JP7554525B1 - 炭素繊維前駆体用処理剤および炭素繊維前駆体 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、シリコーン化合物(A)を含有し、シリコーン化合物(A)は、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含有する。また、本実施形態に係る炭素繊維前駆体用処理剤は、必要に応じて、更に、非イオン界面活性剤(N)を含有しても良い。
シリコーン化合物(A)は、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含有するものであるが、必要に応じて、更に、アミノ変性シリコーン(A3)及び/又はポリエーテル変性シリコーン(A4)を含有しても良い。
非イオン性界面活性剤(N)は、当技術分野において通常使用される任意の非イオン性界面活性剤でありうる。非イオン性界面活性剤(N)は、一種類の化合物であってもよいし、複数種類の化合物の混合物であってもよい。
トリスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ジスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ノニルフェノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、
ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、
テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
オクタデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物、
ノナノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物、等が挙げられる。尚、エチレンオキサイドの付加数については、5~15モルが望ましく、プロピレンオキサイドの付加数については、5~15モルが望ましい。
本実施形態に係る処理剤は、シリコーン化合物(A)、及び非イオン界面活性剤(N)以外の他の成分を含有していてもよい。かかる他の成分としては、防腐剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤などが例示されるが、これらに限定されない。
本実施形態に係る処理剤は、シリコーン化合物(A)の他に、必要に応じて非イオン性界面活性剤(N)、ならびに任意に加えられる成分を公知の方法で混合することによって得られうる。
本実施形態に係る炭素繊維前駆体は、炭素繊維前駆体として一般に用いられる繊維材料に、本実施形態に係る処理剤が付着した態様である。ここでいう繊維材料とは、焼成工程を経て炭素繊維となる繊維状の材料であり、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、セルロース系繊維、リグニン系繊維、フェノール樹脂、およびピッチ等、またはこれらの組合せでありうる。
本発明は、シリコーン化合物(A)を含有し、前記シリコーン化合物(A)が、フェニル変性シリコーン(A1)及びアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤でありうる。
以下の方法で、後掲する表3~表5に示す実施例1~33、参考例1及び2、並びに比較例1及び2の炭素繊維前駆体用処理剤を得た。
(シリコーン化合物)
シリコーン化合物(A)として、それぞれ異なる動粘度と屈折率とを有する、7種類のフェニル変性シリコーン(A1-1)~(A1-7)、並びに3種類のアラルキル変性シリコーン(A2-1)~(A2-3)を使用した。各シリコーン化合物(A)を以下の表1に示す。
A3-1:25℃における動粘度が650mm2/s、アミノ当量が1800g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-2:25℃における動粘度が90mm2/s、アミノ当量が5000g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-3:25℃における動粘度が4500mm2/s、アミノ当量が1200g/molであるアミノ変性シリコーン
A3-4:25℃における動粘度が8000mm2/s、アミノ当量が1000g/molであるアミノ変性シリコーン
A4-1:25℃における動粘度が1700mm2/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=50/50(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
A4-2:25℃における動粘度が600mm2/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=30/70(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=100/0(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
A4-3:25℃における動粘度が1000mm2/s、シリコーン主鎖/ポリエーテル側鎖=60/40(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=20/80(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
n-2:ジスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキサイド15モル、プロピレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-3:ノニルフェノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-4:ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
n-5:ドデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-6:テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
n-7:テトラデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-8:オクタデカノール1モルに対し、エチレンオキサイド10モルを付加させた化合物
n-9:ノナノール1モルに対し、エチレンオキサイド5モルを付加させた化合物
その他の成分として以下を用いた。
希釈剤:イオン交換水
(実施例1の調製)
シリコーン化合物(A)のフェニル変性シリコーン(A1-1)を55質量部、アミノ変性シリコーン(A3-1)を10質量部、ポリエーテル変性シリコーン(A4-1)を5質量部、非イオン性界面活性剤(N-1)を30質量部、それぞれ秤量し、ビーカーに投入した。上記の各構成成分をよく混合した後、これを撹拌しながら300質量部のイオン交換水を徐々に添加することで実施例1の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。
混合対象とする試薬の種類および質量部を変更した他は、実施例1と同様の方法で各例の炭素繊維前駆体用処理剤を調製した。実施例1を含む全ての例の調製条件を、後掲の表3~表5に示す。
(1)炭素繊維の作成
(1-1)繊維材料の作成
アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル3.5質量%、メタクリル酸1.5質量%からなる極限粘度1.80の共重合体を、ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解し、ポリマー濃度が21.0質量%であり、60℃における粘度が500ポイズである紡糸原液を作成した。紡糸原液を、紡浴温度35℃に保たれたDMACの70質量%水溶液の凝固浴中に孔径(内径)0.075mm、ホール数12,000の紡糸口金よりドラフト比0.8で吐出した。凝固糸を水洗槽の中で脱溶媒と同時に5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維ストランドを作成した。
作成したアクリル繊維ストランドに対して、実施例、参考例、および比較例の各例の炭素繊維前駆体用処理剤の3%イオン交換水溶液を、浸漬法にて、処理剤の付着量が1質量%(溶媒を含まない。)となるように給油した。その後、処理剤が付着したアクリル繊維ストランドに対して150℃の加熱ローラーで乾燥緻密化処理を行い、さらに130℃の加熱ローラー間で1.7倍の延伸を施した後に、糸管に巻き取って炭素繊維前駆体を得た。
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤について、上記(1)の手順による炭素繊維前駆体の作成を連続的に行い、乾燥緻密化工程の130℃の加熱ローラーを通過する際の集束状態を目視で観察して、以下の3基準で評価した。
A:繊維が集束して繊維束の幅(トウ幅)が相対的に狭くなっており、且つ繊維束の幅が一定である場合
B:繊維が集束しているものの、繊維束の幅が一定でない場合
C:繊維が集束しておらず、繊維束中に空間が存在して繊維束の幅が広くなっている場合
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤を使用して得られた炭素繊維前駆体に対して耐炎化処理を実施して耐炎化繊維を作成し、当該耐炎化繊維について、搬送するローラー部分における毛羽の発生の有無を目視で観察して、以下の4基準で評価した。
AA:全く毛羽が見られず(100m中毛羽箇所が0~1本)、操業に問題がない場合
A:わずかに毛羽が見られる(100m中毛羽箇所が2~3本)が、操業に問題になるレベルではない場合
B:毛羽が多少見られる(100m中毛羽箇所が4~5本)が、操業に問題になるレベルではない場合
C:毛羽が多く(100m中毛羽箇所が6本以上)、ローラーへの巻き付けも発生し、操業に問題がある場合
実施例、参考例、および比較例の各例の処理剤を使用して得られた炭素繊維前駆体に対して焼成工程を実施して炭素繊維を作成し、当該炭素繊維について、JIS R 7606に準じて炭素繊維の強度を測定して、以下の3基準で評価した。
A:強度が4.0GPa以上、4.5GPa未満
B:強度が3.5GPa以上、4.0GPa未満
C:強度が3.5GPa未満
実施例、参考例、および比較例の各例の原料構成および各評価の結果を表3~表5に示す。
Claims (6)
- シリコーン化合物(A)および非イオン界面活性剤(N)を含有し、
前記シリコーン化合物(A)が、25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるフェニル変性シリコーン(A1)及び25℃でデジタル屈折計にて測定される屈折率が1.420~1.600であるアラルキル変性シリコーン(A2)から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする炭素繊維前駆体用処理剤。 - 前記非イオン界面活性剤(N)が、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される少なくとも一つがアルコールに付加された複数の化合物(n)を含み、且つ、前記アルコールは化学式の異なる二種以上である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
- 前記シリコーン化合物(A)及び前記非イオン界面活性剤(N)の含有量の合計を100質量部として、前記シリコーン化合物(A)の含有量が10質量部以上90質量部以下であり、前記非イオン界面活性剤(N)の含有量が10質量部以上90質量部以下である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
- 前記シリコーン化合物(A)が、アミノ変性シリコーン(A3)をさらに含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
- 前記シリコーン化合物(A)が、ポリエーテル変性シリコーン(A4)をさらに含む請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤が付着していることを特徴とする炭素繊維前駆体。
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