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JP7312527B2 - 乳化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含有し、アラントインを安定に保持できる乳化組成物に関する。
アラントイン及びその誘導体には、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等があることが知られており、外用組成物の有効成分として広く使用されている。また、ヘパリン類似物質は、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等が知られており、しかも副作用が少ないことから、外用組成物の有効成分として用いられている。
近年、外用組成物に対する機能性の向上が強く求められるようになっており、アラントイン及びその誘導体、並びにヘパリン類似物質の機能性に着目し、これらの成分を併用することにより機能性を向上させた外用組成物についても提案されている。例えば、特許文献1には、ヘパリン類似物質、アラントイン又はその誘導体、並びにパントテン酸又はその誘導体を具組む外用医薬組成物は、表皮角化細胞の各層細胞への正常な分化を促進できることが開示されている。
一方、アラントインにはpH6.0程度以上になると分解されるという欠点がある。従来、アラントインの安定化を図るために、外用組成物をより低いpH、例えば、pH5.5以下に設定することが有効であることが知られているが、このような低pHの外用組成物では皮膚刺激等の問題が生じることが懸念される。
また、クリーム剤やローション剤等の乳化組成物は、使用感が良好であり、消費者に広く受け入れられている。しかしながら、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物において、アラントイン及び/又はその誘導体を安定に維持させる製剤技術については、十分な検討がなされていない。
特開2011-231128号公報
本発明者は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物を実用化すべく検討を行ったところ、当該乳化組成物では、通常の非乳化液剤ではアラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制できる低pH範囲に調整しても、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制できないという新たな課題に直面した。即ち、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物では、通常の非乳化液剤とは異なる手法を採用しなければ、アラントイン及び/又はその誘導体を安定化できないという製剤技術上の問題点に直面した。
そこで、本発明の目的は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物において、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制し、アラントイン及び/又はその誘導体を安定に保持させる製剤技術を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質と共に、ホスホコリン基含有重合体及びアミン系アルカリ剤を含有させた乳化組成物は、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化が図られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)アラントイン及び/又はその誘導体、(B)ヘパリン類似物質、(C)ホスホコリン基含有重合体、並びに(D)アミン系アルカリ剤を含有する、乳化組成物。
項2. 前記(D)アミン系アルカリ剤が、アルカノールアミン及び/又はアルギニンである、項1に記載の乳化組成物。
項3. 前記(C)ホスホコリン基含有重合体が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、項1又は2に記載の乳化組成物。
項4. pHが5~7である、項1~3のいずれかに記載の乳化組成物。
項5. 水中油型の乳化形態である、項1~4のいずれかに記載の乳化組成物。
項6. アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物におけるアラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法であって、
乳化組成物中に、(A)アラントイン及び/又はその誘導体、並びに(B)ヘパリン類似物質と共に、(C)ホスホコリン基含有重合体、及び(D)アミン系アルカリ剤を配合する、前記安定化方法。
本発明の乳化組成物によれば、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含んでいながらも、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、これを安定に保持させることができる。また、本発明の乳化組成物によれば、一般にアラントイン及び/又はその誘導体の安定化に必要とされる低pHにせずとも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化を図ることができるので、低pHに起因する皮膚刺激を抑制することもできる。
1.乳化組成物
本発明の乳化組成物は、アラントイン及び/又はその誘導体((A)成分と表記することもある)、ヘパリン類似物質((B)成分と表記することもある)、ホスホコリン基含有重合体((C)成分と表記することもある)、並びにアミン系アルカリ剤((D)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。本発明の乳化組成物では、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質と共に、ホスホコリン基含有重合体及びアミン系アルカリ剤を含むことにより、乳化組成物中でアラントイン及び/又はその誘導体とヘパリン類似物質とが共存することにより生じるアラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制し、優れた製剤安定性を備えることが可能になっている。以下、本発明の乳化組成物について詳述する。
(A)アラントイン及び/又はその誘導体
アラントインは、5-ウレイドヒダントインとも称される化合物であり、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
アラントインの誘導体としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、具体的には、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。これらのアラントインの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物では、(A)成分として、アラントイン又はその誘導体のいずれか一方のみを使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。(A)成分の中でも、その安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはアラントインが挙げられる。
本発明の乳化組成物における(A)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.05~5重量%、好ましくは0.1~3重量%、更に好ましくは0.1~1重量%が挙げられる。
(B)ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
本発明で使用されるヘパリン類似物質の由来については、特に制限されないが、例えば、ムコ多糖類を多硫酸化することにより得られたもの、食用獣の組織(例えば、ウシやブタ等の気管軟骨を含む肺臓)から抽出したもの等が挙げられる。本発明の乳化組成物では、ヘパリン類似物質として、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質が好適に使用される。
本発明の乳化組成物における(B)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.01~5重量%、好ましくは0.05~3重量%、更に好ましくは0.1~1重量%、特に好ましくは0.1~0.5重量%、最も好ましくは0.1~0.3重量%が挙げられる。
本発明の乳化組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、(A)成分及び(B)成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が0.1~10000重量部、好ましくは1~1000重量部、更に好ましくは10~300重量部が挙げられる。
(C)ホスホコリン基含有重合体
ホスホコリン基含有重合体とは、ホスホコリン基を含む単量体(以下、「ホスホコリン基含有単量体」と表記することがある)が重合したポリマーであり、保湿作用等を有する公知の成分である。
本発明で使用されるホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体の種類については、特に制限されないが、例えば、ホスホコリン基とビニル基を有する単量体が挙げられる。ホスホコリン基含有単量体として、より具体的には、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン等が挙げられる。ホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体は1種単独で含まれていてもよく、また2種以上組み合わされて含まれていてもよい。これらのホスホコリン基含有単量体の中でも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
本発明で使用されるホスホコリン基含有重合体は、1種のホスホコリン基含有単量体からなる単重合体であってもよく、また2種以上の単量体からなる共重合体であってもよい。
ホスホコリン基含有重合体が共重合体である場合、2種以上のホスホコリン基含有単量体からなる共重合体であってもよく、また少なくとも1種のホスホコリン基含有単量体と少なくとも1種のホスホコリン基含有単量体以外の単量体からなる共重合体であってもよい。
ホスホコリン基含有重合体に含まれるホスホコリン基含有単量体以外の単量体の種類については、薬学的に許容されるものであってホスホコリン基含有単量とラジカル重合可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ビニル基を有する単量体が挙げられる。ホスホコリン基含有単量体以外の単量体として、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メタクリル酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体以外の単量体は1種単独で含まれていてもよく、また2種以上組み合わされて含まれていてもよい。これらのホスホコリン基含有単量体以外の単量体の中でも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム、更に好ましくはアルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはアルキル基の炭素数が3~5のアルキル(メタ)アクリレート、特に好ましくはブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを示す。
本発明で使用されるホスホコリン基含有重合体として、具体的には、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(ポリクオタニウム-51)、2-メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ナトリウム共重合体(ポリクオタニウム-65)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-64)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム-61)等が挙げられる。なお、ホスホコリン基含有重合体に関する前記表記において、括弧内の名称は化粧品成分表示名称を示す。
これらのホスホコリン基含有重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのホスホコリン基含有重合体の中でも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体;更に好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体;特に好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体が挙げられる。
本発明の乳化組成物において、(C)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.025~1重量%が挙げられる。アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、(C)成分の含有量として、好ましくは0.05~0.5重量%、更に好ましくは0.1~0.3重量%が挙げられる。
本発明の乳化組成物において、(A)成分に対する(C)成分の比率については、(A)成分及び(C)成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(C)成分が1~2000重量部が挙げられる。(A)成分に対する(C)成分の比率として、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分100重量部当たり、(C)成分が、好ましくは10~500重量部、更に好ましくは50~150重量部が挙げられる。
(D)アミン系アルカリ剤
アミン系アルカリ剤とは、アンモニア、第1級アミン、又は第2級アミンから水素原子を除去した1価の官能基を有し、水中でアルカリ性を示す成分である。本発明の乳化組成物において、アミン系アルカリ剤は、アラントイン及び/又はその誘導体の分解抑制に寄与すると共に、乳化組成物のpHを後述する範囲に調整する役割も果たす。
本発明で使用されるアミン系アルカリ剤の種類については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、アルカノールアミン、アルギニン等が挙げられる。
アミン系アルカリ剤として使用されるアルカノールアミンにおいて、窒素原子に結合しているヒドロキシアルキル基の数については、特に制限されないが、例えば1~3個、好ましくは2又は3個が挙げられる。また、アルカノールアミンにおいて窒素原子に結合しているヒドロキシアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。また、アルカノールアミンにおいて窒素原子に結合しているヒドロキシアルキル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば1~20、好ましくは2~5、更に好ましくは2~3が挙げられる。
アミン系アルカリ剤としてアルカノールアミンとして、具体的には、具体的には、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノールアミンが挙げられる。
これらのアミン系アルカリ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアミン系アルカリ剤の中でも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはアルカノールアミン、更に好ましくは炭素数2~3のヒドロキシアルキル基を1~3個有するアルカノールアミン、より好ましくはジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、特に好ましくはジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
本発明の乳化組成物における(D)の含有量については、当該乳化組成物のpHが5~7、好ましくは5~6.8となる量に設定すればよい。アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物は、従来技術では、皮膚への刺激を低減できるpH5.5以上ではアラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制できないという問題点があるが、本発明によれば、アミン系アルカリ剤を用いてpH調整することによって、皮膚への刺激を低減できるpH5.5以上であってもアラントイン及び/又はその誘導体の分解を効果的に抑制し、その安定化を図ることが可能になっている。このような本発明の効果を鑑みれば、本発明の乳化組成物における(D)の含有量として、当該乳化組成物のpHが、更にこの好ましくは5.5~6.8、特に好ましくは5.5~6.5となる量が挙げられる。
(E)アニオン性界面活性剤
本発明の乳化組成物は、前記(A)~(D)成分に加えて、必要に応じてアニオン性界面活性剤((E)成分と表記することもある)を含んでいてもよい。アニオン性界面活性剤を含む場合には、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させることが可能になる。
本発明で使用されるアニオン性界面活性剤の種類については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸、ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸等の炭素数8~18のアルキル硫酸エステル及びその塩;水素化ヤシ油脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸等の脂肪酸エステル硫酸エステル及びその塩;ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルアリールスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及びその塩;1,2-ジヒドロキシプロパンスルホン酸と高級脂肪酸とのエステル及びその塩;ポリオキシエチレン-ラウリル硫酸等のポリオキシエチレン-アルキルエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩;ラウロイルサルコシン等のN-アシルサルコシン酸及びその塩;ミリストイルメチルタウリン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン、ラウリルメチルタウリン等の高級脂肪酸アミドスルホン酸スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸等のスルホコハク酸及びその塩;N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ステアロイルグルタミン酸、N-ミリストイルグルタミン酸等のN-アシルグルタミン酸及びその塩;ポリオキシエチレン-アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレン-アルキルアリルエーテルカルボン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級脂肪酸エステルスルホン酸、二級アルコール硫酸エステル、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸、N-パルミトイルアスパラギン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
また、前記アニオン性界面活性剤として例示した化合物の内、塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;トリエタノールアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
これらのアニオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアニオン性界面活性剤の中でも、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは炭素数8~18のアルキル硫酸エステル及びその塩;更に好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム;特に好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の乳化組成物に(E)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば0.1~10重量%が挙げられる。(E)成分の含有量として、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは0.2~5重量%、更に好ましくは0.5~1重量%が挙げられる。
また本発明の乳化組成物に(E)成分を含有させる場合、(A)成分に対する(E)成分の比率については、(A)成分及び(E)成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(E)成分が1~20000重量部が挙げられる。(A)成分に対する(E)成分の比率として、アラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、(A)成分100重量部当たり、(E)成分が、好ましくは5~5000重量部、更に好ましくは10~1000重量部が挙げられる。
その他の含有成分
[水]
本発明の乳化組成物は、乳化された状態で水相を形成するために、水を含有する。
本発明の乳化組成物における水の含有量については、乳化形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型の場合であれば、20~90重量%、好ましくは30~80重量%、更に好ましくは40~80重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、20~90重量%、好ましくは30~80重量%、更に好ましくは40~80重量%が挙げられる。
[油分]
本発明の乳化組成物は、乳化された状態で油相を形成するために、油分を含有する。
本発明で使用される油分については、薬学的又は香粧学的に許容されるものであることを限度として特に制限されないが、例えば、植物油、動物油、鉱物油、コレステロール、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、高級アルコール、シリコーンオイル等が挙げられる。
植物油としては、具体的には、オリーブ油、小麦胚芽油、こめ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ごま油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ホホバ油、硬化油、アボガド油、ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油、オレンジ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、木ロウ、ライスワックス、等が挙げられる。これらの植物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
動物油としては、具体的には、ラード、魚油、スクワラン、蜜蝋等が挙げられる。これらの動物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
鉱物油としては、具体的には、パラフィン、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これらの炭化水素は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数4~30の脂肪酸と炭素数1~34のアルコールのエステルが挙げられ、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、ミスチリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチル等が挙げられる。これらの脂肪酸アルキルエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸としては、例えば、炭素数4~30の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、セバシン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数6~34の1価アルコールが挙げられ、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーンオイルとしては、具体的には、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アクリルシリコーン、フェニル変性シリコーン等が挙げられる。これらのシリコーンオイルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの油脂性基剤の中でも、より一層効果的に抗炎症作用を向上させるという観点から、好ましくは動物油、鉱物油、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、高級アルコールが挙げられる。
これらの油分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物における油分の含有量については、乳化形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型の場合であれば、1~80重量%、好ましくは3~50重量%、更に好ましくは5~20重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、1~80重量%、好ましくは3~50重量%、更に好ましくは5~20重量%が挙げられる。
[アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤]
本発明の乳化組成物には、必要に応じて、アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤が含まれていてもよい。このような界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、乳化安定性並びにアラントイン及び/又はその誘導体の安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはノニオン性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);グリセリンアルキルエーテル;ステアレス-2;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等);ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、Pポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレン・POP-セチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等);ステアレス-21等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の中でも、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物において、アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含有させる場合、その含有量については、使用する界面活性剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1~10重量%、好ましくは2~9重量%、更に好ましくは3~8重量%が挙げられる。
[多価アルコール]
本発明の乳化組成物は、保湿作用の増強等を目的として、必要に応じて、多価アルコールが含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物において、多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、使用する多価アルコールの種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5~30重量%、好ましくは1~20重量%、更に好ましくは2~15重量%が挙げられる。
[増粘剤]
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、粘性の調節等のために、必要に応じて、増粘剤が含まれていてもよい。
増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン等が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。これらの増粘剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の乳化組成物において、増粘剤を含有させる場合、その含有量については、使用する増粘剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~3重量%、好ましくは0.2~1重量%、更に好ましくは0.3~0.7重量%が挙げられる。
[その他の薬効成分]
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて、含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の乳化組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
[その他の添加剤]
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用剤に通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、香料、着色料等が挙げられる。本発明の乳化組成物において、これらの添加剤を含有させる場合、その含有量については、使用する添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
pH
本発明の乳化組成物のpHは、前記「(D)アミン系アルカリ剤」の欄に示す範囲に設定すればよい。
製剤形態・用途
本発明の乳化組成物は、水中油型又は油中水型のいずれの乳化形態であってもよいが、好ましくは水中油型が挙げられる。また、本発明の乳化組成物は、各含有成分が可溶化された状態になっていてもよい。
本発明の乳化組成物の製剤形態については特に制限されず、例えば、可溶化状(可溶化系ローション剤等)、乳液状(乳化系ローション剤等)、クリーム状等が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、経皮適用される外用剤として好適に使用される。本発明の乳化組成物として、具体的には、外用医薬品、外用医薬部外品、化粧料、皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは外用医薬品及び外用医薬部外品が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、含有する(A)成分に基づいて、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等を発揮でき、更に含有する(B)成分に基づいて、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等を発揮できるので、保湿、肌荒れ改善、乾燥性皮膚疾患、炎症性皮膚疾患、肥厚性瘢痕、ケロイド等の予防又は治療等の目的で好適に使用される。
製造方法
本発明の乳化組成物は、公知の乳化組成物の製造方法に従って製造することができる。本発明の乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、水、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。別途、油分、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して油相用組成物を調製する。なお、(E)成分、及び(E)成分以外の界面活性剤は、水相用組成物又は油相用組成物のいずれか一方又は双方に添加して混合すればよいが、油相用組成物に添加することが好ましい。次いで、得られた水相用組成物と油相用組成物を混合し、ホモジナイザー等の乳化手法によって乳化させる。その際、水相用組成物は2以上に分けて調製し、段階的に油相用組成物と混合して乳化させてもよい。その後、(D)成分を所定量添加して所望のpHに調整することにより、本発明の乳化組成物が製造される。
2.アラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法
本発明は、更に、アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物におけるアラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法であって、乳化組成物中に、(A)アラントイン及び/又はその誘導体、並びに(B)ヘパリン類似物質と共に、(C)ホスホコリン基含有重合体、及び(D)アミン系アルカリ剤を配合することを特徴とする、安定化方法を提供する。
本発明の安定化方法において、使用する(A)~(D)の種類や含有量、配合される他の成分の種類や含有量、乳化によって製される乳化組成物の製剤形態等については、前記「1.乳化組成物」の場合と同様である。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
表1に示す組成の水中油型乳化組成物(クリーム剤、実施例1~9及び比較例1~5)、及び液剤(参考例1)を製造し、アラントインの分解抑制効果について評価した。具体的な試験方法は、以下の通りである。
<水中油型乳化組成物(実施例1~9及び比較例1~5)の製造>
先ず、表1中の(I)に示す成分を混合して溶解させ、水相用組成物を調製した。また、別途、表1中の(II)及び(III)に示す成分を加熱しながら混合して溶解させて油相用組成物を調製した。次いで、水相用組成物及び油相用組成物をそれぞれ80℃に加熱した状態で混合し、ホモジナイザーを用いて乳化した。乳化後、表1中の(IV)に示す成分を添加し、pH5.5に調整した後に、室温まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
<液剤(参考例1)の製造>
表1に示す各成分を所定量混合し、液剤を製造した。
<アラントインの分解抑制効果の評価>
得られた乳化組成物及び液剤について、製造直後と、製造後50℃で30日間遮光条件で保存した後に、アラントインの含有量を高速液体クロマトグラフィー(カラム:PC HILIC S5 4.6mm×250mm(株式会社資生堂製)、移動相:アセトニトリル/水=80/20、流速:1.0mL/min、カラム温度:40℃、測定波長:210nm)を使用して測定した。測定したアラントインの含有量から、以下の式に従って、アラントインの分解率(%)を算出し、下記判定基準に従ってアラントインの分解抑制効果を評価した。
Figure 0007312527000001
(アラントインの分解抑制効果の判定基準)
◎:アラントインの分解率が0~3.9%
○:アラントインの分解率が4.0~5.9%
△:アラントインの分解率が6.0~7.9%
×:アラントインの分解率が8%以上
<結果>
得られた結果を表1に示す。アラントイン及びヘパリン類似物質を含有する組成物において、pH5.5の液剤ではアラントインは安定であったが(参考例1:分解率は3.0%であった)、乳化形態にすると、アラントインの分解が認められた(比較例1~5:分解率は8.0~11.4%であった)。また、アラントイン及びヘパリン類似物質を含有する乳化組成物において、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を含有させた場合でも、アルカリ剤として水酸化カリウムを含有させると、アラントインの分解が認められた(比較例5)。これに対して、アラントイン及びヘパリン類似物質を含有する乳化組成物において、2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体と共に、アルカリ剤としてアミン系アルカリ剤を含有させると、アラントインの分解を抑制でき、アラントインの安定化が図られていた(実施例1~9:実施例1の分解率は4.0%、実施例8の分解率は4.2%であった)。また、アニオン性界面活性剤を更に含有させると、アラントインの分解抑制効果がより一層向上していた(実施例2~7及び9:分解率は1.8~3.4%であった)。
Figure 0007312527000002
処方例
表2に示す組成の水中油型乳化組成物(クリーム剤)(処方例1~18)及びローション液(処方例19及び20)を調製した。得られた水性製剤について、前記試験例と同様の方法でアラントインの分解抑制効果を評価したところ、いずれもアラントインの分解率が低く、アラントインの安定性が向上していた。
Figure 0007312527000003

Claims (6)

  1. (A)アラントイン及び/又はその誘導体、(B)ヘパリン類似物質、(C)ホスホコリン基含有重合体、並びに(D)アミン系アルカリ剤を含有する、乳化組成物(但し、たまねぎ抽出物を含む場合、及びスベリヒユ抽出エキスを含む場合を除く)。
  2. 前記(D)アミン系アルカリ剤が、アルカノールアミン及び/又はアルギニンである、請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 前記(C)ホスホコリン基含有重合体が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. pHが5~7である、請求項1~3のいずれかに記載の乳化組成物。
  5. 更に(E)アニオン性界面活性剤を含み、且つ水中油型の乳化形態である、請求項1~4のいずれかに記載の乳化組成物。
  6. アラントイン及び/又はその誘導体、並びにヘパリン類似物質を含む乳化組成物(但し、たまねぎ抽出物を含む場合、及びスベリヒユ抽出エキスを含む場合を除く)におけるアラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法であって、
    乳化組成物中に、(A)アラントイン及び/又はその誘導体、並びに(B)ヘパリン類似物質と共に、(C)ホスホコリン基含有重合体、及び(D)アミン系アルカリ剤を配合する、前記安定化方法。
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