以下、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
図1に示すように、液体吐出装置11は、媒体12を収容可能な媒体収容部13と、印刷された媒体12を受けるスタッカー14と、液体吐出装置11を操作するための例えばタッチパネルなどの操作部15と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、原稿の画像を読み取る画像読取部16と、画像読取部16に原稿を送る自動給送部17と、を備えてもよい。
液体吐出装置11は、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する制御部19を備える。制御部19は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成され、メモリーに記憶されたプログラムに従って制御を行う。
図2に示すように、液体吐出装置11は、ノズル面21に設けられるノズル22から液体を吐出する液体吐出ヘッド23と、液体収容部24に収容される液体を液体吐出ヘッド23に供給する供給機構25と、供給機構25を駆動する駆動機構26と、を備える。液体吐出装置11は、複数の供給機構25を備えてもよい。複数の供給機構25は、それぞれ異なる種類の液体を液体吐出ヘッド23に供給してもよい。例えば、液体吐出装置11は、複数の供給機構25により供給される複数色のインクを吐出してカラー印刷を行ってもよい。1つの駆動機構26は、複数の供給機構25をまとめて駆動してもよい。液体吐出装置11は、複数の供給機構25を個別に駆動する複数の駆動機構26を備えてもよい。
液体吐出ヘッド23は、液体吐出装置11の本体に対して着脱可能に設けられてもよい。液体吐出ヘッド23は、ノズル面21が水平に対して傾斜する傾斜姿勢となるように配置される。液体吐出ヘッド23は、傾斜姿勢で媒体12に対して液体を吐出することで印刷を実行してもよい。本実施形態の液体吐出ヘッド23は、媒体12の幅方向に亘って設けられるラインタイプである。液体吐出ヘッド23は、媒体12の幅方向に移動しながら印刷を行うシリアルタイプとして構成されてもよい。
供給機構25は、液体収容部24が着脱可能に装着される装着部28と、装着部28に装着された液体収容部24から液体を導入可能な導入流路29と、導入流路29を開閉可能な導入バルブ30と、を備えてもよい。装着部28に装着される前の液体収容部24は、供給機構25が保持可能な液体の量より多い量の液体を収容してもよい。液体収容部24は、装着部28に装着されることで導入流路29の上流端に接続される。導入バルブ30は、液体収容部24から第1貯留部33への液体の流れを許容し、第1貯留部33から液体収容部24への液体の流れを制限する逆止弁を有して構成される。
供給機構25は、液体を収容する液体収容部24から供給される液体を貯留する第1貯留部33と、第1貯留部33に上流端が接続される連通路34と、連通路34の下流端が接続される第2貯留部35と、を備える。本実施形態の第1貯留部33は、導入流路29の下流端が接続され、導入流路29を介して液体収容部24と連通する。第2貯留部35は、第1貯留部33と連通路34を介して連通する。供給機構25は、連通路34を開閉可能な第1バルブ36と、第2貯留部35から液体吐出ヘッド23へ液体を供給する供給流路37と、を備える。供給機構25は、第2貯留部35と液体吐出ヘッド23との間の供給流路37に設けられる第2バルブ38と、液体吐出ヘッド23から第1貯留部33に液体を回収する回収流路39と、回収流路39を開閉可能な第3バルブ40と、回収流路39に設けられる液室41と、を備えてもよい。
液室41は、液体吐出ヘッド23と第3バルブ40との間の回収流路39に設けられる。液室41は、一部が可撓性部材42で構成され、可撓性部材42が変形することにより容積が変化する。
液体吐出ヘッド23は、回収流路39が接続される第1接続部44と、供給流路37が接続される第2接続部45と、を有してもよい。回収流路39は、上流端が第1接続部44に接続されると共に、下流端が第1貯留部33に接続される。供給流路37は、上流端が第2貯留部35に接続されると共に、下流端が第2接続部45に接続される。傾斜姿勢において、液体吐出ヘッド23と回収流路39との第1接続部44は、液体吐出ヘッド23と供給流路37との第2接続部45よりも高い位置に配置されてもよい。
駆動機構26は、第1貯留部33内を減圧し、第2貯留部35内を加圧する圧力可変機構47を備える。駆動機構26は、第1貯留部33内と圧力可変機構47とを連通させる減圧流路48と、減圧流路48内の圧力を検知可能な圧力センサー49と、を備えてもよい。駆動機構26は、第1貯留部33に接続される大気開放路50と、第2貯留部35内と圧力可変機構47とを連通させる加圧流路51と、を備えてもよい。
駆動機構26は、液室41と可撓性部材42を介して隔てられた空気室53と、空気室53内に設けられるばね54と、空気室53に接続される空気流路55と、を備えてもよい。ばね54は、可撓性部材42を押すことで、回収流路39及び液体吐出ヘッド23内の液体の圧力変動を低減する。
圧力可変機構47は、例えばローラーがチューブを押し潰しながら回転することで、空気を送り出すチューブポンプである。圧力可変機構47が有する図示しないチューブは、一方の端に減圧流路48及び空気流路55が接続され、他方の端に加圧流路51が接続される。圧力可変機構47は、正転駆動されることにより、減圧流路48及び空気流路55から取り入れた空気を加圧流路51に送り出す。圧力可変機構47は、逆転駆動されることにより、加圧流路51から取り入れた空気を減圧流路48及び空気流路55に送り出す。
本実施形態では、圧力可変機構47と、空気室53と、圧力可変機構47と空気室53とを連通する空気流路55と、を含んで加圧機構57が構成され、加圧機構57に液室41を加えて微加圧部58が構成される。微加圧部58は、液室41と、可撓性部材42を液室41の外側から加圧可能な加圧機構57と、を有する。微加圧部58は、液体吐出ヘッド23と第3バルブ40との間の回収流路39に設けられ、回収流路39内の液体を加圧する。
次に、第1貯留部33について説明する。
第1貯留部33は、減圧流路48が接続される減圧室60と、減圧流路48を開閉可能なフロート弁61と、有してもよい。第1貯留部33は、液体を貯留する第1貯留室62と、第1貯留室62に貯留される液体の量を検出する液量センサー63と、第1貯留室62と駆動機構26とを隔てる第1気液分離膜64と、を有してもよい。第1気液分離膜64は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。例えば、第1気液分離膜64は、第1貯留室62と大気開放路50とを隔てるように、第1貯留室62内に設けられてもよい。第1気液分離膜64は、第1貯留室62と減圧流路48とを隔てるように、減圧室60内に設けられてもよい。第1貯留部33は、減圧室60とフロート弁61との間を密閉可能なシール部材65を備えてもよい。
フロート弁61は、第1貯留部33内の第1液面66の移動に追従して移動する。フロート弁61は、第1液面66の高さが所定の高さに到達した所でシール部材65に接触し、減圧室60を閉鎖する。すなわち、本実施形態のフロート弁61は、減圧室60と第1貯留室62とを分離させることで減圧流路48を閉鎖する。
本実施形態では、フロート弁61が減圧流路48を閉鎖するときの第1液面66の位置を標準位置という。標準位置は、ノズル面21よりも低い位置である。第1液面66は、ノズル面21よりも低い範囲で変動する。
具体的には、第1液面66が標準位置より下方に位置する場合、フロート弁61は、シール部材65から離れ、第1貯留室62は、減圧室60と連通する。圧力可変機構47が減圧室60内を減圧すると、第1貯留部33内も減圧され、液体収容部24から第1貯留部33に液体が供給される。第1液面66は、供給された液体の分だけ上昇する。第1液面66が標準位置に到達すると、フロート弁61が減圧流路48を閉鎖する。これにより第1貯留室62内の減圧が停止され、液体収容部24から第1貯留部33への液体の流入が停止する。
第1液面66は、第1貯留部33から第2貯留部35に液体が供給されることで下降する。第1液面66が下降し、フロート弁61が減圧室60と第1貯留室62とを連通させると、液体収容部24から第1貯留部33に液体が供給される。したがって、第1液面66は、標準位置より下方において移動する。
液体収容部24に収容される液体がなくなると、第1液面66は、標準位置まで上昇できなくなる。液量センサー63は、第1液面66が標準位置に位置すること、第1液面66が標準位置より下方の補給位置に位置すること、第1液面66が標準位置より上方の満杯位置に位置すること、を検知してもよい。第1液面66が満杯位置に位置するとき、第1貯留部33は、最大量の液体を貯留している。補給位置は、液体収容部24から第1貯留部33に液体を補給する目安になる位置である。制御部19は、第1貯留部33内を減圧させても第1液面66が標準位置まで上昇しない場合に、液体収容部24が空になったと判断し、液体収容部24の交換もしくは液体収容部24への液体の補充をユーザーに指示してもよい。
本実施形態の標準位置は、第1貯留室62において、回収流路39の下流端が接続される位置より上方に位置する。したがって、第1液面66が標準位置にあるとき、第1貯留部33内の液体は、回収流路39を介して液体吐出ヘッド23に供給可能である。
次に、第2貯留部35について説明する。
第2貯留部35は、液体を貯留する第2貯留室68と、第2貯留室68と加圧流路51とを隔てる第2気液分離膜69と、を有してもよい。第2気液分離膜69は、第1気液分離膜64と同様、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。
第2貯留部35は、水頭差によって第1貯留部33から液体が供給される。第1バルブ36は、第1貯留部33から第2貯留部35への液体の流れを許容し、第2貯留部35から第1貯留部33への液体の流れを制限する逆止弁を有して構成されてもよい。第1貯留室62内、及び第2貯留室68内が大気圧とされる場合、第2貯留部35内の液体の第2液面70は、第1液面66と同じ高さになる。換言すると、第2液面70は、ノズル面21よりも低い範囲で変動する。液体吐出ヘッド23内の液体は、第1貯留部33及び第2貯留部35内の液体との水頭差によって負圧に維持される。液体吐出ヘッド23で液体が消費されると、第2貯留部35に貯留される液体が液体吐出ヘッド23に供給される。
第1バルブ36は、第2貯留部35内の圧力が第1貯留部33内の圧力より大きい場合に連通路34を閉鎖する。そのため、第1バルブ36は、圧力可変機構47による第2貯留部35内の加圧時に、連通路34を閉鎖する。第1バルブ36は、圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧時に、連通路34を閉鎖する。第2バルブ38及び第3バルブ40は、制御部19により開閉が制御される。第2バルブ38は、圧力可変機構47による加圧時に供給流路37を開閉可能に設けられる。
駆動機構26は、加圧流路51から分岐して設けられる細管部72と、流路を開閉可能な第1選択弁73a~第9選択弁73iと、を備える。細管部72は、空気の流動に対し、液体の流動が大きく制限される程度に細く、且つ蛇行した管である。
第1選択弁73aは、開弁することで減圧流路48及び空気流路55を大気に連通させる。第2選択弁73bは、開弁することで減圧流路48及び空気流路55と圧力センサー49とを連通させる。第3選択弁73cは、開弁することで空気流路55を開放し、圧力可変機構47と空気室53とを連通させる。
第4選択弁73dは、開弁することで減圧流路48を開放し、圧力可変機構47と減圧室60とを連通させる。第5選択弁73eは、開弁することで加圧流路51と圧力センサー49とを連通させる。第6選択弁73fは、開弁することで加圧流路51を大気に連通させる。第7選択弁73gは、開弁することで大気開放路50を開放し、第1貯留室62を大気に連通させる。第8選択弁73hは、開弁することで加圧流路51を開放し、圧力可変機構47と第2貯留室68とを連通させる。第9選択弁73iは、開弁することで加圧流路51と細管部72とを連通させ、細管部72を介して加圧流路51を大気に連通させる。
空気室53内の圧力を変更する場合、駆動機構26は、第2選択弁73b、第3選択弁73c、及び第6選択弁73fを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で圧力可変機構47が正転駆動すると、空気室53内の空気は、空気流路55及び加圧流路51を介して排出され、空気室53内の圧力が低下する。この状態で圧力可変機構47が逆転駆動すると、加圧流路51及び空気流路55を介して空気室53に空気が送り込まれ、空気室53内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー49は、空気流路55及び空気室53内の圧力を検出してもよい。制御部19は、圧力センサー49の検出結果に基づいて圧力可変機構47の駆動を制御してもよい。
第1貯留部33を大気開放する場合、駆動機構26は、第7選択弁73gを開弁すると共に、圧力可変機構47の駆動を停止させる。第1貯留室62は、大気開放路50を介して大気に連通し、大気圧になる。
第1貯留部33内を減圧する場合、駆動機構26は、第2選択弁73b、第4選択弁73d及び第6選択弁73fを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で圧力可変機構47が正転駆動すると、減圧室60内の空気は、減圧流路48及び加圧流路51を介して排出され、減圧室60内の圧力が低下する。このとき圧力センサー49は、減圧流路48及び減圧室60内の圧力を検出してもよい。制御部19は、圧力センサー49の検出結果に基づいて圧力可変機構47の駆動を制御してもよい。
第2貯留部35を大気開放する場合、駆動機構26は、第9選択弁73iを開弁すると共に、圧力可変機構47の駆動を停止させる。第2貯留室68は、加圧流路51及び細管部72を介して大気に連通し、大気圧になる。
第2貯留部35内を加圧する場合、駆動機構26は、第1選択弁73a、第5選択弁73e、及び第8選択弁73hを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で圧力可変機構47が正転駆動すると、加圧流路51を介して第2貯留室68に空気が流入し、第2貯留室68内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー49は、加圧流路51、及び第2貯留室68内の圧力を検出してもよい。制御部19は、圧力センサー49の検出結果に基づいて圧力可変機構47の駆動を制御してもよい。
次に、図3~図9に示すフローチャートを参照し、液体吐出装置11の制御方法について説明する。ここで、各制御方法のステップ順は、各制御方法の目的から逸脱しない範囲で任意に入れ替え可能である。
図3に示す全体充填ルーチンは、液体収容部24が最初に装着部28に装着されたタイミングで実行されてもよい。全体充填ルーチンは、液体吐出ヘッド23が交換された後、液体収容部24が装着部28に装着されたタイミングで実行されてもよい。初期状態では、第2バルブ38、第3バルブ40、及び全ての選択弁は閉弁している。
ステップS101において、制御部19は、第1貯留部33内を減圧させる。ステップS102において、制御部19は、圧力センサー49が検出する圧力が所定圧力を下回ったか否かを判断する。所定圧力は、負圧であり、液体収容部24から第1貯留部33に液体を流入させ、且つ第1液面66を上昇させる負圧より大きい負圧である。圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力以上である場合、ステップS102がNOになり、制御部19は、検出圧力が所定圧力を下回るまで待機する。検出圧力が所定圧力を下回ると、ステップS102がYESになり、制御部19は、処理をステップS103に移行する。
ステップS103において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS104において、制御部19は第2貯留部35を大気開放させる。ステップS105において、制御部19は、第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させてから供給時間が経過したか否かを判断する。供給時間は、第1貯留部33から第2貯留部35に液体が供給され、第1液面66と第2液面70との高さが揃うために必要な時間である。供給時間が経過していない場合、ステップS105がNOになり、制御部19は、供給時間が経過するまで待機する。供給時間が経過すると、ステップS105がYESになり、制御部19は、処理をステップS106に移行する。ここで、ステップS103とステップS104は同時に行ってもよいし、ステップS104のあとにステップS103を行ってもよい。
ステップS106において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS107において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させる。ステップS108において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ここで、ステップS106およびステップS107はそれぞれ、ステップS108と同時、またはステップS108の後に行ってもよい。
ステップS109において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧してから第1充填時間が経過したか否かを判断する。第1充填時間は、第2貯留部35内の液体を供給流路37及び回収流路39に充填するために必要な時間である。第1充填時間が経過していない場合、ステップS109がNOになり、制御部19は、第1充填時間が経過するまで待機する。第1充填時間が経過すると、ステップS109がYESになり、制御部19は、処理をステップS110に移行する。
ステップS110において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS111において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS112において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させる。ステップS113において、制御部19は、第1貯留部33内を減圧させる。ステップS114において、制御部19は、圧力センサー49が検出する圧力が所定圧力を下回ったか否かを判断する。圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力以上である場合、ステップS114がNOになり、制御部19は、検出圧力が所定圧力を下回るまで待機する。検出圧力が所定圧力を下回ると、ステップS114がYESになり、制御部19は、処理をステップS115に移行する。ここで、ステップS110とステップS111はそれぞれ、ステップS112と同時、またはステップS112の後に行ってもよい。
ステップS115において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS116において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させてから供給時間が経過したか否かを判断する。供給時間が経過していない場合、ステップS116がNOになり、制御部19は、供給時間が経過するまで待機する。供給時間が経過すると、ステップS116がYESになり、制御部19は、処理をステップS117に移行する。
ステップS117において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS118において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ステップS119において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧してから第2充填時間が経過したか否かを判断する。第2充填時間は、供給流路37からノズル22まで液体を充填するために必要な時間である。第2充填時間が経過していない場合、ステップS119がNOになり、制御部19は、第2充填時間が経過するまで待機する。第2充填時間が経過すると、ステップS119がYESになり、制御部19は、処理をステップS120に移行する。ここで、ステップS117はステップS118と同時、またはステップS118の後に行ってもよい。
ステップS120において、制御部19は、圧力可変機構47の駆動を停止させる。ステップS121において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させ、全体充填ルーチンを終了する。ここで、ステップS120はステップS121と同時、またはステップS121の後に行ってもよい。
次に、全体充填を行う場合の作用について説明する。
図2に示すように、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧して、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する。このとき、第1貯留部33の圧力は、第2貯留部35の圧力より低くなる。そのため、第1バルブ36は閉弁する。すなわち、液体吐出装置11は、第1貯留部33内を減圧することで、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。
第1貯留部33内が減圧されると、液体収容部24から第1貯留部33に液体が供給され、第1液面66は上昇する。連通路34は閉鎖されているため、第2貯留部35には液体が供給されない。
第1液面66が標準位置まで上昇すると、フロート弁61が減圧室60と第1貯留室62とを分離する。第1貯留室62は、減圧が停止されて第1貯留部33への液体の流入が止まる。フロート弁61により閉鎖される減圧室60は、圧力がさらに低下する。制御部19は、圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力を下回ると、圧力可変機構47の駆動を停止させると共に、第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させる。
第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させると、第1バルブ36は開弁し、連通路34を開放する。具体的には、液体吐出装置11は、第1バルブ36により連通路34を開放するとともに圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除して、液体を第1貯留部33から第2貯留部35へ水頭差供給する。第1液面66は、第2貯留部35に供給した液体の分だけ下降する。第2液面70は、第1貯留部33から供給された液体の分だけ上昇する。第1液面66と第2液面70の高さが揃うと、第1貯留部33から第2貯留部35への液体の流れが止まる。
液体吐出装置11は、第2バルブ38を開弁させ、第2バルブ38により供給流路37を開放する。液体吐出装置11は、第3バルブ40を開弁させ、第3バルブ40により回収流路39を開放する。液体吐出装置11は、圧力可変機構47により、第2貯留部35内を加圧する。このとき、第2貯留部35の圧力は第1貯留部33の圧力より高くなるため、第1バルブ36は閉弁する。すなわち、液体吐出装置11は、第2貯留部35を加圧することで、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。第2貯留部35内の液体は、供給流路37、液体吐出ヘッド23、及び回収流路39を通って第1貯留部33に流入する。換言すると、液体吐出装置11は、第2貯留部35内の液体を供給流路37及び回収流路39に充填する。
続いて液体吐出装置11は、第2バルブ38を閉弁させ、第2バルブ38により供給流路37を閉鎖する。液体吐出装置11は、第3バルブ40を閉弁させ、第3バルブ40により回収流路39を閉鎖する。液体吐出装置11は、第2貯留部35を大気開放させる。
液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧して、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する。このとき、第1貯留部33の圧力は、第2貯留部35の圧力より低くなるため、第1バルブ36は閉弁する。すなわち、液体吐出装置11は、第1貯留部33内を減圧することで、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。
第1貯留部33内が減圧されると、液体収容部24から第1貯留部33に液体が供給され、第1液面66は上昇する。連通路34は閉鎖されているため、第2貯留部35には液体が供給されない。第1液面66が標準位置まで上昇し、圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力を下回ると、制御部19は、圧力可変機構47の駆動を停止させると共に、第1貯留部33を大気開放させる。
第2貯留部35は、先に大気開放されているため、第1貯留部33が大気開放されると、第1バルブ36は開弁し、連通路34を開放する。液体吐出装置11は、第1バルブ36により連通路34を開放するとともに圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除して、液体を第1貯留部33から第2貯留部35へ水頭差供給する。第1液面66と第2液面70の高さが揃うと、液体吐出装置11は、第2バルブ38を開弁させ、供給流路37を開放する。このとき、第3バルブ40は、閉弁し、回収流路39を閉鎖している。
液体吐出装置11は、第3バルブ40により回収流路39を閉鎖した状態で、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧する。液体吐出装置11は、第2貯留部35内の圧力を第1貯留部33内の圧力より高くすることで、第1バルブ36により連通路34を再度閉鎖する。回収流路39が閉鎖されているため、第2貯留部35内の液体は、供給流路37を通って液体吐出ヘッド23に供給され、ノズル22から排出される。液体吐出装置11は、第2貯留部35内の液体を液体吐出ヘッド23のノズル22まで充填する。
液体吐出ヘッド23に液体が充填されると、液体吐出装置11は、圧力可変機構47の駆動を停止させると共に、第2貯留部35を大気開放させてもよい。これにより、第1バルブ36は開弁し、連通路34を開放する。第1貯留部33内の液体は、連通路34を介して第2貯留部35に供給される。液体吐出装置11は、第2バルブ38を閉弁させてもよい。
図4に示す液体循環ルーチンは、液体循環の実行が指示されたタイミングで実行されてもよい。液体循環は、例えば、全体充填が実行された後であって、印刷などが行われない待機中に実行が指示される。制御部19は、液体循環ルーチンを定期的に実行してもよい。
ステップS201において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS202において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させる。ステップS203において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS204において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ここで、ステップS201からステップS204はそれぞれ、同時に行ってもよいし、順番を入れ替えて行ってもよい。
ステップS205において、制御部19は、第1液面66が満杯位置に位置するか否かを判断する。第1液面66が満杯位置に位置しない場合、ステップS205がNOになり、制御部19は、第1液面66が満杯位置に位置するまで待機する。第1液面66が満杯位置に位置すると、ステップS205がYESになり、制御部19は、処理をステップS206に移行する。ステップS206において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS207において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させ、液体循環ルーチンを終了する。ここで、ステップS206はステップS207と同時に行ってもよいし、ステップS207の後に行ってもよい。
次に、液体循環を行う場合の作用について説明する。
図2に示すように、制御部19は、第2バルブ38を開弁させ、第2バルブ38により供給流路37を開放する。制御部19は、第3バルブ40を開弁させ、第3バルブ40により回収流路39を開放する。
液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧することで、第2貯留部35から第1貯留部33まで液体吐出ヘッド23を介して液体を流動させる。このとき、第2貯留部35の圧力は、第1貯留部33の圧力より高くなる。そのため、第1バルブ36は閉弁する。すなわち、液体吐出装置11は、第2貯留部35内を加圧することで、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。
図5に示す印刷ルーチンは、印刷が指示されたタイミングで実行されてもよい。
ステップS301において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS302において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させる。ステップS303において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。
ステップS304において、制御部19は、印刷に伴ってノズル22から液体を吐出させることにより生じる液体の吐出流量が閾値以上であるか否かを判断する。制御部19は、吐出流量を印刷データから算出してもよい。吐出流量が閾値以上の場合、ステップS304がYESになり、制御部19は、処理をステップS305に移行する。ステップS305において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させる。
ステップS304において、吐出流量が閾値よりも少ない場合、ステップS304がNOになり、制御部19は、処理をステップS306に移行する。ステップS306において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS307において、制御部19は、印刷を実行させ、印刷ルーチンを終了する。
ここで、ステップS301とステップS302はそれぞれ、ステップS303と同時またはステップS303の後に行ってもよいし、ステップS305と同時またはステップS305の後に行ってもよいし、ステップS306と同時またはステップS306の後に行ってもよい。
次に、印刷ルーチンを実行する場合の作用について説明する。
図2に示すように、液体吐出ヘッド23が媒体12に対して液体を吐出する際の吐出流量が閾値よりも少ない場合には、制御部19は、第2バルブ38を開弁させると共に、第3バルブ40を閉弁させる。すなわち、制御部19は、第2バルブ38により供給流路37を開放するとともに第3バルブ40により回収流路39を閉鎖した状態で印刷を実行する。そのため、液体吐出ヘッド23には、第2貯留部35から供給流路37を介して液体が供給される。
液体吐出ヘッド23が媒体12に対して液体を吐出する際の吐出流量が閾値以上である場合には、制御部19は、第2バルブ38及び第3バルブ40を開弁させる。すなわち、制御部19は、第2バルブ38により供給流路37を開放するとともに第3バルブ40により回収流路39を開放した状態で印刷を実行する。そのため、液体吐出ヘッド23には、第2貯留部35から供給流路37を介して液体が供給されると共に、第1貯留部33からも回収流路39を介して液体が供給される。
図6に示す加圧排出ルーチンは、加圧排出の実行が指示された場合、ノズル22から液体を正常に吐出することができない吐出不良が生じた場合などに実行される。
ステップS401において、制御部19は、第1貯留部33内を減圧させる。ステップS402において、制御部19は、圧力センサー49が検出する圧力が所定圧力を下回ったか否かを判断する。圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力以上である場合、ステップS402がNOになり、制御部19は、検出圧力が所定圧力を下回るまで待機する。検出圧力が所定圧力を下回ると、ステップS402がYESになり、制御部19は、処理をステップS403に移行する。
ステップS403において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS404において、制御部19は第2貯留部35を大気開放させる。ステップS405において、制御部19は、第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させてから供給時間が経過したか否かを判断する。供給時間が経過していない場合、ステップS405がNOになり、制御部19は、供給時間が経過するまで待機する。供給時間が経過すると、ステップS405がYESになり、制御部19は、処理をステップS406に移行する。ここで、ステップS403とステップS404は同時に行ってもよいし、ステップS403をステップS404の後に行ってもよい。
ステップS406において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS407において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS408において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ステップS409において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧してから加圧排出時間が経過したか否かを判断する。加圧排出時間は、第2貯留部35を加圧する圧力が供給流路37を介してノズル22まで伝わり、ノズル22から液体を排出させてノズル22の状態を回復させるために必要な時間である。ここで、ステップS406とステップS407はそれぞれ、ステップS408と同時、またはステップS408の後に行ってもよい。
加圧排出時間が経過するまでは、ステップS409がNOになり、制御部19は、加圧排出時間が経過するまで待機する。加圧排出時間が経過すると、ステップS409がYESになり、制御部19は、処理をステップS410に移行する。ステップS410において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS411において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させ、加圧排出ルーチンを終了する。ここで、ステップS410はステップS411と同時に行ってもよいし、ステップS411の後に行ってもよい。
次に、加圧排出を行う場合の作用について説明する。
図2に示すように、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧する。液体吐出装置11は、第1貯留部33内の圧力を第2貯留部35内の圧力より低くすることで、第1バルブ36を閉弁させ、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。液体吐出装置11は、第1貯留部33内を減圧して、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する。連通路34は閉鎖されているため、第1貯留部33には液体が供給されて第1液面66は上昇するのに対し、第2貯留部35には液体が供給されない。
第1液面66が標準位置まで上昇し、フロート弁61が減圧室60と第1貯留室62とを分離すると、圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力を下回る。液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧している時に圧力センサー49の検出する圧力が所定圧力を下回った場合には、圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除してもよい。液体吐出装置11は、圧力可変機構47の駆動を停止させると共に、第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させる。
第1貯留部33及び第2貯留部35が大気開放されると、第1バルブ36は開弁し、連通路34を開放する。したがって、液体吐出装置11は、第1バルブ36により連通路34を開放するとともに圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除して、液体を第1貯留部33から第2貯留部35へ水頭差供給する。第1液面66と第2液面70の高さが揃うと、液体吐出装置11は、第2バルブ38を開弁させ、供給流路37を開放する。このとき、第3バルブ40は、閉弁し、回収流路39を閉鎖している。
液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧してノズル22から液体を排出する。すなわち、液体吐出装置11は、第2貯留部35内の圧力を第1貯留部33内の圧力より高くすることで、第1バルブ36により連通路34を再度閉鎖する。第2貯留部35内の液体は、供給流路37を通って液体吐出ヘッド23に供給され、回収流路39が閉鎖されているためノズル22から排出される。
図7に示す蓄圧排出ルーチンは、蓄圧排出の実行が指示された場合、加圧排出を実行しても吐出不良が改善しない場合などに実行されてもよい。
ステップS501において、制御部19は、第1貯留部33内を減圧させる。ステップS502において、制御部19は、圧力センサー49が検出する圧力が所定圧力を下回ったか否かを判断する。圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力以上である場合、ステップS502がNOになり、制御部19は、検出圧力が所定圧力を下回るまで待機する。検出圧力が所定圧力を下回ると、ステップS502がYESになり、制御部19は、処理をステップS503に移行する。
ステップS503において、制御部19は、第1貯留部33を大気開放させる。ステップS504において、制御部19は第2貯留部35を大気開放させる。ステップS506において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS507において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS508において、制御部19は、蓄圧排出のうち、第1蓄圧排出の実行が指示されたか、第1蓄圧排出より蓄える圧力が小さい第2蓄圧排出の実行が指示されたかを判断する。第1蓄圧排出を実行する場合、ステップS508がYESになり、制御部19は、処理をステップS509に移行する。ステップS509において、制御部19は、蓄圧時間を第1の時間に設定する。
ステップS508において、第2蓄圧排出を実行する場合、ステップS508がNOになり、制御部19は、処理をステップS510に移行する。ステップS510において、制御部19は、蓄圧時間を第1の時間よりも短い第2の時間に設定する。
ステップS511において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ステップS512において、制御部19は、第2貯留部35内の加圧を開始させてから所定の時間の一例である蓄圧時間が経過したか否かを判断する。蓄圧時間が経過していない場合、ステップS512がNOになり、制御部19は、蓄圧時間が経過するまで待機する。蓄圧時間が経過すると、ステップS512がYESになり、制御部19は、処理をステップS513に移行する。
ステップS513において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS514において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させてから蓄圧排出時間が経過したか否かを判断する。蓄圧排出時間は、第2貯留部35に蓄えた圧力が供給流路37を介してノズル22まで伝わり、ノズル22から液体を排出させるために必要な時間である。
蓄圧排出時間が経過するまでは、ステップS514がNOになり、制御部19は、蓄圧排出時間が経過するまで待機する。蓄圧排出時間が経過すると、ステップS514がYESになり、制御部19は、処理をステップS515に移行する。ステップS515において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS516において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させ、蓄圧排出ルーチンを終了する。
ここで、ステップS506およびステップS507はそれぞれ、ステップS511の加圧開始と同時、またはステップS511の加圧を開始した直後に行ってもよい。また、ステップS515は、ステップS516と同時、またはステップS516の後に行ってもよい。また、ステップS515は行わなくてもよい。
次に、蓄圧排出を行う場合の作用について説明する。
図2に示すように、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧する。液体吐出装置11は、第1貯留部33内の圧力を第2貯留部35内の圧力より低くすることで、第1バルブ36を閉弁させ、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。液体吐出装置11は、第1貯留部33内を減圧して、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する。連通路34は閉鎖されているため、第1貯留部33には液体が供給されて第1液面66は上昇するのに対し、第2貯留部35には液体が供給されない。
第1液面66が標準位置まで上昇し、フロート弁61が減圧室60と第1貯留室62とを分離すると、圧力センサー49が検出する検出圧力が所定圧力を下回る。液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第1貯留部33内を減圧している時に圧力センサー49の検出する圧力が所定圧力を下回った場合には、圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除してもよい。液体吐出装置11は、圧力可変機構47の駆動を停止させると共に、第1貯留部33及び第2貯留部35を大気開放させる。
第1貯留部33及び第2貯留部35が大気開放されると、第1バルブ36は開弁し、連通路34を開放する。液体吐出装置11は、第1バルブ36により連通路34を開放するとともに圧力可変機構47による第1貯留部33内の減圧を解除して、液体を第1貯留部33から第2貯留部35へ水頭差供給する。
液体吐出装置11は、第2バルブ38を閉弁させ、第2バルブ38により供給流路37を閉鎖する。液体吐出装置11は、第3バルブ40を閉弁させ、第3バルブ40により回収流路39を閉鎖する。液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧する。液体吐出装置11は、第2貯留部35内の圧力を第1貯留部33内の圧力より高くすることで、第1バルブ36を閉弁させ、第1バルブ36により連通路34を再度閉鎖する。連通路34と供給流路37とが閉鎖された状態で、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により、第2貯留部35内を蓄圧時間加圧する。
第2貯留部35に蓄えられる圧力の大きさは、連通路34及び供給流路37を閉鎖した状態で第2貯留部35内を加圧する時間に比例する。第1蓄圧排出は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧する時間が第1の時間である。第2蓄圧排出は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧する時間が第1の時間よりも短い第2の時間である。第1蓄圧排出で蓄えられる圧力は、第2蓄圧排出で蓄えられる圧力より大きい。すなわち、第1蓄圧排出は、第2貯留部35内が第1の圧力で加圧されているときに第2バルブ38により供給流路37を開放する。第2蓄圧排出は、第2貯留部35内が第1の圧力よりも低い第2の圧力で加圧されているときに第2バルブ38により供給流路37を開放する。
第2貯留部35内を加圧してから蓄圧排出時間が経過すると、液体吐出装置11は、第2バルブ38を開弁させ、第2バルブ38により供給流路37を開放してノズル22から液体を排出する。
図8に示す微加圧排出ルーチンは、微加圧排出の実行が指示された場合に実行されてもよい。
ステップS601において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS602において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させる。ステップS603において、制御部19は、空気室53を減圧させる。ステップS604において、制御部19は、空気室53を減圧させてから減圧時間が経過したか否かを判断する。減圧時間は、可撓性部材42を変形させ、液室41の容積を最大にするために必要な時間である。
減圧時間が経過するまでは、ステップS604がNOになり、制御部19は、減圧時間が経過するまで待機する。減圧時間が経過すると、ステップS604がYESになり、制御部19は、処理をステップS605に移行する。ステップS605において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS606において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS607において、制御部19は、空気室53を加圧させる。
ステップS608において、制御部19は、空気室53を加圧させてから微加圧時間が経過したか否かを判断する。微加圧時間は、空気室53を加圧する圧力が液室41及び回収流路39を介してノズル22まで伝わるために必要な時間である。
微加圧時間が経過するまでは、ステップS608がNOになり、制御部19は、微加圧時間が経過するまで待機する。微加圧時間が経過すると、ステップS608がYESになり、制御部19は、処理をステップS609に移行する。ステップS609において、制御部19は、空気室53を大気開放させ、微加圧排出ルーチンを終了する。
ここで、ステップS601およびステップS602はそれぞれ、ステップS603と同時、またはステップS603の後に行ってもよい。また、ステップS605およびステップS606はそれぞれ、ステップS603の最中に行ってもよいし、ステップS603の終了と同時に行ってもよいし、ステップS603を終了した後に行ってもよい。また、ステップS605およびステップS606はそれぞれ、ステップS607と同時、またはステップS607の後に行ってもよい。
次に、微加圧排出を行う場合の作用について説明する。
図2に示すように、制御部19は、第2バルブ38及び第3バルブ40を開弁することにより、供給流路37及び回収流路39を開放する。制御部19は、空気室53を減圧し、可撓性部材42を変形させて液室41の容積を大きくする。液室41には、第1貯留部33から回収流路39を介して液体が流入すると共に、第2貯留部35から供給流路37及び回収流路39を介して液体が流入する。
液室41の容積が最大になると、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させ、第2バルブ38により供給流路37を閉鎖する。制御部19は、第3バルブ40を閉弁させ、第3バルブ40により回収流路39を閉鎖する。この状態で、液体吐出装置11は、圧力可変機構47で空気室53に加圧空気を送ることにより可撓性部材42を加圧する。すなわち、液体吐出装置11は、加圧機構57により、可撓性部材42を加圧してノズル22から液体を排出する。加圧機構57は、ノズル22に形成されるメニスカスを壊す圧力で液室41を加圧する。微加圧排出により液体吐出ヘッド23から排出される液体の量は、加圧排出により液体吐出ヘッド23から排出される液体の量より少ない。
図9に示すヘッド交換ルーチンは、液体吐出ヘッド23の交換を行う場合に実行されてもよい。
ステップS701において、制御部19は、液体収容部24が装着部28から取り外されたか否かを判断する。液体収容部24が装着部28に装着されている場合、ステップS701がNOになり、制御部19は、液体収容部24が取り外されるまで待機する。液体収容部24が取り外されると、ステップS701がYESになり、制御部19は、処理をステップS702に移行する。
ステップS702において、制御部19は、第2バルブ38を開弁させる。ステップS703において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。ステップS704において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。ステップS705において、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させてから第1排出時間が経過したか否かを判断する。第1排出時間は、第2貯留部35に貯留される液体を供給流路37及び液体吐出ヘッド23を介して排出させるために必要な時間である。
第1排出時間が経過するまでは、ステップS705がNOになり、制御部19は、第1排出時間が経過するまで待機する。第1排出時間が経過すると、ステップS705がYESになり、制御部19は、処理をステップS706に移行する。ステップS706において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させる。
ステップS707において、制御部19は、第3バルブ40を開弁させてから第2排出時間が経過したか否かを判断する。第2排出時間は、回収流路39内の液体を第1貯留部33に回収するために必要な時間である。
第2排出時間が経過するまでは、ステップS707がNOになり、制御部19は、第2排出時間が経過するまで待機する。第2排出時間が経過すると、ステップS707がYESになり、制御部19は、処理をステップS708に移行する。ステップS708において、制御部19は、第2バルブ38を閉弁させる。ステップS709において、制御部19は、第3バルブ40を閉弁させる。
ステップS710において、制御部19は、第2貯留部35を大気開放させる。ステップS711において、制御部19は、液体吐出ヘッド23が交換されたか否かを判断する。液体吐出ヘッド23が交換されていない場合は、ステップS711がNOになり、制御部19は、液体吐出ヘッド23が交換されるまで待機する。液体吐出ヘッド23が交換されると、ステップS711がYESになり、制御部19は、ヘッド交換ルーチンを終了する。
ここで、ステップS702およびステップS703はそれぞれ、ステップS704の加圧開始と同時、またはステップS704の加圧を開始した直後に行ってもよい。また、ステップS708およびステップS709はそれぞれ、ステップS710と同時、またはステップS710の後に行ってもよい。
次に、ヘッド交換ルーチンについて説明する。
図2に示すように、液体吐出ヘッド23の交換を行う場合、作業者は、ヘッド交換ルーチンを実行させると共に、装着部28から液体収容部24を取り外す。続いて、制御部19は、第2バルブ38を開弁させ、第2バルブ38により供給流路37を開放する。制御部19は、第3バルブ40を閉弁させ、第3バルブ40により回収流路39を閉鎖する。この状態で制御部19は、第2貯留部35内を加圧させる。
具体的には、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧して、第2貯留部35から液体吐出ヘッド23までの液体をノズル22から排出する。このとき、第2貯留部35の圧力は第1貯留部33の圧力より高くなるため、第1バルブ36は閉弁する。すなわち、液体吐出装置11は、第2貯留部35を加圧することで、第1バルブ36により連通路34を閉鎖する。
第2貯留部35、供給流路37、及び液体吐出ヘッド23内の液体が排出されると、制御部19は、第3バルブ40を開弁させ、第3バルブ40により回収流路39を開放する。すなわち、液体吐出装置11は、圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧して、回収流路39内の液体を第1貯留部33に回収する。作業者は、供給流路37、液体吐出ヘッド23、回収流路39から液体が抜かれた状態で、液体吐出ヘッド23を交換する。
本実施形態の効果について説明する。
(1)第2貯留部35には、第1貯留部33に連通する連通路34と、液体吐出ヘッド23に連通する供給流路37と、が接続される。連通路34は、圧力可変機構47が第2貯留部35内を加圧するとき、第1バルブ36により閉鎖可能である。そのため、加圧された第2貯留部35内の液体は、供給流路37を介して液体吐出ヘッド23に供給される。したがって、液体吐出ヘッド23内の液体を加圧することでノズル22から液体を排出することができ、液体吐出ヘッド23がノズル22から液体を引き込む虞を低減できる。
(2)第1貯留部33は、圧力可変機構47により減圧されると液体収容部24から液体が供給される。第1貯留部33内の液面の高さが所定の高さに到達すると、フロート弁61は、減圧流路48を閉鎖し、第1貯留部33内の減圧を停止させる。したがって、第1貯留部33から液体が溢れる虞を低減できる。
(3)第1バルブ36が連通路34を閉鎖すると共に、第2バルブ38が供給流路37を閉鎖した状態で圧力可変機構47が第2貯留部35内を加圧すると、第2貯留部35に加圧力が蓄えられる。そのため、第2貯留部35内の圧力が高まった状態で第2バルブ38を開くことで、高い圧力を液体吐出ヘッド23に伝えることができ、例えば増粘した液体などを排出しやすくできる。
(4)第3バルブ40を閉鎖した状態で圧力可変機構47が第2貯留部35内を加圧すると、液体は、液体吐出ヘッド23から排出される。第3バルブ40を開放した状態で圧力可変機構47が第2貯留部35内を加圧すると、液体吐出ヘッド23内の液体は回収流路39を通って第1貯留部33に回収される。したがって、例えば供給流路37内の気泡の状態、及びノズル22の状態などに合わせてメンテナンスを選択して行うことができる。
(5)例えば、第1バルブ36を駆動して連通路34を閉鎖させる場合、第1バルブ36を駆動するための駆動源が必要になる。その点、第1バルブ36は、逆止弁を有する。具体的には、第1バルブ36は、水頭差によって第1貯留部33から第2貯留部35に供給される液体の流れは許容するのに対し、第2貯留部35内が加圧された場合に、第2貯留部35から第1貯留部33への液体の流れを制限する。そのため、第1バルブ36は、駆動が不要であり、駆動源を削減することができる。
(6)加圧排出は、液体収容部24から第1貯留部33、第1貯留部33から第2貯留部35、第2貯留部35から液体吐出ヘッド23に順に液体を供給し、液体吐出ヘッド23に設けられるノズル22から液体を排出する。第2貯留部35内の液体は、連通路34を閉鎖した状態で圧力可変機構47により加圧されることで、供給流路37を介して液体吐出ヘッド23に供給される。したがって、液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド23内の液体を加圧することでノズル22から液体を排出することができ、液体吐出ヘッド23がノズル22から液体を引き込む虞を低減できる。
(7)圧力可変機構47は、圧力センサー49の検出する圧力が所定圧力を下回った場合には、第1貯留部33内の減圧を解除する。したがって、例えばフロート弁61がずれてしまった場合など、フロート弁61が減圧流路48を閉鎖できない場合でも、第1貯留部33から液体が溢れる虞を低減できる。
(8)蓄圧排出は、第1バルブ36が連通路34を閉鎖すると共に、第2バルブ38が供給流路37を閉鎖した状態で圧力可変機構47により第2貯留部35内を加圧することで、第2貯留部35に加圧力を蓄える。蓄圧排出は、第2貯留部35内を加圧した後に、第2バルブ38により供給流路37を開放することで、蓄えられた高い圧力を液体吐出ヘッド23に伝えることができ、例えば増粘した液体などを排出しやすくできる。
(9)全体充填は、第1バルブ36、第2バルブ38、及び第3バルブ40の開閉と、圧力可変機構47の駆動とを組み合わせることで、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給すると共に、第2貯留部35、供給流路37、液体吐出ヘッド23、回収流路39に液体を充填できる。したがって、全体充填を行うことにより、流路の全体に液体を充填できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・液体吐出装置11は、ノズル面21を払拭する図示しない払拭部材を備えてもよい。液体吐出装置11は、ノズル22から液体を排出させた後、払拭部材によりノズル面21を払拭させてもよい。液体吐出装置11は、作業者に液体吐出ヘッド23を取り外させる前にノズル面21を払拭させてもよい。
・制御部19は、第1バルブ36の開閉を制御してもよい。制御部19は、第1貯留部33内を減圧する前、及び第2貯留部35内を加圧する前に第1バルブ36により連通路34を閉鎖してもよい。
・第2蓄圧排出は、第1バルブ36及び第2バルブ38を閉弁した状態で第2貯留部35内を第1の時間加圧して第2貯留部35内の圧力を第1の圧力にしたあと、第1バルブ36を開放して第2貯留部35内の圧力を第2の圧力にまで下げてから第2バルブ38を開放して行ってもよい。
・微加圧排出は、ばね54により可撓性部材42を押すことで液室41内の液体を加圧してもよい。この場合、制御部19は、空気室53を減圧させて液室41の容積を増大させたあと、空気室53を大気開放させる。空気室53が大気圧になると、ばね54は、液室41内の液体を押し、液体吐出ヘッド23から液体を排出させる。ばね54で可撓性部材42を押す構成の場合には、ばね54が加圧機構57に含まれることになる。
・液体吐出装置11は、吐出流量に関係なく第3バルブ40により回収流路39を開放した状態で印刷を実行してもよい。
・液体吐出ヘッド23は、複数のノズル22と個別に連通する複数の圧力室と、複数の圧力室が連通する共通液室と、フィルターが収容されるフィルター室と、を有してもよい。第1接続部44及び第2接続部45は、圧力室、共通液室、及びフィルター室のうち、少なくとも1つに接続される。例えば、第1接続部44及び第2接続部45をフィルター室に接続する場合、液体吐出装置11は、液体循環を行うことでフィルターに捕捉された気泡を液体と共に第1貯留部33に回収することができる。液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド23内に気泡が生じた場合に、液体循環を行ってもよい。
・液体吐出装置11の待機時及び電源オフ時には、第2バルブ38及び第3バルブ40は閉弁し、供給流路37及び回収流路39を閉鎖してもよい。供給流路37及び回収流路39を閉鎖することで、例えば液体吐出装置11に振動もしくは衝撃などが加わった場合でも、液体吐出ヘッド23から液体が漏れる虞を低減できる。
・第2貯留部35が貯留可能な液体の量は、加圧排出に必要な液体の量より少なくてもよい。この場合、制御部19は、第2貯留部35内を加圧させて第2貯留部35から液体吐出ヘッド23への液体の供給と、第2貯留部35を大気開放させて第1貯留部33から第2貯留部35への液体の供給と、を交互に実行してもよい。
・第1液面66と第2液面70が補給位置に位置するときに第2貯留部35が貯留する液体の量は、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する間の印刷で必要な量より多くしてもよい。これにより、液体収容部24から第1貯留部33に液体を供給する間も印刷を継続して行うことができる。
・液体収容部24が収容する液体の量は、供給機構25が保持可能な液体の量より少なくてもよい。この場合は、供給機構25に液体を充填する全体充填を行う途中で液体収容部24を交換してもよい。
・蓄圧排出は、第1バルブ36により連通路34を閉鎖し、第2バルブ38により供給流路37を閉鎖した状態で第2貯留部35内を加圧した後、圧力センサー49が所定圧力になったことを検出すると、第2バルブ38により供給流路37を開放してもよい。このとき、制御部19は、圧力センサー49が第1の圧力になったことを検出した場合に供給流路37を開放する第1蓄圧排出と、第1の圧力より小さい第2の圧力になったことを検出した場合に供給流路37を開放する第2蓄圧排出と、を行ってもよい。第1の圧力及び第2の圧力は、加圧排出の際に第2貯留部35を加圧する加圧力より大きい。
・制御部19は、回収流路39から第1貯留部33に液体を流入させる際に、第1貯留部33内を減圧させてもよい。
・制御部19は、第1貯留部33内を減圧し、第1貯留部33に貯留される液体中に含まれる気泡を膨張させることで、液体から気泡を除去してもよい。
・液体吐出装置11は、第1貯留部33内の減圧と、第2貯留部35内の加圧と、を同時に行ってもよい。具体的には、液体吐出装置11は、第4選択弁73d、第8選択弁73hを開弁すると共に、他の選択弁を閉弁し、圧力可変機構47を正転駆動させてもよい。このとき液体吐出装置11は、第2選択弁73bを開弁させ、圧力センサー49に減圧流路48の圧力を検出させてもよい。液体吐出装置11は、第5選択弁73eを開弁させ、圧力センサー49に加圧流路51の圧力を検出させてもよい。
・減圧室60及び減圧流路48内を液体が移動する場合の流路抵抗を、第1貯留室62内を第1液面66が上昇する場合の流路抵抗より大きくしてもよい。第1貯留部33内を減圧しているときに第1貯留部33内の減圧を解除する目安となる所定圧力は、負圧であって、第1貯留室62内において第1液面66を上昇させる負圧より大きく、減圧室60もしくは減圧流路48内において液体を移動させる負圧より小さくしてもよい。
・液体吐出装置11は、液量センサー63により第1液面66が標準位置に位置することが検知されると、第1貯留部33内の減圧を解除してもよい。
・液体吐出装置11は、第1選択弁73aを開弁し減圧流路48を大気に連通させることで、第1貯留部33内の減圧を解除してもよい。この場合、圧力可変機構47は、駆動を継続させてもよい。
・全体充填、加圧排出、微加圧排出、及び液体循環は、複数回行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。第1貯留部33に貯留可能な液体の量が、供給流路37、回収流路39、及び液体吐出ヘッド23に充填される液体の量より少ない場合は、全体充填を複数回行うことで供給流路37、回収流路39、及び液体吐出ヘッド23に液体を充填してもよい。例えば、全体充填のあとに微加圧排出を行ってもよい。全体充填と微加圧排出とを組み合わせることで、全体充填のみを行う場合に比べ、吐出不良の発生を低減することができる。
・第1貯留部33と第2貯留部35は、一体で構成してもよい。
・可撓性部材42は、ゴム膜、エラストマ膜、フィルムなどによって形成してもよい。
・液室41は、供給流路37に設けてもよい。加圧機構57は、供給流路37に設けられた液室を加圧してもよい。
・圧力可変機構47は、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、及びギアポンプなどを用いてもよい。
・液体吐出ヘッド23は、ノズル面21が水平になる水平姿勢で液体を吐出して媒体12に印刷してもよい。液体吐出ヘッド23は、水平姿勢と傾斜姿勢とに姿勢を変更可能に設けられてもよい。
・液体吐出装置11は、第2貯留部35を大気開放させる大気開放路を加圧流路51とは別に備えてもよい。
・図9に示すヘッド交換ルーチンにおいて、制御部19は、ステップS710を実行した後、再度ステップS702~ステップS705を実行してもよい。これにより第1貯留部33に回収された液体を液体吐出ヘッド23から排出することができる。
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体吐出装置は、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体収容部と連通するとともに、液面が前記ノズル面よりも低い範囲で変動する第1貯留部と、前記第1貯留部と連通路を介して連通するとともに、水頭差によって前記第1貯留部から前記液体が供給される第2貯留部と、前記第2貯留部から前記液体吐出ヘッドへ前記液体を供給する供給流路と、前記第1貯留部内を減圧し、前記第2貯留部内を加圧する圧力可変機構と、前記圧力可変機構による前記第2貯留部内の加圧時に前記連通路を閉鎖可能な第1バルブと、を備える。
この構成によれば、第2貯留部には、第1貯留部に連通する連通路と、液体吐出ヘッドに連通する供給流路と、が接続される。連通路は、圧力可変機構が第2貯留部内を加圧するとき、第1バルブにより閉鎖可能である。そのため、加圧された第2貯留部内の液体は、供給流路を介して液体吐出ヘッドに供給される。したがって、液体吐出ヘッド内の液体を加圧することでノズルから液体を排出することができ、液体吐出ヘッドがノズルから液体を引き込む虞を低減できる。
(B)液体吐出装置において、前記第1貯留部は、該第1貯留部内の前記液面の移動に追従して移動するフロート弁を有し、前記フロート弁は、前記液面の高さが所定の高さに到達した所で、前記第1貯留部内と前記圧力可変機構とを連通させる減圧流路を閉鎖してもよい。
この構成によれば、第1貯留部は、圧力可変機構により減圧されると液体収容部から液体が供給される。第1貯留部内の液面の高さが所定の高さに到達すると、フロート弁は減圧流路を閉鎖し、第1貯留部内の減圧を停止させる。したがって、第1貯留部から液体が溢れる虞を低減できる。
(C)液体吐出装置は、前記第2貯留部と前記液体吐出ヘッドとの間の前記供給流路に設けられ、前記圧力可変機構による前記第2貯留部内の加圧時に前記供給流路を開閉可能な第2バルブを更に備えてもよい。
この構成によれば、第1バルブが連通路を閉鎖すると共に、第2バルブが供給流路を閉鎖した状態で圧力可変機構が第2貯留部内を加圧すると、第2貯留部に加圧力が蓄えられる。そのため、第2貯留部内の圧力が高まった状態で第2バルブを開くことで、高い圧力を液体吐出ヘッドに伝えることができ、例えば増粘した液体などを排出しやすくできる。
(D)液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドから前記第1貯留部に前記液体を回収する回収流路と、前記回収流路を開閉可能な第3バルブと、を更に備えてもよい。
この構成によれば、第3バルブを閉鎖した状態で圧力可変機構が第2貯留部内を加圧すると、液体は、液体吐出ヘッドから排出される。第3バルブを開放した状態で圧力可変機構が第2貯留部内を加圧すると、液体吐出ヘッド内の液体は回収流路を通って第1貯留部に回収される。したがって、例えば供給流路内の気泡の状態、及びノズルの状態などに合わせてメンテナンスを選択して行うことができる。
(E)液体吐出装置において、前記第1バルブは、前記第1貯留部から前記第2貯留部への前記液体の流れを許容し、前記第2貯留部から前記第1貯留部への前記液体の流れを制限する逆止弁を有してもよい。
例えば、第1バルブを駆動して連通路を閉鎖させる場合、第1バルブを駆動するための駆動源が必要になる。その点、この構成によれば、第1バルブは、逆止弁を有する。具体的には、第1バルブは、水頭差によって第1貯留部から第2貯留部に供給される液体の流れは許容するのに対し、第2貯留部内が加圧された場合に、第2貯留部から第1貯留部への液体の流れを制限する。そのため、第1バルブは、駆動が不要であり、駆動源を削減することができる。
(F)液体吐出装置の制御方法は、ノズル面に設けられるノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体収容部と連通する第1貯留部と、前記第1貯留部と連通路を介して連通する第2貯留部と、前記第2貯留部から前記液体吐出ヘッドへ前記液体を供給する供給流路と、前記連通路を開閉可能な第1バルブと、前記第1貯留部内を減圧し、前記第2貯留部内を加圧する圧力可変機構と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記第1バルブにより前記連通路を閉鎖することと、前記圧力可変機構により前記第1貯留部内を減圧して、前記液体収容部から前記第1貯留部に前記液体を供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を開放するとともに前記圧力可変機構による前記第1貯留部内の減圧を解除して、前記液体を前記第1貯留部から前記第2貯留部へ水頭差供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を再度閉鎖することと、前記圧力可変機構により前記第2貯留部内を加圧して前記ノズルから前記液体を排出することと、を含む加圧排出を行う。
この方法によれば、加圧排出は、液体収容部から第1貯留部、第1貯留部から第2貯留部、第2貯留部から液体吐出ヘッドに順に液体を供給し、液体吐出ヘッドに設けられるノズルから液体を排出する。第2貯留部内の液体は、連通路を閉鎖した状態で圧力可変機構により加圧されることで、供給流路を介して液体吐出ヘッドに供給される。したがって、液体吐出装置は、液体吐出ヘッド内の液体を加圧することでノズルから液体を排出することができ、液体吐出ヘッドがノズルから液体を引き込む虞を低減できる。
(G)液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、前記第1貯留部内と前記圧力可変機構とを連通させる減圧流路と、前記第1貯留部内の液面の移動に追従して移動することによって前記減圧流路を開閉可能なフロート弁と、前記減圧流路内の圧力を検知可能な圧力センサーと、を更に備え、前記圧力可変機構により前記第1貯留部内を減圧している時に前記圧力センサーの検出する圧力が所定圧力を下回った場合には、前記圧力可変機構による前記第1貯留部内の減圧を解除してもよい。
この方法によれば、圧力可変機構は、圧力センサーの検出する圧力が所定圧力を下回った場合には、第1貯留部内の減圧を解除する。したがって、例えばフロート弁がずれてしまった場合など、フロート弁が減圧流路を閉鎖できない場合でも、第1貯留部から液体が溢れる虞を低減できる。
(H)液体吐出装置の制御方法は、前記液体吐出装置は、前記第2貯留部と前記液体吐出ヘッドとの間の前記供給流路に設けられ、前記供給流路を開閉可能な第2バルブを更に備え、前記第1バルブにより前記連通路を閉鎖することと、前記圧力可変機構により前記第1貯留部内を減圧して、前記液体収容部から前記第1貯留部に前記液体を供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を開放するとともに前記圧力可変機構による前記第1貯留部内の減圧を解除して、前記液体を前記第1貯留部から前記第2貯留部へ水頭差供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を再度閉鎖することと、前記第2バルブにより前記供給流路を閉鎖することと、前記圧力可変機構により、前記第2貯留部内を所定の時間加圧した後に前記第2バルブにより前記供給流路を開放して前記ノズルから前記液体を排出することと、を含む蓄圧排出を行ってもよい。
この方法によれば、蓄圧排出は、第1バルブが連通路を閉鎖すると共に、第2バルブが供給流路を閉鎖した状態で圧力可変機構により第2貯留部内を加圧することで、第2貯留部に加圧力を蓄える。蓄圧排出は、第2貯留部内を加圧した後に、第2バルブにより供給流路を開放することで、蓄えられた高い圧力を液体吐出ヘッドに伝えることができ、例えば増粘した液体などを排出しやすくできる。
(I)液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、前記第2貯留部と前記液体吐出ヘッドとの間の前記供給流路に設けられ、前記供給流路を開閉可能な第2バルブと、前記液体吐出ヘッドから前記第1貯留部に前記液体を回収する回収流路と、前記回収流路を開閉可能な第3バルブと、を更に備え、前記第1バルブにより前記連通路を閉鎖するとともに、前記圧力可変機構により前記第1貯留部内を減圧して、前記液体収容部から前記第1貯留部に前記液体を供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を開放するとともに前記圧力可変機構による前記第1貯留部内の減圧を解除して、前記液体を前記第1貯留部から前記第2貯留部へ水頭差供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を再度閉鎖するとともに前記第2バルブにより前記供給流路を開放し、前記圧力可変機構により前記第2貯留部内を加圧して、前記第2貯留部内の前記液体を前記供給流路及び前記回収流路に充填することと、前記第1バルブにより前記連通路を閉鎖するとともに、前記圧力可変機構により前記第1貯留部内を減圧して、前記液体収容部から前記第1貯留部に前記液体を供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を開放するとともに前記圧力可変機構による前記第1貯留部内の減圧を解除して、前記液体を前記第1貯留部から前記第2貯留部へ水頭差供給することと、前記第1バルブにより前記連通路を再度閉鎖するとともに、前記第3バルブにより前記回収流路を閉鎖し、前記圧力可変機構により前記第2貯留部内を加圧して、前記第2貯留部内の前記液体を前記液体吐出ヘッドの前記ノズルまで充填することと、を含む全体充填を行ってもよい。
この方法によれば、全体充填は、第1バルブ、第2バルブ、及び第3バルブの開閉と、圧力可変機構の駆動とを組み合わせることで、液体収容部から第1貯留部に液体を供給すると共に、第2貯留部、供給流路、液体吐出ヘッド、回収流路に液体を充填できる。したがって、全体充填を行うことにより、流路の全体に液体を充填できる。