以下に図面を用いて本開示に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下において、特に断らない限り、エレベーターとは、乗りかごと乗場とを主とした利用客運搬装置を示す。また、エレベーターシステムとは、エレベーターの運行制御を含むシステムを指す。以下では、乗りかごが40階と1階との間を昇降する高層エレベーターシステムについて述べる。40階という階数は、説明のための例示であって、ピット、及び、ピットから遠隔階にある乗りかごの間の連絡が、ピット内照明灯の点灯消灯状態の目視確認や、無線交信では困難な高層エレベーターシステムであればよい。
以下において、エレベーターシステムは最下階を1階とする40階建ての建物の屋上に昇降機及び制御装置を含む機械室が設けられ、1階乗場よりも下部にピットが設けられるものとするが、これは説明のための例示である。例えば、機械室を建物の屋上に設けずに、昇降機及び制御装置をピットに設け、あるいは昇降路の最上部に設けて、機械室レス方式のエレベーターシステムとしてもよい。
以下では、ピット側連絡入出力機器として、1階の乗場における乗場ボタン及び昇降状態表示部、かご側連絡入出力機器として、乗りかごの行先階指示盤及び報知部を述べる。これは、説明のための例示であって、高層エレベーターシステムが既に備えている機器の中で、適当な入力機器と出力機器を用いることができる。
以下で述べる形状、寸法、配置関係等は説明のための例示であって、エレベーターのピットアウト連絡支援方法、及び、エレベーターのピットアウト連絡支援システムの仕様等に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、エレベーターのピットアウト連絡支援システム70が適用される高層エレベーターシステム10の構成図である。以下では、特に断らない限り、エレベーターのピットアウト連絡支援システム70を、連絡支援システム70と呼び、エレベーターのピットアウト連絡支援システム70において実行されるエレベーターのピットアウト連絡支援方法を、連絡支援方法と呼ぶ。
高層エレベーターシステム10は、40階建ての建物8を上下方向に縦貫する昇降路12を用い、各階の乗場30から利用客を乗りかご40に乗せ、昇降路12の中を昇降させ、所望の乗場30に着床して利用客を降ろすエレベーターの運行制御システムである。
図1において、直交する上下方向と奥行方向と幅方向とを示す。上下方向は、昇降路12が延びる方向で、建物8の上層階に向かう方向が上方側で、下層階に向かう方向が下方側である。奥行方向は、建物8の乗場30と昇降路12を結ぶ方向に平行な方向であり、乗場30を向く方向が乗場側、昇降路12を向く方向が昇降路側である。幅方向は、図示しない乗場扉の開閉方向に沿った方向で、乗場30から昇降路12に向かって、右方向が右側で、左方向が左側である。以下の図においても同様である。
昇降路12は、建物8を縦貫して設けられる。建物8は40階建てで、各階に乗場30が設けられる。図1では、1階乗場から3階乗場と、10階乗場、20階乗場、30階乗場、及び、最上階である40階乗場のそれぞれについて、1F,2F,3F,10F,20F,30F,40Fと示す。
建物8の屋上には機械室14が設けられ、昇降路12の最下部にはピット16が設けられる。機械室14には、巻上機18及び制御装置60が設置される。巻上機18は、乗りかご40の主ロープ22を制御装置60の制御のもとで巻上げあるいは巻き戻しを行う電動機で構成される。
主ロープ22の一端は乗りかご40に接続され、他端は釣合おもり24に接続される。釣合おもり24は、乗りかご40の質量にそれぞれ釣り合わせて設定された質量を有し、これによって、巻上機18の負荷が軽減される。
乗りかご40は、利用客を乗せて昇降路12内を昇降し、所定の乗場30に着床して利用客を乗降させる利用客運搬かごである。制御装置60は、高層エレベーターシステム10の動作制御を全体として制御する装置であり、動作制御モードとして、利用客の要求に応じて乗りかご40の昇降を制御する通常モードと、保守作業を行う場合の保守モードとを有する。
図1は、高層エレベーターシステム10において、昇降路12のピット16内で保守作業を行うピット側保守作業者4、及び、ピット16から見て遠隔階である40階にある乗りかご40内で保守作業を行うかご側保守作業者6に分かれて保守作業を行う場合を示す。連絡支援システム70は、ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間の保守連絡を支援するシステムであるが、そのための特別な装置を高層エレベーターシステム10に設けるものではない。高層エレベーターシステム10の制御装置60の保守モードの一部に遠隔連絡モードを設け、高層エレベーターシステム10が既に備えている機器について通常モードで用いられる動作作用を変更して遠隔連絡モードの下で用いる。
連絡支援システム70は、ピット側保守作業者4に関連する機器、かご側保守作業者6に関連する機器、制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104(図5参照)、及び、これらを接続する複数の信号線を含んで構成される。複数の信号線は、高層エレベーターシステム10において制御装置60と各機器とを接続する多数の信号線の一部で、連絡支援のために用いられる信号線であるので、一般の信号線と区別する場合には、遠隔連絡信号線80,90と呼ぶ。図1ではIIと示す部分にピット側保守作業者4に関連する機器が配置され、IVと示す部分にかご側保守作業者6に関連する機器が配置され、Vと示す部分に遠隔連絡モード制御ブロック104を有する制御装置60が配置される。
図2は、図1のIIの部分の詳細図である。図2では、ピット16内にピット側保守作業者4が入って保守作業を行っている。ピット16内にピット側保守作業者4が入って保守作業を行うには、1階の乗場30において図示しない乗場扉を手動で開けて、はしご等の適当な手段を用いてピット16内に降りる。そして、ピット16内を保守作業に適した明るさにするために消灯状態のピット内照明灯26の点灯紐部27を引っ張って点灯する。点灯状態のピット内照明灯26の点灯紐部27をもう一度引っ張れば消灯状態に戻る。
照度計28は、ピット16内の明るさを照度で測定する機器である。ピット内照明灯26が点灯しているときは、照度計28は高い照度を示す点灯信号を出力し、ピット内照明灯26が消灯しているときは、照度計28は低い照度を示す消灯信号を出力する。点灯信号及び消灯信号は、照度信号線82を介して制御装置60に伝送される。
1階の乗場30には、かご呼びパネル32が設けられる。図3は、1階の乗場30におけるかご呼びパネル32を乗場側から見た正面図である。かご呼びパネル32は、乗場ボタン34、及び、昇降状態表示部36を含む。
高層エレベーターシステム10が通常モードの下で制御されている場合には、乗場ボタン34は、1階の乗場30に乗りかご40を呼ぶために利用客が操作するかご呼びボタンである。乗場ボタン34の表示面は、乗場ボタン34を押すと点灯してかご呼び状態であることを示し、乗りかご40が1階の乗場30に着床すると消灯して乗りかご40が1階の乗場30に到着したことを示す。乗場ボタン34は、ボタン信号線84を介して制御装置60に接続され、乗場ボタン34からの操作信号が制御装置60に伝送され、制御装置60からの表示面の点灯信号及び消灯信号が乗場ボタン34側に伝送される。かかる乗場ボタン34としては、表示ランプ内蔵の接点スイッチ型押しボタンを用いることができる。
昇降状態表示部36は、数字表示部37、及び、上向き矢印表示部38と下向き矢印表示部39を含む。かご呼びが行われた場合に、乗りかご40の現在の階の位置が数字表示部37で示され、乗りかご40の現在の動作状態が昇階状態である場合は上向き矢印表示部38が点灯し、降階状態である場合は下向き矢印表示部39が点灯する。図3は、乗りかご40が40階で停止中の例で、数字表示部37は、「40」階であることを示し、動作状態は停止状態であるので、上向き矢印表示部38、下向き矢印表示部39はいずれも消灯状態であることを破線で示す。昇降状態表示部36は、表示信号線86によって制御装置60と接続される。かかる昇降状態表示部36としては、液晶表示パネルを用いることができる。
高層エレベーターシステム10が通常モードで運行制御される場合においては、乗場ボタン34は、利用客がかご呼び操作を行う入力機器であり、昇降状態表示部36は、かご呼びに対する乗りかご40の状態を表示する出力機器である。高層エレベーターシステム10が遠隔連絡モードで制御される場合は、これらを連絡支援システム70におけるピット側連絡入出力機器50として用いる。その詳細は後述する。
図2に戻ると、ピット16内の保守作業として、主ロープ22の伸び量の点検保守作業が示される。高層エレベーターシステム10においては、低層あるいは中層の建物におけるエレベーターに比べ、主ロープ22の長さが長く、経時変化等による伸び量が大きいため、こまめに伸び量の点検保守作業が行われる。主ロープ22の伸び量を点検する方法として、乗りかご40を昇降路12の最上階である40階まで昇階させ、その状態における釣合おもり24の高さ位置をピット16において測定する。図2の例では、ピット16の床面の位置を基準として、釣合おもり24の底面の位置をピット側保守作業者4が点検用測定尺2を用いて点検する。
ピット側保守作業者4がピット16内で保守作業を行っている間は、乗りかご40は移動させない。図2に、1階の乗場30まで下降した状態の乗りかご41を二点鎖線で示すが、乗りかご40が下降すると、ピット側保守作業者4の安全が確保できず、ピット16内の保守作業に支障が生じる。そこで、ピット側保守作業者4がピット16内で保守作業を行っている間は、乗りかご40は40階に停止した状態とする。そして、ピット16内の保守作業を終えてピット側保守作業者4が1階の乗場30に戻ったピットアウトの状態になってから、乗りかご40を40階から下降させる。
図4は、図1のIVの部分の詳細図で、40階に停止中の乗りかご40の内部を昇降路側から示す図である。乗りかご40は、左右開閉型の2枚のかご扉42,43を有し、かご扉42,43の左右の壁部には、行先階指示盤44,45と、緊急通報用の報知部46,47が設けられる。かご扉42,43の上部の壁部には、乗りかご40の現在の階の位置を示すかご位置表示板48が設けられる。
行先階指示盤44,45は、乗りかご40に乗り込んだ利用客が操作して、所望の行先階を指示して登録する利用客操作盤である。高層エレベーターシステム10では、利用客の指示する目的階に迅速に昇降できるように、複数のエレベーターについてそれぞれ着床階を分散させる。図4の乗りかご40では、着床する乗場30は、1階、2階、3階、及び30階から40階の間の各階である。4階から29階の間の乗場30には着床しない。したがって、図4の行先階指示盤44,45は、利用客の行先階として、1階、2階、3階、及び30階から40階の間の各階の合計14個の乗場30に対応する押しボタンが配置される。それぞれの押しボタンの表示面は、当該押しボタンを押すと点灯して行先階が登録されたことを示し、乗りかご40が登録された乗場30に着床すると、当該押しボタンの表示面は消灯する。
例えば、利用客の所望の行先階が33階とすると、その利用客は、「33」の数字の押しボタンを押す。これによって「33」の押しボタンの表示面が点灯する。これによって33階が行先階として登録されたことが利用客に示される。そして乗りかご40のかご扉42,43が戸閉状態になって乗りかご40は33階に向けて昇降し、33階の乗場30に着床すると、かご扉42,43が戸開状態となり、「33」の押しボタンの表示面が消灯し、利用客は33階の乗場30に降りることができる。
行先階指示盤44,45は、行先階指示信号線94を介して制御装置60と接続され、報知部46,47は、報知信号線96を介して制御装置60と接続される。高層エレベーターシステム10が通常モードで運行制御されている場合においては、行先階指示盤44,45は、利用客が行先階登録操作を行う入力機器であり、報知部46,47は緊急通報の出力機器である。連絡支援システム70においては、これらを遠隔連絡におけるかご側連絡入出力機器52として用いる。その詳細は後述する。
かご扉42,43の右側の壁部に設けられる行先階指示盤44の下方側には、保守作業盤54が配置される。保守作業盤54は、保守作業を行う場合に、所定の保守作業錠で開錠できる錠付の作業盤である。図4では、かご側保守作業者6が保守作業盤54を開けた状態が示される。保守作業盤54には、保守モードボタン56と、遠隔連絡モードボタン58が設けられる。保守作業盤54は、保守作業盤信号線92を介して制御装置60と接続される。
保守モードボタン56は、高層エレベーターシステム10の運行制御モードを通常モードから保守モードに切り替えるための操作ボタンである。保守モードボタン56の表示面は、保守作業盤54を開いた初期状態では消灯状態で、高層エレベーターシステム10の運行制御モードは通常モードのままである。かご側保守作業者6が保守モードボタン56を1回押すと保守モードボタン56の表示面が点灯状態となり、高層エレベーターシステム10の運行制御モードは通常モードから保守モードに切替わる。かご側保守作業者6が保守モードボタン56をさらにもう1回押すと保守モードボタン56の表示面が消灯状態に戻り、高層エレベーターシステム10の運行制御モードは保守モードから通常モードに戻る。
高層エレベーターシステム10の運行制御モードが通常モードから保守モードに切替わると、各階の乗場ボタン34の操作、及び、乗りかご40の行先階指示盤44,45の操作はすべて無効となる。保守モードにおける乗りかご40の動作制御は、保守作業盤54に設けられる保守用昇降操作ボタンによって行われる。保守用昇降操作ボタンにかえて、保守作業盤54に図示しないメンテナンス端末接続インターフェースを設け、これにメンテナンス端末を接続し、メンテナンス端末の操作によって乗りかご40の動作制御等を行ってもよい。
遠隔連絡モードボタン58は、保守モードの下で、ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間で遠隔連絡が必要な場合に、高層エレベーターシステム10が既に備えている機器を用いて遠隔連絡を可能にする遠隔連絡モードに切り替える操作ボタンである。単なる保守モードの下では、ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間のピットアウト状態に関する連絡は、ピット内照明灯の消灯の目視確認や無線電話等で行うことになるが、これらの連絡方法が困難な場合に、遠隔連絡モードが用いられる。
遠隔連絡モードボタン58は、高層エレベーターシステム10が保守モードの場合にのみ操作が可能である。すなわち、保守モードボタン56の表示面が点灯している状態でかご側保守作業者6が遠隔連絡モードボタン58を1回押すと遠隔連絡モードボタン58の表示面が点灯状態となり、制御装置60の制御が遠隔連絡モードに切替わる。かご側保守作業者6が遠隔連絡モードボタン58をさらにもう1回押すと遠隔連絡モードボタン58の表示面が消灯状態に戻り、遠隔連絡モードが解除されて保守モードに戻る。遠隔連絡モードボタン58が点灯状態で保守モードボタン56を操作して保守モードから通常モードに戻すと、保守モードボタン56の表示面とともに遠隔連絡モードボタン58の表示面も消灯する。
高層エレベーターシステム10において連絡支援システム70において用いられる機器は、ピット16内の保守作業を終えてピット側保守作業者4と、40階に停止中の乗りかご40にいるかご側保守作業者6との間で連絡を行うための機器である。ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間の連絡は、大別して3種類ある。
1つ目の連絡は、ピット側保守作業者4がピットアウト状態になったことをかご側保守作業者6に伝えるピットアウト状態連絡である。ピットアウト状態とは、ピット側保守作業者4がピット16内の保守作業を終えて、ピット16から1階の乗場30に戻った状態である。
2つ目の連絡は、ピットアウト状態連絡を受けたかご側保守作業者6からの「ピットアウト連絡を受けた」旨の確認信号をピット側保守作業者4が受け取る確認連絡である。
3つ目の連絡は、ピット側保守作業者4が「確認連絡を受けた」旨をかご側保守作業者6に通知する通知連絡である。通知連絡をかご側保守作業者6が受け取ると、ここで初めて乗りかご40を1階の乗場30に向けて降下させる制御が行われる。
これらの連絡を行うための機器は、1階の乗場30におけるピット側連絡入出力機器50及び照度計28と、乗りかご40におけるかご側連絡入出力機器52である。ピット側連絡入出力機器50は、通常モードにおいてかご呼びに用いられるかご呼びパネル32に含まれる乗場ボタン34を連絡入力機器として用い、昇降状態表示部36を連絡出力機器として用いる。かご側連絡入出力機器52は、通常モードにおいて乗りかご40の行先階指示に用いられる行先階指示盤44,45を連絡入力機器として用い、緊急連絡のための報知部46,47を連絡出力機器として用いる。左右の行先階指示盤44,45は同じ構成であり、左右の報知部46,47は同じ構成であるので、以下では行先階指示盤44、報知部46について説明する。
ピットアウト状態連絡には、照度計28の消灯信号を併用する。ピット側保守作業者4は、ピット16内の保守作業を終えると、ピット内照明灯26を消灯する。これにより照度計28は消灯信号を出力するが、照度計28が消灯信号を出力しただけでは、ピット側保守作業者4は1階の乗場30に戻っているとは限らない。ピット側保守作業者4は、ピット内照明灯26を消灯した後、はしご等の適当な手段を用いてピット16内から1階の乗場30に出て、手動で乗場扉を閉じる。これでピット側保守作業者4は1階の乗場30に戻り、ピットアウト状態となる。したがって、ピットアウト状態連絡は、照度計28の消灯信号と共に、場合によっては、1階の乗場扉が戸閉状態である信号を併用し、その上で、ピット側保守作業者4が1階の乗場30に戻ったことを示す必要がある。
1階の乗場30に予め保守作業者用の認証機器が設けられている場合には、認証機器においてピット側保守作業者4の識別データが認証された場合に最下階の乗場ボタン34で押下された信号をかご側保守作業者6に送信することができる。認証機器としては、保守作業者の社員証の識別データを認証する機器等を用いることができる。
認証機器を備えていない場合には、1階の乗場30におけるかご呼びパネル32の乗場ボタン34を、ピット側保守作業者4がピットアウト状態を示す信号の入力機器として用いる。乗場ボタン34を単純に操作しただけでは、ピット側保守作業者4でない第三者が乗場ボタン34を操作した場合と区別できないので、かご呼びパネル32における乗場ボタン34の操作は、所定のピットアウト信号を出力する方法で行う。所定のピットアウト信号の内容は後述する。そして、ボタン信号線84を遠隔連絡信号線80として用い、ピットアウト信号を制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104(図5参照)に伝送する。照度計28からは照度信号線82を遠隔連絡信号線80として消灯信号が伝送されてくるので、制御装置60では、消灯信号とピットアウト信号とに基づいて、ピットアウト状態を示す報知データを作成する。作成された報知データは、報知信号線96を遠隔連絡信号線90として、乗りかご40の報知部46に伝送される。かご側保守作業者6は、報知データの出力機器として報知部46を用いて、ピット側保守作業者4がピットアウト状態になった連絡を受け取る。
確認連絡は、かご側保守作業者6が、ピットアウト状態の連絡を受け取った旨の確認信号の入力機器として行先階指示盤44を用い、行先階指示信号線94を遠隔連絡信号線90として、制御装置60に伝送する。制御装置60では、確認信号に基づき適当な表示データを作成する。作成した表示データは、表示信号線86を遠隔連絡信号線80として用いて、1階の乗場30のかご呼びパネル32の昇降状態表示部36に伝送される。ピット側保守作業者4は、表示データの出力機器として昇降状態表示部36を用い、かご側保守作業者6が送信した確認信号の連絡を受け取る。
通知連絡は、ピット側保守作業者4が、確認信号を受け取った旨の受信信号の入力機器として、1階の乗場30におけるかご呼びパネル32の乗場ボタン34を用いる。そして、ボタン信号線84を遠隔連絡信号線80として、乗場ボタン34の押下信号を受信信号として、制御装置60に伝送する。制御装置60は、受信信号である押下信号に対応する通知信号を作成する。作成した通知信号は、報知信号線96を遠隔連絡信号線90として、乗りかご40の報知部46に伝送される。かご側保守作業者6は、通知信号の出力機器として報知部46を用いて、ピット側保守作業者4からの確認信号を受け取った旨の連絡を受け取る。
上記のように、連絡支援システム70においては、ピット側連絡入出力機器50として、かご呼びパネル32の乗場ボタン34と昇降状態表示部36とが用いられ、かご側連絡入出力機器として、行先階指示盤44と報知部46とが用いられる。
図5は、図1のVの部分の詳細図で、制御装置60の構成と、連絡支援システム70に用いられる各機器との接続関係を示す図である。
制御装置60は、適当な信号線で記憶部62と接続される。記憶部62は、制御装置60が実行するソフトウェアである各種プログラム、及び制御処理におけるデータ等を格納する記憶装置である。ここでは、ピットアウト状態を示すための所定のピットアウト信号のデータ列を記憶するピットアウト信号データ列ファイル64が格納される。
所定のピットアウト信号は、乗場ボタン34の押下時間が長い長押状態と、長押状態よりも押下時間の短い短押状態とを予め定めた送信順序で配列したデータ列である。ピットアウト信号データ列ファイル64は、所定のピットアウト信号のデータ列に関する記憶ファイルである。
ピットアウト信号データ列ファイル64の例を図6に示す。ここでは、モールス信号の例に従い、POUTをモールス信号で表記したデータ列を示す。図6は説明のための例示であって、保守作業者等の関係者以外の第三者が意図せずにランダムに乗場ボタン34を操作した場合の信号データ列と混同しない信号データ列であればよい。
制御装置60は、高層エレベーターシステム10の各機器の動作を統括的に制御する装置である。かかる制御装置60としては、エレベーターの動作制御に適したコンピュータが用いられる。図5は、制御装置60と接続される各種機器として、通常モード、保守モード、及び遠隔連絡モードに共通の機器である照度計28、乗場ボタン34、昇降状態表示部36、行先階指示盤44、報知部46、保守モードボタン56、遠隔連絡モードボタン58を示す。
制御装置60は、制御モードとして通常モード、保守モード、及び保守モードの一部としての遠隔連絡モードを有する。制御装置60における通常モード制御ブロック100は、通常モードにおける各機器の動作を統括的に制御し、モード切替制御ブロック102は、通常モード、保守モード、及び遠隔連絡モードの間のモード切替制御を行う。遠隔連絡モード制御ブロック104は、遠隔連絡モードにおける各機器の動作を統括的に制御する。
通常モード制御ブロック100は、通常運行制御部110を含む。通常運行制御部110は、高層エレベーターシステム10において、昇降路12を用い、各階の乗場30からの利用客を乗りかご40に乗せ、利用客の要求に応じて昇降路12の中を昇降させて、所望の乗場30に着床して利用客を降ろすために必要な制御を行う。
モード切替制御ブロック102は、保守モード切替部112と連絡モード切替部114とを含む。保守モード切替部112は、保守モードボタン56の操作に応じて通常モードと保守モードとの間の切替を行い、連絡モード切替部114は、遠隔連絡モードボタン58の操作に応じて、保守モードの下で遠隔連絡モードに切り替える。
保守モード切替部112は、保守モードボタン56の操作に応じて、通常運行制御部110と、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52との間の接続関係を切り替える。保守モードボタン56の表示面が消灯状態の場合は通常モードで、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52は通常運行制御部110に接続され、乗場ボタン34はかご呼びボタンとして機能し行先階指示盤44は行先階指示ボタンとして機能する。
保守モードボタン56の表示面が消灯状態の場合に、保守モードボタン56を1回押す操作を行うと、通常モードから保守モードに切替わる。保守モードにおいては、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52は、通常運行制御部110から切り離され、例えば、かご呼びのために利用客が乗場ボタン34を押しても、通常運行制御部110には伝送されず、無効な操作となる。同様に、行先階として「33階」を指示するために利用客が行先階指示盤44の「33」の数字表示のあるボタンを押しても、通常運行制御部110には伝送されず、無効な操作となる。
連絡モード切替部114は、遠隔連絡モードボタン58の操作に応じて、遠隔連絡モード制御ブロック104と、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52との間の接続関係を切り替える。
保守モードボタン56の表示面が点灯状態で、遠隔連絡モードボタン58が消灯状態の場合は、保守モードである。保守モードでは、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52は、通常運行制御部110に接続されず、さらに、遠隔連絡モード制御ブロック104にも接続されない。ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52の操作は、いずれも無効となる。
保守モードボタン56の表示面が点灯状態で、遠隔連絡モードボタン58が消灯状態の場合に、遠隔連絡モードボタン58を1回押す操作を行うと、保守モードの下での遠隔連絡モードに切替わる。保守モードの下では、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52は、通常運行制御部110から切り離されている。その状態で遠隔連絡モードに切替わると、ピット側連絡入出力機器50及びかご側連絡入出力機器52は、遠隔連絡モード制御ブロック104と接続される。
遠隔連絡モード制御ブロック104は、ピットアウト確認部120、報知データ出力部122、確認信号通知部124、及び、受信信号通知部126を含む。
ピットアウト確認部120は、最下階の乗場30に戻ったピット側保守作業者4が乗場ボタン34を操作することで乗場ボタン34から出力される信号を乗場ボタン信号として、乗場ボタン信号を受け取る。そして、ピット内照明灯26に関する消灯信号を照度計28から受け取っていない場合には以後の処理を終了させる。消灯信号を受け取った場合には、受け取った乗場ボタン信号を記憶部62のピットアウト信号データ列ファイル64に記憶されている所定のピットアウト信号と参照する。参照の結果は、報知データ出力部122に出力される。
報知データ出力部122では、ピットアウト確認部120からの参照結果を受け取り、乗場ボタン信号が所定のピットアウト信号と一致しない場合には以後の処理を終了する。照度計28から消灯信号を受け取っていても、ピットアウト状態ではない、と判定して、以後の処理を終了する。乗場ボタン信号が所定のピットアウト信号と一致する場合には、ピットアウト状態にある、と判定し、所定の報知データを作成する。所定の報知データの一例を挙げると、「ピット内の作業が終了し、1階の乗場に戻りました。乗りかごを1階に向けて降下させても大丈夫です。」旨の音声出力データである。これは説明のための例示であって、「ピットアウト状態になりました。」旨が分かる内容であればよい。作成された報知データは、連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線90を介してかご側連絡入出力機器52の出力機器である報知部46に伝送される。
上記では、かご側連絡入出力機器52の出力機器として、緊急通報用の報知部46を用いた。報知部46が電子音を出力するスピーカであれば、上記の音声出力データを報知データとしてよい。報知部46が乗りかご40の外にいる管理人等からの肉声を出力する単純スピーカの場合は、かご側保守作業者6と予め定めた報知音を「ピットアウト状態なった」旨を示す報知音としてもよい。報知部46が液晶ディスプレイ等の表示装置である場合は、報知データとして、テキスト出力データを作成する。
上記では、乗りかご40内にある報知部46を述べたが、かご上に設置されている保守作業者用の報知ブザー等の音出力がかご側保守作業者6に聞こえる環境である場合には、かご上の報知ブザー等を報知部46をとしてもよい。その場合には、通常の報知ブザー音でなく、ブザー音を断続的にする等で、報知データであることを示す。
確認信号通知部124は、報知部46の出力によって「ピットアウト状態にある」旨の報知データを受け取ったかご側保守作業者6が出力する確認信号を受け取って、ピット側保守作業者4に通知する処理を行う。報知データを受け取ったかご側保守作業者6は、かご側連絡入出力機器52の入力機器である行先階指示盤44を用いて、予めピット側保守作業者4との間で取り決めた「ピットアウト状態にあることを確認した」旨を知らせる確認信号を入力する。確認信号通知部124は、遠隔連絡信号線90を介し、連絡モード切替部114を経由して確認信号を受け取り、受け取った確認信号に基づいて所定の通知データを作成する。作成された通知データは、連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線80を介してピット側連絡入出力機器50の出力機器である昇降状態表示部36に伝送される。
確認信号の一例は、行先階指示盤44において行先階を40階とする「40」の数字表示のあるボタンを押すことである。通知データの一例は、昇降状態表示部36における数字表示部37に「40」を点滅表示させる表示データである。これは説明のための例示であって、行先階指示盤44に入力する確認データと、昇降状態表示部36に出力する通知データ表示とをピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間で予め定め、その内容を確認信号通知部124の処理内容とすればよい。
受信信号通知部126は、昇降状態表示部36の出力によって「ピットアウト状態にあることを確認しました」旨の通知データを受信したピット側保守作業者4が出力する受信信号を受け取って、かご側保守作業者6に通知する処理を行う。通知データを受信したピット側保守作業者4は、ピット側連絡入出力機器50の入力機器である乗場ボタン34を用いて、予めピット側保守作業者4との間で取り決めた「通知データを受信した」旨を知らせる受信信号を入力する。受信信号としては、乗場ボタン34を押下して出力される押下信号を用いる。受信信号通知部126は、遠隔連絡信号線80を介し、連絡モード切替部114を経由して受信信号である押下信号を受け取り、受け取った受信信号に基づいて所定の通知データを作成する。作成された通知データは、連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線90を介してかご側連絡入出力機器52の出力機器である報知部46に伝送される。
上記のように、遠隔連絡モード制御ブロック104は、ピット側保守作業者4がピットアウト状態にあることを連絡するのみならず、さらに、ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間で2回の連絡を行う。このように複数の連絡確認を経て初めて乗りかご40を1階の乗場30に向けて降下させるのは、ピット16と40階の乗りかご40とが遠く隔たっているために、「ピットアウト状態にある」旨の連絡に関して第三者等が関与して誤認が生じるのを防ぐためである。
ピットアウト確認部120では、1階の乗場30の乗場ボタン34の押下信号を所定のピットアウト信号と参照するが、ピットアウト信号によっては、偶然に第三者がピットアウト信号と同じ内容で乗場ボタン34を操作する可能性がある。その場合でも、確認信号通知部124では、1階の乗場30と異なり、第三者が入り込みにくい乗りかご40における行先階指示盤44の確認信号入力操作と確認信号に基づく通知信号が1階の乗場30の昇降状態表示部36に表示される。1階の乗場30に第三者がいても、昇降状態表示部36に表示された通知内容を理解することは困難であり、さらに、昇降状態表示部36に表示された通知内容に対して、押下信号を入力することも困難である。このように、互いに遠隔にあるピット側保守作業者4とかご側保守作業者6との間の連絡に対して、第三者の関与を防ぐことができ、乗りかご40の降下に対し、ピット側保守作業者4の安全が確保でき、ピット16内の保守作業に支障が生じなくなる。
図7と図8は、上記構成の高層エレベーターシステム10における連絡支援システム70に適用される連絡支援方法の手順を示すフローチャートである。連絡支援方法の手順としては、ピット側保守作業者4またはかご側保守作業者6の処理手順と、制御装置60の処理手順とが一体となっている。ここで、ピット側保守作業者4またはかご側保守作業者6の処理が主である手順は破線枠で囲み、制御装置60の処理が主である手順は実線枠で示す。
高層エレベーターシステム10において、連絡支援方法を行うに当たっては、高層エレベーターシステム10の制御モードの切替(S10)が行われる。ここでは、高層エレベーターシステム10の制御モードを、通常モードから保守モードに切り替え、さらに保守モードの下での遠隔連絡モードに切り替える。具体的には、図4に示すように、乗りかご40内において、保守作業盤54を開けて、保守モードボタン56を押してその表示面が点灯することを確認したうえで、遠隔連絡モードボタン58を押す。遠隔連絡モードボタン58の表示面が点灯すれば、S10のモード切替処理は終了する。
次に、ピット16内にピット側保守作業者4を配置し、乗りかご40内にかご側保守作業者6を配置する(S12)。S10とS12の処理順序を逆にしてS12を先に処理し、S10を処理してもよい。
そして、乗りかご40を昇降路12の最上階に相当する40階の乗場30まで移動させて、そこで停止状態にする(S14)。これによって、ピット側保守作業者4とかご側保守作業者6とは遠く隔たって配置され、互いの連絡が困難な状態になる。
そして、ピット側保守作業者4は、ピット16内で保守作業を行う(S16)。ピット側保守作業者4が1階の乗場30からピット16内に入る手順、ピット内照明灯26を点灯する手順、保守作業としての主ロープ22の伸び量点検等の内容は、図2で述べたので、詳細は省略する。ピット16内での保守作業が終了すると、ピット側保守作業者4は、1階の乗場30に戻る。ピット内照明灯26を点灯する手順、照度計28の作用、ピット16内から1階の乗場30へ戻る手順等の内容は、図2で述べたので、詳細は省略する。
以上が図7における手順で、引き続き図8の手順が行われる。ピット側保守作業者4は、1階の乗場30に戻ると、制御装置60は、照度計28からの消灯信号を検出したか否かの判定を行う(S20)。判定が否定されると、判定が肯定されるまでS20の手順が繰り返される。
S20に並行して、ピット側保守作業者4は、1階の乗場30の乗場ボタン34を所定の手順で押下操作して乗場ボタン信号を送信する。乗場ボタン信号のための押下操作は、押下時間が長い長押状態と、長押状態よりも押下時間の短い短押状態とを予め定めた送信順序で行う(S22)。
制御装置60は、乗場ボタン34から送信されてくる乗場ボタン信号が予め定めたピットアウト信号であるか否かを判定する(S24)。所定のピットアウト信号の例は図6で述べたので、詳細は省略する。S24の判定が否定されると、以後の処理は終了する。これは、第三者が適当な送信順序の押しボタン信号を送信しても以後の手順には進まないためである。以後の処理を終了させる代わりに、押しボタン信号が所定のピットアウト信号と一致しない旨を乗場ボタン34の表示面を用いて表示してもよい。例えば、乗場ボタン34の表示面の点滅を繰り返す等の表示方法を用いて、押しボタン信号が異常であることをピット側保守作業者4に知らせる。これを見たピット側保守作業者4は、S22に戻り、1階の乗場30の乗場ボタン34を押下操作し直す。
S24の判定が肯定されると、ピットアウト状態であると判定され(S26)て、次に進む。S20からS26までの処理手順は、制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104のピットアウト確認部120の機能によって実行される。
ピットアウト状態であると判定されると、所定の報知データが作成され、作成された報知データは、連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線90を介してかご側連絡入出力機器52の出力機器である報知部46に出力される(S28)。この処理手順は、制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104の報知データ出力部122の機能によって実行される。
次に、報知データを確認したかご側保守作業者6がかご側連絡入出力機器52の行先階指示盤44を操作して確認信号を出力するので、その確認信号を受け取って、ピット側保守作業者4に通知する(S30)。この処理手順は、制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104の確認信号通知部124の機能によって実行される。確認信号通知部124は、受け取った確認信号に基づいて適当な通知データを作成し、作成した通知データについて連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線80を介してピット側連絡入出力機器50の出力機器である昇降状態表示部36に出力する。
続いて、確認信号に関する通知データを受信したピット側保守作業者4がピット側連絡入出力機器50の乗場ボタン34を操作して受信信号を出力するので、その受信信号を受け取って、かご側保守作業者6に通知する(S32)。受信信号としては、乗場ボタン34の押下信号が用いられる。この処理手順は、制御装置60の遠隔連絡モード制御ブロック104の受信信号通知部126の機能によって実行される。受信信号通知部126は、受け取った受信信号に基づいて適当な通知データを作成し、作成した通知データについて連絡モード切替部114を経由し、遠隔連絡信号線90を介してかご側連絡入出力機器52の出力機器である報知部46に出力する。
そして、受信信号の通知を受けたかご側保守作業者6は、保守モードの下で、乗りかご降下指示を出すので、乗りかご降下指示を受け取って、乗りかご40を最下階に向けて降下させるかご降下制御を行う(S34)。そして、最下階である1階の乗場30に着床(S36)すると、保守モードボタン56を操作して、保守モードを通常モードに戻す。
保守モードの下で乗りかご降下指示を出し、乗りかご40が1階の乗場30に着床するまでは、遠隔連絡モードのままであるので、ピット側保守作業者4からの連絡を受け取れる。そこで、確認信号に関する通知データを受信したピット側保守作業者4は、乗場ボタン34を押し続ける期間は乗りかご40の降下を続けさせ、何かの事情で乗りかご40の降下を中断したい場合に、乗場ボタン34の押下を中断することができる。中断の事情がなくなれば、再び乗場ボタン34の押下操作を行うことで、かご側保守作業者6は、再び乗りかご降下指示を出す。
上記に代えて、受信信号の通知を受けたかご側保守作業者6は、保守モードを通常モードに切り替え、行先階指示盤44において、行先階を「1」として、乗りかご40を1階の乗場30に直行させてもよい。
上記構成のエレベーターのピットアウト連絡支援システム70、及びこれに用いられるエレベーターのピットアウト連絡支援方法によれば、ピット16内とピット16から遠隔階にある乗りかご40との間で、ピットアウト状態を誤認することなく連絡できる。ピット16から遠隔階にある乗りかご40の間の連絡が、ピット内照明灯26の点灯消灯状態の目視確認や、無線交信では困難な高層エレベーターシステム10において、特に効果的である。また、制御装置60に遠隔連絡モード制御ブロック104を設け、高層エレベーターシステム10が既に備えている機器の動作作用を変更して用いるので、特別な装置を必要としない。