収容体1の正面概略図及び断面概略図である。
収容部材10の正面概略図及び背面概略図である。
収容部材10の断面概略図である。
おむつ20の正面概略図及び背面概略図である。
おむつ20の平面概略図及び断面概略図である。
収容体1を上下逆様にした状態を示した図である。
摩擦係数を説明するための図である。
摩擦係数の測定結果を示した図である。
表面粗さSMDを説明するための図である。
表面粗さSMDの測定結果を示した図である。
収容部材10からおむつ20が取り出されている状態を示した図である。
収容部材10の隙間に手を入れておむつ20を取り出している状態を示した図である。
最外層として使用する紙素材のシート部材(試料A~C)について、ベック平滑度を測定した値について示す表である。
図14Aは、収容部材10に設けられる図柄15の配置について説明する図である。図14Bは、図14AのX-X断面について表す断面模式図である。
ガゼット折り部G1、G2を備えた収容部材110を説明するための図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材と、前記収容部材により収容され、排泄物を検知するインジケータを有する吸収性物品と、を備えた吸収性物品の収容体であって、前記収容部材には、外部から前記吸収性物品を視認することができる窓領域と、視認することができない非窓領域と、が設けられており、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記前後方向に見たときに、前記インジケータの少なくとも一部が前記非窓領域と重複することを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、外部から内部の吸収性物品を視認することができ、かつ、陳列時等に非窓領域と重複するインジケータは、紫外線との反応が抑制されるので、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品には、製品図柄が印刷されており、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記収容部材の外部から前記窓領域を通して前記製品図柄の少なくとも一部が視認できることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品の製品図柄を確認することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記製品図柄には、前記吸収性物品が製造された国名、前記吸収性物品を製造又は販売する会社名のロゴ、前記吸収性物品の商品名のロゴ、及び前記吸収性物品に使用されている材料の少なくともいずれか1つの標記が含まれていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品の製造国、製造会社名のロゴ、商品名のロゴ、及び使用されている材料の少なくともいずれか1つを確認することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品は、着用者の腹側に当接する腹部と、着用者の背側に当接する背部と、を有し、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記腹部又は前記背部が前記窓領域と対向することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品(おむつ)の側面に比べて面積の大きい正面又は背面を確認することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品は、着用者の腹側に当接する腹部と、着用者の背側に当接する背部と、を有し、前記腹部と前記背部が対向しており、前記吸収性物品は、前記吸収性物品の股下側が前記収容体の下側に位置するように収容され、収容状態における前記吸収性物品を前記上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域を有し、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記前後方向に見たときに、前記股下領域の少なくとも一部が前記非窓領域と重複することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、インジケータは股下領域に特に必要とされるので、股下領域と非窓領域が重複することにより、陳列時等にインジケータと紫外線との反応が抑制されるので、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品は、前記インジケータとして、前記腹部に位置する部分と前記背部に位置する部分とを有しており、前記腹部及び前記背部の一方が前記窓領域と対向しており、前記インジケータのうちの前記一方に位置する部分よりも、前記インジケータのうちの他方に位置する部分の方が、前記上下方向の上側に長く延びていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、長さの長いインジケータの部分を窓領域と対向させた場合に比べて、陳列時等にインジケータと紫外線との反応が抑制される(窓領域と重複するインジケータが少なくなる)ので、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品は、前記インジケータとして、前記腹部に位置する部分と前記背部に位置する部分とを有しており、前記腹部及び前記背部の一方が前記窓領域と対向しており、前記インジケータのうちの前記一方に位置する部分は、前記インジケータのうちの他方に位置する部分よりも、前記上下方向の上側に長く延びていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、長さの短いインジケータの部分を窓領域と対向させた場合に比べて、非窓領域において股下領域の劣化を抑制しつつ、陳列時等に消費者が外部からインジケータを視認しやすい。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記一方に位置する部分と前記非窓領域とが重複する重複部分の前記上下方向における長さが、前記一方に位置する部分と前記窓領域とが重複する重複部分の前記上下方向における長さよりも、長いことが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、長さが長い一方のインジケータにおいて、窓領域からインジケータを視認可能としつつ、非窓領域の方が重複領域の長さが長いので、短い場合に比べてインジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記インジケータと前記非窓領域とが重複する重複部分の前記上下方向における長さが、前記インジケータと前記窓領域とが重複する重複部分の前記上下方向における長さよりも、長いことが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域のほうが長い場合に比べて、陳列時にインジケータと紫外線との反応が抑制されるので、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容部材は、紙と樹脂シートにより構成された2層構造の部分を有することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、紙が紫外線によるインジケータの劣化を抑制することができ、樹脂シートが湿気等による吸収性コアの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記窓領域は、前記紙の層が積層されていない前記樹脂シートのみの領域であり、前記窓領域の上端は、前記収容部材の上端より下側に位置し、かつ、前記窓領域の下端は、前記収容部材の下端より上側に位置し、前記窓領域は、前記左右方向に沿って前記左右方向の一端から他端まで連続して設けられていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域を幅方向端部まで設けているので、消費者が内部の吸収性物品を視認しやすくなる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記前後方向に見たときに、前記窓領域の上端及び下端が、前記吸収性物品と重複することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域と非窓領域の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、上端と下端が吸収性物品と重複することにより、折り曲がりにくくなる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記窓領域の上端が、収容状態における前記吸収性物品の前記上下方向における中心よりも上側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域と非窓領域の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、例えば、使用済み品の吸収性物品を上下方向に2つ折りにして収容体に入れて廃棄する際に、収容体をコンパクトにしやすくなる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した状態において、前記前後方向に見たときに、前記窓領域の上端が、前記吸収性物品と重複しないことが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、陳列時等に消費者が開封することなく吸収性物品の一端まで確認することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容体の下端が接地して該収容体が直立した前記状態とは上下関係が逆様となる状態において、前記前後方向に見たときに、前記インジケータの少なくとも一部が前記非窓領域と重複することが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容体を逆様にした状態において(紙の収容部材なので内部に隙間がある。つまり、吸収性物品が内部で収容体の上側へ移動した状態において)、インジケータと紫外線との反応が抑制されるので、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記紙が未晒しであることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、晒した紙よりも、未晒しの紙の方が、リグニンを多く含んでいるので、晒した紙を用いた場合に比べて、インジケータと紫外線との反応が抑制され、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記収容部材は、前側部と、後側部と、底面部とを有し、前記前側部の下端部と前記後側部の下端部の間には、前記底面部を形成するための襠が設けられており、前記収容部材の上端部には、前記襠が設けられておらず、前記収容部材の下端部において、前記底面部は、前記前側部及び前記後側部の少なくとも一方と、接合されていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の下端部における部材同士の接合層の数が収容部材の上端部における部材同士の接合層の数よりも多いので、収容部材の下端部が補強され、下端部の損傷によるインジケータの露出を抑制し、インジケータの劣化を抑制することができる。
かかる吸収性物品の収容体であって、前記吸収性物品は、着用者の腹側に当接する腹部と、着用者の背側に当接する背部と、を有し、前記腹部と前記背部が対向しており、前記吸収性物品の股下側が前記収容体の下側に位置するように、前記吸収性物品が前記収容部材に入れられていることが望ましい。
このような吸収性物品の収容体によれば、おむつ20は股下側が厚いので、股下側が位置する収容部材10の部分は裂けやすくなるが、股下側を収容部材10の上側とした場合に比べて、収容部材10の下端部の接合層の数が上端部の接合数の数より多いので(下端部の方がしっかりと接合されているので)、収容部材10の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
===実施形態===
本実施形態においては、吸収性物品の収容体の一例として、新生児向けおむつ20(以下、単におむつ20とも呼ぶ)を収容するおむつ20の収容体1(以下、単に収容体1とも呼ぶ)について説明する。なお、本実施形態の吸収性物品には、例えば、大人用おむつ、生理用ナプキン等も含まれており、おむつ20に限定されるものではない。
<収容体1及び収容部材10について>
図1は、収容体1の正面概略図及びA-A断面概略図である。図2は、収容部材10の正面概略図及び背面概略図であり、図2Aが正面概略図、図2Bが背面概略図である。図3は、収容部材10の断面概略図であり、図3Aが図2AのB-B断面概略図、図3Bが図2AのC-C断面概略図である。また、図3における破線部分は、各々の部材が接合している接合部を示している。
図において、収容体1は、互いに交差する上下方向と前後方向と左右方向とを有する。そして、上下方向においては、収容部材10の図柄15等の文字等を正しく認識でき、キャラクター等が自然に見える状態の収容体1の上側を「上」とし、その反対側を「下」とする。また、図1は、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態を示している。
収容体1は、収容部材10と、収容部材10により収容され、排泄物を検知するインジケータ23を有するおむつ20と、を備えている。
収容部材10は、最外面が紙10aで構成されることにより、紙10aの伸縮性の小ささから、収容部材10の内部(内部空間)に隙間空間(図1の断面概略図における右上がり斜線の領域)を有する。つまり、収容部材10の最外面の少なくとも一部は、紙10aで構成され、収容部材10は、内部に内部空間を有し、内部空間は、おむつ20が存在する空間と、おむつ20が存在しない隙間空間とを有する。
そして、収容部材10の内部空間は、収容部材10を三面形状とすることにより形成されている。つまり、収容部材10は、前側部11と、後側部12と、底面部13とを有し、前側部11の下端部と後側部12の下端部の間には、底面部13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられていない。
また、収容部材10は、前側部11及び後側部12が左右方向の両端部において上下方向に沿って接合(溶着)されており、下端部においては、前側部11、後側部12、及び底面部13が左右方向に沿って接合(溶着)されている。すなわち、収容部材10の下端部において、底面部13は、前側部11及び後側部12の少なくとも一方と接合されている。
また、収容部材10の上端部には、おむつ20を取り出す際に開封する開閉シール部14(開封部に相当)が設けられている。また、開閉シール部14は、開封後に再封止が可能であり、複数回の開閉が可能である。なお、開閉シール部14は収容部材10の上端に設けられていてもよいが、本実施形態に係る開閉シール部14は、収容部材10の上端よりも下側に位置している。
また、図1に示す状態においては、開閉シール部14とおむつ20の間に隙間(隙間空間)が生じている。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、おむつ20と開閉シール部14の間には、隙間が設けられている。
また、図1に示すように、収容部材10の内部空間には、おむつ20が4つ収容され、おむつ20はおむつ20の厚さ方向に一列に並んでいる。つまり、収容体1には、複数のおむつ20が収容されており、おむつ20が、前後方向において並んでいる一方で、上下方向と左右方向においては並んでいない。
また、図3に示すように、収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bによる2層構造を備えており(紙10aと樹脂シート10bにより構成された2層構造部分を有しており)、紙10aの層の内側に、樹脂シート10bの層が設けられている。つまり、収容部材10の最内面は、樹脂シート10bで構成されている。なお、上述したように図3に示す破線は接合部を示しており、紙10aと樹脂シート10bの接合は、例えば、ラミネート加工で接合部を形成することができ、前側部11、後側部12、及び底面部13の部材同士(樹脂シート10bと樹脂シート10b)の接合は、例えば、熱融着により接合部を形成(溶着)することができる。
収容部材10を構成する紙10aとしては、「JIS P 0001:1998紙・板紙及びパルプ用語、番号4004、用語 紙」に定義されているものを用いることできる。また、本実施形態に係る紙10aは、未晒し(漂白等の処理がされていない茶色の紙)のものが用いられている。
なお、収容部材10は、紙10a以外の材料も用いた複合素材であるが、収容部材10の質量のうち、最外層を構成する紙10aの質量が占める割合が50%を超えることが望ましい。そうすることにより、収容部材10が複合素材から構成されていても、紙10aの質量が占める割合が50%を超えることで紙10aが主たる素材となり、紙ごみとして廃棄できる基準となるマーク(不図示、所謂「紙」マーク)の扱いとなりうる。
収容部材10を構成する樹脂シート10bの樹脂としては、天然樹脂及び合成樹脂を用いることができる。天然樹脂としては、植物、動物、鉱物由来のものを用いることができ、例えば、松脂、漆等を用いることができる。合成樹脂としては、化石資源を原料とした低分子量の化合物から重縮合等によって得られる高分子量の樹脂状物質を用いることができ、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド等を用いることができ、熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
また、樹脂には、バイオマスプラスチックが含まれている。「バイオマスプラスチック」は、再生可能なバイオマス資源を原料に合成されたプラスチックである。一般に、バイオマスプラスチックは、廃棄する際に焼却処分した場合であっても大気中のCO2濃度を上昇させない、所謂カーボンニュートラル性を備えており、環境に優しい素材である。したがって、最内層を構成する樹脂にバイオマスプラスチックを含むことにより、その分、最内層における石油由来の物質の割合を減らすことが可能となる。そのため、本実施形態では、最内層を構成する樹脂に含まれるバイオマスプラスチックの重量割合をなるべく大きくすることが望ましい。具体的には、バイオマスプラスチックの重量割合が10%以上であることが望ましく、重量割合が25%以上であることがより望ましい。
また、収容部材10を構成する樹脂シート10bは、シートよりも厚さの薄いフィルムも含むものとする。つまり、一般的には、200μm以下の厚さをフィルムと呼ぶこともあるが、本実施形態に係る樹脂シート10bは、かかるフィルムを含むものとする。なお、樹脂シート10bは、透湿性を有することが好ましい。
また、図2Aに示すように、収容部材10の前側部11(正面側)には、図柄15が印刷されている。なお、図柄15は、収容体1(おむつ20)に関する情報等を消費者に視認させるために設けられており、収容部材10の上部と下部に印刷されている。つまり、図柄15の少なくとも一部が、収容部材10の上部に位置している。なお、収容部材10の図柄15は、下部(下半分)よりも上部(上半分)の方に多く印刷されていることが好ましい。
本実施形態においては、おむつ20の名称(商品名:Natural moomy)を表示した第一図柄15aと、おむつ20の特徴部(使用されている材料:オーガニックコットン)を表示した第二図柄15bと、おむつ20の着用に適した着用者(新生児、誕生~5000g)について表示した第三図柄15cと、花柄を描画した第四図柄15dと、が図柄15として設けられている。
図柄15は、所定の水性インクを用いてグラビア印刷やフレキソ印刷によって最外層の表面側に印刷されている。一般に、水性インクは溶剤として水が用いられている場合が多く、有機溶剤等を用いた油性インクと比較して安全であり、且つ臭いも少ないことから、環境に優しいインクである。一方、水性インクは、油性インクと比較して被印刷媒体への固着性が弱いため、市場に流通させる商品には使用し難い場合があった。これに対して、本実施形態では被印刷媒体である最外層が紙10aであるため、水性インクが固着しやすく、図柄15を安定して形成することが可能である。したがって、環境配慮の観点からも、本実施形態の収容部材10に図柄15を印刷するインクとして、水性インクを用いることが好適である。
また、図1~図3に示すように、収容部材10には、外部からおむつ20を視認することができる窓領域16と、視認することができない非窓領域17と、が設けられている。そして、窓領域16は、紙10aの層が積層されていない樹脂シート10bのみの領域であり、非窓領域17は、紙10aと樹脂シート10bが積層された領域である。つまり、収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bが重複する非窓領域17と、樹脂シート10bのみの窓領域16とを有している。
また、窓領域16は、左右方向の左端から右端までほぼ水平に連続して設けられており、収容部材10の上端より下側で、かつ、下端より上側に設けられている。つまり、窓領域16の上端は、収容部材10の上端より下側に位置し、かつ、窓領域16の下端は、収容部材10の下端より上側に位置し、窓領域16は、左右方向に沿って左右方向の一端から他端まで連続して設けられている。
<おむつ20について>
図4は、おむつ20の正面概略図及び背面概略図であり、図4Aが正面概略図、図4Bが背面概略図である。図5は、おむつ20の平面概略図及び断面概略図である。おむつ20は、図4の状態において、互いに直交する上下方向と左右方向とを有している。そして、以下では、上下方向の上側及び下側のことを、それぞれ「胴回り側」及び「股下側」とも言う。
また、図5の展開状態においては、おむつ20は、互いに直交する三方向として長手方向と幅方向と厚さ方向とを有している。そして、以下では、この展開状態における長手方向の一方側及び他方側のことを、それぞれ「腹側」及び「背側」と言う。なお、展開状態における幅方向は、収容体1における左右方向に沿った方向であり、長手方向は、上下方向に沿った方向である。また、図5に示すように、厚さ方向においては、着用対象者の肌と当接する側を「肌側」とし、その反対側を「非肌側」とする。
おむつ20は、外装体21と、平面視長方形状であって外装体21の肌側に位置している吸収性本体22と、インジケータ23と、テープ24と、を有している。
また、おむつ20は、図5に示すように、腹部26と背部27を備えている。腹部26は、おむつ20の着用時において着用者の腹側に位置する部分であり、図5において、長手方向の中央位置CLよりも腹側に位置している。背部27は、おむつ20の着用時において着用者の背側に位置する部分であり、図5において、長手方向の中央位置CLよりも背側に位置している。
そして、おむつ20の収容状態においては、おむつ20の腹部26と背部27が対向するように折り畳まれ、股下側を収容体1の下側にしておむつ20が入れられている。つまり、おむつ20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、おむつ20の股下側が収容体1の下側に位置するように、おむつ20が収容部材10に入れられている。また、本実施形態においては、おむつ20は、おむつ20の背部27が窓領域16と対向するように収容されている。
なお、本実施形態のおむつ20では、図5に示すように腹部26と背部27とが一体的に構成されているが、腹部26と背部27とが別体の部材であっても良い。例えば、長手方向において腹部と背部との間の中央位置CL付近に、着用者の股間部に位置する股下部(不図示)が設けられ、腹部と背部と股下部とによって構成されても良い。
おむつ20の着用は、例えば、背部27を着用者の背側(臀部等)に当接させ、腹部26を両足の間を通して(股下を通して)着用者の腹側(下腹部等)に当接させた後、背部27に設けられたテープ24の接着面を腹部26の外装体21と接合させて行うことができる。
外装体21は、おむつ20の外装を構成する部位であり、複数の柔軟なシート状部材が厚さ方向に重ねられて形成される。本実施形態においては、柔軟なシート状部材として不織布が用いられており、例えば、スパンボンド不織布等を用いることができる。
吸収性本体22は、尿等の排泄物を吸収する機能を有し、平面視略長方形である。そして、図5に示すように、吸収性本体22は、長手方向をおむつ20の上下方向に沿わせつつ、左右方向における中央に配置されている。
吸収性本体22は、液体吸収性の吸収性コア22aと、同コア22aの外周面を被覆するコアラップシート(不図示)と、トップシート22bと、バックシート22cと、を有している。
吸収性コア22aは、パルプ繊維等の液体吸収性繊維を所定形状に成形したものであり、その内部には吸収性ポリマー(所謂SAP)等が混入されている。そして、吸収性コア22aは、図5の断面概略図に示すように、おむつ20のうちで最も厚い部分となる。
コアラップシートは、吸収性コア22aの外面を被覆する液透過性のシート部材であり、ティッシュペーパーや不織布等を使用可能である。なお、コアラップシートは設けなくても構わない。
トップシート22bは、吸収性コア22aの厚さ方向の肌側面に配置され、おむつ20の着用時に着用者の肌と当接する液透過性のシート部材である。本実施形態のトップシート22bは、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等によって形成される。
バックシート22cは、吸収性コア22aの厚さ方向の非肌側面に配置される液不透過性且つ透湿性のシート部材であり、例えば樹脂シートによって形成される。バックシート22cが設けられることによって、吸収性本体22によって吸収された尿等の水分が着用者の衣服側に移動(浸透)することが抑制される。
おむつ20の正面及び背面には、図4に示すように、非肌側から視認することができるインジケータ23が設けられている。
インジケータ23は、排泄物の有無をおむつ20が着用された状態において目視で確認するためのものであり、排尿を検知する尿インジケータ、排便を検知する便インジケータ等を一例として挙げることができる。
インジケータ23は、一般的にpH指示薬や水分によって呈色反応(色味が変化)することにより、使用者等に尿や便の排出を検知させる。つまり、インジケータ23には顔料が含まれており、かかる顔料が発色して色味が変化することにより、使用者等は尿や便の排出を検知することができる。
そして、顔料は、一般的に、太陽光に含まれる紫外線に晒されると、化合物の内部結合が破壊され退色する。つまり、インジケータ23を太陽光(紫外線)に長時間晒すと、インジケータ23の呈色反応が退色して色あせてしまい、色味の変化が小さくなって使用者等は尿や便の排出を検知しにくくなる。
また、インジケータ23は、図4に示すように、おむつ20の腹部26と背部27の両方に位置しており、腹部26と背部27でインジケータ23の上下方向における長さが同じでもよいが、本実施形態においては、腹部26側に位置する腹側インジケータ23a(図4A)が、背部27側に位置する背側インジケータ23b(図4B)よりも上下方向に長い。
また、おむつ20の正面及び背面には、図4に示すように、非肌側から視認することができる製品図柄25が印刷されている。なお、製品図柄25は、おむつ20に関する情報等を消費者に視認させるために設けられている。
本実施形態においては、おむつ20の名称(商品名:Natural moomy)を表示した第一製品図柄25aと、正面において花柄を描画した第二製品図柄25bと、おむつ20の特徴部(使用されている材料:with Organic sheet)を表示した第三製品図柄25cと、背面において花柄を描画した第四製品図柄25dと、が製品図柄25として設けられている。
そして、図1に示すように、収容部材10の外部から窓領域16を通して製品図柄25の一部を確認することができる。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、収容部材10の外部から製品図柄25の少なくとも一部が視認できる。本実施形態においては、第三製品図柄25cと第四製品図柄25dを外部から視認することができる。
また、製品図柄25には、おむつ20の製造国、会社名や商品名のロゴ、及び使用材料等の標記が含まれ、外部から標記の一部を確認することができる。つまり、製品図柄25には、おむつ20が製造された国名、おむつ20を製造又は販売する会社名のロゴ、おむつ20の商品名のロゴ、及び使用されている材料の少なくともいずれか1つの標記が含まれており、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、収容部材10の外部から標記の少なくとも一部が視認できる。本実施形態においては、標記として使用されている材料(第三製品図柄25c)を外部から視認することができる。
また、おむつ20は、収容状態の上下方向における下側1/4の股下領域28(図4に示す右下がり斜線の領域)を有する。つまり、おむつ20は、おむつ20の股下側が収容体1の下側に位置するように収容され、収容状態におけるおむつ20を上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域28を有する。股下領域28の肌側面は、着用時において、少なくとも着用者の股下に当接する部分である。
<窓領域16と非窓領域17の配置について>
次に、窓領域16と非窓領域17の位置と、その他部材等の位置関係(配置)を説明する。具体的には、窓領域16の上下端とおむつ20(おむつ20の中心位置QL)、非窓領域17とインジケータ23、非窓領域17と股下領域28、の上下方向における位置関係であって、前後方向に見たときの重複、非重複について説明する。
窓領域16の上下端とおむつ20の上下方向における位置関係は、図1に示すように、窓領域16の上端がおむつ20の上端より下側に位置し、窓領域16の下端がおむつ20の下端より上側に位置している。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓領域16の上端及び下端が、おむつ20と重複する。
また、図4に示す中心位置QLは、おむつ20の収容状態における上下方向の中心位置を示している。そして、中心位置QLと窓領域16の上端の上下方向における位置関係は、図1及び図4に示すように、中心位置QLは第四製品図柄25dと重なる位置であり、第四製品図柄25dは窓領域16の上端より下側に位置している。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、窓領域16の上端が、収容状態におけるおむつ20の上下方向における中心位置QLよりも上側に位置している。
非窓領域17とインジケータ23の上下方向における位置関係は、図1に示すように、インジケータ23の一部が下側の非窓領域17の上端より下側に位置している(図1のインジケータ23の破線部分)。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する。
また、非窓領域17とインジケータ23が重複する上下方向における長さ(図1に示す破線のインジケータ23の上下方向における長さ)が、窓領域16とインジケータ23が重複する上下方向における長さ(図1に示す実線のインジケータ23の上下方向における長さ)よりも長い。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、インジケータ23と非窓領域17とが重複する重複部分の上下方向における長さが、インジケータ23と窓領域16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも長い。
図6は、収容体1を上下逆様にした状態を示した図であり、図1の平面概略図に相当する図である。本実施形態に係る収容部材10には、内部空間に隙間空間を有しており、おむつ20は、内部空間において移動することができる。すなわち、図6の状態において、おむつ20は、底面部13から離れて、開閉シール部14に近づくように移動するので(収容体1における上側に移動するので)、窓領域16から視認できるおむつ20の領域が異なる。
そして、上下逆様状態における非窓領域17とインジケータ23の上下方向における位置関係は、図6に示すように、インジケータ23の一部が下側(図6の接地側)の非窓領域17の上端より下側に位置しており、上側(図6の接地側の反対側)の非窓領域17の下端より上側に位置している(図6の右上がり斜線の領域)。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した前記状態とは上下関係が逆様となる状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する。
非窓領域17と股下領域28の上下方向における位置関係は、図1及び図4に示すように、窓領域16の下端が第四製品図柄25dの下端辺りに位置しているのに対し、股下領域28の上端は、第四製品図柄25dの下端よりも下側に位置している。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、股下領域28の少なくとも一部が非窓領域17と重複する。
<図柄15の配置について>
次に、図柄15の位置と、その他部材等の位置関係(配置)を説明する。具体的には、おむつ20の厚さ方向(前後方向に沿った方向。図1左図の平面概略図においては紙面を貫く方向)に見たときの、吸収性コア22a、おむつ20、及び隙間空間と図柄15の重複、非重複の関係を説明する。また、開閉シール部14と図柄15の位置関係についても説明する。
なお、前述したように、本実施形態に係るおむつ20は、収容部材10の内部空間において移動させることができるので、おむつ20の内部空間の位置によっては、以下に記載するおむつ20(吸収性コア22a)と図柄15の位置関係が成立しない場合があり得る。そのため、以下においては、おむつ20が内部空間において取り得る任意の位置のうちのある位置(内部空間のいずれかの位置)に位置し、記載の位置関係が成立している状態について説明する。なお、以下に記載のおむつ20と図柄15の位置関係が成立しない場合があり得ない(常に成立する)場合もあり、かかる場合は、内部空間におけるおむつ20の位置はいずれであってもよい。
また、以下の説明においては、おむつ20が内部空間において取り得る任意の位置のうちのある位置の一例として、図1に示す位置を用いて説明する。図1に示すおむつ20の内部空間における位置は、上下方向においてはおむつ20が収容部材10の底面部13に当接しており、左右方向においては中央に位置している。
図柄15と吸収性コア22aの重複、非重複の関係は、例えば、図1に示すように、第四図柄15dの一部が吸収性コア22aと重複し、第一図柄15a~第三図柄15cは吸収性コア22aと重複しない。つまり、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない。
図柄15とおむつ20の重複、非重複の関係は、例えば、図1に示すように、第四図柄15dと第三図柄15cの一部がおむつ20と重複し、第一図柄15a及び第二図柄15bはおむつ20と重複しない。つまり、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、おむつ20と重複しない。
また、例えば、図1に示すように、第四図柄15dと第三図柄15cの一部がおむつ20と重複し、第一図柄15a、第二図柄15b、及び第三図柄15cの大部分はおむつ20と重複しない。つまり、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15とおむつ20とが重複しない領域が、図柄15とおむつ20とが重複する領域よりも大きい。
図柄15と隙間空間の重複、非重複の関係は、例えば、図1に示すように、第一図柄15aと第二図柄15bが隙間空間と重複している。つまり、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、隙間空間と重複する。
図柄15と開閉シール部14の位置関係は、開閉シール部14には図柄15がない。つまり、開閉シール部14には、図柄15が印刷されていない。
また、開閉シール部14は、収容部材10の上端より下側に位置しており、開閉シール部14の上側には図柄15がない。つまり、開閉シール部14の上側には、図柄15が印刷されていない。
<<<収容体1の評価について>>>
収容体1の評価として、摩擦係数、表面粗さ、及びインク濃度について評価を行った。
<摩擦係数評価>
摩擦係数評価としては、収容部材10の最外面を構成する紙10a、収容部材10の最内面を構成する樹脂シート10b、おむつ20の最外面及び対向面を構成する外装体21(おむつ20が収容されている状態において、収容部材10の最内面と対向している面が対向面。つまり、おむつ20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となる)、及びおむつ20の最も肌側面を構成するトップシート22b、について動摩擦係数MIUを測定して評価した。また、収容部材10の最外面を構成する紙10aと、収容部材10の最内面を構成する樹脂シート10bについては、静止摩擦係数μsも測定した。静止摩擦係数μsの測定は、JIS K7125に基づいて行い、相手材にカナキンを用いて測定した。
図7は、摩擦係数μを説明するための図である。図7に示す曲線が摩擦係数μであり、測定長さL1について測定した結果を表している。ここで、摩擦子(サンプルと接触する部分)への荷重W、サンプルとの摩擦力Fとすると、摩擦係数μは次式で表すことができる。
摩擦係数μ=摩擦力F/荷重W
そして、動摩擦係数MIUは、摩擦係数μの測定長さL1における平均値(平均表面摩擦係数)とした。
具体的な評価方法として、サンプルを5個準備し、これらの平均値を動摩擦係数MIUとした。測定器は、自動化表面試験機(カトーテック株式会社製 KESFB4-AUTO-A)の摩擦力検出機能を用いた。測定条件は、摩擦子の接触面積が5mm×5mm(0.25cm2)とし、荷重Wが摩擦子の重さを含めて垂直方向に50gf(約0.5N)とした。そして、20cmのサンプル幅に対して400gの張力を掛けてサンプルを自動化表面試験機にセットして上記摩擦子を荷重Wでサンプルに接触させ、摩擦子の移動速度を1mm/secとして摩擦力Fの測定を行い、上記した式等により動摩擦係数MIUと静止摩擦係数μsを算出した。
図8は、摩擦係数の測定結果を示した図である。これを見ると、樹脂シート10bは、紙10aよりも動摩擦係数MIUが小さい。つまり、収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値(樹脂シート10bの値)が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の動摩擦係数MIUよりも小さい。
なお、「収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値」とは、最内面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の動摩擦係数MIUのうちの最小値を意味する。例えば、収容部材の最内面が紙10aと樹脂シート10bで構成されていた場合、動摩擦係数MIUの値が小さい樹脂シート10bの値を用いる。
また、樹脂シート10bは、外装体21よりも動摩擦係数MIUが小さい。つまり、収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値(樹脂シート10b)が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値(外装体21)よりも小さい。
なお、「対向面における動摩擦係数MIUの最小値」とは、対向面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の動摩擦係数MIUのうちの最小値を意味する。例えば、おむつの対向面におむつを廃棄する際におむつを丸めて固定するための樹脂を基材としたテープが設けられていた場合、動摩擦係数MIUの値が小さいテープの値を用いる。
また、紙10aは、外装体21よりも動摩擦係数MIUが小さい。つまり、紙10aの最外面の動摩擦係数MIUが、おむつ20の最外面における動摩擦係数MIUの最大値(外装体21)よりも小さい。
なお、「吸収性物品(おむつ20)の最外面における動摩擦係数MIUの最大値」とは、最外面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の動摩擦係数MIUのうちの最大値を意味する。例えば、おむつの最外面におむつを廃棄する際におむつを丸めて固定するための樹脂を基材としたテープが設けられていた場合、動摩擦係数MIUの値が大きい外装体21の値を用いる。
また、トップシート22bは、外装体21よりも動摩擦係数MIUが小さい、つまり、おむつ20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値(トップシート22b)が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値(外装体21)よりも小さい。
なお、「吸収性物品(おむつ20)の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値」とは、最も肌側の面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の動摩擦係数MIUのうちの最小値を意味する。例えば、トップシート22bとは異なる部材がトップシート22bと共に最も肌側の面を構成していた場合、動摩擦係数MIUが最も小さい部材の値を用いる。
また、樹脂シート10bは、紙10aよりも静止摩擦係数μsが小さい。つまり、収容部材10の最内面における静止摩擦係数μsの最小値(樹脂シート10b)が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の静止摩擦係数μsよりも小さい。
なお、「収容部材10の最内面における静止摩擦係数μsの最小値」とは、最内面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の静止摩擦係数μsのうちの最小値を意味する。例えば、収容部材の最内面が紙10aと樹脂シート10bで構成されていた場合、静止摩擦係数μsの値が小さい樹脂シート10bの値を用いる。
<表面粗さ評価>
表面粗さ評価としては、収容部材10の最外面を構成する紙10a、収容部材10の最内面を構成する樹脂シート10b、おむつ20の対向面を構成する外装体21について表面粗さの平均偏差SMD(以下、単に表面粗さSMDとも呼ぶ)を測定して評価した。
図9は、表面粗さSMDを説明するための図である。図9に示す曲線が表面粗さであり、測定長さL2について測定した結果を表している。ここで、図9に示す斜め右上斜線領域(表面粗さの平均値との差を積分した値)と、測定長さL2をと用いて、表面粗さSMDを次式で表すことができる。
表面粗さSMD=斜め右上斜線領域/測定長さL2
具体的な評価方法として、サンプルを5個準備し、これらの平均値を表面粗さSMDとした。測定器は、自動化表面試験機(カトーテック株式会社製 KESFB4-AUTO-A)の上下厚み変動検出機能を用いた。測定条件は、摩擦子として0.5mmのワイヤーを用い接触面幅が5mmとし、荷重Wは垂直方向に10gf(約0.1N)とした。そして、20cmのサンプル幅に対して400gの張力を掛けてサンプルを自動化表面試験機にセットして上記摩擦子を荷重Wでサンプルに接触させ、摩擦子の移動速度を1mm/secとして上下厚み変動の測定を行い、上記した式等により表面粗さSMDを算出した。
図10は、表面粗さSMDの測定結果を示した図である。これを見ると、樹脂シート10bは、紙10aよりも表面粗さSMDが小さい。つまり、収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値(樹脂シート10bの値)が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の表面粗さSMDよりも小さい。
なお、「収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値」とは、最内面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の表面粗さSMDのうちの最小値を意味する。例えば、収容部材の最内面が紙10aと樹脂シート10bで構成されていた場合、表面粗さSMDの値が小さい樹脂シート10bの値を用いる。
また、樹脂シート10bは、外装体21よりも表面粗さSMDが小さい。つまり、収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値(樹脂シート10b)が、対向面における表面粗さSMDの最小値(外装体21)よりも小さい。
なお、「対向面における表面粗さSMDの最小値」とは、対向面が材質や表面性状等が異なる複数の領域からなる場合に、各領域の表面粗さSMDのうちの最小値を意味する。例えば、おむつの対向面におむつを廃棄する際におむつを丸めて固定するための樹脂を基材としたテープが設けられていた場合、表面粗さSMDの値が小さいテープの値を用いる。
<インク濃度評価>
インク濃度評価としては、収容部材10の図柄15(以下、収容部図柄15とも呼ぶ)とおむつ20の製品図柄25のインク濃度を比較して評価した。なお、ここでいうインク濃度とは、収容部図柄15や製品図柄25を見たときの外観上の印刷物の濃さという意味であり、例えば、おむつ20の外装体21の外側に製品図柄25が印刷されている場合と、外装体21の内側に製品図柄25が外側と同じように(同じ濃さで)印刷されている場合では、内側の方が、外装体21を透かして製品図柄25を見るので、インク濃度は薄くなる。
したがって、収容部図柄15と製品図柄25のインク濃度の比較は、外観上の見た目の濃さで判断できれば視認による方法で構わない。より厳密に比較する場合は、例えば、サンプルとして、収容部図柄15と製品図柄25をそれぞれ同じ条件においてデジタルカメラで撮影し、これをパソコンの画像処理ソフトにより256階調のグレースケールにモノクロ変換して、それぞれの一番濃い値を最大インク濃度として比較すればよい。
そして、本実施形態においては、外観上の見た目において、収容部図柄15が製品図柄25よりもはっきりと濃く印刷物を確認することができる。つまり、収容部図柄15の最大インク濃度が、製品図柄25の最大インク濃度よりも濃い。
<<<収容体1の有効性について>>>
本実施形態に係るおむつ20の収容体1は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10と、収容部材10により収容され、排泄物を検知するインジケータ23を有するおむつ20と、を備えたおむつ20の収容体1であって、収容部材10には、外部からおむつ20を視認することができる窓領域16と、視認することができない非窓領域17と、が設けられており、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複することとした。そのため、外部から内部のおむつ20を視認することができ、かつ、陳列時等にインジケータ23と紫外線の反応を抑制して、インジケータ23の劣化を抑制するができる。
紙のような非透明な材料で構成された収容部材におむつが収容されていると、消費者がおむつを購入する際に、外部からおむつが視認できない問題があった。
そのため、外部からおむつが視認できるように、例えば、透明の窓を設けるような構成とすると、陳列時等におむつが視認できる部分から入る太陽光の紫外線におむつが晒されることとなる。そして、おむつに排泄物を検知するためのインジケータが備えられていると、太陽光の紫外線によってインジケータ等が劣化する問題があった。
これに対し、本実施形態においては、窓領域16と非窓領域17を設け、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複することとした。
そうすると、外部から内部のおむつ20を視認することができ、かつ、陳列時等に非窓領域17と重複するインジケータ23は、紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
なお、図1に示す収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態におけるおむつ20は、おむつ20の自重により収容部材10の底面部13に当接し、左右方向においては中央に位置している。かかる状態とするには、例えば、収容部材10の上端部を掴んで持ち上げ、軽く上下に振った後に、ゆっくりと収容体1を直立させることで実現することができる。
また、上記では、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態においてインジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複するとしたが、前述したようにおむつ20は内部空間において移動させることができる。つまり、おむつ20を収容部材10の底面部13と当接させ、左右方向においては内部空間において任意の位置に位置することができる。
そして、「収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する」とは、おむつ20が収容部材10の内部で左右方向に動いたときに、そのどの位置でも「前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複する」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。
また、上記実施形態においては、おむつ20には、製品図柄25が印刷されており、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、収容部材10の外部から窓領域16を通して製品図柄25の少なくとも一部が視認できることとした。
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなくおむつ20の製品図柄25を確認することができる。
また、上記実施形態においては、製品図柄25には、おむつ20が製造された国名、おむつ20を製造又は販売する会社名のロゴ、おむつ20の商品名のロゴ、及びおむつ20に使用されている材料の少なくともいずれか1つの標記が含まれていることとした。
そうすると、陳列時等に消費者が開封することなくおむつ20の製造国、製造会社名のロゴ、商品名のロゴ、及び使用されている材料の少なくともいずれか1つを確認することができる。
また、上記実施形態においては、おむつ20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、おむつ20は、おむつ20の股下側が収容体1の下側に位置するように収容され、収容状態におけるおむつ20を上下方向に4等分した際の最も下側の領域である股下領域28を有し、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、股下領域28の少なくとも一部が非窓領域17と重複することとした。
そうすると、インジケータ23は股下領域28に特に必要とされるので、股下領域28と非窓領域17が重複することにより、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、インジケータ23と非窓領域17とが重複する重複部分の上下方向における長さが、インジケータ23と窓領域16とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも、長いこととした。
そうすると、窓領域16のほうが長い場合に比べて、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bにより構成された2層構造の部分を有することとした。
そうすると、紙10aが紫外線によるインジケータ23の劣化を抑制することができ、樹脂シート10bが湿気等による吸収性コア22aの劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、窓領域16は、紙10aの層が積層されていない樹脂シート10bのみの領域であり、窓領域16は、左右方向に沿って左右方向の一端から他端まで連続して設けられていることとした。
そうすると、窓領域16が幅方向の端部まで設けられているので、消費者が内部のおむつ20を視認しやすくなる。また、視認性の良さにより、開封頻度を低減できるので、内部に湿気が入る可能性を低減できる。
また、上記実施形態においては、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓領域16の上端及び下端が、おむつ20と重複することとした。
そうすると、窓領域16と非窓領域17の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、上端と下端がおむつ20と重複することにより、折り曲がりにくくなる。
また、上記実施形態においては、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、窓領域16の上端が、収容状態におけるおむつ20の上下方向における中心よりも上側に位置することとした。
そうすると、窓領域16と非窓領域17の境界は、剛性が変化して折れ曲がりやすいので、例えば、使用済み品のおむつ20を上下方向に2つ折りにして収容部材10に入れて廃棄する際に、収容部材10をコンパクトにしやすくなる。
また、上記実施形態においては、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した前記状態とは上下関係が逆様となる状態において、前後方向に見たときに、インジケータ23の少なくとも一部が非窓領域17と重複することとした。
そうすると、収容体1を逆様にした状態において(紙10aの収容部材10なので内部に隙間がある。つまり、おむつ20が内部で収容部材10の上側へ移動した状態において)、インジケータ23と紫外線との反応が抑制されるので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、紙10aが未晒しであることとした。
そうすると、晒した紙よりも、未晒しの紙10aの方が、リグニンを多く含んでいるので、晒した紙を用いた場合に比べて、インジケータ23と紫外線との反応が抑制され、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、収容部材10は、前側部11と、後側部12と、底面部13とを有し、前側部11の下端部と後側部12の下端部の間には、底面部13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、収容部材10の下端部において、底面部13は、前側部11及び後側部12の少なくとも一方と、接合されていることとした。
そうすると、収容部材10の下端部における部材同士の接合層の数が収容部材10の上端部における部材同士の接合層の数よりも多いので、収容部材10の下端部が補強され、下端部の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施形態においては、おむつ20は、着用者の腹側に当接する腹部26と、着用者の背側に当接する背部27と、を有し、腹部26と背部27が対向しており、おむつ20の股下側が収容体1の下側に位置するように、おむつ20が収容部材10に入れられていることとした。
おむつ20は股下側が厚いので、股下側が位置する収容部材10の部分は裂けやすくなるが、股下側を収容部材10の上側とした場合に比べて、収容部材10の下端部の接合層の数が上端部の接合数の数より多いので(下端部の方がしっかりと接合されているので)、収容部材10の損傷によるインジケータ23の露出を抑制し、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
また、上記実施の形態においては、図3に示すように、前側部11、後側部12、及び底面部13を別々のシートとし、それぞれを接合することにより三面形状としているが、これに限るものではない。例えば、前側部11と底面部13について、上下方向に前側部11と底面部13の長さを有する1枚の部材とし、かかるシートの底面側を折り畳んで底面部13を形成してもよい。
また、上記実施の形態においては、収容部材10は三面形状であったが、これに限るものではない。例えば、六面形状の収容部材であってもよい。
六面形状の収容部材の場合、三面形状の収容部材10とは異なり、どの面を底部としても自立できることが多いので、底部という概念が薄い場合がある。つまり、おむつを含んだ収容体に、上下方向、左右方向、及び前後方向の概念が薄い場合がある。そのため、かかる六面形状の収容部材においては、陳列時等にどの面が底部として置かれても図柄等の製品情報を消費者が確認できるように工夫されていることが多い。つまり、かかる六面形状の収容部材においては、どの面が底部となっても、本発明の作用効果を得ることができる。
また、上記実施の形態においては、収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bの2層構造を備えていたが、これに限るものではない。例えば、紙10aの内面を樹脂でコーティングして樹脂シート10bの代替としてもよい。
また、上記実施の形態においては、収容部材10の最内面は、全て樹脂シート10bの面であったが、これに限るものではない。例えば、開閉シール部14の上側が紙10aの面であってもよい。
また、上記実施形態においては、おむつ20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、おむつ20の最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値(トップシート22b)が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値(外装体21)よりも、小さいこととしたが、これに限るものではなく、対向面における動摩擦係数MIUの最小値が、おむつの最も肌側の面における動摩擦係数MIUの最小値よりも、小さくてもよい。
前者の場合(トップシートの値が外装体の値より小さい場合)、おむつ20の最も肌側の動摩擦係数MIUが対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、着用時におむつが擦れた際に、着用者が違和感を覚えにくい。また、最内面と対向面が擦れた際に、最も肌側の面同士が滑りやすいので、対向面が最内面につられて動きやすく、毛羽立ちを抑制することができる。
後者の場合(外装体の値がトップシートの値より小さい場合)、おむつ20の対向面の動摩擦係数MIUが最も肌側の面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、おむつ20を収容部材10から取出しやすい。
また、上記実施の形態においては、おむつ20の背部27と窓領域16とが対向するように収容されており、図1に示すように、収容部材10の外部からおむつ20の背部27を視認することができたが、これに限るものではなく、おむつ20の腹部26と窓領域16とが対向するように収容されていてもよい。
つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、腹部26又は背部27が窓領域16と対向する。そうすると、陳列時等に消費者が開封することなくおむつ20の側面に比べて面積の大きい正面又は背面を確認することができる(よりおむつ20の全体を視認することができる)。
また、上記実施の形態においては、おむつ20の背部27と窓領域16とが対向するように収容されており、かつ、腹側インジケータ23aは、背側インジケータ23bよりも、上下方向の上側に長く延びていたが、これに限るものではない。例えば、背側インジケータ23bが腹側インジケータ23aよりも長く、おむつ20の腹部26と窓領域16が対向していてもよいし、おむつ20の背部27と窓領域16が対向していてもよい。つまり、インジケータ23の長い方が窓領域16と対向してもよいし、窓領域16と対向せずに(短い方が対向して)反対側にあってもよい。
長い方のインジケータ23が窓領域16と対向しない場合を換言すると、腹部26及び背部27の一方が窓領域16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分よりも、インジケータ23のうちの他方に位置する部分の方が、上下方向の上側に長く延びている。そうすると、長さの長いインジケータ23の部分を窓領域16と対向させた場合に比べて、陳列時等にインジケータ23と紫外線との反応が抑制される(窓領域16と重複するインジケータ23が少なくなる)ので、インジケータ23の劣化を抑制することができる。
長い方のインジケータ23が窓領域16と対向する場合を換言すると、腹部26及び背部27の一方が窓領域16と対向しており、インジケータ23のうちの一方に位置する部分は、インジケータ23のうちの他方に位置する部分よりも、上下方向の上側に長く延びている。そうすると、長さの短いインジケータ23の部分を窓領域16と対向させた場合に比べて、非窓領域17において股下領域28の劣化を抑制しつつ、陳列時等に消費者が外部からインジケータ23を視認しやすい。
また、長い方のインジケータ23が窓領域16と対向する場合において収容体1が直立した際に、インジケータ23と非窓領域17の重複する部分の長さが、インジケータ23と窓領域16の重複する部分の長さよりも長い。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、一方に位置する部分と非窓領域17とが重複する重複部分の上下方向における長さが、一方に位置する部分と窓領域とが重複する重複部分の上下方向における長さよりも長い。そうすると、長さが長い一方のインジケータ23において、窓領域16からインジケータ23を視認可能としつつ、非窓領域17の方が重複領域の長さが長いので、短い場合に比べてインジケータ23の劣化を抑制することができる。
また、上記実施の形態においては、おむつ20の股下側が収容体1の下側に位置するように、おむつ20が収容部材10に入れられているが、これに限るものではない。例えば、おむつ20の股下側を上側に位置するようにしてもよい。つまり、おむつ20の股下側が収容体1の上側に位置するように、おむつ20が収容部材10に入れられていてもよい。
前者の場合(股下側が下側の場合)、収容部材10の下側は襠があって広がるので、おむつ20で厚みがある股下側を下側にすることにより、おむつ20を入れやすくなる。
後者の場合(股下側が上側の場合)、おむつ20の股下側は剛性が高いので、収容時において股下側を開閉シール部14側にすることにより、取出し時におむつ20を引っ張りやすくなる。
また、上記実施の形態においては、収容体1が直立した状態において、窓領域16の上端がおむつ20の上端よりも下側であったが、これに限るものではなく、窓領域16の上端がおむつ20の上端よりも上側でもよい。つまり、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、前後方向に見たときに、窓領域16の上端が、おむつ20と重複しなくてもよい。
そうすると、収容体1の陳列時等に消費者が開封することなくおむつ20の一端まで視認することができる。
また、上記実施の形態においては、図2に示すように、収容部材10の前側部11に図柄15が印刷され、後側部12に図柄15が印刷されていないが、これに限るものでなく、前側部11に図柄15を印刷せずに、後側部12のみに図柄15を印刷してもよい。つまり、図柄15は、前側部11及び後側部12のうちのどちらか一方のみに印刷されていればよい。そうすると、図柄が両方に印刷されている場合に比べて、収容部材10の図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
また、上記実施の形態においては、開閉シール部14が再封止可能であり、複数回の開閉が可能であったが、これに限るものではなく、例えば、ミシン目を入れた開封部であって、一度開封したら再封止できない構造の開封部であってもよい。
<その他の態様について>
その他にも、以下のような態様が可能である。
(態様1)
最外面の少なくとも一部が紙10aで構成された収容部材10と、収容部材10により収容され、最外面の少なくとも一部が不織布(外装体21)で構成されたおむつ20と、を備えるおむつ20の収容体1であって、収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の動摩擦係数MIUよりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
図11は、収容部材10からおむつ20が取り出されている状態を示した図である。図11に示すように、おむつ20を収容部材10から取り出す際には、開閉シール部14を開いて開口部を広げた状態で、おむつ20を引っ張って収容部材10から取り出す。つまり、おむつ20は、収容部材10から引きずり出されるようにして取り出されており、おむつ20の対向面が収容部材10の最内面と擦れながら取り出される。
そして、従来から収容部材が紙で構成されたおむつの収容体は知られていたが、収容部材が紙で構成されたものは、樹脂シート等で構成されたものに比べて摩擦係数が高いので、収容部材からおむつを取り出す際に、おむつが引っ掛かりやすくて毛羽立つ問題があった。
これに対し、本実施形態においては、収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値(樹脂シート10b)が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の動摩擦係数よりも小さいこととした。
そうすると、収容体1の外観を紙として維持しつつ、最内面の動摩擦係数MIUが最外面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、おむつ20の取出し時における外装体21の毛羽立ちを抑制することができる。
(態様2)
おむつ20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、収容部材10の最内面における動摩擦係数MIUの最小値(樹脂シート10b)が、対向面における動摩擦係数MIUの最小値(外装体21)よりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、最内面の動摩擦係数MIUがおむつ20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、おむつ20の取出し時における外装体21の毛羽立ちを抑制することができる。
(態様3)
紙10aの最外面の動摩擦係数MIUが、おむつ20の最外面における動摩擦係数の最大値(外装体21)よりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、最外面の動摩擦係数MIUがおむつ20の対向面の動摩擦係数MIUよりも大きい場合に比べて、おむつ20を取り出した後の収容部材10とおむつ20の接触による外装体21の毛羽立ちを抑制することができる。
(態様4)
収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値(樹脂シート10b)が、紙10aで構成された収容部材10の最外面における表面粗さSMDよりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、収容部材10の最内面においては、表面粗さSMDが小さいので擦れによるおむつ20の損傷が抑制され、最外面においては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすく収容体1が持ちやすくなる。
(態様5)
おむつ20の最外面の少なくとも一部は、収容部材10と対向する対向面となっており、収容部材10の最内面における表面粗さSMDの最小値(樹脂シート10b)が、対向面における表面粗さSMDの最小値(外装体21)よりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、収容部材10の最内面においては、表面粗さSMDが小さいので擦れによるおむつ20の損傷が抑制され、おむつ20の対向面においては、表面粗さSMDが大きいので指に引っ掛かりやすくおむつ20を収容部材10から取出しやすくなる。
(態様6)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、おむつ20を取り出す際に開封する開閉シール部14が設けられており、収容体1の下端が接地して該収容体1が直立した状態において、おむつ20と開閉シール部14の間に隙間が設けられていることを特徴とするおむつ20の収容体1。
図12は、収容部材10の隙間に手を入れておむつ20を取り出している状態を示した図である。図12に示すように、おむつ20を取り出す際に、かかる隙間に手を入れることができ、収容部材10とおむつ20の間に指を入れて取り出すこともできるので、手指によって収容部材10を広げやすくなり、取り出す際におむつ20が擦れにくくなる。
(態様7)
開閉シール部14は、収容部材10の上端よりも下側に位置することを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、収容部材10の上端に開閉シール部14がある場合に比べて、さらに隙間が形成されるので(隙間+開閉シール部14から上端まで部分)、手指によって収容部材10がより一層広げやすくなり、取り出す際におむつ20がより一層擦れにくくなる。
(態様8)
収容体1には、複数のおむつ20が収容されており、おむつ20が、前後方向において並んでいる一方で、上下方向と左右方向においては並んでいないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、おむつ20の列の数が2列以上の場合に比べて、列と列が接触することがないので、おむつ20の列の形状が崩れることを抑制することができる。
(態様9)
収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bによる2層構造を備えており、収容部材10の最内面は、樹脂シート10bで構成されていることを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、最内面が滑らかな面となるので、おむつ20を収容部材10から取り出す際の外装体21の毛羽立ちを抑制することができる。
(態様10)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bが重複する非窓領域17と、樹脂シート10bのみの窓領域16とを有しており、窓領域16は、左右方向に沿って左右方向の一端から他端まで連続して設けられていることを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、剛性の小さい窓領域16が左右方向の一端から他端まで連続して設けられているので、窓領域16と非窓領域17の境界に剛性の変化が左右方向の一端から他端まで生じ、かかる場所において上下方向に折れ曲がりやすくなるので、折れ曲がりによって、おむつ20が収容部材10内で動きにくくなり、毛羽立ちを抑制することができる。
(態様11)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前側部11と、後側部12と、底面部13とを有し、前側部11の下端部と後側部12の下端部の間には、底面部13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられていないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
つまり、下端部は広げることができない(開口部がない)ので、予め襠を設けて収容部材10の下側を広くすることにより、おむつ20を取り出す際に収容部材10とおむつ20が擦れることを抑制することができる。
(態様12)
収容部材10と、収容部材10に収容され、吸収性コア22aを備えるおむつ20と、を備えたおむつ20の収容体1であって、収容部材10には、図柄15が印刷されており、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
収容部材に製品情報等の図柄を印刷すると、例えば、複数の収容体を1つの段ボール等に梱包した際に、収容体同士が相互に密接し、特におむつで最も厚い吸収性コアの部分が強く圧迫されるおそれがあり、図柄の擦れや図柄のインクがおむつに裏移りするおそれがあった。
これに対し、本実施形態においては、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しないこととした。つまり、おむつ20において最も厚い吸収性コア22aと、図柄15の少なくとも一部と、を重複させないことにより、収容体1が複数並べられる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
なお、「吸収性物品(おむつ20)が収容部材10内のある位置に位置している状態において、吸収性物品(おむつ20)の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」とは、おむつ20が収容部材10の内部で動いたときに、そのどの位置でも「吸収性物品(おむつ20)の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、吸収性コア22aと重複しない」を満たしていることを意味するのではなく、どこか1つの位置で満たしていれば足りることを意味する。以下に記載の「吸収性物品(おむつ20)が収容部材10内のある位置に位置している状態において」も同様の意味とする。
(態様13)
おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、おむつ20と重複しないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、図柄15とおむつ20が重複しないので、収容体1を複数並べる梱包時等において、隣り合う収容体1同士の図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
(態様14)
おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15とおむつ20とが重複しない領域が、図柄15とおむつ20とが重複する領域よりも、大きいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、重複しない領域が小さい場合に比べて、図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
(態様15)
収容部材10の最外面の少なくとも一部は、紙10aで構成され、収容部材10は、内部に内部空間を有し、内部空間は、おむつ20が存在する空間と、おむつ20が存在しない隙間空間とを有し、おむつ20が収容部材10内のある位置に位置している状態において、おむつ20の厚さ方向に見たときに、図柄15の少なくとも一部が、隙間空間と重複することを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、隙間空間にはおむつ20が存在しないので、かかる部分と重複する図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
(態様16)
収容部材10は、紙10aと樹脂シート10bによる2層構造を備えており、紙10aの層の内側に、樹脂シート10bの層が設けられていることを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、樹脂シート10bにより内部空間へ図柄15のインクの染み込みが抑制されるので、おむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
(態様17)
収容部材10の最内面における静止摩擦係数μsの最小値が、紙10aで構成された収容部材10の最外面の静止摩擦係数μsよりも、小さいことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、最内面の静止摩擦係数μsの最小値が大きい場合に比べて、搬送時等の収容体1のゆれにより内部空間のおむつ20が内部で移動しやすいので、おむつ20の移動につられて収容部材10が移動することを抑制することができ、収容部材10の図柄15の擦れを抑制することができる。
(態様18)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10は、前側部11と、後側部12と、底面部13とを有し、前側部11の下端部と後側部12の下端部の間には、底面部13を形成するための襠が設けられており、収容部材10の上端部には、襠が設けられておらず、図柄15の少なくとも一部が、収容部材10の上部に位置することを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、左右方向の中心における前側部11と後側部12の間の距離は、上部が下部より短いので、上部に図柄15を印刷することにより、隣り合う収容体1の図柄15同士の間隔を広げることができ、収容部材10の図柄15の擦れやおむつ20への図柄15の色移りを抑制することができる。
(態様19)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、収容部材10の上端部には、おむつ20を取り出す際に開封する開閉シール部14が設けられており、開閉シール部14には、図柄15が印刷されていないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、収容体1の開封時に触る開閉シール部14に図柄15が印刷されていないので、手へのインク移り及び図柄15の擦れを抑制することができる。
(態様20)
開閉シール部14は、開封後に再封止が可能であることを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、何度も再封止しておむつ20を出し入れできるので、出し入れの際に何度も触る開閉シール部14に図柄15が印刷されていないことにより、手へのインク移り及び図柄15の擦れをより一層抑制することができる。また、一度開封しても、使用の度に開閉シール部14によって収容部材10を再封止でき、湿気が入ることを防ぐことができる。また、再封止ができるので、開口部からおむつ20が紫外線に晒されることを抑制することができる。
(態様21)
開閉シール部14は、収容部材10の上端よりも下側に位置しており、開閉シール部14の上側には、図柄15が印刷されていないことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、何度も再封止しておむつ20を出し入れできるので、出し入れの際に何度も触る開閉シール部14の上側に図柄15が印刷されていないことにより、手へのインク移り及び図柄15の擦れをより一層抑制することができる。
(態様22)
図柄15は、収容部図柄15であり、おむつ20には、製品図柄25が印刷されており、収容部図柄15の最大インク濃度が、製品図柄25の最大インク濃度よりも、濃いことを特徴とするおむつ20の収容体1。
そうすると、収容部図柄15のインク濃度が薄い場合に比べて、収容部図柄15をしっかりと表示できるので視認しやすい(インク濃度が濃いと色移り等がしやすいが、収容部図柄15と吸収性コア22aを重複させない等の上記実施形態により、収容部材10の収容部図柄15の擦れやおむつ20への収容部図柄15の色移りを抑制することができる)。また、製品図柄25のインク濃度が濃い場合に比べて薄い方が、消費者は肌にやさしいイメージをおむつ20に抱きやすくなる。
(態様23)
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、少なくとも一部分が、前記紙よりも透湿性の低い材料(樹脂シート10b)で構成された最内層とを有し、前記収容部材の質量のうち、前記最外層を構成する前記紙の質量が占める割合が50%を超えることを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、紙だけでなく、内側に紙よりも透湿性の低い材料で構成された層を有することで収容部材の内部に湿気が入ること抑制し、良好な防湿性を担保することができる。さらに、紙の質量が占める割合が50%を超えることで「紙製容器包装」識別マークの対象となるため、環境に配慮した収容体を提供できる。
(態様24)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記収容部材は、前記左右方向の両端部において、前記上下方向に沿って接合された一対のサイドシール部と、前記上下方向の下端部において、前記左右方向に沿って接合されたボトムシール部とを有し、前記一対のサイドシール部及び前記ボトムシール部では、前記収容部材を構成する1つの面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料と、前記1つの面とは異なる面の前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料とが、前記前後方向に隣接し、溶着されていることを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の全てのシール部において、最内層に設けられた透湿性の低い材料同士が溶着されていることで、収容体に湿気が入りにくくなる。
(態様25)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記最外層、及び、前記最内層に設けられた前記透湿性の低い材料が、前記上下方向において、前記開封部よりも上側及び下側に設けられていることを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、開封部の上側は、収容部材を開けるときに掴む部分であり、当該上側には最外層のみならず透湿性の低い材料が設けられているため、該掴む部分が破れ難くなる。
(態様26)
前記収容部材は、少なくとも一部分が、樹脂シートのみからなる窓領域と、前記紙と前記樹脂シートとが重複する非窓領域とを有しており、前記窓領域の表面積が、前記非窓領域の表面積よりも小さいことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、窓領域により収容体内の吸収性物品を確認でき、また、窓領域を最小限にすることで、収容部材の内部に湿気が入りうる可能性を低減できる。また、窓領域を必要最小限にすることで、紫外線の影響を受ける可能性を低減させる。
(態様27)
前記最外層には、図柄が設けられており、前記図柄は、水性インクによって構成されていることを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、水性インクを用いることにより、油性インクを用いて画像を形成する場合と比較して、石油由来の有機溶剤の使用量を削減することができる。これにより、より環境に優しい収容体を実現することができる。また、被印刷媒体である最外層が紙製であるため、水性インクが固着しやすく、擦れたような図柄であっても安定して印刷することができる。
(態様28)
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が紙で構成された紙層を有し、前記紙層の少なくとも一部分に、未晒パルプからなる未晒パルプ領域を有することを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、未晒しパルプ領域は光を通しにくく、そのような未晒パルプ領域を有する収容部材に収容することで、吸収性物品に含まれることの多いゴムやウレタン等といった弾性部材、液不透過性のフィルム、インク(フィルム、ターゲットテープ、インジケータ等の印刷に用いられるインク)などの黄変し易い部材への紫外線の影響を低減し、吸収性物品の黄変を抑制することができる。
(態様29)
前記収容部材の前記未晒パルプ領域の外表面の少なくとも一部には、図柄が設けられていることを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、漂白された晒パルプからなる紙層の外表面に図柄を設けた場合、収容されている吸収性物品が透けて図柄が見えにくくなってしまうことがあるが、未晒パルプ領域は厚みが厚く、また、茶褐色又は暗褐色等であるため、中身が透けず、図柄が視認し易い。
(態様30)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記吸収性物品の最外面の少なくとも一部には、図柄が設けられており、前記未晒パルプ領域に設けられている前記図柄を収容部材図柄とし、前記吸収性物品に設けられている前記図柄を製品図柄としたとき、前記吸収性物品が前記収容部材内のある位置に位置している状態において、前記収容部材図柄と前記製品図柄とが、前記前後方向に見たときに、重複している部分を有することを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、未晒パルプ領域は厚みが厚く、且つ、茶褐色又は暗褐色等であるため、該未晒パルプ領域の図柄と吸収性物品の図柄とが重複しても、吸収性物品の図柄が透けて見えることはなく、未晒パルプ領域に設けられている図柄の視認性を維持できる。
(態様31)
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層を有し、前記最外層において、ベック平滑度が20秒未満である領域に、図柄の少なくとも一部が印刷されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
上記実施形態では、最外層としてベック平滑度が20秒未満となる領域を有する非塗工紙を用い、少なくとも図柄15の一部が当該領域と重複するように、印刷を行う。なお、ベック平滑度は、特定の条件で接触させた試験片とリング状の平面との間を、特定の初期差圧下で、一定量の大気圧空気が流れるのに必要な時間(秒)によって表される値であり、ベック平滑度が小さい(秒数が小さい)ほど、平滑度が低くなる。ベック平滑度は、JIS P 8119-1998に規定されている「紙及び板紙-ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に基づいて測定することができる。
社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会が規定するJBMS-32-2002「電子写真式複写機・プリンタ用カット紙」の規格によると、プリンタ等に使用されるカット紙を選択する際の目安となるベック平滑度の推奨値は20~150秒である。この値は画像性能を保証するものではないが、少なくとも擦れの少ない通常の印刷を行う際の基準となる範囲である。したがって、当該推奨値の下限値である20秒よりもベック平滑度が小さい媒体に印刷を行った場合、画像に擦れが生じる可能性が高い。
図13は、最外層として使用する紙素材のシート部材(試料A~C)について、ベック平滑度を測定した値について示す表である。ベック平滑度の測定は、上述のJIS P 8119-1998に準拠した方法で行った。図13に示されるように、シート部材A~Cのいずれも、ベック平滑度が5.3秒以下であり、JBMS-32-2002に規定されるベック平滑度の下限値である20秒よりも小さな値となっている。すなわち、JBMS-32-2002で推奨されている印刷用紙よりも平滑度が低くなっている。そして、実際にこれらのシート部材(試料A~C)に水性インクを用いて印刷を行うと、形成された図柄15の一部に濃度ムラが発生しやすく、図柄15が擦れたように見えることが確認された。
したがって、収容部材10の最外層として、ベック平滑度が20秒未満、望ましくは5.3秒以下の領域を有するシート部材(紙)を用いて、当該領域に図柄15印刷することにより、形成された図柄15が擦れたように見えるようになる。これにより、収容部材10や、その内部に収容されているおむつ20等の吸収性物品が紙製であることの素材感や柔らかなイメージを、ユーザーに想起させやすくすることができる。
(態様32)
互いに交差する上下方向と、左右方向と、前後方向とを有し、前記図柄は、第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを有しており、前記前後方向において、前記第1部分と前記第2部分との位置が異なっている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
また、収容部材10に印刷される図柄15の配置を調節することにより、ユーザーに対して収容体1の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。図14Aは、収容体1の斜視図であり、収容部材10に設けられる図柄15の配置について説明する図である。図14Bは、図14AのX-X断面について表す断面模式図である。
図1や図14Aに示すように、収容部材10の最外面には複数の図柄15,15…が設けられている。複数の図柄15のうち、図14Aの右側端部に設けられている図柄を図柄151とする。そして、図柄151のうち左右方向の左側端に位置する部分を第1部分151A、左右方向の右側端に位置する部分を第2部分151Bとしたときに、前後方向において第1部分151Aの位置と第2部分151Bの位置とが異なるように、図柄151が配置されている。
吸収性物品を収容した収容部材10は、当該吸収性物品が収容されている領域において、前後方向に膨らんだ形状となっている。図14Bでは、左右方向両端部のサイドシール部ssにおいて前側部11と後側部12とが互いに接合され、収容部材10の前後方向における厚さが最も薄くなっている。そして、左右方向の両端部から内側(中央側)に行くにしたがって、前側部11及び後側部12が各々湾曲しつつ、前後方向における両者の間隔が広がっている。すなわち、収容部材10の前後方向における厚さが厚くなっていく。この前側部11及び後側部12が湾曲した領域を湾曲領域10crとする(図14B参照)。そして、左右方向の中央部において、収容部材10の前後方向における厚さが最も厚くなっている。
図14Bに示されるように、図柄151の第1部分151Aは湾曲領域10crと重複する位置に配置され、第2部分151Bはサイドシール部ssと重複する位置に配置されている。このように、図柄151の第1部分151Aと第2部分151Bとの前後方向における位置が異なっていることにより、図柄151は前後方向に立体感を持って見えるようになる。そのため、図柄151が平面的に見える場合と比較して、収容部材10が3次元的に膨らんだ形状が強調され、収容体1の全体として柔らかなイメージを生じさせやすくなる。特に、図柄151は、収容部材10の湾曲領域10crと広く重複するように配置されていることから、図柄が丸みを帯びた曲面に見えるため、ユーザーにより柔らかな印象を与えることができる。
(態様33)
前記左右方向の両端部において、前記収容部材を構成する1つの面と、前記1つの面とは異なる面とが、前記前後方向に隣接し、溶着されたサイドシール部を有し、前記第1部分は前記サイドシール部と重複しない位置に配置され、前記第2部分は前記サイドシール部と重複する位置に配置されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、サイドシール部と重複する平面的な領域と、サイドシール部と重複しない曲面的な領域とに跨って図柄が配置されていることにより、図柄がより複雑で3次元的な形状に見え、ユーザーに対して収容体の柔らかなイメージをより想起させやすくすることができる。
(態様34)
前記最外層の少なくとも一部が切り欠かれることによって、前記最内層が表面側に露出した部分である窓部を有している、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、ユーザーは、収容体の外側から窓部を透して、紙おむつ等の柔らかな吸収性物品を視認することができるようになる。これにより、収容体の柔らかいイメージを、ユーザーにより想起させやすくすることができる。
(態様35)
前記最外層の裏面側には、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層が積層されており、前記収容部材の前記最内層における動摩擦係数の平均値が、前記収容部材の前記最外層の動摩擦係数の平均値よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の最外層における動摩擦係数の平均値が大きいことにより、最外層の表面形状が凹凸になりやすく、擦れた図柄が形成(印刷)されやすくなる。そして、収容部材の最内層における動摩擦係数の平均値が小さいことにより、最内層と吸収性物品との間に生じる摩擦力が低減され、吸収性物品の取り出し動作をスムーズに行いやすくすることができる。
(態様36)
吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材とを備え、前記収容部材は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層とを有し、前記最内層を構成する前記樹脂にはバイオマスプラスチックが含まれている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材の表面(最外層)を紙製とすることで、収容体が環境に配慮した製品であることをユーザーに想起させやすくすることができる。一方、収容部材の裏面(最内層)を樹脂製とすることにより防湿性を高め、内部に収容された吸収性物品が湿ってしまうことを抑制することができる。さらに、最内層を構成する樹脂がバイオマスプラスチックを含んでいることにより、従来品と比較して石油由来の物質の含有割合を低くすることができる。これらにより、防湿性に優れ、且つ環境に優しい吸収性物品収容体を提供することができる。
(態様37)
前記最内層を構成する前記樹脂に含まれている前記バイオマスプラスチックの重量は、前記収容部材の重量の10%以上である、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、日本バイオプラスチック協会が定める「バイオマスプラ識別表示制度」に規定されるバイオマスプラスチックの含有割合の基準(バイオマスプラスチック度が10%以上)を満たすことができる。これにより、当該制度の認証マーク(バイオマスマーク10%)を表示することが可能となり、収容体が環境に配慮した製品であることを、ユーザーにより認識させやすくすることができる。
(態様38)
前記吸収性物品を構成する部材の少なくとも一部に、バイオマスプラスチックが含まれている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、吸収性物品にもバイオマスプラスチックが含まれることにより、環境に配慮した製品であることをよりユーザーにより認識させやすくすると共に、ユーザーが安心して吸収性物品を使用することができるようになる。
(態様39)
前記吸収性物品の重量に対する、前記吸収性物品に含まれる前記バイオマスプラスチックの重量の割合よりも、前記収容部材の重量に対する、前記収容部材に含まれる前記バイオマスプラスチックの重量の割合の方が大きい、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材におけるバイオマスプラスチックの含有率を、吸収性物品におけるバイオマスプラスチックの含有率よりも高めることで、その分、収容部材における石油由来原料の含有率を低くすることができる。したがって、石油由来原料の使用量を削減し、より環境に優しい吸収性物品収容体を実現することができおる。
(態様40)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記収容部材は、前記左右方向の両端部及び前記上下方向の下端部において、前記収容部材を構成する1つの面の前記樹脂と、前記1つの面とは異なる面の前記最内層に設けられた前記樹脂とが、前記前後方向に隣接し、溶着されている、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、対向する樹脂材同士を溶着手段を用いて接合することにより、収容部材の左右方向の両側部及び上下方向の下端部がしっかりとシールされる。これにより、収容体の内部(収容空間)に水分が入り込み難くなり、防湿性を向上させることができる。
(態様41)
互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する収容部材110とを備え、前記収容部材110は、少なくとも一部分が、紙で構成された最外層と、少なくとも一部分が、樹脂で構成された最内層とを有し、前記収容部材110は、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向するように前記上下方向の両外側から内側に折り込まれたガゼット折り構造を有しており、前記収容部材110の前記左右方向の両端部において、前記最内層同士が前記前後方向に互いに対向している部分が接合された接合部を有し、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向している部分が接合されていない非接合部を有する、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
図15は、ガゼット折り部G1、G2を備えた収容部材110を説明するための図である。収容部材110においては、図15Aに示されるように、左右方向の一端側において、前後方向に重ね合わされたシート部材同士を接合して係止部SW1が形成される。係止部SW1では、ガゼット折り部G1、G2を含めて、厚さ方向に対向して配置されている最内層(樹脂シート10b)同士が、熱溶着等の公知の溶着手段を用いて互いに溶着接合される。対向する最内層は、いずれも樹脂製のシート部材であり熱可塑性を有していることから、熱溶着等の溶着手段を用いることにより、対向するシート部材同士を十分な強度で接合することができる。
左右方向の一方側の端部が係止部SW1によって係止された後、ガゼット折り部G1、G2を広げて、断面略矩形状の収容空間を形成し、左右方向の他方側から、当該収容空間内に吸収性物品を収容し、係止部SW2により封止する。ガゼット折り構造を有する収容部材110では、外装を構成するシート部材のうちガゼット折りされた部分が、所謂「マチ」として広がるため、内部に広い収容空間を形成することができる。すなわち、収容空間の容積が大きくなるため、多くの吸収性物品を収容することが可能となる。
そして、このような吸収性物品の収容体によれば、紙を含んだ収容部材110の左右方向両端部に設けられた係止部において、最外層同士が非接合部を有していることにより、従来のフィルム製収容部材において係止部の全体が溶着されている場合と比較して、接合強度が強くなりすぎず、係止部を開封しやすい。また、パッケージ表面が紙製であることにより、環境に配慮した製品であることをユーザーに想起させやすくすることができる。
(態様42)
前記収容部材110の前記左右方向の両端部において、前記最外層同士が前記前後方向に互いに対向している部分の全体が非接合部である、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、収容部材110を開封する際に、前後方向に対向して配置されている2つの対向面(最外層)が互いに接合されていないため、当該2つの対向面を前後方向に離間させやすくなる。したがって、ユーザーが、係止部を剥がして収容体を開封する動作を行い易くすることができる。
(態様43)
前記収容部材110は、前記左右方向の両端部において、前記最内層を構成する前記樹脂同士が、前記前後方向に隣接した状態で溶着されたサイドシール部と、前記前後方向の後側部において、前記最内層を構成する前記樹脂同士が、前記前後方向に隣接した状態で溶着されたバックシール部と、を有する、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、熱可塑性を有する樹脂製のシート部材同士を対向させ、溶着手段を用いて接合することにより、左右方向の両側部及び前後方向の後側がしっかりとシールされる。すなわち、収容部材110の収容空間を取り囲んでいる最内層の全体がシールされる。これにより、収容体の内部に湿気が入り込み難くなり、防湿性をより向上させることができる。
(態様44)
前記収容部材110は、前記左右方向において最も外側の端から所定の幅の領域にて、前記最内層同士が前記前後方向に互いに対向している部分が接合されていない、ことを特徴とする吸収性物品の収容体。
このような吸収性物品の収容体によれば、左右方向の外側端部において、シート部材(最内層)同士が接合されていない、所謂ドライエッジが形成される。これにより、左右方向両端部の係止部を剥がして収容体を開封する動作において、当該ドライエッジが係止部(シール部)を剥離させるための剥離起点となるため、開封動作をより行い易くすることができる。