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JP7389340B2 - 薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法 Download PDF

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本発明は、薄肉鋳片を連続鋳造する際に用いられる薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、この薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えた薄肉鋳片の製造装置、及び、薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置として、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置が提供されている。
また、一つの冷却ドラムを備えた単ドラム式連続鋳造装置や冷却ドラムとベルトとを備えたドラムベルト式連続鋳造装置も提供されている。
ここで、上述の薄肉鋳片の製造装置に用いられる冷却ドラムは、通常、ドラム本体と、このドラム本体の外周側に配設されるスリーブ体と、スリーブ体の外周面に形成されためっき層と、を備えた構造とされている。
スリーブ体は、熱伝導性に優れた金属(例えば銅又は銅合金)で構成されており、内部に冷却水路が形成されている。
めっき層は、上述のスリーブ体を保護する目的で形成されたものであり、ニッケルやコバルト等の硬質金属で構成されている。
このような冷却ドラムを使用した連続鋳造における問題の一つは、冷却ドラムが溶融金属によって加熱されて熱膨張して樽状に膨らむことによって、薄肉鋳片の形状不良となるとともに、冷却ドラムの回転軸に並行なバレル長方向(以下、これを幅方向と略記する)にわたる冷却速度が不均一となって、薄肉鋳片の表面に割れやしわなどの欠陥が発生することである。
この薄肉鋳片の形状に関する問題を解決するため、例えば特許文献1には、冷却ドラムに幅中央部が径方向内方に凹んだクラウンを付与することによって熱膨張を相殺する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1のように、外周面にクラウンが付与された冷却ドラムを使用して薄肉鋳片を鋳造した場合であっても、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度を全く均一化するには至らず、薄肉鋳片の表面に割れやしわが発生する場合があった。薄肉鋳片の表面割れやしわなどは製品品質を著しく損ねるため、それらを回避するためには多量のトリミングや表面研削などが必要となり、工程が複雑になるとともに歩留りが悪化するなどの問題が生じる。従って、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度をより均一化することが必要である。
薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度をより均一化するための従来の方法としては、例えば特許文献2,3に開示されているように、冷却水路を冷却ドラムの回転軸方向で複数の区画に区分し、区画毎で冷却能力を異にする方法が知られている。
しかしながら、冷却ドラム内部の冷却水量を調整する方法は装置が複雑になってコスト増となる。またさらに、冷却水路や冷却水量を細かく区分して調整しても、区画の界面での冷却差が避けられないため、幅方向にわたる溶融金属や冷却水の僅かな温度変化を補償する作用に限界がある。
また、例えば特許文献4,5に開示されているように、スリーブ体の肉厚を幅方向で変化させることで冷却速度を調整する方法が知られている。
しかしながら、スリーブ体の肉厚を幅方向に変化させると、スリーブ体の中央部の熱膨張が両端部より大きくなって 両端部に圧縮応力が加わり、スリーブの寿命を著しく損ねるため、スリーブ体の肉厚の幅方向の変化代には自ずと限界があり、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度を十分に均一化することができなかった。
ここで、本発明者らは、特許文献6において、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度が不均一化するメカニズムについて開示している。
すなわち、冷却ドラムのクラウン上で凝固シェルが形成される際に、凝固シェルは温度低下に伴って収縮するが、幅方向に対称すなわち両端から中央向けて収縮するため、鼓状の凝固シェルの両端部は冷却ドラムの周面から浮き上がってガスギャップが生じ、冷却ドラムへの抜熱が弱まり、冷却ドラムの両端部の冷却速度は幅中央部に比べて小さくなる。このとき、クラウンの凹弧状部において抜熱が顕著に弱まるため、クラウンの凹弧状部で凝固シェルの成長が特に遅滞し、薄肉鋳片の表面割れやしわなどの欠陥が発生する。
凝固シェルの成長を幅方向にわたって均一化するためには、冷却ドラムと凝固シェルの間に生じたガスギャップによる伝熱抵抗の増大を補償するように、冷却ドラムの幅方向にわたる冷却能力を調整することが肝要となり、かつ、ドラムクラウンの変化にならって鋳造ロールの幅方向にわたる冷却能力を滑らかに調整することが肝要となる。
そこで、特許文献6においては、スリーブ体の外周面に施されるめっき層の厚みを幅方向の中央部が厚く両端部に向けて薄くなる構造とし、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度を調整する方法が開示されている。
特開昭61-037354号公報 特開平01-186246号公報 特開平04-344852号公報 特開平02-142646号公報 特開平04-253551号公報 特開平09-271905号公報
しかしながら、特許文献6に記載された方法では、鋳造の進行につれてめっき層は劣化するため定期的に研削しなければならず、研削すると幅方向にわたるめっき層の厚み分布が変化するため、薄肉鋳片の幅方向にわたる冷却速度をめっき層の研削の前後で一定化することができない。そのため、場合により、前述の、薄肉鋳片の幅方向の冷却速度の不均一による薄肉鋳片の表面割れやしわが発生するおそれがあった。
また、幅方向の冷却能力に差をつけすぎると、めっき層とスリーブ体の界面に過剰な熱歪が発生し、当該界面の剥離や割れが発生するおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、外周面にクラウンが付与された冷却ドラムを使用して薄肉鋳片を連続鋳造する際に、薄肉鋳片の冷却速度を幅方向にわたって安定的に均一化し、薄肉鋳片の鋳造を安定して行うことが可能な薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、この薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えた薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムは、薄肉鋳片を連続鋳造する際に用いられる薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムであって、内部に冷却水路が形成されたスリーブ体と、前記スリーブ体の外周側に形成されためっき層と、を備えており、前記めっき層の外周面には、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第1クラウンが形成されており、前記スリーブ体に形成された前記冷却水路は、幅方向に向けて延在するとともに、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンが形成されており、前記第1クラウン及び前記第2クラウンにおいて、最も径方向外方位置と最も径方向内方位置との径方向差をクラウン量として、前記第1クラウンのクラウン量Aと前記第2クラウンのクラウン量Bとの比B/Aが5以下であることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムによれば、前記めっき層の外周面に幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第1クラウンが形成されており、前記スリーブ体に形成された前記冷却水路には幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンが形成されているので、径方向外方に突出した幅端部においてもめっき層の外周面から冷却水路までの距離が近接することになり、薄肉鋳片の幅方向の冷却速度を均一化することが可能となる。
よって、薄肉鋳片の表面割れやしわの発生を抑制できるとともに、めっき層とスリーブ体との界面の剥離を抑制でき、薄肉鋳片を安定して連続鋳造することができる。
また、第1クラウンのクラウン量Aと第2クラウンのクラウン量Bとの比B/Aを5以下とした場合には、幅端部における冷却過多を抑えることができ、幅端部における割れや剥離の発生を抑制することができ、薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムの使用寿命の延長を図ることができる。
ここで、本発明の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムにおいては、前記スリーブ体の外周面には、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第3クラウンが形成されていてもよい。
この場合、スリーブ体の外周面に第3クラウンを形成することにより、この第3クラウンのクラウン量によって、めっき層の厚さの幅方向分布を調整することができ、めっき層とスリーブ体との界面の剥離をさらに抑制することが可能となる。
本発明の薄肉鋳片の製造装置は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、前記冷却ドラムとして、上述の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造装置によれば、上述の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えているので、薄肉鋳片の幅方向の冷却速度を均一化することができ、薄肉鋳片の表面割れやしわの発生を抑制できるとともに、めっき層とスリーブ体との界面の剥離を抑制でき、薄肉鋳片を安定して連続鋳造することができる。
本発明の薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、前記冷却ドラムとして、上述の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを用いることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、冷却ドラムとして、上述の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを用いているので、薄肉鋳片の幅方向の冷却速度を均一化することができ、薄肉鋳片の表面割れやしわの発生を抑制できるとともに、めっき層とスリーブ体との界面の剥離を抑制でき、薄肉鋳片を安定して連続鋳造することができる。
上述のように、本発明によれば、外周面にクラウンが付与された冷却ドラムを使用して薄肉鋳片を連続鋳造する際に、薄肉鋳片の冷却速度を幅方向にわたって安定的に均一化し、薄肉鋳片の鋳造を安定して行うことが可能な薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、この薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えた薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態における薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)の一例を示す概略説明図である。 図1に示す薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)における冷却ドラムの概略説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムの側面説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムの外周部分の拡大説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムの製造方法の一例を示す説明図である。 図5における断面図であり、(a)がX-X断面図、及び、(b)がY-Y断面図である。 本発明の他の実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムの外周部分の拡大説明図である。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム(以下、冷却ドラムと称す。)、薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)、及び、薄肉鋳片の製造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。なお、鋼種としては、0.001~0.01%C極低炭鋼、0.02~0.05%C低炭鋼、0.06~0.4%C中炭鋼、0.5~1.2%C高炭鋼、SUS304鋼に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼、SUS430鋼に代表されるフェライト系ステンレス鋼、3.0~3.5%Si方向性電磁鋼、0.1~6.5%Si無方向性電磁鋼等(なお、%は、質量%)が挙げられる。
また、本実施形態では、製造される薄肉鋳片1の幅が500mm以上2000mm以下の範囲内、厚さが1mm以上5mm以下の範囲内とされている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)10は、図1に示すように、一対の冷却ドラム20,20と、薄肉鋳片1を搬送するピンチロール13と、一対の冷却ドラム20,20の幅端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム20,20とサイド堰15によって画成された溶鋼プール16に対して溶鋼3を供給するタンディッシュ17及び浸漬ノズル18と、を備えている。
冷却ドラム20は、図2に示すように、軸部21aと胴部21bを有するドラム本体21と、このドラム本体21の胴部21bの外周側に配設されたスリーブ体23と、このスリーブ体23の外周面に形成されためっき層28と、を備えている。
ドラム本体21は、例えば鋼材で構成されており、冷却水の導入路21c及び排出路21dが形成されている。
スリーブ体23は、熱伝導性に優れた金属で構成されており、本実施形態では。銅又は銅合金で構成されている。このスリーブ体23の幅中央部における径方向厚さは、例えば10mm以上100mm以下の範囲内とされている。
スリーブ体23の内部には、図2に示すように、概略冷却ドラム20の幅方向に延在する冷却水路24が形成されている。本実施形態では、図3に示すように、複数の冷却水路24が周方向に等間隔に形成されている。
なお、この冷却水路24は、それぞれドラム本体21に形成された導入路21c及び排出路21dに連通するように構成されている。
めっき層28は、例えばニッケルやコバルト等の硬質金属で構成されており、スリーブ体23を保護する作用を有している。このめっき層28の幅中央部における径方向厚さは、例えば0.2mm以上5.0mm以下の範囲内とされている。
そして、本実施形態である冷却ドラム20においては、図4に示すように、めっき層28の外周面には、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第1クラウンが形成されている。
ここで、最も径方向外方位置と最も径方向内方位置との径方向差をクラウン量とした場合に、第1クラウンのクラウン量Aは、50μm以上500μm以下(0.05mm以上0.5mm以下)の範囲内とすることが好ましい。
本実施形態においては、図4に示すように、スリーブ体23の内部に形成された冷却水路24に、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンが形成されている。
ここで、最も径方向外方位置と最も径方向内方位置との径方向差をクラウン量とした場合に、第2クラウンのクラウン量Bは、100μm以上2000μm以下(0.1mm以上2.0mm以下)の範囲内とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、めっき層28に形成された第1クラウンのクラウン量Aと冷却水路24に形成された第2クラウンのクラウン量Bとの比B/Aが5以下であることが好ましい。
次に、上述のように構成された本実施形態である冷却ドラム20の製造方法について説明する。
本実施形態では、図5に示すように、スリーブ体23を内側部材23aと外側部材23bで構成するものとした。そして、内側部材23aの外周面と外側部材23bの内周面に、概略幅方向に延在する溝をNC加工等によって形成し、これら内側部材23aと外側部材23bとを焼き嵌めすることにより、図6に示すように冷却水路24を構成する。これにより、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンを有する冷却水路24を形成することが可能となる。
次に、上述した薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
一対の冷却ドラム20.20とサイド堰15,15によって形成された溶鋼プール部16に、タンディッシュ17から浸漬ノズル18を介して溶鋼3を供給するとともに、一対の冷却ドラム20,20を回転方向Rに向けて、すなわち、一対の冷却ドラム20,20同士が近接する領域が薄肉鋳片1の引抜方向(図1においては下方向)に向かうように、それぞれの冷却ドラム20,20を回転させる。
すると、冷却ドラム20の周面には、凝固シェル5が形成される。そして、冷却ドラム20の周面上で凝固シェル5が成長し、一対の冷却ドラム20,20にそれぞれ形成された凝固シェル5,5同士がドラムキス点で圧着されることにより、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム20によれば、めっき層28の外周面に幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第1クラウンが形成されているので、冷却ドラム20の周面に形成される凝固シェル5の幅方向の厚みを制御でき、ドラムキス点において凝固シェル5,5同士を確実に圧着することが可能となる。
そして、スリーブ体23に形成された冷却水路24に幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンが形成されているので、径方向外方に突出した幅端部においてもめっき層28の外周面から冷却水路24までの距離が近接することになり、薄肉鋳片1の幅方向の冷却速度を均一化することが可能となる。
よって、薄肉鋳片1の表面割れやしわの発生を抑制できるとともに、めっき層28とスリーブ体23との界面の剥離を抑制でき、薄肉鋳片1を安定して連続鋳造することができる。また、冷却ドラム20の使用寿命の延長を図ることができる。
さらに、本実施形態において、第1クラウンのクラウン量Aと第2クラウンのクラウン量Bとの比B/Aを5以下にした場合には、幅端部における冷却が過剰になることを抑制でき、幅端部におけるめっき層28とスリーブ体23との剥離の発生することができ、冷却ドラム20の使用寿命の延長を図ることができる。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置(双ドラム式連続鋳造装置)10及び薄肉鋳片の製造方法においては、上述の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム20を備えているので、薄肉鋳片1の幅方向の冷却速度を均一化することができ、薄肉鋳片1の表面割れやしわの発生を抑制できるとともに、めっき層28とスリーブ体23との界面の剥離を抑制でき、薄肉鋳片1を安定して連続鋳造することができる。
以上、本発明の実施形態である薄肉鋳片1の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、図3に示すようにスリーブ体の外周面を円筒面としたものとして説明したが、これに限定されることはなく、図7に示すように、スリーブ体23の外周面にも幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第3クラウンが形成されていてもよい。
この場合、スリーブ体23に形成した第3クラウンのクラウン量によって、めっき層28の厚さの幅方向分布を調整することができ、めっき層28とスリーブ体23との界面の剥離をさらに抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、スリーブ体23を内側部材23aと外側部材23bとに分割してこれを焼き嵌めすることで、第2クラウンを有する冷却水路24を構成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、フレキシブルドリル等を用いて第2クラウンを有する冷却水路24を穿孔加工によって形成してもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
実施形態で説明した薄肉鋳片の製造装置を用いて、Cを0.05mass%、Siを0.6mass%、Mnを1.5mass%、Alを0.03mass%含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる組成の鋼材からなる薄肉鋳片を、以下の条件で鋳造した。
(鋳造条件)
冷却ドラムの直径:600mm
冷却ドラムの幅:1000mm
薄肉鋳片の厚み:2.0mm
鋳造速度:50m/分
冷却ドラムのめっき層、冷却水路、スリーブ体のクラウン量については、レーザー非接触式変位計でスキャンして測定した。なお、冷却水路については、焼き嵌めする前の状態でクラウン量を測定した。
また、スリーブ体は銅製とし、めっき層は純度99mass%以上のニッケルめっきとした。
上述の冷却ドラムを備えた薄肉鋳片の製造装置により、薄肉鋳片の連続鋳造を実施し、以下の項目について評価を行った。
(薄肉鋳片の表面割れ)
得られた薄肉鋳片から、鋳造長さ10mのサンプルを採取し、酸洗後に表裏面全面を観察し、単位面積当たりの割れ個数で評価した。評価結果を表1に示す。
(スリーブ体とめっき層との界面状態)
薄肉鋳片の鋳造を100回実施した後に、超音波探傷によってめっき層とスリーブ体との界面状態を調査した。評価結果を表1に示す。
Figure 0007389340000001
比較例1においては、幅中央部でのめっき層の厚さが1.0mmと薄く、冷却水路及びスリーブ体にクラウンを形成しなかったため、薄肉鋳片の表面割れが非常に多く発生し、めっき層とスリーブ体との接合界面の幅中央部に剥離が確認された。
比較例2においては、幅中央部でのめっき層の厚さを2.0mmとし、冷却水路及びスリーブ体にクラウンを形成しなかったため、薄肉鋳片の表面割れが多く発生した。
比較例3においては、スリーブ体にクラウンを形成したが冷却水路にクラウンを形成しておらず、薄肉鋳片の表面割れが多く発生した。
比較例4においては、スリーブ体にクラウンを形成したが冷却水路にクラウンを形成しておらず、薄肉鋳片の表面割れが多く発生した。また、スリーブ体のクラウン量を400μm(0.4mm)としたため、めっき層とスリーブ体との接合界面の幅端部に剥離が確認された。
これに対して、冷却水路にクラウンを形成した本発明例1-8においては、薄肉鋳片の表面割れの発生を抑えることができた。非常に多く発生し、めっき層とスリーブ体との接合界面の幅中央部に剥離が確認された。径方向外方に突出した幅端部においてもめっき層の外周面から冷却水路までの距離が近接することになり、薄肉鋳片の幅方向の冷却速度を均一化できたためと推測される。
また、めっき層のクラウン量Aと冷却水路のクラウン量Bとの比B/Aが5以下とされた本発明例1-4,6-8においては、めっき層とスリーブ体との接合界面での剥離の発生を抑制することができた。
以上のことから、本発明によれば、外周面にクラウンが付与された冷却ドラムを使用して薄肉鋳片を連続鋳造する際に、薄肉鋳片の冷却速度を幅方向にわたって安定的に均一化し、薄肉鋳片の鋳造を安定して行うことが可能な薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム、この薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えた薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供できることが確認された。
1 薄肉鋳片
10 薄肉鋳片の製造装置
20 薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム
23 スリーブ体
24 冷却水路
28 めっき層

Claims (4)

  1. 薄肉鋳片を連続鋳造する際に用いられる薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムであって、
    内部に冷却水路が形成されたスリーブ体と、前記スリーブ体の外周側に形成されためっき層と、を備えており、
    前記めっき層の外周面には、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第1クラウンが形成されており、
    前記スリーブ体に形成された前記冷却水路は、幅方向に向けて延在するとともに、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第2クラウンが形成されており、
    前記第1クラウン及び前記第2クラウンにおいて、最も径方向外方位置と最も径方向内方位置との径方向差をクラウン量として、前記第1クラウンのクラウン量Aと前記第2クラウンのクラウン量Bとの比B/Aが5以下であることを特徴とする薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム。
  2. 前記スリーブ体の外周面には、幅中央部から幅端部に向かうに従い漸次径方向外側に突出するように湾曲した第3クラウンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラム。
  3. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、
    前記冷却ドラムとして、請求項1または請求項2に記載の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを備えることを特徴とする薄肉鋳片の製造装置。
  4. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属プール部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記冷却ドラムとして、請求項1または請求項2に記載の薄肉鋳片連続鋳造用冷却ドラムを用いることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
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