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JP7448798B2 - 連続鋳造用モールドフラックス - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造において、鋳型内の溶鋼に添加される連続鋳造用モールドフラックスに関する。
鋼の連続鋳造では、主に、鋳型及び凝固シェルの間の潤滑性を担保する目的として、鋳型内の溶鋼の上面にモールドフラックス(モールドパウダーともいう)が添加される。
特許文献1に記載の連続鋳造パウダーでは、パウダーマトリックス中において、鋳型内溶鋼温度よりも高い融点を有する化合物粒子(炭化物等)と、金属粒子とを含有している。そして、特許文献1では、エッジシームの発生を防止することを目的としている。
特許文献2に記載の連続鋳造用フラックスでは、フラックス材に対して、溶融速度調整材として、SiC粉末、粉末金属Si、細粒カーボン及び粗粒カーボンのうちの1種又は2種以上を添加している。そして、特許文献2では、フラックスの溶融速度をコントロールすることと、カーボン粒子の添加量を低減することを目的としている。
特許文献3に記載の連続鋳造用鋳型添加剤では、炭素粒子の含有量が3.0重量%以下で、母材粒子より体積平均粒径の小さい炭化物粒子を0.5~10重量%含有している。また、炭素粒子を実質的に含有せず、炭化物粒子を1.0~10重量%含有している。そして、特許文献3では、溶鋼への加炭や鋳片表面層への浸炭を防ぐことを目的としている。
特開2015-213943号公報 特開2003-053497号公報 特開平1-284467号公報
モールドフラックスにカーボン粒子が含まれていると、鋳片の表層に浸炭が発生するおそれがある。ここで、鋳片に浸炭が発生すると、連続鋳造を終えた鋳片を冷えないうちに熱間圧延工程に搬送する場合において、特に問題となる。一方、浸炭が発生するメカニズムとしては、以下に説明する2つのメカニズムが考えられる。
第1のメカニズムでは、鋳型のオシレーション時に、未燃のカーボン粒子がスラグベアに取り込まれた後、スラグベアが凝固シェルに直接接触することにより、スラグベアに取り込まれたカーボン粒子によって浸炭が発生する。第2のメカニズムでは、オシレーションマークが形成されるときに、溶鋼がオーバーフローして未燃のカーボン粒子と直接接触することにより、浸炭が発生する。
特許文献1に記載の実施例1では、パウダーマトリックス中に2.7質量%のカーボンが含まれている通り、鋳片の浸炭については課題としていない。
一方、特許文献2では、浸炭に着目して、カーボン粒子の添加量を低減するようにしているが、フラックスの溶融速度をコントロールするために、カーボン粒子を使用している。しかし、さらなる品質改善の要求等により、浸炭を防止することが望まれていた。
さらに、特許文献3では、加炭・浸炭に着目して炭素粒子を実質的に含有させないようにしているが、炭素粒子を、母材粒子より体積平均粒径の小さい炭化物粒子に置換しているのみであり、モールドフラックスに求められる溶融速度調整効果には改善の余地があった。すなわち、特許文献3に記載の連続鋳造用鋳型添加剤では、母材粒子の体積平均粒径が50μmであり、炭化物粒子(炭化ケイ素粒子)として、体積平均粒径が0.45~5μmや10.2μm(実施例)といった超微粒子を用いているため、母材粒子及び炭化物粒子の体積平均粒径が共に小さい場合には、特許文献3に記載の発明を適用可能であるが、母材粒子や炭化物粒子の粒径が大きい場合には、特許文献3に記載の発明を適用することが困難である。
ここで、一般に炭化物粒子の粒径が小さいほど、炭化物粒子が基材粒子の周囲を取り囲みやすくなり、溶融速度調整効果が大きくなるところ、例えば基材粒子の平均粒径が特許文献3のように50μmであるとき、炭化物粒子の平均粒径が20μm以上になると、基材粒子同士の接触面が生じやすくなる。接触面からの溶融が溶融速度を律速するところ、平均粒径が20μm以上の炭化物粒子のみで基材粒子同士の接触を防ぐことが困難になるため、炭化物粒子だけでなくカーボンブラック等の微細なカーボン粒子を添加しなくては溶融速度を所望の範囲まで低下させることが困難になる。
また、基材粒子の粒径が大きいほど、凝着から溶融完了までの時間が長くなり、カーボン粒子や炭化物粒子を添加しても溶融速度が変化しづらいと考えられる。例えば、基材粒子の平均粒径が200μm以上になると、溶融速度を所望の範囲まで低下させることが困難になる。
以上の通り、基材粒子及び炭化物粒子の粒径が共に小さい場合には、カーボン粒子を含有させずにモールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整しうると考えられるが、基材粒子や炭化物粒子の粒径が大きい場合には、上記事情により、カーボン粒子の有無によらず、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することが困難であった。
本発明者等は、モールドフラックスを構成する基材粒子の平均粒径と、モールドフラックスを構成する炭化物粒子の平均粒径との比に着目したところ、基材粒子や炭化物粒子の粒径が大きい場合であっても、カーボン粒子を用いずに、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整できることが分かり、本発明を完成するに至った。そして、本発明の目的は、鋳片に浸炭が発生することを防止するとともに、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することができる連続鋳造用モールドフラックスを提供することにある。
本発明は、カーボン粒子を含有していない連続鋳造用モールドフラックスであって、基材粒子及び炭化物粒子を有する。炭化物粒子は、Si、B、Al、Ti、Zr及びVの群から選択される少なくとも1種の炭化物で形成された粒子であり、平均粒径が20μm以上である。そして、基材粒子の平均粒径に対する炭化物粒子の平均粒径の比(平均粒径比)は、0.100以下である。
炭化物粒子の含有量は、100質量%の基材粒子に対して0.1~10質量%とすることができる。
また、炭化物粒子の平均粒径は、50μm以上とすることができる。
さらに、本発明は、カーボン粒子を含有していない連続鋳造用モールドフラックスであって、基材粒子及び炭化物粒子を有する。基材粒子は、平均粒径が200μm以上である。炭化物粒子は、Si、B、Al、Ti、Zr及びVの群から選択される少なくとも1種の炭化物で形成された粒子である。そして、基材粒子の平均粒径に対する炭化物粒子の平均粒径の比(平均粒径比)は、0.100以下である。
本発明によれば、連続鋳造用モールドフラックスにカーボン粒子が含有されていないため、カーボン粒子によって鋳片に浸炭が発生することを防止できる。また、平均粒径比を所定の範囲とすることにより、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することができる。
本実施形態のモールドフラックスにおいて、基材粒子及び炭化物粒子の分散状態を示す図である。 本実施形態のモールドフラックスにおいて、一部の基材粒子が溶融した状態を示す図である。 鋳型内において、溶鋼、凝固シェル、溶融層及び粉体層の状態を示す図である。
本実施形態は、連続鋳造において、鋳型内の溶鋼に添加されるモールドフラックスであり、図1に示すように、基材粒子及び炭化物粒子を混合したものである。基材粒子は、図2に示すように他の基材粒子との接触部分から溶融を開始するが、図1に示すように基材粒子の周囲を取り囲むように炭化物粒子を分散させることにより、基材粒子同士の接触を抑制して基材粒子の溶融を遅延させることができる。すなわち、炭化物粒子は、基材粒子の溶融速度を調整する溶融速度調整材として用いられる。
本実施形態のモールドフラックスは、カーボン粒子を含有していない。一般的には、溶融速度調整材としてカーボン粒子が用いられることがあるが、このカーボン粒子は、鋳片の浸炭を発生させる要因となるため、本実施形態のモールドフラックスでは用いていない。したがって、本実施形態のモールドフラックスを用いれば、鋳造された鋳片に浸炭が発生することを防止できる。
モールドフラックスにカーボン粒子が含まれているとき、鋳片に浸炭が発生する現象は、溶鋼の湯面変動が大きくなる高速鋳造において、特に顕在化しやすくなる。すなわち、溶鋼の湯面変動が大きいほど、モールドフラックスに含まれる未燃のカーボン粒子が凝固シェルや溶鋼に接触しやすくなり、鋳片に浸炭が発生しやすくなる。本実施形態では、モールドフラックスにカーボン粒子が含まれていないため、高速鋳造を行っても浸炭が発生することは無い。なお、本実施形態における鋳造速度は特に限定するものではないが、例えば、5m/min以下、3.5m/min以下又は2m/min以下とすることができる。
基材粒子としては、公知の成分組成を有する粒子を用いることができる。例えば、基材粒子の主成分としては、CaO、SiO、Al、NaOなどの酸化物が挙げられ、CaFなどのフッ化物を含んでいてもよい。各成分の質量%は適宜決めることができる。炭化物粒子は、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)及びバナジウム(V)の群から選択される少なくとも1種の炭化物で形成された粒子である。
本実施形態の一態様において、基材粒子の平均粒径Rは200μm以上である。基材粒子の平均粒径Rの上限は特に限定しないが、例えば500μmである。この場合において、炭化物粒子の平均粒径rは、後述する平均粒径比r/Rの範囲(0.100[-]以下)を満たすように特定される。
本実施形態の一態様において、炭化物粒子の平均粒径rは20μm以上である。また、炭化物粒子の平均粒径rを50μm以上とすることができる。炭化物粒子の平均粒径rの上限は特に限定されない。この場合において、基材粒子の平均粒径Rは、後述する平均粒径比r/Rの範囲(0.100[-]以下)を満たすように特定される。
炭化物粒子の平均粒径rは、基材粒子の平均粒径Rよりも小さく、平均粒径Rに対する平均粒径rの比(以下、平均粒径比r/Rという)は、0.100[-]以下である。平均粒径比r/Rを0.100以下とすることにより、後述するように、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することができる。
上述した平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した対象粒子(基材粒子又は炭化物粒子)の粒度分布において、頻度の累積が50%であるときの粒子径(すなわち、粒子径の中央値)である。ここで、炭化物粒子の平均粒径r、基材粒子の平均粒径Rは、それぞれ直径を意味している。平均粒径Rを測定するときには、炭化物粒子と混合する前の基材粒子を用いればよい。また、平均粒径rを測定するときには、基材粒子と混合する前の炭化物粒子を用いればよい。
モールドフラックスの溶融速度は適正範囲内とすることが好ましいが、この溶融速度は、平均粒径比r/Rに依存することが分かった。この点について、以下に説明する。
まず、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内とすることの意義について、図3を用いながら説明する。図3は、鋳型内において、溶鋼、凝固シェル、溶融層及び粉体層の状態を示す。図3において、鋳型にはタンディッシュ(不図示)からの溶鋼が供給されており、鋳型による溶鋼の冷却によって凝固シェルが形成される。溶鋼の上面にモールドフラックスが添加されることにより、溶鋼の上面には、モールドフラックスの溶融によって形成された層(以下、溶融層という)と、溶融していないモールドフラックスの層(以下、粉体層という)とが存在する。ここで、溶融層は溶鋼に接触しており、溶融層の上方に粉体層がある。
モールドフラックスの溶融速度が高すぎると、モールドフラックスの粉体状態から溶融状態への変化が進行しすぎて粉体層が消失しやすくなり、粉体層による溶鋼の保温性が低下してしまう。一方、モールドフラックスの溶融速度が低すぎると、溶融層が薄くなることにより、溶融したモールドフラックスが鋳型及び凝固シェルの間に流入しにくくなり、鋳型及び凝固シェルの間の潤滑性が低下してしまう。これらの点を考慮すると、モールドフラックスの溶融速度は適正範囲内に調整する必要がある。
次に、平均粒径比r/Rがモールドフラックスの溶融速度に与える影響について、以下に説明する。
基材粒子の単位質量あたりの粒子数Nb1は、下記式(1)で表される。
上記式(1)において、Nb1は、基材粒子の単位質量あたりの粒子数[個/g]であり、ρは、基材粒子の平均密度[g/μm]であり、Rは、基材粒子の平均粒径[μm]である。ここで、1個の基材粒子の表面積を4π(R/2)(Rは基材粒子の平均粒径)とすると、基材粒子の単位質量あたりの表面積Sb1は、下記式(2)で表される。
上記式(2)において、Sb1は、基材粒子の単位質量あたりの表面積[μm]である。ρ及びRは、上記式(1)と同じである。
図1に示すように、炭化物粒子は基材粒子の表面上に存在するが、1個の炭化物粒子が基材粒子の表面を被覆するときの面積(炭化物粒子の投影面積)はπ(r/2)(rは炭化物粒子の平均粒径)とみなすことができる。100質量%の基材粒子に対して、密度ρの炭化物粒子をX質量%だけ添加したとき、炭化物粒子の単位質量あたりの粒子数Nb2は下記式(3)で表され、炭化物粒子が基材粒子の表面を被覆するときの面積は、下記式(4)で表される。
上記式(3)において、Nb2は炭化物粒子の単位質量あたりの粒子数[個]である。上記式(4)において、Sb2は基材粒子を覆う炭化物粒子の面積[μm]である。上記式(3),(4)において、ρは炭化物粒子の密度[g/μm]であり、rは炭化物粒子の平均粒径[μm]である。
上記式(2),(4)によれば、炭化物粒子の含有量がX質量%であるとき、基材粒子の表面が炭化物粒子によって被覆される割合RS[%]は、下記式(5)で表される。
上記式(5)について、基材粒子及び炭化物粒子は実際には粒度分布を有するため、割合RSは実測値としての割合RSと完全に一致しないが、上記式(5)によれば、基材粒子を被覆する炭化物粒子が基材粒子の溶融速度を遅延させる効果を大まかに把握することができる。上記式(5)によれば、平均粒径比r/Rが小さいほど、割合RSが高くなり、炭化物粒子によって基材粒子の溶融速度を遅延させる効果が高くなることが分かる。
上述した理由によれば、平均粒径比r/Rを調整することにより、モールドフラックスの溶融速度を調整できることが分かる。具体的には、上述したように、平均粒径比r/Rを0.100以下とすることにより、モールドフラックスにカーボン粒子を添加しなくても、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することができる。
また、平均粒径比r/Rが小さい方が、炭化物粒子が基材粒子の周囲を取り囲み易くなるため、平均粒径比r/Rは、0.050以下が好ましく、0.025以下がさらに好ましい。
平均粒径比r/Rの下限値は特に限定されない。但し、基材粒子の平均粒径Rおよび炭化物粒子の平均粒径rについて、それぞれ市場で入手可能な範囲内で、前記の平均粒径比r/Rの下限値を設定することが好ましい。
ここで、炭化物粒子の平均粒径rが20μm以上であっても、平均粒径比r/Rが0.100以下になるように基材粒子の平均粒径Rを調整すれば、炭化物粒子によって基材粒子の周囲を被覆することが可能であり、ひいてはモールドフラックスの溶融速度を調整することが可能である。特に、炭化物粒子の平均粒径rが50μm以上である場合、平均粒径比r/Rが上記範囲(0.100以下)を満たさない場合には溶融速度の調整が困難であるため、本実施形態は、特に炭化物粒子の平均粒径rが50μm以上である場合に有効である。
例えば、特許文献3のように、カーボン粒子を含有せず、炭化物粒子を1.0~10質量%含有するモールドフラックスを用いたとしても、基材粒子の平均粒径R及び炭化物粒子の平均粒径rの関係によってはモールドフラックスの溶融速度を適切な範囲に調整することができず、溶融層が肥大化してしまう場合がある。例えば、特許文献3に記載の実験1では、基材粒子の体積平均粒径(本実施形態の平均粒径Rに相当する)が46.6μmであり、炭化ケイ素粒子の体積平均粒径(本実施形態の平均粒径rに相当する)が10.2μmである。この場合の平均粒径比r/Rは0.22[-]であり、本発明で規定する平均粒径比r/Rの範囲(0.100以下)を逸脱しており、溶融速度を遅延させる効果には改善の余地がある。
従来、モールドフラックスの製造において、平均粒径比r/Rは着目されておらず、基材粒子の粒径に着目したり、基材粒子の粒径を設計変更したり、ということはされてこなかった。本発明は、平均粒径比r/Rに着目し、平均粒径比r/Rが所定範囲内であれば所望の溶融速度調整効果が得られるとして、新規なモールドフラックスの設計方法を提供するものでもある。
モールドフラックスにおける炭化物粒子の含有量は、100質量%の基材粒子に対して0.1~10質量%とすることが好ましい。炭化物粒子の含有量(外数)が10質量%よりも高い場合には、基材粒子に対して炭化物粒子が占める量が多くなり、モールドフラックスが溶融した後の成分が変化して、モールドフラックスの性能を担保しづらくなる場合がある。
一方、炭化物粒子の含有量(外数)が0.1質量%よりも低い場合には、基材粒子の周囲を取り囲む炭化物粒子が少ないため、基材粒子同士の接触を抑制して基材粒子の溶融を遅延させにくくなる。
なお、炭化物粒子のコストを下げる上では、炭化物粒子の含有量は、上述した数値範囲(0.1~10質量%)内において、少ないほうが好ましい。
CaO(35質量%)、SiO(30質量%)、Al(7.5質量%)、NaO(5質量%)、F(5質量%)を主成分とする基材粒子を用意した。この基材粒子は、後述する実施例1~7及び比較例1~4において共通である。
基材粒子及び炭化物粒子を混合することにより、実施例1~7であるモールドフラックスを作製した。実施例1~7のモールドフラックスは、カーボンブラック粒子を含有していない。また、実施例1~7において、溶融後のモールドフラックスの凝固点は1000℃であり、1300℃でのモールドフラックスの粘度は1.5pоiseであった。
実施例1では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが5μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は0.5質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.025であった。
実施例2では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが5μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は5質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.025であった。
実施例3では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが5μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は10質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.025であった。
実施例4では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが5μmである炭化物粒子(TiC)を用いた。炭化物粒子(TiC)の含有量は5質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.025であった。
実施例5では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが20μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は5質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.100であった。
実施例6では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが20μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は10質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.100であった。
実施例7では、平均粒径Rが500μmである基材粒子と、平均粒径rが50μmである炭化物粒子(SiC)を用いた。炭化物粒子(SiC)の含有量は5質量%(外数)とした。ここで、平均粒径比r/Rは0.100であった。
一方、比較例1では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、カーボンブラック粒子を混合することにより、モールドフラックスを作製した。比較例1のモールドフラックスは炭化物粒子を含有しておらず、カーボンブラック粒子の含有量は3質量%(外数)とした。比較例1では、炭化物粒子を用いていないため、平均粒径比r/Rを求めていない。
比較例2では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、カーボンブラック粒子と、平均粒径rが100μmである炭化物粒子(SiC)を混合することにより、モールドフラックスを作製した。ここで、カーボンブラック粒子の含有量は3質量%(外数)とし、炭化物粒子(SiC)の含有量は5質量%(外数)とした。また、平均粒径比r/Rは0.500であった。
比較例3では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが50μmである炭化物粒子(SiC)を混合することにより、モールドフラックスを作製した。比較例3の平均粒径比r/Rは0.250であった。
比較例4では、平均粒径Rが200μmである基材粒子と、平均粒径rが100μmである炭化物粒子(SiC)を混合することにより、モールドフラックスを作製した。比較例4の平均粒径比r/Rは0.500であった。比較例3,4のモールドフラックスはカーボンブラック粒子を添加していなく、炭化物粒子(SiC)の含有量は10質量%(外数)とした。
実施例1~7及び比較例1~4のそれぞれのモールドフラックスを用いて鋳造実験を行うことにより、各モールドフラックスの浸炭性と溶融層の厚みの肥大化を評価した。ここで、モールドフラックスが過剰に溶融してしまうと、溶融層の厚みが肥大化することになる。
浸炭性の評価では、まず、転炉での精錬、還流式真空脱ガス装置での処理及び合金添加により、低炭アルミキルド鋼(平均炭素濃度0.02質量%)を溶製し、幅が1200mmであって、厚みが150mmであるスラブに鋳造した。浸炭性の評価を行いやすくするために、浸炭しやすい条件で鋳造を行った。具体的には、オシレーションストロークを通常よりも大きい15mmとした。また、鋳造速度は3.5m/minとし、オシレーションサイクルは300回/分とした。
鋳造した鋳片について、浸炭が最も発生しやすくなるオシレーションマーク(谷部)の炭素濃度を測定し、この炭素濃度に基づいて浸炭の有無を評価した。具体的には、鋳片の表層(表面から2mm以内の部分)から切粉を生成し、この切粉を燃焼させたときに発生するCOガス及びCOガスの質量(すなわち、炭素濃度)を炭素・硫黄分析装置によって測定した。測定した炭素濃度が閾値(0.05質量%)よりも低いときには浸炭が発生していないと評価し、炭素濃度が閾値(0.05質量%)以上であるときには浸炭が発生していると評価した。
一方、溶融層厚みの肥大化については、目視によって粉体層(図3参照)が消失したか否かによって評価した。すなわち、粉体層が消失したときには、溶融層厚みの肥大化が発生したと評価し、粉体層が消失していないときには、溶融層厚みの肥大化が発生していないと評価した。
下記表1には、上述した実施例1~7及び比較例1~4の内容と、鋳片の浸炭性及び溶融層厚みの肥大化の評価結果を示す。
実施例1~7のモールドフラックスについては、溶融層厚みの肥大化が発生していなかったため、溶融速度の調整に問題が無く、溶融速度が適正範囲内であることを確認した。また、実施例1~7のモールドフラックスは、カーボンブラック粒子を含有していないため、鋳片には浸炭が発生しなかった。
比較例1のモールドフラックスについては、溶融層厚みの肥大化が発生していなかったため、溶融速度が適正範囲内であることを確認したが、カーボンブラック粒子が含有しているために、鋳片に浸炭が発生した。比較例2のモールドフラックスについても、溶融層厚みの肥大化が発生していなかったため、溶融速度が適正範囲内であることを確認したが、カーボンブラック粒子が含有しているために、鋳片に浸炭が発生した。
比較例3,4のモールドフラックスはカーボンブラック粒子を含有していないため、鋳片には浸炭が発生しなかった。しかし、比較例3,4のモールドフラックスについては、溶融層厚みの肥大化が発生したため、溶融速度を適正範囲内に維持できていないことを確認した。
上記表1によれば、カーボンブラック粒子を含有しなくても、平均粒径比r/Rを0.100以下とすることにより、モールドフラックスの溶融速度を適正範囲内に調整することができた。また、カーボンブラック粒子を含有していないため、鋳片に浸炭が発生することを防止できた。
なお、本実施例では、炭化物粒子としてSiC又はTiCを用いているが、B、Al、Zr又はVの炭化物で形成された粒子であっても、本実施例と同様の効果が得られることは自明である。すなわち、従来、炭化物粒子としては、Si又はTiの炭化物だけでなく、B、Al、Zr又はVの炭化物も用いられており、本発明の特徴は、上述したように平均粒径比r/Rを所定範囲内(0.100以下)としたことにある。この点を考慮すれば、B、Al、Zr又はVの炭化物で形成された粒子を用いても、本実施例と同様の効果が得られることは自明である。

Claims (4)

  1. カーボン粒子を含有していない連続鋳造用モールドフラックスであって、
    基材粒子と、
    Si、B、Al、Ti、Zr及びVの群から選択される少なくとも1種の炭化物で形成された炭化物粒子と、を有し、
    前記炭化物粒子の平均粒径は20μm以上であり、
    前記基材粒子の平均粒径に対する前記炭化物粒子の平均粒径の比が0.100以下である、
    ことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  2. 前記炭化物粒子の含有量は、100質量%の前記基材粒子に対して0.1~10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用モールドフラックス。
  3. 前記炭化物粒子の平均粒径が50μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造用モールドフラックス。
  4. カーボン粒子を含有していない連続鋳造用モールドフラックスであって、
    基材粒子と、
    Si、B、Al、Ti、Zr及びVの群から選択される少なくとも1種の炭化物で形成された炭化物粒子と、を有し、
    前記基材粒子の平均粒径は200μm以上であり、
    前記基材粒子の平均粒径に対する前記炭化物粒子の平均粒径の比が0.100以下である、
    ことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
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