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JP7554525B1 - 炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体 - Google Patents

炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体 Download PDF

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JP7554525B1 JP2024000290A JP2024000290A JP7554525B1 JP 7554525 B1 JP7554525 B1 JP 7554525B1 JP 2024000290 A JP2024000290 A JP 2024000290A JP 2024000290 A JP2024000290 A JP 2024000290A JP 7554525 B1 JP7554525 B1 JP 7554525B1
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Abstract

【課題】巻き取られた炭素繊維前駆体の紡糸集束性の向上、当該炭素繊維前駆体を耐炎化処理して耐炎化繊維を製造したときの耐炎化毛羽の発生を抑制すること、及び当該炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度向上を果たす。【解決手段】本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、シリコーン化合物(A)を含有し、シリコーン化合物(A)が、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体に関する。
炭素繊維の製造方法として、繊維状の材料を紡糸した後に当該材料を焼成する、という手法が汎用されており、この繊維状の材料を炭素繊維前駆体という。炭素繊維前駆体としては、高分子等の繊維材料の表面に炭素繊維前駆体用処理剤が付着したものが使用される場合がある。かかる処理剤は、炭素繊維を製造する際の諸工程における炭素繊維前駆体の取り扱い性を向上する等の目的で用いられる。
特開2002-129481号(特許文献1)には、少なくとも主鎖の側鎖にアミノ変性基を有する特定のアミノ変性ポリオルガノシロキサンと特定の多環芳香族化合物とを合計で所定量以上、且つ双方を所定割合で含有する炭素繊維製造用合成繊維処理剤が開示されている。特許文献1に記載の処理剤を付与して製造された炭素繊維は、耐炎化工程での耐炎化繊維相互の融着防止と耐炎化工程での糸切れの発生防止とを同時に且つ充分に図ることができる。
特開2002-129481号公報
炭素繊維前駆体は、紡糸、延伸、乾燥、および処理剤付与等の工程を連続的に経たのちに、ワインダー等の巻取装置に巻き取られることが一般的である。この連続工程において炭素繊維前駆体は、ローラー等の案内具に案内されながら各工程を通過する。特許文献1に記載の処理剤を付与された炭素繊維前駆体は、巻き取られた炭素繊維前駆体の集束性の向上、当該炭素繊維前駆体を耐炎化処理して耐炎化繊維を製造したときの耐炎化毛羽の発生を抑制すること、及び当該炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度向上の観点で改善の余地があった。
そこで、巻き取られた炭素繊維前駆体の紡糸集束性の向上、当該炭素繊維前駆体を耐炎化処理して耐炎化繊維を製造したときの耐炎化毛羽の発生を抑制すること、及び当該炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度向上を果たし得る炭素繊維前駆体用処理剤、ならびに、当該処理剤が付与された炭素繊維前駆体の実現が求められる。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、シリコーン化合物(A)および非イオン界面活性剤(N)を含有し、前記シリコーン化合物(A)が、25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるフェニル変性シリコーン(A1)及び25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明に係る炭素繊維前駆体は、炭素繊維前駆体用処理剤が付着していることを特徴とする。
これらの構成によれば、巻き取られた炭素繊維前駆体の紡糸集束性の向上、当該炭素繊維前駆体を耐炎化処理して耐炎化繊維を製造したときの耐炎化毛羽の発生を抑制すること、及び当該炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度向上を、いずれも実現することができる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記非イオン界面活性剤(N)が、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一つがアルコールに付加された複数の化合物(n)を含み、且つ、前記アルコールは化学式の異なる二種以上であることが好ましい。
この構成によれば、耐炎化毛羽の発生をさらにより確実に抑制することができる。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記シリコーン化合物(A)及び前記非イオン界面活性剤(N)の含有量の合計を100質量部として、前記シリコーン化合物(A)の含有量が10質量部以上90質量部以下であり、前記非イオン界面活性剤(N)の含有量が10質量部以上90質量部以下であることが好ましい。
この構成によれば、巻き取られた炭素繊維前駆体の紡糸集束性の向上、当該炭素繊維前駆体を耐炎化処理して耐炎化繊維を製造したときの耐炎化毛羽の発生を抑制すること、及び当該炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度向上を、いずれも高い水準で実現することができる。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記シリコーン化合物(A)が、アミノ変性シリコーン(A3)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維の強度が一層向上する。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、一態様として、前記シリコーン化合物(A)が、ポリエーテル変性シリコーン(A4)をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、炭素繊維前駆体の紡糸集束性が一層向上する。
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体の実施形態について説明する。以下では、本発明に係る炭素繊維前駆体用処理剤(以下、単に「処理剤」と称する場合がある。)を炭素繊維前駆体の処理に適用した例について説明する。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の構成〕
本実施形態に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、シリコーン化合物(A)を含有し、シリコーン化合物(A)は、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含有する。また、本実施形態に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、必要に応じて、更に、非イオン界面活性剤(N)を含有しても良い。
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物(A)は、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含有するものであるが、必要に応じて、更に、アミノ変性シリコーン(A3)及び/又はポリエーテル変性シリコーン(A4)を含有しても良い。
フェニル変性シリコーン(A1)の屈折率及びアラルキル変性シリコーン(A2)の屈折率は、1.420~1.600であることが望ましい。フェニル変性シリコーン(A1)の屈折率及びアラルキル変性シリコーン(A2)の屈折率は、その変性率と相関があり、変性率が高いほど屈折率も高くなる傾向がある。屈折率は25℃でデジタル屈折計にて測定される。また、フェニル変性シリコーン(A1)の動粘度及びアラルキル変性シリコーン(A2)の動粘度は、300mm/s~6000mm/sであることが望ましい。動粘度は25℃でキャノンフェンスケ粘度計を用いて測定される。
また、アミノ変性シリコーン(A3)の動粘度は、90mm/s~8000mm/sであることが望ましい。アミノ変性シリコーン(A3)のアミノ当量は、1000g/mol~5000g/molであることが望ましい。
また、ポリエーテル変性シリコーン(A4)の動粘度は、600mm/s~1700mm/sであることが望ましい。ポリエーテル変性シリコーン(A4)のシリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖の質量比は、30/70~60/40であることが望ましい。ポリエーテル変性シリコーン(A4)のエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのモル比は、50/50~20/80であることが望ましい。
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤(N)は、当技術分野において通常使用される任意の非イオン性界面活性剤でありうる。非イオン性界面活性剤(N)は、一種類の化合物であってもよいし、複数種類の化合物の混合物であってもよい。
好ましくは、非イオン界面活性剤(N)は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一つがアルコールに付加された複数の化合物を含み、且つ、アルコールは化学式の異なる二種以上である。
非イオン界面活性剤(N)に適用可能な上記アルコールとしては、例えば、トリスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、ノニルフェノール、ドデカノール、テトラデカノール、オクタデカノール、ノナノールなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記化合物の例としては、例えば、
トリスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ジスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ノニルフェノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、
ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、
テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
オクタデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ノナノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、等が挙げられる。尚、エチレンオキサイドの付加数については、5~15モルが望ましく、プロピレンオキサイドの付加数については、5~15モルが望ましい。
本実施形態に係る処理剤は、シリコーン化合物(A)及び非イオン界面活性剤(N)の含有量の合計を100質量部として、シリコーン化合物(A)の含有量が10質量部以上90質量部以下であり、非イオン界面活性剤(N)の含有量が10質量部以上90質量部以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本実施形態に係る処理剤は、シリコーン化合物(A)、及び非イオン界面活性剤(N)以外の他の成分を含有していてもよい。かかる他の成分としては、防腐剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などが例示されるが、これらに限定されない。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の製造方法〕
本実施形態に係る処理剤は、シリコーン化合物(A)の他に、必要に応じて非イオン性界面活性剤(N)、ならびに任意に加えられる成分を公知の方法で混合することによって得られうる。
〔炭素繊維前駆体〕
本実施形態に係る炭素繊維前駆体は、炭素繊維前駆体として一般に用いられる繊維材料に、本実施形態に係る処理剤が付着した態様である。ここでいう繊維材料とは、焼成工程を経て炭素繊維となる繊維状の材料であり、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、セルロース系繊維、リグニン系繊維、フェノール樹脂、およびピッチ等、またはこれらの組合せでありうる。
繊維材料に処理剤を付着させる方法としては、当分野において繊維材料にこの種の処理剤を付着させる際に通常用いられる方法を適用できる。すなわち、浸漬給油法、スプレー給油法、ローラー給油法、およびガイド給油法などが採用されうる。なお、それぞれの方法を適用するにあたり、処理剤が水等の溶媒で適宜希釈されうる。
本実施形態に係る炭素繊維前駆体において、処理剤の付着量は特に限定されない。たとえば、処理剤が付着した炭素繊維前駆体全体に対して処理剤が0.3質量%以上3質量%以下付着していることが好ましい。
〔その他の実施形態〕
本発明は、シリコーン化合物(A)を含有し、前記シリコーン化合物(A)が、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤でありうる。
この炭素繊維前駆体用処理剤において、前記シリコーン化合物(A)の屈折率が1.420~1.600でありうる。また、この炭素繊維前駆体用処理剤は、更に、非イオン界面活性剤(N)を含有するものでありうる。これらの構成によれば、耐炎化毛羽の発生をより一層抑制することができる。
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下では、実施例を示して本発明をさらに説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定しない。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の調製〕
以下の方法で、後掲する表3~表5に示す実施例1~33、参考例1及び2、並びに比較例1及び2炭素繊維前駆体用処理剤を得た。
(1)試薬
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物(A)として、それぞれ異なる動粘度と屈折率とを有する、7種類のフェニル変性シリコーン(A1-1)~(A1-7)、並びに3種類のアラルキル変性シリコーン(A2-1)~(A2-3)を使用した。各シリコーン化合物(A)を以下の表1に示す。
Figure 0007554525000001
また、アミノ変性シリコーン(A3)として、以下のA3-1~A3-4を使用した。
A3-1:25℃における動粘度が650mm/s、アミノ当量が1800g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-2:25℃における動粘度が90mm/s、アミノ当量が5000g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-3:25℃における動粘度が4500mm/s、アミノ当量が1200g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-4:25℃における動粘度が8000mm/s、アミノ当量が1000g/molであるアミノ変性シリコーン
また、ポリエーテル変性シリコーン(A4)として、以下のA4-1~A4-3を使用した。
A4-1:25℃における動粘度が1700mm/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=50/50(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
A4-2:25℃における動粘度が600mm/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=30/70(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=100/0(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
A4-3:25℃における動粘度が1000mm/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=60/40(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=20/80(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
(非イオン性界面活性剤)
非イオン性界面活性剤(N)として、以下の表2に示す、N-1~N-10を使用した。
Figure 0007554525000002
非イオン性界面活性剤(N-1)~(N-10)は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一つがアルコールに付加された以下の化合物(n-1)~(n-9)のいずれかを上記表2に示す割合で含むものである。また、当該アルコールとして、トリスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、ノニルフェノール、ドデカノール、テトラデカノール、オクタデカノール、又はノナノールを使用した。尚、非イオン性界面活性剤(N-1)~(N-5)、(N-7)、(N-8)は、2種類の化合物を含む例であり、非イオン性界面活性剤(N-6)は、3種類の化合物を含む例であり、非イオン性界面活性剤(N-9)及び(N-10)は、1種類の化合物を含む例である。
n-1:トリスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-2:ジスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-3:ノニルフェノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-4:ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
n-5:ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-6:テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
n-7:テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-8:オクタデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-9:ノナノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
(その他の成分)
その他の成分として以下を用いた。
希釈剤:イオン交換水
(2)炭素繊維用処理剤の調製
(実施例1の調製)
シリコーン化合物(A)のフェニル変性シリコーン(A1-1)を55質量部、アミノ変性シリコーン(A3-1)を10質量部、ポリエーテル変性シリコーン(A4-1)を5質量部、非イオン性界面活性剤(N-1)を30質量部、それぞれ秤量し、ビーカーに投入した。上記の各構成成分をよく混合した後、これを撹拌しながら300質量部のイオン交換水を徐々に添加することで実施例1の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。
(他の実施例、参考例および比較例の調製)
混合対象とする試薬の種類および質量部を変更した他は、実施例1と同様の方法で各例の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。実施例1を含む全ての例の調製条件を、後掲の表3~表5に示す。
〔炭素繊維前駆体用処理剤の評価〕
(1)炭素繊維の作成
(1-1)繊維材料の作成
アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル3.5質量%、メタクリル酸1.5質量%からなる極限粘度1.80の共重合体を、ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解し、ポリマー濃度が21.0質量%であり、60℃における粘度が500ポイズである紡糸原液を作成した。紡糸原液を、紡浴温度35℃に保たれたDMACの70質量%水溶液の凝固浴中に孔径(内径)0.075mm、ホール数12,000の紡糸口金よりドラフト比0.8で吐出した。凝固糸を水洗槽の中で脱溶媒と同時に5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維ストランドを作成した。
(1-2)炭素繊維前駆体の作成
作成したアクリル繊維ストランドに対して、実施例、参考例、および比較例の各例の炭素繊維前駆体用処理剤の3%イオン交換水溶液を、浸漬法にて、処理剤の付着量が1質量%(溶媒を含まない。)となるように給油した。その後、処理剤が付着したアクリル繊維ストランドに対して150℃の加熱ローラーで乾燥緻密化処理を行い、さらに130℃の加熱ローラー間で1.7倍の延伸を施した後に、糸管に巻き取って炭素繊維前駆体を得た。
(2)紡糸集束性の評価
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤について、上記(1)の手順による炭素繊維前駆体の作成を連続的に行い、乾燥緻密化工程の130℃の加熱ローラーを通過する際の集束状態を目視で観察して、以下の3基準で評価した。
A:繊維が集束して繊維束の幅(トウ幅)が相対的に狭くなっており、且つ繊維束の幅が一定である場合
B:繊維が集束しているものの、繊維束の幅が一定でない場合
C:繊維が集束しておらず、繊維束中に空間が存在して繊維束の幅が広くなっている場合
(3)耐炎化毛羽の評価
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤を使用して得られた炭素繊維前駆体に対して耐炎化処理を実施して耐炎化繊維を作成し、当該耐炎化繊維について、搬送するローラー部分における毛羽の発生の有無を目視で観察して、以下の4基準で評価した。
AA:全く毛羽が見られず(100m中毛羽箇所が0~1本)、操業に問題がない場合
A:わずかに毛羽が見られる(100m中毛羽箇所が2~3本)が、操業に問題になるレベルではない場合
B:毛羽が多少見られる(100m中毛羽箇所が4~5本)が、操業に問題になるレベルではない場合
C:毛羽が多く(100m中毛羽箇所が6本以上)、ローラーへの巻き付けも発生し、操業に問題がある場合
(4)強度
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤を使用して得られた炭素繊維前駆体に対して焼成工程を実施して炭素繊維を作成し、当該炭素繊維について、JIS R 7606に準じて炭素繊維の強度を測定して、以下の3基準で評価した。
A:強度が4.0GPa以上、4.5GPa未満
B:強度が3.5GPa以上、4.0GPa未満
C:強度が3.5GPa未満
〔結果〕
実施例、参考例、および比較例の各例の原料構成および各評価の結果を表3~表5に示す。
表3:実施例1~22
Figure 0007554525000003
表4:実施例23~33並びに参考例1及び2
Figure 0007554525000004
表5:比較例1及び2
Figure 0007554525000005
本発明は、たとえば炭素繊維前駆体の製造に利用できる。

Claims (6)

  1. シリコーン化合物(A)および非イオン界面活性剤(N)を含有し、
    前記シリコーン化合物(A)が、25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるフェニル変性シリコーン(A1)及び25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤。
  2. 前記非イオン界面活性剤(N)が、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一つがアルコールに付加された複数の化合物(n)を含み、且つ、前記アルコールは化学式の異なる二種以上である請求項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  3. 前記シリコーン化合物(A)及び前記非イオン界面活性剤(N)の含有量の合計を100質量部として、前記シリコーン化合物(A)の含有量が10質量部以上90質量部以下であり、前記非イオン界面活性剤(N)の含有量が10質量部以上90質量部以下である請求項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  4. 前記シリコーン化合物(A)が、アミノ変性シリコーン(A3)をさらに含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  5. 前記シリコーン化合物(A)が、ポリエーテル変性シリコーン(A4)をさらに含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤が付着していることを特徴とする炭素繊維前駆体。
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