JP7439481B2 - 化粧シート及び化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
本開示は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高い耐傷性を有する化粧シートを得ることにある。
以下、図面を参照して本開示の各実施形態の各態様について説明する。
(1.1)化粧シートの基本構成
図1は、本開示の実施形態に係る化粧シート1の一構成例を説明するための断面図である。図1に示すように、化粧シート1は、プライマー層11と、原反層12と、トップコート層14と、を備えている。化粧シート1は、プライマー層11、原反層12、着色層13及びトップコート層14がこの順に積層されて構成されている。
以下、プライマー層11、原反層12、着色層13及びトップコート層14の各層について詳細に説明する。
原反層12は、基材層12Aと、基材層12Aの少なくとも一方の面に設けられたスキン層12Bとを有している。原反層12は、基材層12Aの上面(後述する着色層13側の面)もしくは基材層12Aの両面にスキン層12Bが設けられた構成である。本実施形態では、基材層12Aの両面にスキン層12Bが設けられた構成の原反層12について説明する。
基材層12Aは、基材層12Aは、樹脂材料に着色のための無機顔料を混合して形成された層である。基材層12Aは、例えば、ポリプロピレン樹脂に白色顔料が混合された白色ポリプロピレンフィルムである。
基材層12Aの厚さは、例えば40μm以上200μm以下であることが好ましく、120μm以上160μm以下であることがより好ましい。基材層12Aの厚さが40μm以上である場合、化粧シートとして要求される隠蔽性を十分に発揮することができるとともに、基材としての強度を十分に有し、耐傷性の悪化を抑制することができる。一方、基材層12Aの厚さが200μm以下である場合、曲げ加工時において白化や割れといった不具合が生じることを抑制することができる。
基材層12Aを構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材層等として用いられていた熱可塑性樹脂と同様の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
基材層12Aは、着色剤を含むことが好ましい。着色剤としては、隠蔽性を付与するための白色顔料である酸化チタンに代表される公知の無機顔料を用いることが好ましい。隠蔽性が低い場合、化粧シート1の貼り付け面の模様が透過するため好ましくない。無機顔料を含有することにより、隠蔽性が良好な化粧シート1を得ることができる。
スキン層12Bは、樹脂材料と樹脂材料の結晶化度を向上させる造核剤とを含む層であり、表面に凹凸形状を有している。本実施形態では、造核剤は、外膜で包含されてベシクル化された造核剤ベシクルの状態で樹脂材料に添加されている。
スキン層12Bの厚さは、例えば1μm以上50μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。スキン層12Bの厚さが1μm以上である場合、化粧シート1の耐傷性が十分に高くなる。また、スキン層12Bの厚さが50μm以下である場合、化粧シート1の曲げ性が必要以上に高くなりすぎず、化粧シート1を貼り付ける貼り付け面が平面でない場合にも化粧シート1を貼り付け面に密着させた状態で施工することができる。
スキン層12Bを構成する樹脂材料としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、基材層12Aと同様の樹脂材料を用いることができる。
スキン層12Bはナノサイズの造核剤を含んでいる。ナノサイズの造核剤は、単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された、造核剤ベシクルの形でポリプロピレン樹脂に添加されて使用されることが好ましい。また、本実施形態において、スキン層12Bを構成する樹脂中の造核剤は、当該造核剤の一部を露出させた状態で、ベシクルに内包されていてもよい。スキン層12Bは造核剤を含むため結晶化度を向上でき、化粧シート1の耐擦傷性(耐傷性)を向上することができる。
ナノサイズの造核剤は、平均粒径が可視光の波長領域の1/2以下であることが好ましく、具体的には、可視光の波長領域が400nm以上750nm以下であるので、平均粒径が375nm以下であることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、スキン層12Bを構成する樹脂材料の50質量%以上を占める樹脂材料を示すものとする。
なお、造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法などによって調製される。造核剤ベシクルは、その中でも特に超臨界逆相蒸発法を用いて調整されることが好ましい。
本明細書では、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成される造核剤ベシクルを、造核剤リポソームと称する。
外膜を構成するリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
造核剤としては、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定するものではない。造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルク等が挙げられる。特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
着色層13は、例えばマトリックスと、染料又は顔料等の着色剤とを含む層である。着色層13は、例えば、マトリックスと、染料、顔料等の着色剤とを溶剤中に溶解、分散した印刷インキやコーティング剤を用いることができる。
着色層13の厚さは、3μm以上20μm以下の範囲内であることが好ましい。着色層13の厚さがこの数値範囲内である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
マトリックスとしては、例えば、油性の硝化綿樹脂、2液ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はこれらの混合物、共重合体等を用いることができる。
着色層13を構成する着色剤としての無機顔料は、特に限定されないが、例えば天然無機顔料、合成無機顔料が挙げられる。天然無機顔料としては、例えば、土系顔料、焼成土、鉱物性顔料などが挙げられる。合成無機顔料としては、例えば、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料、炭素顔料などが挙げられる。また、天然無機顔料、合成無機顔料の中から、1種類もしくは2種類以上を混合した混合顔料を用いてもよい。より具体的に、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、黄鉛、紺青、カドミウムレッド等を用いることができる。
また、着色層13を構成する着色剤として、有機顔料を用いても良い。有機顔料としては、カーボンブラック、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、又はこれらの混合物を用いることができる。無機顔料及び有機顔料は、併用しても構わない。
更に、分散性の向上や、押出適正を改善するために脂肪酸金属塩などの添加剤を加えても構わない。
ここで、着色層13は、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法によって形成することができる。これらの印刷方法は、形成する層によって別々に選択してもよいが、同じ方法を選択して一括加工することが効率的である。
トップコート層14は、樹脂材料により構成される。トップコート層14を構成する樹脂材料の主成分となる材料は、例えば、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などの樹脂材料から適宜選択して用いられる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。樹脂材料の硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法、熱硬化法、光硬化型など適宜選択して行うことができる。
プライマー層11としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、これらの混合物等を使用することができる。更に、ポリオールとイソシアネートによる2液タイプにすることで、着色層13とプライマー層11との密着性及びプライマー層11自体の凝集力が向上する。ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。また、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂肪族系が挙げられる。プライマー層11は、反応性の早さ、耐熱性の点で芳香族系のポリオールを用いることが好ましい。
なお、化粧シート1を施工する面の凹凸が大きい場合には、予めパテによる目止め等を行い、必要時応じてプライマー塗布を行うのが良い。
化粧シート1の一製造例について説明する。
ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料に必要に応じて無機顔料等を添加して溶融混錬し、基材層12Aとなる無機顔料等を含む基材層用樹脂材料を得る。次に、ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料に造核剤ベシクルを混合してスキン層12B用の造核剤ベシクル含有樹脂材料を得る。続いて、加熱溶融した基材層12A用の樹脂材料及びスキン層12B用の造核剤ベシクル含有樹脂材料を、例えば基材層用樹脂材料/造核剤ベシクル含有樹脂材料/基材層用樹脂材料の順に積層されるように押出機から同時に押し出し、冷却ロールで冷却して積層フィルムを形成した。このとき、少なくとも一方の冷却ロールとして表面に所定の凹凸形状を有する冷却ロールを用いる。これにより、スキン層12B/基材層12A/スキン層12Bが積層され、少なくとも一方のスキン層12B表面に所定の凹凸形状が転写された原反層12を得る。
以上により、プライマー層11、原反層12、着色層13及びトップコート層14がこの順に積層され、原反層12の少なくとも一方に設けられたスキン層12Bの表面に凹凸形状が形成された第一実施形態の化粧シートを得ることができる。
以上のような化粧シート1は、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の化粧シート1は、原反層12のスキン層12Bが樹脂材料とナノサイズの造核剤とを含み、結晶性樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が小さく高結晶化されており、かつスキン層12Bの表面が所定の凹凸形状とされている。
この構成によれば、化粧シート1に生じる傷を抑制し、柔らかく心地よい手触りの化粧シート1を得ることができる。
この構成によれば、スキン層12Bを構成する樹脂材料の結晶化度が十分に向上し、耐傷性が十分に高い化粧シート1を得ることができる。
この構成によれば、スキン層12Bを構成する樹脂材料の結晶化度が十分に向上し、耐傷性がさらに高い化粧シート1を得ることができる。
(4)本実施形態の化粧シート1は、造核剤ベシクルが、リン脂質からなる外膜を備える造核剤リポソームであることが好ましい。
この構成によれば、スキン層12Bの主成分である樹脂材料とベシクルとの相溶性を良好なものとすることができる。
この構成によれば、化粧シート1の耐傷性及び手触りをより向上させることができる。
(6)本実施形態の化粧シート1は、光沢度が10以下となるように調整されることが好ましい。
この構成によれば、化粧シート1の意匠性を向上させることができる。
以下、本開示の第二実施形態に係る化粧シートについて、図2を用いて説明する。
図2は、本開示の第二実施形態に係る化粧シート2の一構成例を説明するための断面図である。本実施形態に係る化粧シート2は、化粧シート1と同様に、例えば、壁面、建具、家具等に施工される化粧シートであり、特に、ドア枠、窓枠、巾木、見切り、廻り縁の予め建物に組み込まれる造作材に用いることが好ましい化粧シートである。
<原反層>
原反層22は、基材層22Aと、基材層22Aの少なくとも一方の面に設けられたスキン層22Bとを有している。原反層22は、基材層22Aの上面(後述する着色層13側の面)もしくは基材層22Aの両面にスキン層22Bが設けられた構成である。本実施形態では、基材層22Aの両面にスキン層22Bが設けられた構成の原反層22について説明する。
基材層22Aは、第一実施形態に係る基材層12Aと同様の構成であるため説明を省略する。
スキン層22Bは、樹脂材料と無機材料とを含む層である。第一実施形態にかかる化粧シート1では、造核剤を含む樹脂材料によって高い結晶性を有する高耐傷性樹脂シートを形成してスキン層12Bとした。一方、第二実施形態にかかる化粧シート2では、造核剤に代えて、硬度の高い無機粒子を含む樹脂材料によって高い硬度を有するスキン層22Bとすることで高耐傷性を有する化粧シート2を得る。
スキン層22Bは、例えば、樹脂材料100質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で無機粒子が添加された樹脂材料により形成される。
造核剤に代えて無機粒子を用いる場合であっても、スキン層22Bが凹凸形状を有することにより化粧シート2自体の表面は平坦でありながら耐傷性が高く、かつ柔らかく心地よい手触りの化粧シート2を得ることができる。
以上のような化粧シート2は、第一実施形態の効果(5)、(6)に加えて以下の効果を有する。
(7)本実施形態の化粧シート2は、樹脂材料と無機粒子とを含み、高硬度化された原反層22を有している。
この構成によれば、化粧シート1に生じる傷を抑制し、柔らかく心地よい手触りの化粧シート1を得ることができる。
実施例では、以下の各実施例及び各比較例で説明する構成の化粧シートを作製し、床材上に貼り合せて化粧シートの評価を行った。
単色の化粧シートを以下の手順で作成した。
ポリプロピレン樹脂に白顔料と耐候剤を混合して溶融混錬し、白顔料を30質量%、耐候剤を1質量%含有する白色ポリプロピレン樹脂を得た。次に、透明ポリプロピレン樹脂に造核剤ベシクルを混合し、造核剤ベシクルを0.1質量%含有する造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂を得た。続いて、加熱溶融した白色ポリプロピレン樹脂及び造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂を、造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂/白色ポリプロピレン樹脂/造核剤ベシクル含有ポリプロピレン樹脂の順に積層されるように押出機から同時に押し出し、冷却ロールで冷却して積層フィルムを形成した。このとき、白色ポリプロピレン樹脂の一方の側の冷却ロールとして表面に凹凸形状を有する冷却ロールを用い、他方の側の冷却ロールとして表面が平滑な冷却ロールを用いた。これにより、白色の基材層と、基材層の両面に設けられた透明なスキン層を有し、スキン層の一方の面に凹凸形状が形成された層厚140μmの着色原反層を得た。
以上により、プライマー層、着色原反層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例1の化粧シートを得た。
実施例1と同様の方法により着色原反層を作製した。このとき、一方の冷却ロール表面の凹凸形状は、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが2.551μm、十点平均粗さRzが17.147μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが117.1μmとなる凹凸が転写できる形状とした。
以上により、プライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例2の化粧シートを得た。
スキン層を形成する際に、白顔料に代えて酸化チタンと酸化鉄を混合しベージュ色とした着色顔料を添加した着色ポリプロピレン樹脂を用いて着色原反層を形成した。このとき、一方の冷却ロール表面の凹凸形状は、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが2.979μm、十点平均粗さRzが19.519μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが128.2μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にして着色原反層、着色層及びトップコート層を形成した。
以上により、プライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例3の化粧シートを得た。
一方の冷却ロール表面の凹凸形状を、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが4.209μm、十点平均粗さRzが22.605μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが199.4μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にしてプライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例4の化粧シートを得た。
一方の冷却ロール表面の凹凸形状を、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが3.300μm、十点平均粗さRzが24.674μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが149.0μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にしてプライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例5の化粧シートを得た。
一方の冷却ロール表面の凹凸形状を、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが2.586μm、十点平均粗さRzが23.495μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが131.0μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にしてプライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例6の化粧シートを得た。
一方の冷却ロール表面の凹凸形状を、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが2.997μm、十点平均粗さRzが25.461μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが141.7μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にしてプライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された実施例7の化粧シートを得た。
基材層を形成する材料として造核剤ベシクルを含まないポリプロピレン樹脂を用いて着色原反層を形成した。このとき、一方の冷却ロール表面の凹凸形状は、完成した化粧シートのトップコート層形成面の算術平均粗さRaが5.569μm、十点平均粗さRzが37.152μm、凹凸の局部山頂の平均間隔Sが233.9μmとなる凹凸が転写できる形状とした。これ以外は実施例2と同様にして着色原反層、着色層及びトップコート層を形成した。
以上により、プライマー層、着色原反層、着色層及びトップコート層がこの順に積層され、着色原反層のトップコート層側の表面に凹凸が形成された比較例1の化粧シートを得た。
(スクラッチ試験)
実施例1から実施例7及び比較例1の各化粧シートのそれぞれに対して、コインスクラッチ試験を行い、化粧シートの表面(原反層又はトップコート層)に連続的な傷跡が生じなかった際の荷重を測定した。なお、スクラッチ試験では、10円硬貨を化粧シート表面に当てて、荷重1Kgから試験を開始し、1Kgずつ徐々に荷重を増加し、4kgまで試験を行った。
実施例1から実施例7及び比較例1の各化粧シートのそれぞれに対して、JIS K5600-5-4:1999に規定する引っかき硬度(鉛筆法)試験により、化粧シートの表面(原反層又はトップコート層)に傷跡を生じなかった最も固い鉛筆の硬度(鉛筆硬度)を測定した。なお、引っかき硬度試験は、JIS K5600-5-4:1999に記載の機器を用いて行った。
実施例1から実施例7及び比較例1の各化粧シートのそれぞれの表面の触感を試験員が手で触れることにより確認し、心地よい手触り感が得られるかを確認した。試験員は、軽く化粧シート表面を触った際に、表面がサラサラしておりベタツキや引っかかり感を感じない場合を「心地よい手触り感」の評価基準として触感を判断した。
なお、触感の評価は10人の試験員により行い、心地よい手触りであると回答した試験員が8人以上の場合を「A」、心地よい手触りであると回答した試験員が6人以上の場合を「B」、心地よい手触りであると回答した試験員が5人未満の場合をそれ以外を「C」として評価した。
実施例1から実施例7及び比較例1の各化粧シートのそれぞれの表面の意匠感を試験員が目視で確認し、表面にフラットな意匠感があるかを確認した。なお、意匠感の評価は、10人の試験員により行い、表面にフラットな意匠感があると回答した人数により評価した。すなわち、本評価では、実施例1から実施例7及び比較例1の化粧シートが目視で凹凸形状を感じにくい意匠感の化粧シートであるかを評価した。意匠感の評価では、表面フラットの意匠感があると回答した人数が多い程好ましいと判断した。
11 プライマー層
12,22 原反層
12A,22A 基材層
12B,22B スキン層
13 着色層
14 トップコート層
Claims (13)
- 樹脂材料を含む基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面上に設けられ、樹脂材料と造核剤又は無機粒子とを含むスキン層と、を有する原反層と、
前記原反層の一方の面に形成された前記スキン層上に設けられたトップコート層と、
を備え、
前記基材層と前記トップコート層との間に設けられた前記スキン層の前記トップコート層側の面の表面粗さが、前記スキン層の前記基材層側の面の表面粗さよりも粗くなっている化粧シート。 - 前記基材層の厚さは、60μm以上200μm以下である
請求項1に記載の化粧シート。 - 前記スキン層の厚さは、1μm以上50μm以下である
請求項1又は2に記載の化粧シート。 - 前記スキン層は、前記樹脂材料100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で前記造核剤が添加された樹脂材料により形成される
請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記スキン層は、前記無機粒子として、ナノサイズのシリカ、ガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムの少なくとも一種を含む
請求項1に記載の化粧シート。 - 前記スキン層は、前記樹脂材料100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内で前記無機粒子が添加された樹脂材料により形成される
請求項5に記載の化粧シート。 - 前記トップコート層の表面の算術平均粗さRaは、2.0μm以上4.5μm以下である
請求項1から6の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - 前記化粧シートの表面の十点平均粗さRzは、12μm以上30μm以下である
請求項1から7の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - 前記化粧シートの表面の局部山頂の平均間隔Sは、90μm以上200μm以下である
請求項1から8の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - 光沢度が10以下である
請求項1から9の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - スクラッチ試験における連続的な傷跡が生じる荷重が4.0Kg以上である
請求項1から10の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - JIS K5600-5-4:1999に規定する引っかき硬度(鉛筆法)試験における鉛筆硬度が3B以上である
請求項1から11の少なくとも1項に記載の化粧シート。 - 請求項1から12のいずれか1項に記載した化粧シートの製造方法であって、
ベシクルに造核剤を内包させて、当該造核剤をベシクル化してなる造核剤ベシクルを生成する工程と、
第一樹脂材料を用いて形成された基材層の少なくとも一方の面に、前記造核剤ベシクルを含む第二樹脂材料を塗布し、前記基材層と反対側の面の表面粗さが、前記スキン層の前記基材層側の面の表面粗さよりも粗くなるようにして硬化させることにより、前記基材層の少なくとも一方の面にスキン層が設けられた原反層を形成する工程と、
前記原反層の一方の面に形成された前記スキン層上に第三樹脂材料を塗布及び硬化することにより、トップコート層を形成する工程と、
を備え、
前記原反層を形成する工程において、前記トップコート層側となる面に設けられた前記スキン層の表面に凹凸形状を設ける
化粧シートの製造方法。
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