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JP7406313B2 - 溶融混練成形加工用透明樹脂組成物及びその製造方法、並びに透明樹脂成形物 - Google Patents

溶融混練成形加工用透明樹脂組成物及びその製造方法、並びに透明樹脂成形物 Download PDF

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Description

本発明は、屈折率が制御されておりシリカフィラーを含有する溶融混練成形加工用透明樹脂組成物及びその製造方法、並びに透明樹脂成形物に関する。
従来から樹脂材料の機械的特性向上を目的としてシリカなどの無機物からなる粒子材料を分散させて樹脂組成物を製造することが行われている。得られた樹脂組成物は、高い機械的特性を示す。
ところで、透明性が要求される用途に応用される樹脂組成物についても機械的特性向上が望まれることがある。透明性が要求される用途に好適に用いられている樹脂としてはアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等がある。その場合に樹脂材料の屈折率や樹脂組成物に求められる屈折率に応じて分散させる粒子材料として適正な屈折率を有するものが求められる。
そして、透明性が要求される材料に樹脂組成物を応用する場合には屈折率の他にも満足すべき光学特性があり、従来技術にて得られる粒子材料以外の粒子材料を提供できるようにすることが望まれている。
シリカの屈折率はおおよそ一定であるため、屈折率を調節するためにシランカップリング剤により表面処理を行い屈折率を制御する技術が開示されている(特許文献1)。
特許文献1にて開示された技術により得られたシリカ粒子は粒径が2nmから100nmであり、一次粒子にまで分散されている粒子である。
特開2013-204029号公報
ここで、機械的特性向上を目的とする場合には粒径が大きい方が望ましいが、機械的特性向上のために粒径を大きくする場合、想定される光線の波長に対して無視できない大きさにまでシリカ粒子の粒径を大きくすると、ヘイズ値が上昇して光の透過性が低下する。
本出願人は、分散させるシリカ粒子について、光線の波長よりも充分に小さいものを凝集させた凝集物として透明樹脂中に分散させる発明を完成している。
ところで、樹脂成形加工の1つとして溶融混練成形が知られているが、溶融混練成形は、樹脂組成物を溶融状態で混練しながら加工することで樹脂成形物を製造する方法である。混練した樹脂組成物は、型内に充填したり(射出成形)、型から押し出したり(押出し成形)して所望の形状に成形する。混練時には樹脂組成物にせん断力が加えられる。透明性が要求される用途に好適に用いられている樹脂に対しても混練成形が行われることがある。混練成形時に加わるせん断力により凝集物が破壊されると、充分な機械的強度を実現できなくなるおそれがある。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、溶融混練成形に用いても機械的特性と光学特性が両立可能な従来とは異なる透明樹脂を得ることを目的として、溶融混練によりシリカフィラーを含有する透明樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。樹脂に混合したときに透明性を向上するためには光線透過量を向上することに加え、ヘイズ値を低下させる必要がある。ヘイズ値を低下させるためには含有させるシリカからなる粒子材料の粒径を光の波長よりも小さくすることが有効である。また、シリカ粒子の屈折率を表面処理により変化させるためにはシリカ粒子の粒径を光の波長に応じて小さくする必要がある。
しかしながら粒子材料の粒径を単純に小さくすると、樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物の機械的特性の向上が充分で無い場合が多くなった。
この二律背反を解消するために粒子材料として一次粒子の凝集体を採用した上で、凝集体を構成する一次粒子の粒径を小さくすることで、凝集体の粒径を大きくすることによる機械的特性向上と凝集体を構成する一次粒子の粒径を小さくすることによる光学特性の向上とが両立でき、更に凝集体としていることから樹脂材料中への分散性を向上できることを見出した。その場合にシランカップリング剤などのシラン化合物により表面処理を行うことにより有機被覆材料にて被覆することで屈折率の調整が出来ると共に樹脂材料中への分散性も更に向上できる。一次粒子の粒径を小さくしていることからシラン化合物にて表面処理を行って形成した有機被覆材料による光学的影響が少なくなり好適な光学特性が得られる。
そして、溶融混練成形時のせん断力に耐えるようにするために組み合わせられる有機透明樹脂のガラス転移点又は融点を80℃以上に制御する。
1.比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる無機粒子材料の凝集体からなる粉粒体である無機凝集体材料と、前記無機凝集体材料をシラン化合物で表面処理して被覆する有機物からなる有機被覆材料とを有する複合凝集粒子材料と、
前記複合凝集粒子材料を分散する有機透明樹脂とを有し、
前記有機被覆材料の質量は、前記無機凝集体材料及び前記有機被覆材料の質量の和を基準として0.8%以上80%以下であり、
成型後のガラス転移温度又は融点が80℃以上であり、押出板、押出管、真空成型品、圧空成型品、ブロー成型品、注型成型品、粉末成型品、及び射出成型品のうちの何れかに用いられる溶融混練成形加工用透明樹脂組成物。
本構成は、下記2.~5.のうちの1つ以上の構成要素を加えることが好ましい。
2.前記無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であって、0.05μm以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつ。
3.前記無機凝集体材料は、ゲル法シリカ、沈降シリカ、又はヒュームドシリカである。
4.前記有機物はSiO結合を介して前記無機粒子材料の表面に結合している。
5.前記有機物は1つ以上のSiOR基(Rは炭化水素基)をもつシラン化合物の縮合物である。
6.上記1.~5.の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物を製造する製造方法であって、
比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる前記無機凝集体材料の表面にシラン化合物を反応させて前記有機被覆材料を形成して前記複合凝集粒子材料にする有機被覆材料被覆工程と、
少なくとも有機透明樹脂のガラス転移温度/又は融点以上の温度で、前記複合凝集粒子材料と前記有機透明樹脂とを加熱溶融混練する加熱溶融混練工程と、
を有する溶融混練成形加工用透明樹脂組成物の製造方法。
7.上記1.~5.の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物を樹脂成型方法で成形して得られる透明樹脂成形物。
本発明の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物は以上の構成を有することから以下の作用効果を奏する。すなわち、所定の粒径をもつ一次粒子から構成され、その表面は有機被覆材料が被覆されていることから、充分な光学特性をもつ。そして、シリカからなる一次粒子は凝集させることで強固に結合しており、樹脂材料中に分散させることで溶融混練成形に好適な高い機械的特性を付与することが出来る。
本発明の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物及びその製造方法について、以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。本本明細書中において「透明樹脂」とは、目的の波長範囲内の光線を必要な割合で透過できる樹脂材料である。
本実施形態の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物は、有機透明樹脂中に分散された複合凝集粒子材料を有する。本発明のフィラーの屈折率を有機透明樹脂の屈折率にさえ合わせれば機械物性がよく透明な樹脂組成物が得られる。この透明樹脂組成物は加熱溶融混練により成形される。加熱溶融混練とは、加熱して流動性がある状態(ガラス転移温度又は融点以上の温度に加熱した状態)でせん断力を加えることを意味する。加熱溶融混練状態で行われる成形は、例えば射出成形や押出し成形などが該当する。
複合凝集粒子材料は、無機凝集体材料と有機被覆材料とをもつ粉粒体である。無機凝集体材料は、無機粒子材料の凝集体である。無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であることが好ましい。体積平均粒径の好ましい下限としては、0.05μm、0.1μm、0.5μmが例示でき、好ましい上限としては、10μm、100μm、500μmが例示できる。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。無機凝集体材料は、0.05μm以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつことが好ましい。頻度極大値を持つ範囲の好ましい下限としては、0.05μm、0.1μm、0.5μmが例示でき、好ましい上限としては、10μm、100μm、500μmが例示できる。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。体積平均粒径や頻度極大値の大きさをこれらの下限値以上にすることで有機透明樹脂中に分散させたときの機械的特性が向上でき、これらの上限値以下にすることで有機透明樹脂中に分散させたときの可撓性が向上できる。
無機粒子材料は、比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる粒子である。比表面積粒径は、窒素を用いたBET法により測定した比表面積から球相当径として算出した値である。凝集体については、粒子同士が点接触していると仮定して算出する。比表面積粒径の好ましい下限としては、1nm、5nm、10nmが採用でき、好ましい上限としては、30nm、50nm、70nmが採用できる。無機粒子材料の比表面積粒径がこれらの下限値以上にすることで有機透明樹脂中に分散させたときの機械的特性が向上でき、これらの上限値以下にすることで有機透明樹脂中に分散させたときの光学特性が向上できる。上限値と下限値とは任意に組み合わせ可能である。なお、比表面積粒径(d)の算出は、d=6/(ρS)により行う。ここでρは無機凝集体材料を構成するシリカの密度、Sは測定した比表面積である。
凝集体とする方法は特に限定しない。一次粒子となる無機粒子材料を湿式で製造した後、乾燥させることで通常は凝集体になることが多い。無機粒子材料としては、湿式法にて製造されるもの、乾式法にて製造されるものの何れでも良い。湿式法は、ケイ酸ナトリウムを原料とするものが汎用されており、湿式法で製造された無機粒子材料としては、ゲル法シリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカなどがある。特にゲル法シリカは、pHを急激に酸性にすることで一次粒子として小さな粒径をもつものが製造できると共に、形成された凝集体についても緻密なものが製造できるため好ましい。ゲル法シリカについては、得られた凝集体を粉砕することで目的の粒径をもつ無機凝集体材料を製造することができる。乾式法としては、ヒュームドシリカ、燃焼法、アーク法などが知られており、採用できる。
有機被覆材料は、無機凝集体材料の表面を被覆する。ここで、「被覆」とは無機凝集体材料の表面のうちの少なくとも一部に付着している状態を表しており、表面の全体を被覆した状態であることが好ましい。無機凝集体材料には、一次粒子である無機粒子材料が凝集することで内部(一次粒子間)に空孔が形成された形態となっており、有機被覆材料は内部に形成された空孔の表面についても被覆することが好ましい。
有機被覆材料は、複合凝集粒子材料全体(無機凝集体材料及び有機被覆材料の質量の和)の質量を基準として0.8%以上80%以下である。下限としては、0.8%、2%、5%が好ましく、上限としては、60%、70%、80%が好ましい。上限値と下限値とは任意に組み合わせ可能である。これらの下限以上にすることで充分な表面改質が実現でき、これらの上限値以下にすることで得られる複合凝集粒子材料の機械的特性が向上できる。
有機被覆材料は、SiO結合により無機凝集体材料の表面に結合することが好ましい。有機被覆材料を構成する材料としては特に限定しないが、ケイ素化合物からなることが好ましい。特に1つ以上のSiOR基をもつシラン化合物の縮合物であることが好ましく、
2つ以上のSiOR基をもつ有機シラン化合物の縮合物であることがより好ましい。なお、ここでRは炭化水素基(好ましくは炭素数が1,2程度)である。シラン化合物は、有機官能基をもつ。有機被覆材料は、シラン化合物を無機凝集体材料の表面と反応させて製造されたものが挙げられる。
シラン化合物がもつ有機官能基としては、炭化水素基(フェニル基などのアリール基、アルキル基、ビニル基など)、エポキシ基、アクリル基、チオール基、スルフィド基などが挙げられる。有機官能基を選択する指標としては、シリカと比べて屈折率が大きいか小さいか(大きければ反応させることで屈折率が大きくでき、小さければ屈折率が小さくできる)の他、分散される有機透明樹脂との親和性を考慮して選択される。シラン化合物としては特に多数のフェニル基を有することで屈折率が大きくなるトリフェニルメトキシシラン及びその縮合物が好ましい。
具体的には、有機透明樹脂の屈折率は一般的にシリカの屈折率より大きいことが多く、この場合フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルモノメトキシラン、トリフェニルモノエトキシシラン等アリール基を有する屈折率がシリカより大きいものを選択すればよい。又上述の中から二つ以上を組合わせた縮合物でもよい。
特にフェニル基を有するシラン化合物を用いることによって本発明のフィラーの屈折率を1.46から1.54の範囲内で調整できる。更にラジカル重合性のある官能基、例えばメタクリル基、アクリル基、スチリル基、ビニル基を有するシラン化合物;又はラジカル連鎖移動反応しやすい官能基、例えばチオール基、スルフィド基を有するシラン化合物を併用することよってフィラー表面と有機透明樹脂の間ラジカル反応を介して化学結合で結合され、得られる透明樹脂組成物の機械物性が一層向上する。
有機透明樹脂は、有機物からなる透明な樹脂である。例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等がある。その場合に樹脂材料の屈折率や樹脂組成物に求められる屈折率に応じて分散させる粒子材料として適正な屈折率を有するものが例示できる。
溶融混練成形加工用透明樹脂組成物のガラス転移温度又は融点は80℃以上であり、100℃以上、120℃以上、150℃以上であることがより好ましい。融点が高い方が溶融混練成形時の特性変化が少なくなる。ガラス転移温度、融点を変化させる方法としては、有機透明樹脂の種類を変更したり、無機凝集体材料を被覆する有機被覆材料の種類を変更したり、有機透明樹脂と有機被覆材料の存在比を変更することで実現できる。ガラス転移温度、融点が高い材料の存在比を高くすることでガラス転移温度、融点を高くすることができる。更に、無機凝集体材料の存在比を向上することでもガラス転移温度、融点を向上することができる。
本実施形態の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物の製造方法は、無機凝集体材料製造工程と有機被覆材料被覆工程と、得られた充填材としての無機凝集体材料を有機透明樹脂と加熱溶融混練する加熱溶融混練工程を有する。
無機凝集体材料の製造は、前述した無機粒子材料を凝集させて無機凝集体材料を製造する工程である。凝集させる方法としては特に限定しない。例えば、無機粒子材料を液体中で製造した後、乾燥させることで凝集させたり、乾燥状態の無機粒子材料を水などの液体中に分散させた後に乾燥させることで凝集させたりすることができる。特に水ガラスなどのケイ酸ナトリウムに対して急激に酸性にすることで粒径の小さな無機粒子材料が析出できるゲル法シリカの製造方法を採用すると、一次粒子である無機粒子材料の粒径を小さくできると共に得られた無機凝集体材料を緻密にすることができるため好ましい。得られた無機凝集体材料は必要な粒径になるように粉砕や分級により制御できる。
有機被覆材料被覆工程は、無機凝集体材料の表面に有機被覆材料を被覆して複合凝集粒子材料を得る工程である。無機凝集体材料の表面に、有機官能基をもつシラン化合物を反応させることで行うことができる。シラン化合物はそのまま、又は何らかの溶媒を利用した溶液として、無機凝集体材料の表面に噴霧・付着させて行うことができる。表面に付着させた後は加熱するなどして反応を完遂することが好ましい。シラン化合物としては特に限定されず、上述した化合物を採用することが出来る。
有機被覆材料被覆工程により得られた複合凝集粒子材料は、公知の方法で有機透明樹脂と溶融混練を行い、その温度以外は特に限定を受けることがない(加熱溶融混練工程)。例えば一軸或いは二軸ニーダーを用いることができる。また、相溶さえすれば二種類以上の樹脂を用いることもできる。相溶化材、酸化防止材、紫外線吸収材、老化防止材、熱安定材、離型材、着色材等の添加材を更に配合してもよい。加熱溶融混練工程を行う温度は、有機透明樹脂のガラス転位温度以上であるか、又は融点以上の温度で行う。
(屈折率の調整)
・複合凝集粒子材料の製造
比表面積が200m/g、比表面積粒径が13nmの乾式シリカ(凝集粒子の体積平均粒径8μm)に対して、アルコキシシラン化合物としてのフェニルトリメトキシシラン(有機官能基としてのフェニル基を有する:信越化学製、KBM-103)/アセトン=100質量部/200質量部の混合液を撹拌しながら添加した。表1中の有機物配合量は加水分解していない原料であるフェニルトリメトキシシランの質量部である。室温で一日熟成させて、混合物を防爆乾燥機に移し揮発分がなくなってから更に320℃、2時間反応させて試験例1から5の複合凝集粒子材料を得た。屈折率は屈折率が既知且つ異なる値を有する液体を任意に配合し複合凝集粒子材料を浸して、最も透明な液体の屈折率を複合凝集粒子材料の屈折率とした。結果を表1に示す。屈折率が既知且つ異なる値を有する液体は屈折率が高い液体と低い液体、且つ相溶する二種類の液体を混合することで調合でき、例えばブロモベンゼンとイソプロパノールでは屈折率が1.56から1.37までの屈折率の異なる液体を調合でき、混合液の屈折率をデジタル式屈折率計で測定し粉体の屈折率を算出できる。
Figure 0007406313000001
表1より明らかなように、比表面積粒径が13nmである一次粒子から構成された無機凝集体材料(凝集シリカ)を用いた試料1~5については表面に被覆された有機被覆材料の量を変化させることで屈折率を大きく変化させることが可能になった。今回の試験ではシリカよりも屈折率が大きいフェニル基を有するシラン化合物を採用したために有機被覆材料の量が大きくなるにつれて屈折率も大きくなったが、反対にシリカよりも屈折率が小さい有機被覆材料を構成できる有機官能基をもつシラン化合物を採用すれば屈折率を低下させることも可能であると考えられる。
(PMMA樹脂組成物)
試料1~4の複合凝集粒子材料と屈折率1.49のPMMA(ポリメタクリル酸メチル:有機透明樹脂に相当)とを溶融混合してフィラー含有樹脂組成物を作成した(加熱溶融混練工程)。複合凝集粒子材料とPMMAとの混合比は、質量比で1:4とした。
樹脂組成物をプレスにより厚さ1mmの板である試験試料1~4を作成した。各試験試料についてD線に対する光透過率を測定し、シリカ含有量が0である試験試料1を100とした時の相対値を表2にまとめた。
Figure 0007406313000002
表2より明らかなように、有機物含有量が大きくなるにつれて透過率も大きくなることが分かった。
(樹脂板剛性の評価)
試験試料1から4のシリカで得られた板を同寸法の短柵状のサンプルピースに切り取り、同じ変位に曲げる時の必要な力を測定した。シリカ添加量0のものを100とした時の相対値を表3にまとめた。
Figure 0007406313000003
表3より明らかなように、複合凝集粒子材料を含有させることで剛性が高くできることが分かった。
(PP樹脂組成物)
試料1~4の複合凝集粒子材料と屈折率1.48のPP(ポリプロピレン:有機透明樹脂に相当)とを溶融混合してフィラー含有樹脂組成物を作成した。PPの結晶成長を防ぐために0.3%の結晶核剤を配合した。複合凝集粒子材料とPPとの混合比は、質量比で1:4とした。
樹脂組成物をプレスにより厚さ1mmの板である試験試料1~4を作成した。各試験試料についてD線に対する光透過率を測定し、シリカ含有量が0である試験試料1を100とした時の相対値を表4にまとめた。
Figure 0007406313000004
表4より明らかなように、有機物含有量が大きくなるにつれて透過率も大きくなることが分かった。
(樹脂板剛性の評価)
試験試料1から4のシリカで得られた板を同寸法の短柵状のサンプルピースに切り取り、同じ変位に曲げる時の必要な力を測定した。シリカ添加量0のものを100とした時の相対値を表5にまとめた。
Figure 0007406313000005
表5より明らかなように、複合凝集粒子材料を含有させることで剛性が高くできることが分かった。
(DURABIO樹脂組成物)
試料1,3,4,5の複合凝集粒子材料と屈折率1.50のDURABIO(三菱化学製、D7360、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)が主原料のバイオエンジニアリングプラスチック:有機透明樹脂に相当)とを溶融混合してフィラー含有樹脂組成物を作成した。複合凝集粒子材料とDURABIOとの混合比は、質量比で1:4とした。
樹脂組成物をプレスにより厚さ1mmの板である試験試料1~4を作成した。各試験試料についてD線に対する光透過率を測定し、シリカ含有量が0である試験試料1を100とした時の相対値を表6にまとめた。
Figure 0007406313000006
表6より明らかなように、有機物含有量が大きくなるにつれて透過率も大きくなることが分かった。
(樹脂板剛性の評価)
試料1,3,4,5のシリカで得られた板を同寸法の短柵状のサンプルピースに切り取り、同じ変位に曲げる時の必要な力を測定した。シリカ添加量0のものを100とした時の相対値を表7にまとめた。
Figure 0007406313000007
表7より明らかなように、複合凝集粒子材料を含有させることで剛性が高くできることが分かった。なお、凝集シリカではなく一次粒子にまで分散しているシリカ粒子を用いた以外は試験例2と同じ操作を行って調製したサンプルピースについて剛性を測定したところ180であり凝集シリカを用いることで高い剛性が得られていることが裏付けられた。

Claims (7)

  1. 比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる無機粒子材料の凝集体からなる粉粒体である無機凝集体材料と、前記無機凝集体材料をフェニル基を有するシラン化合物で表面処理して被覆する有機物からなる有機被覆材料とを有する複合凝集粒子材料と、
    前記複合凝集粒子材料を分散する有機透明樹脂とを有し、
    前記有機被覆材料の質量は、前記無機凝集体材料及び前記有機被覆材料の質量の和を基準として0.8%以上80%以下であり、
    前記複合凝集粒子材料の屈折率は、1.46から1.54の範囲内であり、
    成型後のガラス転移温度又は融点が80℃以上であり、押出板、押出管、真空成型品、圧空成型品、ブロー成型品、注型成型品、粉末成型品、及び射出成型品のうちの何れかに用いられる溶融混練成形加工用透明樹脂組成物(前記複合凝集粒子材料の含有量が全体の質量を基準として1質量%以下のものを除く。)。
  2. 前記無機凝集体材料は体積平均粒径が0.05μm以上500μm以下であって、0.05μm以上500μm以下の範囲内に頻度極大値をもつ請求項1に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物。
  3. 前記無機凝集体材料は、ゲル法シリカ、沈降シリカ、又はヒュームドシリカである請求項1又は2に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物。
  4. 前記有機物はSiO結合を介して前記無機粒子材料の表面に結合している請求項1~3の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物。
  5. 前記有機物は1つ以上のSiOR基(Rは炭化水素基)をもつシラン化合物の縮合物である請求項1~4の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物を製造する製造方法であって、
    比表面積粒径が0.8nm以上80nm以下のシリカからなる前記無機凝集体材料の表面にフェニル基を有するシラン化合物を反応させて前記有機被覆材料を形成して前記複合凝集粒子材料にする有機被覆材料被覆工程と、
    少なくとも有機透明樹脂のガラス転移温度/又は融点以上の温度で、前記複合凝集粒子材料と前記有機透明樹脂とを加熱溶融混練する加熱溶融混練工程と、
    を有する溶融混練成形加工用透明樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1~5の何れか1項に記載の溶融混練成形加工用透明樹脂組成物を樹脂成型方法で成形して得られる透明樹脂成形物。
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