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JP7424517B1 - ポリプロピレンフィルム、それを用いた金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents

ポリプロピレンフィルム、それを用いた金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ Download PDF

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Abstract

本発明は、高温環境での耐電圧特性や信頼性に優れ、高温度・高電圧下で用いられるコンデンサ用途等に好適なポリプロピレンフィルムを提供することを、その課題とする。
23℃で測定した主配向方向の強度をF(A23)、23℃で測定した主配向直交方向の強度をF(B23)としたときに、F(A23)+F(B23)が120MPa以上1000MPa以下であり、150℃で測定した主配向方向の収縮率が-2.0%以上3.0%以下であり、かつ環状オレフィン系樹脂を含む、ポリプロピレンフィルム。

Description

本発明は、特にフィルムコンデンサ用途に適して用いられるポリプロピレンフィルムに関する。
近年、各種電気設備の大半がインバーター化され、それに伴いフィルムコンデンサの小型化、大容量化の要求が一層強まってきている。特に自動車(電気自動車、ハイブリッドカー用途含む。)等の交通機関、太陽光発電、及び風力発電等の用途では、当該要求を受けてフィルムコンデンサ用フィルムに対し、耐電圧性向上や、生産性及びコンデンサ素子作製における加工適性の維持に加え、一層の薄膜化や耐熱性向上が求められている。
ポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用の誘電体としては耐熱性や絶縁破壊電圧に優れているとされている。一方で、前記の分野への適用に際しては、フィルムが使用環境温度での優れた寸法安定性と、使用環境温度より10~20℃高い領域での安定した電気的性能(耐電圧性など)を発揮することが重要である。耐熱性の観点では、将来的に、シリコンカーバイト(SiC)を用いたパワー半導体用途を考えた場合、使用環境温度がより高温になるといわれている。
このような背景から、フィルムコンデンサには耐熱性や耐電圧性のさらなる向上が求められており、フィルムコンデンサ用フィルムには110℃を超えた高温環境下での絶縁破壊電圧の向上が求められている。しかしながら、非特許文献1に記載のように、ポリプロピレンフィルムの使用温度上限は約110℃といわれており、ポリプロピレンフィルムがこのような温度環境下で絶縁破壊電圧を安定して維持することは極めて困難であった。
フィルムコンデンサを小型化し、耐熱性を向上させるためには、フィルムの薄膜化および比誘電率の高いフィルムを用いること、フィルムコンデンサ使用環境温度領域を超えるガラス転移温度を有する樹脂成分からなる、またはこのような樹脂成分を含むフィルムを用いることが考えられる。例えば、比誘電率が異なる2種の層を交互に重ね合わせた積層構造とし、一方の層はそのガラス転移温度が130℃を超えるような環状オレフィン系樹脂層、もう一方はポリプロピレン層を用いることで、耐熱性と耐電圧性を有しながら大きな静電容量を保つことができる積層体が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレンの積層体を形成する際に共押出、共延伸することで加工性を向上したフィルムが提案されている(例えば、特許文献2、3)。さらには、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂をブレンドして製膜及び二軸延伸することによって、高温環境での熱寸法安定性を高めたフィルムが提案されている(例えば、特許文献4)。
特開2015-012076号公報 WO2017/022706号パンフレット 特開2018-034510号公報 特開2020-521867号公報
河合基伸、「フィルムコンデンサ躍進、クルマからエネルギーへ」、日経エレクトロニクス、日経BP社、2012年9月17日号、p.57~62
しかしながら、特許文献1のフィルムは共押出積層ではなく、ポリプロピレンフィルム上にコート法で環状オレフィン系樹脂層を形成した積層体であるため、環状オレフィン系樹脂層が剥離しやすく、フィルムコンデンサとしたときの性能と信頼性について十分とは言い難いものであった。
特許文献2のフィルムも、積層構成の基層部が環状オレフィン系樹脂単体であるため、面積延伸倍率を高めることが困難であり、高温環境での耐電圧性が不足するなど、フィルムコンデンサとしたときの性能と信頼性については十分とは言い難いものであった。
特許文献3のフィルムも、積層構成の基層部が環状オレフィン系樹脂であり、エラストマーを含有させて面積延伸倍率を高めているが、高温環境での耐電圧性は満足なものではなく、フィルムコンデンサとしたときの性能と信頼性についても十分とは言い難いものであった。
特許文献4のフィルムは、単にガラス転移温度の高い環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂をブレンドしたフィルムのため、面積延伸倍率を高めて薄膜化した際に製造工程や加工工程で破膜することや、ボイドが形成されて高温環境での耐電圧性が不足することがあり、結果、フィルムコンデンサとしたときの性能と信頼性については十分とは言い難いものであった。さらに高い面積延伸倍率で延伸すると長期間の寸法安定性が不十分で、フィルムコンデンサとして使用したときに形状が変形するリスクが高くなるという課題もあった。
そこで、本発明は、高温環境での耐電圧特性、寸法安定性、フィルムコンデンサに使用したときの信頼性および加工性に優れ、高温度・高電圧下で長期間使用することができるフィルムコンデンサ用途等に好適なポリプロピレンフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ね、23℃で測定した主配向方向の強度をF(A23)、23℃で測定した主配向直交方向の強度をF(B23)としたときに、F(A23)+F(B23)が120MPa以上1000MPa以下であり、150℃で測定した主配向方向の収縮率が-2.0%以上3.0%以下であり、かつ環状オレフィン系樹脂を含む、ポリプロピレンフィルムを発明するに至った。
本発明により、高温環境での耐電圧特性や信頼性に優れ、高温度・高電圧下で長期間使用することができるフィルムコンデンサ用途等に好適なポリプロピレンフィルムを提供することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムの断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形、及び当該長方形の一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメインを表す模式図である。 本発明の一実施態様(実施例5の態様)に係るポリプロピレンフィルムの断面Xの拡大写真(倍率2,000倍)である。
本発明者らは、前述の課題を解決するため鋭意検討を重ね、上記特許文献1~4に記載のフィルムが高温環境下において絶縁破壊電圧、並びにフィルムコンデンサとしたときの高温環境での耐電圧特性や信頼性、加工性が十分でない理由について、以下のように考えた。
特許文献1のフィルムは、コート法で積層した未延伸フィルムであるため、高温環境で層間の剥離を生じること、機械特性、特に破断伸度が不十分でコンデンサ素子加工時に破断し易いこと、高温環境下での耐電圧が低下すること等の問題があると考えた。特許文献2、3のフィルムは、高温環境での耐電圧性を想定すると、いずれもフィルム製膜における縦延伸時の倍率が必ずしも十分ではなく、フィルムに可動非晶成分が多く存在するため高温での絶縁破壊電圧が低くなることに問題があると考えた。特許文献4のフィルムについても、高温環境での耐電圧性を想定すると、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂の混ざり具合が十分でない。そのため、製膜における面積延伸時の倍率を十分に高めようとすると界面にボイドを形成し、高温での絶縁破壊電圧が低くなることが問題となると考えた。また、粗大化したドメイン形成によって滑り性や引張強度が低下し、特にフィルムを薄膜化した際に蒸着、スリット、素子巻き、及びプレス等の加工工程で破断しやすくなることにも問題があると考えた。
以上の考察を踏まえて、本発明者らはさらに検討を重ね、23℃で測定した主配向方向の強度をF(A23)、23℃で測定した主配向直交方向の強度をF(B23)としたときに、F(A23)+F(B23)が120MPa以上1000MPa以下であり、150℃で測定した主配向方向の収縮率が-2.0%以上3.0%以下であり、かつ環状オレフィン系樹脂を含む、ポリプロピレンフィルムとすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
以下、本発明のポリプロピレンフィルムについて具体的に説明する。なお、以下好ましい範囲について上限と下限が別々に記載されている場合、その組み合わせは任意とすることができる。
また、本明細書において、以下ポリプロピレンフィルムを単にフィルムと称する場合がある。なお、本発明のポリプロピレンフィルムは、微多孔フィルムではないので、多数の空孔を有していない。すなわち、本発明のポリプロピレンフィルムとは、微多孔フィルム以外のポリプロピレンフィルムを意味する。ここで微多孔フィルムとは、フィルムの両表面を貫通し、JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間で5,000秒/100ml以下の透気性を有する孔構造を有するフィルムと定義する。
本発明のポリプロピレンフィルムは、高温環境下での耐電圧の観点から、23℃で測定した主配向方向の強度をF(A23)、23℃で測定した主配向直交方向の強度をF(B23)としたときに、F(A23)+F(B23)が120MPa以上1000MPa以下である。上記観点から、F(A23)+F(B23)は、250MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましく、420MPa以上であることがさらに好ましい。本発明のポリプロピレンフィルムは、F(A23)+F(B23)を120MPa以上とすることで、可動非晶成分を低減させ、高温でも高い耐電圧性を発現させることができる。F(A23)+F(B23)は耐電圧性の観点から高ければ高いほど好ましいが、実現可能性の観点から、1000MPa以下である。
本発明のポリプロピレンフィルムの23℃における強度は、以下の手順で測定することができる。先ず、10mm×150mm(測定方向)の長方形サイズのポリプロピレンフィルムについて、初期チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度300mm/分の条件で引張試験を行う。次いで、ポリプロピレンフィルムが破断したときの荷重を、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×幅(10mm))で除することによって強度を算出することができる。なお、引張試験は公知の引張試験機により行うことができ、例えば、オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100等を好適に用いることができる。
F(A23)+F(B23)を高くする方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルムを製造する際に二軸延伸を行い、長手方向と幅方向の延伸倍率を高くする方法が挙げられる。延伸は同時二軸延伸で行ってもよいし、逐次二軸延伸で行ってもよいが、生産性の観点から逐次二軸延伸で行うことが好ましい。ここで長手方向とは、製造工程においてポリプロピレンフィルムが走行する方向(フィルムロールにおいては、巻き方向がこれに相当する。)をいい、幅方向とはフィルム面内で長手方向に直交する方向をいう。また、原料として立体規則性の高いポリプロピレン樹脂を用いることでもF(A23)+F(B23)を高くすることができる。例えば、メソペンタッド分率が高いポリプロピレンを用いることでF(A23)+F(B23)を高くすることが容易となる。
ここで、ポリプロピレンフィルムとは、ポリプロピレン樹脂を主成分とするシート状の成形体をいい、主成分とは、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、50質量%より多く100質量%以下含まれる成分をいう。なお、フィルム中にポリプロピレン樹脂に相当する成分が複数種含まれる場合は、各々の成分が50質量%に満たなくとも、これらの成分の合計が50質量%を超えていれば、ポリプロピレン樹脂を主成分とするものとする。
ポリプロピレン樹脂とは、樹脂を構成する全構成単位を100mol%としたときに、プロピレン単位を50mol%より多く100mol%以下含む樹脂であって、環状オレフィン系樹脂(後述)に該当しないものをいう。
以下、本発明のポリプロピレンフィルムにおける主配向方向について説明する。主配向方向とは、ポリプロピレン分子鎖配向の最も大きい方向をいう。ポリプロピレンフィルムの製造において二軸延伸を行う場合は、通常、長手方向と幅方向に延伸を行うが、一般的に、その延伸倍率が大きい方が主配向軸方向となる。延伸方向(長手方向と幅方向)は特定できているが倍率が不明である場合は、後述する23℃での引張試験で破断するまでの最大荷重を測定し、測定値の大きい方向を主配向軸方向とすることができる。
上記の通り、延伸方向と延伸倍率が分かれば、容易に主配向軸方向を特定することができるが、これらが不明なフィルムの場合は以下の方法により主配向軸方向を特定することができる。具体的には、フィルムを準備し、任意の方向を上に向けて、長さ50mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプル<1>とし、サンプル<1>の長辺の方向を0°と定義する。次に、長辺方向が0°方向から右に15°回転した方向となるように、同サイズのサンプル<2>を採取する。以下同様に、矩形のサンプルの長辺方向を15°ずつ回転させ、同様にサンプル<3>~<12>を採取する。次に、各矩形のサンプルを引張試験機に、長辺方向が引っ張り方向となるように初期チャック間距離20mmでセットし、室温の雰囲気下で引張速度を300mm/分として引張試験を行う。このときサンプルが破断するまでの最大荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×幅)で除した値を最大点強度の応力として算出する。当該値が最大であったサンプルの長辺方向をポリプロピレンフィルムの主配向軸とし、これに直交する方向をポリプロピレンフィルムの主配向軸と直交する方向とする。
サンプルの幅が50mm未満で上記の引張試験を実施できない場合は、広角X線によるα晶(110)面の結晶配向を次のように測定し、下記の判断基準に基づいてフィルム長手および幅方向とする。すなわち、フィルム表面に対して垂直方向にX線(CuKα線)を入射し、2θ=約14°(α晶(110)面)における結晶ピークを円周方向にスキャンし、得られた回折強度分布の回折強度が最も高い方向をフィルム幅方向および主配向方向とし、それと直交する方向を長手方向および主配向方向と直交する方向とすることもできる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサに用いたときの信頼性向上の観点から、150℃で測定した主配向方向の収縮率が-2.0%以上3.0%以下である。上記観点から前記収縮率は、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.0%以下であることが特に好ましい。前記収縮率は0.0%以下においては絶対値が小さければ小さいほどよく、実現可能性の観点から前記収縮率は、-1.5%以上であることが好ましく、-1.0%以上であることがより好ましい。なお、収縮率が負の値であることは、加熱によりポリプロピレンフィルムが膨張することを意味する。
ポリプロピレンフィルムの前記収縮率が3.0%を超えると、高温環境下(例えば135℃)でポリプロピレンフィルムが収縮しやすくなるため、フィルムコンデンサに使用したときに、その信頼性が低下する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、150℃の収縮率は以下の方法で測定することができる。先ず、幅10mm×長さ200mm(測定方向)の試料を切り出し、両端から25mmの位置に印を付けて試長150mm(l)とした試験片を取得する。次に、試験片を紙に挟み込み、荷重をかけない状態で150℃に保温されたオーブン内で、15分間加熱する。その後オーブンから試験片を取り出して室温で冷却し、寸法(l)を測定して下記式にて収縮率を求める。
収縮率={(l-l)/l}×100(%)。
前記収縮率を-2.0%以上3.0%以下とする方法としては、例えば、立体規則性と融点の高いポリプロピレン樹脂(例えば、メソペンタッド分率が高く、かつ融点が高い樹脂ポリプロピレン樹脂等)を使用すること、長手方向に一軸延伸した後の幅方向へ延伸の直前の予熱温度を175℃以上にすること、二軸延伸後の熱処理工程中に5%より大きな弛緩率で弛緩処理を施すこと等が効果的である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、環状オレフィン系樹脂を含む。環状オレフィン系樹脂とは、樹脂を構成する全構成単位を100mol%としたときに、環状オレフィン単位を10mol%以上100mol%以下含む樹脂をいう。なお、環状オレフィン単位に相当する構成単位が複数種含まれる樹脂については、各々の環状オレフィン単位が10mol%に満たなくとも、これらの構成単位の合計が10mol%を超えていれば、環状オレフィン系樹脂に該当するものとする。
環状オレフィン系樹脂を含むことでポリプロピレンフィルムは、耐熱性の高い環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂の密着性の高さにより、高温環境での耐電圧性が向上する。そのため、本発明のポリプロピレンフィルムを用いたフィルムコンデンサは、高温で長時間使用しても耐電圧性を維持することができ、優れた信頼性を発揮する。
本発明のポリプロピレンフィルムでは、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂の分散状態を良くする観点から、予め環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂(必要に応じてさらに酸化防止剤)とを混合し、予備混練(以下、コンパウンドということがある。)することが好ましい。コンパウンドには短軸押出機、二軸押出機などを用いることができるが、良好な分散状態と高い透明性の観点から、特に二軸押出機を用いることが好ましい。環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂の分散状態を均一化することで、環状オレフィン系樹脂の局所的な高濃度化による局所的な耐電圧性の低下を抑制することができる。そのため、ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサ用途に用いた際に、フィルムコンデンサの信頼性を高くすることができるとともに、135℃で長時間使用したときのコンデンサ素子の形状変化を軽減することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、環状オレフィン系樹脂の含有量の下限は、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、1質量%が好ましく、より好ましくは4質量%、さらに好ましくは7質量%である。他方、フィルムを構成する全成分を100質量%としたときに、上限は39質量%が好ましく、より好ましくは32質量%、より好ましくは25質量%、より好ましくは19質量%、さらに好ましくは14質量%、特に好ましくは9.5質量%、最も好ましくは9.0質量%である。ポリプロピレンフィルムに占める環状オレフィン系樹脂の含有割合が多過ぎると、延伸時に面積延伸倍率が高められず、高温環境での耐電圧性が低下する場合がある。また、環状オレフィン系樹脂は一般にポリプロピレンより高額であり、経済性の観点からも含量を少なくせしめることが好ましい。一方、ポリプロピレンフィルムに占める環状オレフィン系樹脂の含有割合が不足すると、環状オレフィン系樹脂による構造安定化効果が不十分となり、高温環境での耐電圧性とフィルムコンデンサとしたときの信頼性が低下する場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムは、加工性の観点から、少なくとも一方の表面の展開面積比Sdrが0.002%以上0.050%以下であることが好ましい。Sdrは表面の突起が緻密であるほど高くなるパラメーターであり、Sdrが高いほどポリプロピレンフィルム表面の滑り性が高くなる。
すなわち、少なくとも一方の表面のSdrを0.002%以上とすることで、ポリプロピレンフィルム表面の滑り性が向上するため、ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサ用の誘電体として加工する工程、例えば蒸着、スリット、素子巻き、プレスなどでの加工性が良好となる。上記観点から、少なくとも一方の表面のSdrが0.005%以上であることがより好ましく、0.010%以上であることがさらに好ましい。
他方、少なくとも一方の表面のSdrを0.050%以下とすることで、ポリプロピレンフィルム表面の滑り性を適度に低くし、巻回体としたときの巻きズレを抑制することが容易となる。上記観点から、少なくとも一方の表面のSdrは0.035%以下であることがより好ましい。
また、加工性と巻回体としたときの品位を両立する観点から、両面においてSdrが0.002%以上0.050%以下、若しくは上記の好ましい範囲であることがより好ましい。なお、Sdrは、ISO25178(2012)に準じて測定、算出することができ、その詳細は後述する。
本発明のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂と環状オレフィン系樹脂を含むことで、相分離に由来する緻密な表面を形成することができる。Sdrの調整は、原料、積層比、表層厚み、延伸条件の調整により調節することができる。より具体的には、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂とを二軸混練機によって予備混練したコンパウンド樹脂原料を用いることや、その比率を上げることにより、環状オレフィン系樹脂の分散径を小さくし、その結果Sdrを高くすることができる。一方、長手方向や幅方向の延伸倍率を高くすることで、Sdrを小さくすることができる。
以下、本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように1μm×2μmサイズの長方形を定める方法、及び当該長方形の一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメイン数の決定方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のポリプロピレンフィルムの断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形、及び当該長方形の一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメインを表す模式図である。図1における符号1~5はそれぞれ順に、断面Xの一部、海部分、島部分(ドメイン)、断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形、厚み方向と平行な一対の短辺を表す。図1の左図が断面Xの一部、右図が断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形の拡大図(図1左図の破線部の拡大図)である。なお、本発明のポリプロピレンフィルムにおいては、海部分がポリプロピレン樹脂、島部分が環状オレフィン系樹脂となる。
断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように1μm×2μmサイズの長方形を定めるにあたっては、当該長方形の底辺は海部分に設定するものとし、底辺と対向する辺上にドメインが位置する場合は、これは無いものと見なして個数としてはカウントしないこととする(図1の例においてはこのようなドメインは存在しない。)。
ここで「厚み方向と平行な一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメイン」とは、厚み方向と平行な一対の短辺を共に通過する環状オレフィン系樹脂のドメインをいう。すなわち、図1の例(右図)においては上から1、4~6番目のドメインがこれに該当し、上から2、3番目のドメインはこれに該当しないため、当該例における「厚み方向と平行な一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメイン」は4つとなる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、主配向軸方向及び厚み方向に平行な面で前記A層を切断した断面を断面Xとしたときに、前記断面X内に、図1に示すように、一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形において、前記一対の短辺を通過する前記環状オレフィン系樹脂のドメインが2個以上存在することが好ましい。本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、厚み方向と平行な一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメインは好ましくは4個以上、より好ましくは6個以上である。上限は特に限定しないが、100個、好ましくは20個とするものである。
厚み方向と平行な一対の短辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメインを2個以上とすることで、面内に環状オレフィン系樹脂がより扁平状に微分散することとなり、環状オレフィン系樹脂の有する高い熱安定性とポリプロピレン樹脂の有する高い耐電圧性をポリプロピレンフィルムに反映させることができ、高温環境下でのポリプロピレンフィルムの絶縁破壊電圧を高めることができる。さらにこのようなフィルムをフィルムコンデンサに用いると、高温環境で長時間使用してもショート破壊を引き起こし難くなり、フィルムコンデンサの耐電圧性が維持され、高い信頼性を得ることができる。
前記ドメインの数を好適な範囲に収める方法は特に限定されるものではないが、環状オレフィン系樹脂を含む樹脂を押出する押出機において、フィルターの温度を押出温度より低く設定すること、面積延伸倍率が45倍以上になるよう二軸延伸を行うことが有効である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、成形性の観点から直鎖状のポリプロピレン樹脂(以下、ポリプロピレン樹脂(A)ということがある。)を主成分とすることがより好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A)の数平均分子量(Mn)の下限は、3万が好ましく、4万がより好ましく、5万がさらに好ましい。一方、Mnの上限は9万が好ましく、8万がより好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)の分子量を上記範囲とすることで、製膜安定性、フィルムの強度、寸法安定性、および耐熱性の悪化を軽減することができる。なお、数平均分子量(Mn)はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率は、ポリプロピレンフィルムとしたときの耐熱性の観点から、0.960以上であることが好ましい。上記観点から、より好ましくは0.965以上、さらに好ましくは0.970以上、特に好ましくは0.975以上、最も好ましくは0.980以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標である。ポリプロピレン樹脂は、該数値が高いものほど結晶化度や融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではないが、実現可能性の観点から1.000となる。
このように立体規則性の高い樹脂を得るには、例えば、n-ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
ポリプロピレン樹脂(A)の融点は、160℃以上であることが好ましい。より好ましくは161℃以上、さらに好ましくは162℃以上、特に好ましくは164℃以上、最も好ましくは167℃以上である。ポリプロピレン樹脂(A)の融点が160℃以上であることで、フィルムとした際に高温環境下での耐電圧性の低下が軽減される。
樹脂の融点は、樹脂を示差走査熱量計DSCで30℃から260℃まで20℃/minで昇温した後、30℃まで20℃/minで降温し、再度30℃から260℃まで昇温した際に得られる融解ピーク温度とする。融解ピーク温度が前記温度範囲の中で2つ以上観測される場合や、ショルダーといわれる多段型のピークが観測される場合があるが、このような場合においてはDSCチャートの縦軸熱流(単位:mW)の絶対値が最も大きいピークの温度を樹脂の融点とする。
ポリプロピレン樹脂(A)は、主としてプロピレンの単独重合体からなること、言い換えるとホモポリプロピレンであることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素を共重合成分として含むプロピレンの共重合体を用いても、ホモポリプロピレンと上記共重合体を混合して用いてもよい。プロピレンの共重合体に含まれる共重合成分としては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチルブテン-1、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-1、5-エチルヘキセン-1、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネンなどが挙げられる。なお、ここでホモポリプロピレンとは、樹脂を構成する全構成単位を100mol%としたときに、プロピレン単位を99.5mol%以上100mol%以下含む樹脂をいう。
ポリプロピレン樹脂(A)がプロピレン以外の共重合成分を含む場合、その共重合量は、絶縁破壊電圧、耐熱性の点から、1mol%未満とすることが好ましい。ここでプロピレン以外の成分の共重合量が1mol%未満であるとは、ポリプロピレン樹脂(A)を構成する樹脂の全構成単位を100mol%としたときに、プロピレン単位以外の構成単位が1mol%未満であることを意味する。すなわち、ポリプロピレン樹脂(A)が、共重合量が1mol%未満のポリプロピレン重合体からなる場合や、共重合量が1mol%以上のポリプロピレン重合体とホモポリプロピレン(若しくは共重合量が1mol%未満のポリプロピレン重合体)が、全体に占めるプロピレン以外の構成単位が1mol%未満となるように混合されている場合も、プロピレン以外の成分の共重合量が1mol%未満であるものとする。
本発明のポリプロピレンフィルムは、135℃で測定した絶縁破壊電圧が325V/μmを超え900V/μm以下であることが好ましい。前記絶縁破壊電圧の下限は345V/μmであることがより好ましく、390V/μmであることがさらに好ましく、420V/μmであることが特に好ましい。前記絶縁破壊電圧は高いほど好ましいが、実現性の観点から900V/μm以下であり、好ましくは550V/μm以下である。135℃でのフィルム絶縁破壊電圧が325V/μm以上である場合には、フィルムコンデンサとしたときに特に高温環境で長時間の使用でもショート破壊を引き起こし難く、耐電圧性が維持され、高い信頼性を得ることができる。
135℃でのフィルム絶縁破壊電圧を、325V/μmを超えた範囲に制御するには、ポリプロピレン樹脂としてメソペンタッド分率の高いホモポリプロピレンを使用すること、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂とを二軸押出機で予備混練したコンパウンド樹脂原料を希釈またはそのまま溶融押出してシート化すること、二軸延伸を行う際に長手方向の延伸倍率を4.0倍以上とし、かつ、幅方向の延伸倍率を8.5倍以上とし、かつ、面積延伸倍率(長手方向の延伸倍率×幅方向の延伸倍率)を42倍以上にする逐次二軸延伸とすることが効果的である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、特に高温環境下で用いられる自動車用途(ハイブリッドカー用途含む)等に要求される薄膜の耐熱フィルムコンデンサ用に好適である観点から、厚みが0.50μm以上5.5μm以下であることが好ましい。上記耐熱フィルムコンデンサ用途としては特性と薄膜化によるフィルムコンデンササイズのバランスから、上限は好ましくは4.0μm以下、より好ましくは3.2μm以下である。なお、フィルム厚みは公知のマイクロメーターで測定することができ、詳細は後述する。
フィルム厚みを調整する方法は特に制限されないが、例えば、口金のスリット幅を小さく、口金からの溶融樹脂組成物の吐出量を少なく、キャストの引き取り速度を大きく、延伸倍率を高くすることにより小さくすることができ、これらは適宜組み合わせてもよい。
本発明のポリプロピレンフィルムは、長手方向の厚み斑が0.001%以上15%以下であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂を含有するフィルムは当該樹脂を含有しないフィルムに比べ、製造過程においてより高温で延伸を行う必要がある。その結果、環状オレフィン系樹脂を含有するフィルムにおいては、中心厚みに比べ局所的に薄膜化した箇所が生じやすい。局所的に薄膜化した箇所が存在するフィルムをフィルムコンデンサの誘電体として利用すると、当該箇所が絶縁破壊の起点となって耐電圧が低下することがある。
ポリプロピレンフィルムの厚み斑を15%以下とすることにより、上記メカニズムによる耐電圧の低下を軽減し、フィルムコンデンサとしたときの耐電圧を高めることができる。上記観点から、ポリプロピレンフィルムの厚み斑は12%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることが特に好ましい。上記観点から、ポリプロピレンフィルムの厚み斑は小さいほど好ましいが、実現可能性の観点から0.001%以上であることが好ましい。ポリプロピレンフィルムの厚み斑を前記した範囲とする方法は特に制限されないが、例えば、フィルムの縦延伸倍率を後述する好適な範囲で高くする方法や、環状オレフィン系樹脂の含量を後述する好適な範囲で低くせしめる方法が効果的である。なお、これらの方法は適宜組み合わせてもよいが、環状オレフィン樹脂を含有するフィルムでは特に縦延伸倍率を高く設定することが有効である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用途に好適に用いる観点から、150℃で測定したフィルムの主配向直交方向の収縮率が-2.0%以上4.0%以下であることが好ましい。上記観点から、前記収縮率は、2.5%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましく、1.0%以下であることが特に好ましく、0.0%以下であることが最も好ましい。
150℃で測定したフィルムの主配向直交方向の収縮率を4.0%以下とすることで、本発明のポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサ用フィルムとして用いたコンデンサを135℃で長時間使用した際に故障リスクを低減することができる。前記収縮率は0.0%以下においては絶対値が小さければ小さいほどよく、実現性の観点から-2.0%以上であり、好ましくは-1.5%以上、より好ましくは-1.0%以上である。
前記収縮率を-2.0%以上4.0%以下とする方法としては、例えば、ポリプロピレン樹脂としてメソペンタッド分率の高いホモポリプロピレンを使用すること、二軸延伸を行う際に、長手方向の延伸倍率を高くすること(例えば4.5倍以上)とすること、横延伸後の熱処理温度を高くすること等が効果的である。
本発明のポリプロピレンフィルムの層構成は単層構成であっても、積層構成であってもよい。但し、フィルムの延伸性、高温環境下の優れた信頼性、および加工性を発現する観点から、ポリプロピレン樹脂を主成分とし、環状オレフィン系樹脂を含む層をA層、ポリプロピレン樹脂を主成分とし、A層より環状オレフィン系樹脂の含有量が少ない層をB層としたときに、A層とB層を有することが好ましい。特に、このような積層構成をとすることで、面積延伸倍率を45倍以上にせしめながら製膜性を高めることが容易となる。ここで、「A層より環状オレフィン系樹脂の含有量が少ない層」とは、A層を構成する全成分を100質量%としたときのA層における環状オレフィン系樹脂の量(質量%)よりも、同様に求めた環状オレフィン系樹脂の含有量が低い層をいう。
このような態様の具体例としては、A層の片面にB層を有する構成(A層/B層の2層構成)、A層の両面にB層を有する構成(B層/A層/B層の3層構成)、A層の片面にB層を有し、B層を有さない方の面にA層ともB層とも樹脂組成の異なるC層を有する構成(C層/A層/B層の3層構成)、B層をフィルム両表面の最外層とする4層以上の構成等が挙げられる。上記観点からは、B層/A層/B層の3層構成やB層をフィルム両表面の最外層とする4層以上の構成がより好ましく、B層/A層/B層の3層構成がさらに好ましい。なお、B層を複数有する場合、B層の組成は、A層よりもポリプロピレン樹脂を多く含み、環状オレフィン系樹脂の含有量が少ない限り、同一であっても異なっていてもよい(以下、積層構成のポリプロピレンフィルムについては本定義に基づいて「A層」、「B層」を用いる)。
本発明のポリプロピレンフィルムは、高温での耐電圧性の観点から、示差走査熱量測定によって測定される降温結晶化温度(Tmc)が110℃以上であることが好ましい。上記観点から、ポリプロピレンフィルムのTmcは112℃以上であることがより好ましく、114℃以上であることがさらに好ましい。ポリプロピレンフィルムのTmcを110℃以上とすることで、特に二軸延伸製膜によって本発明のポリプロピレンフィルムを製造する際に延伸前のフィルムが微細な結晶構造を有する構造体となる。そのため、二軸延伸により緻密な突起を形成したポリプロピレンフィルムを得ることができる。これにより、ポリプロピレンフィルムは、高温での耐電圧に優れ、かつ生産性に優れたものとなる。ポリプロピレンフィルムのTmcの上限は、実現性の観点から150℃であることが好ましい。
ポリプロピレンフィルムのTmcを110℃以上にする方法としては、特に限定されるものではないが、本発明のポリプロピレンフィルム中に、ポリプロピレンの結晶化を促進する結晶核剤を含有せしめる方法が挙げられる。本発明のポリプロピレンフィルムに使用することができる結晶核剤としては、ソルビトール系核剤、ノニト―ル系核剤、アミド系核剤、芳香族カルボン酸金属塩、リン酸金属塩、架橋構造を有するポリプロピレン樹脂、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂が挙げられるが、異物による生産時の破膜を抑制する観点から、分岐鎖状ポリプロピレン樹脂を用いるのが好ましい。なお、ここで分岐鎖状ポリプロピレンとは、炭素数6以上の側鎖を分子鎖中に1本以上有するポリプロピレンを指す。
分岐鎖状ポリプロピレンには、ポリプロピレン樹脂を溶融固化させた際に結晶化を早める核剤作用がある。フィルム中に分岐鎖状ポリプロピレンを含有せしめることで、均一な結晶化を促進し、延伸時の破膜やボイドの形成を抑制しながら高倍率での延伸を伴う製膜を行うことが容易になり、特に、45倍以上の高い面積延伸倍率での延伸をする際の製膜性を高めることができる。
分岐鎖状ポリプロピレンの含有量は、前記した範囲にTmcを収める観点から、フィルムの質量を100質量%としたときに、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましく、5.0質量%以上であることが特に好ましい。一方で、分岐鎖状ポリプロピレンの含量は、フィルム全体の質量を100質量%としたときに、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。分岐鎖状ポリプロピレンの含量を50質量%以下に抑えることにより、溶融張力の上昇に伴う押出時の破膜を軽減することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムの製造において用いることができる積層方法としては、例えば、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、コーティングによる方法などがあげられるが、生産効率や生産コストの観点から、共押出(例えば溶融共押出)による積層方法が好ましい。
ポリプロピレンフィルムが積層構成である場合、ポリプロピレンフィルムの全厚みに占めるA層の厚みの割合の上限は、製膜性や表面形状を制御する点から、99%であることが好ましく、より好ましくは95%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは85%である。また下限は10%であることが好ましく、より好ましくは15%、さらに好ましくは20%である。A層の厚みの割合は、例えば、ポリプロピレンフィルムがA層の両表層にB層が直接積層されているB層/A層/B層の3層構成の場合は、両表面のB層の厚みを除いたA層の厚みをポリプロピレンフィルムの厚みで除して百分率で表すことで求めることができる。A層の割合が99%以下であることにより延伸における面積延伸倍率を十分に高めることができ、高温環境での耐電圧性低下を軽減できる。他方、A層の割合が10%以上であることにより、高温環境での熱寸法安定性の低下が軽減される。
本発明のポリプロピレンフィルムにおけるB層のポリプロピレン樹脂の含有量は、高い耐電圧性と優れた延伸性を得る観点から、B層の全構成成分を100質量%としたときに、95質量%以上が好ましく、より好ましくは96質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上である。上限は特に限定しないが100質量%とするものである。
本発明のポリプロピレンフィルムにおけるB層が環状オレフィン系樹脂を含む場合、その含有量は、高い耐電圧性と優れた延伸性を得る観点から、B層の全構成成分を100質量%としたときに、5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。なお、B層が環状オレフィン系樹脂を含むことは任意であり、下限は0.0質量%(すなわち、環状オレフィン系樹脂を含まない態様)とするものである。
本発明のポリプロピレンフィルムにおけるA層の環状オレフィン系樹脂の含有量は、高温での熱寸法安定性を高め、コンデンサとして使用したときの信頼性を高める観点から、A層の全構成成分を100質量%としたときに、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、特に好ましくは7質量%以上である。一方で、前記A層の環状オレフィン系樹脂の含有量は、延伸時に面積延伸倍率を高めた際の破膜を起きにくくする観点から、A層の全構成成分を100質量%としたときに、38質量%以下であることが好ましく、34質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、19質量%以下であることが特に好ましく、9.5質量%以下であることが格別に好ましく、9.0質量%以下であることが最も好ましい。
続いて、本発明のポリプロピレンフィルムに好適に用いることができる樹脂について説明する。
本発明のポリプロピレンフィルムに用いる環状オレフィン系樹脂について説明する。本発明のポリプロピレンフィルムに用いる環状オレフィン系樹脂の製造に用いることができる環状オレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエンといった単環式オレフィン、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-メチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-エチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-ブチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-オクチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-メチリデン- ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-ビニル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エンといった二環式オレフィン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ-3,7-ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ-3-エン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ-3,7-ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ-3,8-ジエン、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕ウンデカ-3-エン、5-シクロペンチル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン、5-フェニル-ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタ-2-エンといった三環式オレフィン、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エンといった四環式オレフィン、および8-シクロペンチル-テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エン、テトラシクロ〔7,4,13.6,01.9,02.7〕テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン、テトラシクロ〔8,4,14.7,01.10,03.8〕ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン、ペンタシクロ〔6,6,13.6,02.7,09.14〕-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ〔6,5,1,13.6,02.7,09.13〕-4-ペンタデセン、ペンタシクロ〔7,4,0,02.7,13.6,110.13〕-4-ペンタデセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,14.7,111.17,03.8,012.16〕-5-エイコセン、ヘプタシクロ〔8,7,0,12.9,03.8,14.7,012.17,113.16〕-14-エイコセン、シクロペンタジエンといった四量体等の多環式オレフィンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンモノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
環状オレフィンモノマーとしては、上記した中でも、生産性、表面性の観点から、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト-2-エン(以下、ノルボルネンとする。)、トリシクロ〔4,3,0,12.5〕デカ-3-エンなどの炭素数10の三環式オレフィン(以下、トリシクロデセンとする。)、テトラシクロ〔4,4,0,12.5,17.10〕ドデカ-3-エンなどの炭素数12の四環式オレフィン(以下、テトラシクロドデセンとする。)、シクロペンタジエン、または1,3-シクロヘキサジエンが好ましく用いられる。
環状オレフィン系樹脂は、上記した定義を満たす限り、上記環状オレフィンモノマーのみを重合させた樹脂(以下、COPということがある。)や、上記環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂(以下、COCということがある。)のいずれの樹脂でも構わない。
COPの製造方法としては、環状オレフィンモノマーの付加重合、あるいは開環重合などの公知の方法が挙げられ、例えば、ノルボルネン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、およびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法、ノルボルネンおよびその誘導体を付加重合させる方法、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンを1,2-、1,4-付加重合させた後に水素化させる方法などが挙げられる。これらの中でも、生産性、成型性の観点から、ノルボルネン、トリシクロデセン、テトラシクロデセン、およびその誘導体を開環メタセシス重合させた後に水素化させる方法がより好ましい。
COCの場合、好ましい鎖状オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。
これらの中でも、生産性、コスト、ポリプロピレン樹脂との相溶性の観点から、エチレンまたはプロピレンを特に好ましく用いることができ、これらを併用してもよい。また、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーとを共重合させた樹脂の製造方法としては、環状オレフィンモノマーと鎖状オレフィンモノマーの付加重合などの公知の方法が挙げられ、特に、生産性、成型性の観点からノルボルネンまたはテトラシクロドデセンおよびそれらの誘導体と、エチレン及び/またはプロピレンからなる2元重合または3元重合による方法などを好ましい方法として用いることができる。すなわち、例えば、テトラシクロドデセン誘導体とエチレンの2元重合や、ノルボルネンとエチレンとプロピレンの3元重合を好ましい方法として用いることができる。
本発明のポリプロピレンフィルムに用いる環状オレフィン系樹脂は、非晶性であることが好ましい。さらに非晶性の環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、125℃以上175℃以下であることが好ましい。前記ガラス転移温度を125℃以上175℃以下とすることで、成形加工時にポリプロピレン樹脂への追従性を高めることができ、フィルムの厚みムラを抑制することが容易になる。そのため、本発明のポリプロピレンフィルムを用いたフィルムコンデンサの信頼性や、高温での耐電圧を高めることができる。前記ガラス転移温度は上記観点から、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上である。一方で、成形加工性の観点から前記ガラス転移温度は160℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることがさらに好ましく、142℃以下であることが特に好ましい。
特に、成形加工の過程で延伸と続く緩和処理を行う場合、熱処理温度よりガラス転移温度が25℃以上低い温度になるよう設計すると、フィルムコンデンサとして用いたときに長期の熱安定性に優れ、信頼性の高いポリプロピレンフィルムを製造することが容易になる。なお、本発明のポリプロピレンフィルムにおいて環状オレフィン系樹脂が非晶性であるとは、環状オレフィン系樹脂を示差走査熱量計DSCで30℃から260℃まで20℃/minで昇温した際に得られる融解ピーク温度(Tm)が観察されないことと定義する。
本発明のポリプロピレンフィルムにおいて、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121-1987に準じて以下のように測定することができる。示差走査熱量計を用いて、窒素雰囲気中で3mgのフィルムあるいは樹脂を30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温し、次いで、260℃で5分間保持した後、20℃/分の条件で30℃まで降温する。さらに、20℃で5分間保持した後、再昇温として30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温する。再昇温過程で得られたDSC曲線から、ガラス転移温度(Tg)を下記式により算出する。なお、示差走査熱量計は、測定が可能なものであれば特に制限されず公知のものを使用することができ、例えば、セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220等を用いることができる。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2。
本発明のポリプロピレンフィルムは、欠陥やボイドを無くし、耐電圧を高める観点から、全光線透過率が85%以上99.9%以下であることが好ましい。ここで、全光線透過率とは、フィルム表面に対し垂直に光を入射させたときの全光線透過率、言い換えればフィルム厚み方向の全光線透過率である。また、上記観点から全光線透過率は、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは91%以上、特に好ましくは94%以上である。上限は実現可能性の観点から99.9%とするものである。なお、全光線透過率は公知のヘイズメーターで測定することができ、詳細は後述する。
全光線透過率を好適な範囲に収める方法としては、特に限定されるものではないが、環状オレフィン系樹脂をポリプロピレンフィルムに含有せしめる際に、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂を予備混練することや、表層に分岐鎖状ポリプロピレンを添加する方法、A層をB層で挟んだ積層構成(例えば、B/A/B)とする方法等が挙げられる。また、上記のような積層構成とした上で、ポリプロピレンフィルム全体に占める環状オレフィン系樹脂の量を低減することも、全光線透過率を高めるために効果的である。
本発明のポリプロピレンフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば有機粒子、無機粒子、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤を含有してもよい。
これらの中で酸化防止剤を含有させる場合、その酸化防止剤の種類および添加量の選定は、長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、BASF社製“Irganox”(登録商標)1330:分子量775.2)、またはテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製“Irganox”(登録商標)1010:分子量1,177.7)等を併用することが好ましい。
分子量500以上の高分子量型の酸化防止剤の総含有量は樹脂全量に対して0.1~1.0質量部の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサ素子に悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい総含有量は樹脂全体の質量の0.2~0.7質量部であり、特に好ましくは0.3~0.5質量部である。2層以上の積層構成の場合は、その各層において分子量500以上の高分子量型の酸化防止剤が0.3~0.5質量部であることがフィッシュアイなどの欠陥を抑制し高品位、耐電圧性能を得る観点から好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲でポリプロピレン樹脂(A)、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。具体的な樹脂としては、各種ポリオレフィン樹脂を含むビニルポリマー樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、特に、ポリメチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレンなどが好ましく例示される。これらの樹脂の含有量は、ポリプロピレンフィルムを構成する樹脂成分全体を100質量%とした場合、3質量%未満が好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。ポリプロピレン樹脂以外の樹脂の含有量が3質量%以上であると、ドメイン界面の影響が大きくなるため、高温環境下での絶縁破壊電圧を低下させてしまう場合がある。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用の誘電体フィルムとして好ましく用いられるものであるが、フィルムコンデンサのタイプは限定されるものではない。具体的には電極構成の観点では金属箔とフィルムとの合わせ巻きフィルムコンデンサ、金属蒸着フィルムコンデンサのいずれであってもよいし、絶縁油を含浸させた油浸タイプのフィルムコンデンサや絶縁油を全く使用しない乾式コンデンサにも好ましく用いられる。しかしながら本発明のポリプロピレンフィルムの特性から、特に金属蒸着フィルムコンデンサとして好ましく使用される。形状の観点では、捲回式であっても積層式であっても構わない。
ポリプロピレンフィルムは通常、表面エネルギーが低く、金属蒸着を安定的に施すことが困難であるために、金属膜との接着性を改善する目的で、蒸着前に表面処理を行うことが好ましい。表面処理とは具体的にコロナ放電処理、プラズマ処理、グロー処理、火炎処理等が例示される。
本発明のポリプロピレンフィルムは、上述した特性を与えうる原料を用い、二軸延伸、熱処理および弛緩処理されることによって得ることが可能である。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られる。その中でも、フィルムの製膜安定性、結晶・非晶構造、表面特性、特に本発明の延伸倍率を高めながら機械特性および熱寸法安定性を制御する点においてテンター逐次二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法を採用することが好ましい。
次に本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法を、ポリプロピレン樹脂としてポリプロピレン樹脂(A)を用いたもの(主成分がポリプロピレン樹脂(A)であるもの)を例に挙げて説明する。まず、樹脂原料を希釈して、またはそのまま支持体上に溶融押出して未延伸フィルムとする。樹脂原料としては、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂(A)とを事前に予備混練したコンパウンド樹脂を用いるのが好ましい。この未延伸フィルムを長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸して、逐次二軸延伸せしめる。その後、熱処理および弛緩処理を施して二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造する。以下、より具体的に説明するが、本発明は必ずしもこれに限定して解釈されるものではない。
まず、本発明のポリプロピレンフィルムでは環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂(A)との分散状態を良くして、特にフィルムの高温時の絶縁破壊電圧を高める観点から、予め環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂と酸化防止剤と混合しコンパウンドしてコンパウンド樹脂とすることが好ましい。コンパウンドには短軸押出機、二軸押出機などを用いることができるが、良好な分散状態と高い透明性の観点から、特に二軸押出機を用いることが好ましい。コンパウンドする際の樹脂温度は次の温度範囲に収めることが好ましい。まず、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましい。一方で、200℃以上であることが好ましく、230℃以上であることがより好ましい。
コンパウンド樹脂中の環状オレフィン系樹脂の含有量は、コンパウンド樹脂成分全体を100質量%としたとき、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、経済的な観点からは15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、環状オレフィン系樹脂の分散状態を高める観点から、コンパウンド樹脂中の環状オレフィン系樹脂の含有量は、49質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましく、36質量%以下であることが好ましい。
酸化防止剤の量は、コンパウンド樹脂成分100質量部に対して0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上である。上限は1.0質量部とするものである。また、ポリプロピレン樹脂(A)のメソペンタッド分率を0.960以上とすることで、融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。
次いで、ポリプロピレン樹脂(A)とコンパウンド樹脂とを単軸押出機に供給し、濾過フィルターを通した後にスリット状口金から押し出す。スリット状口金から押し出された溶融シートは、温度制御されたキャスティングドラム(冷却ドラム)上で固化させ、未延伸ポリプロピレンフィルムを得る。冷却ドラムの温度は、10℃以上であることが好ましく、一方で、110℃以下であることが好ましい。
面積延伸倍率を高める観点から積層構成とすることが好ましく、その場合には、A層用のコンパウンド樹脂とポリプロピレン樹脂(A)とを混合して内層(A層)用の単軸押出機に供給し、ポリプロピレン樹脂(A)を表層(B層)用の単軸押出機に供給する。その後、溶融共押出によるフィードブロック方式でB層/A層/B層の3層構成に積層された樹脂をスリット状口金から溶融シートとして押し出し、温度制御した冷却ドラム上で固化させ未延伸ポリプロピレンフィルムを得る。冷却ドラムの温度は10℃以上であることが好ましい。一方で、冷却ドラムの温度は110℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。
溶融シートのキャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法、エアーチャンバー法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
次に、未延伸ポリプロピレンフィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸時には、未延伸ポリプロピレンフィルムを所定の長手方向延伸温度に設定したロールに接触させ、長手方向に所定の倍率で延伸する。長手方向延伸温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、148℃以上であることがさらに好ましい。一方で、長手方向延伸温度は、170℃以下であることが好ましく、165℃以下であることがより好ましく、160℃以下であることがさらに好ましい。長手方向の延伸倍率は4.0倍以上であることが好ましく、4.5倍以上であることがより好ましく、5.0倍以上であることがさらに好ましい。一方で、10倍以下であることが好ましい。長手方向に延伸した後、室温まで冷却する。
次いで長手方向に一軸延伸せしめたポリプロピレンフィルムの幅方向両端部をクリップで把持したまま、テンターに導く。ここで本発明においては幅方向へ延伸する直前の予熱工程のテンター雰囲気温度(幅方向の予熱温度)を好ましくは幅方向の延伸温度+5℃以上とすることが好ましい。一方で、予熱工程の温度は幅方向の延伸温度+15℃以下にすることが好ましく、より好ましくは+12℃以下、さらに好ましくは+10℃以下である。予熱工程の温度を前記範囲に収めることで、一軸延伸で長手方向に高配向したフィブリル構造をさらに強化でき、ポリプロピレンフィルムの絶縁破壊電圧を高めることができる。また一軸延伸後、配向が不十分な分子鎖を高温予熱で安定化させることは、熱寸法安定性が向上できる観点で好ましい。
次いでフィルムの端部をクリップで把持したまま幅方向へ延伸するテンター雰囲気温度(幅方向の延伸温度)は、ガラス転移温度の高い環状オレフィン系樹脂を均一に延伸し、フィルムコンデンサとしたときの信頼性を高める観点から、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは155℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。一方で、上記観点から、幅方向の延伸温度は好ましくは190℃以下であり、より好ましくは185℃以下である。
フィルムの絶縁破壊電圧を高める観点から、幅方向の延伸倍率は好ましくは7.4倍以上であり、より好ましくは8.5倍以上であり、さらに好ましくは9.3倍以上であり、特に好ましくは10.0倍以上である。一方で、安定して製膜を行う観点から、幅方向の延伸倍率は好ましくは20.0倍以下であり、より好ましくは17.0倍以下であり、さらに好ましくは15.0倍以下である。幅方向の延伸倍率が7.4倍未満では、一軸延伸で長手方向に高配向したフィブリル構造の配向寄与が大きく残存するため、高温時の絶縁破壊電圧の評価時にフィルム中の分子鎖が動きやすく絶縁破壊電圧が劣ったフィルムとなる場合がある。長手方向よりも幅方向の延伸倍率を高めることは長手方向の高い配向状態を保ったまま幅方向の配向が付与されるため、面内の分子鎖緊張が高まることで、特に高温時の絶縁破壊電圧を高める効果を得られるため好ましい。
ここで、面積延伸倍率は40.0倍以上であることが好ましい。面積延伸倍率を40.0倍以上とすることにより、フィルム面内の分子鎖緊張が高まってF(A23)+F(B23)を容易に高くすることができる。その結果、得られるフィルムは、特に高温時の絶縁破壊電圧が高いものとなる。本発明において、面積延伸倍率とは、長手方向の延伸倍率に幅方向の延伸倍率を乗じたものである。面積延伸倍率は、より好ましくは40.0倍以上、さらに好ましくは42.0倍以上、特に好ましくは49.0倍以上である。面積延伸倍率の上限は特に限定されないが、実現可能性の観点から逐次二軸延伸の場合は90.0倍、同時二軸延伸の場合は150倍である。
本発明において重要な点は、高い面積延伸倍率としながら主配向方向の収縮率を低くすることである。すなわち、本発明においてはポリプロピレン樹脂中に分散する環状オレフィン系樹脂ドメインの分散性を高め、二軸延伸後の熱固定温度を高温で施すことで、環状オレフィン系樹脂のドメイン界面での微小ボイドを生成させずに面内にドメインが広がった構造を形成させつつ、収縮につながるポリプロピレンの緊張状態を緩和させることにより高い面積延伸倍率としながら主配向方向の収縮率を低くすることができる。
本発明のポリプロピレンフィルムの製造においては、続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2~20%の弛緩を与えつつ、テンター雰囲気温度で165℃以上190℃以下かつ環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度+30℃以上の温度で熱処理を行うことが、フィルムコンデンサとしたときの信頼性を高める観点から好ましく、より好ましくは172℃以上である。加えて、使用するポリプロピレン樹脂の融点以上であり、かつ、使用する環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度より30℃以上高い温度で熱処理を行うことで、効果的にフィルムコンデンサの信頼性を高めることができる。上記観点から、弛緩処理率は5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましい。一方で、ポリプロピレンフィルムの絶縁破壊電圧を高める観点から、弛緩処理は18%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。
熱処理および弛緩処理を経た後はテンターの外側へ導き、室温雰囲気にてフィルム端部のクリップを解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、厚み0.50μm以上5.0μm未満のフィルム製品ロールを巻き取る。ここでポリプロピレンフィルムを巻取る前に蒸着を施す面に蒸着金属の接着性をよくするために、空気中、窒素中、炭酸ガス中あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行うことが好ましい。
なお、本発明のポリプロピレンフィルムを得るため、着眼される製造条件を具体的に挙げてみると、例としては以下のとおりである。なお、これらの製造条件を全て満たすことが好ましいが、必ずしも全て備える態様とはせずに適宜組み合わせてもよい。例えば、「逐次二軸延伸において幅方向の延伸前の予熱温度が幅方向の延伸温度+5℃以上かつ+15℃以下であること。」に代えて、同時二軸延伸を採用してもよい。
・主成分であるポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率が0.960以上であること。
・前記層Aと層Bを有し、層Bに分岐鎖状ポリプロピレンを含有すること。
・環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂とを予備混練すること。
・環状オレフィン系樹脂の含有量を1質量%以上39質量%以下とすること。
・二軸延伸の面積延伸倍率が40.0倍以上であること。
・幅方向の延伸倍率が長手方向の延伸倍率より高いこと。
・逐次二軸延伸において幅方向の延伸前の予熱温度が幅方向の延伸温度+5~+15℃であること。
・二軸延伸後に熱処理と弛緩処理が施されていること。
・二軸延伸後の熱処理温度が165℃以上かつ環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度+30℃以上であること。
続いて、本発明のポリプロピレンフィルムを用いてなる金属膜積層フィルム、それを用いてなるフィルムコンデンサ、およびそれらの製造方法について説明する。
本発明の金属膜積層フィルムは、本発明のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を有する。この金属膜積層フィルムは、上記の本発明に係るポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を設けることで得ることができる。
本発明において、金属膜を付与する方法は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、アルミニウムまたは、アルミニウムと亜鉛との合金を蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となる蒸着膜等の金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロムなどの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。ポリプロピレンフィルムの表面粗さが表裏で異なる場合には、粗さが平滑な表面側に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとすることが耐電圧性を高める観点から好ましい。
本発明では、必要により、金属膜を形成後、金属膜積層フィルムを特定の温度でアニール処理を行ったり、熱処理を行ったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属膜積層フィルムの少なくとも片面に、ポリフェニレンオキサイドなど樹脂のコーティングを施すこともできる。
本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムを用いてなる。つまり本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムを有する。例えば、上記した本発明の金属膜積層フィルムを、種々の方法で積層もしくは捲回すことにより本発明のフィルムコンデンサを得ることができる。捲回型フィルムコンデンサの好ましい製造方法を例示すると、次のとおりである。
ポリプロピレンフィルムの片面にアルミニウムを減圧状態で蒸着する。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面の一方にマージンを有した、テープ状の巻取リールを作製する。左もしくは右にマージンを有するテープ状の巻取リールを左マージンおよび右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部よりはみ出すように2枚重ね合わせて捲回し、捲回体を得る。
両面に蒸着を行う場合は、一方の面の長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着し、もう一方の面には長手方向のマージン部が裏面側蒸着部の中央に位置するようにストライプ状に蒸着する。次に表裏それぞれのマージン部中央に刃を入れてスリットし、両面ともそれぞれ片側にマージン(例えば表面右側にマージンがあれば裏面には左側にマージン)を有するテープ状の巻取リールを作製する。得られたリールと未蒸着の合わせフィルム各1本ずつを、幅方向に金属化フィルムが合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合わせて捲回し、捲回体を得る。
本発明の金属層積層フィルムから本発明のフィルムコンデンサを得る方法としては、例えば、以上のようにして作製した捲回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して捲回型フィルムコンデンサとする方法が挙げられる。フィルムコンデンサの用途は、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の電動自動車やドローン等の電動航空機のパワーコントロールユニット用途、鉄道車輌用途、太陽光発電・風力発電用途および一般家電用途等、多岐に亘っており、本発明のフィルムコンデンサもこれら用途に好適に用いることができる。その他、本発明のポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型用フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途でも用いることができ、特にフィルム加工において加熱工程を含む用途に好ましく用いることができる。
本発明のフィルムコンデンサは、容量密度が1.1μF/cm以上18μF/cm以下であることが好ましい。フィルムコンデンサの容量密度は高ければ高いほど同一容量のコンデンサ素子を作製したときに体積が小さくなり小型化が可能となることから、1.5μF/cm以上であることがより好ましい。フィルムコンデンサの小型化の観点からは、フィルムコンデンサの容量密度は高ければ高いほど好ましいが、実現可能性の観点から18μF/cm以下、好ましくは5.0μF/cm以下であることが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムとして厚みが4.5μm以下のものを使用することにより、フィルムコンデンサの容量密度を1.1μF/cm以上とすることが容易となり、厚みが3.5μm以下のものを使用することにより、フィルムコンデンサの容量密度を1.5μF/cm以上とすることが容易となる。
なお、本発明においてフィルムコンデンサの容量密度は、素子容量(μF)を素子体積(cm)で除して算出することができる。素子容量は、周波数1kHz、雰囲気温度23℃でJIS C 4908:2007に従い計測することができる。また、素子体積とは、外装材、メタリコン、リールを含まない、蒸着フィルムを巻回した部分の体積であり、公知の3Dスキャナ型三次元測定機により測定することができる。フィルムコンデンサの容量密度の測定方法の詳細は後述する。
本発明のフィルムコンデンサは、135℃での耐電圧が0.60kV以上であることが好ましい。前記耐電圧は0.75kV以上であることがより好ましく、1.0kV以上であることがさらに好ましい。本発明のポリプロピレンフィルムは、前記した特徴を具備することで高温での耐電圧が高いことから、これをフィルムコンデンサの誘電体として用いることにより、135℃での耐電圧を0.60kV以上又は上記の好ましい範囲とすることが容易となる。
以下、本発明のパワーコントロールユニット、電動自動車、電動航空機について説明する。本発明のパワーコントロールユニットは、本発明のフィルムコンデンサを有する。パワーコントロールユニットは、電力により駆動する機構を持つ電動自動車や電動航空機等において、動力をマネジメントするシステムである。パワーコントロールユニットに本発明のフィルムコンデンサを搭載することで、パワーコントロールユニット自体の小型化、耐熱性向上、高効率化が可能となり、結果、燃費が向上する。
本発明の電動自動車は、本発明のパワーコントロールユニットを有する。ここで電動自動車とは、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等の電力により駆動する機構を有する自動車を指す。前述のとおり、本発明のパワーコントロールユニットは小型化が可能な他、耐熱性や効率にも優れるため、電動自動車が本発明のパワーコントロールユニットを備えることで燃費の向上等に繋がる。
本発明の電動航空機は、本発明のパワーコントロールユニットを有する。ここで電動航空機とは、有人電動航空機やドローン等の電力により駆動する機構を有する航空機を指す。前述のとおり、本発明のパワーコントロールユニットは小型化が可能な他、耐熱性や効率にも優れるため、電動航空機が本発明のパワーコントロールユニットを備えることで燃費の向上等に繋がる。
本発明の包装材料は、本発明のポリプロピレンフィルムを有することを特徴とする。本発明の包装材料は、蒸着時の熱に対して構造安定性に優れ、特に透明蒸着層を積層した際に水蒸気バリア性、酸素バリア性が良好であることから、水蒸気や酸素により劣化しやすいものの包装に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明のポリプロピレンフィルムについて、より具体的に説明する。ただし、本発明のポリプロピレンフィルムはこれらの実施例に限定されない。なお。本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
[測定、評価方法]
(1)フィルム厚み
ポリプロピレンフィルムの任意の10箇所の厚みを、23℃65%RHの雰囲気下で接触式のアンリツ(株)製電子マイクロメータ(K-312A型)を用いて測定した。その10箇所の厚みの算術平均値をポリプロピレンフィルムのフィルム厚み(単位:μm)とした。
(2)フィルムの主配向方向と主配向直交方向
本発明において、フィルムの主配向方向は上述した方法に従い決定した。実施例に記載したフィルムの主配向方向について、より具体的には以下の通り主配向方向を決定した。なお、主配向直交方向はフィルム面内で主配向方向と直交する方向とした。
実施例1~7、比較例1、3、4:横延伸倍率が縦延伸倍率より高くなるよう逐次二軸延伸により製造したため、横延伸方向を主配向方向とした。
比較例2:横延伸倍率が縦延伸倍率より高くなるよう同時二軸延伸により製造したため、横延伸方向を主配向方向とした。
比較例5:延伸を行っていないフィルムであるため、上述した引張試験による方法により主配向方向を決定した。
(3)樹脂およびフィルムの融解ピーク温度(Tm)
示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのフィルムを30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温し、次いで、260℃で5分間保持した後、20℃/分の条件で30℃まで降温した。昇温過程で得られる吸熱ピーク温度をフィルムの融解ピーク温度とした。本実施例ではn=3の測定を行った平均値から(Tm)を算出した。ピーク温度が170℃を超えて200℃以下の範囲の中で2つ以上観測される場合や、ショルダーといわれる多段型のDSCチャートに観測できるピーク温度(2つ以上のピークが重なり合ったチャートの場合に観測される。)が出る場合があるが、本実施例においてはDSCチャートの縦軸熱流(単位:mW)の絶対値が最も大きいピークの温度を(Tm)(℃)とした。なお、樹脂の(Tm)についても同様に測定した。
(4)環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)
JIS K7121-1987に準じて測定した。示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのフィルムあるいは樹脂を30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温し、次いで、260℃で5分間保持した後、20℃/分の条件で30℃まで降温した。さらに、20℃で5分間保持した後、再昇温として30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温した。再昇温過程で得られたDSC曲線から、ガラス転移温度(Tg)を下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2 。
(5)F(A23)とF(B23)
フィルム試長方向(主配向方向または主配向直交方向)を長辺方向として切り出した長方形のポリプロピレンフィルム(幅(短辺)10mm×長さ(長辺)150mm)を、測定試料とした。次にサンプルを引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT-100)に、初期チャック間距離20mmでセットし、23℃の室内で引張速度を300mm/分としてフィルムの引張試験を行った。この際、試料の中心がチャック間の真ん中の近傍にくるように、試料の長さ方向の位置を調整した。サンプル破断時にフィルムにかかっていた荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(フィルム厚み×幅(10mm))で除した値を、強度(単位:MPa)として算出した。測定は長手方向および幅方向の測定用のサンプルについて各々5回ずつ行い、その算術平均値として、試長方向における強度を求めた。試長方向が主配向方向の時の強度をF(A23)、試長方向が主配向直交方向の時の強度をF(B23)とした。なお、強度の算出のために用いるフィルム厚みは、上記(1)で測定した値を用いた。
(6)150℃で測定した収縮率
フィルムの主配向方向および主配向直交方向のそれぞれについて、幅10mm、長さ200mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に印を付けて試長150mm(l)とした。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で150℃に保温されたオーブン内で、15分間加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を測定して下記式にて求めた。各方向について、5本の試料の熱収縮率の算術平均値を当該方向の150℃で測定した熱収縮率とした。
熱収縮率={(l-l)/l}×100(%)。
(7)展開面積比Sdr
展開面積比は、ISO25178(2012)に準じて測定、算出した。ただし、測定は走査型白色干渉顕微鏡“VS1540”(株式会社日立ハイテクサイエンス製、測定条件と装置構成は後述する。)を使用して行った。また、付属の解析ソフトにより撮影画面を補完処理(完全補完)し、多項式4次近似にて面補正した後、メジアンフィルタ(3×3ピクセル)で処理したものを測定したelectro-magnetic surfaceとした。また、S-filterのS-Filter Nesting Indexは0.445とした。測定は、5cm×5cmの正方形状に切ったフィルムの両面について行った。対角線の交差点を1点目の測定点(点1)とし、開始点より4つある各角に向けて1cm離れた位置を時計回りにそれぞれ点2、点3、点4、点5とし、点2と点3を結んだ線分の中点を点6、点3と点4を結んだ線分の中点を点7、点4と点5を結んだ線分の中点を点8、点5と点2を結んだ線分の中点を点9とし、点1~点9の合計9箇所の測定点を決め、各測定点で測定を行った。測定結果から上記の手順に従って各測定位置のSdrを求め、各面について9つ得られた値の1番目、2番目に大きい値と、8番目、9番目に大きい値を除いた5つの値の平均値を当該表面のフィルムのSdrとして採用した。表1-2および表2-2には、便宜的にフィルムの一方の面を面1、裏面を面2として面を定め、各面のSdrを記載した。
<測定条件と装置構成>
対物レンズ:10x
鏡筒:1x
ズームレンズ:1x
波長フィルタ:530nm white
測定モード:Wave
測定ソフトウェア:VS-Measure 10.0.4.0
解析ソフトウェア:VS-Viewer10.0.3.0
測定領域:561.1μm×561.5μm
画素数:1,024×1,024。
(8)全光線透過率
スガ試験機(株)製ヘイズメーター(HGM-2DP)を用い、以下の装置構成、光学条件で測定した。ポリオレフィン系フィルムを6.0cm×3.0cmで切り出し、ポリオレフィン系フィルム表面に対し垂直に光を入射させ測定した際の測定値からフィルム厚み方向の全光線透過率の値を得た。なお、測定は5回行い、その平均値を全光線透過率とした。
光源:ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395~745nm
光学条件:JIS-K7105-1981に準拠。
(9)フィルム絶縁破壊電圧(V/μm)
135℃でのフィルム絶縁破壊電圧を測定する場合、135℃に保温されたオーブン内でフィルムを1分間加熱後、その雰囲気中でJIS C2330(2001)7.4.11.2 B法(平板電極法)に準じて測定した。ただし、下部電極については、JIS C2330(2001)7.4.11.2のB法記載の金属板の上に、同一寸法の株式会社十川ゴム製「導電ゴムE-100<65>」を載せたものを使用した。絶縁破壊電圧試験を30回行い、得られた値をフィルムの厚み(上記(1)で測定)で除してV/μmに換算し、計30点の測定値(算出値)のうち最大値から大きい順に5点と最小値から小さい順に5点を除いた20点の平均値を、135℃での絶縁破壊電圧とした。
(10)フィルムコンデンサ特性の評価(135℃での耐電圧、信頼性)、製膜性、加工性
フィルムの一方の面(なお、濡れ張力が表裏両面で異なる場合は、濡れ張力が高い方の面)に、(株)アルバック製真空蒸着機でアルミニウムを膜抵抗が10Ω/sqで長手方向に垂直な方向にマージン部を設けた、いわゆるT型マージン(マスキングオイルにより長手方向ピッチ(周期)が17mm、ヒューズ幅が0.5mm)を有する蒸着パターンで蒸着を施し、スリット後に、フィルム幅50mm(端部マージン幅2mm)の蒸着リールを得た。次いで、このリールを用いて(株)皆藤製作所製素子巻機(KAW-4NHB)にてコンデンサ素子を巻き取り、メタリコンを施した後、減圧下、128℃の温度で12時間の熱処理を施し、リード線を取り付けコンデンサ素子に仕上げた。こうして得られたコンデンサ素子10個を用いて、135℃高温下でコンデンサ素子に150VDCの電圧を印加し、該電圧で10分間経過後にステップ状に50VDC/1分で徐々に印加電圧を上昇させることを繰り返す所謂ステップアップ試験を行った。
<耐電圧評価>
ステップアップ試験において、静電容量変化を測定しグラフ上にプロットし、該容量が初期値の75%になった電圧をフィルムの厚み(上記(1)で測定した値)で割り返して耐電圧を求め、コンデンサ素子10個の平均値を算出して以下の基準で評価した。S、A、B、Cは使用可能であり、Dは実用上の性能に劣ることをそれぞれ意味する。
S:420V/μmより大きい。
A:390V/μmより大きく、420V/μm以下。
B:325V/μmより大きく390V/μm以下。
C:300V/μmより大きく325V/μm以下。
D:300V/μm以下。
<信頼性評価>
静電容量が初期値に対して18%以下に減少するまで電圧を上昇させた後に、コンデンサ素子10個の中で最も耐電圧を高く上昇させたコンデンサ素子1個を解体し、破壊の状態を調べて信頼性を以下の通り評価した。Sは使用可能、A、B、Cは条件次第で使用可能、Dは実用上の性能に劣ることをそれぞれ意味する。
S:素子形状の変化、貫通状の破壊共に観察されなかった。
A:素子形状の変化は無く、かつフィルム1層以上2層以下の貫通状の破壊が観察された。
B:素子形状の変化は無く、フィルム3層以上5層以下の貫通状の破壊が観察された。
C:素子形状の変化は無く、フィルム6層以上10層以下の貫通状の破壊が観察された。
D:素子形状に変化が認められた、又は11層以上の貫通状の破壊が観察された。
<製膜性評価>
実施例、比較例に記載の条件にてフィルムを一貫製膜し、巻取開始から破膜が起きるまでに巻き取ることができたフィルム長を記録する作業を3回行い、3回の平均値を製膜可能フィルム長として製膜性を以下の通り評価した。Aは安定して製膜可能であること、B、Cは収率が落ちるものの製膜可能であること、Dは実質的に製膜が困難なことをそれぞれ意味する。なお、15000m巻き取った時点で破膜が見られなかった場合、その回のフィルム長は15000mとして次の作業を行った。
A:製膜可能フィルム長が10000m以上であった。
B:製膜可能フィルム長が5000m以上かつ10000m未満であった。
C:製膜可能フィルム長が1000m以上かつ5000m未満であった。
D:製膜可能フィルム長が1000m未満であった。
<加工性評価>
前記蒸着を施した後のスリットの際に、ポリプロピレンフィルムが破断した頻度に応じて加工性を以下の評価基準で評価した。評価基準において、「A」は使用可能であること、「B」、「C」は条件次第で使用可能であること、「D」は実用上の性能に劣り使用が困難なことをそれぞれ意味する。
A:スリット長2万mあたりの破断回数は1回以下であった。
B:スリット長2万mあたりの破断回数は1回より多く3回以下であった。
C:スリット長2万mあたりの破断回数は3回より多く10回以下であった。
D:スリット長2万mあたりの破断回数は10回より多かった。
(11)A層における1μm×2μmの長方形において厚み方向と平行な一対の辺を通過する環状オレフィン樹脂のドメイン数(個/2μm
ミクロトーム法を用い、主配向軸方向-厚み方向に平行な面でポリプロピレンフィルムを切断し、切断面を有するポリプロピレンフィルム片を作製した。前記切断面をRuOで染色した後、染色面を切削して断面(TD/ZD断面)を有する超薄切片を採取した。下記条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて前記超薄切片の断面を観察した。なお、この時、環状オレフィン系樹脂は、ポリプロピレン樹脂よりも黒く染まる。
・装置:(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(TEM)HT7700
・加速電圧:100kV
・観察倍率:2,000倍
採取した断面TEM像のA層部分に、一対の辺が厚み方向に1μm、厚み方向と直交する方向に2μmの長方形を定めた2μmの四方で囲んだ長方形を描き、当該長方形において厚み方向と平行な一対の辺を通過する環状オレフィン系樹脂のドメイン数をカウントした。同様の測定を画像内の長方形の位置を変えて合計10回行って得られたドメイン数の平均値を算出し、A層における厚み方向と平行な一対の辺を通過する環状オレフィン樹脂のドメイン数(個/2μm)とした。なお、断面X内に一対の辺が厚み方向に1μm、厚み方向と直交する方向に2μmの長方形を定めるにあたっては、当該長方形の底辺は海部分に設定するものとし、底辺と対向する辺上にドメインが位置する場合は、これは無いものと見なして個数としてはカウントしないこととした。また、くびれ部のあるドメインについても、連結したドメインとして扱った。
(12)樹脂およびフィルムの降温結晶化温度(Tmc)
JIS7121-1987に準じて測定した。まず、示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのフィルムを30℃から260℃まで20℃/分の条件で昇温し、次いで、260℃で5分間保持した後、20℃/分の条件で30℃まで降温した。降温過程で得られる発熱ピークのピーク温度を計測した。本実施例ではn=3の測定を行った前記ピーク温度の平均値をフィルムの降温結晶化温度(Tmc)とした。1度の測定において前記発熱ピークが複数見られる場合は、ピーク温度が最も高い発熱ピークのピーク温度を当該測定のピーク温度とした。
(13)長手方向の厚み斑
ポリプロピレンフィルムの任意の場所から長手方向200mm、幅方向20mmとなるように切り出し試料とし、接触式の膜厚計株式会社ミツトヨ社製ライトマチックVL-50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。厚み測定位置は、長手方向については、試料の幅方向中央部において1mm間隔で100ヶ所とした。長手、幅方向それぞれにおいて最大値、最小値、100ヶ所の平均値より、下記式より厚み斑を求めた。
厚み斑(%)=((厚み最大値-厚み最小値)/100ヶ所の厚み平均値)×100
(14)フィルムコンデンサの容量密度
コンデンサ素子10個の容量をキーサイトテクノロジー製E4980AプレシジョンLCRメーターにて、周波数1kHz、雰囲気温度23℃でJIS C 4908:2007に従い計測し、10個のコンデンサ素子の平均値を素子容量とした。続いて、それぞれのコンデンサ素子の体積をキーエンス製VL-500 3Dスキャナ型三次元測定機により計測し、素子体積とした。得られた値から、各素子について次式にしたがい容量密度を算出し、10個のコンデンサ素子の平均値を測定値として採用した。なお、ここで素子体積とは、外装材、メタリコン、リールを含まない、蒸着フィルムを巻回した部分の体積とした。
容量密度(μF/cm)=素子容量(μF)/素子体積(cm)。
(15)フィルムコンデンサの135℃での耐電圧
コンデンサ素子10個を用いて、135℃高温下でコンデンサ素子に150VDCの電圧を印加し、該電圧で10分間経過後にステップ状に50VDC/1分で徐々に印加電圧を上昇させることを繰り返す所謂ステップアップ試験を行った。ステップアップ試験において、静電容量変化を測定しグラフ上にプロットし、該容量が初期値の75%になった電圧をフィルムコンデンサの135℃での耐電圧として記録した。
(16)フィルムコンデンサ性能評価
<寿命評価>
コンデンサ素子10個を用いて、135℃高温下でコンデンサ素子に750VDCの電圧を印加し、100時間ごとに取り出して容量を測定した。該容量が初期値の90%以下となった時間を求め、コンデンサ素子10個の平均値を算出したものを寿命とし、以下の基準で評価した。Aは使用可能であること、Bは実用上の性能に劣ること、Cは使用困難なことをそれぞれ意味する。
A:寿命が3000時間以上である。
B:寿命が3000時間より小さく、2000時間以上である。
C:寿命が2000時間より小さい。
<素子体格評価(小型化の指標)>
コンデンサ素子10個の体積をキーエンス製VL-500 3Dスキャナ型三次元測定機により計測し、平均値を素子体積として以下の基準で評価した。A、Bは使用可能であり、Cは実用上の性能に劣ることをそれぞれ意味する。なお、ここでいう素子体積は「(14)フィルムコンデンサの容量密度」の測定で用いたものと同じである。
A:素子体積が80cm以下である。
B:素子体積が80cmより大きく、160cm以下である。
C:素子体積が160cmより大きい。
[樹脂等]
各実施例及び比較例におけるポリプロピレンフィルムの製造には、以下の樹脂等を使用した。
<ポリプロピレン樹脂>
ポリプロピレン樹脂1:
メソペンタッド分率が0.984、融点が168℃、メルトフローレート(MFR)が2.2g/10分であるホモポリプロピレン。
ポリプロピレン樹脂2:
メソペンタッド分率が0.982、融点が167℃、メルトフローレート(MFR)が2.2g/10分であるホモポリプロピレン。
ポリプロピレン樹脂3
メソペンタッド分率が0.972、融点が166℃、メルトフローレート(MFR)が2.2g/10分であるホモポリプロピレン。
ポリプロピレン樹脂4:
メソペンタッド分率が0.970、融点が166℃、メルトフローレート(MFR)が3.3g/10分であるホモポリプロピレン(Borealis AGの“Borclean”(登録商標)HC300BF)。
分岐鎖状ポリプロピレン(B1):メルトフローレート(MFR)が2.4g/10分である分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(Borealis AGの“Daploy”(登録商標)WB135HMS)。
<ポリプロピレン樹脂以外の成分>
環状オレフィン系樹脂(C1):
ポリプラスチックス製“TOPAS”(登録商標)6013F-04(エチレンとノルボルネンを共重合させた樹脂(COC)であり、ガラス転移温度が138℃、非晶性)
環状オレフィン系樹脂(C2):
ポリプラスチックス製“TOPAS”(登録商標)6017S-04(エチレンとノルボルネンを共重合させた樹脂(COC)であり、ガラス転移温度が178℃、非晶性)
酸化防止剤:
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製“IRGANOX”(登録商標)1010。
<環状オレフィン系樹脂予備混練原料>
原料(A1):
ポリプロピレン樹脂1が69.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が30質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A1)とした。
原料(A2-1):
ポリプロピレン樹脂2が69.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が30質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A2-1)とした。
原料(A2-2):
ポリプロピレン樹脂2が54.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が45質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A2-2)とした。
原料(A3)
ポリプロピレン樹脂3が69.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が30質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A3)とした。
原料(A4):
ポリプロピレン樹脂4が54.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が45質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A4)とした。
原料(A5):
ポリプロピレン樹脂2が54.5質量部、環状オレフィン系樹脂(C2)が45質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(A5)とした。
<分岐鎖状ポリプロピレン予備混練原料>
原料(D1):
ポリプロピレン樹脂1が89.5質量部、分岐鎖状ポリプロピレン(B1)が10質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(D1)とした。
原料(D2):
ポリプロピレン樹脂2が89.5質量部、分岐鎖状ポリプロピレン(B1)が10質量部、酸化防止剤が0.5質量部となるように各成分を混合し、260℃に設定した二軸押出機で混練押出した後、ストランドを水冷後チップ化して原料(D2)とした。
(実施例1)
原料(A2-1)が35質量部、ポリプロピレン樹脂2が64.6質量部、酸化防止剤が0.4質量部となるように各成分を混合し、A層用の単軸溶融押出機に供給した。併せて、ポリプロピレン樹脂2が50質量部、原料(D2)が50質量部になるよう各成分を混合し、をB層用の単軸溶融押出機に供給した。それぞれ温度260℃で溶融し、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロックを用いてB/A/Bの3層積層で積層厚み比が1/10/1(フィルム全厚みに対する内層A層の割合は83%)となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーをTダイより吐出させた。その後、エアーナイフにより溶融シートを90℃に保持されたキャスティングドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。該未延伸ポリプロピレンフィルムを複数のロール群にて段階的に145℃まで予熱し、引き続き155℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に5.4倍に延伸した。引き続き該フィルムをテンターに導き、フィルム幅手の両端部をクリップで把持したまま188℃の幅方向(TD)予熱温度(TD延伸温度より6℃高い。)で予熱し、次いで182℃のTD延伸温度で幅方向に10.4倍延伸した。さらに熱処理および弛緩処理として幅方向に10%の弛緩を与えながら175℃で熱処理を行い、テンターの外側へ導いてクリップを解放し、次いでフィルム表面(キャスティングドラム接触面側)に25W・分/mの処理強度で大気中にてコロナ放電処理を行い、ポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表1-2に示す。
(実施例2~5、8、比較例3、4)
原料処方を表1-1および表2-1に記載の原料処方とし、製膜条件を表1-2および表2-2に記載の製膜条件とした以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表1-2および表2-2に示す。なお、フィルム厚みの調整は押出機の吐出量の増減により行った(以下、他の実施例や比較例でも同じ。)。
(実施例6)
原料(A3)が10質量部、ポリプロピレン樹脂2が89.6質量部、酸化防止剤が0.4質量部となるように各成分を混合し、単軸溶融押出機に供給した。温度260℃で溶融し、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、その溶融ポリマーをTダイより吐出させた後、エアーナイフにより溶融シートを90℃に保持されたキャスティングドラム上に密着させて冷却固化し、他の製膜条件を表1-2に記載の製膜条件とした以外は実施例1と同様にしてA層のみからなるポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表1-2に示す。
(実施例7、比較例1、5)
原料処方を表1-1および表2-1の原料処方とし、製膜条件を表1-2および表2-2に記載の製膜条件とした以外は実施例6と同様にしてポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表1-2および表2-2に示す。なお、比較例5は未延伸フィルムであり、延伸~熱処理の工程は実施しなかった。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂4が79.6質量部、環状オレフィン系樹脂(C1)が20質量部、さらに酸化防止剤が0.4質量部となるように各成分をそれぞれ混合して260℃に設定した単軸の押出機に供給し、温度260℃で溶融した後、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去して溶融単層ポリマーをTダイより吐出させた。これを90℃に保持されたキャスティングドラム上で、エアーナイフにより密着させて冷却固化して未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。得られた未延伸ポリプロピレンフィルムを同時二軸延伸機に導き、フィルム幅手の両端部をクリップで把持したまま163℃で予熱後、長手方向に3.6倍、幅方向に8.2倍で同時二軸延伸した。次いで、熱処理および弛緩処理は行わず同時二軸延伸機の外側へ導いてフィルム端部のクリップ解放し、実施例1と同様にコロナ放電処理を行い、ポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表2-2に示す。
(比較例6~8)
原料処方を表2-1の原料処方とし、製膜条件を表2-2に記載の製膜条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例6は5.5μm、比較例7は3.5μm、比較例8は4.5μmのポリプロピレンフィルムを得ようとしたところ、いずれも破膜により製膜することができなかった。したがってフィルム特性、コンデンサ特性の評価ができなかったため、表2-2の当該項目の欄は斜線で示す。
(比較例9)
原料処方を表2-1の原料処方とし、製膜条件を表2-2に記載の製膜条件とした以外は比較例2と同様にしてポリプロピレンフィルムを得た。評価結果を表2-2に示す。
(実施例C1)
実施例2で得られたポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理を施した面に、(株)アルバック製真空蒸着機でアルミニウムを膜抵抗が20Ω/sqで蒸着を施した。蒸着の際、マスキングオイルにより長手方向に垂直な方向にマージン部を設けた、いわゆるT型マージン(長手方向ピッチ(周期)が17mm、ヒューズ幅が0.5mm)を有する蒸着パターンを施した蒸着フィルムC1Aと、T型マージンを有する蒸着パターンを施していないもの蒸着フィルムC1Bをそれぞれ作製した。前記蒸着フィルムC1A、C1Bをそれぞれスリットし、フィルム幅50mm(端部マージン幅2mm)の蒸着リールC1A、C1Bを得た。次いで、蒸着リールC1A、C1Bが交互に重なるようにして(株)皆藤製作所製素子巻機(KAW-4NHB)にてコンデンサ素子として仕上げた後の素子容量が10μFとなるようにコンデンサ素子を巻き取り、メタリコンを施した後、減圧下、128℃の温度で12時間の熱処理を施し、リード線を取り付けコンデンサ素子に仕上げた。得られたコンデンサ素子の評価結果を表3に示した。素子体格を格別に小型に保ったまま高い定格電圧を有するコンデンサ素子が得られた。
(実施例C2、比較例C1、比較例C2)
表3に記載のフィルムを使用した以外は、実施例C1と同様にしてコンデンサ素子を得た。実施例C2で得られたコンデンサ素子は素子体格を小型に保ったまま高い定格電圧のコンデンサ素子であった。比較例C1で得られたコンデンサ素子は、定格電圧は高いものの素子体格が大きく、実用上の性能に劣るコンデンサ素子であった。比較例C2で得られたコンデンサ素子は、素子体格は小型ではあるが定格電圧が低く、実用上の性能に劣るコンデンサ素子であった。
Figure 0007424517000001
Figure 0007424517000002
Figure 0007424517000003
Figure 0007424517000004
Figure 0007424517000005
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムコンデンサ用途、包装用途、離型用途、テープ用途など工業用途等に広く使用でき、特に高温環境での耐電圧特性・信頼性に優れることから、高温度・高電圧下で用いられるフィルムコンデンサ用途に好適に用いることができる。
1 断面Xの一部
2 海部分
3 島部分(ドメイン)
4 断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形
5 厚み方向と平行な一対の短辺

Claims (17)

  1. 23℃で測定した主配向方向の強度をF(A23)、23℃で測定した主配向直交方向の強度をF(B23)としたときに、F(A23)+F(B23)が120MPa以上1000MPa以下であり、150℃で測定した主配向方向の収縮率が-2.0%以上3.0%以下であり、かつガラス転移温度が125℃以上175℃以下の環状オレフィン系樹脂を含む、ポリプロピレンフィルム。
  2. 少なくとも一方の表面の展開面積比Sdrが0.002%以上0.050%以下である、請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂とポリプロピレン樹脂とを含む層(A層)を少なくとも1層有し、
    主配向方向及び厚み方向に平行な面で前記A層を切断したときの断面を断面Xとしたときに、前記断面X内に一対の短辺が厚み方向に平行となるように定めた1μm×2μmサイズの長方形において、前記一対の短辺を通過する前記環状オレフィン系樹脂のドメインが2個以上存在する、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 135℃で測定した絶縁破壊電圧が325V/μmを超え900V/μm以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  5. 厚みが0.50μm以上5.5μm以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  6. 150℃で測定したフィルムの主配向直交方向の収縮率が-2.0%以上4.0%以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  7. 全光線透過率が85%以上99.9%以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  8. 示差走査熱量測定によって測定される降温結晶化温度(Tmc)が110℃以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  9. 長手方向の厚み斑が0.001%以上15%以下である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  10. 請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を有する、金属膜積層フィルム。
  11. 請求項1に記載の金属膜積層フィルムを用いてなる、フィルムコンデンサ。
  12. 容量密度が1.1μF/cm以上18μF/cm以下である、請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  13. 135℃での耐電圧が0.60kV以上である、請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
  14. 請求項1に記載のフィルムコンデンサを有する、パワーコントロールユニット。
  15. 請求項1に記載のパワーコントロールユニットを有する、電動自動車。
  16. 請求項1に記載のパワーコントロールユニットを有する、電動航空機。
  17. 請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルムを用いてなる、包装材料。
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