JP7456840B2 - 複層塗膜、複層塗膜の形成方法、および複層塗膜を形成するための塗料セット - Google Patents
複層塗膜、複層塗膜の形成方法、および複層塗膜を形成するための塗料セット Download PDFInfo
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Description
例えば、特開2019-178197号公報(特許文献1)には、鱗片状顔料、樹脂および溶媒を含む塗料組成物であって、せん断速度0.1/sでの粘度が0.5~100Pa・s、かつせん断速度が1000/sでの粘度が0.01~5Pa・sであり、レオロジー測定においてひずみ0.1%でのtanδが0.5以上8以下であり、さらにレオロジー測定においてせん断速度100/sを30sかけた後にせん断速度0.1/sを180sかけた場合の粘度回復速度が0.001以上0.5以下である、塗料組成物が記載されている。この特許文献1に記載された塗料組成物によって、刷毛およびローラーで塗装を行う場合に、色むらなく均一な塗膜を形成できることが記載されている。
また、従来から要求されていた塗装対象の基材の透けやカスレがない状態を維持することも併せて求められていた。つまり、外観に優れ、かつ優れた耐候性および隠蔽性を有する複層塗膜が求められていた。
[1]
複層塗膜の形成方法であって、
被塗物に着色塗料組成物を塗装して、着色層を形成する工程(着色層形成工程)と、
着色層の上にトップコート塗料組成物を塗装して、トップコート層を形成する工程(トップコート層形成工程)と
を含み、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1およびトップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たす、
複層塗膜の形成方法。
[2]
着色塗料組成物の塗装手段およびトップコート塗料組成物の塗装手段は、いずれも、刷毛またはローラーである、上記複層塗膜の形成方法。
[3]
着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物は、いずれも、常温乾燥型塗料組成物である、上記複層塗膜の形成方法。
[4]
トップコート層の厚さ100μm(塗装膜厚)における波長350nmの光線透過率が、0%以上15%以下である、上記複層塗膜の形成方法。
[5]
着色層および複層塗膜の色差ΔE*が、0以上7以下である、上記複層塗膜の形成方法。
[6]
被塗物が、建築物またはこれらの構成物である、上記複層塗膜の形成方法。
[7]
被塗物の上に形成された着色層と、
着色層の上に形成されたトップコート層と、
を含む、複層塗膜であって、
着色層は、着色塗料組成物の塗膜の層であり、
トップコート層は、トップコート塗料組成物の塗膜の層であり、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1およびトップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たす、
複層塗膜。
[8]
着色塗料組成物の塗装およびトップコート塗料組成物の塗装は、いずれも、常温乾燥型塗料組成物である、上記複層塗膜。
[9]
上記複層塗膜を形成するための塗料セットであって、
塗料セットは、着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物からなり、
着色塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む塗料組成物であり、そして顔料は着色顔料を含み、
トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む塗料組成物であり、そして顔料は着色顔料を含み、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1およびトップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たす、
塗料セット。
第1実施形態に係る複層塗膜の形成方法は、着色層形成工程と、トップコート層形成工程とを含む。以下、各工程について説明する。
着色層形成工程では、被塗物に着色塗料組成物を塗装して、着色層を形成する。
まず、着色塗料組成物を調製する。着色塗料組成物の調製では、任意の適切な方法を用いることができる。例えば、顔料、塗膜形成樹脂、溶媒およびその他の成分を、SGミル、シェーカー、ディスパーなどを用いて混練、分散するなどの方法を用いることができる。顔料は、溶媒および必要に応じた成分と予め混合してペーストとして調製した後、塗膜形成樹脂および必要に応じたその他の成分と混合し、分散させることが好ましい。予め顔料をペーストとして調製することによって、分散安定性および保存安定性を向上させることができる利点がある。
被塗物としては、例えば、建築物、機械およびこれらの構成物などが挙げられる。建築物としては、例えば、マンション、オフィスビル、公共施設、商業施設、研究施設、軍事施設、およびトンネルが挙げられる。建造物の構成物としては、例えば、壁面、床面、天井、屋根、柱、看板、ドア、および門が挙げられる。機械としては、例えば、作業機械、建築機械が挙げられる。このように被塗物には、太陽光の直射を受け風雨に晒される建築物の屋根および屋上部も含まれる。
無機材料基材として、例えば、JIS A 5422、JIS A 5430などに記載された窯業建築基材、ガラス基材が挙げられ、より具体的には、珪カル板、パルプセメント板、スラグ石膏板、炭酸マグネシウム板、石綿パーライト板、木片セメント板、硬質木質セメント板、コンクリート板、軽量気泡コンクリート板などを挙げることができる。
木質基材として、例えば、製材、集成材、合板、パーティクルボード、ファイバーボード、改良木材、薬剤処理木材、および床板である。
プラスチック基材として、例えば、アクリル板、ポリ塩化ビニル板、ポリカーボネート板、ABS板、ポリエチレンテレフタレート板、およびポリオレフィン板が挙げられる。
上記金属基材として、例えば、アルミニウム板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板、およびブリキ板を挙げられる。
これらは被塗物の種類などに応じて適宜選択することができる。
着色塗料組成物の塗装では、乾燥膜厚が好ましくは10μm~500μm、より好ましくは20μm~300μmとなるように着色塗料組成物を塗装する。
また、着色層形成工程では、着色塗料組成物を塗装した後、必要に応じてさらに乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理の条件は、被塗物の形状および大きさなどによって適宜選択することができる。
着色塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む。塗膜形成樹脂として、塗料分野において通常用いられる塗膜形成樹脂を用いることができる。塗膜形成樹脂は、有機溶剤可溶性、非水分散性、水溶性および水分散性のいずれの性質を有してもよい。このような塗膜形成樹脂の性質は、例えば、官能基を塗膜形成樹脂に導入することにより制御することができる。塗膜形成樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、および無機有機複合樹脂(例えば、ポリシロキサン-アクリル複合樹脂)が挙げられる。
また、着色塗料組成物は、一液形塗料であってもよいし、二液形塗料(より具体的には、主剤および硬化剤からなる二液混合形塗料)であってもよい。
また、着色塗料組成物が一液形塗料組成物である場合、例えば、着色塗料組成物は主剤としての水酸基含有樹脂と、硬化剤としてのブロックイソシアネートとを含む。ブロックイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基を、ブロック剤でブロックした化合物である。ブロック剤は、例えば、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。ブロック剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、およびブチルセロソルブのような一般的なブロック剤が挙げられる。
PVC(体積%)=P/(P+R)×100
トップコート層形成工程では、着色層の上にトップコート塗料組成物を塗装して、トップコート層を形成する。トップコート塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、上述した着色塗料組成物の塗装手段と同様である。トップコート塗料組成物は、乾燥塗膜として、10μm~500μmとなるように塗装することが好ましく、20μm~300μmとなるように塗装するのがより好ましく、30μm~100μmとなるように塗装するのがさらに好ましい。また、トップコート層形成工程では、着色層形成工程と同様に乾燥処理をさらに含んでもよい。
トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む塗料組成物である。トップコート塗料組成物は、必要に応じて溶媒、塗料分野において通常用いられるその他の成分をさらに含んでもよい。トップコート塗料組成物の塗膜形成樹脂、顔料(着色顔料)、溶媒、およびその他の成分は、それぞれ上述した着色塗料組成物の塗膜形成樹脂、顔料(着色顔料)、溶媒、およびその他の成分と同じものを好適に使用することができる。
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たし、顔料体積濃度の比PVC2/PVC1は、0.2以上0.6以下であることが好ましく、0.3以上0.5以下であることがより好ましい。着色顔料組成物の顔料体積濃度が2~20%であり、かつ顔料体積濃度の比PVC2/PVC1が0.2以上0.7以下である場合、耐候性および隠蔽性に優れる複層塗膜の形成方法を提供することができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、顔料体積濃度およびその比率をそれぞれ所定の範囲とすることの技術的意義を見いだし、そのような技術的意義に基づいて良好な耐候性および隠蔽性を有する複層塗膜の形成方法の発明を完成するに至った。その詳細を以下に示す。
第2実施形態に係る複層塗膜は、例えば、第1実施形態に係る複層塗膜を形成するための方法により形成される複層塗膜である。第2実施形態に係る複層塗膜は、被塗物の上に形成された着色層と、着色層の上に形成されたトップコート層とを含む。着色層は、主として複層塗膜の下地隠蔽性および意匠機能を担う層である。着色層は、着色塗料組成物を塗布して形成される層(着色塗料組成物の塗膜の層)である。トップコート層は、主として複層塗膜の意匠性および耐候性などを担う層である。トップコート層は、トップコート塗料組成物を塗布して形成される層(トップコート塗料組成物の塗膜の層)である。
複層塗膜は、トップコート層の上に形成されたクリヤー層をさらに含んでもよい。複層塗膜が最外層としてクリヤー層を含むと、複層塗膜の耐候性が向上する。
トップコート層の光線透過率は、詳しくは、トップコート層の厚さ100μm(塗装膜厚)の塗膜における、波長350nmの光線透過率である。波長350nmの光線は、紫外線領域の光線であって、一般にUV-A波長といわれる領域内の光線である。トップコート層の波長350nmの光線透過率が上記範囲内であることによって、着色層およびトップコート層の間の層間剥離の発生を優位に防ぐことができる利点がある。
色差ΔE*は以下のようにして得ることができる。着色塗料組成物を基材(みがき鋼板)上に塗装して着色層を形成し、さらに、トップコート塗料組成物を着色層の一部にトップコート層を形成して、複層塗膜を形成する。得られた着色層および複層塗膜の色相(L*値、a*値、b*値)を、色差計(例えばコニカミノルタ社製、CR-400など)を用いて、それぞれ測定する。測定した色相の差を算出し、色相の差異ΔE*を求めることができる。
第3実施形態に係る塗料セットは、第2実施形態に係る複層塗膜を形成するための塗料セットである。第3実施形態に係る塗料セットは、例えば、第1実施形態に係る複層塗膜を形成する方法で使用される塗料セットである。
塗料セットは、着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物から構成される。具体的には、上記着色塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む。また上記トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む。これらの顔料は着色顔料を含む。
そして、着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内である。着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1およびトップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件(0.2≦PVC2/PVC1≦0.7)を満たす。
(顔料分散ベース(i))
弱溶剤可溶アクリル樹脂(DIC社製、アクリディックA-870、不揮発分55%、ガラス転移温度30℃、水酸基価21.0~27.0mgKOH/g、固形分比重0.94g/cm3)39.0部、二酸化チタン(堺化学工業社製、D-918、比重3.85g/cm3)48.0部、分散剤(BYK-chemie社製、Disperbyk-112、固形分(NV)=60.0質量%)4.2部、溶媒(新日本石油化学社製、ミネラルスピリットA)7.0部、増粘剤(楠本化成社製、DISPARLON A670-20M)1.8部を混合後、分散機(太平システム社製、卓上式SGミル1500w型)にガラスビーズ120部を入れて分散させて、顔料分散ベース(i)を得た。
顔料分散ベース(i)の製造例と同様にして、表1に記載した配合から顔料分散ベース(ii)~(iii)を製造した。
赤顔料:CINIC Chemicals (Shanghai)Co.,Ltd.社製、Cinilex DPP Red SR1C、比重1.58g/cm3
青顔料:大日精化工業社製、シアニンブルー 5195Y、比重1.5g/cm3
黄顔料:クラリアントジャパン社製、HOSTAPERM YELLOW H3G、比重1.59g/cm3
(クリヤーベース(I))
弱溶剤可溶アクリル樹脂(DIC社製、アクリディックA-870)70.4部、添加剤として光安定化剤(BASFジャパン社製、Tinuvin292)0.6部、紫外線吸収剤(BASFジャパン社製Tinuvin384-2)0.6部、消泡剤(楠本化成社製、DISPARLON 1952)0.4部、増粘剤(楠本化成社製、DISPARLON FS-6010)6.4部、溶媒(ExxonMobil社製、ソルベッソ100J)21.6部を高速ディスパーで混合して、クリヤーベース(I)を得た(表2参照)。
(着色塗料組成物(1))
顔料分散ベース(i)48.0部、クリヤーベース(I)52.0部を高速ディスパーで混合して、着色塗料組成物(1)の主剤を得た。着色塗料組成物(1)の硬化剤として、旭化成社製デュラネートTSA-100(ヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤、固形分100質量%、比重1.13g/cm3)を4.7部用いた。こうして、二液形の着色塗料組成物(1)を得た。
得られた着色塗料組成物のPVC1は15%であった。
着色塗料組成物(1)の製造例と同様にして、表3に記載した配合から着色塗料組成物(2)~(10)を製造した。
PVC(体積%)=P/(P+R)×100
より算出した。PVC1を表3にまとめた。
また、後述するトップコート層塗料組成物の顔料体積濃度PVC2もPVC1と同様に算出し、表4および表5にまとめた。
(トップコート塗料組成物(1))
顔料分散ベース(i)44.0部、クリヤーベース(I)56.0部を高速ディスパーで混合して、トップコート塗料組成物(1)の主剤を得た。トップコート塗料組成物(1)の硬化剤として、旭化成社製デュラネートTSA-100(ヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤、固形分100質量%)4.8部を用いた。こうして、二液形のトップコート塗料組成物(1)を得た。
得られたトップコート塗料組成物(1)のPVC2は13.5%であった。
トップコート塗料組成物(1)の製造例と同様にして、表4および表5に記載した配合からトップコート塗料組成物(2)~(24)を製造した。
表4および表5に示される着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物を用いて、下記手順により複層塗膜を形成した。
評価用試験板の基材としては、みがき鋼板(150×70×0.8mm)を用いた。まず、みがき鋼板表面の防錆油を溶剤(キシレンなど)で洗浄し、溶剤をウエスでふき取った。そして、溶剤をふき取ったみがき鋼板の裏面に錆止め塗料組成物(ファインプライマーII、日本ペイント社製)を塗装し、裏面をバックシールした。バックシールした塗料が乾燥したのち、被塗物である基材を得た。
表3に記載された着色塗料組成物(1)の主剤および硬化剤を高速ディスパーで混合して、着色塗料組成物混合液を得た。
得られた着色塗料組成物混合液を、基材に対して、塗装量120g/m2×1回でウールローラーにて塗装し、1日間室温にて放置乾燥させて、着色層を形成した。
表4に記載されたトップコート塗料組成物(1)の主剤および硬化剤を高速ディスパーで混合して、トップコート塗料組成物混合液を得た。
得られた着色塗料組成物混合液を、着色層が形成された基材に対して、塗装量120g/m2×1回でウールローラーにて塗装し、7日間室温にて放置乾燥させて、複層塗膜を得た。
下記表に記載された着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順により、複層塗膜を得た。
(UV透過率の測定)
上記実施例および比較例で用いたトップコート塗料組成物を、フロートガラス板上に4mil(塗装膜厚:100μm)のアプリケーターを用いて塗装し、試験板を作成した。
得られた試験板の光線透過率を、紫外可視近赤分光度計UV-3600(株式会社島津製作所)を用いて、300~380nm(波長2nm間隔)の透過率を、JISA 5759-6-6(a)に準拠して測定した。測定値のうち、波長350nmの光線透過率の数値をUV透過率(%)とした。
着色層および複層塗膜の色差ΔE*は、着色層の色相(L*値、a*値、b*値)および複層塗膜の色相(L*値、a*値、b*値)をJIS K 5600-4の規定に準拠して測定し、求めた。
詳しくは、着色塗料組成物を基材(みがき鋼板)上に塗装して着色層を形成し、さらに、トップコート塗料組成物を着色層の一部にトップコート層を形成して、複層塗膜を形成する。得られた着色層および複層塗膜の色相(L*値、a*値、b*値)を、色差計(例えばコニカミノルタ社製、CR-400など)を用いて、それぞれ測定した。測定した色相の差を算出し、色相の差異ΔE*を求めた。算出されたΔE*から下記判定基準に基づいて、ΔE*が0以上7以下の範囲内に含まれるか、否かを判定した。
(判定基準)
○(含まれる) :0≦ΔE*≦7
×(含まれない):ΔE*>7
(複層塗膜の隠蔽性評価)
JIS K 5600-4-1 (b)に準拠した、塗料の一般的な試験方法に用いる隠蔽率試験紙(日本テストパネル株式会社製)に、着色塗料組成物を6milのアプリケーターにて塗装し、塗装後23℃で1日間室温放置した。次にこの着色塗料組成物塗膜上にトップコート塗料組成物を6milのアプリケーターにて塗装した。塗装後23℃で1日間室温放置して試験体を作製した。試験体について分光光度計(コニカミノルタ社製、CR―400)を用いて、白色部(YW)と黒色部(YB)における三刺激値Yを測定し、隠蔽率YB/YWを百分率で算出した。得られた隠蔽率から下記評価基準に基づいて、複層塗膜の隠蔽性を評価した。〇および◎の評価結果を得られたものを合格とした。
(評価基準)
◎:複層塗膜の隠蔽率が90%以上である
〇:複層塗膜の隠蔽率が80%以上90%未満である
△:複層塗膜の隠蔽率が50%以上80%未満である
×:複層塗膜の隠蔽率が50%未満である
上記実施例および比較例により得られた複層塗膜を有する試験板を、超高速耐候試験装置 型式SX-H202(スガ試験機社製)を用いて、促進耐候性試験を実施した。運転条件は下記の通りである。
運転時間:1000時間
1サイクル:過酸化水素水噴霧と照射(時間1分)の後、水噴霧と照射(時間2分)の後、照射(時間7分)
フィルター: #275(JIS K 5600-7-7に適用のフィルター)
放射照度(300~400nm): 60W/m2
ブラックパネル温度(乾燥時): 50±10℃
ブラックパネル温度(湿潤時): 50±10℃
相対湿度(乾燥時):50±10%
相対湿度(湿潤時):50±10%
得られた60°グロス値G0およびG1を用いて、グロス保持率を下記式より算出した。得られたグロス保持率から下記評価基準により評価した。〇および◎の評価結果を得られたものを合格とした。
60°グロス保持率(%)=(G1/G0) ×100
(評価基準)
◎ :60°グロス保持率が90%以上、かつ、塗膜に割れや剥がれがない
○ :60°グロス保持率が75%以上90%未満、かつ、塗膜に割れや剥がれがない
○△:60°グロス保持率が65%以上75%未満、または、塗膜に割れや剥がれがある
△ :60°グロス保持率が50%以上65%未満、または、塗膜に割れや剥がれがある
× :60°グロス保持率が50%未満、または、塗膜に割れや剥がれがある
促進耐候性試験の評価試験板の耐チョーキング性評価を、JIS K 5600-8-6に記載の白亜化試験法方法に従って行った。下記基準により評価した。下記基準において〇および◎の評価結果を得られたものを合格とした。
◎ :テープに顔料の付着が確認されず、かつ、背景面がよく見える
○ :テープに一部顔料の付着が確認されるが、背景面がよく見える
△ :テープに一部顔料の付着が確認されるが、背景面は見える
× :テープに顔料の付着が確認され、背景面が見難い、または、見えない
上記外観評価および耐チョーキング性評価の結果から、下記評価基準に基づいて複層塗膜の耐候性を評価した。下記基準において〇および◎の評価結果が得られたものを合格とした。
◎ :外観評価および耐チョーキング性評価の結果のいずれも◎である
〇 :外観評価および耐チョーキング性評価の結果のいずれも〇であるか、または外観評価および耐チョーキング性評価の結果のうち一方が〇であり、他方が◎である
△ :外観評価および耐チョーキング性評価の結果のいずれもが×ではなく、それらの結果の少なくとも一方が△または○△である
× :外観評価および耐チョーキング性評価の結果のうち少なくとも一方が×である
複膜塗装の外観を目視にて観察し、基材の透け、刷毛のカスレ部の有無を確認した。観察結果から下記評価基準に基づいて評価した。〇の評価結果を得られたものを合格とした。
(評価基準)
〇 :基材の透け、刷毛のカスレ部が目立たない
△ :一部的に基材の透け、刷毛のカスレ部が目立つ
× :全体的に基材の透け、刷毛のカスレ部が目立つ
実施例1~13の複層塗膜では、耐候性の評価結果(総合評価の結果)が〇または◎であり、隠蔽性の評価結果が〇または◎であり、かつ外観の評価結果が〇であった。
比較例1、3~5、7および9の複層塗膜では、耐候性の評価結果(総合評価の結果)が△または×であった。比較例11~13の複層塗膜では、隠蔽性の評価結果が×であった。比較例2、6、8および10~13の複層塗膜では、外観の評価結果が△または×であった。つまり、比較例1~13の複層塗膜では、(i)耐候性の評価結果が◎および〇のいずれかであること、(ii)隠蔽性の評価結果が◎および〇のいずれかであること、かつ(iii)外観の評価結果が〇であることを満たしていなかった。
Claims (9)
- 複層塗膜の形成方法であって、
被塗物に着色塗料組成物を塗装して、着色層を形成する工程と、
前記着色層の上にトップコート塗料組成物を塗装して、トップコート層を形成する工程と
を含み、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1および前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たし、
前記トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含み、
前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC 2 は、上記式を満たすことを条件として、0.4%以上14%未満である、
複層塗膜の形成方法。 - 前記着色塗料組成物の塗装手段および前記トップコート塗料組成物の塗装手段は、いずれも、刷毛またはローラーである、請求項1に記載の複層塗膜の形成方法。
- 前記着色塗料組成物および前記トップコート塗料組成物は、いずれも、常温乾燥型塗料組成物である、請求項1または2に記載の複層塗膜の形成方法。
- 前記トップコート層の厚さ100μm(塗装膜厚)における波長350nmの光線透過率が、0%以上15%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の複層塗膜の形成方法。
- 前記着色層および前記複層塗膜の色差ΔE*が、0以上7以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の複層塗膜の形成方法。
- 前記被塗物が、建築物またはこれらの構成物である、請求項1~5の何れか1項に記載の複層塗膜の形成方法。
- 被塗物の上に形成された着色層と、
前記着色層の上に形成されたトップコート層と、
を含む、複層塗膜であって、
前記着色層は、着色塗料組成物の塗膜の層であり、
前記トップコート層は、トップコート塗料組成物の塗膜の層であり、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1および前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たし、
前記トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含み、
前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC 2 は、上記式を満たすことを条件として、0.4%以上14%未満である、
複層塗膜。 - 前記着色塗料組成物の塗装および前記トップコート塗料組成物の塗装は、いずれも、常温乾燥型塗料組成物である、請求項7に記載の複層塗膜。
- 請求項7または8に記載の複層塗膜を形成するための塗料セットであって、
前記塗料セットは、着色塗料組成物およびトップコート塗料組成物からなり、
前記着色塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む塗料組成物であり、そして前記顔料は着色顔料を含み、
前記トップコート塗料組成物は、塗膜形成樹脂および顔料を少なくとも含む塗料組成物であり、そして前記顔料は着色顔料を含み、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1は、2~20%の範囲内であり、
前記着色塗料組成物の顔料体積濃度PVC1および前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC2は、下記条件
0.2 ≦ PVC2/PVC1 ≦ 0.7
を満たし、
前記トップコート塗料組成物の顔料体積濃度PVC 2 は、上記式を満たすことを条件として、0.4%以上14%未満である、塗料セット。
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