が漏れ難くなる。
(2)排出口4aを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる。
(3)現像剤の排出をポンプ部3aによる排気動作に支配的に依存させることができる。
そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない排出口4aをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。
その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。
これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図8を用いて説明する。ここで図8は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。
この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端はらせんを描くことになる。
プロペラ型のブレード54(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如くらせん状に回転するブレード54を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図8に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器53(容積200cc、図8のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図8のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード54を粉体層に侵入させ、侵入深さ10~30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード54の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード54の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図9に示す。図9は、排出口の径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。
図9に示す検証結果より、現像剤A~Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。
つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10-4(kg・m2/s2(J))以上4.14×10-3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。
また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
以上の結果から、排出口をφ4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、排出口4aの大きさの下限値としては、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定するのが好ましい。つまり、現像剤補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給すべき現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)と2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、排出口4aの径を0.05mm(開口面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。
但し、排出口4aの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、現像剤補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ部3aを動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。また、現像剤補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に排出口4aを成形するには、排出口4aの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、排出口4aの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本例では、排出口4aの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線を組み合わせた形状等、に変更可能である。
但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ4bの開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、排出口4aの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。
以上より、排出口4aの大きさについては、排出口4aを鉛直下方に向けた状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。具体的には、排出口4aの直径φは、0.05mm(開口面積0.002mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、排出口4aの直径φは、0.5mm(開口面積0.2mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましい。本例では、以上の観点から、排出口4aを円形状とし、その開口の直径φを3mmに設定している。
なお、本例では、排出口4aの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、排出口4aを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが5mmの1つの現像剤受入れ口13に対して、直径φが2.1mmの排出口4aを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが3mmの排出口4aを1つ設ける構成の方がより好ましい。
(円筒部)
次に、現像剤収容室として機能する円筒部2kについて図6、7、14を用いて説明する。図14(a)は現像剤補給容器1の円筒部2kを示す正面図、(b)は現像剤補給容器1の円筒部2kを示す斜視図である。
円筒部2kは、図6、7、14に示すように、円筒部2kの内面には、収容された現像剤を自らの回転に伴い、現像剤排出室として機能する排出部4c(排出口4a)に向けて搬送する手段として機能する螺旋状に突出した搬送部2cが設けられている。また、円筒部2kは、上述した材質の樹脂を用いてブロー成型法により形成されている。
なお、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やそうとした場合、現像剤収容部2としてのフランジ部4の容積を高さ方向に大きくする方法が考えられる。しかし、このような構成とすると、現像剤の自重により排出口4a近傍の現像剤への重力作用がより増大してしまう。その結果、排出口4a近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口4aを介した吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口4aからの吸気で圧密された現像剤を解す、または、排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ部3aの容積変化量を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その結果、ポンプ部3aを駆動させるための駆動力も増加し、画像形成装置本体100への負荷が過大になる恐れがある。
それに対し、本例においては、円筒部2kをフランジ部4に水平方向に並べて設置しているため、上記構成に対して、現像剤補給容器1内における排出口4a上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、その結果、画像形成装置本体100へ負荷をかけることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
また、円筒部2kは、図14に示すように現像剤Tの搬送方向に摺動部2qを有している。前述したように、摺動部2qは図13に示すフランジ部4のフランジ爪4qと回転軸方向で当接し、回転方向は当接していないため、回転軸方向のみ移動を規制されている。そのため、図7(b)、(c)に示すように、フランジ部4の内面に設けられたリング状のシール部材のフランジシール5bを圧縮した状態で、フランジ部4に対して相対回転可能となっている。
これにより、円筒部2kは、フランジシール5bと摺動しながら回転するため、回転中において現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口4aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、現像剤補給容器1の容積可変を所望の状態にすることができるようになっている。
また、後述するが、円筒部2kは駆動変換機構の当接部2r(図15参照)と当接する突き当て部2pを設けている。前述したが、円筒部2kの摺動部2qとフランジ部4のフランジ爪4qが当接しているため、突き当て部2pは回転軸方向への移動を規制されている。そのため、駆動変換機構のカム溝2eはX方向の逆方向(図7(a)参照)の移動が規制された状態となる。
(ポンプ部材)
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部材3について説明する。ポンプ部材3は、伸縮可能なポンプ部3aと被固定部3bを備える。ポンプ部3aと被固定部3bについて図7を用いて説明する。ここで、図7(a)は現像剤補給容器の断面斜視図、図7(b)はポンプ部が使用上最大限伸張された状態の部分断面図、図7(c)はポンプ部が使用上最大限収縮された状態の部分断面図である。
ポンプ部材3は被固定部3bとして外周部にネジ部が形成されている。一方、フランジ部4の端部には開口及び開口の内周面にネジ部が形成されている。ポンプ部材3は被固定部3bとしてのネジ部がフランジ部4のネジ部に係合することによってフランジ部4に固定されている。なお、ポンプ部材3のフランジ部4に対する固定方法として、別途固定ネジを用いても良いし、接着剤を用いても良い。
本例のポンプ部3aは、排出口4aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。言い換えると、ポンプ部3aは、排出口4aを通して現像剤補給容器の内部に向かう気流と現像剤補給容器から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
ポンプ部3aは、図7(a)に示すように、排出部4cからX方向に設けられている。つまり、ポンプ部3aは排出部4cとともに、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように設けられている。
また、本例のポンプ部3aは、その内部に現像剤を収容可能な構成となっている。このポンプ部3a内の現像剤収容スペースは、後述するように、吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。
そして、本例では、ポンプ部3aとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ部(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図7(a)~(c)に示すように、円筒部2kの回転軸線方向に伸縮可能な蛇腹形状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部3aは、現像剤補給装置201から受けた駆動力により、収縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。
このようなポンプ部3aを採用することにより、現像剤補給容器1の容積を、可変させて内圧を変化させるとともに、所定の周期で、交互に繰り返し変化させることができる。その結果、小径(直径が約3mm)の排出口4aから排出部4c内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
次に、ポンプ部3aの全長について説明する。ポンプ部3aは後述する往復動部材3b(図10(a)、(b)参照)と係合しており回転軸方向に位置を規制されている。しかしながら、係合を解除した場合は規制解除となるため、ポンプ部3aは力を受けず復元する。この復元状態のポンプ部3aの全長を自然長とする。
なお、現像剤補給容器1をユーザー先へ輸送する際に、ポンプ部3aは図7(c)に示すように収縮した状態で保持される。そのため、現像剤補給容器が出荷してから使用するまでの期間によっては、ポンプ部3aの自然長が収縮した状態で保持され(クリープ)短くなる場合がある。一方で、出荷から使用されるまでの時間が短い場合は自然長が短くならない場合もある。具体的にポンプ部3aの自然長が異なる場合については後述する。
(駆動受け機構)
次に、搬送部2cを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置201から受ける、現像剤補給容器1の駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)について説明する。
現像剤補給容器1には、図6(a)に示すように、現像剤補給装置201の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)として機能するギア部2dが設けられている。このギア部2dは、円筒部2kと一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア300からギア部2dに入力された回転駆動力は図10(a)、(b)の往復動部材3bを介してポンプ3aへ伝達される仕組みとなっている。具体的には、駆動伝達機構で後述する。本例の蛇腹状のポンプ部3aは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本例では、円筒部2kの長手方向(現像剤搬送方向)側にギア部2dを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、現像剤収容部2の長手方向他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本例では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置201の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置201の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
(駆動変換機構)
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。なお、本例では、駆動変換機構の例としてカム機構を用いた場合について説明する。
現像剤補給容器1には、ギア部2dが受けた搬送部2cを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部3aを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)として機能するカム機構が設けられている。つまり、本例では、搬送部2cの回転とポンプ部3aの伸縮動作(往復動作)するための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部2d)で受ける構成としつつ、ギア部2dが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換する構成としている。
これは、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化できるからである。更に、現像剤補給装置201の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置201の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
ここで、図10(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図10(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図10(c)はポンプ部の部分図である。図10(a)、(b)に示すように、回転駆動力をポンプ部3aの往復動力に変換する為に介する部材としては往復動部材3bを用いている。具体的には、駆動ギア300から回転駆動を受けた駆動入力部(ギア部2d)と、一体となっている全周に溝が設けられているカム溝2eが回転する。このカム溝2eについては後述する。このカム溝2eには、往復動部材3bから一部が突出した往復動部材係合突起3cがカム溝2eに係合している。なお、本例では、この往復動部材3bは図10(c)に示すように、円筒部2kの回転方向へ自らが回転することがないように(ガタ程度は許容する)保護部材回転規制部3fによって円筒部2kの回転方向が規制されている。このように、回転方向が規制されることで、カム溝2eの溝に沿って(図7(a)のX方向もしくは逆方向)往復動するように規制されている。さらに、往復動部材係合突起3cはカム溝2eに複数係合するように設けられている。具体的には、円筒部2kの外周面に2つの往復動部材係合突起3cが約180°対向するように設けられている。
ここで、往復動部材係合突起3cの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部3aの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝2e形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
つまり、駆動ギア300から入力された回転駆動力でカム溝2eが回転することで、カム溝2eに沿って往復動部材係合突起3cがX方向もしくは逆方向に往復動作をすることで、ポンプ部3aが伸張した状態(図10の(a))とポンプ部3aが収縮した状態(図10の(b))を交互に繰り返すことで、現像剤補給容器1の容積可変を達成することができる。
なお、往復動部材係合突起3cがカム溝2eの溝に沿ってポンプ部3aを伸張した際に、カム溝2eは反力として伸張方向と逆方向へ力を受ける。前述したように、図15(c)に示す駆動変換機構の当接部2rと図14(b)に示す円筒部2kの突き当て部2pが回転軸方向で当接するため、カム溝2eはX方向の逆方向(図7(a)参照)への移動が規制されている。また、往復動部材係合突起3cがカム溝2eの溝に沿ってポンプ部3aを収縮した際に、カム溝2eは反力としてX方向へ力を受ける。なお、カム溝2eからX方向には凸部2m、凹部2nを設けており、フランジ部4の凸部4m、凹部4n(図13(a)、(b)参照)と回転軸方向で当接するように構成されている。そのため、カム溝2eはX方向への移動が規制された状態である。以上のように、カム溝2eはポンプ部3aの伸縮動作においてX方向およびX方向の逆方向へ力を受けるが、当接部2rおよび凸部2m、凹部2nにより回転軸方向への移動を規制されている。
カム溝2eの回転軸方向の移動に関しては、後述する組立工程で説明する。
(駆動変換機構の設定条件)
本例では、駆動変換機構は、円筒部2kの回転に伴い排出部4cへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部4cからポンプ部作用により現像剤補給装置201へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部4cへの搬送部2cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部3aによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部4cに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
また、本例では、駆動変換機構は、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由に依るものである。
円筒部2kを現像剤補給装置201内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部2kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部2kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部2kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本例の場合、円筒部2kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部3aの動作回数が減ってしまうことから、現像剤補給容器1から排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、画像形成装置本体100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤Tの量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部3aの容積変化量を増加させれば、ポンプ部3aの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体100からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。
つまり、ポンプ部3aの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部3aを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本例では、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部2kが1回転する間にポンプ部3aを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部3aの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤Tの排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤Tの排出量を増やすことができた分、円筒部2kの回転数を低減することが可能となる。
従って、本例のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置本体100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
(駆動変換機構の配置位置)
本例では、図10に示すように、駆動変換機構(往復動部材係合突起3cとカム溝2eにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部2の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部2k、ポンプ部3a、フランジ部4の内部に収容された現像剤Tと接触することが無いように、円筒部2k、ポンプ部3a、フランジ部4の内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動変換機構を現像剤収容部2の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤Tの侵入により、現像剤Tの粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となることや、変換機構への現像剤Tの噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
(抑止部)
次に図12を用いて搬送部8および抑止部9について具体的に説明する。図12(a)は搬送部材8および抑止部9を示す斜視図、図12(b)は搬送部材8および抑止部9を示す側面図である。
図12(a)に示すように、本構成において抑止部9は、搬送部材8のポンプ部3a側端部に一体で設けられている。そのため、円筒部2kと一体で回転する搬送部材8の回転動作に伴い、抑止部9も連動して回転する構成となっている。
そして、図12(b)に示すように、抑止部9は、回転軸方向に平行に設けられた2枚のスラスト抑止壁9a、9bと、回転方向に設けられた2枚のラジアル抑止壁9c、9dと、によって構成されている。また、ポンプ部3a側にあるスラスト抑止壁9aの回転軸中心付近に、現像剤収容部2内の空間と抑止部9内の空間を連通可能な収容部開口9eが形成されている。また、2枚のスラスト抑止壁9a、9bと、2枚のラジアル抑止壁9c、9dの、回転軸中心から離れた外端部に囲まれた箇所に、現像剤貯留部4dと連通可能な貯留部開口9fが形成されている。つまり、貯留部開口9fの回転軸スラスト方向の位置は、現像剤貯留部4dに対して、少なくとも一部が重なり合う位置に配置されている。そして、2枚のスラスト抑止壁9a、9bと2枚のラジアル抑止壁9c、9dに囲まれた、抑止部9の内部には、収容部開口9eと貯留部開口9fが連通可能な連通路9gが形成されている。
(組立工程)
次に、現像剤収容部2にフランジ部4および駆動変換機構を組付ける組付工程を図16、図17、図18を用いて説明する。図16は組付け前の状態を示す部分断面図および拡大図である。図17は組付け途中の状態を示す部分断面図および拡大図である。図18は組付け完了した状態を示す部分断面図および拡大図である。
図16に示すように、フランジ部4および駆動変換機構は現像剤収容部2と離間した状態である。そのため、前述したフランジ爪4qと摺動部2qは回転軸方向で当接していない状態である。また、当接部2rと摺動部2qも離間した状態である。なお、駆動変換機構の凹部2nとフランジ部4の凸部4m、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凹部4nが回転軸方向で合致するような位相となっている。
そして、図17に示すように、現像剤収容部2にフランジ部4および駆動変換機を組付けるため、円筒部2kのX方向の逆方向(図7(a)のX方向の逆方向と同じ)へフランジ部4および駆動変換機構を移動させる。その際、現像剤収容部2の摺動部2qにフランジ爪4qが当接するためフランジ爪4qはラジアル方向へ変位し、摺動部2qに乗り上げた状態となる。この時点で、円筒部2kの先端がフランジシール5bを圧縮した状態である。
次に、図18に示すように、フランジ部4および駆動変換機構を円筒部2kのX方向の逆方向にさらに組付けると、フランジ爪4qが摺動部2qを完全に乗り越えフランジ爪4qが復元する。その際、円筒部2kの先端がフランジシール5bを圧縮した状態なのでフランジシール5bの復元力でフランジ部4および駆動変換機構は円筒部2kのX方向へ移動する。そして、摺動部2qとフランジ爪4qが回転軸方向で当接し停止することで円筒部2kの回転軸方向の位置が決まる。なお、前述したように、摺動部2qとフランジ爪4qは回転方向で当接していないため、フランジ部4に対し円筒部2kは相対回転が可能となる。
なお、図17、図18に示すように摺動部2qと突き当て部2pの距離をG2と設定している。そして、フランジ爪4qとフランジ部4の凸部4mの距離で、図17に示すフランジ爪4qが最も変位している組付け途中状態の距離をG1、図18に示す組付け完了している状態の距離をG3と設定している。図18に示す復元状態のフランジ爪4qに対し図17に示す変位状態のフランジ爪4qは円弧を描き変位しているため、ラジアル方向の変位および円筒部2kのX方向へ変位している。そのため、フランジ爪4qの変位分回転軸方向へ距離が長いことからG1>G3という関係となっている。また、駆動変換機構の凹部2nと当接部2rの距離をG4と設定している。そして、図18に示すようにG2に対しG3とG4を足しても空く隙間をG5と設定としている。なお、G5を設けない場合は、G1>G3の関係上組立ができずフランジ爪4qが摺動部2qに乗り上げた状態になってしまうため、円筒部2kが回転する際に回転抵抗となってしまう。また、摺動部2qとフランジ爪4qが回転軸方向で当接しないため、円筒部2kの回転軸方向の位置が決まらない。そのため、円筒部2kの先端がフランジシール5bを圧縮できず現像剤漏れの懸念がある。したがって、組立の際は隙間G5を設けるように設定している。
なお、前述したように、駆動変換機構の凹部2nとフランジ部4の凸部4m、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凹部4nが回転軸方向で合致するような位相で組立をしている。円筒部2kが回転し、フランジ部4の凸部4mと回転軸方向で当接するのが駆動変換機構の凹部2nから凸部2mに変更した場合、G4に凸部2mの回転軸方向の距離だけ加わる。その際に、隙間G5は0mm以上となるように、G2>G3+G4+凸部2mとなるように凸部2mの回転軸方向への距離を設定している。
(現像剤補給工程)
次に、図10、図11を用いて、ポンプ部3aによる現像剤補給工程について説明する。
ここで、図10(a)はポンプ部3aが使用上最大限伸張された状態の部分図、図10(b)はポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態の部分図、図10(c)はポンプ部3aの部分図である。図11(a)はポンプ部3aの自然長が長い場合の現像剤補給容器1のカム溝2e形状を示す展開図、図11(b)はポンプ部3aの自然長が短い場合の現像剤補給容器1のカム溝2e形状を示す展開図である。
図11(a)(b)に示すようにカム溝2eは3つの溝(第1カム溝、第2カム溝、第3カム溝)に分類される。カム溝2eは図15に示すカムリング部材の外周部に形成されており、カム溝の幅は後述する往復動部材係合突起の幅よりも約1~2mm広い。第1カム溝は円筒部2kの回転方向に沿って延びる溝部であり、後述する動作停止工程に対応する。第2カム溝は第1カム溝から褶曲するように延びた溝部であり、後述する吸気工程に対応する。第3カム溝は第2カム溝から褶曲するように延び、第1カム溝に連結されており、後述する排気工程に対応する。
ポンプ部3aによる現像剤補給工程は、図11に示すように駆動変換機構として構成されるカム溝2eの形状に係合した往復動部材係合突起3cによりポンプ部3aを伸縮動作させている。図11に示す矢印Aは円筒部2kの回転方向(カム溝2eの移動方向)、矢印Bはポンプ部3aの伸張方向、矢印Cはポンプ部3aの圧縮方向を示す。また、カム溝2eの構成は、ポンプ部3aを圧縮させる際に使用される溝をカム溝2gと、ポンプ部3aを伸張させる際に使用する溝をカム溝2hと、前述したポンプ部3aが往復動作しないポンプ部非動作部2iとなっている。なお、カム溝2eが矢印A方向に回転すると、往復動部材係合突起3cは図10(c)に示す保護部材回転規制部3fにより回転方向への移動を規制され、円筒部2kの回転軸方向への移動のみに制限される構成となっている。そのため、カム溝2eが矢印A方向に回転すると、カム溝2eに係合した往復動部材係合突起3cは相対的に矢印Aとは反対方向へ相対移動することになる。
本例では、後述するように、ポンプ部動作による吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)と排気工程(排出口4aを介した排気動作)とポンプ部非動作による動作停止工程(排出口4aから吸排気が行われない)が行われるように、駆動変換機構で回転駆動力を往復動力へ変換する構成となっている。以下、吸気工程と排気工程と動作停止工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(排出口4aを介した吸気動作)について説明する。
上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部3aが最も縮んだ状態の図10(b)からポンプ部3aが最も伸びた状態の図10(a)になることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、フランジ部4)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外にあるエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その際、排出口4aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口4a近傍に位置する現像剤Tを解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口4a近傍に位置する現像剤Tに対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤Tを適切に流動化させることができる。
更に、この際、エアーが排出口4aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
なお、吸気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びる状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば吸気動作は行われる。つまり、吸気工程とは、往復動部材係合突起3cが図11に示すカム溝2hに係合している状態のことである。
(排気工程)
次に、排気工程(排出口4aを介した排気動作)について説明する。
ポンプ部3aが最も伸びた状態の図10(a)からポンプ部3aが最も縮んだ状態の図10(b)になることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部3a、円筒部2k、フランジ部4)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口4aを除き実質密閉されており、現像剤Tが排出されるまでは、排出口4aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、現像剤Tは現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置201へ現像剤Tが排出される。
現像剤Tとともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
なお、排気動作が行われる為に、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態になることに限らず、ポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮む状態途中で停止したとしても、現像剤補給容器1の内圧変化が行われれば排気動作は行われる。つまり、排気工程とは、往復動部材係合突起3cが図11に示すカム溝2gに係合している状態のことである。
(動作停止工程)
次に、ポンプ部3aが往復動作しない動作停止工程について説明する。本実施例では、前述したように磁気センサ800cや現像剤センサ10dの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の回転駆動指示を行う構成となっている。この構成では、現像剤補給容器1から排出される現像剤Tの量がトナー濃度に直接影響を与えるので、画像形成装置100が必要とする現像剤Tの量を現像剤補給容器1から補給する必要がある。このとき、現像剤補給容器1から排出される現像剤T量を安定させるために、毎回決まった容積可変量を行うことが望ましい。
例えば、排気工程と吸気工程のみで構成されたカム溝2eにすると、排気工程もしくは吸気工程途中でモータ駆動を停止させることになる。その際、駆動モータ500が回転停止後も惰性で円筒部2kが回転し、円筒部2kが停止するまでポンプ部3aも連動して往復動作し続けることとなり、排気工程もしくは吸気工程が行われることとなる。惰性で円筒部2kが回転する距離は、円筒部2kの回転速度に依存する。さらに、円筒部2kの回転速度は駆動モータ500へ与えるトルクに依存する。このことから、現像剤補給容器1内の現像剤T量によってモータへのトルクが変化し、円筒部2kの速度も変化する可能性があることから、ポンプ部3aの停止位置を毎回同じにすることが難しい。
そこで、ポンプ部3aを毎回決まった位置で停止させるためには、カム溝2eに、円筒部2kが回転動作中でもポンプ部3aが往復動作しない領域を設ける必要がある。本例では、ポンプ部3aを往復動作させないために、図11に示すカム溝2iを設けている。カム溝2iは、円筒部2kの回転方向に溝が掘られており、回転しても往復動部材3bが動かないストレート形状である。つまり、動作停止工程とは、往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合している状態のことである。
また、上記のポンプ部3aが往復動しないとは、排出口4aから現像剤Tが排出されないこと(円筒部2kの回転時振動等で排出口4aから落ちてしまう現像剤Tは許容する)である。つまり、カム溝2iは排出口4aを通じた排気工程、吸気工程が行われなければ、回転方向に対して回転軸方向に傾斜していても構わない。さらに、カム溝2iが傾斜していることから、ポンプ部3aの傾斜分の往復動作は許容できる。
(抑止部と現像剤補給工程)
次に、抑止部9と現像剤補給工程について図19(a)~19(b)を用いて説明する。図19(a)はポンプ部3が動作停止工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図19(b)はポンプ部3が吸気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。図19(c)はポンプ部3が排気工程状態の現像剤補給容器1と現像剤補給装置201の部分断面図である。
図19(a)において、現像剤補給容器1は円筒部2kの回転に伴い、ポンプ部3aが停止している動作停止工程となっている。このとき、抑止部9は、搬送部材8の回転に伴って回転し、排出部4c底部に位置する現像剤貯留部4dの上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態となる。また、ポンプ部3aは動作停止工程のため、往復動することなく、現像剤収容部2内の内圧の変化はない。
その結果、現像剤貯留部4dに対して、抑止部9が作用することはなく、搬送部材8によって現像剤貯留部4d上部近傍へと搬送された現像剤Tが、現像剤貯留部4d内に流れ込み、貯留される状態(現像剤流入非抑止状態)となる。
次に、図19(a)に示した状態から搬送部材8が回転することで、図19(b)の状態となる。図19(b)はポンプ部3aが最も縮んだ状態から最も伸びた状態へ向かう途中の状態、すなわち吸気工程となっている。このとき、抑止部9は、搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが覆っていない状態から一部を覆う状態となる。また、ポンプ部3aは吸気工程のため、ポンプ部3aが伸びることで、現像剤収容部2内の圧力が減圧状態となり、現像剤補給容器1外のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その結果、前述の工程で現像剤貯留部4dに貯留された現像剤Tは、排出口4aより取り込まれたエアーを含むことで、嵩密度が低下し、流動化した状態となる。また、現像剤貯留部4d上部の状態は、抑止部9の回転に伴い、抑止部9の貯留部開口9fが現像剤貯留部4d上部を覆うことによって、抑止部9の回転方向下流側のラジアル抑止壁9cが、現像剤貯留部4d上部の現像剤Tを押し退ける状態となる。さらに、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fが一部覆った状態となる。その結果、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤Tの現像剤貯留部4d内への流入が抑止された状態(現像剤流入抑止状態)となる。
図19(b)に示した状態からさらに搬送部材8が回転することで、図19(c)の状態となる。図19(c)はポンプ部3aが最も伸びた状態から最も縮んだ状態へ向かう途中の状態、すなわち排気工程となっている。このとき、抑止部9は、搬送部材8の回転に伴って回転し、現像剤貯留部4d上部に対して、少なくとも抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となっている。また、ポンプ部3aは排気工程のため、ポンプ部3aが縮むことで、現像剤補給容器1内の内圧は大気圧よりも高くなるため、現像剤補給容器1内のエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口4aを通って現像剤補給容器1外へと移動する。
その結果、前述の吸気工程で現像剤貯留部4d内の流動化された現像剤Tが、排出口4aを通して現像剤補給装置201へ排出される。また、この排気工程においても、現像剤貯留部4d上部の状態は、前述の吸気工程に続き、抑止部9の回転に伴い、抑止部9の回転方向下流側のラジアル抑止壁9cが、現像剤貯留部4d上部のトナーを押し退けている状態となる。さらに、現像剤貯留部4d上部に対して、抑止部9の貯留部開口9fの一部が常に覆った状態となる。その結果、排気工程時においては常に、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d上部近傍の現像剤Tの現像剤貯留部4d内への流入が抑止された状態(現像剤流入抑止状態)となる。
ここで、排気工程時の現像剤貯留部4d内の現像剤Tに対して作用する、現像剤補給容器1内のエアーの流れについて具体的に記述する。本構成における、排気工程時の現像剤貯留部4dに対してのエアーの流れは以下に記す2通りが挙げられる。1つは、現像剤収容部2内から、抑止部9の回転軸中心付近に設けられた収容部開口9e、抑止部9内部の連通路9g、現像剤貯留部4dと連通する抑止部9の貯留部開口9f、の順に移動して、現像剤貯留部4d内の現像剤Tに作用するエアーの流れである。もう1つは、現像剤貯留部4d上部と、現像剤貯留部4d上部を覆った抑止部9との隙間を通過して、現像剤貯留部4d内の現像剤Tに作用するエアーの流れである。しかし、以下の理由から、排気工程時の現像剤貯留部4dに対してのエアーの流れは、前者のエアーの流れが主流となる。
排気工程時に、現像剤貯留部4d上部を覆った抑止部9の貯留部開口9f外周近傍の現像剤Tは、抑止部9のスラスト抑止壁9a、9b、ラジアル抑止壁9c、9dにより、現像剤貯留部4d内への流入を抑止されている。よって、抑止部9の貯留部開口9f外周近傍においては、現像剤Tが滞留しているため、現像剤貯留部4dへのエアーの流れに対して、滞留した現像剤Tは抵抗となる。それに対して、抑止部9の回転軸付近に設けられた収容部開口9e近傍は、排気工程時において、貯留部開口9fと比較し、鉛直上方に位置しているため、貯留部開口9fよりも現像剤Tの滞留は少なく、エアーの流れに対しての抵抗は小さい。結果、排気工程時の主となるエアーの流れは、エアーの流れに対して現像剤Tによる抵抗が小さい、前者の抑止部9内部の連通路9gを通過するエアーの流れが主流となるのである。
その結果、排気工程時においては、抑止部9内部の連通路9gを通過したエアーにより、連通路9gと連通可能な現像剤貯留部4d内の現像剤Tが、エアーの流れと共に現像剤補給装置201へ排出されることになる。また、上述したように、排気工程時には、現像剤貯留部4dは、抑止部9により常に現像剤Tの流入が抑止される現像剤流入抑止状態のため、現像剤貯留部4d内にはほぼ一定量の現像剤Tが貯留されている。
さらに、排気工程時の現像剤補給容器1内の内圧は、エアーの流れとともに、現像剤貯留部4d内の現像剤Tが排出された時点で、現像剤補給容器1内外の空間が連通し、その後、エアーのみが放出され、最終的に現像剤補給容器1外の圧力と同等となる。つまり、現像剤貯留部4d内の現像剤Tが排出された以後は、現像剤補給容器1内外の圧力差によりエアーのみが放出され、現像剤Tは排出されない。よって、排気工程時においては、現像剤貯留部4d内に貯留された一定量の現像剤Tのみが排出されるため、非常に高い補給精度で現像剤補給装置201へ現像剤Tを排出可能となる。
(ポンプ部の自然長が長い場合のカム溝位置)
次に、本実施例で最も重要なポンプ部3aの自然長が長い場合のカム溝位置について図16~18および図20を用いて説明する。図20(a)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が長い場合の動作停止工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図20(b)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が長い場合の吸気工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図20(c)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が長い場合の吸気工程から排気工程へ移行する途中状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図21(a)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が長い場合の排気工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図21(b)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が長い場合の動作停止工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。
組立工程で前述したように、円筒部2kにフランジ部4および駆動変換機構を組付ける際は、駆動変換機構の凹部2nとフランジ部4の凸部4m、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凹部4nが回転軸方向で合致するような位相で組立を行っている。また、摺動部2qと突き当て部2pの距離G2に対し、フランジ爪4qとフランジ部4の凸部4mの距離G3と駆動変換機構の凹部2nと当接部2rの距離G4を足して隙間G5が空くように構成されている。なお、この状態はポンプ部3aが動作停止工程であり、カム溝2iに往復動部材係合突起3cが係合している状態である。
この状態から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図20(a)について説明する。図20(a)は往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合した状態を維持しており、ポンプ部3aは動作停止工程である。また、フランジ部4の凸部4mと駆動変換機構の凹部2nが回転軸方向で合致(整合)していた状態から、フランジ部4の凸部4mと駆動変換機構の凸部2mが回転軸方向で合致する状態となる。
なお、前述したように、ポンプ部3aの自然長は往復動部材3b(図10(a)、(b)参照)に係合せず復元した状態の全長である。そして、ポンプ部3aの自然長が長い状態とは、図10(b)に示すポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態より長い状態を示す。そのため、往復動部材係合突起3cはポンプ部3aの復元力からX方向へ力を受けている。つまり、図20(a)では往復動部材係合突起3cはカム溝2iをX方向へ規制している状態である。そのため、カム溝2iは駆動変換機構の凸部2mがフランジ部4の凸部4mに当接するまで移動する。なお、凸部2mと凸部4nの隙間S1は当接しているため0mmとなる。
次に、図20(a)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図20(b)について説明する。図20(a)から図20(b)の間に第1カム溝と第2カム溝との境界部、すなわち、動作停止工程から吸気工程に移行する境界点が存在する。この境界点に往復動部材係合突起3c(往復部材係合突起)が位置する際にフランジ部の凸部と現像剤排出部の凸部が回転軸線方向に一致(整合)するように両凸部が設けられている。図20(b)は往復動部材係合突起3c(往復部材係合突起)がカム溝2hに係合した状態で、ポンプ部3aは吸気工程である。この際、カム溝2hに沿って往復動部材係合突起3cがポンプ部3aを伸張させるが、カム溝2hはポンプ部3aの伸張方向(X方向)と逆方向へ反力を受ける。そのため、カム溝2hは駆動変換機構の当接部2rが円筒部2kの突き当て部2p(図18参照)に当接するまで移動する。なお、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凸部4mの隙間S2は図18に示すG5から駆動変換機構の凸部2mの回転軸方向の距離を引いた距離となる。
そして、図20(b)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図20(c)について説明する。図20(c)は往復動部材係合突起3cがカム溝2hからカム溝2gに切り替わる状態で、ポンプ部3aは吸気工程から排気工程への移行の切り替わり途中状態である。図20(c)は図20(b)と同様でカム溝2hはポンプ部3aの伸張方向の逆方向(X方向の逆方向)へ反力を受けるため、隙間はS2となる。
そして、図20(a)から図20(c)までで往復動部材係合突起3cが回転軸方向へ移動した距離がポンプ部3aの伸張距離となる。つまり、図11(a)に示すようにカム溝2eが回転軸方向へ不動の場合は往復部材係合突起3cが回転軸方向へ移動した距離T1がポンプ部3aの伸張距離となる。しかし、前述したようにカム溝2eが回転軸方向へ移動しているため、その分ポンプ部3aの伸張距離は減ることとなる。本実施例の場合、組立時に必要な隙間G5(図18参照)を確保しながら、ポンプ部3aが伸縮する際に駆動変換機構の凸部2mの距離だけ、カム溝2eの移動を規制することができる。なお、従来の構成においては、駆動変換機構の凸部2mがないため、ポンプ部3aの伸張距離は組立時に必要な隙間G5の距離だけ減ってしまう。
次に、図20(c)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図21(a)について説明する。図21(a)は往復動部材係合突起3cがカム溝2gに係合した状態で、ポンプ部3aは排気工程である。カム溝2gはポンプ部3aの収縮方向と逆方向(X方向)へ反力を受ける。そのため、カム溝2gは駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凸部4mに当接するまで移動する。なお、つまり、凸部2mと凸部4mの隙間S1は当接しているため0mmとなる。
次に、図21(a)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図21(b)について説明する。図21(b)は往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合した状態で、ポンプ部3aは動作停止工程である。ポンプ部3aは自然長が長い状態であるため、往復動部材係合突起3cはポンプ部3aの復元力からポンプ部3a方向に力を受けるため、カム溝2iもX方向へ力を受ける。そのため、図21(a)と同様に駆動変換機構の凸部2mがフランジ部4の凸部4mに当接した状態を維持する。
そして、図20(c)から図21(b)までに往復動部材係合突起3cが回転軸方向へ移動した距離がポンプ部3aの収縮距離となる。前述した伸張距離と同様に、図11(a)に示す距離T1からカム溝2eが回転軸方向へ移動した分を引いた距離が収縮距離となる。本実施例の場合、組立時に必要な隙間G5(図18参照)を確保しながら、ポンプ部3aが収縮する際に駆動変換機構の凸部2mの距離だけ、カム溝2eの移動を規制することができる。なお、従来の構成においては、駆動変換機構の凸部2mがないため、ポンプ部3aの収縮距離は組立時に必要な隙間G5の距離だけ減ってしまう。
以上より、従来構成ではポンプ部3aの伸縮距離は図11(a)に示すT1から組立で必要な隙間G5を引いた距離となる。それに対し、本実施例では組立時は隙間G5を有し、ポンプ部3aが伸縮する際はフランジ部4の凸部4mと円筒部2kの凸部2mが回転軸方向で重なる位相になるように構成している。そのため、円筒部2kの凸部2mの距離だけ従来構成よりポンプ部3aの伸縮距離を増やすことができる。
(ポンプ部の自然長が短い場合のカム溝位置)
次に、本実施例で最も重要なポンプ部3aの自然長が短い場合のカム溝位置について図16~18および図22~図23を用いて説明する。図22(a)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が短い場合の動作停止工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図22(b)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が短い場合の吸気工程から排気工程へ移行する途中状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図23(a)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が短い場合の排気工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。図23(b)は本実施例に係るポンプ部3aの自然長が短い場合の動作停止工程状態のフランジ部4と駆動変換機構を示す側面図および拡大図である。
組立工程で前述したように、円筒部2kにフランジ部4および駆動変換機構を組付ける際は、駆動変換機構の凹部2nとフランジ部4の凸部4m、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凹部4nが回転軸方向で合致するような位相で組立を行っている。そのため、摺動部2qと突き当て部2pの距離G2に対し、フランジ爪4qとフランジ部4の凸部4mの距離G3と駆動変換機構の凹部2nと当接部2rの距離G4を足して隙間G5が空くように構成されている。なお、この状態はポンプ部3aが動作停止工程であり、カム溝2iに往復動部材係合突起3cが係合している状態である。
この状態から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図22(a)について説明する。図22(a)は往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合した状態を維持しており、ポンプ部3aは動作停止工程である。また、フランジ部4の凸部4mと駆動変換機構の凹部2nが回転軸方向で合致していた状態から、フランジ部4の凸部4mと駆動変換機構の凸部2mが回転軸方向で合致する状態となる。
なお、前述したように、ポンプ部3aの自然長は往復動部材3b(図10(a)、(b)参照)に係合せず復元した状態の全長である。そして、ポンプ部3aの自然長が短い状態とは、図10(b)に示すポンプ部3aが使用上最大限収縮された状態より短い状態を示す。そのため、ポンプ部3aは自然長が短い状態であり、往復動部材係合突起3cはX方向の逆方向へ力を受ける。つまり、往復動部材係合突起3cはカム溝2iをX方向の逆方向へ規制し、カム溝2iは摺動部2qに当接部2rが当接するまで移動する(図18参照)。なお、図22(a)に示す凸部2mと凸部4mの隙間S2は図18に示すG5の隙間から凸部2mの回転軸方向の距離を引いた距離である。
次に、図22(a)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図22(b)について説明する。図22(b)は往復動部材係合突起3cがカム溝2hからカム溝2gに切り替わる途中状態であり、ポンプ部3aも吸気工程から排気工程への移行の切り替わり途中状態である。図22(a)と同様に、往復動部材係合突起3cからカム溝2hはX方向の逆方向へ規制され続ける。そして、図22(a)から図22(b)までで往復動部材係合突起3cが回転軸方向へ移動した距離がポンプ部3aの伸張距離となる。前述したように、カム溝2eはX方向の逆方向へ力を受け続けているため、回転軸方向には不動である。つまり、図11(b)に示すように往復部材係合突起3cおよびポンプ部3aが回転軸方向へ移動した距離はT2となる。なお、従来の構成においては、駆動変換機構の凸部2mがないが、カム溝2eは回転軸方向へ不動のためポンプ部3aの伸張距離はT2となる。
次に、図22(b)から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図23(a)について説明する。図23(a)は往復動部材係合突起3cがカム溝2gに係合した状態で、ポンプ部3aは排気工程である。カム溝2gはX方向へ反力を受けるため、駆動変換機構の凸部2mとフランジ部4の凸部4mに当接するまで移動する。なお、凸部2mと凸部4mの隙間S1は当接しているため0mmとなる。
そして、図23(a)9から回転駆動力が入力され円筒部2kが回転した状態の図23(b)について説明する。図23(b)は往復動部材係合突起3cがカム溝2iに係合した状態であり、ポンプ部3aは動作停止工程である。ポンプ部3aは自然長が短い状態であるため、往復動部材係合突起3cはX方向の逆方向へ力を受ける。そのため、カム溝2iもX方向の逆方向へ力を受け摺動部2qに当接部2rが当接するまで移動する。なお、図22(a)に示す凸部2mと凸部4mの隙間S2は図18に示すG5の隙間から凸部2mを引いた距離である。そして、図22(b)から図23(b)までに往復動部材係合突起3cが回転軸方向へ移動した距離がポンプ部3aの収縮距離となる。図22(b)と図23(b)に示すカム溝2eの回転軸方向の位置は変わらないため、前述した伸張距離と同様に、図11(b)に示す距離T2がポンプ部3aの収縮距離となる。なお、従来の構成においては、駆動変換機構の凸部2mがないが、カム溝2eは回転軸方向へ不動のためポンプ部3aの伸張距離はT2となる。
以上より、ポンプ部3aの自然長が短い場合、従来構成と本実施例ではポンプ部3の伸縮距離は変わらない。
次に、図24および図25を用いて本実施例の効果について説明する。図24は本実施例の現像剤補給容器のフランジ部4の内圧変化を示しており、図25は本実施例の凹凸部が設けられていない現像剤補給容器のフランジ部4の内圧変化を示している。図24および図25における横軸は経過時間(sec)を示しており、縦軸は内圧変化量を示している。図24および図25は円筒部3kが半回転における内圧変化を示している。図24および図25はポンプ部3aの動作停止工程を基準(0KPa)とし、吸気工程によって内圧が負圧に向かい、排気工程によって内圧が正圧に向かうことを示している。図25の比較例は本実施例の凹凸部が設けられていない構造である。そのため、ポンプ部3aの自然長が長い場合、吸気工程でのポンプ部3aの伸張が所望よりも少なく、吸気工程における内圧変化が-0.3KPaに留まる。吸気工程における内圧変化が‐0.3KPaに留まるため、排気工程における内圧変化が+0.3KPaに留まる。図25に示すように、ポンプ部3aの自然長が短い場合に比べて内圧の変化レンジが狭い。すなわち、現像剤補給容器に凹凸部を設けないと、ポンプ部3aの自然長が長い場合と短い場合とでフランジ部4内の内圧変化量が異なり、現像剤の排出量が安定しない。
それに対して現像剤補給容器に本実施例の凹凸部を設けることによって、図24に示すように、ポンプ部3aの自然長が長い場合、吸気工程でのポンプ部3aの伸張が所望よりも少なく、吸気工程における内圧変化が-0.35KPaに達し、排気工程における内圧変化が+0.35KPaにまで達する。図24に示すように、現像剤補給容器に凹凸部を設けないと、ポンプ部3aの自然長が長い場合と短い場合とでフランジ部4内の内圧変化量が小さくなり、現像剤の排出量が図25に比べて安定する。
現像剤排出量が安定することによって次のような効果が期待できる。例えば、画像形成装置本体は現像剤補給容器の回転量を1つのパラメーターとして現像剤補給容器内の現像剤残量を検知している。現在、この情報をネットワークを介して管理サーバーに送り、管理サーバーは現像剤の残量が所定の値と下回った場合、現像剤補給容器をユーザの元に配送する自動配送システムが提供されている。現像剤補給容器からの排出量が安定しないと、配送が遅れたり、過剰な配送につながるため、現像剤補給容器の回転量と実際の現像剤の排出量の相関性は高い方が好ましい。本実施例に因れば、現像剤補給容器の回転量と実際の現像剤の排出量の相関性の低下を抑制することができ、より誤差を低減させた配送システムを提供することができる。
上述したように、ポンプ部3aの自然長が長い場合、本実施例においてポンプ部3aが伸縮動作する際に、カム溝2eの回転軸方向に移動可能な隙間G5が凸部2mの回転軸方向の距離分だけ隙間が狭くなる。つまり、ポンプ部3aの伸縮距離はT1-S2(G5―凸部2mの回転軸方向の距離)となる。対して、従来構成は凸部2mを有していないためポンプ部3aの伸縮距離はT1-G5となる。そしてポンプ部3aの自然長が短い場合、本実施例および従来構成のポンプ3aの伸縮距離はT2となる。なお、前述したが、各々の距離の関係はT1<T2、S2<G5となっている。そのため、ポンプ部3aの自然長影響によるポンプ部3aの伸縮距離の差分は本実施例の方が少ないと言える。
なお、現像剤補給容器1に収容している現像剤Tの残量はポンプ部3aの伸縮回数及びポンプ部3aの1回の伸縮により排出される現像剤T量から予測している。そして、この予測に基づきユーザー先に現像剤補給容器1を配送するシステムを採用する場合がある。しかしながら、ポンプ部3aの伸縮距離が異なると現像剤収容部2の内部で発生する圧力が異なるため、現像剤T量の排出量に影響することで現像剤補給容器1をユーザー先へ配送する精度が悪化する可能性がある。
以上のことから、本実施例はポンプ部3aの自然長によるポンプ部3aの伸縮量の差分を抑制でき、それに伴い現像剤Tの排出量影響少なくすることで配送精度の悪化を抑制することができる。