JP7398288B2 - 押出成形用組成物、そのフィルム、及び、フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]示差走査熱量計(DSC)で求められる融点が290℃以上である半芳香族ポリアミドと、該半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.5~4.0質量部のカルボン酸アミド系ワックスと、前記半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.1~1.0質量部の有機系熱安定剤とを含有し、前記半芳香族ポリアミドが亜リン酸を含有する押出成形用組成物。
[2]前記半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位として、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つを含み、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つを含む上記[1]に記載の押出成形用組成物。
[3]前記ジアミン単位の60モル%以上100モル%以下が、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つであり、前記ジカルボン酸単位の60モル%以上100モル%以下が、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つである、上記[2]に記載の押出成形用組成物。
[4]前記有機系熱安定剤が、ヒンダードフェノール系熱安定剤及びアミン系熱安定剤のうち少なくとも一つである上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の押出成形用組成物。
[5]前記有機系熱安定剤が、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、及び、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンのうち少なくとも一つである上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の押出成形用組成物。
[6]前記カルボン酸アミド系ワックスを、前記半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.5~2.0質量部含む、上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の押出成形用組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の押出成形用組成物の押出成形品であるフィルム。
[8]上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の押出成形用組成物を溶融押出してフィルムを得る、フィルムの製造方法。
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「~単位」(ここで「~」は単量体を示す)とは「~に由来する構成単位」を意味し、例えば「ジカルボン酸単位」とは「ジカルボン酸に由来する構成単位」を意味し、「ジアミン単位」とは「ジアミンに由来する構成単位」を意味する。
本明細書において、各構造単位に関して「由来する」とは、前記単量体が重合するのに必要な構造の変化を受けたことを意味する。
本発明の押出成形用組成物は、示差走査熱量計(DSC)で求められる融点が290℃以上である半芳香族ポリアミドと、該半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.5~4.0質量部のカルボン酸アミド系ワックスと、前記半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.1~1.0質量部の有機系熱安定剤と、を含有し、前記半芳香族ポリアミドが亜リン酸を含有する。
上記押出成形用組成物は、溶融状態での滞留時間の長い押出成形においても分解や増粘が抑制され、成形加工性に優れた押出成形用組成物とすることができる。そして、当該押出成形用組成物を用いて押出成形を行う場合に、押出成形用組成物のゲル化に起因する欠点の発生が抑制され、さらに押出成形中に色調の変化が生じ難いため、品質に優れた押出成形品を得ることができる。
以下、押出成形用組成物を構成する各成分について説明する。
本発明の押出成形用組成物に用いられる半芳香族ポリアミドは、ジアミン単位及びジカルボン酸単位を有する。また、上記半芳香族ポリアミドは、示差走査熱量計(DSC)で求められる融点が290℃以上である。詳細な融点の測定方法に関しては実施例において記載する。
ジアミン単位としては、例えばエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン;1,2-プロパンジアミン、1-ブチル-1,2-エタンジアミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-エチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐状脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルジアミン等の脂環式ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンに由来する構成単位が挙げられる。これらの構成単位は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
また、本発明の効果をさらに顕著にする観点からは、より好ましくはジアミン単位の60モル%以上100モル%以下、さらに好ましくはジアミン単位の70モル%以上100モル%以下が、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つである。
ジカルボン酸単位としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘプタンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸、シクロデカンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸に由来する構成単位が挙げられる。これらの構成単位は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
また、本発明の効果をさらに顕著にする観点から、より好ましくはジカルボン酸単位の60モル%以上100モル%以下、さらに好ましくはジカルボン酸単位の70モル%以上100モル%以下が、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つである。
半芳香族ポリアミドは、ジアミン単位として、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つを含み、かつ、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つを含んでいることが好ましい。
なお、ジアミン単位とジカルボン酸単位とのモル比は、原料のジアミンと原料のジカルボン酸との配合比(モル比)に応じて調整することができる。
押出成型用組成物に含まれる半芳香族ポリアミドには亜リン酸が含まれる。押出成型用組成物には、半芳香族ポリアミドを製造する際に重合触媒として使用した亜リン酸が含まれていてもよい。半芳香族ポリアミドに亜リン酸が含まれることで、押出成型用組成物の溶融状態における熱安定性をさらに向上させやすくなる。
亜リン酸は、例えば、半芳香族ポリアミドを調製する際に、半芳香族ポリアミドの原料とともに重合触媒として用いることにより、半芳香族ポリアミドに含有され、結果的に押出成型用組成物に含有させることができる。
半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸単位及びジアミン単位の他に、アミノカルボン酸単位をさらに含んでもよい。
アミノカルボン酸単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸などから誘導される構成単位が挙げられる。半芳香族ポリアミドにおけるアミノカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミドを構成するジカルボン酸単位とジアミン単位の合計100モル%に対して、40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミドは、本発明の効果を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸に由来する構成単位を、溶融成形が可能な範囲で含むこともできる。
半芳香族ポリアミドは、末端封止剤に由来する構成単位(末端封止剤単位)を含んでもよい。
末端封止剤単位は、ジアミン単位100モル%に対して、1.0モル%以上であることが好ましく、1.5モル%以上であることがより好ましく、また10モル%以下であることが好ましく、5.0モル%以下であることがより好ましい。末端封止剤単位の含有量が上記範囲にあると、所望する物性に優れた半芳香族ポリアミドが得られやすい。末端封止剤単位の含有量は、重合原料を仕込む際に末端封止剤の量を適宜調整することにより上記所望の範囲内とすることができる。なお、重合時に単量体成分が揮発することを考慮して、得られるポリアミドに所望量の末端封止剤単位が導入されるように末端封止剤の仕込み量を微調整することが望ましい。
半芳香族ポリアミド中の末端封止剤単位の含有量を求める方法としては、例えば、特開平7-228690号公報に示されているように、溶液粘度を測定し、これと数平均分子量との関係式から全末端基量を算出し、ここから滴定によって求めたアミノ基量とカルボキシル基量を減じる方法や、1H-NMRを用い、ジアミン単位と末端封止剤単位のそれぞれに対応するシグナルの積分値に基づいて求める方法などが挙げられ、後者が好ましい。
押出成形用組成物に用いる半芳香族ポリアミドの融点(Tm)は、290℃以上であり、好ましくは300℃以上である。半芳香族ポリアミドの融点の上限に特に制限はないが、成形性等の観点から、330℃以下であることが好ましい。半芳香族ポリアミドの融点が290℃未満であると、当該半芳香族ポリアミドを用いて製造される押出成形用組成物の溶融状態の熱安定性が不十分となるおそれがある。
半芳香族ポリアミドの融点は、示差走査熱量分析(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度として求めることができ、より具体的には後述する実施例に記載した方法により求めることができる。
半芳香族ポリアミドは、分子鎖中に芳香環が導入されていることに起因して概して融点が高いものであるが、半芳香族ポリアミドの融点を290℃以上とするためには、例えば、半芳香族ポリアミドの繰り返し構造単位当りのメチレン鎖の数を減らすことにより、融点を高くすることで実現することができる。
半芳香族ポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができ、例えばジカルボン酸とジアミンとを原料とする、溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法等の方法により製造することができる。これらの中でも、重合中の熱劣化をより良好に抑制することができるなどの観点から、固相重合法であることが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、亜リン酸とともに、例えば、リン酸、次亜リン酸、又は、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸の塩もしくはエステル等を用いてもよい。上記の塩又はエステルとしては、例えば、リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸と、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。
押出成形用組成物に含まれるカルボン酸アミド系ワックスとしては、高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの反応によって得られるカルボン酸アミド系ワックスが挙げられる。上記の高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの反応は脱水反応である。
上記の高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸、ジアミンは任意に組み合わせることができる。
本発明の半芳香族ポリアミド組成物に含まれる有機系熱安定剤としては、公知の化合物を使用することができるが、ヒンダードフェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤、及び、アミン系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ヒンダードフェノール系熱安定剤及びアミン系熱安定剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-へキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などが挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系熱安定剤の中でも、特に3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
アミン系熱安定剤としては、例えば4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、4-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(フェニルアセトキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-フェノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(エチルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(フェニルカルバモイルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)テレフタレート、1,2-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)エタン、α,α’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)-p-キシレン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)トリレン-2,4-ジカルバメート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレン-1,6-ジカルバメート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ベンゼン-1,3,4-トリカルボキシレート、1-[2-{3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-3,9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
上記アミン系熱安定剤の中でも、特に4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが好ましい。
リン系熱安定剤としては、例えばリン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル-テトラトリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12~C15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1~C15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス(4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル))・1,6-ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4,4’-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3-ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2-メチレンビス(3-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスファイト、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
上記リン系熱安定剤の中でも、特にペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
上記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物の中でも、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-アミル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2、6-ジ-tert-オクチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがより好ましい。
硫黄系熱安定剤としては、例えばジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、2-メルカプトベンズイミダゾール、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,4’-チオジプロピオネート、2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]-1,3-プロパンジイルエステルなどが挙げられる。
本発明の押出成形用組成物には、上述した半芳香族ポリアミド、カルボン酸アミド系ワックス、及び、有機系熱安定剤以外にその他の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
(メルトフローレート)
押出成形時の押出機内での滞留を抑制させること、および押出成形品の生産安定性、生産速度向上の観点から、押出成形用組成物に含まれる半芳香族ポリアミドの融点より20℃程度高い温度に加熱したシリンダー状の容器に充填し、4分間保持した後、シリンダーから押し出すことによって測定される溶融粘度は、例えば、その下限値が、20g/10min以上であることが好ましく、また、その上限値は70g/10min以下であることが好ましく、50g/10min以下であることがより好ましい。
押出成形用組成物の溶融粘度は、具体的には後述する実施例に記載の方法によって測定される。
押出成形用組成物を溶融状態にしたときに十分な熱安定性が保たれるようにする観点から、押出成形用組成物に含まれる半芳香族ポリアミドの融点より20℃程度高い温度に加熱したシリンダー状の容器に充填し、5分間及び60分間保持した後、シリンダーから押し出してストランド状のサンプルを作製し、各サンプルの重量平均分子量を求めて、前者に対する両者の差の割合で表される分子量変化率が、±10%以内であることが好ましく、±8%以内であることがより好ましく、±5%以内であることがさらに好ましい。
押出成形用組成物の溶融状態における分子量変化率は、具体的には後述する実施例に記載の方法によって測定される。
ポリアミド組成物の製造方法に特に制限はなく、半芳香族ポリアミド及び上記他の成分を均一に混合することのできる方法を好ましく採用することができる。混合は、通常、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを使用して溶融混練する方法が好ましく採用される。溶融混練条件は特に限定されないが、例えば、半芳香族ポリアミドの融点よりも10~50℃程度高い温度範囲で、約1~30分間溶融混練する方法が挙げられる。
(成形方法)
本発明の押出成形用組成物を用いて得られる押出成形品は、一般的な押出成形法によって得ることができる。押出成形は、耐圧性の型枠に入れられた溶融状態の材料に圧力を加えて押し出すことで任意の形状に加工する方法である。例えば、射出成形と比べて組成物に加わる圧力が低いため、押出成形においては概して材料が溶融状態のまま滞留しやすく、材料が変質を生じやすい状態に置かれることになる。本発明の押出成形用組成物は、溶融状態における熱安定性に優れているため、押出成形においても変質を生じにくく、欠点や色調変化が抑制された、優れた品質の押出成形品を得ることができる。
前記押出成形品としては、例えば、フィルム、シート、チューブ、モノフィラメント、マルチフィラメント、パイプ、丸棒、ワイヤ等の被覆などの形状の成形品が挙げられ、該成形品は自動車部品、工業材料、産業資材、電気電子部品、機械部品、事務機器用部品、家庭用品などの任意の部品に使用することができる。
本発明のフィルムの製造方法に特に制限はなく、半芳香族ポリアミド又はこれを含むポリアミド組成物を従来公知の方法により成形すればよい。成形方法としては、例えば、溶融押出法が好ましく挙げられる。溶融押出法は特に制限されず、当該技術分野において知られている溶融押出法によって行うことができ、例えば、Tダイ法やインフレーション法などを用いることができる。このとき、押出温度は半芳香族ポリアミドのTm+10℃以上370℃以下であることが好ましい。押出温度がTm+10℃以上であれば粘度が上昇して押出しできなくなることを回避しやすくなり、370℃以下であれば、半芳香族ポリアミドが分解しにくくなる。フィルムの厚みは、通常1~500μmであり、好ましくは5~200μmである。
フィルムの用途としては特に制限はなく、モーター、トランス、ケーブル等のための電気絶縁材料;コンデンサ用途等の誘電体材料;半導体パッケージ用等の電子部品包装材料;医薬品包装材料;レトルト食品等の食品包装材料;ディスプレイ用カバーウィンドウ、太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、表示機器等の保護板;LED実装基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル等の電子基板材料;FPC用カバーレイフィルム、耐熱マスキング用テープ、工業用工程テープ等の耐熱粘着テープ;耐熱バーコードラベル;耐熱リフレクタ―;各種離型フィルム;耐熱粘着ベースフィルム;写真フィルム;成形用材料;農業用材料;医療用材料;土木、建築用材料;濾過膜等;家庭用、産業資材用のフィルム等として、単独で、又は、ハードコート層などの他の層を積層した積層体として使用することができる。
実施例及び比較例で用いる半芳香族ポリアミドの融点は、株式会社日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量分析装置「DSC7020」を使用して測定した。
融点は、ISO11357-3(2011年第2版)に準拠して測定を行った。具体的には、窒素雰囲気下で、30℃から340℃へ10℃/分の速度で試料を加熱し、340℃で5分間保持して試料を完全に融解させた後、10℃/分の速度で50℃まで冷却し50℃で5分間保持した。再び10℃/分の速度で340℃まで昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度を融点(℃)とし、融解ピークが複数ある場合は最も高温側の融解ピークのピーク温度を融点(℃)とした。
実施例及び比較例で得られた押出成形用組成物の溶融粘度を320℃に加熱したメルトインデクサ(株式会社東洋精機製作所製「G-02」)のシリンダー内に充填し、4分間保持した後、2.16kgの荷重を加えてシリンダーから押し出した。押し出されているストランドを10秒間隔で3回切断し、得られたサンプルの重量を測定した。3つのサンプルの重量の平均値を算出し、以下の式(1)により溶融粘度を算出した。
(3つのサンプル重量の平均値)×60(g/10min)・・・式(1)
押出成形用組成物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリメチルメタクリレート換算分子量として求めた。具体的には、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)1kgに対して0.85gの割合でトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIP溶液を溶離液として用い、試料を樹脂換算で1.5mg計量し、3mLの上記溶離液に溶解させた。該溶液を0.4μmのメンブランフィルターを通すことによって測定サンプルを作製し、以下の条件において測定を行った。
(測定条件)
装置:HLC-8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel SuperHM-H(東ソー株式会社製)2本を直列に連結した。
溶離液:10mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/HFIP溶液
流速:0.5mL/分(リファレンスカラム:0.25mL/分)
サンプル注入量:30μL
カラム温度:40℃
標準ポリメチルメタクリレート:昭和電工株式会社Shodex Standard M-75,アジレント・テクノロジー株式会社Polymethlmethacrylate分子量1010 ポリメチルメタクリレート
検出器:UV(254nm)検出器
(分子量変化率)
実施例及び比較例で得られた押出成形用組成物を320℃に加熱したキャピログラフ(株式会社東洋精機製作所製「CAPIROGRAPH1C」)のシリンダー内に充填し、5分間及び60分間保持した後、ピストンによってシリンダーから押し出してストランド状のサンプルを得た。得られたサンプルを用いて上記の方法を用いて重量平均分子量を算出した。
5分間保持したサンプルの重量平均分子量(A)と60分間保持したサンプルの重量平均分子量(B)から、以下の式(2)により分子量変化率を求めた。
(((B)-(A))/(A))×100(%)・・・式(2)
(ストランドの状態)
上記熱安定性評価用サンプルの作製において、5分間保持したサンプルと60分間保持したサンプルのストランドの状態を目視で確認し、発泡の有無、着色の有無、異物の有無を確認した。
(フィルムの作製)
株式会社東洋精機製作所製のラボプラストミル(φ20mm、L/D=25、フルフライトスクリュー)を使用し、実施例及び比較例で得られた押出成形用組成物を用いて、その押出成形用組成物に含まれる半芳香族ポリアミドの融点よりも20~30℃高いシリンダー温度及びダイ温度で、Tダイ(幅150mm、リップ幅0.4mm)を用いて厚さ200μm±20μmのフィルムを作製した。
(欠点数)
上記の方法で作製したフィルムを300g切り出し、周辺のフィルム(正常部)の厚さと比較して100μm以上厚くなっている部分(異物部)の個数をカウントして欠点数とした。
(黄色度YI)
上記の方法で作製したフィルムの黄色度を、日本電色工業株式会社製の分光色彩計(SD7000)を用いてJIS K7373に従って測定した。黄色度は1.50以下であることが好ましく、1.30以下であることがさらに好ましく、0.9以下であってもよい。
(1)半芳香族ポリアミドの製造
半芳香族ポリアミド(1)
テレフタル酸7372g、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンの混合物[前者/後者=80/20(モル比)]7158g、安息香酸154g、亜リン酸7g(原料の総質量に対して0.05質量%)及び蒸留水5リットルを内容積40リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間撹拌し、2時間かけてオートクレーブ内部の温度を220℃に昇温した。なお、ジアミン単位とジカルボン酸単位とのモル比[ジアミン単位/ジカルボン酸単位]は50.5/49.5であった。この時、オートクレーブ内部の圧力は2MPaまで昇圧した。そのまま5時間、圧力を2MPaに保ちながら加熱を続け、水蒸気を徐々に抜いて反応させた。次に、30分かけて圧力を1.3MPaまで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。得られたプレポリマーを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の粒径まで粉砕した。これを230℃、13Pa(0.1mmHg)にて固相重合し、融点が300℃の半芳香族ポリアミド(1)を得た。
亜リン酸の代わりに次亜リン酸ナトリウム15g(原料の総質量に対して0.1質量%)を用いたこと以外は半芳香族ポリアミド(1)の製造と同様にして、融点が300℃の半芳香族ポリアミド(2)を得た。
熱安定剤、カルボン酸アミド系ワックス、及び、他の添加剤として、以下に示す市販の材料を用いた。
・熱安定剤(1)
「SUMILIZER GA-80」、住友化学株式会社製
ヒンダードフェノール系熱安定剤(3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)
・熱安定剤(2)
「NAUGARD 445」、Addivant製
アミン系熱安定剤(4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)
・熱安定剤(3)
「KG HS01-P」、PolyAd Services製
銅系熱安定剤
・カルボン酸アミド系ワックス(1)
「ライトアマイド WH-255」、共栄社化学株式会社製
ステアリン酸、セバシン酸及びエチレンジアミンの重縮合物
・カルボン酸アミド系ワックス(2)
「ライトアマイド WH-510K」、共栄社化学株式会社製
・その他の添加剤
「LICOWAX OP」、クラリアントケミカルズ株式会社製
モンタン酸のエステル化物及び水酸化カルシウムのけん化物の混合ワックス
半芳香族ポリアミド(1)と、熱安定剤(1)と、カルボン酸アミド系ワックス(1)とを表1に示す割合で予め混合した後、二軸押出機(STEER社製「MEGA32」)の上流部供給口に一括投入した。半芳香族ポリアミドの融点よりも20~30℃高いシリンダー温度で溶融混練して押出し、冷却及び切断してペレット状の押出成形用組成物1を製造した。
また、株式会社東洋精機製作所製のラボプラストミル(φ20mm、L/D=25、フルフライトスクリュー)及びTダイ(幅150mm、リップ幅0.4mm)を使用し、上記組成物1を用いて、押出成型用組成物1の融点よりも20~30℃高いシリンダー温度及びダイ温度で溶融押出し、厚さ200μm±20μmのフィルム1を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)の添加量を表1に示す割合に変えたこと以外は実施例1と同様にしてペレット状の押出成形用組成物2を製造した。また、組成物2を用いて実施例1と同様の手順でフィルム2を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)の代わりにカルボン酸アミド系ワックス(2)を表1に示す配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物3を製造した。また、組成物3を用いて実施例1と同様の手順でフィルム3を作製した。
熱安定剤(1)の代わりに熱安定剤(2)を表1に示す配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物4を製造した。また、組成物4を用いて実施例1と同様の手順でフィルム4を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)を用いず、その他の添加剤を表1に示す配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物C1を製造した。また、組成物C1を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC1を作製した。
熱安定剤(1)の代わりに熱安定剤(3)を表1に示す配合割合で用いたこと以外は比較例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物C2を製造した。また、組成物C2を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC2を作製した。
熱安定剤(1)の代わりに熱安定剤(3)を表1に示す配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物C3を製造した。また、組成物C3を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC3を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)を用いず、その他の添加剤を表1に示す配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット状の押出成形用組成物C4を製造した。また、組成物C4を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC4を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)の添加量を表1に示す割合に変えたこと以外は実施例1と同様にしてペレット状の押出成形用組成物C5を製造した。また、組成物C5を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC5を作製した。
カルボン酸アミド系ワックス(1)の添加量を表1に示す割合に変えたこと以外は実施例1と同様にしてペレット状の押出成形用組成物C6を製造した。また、組成物C6を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC6を作製した。
半芳香族ポリアミド(1)の代わりに半芳香族ポリアミド(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてペレット状の押出成形用組成物C7を製造した。また、組成物C7を用いて実施例1と同様の手順でフィルムC7を作製した。
また、実施例1~4の押出成形用組成物は、適正なメルトフローレートを示し、上述した方法により容易にフィルムを製造することが可能である。さらには、得られたフィルムには欠点が無く、黄色度も小さいことから、実施例1~4の押出成形用組成物を用いることにより、欠点の発生と色調の変化が抑えられた高品質なフィルムが得られることが分かる。それに対して比較例1、2及び7は、分子量変化率が大きく、溶融状態での熱安定性が低い。比較例3は、分子量変化率は小さいが、ストランドに発泡が生じており、熱安定性が低い。比較例4、5は、分子量変化率は小さいが、メルトフローレートが低く、フィルム製造時の装置にかかる負荷が大きくなる。比較例6はメルトフローレートが高すぎて、熱安定性を評価するための60分後のサンプルを得ることができなかった。
そして、実施例1~4及び比較例1~7で得た押出成形用組成物を用いてフィルムを作製した結果、比較例1~6の組成物を用いたときにはフィルムに欠点が確認されたが、実施例1~4の組成物を用いたときには欠点が無かった。また、実施例1~4の黄色度は比較例1~4に比べて小さいことから、実施例1~4の組成物を用いることにより、欠点の発生と色調の変化が抑えられた高品質なフィルムが得られることが分かる。
Claims (8)
- 示差走査熱量計(DSC)で求められる融点が290℃以上である半芳香族ポリアミドと、該半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.5~4.0質量部のカルボン酸アミド系ワックスと、前記半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.1~1.0質量部の有機系熱安定剤とを含有し、前記半芳香族ポリアミドが亜リン酸を含有する押出成形用組成物。
- 前記半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位として、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つを含み、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の押出成形用組成物。
- 前記ジアミン単位の60モル%以上100モル%以下が、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び、1,10-デカンジアミンのうち少なくとも一つであり、前記ジカルボン酸単位の60モル%以上100モル%以下が、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸のうち少なくとも一つである、請求項2に記載の押出成形用組成物。
- 前記有機系熱安定剤が、ヒンダードフェノール系熱安定剤及びアミン系熱安定剤のうち少なくとも一つである請求項1~3のいずれか一項に記載の押出成形用組成物。
- 前記有機系熱安定剤が、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、及び、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンのうち少なくとも一つである請求項1~4のいずれか一項に記載の押出成形用組成物。
- 前記カルボン酸アミド系ワックスを、前記半芳香族ポリアミド100質量部に対して0.5~2.0質量部含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の押出成形用組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の押出成形用組成物の押出成形品であるフィルム。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の押出成形用組成物を溶融押出してフィルムを得る、フィルムの製造方法。
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