添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、試験装置10の斜視図である。まず、図1を用いて、三点曲げ試験を行う試験装置10の構造について説明する。試験装置10は、半導体デバイスチップ等の試験片11(図3参照)の曲げ強度を測定するための装置である。
試験片11は、例えば、通常の半導体デバイスチップと同様に、互いに交差するように配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された各領域にそれぞれデバイスが形成された半導体ウェーハを、分割予定ラインに沿って分割することにより製造される。
なお、試験装置10によって試験される試験片11の種類、材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。また、半導体ウェーハは、デバイスが形成されていないウェーハであってもよく、この場合、半導体ウェーハを分割して形成された試験片11には、デバイスが形成されていない。
試験装置10は、基台部12を有する。基台部12は、板状に形成されており、各々水平面内に位置する第1方向(図1の横方向)と、第1方向と直交する第2方向(図1の奥行方向)とによって形成される面内で矩形状である。
基台部12の第1方向の両端には、一対の側部(第1側部14a及び第2側部14b)が設けられている。第1側部14a及び第2側部14bの各々は、板状に形成されており、基台部12の両端から第3方向(即ち、図1の上下方向)に沿って突出する態様で設けられている。
基台部12の表面12aは平坦であり、この表面12a上には、試験片11を支持するための支持ユニット20が設けられている。支持ユニット20は、ステンレス鋼材やセラミクス等で形成された一対の支持台(第1支持台20a及び第2支持台20b)を備える。第1支持台20a及び第2支持台20bは、各々直方体状に形成されており、第1方向で隙間が設けられるように互いに離れた状態で向き合って配置されている。
第1支持台20aの第2支持台20b側の上端部には、その上面から上方に突出する態様で第1支持部22aが設けられている。同様に、第2支持台20bの第1支持台20a側の上端部には、その上面から上方に突出する態様で第2支持部22bが設けられている。
一対の支持部(第1支持部22a及び第2支持部22b)の各々は、第1支持台20a及び第2支持台20bと同じ材料で板状に形成されており、互いに向き合う様に配置されている。第1支持部22a及び第2支持部22bの各々は、第2方向に所定の幅の長辺を有し、第3方向に短辺を有し、第1方向に厚さを有する。
第1支持部22aの長辺及び短辺で形成される一の矩形表面は、第1支持台20aの内側(即ち、第2支持台20bと向き合う側)の側面と面一となる様に設けられている。同様に、第2支持部22bの一の矩形表面も、第2支持台20bの内側(即ち、第1支持台20aと向き合う側)の面と面一となる様に設けられている。
第1支持部22a及び第2支持部22bの各々の上端部は、第2方向から見て上に凸形状である曲面状に加工されており、第2方向の一端から反対側の他端まで一様な形状である。第1支持部22a及び第2支持部22bの各々の凸形状の頂点は、試験片11の下面を支持する支点となる。
第1支持部22aの凸形状の頂点と、第2支持部22bの凸形状の頂点とは、第1方向に所定の間隔で配置されている。この凸形状の頂点間の距離は、試験片11を支持する支点の支点間距離22cとなる。なお、第1支持部22a及び第2支持部22bは、一対の凸形状の頂点により支点間距離22cが規定できれば、板状部材に限定されず、棒状又は柱状部材であってもよい。
支持ユニット20の下方には、第1支持台20a及び第2支持台20bを第1方向に沿って移動させるための一対の移動ユニット(第1の移動ユニット24a及び第2の移動ユニット24b)が設けられている。第1支持台20aの下方には、第1の移動ユニット24aが設けられている。
第1の移動ユニット24aは、第1方向に沿って設けられた一対の第1のガイドレール26aを有する。一対の第1のガイドレール26aは、第2方向で所定の間隔だけ離れて表面12aに固定されている。一対の第1のガイドレール26aの間には、一対の第1のガイドレール26aと略平行に配置されたボールネジ(不図示)が設けられている。
ボールネジには、第1支持台20aの下面側に設けられたナット部(不図示)が回転可能な態様で連結されている。また、ボールネジの一端部には、ボールネジを回転させる第1のパルスモーター28aが連結されている。第1のパルスモーター28aによってボールネジを回転させると、第1支持台20aが第1のガイドレール26aに沿って第1方向に移動する。
同様に、第2支持台20bの下方には、第2の移動ユニット24bが設けられている。第2の移動ユニット24bは、第1方向に沿って設けられた一対の第2のガイドレール26bを有し、一対の第2のガイドレール26bの間には、ボールネジ(不図示)が設けられている。
ボールネジには、第2支持台20bの下面側に設けられたナット部(不図示)が回転可能な態様で連結されており、ボールネジの一端部には、ボールネジを回転させる第2のパルスモーター28bが連結されている。
第2のパルスモーター28bによってボールネジを回転させると、第2支持台20bが第1方向に移動する。第1支持台20a及び第2支持台20bを第1方向で互いに近づく又は遠ざかる様に移動させることで、第1支持部22a及び第2支持部22bの支点間距離22cは変更される。
第1支持部22a及び第2支持部22bの第2方向の一側面側には、撮像ユニット30が設けられる。撮像ユニット30は、ステンレス鋼材等の金属で形成された直方体状の撮像用基台部32を有する。撮像用基台部32上には、第1方向から見た場合に上下が反転したL字状のヘッド部34が設けられている。
撮像用基台部32の下方には、撮像用基台部32を第2方向に沿って移動させるための撮像ユニット移動機構40が設けられている。撮像ユニット移動機構40は、第2方向に沿って設けられた一対のガイドレール42を有する。
一対のガイドレール42は、第1方向で所定の間隔だけ離れた状態で表面12aに固定されている。一対のガイドレール42の間には、一対のガイドレール42と略平行に配置されたボールネジ44が設けられている。
ボールネジ44には、撮像用基台部32の下面側に設けられたナット部(不図示)が回転可能な態様で連結されている。また、ボールネジ44の一端部には、ボールネジ44を回転させるパルスモーター46が連結されている。パルスモーター46によってボールネジ44を回転させると、撮像用基台部32がガイドレール42に沿って第2方向に移動する。
支持ユニット20の上方且つ第1支持部22a及び第2支持部22bの間に相当する領域には、試験片11を押圧する圧子52が配置されている。つまり、圧子52は、試験装置10を上方から見た場合に、第1支持部22a及び第2支持部22bの間に位置している。
圧子52の形状は、第2方向に所定の幅を有する平板形状である。例えば、圧子52の幅は、第1支持部22a及び第2支持部22bの第2方向の幅と同じである。圧子52は、下方に向かって幅が狭くなる先細り形状の先端部52a(下端部)を有する。
先端部52aの最先端は、下方に突出する曲面状に加工されている。即ち、先端部52aの両側面は、上下方向に対して傾斜しており、先端部52aの最先端(最下端)は、丸みを帯びた凸形状である(図6(A)等参照)。
圧子52の先端部52aは、第2方向に沿って一様に同じ形状である。なお、先端部52aよりも上方の圧子52の側面部は、略平坦な平面形状である。また、圧子52の上端部は、ホルダー54の下部に固定されている。
ホルダー54は、例えば、ステンレス鋼材等の金属で形成され第3方向に所定の高さを有する円筒状に形成されている。圧子52及びホルダー54は、押圧ユニット50を構成する。ホルダー54の上部には、ロードセル56(荷重計測ユニット)が固定されている。
ロードセル56は、例えば、第3方向に所定の高さを有する円筒状に形成されている。ロードセル56は、荷重を電気信号に変換する装置である。例えば、第1支持部22a及び第2支持部22bで支持された試験片11を圧子52で押圧すると、ロードセル56は、圧子52から試験片11に作用する力(即ち、荷重)の反作用の力(即ち、反力)を受ける。ロードセル56は、この反力を電気信号に変換して不図示の制御部へ出力する。
そして、制御部により電気信号が荷重(N)に換算される。この様に、ロードセル56を用いて、圧子52で試験片11を押圧するときに試験片11にかかる荷重が計測される。ロードセル56の側面は、板状のロードセル固定板58で固定されている。ロードセル固定板58は、ステンレス鋼材等の金属で形成され、第1方向に長手部を有する矩形状の鋼板である。
ロードセル固定板58の第1方向の両端には、一対の圧子移動機構60が連結されている。圧子移動機構60は、第1側部14a及び第2側部14bの第1方向の内面側(即ち、互いに向き合う側)に各々設けられている。
1つの圧子移動機構60は、第3方向に沿って設けられた一対のガイドレール62を有する。一対のガイドレール62は、第2方向に所定の間隔で第1側部14a及び第2側部14bの各々の内面側に固定されている。一対のガイドレール62の間には、一対のガイドレール62と略平行に配置されたボールネジ64が設けられている。
ボールネジ64の一端部には、ボールネジ64を回転させるパルスモーター66が連結されている。また、ボールネジ64には、ロードセル固定板58の第1方向の端部に設けられたナット部68が、回転可能な態様で連結されている。
パルスモーター66によってボールネジ64を回転させると、ボールネジ64に固定されたナット部68が第3方向に沿って移動する。ナット部68を第3方向に沿って移動させることで、ロードセル固定板58は第3方向に沿って移動する。
つまり、ロードセル固定板58に対して固定された圧子52は、圧子移動機構60により上下に移動する。例えば、第1支持部22a及び第2支持部22bに載置された試験片11を圧子52が押圧する様に、試験片11に対して圧子52を相対的に移動させることで、試験片11に加える荷重を調節できる。より具体的には、圧子52を下方に動かすことで、試験片11に加える荷重を大きくでき、圧子52を上方に動かすことで、試験片11に加える荷重を小さく又はゼロにできる。
基台部12の表面12a上には、照明ユニット70(図2(A)等参照)が更に設けられている。照明ユニット70は、第2方向で支持ユニット20及び押圧ユニット50に対して撮像ユニット30とは反対側に位置する。
図2(A)及び図2(B)を用いて、圧子52、撮像ユニット30及び照明ユニット70の位置関係をより詳しく説明する。図2(A)は、試験装置10の一部側面図であり、図2(B)は、圧子52、撮像ユニット30及び照明ユニット70を示す概略図である。
照明ユニット70は、下面側が表面12aに固定された直方体状の照明用基台72を有する。照明用基台72は、圧子52に対して撮像ユニット30とは反対側に設けられる。照明用基台72の上面には、直方体形状の光源用筐体74が設けられている。光源用筐体74の内部には、LED等から成る光源76が設けられている。
光源用筐体74の撮像ユニット30側の側面の一部には開口74aが設けられており、光源76から放射された光は、開口74aを通じて照明用基台72上に設けられたピンホールマスク78cに向かう。
ピンホールマスク78cは、照明用基台72の上面に設けられたマスク用ホルダー78aの上部に固定されている。ピンホールマスク78cの表面の略中央には、ピンホール78bが形成されている。ピンホール78bの直径は、例えば、0.5mmから1.0mmである。
ピンホール78bを通過した光は、コリメートレンズ78eに向かう。コリメートレンズ78eは、照明用基台72の上面に設けられたレンズホルダー78dの上部に固定されている。コリメートレンズ78eは、例えば、ピンホールマスク78c側の焦点距離fが12.5mmであり、略円盤状の非球面レンズである。
コリメートレンズ78eを通過した光は、光軸と略平行な平行光となり、圧子52側へ出射される。この様に、ピンホールマスク78c及びコリメートレンズ78eは、光源76と圧子52との間に配置された平行光形成光学系78を構成する。
照明ユニット70から照射される平行光は、圧子52を撮像ユニット30で撮像するためのバックライト部として機能する。照明ユニット70を用いて圧子52の先端部52aに平行光を当てた上で先端部52aを撮像することで、自然光のみで先端部52aを撮像する場合に比べて、より鮮明に先端部52aを撮像できる。
第2方向において圧子52に対して照明ユニット70とは反対側の圧子52から離れた位置には、撮像ユニット30が配置されている。撮像ユニット30は、ヘッド部34を有し、このヘッド部34には、凸レンズ36a(図2(B)参照)が設けられている。
凸レンズ36aは、その光軸がコリメートレンズ78eの光軸と一致する様に配置されている。コリメートレンズ78eから出射された平行光は、圧子52の先端部52aにより部分的に遮蔽、散乱等されながら、その一部がヘッド部34の凸レンズ36aに入射する。
凸レンズ36aから出射される光は、絞り36bに入射する。絞り36bは、圧子52とは反対側の凸レンズ36aの焦点位置に配置されている。このような凸レンズ36a及び絞り36bの配置により、凸レンズ36a及び絞り36bから成るレンズユニット36は、物体側テレセントリック光学系を構成する。
絞り36bを通過した光は、CMOS又はCCDイメージセンサ等の撮像素子36cに入射する。つまり、平行光形成光学系78から入射する光は、最終的に撮像素子36cへ集光される。
撮像素子36cで受光された光は光電変換され電気信号となり、上述の制御部へ出力される。そして、制御部により画像に変換され、例えば、上述の表示装置に画像として表示される。この画像は、例えば、圧子52の先端部52aが50倍程度に拡大された画像である。
試験装置10では、テレセントリック性を有するレンズユニット36を圧子52と撮像素子36cの間に配置して、物体側テレセントリック光学系を構成する。それゆえ、物体側及び像側(即ち、撮像素子36c側)の両側でテレセントリック光学系とする場合に比べて、光学系を小型化できる。なお、試験装置10の小型化が要求されない場合は、レンズユニット36で、物体側及び像側でテレセントリックである両側テレセントリック光学系を構成してもよい。
撮像ユニット30は、凸レンズ36aに固有の焦点距離に応じて、第2方向に所定の焦点距離を持つ。そこで、撮像ユニット30で圧子52の第2方向の異なる領域を撮像するべく、撮像ユニット移動機構40を用いて撮像ユニット30と圧子52とを第2方向に沿って相対的に移動させる。
撮像ユニット移動機構40は、撮像ユニット30が圧子52から最も離れた遠隔位置P1(図5参照)から、撮像ユニット30が圧子52に最も近づいた近接位置P2(図5参照)まで、撮像ユニット30を、例えば、250μm単位で移動させる。
撮像ユニット30は、第2方向の異なる複数の位置で圧子52の先端部52aを撮像する。凸レンズ36aの焦点は、第2方向に所定の焦点距離を持つ。例えば、凸レンズ36aの焦点は、遠隔位置P1(図5参照)に位置するときに撮像ユニット30側の圧子52の端部に一致し、近接位置P2(図5参照)に位置するときに照明ユニット70側の圧子52の端部に一致する。
また、撮像ユニット30は、被写界深度が、例えば、500μmとなる様に構成されている。遠隔位置P1から近接位置P2までの間の複数の位置の各々で圧子52の先端部52aを撮像することで、第2方向の任意の位置の先端部52aに付着している異物を検出できる。
更に、試験装置10では、物体側テレセントリック光学系を用いて圧子52の先端部52aの画像を取得できる。それゆえ、撮像ユニット30を第2方向で圧子52に近づけて(例えば、遠隔位置P1で)撮像しても、圧子52から遠ざけて(例えば、近接位置P2で)撮像しても、被写界深度の範囲では像の寸法変動が生じない。それゆえ、圧子52に付着した異物の大きさを正確に測定することができる。
加えて、撮像ユニット30により、先端部52aの状態(例えば、先端部52aが摩耗しているか否か)を確認することもできる。SEMI規格G86-0303で規定される三点曲げ試験では、圧子52の形状等が定まっているので、圧子52の形状が規格の条件を満たさなくなったか否かを確認できる。
なお、上述の第1の移動ユニット24a、第2の移動ユニット24b、撮像素子36c、撮像ユニット移動機構40及び圧子移動機構60等の各要素の動作は、不図示の制御部により制御される。制御部は、例えばコンピュータであり、ホスト・コントローラを介して相互に接続されるCPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、入出力装置等を有する。
CPUは、ROM,RAM、ハードディスクドライブ等の記憶部分に格納されたプログラム、データ等に基づいて演算処理等を行う。CPUが記憶部分に格納されたプログラムを読み込むことにより、制御部は、ソフトウェアと上述のハードウェア資源とが協働した具体的手段として機能できる。
次に、試験装置10を用いて試験片11の強度を測定する三点曲げ試験について説明する。図3、図4(A)、図4(B)、図4(C)、図5、図6(A)、図6(B)及び図7を用いて、第1実施形態の試験方法を説明する。
図7は、第1実施形態のフロー図である。図7に示す全ステップ又は一部のステップは、制御部が試験装置10の構成要素の動作を制御することで実行される。以下では、図7のフロー図を引用しつつ説明する。
第1実施形態の試験方法では、まず、支持ステップ(S10)が行われる。図3は、支持ステップ(S10)を示す図である。支持ステップ(S10)では、試験片11の下面が第1支持部22a及び第2支持部22bで支持される。
なお、試験片11の一面には、DAF(die attach film)が貼り付けられていてもよい。DAFが貼り付けられた試験片11の一面は、試験片11の下面(第1支持部22a及び第2支持部22側)であっても、上面(圧子52側)であってもよい。
支持ステップ(S10)では、例えば、半導体ウェーハを分割する装置で半導体ウェーハを複数のチップに分割した後、コレット等で一のチップ(即ち、試験片11)を吸着して、試験片11を第1支持部22a及び第2支持部22b上に搬送する。
支持ステップ(S10)後、試験片破壊ステップ(S20)を行う。試験片破壊ステップ(S20)では、制御部が圧子移動機構60を動作させ、圧子52を移動させる。第1支持部22a及び第2支持部22bに支持された試験片11は圧子52により押圧される。制御部は、ロードセル56で測定される荷重を逐次モニタリングし、試験片11に加えられる荷重を測定する。
まず、圧子移動機構60を用いて圧子52を徐々に下方に移動させて、試験片11に接触させる。図4(A)は、圧子52の先端部52aを試験片11の一面に接触させた様子を示す図である。図4(A)の右側に示すグラフは、試験時間(横軸)と、圧子52が試験片11に加える荷重(縦軸)とを示す。
圧子52を更に下方に移動させることで、試験片11には更に大きな荷重が加わり、試験片11は押圧されて下に凸の形状となる様に湾曲し始める(図4(B)参照)。図4(B)は、荷重を増加させる途中を示す図である。
その後、更に荷重を増加させていくと、ある値の荷重(即ち、最大荷重)が加えられた時点で、試験片11は破壊される。図4(C)は、試験片11が破壊される様子を示す図である。試験片11が破壊された後、試験片11が圧子52から離れるので、圧子52が試験片11に加える荷重は、試験片11が破壊された直後にゼロとなる。
試験片破壊ステップ(S20)で、試験片11が破壊されるまでに圧子52から試験片11に加えられた最大荷重(即ち、試験片11が破壊される荷重)をWとする。また、第1支持部22a及び第2支持部22bの支点間距離22cをLとし、第2方向の試験片11の幅をbとし、試験片11の第3方向の厚さをhとする。この場合、試験片11の曲げ強度σは、σ=(3LW)/(2bh2)で算出される。
試験片破壊ステップ(S20)の後、画像取得ステップ(S30)が行われる。画像取得ステップ(S30)では、まず、制御部が、撮像ユニット移動機構40の動きを制御して、第2方向に沿って撮像ユニット30を圧子52に対して相対的に移動させる。
本実施形態では、圧子52の位置を固定し、撮像ユニット移動機構40により撮像ユニット30を第2方向に所定の移動量で移動させて、移動させた各位置で圧子52の先端部52aを撮像ユニット30で撮像する。図5は、画像取得ステップ(S30)を示す図である。
具体的には、第2方向に沿って遠隔位置P1から圧子52へ所定の移動量で撮像ユニット30を移動させる。そして、制御部が、移動後に静止した状態の撮像ユニット30に圧子52を撮像させる。この様に、移動と撮像とが、撮像ユニット30が近接位置P2に至るまで複数回繰り返される。なお、所定の移動量は、例えば、250μmである。
なお、撮像ユニット30の移動は、この例に限定されず、圧子52から遠ざかる様に(即ち、近接位置P2から遠隔位置P1へ)撮像ユニット30を移動させてもよい。画像取得ステップ(S30)の後、画像取得ステップ(S30)で取得した複数の画像に基づいて、制御部が、圧子52に異物が付着しているか否かを検出する(検出ステップ(S40))。図6(A)は、圧子52に異物が付着していない場合の圧子52の先端部52aの画像である。
図6(A)の(a1)は、撮像ユニット30が遠隔位置P1に位置するときの先端部52aの画像である。(a2)は、撮像ユニット30が遠隔位置P1よりも近接位置P2に近い位置PM2に位置するときの先端部52aの画像であり、(a3)は、撮像ユニット30が位置PM2よりも近接位置P2に近い位置PM3に位置するときの先端部52aの画像である。更に、(a4)は、撮像ユニット30が近接位置P2に位置するときの先端部52aの画像である。
これに対して、図6(B)は、圧子52に異物11aが付着している場合の圧子52の先端部52aの画像である。なお、図6では、先端部52aが模式的に示されているが、実際の画像では、撮像ユニット30の位置に応じて先端部52aの輪郭がぼやける場合がある。
異物11aは、例えば、1mm以下の有効径又は相当径を有する、粒子又は粉体である。なお、図6(B)では、圧子52の第2方向の異なる複数の位置に付着した異物11aではなく、第2方向の一箇所に付着した一つの異物11aが撮像されている。
図6(B)の(b1)は、撮像ユニット30が遠隔位置P1に位置するときの先端部52aの画像である。(b2)は、撮像ユニット30が上述の位置PM2に位置するときの先端部52aの画像であり、(b3)は、撮像ユニット30が上述の位置PM3に位置するときの先端部52aの画像である。更に、(b4)は、撮像ユニット30が近接位置P2に位置するときの先端部52aの画像である。
位置PM2から遠隔位置P1までの距離は、例えば、撮像ユニット30の移動量に基づいて、制御部により算出される。この場合、制御部は、圧子52の撮像ユニット30側の端部からこの算出された距離だけ照明ユニット70側に進んだ位置に異物11aが存在すると特定できる。このように、圧子52の第2方向の異なる位置を撮像した複数の画像を用いると、圧子52に付着した異物11aの有無及び位置を容易に検出できる。
図6(A)の様に、検出ステップ(S40)で異物11aが検出されなかった場合(S50でNO)、試験は終了する。これに対して、図6(B)の様に、検出ステップ(S40)で異物11aが検出された場合(S50でYES)、制御部(不図示)は、上述の表示装置に警告情報を発する。
オペレーターは、警告情報を受けて、エタノール等の洗浄剤を含んだ布又は紙等で圧子52を洗浄し、異物11aを除去する(圧子クリーニングステップ(S60))。圧子52の洗浄は、エアブローにより行ってよく、エアブローとイオナイザーを用いた除電とを組み合わせて行ってもよい。
なお、エアブロー用のノズルとイオナイザーとを圧子52の近傍に配置することにより、異物11aが検出された場合(S50でYES)に、オペレーターではなく試験装置10が圧子クリーニングステップ(S60)を行ってもよい。
本実施形態では、撮像ユニット30で圧子52を撮像して得た画像に基づいて、制御部が、圧子52に異物11aが付着しているか否かを検出する。それゆえ、異物11aが付着しているか否かを試験装置10で自動的に検出できる。
また、圧子52に異物11aが付着している場合には、圧子52をクリーニングして異物11aを除去できる。それゆえ、次に試験片11の破壊試験を行うときに、圧子52に異物11aが付着している場合に比べて、より正確な試験を行うことができる。
特に、試験片11にDAF等の粘着剤が設けられている場合、試験片11の破片や屑等の異物11aが、圧子52の先端部52aに付着しやすい。それゆえ、DAF付きの試験片11の曲げ強度σを測定する場合に、本実施形態の試験方法は効果的である。
検出ステップ(S40)の第1変形例として、撮像ユニット30が撮像した画像を二値化加工することにより、圧子52の先端部52aに異物11aが付着しているか否かや、付着している異物11aのサイズを検出してもよい。
図8(A)は、先端部52aに異物11aが付着していない場合の先端部52aの二値化画像であり、図8(B)は、先端部52aに異物11aが付着している場合の先端部52aの二値化画像である。なお、図8(A)及び図8(B)の各々は、第2方向の同じ位置に位置付けた撮像ユニット30で圧子52の先端部52aを撮像して得られた画像である。
例えば、図8(B)に示す様に、先端部52aの形状とは異なる領域で所定の数以上の画素が黒である場合に、制御部は、先端部52aに異物11aが付着していると判断する。これに代えて、図8(A)に示す画像が制御部の記憶部等に既に記憶されている場合は、制御部が、図8(A)に示す黒色の画素領域と、図8(B)に示す黒色の画素領域とを比較してよい。そして、画素数の差分が生じた場合に、制御部は、先端部52aに異物11aが付着していると判断してもよい。
次に、第2実施形態について説明する。圧子52の先端部52aの幅方向(即ち、長手方向)は、基本的には第2方向と平行である。しかし、試験片破壊ステップ(S20)の実行や圧子52の取り外し等により、圧子52が正常な位置からずれる場合がある。
そこで、第2実施形態では、支持ステップ(S10)の前に、参照画像取得ステップ(S4)を行う。係る点で、第1実施形態と異なる。図10は、第2実施形態のフロー図である。
参照画像取得ステップ(S4)では、画像取得ステップ(S30)と同様に、第2方向で撮像ユニット30を複数の位置に移動させて、移動させた各位置で撮像ユニット30が圧子52の先端部52aを撮像する。これにより、先端部52aの複数の参照画像を取得する。
図9(A)は、圧子52が正常な位置に配置されている場合の先端部52aの画像であり、図9(B)は、圧子52が正常な位置に配置されていない場合の先端部52aの画像である。
圧子52の正常な位置からのずれには、圧子52のφ方向(即ち、第1方向及び第2方向で規定される平面内で原点の周りに回転する方向)の傾きや、圧子52のθ方向(即ち、第2方向及び第3方向で規定される平面内で原点の周りに回転する方向)の傾きがある。なお、圧子52の正常な位置からのずれには、圧子52の付け根と先端部52aとが第3方向と平行とならない場合、即ち、先端部52aの第1方向への傾きもある。
図9(A)の(a1)及び図9(B)の(b1)は、撮像ユニット30が遠隔位置P1に位置するときの先端部52aの画像である。(a2)及び(b2)は、上述の位置PM2に位置するときの先端部52aの画像である。
また、(a3)及び(b3)は、上述の位置PM3に位置するときの先端部52aの画像である。更に、(a4)及び(b4)は、撮像ユニット30が近接位置P2に位置するときの先端部52aの画像である。
参照画像取得ステップ(S4)では、圧子52を固定して第2方向で撮像ユニット30を複数の位置に移動させて、移動させた各位置の撮像ユニット30で1回ずつ圧子52を撮像し、複数の参照画像を取得する。参照画像取得ステップ(S4)の後、支持ステップ(S10)の前に、傾き検出ステップ(S6)が行われる。
傾き検出ステップ(S6)では、制御部が、取得した複数の参照画像(例えば、(a1)から(a4)又は(b1)から(b4))を比較することにより、複数の参照画像に基づいて圧子52の正常な位置からのずれを検出する(傾き検出ステップ(S6))。
以下では、図9(A)及び図9(B)を用いて、圧子52のφ方向及び/又はθ方向の傾きを検出する場合について説明する。傾き検出ステップ(S6)で、制御部が図9(A)の(a1)から(a4)を比較した場合、(a1)から(a4)に差異が無いので、制御部は、傾きが無いことを検出する。これに対して、制御部が図9(B)の(b1)から(b4)を比較した場合、制御部は、傾きがあることを検出する。
例えば、(b1)での先端部52aのエッジのうち画像左側上端に位置する一点の座標と、(b4)での先端部52aのエッジのうち画像左側上端に位置する他の一点の座標とを比較する。座標に差異があるので、制御部は、圧子52にφ方向の傾きがあると検出できる。
なお、制御部は、一点の座標と、他の一点の座標との第1方向の差ΔLを算出し、このΔLと圧子52の第2方向の幅とから圧子52のφ方向の傾きΔφを算出してもよい。傾き検出ステップ(S6)で制御部が算出した傾きΔφは、例えば、上述の表示装置に表示される。
傾き検出ステップ(S6)の後、検出された傾きに基づいて圧子52の向きを修正する傾き修正ステップ(S8)が行われる。傾き修正ステップ(S8)では、例えば、制御部により算出された傾きΔφだけ、オペレーターが圧子52を回転させる。
また、傾き修正ステップ(S8)では、表示装置に表示された先端部52aの画像に基づいて、オペレーターが圧子52の固定位置を修正してもよい。例えば、先端部52aの画像を表示装置に表示させておき、遠隔位置P1から近接位置P2まで先端部52aを撮像することと、所定角度だけ圧子52を回転させることとを複数回繰り返すことで、圧子52の傾きΔφを修正できる。
なお、図9(A)に示す複数の参照画像が既に得られており、制御部の記憶部等に記憶されている場合がある。この場合には、参照画像取得ステップ(S4)で図9(B)に示す複数の参照画像を新たに得た後に、傾き検出ステップ(S6)で、制御部が図9(A)及び図9(B)の参照画像どうしを比較する。
図9(A)と図9(B)とを比較した場合に、遠隔位置P1((a1)及び(b1)参照)では先端部52aの下端が一致しているが、近接位置P2に進むにつれて先端部52aの下端のずれが大きくなっている。
つまり、圧子52は、照明ユニット70側が高くなるように、傾いている(図9(B)において、Δh1<Δh2<Δh3)。この場合、制御部は、θ方向に傾きがあると検出できる。なお、制御部は、近接位置P2で検出されたΔh3を基に圧子52のθ方向の傾きΔθを算出してもよい。
傾きΔθは、例えば、上述の表示装置に表示される。オペレーターは、傾き検出ステップ(S6)で検出された傾きに基づいて、圧子52の傾きΔθを修正してもよい(傾き修正ステップ(S8))。
傾き修正ステップ(S8)では、例えば、オペレーターが圧子52の向きを傾きΔθだけ修正する。また、例えば、先端部52aの画像を表示装置に表示させておき、遠隔位置P1から近接位置P2まで先端部52aを撮像することと、所定角度だけ圧子52の向きを修正することとを複数回繰り返すことで、圧子52の向きを修正できる。
なお、上述の説明では、説明を簡単にするために、圧子52の先端部52aに異物11aが付着いていない状況(図9(A)及び図9(B))を説明した。しかしながら、先端部52aに異物11aが付着していても、参照画像取得ステップ(S4)の実行は差し支えない。また、参照画像取得ステップ(S4)で異物11aの付着が検出された場合には、異物11aを除去したうえで、再び参照画像を取得してもよい。
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の検出ステップ(S40)では、参照画像取得ステップ(S4)で得られた先端部52aに異物11aが付着していない複数の参照画像(図9(A)参照)と、画像取得ステップ(S30)で得られた複数の画像(図6(B)参照)とを制御部が比較する。これにより、圧子52の先端部52aに異物11aが付着しているか否かを検出する。
制御部が、図9(A)に示す(a1)から(a4)の参照画像と、図6(B)に示す(b1)から(b4)の画像とを比較することにより、先端部52aに付着した異物11aを画像比較により検出できる。それゆえ、オペレーターが上述の表示装置で異物11aを検出する場合に比べて、迅速かつ正確に異物11aを検出できる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。また、参照画像取得ステップ(S4)、傾き検出ステップ(S6)及び傾き修正ステップ(S8)、並びに/又は、画像取得ステップ(S30)及び検出ステップ(S40)は、1枚の試験片11を破壊する度に行ってもよく、所定の枚数(例えば、10枚)の試験片11を破壊する度に行ってもよい。
ところで、先端部52aに加えて、第1支持部22a及び第2支持部22bを含む画像を撮像してもよい。これにより、検出ステップ(S40)では、圧子52の先端部52aだけでなく、第1支持部22a及び第2支持部22bに異物11aが付着しているかいないかを検出できる。
第1支持部22a等を撮像するべく、圧子52の先端部52aを撮像する撮像ユニット30のヘッド部34に加えて、第1支持部22a及び第2支持部22bを撮像する他のヘッド部が、ヘッド部34の下方においてヘッド部34と一体的に設けられてもよい。
また、追加の他のヘッド部を、ヘッド部34の第1方向の一方側又は両側にヘッド部34と一体的に設けて、圧子52の先端部52aの側面を撮像してもよい。これにより、圧子52を多角的な方向から撮像して、異物11aを検出できる。
なお、上記では、試験装置10が三点曲げ試験によって試験片11の強度を測定する例について説明したが、試験装置10によって行われる試験の内容は適宜変更できる。例えば試験装置10は、球抗折試験や四点曲げ試験によって試験片11の強度の試験を行ってもよい。
試験装置10によって球抗折試験を行う場合、試験装置10は、試験片11を押圧する球状の圧子を備える。この圧子を試験片11の所定の点に接触させることにより、試験片11が押圧される。また、試験装置10によって四点曲げ試験を行う場合、試験装置10は、第1支持部22a及び第2支持部22bに沿うように配置された2つの圧子を備える。この一対の圧子を試験片11の所定の領域に接触させることにより、試験片11が押圧される。
上記の球抗折試験や四点曲げ試験を行う場合にも、撮像ユニット30で圧子を撮像して得た画像に基づいて、圧子に異物11aが付着しているか否かを検出する。それゆえ、異物11aが付着しているか否かを試験装置10で自動的に検出できる。また、圧子に異物11aが付着している場合には、圧子をクリーニングして異物11aを除去できる。それゆえ、圧子に異物11aが付着している場合に比べて、より正確な試験を行うことができる。