JP7505276B2 - 樹脂組成物の製造方法、組成物およびペレット - Google Patents
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Description
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリアミド樹脂とタルクを含む樹脂組成物の製造方法であって、ポリアミド樹脂のみの場合のYI値とタルクを溶融混練した後の樹脂組成物のYI値の差が小さい樹脂組成物を提供可能な樹脂組成物の製造方法、ならびに、組成物およびペレットを提供することを目的とする。
<1>ポリアミド樹脂と、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクとを、前記板状タルクが、前記ポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10~40質量%となる割合で溶融混練して、押出機で押し出すことを含む、樹脂組成物の製造方法。
<2>前記板状タルクをサイドフィードにより押出機に供給することを含む、<1>に記載の樹脂組成物の製造方法。
<3>前記板状タルクを2回以上に分けてサイドフィードにより押出機に供給することを含む、<1>に記載の樹脂組成物の製造方法。
<4>前記押出機のQ/Nsが0.1~0.4である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法;ここで、Qは吐出量(単位:kg/時間)を意味し、Nsは回転数(単位:rpm)を意味する。
<5>前記樹脂組成物が押出機より押し出されるときの樹脂組成物の温度が280~380℃である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<6>前記板状タルクのアスペクト比が18超である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<7>前記ポリアミド樹脂が、半芳香族ポリアミド樹脂である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<8>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30モル%以上が炭素数4~15のα,ω-直鎖ジカルボン酸に由来する、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<9>前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~99モル%が炭素数4~15のα,ω-直鎖ジカルボン酸に由来し、1~70モル%がイソフタル酸に由来する、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<10>前記ポリアミド樹脂の酸素透過係数が0.1cc・mm/(m2・day・atm)以下である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<11>前記樹脂組成物がペレットである、<1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
<12>ポリアミド樹脂と、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクを含み、
前記板状タルクが、前記ポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10~40質量%である、組成物。
<13><1>~<11>のいずれか1つに記載の樹脂組成物の製造方法で製造されたペレット。
<14><12>に記載の組成物から形成されたペレット。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
以下、本実施形態の詳細について説明する。
本実施形態では、ポリアミド樹脂と、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクを含み、前記板状タルクが、前記ポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10~40質量%である組成物を原料とする。これらの原料は、詳細を後述するとおり、押出機に同時に供給する必要はなく、分けて供給することが一般的である。さらに、本実施形態では、原料としての組成物は、他の成分を含んでいてもよい。
以下、原料としての組成物について説明する。以下、ポリアミド樹脂および板状タルクは特に述べない限り、原料ポリアミド樹脂および原料板状タルクを意味する。
本実施形態で用いるポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂でも、半芳香族ポリアミド樹脂であってもよく、半芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。半芳香族ポリアミド樹脂を用いることにより、よりバリア性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。
脂肪族ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6/66(ポリアミド6成分およびポリアミド66成分からなる共重合体)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12の1種または2種以上が例示される。
半芳香族ポリアミド樹脂としては、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の30~70モル%が芳香環を含む構成単位である樹脂が挙げられ、前記ジアミン由来の構成単位およびジカルボン酸由来の構成単位の合計構成単位の40~60モル%が芳香環を含む構成単位である樹脂が好ましい。このような半芳香族ポリアミド樹脂を用いることにより、得られる成形品の機械的強度を高くすることができる。半芳香族ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド6I/6T、後述するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂などが例示され、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が好ましい。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂を用いることにより、よりバリア性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。
前記炭素数4~15のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂のバリア性に優れ、溶融状態で成形加工する際の熱安定性に優れることから、アジピン酸またはセバシン酸がより好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。
酸素透過係数は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本実施形態では、原料として、ポリアミド樹脂を1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態では、原料である組成物として、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクをポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10~40質量%となる割合で含む。かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクを含むことにより、タルクをより多く押出機に投入することができる。また、板状タルクをポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10質量%以上とすることにより、よりバリア性に優れた樹脂組成物が得られる傾向にある。また、40質量%以下とすることにより、耐衝撃性がより向上する傾向にある。
板状タルクのアスペクト比は、走査型電子顕微鏡にて2000倍~30000倍で観察し、断面の観察が可能な粒子50個の断面の厚みと長さの比(長さ/厚み)を観察し、任意の粒子5個の比を算術平均することにより測定される。
前記板状タルクの含有量は、15質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましく、21質量%以上であることがさらに好ましく、25質量%以上であることが一層好ましい。また、前記タルクの含有量は、38質量%以下であってもよく、35質量%以下であってもよく、33質量%以下であってもよい。
本実施形態において、原料としての組成物は板状タルクを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態において、原料としての組成物は、上記の他、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、離型剤、可塑剤、タルク以外の無機フィラー、酸化チタン、酸化防止剤、耐加水分解性改良剤、艶消剤、紫外線吸収剤、タルク以外の核剤、可塑剤、分散剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤等が例示される。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落0130~0155の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態では、樹脂組成物の原料であるポリアミド樹脂、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルク、さらに必要に応じ配合される成分を溶融混練して、押出機で押し出すことを含む。このような構成とすることにより、タルクを多く押出機に投入でき、押出機中の樹脂の滞留時間を減らすことができ、原料ポリアミド樹脂と比較して、YI値の上昇が小さい(ΔYIが小さい)樹脂組成物が得られる。
前記Q/Nsは、0.14以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.16以上であることがさらに好ましい。また、前記Q/Nsの上限は、0.38以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましい。
前記樹脂温度の下限値は、290℃以上であることが好ましく、310℃以上であることがより好ましく、325℃以上であることがさらに好ましく、330℃以上であることが一層好ましく、340℃以上であることがより一層好ましい。前記樹脂温度の上限値は、375℃以下であることが好ましく、370℃以下であることがより好ましく、365℃以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の製造方法で得られる樹脂組成物は、酸素バリア性に優れていることが好ましい。具体的には、酸素透過係数が0.1cc・mm/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、0.08cc・mm/(m2・day・atm)以下であることがより好ましく、0.06cc・mm/(m2・day・atm)以下であることがさらに好ましい。下限値は、0cc・mm/(m2・day・atm)が理想であるが、0.001cc・mm/(m2・day・atm)以上が実際的である。
酸素透過係数は、後述する実施例の記載に従って測定される。
ΔYIは、後述する実施例の記載に従って測定される。
本実施形態の製造方法で得られる樹脂組成物は、ペレット、フィルム、その他の成形品のいずれの形態であってもよく、ペレットの形態であることが好ましい。前記ペレットは、その後、射出成形等の公知の成形方法によって、各種成形品に成形される。
成形品は、本実施形態の製造方法で得られる樹脂組成物のみから形成された成形品として用いられていてもよいし、他の部材との組み合わされた成形品として用いられていてもよい。また、成形品は、最終製品である必要はなく、部品や最終成形品の一部を構成する部材であってもよい。成形品は、包装材料の少なくとも一部として使用することができ、また、ボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の容器の少なくとも一部として使用することもできる。成形品は、例えば、包装材料や容器は、様々な物品を収納、保存するのに好適である。前記物品としては、飲料、調味料、穀類、無菌での充填もしくは加熱殺菌の必要な液状よび固形品、化学薬品、液状生活用品、医薬品、半導体集積回路並びに電子デバイス等、種々の物品を収納、保存することができる。これらの詳細は、特開2011-037199号公報の段落0032~0035の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。成形品の具体例としては、ダイレクトブロー成形品、圧空真空成形品、紙ラミネート、紙/バリア層/バリア層のラミネート、樹脂発泡多層体のフィルムラミネート加工用のフィルムなどが挙げられる。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
<ポリアミド樹脂>
MXD6I(6):下記合成例に従って合成した。メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸から構成され、アジピン酸とイソフタル酸のモル比が94:6であるポリアミド樹脂である。
<<MXD6I(6)の合成>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの50L反応缶に、アジピン酸15.1kg、イソフタル酸1.1kg、メタキシリレンジアミン14.9kg、次亜リン酸ナトリウム一水和物13.9gおよび酢酸ナトリウム7.2gを仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて180℃に昇温し、アジピン酸を均一に溶融させた後、系内を撹拌しつつ、これにメタキシリレンジアミン13.9kgを、110分を要して滴下した。この間、内温は連続的に245℃まで上昇させた。なお重縮合により生成する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温をさらに260℃まで昇温し、1時間反応を継続した後、ポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷後ペレット化してポリマーを得た。
次に、上記の操作にて得たポリマーを加熱ジャケット、窒素ガス導入管、真空ラインを備えた250L回転式タンブラーに入れ、回転させつつ系内を減圧にした後、純度99容量%以上の窒素で常圧にする操作を3回行った。その後、窒素流通下にて系内を140℃まで昇温させた。次に系内を減圧にし、さらに200℃まで連続的に昇温し、200℃で30分保持した後、窒素を導入して系内を常圧に戻した後、冷却してポリアミド樹脂(MXD6I(6))を得た。
得られたポリアミド樹脂(MXD6I(6))の酸素透過係数は、23℃、相対湿度60%で0.07cc・mm/(m2・day・atm)であった。
<<MXD6I(50)の合成>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの50L反応缶に、アジピン酸7.5kg、イソフタル酸8.5kg、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gおよび酢酸ナトリウム4.8gを仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて180℃に昇温し、アジピン酸とイソフタル酸を均一に溶融させた後、系内を撹拌しつつ、これにメタキシリレンジアミン13.9kgを、170分を要して滴下した。この間、内温は連続的に265℃まで上昇させた。なお重縮合により生成する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温をさらに270℃まで昇温し、10分間反応を継続した後、ポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷後ペレット化してポリマーを得た。
次に、上記の操作にて得たポリマーを加熱ジャケット、窒素ガス導入管、真空ラインを備えた250L回転式タンブラーに入れ、回転させつつ系内を減圧にした後、純度99容量%以上の窒素で常圧にする操作を3回行った。その後、窒素流通下にて系内を115℃まで昇温させた。次に系内を減圧にし、115℃で24時間保持した後、窒素を導入して系内を常圧に戻した後、冷却してポリアミド樹脂(MXD6I(50))を得た。
ポリアミド樹脂(MXD6I(50))の酸素透過係数は、23℃、相対湿度60%で0.08cc・mm/(m2・day・atm)であった。
<<MXD6の合成>>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付きの50L反応缶に、アジピン酸15kg、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.4gおよび酢酸ナトリウム0.2gを仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて180℃に昇温し、アジピン酸を均一に溶融させた後、系内を撹拌しつつ、これにメタキシリレンジアミン13.9kgを、110分を要して滴下した。この間、内温は連続的に245℃まで上昇させた。なお重縮合により生成する水は、分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温をさらに260℃まで昇温し、1時間反応を継続した後、ポリマーを反応缶下部のノズルからストランドとして取り出し、水冷後ペレット化してポリマーを得た。
次に、上記の操作にて得たポリマーを加熱ジャケット、窒素ガス導入管、真空ラインを備えた250L回転式タンブラーに入れ、回転させつつ系内を減圧にした後、純度99容量%以上の窒素で常圧にする操作を3回行った。その後、窒素流通下にて系内を140℃まで昇温させた。次に系内を減圧にし、さらに200℃まで連続的に昇温し、200℃で30分保持した後、窒素を導入して系内を常圧に戻した後、冷却してポリアミド樹脂(MXD6)を得た。
得られたポリアミド樹脂(MXD6)の酸素透過係数は、23℃、相対湿度60%で0.09cc・mm/(m2・day・atm)であった。
PAOG-2:板状タルク、日本タルク社製、高アスペクト比タルクシリーズ、メディアン径D50の粒子径7μm
PAOG-2comp:PAOG-2を圧縮加工したもの。下記製造例に従って製造した。
P-2:板状タルク、日本タルク社製、メディアン径D50の粒子径7μm
P-2comp:P-2を圧縮加工したもの。下記製造例に従って製造した。
タルクのかさ比重は、JISK5101の静置法に従って測定した。
具体的には、タルクを嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入した。受器の投入口から上部の山盛りになったタルクをヘラで削り取り、受器内のタルクの重量を測定し、下式にてかさ比重を算出した。
かさ比重=受器内のタルクの重量(g)/受器の容量(mL)。
板状タルクPAOG-2を、脱気装置(栗本鉄鋼社製、クリバックKV-200)にて脱気し、脱気された板状タルクを圧縮装置(栗本鉄鋼社製、ローラーコンパクタRCP400W)に送って圧縮し、PAOG-2compを得た。
板状タルクP-2を、脱気装置(栗本鉄鋼社製、クリバックKV-200)にて脱気し、脱気された板状タルクを圧縮装置(栗本鉄鋼社製、ローラーコンパクタRCP400W)に送って圧縮し、P-2compを得た。
二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SX)を使用して、二軸押出機の温度を260℃に設定し、表1に示すポリアミド樹脂のペレットとタルクの粉体を、溶融混練してペレットを得た。ポリアミド樹脂のペレットとタルクの粉体はそれぞれ異なるホッパーに充填し、表1に示す組成(質量%)となるようにサイドフィーダーから供給した。コンパウンドの条件は、表1に示した通りとした。得られたペレットを120℃で6時間真空乾燥することで、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットまたはフィルムを用い、以下の評価を行った。
得られた樹脂組成物を、るつぼに入れ、加熱炉にて600℃、12時間加熱して灰化させ、残渣の灰分(質量%)を求めた。
原料ポリアミド樹脂(樹脂のYI)および上記で得られたペレットを120℃で6時間乾燥させた後のYI値(乾燥後YI)は、JIS Z 8722に基づき、色差計を用い、反射法にて測定した。
色差計は、ZE-2000(日本電色工業製、12V 20Wのハロゲンランプ光源)を用い、30mmφのセル容器にペレットを満注し、測定した。4回測定した平均値として求めた。
また、樹脂のYIと乾燥後YIの差をΔYIとした。
水分含有率は、ISO15512に準拠した方法により、カールフィッシャー水分計を用いて、測定した。単位は%で示した。
カールフィッシャー水分計は、日東精工アナリテック(旧三菱ケミカルアナリテック)社製、電量滴定方式微量水分測定装置CA-200型を用いた。
JIS K7210に従い、結晶性樹脂は(融点+15℃)の温度、非晶性樹脂は260℃の温度、1.2kgfの荷重で測定した。MFRは、成形流動性の指標とすることができ、MFRの値が高いほど流動性が高いことを示す。
メルトインデクサーは、東洋精機製作所製C5059Dを使用した。
<融点および結晶性/非晶性の測定>
示差走査熱量の測定(DSC)によって、合成されたポリアミド樹脂の融点(Tm)を測定し、また、融解エンタルピー変化(ΔH)を測定して、結晶性/非晶性を判断した。
DSCの測定はJIS K7121およびK7122に準じて行った。
具体的には、示差走査熱量計を用い、合成されたポリアミド樹脂を砕いて示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で330℃まで昇温した。このとき、融解時のエンタルピー変化ΔH(単位:J/g)が5J/g以下、または、330℃まで昇温しても融解ピークが観測されなかったポリアミド樹脂を非晶性樹脂と定義し、それ以外のポリアミド樹脂を結晶性樹脂とした。
同様に、再び合成されたポリアミド樹脂を測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で、結晶性樹脂は(融点と考えられる温度+20℃)まで昇温し、非晶性樹脂は260℃まで昇温し、昇温が完了した直後に、測定パンを取り出してドライアイスに押し当てて急冷した。その後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、結晶性樹脂は(融点と考えられる温度+20℃)まで昇温し、非晶性樹脂は260℃まで昇温して測定を行い、融点(Tm)(単位:℃)を求めた。
示差走査熱量計としては、島津製作所社製「DSC-60」を用いた。
OTRの測定は、50μmの厚さに成形したフィルムを用いて行った。
すなわち、ポリアミド樹脂のOTRは、ポリアミド樹脂ペレットを、押出機にてTダイから溶融押出し、厚さ50μm、幅100mmのフィルムを得たものを用いて行った。
上記樹脂ペレットから形成したフィルムおよび上記樹脂組成物から得られたフィルムについて、酸素透過係数測定装置を使用し、ASTM D3985に準じて、23℃で、相対湿度60%の雰囲気下における酸素透過率(OTR)を測定した。OTRの単位圧力は1atmとし、単位透過時間は24時間とした。
酸素透過率測定装置は、MOCON社製、製品名:「OX-TRAN(登録商標) 2/21」)を使用した。
押出後の樹脂組成物中のタルクのアスペクト比として、上記で得られたフィルム中の板状タルクのR0、R45およびR90を評価し、R0、R45およびR90のなかで最も大きな値を用いた。
<<R0、R45およびR90の測定>>
フィルムにアロンアルファでアルミ箔を積層したのち、フィルムを膜面に対して垂直に切断し、断面をイオンミリングで切削した(この断面を断面Aと呼ぶ)。この時の切断方向を0°とした。イオンミリング時、アルゴンイオンビームはアルミ箔からフィルムの方向に向かって照射した。
断面イオンミリング条件
装置:日立製作所社製IM-4000
条件:加速電圧4kV
放電電圧1.5kV
モードC4
加工時間4時間
突出量30μm
得られたサンプルをタングステンで60秒間導電処理した後、断面Aに対して走査型電子顕微鏡による反射電子像観察(SEM観察)を行い、縦30μm×横40μmの領域(面積1200μm2)中に存在する板状タルクのそれぞれについて、一番長い部分の両端に2本の平行な接線をひき、その接線間の距離を最大長Lとした。次に、前記2本の接線と垂直な各粒子を横切る線を引き、粒子と重なる部分のうち一番長い線分の長さを測定し、その長さを最小幅dとした。最大長と最小幅の比(L/d)を個々の粒子について測定した。同様の操作を2回繰り返し、得られた最大長と最小幅の比(L/d)の分布において、上位(値の大きい方)1%の最大長と最小幅の比(L/d)の平均値をR0とした。
次に、フィルムの膜面に垂直な断面であって、前記断面Aに対し、45°の方向の断面について、上記と同様にして、1200μm2の領域に含まれる板状タルクそれぞれの最大長と最小幅の比のうち、上位1%の平均値(R45)を求めた。
さらに、フィルムの膜面に垂直な断面であって、前記断面Aに対し、90°の方向の断面について、上記と同様にして、1200μm2の領域に含まれる板状タルクそれぞれの最大長と最小幅の比のうち、上位1%の平均値(R90)を測定した。
装置:日立製作所社製、SU8020
条件:加速電圧1kV
プローブ電流20μA、Normal
観察倍率3000倍
作動距離3mm
傾斜なし
導電処理タングステン60秒
実施例1において、表1または表2に記載の通り変更し、他は同様に行った。
上記表において、メッシュとはフィルターの目開きのサイズを表す指標であり、1インチ間にある目数を意味する。
上記表において、樹脂温度とは、押出機より押し出されるときの樹脂組成物の温度を意味し、ダイから出た直後の樹脂組成物を接触式の温度計によって測定した温度である。
上記結果から明らかなとおり、本発明の製造方法で製造された樹脂組成物は、原料ポリアミド樹脂のみの場合のYI値とタルクを配合した後の樹脂組成物のYI値の差(ΔYI)が小さい樹脂組成物が得られた。
これに対し、板状タルクのかさ比重が0.30g/cm3未満の場合、ΔYIが大きかった。
Claims (8)
- ポリアミド樹脂と、かさ比重が0.30g/cm3以上である板状タルクとを、
前記板状タルクが、前記ポリアミド樹脂と前記板状タルクの合計を100質量%としたとき、10~40質量%となる割合で溶融混練して、押出機で押し出すことを含み、
前記ポリアミド樹脂が、ジアミン由来の構成単位と、ジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の30~99モル%が炭素数4~15のα,ω-直鎖ジカルボン酸に由来し、1~70モル%がイソフタル酸に由来する、樹脂組成物の製造方法。 - 前記板状タルクをサイドフィードにより押出機に供給することを含む、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記板状タルクを2回以上に分けてサイドフィードにより押出機に供給することを含む、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記押出機のQ/Nsが0.1~0.4である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法;ここで、Qは吐出量(単位:kg/時間)を意味し、Nsは回転数(単位:rpm)を意味する。
- 前記樹脂組成物が押出機より押し出されるときの樹脂組成物の温度が280~380℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記板状タルクのアスペクト比が18超である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリアミド樹脂の温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下におけるASTM D3985に従って測定した酸素透過係数が0.1cc・mm/(m2・day・atm)以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記樹脂組成物がペレットである、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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