JP7400747B2 - 開口部の防水構造および遮水シート - Google Patents

Description

本発明は、ピット上側に設けられた開口部の防水構造および遮水シートに関する。

従来、ピット内への水の浸入を抑制するため、ピットの内壁面に沿って防水シートを設けた構造が知られている（例えば、特許文献１）。

また、特許文献１の構造にあっては、ピットの上側に設けられた開口部からピット内への水の浸入を抑制するため、当該開口部の蓋が、上蓋と当該上蓋の下に位置した内蓋とを有している。

実公平７－７３８９号公報

さらに、より確実に水の浸入を防止する必要がある場合には、内蓋の周縁にパッキンが設けられる構造が考えられる。しかしながら、そのような構造であっても、蓋に車両荷重が繰り返し作用することにより蓋と当該蓋を支持する部材との間の隙間が大きくなったり、パッキンが劣化したりすることによって、蓋からピット内への水漏れが生じ易くなる虞があった。

そこで、本発明の目的は、ピット上側に設けられた開口部における防水性能の信頼性をより高めることが可能な開口部の防水構造および遮水シートを提供すること、である。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る開口部の防水構造は、
（１）袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した遮水シートと、前記内周面と前記周壁との間をシールするシール構造と、を備えた開口部の防水構造であって、前記遮水シートは、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能である。

本発明の一態様に係る開口部の防水構造は、
（２）袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した遮水シートと、前記内周面と前記周壁との間をシールするシール構造と、を備えた開口部の防水構造であって、前記遮水シートは、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が当該開口部の蓋の閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能である。

（３）上記（１）の開口部の防水構造では、前記伸長状態において、前記水密ファスナは、地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置可能であってもよい。

（４）上記（２）の開口部の防水構造では、前記伸長状態において、前記水密ファスナは、前記閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置可能であってもよい。

（５）上記（１）～（４）のうちいずれかの開口部の防水構造では、前記伸長状態において、前記出入口の開口面積が、前記開口部の開口面積以上であってもよい。

（６）上記（５）の開口部の防水構造では、前記遮水シートは、幅が異なる複数の部位を有してもよい。

（７）上記（１）～（６）のうちいずれかの開口部の防水構造では、前記シール構造は、前記内周面に沿って横方向に延び、前記内周面上に取り付けられ、前記内周面とは反対側を向いた受圧面を有した受圧部材と、前記横方向に延び、前記受圧面との間に前記周壁を挟む押圧部材と、前記押圧部材を前記受圧部材に向けて押圧する押圧機構と、を有してもよい。

（８）上記（７）の開口部の防水構造は、前記受圧面と前記周壁との間に、水膨張シール材を備えてもよい。

（９）上記（８）の開口部の防水構造では、前記押圧部材は、前記横方向に延びる延部と、当該延部から突出した内向きフランジと、を有してもよい。

（１０）上記（１）～（９）のうちいずれかの開口部の防水構造は、前記内周面に設けられた第一引掛部と、前記遮水シートに設けられ前記収納状態において前記第一引掛部と引っ掛かる第二引掛部と、を備えてもよい。

（１１）上記（１０）の開口部の防水構造では、前記第二引掛部は、前記遮水シートの上端に設けられてもよい。

本発明の一態様に係る遮水シートは、
（１２）袋形状を有し、当該袋形状がピット上側に設けられた開口部内の下方に向けて開放された状態で当該開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した可撓性の遮水シートであって、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能である。

本発明の一態様に係る遮水シートは、
（１３）袋形状を有し、当該袋形状がピット上側に設けられた開口部内の下方に向けて開放された状態で当該開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した可撓性の遮水シートであって、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が当該開口部の蓋の閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能である。

本発明の開口部の防水構造および遮水シートによれば、ピット上側に設けられた開口部における防水性能の信頼性をより高めることができる。

図１は、実施形態の開口部の防水構造の例示的かつ模式的な縦断面図であって、遮水シートの伸長状態を示す図である。 図２は、実施形態の開口部の防水構造の例示的かつ模式的な縦断面図であって、図１とは直交した縦断面での遮水シートの伸長状態を示す図である。 図３は、実施形態の開口部の防水構造の例示的かつ模式的な平面図であって、遮水シートの伸長状態を示す図である。 図４は、実施形態の開口部の防水構造の例示的かつ模式的な縦断面図であって、図２と同じ縦断面での遮水シートの収納状態を示す図である。 図５は、実施形態の開口部の防水構造のシール構造の一部の例示的かつ模式的な平面図である。

以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果（効果）は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果（派生的な効果も含む）のうち少なくとも一つを得ることが可能である。

本明細書では、開口部１００が延びている方向を縦方向または上下方向と称し、当該縦方向と直交する方向を横方向と称する。各図中、Ｘ方向およびＹ方向は、横方向に沿い、Ｚ方向は、縦方向に沿っている。典型的には、Ｚ方向は、略鉛直上方であるが、これには限定されない。また、実施形態では、開口部１００のＺ方向と直交する断面の形状は、略長方形である。Ｘ方向は、当該長方形状の断面の長手方向であり、Ｙ方向は短手方向である。Ｘ方向、Ｙ方向、およびＺ方向は、互いに交差するとともに直交している。また、Ｚ方向は、上方向あるいは深さ方向の反対方向とも称されうる。

［実施形態］
図１は、ピット（不図示）の上側に設けられた開口部１００の防水構造１のＸ方向に沿う縦断面図であって、図３のI－I位置における断面図である。図２は、防水構造１のＹ方向に沿う縦断面図であって、図３のII－II位置における断面図である。また、図１，２は、いずれも、開口部１００の蓋２００が取り外された状態かつ遮水シート１０の伸長状態での断面図である。伸長状態は、展開状態とも称されうる。

開口部１００は、例えば、地表面Ｇに開口したマンホールである。また、ピットは、例えば、地面の下に設けられる凹部あるいは室である。当該ピット内には、例えば、被水を防ぐべき機器類が収容されている。地表面Ｇは、作業員が当該面上に立つかあるいは座って作業を行う面であり、作業面とも称されうる。地表面Ｇは、例えば道路面等である。なお、地表面Ｇと蓋２００の表面（上面）とは、面一でなくてもよい、すなわち、Ｚ方向にずれていてもよい。

開口部１００は、互いに略平行な平面状の一対の側面１００ａと、互いに略平行な平面状の一対の側面１００ｂと、によって囲まれた空間（穴）である。すなわち、開口部１００のＺ方向と直交する断面の形状は、略長方形状である。側面１００ａは、Ｚ方向およびＸ方向に沿い、側面１００ｂは、Ｚ方向およびＹ方向に沿っている。また、開口部１００の長手方向の幅Ｗ１ｘ（図１参照）は、短手方向の幅Ｗ１ｙ（図２参照）よりも大きい。なお、幅Ｗ１ｘは、側面１００ａの幅でもあり、幅Ｗ１ｙは、側面１００ｂの幅でもある。二つの側面１００ａおよび二つの側面１００ｂは、開口部１００の内周面を構成している。

開口部１００の上端には、蓋２００を支持する支持枠１１０が設けられている。支持枠１１０は、四角形状かつ枠状の形状を有している。支持枠１１０は、図１の断面および図２の断面ともに同じ形状を有している。支持枠１１０は、縦壁１１１、内向きフランジ１１２、外向きフランジ１１３、および蓋支持部１１４を有している。

縦壁１１１は、側面１００ａまたは側面１００ｂに沿っている。縦壁１１１は、板状であり、Ｚ方向に延びるとともに、Ｘ方向またはＹ方向に延びている。縦壁１１１は、全体として、角筒状の形状を有している。

内向きフランジ１１２は、縦壁１１１のＺ方向の反対側の端部、すなわち下側の端部から、側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向（以下、内向きと称する）に略沿って突出している。内向きフランジ１１２は、板状である。内向きフランジ１１２のうち、側面１００ｂからＸ方向またはＸ方向の反対方向に突出した部位は、当該Ｘ方向における略一定の幅でＹ方向に延びている。また、内向きフランジ１１２のうち、側面１００ａからＹ方向またはＹ方向の反対方向に沿って突出した部位は、当該Ｙ方向における略一定の幅でＸ方向に延びている。内向きフランジ１１２は、全体として、長方形状かつ枠状の形状を有している。

外向きフランジ１１３は、縦壁１１１のＺ方向の略中間位置から、内向きフランジ１１２とは反対側に突出している。外向きフランジ１１３は開口部１００の基礎ブロックと固定されており、これにより、支持枠１１０が開口部１００に固定されている。

蓋支持部１１４は、縦壁１１１のＺ方向の端部からＺ方向の反対方向に離れた位置で、内向きに突出した突壁１１４ａと、突壁１１４ａからＺ方向に向かうにつれて側面１００ａまたは側面１００ｂに近づく傾斜面１１４ｂと、を有している。傾斜面１１４ｂは、蓋２００の側面（外周面）に設けられた傾斜面と面し、当該蓋２００の傾斜面、ひいては蓋２００を、支持する。

開口部１００の開口面積は、開口部１００の開口端近傍、本実施形態では支持枠１１０およびその近傍において、最も狭い断面での開口面積と定義する。本実施形態では、一例として、開口部１００の開口面積は、支持枠１１０の内向きフランジ１１２における開口面積となる。すなわち、開口部１００の開口面積は、内向きフランジ１１２における開口のＸ方向の幅をＷ２ｘ（図１参照），Ｙ方向の幅をＷ２ｙ（図２参照）としたとき、Ｗ２ｘ×Ｗ２ｙに略等しい大きさである。

遮水シート１０は、防水性を有している。遮水シート１０の材料は、例えば、合成ゴムのようなエラストマである。また、遮水シート１０は、可撓性を有している。遮水シート１０は、図１，２に示されるような伸長状態と、図４に示されるような収納状態との間で変形可能である。

遮水シート１０は、袋状の膜である。すなわち、遮水シート１０は、袋形状を有している。遮水シート１０は、当該袋形状がＺ方向の反対方向、すなわち開口部１００内の下方に向けて開放された状態で、当該開口部１００の側面１００ａ，１００ｂに取り付けられている。本実施形態では、遮水シート１０の当該袋形状の開口、すなわちＺ方向の反対方向の開口の周縁部１１ａが、シール構造２０を介して、側面１００ａ，１００ｂに取り付けられている。シール構造２０によって支持される部位を除き、遮水シート１０には、穴は設けられていない。シール構造２０は、遮水シート１０の固定構造とも称されうる。

遮水シート１０は、周壁１１と、天壁１２と、を有している。周壁１１は、図１，２に示される伸長状態においては、Ｚ方向に延びている。また、周壁１１は、少なくとも開口部１００内、あるいは当該周壁１１のＺ方向の端部、すなわち下部において、側面１００ａ，１００ｂに沿って延びている。天壁１２は、図１，２に示される伸長状態においては、周壁１１のＺ方向の端部を覆い、Ｚ方向と交差するとともに略直交して広がっている。本実施形態では、天壁１２は、遮水シート１０の上部であるとともに、上端部である。

伸長状態において、天壁１２は、地表面Ｇあるいは開口部１００の蓋２００の閉位置よりも上方に位置している。ただし、これには限定されず、天壁１２は、地表面Ｇあるいは蓋２００の閉位置と略同じ位置に位置してもよい。

周壁１１は、遮水シート１０の下部から上部にかけて延びている。また、周壁１１の横方向の幅は、Ｚ方向の位置に応じて変化している。言い換えると、周壁１１は、幅が異なる複数の部位を有している。図１，２に示されるように、Ｘ方向に沿う断面およびＹ方向に沿う断面の双方において、遮水シート１０のＺ方向の端部の幅Ｗ３１ｘ，Ｗ３１ｙが最も大きく（広く）、かつ遮水シート１０のＺ方向の中間部の幅Ｗ３２ｘ，Ｗ３２ｙが最も小さい（狭い）。また、図１に示されるように、Ｘ方向に沿う断面において、遮水シート１０のＺ方向の反対方向の端部の幅Ｗ３３ｘは、幅Ｗ３１ｘと幅Ｗ３２ｘとの間の大きさであり、図２に示されるように、Ｙ方向に沿う断面において、遮水シート１０のＺ方向の反対方向の端部の幅Ｗ３３ｙは、幅Ｗ３１ｙと幅Ｗ３２ｙとの間の大きさである。すなわち、遮水シート１０は、Ｚ方向の中間部においてくびれている。ただし、このような幅の設定は、一例である。

また、図１から明らかとなるように、遮水シート１０の上端のＸ方向の幅Ｗ３１ｘは、開口部１００の開口のＸ方向の幅Ｗ２ｘよりも大きく、かつ図２から明らかとなるように、遮水シート１０の上端のＹ方向の幅Ｗ３１ｙは、開口部１００の開口のＹ方向の幅Ｗ２ｙよりも大きい。

遮水シート１０のＺ方向の端部、本実施形態では、一例として、周壁１１のＺ方向の端部には、水密ファスナ１３が設けられている。水密ファスナ１３は、周壁１１のＺ方向の端部において、Ｙ方向の反対側の部位（図１参照）、Ｘ方向の部位（図２参照）、およびＹ方向の部位（不図示）に渡って、Ｚ方向と直交する仮想平面に沿って、Ｕ字状に伸びている。なお、周壁１１のＹ方向の部位は、図２とは左右反対の形状を有している。

伸長状態において、水密ファスナ１３は、地表面Ｇあるいは蓋２００の閉位置よりも上側、すなわち開口部１００の外に露出している。ただし、これには限定されず、水密ファスナ１３は、伸長状態において、地表面Ｇあるいは蓋２００の閉位置と略同じ位置に位置してもよい。なお、遮水シート１０の伸長状態において、水密ファスナ１３は、遮水シート１０の上端に位置しているが、これには限定されない。

水密ファスナ１３は、線ファスナであって、複数のエレメントが間隔を空けて互い違いに設けられた二つのテープと、二つのテープをスライドするスライダと（いずれも不図示）、を有している。スライダを二つのテープに沿って動かすことにより、図１，２に示される閉状態と、図１に二点鎖線で示される開状態とが切り替わる。水密ファスナ１３は、閉状態では水の浸入を防ぐ。天壁１２および周壁１１のＺ方向の端部を含む部位は、遮水シート１０の蓋１４である。また、開状態では、テープ同士の離間により蓋１４が開放され、開口１３ａが形成される。このように、水密ファスナ１３は、遮水シート１０の上部に設けられた蓋１４を開閉可能とし、その開状態において、開口１３ａは、作業員または作業機械の出入口となる。なお、水密ファスナ１３は、天壁１２に設けられてもよいし、周壁１１と天壁１２との間の角部に設けられてもよい。

蓋１４の開放によって形成される開口１３ａの開口面積は、当該開口１３ａのＸ方向の幅をＷ４ｘ（図１参照）としたとき、Ｗ４ｘ×Ｗ３１ｙ（図２参照）に略等しい大きさである。上述したように、開口部１００の開口面積は、Ｗ２ｘ×Ｗ２ｙである。ここで、図１から明らかとなるように、Ｗ４ｘ＞Ｗ２ｘであり、図２から明らかとなるように、Ｗ３１ｙ＞Ｗ２ｙであるから、Ｗ４ｘ×Ｗ３１ｙ＞Ｗ２ｘ×Ｗ２ｙである。すなわち、蓋１４の開放によって形成される開口１３ａの開口面積（Ｗ４ｘ×Ｗ３１ｙ）は、開口部１００の開口面積（Ｗ２ｘ×Ｗ２ｙ）よりも大きい。

図３は、遮水シート１０の伸長状態における防水構造１の平面図である。図３に示されるように、天壁１２には、複数のフック１５が設けられている。図３に示されるように、本実施形態では、天壁１２には、四つのフック１５が設けられている。各フック１５は、ストラップ１５ａと、爪１５ｂと、を有している。ストラップ１５ａの一端には爪１５ｂが取り付けられ、ストラップ１５ａの他端は天壁１２に固定されている。なお、フック１５の数や位置は、図３の例には限定されない。

図４は、遮水シート１０の収納状態における防水構造１の図２と同じ位置での断面図である。図４に示されるように、蓋２００が閉じられた状態において、可撓性を有した遮水シート１０は、蓋２００に対してＺ方向の反対方向、すなわち蓋２００よりも下方の、開口部１００内の空間Ｓ内に収納される。収納状態は折りたたみ状態とも称されうる。

開口部１００の側面１００ａからは、アイボルト１１５が突出している。アイボルト１１５は、収納状態においてフック１５を引っ掛けることができるよう、設けられている。本実施形態では、一例として、アイボルト１１５は、支持枠１１０とシール構造２０との間に設けられている。収納状態において、フック１５がアイボルト１１５に引っ掛かることにより、遮水シート１０が開口部１００内で下方に大きく垂れ下がるのを抑制することができる。なお、アイボルト１１５の位置や数は、図４の例には限定されず、例えば、側面１００ｂから突出するように設けられてもよいし、支持枠１１０に設けられてもよい。アイボルト１１５は、第一引掛部の一例であり、フック１５は、第二引掛部の一例である。

遮水シート１０は、シール構造２０を介して、開口部１００に取り付けられている。シール構造２０は、遮水シート１０の周壁１１と側面１００ａ，１００ｂとの間をシールし、水の浸入を防ぐ。図５は、シール構造２０の一部をＺ方向に見た平面図（一部断面図）である。シール構造２０は、受圧部材２１と、押圧部材２２と、接着剤２３と、押圧機構２４と、水膨張シール材２５と、を有している。

受圧部材２１は、帯状かつ板状の形状を有している。受圧部材２１は、側面１００ａまたは側面１００ｂに沿って延びている。受圧部材２１は、Ｚ方向における略一定の幅、および受圧部材２１が沿う側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向における略一定の厚さを有している。受圧部材２１は、例えば、ステンレス鋼のような腐食し難い金属材料で作られる。

受圧部材２１は、防水性を有した接着剤２３を介して、側面１００ａまたは側面１００ｂに取り付けられている。接着剤２３は、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤である。

側面１００ａ，１００ｂ上では、複数の受圧部材２１が横方向（Ｘ方向またはＹ方向）に並んでもよいし、側面１００ａ，１００ｂ上に、それぞれ一つずつ、受圧部材２１が設けられてもよい。

受圧部材２１は、側面１００ａまたは側面１００ｂとは反対側に、受圧面２１ａを有している。受圧面２１ａは、Ｚ方向およびＸ方向またはＹ方向に延びた平面である。受圧面２１ａは、側面１００ａまたは側面１００ｂと略平行である。

受圧面２１ａ上には、水膨張シール材２５、遮水シート１０の周壁１１、および押圧部材２２が、この順に重ねられている。受圧面２１ａは、シール構造２０におけるシール面となる。受圧面２１ａを有する受圧部材２１を設けることにより、側面１００ａ，１００ｂがそのままシール面となる場合に比べて、より平坦な面を形成しやすくなり、シール性を向上しやすくなる。

押圧部材２２は、側面１００ａ，１００ｂに沿って、Ｘ方向またはＹ方向（横方向）に延びている。受圧部材２１は、例えば、ステンレス鋼のような腐食し難い金属材料で作られる。押圧部材２２は、延部２２ａと、内向きフランジ２２ｂと、を有している。

延部２２ａは、帯状かつ板状の形状を有している。延部２２ａは、側面１００ａまたは側面１００ｂに沿って延びている。また、延部２２ａは、Ｚ方向における略一定の幅、および当該押圧部材２２が沿う側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向における略一定の厚さを有している。

延部２２ａは、受圧部材２１および受圧面２１ａに対して、側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向に重なっている。延部２２ａは、側面１００ａまたは側面１００ｂと面する側に、押圧面２２ａ１を有している。押圧面２２ａ１は、Ｚ方向およびＸ方向またはＹ方向に延びた平面である。押圧面２２ａ１は、対向する受圧面２１ａと略平行であり、側面１００ａまたは側面１００ｂと略平行である。

内向きフランジ２２ｂは、延部２２ａから開口部１００の内側に向けて突出している。内向きフランジ２２ｂは、帯状かつ板状の形状を有している。内向きフランジ２２ｂは、延部２２ａが沿う側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向における略一定の幅、およびＺ方向における略一定の厚さを有している。

図４に示されるように、押圧部材２２において、内向きフランジ２２ｂは、延部２２ａのＺ方向の端部から内向きに突出している。すなわち、押圧部材２２の延び方向と直交する断面の形状は、略Ｌ字状の形状を有している。ただし、押圧部材２２の形状はこれには限定されず、内向きフランジ２２ｂは、例えば、Ｚ方向の反対方向の端部から内向きに突出してもよい。また、内向きフランジ２２ｂは、例えば、延部２２ａのＺ方向の中間位置から突出してもよい。この場合、押圧部材２２の延び方向と直交する断面の形状は、略Ｔ字状の形状を有することになる。このように、内向きフランジ２２ｂは、略Ｌ字状または略Ｔ字状の断面形状を有するように構成されることにより、曲げ剛性が高められている。

図５に示されるように、受圧部材２１の受圧面２１ａと、押圧部材２２の押圧面２２ａ１との間には、水膨張シール材２５と、遮水シート１０の周壁１１とが、挟まれている。水膨張シール材２５は、水を吸収することにより体積膨張するシール材である。本実施形態では、周壁１１に対して外側、すなわち周壁１１と側面１００ａまたは側面１００ｂとの間が被水領域となる。このため、水膨張シール材２５は、周壁１１と受圧部材２１との間に設けられる。なお、水膨張シール材２５は、シール構造２０のＺ方向の端部において、遮水シート１０と側面１００ａまたは側面１００ｂとの間を全体的に覆ってもよい。

押圧機構２４は、アンカボルト２４ａと、ナット２４ｂと、を有している。アンカボルト２４ａは、開口部１００の基礎ブロックに埋設され、側面１００ａまたは側面１００ｂから、当該側面１００ａまたは側面１００ｂの法線方向に突出している。アンカボルト２４ａは、スタッドボルトとも称されうる。アンカボルト２４ａは、受圧部材２１、遮水シート１０の周壁１１、および押圧部材２２の延部２２ａを、貫通している。すなわち、受圧部材２１、周壁１１、および延部２２ａには、図示されないが、開口として、貫通穴かあるいはＺ方向の反対方向に開放された切欠が設けられている。ナット２４ｂは、アンカボルト２４ａの先端側のねじに結合され、締め込まれることにより、受圧部材２１に近づき、延部２２ａを受圧部材２１に向けて押圧する。これにより、押圧面２２ａ１と受圧面２１ａとの間において、周壁１１の外面と水膨張シール材２５との間の面圧、および水膨張シール材２５と受圧面２１ａとの間の面圧を高めることができ、周壁１１と受圧部材２１との間を介した開口部１００内（下方）への水の浸入を、防止することができる。また、シール構造２０は、押圧機構２４の押圧によって、押圧部材２２と受圧部材２１との間に周壁１１を挟持し、これにより、遮水シート１０を開口部１００に固定している。なお、押圧機構２４は、これには限定されず、例えば、開口部１００の基礎ブロックに埋設されたナットと、当該ナットに結合され締め付けられるボルトと、を有してもよい。

シール構造２０は、複数の押圧部材２２を有している。本実施形態では、側面１００ａまたは側面１００ｂ上において、複数の押圧部材２２が横方向に並んでいる。また、本実施形態では、側面１００ａと側面１００ｂとの間の角部には、側面１００ａに面する部分と側面１００ｂに面する部分とを有したＬ字状の押圧部材２２が設けられている。

図５に示されるように、横方向に隣接する二つの受圧部材２１の境界Ｂ１と、横方向に隣接する二つの押圧部材２２の境界Ｂ２とは、互いに横方向にずれている。仮に、境界Ｂ１と境界Ｂ２とが側面１００ａの法線方向または側面１００ｂの法線方向に並ぶと、当該部位において、周壁１１の外面と水膨張シール材２５との間の面圧、および水膨張シール材２５と受圧面２１ａとの間の面圧が低下し、水漏れが生じ易くなる。この点、本実施形態では、境界Ｂ１と境界Ｂ２とが横方向にずれているため、面圧の低下によって水漏れが生じるのを、抑制することができる。

また、本実施形態では、互いに横方向に隣接する二つの受圧部材２１間の境界Ｂ１において、傾斜面同士が接するよう構成されている。図５の例では、側面１００ａに沿ってＸ方向に並ぶ二つの受圧部材２１間の境界Ｂ１において、側面１００ａの法線方向（Ｙ方向の反対方向）および境界Ｂ１を挟む二つの受圧部材２１が並ぶ横方向（Ｘ方向）に対して傾斜した傾斜面同士が接している。これにより、境界Ｂ１の近傍において受圧部材２１が変形しやすくなる分、押圧機構２４による押圧によって、境界Ｂ１において二つの受圧部材２１が接した状態が得られやすくなり、境界Ｂ１におけるシール性をより高めることができる。なお、境界Ｂ１には、水膨張シール材２５が介在してもよい。

以上、説明したように、本実施形態では、遮水シート１０は、閉じられた蓋２００の下方に収納された収納状態と、伸長状態との間で変形可能である。伸長状態において、遮水シート１０の上端となる天壁１２は、地表面Ｇまたは蓋２００の閉位置よりも上方に位置する。あるいは、当該伸長状態において、天壁１２は、地表面Ｇまたは蓋２００の閉位置と略同じ位置に位置する。また、水密ファスナ１３は、遮水シート１０の上部を開閉可能とし、開状態において、作業員または作業機械の出入口を形成する。

また、本実施形態のように、水密ファスナ１３は、伸長状態において、地表面Ｇまたは蓋２００の閉位置よりも上方に位置してもよい。あるいは、当該伸長状態において、水密ファスナ１３は、地表面Ｇまたは蓋２００の閉位置と略同じ位置に位置してもよい。

このような構成において、遮水シート１０は、収納状態では、開口部１００の蓋２００の下方に収納されているため、例えば、車両荷重が直接作用したり、日光が直射したりすることによる遮水シート１０の劣化が抑制され、防水構造１における開口部１００の下方への防水の信頼性を向上することができる。また、遮水シート１０の伸長状態において、作業員は、遮水シート１０の上端および水密ファスナ１３が地表面Ｇあるいは蓋２００の閉位置よりも下方に位置する場合に比べて、より上方に位置する水密ファスナ１３を、より容易に、より迅速に、あるいはより安全に、開閉することができる。

また、本実施形態のように、出入口としての開口１３ａの開口面積は、開口部１００の開口面積以上であってもよい。

このような構成によれば、例えば、作業員や作業機械がより容易にあるいはより迅速に開口１３ａを通過することができるという利点が得られる。

また、本実施形態のように、遮水シート１０は、幅が異なる複数の部位を有してもよい。

このような構成によれば、例えば、遮水シート１０を、支持枠１１０やアイボルト１１５のような構造物と干渉し難くなる形状に、構成しやすい。よって、遮水シート１０が当該構造物との干渉によって損傷するのを抑制することができる。

また、本実施形態のように、シール構造２０は、受圧部材２１と、押圧部材２２と、押圧機構２４と、を有し、押圧機構２４により押圧部材２２を受圧部材２１に押圧し、受圧面２１ａを有した受圧部材２１と押圧部材２２との間に遮水シート１０の周壁１１を挟んでもよい。

このような構成によれば、例えば、シール構造２０におけるシール面として、側面１００ａ，１００ｂよりも平坦な受圧面２１ａを構成することができるため、シール構造２０における防水性をより高めやすい。

また、本実施形態のように、防水構造１は、受圧面２１ａと周壁１１との間に、水膨張シール材２５を有してもよい。

このような構成によれば、例えば、防水構造１における防水性をより高めることができる。

また、本実施形態のように、押圧部材２２は、横方向に延びる延部２２ａと、当該延部２２ａから突出した内向きフランジ２２ｂと、を有してもよい。

このような構成によれば、例えば、押圧機構２４の押圧などによる押圧部材２２の変形を抑制し、当該変形による周壁１１の外面と水膨張シール材２５との間の面圧、や水膨張シール材２５と受圧面２１ａとの間の面圧の低下を抑制して、ひいては、防水構造１における防水性の低下を抑制することができる。

また、本実施形態のように、防水構造１は、アイボルト１１５（第一引掛部）と、遮水シート１０に設けられ収納状態においてアイボルト１１５と引っ掛かるフック１５（第二引掛部）と、を備えてもよい。

このような構成によれば、例えば、収納状態において遮水シート１０が下方に大きく垂れ下がるのを抑制することができる。

また、本実施形態のように、フック１５は、遮水シート１０の上端としての天壁１２に設けられてもよい。

このような構成によれば、例えば、収納状態において遮水シート１０が下方により大きく垂れ下がるのを抑制することができる。

以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック（構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等）は、適宜に変更して実施することができる。

例えば、開口部の断面形状は、長方形状には限定されず、例えば、正方形状や、円形状のような、他の形状であってもよい。

１…防水構造
１０…遮水シート
１１…周壁
１１ａ…周縁部
１２…天壁（上端）
１３…水密ファスナ
１３ａ…開口
１４…蓋
１５…フック（第二引掛部）
１５ａ…ストラップ
１５ｂ…爪
２０…シール構造
２１…受圧部材
２１ａ…受圧面
２２…押圧部材
２２ａ…延部
２２ａ１…押圧面
２２ｂ…内向きフランジ
２３…接着剤
２４…押圧機構
２４ａ…アンカボルト
２４ｂ…ナット
２５…水膨張シール材
１００…開口部
１００ａ，１００ｂ…側面（内周面）
１１０…支持枠
１１１…縦壁
１１２…内向きフランジ
１１３…外向きフランジ
１１４…蓋支持部
１１４ａ…突壁
１１４ｂ…傾斜面
１１５…アイボルト（第一引掛部）
２００…蓋
Ｂ１，Ｂ２…境界
Ｇ…地表面
Ｓ…空間
Ｗ１ｘ，Ｗ１ｙ…幅
Ｗ２ｘ，Ｗ２ｙ…幅
Ｗ３１ｘ，Ｗ３１ｙ，Ｗ３２ｘ，Ｗ３２ｙ，Ｗ３３ｘ，Ｗ３３ｙ…（遮水シートの）幅
Ｗ４ｘ…（開口の）幅

Claims (13)

1. 袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した遮水シートと、
   前記内周面と前記周壁との間をシールするシール構造と、
   を備えた開口部の防水構造であって、
   前記遮水シートは、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能な、開口部の防水構造。
2. 袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した遮水シートと、
   前記内周面と前記周壁との間をシールするシール構造と、
   を備えた開口部の防水構造であって、
   前記遮水シートは、前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が当該開口部の蓋の閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能な、開口部の防水構造。
3. 前記伸長状態において、前記水密ファスナは、地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置可能である、請求項１に記載の開口部の防水構造。
4. 前記伸長状態において、前記水密ファスナは、前記閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置可能である、請求項２に記載の開口部の防水構造。
5. 前記伸長状態において、前記出入口の開口面積が、前記開口部の開口面積以上である、請求項１～４のうちいずれか一つに記載の開口部の防水構造。
6. 前記遮水シートは、幅が異なる複数の部位を有している、請求項５に記載の開口部の防水構造。
7. 前記シール構造は、
   前記内周面に沿って横方向に延び、前記内周面上に取り付けられ、前記内周面とは反対側を向いた受圧面を有した受圧部材と、
   前記横方向に延び、前記受圧面との間に前記周壁を挟む押圧部材と、
   前記押圧部材を前記受圧部材に向けて押圧する押圧機構と、
   を有した、請求項１～６のうちいずれか一つに記載の開口部の防水構造。
8. 前記受圧面と前記周壁との間に、水膨張シール材を備えた、請求項７に記載の開口部の防水構造。
9. 前記押圧部材は、前記横方向に延びる延部と、当該延部から突出した内向きフランジと、を有した、請求項８に記載の開口部の防水構造。
10. 前記内周面に設けられた第一引掛部と、
    前記遮水シートに設けられ前記収納状態において前記第一引掛部と引っ掛かる第二引掛部と、
    を備えた、請求項１～９のうちいずれか一つに記載の開口部の防水構造。
11. 前記第二引掛部は、前記遮水シートの上端に設けられた、請求項１０に記載の開口部の防水構造。
12. 袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した可撓性の遮水シートであって、
    前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が地表面と略同じ位置かあるいは当該地表面よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能な遮水シート。
13. 袋形状を有し、当該袋形状が下方に向けて開放された状態でピット上側に設けられた開口部の内周面に取り付けられた遮水シートであって、当該遮水シートの少なくとも下部において前記内周面に沿う周壁と、当該遮水シートの上部を開閉可能とし開状態では作業員または作業機械の出入口を形成し閉状態では水の浸入を防ぐ水密ファスナと、を有した可撓性の遮水シートであって、
    前記開口部の蓋の下方に収納された収納状態と、前記開口部の蓋が取り外され当該遮水シートの上端が当該開口部の蓋の閉位置と略同じ位置かあるいは当該閉位置よりも上方に位置する伸長状態と、の間で変形可能な遮水シート。

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