詳細な説明
少なくとも1つの標的リガンド同族結合パートナー(カウンター構造タンパク質(counter-structure protein)とも呼ぶ)に結合する活性を示す、ICOSリガンド(ICOSL)のバリアントもしくは変異体またはその特異的結合断片であるか、またはそれを含む免疫調節タンパク質が本明細書において提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加)を含有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加)は参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン(例えば、IgV)の中にある。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、少なくとも1つの同族結合パートナー、例えば、ICOS、CD28、またはCTLA-4の少なくとも1つに対して変化した、例えば、向上または低下した結合活性または親和性を示す。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は可溶性である。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、細胞の表面で発現することができる膜貫通免疫調節タンパク質である。いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドと、1つまたは複数の他の部分またはポリペプチドを含有するコンジュゲートまたは融合体である1つまたは複数の他の免疫調節タンパク質も本明細書において提供される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質は、免疫学的な免疫応答、例えば、免疫応答の増強または低減を調節する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質は、調節不全の免疫応答に関連する疾患または病態を処置するために使用することができる。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、補助刺激シグナル伝達分子との相互作用を介してT細胞活性化を調節する。概して、抗原特異的T細胞活性化は2つの別個のシグナルを必要とする。第1のシグナルは、T細胞受容体(TCR)と、抗原提示細胞(APC)上に存在する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)結合抗原の相互作用によって供給される。第2のシグナルはTCR結合の補助刺激であり、T細胞アポトーシスまたはアネルギーを回避するのに必要である。
いくつかの態様において、正常な生理学的条件下でT細胞性免疫応答はT細胞受容体(TCR)による抗原認識から開始し、補助刺激シグナルと阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイント受容体)のバランスによって調節される。免疫系は、自己免疫(すなわち、自己寛容)を阻止するために、および免疫応答中の、例えば、病原性感染に対する攻撃中の過度の損傷から組織を守るために免疫チェックポイント受容体に頼る。しかしながら、場合によっては、腫瘍を含む疾患および病態では、これらの免疫調節タンパク質は免疫系から逃れるための機構として調節不全になることがある。
いくつかの態様において、既知のT細胞補助刺激受容体の中には、両方ともAPC上に存在するリガンドB7-1(CD80)とB7-2(CD86)に対するT細胞補助刺激受容体であるCD28がある。これらの同じリガンドが、CD28よりも大きな親和性で阻害性T細胞受容体CTLA4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)にも結合することができる。CTLA-4との結合は免疫応答を下方制御するように働く。ICOS(誘導性補助刺激分子)は、APC上のICOSリガンド(ICOSL)に結合する別のT細胞補助刺激受容体である。場合によっては、CD28とCTLA-4はまた、ICOSLとT細胞補助刺激受容体ICOSの結合と重複する結合部位においてICOSLとも相互作用することが知られている(Yao et al.(2011) Immunity, 34:729-740)。CD28とICOSは、関連するCD28ファミリー活性化受容体であり、いくつかの細胞内シグナル伝達モチーフを共有するが、CD28とICOSとの間で補助刺激効果は異なる。例えば、CD28は、活性化されていないT細胞と活性化されているT細胞の両方で発現し、そのシグナル伝達はIL-2産生と、その後のT細胞エフェクター機能に重要である。ICOSは一般的にT細胞活性化後までT細胞の表面では発現せず、活性化T細胞上でのICOSを介したシグナル伝達は、特殊化したT細胞サブセット分化を支持する。従って、場合によっては、CD28とICOSによる補助刺激から、重複し補完する効果が得られる。
いくつかの局面において、T細胞は補助刺激分子CD28およびICOSを発現し、これらの分子は、それぞれ、抗原提示細胞(APC)上にあるCD80/CD86およびICOSLと相互作用する。リンパ器官では、プロフェッショナルAPC(すなわち、樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞)はCD80、CD86、およびICOSLを発現し、CD28+/ICOS+T細胞に結合する。次いで、いくつかの態様では、活性化T細胞は、エフェクター細胞、例えば、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、IL-17A/F分泌CD4+Th17細胞、またはCD4+濾胞性ヘルパー(TFH)細胞に分化することができる。TFH発現CD40Lはリンパ濾胞の中でB細胞に結合し、B細胞から抗体(Ab)分泌プラズマ細胞への分化を誘導するサイトカイン(例えば、IL-21)を放出する。プラズマ細胞は、組織損傷抗体、例えば、ヒトではリウマチ因子(RF)および抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)、マウスでは抗コラーゲン(CII)抗体を産生することがあり、これらは免疫複合体を形成し、関節および他の組織に沈着することがある。ICOSLはまた非プロフェッショナルAPC上でも発現し、非リンパ系組織においてT細胞を活性化し、組織と関節をさらに傷つけることもある。
いくつかの局面において、CD4+Th1-、Th9-、およびTh17-細胞は、多発性硬化症(MS)および実験的自己免疫性脳脊髄炎の両方においてCNS内の炎症を増大させることで多発性硬化症の主因として意味づけられ、CD4+ICOS+CXCR5+T濾胞性ヘルパー細胞は再発寛解型MSではPBMCの中で増加し、二次性進行型MSでは疾患進行と相関関係にある。いくつかの態様において、二次性進行型MSの脳脊髄液細胞中ではICOS遺伝子発現が有意に増加し、総単球およびICOSLを発現する単球のパーセントの増加が観察された。ICOSLはまた非プロフェッショナルAPC上でも発現し、非リンパ系組織においてT細胞活性化と、さらなる組織損傷をもたらす。
提供されるバリアントICOSLポリペプチドの中には、参照ICOSLポリペプチドのIgSFドメインの1つまたは複数のアミノ酸改変によって改変されたときにCD28および/またはICOSに対する結合親和性の向上を示すポリペプチドがある。場合によっては、野生型ICOSLのICOSに対する結合親和性はCD28よりもかなり高いことが既に証明されているので、提供されるバリアントにおけるICOS結合性の全向上はCD28結合性の向上よりも小さい。様々なフォーマットの提供されるバリアントポリペプチドも提供される。本明細書において示したように、代替のフォーマットによって、免疫応答、従って、治療用途の操作を容易にすることができる。例えば、可溶性フォーマットをとる増強したICOSLタンパク質を送達すると、CD28および/またはICOSシグナル伝達を阻害することでT細胞活性化をアンタゴナイズすることが本明細書において示される。他の例では、バリアントICOSL分子を表面に繋ぎ止めると補助刺激シグナルが供給されることでT細胞活性化が容易になる。プラスチックへの直接コーティング、プレートに結合したタンパク質標的もしくは細胞表面に発現しているタンパク質標的に局在化させるための別のバリアントIgSFドメインの使用、またはバリアントICOSLと腫瘍特異的モノクローナル抗体との融合を含むが、これに限定されない、T細胞補助刺激シグナルの送達を局在化させるための様々な繋ぎ止め戦略が提供される。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節ポリペプチドによって成し遂げられる免疫シグナル伝達の調節は、他の処置と比較して、炎症性および自己免疫性の障害ならびに他の疾患および病態の処置に利益をもたらす。場合によっては、両受容体の補助刺激作用に介入する、およびそれを変える療法は、免疫シナプスの範囲によって課される空間的方向の要件ならびにサイズ制約によって制限される。いくつかの局面では、抗体薬物を含む既存の治療薬物は、これらの相互作用の調整に関与する複数種の標的タンパク質と同時に相互作用できない可能性がある。さらに、場合によっては、既存の治療薬物には、免疫応答をアンタゴナイズするが、アゴナイズしない能力しか無い可能性がある。さらに、これらの2種類の受容体の一方または他方を独立して標的とする薬物間で薬物動態学的な差異があるために、処置の全期間にわたって、このような薬物の組み合わせの望ましい血中濃度を正しく維持することが難しい場合がある。
いくつかの局面において、提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質は、補助刺激受容体CD28またはICOSによって誘導される免疫学的活性を調節する(例えば、増強または低減する)。従って、いくつかの態様では、提供されるポリペプチドは、CD28とICOSの両方に対して、場合によっては、CTLA-4に対する結合親和性が変化した(例えば、向上または低下した)バリアントICOSL(誘導性補助刺激分子リガンド)を提供し、それによって、受容体による補助刺激の補完的作用をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることによって、これらの制約を克服する。これらのバリアントICOSLを作製および使用する方法も提供される。
いくつかの局面において、提供される分子はまた、他の可溶性治療用タンパク質薬剤よりも効果が高い場合がある。例えば、アバタセプト(CTLA-4-Fc)は、自己免疫疾患状況において、例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、および若年性特発性関節炎を処置する場合に、バリアントCTLA-4-Fc分子であるベラタセプトは移植片拒絶を処置する場合にT細胞応答を減弱するようにT細胞補助刺激を妨害することが示されている。しかしながら、これらのCTLA-4-Fcタンパク質はCD80およびCD86に結合し、これらの補助刺激リガンドがCD28にだけ結合し、CD28だけを誘発するのを阻止する。本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、場合によってはCD28とICOSの両方に対して結合親和性と増大した活性を示す。
さらに、状況に応じて免疫応答をアンタゴナイズまたはアゴナイズするようにバリアントポリペプチドを様々な配置で並べることができると、結合パートナーに対するバリアントICOSLの同じ向上した結合性および活性に基づいて治療用途において融通がきくようになる。いくつかの態様では、望ましい治療用途に合わせて特定のフォーマットを選択することができる。例えば、説明されるように、バリアントICOSLポリペプチドを含む免疫調節ポリペプチドは、その同族結合パートナー、例えば、ICOSおよび/またはCD28の活性をアンタゴナイズまたはブロックするフォーマットで、例えば、Fc融合タンパク質として提供される。いくつかの態様では、CD28またはICOSを介した補助刺激シグナル伝達のブロックまたは阻害は免疫応答抑制に有用な場合があり、これは炎症性または自己免疫性の障害(例えば、多発性硬化症もしくは脳の炎症)または臓器移植の処置において有用な場合がある。一例として、バリアントICOSLタンパク質を表面に繋ぎ止めることで局在性の補助刺激シグナルを送達することができ、いくつかの局面では、局在性の補助刺激を腫瘍浸潤T細胞に送達するために、局在性の補助刺激シグナルを用いて腫瘍組織を標的とすることができる。ほとんどの原発性腫瘍には、CD80、CD86、またはICOSLなどの補助刺激分子の発現が無く、従って、補助刺激の欠如によりT細胞抗腫瘍応答が損なわれる場合がある(Yu et al. (1998) Int. Immunol.10:791-797)。腫瘍が発現する補助刺激タンパク質が無くても、腫瘍局在化部分、例えば、B7H6腫瘍細胞に局在化するNkp30または腫瘍特異的抗体を用いて補助刺激ドメインを腫瘍細胞に局在化させることでT細胞応答を増強することができる。
本明細書において言及される全ての刊行物(特許、特許出願、科学論文およびデータベースを含む)は、それぞれ個々の刊行物(特許、特許出願、科学論文およびデータベースを含む)が参照によって組み入れられると具体的にかつ個別に示されたかのように同程度に、参照によってその全体が全ての目的において本明細書に組み入れられる。本明細書に示されている定義が参照によって本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願および他の刊行物に示されている定義に反しているかまたは他に矛盾している場合、本明細書に示されている定義が参照によって本明細書に組み入れられる定義より優先される。
本明細書において使用される項目の見出しは、単に構成を目的としたものであって、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
I.定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、注記、ならびに他の技術および科学用語または関連用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合では、通常理解されている意味を有する用語は、明確化のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義され、そして、本明細書におけるこのような定義の包含は、必ずしも一般に当技術分野において理解されているものと大きな差異をなすと解釈されるべきではない。
本明細書を通して使用される用語は、特定の事例において別段限定されない限り、以下のとおり定義される。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語、頭字語、ならびに略称は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。別段の指示のない限り、化学名および生化学名の略称および記号は、IUPAC-IUB命名法による。別段の指示のない限り、全ての数値範囲は、その範囲を規定する値だけでなくその間の全ての整数値も含む。
用語「親和性が改変された(親和性改変)」は、免疫グロブリンスーパーファミリードメインの文脈において使用される場合、親の野生型または未改変の(すなわち、親和性が改変されていない)IgSF対照ドメインと比較してその同族結合パートナー(あるいは「カウンター構造体」)のうちの少なくとも1つに対する結合親和性またはアビディティが(対応する野生型の親または未改変IgSFドメインと比べて)向上または低下するように変化したアミノ酸配列を有する哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを意味する。この文脈において、親和性が改変されたICOSL IgSFドメインが含まれる。いくつかの態様において、親和性改変IgSFドメインは、参照(例えば未改変)IgSFドメインまたは野生型IgSFドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれより多くのアミノ酸の差異(例えば、アミノ酸置換)を含有することができる。結合親和性またはアビディティの向上または低下は、フローサイトメトリーなどの周知の結合アッセイを使用して決定することができる。Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005)。また、Linsley et al., Immunity, Vol. 1: 793-801 (1994) も参照されたい。その同族結合パートナーに対するタンパク質の結合親和性またはアビディティの向上は、野生型IgSFドメイン対照よりも少なくとも10%大きい値、いくつかの態様において、野生型IgSFドメイン対照値よりも少なくとも20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、500%、1000%、5000%、または10000%大きい値になる向上である。その同族結合パートナーのうちの少なくとも1つに対するタンパク質の結合親和性またはアビディティの低下は、対照の90%以下であるが野生型IgSFドメイン対照値の10%以上の値、いくつかの態様において、野生型IgSFドメイン対照値の80%、70%、60%、50%、40%、30%、または20%以下であるが10%以上の値になる低下である。親和性が改変されたタンパク質は、アミノ酸残基の置換、付加、または欠失によって一次アミノ酸配列が変化している。用語「親和性改変IgSFドメイン(親和性改変IgSFドメイン)」は、親和性改変IgSFドメインが作製された任意の特定の出発組成物または方法のあらゆる条件を強要するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の親和性改変IgSFドメインについては、任意の特定の親和性改変プロセスによって野生型IgSFドメインが親和性改変IgSFドメインへと変換されるのに限定されない。親和性改変IgSFドメインポリペプチドは、例えば、野生型哺乳動物IgSFドメイン配列情報から開始して生成され、次いで、その同族結合パートナーに対する結合性についてインシリコでモデル化され、そして、最後に組換えまたは化学合成されて、主題の親和性改変IgSFドメイン組成物を生成することができる。別のほんの一例として、親和性改変IgSFドメインは、野生型IgSFドメインの部位特異的変異誘発によって作製することができる。したがって、親和性改変IgSFドメインは、任意の所与のプロセスによって生産されるが必ずしもその必要はない、生成物を表す。組換え法、化学合成、またはその組み合わせを含む様々な技術を用いてもよい。
用語「同種(の)」は、本明細書において使用される場合、ある生物から取り出され、次いで同じ種の遺伝的に異なる生物に注入または養子移入される、細胞または組織を意味する。本発明のいくつかの態様において、種はネズミまたはヒトである。
用語「自家(の)」は、本明細書において使用される場合、同じ生物から取り出され、後に前記生物に注入または養子移入される、細胞または組織を意味する。自家の細胞または組織を、例えば、組換えDNA法によって、生物から取り出される天然の細胞または天然の組織とはもはや遺伝的に同一ではないように改変することができる。例えば、天然の自家T細胞を、膜貫通型免疫調節タンパク質および/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家の改変細胞となるように組換えDNA技術によって遺伝的に改変することができ、これは、いくつかの場合では、T細胞またはTIL(腫瘍浸潤性リンパ球)を改変することを包含する。次いで、改変細胞を、天然のT細胞が単離された患者へ注入する。いくつかの態様において、生物は、ヒトまたはマウスである。
用語「結合親和性」および「結合アビディティ」は、本明細書において使用される場合、それぞれ、特異的結合条件下での、あるタンパク質のそのカウンター構造体に対する、特異的結合親和性および特異的結合アビディティを意味する。生化学速度論では、アビディティは、例えばICOSLとそのカウンター構造体であるICOSおよび/またはCD28との間のような、個々の非共有結合相互作用の複数の親和性の累積強度を指す。このように、アビディティは、単一の相互作用の強度を表す親和性とは異なる。親和性が改変されたICOSLのIgSFドメインを含有するバリアントICOSLのそのカウンター構造体に対する結合親和性の向上または低下は、未改変ICOSL(例えば、天然または野生型IgSFドメイン(例えばIgVドメイン)を含有する未改変ICOSL)の結合親和性と比べて決定される。結合親和性またはアビディティを決定するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005) を参照されたい。いくつかの態様において、本発明のバリアントICOSL(すなわち、親和性改変IgSFドメインを含有するICOSLタンパク質)は、フローサイトメトリーによって測定した場合に、例えば実施例6に記載される結合アッセイにおいて、野生型ICOSL対照よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きい平均蛍光強度(MFI)値をもたらす結合親和性で、CD28および/またはICOSに特異的に結合する。
用語「生物学的半減期」は、ある物質(例えば、本発明のバリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチド)が、その薬理学的または生理学的活性または濃度の半分を喪失するのに要する時間を指す。生物学的半減期は、物質の排除、排出、分解(例えば、酵素的分解)、または体内の特定の臓器もしくは組織における吸収および濃縮によって影響を受ける可能性がある。いくつかの態様において、生物学的半減期は、物質の血漿中濃度がその定常状態レベルの半分に達するのに要する時間(「血漿半減期」)を決定することによって評価することができる。本発明のポリペプチドを誘導体化してその生物学的半減期を延長するために使用することができるコンジュゲートは、当技術分野において公知であり、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN(伸長組換えペプチド;WO 2013130683を参照のこと)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質(アシル化)、およびポリ-Pro-Ala-Ser(PAS)、ポリグルタミン酸(グルタミル化)を含む。
用語「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、本明細書において使用される場合、少なくともエクトドメイン、膜貫通ドメイン、およびエンドドメインを含む、哺乳動物細胞上に発現する人工の(すなわち、人造の)膜貫通型タンパク質を指す。任意で、CARタンパク質は、エクトドメインを膜貫通ドメインに共有結合により連結する「スペーサー」を含む。スペーサーは、多くの場合、ペプチド結合を介してエクトドメインを膜貫通ドメインに連結するポリペプチドである。CARは、典型的には、哺乳動物リンパ球上に発現する。いくつかの態様において、CARは、T細胞または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)などの哺乳動物細胞上に発現する。T細胞上に発現するCARは、本明細書において「CAR T細胞」または「CAR-T」と称される。いくつかの態様において、CAR-Tは、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、またはγδT細胞である。例えば養子細胞移入において臨床的に使用される場合、患者の腫瘍に対する抗原結合特異性を有するCAR-Tは、典型的には、患者から得られる天然T細胞上に発現するように改変されている。CARを発現する改変されたT細胞は、次いで注入により患者に戻される。したがって、CAR-Tは、多くの場合、自家CAR-Tではあるが、同種CAR-Tも本発明の範囲内に含まれる。CARのエクトドメインは、生理学的条件下で標的抗原(例えば、腫瘍特異的抗原)と特異的に結合する抗原結合領域(例えば、抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv))を含む。特異的結合によって、一連の生化学的事象(すなわち、シグナル伝達)は、CAR-Tの免疫活性の調節をもたらす。したがって、例えば、CAR-Tの抗原結合領域によるその標的抗原への特異的結合によって、細胞傷害性、増殖、またはサイトカイン産生の変化によって反映されるように、T細胞活性の免疫活性の変化を導くことができる。いくつかの態様において、CAR-T活性化によるシグナル伝達は、天然の哺乳動物T細胞におけるシグナル伝達に関与するCD3ζ鎖(「CD3-z」)によって達成される。CAR-Tは、T細胞の免疫調節応答をさらに調節する複数のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD28、41BB、またはOX40)をさらに含むことができる。CD3-zは、T細胞受容体シグナル伝達に関与する免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られている保存されたモチーフを含む。
用語「総合して」または「総合的」は、インビトロアッセイにおいて2つ以上の本発明のバリアントICOSLの存在によって誘導されるサイトカイン産生に関して使用されるとき、個々のバリアントICOSLによって誘導されるサイトカイン産生に関係なくサイトカイン発現レベル全体を意味する。いくつかの態様において、アッセイされるサイトカインは、例えば実施例6および実施例7に記載されるインビトロ初代T細胞アッセイにおけるIFN-γである。
用語「同族結合パートナー」(「カウンター構造体(対抗構造体)」と互換的に使用される)は、ポリペプチド(例えば、バリアントICOSLのIgSFドメイン)に関して、言及されているポリペプチドが特異的結合条件下で特異的に結合する少なくとも1つの分子(典型的には、天然の哺乳動物タンパク質)を指す。いくつかの局面において、親和性改変IgSFドメインを含有するバリアントICOSLは、対応する天然または野生型ICOSLのカウンター構造体に、向上または低下した親和性で特異的に結合する。特異的結合条件下で認識されてその同族受容体に特異的に結合するリガンドの一種は、その受容体のカウンター構造体または同族結合パートナーの一例である。「細胞表面同族結合パートナー」は、哺乳動物細胞表面上に発現する同族結合パートナーである。「細胞表面分子種」は、免疫シナプス(IS)を形成する細胞(例えば、哺乳動物細胞)上に発現するまたは該細胞が発現する、免疫シナプスのリガンドの同族結合パートナーである。
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」、「コンジュゲーション」またはそれらの文法上の変形は、当技術分野において公知の任意の接続または連結法によって、2つ以上の化合物を一緒に接続または連結して、別の化合物の形成をもたらすことを指す。それはまた、2つ以上の化合物を一緒に接続または連結することによって生成される化合物を指すこともできる。例えば、1つまたは複数の化学部分またはポリペプチドに直接的または間接的に連結されたバリアントICOSLポリペプチドが例示的なコンジュゲートである。そのようなコンジュゲートは、融合タンパク質、化学的コンジュゲートによって生産されるもの、および任意の他の方法によって生産されるものを含む。
用語「競合的結合」は、本明細書において使用される場合、あるタンパク質が、少なくとも2種の同族結合パートナーに特異的に結合することができるが、1つの同族結合パートナーの特異的結合が第二の同族結合パートナーの同時結合を阻害する(例えば、妨害するまたは妨げる)ことを意味する。したがって、いくつかの場合では、あるタンパク質が2つの同族結合パートナーに同時に結合することはできない。一般に、競合結合物は、特異的結合のための同じまたは重複した結合部位を含有するが、これは必須要件ではない。いくつかの態様において、競合的結合は、第二の同族結合パートナーの特異的結合に起因して、その同族結合パートナーの1つへのタンパク質の特異的結合の測定可能な(部分的または完全な)阻害を引き起こす。ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)などの競合的結合を定量する様々な方法が公知である。
用語「保存的アミノ酸置換」は、本明細書において使用される場合、あるアミノ酸残基が類似の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を備える側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されている、アミノ酸置換を意味する。類似の化学特性を備える側鎖を有するアミノ酸の群の例は、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンを含む。保存的アミノ酸置換の群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。
タンパク質の位置に関する「対応する」という用語、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置が(例えば、配列表に示されている)開示されている配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の位置に「対応する」という記述は、構造配列アライメントに基づいてまたは標準的なアライメントアルゴリズム(例えば、GAPアルゴリズム)を使用して、開示されている配列とのアライメントによって同定される、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置を指す。例えば、本明細書に記載の構造アライメント法による、SEQ ID NO:32に示される配列(ECDドメイン)またはSEQ ID NO:196もしくは545に示される配列(IgVドメイン)を有する参照配列とのアライメントによって、対応する残基を同定することができる。配列をアライメントすることによって、当業者は、例えば保存されているアミノ酸残基および同一のアミノ酸残基を規準として使用して、対応する残基を同定することができる。
用語「低下させる」または「減弱させる」または「抑制する」は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量の低下を意味する。低下は、対照値(例えば、非ゼロ対照値)に対する少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低下であることができる。
用語「低下した」または「低減した」は、哺乳動物リンパ球の免疫学的活性を低下させる文脈で本明細書において使用される場合、対照、例えば、未処置対照、または未改変対照もしくは非バリアント対照を用いた処置が同じ条件下で用いられた対照と比較して、リンパ球の1つまたは複数の活性が低下することを意味する。活性の低下は、例えば、統計的に有意な分だけ、細胞周期を阻害すること、細胞生存を低減すること、細胞増殖を低減すること、サイトカイン産生を低減すること、またはT細胞の細胞傷害性を低減することの1つまたは複数を指すことがある。いくつかの態様において、免疫学的活性の低減への言及は、処置が無いことと比較してインターフェロンγ(IFN-γ)産生を低減すること、例えば、統計的に有意な分だけ低減することを意味する。いくつかの態様において、免疫学的活性は混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて評価することができる。MLRアッセイを実行する方法は当技術分野において公知である。Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56。リンパ球の活性を評価する他の方法は、本明細書に記載の任意のアッセイを含めて当技術分野において公知である。いくつかの態様において、増強は、対照値、例えば、未処置対照値または非ゼロ対照値と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%低下することでもよい。
用語「誘導体」または「誘導体化された」は、あるタンパク質の治療的利益を保持または向上させながら、生物学的半減期、バイオアベイラビリティ、免疫原性、溶解性、毒性、効能、または効力などの特徴を変えるように組成物に直接または間接的に共有結合させることによってタンパク質を改変することを指す。本発明の免疫調節ポリペプチドの誘導体は本発明の範囲内であり、例えば、グリコシル化、ペグ化、脂質付加、またはFc融合によって作製することができる。
ドメイン(典型的には3個以上、概して5個もしくは7個またはそれより多いアミノ酸、例えば、10~200個のアミノ酸残基の配列)が本明細書において使用される場合、分子の他の部分とは構造的および/または機能的に異なり、かつ特定可能な、分子、例えば、タンパク質またはコード核酸の一部分を指す。例えば、ドメインは、1つまたは複数の構造モチーフで構成される、および/または結合活性などの機能活性よって認識される、タンパク質内部で独立して折り畳まれた構造を形成することができるポリペプチド鎖部分を含む。タンパク質は1つまたは複数の別個のドメインを有してもよい。例えば、ドメインは、一次配列または一次構造と関連ファミリーメンバーとの相同性、例えば、モチーフとの相同性によって特定、規定、または区別することができる。別の例では、ドメインは、その機能、例えば、生体分子、例えば、同族結合パートナーと相互作用する能力によって区別することができる。ドメインは独立して、または別の分子と融合した状態で活性、例えば、結合を行うことができるように生物学的な機能または活性を独立して示すことができる。ドメインはアミノ酸の直鎖配列でもよく、アミノ酸の非直鎖配列でもよい。多くのポリペプチドが複数のドメインを含有する。このようなドメインは公知であり、当業者によって特定することができる。本明細書における例示のために定義が示されるが、特定のドメインを名前で認識することは十分に当業者の水準の範囲内であることが理解される。必要であれば、適切なソフトウェアを用いてドメインを特定することができる。
用語「エクトドメイン」は、本明細書において使用される場合、小胞膜の外側にある膜タンパク質、例えば、膜貫通型タンパク質の、領域を指す。エクトドメインは、多くの場合、リガンドまたは細胞表面受容体に、例えば、リガンドまたは細胞表面受容体に特異的に結合する結合ドメインを介して特異的に結合する結合ドメインを含む。細胞の膜貫通型タンパク質のエクトドメインは別名で細胞外ドメインとも呼ばれる。
用語「有効量」または「治療有効量」は、単独で(すなわち、単独療法として)、またはさらなる治療剤と組み合わせて、エクスビボで(患者に由来する細胞と接触させて)、またはインビボ(患者に投与することで)で投与されたときに、疾患進行を統計的に有意に遅らせる、例えば、疾患の症状および/または原因を寛解させるか、または無くすことで疾患進行を統計的に有意に遅らせる、タンパク質組成物または細胞組成物を含む本発明の治療用組成物の量および/または濃度を指す。有効量は、疾患または障害に関連する少なくとも1つの症状または生物学的な応答もしくは効果を緩和する、減らす、もしくは軽減する、疾患もしくは障害の進行を阻止する、あるいは患者の身体機能を改善する量でもよい。細胞療法の場合、有効量は、養子細胞療法によって患者に投与された細胞の有効な用量または数である。いくつかの態様において、患者は非ヒト霊長類またはヒト患者などの哺乳動物である。
用語「エンドドメイン」は、本明細書において使用される場合、いくつかの膜タンパク質、例えば、膜貫通タンパク質に見られる、細胞表面膜によって規定される内部空間内に延びる領域を指す。哺乳動物細胞では、エンドドメインは膜タンパク質の細胞質領域である。細胞内でエンドドメインは細胞内構成成分と相互作用し、シグナル伝達において役割を果たすことができる、従って、場合によっては細胞内シグナル伝達ドメインであることもある。細胞の膜貫通タンパク質のエンドドメインは別名で細胞質ドメインとも呼ばれ、場合によっては細胞質シグナル伝達ドメインであることもある。
用語「増強した」または「向上した」は、哺乳動物リンパ球の免疫学的活性を向上させる文脈で本明細書において使用される場合、対照、例えば、未処置対照、または未改変対照もしくは非バリアント対照を用いた処置が同じ条件下で用いられた対照と比較して、リンパ球の1つまたは複数の活性が向上することを意味する。活性の向上は、細胞生存、細胞増殖、サイトカイン産生、またはT細胞の細胞傷害性が向上すること、例えば、統計的に有意な量分だけ向上することの1つまたは複数でもよい。いくつかの態様において、免疫活性の向上への言及は、インターフェロンγ(IFNγ)産生を、例えば、統計的に有意な量分だけ向上させることを意味する。いくつかの態様において、免疫学的活性は混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいて評価することができる。MLRアッセイを実行する方法は当技術分野において公知である。Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56。リンパ球の活性を評価する他の方法は、本明細書に記載の任意のアッセイを含めて当技術分野において公知である。いくつかの態様において、増強は、非ゼロ対照値より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、200%、300%、400%、または500%向上することでもよい。
用語「改変された細胞」は、本明細書において使用される場合、組換えDNA法またはウイルス形質導入などのヒト介入によって遺伝子組換えされている哺乳動物細胞を指す。いくつかの態様において、前記細胞は、免疫細胞、例えば、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞)または抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)である。前記細胞は患者に由来する初代細胞でもよく、細胞株でもよい。いくつかの態様において、本発明の改変された細胞は、本明細書において提供されるバリアントICOSLを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、改変された細胞上で発現している膜貫通免疫調節タンパク質(以下では「TIP」と呼ぶ)である。いくつかの態様において、TIPは、膜貫通ドメイン(例えば、ICOSL膜貫通ドメイン)と、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインと連結したIgVドメインを含有する細胞外ドメインまたはその一部分を含有する。場合によっては、TIPは、異種細胞質シグナル伝達ドメインまたはエンドドメインを含有するキメラ受容体として並べられる。いくつかの態様において、改変された細胞は、本明細書において説明されるように免疫調節タンパク質を発現および分泌することができる。提供される改変された細胞の中には、改変されたT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をさらに含有する細胞もある。
用語「改変されたT細胞」は、本明細書において使用される場合、ヒト介入、例えば、組換えDNA法またはウイルス形質導入法によって遺伝子組換えされている、T細胞、例えば、Tヘルパー細胞、細胞傷害性T細胞(または細胞傷害性Tリンパ球もしくはCTL)、ナチュラルキラーT細胞、調節性T細胞、記憶T細胞、あるいはγδT細胞を指す。改変されたT細胞は、T細胞上で発現され、かつ改変されたT細胞それ自体の免疫学的活性、またはこのT細胞上で発現されたバリアントICOSLが特異的に結合する哺乳動物細胞の免疫学的活性を調節するように改変された、本発明のバリアントICOSL膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)または分泌型免疫調節タンパク質(secreted immunodulatory protein)(SIP)を含む。改変されたT細胞は、このT細胞によって発現および/または分泌され、かつ改変されたT細胞それ自体の免疫学的活性、またはこのT細胞によって分泌されたときにバリアントICOSLが特異的に結合する哺乳動物細胞の免疫学的活性を調節するように改変された、本発明のバリアントICOSL分泌型免疫調節タンパク質(SIP)を含んでもよい。
用語「改変されたT細胞」は、本明細書において使用される場合、ヒトによる介入(例えば、組換えDNA法またはウイルス形質導入法)によって遺伝的に修飾(改変)されたT細胞(例えば、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞(あるいは、細胞傷害性Tリンパ球またはCTL)、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、メモリーT細胞、またはγδT細胞)を指す。改変されたT細胞は、該T細胞上に発現している本発明のバリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質(TIP)を含み、該TIPは、改変されたT細胞自体の免疫活性を調節するか、または該T細胞上に発現するバリアントICOSLが特異的に結合する哺乳動物細胞の免疫活性を調節するように改変されている。用語「改変(された)T細胞受容体」または「改変(された)TCR」は、選択され、クローニングされ、かつ/またはその後T細胞の集団に導入される(当該T細胞の集団は多くの場合、養子免疫療法に使用される)、主要組織適合複合体(MHC)/ペプチド標的抗原に対して所望の親和性で特異的に結合するように改変されたT細胞受容体(TCR)を指す。改変されたTCRとは対照的に、CARは、MHC依存的に標的抗原に結合するように改変される。
用語「~上に発現する」は、本明細書において使用される場合、細胞(例えば哺乳動物細胞)の表面に発現するタンパク質に関して使用される。したがって、当該タンパク質は膜タンパク質として発現する。いくつかの態様において、発現する当該タンパク質は、膜貫通型タンパク質である。いくつかの態様において、当該タンパク質は、低分子部分(例えば、薬物または検出可能標識)にコンジュゲートされる。細胞の表面に発現するタンパク質は、哺乳動物細胞上に発現する細胞表面タンパク質(例えば細胞表面受容体)を含むことができる。
用語「半減期延長部分」は、ポリペプチド融合体または化学的コンジュゲートの一部分であって、そのように該部分にコンジュゲートされていないタンパク質の半減期と比較して哺乳動物血清中に循環するタンパク質の半減期を延長する部分を指す。いくつかの態様において、半減期は、1.2倍、1.5倍、2.0倍、3.0倍、4.0倍、5.0倍、もしくは6.0倍より大きく、または約1.2倍、約1.5倍、約2.0倍、約3.0倍、約4.0倍、約5.0倍、もしくは約6.0倍より大きく延長される。いくつかの態様において、半減期は、半減期延長部分を有さないタンパク質と比較して、インビボ投与後、6時間超、12時間超、24時間超、48時間超、72時間超、96時間超、または1週間超延長される。半減期は、タンパク質がその濃度、量、または活性の半分を喪失するのに要する時間を指す。半減期を、例えば、ELISAアッセイまたは活性アッセイを使用することによって決定することができる。例示的な半減期延長部分には、Fcドメイン、多量体化ドメイン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、XTEN(伸長組換えペプチド;WO 2013130683を参照のこと)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質(アシル化)、およびポリ-Pro-Ala-Ser(PAS)、およびポリグルタミン酸(グルタミル化)が含まれる。
用語「免疫シナプス」は、本明細書において使用される場合、MHC I(主要組織適合性複合体)またはMHC IIを発現する哺乳動物細胞(例えば、抗原提示細胞または腫瘍細胞)と、哺乳動物リンパ球(例えば、エフェクターT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞)との間の界面を意味する。
免疫グロブリン分子(Fcポリペプチドとも呼ばれる)のFc(結晶性断片)領域またはドメインは、主に免疫グロブリン重鎖の定常領域に相当し、かつ、抗体のエフェクター機能を含む種々の機能に関与している。Fcドメインは、免疫グロブリン分子のヒンジドメインの一部分または全てとCH2ドメインおよびCH3ドメインとを含有する。Fcドメインは、1つまたは複数のジスルフィド結合によって接続された2つのポリペプチド鎖の二量体を形成することができる。いくつかの態様において、Fcは、エフェクター機能を促進する活性が低減された(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またそれより大きく低減された)バリアントFcである。いくつかの態様において、Fc領域中のアミノ酸置換への言及は、特定のSEQ ID NOを基準に記載されない限りは、EUナンバリングシステムによる言及である。EUナンバリングは、公知であり、最近更新されたIMGT Scientific Chart(IMGT(登録商標)、すなわちinternational ImMunoGeneTics information system(登録商標) http://www.imgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.html(作成日:2001年5月17日、最終更新日:2013年1月10日)およびKabat, E.A. et al. Sequences of Proteins of Immunological interest. 5th ed. US Department of Health and Human Services, NIH publication No. 91-3242 (1991) に報告されているとおりのEUインデックスに従う。
免疫グロブリンFc融合体(「Fc融合体」)、例えば免疫調節Fc融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域に機能的に連結された1つまたは複数のポリペプチド(または1つまたは複数の低分子)を含む分子である。Fc融合体は、例えば、抗体のFc領域(エフェクター機能および薬物動態を促進する)およびバリアントICOSLを含み得る。免疫グロブリンFc領域は、1つまたは複数のバリアントICOSLまたは低分子(融合パートナー)に間接的または直接的に連結され得る。種々のリンカーが当技術分野において公知であり、任意でこれを使用して、Fcを融合パートナーに連結させてFc融合体を生成することができる。同一種のFc融合体を、二量体化して、Fc融合ホモ二量体を形成することも、非同一種を使用して、Fc融合ヘテロ二量体を形成することもできる。いくつかの態様において、Fcは、哺乳動物Fc、例えばネズミまたはヒトFcである。
用語「宿主細胞」は、組換え発現ベクターによってコードされているタンパク質を発現させるために使用することができる細胞を指す。宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(E. coli)であることができるか、または、宿主細胞は、真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母または他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)またはハイブリドーマであることができる。宿主細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはそれらの誘導体、例えば、無血清培地で成長するVeggie CHOおよび関連細胞株またはDHFR欠損であるCHO系統DX-B11が含まれる。いくつかの態様において、宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、または昆虫細胞)である。
用語「免疫グロブリン」(「Ig」と略記される)は、本明細書において使用される場合、5種のヒトクラスの抗体:IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、およびIgMのいずれかを含む哺乳動物免疫グロブリンタンパク質を指す。該用語はまた、完全または部分的合成(例えば、組換えまたは化学合成)であるか天然に産生されるかにかかわらず全長未満である免疫グロブリン、例えば、抗原結合断片(Fab)、VHおよびVLを含有する可変断片(Fv)、1つの鎖中で一緒に連結されたVHおよびVLを含有する単鎖可変断片(scFv)、ならびに他の抗体V領域断片(Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、dsFvダイアボディ、Fc、およびFdポリペプチド断片)を含む。ホモ二重特異性およびヘテロ二重特異性の二重特異性抗体は、該用語の範囲内に含まれる。
用語「免疫グロブリンスーパーファミリー」または「IgSF」は、本明細書において使用される場合、細胞の、認識、結合、または接着プロセスに関与する、細胞表面タンパク質および可溶性タンパク質の群を意味する。分子は、免疫グロブリン(すなわち、抗体)と共通の構造的特徴に基づいて、このスーパーファミリーのメンバーとして類別され;これらは全て、免疫グロブリンドメインまたはフォールドとして公知のドメインを保有する。IgSFのメンバーは、免疫系の、細胞表面抗原受容体、共受容体および共刺激分子、リンパ球への抗原提示に関与する分子、細胞接着分子、特定のサイトカイン受容体ならびに細胞内筋タンパク質を含む。これらは、通常、免疫系における役割と関連する。免疫シナプス中のタンパク質は、IgSFのメンバーであることが多い。IgSFはまた、機能のような共通の特性に基づいて「サブファミリー」に分類することができる。このようなサブファミリーは、典型的には、4~30のIgSFメンバーからなる。
用語「IgSFドメイン」または「免疫グロブリンドメイン」または「Igドメイン」は、本明細書において使用される場合、IgSFタンパク質の構造ドメインを指す。Igドメインは、免疫グロブリン分子に因んで命名されている。これらは、約70~110アミノ酸を含有し、それらのサイズおよび機能に従って類別される。Igドメインは、逆平行β鎖の2つのシートによって形成されるサンドイッチ様構造を有する、特徴的なIgフォールドを保有する。サンドイッチの内側の疎水性アミノ酸間の相互作用ならびにBおよびF鎖中のシステイン残基間で形成される高度に保存されているジスフィルド結合は、Igフォールドを安定化させる。Igドメインの一端は、抗体のそれらのリガンドに対する特異性に重要な相補性決定領域と呼ばれる部分を有する。Ig様ドメインは、IgV、IgC1、IgC2、またはIgIとして(クラスに)分類することができる。ほとんどのIgドメインは、可変(IgV)ドメインまたは定常(IgC)ドメインのいずれかである。9つのβ鎖を有するIgVドメインは、概して、7つのβ鎖を有するIgCドメインより長い。IgSFのいくつかのメンバーのIgドメインは、アミノ酸配列中のIgVドメインと似ているが、なおIgCドメインとサイズが類似している。これらは、IgC2ドメインと呼ばれ、一方で、標準的なIgCドメインは、IgC1ドメインと呼ばれる。T細胞受容体(TCR)鎖は、細胞外部分における2つのIgドメイン(1つはN末端におけるIgVドメインおよび1つは細胞膜に隣接するIgC1ドメイン)を含有する。ICOSLは、2つのIgドメイン:IgVおよびIgCを含有する。
用語「IgSF種」は、本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の一次アミノ酸配列を有するIgSFメンバータンパク質の集団を意味する。各哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)メンバーは、そのIgSFメンバーに属する全てのIgSF種にユニークの同一性を規定する。したがって、各IgSFファミリーメンバーは、他のIgSFファミリーメンバーと比べてユニークであり、したがって、特定のIgSFファミリーメンバーの各種は、別のIgSFファミリーメンバー種と比べてユニークである。それにもかかわらず、同じIgSF種の分子間の相違が、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化などの翻訳後修飾の差異が原因で生じ得る。さらに、遺伝子多型性が原因の単一のIgSF種内の小さな配列差異は、例えばタンパク質分解切断が原因のIgSF種の野生型短縮形態と同様、単一のIgSF種内の別の形態の相違も成す。「細胞表面IgSF種」は、細胞(概して哺乳動物細胞)の表面に発現するIgSF種である。
用語「免疫活性」は、本明細書においてT細胞のような哺乳動物リンパ球の文脈で使用される場合、1つまたは複数の細胞生存、細胞増殖、サイトカイン産生(例えば、インターフェロン-γ)、またはT細胞傷害性活性を指す。いくつかの場合では、免疫活性は、ケモカインまたはインターロイキンのようなサイトカインの細胞における発現を意味することができる。免疫活性の増強または抑制を決定するためのアッセイは、培養上清中のインターフェロン-γサイトカインレベルを測定するMLR(混合リンパ球反応)アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、SEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB(staphylococcal enterotoxin B))T細胞刺激アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、および抗CD3 T細胞刺激アッセイ(Li and Kurlander, J Transl Med. 2010: 8: 104)を含む。T細胞活性化は、IFN-γサイトカインの分泌と関連するので、これらのインビトロヒトT細胞アッセイからの培養上清中のIFN-γレベルの検出は、市販のELISAキットを使用してアッセイすることができる(Wu et al, Immunol Lett 2008 Apr 15; 117(1): 57-62)。免疫応答の誘導は、静止リンパ球と比べて免疫活性の増強をもたらす。本明細書において提供されるとおりの免疫調節タンパク質(例えば、親和性改変IgSFドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチド)は、いくつかの態様において、初代T細胞アッセイにおいて、野生型IgSFメンバーまたはIgSFドメイン対照と比べてIFN-γ(インターフェロン-γ)発現を増加させることができ、または、代替態様において減少させることができる。当業者は、IFN-γ発現の増加を決定するために使用される初代T細胞アッセイのフォーマットが、IFN-γ発現の減少についてアッセイするために採用されるフォーマットと異なることを認識するだろう。初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を減少させる本発明の免疫調節タンパク質または親和性改変IgSFドメインの能力についてアッセイする際に、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを実施例6に記載されるとおり使用することができる。好都合なことに、本発明の可溶性形態の親和性改変IgSFドメインを採用して、同じく実施例6に記載されるとおり、IFN-γ発現に拮抗することによりその発現を減少させるその能力をMLRにおいて決定することができる。あるいは、初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を増加させる本発明の免疫調節タンパク質または親和性改変IgSFドメインの能力についてアッセイする際に、同時固定アッセイを使用することができる。同時固定アッセイでは、T細胞受容体シグナル(いくつかの態様において、抗CD3抗体によって提供される)を同時固定された親和性改変IgSFドメイン、例えばバリアントICOSLと併用して、野生型IgSFドメイン対照と比べてIFN-γ発現を増加させる能力を決定する。バリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質の活性を評価することを含め、改変細胞の免疫活性をアッセイする方法は、当技術分野において公知であり、限定されないが、抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でT細胞の増殖を持続する能力、および適切な動物モデルにおける抗がん活性を含む。アッセイはまた、標準的な51Cr放出アッセイ(例えば、Milone et al., (2009) Molecular Therapy 17: 1453-1464 を参照のこと)もしくはフローベース細胞傷害性アッセイ、またはインピーダンスベース細胞傷害性アッセイ(Peper et al. (2014) Journal of Immunological Methods, 405:192-198)を含む、細胞傷害性を評価するアッセイを含む。
「免疫調節ポリペプチド」または「免疫調節タンパク質」は、免疫活性を調節するポリペプチドまたはタンパク質分子である。免疫応答の「調節」とは、免疫活性の増強または抑制のいずれかを意味する。免疫調節タンパク質は、単一のポリペプチド鎖であるか、または(例えば、鎖間ジスフィルド結合によって)互いに共有結合された少なくとも2つのポリペプチド鎖の多量体(二量体またはより高次の多量体)であることができる。したがって、単量体、二量体、およびより高次の多量体ポリペプチドは、その定義された用語の範囲内である。多量体ポリペプチドは、(同一のポリペプチド鎖の)ホモ多量体または(異なるポリペプチド鎖の)ヘテロ多量体であることができる。本発明の免疫調節タンパク質は、バリアントICOSLを含む。
用語「向上させる」は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量だけ向上させることを意味する。向上は、非ゼロ対照値よりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、またはより大きい向上であることができる。
ICOSL(inducible costimulator ligand;CD275)の「アイソフォーム」は、アミノ酸配列が異なる、複数の天然に存在するICOSLポリペプチドのうちの1つである。アイソフォームは、単一の遺伝子によって発現されるRNA転写産物のスプライスバリアントの産物であることも、遺伝子重複から生じ得るような機能的に類似のタンパク質を生成する高度に類似するが異なる遺伝子の発現産物であることもできる。本明細書において使用される場合、ICOSLの「アイソフォーム」なる用語は、ICOSL遺伝子の異なるアレルの産物(例えば、ICOSLG)も指す。
用語「リンパ球」は、本明細書において使用される場合、哺乳動物免疫系の白血球の3つのサブタイプのいずれかを意味する。これらは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)(細胞媒介性の細胞傷害性自然免疫において機能する)、T細胞(細胞媒介性の細胞傷害性獲得免疫に関する)、およびB細胞(体液性の抗体による獲得免疫に関する)を含む。T細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞、またはγδT細胞を含む。また、自然リンパ球(ILC)もリンパ球の定義の範囲内に含まれる。
用語「哺乳動物」または「患者」は、具体的には、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、カニクイザル、イヌ、ネコ、マウス、またはラットのうちの少なくとも1つへの言及を含む。
用語「膜タンパク質」は、本明細書において使用される場合、生理的条件下で脂質二重層に直接または間接的に付着(結合)するタンパク質を意味する。膜を形成する脂質二重層は、生体膜、例えば真核生物(例えば、哺乳動物)の細胞膜または人工の(すなわち、人造の)膜、例えばリポソーム上に見いだされる膜であることができる。脂質二重層への膜タンパク質の結合は、共有結合による結合であるか、または非共有相互作用(例えば、疎水性相互作用もしくは静電相互作用)による結合であることができる。膜タンパク質は、内在性膜タンパク質または表在性膜タンパク質であることができる。表在性膜タンパク質である膜タンパク質は、脂質二重層に非共有相互作用により結合されるか、または内在性膜タンパク質に非共有相互作用により結合される。表在性膜タンパク質は、哺乳動物において生理的な範囲の条件下で表在性膜タンパク質が脂質二重層と相互作用するおよび/または脂質二重層から解離することができるように、脂質二重層への一時的な結合を形成する。表在性膜タンパク質とは対照的に、内在性膜タンパク質は、哺乳動物において生理的な範囲の条件下で内在性膜タンパク質が脂質二重層への結合から解離しないように、膜の脂質二重層への実質的に恒久的な結合を形成する。膜タンパク質は、脂質二重層の一層による膜への結合を形成することができる(モノトピック型)か、または膜の両方の層によって結合することができる(ポリトピック型)。1つの脂質二重層とだけ相互作用する内在性膜タンパク質は、「内在性モノトピック型タンパク質」である。脂質二重層の両方と相互作用する内在性膜タンパク質は、「内在性ポリトピック型タンパク質」である。あるいは、本明細書において「膜貫通型タンパク質」と称される。
用語「調節」または「調節する」は、本明細書において免疫応答(例えば哺乳動物の免疫応答)の文脈で使用される場合、本発明のバリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドの投与の結果としてまたは本発明の免疫調節タンパク質(例えば、バリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質)を発現する改変細胞の投与の結果として起こる、既存のまたは潜在的な免疫応答の任意の変化(例えば、増強または低減)を指す。したがって、調節は、バリアントICOSLを含む免疫調節タンパク質またはそのような免疫調節ポリペプチドを発現する細胞の投与の非存在下で起こるまたは存在する免疫応答と比較して、免疫応答の変化(例えば、増強または低減)を指す。そのような調節は、免疫細胞の免疫活性のある度合いもしくは程度の任意の誘導、活性化、抑制、または変化を含む。免疫細胞は、B細胞、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、NK T細胞、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)、および非プロフェッショナル抗原提示細胞、ならびに炎症細胞(好中球、マクロファージ、単球、好酸球、および好塩基球)を含む。調節は、既存の免疫応答、発生段階にある免疫応答、潜在的な免疫応答に、または免疫応答を誘導する、調節する、それに影響を及ぼす、もしくは応答する能力に与えられる、任意の変化を含む。調節は、免疫応答の一部としての、免疫細胞における遺伝子、タンパク質および/または他の分子の発現および/または機能の任意の変化を含む。免疫応答の調節または免疫活性の調節は、例えば、以下を含む:免疫細胞の排除、欠失、または隔離;自己反応性リンパ球、抗原提示細胞、または炎症細胞のような他の細胞の機能的能力を調節することができる、免疫細胞の誘導または生成;免疫細胞における無応答状態の誘導(すなわち、アネルギー);免疫細胞の活性または機能を増強または抑制すること(これらの細胞によって発現されるタンパク質のパターンを変化させることを非限定に含む)。例は、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、転写因子、キナーゼ、共刺激性分子、もしくは他の細胞表面受容体などの特定の分子クラスの産生および/もしくは分泌の変化、またはこれらの調節事象の任意の組み合わせを含む。調節を、例えば、初代T細胞アッセイにおける野生型ICOSL対照と比べたIFN-γ(インターフェロンγ)発現の変化によって評価することができる(Zhao and Ji, Exp Cell Res. 2016 Jan1; 340(1) 132-138 を参照のこと)。調節を、例えば、野生型ICOSL膜貫通型タンパク質で改変された細胞と比べた、改変細胞の免疫活性の変化、例えば改変細胞の細胞傷害性活性の変化または改変細胞のサイトカイン分泌の変化によって、評価することができる。
用語「分子種」は、本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の一次アミノ酸配列を備えたタンパク質の集団を意味する。各哺乳動物免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)メンバーは、同一のまたは実質的に同一の分子種の集合体を規定する。したがって、例えば、ヒトICOSLはIgSFメンバーであり、各ヒトICOSL分子はICOSの一分子種である。同じ分子種の分子間の相違が、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化のような翻訳後修飾の差異が原因で起こり得る。さらに、遺伝子多型性が原因の単一の分子種内の小さな配列差異は、例えばタンパク質分解切断が原因の単一の分子種の野生型短縮形態と同様、単一の分子種内の別の形態の相違も成す。「細胞表面分子種」は、哺乳動物細胞の表面に発現する分子種である。各々がISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちのうちの一方のみ又はもう一方のみに存在する(しかし両方ではない)、2つ以上の異なるタンパク質種は、互いに「シス」または「シス配置」にあると言われる。第一のものがISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちの第一の細胞のみに存在し、第二のものがISを形成する2つの哺乳動物細胞のうちの第二の細胞のみに存在する、2つの異なるタンパク質種は、「トランス」または「トランス配置」にあると言われる。各々がISを形成する2つの哺乳動物細胞の両方に存在する、2つの異なるタンパク質種は、これらの細胞上でシス型およびトランス型の両配置にある。
用語「多量体化ドメイン」は、ポリペプチド分子と1つまたは複数のさらなるポリペプチド分子との安定した相互作用を促進するアミノ酸配列であって、それぞれのポリペプチド分子が、同じ多量体化ドメインでもよく異なる多量体化ドメインでもよい相補的多量体化ドメイン(例えば、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメイン)を含有するアミノ酸配列を指す。相補的多量体化ドメイン間の相互作用、例えば、第1の多量体化ドメインと第2の多量体化ドメインとの間の相互作用によって、安定したタンパク質間相互作用が形成して、ポリペプチド分子とさらなるポリペプチド分子の多量体が生じる。場合によっては、多量体化ドメインは同じであり、自身と相互作用して、2本のポリペプチド鎖間で安定したタンパク質間相互作用を形成する。概して、ポリペプチドは多量体化ドメインに直接つなげられるか、または間接的につなげられる。例示的な多量体化ドメインには、免疫グロブリン配列またはその一部分、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、および適合性のタンパク質間相互作用ドメインが含まれる。多量体化ドメインは、例えば、免疫グロブリン定常領域またはドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブタイプを含むIgG、IgA、IgE、IgD、およびIgM、ならびにその改変された形態に由来するFcドメインまたはその一部分でもよい。概して、ポリペプチドは、多量体化ドメインに直接的または間接的に接続される。例示的な多量体化ドメインは、免疫グロブリン配列またはその部分、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、および適合性のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインを含む。多量体化ドメインは、例えば、免疫グロブリン定常領域またはドメイン、例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプを含む)、IgA、IgE、IgDおよびIgMならびにその改変型由来の、Fcドメインまたはその部分であることができる。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用され、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態の核酸残基(例えば、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド)のポリマーを指す。別段の限定されない限り、該用語は、公知の天然ヌクレオチドの類似体を含有する核酸、およびそれと類似の結合特性を有する核酸、および天然に存在するヌクレオチドと同様な様式で代謝される核酸を包含する。他に指定のない限り、特定の核酸配列はまた、明示的に示されている配列(「参照配列」)だけでなく、保存的に改変されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補的ヌクレオチド配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの第三の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成してもよい。核酸またはポリヌクレオチドという用語は、遺伝子によってコードされているcDNAまたはmRNAを包含する。
用語「非競合的結合」は、本明細書において使用される場合、少なくとも2つの同族結合パートナーに同時に特異的に結合するタンパク質の能力を意味する。したがって、タンパク質は、少なくとも2つの異なる同族結合パートナーに同時に結合することができるが、結合相互作用は、同じ期間である必要はないので、いくつかの場合では、タンパク質は、同族結合パートナーの1つにのみ特異的に結合される。いくつかの態様において、結合は、特異的結合条件下で起こる。いくつかの態様において、同時結合は、1つの同族結合パートナーの結合が第二の同族結合パートナーへの同時結合を実質的に阻害しないようなものである。いくつかの態様において、非競合的結合は、タンパク質上のその結合部位への第二の同族結合パートナーの結合が、タンパク質上のその結合部位への第一の同族結合パートナーの結合に置き換わらないことを意味する。非競合的結合を評価する方法は、Perez de La Lastra et al., Immunology, 1999 Apr: 96(4): 663-670 に記載されている方法など、当技術分野において周知である。いくつかの場合では、非競合的相互作用において、第一の同族結合パートナーは、第二の同族結合パートナーの相互作用部位と重複しない相互作用部位で、第二の同族結合パートナーの結合が第一の同族結合パートナーの結合と直接干渉しないように、特異的に結合する。したがって、第二の同族結合パートナーの結合による同族結合パートナーの結合へのあらゆる影響は、第一の同族結合パートナーの結合との直接的な干渉以外の機序を介するものである。例えば、酵素-基質相互作用の状況では、非競合的阻害剤は、酵素の活性部位以外の部位に結合する。非競合的結合は、第二の同族結合パートナーが、第一の同族結合パートナーの結合と重複しない相互作用部位で特異的に結合するが、第一の相互作用部位が第一の同族結合パートナーに占有されているときだけ第二の相互作用部位に結合する、非競合的な結合相互作用を包含する。
用語「薬学的組成物」は、哺乳動物対象、しばしばヒトにおける、薬学的用途に好適な組成物を指す。薬学的組成物は、典型的には、有効量の活性剤(例えば、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドまたはバリアントICOSL膜貫通型免疫調節タンパク質を発現する改変細胞)と担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。担体、賦形剤、または希釈剤は、それぞれ、典型的には、薬学的に許容し得る担体、賦形剤または希釈剤である。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用され、かつ、ペプチド結合を介して連結されている2つ以上のアミノ酸の分子鎖を指す。該用語は、その産物の特定の長さを指すわけではない。したがって、「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、ポリペプチドの定義の範囲内に含まれる。該用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。該用語はまた、合成するかまたは公知のタンパク質改変技術を使用して組換え発現することができるような、1つまたは複数のアミノ酸類似体または非標準なもしくは非天然アミノ酸が含まれる分子も含む。加えて、タンパク質は誘導体化されていてもよい。
用語「初代T細胞アッセイ」は、本明細書において使用される場合、インターフェロン-γ(「IFN-γ」)発現を測定するためのインビトロアッセイを指す。実施例7に記載されるアッセイのような様々なこのような初代T細胞アッセイが当技術分野において公知である。好ましい態様において、使用されるアッセイは、抗CD3同時固定アッセイである。このアッセイでは、初代T細胞が、追加の組換えタンパク質と共にまたはそれなしで固定された抗CD3によって刺激される。ある時点(通常24~72時間)で培養上清を収集する。別の態様において、使用されるアッセイはMLRである。このアッセイでは、初代T細胞が、同種異系APCで刺激される。ある時点(通常24~72時間)で培養上清を収集する。標準的なELISA技術によって培養上清中のヒトIFN-γレベルを測定する。市販のキットが供給業者から入手可能であり、製造業者の推奨に従ってアッセイを実施する。
用語「精製されている」は、核酸(例えば、本発明の免疫調節タンパク質をコードする核酸)に適用される場合、一般に、当技術分野において周知の分析技術によって決定したときに他の成分を実質的に含まない核酸またはポリペプチドを表す(例えば、精製されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフ溶出液、および/または密度勾配遠心分離に供された媒体中で、離散バンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲル中で基本的に1つのバンドを生じる核酸またはポリペプチドは、「精製されている」。精製された本発明の核酸またはタンパク質は、少なくとも約50%純粋、通常、少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、99%またはそれ以上純粋(例えば、重量パーセントまたはモルベース)である。
用語「組換え」は、物質(例えば、核酸またはポリペプチド)がヒトの介入によって人工的に(すなわち、非天然に)変化していることを示す。該変化は、その天然の環境もしくは状態内のまたはそこから取り出された物質に対して実施することができる。例えば、「組換え核酸」は、例えば、クローニング、親和性改変、DNAシャッフリングまたは他の周知の分子生物学的手順の間に、核酸を組換えることによって製造されるものである。「組換えDNA分子」は、このような分子生物学的技術によって一緒に接合されたDNAのセグメントから構成される。用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、本明細書において使用される場合、組換えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸を含有するおよび/もしくは発現する細胞であるか、またはそうではなく(例えば、組換えタンパク質(例えば、本明細書において提供される膜貫通型免疫調節タンパク質)をコードする核酸分子を細胞に導入することによって)遺伝子工学により改変された細胞である。真核生物における転写制御シグナルは、「プロモーター」および「エンハンサー」エレメントを含む。プロモーターおよびエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する短いDNA配列アレイからなる。プロモーターおよびエンハンサーエレメントは、酵母、昆虫および哺乳動物細胞ならびにウイルス中の遺伝子を含め様々な真核生物源から単離されている(類似した制御エレメント、すなわち、プロモーターはまた原核生物中にも見いだされる)。特定のプロモーターおよびエンハンサーの選択は、関心対象のタンパク質を発現させるためにどんな細胞タイプが使用されるべきであるかに依存する。用語「機能的な組み合わせにある」、「機能的な順序にある」および「機能的に連結されている」は、本明細書において使用される場合、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成を指令することが可能な核酸分子が産生される様式または配向での核酸配列の連結を指す。
用語「組換え発現ベクター」は、本明細書において使用される場合、所望のコード配列とその機能的に連結されているコード配列の特定の宿主細胞における発現に必要な適切な核酸配列とを含有するDNA分子を指す。原核生物における発現に必要な核酸配列は、プロモーター、場合によりオペレーター配列、リボソーム結合部位およびおそらく他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、ならびに終止およびポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。所望により、細胞からの融合タンパク質のより簡易な単離のため、発現された融合タンパク質が組換え宿主細胞によって分泌されることができるように、分泌シグナルペプチド配列がまた、場合により、組換えタンパク質(例えば、組換え融合タンパク質)のコード配列に機能的に連結されている組換え発現ベクターによってコードされることができる。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、ならびにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。このようなベクターには、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターがある。
用語「選択性」は、1つの基質(例えば1つの同族結合パートナー)に対する対象タンパク質またはポリペプチドの特異的結合の、別の基質(例えば異なる同族結合パートナー)に対する当該対象タンパク質の特異的結合と比較しての優先度を指す。選択性は、対象タンパク質と第一の基質(例えば第一の同族結合パートナー)との結合活性(例えば、結合親和性)(例えば、Kd1)と、同じ対象タンパク質と第二の同族結合パートナーとの結合活性(例えば、結合親和性)(例えば、Kd2)との比率として反映することができる。
用語「配列同一性」は、本明細書において使用される場合、遺伝子またはタンパク質間の、それぞれヌクレオチドまたはアミノ酸レベルでの配列同一性を指す。「配列同一性」は、アミノ酸レベルでのタンパク質間の同一性の尺度およびヌクレオチドレベルでの核酸間の同一性の尺度である。タンパク質の配列同一性は、配列を整列したときの各配列中の所与の位置におけるアミノ酸配列を比較することによって決定され得る。同様に、核酸の配列同一性は、配列を整列したときの各配列中の所与の位置におけるヌクレオチド配列を比較することによって決定され得る。比較のための配列の整列(アライメント)のための方法は、当技術分野において周知であり、そのような方法には、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTAが含まれる。BLASTアルゴリズムは、配列同一性パーセントを計算し、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)のウェブサイトを通じて公的に入手可能である。
用語「可溶性」は、タンパク質に関して本明細書において使用される場合、タンパク質が膜タンパク質ではないことを意味する。概して、可溶性タンパク質は、IgSFドメインまたはその特異的結合断片を含有するIgSFファミリーメンバー受容体の細胞外ドメインもしくはその一部分のみを含有するが、膜貫通ドメインを含有せず、かつ/または細胞の表面には発現することができない。いくつかの場合では、Fcドメインへ直接またはリンカーを介して間接的に連結または結合させることによってタンパク質の溶解性を改善することができ、これは、いくつかの場合では、タンパク質の安定性および/または半減期も改善することができる。いくつかの局面において、可溶性タンパク質は、Fc融合タンパク質である。
用語「種」は、ポリペプチドまたは核酸に関して本明細書において使用される場合、同一のまたは実質的に同一の配列を有する分子の集団を意味する。同じ種であるポリペプチド間の違いが、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、および脂質化等の翻訳後修飾の差異が原因で起こり得る。完全長種とアミノ末端またはカルボキシ末端がわずか1、2、または3アミノ酸残基だけ異なる(または差異をコードする)わずかに短縮されたポリペプチド配列は、単一種の配列であると見なされる。そのような微小不均一性は、製造されたタンパク質の共通の特徴である。
用語「特異的結合断片」は、本明細書において完全長野生型哺乳動物ICOSLポリペプチドまたはそのIgVもしくはIgCドメインに関して使用される場合、IgVおよび/またはIgCドメインの部分配列を有し、かつ、インビトロおよび/またはインビボで哺乳動物ICOSおよび/または哺乳動物CD28(例えば、ヒトまたはネズミICOSまたはCD28)に特異的に結合する、ポリペプチドを意味する。いくつかの態様において、ICOSL IgVまたはICOSL IgCの特異的結合断片は、完全長野生型配列の配列長の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%である。本発明のバリアントICOSLを形成させるために、特異的結合断片の配列を変化させることができる。
用語「特異的に結合する」は、本明細書において使用される場合、その親和性またはアビディティが、十分な統計的サイズのランダムペプチドまたはポリペプチドの集合体に対する同じタンパク質の平均親和性またはアビディティの少なくとも5倍大きく、しかし場合により少なくとも10、20、30、40、50、100、250または500倍大きく、またはさらに少なくとも1000倍大きくなるように、特異的結合条件下で、標的タンパク質に結合するタンパク質の能力を意味する。特異的に結合するタンパク質は、単一の標的分子のみに結合する必要はないが、標的と非標的(例えば、パラログまたはオーソログ)との間の立体配置の類似性に起因して非標的分子に特異的に結合し得る。当業者は、異なる動物種における同じ機能を有する分子(すなわち、オーソログ)への特異的結合または標的分子と実質的に類似のエピトープを有する非標的分子(例えば、パラログ)への特異的結合が、可能であり、かつ、固有の非標的(例えば、ランダムポリペプチド)の統計的に有効な集合体に対して決定される結合の特異性を損なわないことを認識するだろう。したがって、本発明のポリペプチドは、交差反応性に起因して、複数の別個の標的分子種に特異的に結合し得る。固相ELISAイムノアッセイまたはビアコア(Biacore)測定を使用して、2つのタンパク質間の特異的結合を決定することができる。概して、2つの結合タンパク質間の相互作用は、1×10-5 M未満、しばしば1×10-12 Mまでの低さの解離定数(Kd)を有する。本開示の特定の態様において、2つの結合タンパク質間の相互作用は、1×10-6 M、1×10-7 M、1×10-8 M、1×10-9 M、1×10-10 Mまたは1×10-11 Mの解離定数を有する。
ポリペプチドを発現する哺乳動物細胞に関して、用語「表面発現する」、「表面発現」または「表面に発現する」は、当該ポリペプチドが膜タンパク質として発現することを意味する。いくつかの態様において、膜タンパク質は、膜貫通型タンパク質である。
本明細書において使用される場合、「合成(の)」は、例えば、合成核酸分子または合成遺伝子または合成ペプチドに関して、組換え法および/または化学合成法によって生産される核酸分子またはポリペプチド分子を指す。
用語「ターゲティング部分」は、本明細書において使用される場合、本発明のバリアントICOSLを含むポリペプチドに共有結合もしくは非共有結合により結合されるか、またはそれを物理的にカプセル化する、組成物を指す。いくつかの態様において、ターゲティング部分は、標的分子(例えば、細胞の表面に発現する標的分子)に対して特異的結合親和性を有する。典型的には、標的分子は、特定の組織または細胞タイプ上に局在化される。ターゲティング部分は、抗体、抗原結合断片(Fab)、VHおよびVLを含有する可変断片(Fv)、1つの鎖中で一緒に連結されたVHおよびVLを含有する単鎖可変断片(scFv)、ならびに他の抗体V領域断片、例えばFab’、F(ab)2、F(ab’)2、dsFvダイアボディ、ナノボディ、可溶性受容体、受容体リガンド、親和性成熟された受容体もしくはリガンド、ならびに低分子(<500ダルトン)組成物(例えば、特異的結合受容体組成物)を含む。ターゲティング部分はまた、本発明のポリペプチドをカプセル化するリポソームの脂質膜に共有結合または非共有結合により結合(付着)させることもできる。
本明細書において使用される場合、用語「膜貫通型タンパク質」は脂質二重層を実質的にまたは完全に貫通する膜タンパク質を意味し、脂質二重層は、例えば、哺乳動物細胞などの生体膜中に、またはリポソームなどの人工構築物中に見いだされる。膜貫通型タンパク質は、脂質二重層に統合されかつその統合が生理的条件下で熱力学的に安定である、膜貫通ドメイン(「膜貫通ドメイン」)を含む。膜貫通ドメインは概して、膜貫通ドメインの疎水性が、タンパク質における水性環境(例えば、細胞質ゾル、細胞外流体)と相互作用する領域と比較して高いことに基づいて、幾つもの市販の生命情報科学ソフトウェアアプリケーションを介して、膜貫通ドメインのアミノ酸配列から予測可能である。膜貫通ドメインは多くの場合、膜を貫通する疎水性αヘリックスである。膜貫通型タンパク質は、脂質二重層の両層を1回または複数回貫通していてもよい。本明細書に記載される提供される膜貫通型免疫調節タンパク質は、膜貫通型タンパク質に含まれる。本発明の膜貫通型免疫調節タンパク質は、膜貫通ドメインに加えて、エクトドメインをさらに含み、いくつかの態様においてはエンドドメインをさらに含む。
疾患または障害の「治療」または「療法」という用語は、本明細書において使用される場合、本発明の治療用組成物(例えば、免疫調節タンパク質または改変細胞を含有するもの)を、単独、または本明細書に記載されるとおりの別の化合物との組み合わせのいずれかで投与することによる臨床または診断症状のいずれかの低減、停止、または排除によって証明される、疾患または障害の進行を遅延、中断、または反転させることを意味する。「治療する」または「治療」は、急性もしくは慢性疾患もしくは障害における症状の重症度の低下、または再発率の低下(例えば、自己免疫疾患経過を再発するまたは寛解する場合のような)、または自己免疫疾患の炎症的側面の場合の炎症の低減も意味する。がんの文脈において本明細書で使用される場合、がんの「治療」またはがんを「阻害する」またはがんの「阻害」という用語は、限定されないが、Response Evaluation Criteria for Solid Tumors(RECIST)のような標準的な基準によって測定した場合の、腫瘍成長率の統計的に有意な低下、腫瘍成長の停止、または腫瘍の、サイズ、質量、代謝活性もしくは体積の低下、または無増悪生存率(PFS)もしくは全生存率(OS)の統計的に有意な向上のうちの少なくとも1つを指す。疾患もしくは障害を「予防する」または疾患もしくは障害の「予防」は、本発明の文脈において使用される場合、疾患もしくは障害の出現もしくは発症または疾患もしくは障害の症状の一部もしくは全てを予防するか、または疾患もしくは障害の発症の可能性を低下させるための、本発明の免疫調節ポリペプチドまたは改変細胞を単独または別の化合物との組み合わせのいずれかで投与することを指す。
用語「腫瘍特異的抗原」または「TSA」は、本明細書において使用される場合、哺乳動物対象の腫瘍細胞上に主に存在するが一般に哺乳動物対象の正常細胞上には見いだされないカウンター構造体を指す。腫瘍特異的抗原は、腫瘍細胞のみに存在する必要はないが、抗腫瘍治療薬(例えば、本発明の免疫調節ポリペプチド)でターゲティングできかつ腫瘍の影響から哺乳動物を予防または治療することを提供できるように、腫瘍特異的抗原を有する特定の哺乳動物の細胞の割合が十分に高いかまたは腫瘍の表面の腫瘍特異的抗原のレベルが十分に高い。いくつかの態様において、腫瘍を有する哺乳動物由来の細胞のランダム統計試料では、TSAを提示する細胞の少なくとも50%ががん性である。他の態様において、TSAを提示する細胞の少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、または99%ががん性である。
用語「バリアント」(「改変された」または変異体」ともいう)は、バリアントICOSLに関して使用される場合、ヒト介入によって作り出されたICOSL、例えば、哺乳動物(例えば、ヒトまたはマウス)ICOSLを意味する。バリアントICOSLは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLと比べて変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドである。バリアントICOSLは、1つまたは複数の改変、例えば、1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、付加、またはその組み合わせの分だけ参照ICOSL、例えば、野生型ICOSLアイソフォーム配列とは異なるポリペプチドである。本明細書における目的のために、バリアントICOSLは少なくとも1つの親和性が改変されたドメインを含有し、アミノ酸の違いの1つまたは複数はIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)において生じる。バリアントICOSLは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、またはそれより多くのアミノ酸の違い、例えば、アミノ酸置換を含有してもよい。バリアントICOSLポリペプチドは、概して、対応する参照(例えば、未改変ICOSL)または野生型に対して、例えば、SEQ ID NO:5の配列、その成熟配列、またはその細胞外ドメインもしくはIgSFドメインを含有するその一部分に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示す。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、対応する参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL、例えば、SEQ ID NO:32またはSEQ ID NO:196もしくは545に示される参照ICOSLに対して、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示す。非天然アミノ酸ならびに天然アミノ酸は、許容し得る置換または付加の範囲内で含まれる。バリアントICOSLは、どの特定の作製方法にも限定されず、例えば、新規化学合成、新規組換えDNA法、またはその組み合わせを含む。本発明のバリアントICOSLは、哺乳動物種のCD28、ICOS、および/またはCTLA-4に特異的に結合する。いくつかの態様において、アミノ酸配列を変えると、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLタンパク質と比較してICOSおよび/またはCD28に対する結合親和性またはアビディティが変化する(すなわち、向上または低下する)。結合親和性またはアビディティの向上または低下は、フローサイトメトリーなどの周知の結合アッセイを用いて確かめることができる。Larsen et al., American Journal of Transplantation, Vol 5: 443-453 (2005)。Linsley et al., Immunity, Vol. 1(9): 793-801(1994)も参照されたい。ICOSおよび/またはCD28に対するバリアントICOSLの結合親和性またはアビディティの向上は、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLの結合親和性またはアビディティより少なくとも5%大きな値までの向上であり、いくつかの態様では、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL対照値の結合親和性またはアビディティより少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、100%大きな値までの向上である。ICOSおよび/またはCD28に対するICOSL結合親和性またはアビディティの低下は、野生型対照値の95%以下の値までの低下であり、いくつかの態様では、野生型ICOSおよび/またはCD28対照値の80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下の値までの低下、または検出可能な結合親和性もしくはアビディティは無い。バリアントICOSLはアミノ酸残基の置換、付加、または欠失によって一次アミノ酸配列が変化している。用語「バリアント」はバリアントICOSLの文脈では、バリアントICOSLが作り出される、どの特定の出発組成物または方法の条件も課すものだと解釈されない。本発明のバリアントICOSLを得るために、バリアントICOSLは、例えば、参照ICOSLまたは野生型哺乳動物ICOSLの配列情報から開始して作製され、次いで、ICOSおよび/またはCD28に結合するかどうかインシリコでモデル化され、最後に、組み換えにより合成されるか、または化学合成されてもよい。たった一つの代替例では、バリアントICOSLが参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLの部位特異的変異誘発によって作り出されてもよい。従って、バリアントICOSLは組成物を表し、ある特定のプロセスによって産生された産物を必ず表すとは限らない。組換え方法、化学合成、またはその組み合わせを含む様々な技法を使用することができる。
用語「野生型」または「天然の」または「ネイティブ」は生物学的材料、例えば、核酸分子、タンパク質(例えば、ICOSL)、IgSFメンバー、宿主細胞などに関連して本明細書において使用される場合、天然で見出され、ヒト介入によって改変されていないものを指す。
II.バリアントICOSLポリペプチド
ICOSL同族結合パートナーの1つまたは複数に対する結合活性または親和性が変化(向上または低下)したバリアントICOSLポリペプチドが本明細書において提供される。いくつかの態様において、ICOSL同族結合パートナーはCD28、ICOS、またはCTLA-4の1つまたは複数である。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、野生型もしくは未改変のICOSLポリペプチド、または免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを含有する野生型もしくは未改変のICOSLの一部分、あるいはその特異的結合断片と比べて、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン(IgD)において1つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、1つまたは複数の置換(または「変異」もしくは「交換」)、欠失、あるいは付加を含有する。従って、提供されるバリアントICOSLポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)がIgDにあるバリアントIgD(以下では「vIgD」と呼ぶ)であるか、またはそれを含む。
いくつかの態様において、IgDは、IgVドメイン、もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはIgVドメインもしくはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片、あるいはその組み合わせを含む。いくつかの態様において、IgDは、IgVのみ、細胞外ドメイン(ECD)全体を含むIgVおよびIgCの組み合わせ、またはICOSLのIgドメインの任意の組み合わせでもよい。表2は、ICOSLのIgV領域またはIgC領域に対応する例示的な残基を示す。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、アミノ酸改変(例えば、置換)の少なくとも1つがIgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片にある、IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含有する。いくつかの態様では、結合活性または親和性の変化により、IgVドメインまたはIgCドメインは、親和性が改変されたIgSFドメインである。
いくつかの態様において、バリアントは、参照(例えば、未改変)ICOSL配列の配列と比べて1つまたは複数のIgSFドメインにおいて改変されている。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)ICOSL配列は野生型ICOSLである。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLは、ネイティブなICOSLまたはそのオルソログの配列を有する。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLは、1つまたは複数のIgSFドメイン(表2を参照されたい)を含有する、ICOSLの細胞外ドメイン(ECD)もしくはその一部分であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドの細胞外ドメインはIgVドメインとIgCドメインを含む。しかしながら、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインとIgCドメインを両方とも含む必要はない。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインもしくはその特異的結合断片を含むか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgCドメインもしくはその特異的結合断片を含むか、またはそれから本質的になる。いくつかの態様において、バリアントICOSLは可溶性であり、膜貫通ドメインを欠く。いくつかの態様において、バリアントICOSLは膜貫通ドメインをさらに含み、場合によっては細胞質ドメインもさらに含む。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列は哺乳動物ICOSL配列である。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列は、ヒト、マウス、カニクイザル、またはラットを含むが、これに限定されない哺乳動物ICOSLでもよい。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列はヒト配列である。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列は、(i)SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列もしくはシグナル配列を欠く、その成熟型、または(ii)SEQ ID NO:5に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列またはその成熟型を有するか、あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含有する、(i)または(ii)の一部分である。
いくつかの態様において、参照ICOSL配列は、ICOSLの細胞外ドメインもしくはその一部分であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、参照または野生型ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列またはそのオルソログを含む。
場合によっては、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドは、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:32に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい、または(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインを含む、(i)もしくは(ii)の配列の特異的結合断片である。
いくつかの態様において、参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32に示される参照ICOSL細胞外ドメイン配列を基準にC末端トランケーションを含むトランケート型の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、C末端トランケーションは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125アミノ酸残基のC末端トランケーションである。いくつかの態様において、C末端トランケーションは、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35アミノ酸残基のC末端トランケーションである。いくつかの態様において、C末端トランケーションを含むICOSLポリペプチドは、切断点のC末端を越える野生型ICOSLの連続アミノ酸残基を含有しない。従って、提供されるICOSL参照配列の中には、野生型ICOSL(例えば、SEQ ID NO:32に示される野生型ICOSL)の完全細胞外ドメインよりも短いものがある。いくつかの態様において、C末端トランケーションを含むICOSLポリペプチドは、細胞外ドメインを越えるICOSLドメインのアミノ酸残基を含有しないか、または当該アミノ酸残基と融合されていない。
いくつかの態様において、参照ICOSLポリペプチドは1つまたは複数のプロテアーゼ切断部位において変えられる、例えば、変異または欠失される。本明細書において見出されるように、野生型ICOSLポリペプチドは、場合によっては、細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞の中で発現されるとタンパク質分解切断をもたらすプロテアーゼ切断部位を含有し、それによって、異なる長さまたはサイズの種を含む複数の種の不均一な産物が生じる。例えば、ICOSLポリペプチドが切断されると、SEQ ID NO:32の207番目の残基と208番目の残基との間にLQQN/LTプロテアーゼ切断部位が生じることがある(「/」は潜在的な切断部位を示す)。いくつかの態様において、参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32の204~209番目のアミノ酸として示されるプロテアーゼ切断部位において変化しているか、または該部位を欠いている。いくつかの態様において、トランケート型ICOSLポリペプチドは野生型または非トランケート型ICOSLポリペプチドと比較してプロテアーゼ切断耐性が高い。LQQN/LTプロテアーゼ切断部位の全てまたは一部を欠く例示的なトランケート型ICOSLポリペプチドECD切断(トランケーション型#2、#3、#4、#5、#6、#7、または#8と名付けた)はSEQ ID NO:600~606に示される。
いくつかの態様において、参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32を基準に204~209番目のアミノ酸に対応する1つまたは複数のアミノ酸において変化している。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準に207位および/または208位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、N207A、N207G、L208Gから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変(例えば置換)またはその保存的アミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)はN207A/L208GまたはN207G/L208Gである。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドの全長参照ECDまたはトランケート型参照ECDは、N207A、N207G、L208Gから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変(例えば置換)、または保存的アミノ酸改変を含有するように改変される。1つまたは複数の改変を有する例示的な全長ECDまたはトランケート型参照ECDをSEQ ID NO:607~628に示した。SEQ ID NO:32に示される位置を基準にして切断部位N207および/またはL208に変異を含有する例示的な参照配列をSEQ ID NO:624~628に示した。場合によっては、提供される改変は、ICOSLポリペプチドのプロテアーゼ切断、例えば、LQQN/LTプロテアーゼ切断部位で起こる可能性がある切断を低減し得る。
いくつかの態様において、参照ICOSL ECD配列において上記の切断戦略と改変戦略の組み合わせを使用することができる。いくつかの態様では、トランケート型参照ICOSLポリペプチド、例えば、SEQ ID NO:600~606に示される例示的な参照ICOSL配列に改変(例えば置換)が加えられる。潜在的なプロテアーゼ切断部位N207および/またはL208に改変がある例示的なバリアントICOSLポリペプチド配列をSEQ ID NO:607~628に示した。いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドは、野生型ICOSLポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:32に示されるECD配列を含有する野生型ICOSLポリペプチド)と比較して低減したプロテアーゼ切断を示す。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドはIgVドメインもしくはIgCドメインまたはその特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、IgVドメインを含有する参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:196に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:5の19~129番目のアミノ酸残基に対応する)またはそのオルソログを含む。
いくつかの態様において、IgVドメインを含有する参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32に示されるナンバリングを基準に少なくとも1~112番目、1~113番目、1~114番目、1~115番目、1~116番目、1~117番目、1~118番目、1~119番目、1~120番目、1~121番目、1~122番目のアミノ酸を含有する。いくつかの態様において、IgVドメインを含有する参照ICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:545に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:5の19~140番目のアミノ酸残基に対応する)、またはそのオルソログを含む。いくつかの態様において、IgVドメインは、参照ICOSLポリペプチドの唯一のIgSFドメインである。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドのIgVドメインは、(i)SEQ ID NO:196または545に示されるアミノ酸配列、(ii)SEQ ID NO:196または545に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、あるいは(iii)SEQ ID NO:196もしくは545に示されるアミノ酸配列の特異的結合断片、または(i)もしくは(ii)の配列の特異的結合断片を含有してもよい。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)IgVドメインは、1つまたは複数のICOSL同族結合タンパク質、例えば、CD28、ICOS、またはCTLA-4の1つまたは複数に結合することができる。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドのIgCドメインは、SEQ ID NO:5の141~227番目の残基として示されるアミノ酸配列、またはそのオルソログを含む。例えば、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドのIgCドメインは、(i)SEQ ID NO:5の141~227番目の残基に示されるアミノ酸配列;(ii)SEQ ID NO:5の141~227番目の残基に対して少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または(iii)(i)もしくは(ii)を含有してもよい。いくつかの態様において、参照IgVドメインは、1つまたは複数のICOSL同族結合タンパク質に結合することができる。
いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドは、ICOSLの特異的結合断片、例えば、IgVドメインまたはIgCの特異的結合断片を含有する。いくつかの態様において、特異的結合断片はCD28、ICOS、および/またはCTLA4に結合することができる。特異的結合断片は、少なくとも50アミノ酸、例えば、少なくとも60、70、80、90、100、または110アミノ酸のアミノ酸長を有してもよい。いくつかの態様において、IgVドメインの特異的結合断片は、SEQ ID NO:5の19~129番目のアミノ酸として示されるIgVドメインの長さの少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるアミノ酸配列を含有する。いくつかの態様において、IgCドメインの特異的結合断片は、SEQ ID NO:5の141~227番目のアミノ酸として示されるIgCドメインの長さの少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、1つまたは複数の親和性が改変されたIgSFドメインを含む、ECDドメイン、トランケート型ECDドメイン、またはその一部分を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgSFドメイン(IgVもしくはIgC)の1つもしくは複数、またはIgVドメインの特異的結合断片、またはIgCドメインの特異的結合断片が1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)を含有する、IgVドメインまたはIgCドメインを含んでもよい。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインおよびIgCドメイン、またはIgVドメインの特異的結合断片およびIgCドメインの特異的結合断片を含んでもよい。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは全長IgVドメインを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは全長IgCドメインを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはIgCドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは全長IgVドメインと全長IgCドメインを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは全長IgVドメインとIgCドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片と全長IgCドメインを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはIgVドメインの特異的結合断片とIgCドメインの特異的結合断片を含む。
このような態様のいずれかにおいて、バリアントICOSLポリペプチドの1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)はICOSLポリペプチドドメインのいずれか1つまたは複数に配置することができる。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換は、例えば、SEQ ID NO:32に示される、バリアントICOSLポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)に配置される。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換はIgVドメインまたはIgVドメインの特異的結合断片に配置される。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)はIgCドメインまたはIgCドメインの特異的結合断片に配置される。
概して、ポリペプチドの様々な性質(例えば、可溶性ポリペプチド、分泌型ポリペプチド、および膜結合型ポリペプチド、CD28、ICOS、およびCTLA-4に対するICOSLの親和性、ポリペプチド鎖ごとのバリエーションの数、連結されているポリペプチド鎖の数、バリアントICOSLごとのアミノ酸変化の数および内容など)がそれぞれ以下で別々に開示される。しかしながら、当業者に明らかなように、どの特定のポリペプチドも、これらの独立した性質の組み合わせを含んでもよい。IgSFドメインのドメイン構成を説明するために用いられるSEQ ID NOで示した特定の配列への言及を含めたアミノ酸についての言及は例示を目的とし、提供される態様の範囲を限定することを意味しないことが理解される。ポリペプチドおよびそのドメインの説明は、類似の分子との相同性分析およびアライメントに基づいて理論的に導出されることが理解される。従って、正確な遺伝子座は変化することがあり、タンパク質毎に必ず同一になるとは限らない。従って、特定のIgSFドメイン、例えば、特定のIgVドメインまたはIgCドメインは数個(例えば、1個、2個、3個、または4個)のアミノ酸だけ長くても短くてもよい。
さらに、以下で議論される本発明の種々の態様は、上記で開示された定義済みの用語の意味の範囲内で頻繁に提供される。従って、特定の定義において説明される態様は、本明細書に記載の種々の局面および属性の議論において定義済みの用語が利用されるときに参照により組み入れられると解釈しなければならない。従って、見出し、種々の局面および態様の提示の順序、ならびに各々独立した属性の別々の開示は本開示の範囲に対する限定を意味するものではない。
A.例示的な改変
バリアントICOSLポリペプチドが、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較して1つまたは複数のリガンドICOS、CD28、またはCTLA-4に対して結合活性または親和性の変化(向上または低下)を示すように、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドに含まれるIgSFドメインにおいて少なくとも1つの親和性改変IgSFドメイン(例えば、IgVもしくはIgC)またはその特異的結合断片を含有するバリアントICOSLポリペプチドが本明細書において提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、固相ELISAイムノアッセイ、フローサイトメトリー、またはBiacoreアッセイによって確かめられたときに、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド対照配列とは異なる、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(未改変の)または野生型ICOSLポリペプチドと比べて、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性が低下している。CD28、ICOS、および/またはCTLA-4は哺乳動物タンパク質、例えば、ヒトタンパク質またはマウスタンパク質でもよい。
同族結合パートナーのそれぞれに対する結合親和性は独立している。すなわち、いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べて、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4の1つ、2つ、もしくは3つに対する結合親和性が向上し、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4の1つ、2つ、もしくは3つに対する結合親和性が低下している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてICOSに対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてICOSに対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCTLA-4に対して結合親和性が低下している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびICOSに対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対する結合親和性が向上し、ICOSに対する結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびICOSに対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が低下しており、ICOSに対して結合親和性が向上している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が向上し、CTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびCTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が低下しており、CTLA4に対して結合親和性が向上している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSポリペプチドと比べてICOSおよびCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてICOSに対して結合親和性が向上し、CTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてICOSおよびCTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてICOSに対して結合親和性が低下しており、CTLA-4に対して結合親和性が向上している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28、ICOS、およびCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびICOSに対して結合親和性が向上し、CTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびCTLA-4に対して結合親和性が向上し、ICOSに対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28およびICOSに対して結合親和性が低下しており、CTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が低下しており、ICOSおよびCTLA-4に対して結合親和性が向上している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が向上し、ICOSおよびCTLA-4に対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28、CTLA-4、およびICOSに対して結合親和性が低下している。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べてCD28に対して結合親和性が低下しており、ICOSおよびCTLA-4に対して結合親和性が向上している。
いくつかの態様において、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性が向上した、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド対照と比べて、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性が少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、25%、35%、または50%向上している。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べて結合親和性の向上は、1.2倍より大きい、1.5倍より大きい、2倍より大きい、3倍より大きい、4倍より大きい、5倍より大きい、6倍より大きい、7倍より大きい、8倍より大きい、9倍より大きい、10倍より大きい、20倍より大きい、30倍より大きい、40倍より大きい、または50倍より大きい向上である。このような例において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)を含有しないことを除けばバリアントICOSLポリペプチドと同じ配列を有する。
いくつかの態様において、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性が低減または低下したバリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド対照と比べて、CD28、ICOSL、および/またはCTLA-4に対する結合親和性が少なくとも5%、例えば、少なくとも約10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより大きく低下している。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比べた結合親和性の低下は、1.2倍より大きい、1.5倍より大きい、2倍より大きい、3倍より大きい、4倍より大きい、5倍より大きい、6倍より大きい、7倍より大きい、8倍より大きい、9倍より大きい、10倍より大きい、20倍より大きい、30倍より大きい、40倍より大きい、または50倍より大きい低下である。このような例において、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)を含有しないことを除けばバリアントICOSLポリペプチドと同じ配列を有する。
いくつかの態様において、CD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する、前述した態様のいずれかの平衡解離定数(Kd)は、1x10-5M未満、1x10-6M未満、1x10-7M未満、1x10-8M未満、1x10-9M未満、1x10-10M未満、または1x10-11M未満、または1x10-12M未満でもよい。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはCD28に対する結合親和性が向上しているか、または高くなっている。いくつかの態様において、CD28に対する結合親和性が向上しているか、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドは参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド対照と比べてCD28に対する結合親和性が少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、または60%向上している。いくつかの態様において、CD28に対する結合親和性が向上した、または高くなったバリアントICOSLポリペプチドの平衡解離定数(Kd)は、CD28について200pM未満、300pM未満、400pM未満、500pM未満、または600pM未満である。いくつかの態様において、バリアントポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLと比較して向上した選択性で、ICOS、CD28、またはCTLA4のうちの1つのエクトドメインに特異的に結合する。いくつかの態様において、向上した選択性はCD28に対するものである。いくつかの態様において、向上した選択性は、バリアントICOSLポリペプチドと、ICOS、CD28、およびCTLA4から選択される、ある同族結合パートナーの結合と、別の同族結合パートナーの結合の比が、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと、ある同族結合パートナーの結合と、別の同族結合パートナーの結合の比と比較して大きくなることを含む。いくつかの態様において、当該比は、少なくともまたは少なくとも約1.5倍、2.0倍、3.0倍、4.0倍、5倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、またはそれより大幅に大きくなる。
参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列は、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドを作製するために出発組成物として必ずしも使用しなければならないというわけではない。従って、用語「置換」などの「改変」の使用は、本態様がバリアントICOSLポリペプチドを作製する特定の方法に限定されることを意味しない。バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、新規ペプチド合成によって作製されてもよく、改変(例えば置換)をコードするようにコドンを変える意味で「置換」などの「改変」を必ずしも必要とするわけではない。この原則はまた、アミノ酸残基の「付加」および「欠失」という用語まで及び、同様に特定の作製方法を意味しない。バリアントICOSLポリペプチドが設計される、または作り出される手段は、どの特定の方法にも限定されない。しかしながら、いくつかの態様では、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLをコードする核酸は、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL遺伝物質から変異誘発され、望ましい特定の結合親和性および/またはIFN-γ発現もしくは他の機能活性の誘導があるかどうかスクリーニングされる。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、任意の数の公的に利用可能なデータベースにおいて入手可能なタンパク質配列または核酸配列を利用して新規合成され、次いでその後にスクリーニングされる。このような情報を米国立バイオテクノロジー情報センターは提供しており、そのウエブサイトは、既に議論されているUniProtKBデータベースのようにインターネットを介して公的に利用することができる。
他に定めのない限り、本開示全体を通して示されたように、アミノ酸改変は、SEQ ID NO:32に示される参照ECD配列の位置のナンバリングに対応するアミノ酸位置番号によって指定される。ICOSLポリペプチドのIgSFドメイン(例えば、IgV)を含有するICOSLポリペプチドの一部分を含む、ICOSLポリペプチドにおける改変、例えば、アミノ酸置換の対応する位置を、例えば、参照配列(例えば、SEQ ID NO:196、545、600~628)とSEQ ID NO:32とのアライメントによって特定することは当業者の水準の範囲内である。本開示全体にわたる改変のリストにおいてアミノ酸位置が中央に示され、対応する参照(例えば、未改変または野生型)アミノ酸が数字の前に記載され、特定されたバリアントのアミノ酸置換が数字の後ろに記載される。改変がその位置の欠失である場合は「del」と表示され、改変がその位置における挿入である場合は「ins」と表示される。場合によっては、挿入が記載され、アミノ酸位置が中央に示され、対応する参照アミノ酸が、その数字の前後に記載され、特定されたバリアントのアミノ酸挿入が未改変(例えば、野生型)アミノ酸の後ろに記載される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列において1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL配列のエクトドメイン(細胞外ドメイン)にあってもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)はIgVドメインまたはその特異的結合断片にある。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)はIgCドメインまたはその特異的結合断片にある。バリアントICOSLポリペプチドのいくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)の一部分はIgVドメインまたはその特異的結合断片にあり、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)の一部分はIgCドメインまたはその特異的結合断片にある。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個までのアミノ酸改変(例えば置換)を有する。改変(例えば置換)はIgVドメインまたはIgCドメインにあってもよい。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgVドメインまたはその特異的結合断片において1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個までのアミノ酸置換を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、IgCドメインまたはその特異的結合断片において1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個までのアミノ酸置換を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドまたはその特異的結合断片、例えば、SEQ ID NO:32、196または545のアミノ酸配列と少なくとも約85%、86%、86%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、27位、30位、33位、37位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、77位、78位、75位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、111位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、26位、27位、30位、33位、37位、38位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、75位、77位、78位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、111位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、137位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、164位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、このようなバリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較してCD28、ICOS、および/またはCTLA-4の1つまたは複数に対する結合親和性の変化を示す。例えば、いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較してCD28、ICOS、および/またはCTLA-4に対する結合親和性の向上を示す。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較してCD28、ICOS、またはCTLA-4に対して低下した結合親和性を示す。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
またはその保存的アミノ酸置換、例えば、置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
保存的アミノ酸改変(例えば置換)は、参照(例えば、未改変)または野生型アミノ酸以外の、置換されたアミノ酸と同じアミノ酸クラスに分類される任意のアミノ酸である。アミノ酸クラスは、脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)、ヒドロキシルまたは含硫黄(セリン、システイン、スレオニン、およびメチオニン)、環式(プロリン)、芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、塩基性(ヒスチジン、リジン、およびアルギニン)、ならびに酸性/アミド(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミン)である。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、
である。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、
から選択される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の変異を含む。表1はまた、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLまたは例示的なバリアントICOSLポリペプチドの細胞外ドメイン(ECD)またはIgVドメインのSEQ ID NOを参照することによって例示的な配列も示す。示されたように、ある特定のドメインに対応する正確な遺伝子座または残基は、例えば、ドメインを特定または分類するのに用いられた方法に応じて変化することがある。また、場合によっては、ある特定のドメイン(例えば、IgV)の隣接するN末端アミノ酸および/またはC末端アミノ酸も、例えば、発現時にドメインの正しいフォールディングを確実なものにするためにバリアントIgSFポリペプチドの配列に入れられることがある。従って、表1におけるSEQ ID NOの例示は限定だと解釈してはならないと理解される。例えば、バリアントICOSLポリペプチドの特定のドメイン、例えば、ECDドメインは、それぞれのSEQ ID NOに示されるアミノ酸配列よりも数アミノ酸長くても短くてもよく、例えば、1~10、例えば、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸長くても短くてもよい。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した変異のいずれかの変異を含む。いくつかの例では、SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列を含有する参照ICOSL、SEQ ID NO:196もしくは545に示したICOSLのIgVドメインを含有する参照ICOSL、またはSEQ ID NO:600~628のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有する切断および/もしくは改変される参照ICOSLにおいて変異が加えられている。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685のいずれか1つ)を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685のいずれか1つ)に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685のいずれか1つ)の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685、905、908のいずれか1つ)を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685、905、908のいずれか1つ)に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意の細胞外ドメイン(ECD)配列(すなわち、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685、905、908のいずれか1つ)の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857のいずれか1つ)を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857のいずれか1つ)に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857のいずれか1つ)の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸置換を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれか1つ)を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれか1つ)に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、表1に列挙した任意のIgV配列(すなわち、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれか1つ)の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸置換を含む。
「X」で指定された変異は、指定された位置が、QまたはSEQ ID NO:32の対応する位置に示した野生型残基を含むことを示す。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド、例えば、SEQ ID NO:32、196、または545に示される配列を含む参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較してCD28エクトドメインに対する親和性が向上している。いくつかの態様において、ICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL、例えば、SEQ ID NO:32、196、または545に示される配列を含む参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLと比較してICOSエクトドメインに対する親和性が向上している。いくつかの態様において、ICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSL、例えば。SEQ ID NO:32、196、または545に示される配列を含む参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLと比較してCD28エクトドメインおよびICOSエクトドメインに対する親和性が向上している。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、52位、54位、または57位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、N52H、N52D、N52Q、N52S、N52Y、N52K、S54A、S54P、もしくはN57Yから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変(例えば置換)またはその保存的アミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、N52H、N52D、N52S、N52K、もしくはN57Yから選択される1つもしくは複数のアミノ酸改変(例えば置換)またはその保存的アミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、52位、54位、または57位に対応する位置にあるアミノ酸改変(例えば置換)に加えて1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変(例えば置換)を含有してもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変(例えば置換)は、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、27位、30位、37位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、75位、77位、78位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位に対応する位置にある。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変(例えば置換)は、SEQ ID NO:32を基準にして位、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、26位、27位、30位、33位、37位、38位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、75位、77位、78位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、111位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、137位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、164位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位に対応する位置にある。
いくつかの態様において、バリアントICOSLは、
から選択される1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変(例えば置換)またはその保存的アミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、
から選択される1つもしくは複数のさらなるアミノ酸改変(例えば置換)またはその保存的アミノ酸置換を含有する。
上記のバリアントICOSLポリペプチドのいずれか1つのうちのいくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32の140位に対応する1つまたは複数のアミノ酸欠失をさらに含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして52位、57位、または100位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、
である。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、
から選択される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32を基準にして
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、
から選択される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、N52H/N57Y/Q100R/F172S、N52H/Q100R、またはN52H/N57Y/Q100R/C198Rから選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、
から選択される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチド、例えば、SEQ ID NO:32、196、または545に示される配列を含む参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較して、CD28またはICOSのエクトドメインのうちの一方に結合するのに向上した結合親和性を示し、CD28またはICOSのエクトドメインのうちの他方に結合するのに低下した結合親和性を示す。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはICOSに対する結合親和性の向上を示す。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換は、16位、30位、42位、52位、54位、57位、75位、90位、92位、100位、102位、110位、113位、115位、120位、122位、133位、138位、143位、146位、152位、156位、158位、172位、194位、198位、203位、208位、221位、224位、または225位に対応する位置にある。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、ICOSに対する結合親和性の向上を示し、CD28に対する結合親和性の低下を示す。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるアミノ酸置換は、52位、57位、80位、100位、130位、152位、161位、または198位に対応する位置にある。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、N52S、N52H、N52Y、N52H、N57Y、L80P、Q100P、Q100R、Q100K、V110D、S130G、Y152C、L161P、L161M、C198R、R221G、またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはCD28に対する結合親和性の向上を示す。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換は位、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、27位、30位、36位、40位、41位、42位、52位、54位、57位、63位、70位、71位、72位、74位、77位、80位、81位、84位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、96位、98位、99位、100位、102位、107位、109位、110位、113位、114位、115位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、126位、127位、129位、130位、132位、133位、135位、138位、139位、140位、143位、144位、146位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、166位、168位、169位、172位、173位、178位、190位、192位、193位、194位、198位、199位、201位、203位、207位、208位、209位、212位、218位、221位、224位、225位、または227位に対応する位置にある。
いくつかの態様において、バリアントICOSLは、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、CD28に対する結合親和性の向上を示し、ICOSに対する結合親和性の低下を示す。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換は52位、75位、または203位に対応する位置にある。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、N52S、R75Q、L203F、またはL203Pから選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸置換N52S/R75Q/L203Pを有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして16位、30位、42位、52位、57位、90位、100位、102位、110位、115位、120位、122位、138位、143位、152位、156位、172位、194位、198位、203位、221位、または224位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして115位、172位、または198位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、H115R、F172S、またはC198Rから選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、
である。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較して潜在的に増強したタンパク質溶解度または増強したタンパク質発現(「溶解度変異」)を示す。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)のいずれかに対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかの特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはCD28に対する結合親和性の向上を示し、ICOSに対する結合親和性の向上を示す。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換は、16位、30位、42位、52位、54位、57位、90位、92位、100位、102位、110位、113位、115位、120位、122位、133位、138位、143位、146位、152位、156位、158位、172位、194位、198位、203位、208位、212位、224位、または225位に対応する位置にある。いくつかの態様において、バリアントICOSLは、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、
から選択される1つまたは複数のアミノ酸置換を有する。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして52位、57位、100位、138位、198位、または203位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、N52H、N52Y、N57Y、Q100R、Q100P、F138L、C198R、またはL203Pから選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、Q100R、F138L/L203P、N52Y/F138L/L203P、N57Y/Q100R/C198R、N57Y/F138L/L203P、N52H、N57Y、N57Y/Q100P、Q100R/F138L、またはL203Pである。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:427~433に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:427~433に示した細胞外ドメイン(ECD)のいずれかに対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:427~433に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかの特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:434に示されるIgV配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:434に示されるIgV配列に対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:434に示されるIgV配列の特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸置換を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして52位、84位、91位、119位、155位、168位、207位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、A91S、N52H、N52Q、N84Q、N119Q、N155H、N155Q、N168Q、N207Qから選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)は、
である。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLポリペプチドと比較して潜在的に低減したグリコシル化を示す。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:387~424、427~433、435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:387~424、427~433、435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)のいずれかに対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:387~424、427~433、435~470に示した細胞外ドメイン(ECD)配列のいずれかの特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:425~426に示したIgV配列のいずれかを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:425~426に示したIgV配列のいずれかに対して少なくとも90%の同一性、少なくとも91%の同一性、少なくとも92%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも94%の同一性、少なくとも95%の同一性、例えば、少なくとも96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%の同一性を示し、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸改変(例えば置換)を含有するポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:425~426に示したIgV配列のいずれかの特異的結合断片を含み、参照(例えば、未改変)または野生型ICOSLに存在しないアミノ酸置換を含む。
III.バリアントポリペプチドのフォーマット
本明細書において提供されるバリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは、可溶性タンパク質、膜結合型タンパク質、分泌タンパク質、コンジュゲート、もしくは融合を含む様々なやり方で、または本明細書中の他の箇所で説明される改変された細胞もしくは感染性物質による発現のために並べることができる。いくつかの局面において、ICOSLの1つもしくは複数のvIgDを含む免疫調節ポリペプチド、または複数のIgSFドメインを含む免疫調節ポリペプチドの両方を様々なやり方で並べることができる。
いくつかの態様において、望ましい治療用途のために特定のフォーマットを選択することができる。場合によっては、バリアントICOSLポリペプチドを含む免疫調節ポリペプチドは、その同族結合パートナー、例えば、CD28の活性をアンタゴナイズまたはブロックするフォーマットで提供される。いくつかの態様において、CD28のアンタゴニズムは炎症または自己免疫を処置するのに有用な場合がある。場合によっては、バリアントICOSLポリペプチドを含む免疫調節ポリペプチドは、その同族結合パートナー、例えば、CD28の活性をアゴナイズまたは刺激するフォーマットで提供される。いくつかの態様において、CD28のアゴニズムは腫瘍適応症を処置するのに有用な場合がある。当業者は、例えば、1つまたは複数の特定の同族結合パートナーをアンタゴナイズまたはアゴナイズするために、特定のフォーマットの活性を容易に確かめることができる。このような活性を評価するための例示的な方法が、実施例を含めて本明細書において提供される。
いくつかの態様において、可溶性免疫調節ポリペプチド、例えば、vIgDを含有するバリアントICOSLは、提供されるコンジュゲート(例えば、ターゲティング部分)のいずれか1つまたは任意の組み合わせと結合体化できるリポソームの中に入れることができる。いくつかの態様において、本発明の可溶性または膜結合型の免疫調節ポリペプチドは脱グリコシルされている。さらに特定の態様では、バリアントICOSL配列は脱グリコシルされている。さらにもっと特定の態様では、バリアントICOSLのIgVおよび/またはIgC(例えば、IgC2)ドメインは脱グリコシルされている。
提供されるフォーマットの非限定的な例を図13A~13Cに図示し、下記でさらに説明する。
A.可溶性ポリペプチド
いくつかの局面において、ICOSLのvIgDを含む免疫調節ポリペプチドが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質は可溶性タンパク質である。当業者は、細胞表面タンパク質が、典型的には細胞内、膜貫通、および細胞外ドメイン(ECD)を有し、このようなタンパク質の可溶型は細胞外ドメインまたはその免疫学的に活性な部分配列を用いて作製できることを理解する。従って、いくつかの態様では、バリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質は膜貫通ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を欠く。いくつかの態様において、バリアントICOSLを含有する免疫調節タンパク質は細胞内(細胞質)ドメインまたは細胞内ドメインの一部分を欠く。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質は、IgVドメインおよび/またはIgC(例えば、IgC2)ドメインを含有するECDドメインまたはその一部分を含有するvIgD部分、またはアミノ酸改変を含有するその特異的結合断片しか含有しない。
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含有する免疫調節ポリペプチドは1つまたは複数のバリアントICOSLポリペプチドを含んでもよい。いくつかの局面において、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン、例えば、1つまたは複数のさらなるvIgDは、本明細書において提供されるICOSLのvIgDに連結されてもよい。いくつかの局面において、ICOSLの1つまたは複数のvIgDを含む免疫調節ポリペプチド、または複数のIgSFドメインを含む免疫調節ポリペプチドは、様々なやり方で、例えば、セクションIIIのサブセクションCに記載のように並べることができる。
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは、本発明の1つまたは複数のバリアントICOSLポリペプチドを含んでもよい。いくつかの態様において、本発明のポリペプチドは正確に1つ、2つ、3つ、4つ、5つのバリアントICOSL配列を含む。いくつかの態様において、バリアントICOSL配列のうち少なくとも2つは、同一のバリアントICOSL配列である。
いくつかの態様において、提供される免疫調節ポリペプチドはICOSLの2つ以上のvIgD配列を含む。このポリペプチド鎖の中にある複数のバリアントICOSLポリペプチドは互いに同一でもよく(すなわち、同じ種)、同一でない(すなわち、異なる種)バリアントICOSL配列でもよい。1本のポリペプチド鎖の態様に加えて、いくつかの態様では。2本、3本、4本、またはそれより多くの本発明のポリペプチドを共有結合または非共有結合により互いに結合することができる。従って、単量体、二量体、およびさらに高次の(例えば、3本、4本、5本、またはそれより多い)多量体タンパク質が本明細書において提供される。例えば、いくつかの態様では、ちょうど2つの本発明のポリペプチドが共有結合または非共有結合により互いに結合して二量体を形成することができる。いくつかの態様において、結合は鎖間システインジスルフィド結合によって行われる。2種類以上の本発明のポリペプチドを含む組成物は同一のポリペプチド種または実質的に同一のポリペプチド種の組成物(例えば、ホモ二量体)でもよく、同一でないポリペプチド種の組成物(例えば、ヘテロ二量体)でもよい。複数の連結された本発明のポリペプチドを有する組成物は、前記のように、それぞれのポリペプチド鎖において1つまたは複数の同一の、または同一でない本発明のバリアントICOSLポリペプチドを有してもよい。
いくつかの局面において、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン、例えば、1つまたは複数のさらなるvIgDは、本明細書において提供されるようにICOSLのvIgDに連結されてもよい(以下では「スタック」または「スタックされた(stacked)」免疫調節タンパク質と呼ぶ)。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質のモジュールフォーマットを用いると、複数のカウンター構造(複数の同族結合パートナー)の活性を調整する目的で免疫調節タンパク質を操作もしくは作製するのに融通がきくようになる。いくつかの態様において、このような「スタック」分子は可溶性フォーマットで提供されてもよく、場合によっては、膜結合型または分泌タンパク質として提供されてもよい。
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、1つまたは複数の他の免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインに直接的または間接的に連結された、本明細書において提供される任意のバリアントICOSLポリペプチド(「スタックされた」免疫調節タンパク質構築物。「II型」免疫調節タンパク質とも呼ばれる)を含有してもよい。いくつかの局面において、これにより、2種類以上の、例えば、3種類以上の同族結合パートナーに結合し、それによって、免疫シナプスのマルチターゲティング(multi-targeting)調節をもたらすユニークなマルチドメイン免疫調節タンパク質が作り出される。
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、バリアントICOSLドメインと、野生型IgSFファミリーメンバーでは見られない別のIgSFファミリーメンバー(例えば、哺乳動物IgSFファミリーメンバー)の、1つまたは複数の他の親和性が改変された、および/または親和性が改変されていないIgSFドメイン配列の組み合わせ(「非野生型組み合わせ」)および/または配列(「非野生型配列」または「非野生型順列」)を含む。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は2個、3個、4個、5個、または6個の免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを含有し、IgSFドメインのうちの少なくとも1つは、提供される説明に従うバリアントICOSL IgSFドメイン(ICOSLのvIgD)である。
いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインの配列は、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を含有する改変されたIgSFドメインでもよい。いくつかの態様において、IgSFドメインは親和性が改変されていなくてもよく(例えば、野生型)、親和性が改変されていてもよい。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインは、マウス、ラット、カニクイザル、もしくはヒトに由来してもよく、その組み合わせでもよい。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは、表2に示したIgSFファミリーのIgSFドメインでもよい。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは、表2に示したIgSFファミリーメンバーに含まれるIgSFドメインと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を含有する親和性が改変されたIgSFドメインでもよい。
いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは、Signal-Regulatory Protein(SIRP)ファミリー、Triggering Receptor Expressed On Myeloid Cells Like(TREML)ファミリー、Carcinoembryonic Antigen-related Cell Adhesion Molecule(CEACAM)ファミリー、Sialic Acid Binding Ig-Like Lectin(SIGLEC)ファミリー、ブチロフィリンファミリー、B7ファミリー、CD28ファミリー、V-set and Immunoglobulin Domain Containing(VSIG)ファミリー、V-set transmembrane Domain(VSTM)ファミリー、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ファミリー、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリー、白血球免疫グロブリン様受容体(LIR)、ネクチン(Nec)ファミリー、Nectin-like(NECL)ファミリー、Poliovirus receptor related(PVR)ファミリー、Natural cytotoxicity triggering receptor(NCR)ファミリー、T cell immunoglobulin and mucin(TIM)ファミリー、または Killer-cell immunoglobulin-like receptors(KIR)ファミリーから選択されるファミリーのIgSFファミリーメンバーに含まれる、親和性が改変されたIgSFドメインまたは親和性が改変されていないIgSFドメインである。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは、独立して、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD274(PD-L1、B7-H1)、PDCD1LG2(PD-L2、CD273)、ICOSLG(B7RP1、CD275、ICOSL、B7-H2)、CD276(B7-H3)、VTCN1(B7-H4)、CD28、CTLA4、PDCD1(PD-1)、ICOS、BTLA(CD272)、CD4、CD8A(CD8-α)、CD8B(CD8-β)、LAG3、HAVCR2(TIM-3)、CEACAM1、TIGIT、PVR(CD155)、PVRL2(CD112)、CD226、CD2、CD160、CD200、CD200R1(CD200R)、およびNCR3(NKp30)からなる群から選択されるIgSFタンパク質から得られる。
表2の1列目は、この特定のIgSFメンバーの名称と、任意で、可能性のあるいくつかの別名の名称を示す。2列目は、uniprot.orgでインターネットを介してアクセス可能な、公的に利用可能なデータベースであるUniProtKBデータベースのタンパク質識別子を示し、場合によってはGenBank番号を示す。Universal Protein Resource(UniProt)はタンパク質配列および注釈データ用の包括的リソースである。UniProtデータベースはUniProt Knowledgebase(UniProtKB)を含む。UniProtは、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)(EMBL-EBI)、SIBスイスバイオインフォマティクス研究所(SIB Swiss Institute of Bioinformatics)とタンパク質情報リソース(Protein Information Resource)(PIR)間の共同研究であり、主に、米国立保健研究所(NIH)の助成金によって支援されている。GenBankはNIHの遺伝子配列データベースであり、全ての公的に利用可能なDNA配列が注釈付きで集められたものである(Nucleic Acids Research, 2013 Jan;41(D1):D36-42)。3列目は、表示のIgSFドメインが位置する領域を示す。この領域は、ドメインが、範囲を規定している残基を包含する範囲として指定される。3列目はまた、指定されたIgSF領域のIgSFドメインクラスも示す。4列目は、表示の追加のドメインが位置している領域を示す(シグナルペプチド、S;細胞外ドメイン、E;膜貫通ドメイン、T;細胞質ドメイン、C)。ドメインの記載はドメインの特定または分類に用いた方法に応じて変化する場合があること、および異なる供給源から異なって特定される場合があることを理解されたい。表2のドメインに対応する残基の説明は例示にすぎず、数アミノ酸(例えば、1個、2個、3個、または4個)長くても短くてもよい。5列目は、列挙したIgSFメンバーのうちのいくつか、その同族細胞表面結合パートナーのうちのいくつかを示す。
いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質はまた、バリアントICOSLポリペプチドを含有することに加えて、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個のさらなる免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメイン、例えば、表2に示したIgSFファミリーメンバーのIgDドメインも含有する。
いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は少なくとも1つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は少なくとも2つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のIgSFドメインおよび第3のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は少なくとも3つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2、第3、および第4のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は、少なくとも4つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2、第3、第4、および第5のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は少なくとも5つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2、第3、第4、第5、および第6のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は少なくとも6つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2、第3、第4、第5、第6、および第7のIgSFドメイン)を含有する。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質にあるIgSFドメインはそれぞれ異なる。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインの少なくとも1つは、免疫調節タンパク質にある少なくとも1つの他のIgSFドメインと同じである。いくつかの態様において、IgSFドメインのそれぞれが異なるIgSFファミリーメンバーに由来するか、または異なるIgSFファミリーメンバーから得られる。いくつかの態様において、IgSFドメインの少なくとも2つは同じIgSFファミリーメンバーに由来するか、または同じIgSFファミリーメンバーから得られる。
いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインはIgVドメインもしくはIgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはIgVドメインの特異的結合断片もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは、全長IgVドメインであるか、または全長IgVドメインを含む。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインは全長IgC(例えば、IgC2)ドメインであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインはIgVドメインの特異的結合断片であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメインはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、1種類の(同じ)IgSFメンバーに由来する少なくとも2つのさらなるIgSFドメインを含有する。例えば、いくつかの局面において、免疫調節タンパク質は、全長IgVドメインおよび全長IgC(例えば、IgC2)ドメインまたはその特異的結合断片を含有するIgSFメンバーのECDまたはその一部分を含有する。
いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は、少なくとも1つのさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のIgSFドメイン、または場合によっては第3のIgSFドメインも)を含有し、この場合、少なくとも1つのさらなるIgSFドメイン、例えば、第2のIgSFドメインまたは第3のIgSFドメインは、SEQ ID NO:1~27および341のいずれかに示されるアミノ酸配列に含まれる参照(例えば、未改変)もしくは野生型IgSFドメインまたはその特異的結合断片に示したIgSFドメインである。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインはIgVドメインまたはIgCドメイン、例えば、IgC1またはIgC2ドメインである。
いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質はまた、バリアントICOSLポリペプチドを含有することに加えて、少なくとも1つのさらなるIgSFドメインも(例えば、または、場合によっては、第3の親和性が改変されたIgSFドメインなども)含有し、この場合、少なくとも1つのさらなるIgSFドメインは、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインにあるIgSFドメイン、例えば、表2に示したIgSFファミリーにあるIgSFドメインと比較して1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換、欠失、または変異)を含有するvIgDである。いくつかの態様において、さらなる、例えば、第2または第3の親和性が改変されたIgSFドメインは、SEQ ID NO:1~27および341のいずれかに示されるアミノ酸配列に含まれる参照(例えば、未改変)もしくは野生型IgSFドメインまたはその特異的結合断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を含む。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインはIgVドメインまたはIgCドメイン、例えば、IgC1またはIgC2ドメインである。いくつかの態様において、さらなる、例えば、第2または第3のIgSFドメインは、親和性が改変されたIgVドメインおよび/またはIgCドメインである。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるIgSFドメインは、IgVドメインおよび/もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはIgVドメインの特異的結合断片および/もしくはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片を含有する、親和性が改変されたIgSFドメインであり、この場合、IgVおよび/またはIgCドメインはアミノ酸改変(例えば、置換)を含有する。いくつかの態様において、1つまたは複数の、さらなる親和性が改変されたIgSFドメインは、アミノ酸改変(例えば、置換)を含有するIgVドメインを含有する。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなる親和性が改変されたIgSFドメインは、対応する参照IgSFファミリーメンバーのECDまたはECDの一部分に存在するIgSFドメイン、例えば、全長IgVドメインおよび全長IgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはその特異的結合断片を含み、この場合、IgVおよびIgCの一方または両方はアミノ酸改変(例えば、置換)を含有する。いくつかの態様において、バリアントIgSFドメインポリペプチドの特定のドメインまたはそれぞれの特定のドメイン(例えば、さらなる、例えば、第2または第3のIgSFドメイン)は、それぞれのSEQ ID NOに示されるアミノ酸配列よりも数アミノ酸長くてもよく、短くてもよく、例えば、1~10、例えば、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸長くてもよく、短くてもよい。
いくつかの態様において、提供される免疫調節タンパク質は、少なくとも1つのさらなる(例えば、第2のIgSFドメイン、もしくは場合によっては第3のIgSFドメインなども)を含有するか、またはICOSL以外の参照(例えば、未改変)もしくは野生型IgSFドメインのIgSFドメイン(例えば、IgV)と比較して1つもしくは複数のアミノ酸置換を含有するvIgDである第2のIgSFドメインを含有する。
いくつかの態様において、さらなる、または第2のIgSFドメインは、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインにあるIgSFドメイン、例えば、表2に示したIgSFファミリーメンバーにあるIgSFドメインと比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、さらなる、または第2の親和性が改変されたIgSFドメインは、SEQ ID NO:1~27のいずれかに示されるアミノ酸配列に含まれる参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインまたはその特異的結合断片に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を含む。いくつかの態様において、参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインは、IgVドメインまたはIgCドメイン、例えば、IgC1またはIgC2ドメインである。いくつかの態様において、さらなる、または第2のIgSFドメインは、親和性が改変されたIgVドメインまたはIgCドメインである。表3~5は、本明細書において提供されるスタック構築物において使用することができる1つまたは複数の親和性が改変されたIgSFドメインを含有する例示的なポリペプチドを示す。
いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のIgSF)ドメインは、腫瘍抗原に結合するかまたは腫瘍抗原を認識する、別のIgSFファミリーメンバーのIgSFドメイン(例えば、IgV)である。このような態様において、IgSFファミリーメンバーは、腫瘍局在化部分として役立ち、それによって、ICOSLのvIgDを腫瘍微小環境にある免疫細胞に近接させる。いくつかの態様において、さらなるIgSFドメイン(例えば、第2のIgSF)ドメインは、腫瘍細胞上で発現しているB7-H6に結合するかまたはこれを認識する、NKp30のIgSFドメインである。いくつかの態様において、少なくとも1つのさらなる(例えば、第2の)IgSFドメイン、例えば、NKp30は、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換、欠失、または付加)を含有するvIgDである。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変は、参照IgSFドメイン(例えば、NKp30)と比較してB7-H6に対する結合親和性および/または選択性を向上させる、例えば、少なくともまたは少なくとも約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍向上させる。
(非野生型組み合わせでも非野生型配列でも)「スタックされた」免疫調節タンパク質構築物に存在する、このような親和性が改変されていないIgSFドメインの数、または親和性が改変されたIgSFドメインの数は少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つ、いくつかの態様では、正確に2つ、3つ、4つ、または5つのIgSFドメインである(そのため、親和性が改変されたIgSFドメインの数の決定では、あらゆるその非特異的結合分割配列および/または実質的に免疫学的に不活性なその分割配列を軽視する)。
本明細書において提供されるスタックされた免疫調節タンパク質のいくつかの態様において、IgSFドメインの数は少なくとも2であり、親和性が改変されたIgSFドメインの数と親和性が改変されていないIgSFドメインの数はそれぞれ独立して少なくとも0、1、2、3、4、5、または6である。従って、親和性が改変されたIgSFドメインの数および親和性が改変されていないIgSFドメインの数はそれぞれ(親和性が改変されたIgSFドメイン:親和性が改変されていないIgSFドメイン)、正確にまたは少なくとも2:0(親和性改変:野生型)、0:2、2:1、1:2、2:2、2:3、3:2、2:4、4:2、1:1、1:3、3:1、1:4、4:1、1:5、または5:1でもよい。
スタックされた免疫調節タンパク質のいくつかの態様において、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの少なくとも2つは同一のIgSFドメインである。
いくつかの態様において、本明細書において提供されるスタックされた免疫調節タンパク質は、1種類のIgSFメンバーに由来するが非野生型の配列(または、「順列」)をとる少なくとも2個の親和性が改変された、および/または親和性が改変されていないIgSFドメインを含む。非野生型配列または非野生型順列の例示的な一例は、本明細書において提供されるバリアントIgSFドメインの供給源として役立ったIgSFドメイン配列を有する野生型ICOSLにおいて見出されたものと比べて、親和性が改変されたIgSFドメイン配列および/または親和性が改変されていないIgSFドメイン配列の非野生型順序を含む免疫調節タンパク質である。従って、一例では、免疫調節タンパク質は、親和性が改変されていない形態および/または親和性が改変された形態であっても、膜貫通ドメインに対して近位にあるIgVと、膜貫通ドメインに対して遠位にあるIgCを含んでもよい。本明細書において提供される免疫調節タンパク質に、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの非野生型組み合わせと非野生型配列の両方が存在することも、提供される主題(subject matter)の範囲内である。
スタックされた免疫調節タンパク質のいくつかの態様では、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインは、同一でない(すなわち、異なる)IgSFドメインである。同一でない親和性が改変されたIgSFドメインは、特異的結合条件下で、異なる同族結合パートナーに特異的に結合し、改変される参照(例えば、未改変)または野生型IgSFドメインが同じであるかどうかにかかわらず「同一でない」。従って、例えば、免疫調節タンパク質にある少なくとも2つの同一でないIgSFドメインの非野生型組み合わせは、起源が、あるICOSLに由来し、かつそれに特有のものである少なくとも1つのIgSFドメイン配列と、起源が、ICOSLではない別のIgSFファミリーメンバーに由来し、かつそれに特有のものである第2のIgSFドメイン配列の少なくとも1つを含んでもよく、免疫調節タンパク質のIgSFドメインは、親和性が改変されていない形態および/または親和性が改変された形態である。しかしながら、別の態様では、2つの同一ではないIgSFドメインは同じIgSFドメイン配列を起源とするが、2つの同一ではないIgSFドメインが異なる同族結合パートナーに特異的に結合するように、少なくとも1つは親和性が改変されている。
スタックされた免疫調節タンパク質ポリペプチド鎖にある、複数の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインは互いに直接的に共有結合により連結される必要はない。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸残基の介在範囲は、互いに、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインに間接的に共有結合する。連結はN末端残基からC末端残基に及んでもよい。
いくつかの態様において、連結は、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのN末端またはC末端に位置しないアミノ酸残基の側鎖を介して行うことができる。従って、連結は末端もしくは内部のアミノ酸残基またはその組み合わせを介して行うことができる。
いくつかの態様において、ICOSLのvIgDと、別のIgSFファミリーメンバーに由来する1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のまたは第3のバリアントIgSFドメイン)を含む2つ以上のIgSFドメインは共有結合または非共有結合により連結される。いくつかの態様において、2つ以上のIgSFドメインは、例えば、リンカーを介して直接的または間接的に連結される。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸残基の介在範囲は互いにIgSFドメインに間接的に共有結合する。連結はN末端残基からC末端残基に及んでもよい。いくつかの態様において、連結はIgSFドメインのN末端またはC末端に位置しないアミノ酸残基の側鎖を介してなされてもよい。従って、連結は末端アミノ酸残基もしくは内部アミノ酸残基またはその組み合わせを介してなされてもよい。
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は少なくとも2つのIgSFドメインを含有し、それぞれは直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は少なくとも3つの免疫調節タンパク質を含有し、それぞれが直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている。様々な配置を図16Aおよび16Bに示した。
いくつかの態様において、1つまたは複数の「ペプチドリンカー」はICOSLのvIgDと1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメインまたは第3のバリアントIgSFドメイン)を連結する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは長さが1アミノ酸残基以上でもよい。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは少なくとも1つのアミノ酸残基を有するが、長さが20アミノ酸残基以下、19アミノ酸残基以下、18アミノ酸残基以下、17アミノ酸残基以下、16アミノ酸残基以下、15アミノ酸残基以下、14アミノ酸残基以下、13アミノ酸残基以下、12アミノ酸残基以下、11アミノ酸残基以下、10アミノ酸残基以下、9アミノ酸残基以下、8アミノ酸残基以下、7アミノ酸残基以下、6アミノ酸残基以下、5アミノ酸残基以下、4アミノ酸残基以下、3アミノ酸残基以下、2アミノ酸残基以下、または1アミノ酸残基以下である。いくつかの態様において、前記リンカーは可動性リンカーである。いくつかの態様において、前記リンカーは、(一文字アミノ酸コードで):GGGGS(「4GS」;SEQ ID NO:636)または4GSリンカー、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つの4GSリンカーの反復の多量体である。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、SEQ ID NO:229に示される(GGGGS)
2またはSEQ ID NO:228に示される(GGGGS)
3である。いくつかの態様において、前記リンカーはまた一連のアラニン残基を単独で含んでよく、別のペプチドリンカー(例えば、4GSリンカーもしくはその多量体)に加えて含んでもよい。いくつかの態様において、それぞれ一連のアラニン残基の中にあるアラニン残基の数は2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアラニンである。いくつかの態様において、前記リンカーは強固なリンカーである。例えば、前記リンカーはα-ヘリックスリンカーである。いくつかの態様において、前記リンカーは、(一文字アミノ酸コードで):EAAAKまたはEAAAKリンカーの多量体、例えば、2つ、3つ、4つ、もしくは5つのEAAAKリンカーの反復、例えば、SEQ ID NO:629に示される反復(1xEAAAK)、SEQ ID NO:630に示される反復(3xEAAAK)、またはSEQ ID NO:631に示される反復(5xEAAAK)である。いくつかの態様において、前記リンカーは、クローニングによって導入される、および/または制限部位に由来するアミノ酸をさらに含んでもよく、例えば、前記リンカーは、制限部位BAMHIを用いることで導入されるアミノ酸GS(一文字アミノ酸コードで)を含んでもよい。いくつかの態様において、前記リンカー(一文字アミノ酸コードで)はGSGGGGS(SEQ ID NO:635)である。いくつかの例では、前記リンカーは2xGGGGSの後ろに3つのアラニンがあるリンカー
である。
いくつかの態様において、親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインは、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのN末端および/またはC末端に挿入される「野生型ペプチドリンカー」によって連結される。いくつかの態様において、第1のIgSFドメインのN末端に挿入されたリーディング(leading)ペプチドリンカー、ならびに/または第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/もしくは親和性が改変されたIgSFドメインのC末端に挿入された第1のトレーリング(trailing)配列が存在する。いくつかの態様において、第2のIgSFドメインのN末端に挿入された第2のリーディングペプチドリンカー、ならびに/または第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/もしくは親和性が改変されたIgSFドメインのC末端に挿入された第2のトレーリング配列が存在する。第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインと、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインが同じ親タンパク質に由来し、同じ方向に接続されたとき、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインと、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインとの間の野生型ペプチドリンカーは重複しない。例えば、第1のトレーリング野生型ペプチドリンカーと第2のリーディング野生型ペプチドリンカーが同じであるとき、II型免疫調節タンパク質は第1のトレーリング野生型ペプチドリンカーも第2のリーディング野生型ペプチドリンカーも含まない。
いくつかの態様において、II型免疫調節タンパク質は、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのN末端に挿入された第1のリーディング野生型ペプチドリンカーを含み、第1のリーディング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ前にあるドメイン(例えば、シグナルペプチドまたはIgSFドメイン)との間に、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列に由来する少なくとも5つの(例えば、少なくとも約6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、またはそれより多くのいずれか)連続アミノ酸を含む。いくつかの態様において、第1のリーディング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドインと、すぐ前にあるドメイン(例えば、シグナルペプチドまたはIgSFドメイン)との間に、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列全体を含む。
いくつかの態様において、II型免疫調節タンパク質は、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのC末端に挿入された第1のトレーリング野生型ペプチドリンカーをさらに含み、第1のトレーリング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ後ろのドメイン(例えば、IgSFドメインまたは膜貫通ドメイン)との間に、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列に由来する少なくとも5つの(例えば、少なくとも約6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、またはそれより多くのいずれか)連続アミノ酸を含む。いくつかの態様において、第1のトレーリング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ後ろのドメイン(例えば、IgSFドメインまたは膜貫通ドメイン)との間に、第1の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列全体を含む。
いくつかの態様において、II型免疫調節タンパク質は、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのN末端に挿入された第2のリーディング野生型ペプチドリンカーをさらに含み、第2のリーディング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ前にあるドメイン(例えば、シグナルペプチドまたはIgSFドメイン)との間に、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列に由来する少なくとも5つの(例えば、少なくとも約6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、またはそれより多くのいずれか)連続アミノ酸を含む。いくつかの態様において、第2のリーディング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ前にあるドメイン(例えば、シグナルペプチドまたはIgSFドメイン)との間に、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列全体を含む。
いくつかの態様において、II型免疫調節タンパク質は、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインのC末端に挿入された第2のトレーリング野生型ペプチドリンカーをさらに含み、第2のトレーリング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ後ろにあるドメイン(例えば、IgSFドメインまたは膜貫通ドメイン)との間に、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列に由来する少なくとも5つ(例えば、少なくとも約6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、またはそれより多くのいずれか)の連続アミノ酸を含む。いくつかの態様において、第2のトレーリング野生型ペプチドリンカーは、親IgSFドメインと、すぐ後ろのドメイン(例えば、IgSFドメインまたは膜貫通ドメイン)との間に、第2の親和性が改変されていないIgSFドメインおよび/または親和性が改変されたIgSFドメインの元となった野生型タンパク質中の介在配列全体を含む。
CD80 IgSFドメインを含有するII型タンパク質のリーディング配列およびトレーリング配列の例をSEQ ID NO:231およびSEQ ID NO:232に示した。ICOSL IgSFドメインを含有するII型タンパク質のリーディング配列およびトレーリング配列の例をSEQ ID NO:233および234に示した。CD86 IgSFドメインを含有するII型タンパク質のリーディング配列およびトレーリング配列の例をSEQ ID NO:236~238のいずれかに示した。NKp30 IgSFドメインを含有するII型タンパク質の野生型リンカー配列の例をSEQ ID NO:235に示した。
1.一価
一価のバリアントICOSLポリペプチドを含有する免疫調節タンパク質が本明細書において提供される。いくつかの態様において、一価免疫調節タンパク質のバリアントICOSLポリペプチドは、さらなる部分に直接的または間接的に連結される。いくつかの態様において、さらなる部分は、タンパク質、ペプチド、低分子、または核酸である。いくつかの態様において、一価免疫調節タンパク質は融合タンパク質である。
いくつかの態様において、前記部分は半減期延長分子である。このような半減期延長分子の例には、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長鎖非構造化親水性アミノ酸配列(long unstructured hydrophilic sequences of amino acids)(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合低分子、またはその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは、アミノ酸Pro、Ala、およびSerで構成された、立体構造に異常があるポリペプチド配列を含む(例えば、WO2008/155134; SEQ ID NO:904を参照されたい)。場合によっては、このアミノ酸反復は、少なくとも3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、またはそれより多いアミノ酸残基であり、それぞれの反復はAla、Ser、およびPro残基を含む。従って、本明細書において提供される免疫調節タンパク質は、バリアントICOSLポリペプチドがPro/Ala/Ser(PAS)に直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されているPAS化されたタンパク質である。いくつかの態様において、1つまたは複数のさらなるリンカー構造が用いられてもよい。
いくつかの態様において、前記部分はバリアントICOSLポリペプチドの検出または精製を容易にする。場合によっては、免疫調節ポリペプチドは、ICOSLポリペプチドのN末端および/またはC末端に直接的または間接的に連結されたタグまたは融合ドメイン、例えば、アフィニティタグまたは精製タグを含む。様々な適切なポリペプチドタグおよび/または融合ドメインが公知であり、ポリ-ヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ(SEQ ID NO:865)、Mycタグ、および蛍光タンパク質タグ(例えば、SEQ ID NO:858、859、または896に示したEGFP)を含むが、これに限定されない。場合によっては、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは少なくとも6個のヒスチジン残基(SEQ ID NO:864に示される)を含む。場合によっては、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは部分の様々な組み合わせをさらに含む。例えば、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは1つまたは複数のポリヒスチジン-タグおよびFLAGタグをさらに含む。
いくつかの態様において、ICOSLポリペプチドは、一価形態(例えば、SEQ ID NO:472に示される一価形態)のままの改変された免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)に連結されている。
2.二価
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含有する免疫調節タンパク質は多価、例えば、二価である。局面において、免疫調節タンパク質は多量体化ドメインに直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている。いくつかの局面では、多量体化ドメインによって、この分子の半減期が延びる。
2つ以上のバリアントICOSLポリペプチドの相互作用は、これらを、任意の部分、またはそれ自身が相互作用して安定した構造を形成することができる他のポリペプチドに直接的または間接的に連結することで容易にすることができる。例えば、別々のコードされるバリアントICOSLポリペプチド鎖を多量体化によってつなぐことができ、ポリペプチドの多量体化は多量体化ドメインによって媒介される。典型的に、多量体化ドメインによって、第1のバリアントICOSLポリペプチドと第2のバリアントICOSLポリペプチドとの間に安定したタンパク質間相互作用が形成される。ホモまたはヘテロ多量体ポリペプチドは、別々のバリアントICOSLポリペプチドを共発現させることから作製することができる。第1および第2のバリアントICOSLポリペプチドは同じでもよく異なってもよい。
いくつかの態様において、多量体化ドメインは、安定したタンパク質間相互作用を形成することができる任意のものを含む。多量体化ドメインは、免疫グロブリン配列(例えば、Fcドメイン;例えば、国際特許公開番号WO93/10151およびWO2005/063816 US;米国特許出願公開番号2006/0024298;米国特許第5,457,035号を参照されたい);ロイシンジッパー(例えば、核形質転換タンパク質(nuclear transforming protein)fosおよびjunに由来する、またはがん原遺伝子c-mycもしくはGeneral Control of Nitrogen(GCN4)に由来する)(例えば、Busch and Sassone-Corsi (1990) Trends Genetics, 6:36-40; Gentz et al., (1989) Science, 243:1695-1699を参照されたい);疎水性領域;親水性領域;あるいはホモ多量体またはヘテロ多量体のキメラ分子間で分子間ジスルフィド結合を形成する遊離チオールを介して相互作用することができる。さらに、多量体化ドメインは、例えば、米国特許第5,731,168号; 国際特許公開番号WO98/50431およびWO2005/063816; Ridgway et al. (1996) Protein Engineering, 9:617-621に説明されたようなホールを含むアミノ酸配列に相補的な突起を含むアミノ酸配列を含んでもよい。立体相互作用が安定した相互作用を促進するだけでなく、キメラ単量体の混合物からホモ二量体よりも多くヘテロ二量体の形成をさらに促進するように、このような多量体化領域を改変することができる。概して、突起は、第1のポリペプチドの境界面に由来する小さなアミノ酸側鎖をもっと大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と交換することによって構築される。突起と同一の、または類似するサイズの補完的(compensatory)空洞は、任意で、大きなアミノ酸側鎖をもっと小さな側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)と交換することによって第2のポリペプチドの境界面に作り出される。例示的な多量体化ドメインは下記で説明される。
バリアントICOSLポリペプチドはどこにつなげられてもよいが、典型的には、そのN末端またはC末端を介して、多量体化ドメインのN末端またはC末端につなげられてキメラポリペプチドを形成することができる。連結は直接的でもよく、リンカーを介して間接的でもよい。また、キメラポリペプチドは融合タンパク質でもよく、化学的連結によって、例えば、共有結合相互作用または非共有結合相互作用を介して形成されてもよい。例えば、多量体化ドメインを含有するキメラポリペプチドを調製するときには、バリアントICOSLポリペプチドの全てまたは一部をコードする核酸は、直接的もしくは間接的に、または任意でリンカードメインを介して多量体化ドメイン配列をコードする核酸に機能的に連結されてもよい。場合によっては、前記構築物は、バリアントICOSLポリペプチドのC末端が多量体化ドメインのN末端につながれているキメラタンパク質をコードする。場合によっては、構築物は、バリアントICOSLポリペプチドのN末端が多量体化ドメインのN末端またはC末端につながれているキメラタンパク質をコードしてもよい。
ポリペプチド多量体は、多量体化ドメインに直接的または間接的に、同じまたは異なるバリアントICOSLポリペプチドのうちの2つを直接的または間接的に連結することによって作り出された2つのキメラタンパク質を含有する。多量体化ドメインがポリペプチドである、いくつかの例では、バリアントICOSLポリペプチドと多量体化ドメインをコードする遺伝子融合体が適切な発現ベクターに挿入される。結果として生じたキメラタンパク質または融合タンパク質を、組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞において発現させ、集合させて多量体を構築することができる。この場合、多量体化ドメインが相互作用して多価ポリペプチドを形成する。多量体化ドメインとバリアントICOSLポリペプチドはヘテロ二官能性リンカーを用いて化学的に連結することができる。
結果として生じたキメラポリペプチド、例えば、融合タンパク質と、これから形成した多量体は、任意の適切な方法によって、例えば、プロテインAカラムまたはプロテインGカラム上でのアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。異なるポリペプチドをコードする2つの核酸分子が形質転換により細胞に導入された場合、ホモ二量体およびヘテロ二量体が形成する。ホモ二量体形成よりもヘテロ二量体形成に有利になるように発現条件を調節することができる。
免疫グロブリンドメイン
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域に取り付けられたバリアントICOSLポリペプチド(「免疫調節性Fc融合体」、例えば「ICOSL-Fcバリアント融合体」;ICOSL vIgD-Fc融合体とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体はまた、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン、例えば、ICOSLのvIgDに連結される1つまたは複数のさらなるvIgDも含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドまたはさらなるIgSFドメインの取り付けはFcのN末端で行われる。いくつかの態様において、バリアントICOSLまたはさらなるIgSFドメインポリペプチドの取り付けはFcのC末端で行われる。いくつかの態様において、2つ以上のICOSLまたはさらなるIgSFドメインバリアントポリペプチド(同じまたは異なる)はN末端およびC末端に独立して取り付けられる。
いくつかの態様において、FcはマウスまたはヒトのFcである。いくつかの態様において、Fcは哺乳動物またはヒトのIgGl、lgG2、lgG3、またはlgG4Fc領域である。いくつかの態様において、FcはIgG1、例えば、ヒトIgG1に由来する。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:226に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:226に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、Fc領域は、その正常機能の1つまたは複数を変える(例えば、低減する)ように、もう1つの改変を含有する。概して、Fc領域は、免疫グロブリンの主な機能である抗原結合能に加えて、エフェクター機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を担っている。さらに、Fc領域に存在するFcRn配列は、インビボFcRn受容体との結合体化によりインビボ半減期を延ばすことで血清中でIgGレベルを調節する役割を果たしている。いくつかの態様において、このような機能は、提供されるFc融合タンパク質と共に使用するためにFcにおいて低減していてもよく、変化していてもよい。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変が、本明細書において提供されるICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域に導入されてもよく、それによってFc領域バリアントが作製される。いくつかの態様において、Fc領域バリアントはエフェクター機能が低下している。エフェクター機能を変えることができるFc配列に対する変化または変異の例が多数ある。例えば、WO2000/42072、WO2006/019447、WO2012/125850、WO2015/107026、US2016/0017041およびShields et al. J Biol. Chem. 9(2): 6591-6604(2001)は、FcRとの結合が改善された、または減った例示的なFcバリアントについて説明している。このような刊行物の内容は参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
いくつかの態様において、提供されるバリアントICOSL-Fc融合体は、低下したエフェクター機能を示し、このためにICOSL-Fcバリアント融合体のインビボでの半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(例えば、CDCおよびADCC)が不要または有害である用途に望ましい候補となるFc領域(不活性Fcまたはエフェクターの無いFcとも呼ぶ)を含む。インビトロおよび/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、ICOSL-Fcバリアント融合体がFcγR結合を欠く(従って、ADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確かなものにすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞はFcγRIIIしか発現しないのに対して、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991)の464頁の表3にまとめられている。関心対象の分子のADCC活性を評価するインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい)およびHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照されたい)に記載されている。または、非放射性アッセイ方法が用いられることがある(例えば、フローサイトメトリー用のACTI(商標)非放射細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, Calif.;およびCytoTox96(商標)非放射細胞毒性アッセイ(Promega, Madison, Wis.)を参照されたい)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。または、もしくはさらに、関心対象の分子のADCC活性はインビボで、例えば、動物モデルにおいて、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示される動物モデルにおいて評価されることがある。C1q結合アッセイはまた、ICOSL-Fcバリアント融合体がC1qに結合できず、従って、CDC活性を欠くことを確認するために行われることがある。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402にあるC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するためにCDCアッセイが行われることがある(例えば、Gazzano-Santoro et al, J. Immunol. Methods 202: 163 (1996); Cragg, M. S. et al, Blood 101: 1045-1052 (2003);およびCragg, M. S. and M. J. Glennie, Blood 103:2738-2743(2004)を参照されたい)。FcRn結合およびインビボクリアランス/半減期も、当技術分野において公知の方法を用いて求めることができる(例えば、Petkova, S. B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769(2006)を参照されたい)。
低下したエフェクター機能を有するICOSL-Fcバリアント融合体は、EUナンバリングによるFc領域の238、265、269、270、297、327、および329番目の残基のうちの1つまたは複数の置換を有するものを含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、265および297番目の残基とアラニンとの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、EUナンバリングによるアミノ酸位置265位、269位、270位、297位、および327位のうちの2つ以上において置換を有するFc変異体を含む。
いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、ネイティブなFc領域と比較して、(EUナンバリングにより示される)位置234位、235位、236位、237位、238位、239位、270位、297位、298位、325位、および329位にあるアミノ酸の1つまたは複数が、異なるアミノ酸で置換されているFc領域を有する。Fc領域のこのような変化は前記の変化に限定されず、例えば、変化、例えば、Current Opinion in Biotechnology (2009) 20 (6), 685-691に記載の脱グリコシルされた鎖(N297AおよびN297Q)、IgG1-N297G、IgG1-L234A/L235A、IgG1-L234A/L235E/G237A、IgG1-A325A/A330S/P331S、IgG1-C226S/C229S、IgG1-C226S/C229S/E233P/L234V/L235A、IgG1-E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、IgG1-L234F/L235E/P331S、IgG1-S267E/L328F、IgG2-V234A/G237A、IgG2-H268Q/V309L/A330S/A331S、IgG4-L235A/G237A/E318A、およびIgG4-L236E;WO2008/092117に記載の変化、例えば、G236R/L328R、L235G/G236R、N325A/L328R、およびN325LL328R;233位、234位、235位、および237位におけるアミノ酸挿入(EUナンバリングにより示される);ならびにWO2000/042072記載の部位における変化を含む。
FcRとの結合が改善された、または減った、ある特定のFcバリアントが説明されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、WO2006/019447、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604(2001)を参照されたい)。
いくつかの態様において、半減期を延ばす、および/または胎児性Fc受容体(FcRn)との結合を改善する1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。半減期が延び、かつFcRnとの結合が改善した抗体はUS2005/0014934A1(Hinton et al.)またはWO2015107026に記載されている。これらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つまたは複数の置換があるFc領域を含む。このようなFcバリアントには、EUナンバリングによるFc領域の238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434番目の残基のうちの1つまたは複数における置換、例えば、Fc領域の434番目の残基の置換(米国特許第7,371,826号)を有するFcバリアントが含まれる。
いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、EUナンバリングによる1つまたは複数のアミノ酸置換E356DおよびM358Lを含む。いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体のFc領域は、EUナンバリングによる1つまたは複数のアミノ酸置換C220S、C226S、および/またはC229Sを含む。いくつかの態様において、ICOSLバリアント融合体のFc領域は1つまたは複数のアミノ酸置換R292CおよびV302Cを含む。Fc領域バリアントの他の例については、Duncan & Winter, Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照されたい。
いくつかの態様において、野生型IgG1 Fcは、EUナンバリングによる356位および358位に残基Glu(E)およびMet(M)を含有するアロタイプ(例えば、fアロタイプ)を有する、SEQ ID NO:226に示されるFcでもよい。他の態様において、野生型IgG1 Fcは、例えば、SEQ ID NO:927に示されるように、ヒトG1m1アロタイプのアミノ酸、例えば、356位および358位にAsp(D)およびLeu(L)を含有する残基を含有する。従って、場合によっては、本明細書において提供されるFcは、アロタイプG1m1(例えば、αアロタイプ)の残基を再構成するようにアミノ酸置換E356DおよびM358Lを含有してもよい。いくつかの局面において、野生型Fcは、エフェクター活性を低減するように、またはFcがFcエフェクター機能に対して不活性になるように1つまたは複数のアミノ酸置換によって改変される。例示的なエフェクターの無い、または不活性な変異は、本明細書に記載の変異を含む。本明細書において提供される構築物のFcに含めることができるエフェクターの無い変異の中には、EUナンバリングによるL234A、L235E、およびG237Aがある。いくつかの態様において、野生型Fcは、1つまたは複数のシステイン残基の除去によって、例えば、EUナンバリングによる220位にあるシステイン残基とセリン残基を交換すること(C220S)によって、さらに改変される。エフェクター機能が低下した例示的な不活性なFc領域を、SEQ ID NO:633または477およびSEQ ID NO:474または637に示した。これらは、それぞれ、SEQ ID NO:226またはSEQ ID NO:927に示されるアロタイプに基づいている。いくつかの態様において、本明細書において提供される構築物において用いられるFc領域はC末端リジン残基をさらに欠いてもよい。
いくつかの態様において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al., J. Immunol. 164: 4178-4184(2000)に記載のように、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を減らす変化がFc領域において加えられる。
いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体であって、バリアントFc領域がヒトIgG1などのIgG1に由来する、ICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、SEQ ID NO:226に示されるアミノ酸配列に由来する。いくつかの態様において、Fcは、低下したエフェクター機能を示す。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:226のナンバリングによってN82G(EUナンバリングによるN297Gに対応する)である少なくとも1つのアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:226のナンバリングによりR77CまたはV87C(EUナンバリングによるR292CまたはV302Cに対応する)である少なくとも1つのアミノ酸置換をさらに含有する。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、SEQ ID NO:226のナンバリングによりC5Sアミノ酸改変(EUナンバリングによるC220Sに対応する)をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、バリアントFc領域は、以下のアミノ酸改変:EUナンバリングによるV297Gと、以下のアミノ酸改変C220S、R292C、またはV302Cの1つまたは複数(SEQ ID NO:226を基準にN82Gと、以下のアミノ酸改変C5S、R77C、またはV87Cの1つまたは複数に対応する)を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:476に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、アミノ酸改変C220S、L234A、L235E、またはG237Aの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:477に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFc領域は、アミノ酸改変C220S、E233P、L234V、L235A、G236del、またはS267Kの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:478に示される配列を含む。いくつかの態様において、バリアントFcはアミノ酸改変C220S、L234A、L235E、G237A、E356D、またはM358Lの1つまたは複数を含み、例えば、Fc領域は、SEQ ID NO:474に示される配列を含む。
いくつかの態様において、Fc領域は、SEQ ID NO:56に示される参照(例えば、未改変)または野生型Fcの232位に対応するC末端リジンを欠く(EUナンバリングによるK447delに対応する)。いくつかの態様において、C末端リジンは生合成中に異なって除去されることがあるので、このタンパク質を細胞において発現されたときにC末端リジン残基が除去されると、もっと均一な産物が得られる。いくつかの局面において、このようなFc領域は、1つまたは複数のさらなる改変、例えば、アミノ酸置換、例えば、説明された任意のアミノ酸置換をさらに含んでもよい。このようなFc領域の例をSEQ ID NO:632、633、634、または637に示した。
いくつかの態様において、バリアントFc領域を含むICOSL-Fcバリアント融合体であって、バリアントFcが、SEQ ID NO:474、476、477、478、507、632、633、634、もしくは637のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:474、476、477、478、507、632、633、634、もしくは637のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、ICOSL-Fcバリアント融合体が提供される。いくつかの態様において、Fcは、低下したエフェクター機能を示す。
いくつかの態様において、FcはIgG2、例えば、ヒトIgG2に由来する。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:227に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:227に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:505に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:505に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、IgG4 Fcは、ヒトIgG4のCH3ドメインがヒトIgG1のCH3ドメインで置換されており、かつ凝集体形成の阻害を示す安定化Fc、ヒトIgG4のCH3およびCH2ドメインがそれぞれヒトIgG1のCH3およびCH2ドメインで置換されている抗体、またはKabatらによって提唱されているEUインデックスで示されるヒトIgG4の409位のアルギニンがリジンで置換されており、かつ凝集体形成の阻害を示す抗体である(例えば、米国特許第8,911,726号を参照されたい)。いくつかの態様において、Fcは、Fabアーム交換によって治療用抗体と内因性IgG4との間の組換えを防止することが示されている、S228P変異を含有するIgG4である(例えば、Labrijin et al.(2009) Nat. Biotechnol., 27(8)767-71を参照されたい)。いくつかの態様において、Fcは、SEQ ID NO:506に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:506に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはFc配列に直接、連結される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、例えば、リンカーを介してFc配列に間接的に連結される。いくつかの態様において、1つまたは複数の「ペプチドリンカー」はバリアントICOSLポリペプチドとFcドメインを連結する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは長さが1アミノ酸残基以上でもよい。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは少なくとも1つのアミノ酸残基を有し、長さが20アミノ酸残基以下、19アミノ酸残基以下、18アミノ酸残基以下、17アミノ酸残基以下、16アミノ酸残基以下、15アミノ酸残基以下、14アミノ酸残基以下、13アミノ酸残基以下、12アミノ酸残基以下、11アミノ酸残基以下、10アミノ酸残基以下、9アミノ酸残基以下、8アミノ酸残基以下、7アミノ酸残基以下、6アミノ酸残基以下、5アミノ酸残基以下、4アミノ酸残基以下、3アミノ酸残基以下、2アミノ酸残基以下、または1アミノ酸残基以下である。いくつかの態様において、前記リンカーは3つのアラニン(AAA)である。いくつかの態様において、リンカーは(一文字アミノ酸コードで):GGGGS(「4GS」;SEQ ID NO:636)または4GSリンカーの多量体、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの4GSリンカーの反復、例えば、SEQ ID NO:229に示される反復(2xGGGGS)もしくはSEQ ID NO:228に示される反復(3xGGGGS)である。いくつかの態様において、前記リンカーは強固なリンカーである。例えば、前記リンカーはα-ヘリックスリンカーである。いくつかの態様において、前記リンカーは、(一文字アミノ酸コードで):EAAAKまたはEAAAKリンカーの多量体、例えば、2つ、3つ、4つ、もしくは5つの4GSリンカーの反復、例えば、SEQ ID NO:629に示される反復(EAAAK)またはSEQ ID NO:630に示される反復(3xEAAAK)またはSEQ ID NO:631に示される反復(5xEAAAK)である。いくつかの態様において、リンカーは1つまたは複数のEAAAK単位から開始し、A、AA、AAA、AAAA、EAAAA、およびEAAAK配列の付加によって延長することができる。いくつかの態様において、前記リンカーは、クローニングによって導入されたアミノ酸および/または制限部位に由来するアミノ酸をさらに含む場合があり、例えば、前記リンカーは、制限部位BAMHIを用いることで導入されるアミノ酸GS(一文字アミノ酸コードで)を含む場合がある。いくつかの態様において、前記リンカー(一文字アミノ酸コードで)はGSGGGGS(SEQ ID NO:635)である。いくつかの例では、前記リンカーは2xGGGGSの後ろに3つのアラニンがあるリンカー

である。
いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質は、Fcドメインに連結された2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドによって形成された二量体である。いくつかの特定の態様では、ホモ二量体となるように、ICOSL-Fcバリアント融合ポリペプチドの同一のまたは実質的に同一の種(3つまたはそれより少ないN末端またはC末端アミノ酸配列の違いを許容する)が二量体化される。いくつかの態様において、前記二量体は、2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドが同一であるホモ二量体である。または、ヘテロ二量体となるようにICOSL-Fcバリアント融合ポリペプチドの異なる種を二量体化することができる。従って、いくつかの態様では、前記二量体は、2つのバリアントICOSL Fcポリペプチドが異なるヘテロ二量体である。
いくつかの態様において、Fc領域に直接的または間接的に連結された、セクションIIに記載のように参照ICOSLにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドを含有するバリアントICOSL-Fc融合タンパク質が提供される。場合によっては、バリアントICOSLポリペプチドのC末端はFc領域のN末端につながれる。いくつかの態様において、ICOSL-Fc融合体のバリアントICOSLは、SEQ ID NO:545に示される参照IgVドメインのアミノ酸配列において1つまたは複数のアミノ酸改変を含有する。特定の場合では、このような免疫調節タンパク質は、IgVドメイン、例えば、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれか1つに示されるIgVドメイン、またはSEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するIgVドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、CD28またはICOSに対する結合親和性の向上を示すIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)、例えば、本明細書に記載の任意のアミノ酸改変を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして52位、57位、または100位に対応する参照ICOSLまたは特異的結合断片において1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を含有するIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、

から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。このようなバリアント分子の例は、本明細書において説明される任意のものを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52H/N57Y/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:565に示されるIgVドメインであるか、またはそれを含む)。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52Dを含有する(例えば、SEQ ID NO:548に示されるIgVドメインであるか、またはそれを含む)。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52H/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:567に示されるIgVドメインであるか、またはそれを含む)。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52L/N57H/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:761に示されるIgVドメインであるか、またはそれを含む)。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52H/N57Y/Q100Pを含有する(例えば、SEQ ID NO:570に示されるIgVドメインであるか、またはそれを含む)。
このようなバリアントICOSL-Fc融合タンパク質の特定の態様では、Fcポリペプチドは、低下したエフェクター機能、例えば、説明したような任意のエフェクター機能を示すヒトIgG1 Fc領域のバリアントである。いくつかの態様において、Fc領域は、アミノ酸改変N297G、E233P/L234V/L235A/G236del/S267K、またはL234A/L235E/G237A(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)を含有するヒトIgG1のものである。いくつかの態様において、バリアントIgG1 Fc領域はアミノ酸置換C220S(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)をさらに含む。いくつかの態様において、Fc領域はK447del(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)を含有する。いくつかの局面において、Fc領域は、SEQ ID NO:474、476、477、478、633、もしくは637のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有するか、またはSEQ ID NO:474、476、477、478、633、もしくは637のいずれかに対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示し、それぞれのSEQ ID NOのアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を含有する。バリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)ポリペプチドとFcとの間の連結は、ペプチドリンカー、例えば、説明したようなペプチドリンカーでもよい。いくつかの態様において、前記リンカーはGGGGS(「4GS」;SEQ ID NO:636)、SEQ ID NO:229(2xGGGGS)、またはSEQ ID NO:228(3xGGGGS)である。特定の例では、成分の順序がバリアントICOSL-リンカー-Fcになるように、バリアントICOSLポリペプチドのC末端はFc領域のN末端につながれる。
いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:636に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:637に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:636に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:474に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:636に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:477に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:636に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:633に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:229に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:637に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:229に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:474に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:229に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:477に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:229に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:633に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:228に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:637に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:228に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:474に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:228に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:477に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、SEQ ID NO:565に示されるバリアントICOSL IgVドメイン、SEQ ID NO:228に示されるリンカー、およびSEQ ID NO:633に示されるFcポリペプチドを含有するバリアントICOSL-リンカー-Fcが提供される。
いくつかの態様において、SEQ ID NO:928に示されるアミノ酸配列を有するか、またはSEQ ID NO:928に対して少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を示すアミノ酸配列を有する、バリアントICOSL IgSF Fc融合タンパク質が提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSL IgSF Fc融合タンパク質は、CD28およびICOSに結合し、例えば、参照(野生型)ICOSL-Fc融合タンパク質と比較して向上した結合親和性でCD28およびICOSに結合する。いくつかの態様において、バリアントICOSL IgSF Fc融合体は、野生型ヒトIgG1のFcとの融合体と比較して低下したFcエフェクター機能を示す。
いくつかの態様において、細胞において発現されると、いくつかの局面では二量体マルチドメインスタック免疫調節タンパク質を生じることができるFc融合体を形成するように、ICOSLのvIgDと、別のIgSFファミリーメンバーに由来する1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)を含む2つ以上のIgSFドメインがFcに連結されているか、または取り付けられているマルチドメインスタック免疫調節タンパク質が提供される。従って、二量体マルチドメイン免疫調節タンパク質も提供される。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドと、1つまたは複数のさらなるIgSFドメインは独立してFc領域のN末端またはC末端に直接的または間接的に連結される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドと、1つまたは複数のさらなるIgSFドメインの少なくとも1つは直接的または間接的に連結され、バリアントICOSLのうちの1つ、またはおよび1つもしくは複数のさらなるIgSFドメインのうちの1つはまたFc領域のN末端またはC末端にも直接的または間接的に連結される。いくつかの態様において、Fc領域のN末端またはC末端はバリアントICOSLポリペプチドまたは1つもしくは複数のさらなるIgSFドメインに連結され、Fc領域の他方のN末端またはC末端は他方のICOSLバリアントまたは1つもしくは複数のさらなるIgSFドメインのうちの別のものに連結される。いくつかの態様において、Fcとの連結はペプチドリンカー、例えば、ペプチドリンカー、例えば、前記のペプチドリンカーを介した連結である。いくつかの態様において、バリアントICOSLと第2のIgSFドメインとの連結はペプチドリンカー、例えば、ペプチドリンカー、例えば、前記のペプチドリンカーを介したものである。いくつかの態様において、バリアントICOSLと1つまたは複数のさらなるIgSFドメインとの間の連結はペプチドリンカー、例えば、ペプチドリンカー、例えば、前記のペプチドリンカーを介した連結である。いくつかの態様において、ICOSLのvIgD、1つまたは複数のさらなるIgSFドメイン、およびFcドメインは、図16Aおよび図16Bに図示したように非常に多くの配置のどれであっても一緒に連結することができる。いくつかの態様において、ICOSL-Fcバリアント融合体は、SEQ ID NO:59または225に示されるアミノ酸配列に含まれるようなシグナルペプチド、例えば、例示的なシグナルペプチドをさらに含有してもよい。例示的な配置を実施例において説明する。
いくつかの態様において、スタックされた免疫調節タンパク質は、2つの免疫調節性Fc融合ポリペプチドによって形成された二量体である。任意のスタックされた免疫調節タンパク質をコードする核酸分子も提供される。いくつかの態様において、二量体マルチドメインスタック免疫調節タンパク質は、スタック免疫調節性Fc領域ポリペプチド(例えば、下記でさらに説明されるもの)を発現させることによって、場合によっては共発現させることによって細胞内で産生することができる。
いくつかの態様において、二量体マルチドメインスタック免疫調節タンパク質は、それぞれのFcサブユニットについて二価であるか、それぞれのサブユニットについて一価であるか、一方のサブユニットについては二価であり、他方については四価である。
いくつかの態様において、二量体マルチドメインスタック免疫調節タンパク質はホモ二量体マルチドメインスタックFcタンパク質である。いくつかの態様において、二量体マルチドメインスタック免疫調節タンパク質は第1のスタック免疫調節性Fc融合ポリペプチドと第2のスタック免疫調節性Fc融合ポリペプチドを含み、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドは同じである。いくつかの態様において、前記ポリペプチドのFc部分は前記の任意のFcでよい。
いくつかの態様において、マルチドメインスタック分子は、バリアントICOSLおよび第2の融合IgSFドメインを含有する第1のFc融合ポリペプチドと、バリアントICOSLおよび第2のIgSFドメインを含有する第2のFcポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、マルチドメインスタック分子は、バリアントICOSLおよび第2のIgSFドメイン、ならびに第3のIgSFドメインを含有する第1のFc融合ポリペプチドと、バリアントICOSL、第2のIgSFドメイン、ならびに第3のIgSFドメインを含有する第2のFc融合ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、第1の融合ポリペプチドおよび/または第2の融合ポリペプチドのFc部分は上記の任意のFcでよい。いくつかの態様において、第1の融合ポリペプチドおよび第2の融合ポリペプチドのFc部分またはFc領域は同じである。
いくつかの局面において、任意のバリアントICOSLポリペプチドと、NKp30、例えば、野生型もしくは未改変のNKp30の1つもしくは複数のIgFドメイン、例えば、SEQ ID NO:929に示されるIgVドメイン、またはSEQ ID NO:215に示されるECDもしくはその結合部分、またはその結合部分を含有するICOSL-NKp30マルチドメインスタックである免疫調節タンパク質が提供される。いくつかの態様において、任意のバリアントICOSLポリペプチドと、SEQ ID NO:215または929に示した、野生型または未改変の配列において1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するバリアントNKp30の1つまたは複数のIgSFドメインを含有する免疫調節タンパク質が提供される。いくつかの態様において、1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、置換)は、L30V、A60V、S64P、S86Gの1つまたは複数、例えば、このようなアミノ酸改変の1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの局面において、マルチドメインスタックポリペプチドのバリアントNKp30は、バリアントIgVドメイン、例えば、SEQ ID NO:504、930、931、932、もしくは933のいずれかに示したバリアントIgVドメイン、またはSEQ ID NO:504、930、931、932、もしくは933のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するIgVドメインであるか、またはそれを含む。いくつかの局面において、マルチドメインスタックポリペプチドのバリアントNKp30は、バリアントECDドメイン、例えば、SEQ ID NO:215、216、217、218、もしくは219のいずれかに示したバリアントECD、またはSEQ ID NO:215、216、217、218、もしくは219のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するECDドメインであるか、またはそれを含む。
ICOSL-NKp30マルチドメインスタックのこのような態様のいずれかにおいて、バリアントICOSLポリペプチドは、バリアントIgSFドメイン(例えば、IgVまたはECD)(例えば、表1に示したアミノ酸改変のうちのいずれかを含むもの)を含有する、セクションIIに記載の任意のものを含んでもよい。場合によっては、このような免疫調節タンパク質は、ECDドメイン、例えば、SEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685、905、908のいずれか1つに示したECDドメイン、またはSEQ ID NO:109~142、239、280~325、364~381、387~424、427~433、435~470、638~685、905、908のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するECDドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチドを含有する。特定の場合において、このような免疫調節タンパク質は、IgVドメイン、例えば、SEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれか1つに示されるIgVドメイン、またはSEQ ID NO:197~199、201~208、210、212、240、326~340、382~386、425~426、434、546~599、686~857、906~907、909~910のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を有し、それぞれのSEQ ID NOの1つまたは複数のアミノ酸改変を含有するIgVドメインを含有するバリアントICOSLポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、CD28またはICOSに対する結合親和性の向上を示すIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)、例えば、本明細書に記載の任意のIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、参照ICOSLまたは特異的結合断片において、SEQ ID NO:32のナンバリングを基準にして52位、57位、または100位に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を含有するIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)を有する。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、

から選択される1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば置換)を有する。このようなバリアント分子の例は、本明細書において説明された任意のものを含む。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドはアミノ酸改変N52Dを含有する(例えば、SEQ ID NO:548に示されるIgVドメインであるか、もしくはそれを含む)、N52H/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:567に示されるIgVドメインであるか、もしくはそれを含む)、N52H/N57Y/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:565に示されるIgVドメインであるか、もしくはそれを含む)、またはN52L/N57H/Q100Rを含有する(例えば、SEQ ID NO:761に示されるIgVドメインであるか、もしくはそれを含む)。
いくつかの局面において、提供されるマルチドメインスタック免疫調節タンパク質、例えば、ICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節タンパク質はFcポリペプチドと融合される。特定の態様において、Fcポリペプチドは、低下したエフェクター機能、例えば、説明された任意のものを示すヒトIgG1 Fc領域のバリアントである。いくつかの態様において、Fc領域は、アミノ酸改変
(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)を含有するヒトIgG1のものである。いくつかの態様において、バリアントIgG1 Fc領域はアミノ酸置換C220S(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)をさらに含む。いくつかの態様において、Fc領域はK447del(当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている)を含有する。いくつかの局面において、Fc領域は、SEQ ID NO:474、476、477、478、633、もしくは637のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有するか、またはSEQ ID NO:474、476、477、478、633、もしくは637のいずれかに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示し、それぞれのSEQ ID NOのアミノ酸置換を含有する、アミノ酸配列を含有する。
このような配置の例を図16A~16Bに示し、本明細書において説明する。いくつかの態様において、任意の提供されるICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節ポリペプチドは、以下の構造:バリアントICOSL IgSF(例えば、IgV、例えば、SEQ ID NO:548、565、567、または761に示したIgV)-リンカー1-バリアントNKp30 IgSF(例えば、IgV、例えば、SEQ ID NO:504に示されるIgV)-リンカー2-Fcを有するポリペプチドを2コピー含有してもよい。いくつかの態様において、任意の提供されるICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節ポリペプチドは、以下の構造:バリアントICOSL IgSF(例えば、IgV、例えば、SEQ ID NO:548、565、567、または761に示したIgV)-リンカー1-バリアントNKp30 IgSF(例えば、IgV、例えば、SEQ ID NO:504に示されるIgV)-リンカー1-バリアントNKp30 IgSF(例えば、IgV、例えば、SEQ ID NO:504に示されるIgV)-リンカー2-Fcを有するポリペプチドを2コピー含有してもよい。いくつかの態様において、リンカー1およびリンカー2は、ペプチドリンカー、例えば、説明された任意のペプチドリンカーである。いくつかの態様において、リンカー1およびリンカー2は同じである。いくつかの態様において、リンカー1およびリンカー2は異なる。いくつかの態様において、リンカー1は3xGGGGS(SEQ ID NO:228)である。いくつかの態様において、リンカー2はGSGGGS(SEQ ID NO:635)である。
例示的なICOSL-NKp30マルチドメインスタックは、SEQ ID NO:912、914、916、918、920、922、924、もしくは926のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するか、またはSEQ ID NO:912、914、916、918、920、922、924、もしくは926のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を示すアミノ酸配列を有する。
いくつかの局面において、任意の提供されるICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節タンパク質はICOSおよび/またはCD28に結合し、B7-H6に結合する。いくつかの態様において、提供されるICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節タンパク質は、ICOSおよび/またはCD28を発現する免疫細胞(例えば、T細胞)に隣接して腫瘍が局在するのを可能にする結合分子を提供する。いくつかの態様において、このようなICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節タンパク質は、腫瘍微小環境においてT細胞上のICOSおよび/またはCD28補助刺激受容体に結合することで免疫応答を増強するのに使用することができる。場合によっては、このようなICOSL-NKp30マルチドメインスタック免疫調節タンパク質またはその薬学的組成物は腫瘍またはがんを処置するのに使用することができる。
いくつかの局面において、マルチドメインスタック分子は、2つの異なるFc融合ポリペプチド、例えば、第1および第2のFcポリペプチドを含むヘテロ二量体であり、少なくとも1つは、少なくとも1つのバリアントICOSLポリペプチドを含有するFc融合ポリペプチドである、および/または少なくとも1つは、第2のIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)を含有するFcポリペプチドである。いくつかの態様において、第1のFc融合ポリペプチドまたは第2のFc融合ポリペプチドは第3のIgSFドメイン(例えば、第3のバリアントIgSFドメイン)をさらに含有する。いくつかの態様において、マルチドメイン(mult-domain)スタック分子は、バリアントICOSLを含有する第1のFc融合ポリペプチドと、第2のIgSFドメインを含有する第2のFc融合ポリペプチドを含有し、場合によっては、第1のFc融合ポリペプチドまたは第2のFc融合ポリペプチドは第3のIgSFドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、マルチドメインスタック分子は、バリアントICOSL、第2のIgSFドメイン、場合によっては第3のIgSFドメインを含有する第1のFc融合ポリペプチドと、バリアントICOSLポリペプチドにも、さらなるIgSFドメインにも連結されていない第2のFc融合ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、第1の融合ポリペプチドおよび第2の融合ポリペプチドのFc部分またはFc領域は同じである。いくつかの態様において、第1の融合ポリペプチドおよび第2の融合ポリペプチドのFc部分またはFc領域は異なる。いくつかの態様において、マルチドメインスタック分子は、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多いバリアントICOSLポリペプチドおよび/または1つ、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多いさらなるIgSFドメインを含有する第1の融合Fcポリペプチドを含有し、第1のスタックFc融合ポリペプチドにあるIgSFドメインの総数は2つ、3つ、4つ、5つ、6つより多いか、またはそれより多い。このような態様の一例では、第2のスタックFc融合ポリペプチドは、1、2、3、4、もしくはそれより多いバリアントICOSLポリペプチドおよび/または1、2、3、4、もしくはそれより多い第2のIgSFドメインを含有し、第2のスタックFc融合ポリペプチドにあるIgSFドメインの総数は2つ、3つ、4つ、5つ、6つより多いか、またはそれより多い。このような態様の別の例では、第2のFc融合ポリペプチドはバリアントICOSLポリペプチドにも、さらなるIgSFドメインにも連結されていない。
いくつかの局面において、ヘテロ二量体スタック分子は第1および第2のスタック免疫調節性Fc融合ポリペプチドを含有し、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは異なる。いくつかの態様において、ヘテロ二量体スタック分子は、Fc領域ならびに第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび/または第2のIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)を含有する第1のFcポリペプチド融合体と、Fc領域ならびに他方の第1のバリアントICOSLポリペプチドまたは第2のIgSFドメインを含有する第2のFcポリペプチド融合体を含有する。いくつかの態様において、ヘテロ二量体スタック分子は、Fc領域ならびに第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび/または第2のIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)を含有する第1のFcポリペプチド融合体と、第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび第2のIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)の両方を含有するが、第1のFc領域とも異なる方向または配置をとる第2のFcポリペプチド融合体を含有する。いくつかの態様において、第1のFc融合ポリペプチドおよび/または第2のFc融合ポリペプチドはまた第3のIgSFドメイン(例えば、第3のバリアントIgSFドメイン)も含有する。
いくつかの局面において、第1および第2のスタックされた免疫調節性Fc融合ポリペプチドの一方または両方のFcドメインは、Fc分子の境界面がヘテロ二量体化を容易および/または促進するように改変されるような改変(例えば、置換)を含む。いくつかの態様において、改変は、第1のFc含有ポリペプチドおよび第2のFc含有ポリペプチドの複合体化を促進するように突起が空洞の中に配置できるように、突起(ノブ)を第1のFcポリペプチドに導入し、空洞(ホール)を第2のFcポリペプチドに導入する工程を含む。ポリペプチドに突起または空洞を作り出すために交換および/または改変の標的となるアミノ酸は、典型的には、第2のポリペプチドの境界面にある1つまたは複数のアミノ酸と相互作用するか、または接触する境界アミノ酸である。
いくつかの態様において、Fc配列が前記配列のN末端部分である構築物の場合、Fc配列の前にアミノ酸配列が付加される。場合によっては、Fc配列が前記配列のN末端部分である構築物の場合、Fc配列の直前にアミノ酸HMSSVSAQ(SEQ ID NO:475)の配列が付加される。いくつかの態様において、ヘテロ二量体スタック分子は、Fc領域(ノブ)ならびに第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび/または第2のIgSFドメイン(例えば、第2のバリアントIgSFドメイン)を含有する第1のFcポリペプチド融合体と、Fc領域(ホール)、ならびに第1のFcポリペプチド融合体と第2のFcポリペプチド融合体の両方のFc領域の直前に付加されるスタファー(stuffer)配列HMSSVSAQ(SEQ ID NO:475)を含有する第2のFcポリペプチド融合体を含有する。
いくつかの態様において、突起(ホール)アミノ酸を含有するように改変された第1のポリペプチドは、ネイティブな、またはオリジナルのアミノ酸と、第1のポリペプチドの境界面から突き出ており、従って、第2のポリペプチドの隣接する境界面にある補完的空洞(ホール)に配置可能な少なくとも1つの側鎖を有するアミノ酸との交換を含む。ほとんどの場合、交換アミノ酸は、オリジナルのアミノ酸残基よりも大きな側鎖容積を有するアミノ酸である。当業者は、突起を作り出すのに理想的な交換アミノ酸であるアミノ酸を特定するためにアミノ酸残基の特性を確かめる、および/または評価するやり方を知っている。いくつかの態様において、突起を形成するための交換残基は天然アミノ酸残基であり、例えば、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、またはトリプトファン(W)を含む。いくつかの例では、交換のために特定されたオリジナルの残基は、小さな側鎖を有するアミノ酸残基、例えば、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、スレオニン、またはバリンである。
いくつかの態様において、空洞(ホール)を含有するように改変された第2のポリペプチドは、ネイティブな、またはオリジナルのアミノ酸と、第2のポリペプチドの境界面から凹んでおり、従って、第1のポリペプチドの境界面からの対応する突起を収容することができる少なくとも1つの側鎖を有するアミノ酸との交換を含むものである。ほとんどの場合、交換アミノ酸は、オリジナルのアミノ酸残基よりも小さな側鎖容積を有するアミノ酸である。当業者は、空洞を形成するのに理想的な交換残基であるアミノ酸を特定するために、アミノ酸残基の特性を確かめる、および/または評価するやり方を知っている。概して、空洞を形成するための交換残基は天然アミノ酸であり、例えば、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、およびバリン(V)を含む。いくつかの例では、交換のために特定されたオリジナルのアミノ酸は、大きな側鎖を有するアミノ酸、例えば、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファン(typtophan)である。
ヒトIgG1のCH3境界面は、例えば、各表面から1090Å2の所に埋もれている4本のアンチパラレルβ鎖にある各ドメイン上の16個の残基が関与する(例えば、Deisenhofer et al. (1981) Biochemistry, 20:2361-2370; Miller et al., (1990) J Mol. Biol., 216, 965-973; Ridgway et al., (1996) Prot. Engin., 9: 617-621;米国特許第5,731,168号を参照されたい)。突起または空洞を作り出すためのCH3ドメイン改変は、例えば、米国特許第5,731,168号; 国際特許出願 WO98/50431およびWO2005/063816;およびRidgway et al., (1996) Prot. Engin., 9: 617-621に記載されている。いくつかの例では、突起または空洞を作り出すためのCH3ドメイン改変は、典型的には、2つの中心アンチパラレルβ鎖に位置する残基を標的とする。この狙いは、作り出された突起が、パートナーCH3ドメインにある補完的空洞に収容されるのではなく、周囲の溶媒の中に突き出ることで収容される可能性があるというリスクを最小限にすることである。
いくつかの局面において、ヘテロ二量体分子は「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異を含有し、「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S、L368A、Y407V変異を含有する。場合によっては、CH3ドメイン間に、さらなる鎖間ジスルフィド架橋も、例えば、Y349C変異を「ノブ」または「ホール」鎖のCH3ドメインに導入することによって、E356C変異またはS354C変異を他方の鎖のCH3ドメインに導入することによって使用することができる(Merchant, A. M., et al., Nature Biotech. 16 (1998) 677-681)。いくつかの態様において、ヘテロ二量体分子は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C、T366W変異を、2つのCH3ドメインの他方にY349C、T366S、L368A、Y407V変異を含有する。いくつかの態様において、ヘテロ二量体分子は、2つのCH3ドメインのうちの一方にE356C、T366W変異を、2つのCH3ドメインの他方にY349C、T366S、L368A、Y407V変異を含む。いくつかの態様において、ヘテロ二量体分子は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W変異を、2つのCH3ドメインの他方にE356C、T366S、L368A、Y407V変異を含む。いくつかの態様において、ヘテロ二量体分子は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C、T366W変異を、2つのCH3ドメインの他方にS354C、T366S、L368A、Y407V変異を含む。他のノブイントゥーホール技術の例は、例えば、EP1870459A1に記載のとおり当技術分野において公知である。
いくつかの局面において、ヘテロ二量体分子のFc領域は、1つまたは複数の他のFc変異、例えば、上記の任意のFc変異をさらに含有してもよい。いくつかの態様において、ヘテロ二量体分子は、エフェクター機能を低下させる変異を有するFc領域を含有する。
いくつかの局面では、例えば、融合ポリペプチドを形成する目的で、CH3突起(ノブ)または空洞(ホール)改変を含有するFcバリアントは、スタックされた免疫調節ポリペプチドのどこにでもつなぐことができるが、典型的には、そのN末端またはC末端を介して、第1のおよび/または第2のスタックされた免疫調節ポリペプチドのN末端またはC末端につなぐことができる。連結は直接的なものでもよく、リンカーを介した間接的なものでもよい。典型的に、ノブ・ホール分子は、CH3突起改変を含有するFcバリアントに連結された第1のスタックされた免疫調節ポリペプチドを、CH3空洞改変を含有するFcバリアントに連結された第2のスタックされた免疫調節ポリペプチドと共発現させることによって作製される。
バリアントICOSL-Fc融合タンパク質をコードする核酸分子も提供される。いくつかの態様において、Fc融合タンパク質を産生するために、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質をコードする核酸分子が適切な発現ベクターに挿入される。結果として生じたバリアントICOSL-Fc融合タンパク質を、発現で形質転換された宿主細胞中で発現させることができ、そこで、Fc部分間で形成された鎖間ジスルフィド結合によってFcドメイン間の集合が起こり、二量体バリアントICOSL-Fc融合タンパク質、例えば、二価バリアントICOSL-Fc融合タンパク質が生成する。
結果として生じたFc融合タンパク質は、プロテインAカラムまたはプロテインGカラム上でのアフィニティクロマトグラフィーによって簡単に精製することができる。ヘテロ二量体を作製するために、さらなる精製工程が必要な場合がある。例えば、異なるバリアントICOSLポリペプチドをコードする2種類の核酸で細胞を形質転換する場合、Fcドメインを有するバリアントICOSL分子はジスルフィド結合ホモ二量体としても発現するので、ヘテロ二量体の形成が生化学的に起こらなければならない。従って、ホモ二量体は、鎖間ジスルフィドの破壊に有利に働くが、鎖内ジスルフィドには影響を及ぼさない条件下で低減することができる。場合によっては、異なるバリアントICOSL Fc単量体を当モル量で混合し、酸化して、ホモ二量体とヘテロ二量体の混合物を形成する。この混合物の成分はクロマトグラフィー法によって分離される。または、このタイプのヘテロ二量体の形成は、下記のノブイントゥーホール法を用いて、バリアントICOSLポリペプチドを含有するFc融合分子を遺伝子操作し、発現させることによって偏らせることができる。
B. バリアントポリペプチドおよび免疫調節タンパク質のコンジュゲートおよび融合体
いくつかの局面において、IgSFファミリーのIgドメインのバリアント(vIgD)を含む免疫調節タンパク質である本明細書において提供されるバリアントポリペプチドは、例えば、直接的または間接的に融合されて、部分、例えば、エフェクター部分、例えば、別のタンパク質に直接的または間接的に結合体化されて、コンジュゲート(「IgSFコンジュゲート」)を形成することができる。いくつかの態様において、バリアントICOSL免疫調節タンパク質は、例えば、対象に投与されたときに、例えば、vIgDを特定の環境または細胞にターゲティングまたは局在化するために、ICOSLのvIgDがターゲティング物質またはターゲティング部分、例えば、抗体、またはリガンド、例えば、抗原に特異的に結合する他の結合分子に直接的または間接的に連結されているコンジュゲートとして提供される。いくつかの態様では、例えば、腫瘍微小環境に特異的な腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性を調整するために、ターゲティング物質、例えば、抗体または他の結合分子は腫瘍抗原に結合し、それによって、vIgDを含有するバリアントICOSLは腫瘍微小環境に局在化する。いくつかの態様において、この結合は共有結合でもよく、例えば、ビオチン-ストレプトアビジン非共有結合相互作用を介した非共有結合でもよい。いくつかの態様において、コンジュゲートは、直接的に、またはリンカーを介して別のタンパク質またはポリペプチド部分に連結されたバリアントICOSLポリペプチドの融合タンパク質である。
いくつかの態様において、融合タンパク質は、前述したバリアントポリペプチドのいずれか2つ、またはそれより多くがFcに結合していることができるICOSL-Fcバリアント融合体である。
いくつかの局面において、IgSFコンジュゲート、例えば、融合タンパク質は、野生型(全長またはトランケート型)またはバリアントICOSLポリペプチドのECDを含む。いくつかの態様において、IgSFコンジュゲート、例えば、融合タンパク質は、IgVドメインもしくはIgC(例えば、IgC2)ドメイン、またはIgVドメインの特異的結合断片、またはIgC(例えば、IgC2)ドメインの特異的結合断片を含む。いくつかの態様において、IgSFコンジュゲート、例えば、融合タンパク質は、SEQ ID NO:196または545に示したICOSLのIgVドメインを含む。
いくつかの態様において、部分は、ターゲティング部分、低分子薬(500ダルトンモル質量未満の非ポリペプチド薬)、毒素、細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤、免疫抑制剤、診断目的に好適な放射性物質、治療目的の放射性金属イオン、プロドラッグ活性化酵素、生物学的半減期を延長させる物質、または診断用もしくは検出可能物質であることができる。
いくつかの態様において、エフェクター部分は、細胞傷害性、細胞増殖抑制またはさもなければいくらかの治療的恩恵を提供する治療用物質、例えばがん治療用物質である。いくつかの態様において、エフェクター部分は、ターゲティング部分または作用物質、例えば、細胞表面抗原、例えば腫瘍細胞の表面上の抗原を標的とする作用物質である。いくつかの態様において、エフェクター部分は、検出可能シグナルを直接的または間接的のいずれかで生成することができる標識である。いくつかの態様において、エフェクター部分は、毒素である。いくつかの態様において、エフェクター部分は、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子またはナノ粒子である。
いくつかの態様において、同じであっても異なっていてもよい1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多いエフェクター部分は、バリアントポリペプチドまたはタンパク質にコンジュゲートされ、連結されまたは融合されて、IgSFコンジュゲートを形成する。いくつかの態様において、そのようなエフェクター部分を、当技術分野において公知でかつ後述される種々の分子生物学的または化学的コンジュゲーションおよび連結法を使用して、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質に結合させることができる。いくつかの態様において、リンカー、例えばペプチドリンカー、切断可能リンカー、非切断可能リンカー、またはコンジュゲーション反応を助けるリンカーを使用して、エフェクター部分をバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質に連結するまたはコンジュゲートすることができる。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、以下の成分:(タンパク質またはポリペプチド)、(L)qおよび(エフェクター部分)mを含み、ここで、タンパク質またはポリペプチドは、記載のとおりの1つまたは複数の同族カウンター構造体リガンドと結合することができる記載のバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質のいずれかであり;Lは、タンパク質またはポリペプチドを部分に連結するためのリンカーであり;mは、少なくとも1であり;qは、0以上であり;得られたIgSFコンジュゲートは、1つまたは複数のカウンター構造体リガンドに結合する。特定の態様において、mは、1~4であり、そして、qは、0~8である。いくつかの態様において、リンカーはペプチドである。いくつかの態様において、エフェクター部分はタンパク質またはポリペプチドである。
いくつかの態様において、細胞表面分子に結合するターゲティング物質とコンジュゲートされた本明細書において提供されるバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を含むIgSFコンジュゲートであって、例えば、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を特定の細胞へと標的指向性するための、IgSFコンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、ターゲティング物質は、対象における正常な細胞/組織および/または腫瘍細胞/腫瘍上に存在する分子を局在化してそれに結合する能力を有する分子である。言い換えれば、ターゲティング物質を含むIgSFコンジュゲートは、細胞、例えば腫瘍細胞上に存在するリガンドに結合(直接的または間接的に)することができる。使用が企図される本発明のターゲティング物質は、標的細胞または分子の成分と結合することができる、抗体、ポリペプチド、ペプチド、アプタマー、他のリガンド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの態様において、ターゲティング物質は、対象への投与後に、腫瘍細胞と結合するか、または腫瘍細胞の近く(例えば、腫瘍血管系または腫瘍微小環境)に結合することができる。ターゲティング物質は、がん細胞の表面上の受容体またはリガンドに結合し得る。本発明の別の局面において、非がん性細胞または組織に特異的であるターゲティング物質が選択される。例えば、ターゲティング物質は、特定の細胞または組織上に通常存在する分子に特異的であることができる。さらに、いくつかの態様において、同じ分子が正常細胞およびがん細胞上に存在することができる。種々の細胞成分および分子が公知である。例えば、ターゲティング物質がEGFRに特異的である場合、得られたIgSFコンジュゲートは、EGFRを発現するがん細胞もEGFRを発現する正常な皮膚上皮細胞も標的とすることができる。それゆえ、いくつかの態様において、本発明のIgSFコンジュゲートは、2つの別々の機序(がん細胞および非がん細胞を標的とする)によって働くことができる。
本明細書に開示される本発明の種々の局面において、本発明のIgSFコンジュゲートは、細胞成分、例えば腫瘍抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、マイコプラズマ抗原、真菌抗原、プリオン抗原、寄生生物由来の抗原と結合する/それを標的とすることができる、ターゲティング物質を含む。いくつかの局面において、細胞成分、抗原または分子は各々、ターゲティング物質の所望の標的を意味するために使用することができる。例えば、種々の態様において、ターゲティング物質は、上皮成長因子受容体(EGFR、ErbB-1、HERl)、ErbB-2(HER2/neu)、ErbB-3/HER3、ErbB-4/HER4、EGFRリガンドファミリー;インスリン様成長因子受容体(IGFR)ファミリー、IGF結合タンパク質(IGFBP)、IGFRリガンドファミリー;血小板由来成長因子受容体(PDGFR)ファミリー、PDGFRリガンドファミリー;線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)ファミリー、FGFRリガンドファミリー、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)ファミリー、VEGFファミリー;HGF受容体ファミリー;TRK受容体ファミリー;エフリン(EPH)受容体ファミリー;AXL受容体ファミリー;白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー;TIE受容体ファミリー、アンジオポエチン1,2;受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体(ROR)受容体ファミリー、例えば、ROR1;CD171(L1CAM);B7-H6(NCR3LG1);PD-L1、腫瘍グリコシル化抗原、例えば、sTnまたはTn、例えばMUC1のsTn Ag;LHR(LHCGR);ホスファチジルセリン、ジスコイジンドメイン受容体(DDR)ファミリー;RET受容体ファミリー;KLG受容体ファミリー;RYK受容体ファミリー;MuSK受容体ファミリー;トランスフォーミング成長因子-α(TGF-α)受容体、TGF-β;サイトカイン受容体、クラスI(ヘマトポエチンファミリー)およびクラスII(インターフェロン/IL-10ファミリー)受容体、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF)、死受容体ファミリー;がん-精巣(CT)抗原、系列特異的抗原、分化抗原、アルファ-アクチニン-4、ARTCl、切断点クラスタ領域-アベルソン(Abelson)(Bcr-abl)融合産物、B-RAF、カスパーゼ-5(CASP-5)、カスパーゼ-8(CASP-8)、β-カテニン(CTNNBl)、細胞分裂周期27(CDC27)、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、CDKN2A、COA-I、dek-can融合タンパク質、EFTUD-2、伸長因子2(ELF2)、Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS(ETC6-AML1)融合タンパク質、フィブロネクチン(FN)、例えば、フィブロネクチンの外部ドメインA(EDA)、GPNMB、低密度脂質受容体/GDP-Lフコース:β-Dガラクトース2-α-L-フコシルトランスフェラーゼ(LDLR/FUT)融合タンパク質、HLA-A2遺伝子におけるα2ドメインのαヘリックスの残基170におけるHLA-A2.アルギニン-イソロイシン交換(HLA-A*201-R170I)、HLA-Al 1、熱ショックタンパク質70-2変異型(HSP70-2M)、K1AA0205、MART2、黒色腫遍在性変異型1、2、3(MUM-I、2、3)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、ネオ-PAP、ミオシンクラスI、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras(KRAS2)、N-ras(NRAS)、HRAS、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SYT-SSXlまたは-SSX2融合タンパク質、トリオースリン酸イソメラーゼ、BAGE、BAGK-1、BAGE-2,3,4,5、GAGE-1,2,3,4,5,6,7,8、GnT-V(異常なN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV、MGAT5)、HERV-K-MEL、KK-LC、KM-HN-I、LAGE、LAGE-I、黒色腫上のCTL認識抗原(CAMEL)、MAGE-Al(MAGE-I)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-AlO、MAGE-AI l、MAGE-A12、MAGE-3、MAGE-Bl、MAGE-B2、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-Cl、MAGE-C2、ムチン1(MUCl)、MART-1/Melan-A(MLANA)、gplOO、gplOO/Pmell7(SILV)、チロシナーゼ(TYR)、TRP-I、HAGE、NA-88、NY-ESO-I、NY-ESO-l/LAGE-2、SAGE、Spl7、SSX-1,2,3,4、TRP2-INT2、がん胎児性抗原(CEA)、カリクレイン4、マンマグロビン-A、OAl、前立腺特異抗原(PSA)、TRP-1/gp75、TRP-2、アディポフィリン、黒色腫には存在しないインターフェロン誘導性タンパク質2(AIM-2)、BING-4、CPSF、サイクリンDl、上皮細胞接着分子(Ep-CAM)、EphA3、線維芽細胞成長因子-5(FGF-5)、糖タンパク質250(gp250)、EGFR(ERBBl)、HER-2/neu(ERBB2)、インターロイキン13受容体α2鎖(IL13Rα2)、IL-6受容体、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、アルファ-フェトタンパク質(AFP)、M-CSF、mdm-2、MUCl、p53(TP53)、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-I、RNF43、RU2AS、SOXlO、STEAPl、サバイビン(BIRC5)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、テロメラーゼ、ウィルムス腫瘍遺伝子(WTl)、SYCPl、BRDT、SPANX、XAGE、ADAM2、PAGE-5、LIPl、CTAGE-I、CSAGE、MMAl、CAGE、BORIS、HOM-TES-85、AF15ql4、HCA661、LDHC、MORC、SGY-I、SPOl 1、TPXl、NY-SAR-35、FTHL17、NXF2、TDRDl、TEX15、FATE、TPTE、免疫グロブリンイディオタイプ、ベンスジョーンズ(Bence-Jones)タンパク質、エストロゲン受容体(ER)、アンドロゲン受容体(AR)、CD40、CD30、CD20、CD19、CD33、がん抗原72-4(CA 72-4)、がん抗原15-3(CA 15-3)、がん抗原27-29(CA 27-29)、がん抗原125(CA 125)、がん抗原19-9(CA 19-9)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、β-2ミクログロブリン、扁平上皮がん抗原、神経特異的エノラーゼ、熱ショックタンパク質gp96、GM2、サルグラモスチム、CTLA-4、707アラニンプロリン(707-AP)、T細胞によって認識される腺がん抗原4(ART-4)、がん胎児性抗原ペプチド-1(CAP-I)、カルシウム活性化クロライドチャネル-2(CLCA2)、シクロフィリンB(Cyp-B)、ヒト印環腫瘍-2(HST-2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質(HPV-E6、HPV-E7、メジャーまたはマイナーカプシド抗原、他)、エプスタイン-バールウイルス(EBV)タンパク質(EBV潜伏膜タンパク質-LMPl、LMP2;他)、BまたはC型肝炎ウイルスタンパク質、ならびにHIVタンパク質を非限定的に含む成分に特異的であるかまたはそれに結合する。
いくつかの局面において、ターゲティング物質は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、がん抗原125(CA125)、α-フェトプロテイン(AFP)、LewisY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体(PDGFR;例えば、PDGF-Rα)、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮増殖因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM1、およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、VEGFR2、VEGF-A、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、SK-1抗原、Bcr-abl、RET、MET、TRKB、TIE2、ALK、ROS、EML4-ALK、ROS1、BRAFV600E、SRC、c-KIT、mTOR、TSC1、TSC2、BTK、KIT、BRCA、CDK4/6、JAK1、JAK2、BRAF、FLT-3、MEK1、MEK2、SMO、またはB7-H6(NCR3LG1)を含むが、これに限定されない成分に対して特異的であるか、またはそれに結合する。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、そのターゲティング物質により、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍微小環境の細胞成分と結合し、それによって、免疫応答の調節(例えば、共刺激分子の活性化または免疫細胞活性化の負の調節分子の阻害による)、生存シグナル(例えば、成長因子またはサイトカインまたはホルモン受容体アンタゴニスト)の阻害、死シグナルの活性化、および/または免疫媒介性細胞傷害性(例えば、抗体依存性細胞傷害性による)を介して、標的とされた細胞の殺傷を促進する。そのようなIgSFコンジュゲートは、いくつかの機序によって、腫瘍細胞を抑制、低減または排除するよう、例えば、コンジュゲートされたエフェクター部分の腫瘍標的への送達を、例えばIgSFコンジュゲートの受容体媒介性エンドサイトーシスによって容易にするよう機能することができ;または、そのようなコンジュゲートは、免疫細胞(例えば、NK細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞)を動員、それと結合、および/またはそれを活性化することができる。さらに、いくつかの場合で、前述の経路の1つまたは複数が、本発明の1つまたは複数のIgSFコンジュゲートの投与によって作用し得る。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、そのターゲティング物質により、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍微小環境の細胞成分に局在化し、例えば結合し、それによって、腫瘍の近くで免疫応答の細胞を調節する。いくつかの態様において、ターゲティング物質は、コンジュゲートされたIgSF(例えば、vIgD)の腫瘍標的への送達を容易にすることで、例えばその同族結合パートナーと相互作用して、同族結合パートナーを保有する免疫細胞(例えば、NK細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞)のシグナル伝達を変化させる。いくつかの態様において、局在化送達は、共刺激受容体を作動させるまたは刺激する。
いくつかの態様において、ターゲティング物質は、免疫グロブリンである。本明細書において使用される場合、用語「免疫グロブリン」は、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、単鎖Fv(scFv);抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上のいずれかのエピトープ結合断片を非限定的に含む、天然または人工の一価または多価抗体を含む。用語「抗体」は、本明細書において使用される場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、例えば、抗原と免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。本発明の免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl、およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であることができる。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、その抗体ターゲティング部分により、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍微小環境の細胞成分と結合し、それによって、免疫応答の調節(例えば、共刺激分子の活性化または免疫細胞活性化の負の調節分子の阻害による)、生存シグナル(例えば、成長因子またはサイトカインまたはホルモン受容体アンタゴニスト)の阻害、死シグナルの活性化、および/または免疫媒介性細胞傷害性(例えば、抗体依存性細胞傷害性による)を介して、標的とされた細胞のアポトーシスを促進する。そのようなIgSFコンジュゲートは、いくつかの機序を通して、腫瘍細胞を抑制する、低減するまたは排除する、例えば、コンジュゲートされたエフェクター部分の腫瘍標的への送達を、例えばIgSFコンジュゲートの受容体媒介性エンドサイトーシスを通して容易にするよう機能することができ;または、そのようなコンジュゲートは、免疫細胞(例えば、NK細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞)を動員し、それと結合し、および/またはそれを活性化することができる。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、その抗体ターゲティング部分により、腫瘍細胞、腫瘍血管系または腫瘍微小環境の細胞成分と結合し、それによって、免疫応答を調節する(例えば、共刺激分子の活性化または免疫細胞活性化の負の調節分子の阻害による)。いくつかの態様において、そのようなコンジュゲートは、免疫細胞(例えば、NK細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞、T細胞、B細胞)を認識し、それと結合し、および/またそれを調節(例えば、阻害または活性化)することができる。
本発明の抗体ターゲティング部分は、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド連結されたFv(sdFv)ならびにVLまたはVHドメインのいずれかを含む断片を非限定的に含む、抗体断片を含む。単鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、可変領域を、単独でまたは以下の全体もしくは一部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメイン。また、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの任意の組み合わせをまた含む抗原結合断片も本発明に含まれる。また、Fc断片、抗原-Fc融合タンパク質、およびFc-ターゲティング部分コンジュゲートまたは融合産物(Fc-ペプチド、Fc-アプタマー)も本発明に含まれる。本発明の抗体ターゲティング部分は、トリおよび哺乳動物を含む任意の動物起源由来であり得る。一局面において、抗体ターゲティング部分は、ヒト、ネズミ(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。さらに、そのような抗体は、動物抗体のヒト化バージョンであってもよい。本発明の抗体ターゲティング部分は、単一特異性、二重特異性、三重特異性であっても、より高次の多重特異性のものであってもよい。
種々の態様において、抗体/ターゲティング部分は、免疫細胞(例えば、NK細胞、単球/マクロファージ、樹状細胞)を、Fc(抗体内)とFc受容体(免疫細胞上)との間の相互作用を介しておよび本明細書において提供されるコンジュゲートされたバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を介して、動員、結合、および/または活性化する。いくつかの態様において、抗体/ターゲティング部分は、本明細書において提供されるコンジュゲートされたバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を介して、腫瘍物質を認識するまたはそれと結合して、腫瘍細胞に局在化し、腫瘍の近くで免疫細胞の調節を容易にする。
IgSFコンジュゲートに組み込むことができる抗体の例は、限定されないが、抗体、例えばセツキシマブ(IMC-C225; Erbitux(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標); MabThera(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標); Campath-1H(登録商標); Mabcampath(登録商標))、ペルツムマブ(Perjeta(登録商標))、パニツムマブ(ABX-EGF; Vectibix(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、トシツモマブ、ヨウ素I 131トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、カツマキソマブ(Removab(登録商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))、ゲムツズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))、アバタセプト(CTLA4-Ig; Orencia(登録商標))、ベラタセプト(L104EA29YIg; LEA29Y; LEA)、イピリムマブ(MDX-010; MDX-101)、トレメリムマブ(チシリムマブ; CP-675,206)、PRS-010、PRS-050、アフリベルセプト(VEGF Trap、AVE005)、ボロシキシマブ(M200)、F200、MORAb-009、SS1P(CAT-5001)、シクスツムマブ(IMC-A12)、マツズマブ(EMD72000)、ニモツズマブ(h-R3)、ザルツムマブ(HuMax-EGFR)、ネシツムマブIMC-11F8、mAb806/ch806、Sym004、mAb-425、Panorex@(17-1A)(ネズミモノクローナル抗体);Panorex@(17-1A)(キメラネズミモノクローナル抗体);IDEC-Y2B8(ネズミ、抗CD2O MAb); BEC2(抗イディオタイプMAb、GDエピトープを模倣する)(BCGを含む); オララツマブ(Lartruvo(商標));オンコリム(Oncolym)(Lym-1モノクローナル抗体);SMART MI95 Ab、ヒト化13'I LYM-I(オンコリム)、オバレックス(Ovarex)(B43.13、抗イディオタイプマウスMAb);ラムシルマブ(Cyramza(登録商標));MDX-210(ヒト化抗HER-2二重特異性抗体);腺がん上のEGP40(17-1A)パンカルシノーマ(pancarcinoma)抗原に結合する3622W94 Mab;抗VEGF、ゾナパックス(Zenapax)(SMART抗Tac(IL-2受容体);SMART MI95 Ab、ヒト化Ab、ヒト化);MDX-210(ヒト化抗HER-2二重特異性抗体);MDX-447(ヒト化抗EGF受容体二重特異性抗体);NovoMAb-G2(パンカルシノーマ特異的Ab);TNT(ヒストン抗原に対するキメラMAb);TNT(ヒストン抗原に対するキメラMAb);グリオマブ(Gliomab)-H(Monoclon s-ヒト化Ab);GNI-250 Mab;EMD-72000(キメラ-EGFアンタゴニスト);リンホシド(ヒト化LL2抗体);およびMDX-260二重特異性、標的GD-2、ANA Ab、SMART IDlO Ab、SMART ABL 364 AbまたはImmuRAIT-CEAを含む。前述のリストに例示されるとおり、特定の標的エピトープに対する抗体を製造することは慣用的である。
いくつかの局面において、融合分子を含む提供されるコンジュゲートの抗体または抗原結合断片は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トラスツズマブ、Ado-トラスツズマブエムタンシン、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン、マブセラ)、イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン)、ダクリズマブ(ゼナパックス)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ジヌツキシマブ(Unituxin(商標))、エルロチニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、オラパリブ、オララツマブ(Lartruvo(商標))、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MPDL3280A、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MSB001078C、またはMEDI4736、BMS-935559、LY3300054、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブであるか、またはその抗原結合断片である。
いくつかの局面において、PD-L1抗体またはその抗原結合断片はIgSFコンジュゲートに組み込むことができる。IgSFコンジュゲートに組み込むことができるPD-L1抗体の例には、BMS-936559、12A4、LY3300054、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、デュルバルマブ(Imfinzi(登録商標))などの抗体が含まれるが、これに限定されない。例えば、WO2007/005874、WO2017/034916、WO2010/077634、WO2013/079174、WO2011/066389を参照されたい。これらの参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。いくつかの態様において、vIgDは抗PD-L1抗体の軽鎖および/または重鎖のN末端またはC末端に直接的または間接的に連結されている。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559、LY3300054、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブである。抗PD-L1抗体アテゾリズマブの例示的な軽鎖および重鎖を、それぞれ、SEQ ID NO:866および867に示した。抗PD-L1抗体アテゾリズマブを含む例示的なIgSFコンジュゲートをSEQ ID NO:868~895に示した。
いくつかの局面において、抗体ターゲティング部分は、全長抗体、またはFcドメインを含有する、その抗原結合断片である。いくつかの態様において、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質は、抗体ターゲティング部分のFc部分と、例えば、抗体のFc部分のN末端との結合体化によって結合体化される。
いくつかの局面において、vIgDは前記抗体の軽鎖および/または重鎖のN末端またはC末端に直接的または間接的に連結されている。いくつかの態様において、連結は、ペプチドリンカー、例えば、上記のいずれかを介した連結の場合がある。いくつかの態様において、前記リンカーは、クローニングによって導入されたアミノ酸および/または制限部位に由来するアミノ酸をさらに含む場合がある。いくつかの態様において、前記リンカーは両端に、制限部位によって導入された、さらなるアミノ酸を含む場合がある。例えば、前記リンカーは、制限部位AFEIの使用によって導入された、さらなるアミノ酸、例えば、SA(一文字アミノ酸コードで)を含んでもよい。様々な配置を構築することができる。図10A~10Cは例示的な配置を示す。いくつかの態様において、抗体コンジュゲートは、細胞において抗体の重鎖および軽鎖を共発現させることによって産生することができる。
本発明の一局面において、ターゲティング物質は、アプタマー分子である。例えば、いくつかの態様において、アプタマーは、ターゲティング物質として機能する核酸からなる。種々の態様において、本発明のIgSFコンジュゲートは、腫瘍細胞、腫瘍血管系、および/または腫瘍微小環境上の分子に特異的なアプタマーを含む。いくつかの態様において、アプタマーはそれ自体、ターゲティングモジュール(配列)に加えて、生物学的に活性な配列を含むことができ、ここで、生物学的に活性な配列は、標的細胞に対する免疫応答を誘導することができる。言い換えれば、そのようなアプタマー分子は、二重使用物質である。いくつかの態様において、本発明のIgSFコンジュゲートは、アプタマーの抗体へのコンジュゲーションを含み、ここで、アプタマーおよび抗体は、腫瘍細胞、腫瘍血管系、腫瘍微小環境、および/または免疫細胞上の別々の分子への結合に特異的である。
用語「アプタマー」は、特定の分子への特異的結合特性に基づいて選択された、DNA、RNAまたはペプチドを含む。例えば、本明細書に開示されるとおりの腫瘍細胞、腫瘍血管系、腫瘍微小環境、および/または免疫細胞内の特定の遺伝子または遺伝子産物と結合するように、アプタマーを選択することができ、ここで、選択は、当技術分野において公知および当業者によく知られている方法によってなされる。
本発明のいくつかの局面において、ターゲティング物質は、ペプチドである。例えば、本明細書において提供されるバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、がんまたは腫瘍細胞の成分と結合することができるペプチドにコンジュゲートすることができる。それゆえ、本発明のそのようなIgSFコンジュゲートは、腫瘍細胞の、腫瘍血管系の細胞成分、および/または腫瘍微小環境の成分に結合するペプチドターゲティング物質を含む。いくつかの態様において、ターゲティング物質ペプチドは、インテグリンのアンタゴニストまたはアゴニストであることができる。アルファおよびベータサブユニットを含むインテグリンは、当業者に周知の多数のタイプを含む。
一態様において、ターゲティング物質は、Vvβ3である。インテグリンVvβ3は、多種多様な細胞上に発現され、骨マトリックスへの破骨細胞の接着、血管平滑筋細胞の遊走、および血管新生を含むいくつかの生物学的に関連するプロセスを媒介することが示されている。インテグリンに対する好適なターゲティング分子は、他のインテグリン、例えばV4.βi(VLA-4)、V4-P7(例えば、米国特許第6,365,619号; Chang et al, Bioorganic & Medicinal Chem Lett, 12:159-163 (2002); Lin et al., Bioorganic & Medicinal Chem Lett, 12:133-136 (2002) を参照のこと)などに対する、RGDペプチドまたはペプチドミメティックならびに非RGDペプチドまたはペプチドミメティック(例えば、米国特許第5,767,071号および第5,780,426号を参照のこと)を含む。
いくつかの態様において、治療用物質とコンジュゲートされた本明細書において提供される、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を含むIgSFコンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、治療用物質は、例えば、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、およびビンデシンを含む(Rowland et al., Cancer Immunol. Immunother. 21:183-187, 1986)。いくつかの態様において、治療用物質は、細胞内活性を有する。いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは内在化され、治療用物質は細胞毒素であり、細胞毒素が細胞のタンパク質合成を遮断し、その中で細胞死を導く。いくつかの態様において、治療用物質は、例えば、ゲロニン、ボウガニン、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン、ジフテリア毒素、レストリクトシン(restrictocin)、緑膿菌(Pseudomonas)外毒素Aおよびそのバリアントを含む、リボソーム不活性化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素である。いくつかの態様において、治療用物質が、リボソーム不活性化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素である場合、タンパク質が細胞に対して細胞傷害性となるために、IgSFコンジュゲートは標的細胞に結合したときに内在化されなければならない。
いくつかの態様において、毒素とコンジュゲートされた本明細書において提供される、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を含むIgSFコンジュゲートが提供される。いくつかの態様において、毒素は、例えば、細菌毒素、例えばジフテリア毒素、植物毒素、例えばリシン、低分子毒素、例えばゲルダナマイシン(Mandler et al., J.Nat. Cancer Inst. 92 (19) :1573-1581 (2000); Mandler et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028 (2000); Mandler et al., Bioconjugate Chem. 13:786-791 (2002))、メイタンシノイド(EP 1391213; Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623 (1996))、およびカリケアミシン(Lode et al., Cancer Res. 58:2928 (1998); Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993))を含む。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含む機序によって、それらの細胞傷害性および細胞増殖抑制効果を発揮し得る。
いくつかの態様において、検出可能シグナルを間接的または直接的に生成することができる標識とコンジュゲートされた本明細書において提供される、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を含むIgSFコンジュゲートが提供される。これらのIgSFコンジュゲートを、研究または診断用途に、例えばがんのインビボ検出に使用することができる。標識は、好ましくは、直接的または間接的のいずれかで、検出可能シグナルを産生することができる。例えば、標識は、放射線不透過性または放射性同位体、例えば3H、14C、32P、35S、123I、125I、131I;蛍光(フルオロフォア)もしくは化学発光(クロモフォア)化合物、例えばフルオレセインイソチオシアナート、ローダミンもしくはルシフェリン;酵素、例えばアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼもしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ;イメージング剤;または金属イオンであり得る。いくつかの態様において、標識は、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えば99Tcもしくは123I、または、核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても公知)用のスピン標識、例えばジルコニウム-89、ヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄である。ジルコニウム-89を、例えば、PETイメージング用に、種々の金属キレート剤に錯体化して抗体にコンジュゲートしてよい(WO 2011/056983)。いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートは、間接的に検出可能である。例えば、IgSFコンジュゲートに特異的でかつ検出可能標識を含有する二次抗体を使用して、IgSFコンジュゲートを検出することができる。
IgSFコンジュゲートを、当技術分野において公知の任意の方法を使用して調製してよい。例えば、WO 2009/067800、WO 2011/133886、および米国特許出願公報第2014322129号(参照によってその全体として本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質がエフェクター部分と会合するかまたはそれに連結できる任意の手段によって、エフェクター部分に「結合」され得る。例えば、IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、化学的または組換え手段によって、エフェクター部分に結合され得る。融合体またはコンジュゲートを調製するための化学的手段は、当技術分野において公知であり、これを使用してIgSFコンジュゲートを調製することができる。バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質とエフェクター部分をコンジュゲートするために使用される方法は、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質のそれらの1つまたは複数のカウンター構造体リガンドに結合する能力に干渉することなく、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質とエフェクター部分とを接続できなければならない。
IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、エフェクター部分に間接的に連結してよい。例えば、IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、数種類のうちの1種のエフェクター部分を含有するリポソームに直接連結してよい。また、エフェクター部分および/またはバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を固体表面に結合させてもよい。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質とエフェクター部分は共にタンパク質であり、当技術分野において周知の技術を使用してこれらをコンジュゲートすることができる。2つのタンパク質をコンジュゲートできる利用可能な数百のクロスリンカーがある(例えば、”Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking,” 1991, Shans Wong, CRC Press, Ann Arborを参照のこと)。クロスリンカーは、概して、バリアントポリペプチドもしくは免疫調節タンパク質および/またはエフェクター部分上で利用可能であるかまたはそこに挿入されている反応性官能基に基づいて選択される。加えて、反応性基がない場合、光活性化可能クロスリンカーを使用することができる。ある特定の場合には、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質とエフェクター部分との間にスペーサーを含むことが望ましい場合がある。当技術分野に公知の架橋剤は、ホモ二官能性物質:グルタルアルデヒド、ジメチルアジピミデートおよびビス(ジアゾベンジジン)、ならびにヘテロ二官能性物質:mマレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドおよびスルホ-mマレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドを含む。
いくつかの態様において、IgSFコンジュゲートのバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質を、エフェクター部分の化学的結合のために特定の残基で改変してよい。当技術分野に公知の分子の化学的結合に使用される特定の残基は、リジンおよびシステインを含む。クロスリンカーは、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質上に挿入されている反応性官能基、およびエフェクター部分上で利用可能な反応性官能基に基づいて選択される。
IgSFコンジュゲートをまた、組換えDNA技術を使用して調製してよい。そのような場合、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードするDNA配列を、エフェクター部分をコードするDNA配列に融合させることで、キメラDNA分子が得られる。キメラDNA配列を、融合タンパク質を発現する宿主細胞にトランスフェクトする。細胞培養物から融合タンパク質を回収し、当技術分野において公知の技術を使用して精製することができる。
標識であるエフェクター部分をバリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質に結合させる例は、Hunter, et al., Nature 144:945 (1962); David, et al., Biochemistry 13:1014 (1974); Pain, et al., J. Immunol. Meth. 40:219 (1981); Nygren, J. Histochem. and Cytochem. 30:407 (1982); Wensel and Meares, Radioimmunoimaging And Radioimmunotherapy, Elsevier, N.Y. (1983);およびColcher et al., “Use Of Monoclonal Antibodies As Radiopharmaceuticals For The Localization Of Human Carcinoma Xenografts In Athymic Mice”, Meth. Enzymol., 121:802-16 (1986) に記載されている方法を含む。
放射性標識または他の標識を公知の方法でコンジュゲートに組み込んでよい。例えば、ペプチドを、生合成しても、例えば水素の代わりにフッ素-19を含む好適なアミノ酸前駆体を使用する化学アミノ酸合成によって合成してもよい。99Tcまたは123I、186Re、188Reおよび111Inのような標識を、ペプチド内のシステイン残基を介して結合させることできる。イットリウム-90を、リジン残基を介して結合させることできる。IODOGEN法(Fraker et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57 (1978))を使用してヨウ素-123を組み込むことができる。“Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy”(Chatal, CRC Press 1989)は、他の方法を詳細に記載している。
バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質および細胞傷害性物質のコンジュゲートを、多種多様な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジピンイミド酸ジメチルHCI)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアナート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して製造してよい。例えば、Vitetta et al., Science 238:1098 (1987) に記載のとおりリシン免疫毒素を調製することができる。炭素-14で標識された1-p-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)が、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。例えば、WO 94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞中での細胞傷害薬の放出を容易にする「切断可能リンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光分解性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992); 米国特許第5,208,020号)を使用してよい。
本発明のIgSFコンジュゲートは、クロスリンカー試薬:市販(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL, U.S.Aから)のBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、およびSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾアート)と共に調製された薬物コンジュゲートを明示的に企図するが、それに限定されない。Applications Handbook and Catalog 2003-2004の467-498ページを参照されたい。
C.膜貫通免疫調節タンパク質および分泌可能な免疫調節タンパク質ならびに改変された細胞
免疫調節性バリアントICOSLポリペプチドを発現する改変された細胞(または、「改変された細胞」)が本明細書において提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、細胞、例えば、免疫細胞(例えば、T細胞または抗原提示細胞)の表面で膜結合型で発現され、それによって、膜貫通免疫調節タンパク質(以下「TIP」とも呼ぶ)が提供される。いくつかの局面において、バリアントICOSLポリペプチドは、細胞、例えば、免疫細胞(例えば、T細胞または抗原提示細胞)の中で分泌可能な形で発現され、それによって、例えば、この細胞が対象に投与されたときに、バリアントICOSLポリペプチドの分泌型または可溶型(以下「SIP」とも呼ぶ)が産生される。いくつかの局面において、SIPは分泌された環境において同族結合パートナーをアンタゴナイズすることができる。
1. 膜貫通型免疫調節タンパク質
いくつかの態様において、バリアントICOSLを含む免疫調節ポリペプチドは、膜結合タンパク質であることができる。以下により詳細に記載するとおり、免疫調節ポリペプチドは、少なくとも1つの親和性改変IgSFドメイン(IgVまたはIgC)を含有するエクトドメイン、膜貫通ドメイン、および任意で、細胞質ドメインを含有する、バリアントICOSLを含む膜貫通型免疫調節ポリペプチドであることができる。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、リンパ球(例えば、T細胞またはNK細胞)または抗原提示細胞の表面を含む、免疫細胞、例えば哺乳動物細胞の表面上に発現することができる。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞(あるいは、細胞傷害性Tリンパ球またはCTL)、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、メモリーT細胞、またはγδT細胞のようなT細胞を含む、哺乳動物T細胞の表面上に発現する。いくつかの態様において、哺乳動物細胞は、抗原提示細胞(APC)である。典型的には、しかし排他的ではないが、エクトドメイン(あるいは、「細胞外ドメイン」)は、本発明のバリアントICOSLの1つまたは複数のアミノ酸改変(例えば、アミノ酸置換)を含む。したがって、例えば、いくつかの態様において、膜貫通型タンパク質は、本発明のバリアントICOSLの1つまたは複数のアミノ酸置換を含むエクトドメインを含む。
いくつかの態様において、改変細胞は、膜貫通型タンパク質のような膜タンパク質であることができる膜貫通型免疫調節ポリペプチド(TIP)であるバリアントICOSLポリペプチドを発現する。典型的な態様において、膜タンパク質のエクトドメインは、記載のとおりの少なくとも1つのIgSFドメインに1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する、本明細書において提供されるバリアントICOSLの細胞外ドメインまたはそのIgSFドメインを含む。本明細書において提供される膜貫通型免疫調節タンパク質は、エクトドメインに連結された膜貫通ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、細胞上の細胞表面発現のためのコードされているタンパク質をもたらす。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、エクトドメインに直接連結されている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、1つまたは複数のリンカーまたはスペーサーを介して、エクトドメインに間接的に連結されている。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、優位に疎水性のアミノ酸残基、例えばロイシンおよびバリンを含有する。
いくつかの態様において、完全長膜貫通アンカードメインを使用して、確実にTIPが改変細胞、例えば改変T細胞の表面上に発現するようにすることができる。好都合なことに、これは、親和性が改変されている特定の天然タンパク質(例えば、ICOSLまたは他の天然IgSFタンパク質)由来であることもでき、かつ、天然IgSFタンパク質(例えば、ICOSL)と同じ様式で第一の膜近位ドメインの配列に簡単に融合させることもできる。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、対応する参照(例えば未改変)または野生型IgSFメンバーの膜貫通ドメイン(例えば、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に含有される膜貫通ドメイン)を含む(表2)。いくつかの態様において、膜結合形態は、例えばSEQ ID NO:5の257~277番目の残基に対応する、対応する参照(例えば未改変)または野生型ポリペプチドの膜貫通ドメインを含む。
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、天然ICOSLの膜貫通ドメインではない非天然膜貫通ドメインである。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、膜結合タンパク質であるかまたは膜貫通型タンパク質である別の非ICOSLファミリーメンバーポリペプチド由来の膜貫通ドメインに由来する。いくつかの態様において、T細胞上の別のタンパク質由来の膜貫通アンカードメインを使用することができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8に由来する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、スペーサードメインとして役立つCD8の細胞外部分をさらに含有することができる。例示的なCD8由来膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:246もしくは483に示されるかまたはCD8膜貫通ドメインを含有するその一部分である。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、合成膜貫通ドメインである。
いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、膜貫通ドメインに連結された、エンドドメイン、例えば細胞質シグナル伝達ドメインをさらに含有する。いくつかの態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、細胞シグナル伝達を誘導する。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質のエンドドメインは、対応する参照(例えば未改変)または野生型ポリペプチドの細胞質ドメイン、例えば、SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に含有される細胞質ドメインを含む(表2を参照のこと)。
いくつかの態様において、バリアントICOSLであるかまたはバリアントICOSLを含む提供される膜貫通型免疫調節タンパク質は、SEQ ID NO:257に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含み、かつ、記載のとおりの少なくとも1つの親和性が改変されたICOSL IgSFドメインを含むエクトドメインおよび膜貫通ドメインを含有する。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、表1に示されるいずれかを含む、記載のとおりのIgSFドメイン(例えば、IgVドメイン)に任意の1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、記載のとおりの細胞質ドメインをさらに含むことができる。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、シグナルペプチドをさらに含有することができる。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、例えばSEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に含有される、野生型IgSFメンバーの天然シグナルペプチドである(例えば、表2を参照のこと)。
いくつかの態様において、アミノ酸置換
を含む膜貫通型免疫調節タンパク質が提供される。いくつかの態様において、提供される膜貫通型免疫調節タンパク質は、SEQ ID NO:257に示されるが、SEQ ID NO:257の対応する位置にアミノ置換
を含有するアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:257に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示しかつアミノ酸置換
を含有するアミノ酸配列を含む、バリアントICOSLであるかまたはバリアントICOSLを含む。
いくつかの態様において、SEQ ID NO:496または497(各々アミノ酸置換N52Dを含有する)、SEQ ID NO:498または499(各々アミノ酸置換N52H/N57Y/Q100Pを含有する)、SEQ ID NO:500または501(各々アミノ酸置換E16V/N52H/N57Y/Q100R/V110D/H115R/Y152C/K156M/C198Rを含有する)またはSEQ ID NO:502または503(各々アミノ酸置換N52H/N57Y/Q100Rを含有する)に示されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:495~503のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を含みかつ表示のアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を含む、膜貫通型免疫調節タンパク質が提供される。いくつかの態様において、改変細胞において発現するとき、そのような膜貫通型免疫調節タンパク質は、細胞の表面上に発現する。
また、そのような膜貫通型免疫調節タンパク質をコードする核酸分子が提供される。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質をコードする核酸分子は、SEQ ID NO:257に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ、記載のとおりの少なくとも1つの親和性改変IgSFドメインを含むエクトドメイン、膜貫通ドメイン、および任意で、細胞質ドメインを含有する。いくつかの態様において、核酸分子は、シグナルペプチドをコードするヌクレオチドの配列をさらに含むことができる。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、対応する野生型IgSFメンバーの天然シグナルペプチドである(例えば、表2を参照のこと)。
例示的な膜貫通型免疫調節タンパク質は、i)SEQ ID NO:383に示されるアミノ酸配列、またはii)SEQ ID NO:243に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示しかつSEQ ID NO:243に含有される親和性が改変されたドメインまたはその中にアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む、ICOSL TIPである。また、i)SEQ ID NO:244に示されるヌクレオチドの配列、ii)SEQ ID NO:244に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を示しかつSEQ ID NO:243の親和性が改変されたドメインを含むTIPをコードする配列、または、iii)縮重コドンを有するi)またはii)の配列が、提供される。
いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質のエンドドメインが、少なくとも1つのITAM(免疫受容体チロシン活性化モチーフ)含有シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメインを含む、CAR関連膜貫通型免疫調節タンパク質が提供される。ITAMは、T細胞受容体シグナル伝達に関与するCD3-ζ鎖(「CD3-z」)を含む、免疫細胞のシグナル伝達に関与する多数のタンパク質シグナル伝達ドメインに見いだされる保存モチーフである。いくつかの態様において、エンドドメインは、CD3-ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CD3-ζシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:243に示されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:247に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を示しかつT細胞シグナル伝達の活性を保持するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR関連膜貫通型免疫調節タンパク質のエンドドメインは、T細胞の免疫調節応答をさらに調節する共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含むことができる。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、ICOS、41BBまたはOX40である。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28または4-1BBに由来し、かつ、SEQ ID NO:484~487のいずれかに示されるアミノ酸配列、または、SEQ ID NO:484~487に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を示しかつT細胞共刺激シグナル伝達の活性を保持するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、提供されるCAR関連膜貫通型免疫調節タンパク質は、親和性改変IgSFドメインの同族結合パートナーまたはカウンター構造体への結合によってT細胞シグナル伝達を刺激する、CARの特徴を有する。いくつかの態様において、親和性改変IgSFドメインのそのカウンター構造体への特異的結合によって、細胞傷害性、増殖またはサイトカイン産生の変化によって反映されるとおり、T細胞活性の免疫活性の変化を導くことができる。
いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、細胞質シグナル伝達を媒介することができるエンドドメインを含有しない。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、野生型または未改変ポリペプチドのシグナル伝達機序を欠いており、それゆえ、それ自体細胞シグナル伝達を誘導しない。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、対応する参照(例えば未改変)または野生型ポリペプチドの細胞内(細胞質)ドメインを欠いているか、または細胞内ドメインの一部分、例えばSEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列に含有される細胞質シグナル伝達ドメインを欠いている(表2を参照のこと)。いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、例えばIgSFファミリーの阻害性受容体(例えば、PD-1またはTIGIT)を含むある特定の阻害性受容体に含有される、ITIM(免疫受容体チロシン系阻害モチーフ)を含有しない。したがって、いくつかの態様において、膜貫通型免疫調節タンパク質は、エクトドメインおよび膜貫通ドメイン(例えば、記載のとおりのいずれか)のみを含有する。
2. 分泌された免疫調節タンパク質および改変細胞
いくつかの態様において、本明細書に記載のとおりのアミノ酸変異のいずれか1つまたは複数を含有するICOSLバリアント免疫調節ポリペプチドは、例えば細胞に発現するとき、分泌可能である。そのようなバリアントICOSL免疫調節タンパク質は、膜貫通ドメインを含まない。いくつかの態様において、バリアントICOSL免疫調節タンパク質は、半減期延長部分(例えば、Fcドメインまたは多量体化ドメイン)にコンジュゲートされない。いくつかの態様において、バリアントICOSL免疫調節タンパク質は、ドメインを細胞外に出す、シグナルペプチド、例えば抗体シグナルペプチドまたは他の効率的なシグナル配列を含む。免疫調節タンパク質がシグナルペプチドを含みかつ改変細胞によって発現されるとき、シグナルペプチドは、免疫調節タンパク質が改変細胞によって分泌されるようにする。概して、シグナルペプチド、またはシグナルペプチドの一部分は、分泌と共に免疫調節タンパク質から切断される。免疫調節タンパク質は、核酸(発現ベクターの一部分であることができる)によってコードされることができる。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、細胞(例えば、免疫細胞、例えば初代免疫細胞)によって発現および分泌される。
したがって、いくつかの態様において、シグナルペプチドをさらに含むバリアントICOSL免疫調節タンパク質が提供される。いくつかの態様において、シグナルペプチドをコードする分泌配列に機能的に接続されたバリアントICOSL免疫調節タンパク質をコードする核酸分子が本明細書において提供される。
シグナルペプチドは、細胞からの免疫調節タンパク質の分泌を合図する、免疫調節タンパク質のN末端上の配列である。いくつかの態様において、シグナルペプチドのアミノ酸長は、約5~約40アミノ酸(例えば、約5~約7、約7~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、または約25~約30、約30~約35、または約35~約40アミノ酸)である。
いくつかの態様において、シグナルペプチドは、対応する野生型ICOSL由来の天然シグナルペプチドである(表6を参照のこと)。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、非天然シグナルペプチドである。例えば、いくつかの態様において、非天然シグナルペプチドは、対応する野生型ICOSL由来の変異体天然シグナルペプチドであり、かつ、1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10またはそれ以上)の置換、挿入、または欠失を含むことができる。いくつかの態様において、非天然シグナルペプチドは、野生型IgSFファミリーメンバーと同じIgSFファミリー由来のファミリーメンバーのシグナルペプチドまたはその変異体である。いくつかの態様において、非天然シグナルペプチドは、野生型IgSFファミリーメンバーとは異なるIgSFファミリー由来のIgSFファミリーメンバー由来のシグナルペプチドまたはその変異体である。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、非IgSFタンパク質ファミリー由来のシグナルペプチドまたはその変異体、例えば免疫グロブリン(例えば、IgG重鎖またはIgGκ軽鎖)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-2(IL-2)、またはCD33)、血清アルブミンタンパク質(例えば、HSAまたはアルブミン)、ヒトアズロシジンプレタンパク質シグナル配列、ルシフェラーゼ、トリプシノーゲン(例えば、キモトリプシノーゲンまたはトリプシノーゲン)由来のシグナルペプチド、または細胞からタンパク質を効率的に分泌することができる他のシグナルペプチドである。例示的なシグナルペプチドは、表6に記載のいずれかを含む。
分泌性バリアントICOSL免疫調節タンパク質のいくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、発現されたときのシグナルペプチドを含み、そして、シグナルペプチド(またはその一部分)は、分泌によって免疫調節タンパク質から切断される。
いくつかの態様において、改変細胞は、細胞から分泌されるバリアントICOSLポリペプチドを発現する。いくつかの態様において、そのようなバリアントICOSLポリペプチドは、分泌のためのシグナル配列の操作可能な制御下、免疫調節タンパク質をコードする核酸分子によってコードされている。いくつかの態様において、コードされている免疫調節タンパク質は、細胞から発現されたときに分泌される。いくつかの態様において、核酸分子によってコードされている免疫調節タンパク質は、膜貫通ドメインを含まない。いくつかの態様において、核酸分子によってコードされている免疫調節タンパク質は、半減期延長部分(例えば、Fcドメインまたは多量体化ドメイン)を含まない。いくつかの態様において、核酸分子によってコードされている免疫調節タンパク質は、シグナルペプチドを含む。いくつかの態様において、本発明の核酸は、免疫調節タンパク質をコードする核酸に機能的に連結された分泌性またはシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含み、それによって、免疫調節タンパク質の分泌が可能となる。
3. 細胞および細胞の改変
提供される免疫調節ポリペプチドのいずれかを発現する改変細胞が本明細書において提供される。いくつかの態様において、改変細胞は、それらの表面上に、提供される膜貫通型免疫調節ポリペプチドのいずれかを発現する。いくつかの態様において、改変細胞は、免疫調節タンパク質を発現して、タンパク質の分泌に好適な条件下で細胞から分泌可能であるか、または分泌することができる。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質は、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、T細胞、もしくはNK細胞などのリンパ球上またはリンパ球において、または骨髄系細胞上に発現する。いくつかの態様において、改変細胞は、抗原提示細胞(APC)である。いくつかの態様において、改変細胞は、改変された哺乳動物T細胞または改変された哺乳動物抗原提示細胞(APC)である。いくつかの態様において、改変されたT細胞またはAPCは、ヒトまたはネズミ細胞である。
いくつかの態様において、改変されたT細胞は、限定されないが、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞(あるいは、細胞傷害性Tリンパ球またはCTL)、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、メモリーT細胞、またはγδT細胞を含む。いくつかの態様において、改変されたT細胞は、CD4+またはCD8+である。MHCのシグナルに加えて、改変されたT細胞はまた、いくつかの態様において先に考察したとおりの膜結合形態で発現するバリアントICOSL膜貫通型免疫調節ポリペプチドによって提供される、共刺激シグナルを必要とする。
いくつかの態様において、改変されたAPCは、例えば、MHC IIを発現するAPC、例えばマクロファージ、B細胞、および樹状細胞、ならびに細胞および無細胞(例えば、生分解性高分子微粒子)人工APC(aAPC)の両方を含むaAPCを含む。人工APC(aAPC)は、これらが抗原をT細胞に提示しかつそれらを活性化するという点でAPCと類似の様式で作用することができる、APCの合成バージョンである。抗原提示は、MHC(クラスIまたはクラスII)によって実施される。いくつかの態様において、aAPCのような改変されたAPCでは、MHC上に負荷される抗原は、いくつかの態様において、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原である。MHC上に負荷される抗原は、いくつかの場合では、ICOS、CD28、または本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドによって認識される他の分子を発現することができる、T細胞のT細胞受容体(TCR)によって認識される。aAPCを改変するために使用することができる材料は、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、酸化鉄、リポソーム、脂質二重層、セファロース、およびポリスチレンを含む。
いくつかの態様において、細胞aAPCは、養子細胞療法において用いられるTIPおよびTCRアゴニストを含有するように改変することができる。いくつかの態様において、細胞aAPCは、例えば、投与前、例えば、患者に再導入するための投与の前に、ヒトT細胞のエクスビボ拡大において用いられるTIPおよびTCRアゴニストを含有するように改変することができる。いくつかの局面において、aAPCは、少なくとも1つの抗CD3抗体クローン、例えば、OKT3および/またはUCHT1の発現を含んでもよい。いくつかの局面において、aAPCsは不活性化(例えば、放射線照射)されてもよい。ある態様では、TIPはT細胞上の同族結合パートナーに対して結合親和性を示す任意のバリアントIgSFドメインを含むことができる。
いくつかの局面において、本明細書において提供される免疫調節タンパク質、例えば、膜貫通免疫調節タンパク質または分泌可能な免疫調節タンパク質は、抗原結合受容体、例えば、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現する細胞の中にあるように共発現または改変される。いくつかの態様において、改変された細胞、例えば、改変されたT細胞は、がん、炎症性および自己免疫性の障害、またはウイルス感染症に関連する望ましい抗原を認識する。特定の態様において、抗原結合受容体は、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原に特異的に結合する抗原結合部分を含有する。いくつかの態様において、改変されたT細胞は、抗原、例えば、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原に特異的に結合する抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を含有するCAR(キメラ抗原受容体)T細胞である。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は特定の抗原、例えば、CD19に特異的である。CARの例は、抗CD19 CAR、例えば、SEQ ID NO:482またはSEQ ID NO:245に示される抗CD19 scFvを含有するCARである。いくつかの態様において、TIPタンパク質は、改変されたT細胞受容体細胞または改変されたキメラ抗原受容体細胞において発現される。このような態様において、改変された細胞は、TIPと、CARまたはTCRを共発現する。いくつかの態様において、SIPタンパク質は、改変されたT細胞受容体細胞または改変されたキメラ抗原受容体細胞において発現される。このような態様において、改変された細胞はSIPと、CARまたはTCRを共発現する。
キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原結合ドメイン(エクトドメイン)、膜貫通ドメイン、および抗原が結合した後に活性化シグナルをT細胞に誘導または媒介することができる細胞内シグナル伝達領域(エンドドメイン)を含む組換え受容体である。いくつかの例では、CAR発現細胞は、活性化ドメイン、場合によっては、補助刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された、特定の腫瘍抗原に対して特異性を有する細胞外単鎖可変断片(scFv)を発現するように改変されている。補助刺激ドメインは、例えば、CD28、OX-40、4-1BB/CD137、または誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)に由来してもよい。活性化ドメインは、例えば、CD3、例えば、CD3ζ、ε、δ、γなどに由来してもよい。ある特定の態様において、CARは2つ、3つ、4つ、またはそれより多くの補助刺激ドメインを有するように設計される。CAR scFvは、疾患または病態に関連する細胞の表面で発現する抗原、例えば、腫瘍抗原、例えば、全ての正常B細胞と、NHL、CLL、および非T細胞ALLを含むが、これに限定されないB細胞悪性腫瘍を含むB細胞系列の細胞が発現する膜貫通タンパク質であるCD19を標的とするように設計することができる。例示的なCAR+T細胞療法および構築物は米国特許出願公開番号2013/0287748、2014/0227237、2014/0099309、および2014/0050708において説明され、これらの参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
いくつかの局面において、抗原結合ドメインは、抗体またはその抗原結合断片、例えば、単鎖断片(scFv)である。いくつかの態様において、前記抗原は腫瘍またはがん細胞の表面に発現している。抗原の例はCD19である。CARの例は抗CD19 CAR、例えば、SEQ ID NO:245に示される抗CD19 scFvを含有するCARである。いくつかの態様において、CARは、スペーサー、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメイン、またはITAMシグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む領域をさらに含む。いくつかの態様において、CARは補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。
いくつかの態様において、CARは、スペーサーまたはヒンジ、膜貫通ドメイン、およびITAMシグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメイン(エンドドメイン)をさらに含有する。いくつかの態様において、CARは補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。補助刺激ドメインは、例えば、CD28、OX-40、4-1BB/CD137、または誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)に由来してもよい。ある特定の態様において、CARは2つ、3つ、4つ、またはそれより多くの補助刺激ドメインを有するように設計される。CAR scFvは、疾患または病態に関連する細胞の表面で発現する抗原、例えば、腫瘍抗原、例えば、全ての正常B細胞と、NHL、CLL、および非T細胞ALLを含むが、これに限定されないB細胞悪性腫瘍を含むB細胞系列の細胞が発現する膜貫通タンパク質であるCD19を標的とするように設計することができる。例示的なCAR+T細胞療法および構築物は米国特許出願公開番号2013/0287748、2014/0227237、2014/0099309、および2014/0050708において説明され、これらの参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。いくつかの態様において、スペーサーまたはヒンジは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインの間に存在し、例えば、細胞の表面で発現するときには抗原結合ドメインと原形質膜の間にある。いくつかの態様において、スペーサーまたはヒンジは、IgGサブクラス(例えば、IgG1およびIgG4、IgDまたはCD8)に由来する(例えば、Qin et al. (2017) J. Hematol. Oncol., 10:68を参照されたい)。いくつかの態様において、スペーサーまたはヒンジはIgG1に由来する。
いくつかの局面において、スペーサーおよび膜貫通ドメインは、CD8に由来するヒンジおよび膜貫通ドメイン、例えば、SEQ ID NO:246、483、もしくは897に示した例示的な配列、またはSEQ ID NO:246、483、もしくは897に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を有するヒンジおよび膜貫通ドメインである。いくつかの態様において、エンドドメインはCD3-ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CD3-ζシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:243に示されるアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:247に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示し、T細胞シグナル伝達の活性を保持しているアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARのエンドドメインは、T細胞の免疫調節応答をさらに調整するように補助刺激シグナル伝達ドメインまたは補助刺激シグナル伝達領域をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、補助刺激シグナル伝達ドメインは補助刺激領域であるか、もしくは補助刺激領域を含むか、またはCD28、ICOS、41BB、もしくはOX40の補助刺激領域に由来する。いくつかの態様において、補助刺激シグナル伝達ドメインは、CD28または4-1BBに由来し、SEQ ID NO:484~487のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:484~487に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示しかつT細胞補助刺激シグナル伝達の活性を保持しているアミノ酸配列を含む。
ICOSLポリペプチドをコードし、1種類または複数種のタンパク質、例えば、組換え抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)または改変されたT細胞受容体(TCR))、マーカー、および1種類または複数種の自己切断ペプチドをコードするポリヌクレオチドが本明細書において提供される。いくつかの態様において、CARをコードする構築物は、自己切断ペプチド配列によってCARから分離される第2のタンパク質、例えば、マーカー、例えば、検出可能なタンパク質をさらにコードする。いくつかの例では、バリアントICOSLポリペプチドをコードする核酸は、タンパク質をコードする核酸である1つまたは複数の配列から分離され、前記タンパク質は組換え抗原受容体(例えば、CARもしくはTCR)、マーカー、サイトカイン、またはケモカインをコードする。前記ヌクレオチド配列はいずれもベクター、例えば、ウイルスベクターの中にあってもよい。いくつかの例では、前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。
いくつかの態様において、自己切断ペプチド配列はF2A、T2A、E2A、またはP2A自己切断ペプチドである。T2A自己切断ペプチドの例示的な配列をSEQ ID NO:250、488、860~862のいずれか1つに、あるいはSEQ ID NO:250、488、860~862のいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列に示した。いくつかの態様において、T2Aは、SEQ ID NO:249に示されるヌクレオチド配列、あるいはSEQ ID NO:249のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示す配列によってコードされる。P2A自己切断ペプチドの例示的な配列を、SEQ ID NO:863、あるいはSEQ ID NO:863に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列に示した。場合によっては、複数種のP2A自己切断ペプチド(例えば、P2A1およびP2A2)をコードする核酸構築物であって、ヌクレオチド配列P2A1およびP2A2がそれぞれ、SEQ ID NO:863に示されるP2Aをコードし、前記ヌクレオチド配列が配列間の組換えを避けるために異なってもよい、核酸構築物。
いくつかの態様において、マーカーは、検出可能なタンパク質、例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)または青色蛍光タンパク質(BFP)である。蛍光タンパク質マーカーの例示的な配列を、SEQ ID NO:489、858、859、903、またはSEQ ID NO:489、858、859、903に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列に示した。
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:479、490、491、492、898、899、901、または902のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するか、またはSEQ ID NO:479、490、491、492、898、899、901、もしくは902のいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、もしくはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列を有する、抗CD19 CARである。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:248または900に示したヌクレオチド配列、あるいはSEQ ID NO:248または900のいずれか1つに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれより高い配列同一性を示すアミノ酸配列によってコードされる。
別の態様において、改変されたT細胞は、組換えまたは改変されたTCRを含むTCRを保有する。いくつかの態様において、TCRは、天然TCRであることができる。当業者は、概して天然の哺乳動物T細胞受容体が抗原特異的認識および結合に関与するアルファおよびベータ鎖(またはγおよびδ鎖)を含むことを認識するだろう。いくつかの態様において、TCRは、修飾されている改変されたTCRである。いくつかの態様において、改変されたT細胞のTCRは、APCによって提示された腫瘍関連または腫瘍特異的抗原に特異的に結合する。
いくつかの態様において、免疫調節ポリペプチド、例えば膜貫通型免疫調節ポリペプチドまたは分泌性免疫調節ポリペプチドを、組換え宿主細胞に採用されるもののような多種多様な戦略によって、改変細胞、例えば改変されたT細胞または改変されたAPCに組み込むことができる。DNA構築物を初代T細胞に導入するための多種多様な方法が当技術分野において公知である。いくつかの態様において、ウイルス形質導入またはプラスミドエレクトロポレーションが採用される。典型的な態様において、免疫調節タンパク質をコードする核酸分子、または発現ベクターは、発現された膜貫通型免疫調節タンパク質を細胞膜に局在化させるかまたは分泌のためのシグナルペプチドを含む。いくつかの態様において、本発明の膜貫通型免疫調節タンパク質をコードする核酸は、宿主哺乳動物細胞での発現を可能にするウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターにサブクローニングされる。発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入することができ、宿主細胞培養条件下で、免疫調節タンパク質は表面上に発現するかまたは分泌される。
例示的な例では、初代T細胞を、エクスビボで精製して(CD4細胞またはCD8細胞または両方)、種々のTCR/CD28アゴニスト、例えば抗CD3/抗CD28をコートしたビーズからなる活性化プロトコルで刺激することができる。2または3日の活性化プロセス後、免疫調節ポリペプチドを含有する組換え発現ベクターを、当技術分野で標準的なレンチウイルスもしくはレトロウイルス形質導入プロトコルまたはプラスミドエレクトロポレーション戦略により、初代T細胞に安定的に導入することができる。細胞を、例えば、天然親分子およびポリペプチド(バリアントICOSLを含む)と交差反応する抗エピトープタグまたは抗体を使用するフローサイトメトリーによって、免疫調節ポリペプチド発現についてモニタリングすることができる。免疫調節ポリペプチドを発現するT細胞を、用途に応じて、抗エピトープタグ抗体を用いたソーティングにより濃縮することも、高または低発現のために濃縮することもできる。
免疫調節ポリペプチド発現によって、改変されたT細胞を、多種多様な手段によって、適切な機能についてアッセイすることができる。改変されたCARまたはTCRの共発現を検証して、改変されたT細胞のこの部分が免疫調節タンパク質の発現による影響をほとんど受けなかったことを示すことができる。検証したら、標準的なインビトロ細胞傷害性、増殖、またはサイトカインアッセイ(例えば、IFN-γ発現)を使用して、改変されたT細胞の機能を評価することができる。例示的な標準エンドポイントは、腫瘍株の溶解率、改変されたT細胞の増殖、または培養上清中のIFN-γタンパク質発現である。対照構築物に対して統計的に有意な腫瘍株の溶解の増加、改変されたT細胞の増殖の増加、またはIFN-γ発現の増加をもたらす改変された構築物を選択することができる。追加的に、改変されていない細胞、例えば天然の初代または内因性T細胞をまた同じインビトロアッセイに組み込んで、改変細胞、例えば改変されたT細胞上に発現する免疫調節ポリペプチド構築物の、バイスタンダー天然T細胞における活性を調節する(いくつかの場合では、エフェクター機能を活性化および生成することを含む)能力を測定することもできる。活性化マーカー、例えばCD69、CD44、またはCD62Lの増加した発現を内因性T細胞上でモニタリングすることもでき、増加した増殖および/またはサイトカイン産生は、改変されたT細胞上に発現する免疫調節タンパク質の所望の活性を示すこともできる。
いくつかの態様において、類似のアッセイを使用して、CARまたはTCR単独を含有する改変されたT細胞の機能を、CARまたはTCRおよびTIP構築物を含有するものと比較することができる。典型的には、これらのインビトロアッセイは、種々の比率の改変されたT細胞および同族CARまたはTCR抗原を含有する「腫瘍」細胞株を一緒に培養下でプレーティングすることによって実施される。標準エンドポイントは、腫瘍株の溶解率、改変されたT細胞の増殖、または培養上清中のIFN-γ産生である。同じTCRまたはCAR構築物単独に対して、統計的に有意な腫瘍株の溶解の増加、改変されたT細胞の増殖の増加、またはIFN-γ産生の増加をもたらした改変された免疫調節タンパク質を選択することができる。
改変されたヒトT細胞を、マウスのT、NKおよびB細胞を欠いているNSG系統のような免疫不全マウスで分析することができる。CARまたはTCRが異種移植片上の標的カウンター構造体に結合しかつTIPの親和性改変IgSFドメインと共発現する改変されたヒトT細胞を、異種移植片と比較して異なる細胞数および比率にてインビボで養子移入することができる。例えば、ルシフェラーゼ/GFPベクターを含有するCD19+白血病腫瘍株の生着を、生物発光によりまたはエクスビボでフローサイトメトリーによってモニタリングすることができる。ある共通の態様において、異種移植片がネズミモデルに導入され、続いて数日後に改変されたT細胞が導入される。免疫調節タンパク質を含有する改変されたT細胞を、CARまたはTCR単独を含有する改変されたT細胞と比べて、増加した生存、腫瘍クリアランス、または改変されたT細胞の増殖数についてアッセイすることができる。インビトロアッセイと同様に、内因性の天然(すなわち、改変されていない)ヒトT細胞を共養子移入して、その集団において、より良好な生存または腫瘍クリアランスをもたらすエピトープ拡散の成功を予測することもできる。
D. バリアントポリペプチドおよび免疫調節タンパク質を発現する感染性物質
また、本明細書に記載の分泌性または膜貫通型免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド、例えばICOSL vIgDポリペプチドのいずれかをコードする核酸を含有する感染性物質が提供される。いくつかの態様において、そのような感染性物質は、本明細書に記載のバリアント免疫調節ポリペプチド、例えばICOSL vIgDポリペプチドをコードする核酸を、対象の標的細胞、例えば、対象の免疫細胞および/もしくは抗原提示細胞(APC)または腫瘍細胞に送達することができる。また、そのような感染性物質に含有される核酸、および/または、そのような感染性物質の生成もしくは改変のための核酸、例えばベクターおよび/またはプラスミド、ならびにそのような感染性物質を含有する組成物が提供される。いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、バリアントポリペプチドのTIPまたはSIPとしての細胞中への送達または発現のために、対象への投与によって、細胞、例えば免疫細胞(例えば、T細胞または抗原提示細胞)または腫瘍にインビボで感染することができる感染性物質(例えば、ウイルス性または細菌性物質)中で発現される。
いくつかの態様において、感染性物質は、微生物または病原菌である。いくつかの態様において、感染性物質は、ウイルスまたは細菌である。いくつかの態様において、感染性物質は、ウイルスである。いくつかの態様において、感染性物質は、細菌である。いくつかの態様において、そのような感染性物質は、本明細書に記載の分泌性または膜貫通型免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド、例えばICOSL vIgDポリペプチドのいずれかをコードする核酸配列を送達することができる。したがって、いくつかの態様において、感染性物質に感染されるまたは接触される対象の細胞は、バリアント免疫調節ポリペプチドを細胞表面上に発現させるかまたは分泌させることができる。いくつかの態様において、感染性物質はまた、1つまたは複数の他の治療薬または他の治療薬をコードする核酸を対象内の細胞および/または環境に送達することもできる。いくつかの態様において、感染性物質によって送達されることができる他の治療薬は、サイトカインまたは他の免疫調節分子を含む。
いくつかの態様において、感染性物質(例えば、ウイルスまたは細菌)は、本明細書に記載の分泌性または膜貫通型免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド(例えばICOSL vIgDポリペプチド)のいずれかをコードする核酸配列を含有し、対象の細胞の接触および/または感染によって、細胞は、感染性物質に含有される核酸配列によってコードされている分泌性または膜貫通型免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド(例えばICOSL vIgDポリペプチド)を発現する。いくつかの態様において、感染性物質を対象に投与することができる。いくつかの態様において、感染性物質を対象由来の細胞にエクスビボで導入することができる。
いくつかの態様において、感染性物質によって感染された細胞によって発現する膜貫通型免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド、例えばICOSL vIgDポリペプチドは、膜貫通型タンパク質であり、表面に発現する。いくつかの態様において、感染性物質によって感染された細胞によって発現される分泌性免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド、例えばICOSL vIgDポリペプチドは、細胞から発現されかつ分泌される。膜貫通型免疫調節タンパク質または分泌された免疫調節タンパク質は、本明細書に記載のいずれかであることができる。
いくつかの態様において、感染性物質によって標的とされる対象の細胞は、腫瘍細胞、免疫細胞、および/または抗原提示細胞(APC)を含む。いくつかの態様において、感染性物質は、腫瘍微小環境(TME)にある細胞を標的とする。いくつかの態様において、感染性物質は、免疫応答および/または特異的な細胞媒介性免疫応答(例えば、CD4および/またはCD8 T細胞応答、ここでCD8 T細胞応答は細胞傷害性T細胞(CTL)応答を含み得る)を調節する適切な細胞(例えば、APC、例えばペプチド/MHC複合体をその細胞表面上に提示する細胞、例えば樹状細胞)または組織(例えば、リンパ系組織)に、分泌性または膜貫通型の免疫調節タンパク質を含むバリアントポリペプチド(例えばICOSL vIgDポリペプチド)をコードする核酸を送達する。いくつかの態様において、感染性物質は、APC、例えば樹状細胞(DC)を標的とする。いくつかの態様において、本明細書に記載の感染性物質によって送達される核酸分子は、バリアント免疫調節ポリペプチドをコードする機能的に連結されたコード配列の特定の標的細胞における発現に必要な適切な核酸配列、例えば、調節エレメント、例えばプロモーターを含む。
いくつかの態様において、免疫調節ポリペプチドをコードする核酸配列を含有する感染性物質はまた、1つまたは複数の追加の遺伝子産物、例えば、サイトカイン、プロドラッグ変換酵素、細胞毒素および/または検出可能遺伝子産物をコードする核酸配列を含有することもできる。例えば、いくつかの態様において、感染性物質は、腫瘍溶解性ウイルスであり、ウイルスは、追加の治療用遺伝子産物をコードする核酸配列を含むことができる(例えば、Kirn et al., (2009) Nat Rev Cancer 9:64-71; Garcia-Aragoncillo et al., (2010) Curr Opin Mol Ther 12:403-411を参照のこと;米国特許第7,588,767号、第7,588,771号、第7,662,398号および第7,754,221号、ならびに米国特許出願公開第2007/0202572号、第2007/0212727号、第2010/0062016号、第2009/0098529号、第2009/0053244号、第2009/0155287号、第2009/0117034号、第2010/0233078号、第2009/0162288号、第2010/0196325号、第2009/0136917号および第2011/0064650号を参照のこと。いくつかの態様において、追加の遺伝子産物は、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の死をもたらすことができる治療用遺伝子産物、または免疫応答を増強もしくは強化もしくは調節できる遺伝子産物(例えば、サイトカイン)であることができる。例示的な遺伝子産物はまた、抗がん剤、抗転移剤、抗血管新生剤、免疫調節分子、免疫チェックポイント阻害剤、抗体、サイトカイン、成長因子、抗原、細胞傷害性遺伝子産物、アポトーシス促進性遺伝子産物、抗アポトーシス性遺伝子産物、細胞マトリックス分解性遺伝子、組織再生のための遺伝子、およびヒト体細胞の多能性へのリプログラミングのための遺伝子、ならびに本明細書に記載のまたは当業者に公知の他の遺伝子の中に含まれる。いくつかの態様において、追加の遺伝子産物は、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。
1. ウイルス
いくつかの態様において、感染性物質は、ウイルスである。いくつかの態様において、感染性物質は、腫瘍溶解性ウイルス、または、特定の細胞、例えば免疫細胞を標的とするウイルスである。いくつかの態様において、感染性物質は、対象の腫瘍細胞および/またはがん細胞を標的とする。いくつかの態様において、感染性物質は、免疫細胞または抗原提示細胞(APC)を標的とする。
いくつかの態様において、感染性物質は、腫瘍溶解性ウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞に蓄積しかつ腫瘍細胞において複製するウイルスである。腫瘍細胞における複製、および本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードする核酸の任意の送達によって、腫瘍細胞は溶解され、腫瘍は縮小し、排除されることができる。腫瘍溶解性ウイルスは、広範な宿主および細胞タイプの範囲を有することができる。例えば、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍および/または転移を含みまた創傷組織および細胞も含む、免疫特権を有する細胞または免疫特権を有する組織に蓄積し、したがって、本明細書に記載のバリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸の広範な細胞タイプにおける送達および発現が可能となる。腫瘍溶解性ウイルスはまた、腫瘍細胞特異的に複製し、その結果、腫瘍細胞溶解および効率的な腫瘍退縮をもたらすことができる。
例示的な腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、水疱性口腔ウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、パルボウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、コクサッキーウイルスおよびワクシニアウイルスを含む。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、他の臓器に感染することなく固体腫瘍に特異的に定着することができ、これを感染性物質として使用して、本明細書に記載のバリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸をそのような固体腫瘍に送達することができる。
本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードする核酸を送達する際に使用するための腫瘍溶解性ウイルスは、当業者に公知のもののいずれかであることができ、例えば、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)(例えば、米国特許第7,731,974号、第7,153,510号、第6,653,103号、および米国特許出願公開第2010/0178684号、第2010/0172877号、第2010/0113567号、第2007/0098743号、第20050260601号、第20050220818号、および欧州特許第1385466号、第1606411号および第1520175号を参照のこと);単純ヘルペスウイルス(例えば、米国特許第7,897,146号、第7,731,952号、第7,550,296号、第7,537,924号、第6,723,316号、第6,428,968号、および米国特許出願公開第2014/0154216号、第2011/0177032号、第2011/0158948号、第2010/0092515号、第2009/0274728号、第2009/0285860号、第2009/0215147号、第2009/0010889号、第2007/0110720号、第2006/0039894号、第2004/0009604号、第2004/0063094号、国際特許公開WO 2007/052029、WO 1999/038955を参照のこと);レトロウイルス(例えば、米国特許第6,689,871号、第6,635,472号、第5,851,529号、第5,716,826号、第5,716,613号および米国特許出願公開第20110212530号を参照のこと);ワクシニアウイルス(例えば、2016/0339066号を参照のこと)、およびアデノ随伴ウイルス(例えば、米国特許第8,007,780号、第7,968,340号、第7,943,374号、第7,906,111号、第7,927,585号、第7,811,814号、第7,662,627号、第7,241,447号、第7,238,526号、第7,172,893号、第7,033,826号、第7,001,765号、第6,897,045号、および第6,632,670号を参照のこと)を含む。
腫瘍溶解性ウイルスはまた、それらの病原性を減弱し、それらの安全性プロファイルを改善し、それらの腫瘍特異性を増強するように遺伝子が改変されているウイルスを含み、そして、これらはまた、ウイルスの有効性全体を改善する追加の遺伝子、例えば細胞毒素、サイトカイン、プロドラッグ変換酵素を備えている(例えば、Kirn et al., (2009) Nat Rev Cancer 9:64-71; Garcia-Aragoncillo et al., (2010) Curr Opin Mol Ther 12:403-411を参照のこと;米国特許第7,588,767号、第7,588,771号、第7,662,398号および第7,754,221号、ならびに米国特許出願公開第2007/0202572号、第2007/0212727号、第2010/0062016号、第2009/0098529号、第2009/0053244号、第2009/0155287号、第2009/0117034号、第2010/0233078号、第2009/0162288号、第2010/0196325号、第2009/0136917号および第2011/0064650号を参照のこと)。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、がん性細胞において選択的に複製するように改変されており、したがって腫瘍溶解性である、ウイルスであることができる。例えば、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍治療のためのまた遺伝子治療ベクターとしての改変された指向性を有するように改変されているアデノウイルスである。その例示は、ONYX-015、H101およびAd5ΔCR(Hallden and Portella (2012) Expert Opin Ther Targets, 16:945-58)ならびにTNFerade(McLoughlin et al. (2005) Ann. Surg. Oncol., 12:825-30)、または制限増殖型アデノウイルスOncorine(登録商標)である。
いくつかの態様において、感染性物質は、改変された単純ヘルペスウイルスである。いくつかの態様において、感染性物質は、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドのいずれかをコードする核酸を含有するよう改変された、タリモジーン・ラハーパレプベック(Talimogene laherparepvec)(T-Vec、ImlygicまたはOncoVex GM-CSFとしても公知)の改変されたバージョンである。いくつかの態様において、感染性物質は、例えば、WO 2007/052029、WO 1999/038955、US 2004/0063094、US 2014/0154216に記載されている改変された単純ヘルペスウイルス、またはそのバリアントである。
いくつかの態様において、感染性物質は、ウイルスが投与される対象の特定タイプの細胞を標的とするウイルス、例えば、免疫細胞または抗原提示細胞(APC)を標的とするウイルスである。樹状細胞(DC)は、免疫応答の開始および制御に必須のAPCである。DCは、抗原を捕捉およびプロセシングし、末梢からリンパ系臓器へ移動し、抗原を静止T細胞に主要組織適合性複合体(MHC)拘束様式で提示することができる。いくつかの態様において、感染性物質は、DCを特異的に標的としてDCにおける発現のためにバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードする核酸を送達できる、ウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、レンチウイルスまたはそのバリアントもしくは誘導体、例えば組み込み欠損型レンチウイルスベクターである。いくつかの態様において、ウイルスは、細胞表面マーカーである樹状細胞特異的細胞間接着分子-3-結合ノンインテグリン(DC-SIGN)を発現する細胞、例えばDCに効率的に結合して生産的に感染するよう偽型化された、レンチウイルスである。いくつかの態様において、ウイルスは、シンドビスウイルスE2糖タンパク質またはその改変された形態で偽型化されたレンチウイルス、例えばWO 2013/149167に記載されているものである。いくつかの態様において、ウイルスは、関心対象の配列(例えば、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドのいずれかをコードする核酸)のDCへの送達および発現を可能にする。いくつかの態様において、ウイルスは、WO 2008/011636、US 2011/0064763、Tareen et al. (2014) Mol. Ther., 22:575-587に記載されているもの、またはそのバリアントを含む。例示的な樹状細胞指向性ベクタープラットフォームは、ZVex(商標)である。
2. 細菌
いくつかの態様において、感染性物質は、細菌である。例えば、いくつかの態様において、細菌は、本明細書に記載のバリアント免疫調節ポリペプチドのいずれか、例えば、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードする核酸を、対象の標的細胞、例えば腫瘍細胞、免疫細胞、抗原提示細胞および/または食細胞に送達することができる。いくつかの態様において、細菌は、バリアント免疫調節ポリペプチドの発現および/もしくは分泌のため、ならびに/または、バリアント免疫調節ポリペプチドの発現のために環境の特異的細胞を標的とするため、対象内の特定の環境、例えば腫瘍微小環境(TME)に優先的に標的化されることができる。
いくつかの態様において、細菌は、プラスミドDNAの哺乳動物細胞への細菌媒介性移送(「バクトフェクション」とも称される)を介して核酸を細胞に送達する。例えば、いくつかの態様において、遺伝物質の送達は、細菌全体の標的細胞への侵入により達成される。いくつかの態様において、自発的なまたは誘導された溶菌は、その後の真核細胞発現のためのプラスミドの放出を導くことができる。いくつかの態様において、細菌は、核酸を、非食哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞)および/または食細胞、例えば、ある特定の免疫細胞および/またはAPCに送達することができる。いくつかの態様において、細菌によって送達される核酸を、発現のために対象の細胞の核に移すことができる。いくつかの態様において、核酸はまた、バリアント免疫調節ポリペプチドをコードする機能的に連結された配列の特定の宿主細胞における発現に必要な適切な核酸配列、例えば、調節エレメント、例えばプロモーターまたはエンハンサーを含む。いくつかの態様において、細菌である感染性物質は、免疫調節タンパク質をコードする核酸を、標的細胞の機構による翻訳のために標的細胞の細胞質に送達されるRNA、例えば予め製造された翻訳能力のあるRNAの形態で送達することができる。
いくつかの態様において、細菌は、標的細胞、例えば腫瘍細胞において複製し、該細胞を溶解することができる。いくつかの態様において、細菌は、標的細胞の細胞質で核酸配列および/または遺伝子産物を含有および/または放出し、それによって、標的細胞、例えば腫瘍細胞を殺傷することができる。いくつかの態様において、感染性物質は、対象の特定の環境、例えば、腫瘍微小環境(TME)で特異的に複製することができる細菌である。例えば、いくつかの態様において、細菌は、嫌気または低酸素微小環境で特異的に複製することができる。いくつかの態様において、特定の環境に存在する条件または因子、例えば、TMEにおいて細胞によって産生されるアスパラギン酸、セリン、クエン酸、リボースまたはガラクトースは、細菌を環境に誘引する化学誘引物質として作用することができる。いくつかの態様において、細菌は、本明細書に記載の免疫調節タンパク質を、環境、例えばTMEにおいて、発現および/または分泌することができる。
いくつかの態様において、感染性物質は、リステリア属(Listeria sp.)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)、エシェリキア属(Escherichia sp.)、クロストリジウム属(Clostridium sp.)、サルモネラ属(Salmonella sp.)、シゲラ属(Shigella sp.)、ビブリオ属(Vibrio sp.)またはエルシニア属(Yersinia sp)である細菌である。いくつかの態様において、細菌は、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・コレラエスイス(Salmonella choleraesuis)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、クロストリジウム・ノビイ(Clostridium novyi)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)およびビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)の1つまたは複数の中から選択される。いくつかの態様において、細菌は、改変された細菌である。いくつかの態様において、細菌は、改変された細菌、例えば、Seow and Wood (2009) Molecular Therapy 17(5):767-777; Baban et al. (2010) Bioengineered Bugs 1:6, 385-394; Patyar et al. (2010) J Biomed Sci 17:21; Tangney et al. (2010) Bioengineered Bugs 1:4, 284-287; van Pijkeren et al. (2010) Hum Gene Ther. 21(4):405-416; WO 2012/149364; WO 2014/198002; US 9103831; US 9453227; US 2014/0186401; US 2004/0146488; US 2011/0293705; US 2015/0359909およびEP 3020816に記載されているものである。細菌は、本明細書において提供されるバリアント免疫調節ポリペプチド、コンジュゲートおよび/または融合体のいずれかをコードする核酸配列を送達するように、かつ/またはそのようなバリアント免疫調節ポリペプチドを対象において発現するように、改変されることができる。
IV. ポリペプチドを生産するための核酸、ベクターおよび方法または細胞
本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドの種々の提供される態様のいずれかをコードする、単離されたまたは組換え核酸(「核酸」と総称される)が本明細書において提供される。いくつかの態様において、後述の全てを含む本明細書において提供される核酸は、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドの組換え産生(例えば、発現)に有用である。いくつかの態様において、後述の全てを含む本明細書において提供される核酸は、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドの細胞、例えば改変細胞、例えば免疫細胞、または感染性物質細胞における発現に有用である。本明細書において提供される核酸は、RNAの形態またはDNAの形態にあることができ、mRNA、cRNA、組換えまたは合成RNAおよびDNA、ならびにcDNAを含むことができる。本明細書において提供される核酸は、典型的には、DNA分子、通常二本鎖のDNA分子である。しかしながら、本発明のヌクレオチド配列のうちのいずれかを含む、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、およびハイブリッドDNA/RNA核酸またはその組み合わせも提供される。
また、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドを生産する際に有用な、組換え発現ベクターおよび組換え宿主細胞が本明細書において提供される。
また、提供される核酸分子のうちのいずれかまたはバリアントICOSLポリペプチドもしくは免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか(例えば、膜貫通型免疫調節ポリペプチドもしくは分泌性免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか)を含有する改変細胞(例えば、改変された免疫細胞)が本明細書において提供される。
また、提供される核酸分子のうちのいずれかまたはバリアントICOSLポリペプチドもしくは免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか(例えば、膜貫通型免疫調節ポリペプチドもしくは分泌性免疫調節ポリペプチドのうちのいずれか)を含有する感染性物質(例えば、細菌またはウイルス細胞)が本明細書において提供される。
上に提供される態様のいずれかにおいて、本明細書において提供されるバリアントポリペプチドまたは免疫調節ポリペプチドをコードする核酸を、組換えDNAおよびクローニング技術を使用して細胞に導入することができる。そのようにするために、免疫調節ポリペプチドをコードする組換えDNA分子が調製される。そのようなDNA分子を調製する方法は、当技術分野において周知である。例えば、ペプチドをコードする配列を、好適な制限酵素を使用してDNAから切り取ることもできる。あるいは、ホスホロアミダイト法のような化学合成技術を使用してDNA分子を合成することもできる。また、これらの技術の組み合わせを使用することもできる。いくつかの場合で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により組換えまたは合成核酸を生成してよい。いくつかの態様において、少なくとも1つの親和性改変IgSFドメインと、いくつかの態様において、シグナルペプチド、膜貫通ドメイン、および/またはエンドドメインを含有する1つまたは複数のバリアントICOSLポリペプチドをコードするDNAインサートを、提供される説明に従って生成することができる。このDNAインサートを、当業者に公知のとおり、適切な形質導入/トランスフェクションベクターにクローニングすることができる。また、当該核酸分子を含有する発現ベクターも提供される。
いくつかの態様において、発現ベクターは、タンパク質の発現に適する条件下で免疫調節タンパク質を適切な細胞において発現することができる。いくつかの局面において、核酸分子または発現ベクターは、適切な発現制御配列に機能的に連結された免疫調節タンパク質をコードするDNA分子を含む。DNA分子がベクターに挿入される前か後かのいずれかのこの機能的連結を達成する方法は周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、および転写または翻訳の制御に関与する他のシグナルを含む。
いくつかの態様において、免疫調節タンパク質の発現は、プロモーターまたはエンハンサーによって制御されて、発現を制御または調節する。プロモーターは、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードする核酸分子の部分に機能的に連結されている。いくつかの態様において、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター(例えば、組織特異的な構成的に活性なプロモーターまたは他の構成的プロモーター)である。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導物質(例えば、T細胞活性化シグナル)に応答性であり得る誘導性プロモーターである。
いくつかの態様において、構成的プロモーターは、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結されている。例示的な構成的プロモーターは、サル空胞ウイルス40(SV40)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ユビキチンC(UbC)プロモーター、およびEF-1アルファ(EF1a)プロモーターを含む。いくつかの態様において、構成的プロモーターは、組織特異的である。例えば、いくつかの態様において、プロモーターは、免疫調節タンパク質の特定の組織、例えば免疫細胞、リンパ球、またはT細胞における構成的発現を可能にする。例えば、フェトタンパク質、DF3、チロシナーゼ、CEA、界面活性タンパク質、およびErbB2プロモーターを含む、例示的な組織特異的プロモーターが米国特許第5,998,205号に記載されている。
いくつかの態様において、誘導性プロモーターは、転写の適切な誘導因子の存在または非存在を制御することによって核酸の発現が制御可能であるように、バリアントポリペプチドまたは免疫調節タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結されている。例えば、プロモーターは、コードされているポリペプチドの調節された発現を可能にする、調節されたプロモーターおよび転写因子発現系、例えば公開されているテトラサイクリンで調節された系または他の調節可能な系(例えば、公開されている国際PCT出願WO 01/30843を参照のこと)であることができる。例示的な調節可能なプロモーター系は、例えばClontech(Palo Alto, CA)から入手可能なTet-On(およびTet-Off)系である。このプロモーター系は、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン誘導体、例えばドキシサイクリンによって制御される、導入遺伝子の調節された発現を可能にする。他の調節可能なプロモーター系は公知である(例えば、リガンド結合ドメインおよび転写調節ドメイン、例えばホルモン受容体由来のものを含有する遺伝子スイッチを説明している「Regulation of Gene Expression Using Single-Chain, Monomeric, Ligand Dependent Polypeptide Switches」という表題の公開されている米国特許出願第2002-0168714号を参照のこと)。
いくつかの態様において、プロモーターは、T細胞活性化シグナル伝達に応答性のエレメントに応答性である。一例として、いくつかの態様において、改変されたT細胞は、免疫調節タンパク質および免疫調節タンパク質の制御発現に機能的に連結されたプロモーターをコードする発現ベクターを含む。改変されたT細胞を、例えば、改変されたT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)によるシグナル伝達によって活性化することができ、それによって、応答性プロモーターによる免疫調節タンパク質の発現および分泌を引き起こすことができる。
いくつかの態様において、誘導性プロモーターは、免疫調節タンパク質が活性化されたT細胞の核因子(NFAT)または活性化されたB細胞の核因子κ軽鎖エンハンサー(NF-κB)に応答して発現するように、免疫調節タンパク質をコードする核酸分子に機能的に連結されている。例えば、いくつかの態様において、誘導性プロモーターは、NFATまたはNF-κBの結合部位を含む。例えば、いくつかの態様において、プロモーターは、NFATもしくはNF-κBプロモーター、またはその機能的バリアントである。したがって、いくつかの態様において、核酸は、また免疫調節タンパク質の毒性を低減または排除もしながら、免疫調節タンパク質の発現を制御することを可能にする。特に、本発明の核酸を含む改変された免疫細胞は、細胞(例えば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞)が抗原によって特異的に刺激されるとき、および/または、細胞(例えば、細胞のカルシウムシグナル伝達経路)が、例えば、ホルボールミリスタートアセタート(PMA)/イオノマイシンによって非特異的に刺激されるときにだけ、免疫調節タンパク質を発現および分泌する。したがって、免疫調節タンパク質の発現、およびいくつかの場合では分泌を、それが必要な時と場合に(例えば、感染症を引き起こす物質の、がんの存在下、または腫瘍部位で)だけ起こるように制御することができ、それで望ましくない免疫調節タンパク質相互作用を低減させるかまたは回避することができる。
いくつかの態様において、本明細書に記載の免疫調節タンパク質をコードする核酸は、NFATプロモーター、NFκBプロモーター、またはその機能的バリアントをコードする好適なヌクレオチド配列を含む。「NFATプロモーター」は、本明細書において使用される場合、最小プロモーターに連結された1つまたは複数のNFAT応答性エレメントを意味する。「NFκBプロモーター」は、最小プロモーターに連結された1つまたは複数のNFκB応答性エレメントを指す。いくつかの態様において、遺伝子の最小プロモーターは、最小ヒトIL-2プロモーターまたはCMVプロモーターである。NFAT応答性エレメントは、例えば、NFAT1、NFAT2、NFAT3、および/またはNFAT4応答性エレメントを含み得る。NFATプロモーター、NFκBプロモーター、またはその機能的バリアントは、任意の数の結合モチーフ、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または最大で12個の結合モチーフを含み得る。
DNA分子をその上に有する得られた組換え発現ベクターを使用して、適切な宿主を形質転換する。当技術分野において周知の方法を使用してこの形質転換を実施することができる。いくつかの態様において、本明細書において提供される核酸は、結果として得られる可溶性免疫調節ポリペプチドが培養培地、宿主細胞、または宿主細胞ペリプラズムから回収されるように、免疫調節ポリペプチドをコードする核酸に機能的に連結された分泌性またはシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。他の態様において、免疫調節ポリペプチドの膜発現が可能となるように適切な発現制御シグナルが選択される。さらに、市販のキットおよび委託製造会社を利用して、本明細書において提供される改変細胞または組換え宿主細胞を製造することもできる。
いくつかの態様において、DNA分子をその上に有する得られた発現ベクターを使用して、適切な細胞を形質転換、例えば形質導入する。導入を、当技術分野において周知の方法を使用して実施することができる。例示的な方法は、ウイルス、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルス、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを介することを含む、受容体をコードする核酸の移送のためのものを含む。いくつかの態様において、発現ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様において、核酸は、レンチウイルスまたはレトロウイルス形質導入法によって細胞に移送される。
哺乳動物T細胞またはAPCを含む多数の公的に入手可能で周知の哺乳動物宿主細胞のいずれかを、ポリペプチドまたは改変細胞を調製する際に使用することができる。細胞の選択は、当技術分野によって認識される多数の要因に依存する。これらは、例えば、選択された発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされているペプチドの毒性、形質転換率、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生物安全性およびコストを含む。これらの要因のバランスは、全ての細胞が特定のDNA配列の発現に等しく効果的であるとは限らないという理解に立たなければならない。
いくつかの態様において、宿主細胞は、様々な真核細胞、例えば、酵母細胞、または哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)またはHEK293細胞でもよい。いくつかの態様において、宿主細胞は懸濁細胞であり、前記ポリペプチドは培養懸濁液中で、例えば、CHO細胞、例えば、CHO-S細胞の培養懸濁液中で改変または産生される。いくつかの例では、細胞株は、DHFRが欠損しているCHO細胞株(DHFR-)、例えば、DG44およびDUXB11である。いくつかの態様において、前記細胞は、グルタミン合成酵素(GS)が欠損している、例えば、CHO-S細胞、CHOK1 SV細胞、およびCHOZN((R))GS-/-細胞である。いくつかの態様において、CHO細胞、例えば、懸濁CHO細胞は、CHO-S-2H2細胞、CHO-S-クローン14細胞、またはExpiCHO-S細胞でもよい。
いくつかの態様において、提供されるICOSLポリペプチドをCHO細胞から発現させると、産生タンパク質のもっと均一な組成物が得られる。いくつかの態様において、提供されるICOSLポリペプチドは、CHO細胞から発現するときに、完全ECD参照配列を含有し、かつ/またはプロテアーゼ切断部位(例えば、LQQN/LT)を含有するICOSLポリペプチドと比較してもっと均一な産物をもたらす。いくつかの態様において、本明細書において産生されたICOSLバリアントポリペプチドを含有する、産生されたタンパク質の組成物の少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%は、同じアミノ酸長を有し、同じサイズである。サイズ均一性を評価するための技法には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー、SDSpage、または配列決定が含まれる。
いくつかの態様において、宿主細胞は、酵母細胞のような多種多様な真核細胞、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)またはHEK293細胞のような哺乳動物細胞であることができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)のような原核細胞であることもできる。形質転換された組換え宿主は、ポリペプチドを発現する条件下で培養され、次いで精製されて可溶性タンパク質を得る。組換え宿主細胞を、所望のポリペプチドを発現するような慣用の発酵条件下で培養することができる。そのような発酵条件は、当技術分野において周知である。最後に、本明細書において提供されるポリペプチドを、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および親和性クロマトグラフィーを含む当技術分野において周知の多数の方法のいずれかによって、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。所望であれば、成熟タンパク質の立体配置の完成においてタンパク質のリフォールディング工程を使用することができる。最後に、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程に採用することができる。
いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞、例えば改変細胞の調製と関連して上記したいずれかである。いくつかの態様において、そのような改変細胞は、初代細胞である。いくつかの態様において、改変細胞は、対象にとって自家である。いくつかの態様において、改変細胞は、対象にとって同種である。いくつかの態様において、改変細胞を、対象から、例えば白血球除去療法によって得て、これを免疫調節ポリペプチド、例えば、膜貫通型免疫調節ポリペプチドまたは分泌性免疫調節ポリペプチドの発現のためにエクスビボで形質転換する。
また、本明細書に記載の感染性物質に含有されるバリアント免疫調節ポリペプチドのいずれかをコードする核酸が提供される。いくつかの態様において、感染性物質は、核酸を対象の細胞に送達し、かつ/または、コードされているバリアントポリペプチドの細胞における発現を許容する。また、そのような感染性物質を生成する、産生する、または調節するために使用される核酸も提供される。例えば、いくつかの態様において、感染性物質の生成、対象の細胞への送達および/またはバリアント免疫調節ポリペプチドの対象の細胞における発現のための、バリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸を含有するベクターおよび/またはプラスミドが提供される。
いくつかの態様において、提供される核酸は、バリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸配列を含有する、組換えウイルスまたは細菌ベクターである。いくつかの態様において、組換えベクターを使用して、バリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸配列を含有する感染性物質を生産し、かつ/または、標的細胞による発現のために対象の標的細胞に送達することができる。いくつかの態様において、組換えベクターは、発現ベクターである。いくつかの態様において、組換えベクターは、感染性物質の生成および/または産生ならびに標的細胞における発現に必要な適切な配列を含む。
いくつかの態様において、組換えベクターは、プラスミドまたはコスミドである。本明細書に記載のとおりのバリアント免疫調節ポリペプチドをコードする核酸配列を含有するプラスミドまたはコスミドは、当技術分野において周知の標準的な技術を使用して容易に構築される。感染性物質の生成のために、ベクターまたはゲノムをプラスミド形態で構築することができ、これを次いで、パッケージングもしくは産生細胞株または宿主細菌へトランスフェクトすることができる。組換えベクターを、当技術分野において公知の組換え技術のいずれかを使用して生成することができる。いくつかの態様において、ベクターは、原核生物の複製起源、ならびに/または、その発現が検出可能または選択可能マーカー、例えば原核生物系における伝播および/もしくは選択のための薬剤耐性を付与する遺伝子を含むことができる。
いくつかの態様において、組換えベクターは、ウイルスベクターである。例示的な組換えウイルスベクターは、レンチウイルスベクターゲノム、ポックスウイルスベクターゲノム、ワクシニアウイルスベクターゲノム、アデノウイルスベクターゲノム、アデノウイルス随伴ウイルスベクターゲノム、ヘルペスウイルスベクターゲノム、およびアルファウイルスベクターゲノムを含む。ウイルスベクターは、生ウイルスベクター、弱毒化ウイルスベクター、複製コンディショナルもしくは複製欠損ウイルスベクター、非病原性(欠陥)ウイルスベクター、複製能力のあるウイルスベクターであることができ、かつ/または、異種の遺伝子産物、例えば、本明細書において提供されるバリアント免疫調節ポリペプチドを発現するように改変される。ウイルスの生成のためのベクターはまた、転写または翻訳負荷を増加または減少する任意の方法を含め、ウイルスの弱毒化を変更するように改変されることができる。
使用することができる例示的なウイルスベクターは、改変されたワクシニアウイルスベクター(例えば、Guerra et al., J. Virol. 80:985-98 (2006); Tartaglia et al., AIDS Research and Human Retroviruses 8: 1445-47 (1992); Gheradi et al., J. Gen. Virol. 86:2925-36 (2005); Mayr et al., Infection 3:6-14 (1975); Hu et al., J. Virol. 75: 10300-308 (2001); 米国特許第5,698,530号、第6,998,252号、第5,443,964号、第7,247,615号および第7,368,116号を参照のこと);アデノウイルスベクターまたはアデノウイルス随伴ウイルスベクター(例えば、Molin et al., J. Virol. 72:8358-61 (1998); Narumi et al., Am J. Respir. Cell Mol. Biol. 19:936-41 (1998); Mercier et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:6188-93 (2004); 米国特許第6,143,290号; 第6,596,535第; 第6,855,317第; 第6,936,257第; 第7,125,717第; 第7,378,087第; 第7,550,296第を参照のこと);ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、同種指向性レトロウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、および組み合わせに基づくものを含むレトロウイルスベクター(例えば、Buchscher et al., J. Virol. 66:2731-39 (1992); Johann et al., J. Virol. 66: 1635-40 (1992); Sommerfelt et al., Virology 176:58-59 (1990); Wilson et al., J. Virol. 63:2374-78 (1989); Miller et al., J. Virol. 65:2220-24 (1991); Miller et al., Mol. Cell Biol. 10:4239 (1990); Kolberg, NIH Res. 4:43 1992; Cornetta et al., Hum. Gene Ther. 2:215 (1991) を参照のこと);ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、HIV-2、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、およびマエディ/ビスナウイルスに基づくものを含むレンチウイルスベクター(例えば、Pfeifer et al., Annu. Rev. Genomics Hum. Genet. 2: 177-211 (2001); Zufferey et al., J. Virol. 72: 9873, 1998; Miyoshi et al., J. Virol. 72:8150, 1998; Philpott and Thrasher, Human Gene Therapy 18:483, 2007; Engelman et al., J. Virol. 69: 2729, 1995; Nightingale et al., Mol. Therapy, 13: 1121, 2006; Brown et al., J. Virol. 73:9011 (1999); WO 2009/076524; WO 2012/141984; WO 2016/011083; McWilliams et al., J. Virol. 77: 11150, 2003; Powell et al., J. Virol. 70:5288, 1996を参照のこと)もしくはその任意のバリアント、および/または上記のウイルスのいずれかを生成するために使用できるベクターを含む。いくつかの態様において、組換えベクターは、例えばRNAウイルスの場合、パッケージング細胞株において、ウイルスゲノムの発現を調節することができる、調節配列、例えばプロモーターまたはエンハンサー配列を含むことができる(例えば、米国特許第5,385,839号および第5,168,062号を参照のこと)。
いくつかの態様において、組換えベクターは、発現ベクター、例えば、標的細胞、例えば対象の細胞、例えば腫瘍細胞、免疫細胞および/またはAPCに送達されたときにコードされている遺伝子産物の発現を許容する、発現ベクターである。いくつかの態様において、感染性物質に含有される組換え発現ベクターは、対象の標的細胞において、タンパク質の発現に適する条件下で、免疫調節タンパク質を発現することができる。
いくつかの局面において、核酸または発現ベクターは、適切な発現制御配列に機能的に連結された免疫調節タンパク質をコードする核酸配列を含む。免疫調節タンパク質をコードする核酸配列がベクターに挿入される前か後かのいずれかのこの機能的連結に作用する方法は周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、および転写または翻訳の制御に関与する他のシグナルを含む。プロモーターは、免疫調節タンパク質をコードする核酸配列の部分に機能的に連結されることができる。いくつかの態様において、プロモーターは、標的細胞における構成的に活性なプロモーター(例えば、組織特異的な構成的に活性なプロモーターまたは他の構成的プロモーター)である。例えば、組換え発現ベクターはまた、リンパ系組織特異的な転写調節エレメント(TRE)、例えばBリンパ球、Tリンパ球、または樹状細胞特異的なTREを含み得る。リンパ系組織特異的TREは、当技術分野において公知である(例えば、Thompson et al., Mol. Cell. Biol. 12:1043-53 (1992); Todd et al., J. Exp. Med. 177:1663-74 (1993); Penix et al., J. Exp. Med. 178:1483-96 (1993) を参照のこと)。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導物質(例えば、T細胞活性化シグナル)に応答性であり得る誘導性プロモーターである。いくつかの態様において、対象の標的細胞、例えば腫瘍細胞、免疫細胞および/またはAPCに送達される核酸は、上記の調節エレメントのいずれかに機能的に連結されることができる。
いくつかの態様において、ベクターは、細菌ベクター、例えば細菌プラスミドまたはコスミドである。いくつかの態様において、細菌ベクターは、プラスミドDNAの哺乳動物細胞への細菌媒介性移送(「バクトフェクション」とも称される)を介して、標的細胞、例えば腫瘍細胞、免疫細胞および/またはAPCに送達される。いくつかの態様において、送達される細菌ベクターはまた、標的細胞における発現のための適切な発現制御配列、例えばプロモーター配列および/もしくはエンハンサー配列、または上記の任意の調節もしくは制御配列のうちのいずれかを含有する。いくつかの態様において、細菌ベクターは、感染性物質、例えば、細菌におけるコードされているバリアントポリペプチドの発現および/または分泌のための適切な発現制御配列を含有する。
いくつかの態様において、本明細書において提供されるポリペプチドを合成法によって製造することもできる。固相合成は、低分子ペプチドを製造する最も費用対効果の良い方法であるので、個々のペプチドを製造する好ましい技術である。例えば、周知の固相合成技術は、保護基、リンカー、および固相支持体の使用、ならびに特定の保護および脱保護反応条件、リンカー切断条件、捕捉剤の使用、および固相ペプチド合成の他の局面を含む。次いで、ペプチドを本明細書において提供されるとおりのポリペプチドへと組み立てることができる。
V. バリアントICOSLポリペプチドおよび免疫調節タンパク質の免疫調節活性を評価する方法
いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチド(例えば、その全長および/もしくは特異的結合断片またはコンジュゲート、スタック構築物または誘導体)は、T細胞活性化を調節する免疫調節活性を示す。いくつかの態様において、ICOSLポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、参照(例えば未改変)または野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を調節する。いくつかの場合では、IFN-γ発現の調節は、対照と比べて、IFN-γ発現を増加または減少させることができる。特異的結合およびIFN-γ発現を決定するアッセイは、当技術分野において周知であり、培養上清中のインターフェロン-γサイトカインレベルを測定するMLR(混合リンパ球反応)アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、SEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB)T細胞刺激アッセイ(Wang et al., Cancer Immunol Res. 2014 Sep: 2(9):846-56)、および抗CD3 T細胞刺激アッセイ(Li and Kurlander, J Transl Med. 2010: 8: 104)を含む。
いくつかの態様において、バリアントICOSLポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ(インターフェロン-γ)発現をいくつかの態様において増加させることができ、または代替態様において減少させることができる。可溶性バリアントICOSL配列を含有する提供されるポリペプチドのいくつかの態様において、該ポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させることができ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させることができる。複数のバリアントICOSL配列を含有する提供されるポリペプチドのいくつかの態様において、該ポリペプチドは、初代T細胞アッセイにおいて、野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させることができ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させることができる。
当業者は、IFN-γ発現の増加を決定するために使用される初代T細胞アッセイのフォーマットが、IFN-γ発現の減少をアッセイするために採用されるものと異なっていることができることを認識するだろう。初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を減少させるバリアントICOSLの能力をアッセイする際に、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを実施例6に記載のとおり使用することができる。いくつかの場合では、実施例6の記載と同じように、MLRにおけるIFN-γ発現に拮抗しそれによってその発現を減少させるバリアントICOSLの能力を決定するために、可溶性形態のバリアントICOSLを採用することができる。
あるいは、初代T細胞アッセイにおいてIFN-γ発現を増加させるバリアントICOSLの能力をアッセイする際に、同時固定アッセイを実施例6に記載のとおり使用することができる。同時固定アッセイでは、TCRシグナル(いくつかの態様において、抗CD3抗体によって提供される)を、同時固定されたバリアントICOSLと併用して、ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させる能力が決定される。いくつかの場合では、実施例6の記載と同じように、MLRにおけるIFN-γ発現を作動させ、それによってその発現を増加させるバリアントICOSLの能力を決定するために、多価結合を提供する程度まで多量化された可溶性形態のバリアントICOSLを採用することができる。
いくつかの態様では、IFN-γ発現の増加または減少を調節するバリアントICOSLの能力をアッセイする際にはT細胞レポーターアッセイを使用することができる。いくつかの態様では、T細胞はジャーカットT細胞株であるか、またはジャーカットT細胞株に由来する。レポーターアッセイでは、レポーター細胞株(例えば、ジャーカットレポーター細胞)はまた、バリアントIgSFドメインポリペプチドの同族結合パートナーである抑制性受容体を過剰発現させるために作製される。いくつかの態様において、レポーターT細胞はまた、レポーターに機能的に連結されたT細胞活性化に応答する誘導性プロモーターを含有するレポーター構築物も含有する。いくつかの態様において、レポーターは蛍光またはルミネセンスレポータ-である。いくつかの態様において、レポーターはルシフェラーゼである。いくつかの態様において、プロモーターはCD3シグナル伝達に応答する。いくつかの態様において、プロモーターはNFATプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは補助刺激シグナル伝達、例えば、CD28補助刺激シグナル伝達に応答する。いくつかの態様において、プロモーターはIL-2プロモーターである。
レポーターアッセイの局面において、レポーター細胞株は、例えば、抑制性受容体の野生型リガンド、例えば、ICOSLを発現する抗原提示細胞(APC)とコインキュベートすることによって刺激される。いくつかの態様において、APCは人工APCである。人工APCは当業者に周知である。いくつかの態様において、人工APCは1種類または複数種の哺乳動物細胞株、例えば、K562、CHOまたは293細胞に由来する。
いくつかの態様において、ジャーカットレポーター細胞は、バリアントIgSFドメイン分子または免疫調節タンパク質、例えば、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質の存在下で阻害性リガンドを過剰発現する人工APCとコインキュベートされる。いくつかの態様において、レポーター発現は、例えば、細胞のルミネセンスまたは蛍光を確かめることによってモニタリングされる。いくつかの態様において、その抑制性受容体とリガンドが正常に相互作用すると、例えば、対照、例えば、抑制性受容体とリガンドの相互作用が存在しない、対照T細胞およびAPC、例えば、ICOSLを過剰発現しないAPCのコインキュベーションによるレポーター発現と比較してレポーターシグナルが抑制されるかまたは低減する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質は、例えば、バリアントICOSL-Fcとして可溶型で提供されるか、または分泌可能な免疫調節タンパク質としてAPCから発現されたときに相互作用をアンタゴナイズし、その結果として、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質の非存在下と比較してレポーターシグナルが増強される。場合によっては、ある特定のフォーマットの本明細書において提供されるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節性タンパク質はアゴニスト活性をもたらし、それによって、バリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質の非存在下と比較してレポーター発現が減少することがある。
適切な対照の使用は、当業者に公知であるが、前述の態様において、対照は、典型的には、参照ICOSL、例えば、バリアントICOSLが由来したまたは発生した同じ哺乳動物種由来の野生型の天然ICOSLアイソフォームの使用を伴う。ICOSおよびCD28のうちの一方または両方への結合親和性が向上するか低下するかに関係なく、バリアントICOSLは、初代T細胞アッセイにおいて、いくつかの態様において野生型ICOSL対照と比べてIFN-γ発現を増加させ、代替態様においてはIFN-γ発現を減少させる。
いくつかの態様において、バリアントICOSLは、参照(例えば未改変)または野生型ICOSL対照と比べて、IFN-γ発現(すなわち、タンパク質発現)を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはより多く増加させる。他の態様において、バリアントICOSLは、野生型または未改変ICOSL対照と比べて、IFN-γ発現(すなわち、タンパク質発現)を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはより多く減少させる。いくつかの態様において、野生型ICOSL対照は、野生型ネズミICOSL配列から配列が変化しているバリアントICOSLに典型的に使用されるような、ネズミICOSLである。いくつかの態様において、野生型ICOSL対照は、野生型ヒトICOSL配列、例えばSEQ ID NO:32またはSEQ ID NO:196もしくは545のアミノ酸配列を含むICOSL配列から配列が変化しているバリアントICOSLに典型的に使用されるような、ヒトICOSLである。
VI. 薬学的製剤
本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変細胞または感染性物質のいずれかを含有する組成物が本明細書において提供される。薬学的組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含むことができる。例えば、薬学的組成物は、例えば、組成物の、pH、オスモル濃度、粘性、透明性、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着、または浸透を調節、維持、または保存するための1つまたは複数の賦形剤を含有することができる。いくつかの局面において、当業者は、細胞を含有する薬学的組成物がタンパク質を含有する薬学的組成物と異なってよいことを理解する。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、固体、例えば粉末、カプセル、または錠剤である。例えば、薬学的組成物の成分を凍結乾燥することができる。いくつかの態様において、固体薬学的組成物は、投与の前に液体中で再構成されるかまたは溶解される。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、液体、例えば、水溶液(例えば、生理食塩水またはリンゲル液)に溶解されたバリアントICOSLポリペプチドである。いくつかの態様において、薬学的組成物のpHは、約4.0~約8.5(例えば、約4.0~約5.0、約4.5~約5.5、約5.0~約6.0、約5.5~約6.5、約6.0~約7.0、約6.5~約7.5、約7.0~約8.0、または約7.5~約8.5)である。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤、例えば充填剤、結合剤、コーティング剤、保存料、滑剤、着香料、甘味料、着色剤、溶媒、緩衝剤、キレート剤、または安定剤を含む。薬学的に許容し得る充填剤の例は、セルロース、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、マルトール、アルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンを含む。薬学的に許容し得る結合剤の例は、ポリビニルピロリドン、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ゼラチン、スクロース、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、またはセルロースを含む。薬学的に許容し得るコーティング剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、トウモロコシタンパク質ゼイン、またはゼラチンを含む。薬学的に許容し得る崩壊剤の例は、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、またはデンプングリコール酸ナトリウムを含む。薬学的に許容し得る滑剤の例は、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸を含む。薬学的に許容し得る保存料の例は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、またはソルビン酸を含む。薬学的に許容し得る甘味料の例は、スクロース、サッカリン、アスパルテーム、またはソルビトールを含む。薬学的に許容し得る緩衝剤の例は、炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、または酒石酸塩を含む。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、生成物の制御されたまたは持続された放出のための物質、例えば注射用マイクロスフェア、生体内分解性粒子、高分子化合物(ポリ乳酸、ポリグリコール酸)、ビーズ、またはリポソームをさらに含む。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、滅菌されている。滅菌は、滅菌濾過膜に通す濾過または照射によって達成してよい。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を使用した滅菌は、凍結乾燥および再構成の前に実行してもその後に実行してもよい。非経口投与用組成物は、凍結乾燥形態で貯蔵しても溶液で貯蔵してもよい。加えて、非経口組成物は、概して、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静注液バッグまたはバイアル中に入れられる。
いくつかの態様において、そのような膜貫通型免疫調節タンパク質を発現する改変細胞を含む、膜貫通型免疫調節タンパク質を含有する薬学的組成物が提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物および製剤は、1つまたは複数の任意の薬学的に許容し得る担体または賦形剤を含む。そのような組成物は、緩衝液、例えば中性の緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水など;糖質、例えばグルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン;酸化防止剤;キレート剤、例えばEDTAまたはグルタチオン;補助剤(例えば、水酸化アルミニウム);および保存料を含み得る。本発明の組成物は、好ましくは、静脈内投与用に製剤化される。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、免疫調節バリアントポリペプチドをコードする核酸配列を含有する感染性物質を含有する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、処置に好適である対象への投与に好適な感染性物質の用量を含有する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、ウイルスである感染性物質を、1×105~1×1012もしくは約1×105~約1×1012プラーク形成単位(pfu)、1×106~1×1010pfuもしくは約1×106~約1×1010pfu、または1×107~1×1010pfuもしくは約1×107~約1×1010pfuを各々包含する、例えば、少なくとも、または少なくとも約、または約、1×106、1×107、1×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109pfuまたは約1×1010pfuの単一または複数の投与量で含有する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、105~1010もしくは約105~約1010pfu/mL、例えば、5×106~5×109もしくは約5×106~約5×109、または1×107~1×109もしくは約1×107~約1×109pfu/mL、例えば、少なくとも、または少なくとも約、または約、106pfu/mL、107pfu/mL、108pfu/mLまたは109pfu/mLのウイルス濃度を含有することができる。いくつかの態様において、薬学的組成物は、細菌である感染性物質を、1×103~1×109もしくは約1×103~約1×109コロニー形成単位(cfu)、1×104~1×109cfuもしくは約1×104~約1×109cfu、または1×105~1×107cfuもしくは約1×105~約1×107cfuを各々包含する、例えば、少なくとも、または少なくとも約、または約、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108または1×109cfuの単一または複数の投与量で含有する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、103~108もしくは約103~約108cfu/mL、例えば、5×105~5×107もしくは約5×105~約5×107、または1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107cfu/mL、例えば、少なくとも、または少なくとも約、または約、105cfu/mL、106cfu/mL、107cfu/mLまたは108cfu/mLの細菌濃度を含有することができる。
そのような製剤は、例えば、静脈内注入に好適な形態であり得る。薬学的に許容し得る担体は、1つの組織、臓器、または身体の一部から別の組織、臓器、または身体の一部への関心対象の細胞の運搬または輸送に関与する、薬学的に許容し得る材料、組成物、またはビヒクルであり得る。例えば、担体は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、もしくは封入材料、またはそれらのいくつかの組み合わせであり得る。担体の各成分は、製剤のその他の有効成分と適合可能でなければならないという点で「薬学的に許容し得る」でなければならない。それはまた、その治療的恩恵を過度に上回る毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、または任意の他の合併症のリスクを有するべきではないという意味で、直面し得るあらゆる組織、臓器、または身体の一部との接触に好適でなければならない。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、対象に投与される。概して、薬学的組成物の投与量および投与経路は、対象のサイズおよび状態に応じて、標準的な薬務に従って決定される。例えば、最初に、細胞培養アッセイ、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ブタ、もしくはサルのような動物モデルのいずれかで治療有効用量を推定することができる。また、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために動物モデルを使用してもよい。次いで、そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定することができる。正確な投与量は、対象が必要とする処置に関連する要因に照らして決定されるだろう。投与量および投与は、活性化合物の十分なレベルを提供するようにまたは所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る要因は、疾患状態の重症度、対象の総体的な健康、対象の年齢、体重、および性別、投与の時間および頻度、薬物併用、反応感度、ならびに治療への応答を含む。
長期作用型薬学的組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス率に応じて、3~4日毎、毎週、または隔週で投与してよい。投薬頻度は、使用される製剤中の分子の薬物動態パラメーターに依存するだろう。典型的には、組成物は、所望の効果を達成する投与量に達するまで投与される。それゆえ、組成物を、単回投与として投与してもよいし、複数回投与として(同じまたは異なる濃度/投与量で)経時的に投与してもよいし、持続注入として投与してもよい。適切な投与量のさらなる改良がルーチンに行われる。適切な用量-応答データの使用を通して適切な投与量を突き止めてよい。T細胞活性化もしくは増殖、サイトカイン合成もしくは産生(例えば、TNF-α、IFN-γ、IL-2の産生)、種々の活性化マーカー(例えば、CD25、IL-2受容体)の誘導、炎症、関節の腫脹もしくは圧痛、C-反応性タンパク質の血清中レベル、抗コラーゲン抗体産生、および/またはT細胞依存性抗体応答を含む、治療効果についての多数のバイオマーカーまたは生理学的マーカーをモニタリングすることができる。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、経口、経皮、吸入による、静脈内、動脈内、筋肉内、創傷部位への直接適用、手術部位への適用、腹腔内、坐剤による、皮下、皮内、経皮、噴霧による、胸膜内、脳室内、関節腔内、眼内、または髄腔内を含む、任意の経路を通して対象に投与される。
いくつかの態様において、薬学的組成物の投与は、単回投与または反復投与である。いくつかの態様において、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回以上、対象に投与される。いくつかの態様において、1週間に約1回用量以上(例えば、約2回用量以上、約3回用量以上、約4回用量以上、約5回用量以上、約6回用量以上、または約7回用量以上)が与えられる。いくつかの態様において、複数回用量が、数日、数週間、数ヶ月間、または数年間にわたって与えられる。いくつかの態様において、一連の処置は、約1回用量以上(例えば、約2回用量以上、約3回用量以上、約4回用量以上、約5回用量以上、約7回用量以上、約10回用量以上、約15回用量以上、約25回用量以上、約40回用量以上、約50回用量以上、または約100回用量以上)である。
いくつかの態様において、投与される薬学的組成物の用量は、対象の体重1kg当たりタンパク質約1μg以上(例えば、対象の体重1kg当たりタンパク質約2μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約5μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約10μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約25μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約50μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約100μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約250μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約500μg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約1mg以上、対象の体重1kg当たりタンパク質約2mg以上、または対象の体重1kg当たりタンパク質約5mg以上)である。
いくつかの態様において、細胞組成物の治療量が投与される。典型的には、投与されるべき本発明の組成物の正確な量は、患者(対象)の、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の範囲、および状態の個々の違いを考慮して医師が決定することができる。概して、本明細書に記載のとおりの改変細胞、例えばT細胞を含む薬学的組成物を、104~109個の細胞/kg(体重)、例えば105~106個の細胞/kg(体重)の投与量(これらの範囲内の全ての整数値を含む)で投与してよいと規定することができる。また、改変された細胞組成物、例えばT細胞組成物をこれらの投与量で複数回投与してよい。該細胞を、免疫療法において通常知られている注入技術を使用することによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al, New Eng. J. of Med. 319: 1676, 1988 を参照のこと)。特定の患者に対する最適な投与量および処置レジメンは、医学分野の当業者が、患者の疾患の兆候をモニタリングし、それに応じて処置を調整することによって、容易に決定することができる。
望ましくない免疫応答を媒介するもしくは媒介することができる免疫細胞を排除、隔離、もしくは不活性化すること;防御免疫応答を媒介するもしくは媒介することができる免疫細胞を誘導、生成、もしくは刺激すること;免疫細胞の物理的もしくは機能的特性を変化させること;またはこれらの効果の組み合わせによって、本発明の治療用組成物の投与が免疫活性を十分に調節するかどうかを決定するための多種多様な手段が公知である。免疫活性の調節の測定例は、限定されないが、免疫細胞集団の有無の検査(フローサイトメトリー、免疫組織化学、組織学、電子顕微鏡法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する);シグナルに応答して増殖もしくは分化する能力または増殖もしくは分化への抵抗性を含む、免疫細胞の機能的能力の測定(例えば、T細胞増殖アッセイ、および抗CD3抗体、抗T細胞受容体抗体、抗CD28抗体、カルシウムイオノフォア、PMA(ホルボール12-ミリスタート13-アセタート)、ペプチドまたはタンパク質抗原を負荷した抗原提示細胞で刺激した後の、3H-チミジン取込に基づいたpepscan分析;B細胞増殖アッセイを使用する);他の細胞を殺傷または溶解する能力の測定(例えば、細胞傷害性T細胞アッセイ);サイトカイン、ケモカイン、細胞表面分子、抗体および細胞の他の産物の測定(例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ、ウェスタンブロット分析、タンパク質マイクロアレイ分析、免疫沈降分析による);免疫細胞または免疫細胞内のシグナル伝達経路の活性化の生化学マーカーの測定(例えば、チロシン、セリンまたはトレオニンリン酸化、ポリペプチド切断、およびタンパク質複合体の形成または解離のウェスタンブロットおよび免疫沈降分析;タンパク質アレイ分析;DNAアレイまたはサブトラクティブハイブリダイザーションを使用するDNA転写プロファイリング);アポトーシス、壊死または他の機序による細胞死の測定(例えば、アネキシンV染色、TUNELアッセイ、DNAラダリングを測定するゲル電気泳動、組織学;蛍光発生カスパーゼアッセイ、カスパーゼ基質のウェスタンブロット分析);免疫細胞によって産生される遺伝子、タンパク質、および他の分子の測定(例えば、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、2次元ゲル電気泳動、ウェスタンブロット分析、酵素結合免疫吸着アッセイ、フローサイトメトリー);ならびに自己タンパク質または自己ポリペプチドが関与する自己免疫疾患、神経変性性疾患、および他の疾患の臨床症状または臨床転帰(例えば改善)の、例えば、多発性硬化症の場合には再発率または疾患重症度を測定することによる(当業者に公知の臨床スコアを使用する)、I型糖尿病の場合には血糖を、または関節リウマチの場合には関節の炎症を測定することよる、測定(臨床スコア、追加の治療法を使用する要件、機能的状態、画像研究)を含む。
VII. 製造品およびキット
また、本明細書に記載の薬学的組成物を好適な包装に含む製造品が本明細書において提供される。本明細書に記載の組成物(例えば、眼科用組成物)用の好適な包装は、当技術分野において公知であり、例えば、バイアル(例えば、密封バイアル)、広口瓶(vessels)、アンプル、ボトル(bottles)、ジャー、フレキシブル包装(例えば、密封マイラー(Mylar)またはプラスチック袋)などを含む。これらの製造品は、さらに滅菌および/または密封されてよい。
さらに、本明細書に記載の薬学的組成物(または製造品)を含むキットが提供され、該キットは、本明細書に記載の用途のような組成物を使用する方法に関する説明書をさらに含んでよい。本明細書に記載のキットはまた、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書に記載の任意の方法を実施するための説明書を含む添付文書を含む、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料を含んでもよい。
VIII. 治療用途
本明細書に記載の薬学的組成物(本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変細胞および感染性物質を含む、薬学的組成物を含む)を、多種多様な治療用途、例えば疾患の治療に使用することができる。例えば、いくつかの態様において、該薬学的組成物を使用して、哺乳動物において炎症性または自己免疫性障害、がん、臓器移植、ウイルス感染、および/または細菌感染が治療される。薬学的組成物は、免疫応答を調節(例えば、増強または低減)して、疾患を治療することができる。いくつかの態様において、提供される方法は、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変細胞および感染性物質の治療投与に適用可能である。提供される開示を考慮して、望まれる免疫応答の調節のタイプ(例えば、増強または低減)に応じて適応症のためのフォーマットを選択することは、当業者のレベルの範囲内である。
このような方法および使用は、治療的方法および使用、例えば、前記分子もしくは改変された細胞、または前記分子もしくは改変された細胞を含有する組成物の、疾患、病態、または障害を有する対象への投与を伴う治療的方法および使用を含む。場合によっては、例えば、説明された場合では、疾患または障害は自己免疫性または炎症性の疾患または障害である。場合によっては、例えば、説明された場合では、疾患または障害は腫瘍またはがんである。いくつかの態様において、前記分子または改変された細胞は、疾患または障害を処置するのに有効な量で投与される。使用は、このような方法および処置における、ならびに、このような治療方法を行うことを目的とした医用薬剤の調製におけるバリアントICOSLポリペプチドを含有する分子、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変された細胞、および感染性物質の使用を含む。いくつかの態様において、前記方法は、疾患もしくは病態を有する対象または疾患もしくは病態を有すると疑われる対象に、バリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変された細胞、および感染性物質、またはこれらを含む組成物を投与することによって行われる。いくつかの態様において、これによって前記方法は対象における疾患または病態または障害を処置する。
いくつかの態様において、提供される方法は、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、コンジュゲート、改変された細胞、および感染性物質の治療的投与に適用することができる。免疫応答の調節のタイプ、例えば、望ましい増強または低減に応じて適応症に合わせてフォーマットを選択することは、提供される開示を考慮すれば当業者の水準の範囲内である。
いくつかの態様において、免疫応答を刺激する本明細書において提供される薬学的組成物が投与され、例えば、がん、ウイルス感染症、または細菌感染症の処置において有用な場合がある。いくつかの態様において、薬学的組成物は、バリアントICOSLポリペプチドを、その同族結合パートナーであるCD28もしくはICOSのアゴニスト活性を示すフォーマットで、および/またはCD28もしくはICOSを介して補助刺激シグナル伝達を刺激もしくは開始するフォーマットで含有する。このような治療用途と共に使用するためのICOSLポリペプチドの例示的なフォーマットは、例えば、免疫調節タンパク質またはバリアントICOSLポリペプチドの「スタック」と、腫瘍抗原に結合するIgSFドメインまたはそのバリアント(例えば、Nkp30または親和性が改変されたバリアント)(「腫瘍局在化IgSFドメインとも呼ぶ)、腫瘍ターゲティング部分(腫瘍局在化部分とも呼ぶ)に連結したバリアントICOSLポリペプチドを含有するコンジュゲート、膜貫通免疫調節タンパク質を発現する改変された細胞、または膜貫通免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を含む感染性物質、例えば、感染細胞(例えば、腫瘍細胞もしくはAPC、例えば、樹状細胞)において膜貫通免疫調節タンパク質を発現させるための、膜貫通免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を含む感染性物質を含む。
本明細書に記載の改変された細胞を含む薬学的組成物および方法は養子細胞移入用途において使用することができる。いくつかの態様において、改変された細胞を含む細胞組成物は、関連する方法において、例えば、処置、例えば、哺乳動物がんを処置するか、または他の態様では自己免疫障害を処置する免疫療法アプローチにおいて免疫学的活性を調節するために使用することができる。使用される方法は、概して、親和性が改変されたIgSFドメインの特異的結合と哺乳動物細胞の免疫学的活性の調節を許容する条件下で、本発明のTIPを哺乳動物細胞と接触させる方法を含む。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、T細胞(CD8+もしくはCD4+T細胞を含む)、またはAPC)は、本明細書に記載のように膜タンパク質として、および/または可溶性バリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、もしくはコンジュゲートとして発現するように改変される。次いで、哺乳動物細胞の免疫学的活性を調節できるように、親和性が改変されたIgSFドメインと、哺乳動物細胞上にあるカウンター構造体との特異的結合を可能にする条件下で、改変された細胞は、免疫学的活性の調節が望ましい哺乳動物細胞、例えば、APC、第2のリンパ球または腫瘍細胞と接触することができる。細胞はインビボで接触されてもよくエクスビボで接触されてもよい。
いくつかの態様において、改変された細胞は自家細胞である。他の態様において、前記細胞は同種である。いくつかの態様において、前記細胞は、この細胞が単離された哺乳動物に再注入された改変された自家細胞である。いくつかの態様において、前記細胞は、哺乳動物に注入された改変された同種細胞である。いくつかの態様において、前記細胞は、患者の血液または腫瘍から収集され、ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、またはコンジュゲート)を発現するように改変され、(例えば、細胞を刺激することによって)インビトロ培養系で拡大され、腫瘍破壊を媒介するために患者に再注入される。いくつかの態様において、前記方法は、TIPを発現する細胞(例えば、T細胞)が患者に注入して戻される養子細胞移入によって行われる。いくつかの態様において、本発明の治療用組成物および方法は、がん、例えば、リンパ腫、リンパ性白血病、骨髄性白血病、子宮頚がん、神経芽細胞腫、または多発性骨髄腫の哺乳動物患者の処置において用いられる。
いくつかの態様において、薬学的組成物は、哺乳動物がん細胞(例えば、ヒトがん細胞)の増殖を阻害するのに使用することができる。がんを処置する方法は、有効量の本明細書に記載の任意の薬学的組成物を、がんにかかっている対象に投与する工程を含んでもよい。がんの進行を阻害する、止める、または逆転させるように、有効量の薬学的組成物を投与することができる。
本明細書に記載の薬学的組成物および処置方法によって処置することができるがんには、メラノーマ、膀胱がん、血液腫瘍(白血病、リンパ腫、ミエローマ)、肝臓がん、脳がん、腎臓がん、乳がん、膵臓がん(腺がん)、結腸直腸がん、肺がん(小細胞肺がんおよび非小細胞肺がん)、脾臓がん、胸腺または血球のがん(すなわち、白血病)、前立腺がん、精巣がん、卵巣がん、子宮がん、胃がん、筋骨格がん、頭頚部がん、胃腸がん、生殖細胞がん、または内分泌がんおよび神経内分泌がんが含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様において、がんはユーイング肉腫である。いくつかの態様において、がんは、メラノーマ、肺がん、膀胱がん、および血液腫瘍から選択される。いくつかの態様において、がんは、リンパ腫、リンパ性白血病、骨髄性白血病、子宮頚がん、神経芽細胞腫、または多発性骨髄腫である。
ヒトがん細胞はインビボで処置されてもよく、エクスビボで処置されてもよい。ヒト患者のエクスビボ処置では、がん細胞を含有する組織または体液は体外で処理され、次いで、組織または体液は患者に再導入して戻される。いくつかの態様では、治療用組成物を患者に投与することによって、がんはインビボでヒト患者において処置される。
いくつかの態様において、薬学的組成物は単独療法として(すなわち、1種類の薬剤として)または併用療法として(すなわち、1種類もしくは複数種のさらなる抗がん剤、例えば、化学療法薬、がんワクチン、もしくは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて)投与される。いくつかの態様において、薬学的組成物はまた放射線療法と共に投与することもできる。
いくつかの態様において、薬学的組成物は単独療法として(すなわち、1種類の薬剤として)または併用療法として(すなわち、1種類もしくは複数種のさらなる抗がん剤、例えば、化学療法薬、がんワクチン、もしくは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて)投与される。いくつかの態様において、薬学的組成物はまた放射線療法と共に投与することもできる。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1とPD-L1および/またはPD-L2との相互作用をブロックする。場合によっては、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、またはPD-L2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。場合によっては、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブもしくはペンブロリズマブまたはその抗原結合断片である。場合によっては、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4をブロックするか、もしくはCTLA-4のアンタゴニストである、例えば、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片である。本開示のいくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤はトレメリムマブまたはイピリムマブである。
いくつかの態様において、薬学的組成物は免疫応答を抑制し、これは、炎症性もしくは自己免疫性の障害または臓器移植の処置において有用な場合がある。いくつかの態様において、薬学的組成物は、その同族結合パートナーCD28もしくはICOSのアンタゴニスト活性を示す、および/またはCD28もしくはICOSを介して補助刺激シグナル伝達をブロックもしくは阻害するフォーマットをとるバリアントICOSLポリペプチドを含有する。このような治療用途に関連して使用するためのICOSLポリペプチドの例示的なフォーマットには、例えば、可溶性のバリアントICOSLポリペプチド(例えば、バリアントICOSL-Fc融合タンパク質)、Fc融合体である可溶性型を含む、バリアントICOSLポリペプチドと別のIgSFドメインの免疫調節タンパク質もしくは「スタック」、分泌可能な免疫調節タンパク質を発現する改変された細胞、または分泌可能な免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を含む感染性物質、例えば、分泌可能な免疫調節タンパク質を感染細胞(例えば、腫瘍細胞もしくはAPC、例えば、樹状細胞)において発現および分泌させるための、分泌可能な免疫調節タンパク質をコードする核酸分子を含む感染性物質が含まれる。
いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、脈管炎、自己免疫性皮膚疾患、移植、リウマチ性疾患、炎症性胃腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性神経学的疾患、炎症性肺疾患、炎症性内分泌疾患、または自己免疫性血液疾患である。
いくつかの態様において、本明細書に記載の薬学的組成物によって処置することができる炎症性および自己免疫性の障害は、アジソン病、アレルギー、円形脱毛症、アルツハイマー病、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群(ヒューズ症候群)、喘息、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ球増殖性症候群、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫精巣炎、無精子症、ベーチェット病、バージャー病、水疱性類天疱瘡、心筋症、心血管疾患、セリアックスプルー/セリアック病、慢性疲労免疫不全症候群(chronic fatigue immune dysfunction syndrome)(CFIDS)、慢性特発性多発性神経炎(chronic idiopathic polyneuritis)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(chronic inflammatory demyelinating, polyradicalneuropathy)(CIDP)、慢性再発性多発ニューロパチー(ギラン・バレー症候群)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症(CAD)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、CREST症候群、クローン病、ヘルペス状皮膚炎(dermatitis, herpetiformus)、皮膚筋炎、糖尿病、円板状エリテマトーデス(discoid lupus)、湿疹、後天性表皮水疱症、本態性混合性クリオグロブリン血症(essential mixed cryoglobulinemia)、エヴァンス症候群、眼球突出(exopthalmos)、線維筋痛症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫増殖性の疾患または障害、炎症性腸疾患(IBD)、間質性肺疾患、若年性関節炎、若年性特発性関節炎(JIA)、川崎病、ランバート・イートン筋無力症症候群、扁平苔癬、ループス腎炎、リンパ球性下垂体炎、メニエール病、ミラー・フィッシャー症候群/急性播種性脳脊髄神経根障害(acute disseminated encephalomyeloradiculopathy)、混合性結合組織病、多発性硬化症(MS)、筋肉リウマチ、筋痛性脳脊髄炎(ME)、重症筋無力症、眼の炎症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群(ウイタカー症候群(Whitaker’s syndrome))、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変/自己免疫性胆管症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群/反応性関節炎、再狭窄、リウマチ熱、リウマチ性疾患、類肉腫症、シュミット症候群、硬皮症、シェーグレン症候群(Sjorgen’s Syndrome)、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬皮症、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、甲状腺炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、間質性腸疾患(interstitial bowel disease)、またはヴェーゲナー肉芽腫症である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は、間質性腸疾患、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、喘息、関節リウマチ、および乾癬から選択される。
いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は慢性自己免疫疾患である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害はシェーグレン症候群(pSS)または全身性エリテマトーデス(SLE)である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は炎症性腸疾患(IBD)である。いくつかの例では、炎症性または自己免疫性の障害はクローン病である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は、IBDに関連する疾患または障害、例えば、間質性肺疾患(ILD)である。いくつかの態様において、炎症性または自己免疫性の障害は乾癬性関節炎または関節リウマチである。いくつかの態様において、薬学的組成物は自己免疫状態を調節するために投与される。例えば、免疫応答の抑制は、レシピエントによるドナー由来の組織、細胞、または臓器移植の拒絶反応を阻害するための方法において有用であるかもしれない。従って、いくつかの態様では、本明細書に記載の薬学的組成物は、移植片に関連する、または移植に関連する疾患または障害、例えば、移植片対宿主病(GvHD)を限定または予防するのに用いられる。いくつかの態様において、薬学的組成物は、移植(transplanted)または移植(grafted)された骨髄、器官、皮膚、筋肉、ニューロン、島、または実質細胞の自己免疫拒絶反応を抑制するのに用いられる。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は乾癬性関節炎(PsA)を処置するのに用いられる。場合によっては、PsAは、肘、手首、手、および足、または仙腸(sacroliliac)関節を含む、1つまたは複数の関節、例えば、指、つま先、腕、または脚に影響を及ぼす。場合によっては、PsAは軽度である、および/または4つ以下の関節に影響を及ぼす。場合によっては、PsAは中程度である、および/または4つ以上の関節に影響を及ぼす。場合によっては、PsAがある対象は脊椎もしくは首において、またはもう1つの関節において疼痛、こわばり、または炎症を示すことがある。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は関節リウマチ(RA)を処置するのに用いられる。場合によっては、RAは、関節、関節の裏打ち、および/または体内の非関節構造(例えば、皮膚、眼、肺、心臓、腎臓、唾液腺、神経組織、骨髄、もしくは血管)に影響を及ぼす。いくつかの態様において、RAまたはRA症状は慢性である。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はGVHDを処置するのに用いられる。いくつかの態様において、GVHDは急性GVHD(aGVHD)である。場合によっては、aGVHDは、同種造血幹細胞移植(HSCT)の後および/または宿主組織に対するドナー免疫細胞の反応の後に発生する。場合によっては、aGVHDは皮膚、肝臓、または胃腸管において現れる。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は、臓器移植に関連する自己免疫状態を処置するのに用いられる。場合によっては、臓器移植に関連する自己免疫状態を処置すると、宿主および移植された臓器の生存期間が延びる可能性がある。いくつかの態様において、臓器移植に関連する自己免疫状態の処置は、臓器移植のレシピエントである対象による移植片拒絶の予防または移植片拒絶を阻害もしくは阻止することを含む。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は炎症性腸疾患(IBD)を処置するのに用いられる。いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はクローン病を処置するのに用いられる。いくつかの態様において、クローン病は、クローン大腸炎、クローン腸炎、クローン回腸炎(Crohn’s iletis)、またはクローン小腸結腸炎からのサブタイプを含んでもよい。
いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質は全身性エリテマトーデス(SLE)を処置するのに用いられる。いくつかの態様において、本明細書において提供される薬学的組成物、例えば、本明細書において提供されるバリアントICOSL IgSF(例えば、IgV)Fc融合タンパク質はシェーグレン症候群を処置するのに用いられる。
IX.例示的な態様
提供される態様の中には、以下のものがある。
1. 参照ICOSリガンド(ICOSL)ポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドであって、参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:32に示されるICOSL細胞外ドメイン配列を基準にして1~112番目のアミノ酸を含む連続アミノ酸配列と、少なくとも25アミノ酸のC末端トランケーションを含むトランケート型の細胞外ドメインである、バリアントICOSLポリペプチド。
2. ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して変化した結合性を示す、態様1記載のバリアントICOSLポリペプチド。
3. ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して向上した結合性を示す、態様1または態様2記載のバリアントICOSLポリペプチド。
4. C末端トランケーションが、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125アミノ酸残基のC末端トランケーションである、態様1~3のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
5. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:32の204~209番目のアミノ酸として示されるプロテアーゼ切断部位において変化しているか、または該部位を欠いている、態様1~4のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
6. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:545に示されるアミノ酸配列を含む、態様1~5のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
7. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:545に示されるアミノ酸配列からなる、態様1~5のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
8. SEQ ID NO:545に示されるアミノ酸配列からなる参照ICOSリガンド(ICOSL)ポリペプチドにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含む、バリアントICOSLポリペプチド。
9. 参照ICOSリガンド(ICOSL)ポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドであって、参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:32を基準にして204~209番目のアミノ酸に対応する1つまたは複数のアミノ酸において変化している、バリアントICOSLポリペプチド。
10. その結合パートナーのうちの1つまたは複数に対して、該1つまたは複数の結合パートナーに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して変化した結合性を示す、態様8または態様9記載のバリアントICOSLポリペプチド。
11. その結合パートナーのうちの1つまたは複数に対して、該1つまたは複数の結合パートナーに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して向上した結合性を示す、態様8または態様9記載のバリアントICOSLポリペプチド。
12. 変化が、SEQ ID NO:32を基準にして204~209番目のアミノ酸に対応する1つまたは複数の連続アミノ酸の欠失を含む、態様9~11のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
13. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:600~605のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む、態様1~6および9~12のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
14. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:600~605のいずれかに示されるアミノ酸配列からなる、態様1~6および9~12のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
15. 変化が、SEQ ID NO:32に示される位置に対応する207位および208位の一方または両方における少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、態様1~6および9~14のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
16. 少なくとも1つのアミノ酸置換が、N207A、N207G、もしくはL208G、またはその保存的アミノ酸置換である、態様15記載のバリアントICOSLポリペプチド。
17. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:623~628のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む、態様9~16のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
18. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:623~628のいずれかに示されるアミノ酸配列からなる、態様9~17のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
19. 細胞から発現しているときに、任意で、同じ細胞から発現しているときのバリアントICOSLポリペプチドの全長細胞外ドメインと比較して、低減したタンパク質分解切断を示す、態様5~7および9~18のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
20. 細胞が哺乳動物細胞である、態様19記載のバリアントICOSLポリペプチド。
21. 細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株またはその誘導体である、態様19または態様20記載のバリアントICOSLポリペプチド。
22. アミノ酸改変が、アミノ酸の置換、挿入、または欠失である、態様1~21のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
23. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、SEQ ID NO:32を基準にして、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、26位、27位、30位、33位、37位、38位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、75位、77位、78位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、111位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、137位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、164位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位から選択される位置に対応する位置にある、態様1~22のいずれか1つに記載のバリアント。
24. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される、1~23のいずれか1つに記載のバリアント。
25. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、52位、57位、または100位に対応する位置にある、態様1~24のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
26. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~25のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
27. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~26のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
28. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~24のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
29. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~28のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
30. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~29のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
31. ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して向上した結合性を示す、態様1~30のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
32. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~31のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
33. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様1~33のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
34. ICOSおよびCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して向上した結合性を示す、態様1~33のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
35. SEQ ID NO:546~599、734~781、783、786、788、792、796、798、800、802、804、806、808、811、813、815、817、818、820、822、824、826、827、829、831、833、834、836、838、840~843、845、847、848、850~853、855、857、907、910のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:546~599、734~781、783、786、788、792、796、798、800、802、804、806、808、811、813、815、817、818、820、822、824、826、827、829、831、833、834、836、838、840~843、845、847、848、850~853、855、857、907、910のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、態様1~34のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
36. SEQ ID NO:546~599、734~781、783、786、788、792、796、798、800、802、804、806、808、811、813、815、817、818、820、822、824、826、827、829、831、833、834、836、838、840~843、845、847、848、850~853、855、857、907、910のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるか、またはSEQ ID NO:546~599、734~781、783、786、788、792、796、798、800、802、804、806、808、811、813、815、817、818、820、822、824、826、827、829、831、833、834、836、838、840~843、845、847、848、850~853、855、857、907、もしくは910のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すアミノ酸配列からなる、態様1~34のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
37. IgVドメインもしくはその特異的結合断片、IgCドメインもしくはその特異的結合断片、または両方を含むバリアントICOSリガンド(ICOSL)ポリペプチドであって、
参照ICOSLポリペプチドまたはその特異的結合断片において、SEQ ID NO:32を基準にして、
から選択されるアミノ酸改変に対応する1つまたは複数のアミノ酸改変を含む、バリアントICOSLポリペプチド。
38. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
から選択される、態様37に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
39. 参照ICOSLポリペプチドが哺乳動物ICOSLまたはその特異的結合断片である、態様37または態様38に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
40. 参照ICOSLポリペプチドがヒトICOSLまたはその特異的結合断片である、態様37~39のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
41. 参照ICOSLポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列;(ii)SEQ ID NO:32と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインもしくはその特異的結合断片または両方を含む(i)もしくは(ii)の一部分を含む、態様37~40のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
42. IgVドメインもしくはIgCドメインの特異的結合断片が、少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも110アミノ酸、もしくはそれより長い長さを有するか、または
IgVドメインの特異的結合断片が、SEQ ID NO:5の19~129番目のアミノ酸として示されるIgVドメインの長さの少なくとも80%である長さを含み、かつ/もしくはIgCドメインの特異的結合断片が、SEQ ID NO:5の141~227番目のアミノ酸として示されるIgCドメインの長さの少なくとも80%である長さを含む、
態様37~41のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
43. IgVドメインまたはその特異的断片およびIgCドメインまたはその特異的断片を含む、態様37~42のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
44. SEQ ID NO:638~685、905、908のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:638~685、905、908のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、態様37~43のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
45. SEQ ID NO:638~685、905、908のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるか、またはSEQ ID NO:638~685、905、908のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すアミノ酸配列からなる、態様37~43のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
46. IgVドメインまたはその特異的結合断片を含む、態様37~43のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
47. SEQ ID NO:686~781、907、910のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:686~781、907、910のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む、態様37~43および46のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
48. SEQ ID NO:686~781、907、910のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるか、またはSEQ ID NO:686~781、907、910のいずれか1つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すアミノ酸配列からなる、態様37~43および46のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
49. IgVドメインまたはその特異的結合断片が、バリアントICOSLポリペプチドの唯一のICOSL部分である、態様37~43および46~48のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
50. IgCドメインまたはその特異的結合断片が、バリアントICOSLポリペプチドの唯一のICOSL部分である、態様37~42のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
51. ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して変化した結合性を示す、態様37~50のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
52. ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して向上した結合性を示す、態様37~51のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
53. 結合性が、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または60倍より大きく向上している、態様1~52のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
54. ICOSがヒトICOSである、態様1~53のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
55. CD28がヒトCD28である、態様1~54のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
56. CTLA-4のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して低下した結合性を示す、態様1~55のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
57. 結合性が、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または60倍より大きく低下している、態様56に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
58. CTLA-4がヒトCTLA-4である、態様1~57のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
59. 変化(向上または低下)した結合性が、変化(向上または低下)した結合親和性である、態様1~58のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
60. 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個までのアミノ酸改変、任意でアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を含む、態様1~59のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
61. 参照ICOSLポリペプチドに対して、少なくともまたは少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示す、態様1~60のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
62. 可溶性タンパク質である、態様1~61のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
63. 膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを欠いており;かつ/または
細胞から発現するときに該細胞の表面では発現しない、
態様1~62のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
64. 膜貫通ドメインをさらに含む、態様1~61のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
65. 膜貫通ドメインが、SEQ ID NO:5の257~277番目の残基として示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:5の257~277番目の残基に対して少なくとも85%の配列同一性を示すその機能的バリアントを含む、態様64に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
66. 膜貫通ドメインと連結した細胞質シグナル伝達ドメインをさらに含む、態様64または態様65に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
67. 細胞質シグナル伝達ドメインが、SEQ ID NO:5の278~302番目の残基として示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:5の278~302番目の残基に対して少なくとも85%の配列同一性を示すその機能的バリアントを含む、態様66に記載のバリアントICOSLポリペプチド。
68. ICOSL参照配列と比較して脱グリコシルされているか、または部分的に脱グリコシルされている、態様1~67のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド。
69. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチドと半減期延長部分とを含む、免疫調節タンパク質。
70. 半減期延長部分が、多量体化ドメイン、アルブミン、アルブミン結合ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長鎖非構造化親水性アミノ酸配列(long unstructured hydrophilic sequences of amino acids)(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合低分子、またはその組み合わせを含む、態様69記載の免疫調節タンパク質。
71. 半減期延長部分が、Pro/Ala/Ser(PAS)であるか、またはそれを含み、バリアントICOSLポリペプチドがPAS化されている、態様69または態様70記載の免疫調節タンパク質。
72. 半減期延長部分が、SEQ ID NO:904に示される配列を含む、態様71に記載の免疫調節タンパク質。
73. 半減期延長部分が、多量体化ドメインであるか、またはそれを含む、態様69または態様70に記載の免疫調節タンパク質。
74. 多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域、ロイシンジッパー、イソロイシンジッパー、またはジンクフィンガーから選択される、態様73に記載の免疫調節タンパク質。
75. バリアントICOSLポリペプチドが、直接的に、またはリンカーを介して間接的に、多量体化ドメインに連結されている、態様73または態様74に記載の免疫調節タンパク質。
76. 免疫調節タンパク質が、第1の多量体化ドメインに連結された第1のバリアントICOSLポリペプチドと、第2の多量体化ドメインに連結された第2のバリアントICOSLポリペプチドとを含む多量体であり、第1の多量体化ドメインおよび第2の多量体化ドメインが相互作用して、第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび第2のバリアントICOSLポリペプチドを含む多量体を形成する、態様73~75のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
77. 多量体が二量体である、態様76に記載の免疫調節タンパク質。
78. 第1のバリアントICOSLポリペプチドおよび第2のバリアントICOSLポリペプチドが同じである、態様76または態様77に記載の免疫調節タンパク質。
79. 二量体がホモ二量体である、態様77または態様78に記載の免疫調節タンパク質。
80. 二量体がヘテロ二量体である、態様77に記載の免疫調節タンパク質。
81. 多量体化ドメインが、免疫グロブリンのFc領域であるか、またはそれを含む、態様73~80のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
82. Fc領域が、免疫グロブリンG1(IgG1)または免疫グロブリンG2(IgG2)タンパク質のFc領域である、態様81に記載の免疫調節タンパク質。
83. 免疫グロブリンタンパク質がヒトのものであり、かつ/またはFc領域がヒトのものである、態様81または態様82に記載の免疫調節タンパク質。
84. Fc領域が、SEQ ID NO:227に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:227に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を示すそのバリアントを含む、態様81~83のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
85. Fc領域が、SEQ ID NO:226に示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:226に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示すそのバリアントを含む、態様81~84のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
86. Fc領域が、1つまたは複数のエフェクター機能を示す、態様81~85のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
87. Fc領域が、野生型Fc領域と比較して低下した1つまたは複数のエフェクター機能を示し、任意で、野生型ヒトFcがヒトIgG1の野生型ヒトFcである、態様81~86のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
88. 1つまたは複数のエフェクター機能が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害、プログラム細胞死、および細胞食作用から選択される、態様86または態様87に記載の免疫調節タンパク質。
89. Fc領域が、野生型Fc領域と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域である、態様87または態様88に記載の免疫調節タンパク質。
90. バリアントFc領域の1つまたは複数のアミノ酸置換が、
から選択され、ここで当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている、態様89に記載の免疫調節タンパク質。
91. バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、ここで当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている、態様90に記載の免疫調節タンパク質。
92. Fc領域が、SEQ ID NO:476~478のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:476~478のいずれかに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示しかつアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を含む、態様87~91のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
93. Fc領域がK447delを含み、ここで当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている、態様87~92のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
94. Fc領域が、SEQ ID NO:632~634のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有するか、またはSEQ ID NO:632~634のいずれかに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示しかつアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含有する、態様87~92および93のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
95. (a)参照ICOSLポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドであって、ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して変化した結合性を示す、バリアントICOSLポリペプチド;および
(b)野生型ヒトIgG1と比較して、
から選択されるアミノ酸置換を含むバリアントFc領域であって、ここで当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている、バリアントFc領域
を含む、免疫調節タンパク質。
96. 二量体である、態様95に記載の免疫調節タンパク質。
97. バリアントFc領域がアミノ酸置換C220Sをさらに含み、ここで当該残基はKabatのEUインデックスに従ってナンバリングされている、態様95または態様96に記載の免疫調節タンパク質。
98. Fc領域が、SEQ ID NO:632~634のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有するか、またはSEQ ID NO:632~634のいずれかと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより高い配列同一性を示しかつアミノ酸置換を含有するアミノ酸配列を含有する、態様95~97のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
99. バリアントICOSLポリペプチドがバリアントFc領域に直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている、態様95~98のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
100. リンカーが1~10個のアミノ酸を含む、態様75および態様99に記載の免疫調節タンパク質。
101. リンカーが、AAA、G4S(SEQ ID NO:636)、(G
4S)
2(SEQ ID NO:229)、またはGSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:635)から選択される、態様100に記載の免疫調節タンパク質。
102. 免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインを含む第2のポリペプチドに連結された、態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチドを含む、免疫調節タンパク質。
103. IgSFドメインが、親和性改変されており、かつ、その同族結合パートナーの1つまたは複数に対して、未改変または野生型のIgSFドメインと比較して変化した結合性を示す、態様102に記載の免疫調節タンパク質。
104. IgSFドメインが、その同族結合パートナーの1つまたは複数に対して、未改変または野生型のIgSFドメインと比較して向上した結合性を示す、態様103に記載の免疫調節タンパク質。
105. バリアントICOSLポリペプチドが第1のICOSLバリアントポリペプチドであり、第2のポリペプチドのIgSFドメインが、態様1~68のいずれか1つに記載の第2のバリアントICOSLポリペプチドに由来するIgSFドメインであり、第1のICOSLバリアントおよび第2のICOSLバリアントが同じであるか、または異なる、態様102~104のいずれか1つに記載の免疫調節ポリペプチド。
106. バリアントICOSLポリペプチドが、CD28またはICOSに特異的に結合することができ、第2のポリペプチドのIgSFドメインが、ICOSLバリアントポリペプチドが特異的に結合する結合パートナー以外の結合パートナーに結合することができる、態様102~105のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
107. IgSFドメインが、B7ファミリーのメンバーに由来する、態様106記載の免疫調節ポリペプチド。
108. IgSFドメインが、腫瘍上で発現しているリガンドに結合する腫瘍局在化部分であるか、または炎症環境の細胞上もしくは組織上で発現しているリガンドに結合する炎症局在化部分である、態様102~104および106のいずれか1つに記載の免疫調節ポリペプチド。
109. リガンドがB7H6である、態様108記載の免疫調節ポリペプチド。
110. IgSFドメインがNKp30に由来する、態様108または態様109記載の免疫調節ポリペプチド。
111. IgSFドメインが、IgVドメインであるか、またはそれを含む、態様102~110のいずれか1つに記載の免疫調節ポリペプチド。
112. バリアントICOSLポリペプチドが、IgVドメインであるか、またはそれを含む、態様102~111記載の免疫調節ポリペプチド。
113. バリアントICOSLポリペプチドまたはIgSFドメインを含む第2のポリペプチドの一方または両方に連結された多量体化ドメインを含む、態様102~112のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
114. 多量体化ドメインが、低下したエフェクター機能を有する、Fcドメインまたはそのバリアントである、態様113に記載の免疫調節タンパク質。
115. 二量体である、態様102~114のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質。
116. ホモ二量体である、態様115に記載の免疫調節タンパク質。
117. ヘテロ二量体である、態様116に記載の免疫調節タンパク質。
118. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質と、異種部分とを含む、コンジュゲート。
119. バリアントICOSLポリペプチドが、直接的に、またはリンカーを介して間接的に、異種部分に連結されている、態様118記載のコンジュゲート。
120. ターゲティング部分が、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、またはナノ粒子である、態様118または態様119のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
121. 標的部分が、タンパク質またはペプチドである、態様118~120のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
122. 融合タンパク質である、態様121記載のコンジュゲート。
123. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質と、異種部分とを含む、融合タンパク質。
124. 前記部分が、細胞表面にある分子に特異的に結合するターゲティング部分である、態様118~123のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
125. ターゲティング部分が、免疫細胞表面にある分子に特異的に結合する、態様124記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
126. 免疫細胞が、抗原提示細胞またはリンパ球である、態様125記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
127. ターゲティング部分が、腫瘍表面にある分子に結合する腫瘍局在化部分である、態様124記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
128. ターゲティング部分が、分子HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、がん抗原125(CA125)、α-フェトプロテイン(AFP)、LewisY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体(PDGFR)、PDGF-Rα、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮増殖因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM1、およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、VEGFR2、VEGF-A、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、SK-1抗原、Bcr-abl、RET、MET、TRKB、TIE2、ALK、ROS、EML4-ALK、ROS1、BRAFV600E、SRC、c-KIT、mTOR、TSC1、TSC2、BTK、KIT、BRCA、CDK4/6、JAK1、JAK2、BRAF、FLT-3、MEK1、MEK2、SMO、またはB7-H6(NCR3LG1)に結合する、態様124~127のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
129. ターゲティング部分がPD-L1に結合する、態様124~128のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
130. ターゲティング部分が、抗体または抗原結合断片である、態様124~129のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
131. 抗体が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トラスツズマブ、Ado-トラスツズマブエムタンシン、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン、マブセラ)、イブリツモマブチウキセタン(ゼバリン)、ダクリズマブ(ゼナパックス)、ゲムツズマブ(マイロターグ)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ジヌツキシマブ、エルロチニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、オラパリブ、オララツマブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MPDL3280A、ピディリズマブ(CT-011)、AMP-224、MSB001078C、もしくはMEDI4736、BMS-935559、LY3300054、アテゾリズマブ、アベルマブ、もしくはデュルバルマブから選択されるか、またはその抗原結合断片である、態様130記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
132. バリアントICOSLポリペプチドが、抗体または抗原結合断片の重鎖および/または軽鎖のN末端に、直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている、態様130または態様131記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
133. バリアントICOSLポリペプチドが、抗体または抗原結合断片の重鎖および/または軽鎖のC末端に、直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されている、態様130または態様131記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
134. コンジュゲートが、二価、四価、六価、または八価である、態様118~133のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
135. 異種部分が、バリアントICOSLポリペプチドを検出または精製するための標識であるか、またはそれを含む、態様118~123のいずれか1つに記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
136. (a)参照ICOSLポリペプチドの免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインにおいて1つまたは複数のアミノ酸改変を含むバリアントICOSLポリペプチドであって、ICOSまたはCD28のエクトドメインに対して、同じエクトドメインに対する参照ICOSLポリペプチドの結合性と比較して変化した結合性を示す、バリアントICOSLポリペプチド;および
(b)バリアントICOSLポリペプチドを検出または精製するための標識
を含む、一価の融合タンパク質。
137. 検出または精製するための標識が、ポリヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ、Mycタグ、または蛍光タンパク質タグから選択される、態様135または態様136記載のコンジュゲートまたは融合タンパク質。
138. バリアントICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:32を基準にして、10位、11位、13位、16位、18位、20位、25位、26位、27位、30位、33位、37位、38位、42位、43位、47位、52位、54位、57位、61位、62位、67位、71位、72位、74位、75位、77位、78位、80位、84位、89位、90位、92位、93位、94位、96位、97位、98位、99位、100位、102位、103位、107位、109位、110位、111位、113位、115位、116位、117位、119位、120位、121位、122位、126位、129位、130位、132位、133位、135位、137位、138位、139位、140位、142位、143位、144位、146位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、158位、161位、164位、166位、168位、172位、173位、175位、190位、192位、193位、194位、198位、201位、203位、207位、208位、210位、212位、217位、218位、220位、221位、224位、225位、または227位から選択される位置に対応する位置にある1つまたは複数のアミノ酸改変を含む、態様95~101のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質または態様136もしくは態様137に記載の融合タンパク質。
139. 1つまたは複数のアミノ酸改変が、
またはその保存的アミノ酸置換から選択される、態様138記載の免疫調節タンパク質または融合タンパク質。
140. 参照ICOSLポリペプチドが、(i)SEQ ID NO:32に示されるアミノ酸配列;(ii)SEQ ID NO:32と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは(iii)IgVドメインもしくはIgCドメインもしくはその特異的結合断片または両方を含む(i)もしくは(ii)の一部分を含む、態様138または態様139記載の免疫調節タンパク質または融合タンパク質。
141. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:196、545、600~605、および623~628のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む、態様138~140のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質または融合タンパク質。
142. 参照ICOSLポリペプチドが、SEQ ID NO:32、196、545、600~605、および623~628のいずれかに示されるアミノ酸配列からなる、態様138~141のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質または融合タンパク質。
143. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド、態様69~117および118~142のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、および態様123~142のいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードする、核酸分子。
144. 合成核酸である、態様143記載の核酸分子。
145. cDNAである、態様143または態様144記載の核酸分子。
146. 態様143~145のいずれか1つに記載の核酸分子を含む、ベクター。
147. 発現ベクターである、態様146記載のベクター。
148. 哺乳動物発現ベクターまたはウイルスベクターである、態様146または態様147記載のベクター。
149. 態様146~148のいずれか1つに記載のベクターを含む、細胞。
150. 哺乳動物細胞である、態様149記載の細胞。
151. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはその誘導体である、態様149または態様150記載の細胞。
152. バリアントICOSLポリペプチドを含む免疫調節タンパク質を産生する方法であって、宿主細胞において該タンパク質を発現させる条件下で、態様143~145のいずれか1つに記載の核酸分子または態様146~148のいずれか1つに記載のベクターを宿主細胞に導入する工程を含む、方法。
153. 宿主細胞が哺乳動物細胞である、態様152に記載の方法。
154. 哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣細胞またはその誘導体である、態様153に記載の方法。
155. 細胞からタンパク質を単離または精製する工程をさらに含む、態様152~154のいずれか1つに記載の方法。
156. 態様152~155のいずれか1つに記載の方法によって産生された、タンパク質。
157. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチドまたは態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質を含むタンパク質を含む組成物であって、組成物中にあるタンパク質または免疫調節タンパク質の個々の配列の少なくとも95%、96%、97%、98%、99%が同一の配列長を有し、任意で、該組成物が、薬学的に許容し得る担体を含む薬学的組成物である、組成物。
158. タンパク質または免疫調節タンパク質が、チャイニーズハムスター卵巣細胞またはその誘導体から精製されている、態様157記載の組成物。
159. 態様64~68のいずれか1つに記載の膜貫通ドメインを含むバリアントICOSLポリペプチドをコードする核酸と、組換え抗原受容体の1つまたは複数の鎖をコードする1つまたは複数の核酸を含む、ポリヌクレオチド。
160. 組換え抗原受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)または改変されたT細胞受容体(TCR)である、態様159記載のポリヌクレオチド。
161. バリアントICOSLポリペプチドをコードする核酸、および組換え受容体の1つまたは複数の鎖をコードする1つまたは複数の核酸の各々が、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸によって分けられている、態様159または態様160記載のポリヌクレオチド。
162. バリアントICOSLポリペプチドをコードする核酸、自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸、およびCARをコードする核酸を含む、態様161記載のポリヌクレオチド。
163. バリアントICOSLポリペプチドをコードする核酸、第1の自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸、改変されたTCRα鎖または改変されたTCRβ鎖のうちの一方をコードする核酸、第2の自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸、および改変されたTCRα鎖または改変されたTCRβ鎖のうちの他方をコードする核酸を含む、態様161記載のポリヌクレオチド。
164. コードされる第1の自己切断ペプチドおよび第2の自己切断ペプチドが同じである、態様163記載のポリヌクレオチド。
165. 自己切断ペプチドまたはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドが、T2A、P2A、E2A、またはF2Aである、態様160~163のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
166. 態様159~165のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
167. ウイルスベクターである、態様166記載のベクター。
168. ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、態様167記載のベクター。
169. 態様159~165のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドまたは態様166~168のいずれか1つに記載のベクターを含む、改変された細胞。
170. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド、態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、または態様123~142のいずれか1つに記載の融合タンパク質を含む、改変された細胞。
171. 態様143~145のいずれか1つに記載の核酸分子または態様146~148のいずれか1つに記載のベクターを含む、改変された細胞。
172. バリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、または融合タンパク質をコードする核酸が、シグナルペプチドをコードする、態様169~171のいずれか1つに記載の改変された細胞。
173. バリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、または融合タンパク質が、膜貫通ドメインを含まず、かつ/または細胞表面上で発現しない、態様169~172のいずれか1つに記載の改変された細胞。
174. バリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、または融合タンパク質が、改変された細胞から分泌される、態様169~173のいずれか1つに記載の改変された細胞。
175. 態様64~68のいずれか1つに記載の膜貫通ドメインを含むバリアントICOSLポリペプチドを含む、態様169~171のいずれか1つに記載の改変された細胞。
176. バリアントICOSLポリペプチドが細胞表面上で発現する、態様169~171および175のいずれか1つに記載の改変された細胞。
177. 免疫細胞である、態様169~176のいずれか1つに記載の改変された細胞。
178. 免疫細胞が、抗原提示細胞(APC)またはリンパ球である、態様177記載の改変された細胞。
179. 初代細胞である、態様169~178のいずれか1つに記載の改変された細胞。
180. 哺乳動物細胞である、態様169~179のいずれか1つに記載の改変された細胞。
181. ヒト細胞である、態様169~180のいずれか1つに記載の改変された細胞。
182. リンパ球がT細胞である、態様169~181のいずれか1つに記載の改変された細胞。
183. 改変された細胞がAPCであり、APCが人工APCである、態様178記載の改変された細胞。
184. キメラ抗原受容体(CAR)または改変されたT細胞受容体をさらに含む、態様169~183のいずれか1つに記載の改変された細胞。
185. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド、態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、態様118~142のいずれか1つに記載のコンジュゲートもしくは融合タンパク質、または態様169~184のいずれか1つに記載の改変された細胞、または態様216~227のいずれか1つに記載の感染性物質を含む、薬学的組成物。
186. 薬学的に許容し得る賦形剤を含む、態様185記載の薬学的組成物。
187. 滅菌されている、態様185または186記載の薬学的組成物。
188. 態様185~187のいずれか1つに記載の薬学的組成物をバイアル中に含む、製造物品。
189. バイアルが密閉されている、態様188記載の製造物品。
190. 態様157~158および185~187のいずれか1つに記載の組成物と使用説明書を含む、キット。
191. 態様189および190記載の製造物品と使用説明書を含む、キット。
192. 対象において免疫応答を調節する方法であって、態様157~158および185~187のいずれか1つに記載の薬学的組成物を対象に投与する工程を含む、方法。
193. 対象において免疫応答を調節する方法であって、態様169~184のいずれか1つに記載の改変された細胞を投与する工程を含む、方法。
194. 改変された細胞が対象にとって自家である、態様193に記載の方法。
195. 改変された細胞が対象にとって同種である、態様193に記載の方法。
196. 免疫応答を調節することによって、対象における疾患または病態が処置される、態様193~195のいずれか1つに記載の方法。
197. 免疫応答が増強される、態様193~196のいずれか1つに記載の方法。
198. 腫瘍局在化部分に連結されたバリアントICOSLポリペプチドを含む免疫調節タンパク質またはコンジュゲートが、対象に投与される、態様192、196、および197のいずれか1つに記載の方法。
199. 腫瘍局在化部分が、腫瘍抗原を認識する結合分子であるか、またはそれを含む、態様198に記載の方法。
200. 結合分子が、抗体もしくはその抗原結合断片を含むか、または野生型IgSFドメインもしくはそのバリアントを含む、態様199に記載の方法。
201. 態様102~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質または態様118~142のいずれか1つに記載のコンジュゲートもしくは融合タンパク質が、対象に投与される、態様192および196~200のいずれか1つに記載の方法。
202. 膜貫通免疫調節タンパク質であるバリアントICOSLポリペプチドが、対象に投与される、態様193~197のいずれか1つに記載の方法。
203. 態様64~68のいずれか1つに記載の膜貫通免疫調節タンパク質であるバリアントICOSLポリペプチドを含む改変された細胞が、対象に投与される、態様193~197および202のいずれか1つに記載の方法。
204. 疾患または病態が、腫瘍またはがんである、態様192~203に記載の方法。
205. 疾患または病態が、メラノーマ、肺がん、膀胱がん、血液腫瘍、肝臓がん、脳がん、腎臓がん、乳がん、膵臓がん、結腸直腸がん、脾臓がん、前立腺がん、精巣がん、卵巣がん、子宮がん、胃がん、筋骨格がん、頭頚部がん、胃腸がん、生殖細胞がん、または内分泌がんおよび神経内分泌がんから選択される、態様192~204のいずれか1つに記載の方法。
206. 免疫応答が低減される、態様192~196のいずれか1つに記載の方法。
207. 可溶性タンパク質であるバリアントICOSLポリペプチドまたは免疫調節タンパク質が、対象に投与される、態様192~196および206のいずれか1つに記載の方法。
208. 可溶性の免疫調節タンパク質が、免疫調節性Fc融合タンパク質である、態様207に記載の方法。
209. 態様1~63および68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド、態様70~101のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、または態様136および137記載の融合タンパク質が、対象に投与される、態様192~196および206~208のいずれか1つに記載の方法。
210. 分泌可能なバリアントICOSLポリペプチドを含む改変された細胞が、対象に投与される、態様192~196および206~208のいずれか1つに記載の方法。
211. 態様169~174および177~184のいずれか1つに記載の改変された細胞が、対象に投与される、態様192~196、206~208、および210のいずれか1つに記載の方法。
212. 分泌可能な免疫調節タンパク質であるバリアントICOSLポリペプチドをコードする感染性物質が対象に投与され、任意で、該感染性物質が腫瘍細胞または免疫細胞に感染して該感染した細胞から該分泌可能な免疫調節タンパク質が分泌される条件下で、対象に投与される、態様192~196、206~208、および210のいずれか1つに記載の方法。
213. 疾患または病態が、炎症性または自己免疫性の疾患または病態である、態様192~196および206~212のいずれか1つに記載の方法。
214. 疾患または病態が、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連脈管炎、脈管炎、自己免疫皮膚病、移植、リウマチ性疾患、炎症性胃腸疾患、炎症性眼疾患、炎症性神経学的疾患、炎症性肺疾患、炎症性内分泌疾患、または自己免疫性血液疾患である、態様192~196および206~213のいずれか1つに記載の方法。
215. 疾患または病態が、炎症性腸疾患、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、喘息、関節リウマチ、または乾癬から選択される、態様213または態様214に記載の方法。
216. 態様1~68のいずれか1つに記載のバリアントICOSLポリペプチド、または態様のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、態様69~117のいずれか1つに記載の免疫調節タンパク質、または態様123~142のいずれか1つに記載の融合タンパク質をコードする核酸分子を含む、感染性物質。
217. コードされるバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、または融合タンパク質が、膜貫通ドメインを含まず、かつ/またはそれを発現する細胞の表面上では発現しない、態様216記載の感染性物質。
218. コードされるバリアントICOSLポリペプチド、免疫調節タンパク質、または融合タンパク質が、それが発現されたときに、感染性物質から分泌される、態様216または態様217記載の感染性物質。
219. コードされるバリアントICOSLポリペプチドが膜貫通ドメインを含む、態様218記載の感染性物質。
220. コードされるバリアントICOSLポリペプチドが、それを発現する細胞の表面上で発現する、態様216、態様217、または態様219記載の感染性物質。
221. 感染性物質が、細菌またはウイルスである、態様216~220のいずれか1つに記載の感染性物質。
222. ウイルスが腫瘍退縮性ウイルスである、態様221記載の感染性物質。
223. 腫瘍退縮性ウイルスが、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、レオウイルス、ニューカッスル病ウイルス、パルボウイルス、麻疹ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、コクサッキーウイルス、またはワクシニアウイルスである、態様222記載の感染性物質。
224. ウイルスが、樹状細胞(DC)を特異的に標的とする、および/または樹状細胞向性である、態様222記載の感染性物質。
225. ウイルスが、改変されたシンドビスウイルスエンベロープ産物を用いてシュードタイプ化されているレンチウイルスベクターである、態様224記載の感染性物質。
226. 標的細胞の死をもたらすか、または免疫応答を増強もしくはブーストすることができる、さらなる遺伝子産物をコードする核酸分子をさらに含む、態様216~225のいずれか1つに記載の感染性物質。
227. さらなる遺伝子産物が、抗がん剤、抗転移剤、抗血管形成剤、免疫調節性分子、免疫チェックポイント阻害剤、抗体、サイトカイン、増殖因子、抗原、細胞傷害性遺伝子産物、アポトーシス促進性遺伝子産物、抗アポトーシス遺伝子産物、細胞細胞マトリックス分解性遺伝子、組織再生のための遺伝子またはヒト体細胞をリプログラミングして多能性を持たせるための遺伝子から選択される、態様226記載の感染性物質。
X.実施例
以下の実施例は単に例示目的で含まれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
IgSFドメインの変異DNA構築物の作製
実施例1は、酵母ディスプレイライブラリーとして酵母表面に翻訳および発現させるためのヒトICOSL IgSFドメインの変異DNA構築物の作製について説明する。
A.縮重ライブラリー
ICOSLのECDドメインのバリアントをコードする変異DNA構築物を作製した。構築物を、以下のECDドメイン:
を含有するSEQ ID NO:32に示される野生型ヒトICOSL配列に基づいて作製した。
特定の残基を、縮重コドンによる完全ランダム化または部分ランダム化の標的とするライブラリーを得るために、SEQ ID NO:32をコードするDNAを、長さが80塩基対(bp)までの一組の重複オリゴヌクレオチドとしてIntegrated DNA Technologies(Coralville, IA)に注文した。ECDの多種多様なバリアントのライブラリーを作製するために、オリゴヌクレオチドは、望ましいアミノ酸位置で様々なアミノ酸置換をコードするように望ましい縮重コドン、例えば、特定の混合塩基セットを含有した。縮重コドンを、URL:rosettadesign.med.unc.edu/SwiftLib/にあるアルゴリズムを用いて作製した。
概して、リガンド接触残基、例えば、リガンドと相互作用する標的側鎖残基、ならびにタンパク質相互作用境界面にある残基を特定するために、変異位置および縮重コドンを関心対象の標的-リガンドペアの相同性モデル(ICOSL)から選択した。この分析を、URL: spdbv.vital-it.chにおいて利用可能な構造ビュワー(structure viewer)を用いて行った。
ライブラリー設計における次工程は、保存残基を特定することを目的としたヒト、マウス、ラット、およびサルのICOSL配列のアラインメントであった。この分析に基づいて、保存されている標的残基を、保存的なアミノ酸変化と野生型残基しか指定していない縮重コドンを用いて変異させた。非保存残基をもっと積極的に変異させたが、野生型残基も含んだ。標的タンパク質の過剰な変異誘発を回避するために、野生型残基もコードする縮重コドンを配置した。同じ理由で、1度に20個の位置までしか変異誘発の標的としなかった。これらの残基は接触残基と非接触境界面残基の組み合わせであった。
前記オリゴヌクレオチドを滅菌水に溶解し、等モル比で混合し、95℃で5分間加熱し、アニーリングのためにゆっくりと室温まで冷却した。次いで、ECDの最初にアニールするECD特異的オリゴヌクレオチドプライマーとECDの最後にアニールするECD特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR産物を作製した。次いで、BamH1およびKpn1クローニング部位を過ぎて、かつこれらを含む、pBYDS03クローニングベクター(Life Technologies USA)の改変バージョンと40~50bp重複するECD特異的オリゴヌクレオチドを用いて、前工程からの100ngのPCR産物を増幅して、合計5μgのDNAを作製した。両PCRとも、OneTaq 2x PCR master mix(New England Biolabs, USA)を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものであった。PCR精製キット(Qiagen, Germany)を用いて2回目のPCR産物を精製し、滅菌脱イオン水に再懸濁した。
ライブラリー挿入を準備するために、改変された酵母ディスプレイバージョンのベクターpBYDS03をBamHIおよびKpnI制限酵素(New England Biolabs, USA)で消化し、大きなベクター断片をゲル精製し、滅菌脱イオン水に溶解した。エレクトロポレーションの準備ができている次工程用のDNAは、総体積50μlの滅菌脱イオン水中で、エレクトロポレーション毎に12μgのライブラリーDNAを4μgの直線化ベクターと混合することによって作製した。ターゲティングライブラリーを作製する別の手段は、縮重コドンを含有するオリゴヌクレオチドを用いて標的ECDの部位特異的変異誘発(Multisite kit, Agilent, USA)を行うことであった。このアプローチを用いて、特定の標的タンパク質領域しか変異誘発の標的としないサブライブラリーを作製した。これらの場合、選択工程に進む前にサブライブラリーを混合した。概して、サブライブラリーが10E4~10E5の範囲しかなかったこと以外は、ライブラリーサイズは10E7~10E8個のクローンの範囲内であった。ICOSL用に大きなライブラリーとサブライブラリーを作製した。
B.ランダムライブラリー
ECDドメインを含有するSEQ ID NO:32に示されるICOSL ECDのバリアントを特定するためにランダムライブラリーも構築した。改変された酵母ディスプレイベクターpBYDS03のBamHI制限部位とKpnI制限部位の間に、野生型ECDをコードするDNAをクローニングした。次いで、DNAをGenemorph IIキット(Agilent, USA)を用いて変異誘発させてライブラリーバリアント1つにつき平均3~5個のアミノ酸変化を生じさせた。次いで、変異誘発させたDNAを2段階PCRによって増幅し、ターゲティングライブラリーについて前述したようにさらに処理した。
実施例2
酵母へのDNAライブラリーの導入
実施例2は、酵母へのICOSL DNAライブラリーの導入について説明する。
縮重ライブラリーDNAおよびランダムライブラリーDNAを酵母に導入するために、酵母BJ5464株(ATCC.org; ATCC番号208288)のエレクトロポレーションコンピテント細胞を調製し、本質的に説明されたように(Colby, D.W. et al. 2004 Methods Enzymology 388, 348-358)、上記の工程から得たエレクトロポレーションの準備ができているDNAを用いてGene Pulser II(Biorad, USA)で電気穿孔を行った。唯一の例外は、改変されたプラスミドpBYDS03が運ぶLEU2選択マーカーに対応するために非誘導最小選択SCD-Leu培地中で形質転換細胞を増殖させたことである。1リットルのSCD-Leu培地は、14.7グラムのクエン酸ナトリウム、4.29グラムのクエン酸一水和物、20グラムのデキストロース、6.7グラムのイーストニトロジェンベース、および1.6グラムのyeast synthetic drop-out media supplement without leucineからなる。培地を、0.22μm減圧濾過装置を用いて使用前に濾過滅菌した。
ライブラリーサイズは、新鮮に回収した細胞の段階希釈液をSCD-Leu寒天プレートにプレートし、次いで、プレート1枚につき少なくとも50個のコロニーを生じたプレーティングのシングルコロニー数から推測することによって求めた。概して、ライブラリーサイズは、この希釈アッセイに基づいて10E8~10E9個の形質転換体であった。電気穿孔された培養物の残りを飽和するまでSCD-Leu中で増殖させ、非形質転換細胞の画分を最小にするために、この培養物からの細胞を新鮮なSCD-Leuにもう1回サブクローニング(例えば、1/100)した。ライブラリーの多様性を維持するために、このサブクローニング工程は、ライブラリーサイズ計算値よりも少なくとも10xより多い細胞を含有する接種材料を用いて行った。2回目の飽和培養物からの細胞を、滅菌25%(重量/体積)グリセロールを含有する新鮮培地に10E10/mLの密度まで再懸濁し、-80℃で凍結および保管した(凍結ライブラリーストック)。
ライブラリーサイズは、新たに回収した細胞の希釈物をSCD-Leu寒天プレート上にプレーティングし、次いで、1プレート当たり少なくとも50個のコロニーを生成したプレーティング由来の単一コロニーの数からライブラリーサイズを推定することによって決定した。
2つ以上の異なるライブラリークローンを含有する細胞からプラスミドを分離するために、ライブラリーサイズの10倍に相当する数の細胞をSCD-Leu一晩培養物から採取し、新鮮SCD-Leu培地中に1/100に継代培養し、そして、一晩成長させた。この一晩培養物に由来する細胞を、滅菌25%(重量/体積)グリセロールに1010個/mLの密度に再懸濁して、-80℃で凍結および貯蔵した(凍結ライブラリーストック)。
実施例3
酵母の選択
実施例3は、ICOSLの親和性が改変されたバリアントを発現する酵母の選択を記載する。
ライブラリーサイズの少なくとも10倍に等しい数の細胞を、個々のライブラリーストックから解凍し、非誘導SCD-Leu培地中0.1×106個の細胞/mLに懸濁し、一晩成長させた。翌日、ライブラリーサイズの10倍に等しい数の細胞を2000 RPMで2分間遠心分離し、誘導SCDG-Leu培地中0.5×106個の細胞/mLに再懸濁した。SCDG-Leu誘導培地1リットルは、水に溶解させて0.22μmの膜濾過装置に通して滅菌した、Na2HPO4 5.4グラム、NaH2PO4・H20 8.56グラム、ガラクトース20グラム、デキストロース2.0グラム、Difco酵母用ニトロゲンベース6.7グラム、およびロイシン不含の酵母用合成ドロップアウト培地サプリメント1.6グラムからなる。培養物を20℃で2日間成長させて、酵母細胞表面でライブラリータンパク質の発現を誘導した。
細胞を磁気ビーズで処理して、結合しないものを減らし、外因性組換えカウンター構造体タンパク質に結合する能力を有する全てのICOSLバリアントを富化させた。これに続いて、外因性カウンター構造体タンパク質染色を使用した2~3ラウンドのフローサイトメトリーソーティングを行って、改善された結合物を提示する酵母細胞の画分を富化させた。磁気ビーズによる富化およびフローサイトメトリーによる選択は、基本的には、Miller, K.D. Current Protocols in Cytometry 4.7.1-4.7.30, July 2008 に記載のとおりである。
ICOSLライブラリーと共に、標的リガンドタンパク質は、以下のとおりR&D Systems(USA)から供給された:ヒトrCD28.Fc(すなわち、組換えCD28-Fc融合タンパク質)、rCTLA4.Fc、およびrICOS.Fc。磁気ストレプトアビジンビーズをNew England Biolabs, USAから得た。カウンター構造体タンパク質のビオチン化のために、ビオチン化キット(cat# 21955, Life Technologies, USA)を使用した。2色フローサイトメトリーソーティングのために、Becton Dickinson FACS Aria II sorterを使用した。ICOSL提示レベルを、Alexafluor 488(Life Technologies, USA)で標識した抗ヘマグルチニン抗体でモニタリングした。リガンド結合Fc融合タンパク質rCD28.Fc、rCTLA4.Fc、またはrICOS.Fcを、PEコンジュゲートヒトIg特異的ヤギFab(Jackson ImmunoResearch, USA)で検出した。二重酵母を前方散乱(FSC)/側方散乱(SSC)パラメーターを使用してゲーティングし、そして、ソートゲートは、FL4で検出されたより高いリガンド結合に基づいており、FL1でより限定されたタグ発現結合を保有した。
フローサイトメトリーソートからの酵母アウトプットを、より高い特異的結合親和性についてアッセイした。ソートアウトプット酵母を増殖および再誘導して、これらがコードする特定のIgSF親和性改変ドメインバリアントを発現させた。次いで、この集団を、フローサイトメトリーによって、親の野生型酵母系統、またはビーズアウトプット酵母集団のような任意の他の選択されたアウトプットと比較することができる。
ICOSLについて、各集団を、抗HA(ヘマグルチニン)タグ発現および抗ヒトFc二次で二重染色してリガンド結合を検出することによって、各rICOS.Fc、rCD28.Fc、およびrCTLA4.Fcの結合について第二のソートアウトプット(F2)を親ICOSL酵母と比較した。
ICOSに対する結合性について選択されたICOSL酵母バリアントの場合、F2ソートアウトプットは、5.6nM rICOS.Fcで染色したとき平均蛍光強度(MFI)値997を与えたが、一方で、親ICOSL系統のMFIは、同じ濃度のrICOS.Fcで染色したとき397と測定された。これは、このF2で選択されたクローンのプールでおおまかに3倍の平均結合の改善を表し、そして、個別に試験したときに、そのプールからの個々のクローンがはるかに良好な改善されたMFI/親和性を有すると予測される。
CD28に対する結合性について選択されたICOSL酵母バリアントの場合、F2ソートアウトプットは、100nM rCD28.Fcで染色したときMFI値640を与えたが、一方で、親ICOSL系統のMFIは、同じ濃度のrCD28.Fcで染色したとき29と測定された(22倍改善)。CTLA4に対する結合性について選択されたICOSL酵母バリアントの場合、F2ソートアウトプットは、100nM rCTLA4.Fcで染色したときMFI値949を与えたが、一方で、親ICOSL系統のMFIは、同じ濃度のrCTLA4.Fcで染色したとき29と測定された(32倍改善)。
重要なことに、上記の全てのF2アウトプットのMFIは、FL1にて抗HAタグ抗体を用いて測定したとき、野生型系統と比較して増加することなく、時に低下した場合もあったが、このことは、向上した結合性が選択されたバリアントの酵母の表面での増加した発現の関数ではなかったことを示しており、そして、高いリガンド結合を有する中から低エクスプレッサーのみを選択するゲーティング戦略を検証した。
選択されたバリアントICOSL ECDドメインをさらに融合タンパク質としてフォーマット化し、以下のとおり、結合活性および機能活性について試験した。
実施例4
Fc融合体としてのおよび種々の免疫調節タンパク質タイプにおける選択アウトプットの再編成
実施例4は、実施例3において同定された、Fc分子に融合されたICOSLの親和性が改変された(バリアント)細胞外ドメイン(ECD)(バリアントECD-Fc融合分子)を含有する免疫調節タンパク質としての、選択アウトプットの再編成を記載する。
最終フローサイトメトリーICOSLソートからのアウトプット細胞をSCD-Leu培地中末端密度まで成長させた。各アウトプットからのプラスミドDNAを、酵母プラスミドDNA単離キット(Zymo Research, USA)を使用して単離した。Fc融合体について、選択したFc融合ベクターへのクローニングに好適な制限部位を付加したPCRプライマーを使用して、プラスミドDNAプレップから変異体標的ECDのコーディングDNAをバッチ増幅させた。制限消化後、PCR産物を、適切なFc融合ベクターにライゲーションし、続いて、XL1 Blue系統大腸菌(Agilent, USA)またはNEB5α(New England Biolabs, USA)に供給者の指示どおり化学形質転換した。例示的なFc融合ベクターは、pFUSE-hIgG1-Fc2(Invivogen, USA)である。
形質転換反応の希釈物を、100μg/mLカルベニシリン(Teknova, USA)を含有するLB-寒天上にプレーティングして、単一コロニーを生成した。次いで、各形質転換からの最大96個のコロニーを、96ウェルプレート内、LB-ブロス(Teknova cat # L8112)中37℃で一晩飽和まで成長させ、そして、全てのクローン中の変異を同定するために各ウェルからの小アリコートをECDインサートのDNAシークエンシングに送った。サービス提供会社(Genewiz;South Plainfield, NJ)によって提供されるプロトコールを使用して、DNAシークエンシング用の試料調製を行った。DNAシークエンシング用の試料を取り出した後、次いで残りの培養物にグリセロールを最終グリセロール含量25%まで加え、そして、後で使用するためプレートをマスタープレート(以下参照)として-20℃で貯蔵した。あるいは、DNAシークエンシング用の試料を、成長させた液体培養物から固体寒天プレート上へのディスポーザブル96ウェルレプリケーター(VWR, USA)を使用したレプリカプレーティングによって生成した。これらのプレートを一晩インキュベートして成長パッチを生成し、当該プレートをDNAシークエンシングのために規定に従ってGenewizに送った。いくつかの場合は、変異を検証するために再度シークエンシングを実施した。
Genewizで生成されたDNAシークエンシングデータの分析後、関心対象のクローンをマスタープレートから回収し、100μg/mLカルベニシリン(Teknova, USA)を含有する液体LB-ブロス5mL中で飽和状態まで個々に増殖させ、次いで、各培養物2mLを、Pureyield kit(Promega, USA)のような標準キットを使用する各クローンの約10μgのミニプレッププラスミドDNAの調製に使用した。関心対象のクローンの同定は、概して、以下の工程を包含した。最初に、DNA配列データファイルをGenewizウェブサイトからダウンロードした。次いで、ECDコード領域の開始点で始まるように全ての配列を手動で処理した。次いで、URL:www.ebi.ac.uk/Tools/st/emboss_transeq/.で利用可能な好適なプログラムを使用して、処理した配列をバッチ翻訳した。次いで、翻訳した配列を、URL:multalin.toulouse.inra.fr/multalin/multalin.htmlで利用可能な好適なプログラムを使用してアライメントさせた。あるいは、 Ugeneソフトウェア(http://ugene.net)を用いてGenewiz配列を処理してアライメントを生成させた。
次いで、関心対象のクローンを以下の基準を使用して同定した:1.)同一のクローンがアライメント中に少なくとも2回生じる、および2.)変異がアライメント中に少なくとも2回、好ましくは別個のクローンで生じる。これらの基準のうちの少なくとも1つを満たしたクローンは、おそらく改善された結合に起因してソーティングプロセスによって富化されたクローンであった。
少なくとも1つの親和性改変ドメインを有するICOSLのECDを含有するFc融合タンパク質である組換え免疫調節タンパク質(例えば、バリアントICOSL ECD-Fc)を生成するために、以下のとおり設計されたタンパク質をコードするコーディング核酸分子を生成した:シグナルペプチド、続いてバリアント(変異型)OCOSL ECD、続いて3つのアラニン(AAA)のリンカー、続いてSEQ ID NO:226に示される野生型ヒトIgG1 Fcを基準にした変異N82G(EUナンバリングによるN297Gに対応する)を含有するヒトIgG1 Fc。この例示的Fcは、SEQ ID NO:226に示される野生型ヒトIgG1 Fcを基準にした安定化システイン変異R77CおよびV87C、ならびに(5位における置換(C5S)に対応する)EUナンバリングによる220位のシステイン残基のセリン残基への置換(C220S)も含有していた(それぞれ、EUナンバリングによるR292C、V302C、およびC220Sに対応する)。いくつかの場合は、AAAリンカーを提供するNotIクローニング部位を除去して、ICOSL ECDとFcの開始部位との直接融合体を生成した。その構築物は、システインと共有結合を形成することができる抗体軽鎖を含まないので、ヒトIgG1 Fcはまた、SEQ ID NO:226に示される野生型または未改変のFcと比較して、5位のシステイン残基のセリン残基への置換(C5S)を含有する。
実施例5
Fc融合体の発現および精製
実施例5は、上記実施例において記載されているバリアントECD ICOSLを含有するFc融合タンパク質のハイスループット発現および精製を記載する。
組換えバリアントFc融合タンパク質を、Expi293発現系(Invitrogen, USA)を用いて浮遊培養に適応したヒト胎児腎臓(HEK)293細胞から生産した。先の工程からの各プラスミドDNA 4μgをOpti-MEM(Invitrogen, USA)200μLに加え、同時に、ExpiFectamine 10.8μLを別のOpti-MEM 200μLに別々に加えた。5分後、プラスミドDNA 200μLをExpiFectamine 200μLと混合し、この混合物を細胞に加える前に追加で20分間さらにインキュベートした。1000万個のExpi293細胞を、10mlの滅菌円錐底ディープ24ウェル成長プレート(Thomson Instrument Company, USA)の別々のウェルのExpi293培地(Invitrogen, USA)容量3.4ml中に分注した。プレートを、湿度95%および8%CO2に設定された哺乳動物細胞培養インキュベーター内、120RPMで5日間振盪した。5日間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、培養上清を保持した。
ハイスループット96ウェルタンパク質A精製キット(Catalog number 45202, Life Technologies, USA)を使用し製造業者のプロトコールを使用して、上清からタンパク質を精製した。得られた溶出分画を、Zeba 96 well spin desalting plate(Catalog number 89807, Life Technologies, USA)を使用し製造業者のプロトコールを使用して、PBSに緩衝液交換した。Nanodrop instrument(Thermo Fisher Scientific, USA)によって測定した280nmの吸光度を使用して、精製したタンパク質を定量し、そして、タンパク質5μgを変性および還元条件下のNUPAGEプレキャストポリアクリルアミドゲル(Life Technologies, USA)上にロードし、その後ゲル電気泳動することによってタンパク質純度を評価した。標準的なクマシー染色を使用してゲル中でタンパク質を可視化した。
実施例6
親和性成熟されたIgSFドメイン含有分子の結合および活性の評価
A.細胞に発現しているカウンター構造体に対する結合性
この実施例は、同族結合パートナーに対するICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質の特異性および親和性を評価するための、上記実施例からの精製タンパク質のFc融合体結合研究を記載する。
同族結合パートナーを発現する細胞を生産するため、ヒトCD28およびICOSの各々についての全長哺乳動物表面発現構築物は、pcDNA3.1発現ベクター(Life Technologies)中で設計されており、これはGenscript, USAから供給された。上記の一過性トランスフェクション系(Life Technologies, USA)を使用して、全長哺乳動物表面リガンドを発現するように生成されたトランスフェクションされたHEK293細胞において、結合研究を行った。対照として、モック(トランスフェクションされていない)細胞への結合も評価した。実験に必要な細胞数を決定し、そして、製造業者の推奨プロトコールを使用して、適切な30mLスケールのトランスフェクションを実施した。CD28、ICOSまたはモックの30mLトランスフェクション毎に、7500万個のExpi293F細胞を発現構築物DNA 30μgおよび希釈したExpiFectamine 293試薬1.5mlと48時間インキュベートし、その時点で染色用に細胞を収集した。
フローサイトメトリーによる染色のために、適切な一過性トランスフェクションまたは陰性対照(モック)の200,000個の細胞を96ウェル丸底プレート中にプレーティングした。細胞をスピンダウンし、染色緩衝液(PBS(リン酸緩衝食塩水)、1%BSA(ウシ血清アルブミン)、および0.1%アジ化ナトリウム)中に20分間再懸濁して、非特異的結合をブロッキングした。その後、細胞を再度遠心分離し、これを、50μLの各候補CD80バリアントFc、ICOSLバリアントFc、またはスタックされたIgSFバリアントFc融合タンパク質の実験に応じて、100nM~1nMのバリアント免疫調節タンパク質を含有する染色緩衝液に再懸濁した。一次染色を氷上で45分間実施した後、染色緩衝液中で細胞を2回洗浄した。PEコンジュゲート抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch, USA)を染色緩衝液50μL中1:150に希釈し、細胞に加えて氷上でさらに30分間インキュベートした。二次抗体を2回洗い流し、細胞を4%ホルムアルデヒド/PBS中で固定し、そして、FACScan flow cytometer(Becton Dickinson, USA)またはHypercyt flow cytometer (Intellicyte, USA)で試料を分析した。
トランスフェクタントおよび陰性親系統毎に、Cell Quest Pro software(Becton Dickinson, USA)またはHypercyt flow cytometer (Intellicyte, USA)で平均蛍光強度(MFI)を計算した。
B.生物活性の特性決定
この実施例は、ヒト初代T細胞インビトロアッセイにおけるFc融合バリアントタンパク質の生物活性の特性決定をさらに記載する。
1.混合リンパ球反応(MLR)
可溶性rICOSL.Fcの生物活性をヒト混合リンパ球反応(MLR)で試験した。PBMC(BenTech Bio, USA)から単離された単球をEx-Vivo 15培地(Lonza, Switzerland)中500U/mL rIL-4(R&D Systems, USA)および250U/mL rGM-CSF(R&D Systems, USA)とインビトロで7日間培養することによって、ヒト初代樹状細胞(DC)を生成した。10,000個の成熟DCおよび100,000個の精製同種CD4+T細胞(BenTech Bio, USA)を、96ウェル丸底プレート内、最終容量200μlのEx-Vivo 15培地中でICOSLバリアントFc融合タンパク質および対照と共培養した。5日目に、Human IFN-gamma Duoset ELISA kit(R&D Systems, USA)を使用して培養上清中のIFN-γ分泌を分析した。VMax ELISA Microplate Reader(Molecular Devices, USA)によって光学密度を測定し、IFN-gamma Duo-set kit(R&D Systems, USA)に含まれる用量設定したrIFN-γ標準に対して定量した。第二のMLRプロトコルは、PBMC(BenTech Bio, USA)から単離された単球をインビトロで50ng/mLのrIL-4(R&D Systems, USA)および80ng/mLのrGM-CSF(R&D Systems, USA)とEx-Vivo 15 media(Lonza, Switzerland)中で7日間培養することによって、ヒト初代樹状細胞(DC)を生成することからなる。3日目および5日目に、培地の半分を除去し、50ng/mLのrIL-4および80ng/mLのrGM-CSFを含有する新鮮培地に置き換えた。DC成熟を完全に誘導するために、6日目にリポ多糖(LPS)(InvivoGen Corp., USA)を100ng/mLでDC培養物に加え、細胞をさらに24時間インキュベートした。およそ10,000の成熟DCおよび100,000の精製された同種CD3+T細胞(BenTech Bio, USA)をICOSLバリアントFc融合タンパク質および対照と、96ウェル丸底プレート内、最終容量200μlのEx-Vivo 15 media中で共培養した。4~5日目に、培養上清中のIFN-γ分泌を、Human IFN-gamma Duoset ELISA kit(R&D Systems, USA)を使用して分析した。光学密度を、BioTek Cytation Multimode Microplate Reader(BioTek Corp., USA)で測定し、IFN-gamma Duo-set kit(R&D Systems, USA)に含まれる力価測定されたrIFN-γ標準に対して定量した。
2. 抗CD3同時固定アッセイ
ICOSL融合バリアントの共刺激生物活性を抗CD3同時固定アッセイで決定した。1nMまたは10nMのマウス抗ヒトCD3(OKT3, Biolegends, USA)を、1nM~80nMのrICOSL.Fcバリアントタンパク質のPBS溶液で希釈した。この混合物を、組織培養処理平底96ウェルプレート(Corning, USA)に一晩加え、プレートのウェルへの刺激タンパク質の付着を促進させた。翌日、未結合のタンパク質をプレートから洗い出し、最終容量200μlのEx-Vivo 15 media(Lonza, Switzerland)中、100,000個の精製ヒトパンT細胞(BenTech Bio, US)またはヒトT細胞クローンBC3(Astarte Biologics, USA)を、各ウェルに加えた。いくつかの場合は、0.25uMのカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE, ThermoFisher Scientific, USA)でヒトパンT細胞を標識した。細胞を3日間培養した後、培養上清を採取し、上に述べたとおりDuoset ELISA kit(R&D Systems, USA)でヒトIFN-γレベルを測定した。LSR II(BD, USA)でのフローサイトメトリー解析によって、蛍光コンジュゲートされた抗CD4、抗CD8抗体(BD, USA)で染色した細胞または全T細胞に対する、CFSEの希釈により測定した分裂増殖に入ったインプット細胞の割合(%)によって、細胞増殖を決定した。
C. 結果
例示的な試験バリアントについての結合および活性研究の結果を表7に示し、表7は、それぞれの同族構造体ICOSおよびCD28に対する親和性成熟スクリーニングにおいて選択されたICOSLのECDにおける例示的なIgSFドメインアミノ酸置換(交換)を示す。当該表において、例示的なアミノ酸置換は、以下のとおり、それぞれの参照(例えば未改変)ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって示されている。例えば、表7の参照(例えば未改変)ECD配列(WT ICOSL)は、SEQ ID NO:32に示される(例えば未改変)ICOSL ECD配列である。アミノ酸位置が中央に示されており、対応する参照(例えば未改変または野生型)アミノ酸が番号の前に示されており、同定されたバリアントアミノ酸置換が番号の後に示されている。2列目は、各バリアントECD-Fc融合分子のバリアントECDの配列番号を示す。
また、同族リガンドを発現するようにトランスフェクトされた細胞への各バリアントFc融合分子の結合についての平均蛍光強度(MFI)値によって測定した結合活性、および同じ細胞が発現するカウンター構造体リガンドへのアミノ酸置換を含有しない対応する参照(例えば未改変)ECD-Fc融合分子の結合についてのMFIと比べた比によって測定した結合活性が示されている。また、バリアントFc融合分子の、T細胞の活性を調節する機能活性が、i)抗CD3と同時固定された表示のバリアントECD-Fc融合分子、またはii)MLRアッセイにおける表示のバリアントECD-Fc融合分子のいずれかで生成された培養上清中のIFN-γの計算レベル(pg/mL)に基づいて示されている。表はまた、両方の機能性アッセイにおける、各バリアントECD-Fcによって産生されたIFN-γの、対応する参照(例えば未改変または野生型)ECD-Fcと比べた比も示している。
示すとおり、選択は、少なくとも1つ、いくつかの場合では複数の同族カウンター構造体リガンドに対して向上した結合性を示すように親和性が改変された多数のICOSL IgSFドメインバリアントの同定をもたらした。加えて、その結果は、バリアント分子の親和性改変がまた、分子のフォーマットに応じて免疫活性を増強および/または低減する改善された活性を発揮したことを示した。例えば、リガンドの同時固定は、おそらく、アミノ酸交換を含有しない参照(例えば未改変または野生型)ECD-Fc分子と比較して、細胞との多価相互作用を提供してクラスタ化するか、またはアゴニスト活性を有利にするアビディティを増加させてT細胞活性化を増加させる。しかしながら、分子が溶液で二価Fc分子として提供されるとき、同じIgSFドメインバリアントは、アミノ酸交換を含有しない参照(例えば未改変または野生型)ECD-Fv分子と比較して、T細胞活性化を低減させるアンタゴニスト活性を示した。
(表7)CD28またはICOSに対して選択されたICOSLバリアント。分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ
*:親に対する比率は、WT ICOSLに対して346pg/mLのIFN-γを使用して計算された。
全長ヒトCTLA4を発現する細胞に対しても結合を評価した以外は、結合アッセイを実質的に上記のとおり繰り返した。また、ICOSLバリアントFc融合タンパク質も、抗CD3同時固定アッセイで実質的に上記のとおりさらに評価した。その結果は、少なくとも1つ、いくつかの場合では複数の同族リガンドに対して向上した結合親和性を示した多数のICOSL IgSFドメインバリアントの同定を確認した。加えて、その結果は、バリアント分子の親和性改変がまた、同時固定アッセイにおいて改善された活性を発揮したことを示した。
実施例7
追加の親和性改変IgSFドメイン
この実施例は、免疫活性化および阻害の両方において実証された二重の役割を有する免疫シナプス(IS)の他の成分である、追加の親和性が改変されたCD80(B7-1)、CD86(B7-2)およびNKp30免疫調節タンパク質の設計、作製、およびスクリーニングを記載する。これらの実施例は、IgSFドメインの親和性改変が、免疫活性を増強および低減するようにいずれにも作用できるタンパク質を生成することを実証する。この仕事はまた、II型免疫調節タンパク質を形成して免疫調節活性を達成する、バリアント親和性改変ICOSLと対になって融合された(すなわち、スタックされた)これらのドメインの種々の組み合わせを記載する。
酵母ディスプレイライブラリーとしての翻訳および発現のためのヒトCD80、CD86、およびNKp30のIgSFドメインの変異体DNA構築物を、実施例1に実質的に記載のとおり生成した。縮重コドンでの完全または部分的ランダム化のための標的タンパク質の特定残基を標的とするライブラリーについて、ヒトCD80の細胞外ドメイン(ECD)(SEQ ID NO:28)およびNKp30の細胞外ドメイン(ECD)(SEQ ID NO:54)をコードするDNAを、Integrated DNA Technologies(Coralville, IA)から、最大80塩基対(bp)長の一連の重複オリゴヌクレオチドとして注文した。あるいは、残基を、実施例1に実質的に記載のとおり、部位特異的標的化変異導入によって変異させた。あるいは、実施例1に実質的に記載のとおり、CD80のECD(SEQ ID NO:28)、CD86のECD(SEQ ID NO:29)、およびNKp30のECD(SEQ ID NO:54)のバリアントを同定するために、ランダムライブラリーを構築した。
ターゲティングおよびランダムライブラリーDNAを、実施例2に実質的に記載のとおり酵母に導入して、酵母ライブラリーを生成した。このライブラリーを使用して、実施例3に実質的に記載のとおり、CD80、CD86およびNKp30の親和性改変バリアントを発現する酵母を選択した。実施例3に実質的に記載のとおりに細胞を処理して結合しないものを減らし、外因性組換えカウンター構造体タンパク質と結合する能力を有するCD80、CD86、またはNKp30のバリアントを濃縮した。例えば、酵母提示されたターゲティングまたはランダムCD80ライブラリーを、CD28、CTLA-4、およびPD-L1の各々に対して別々に選択した。これに続いて、外因性カウンター構造体タンパク質染色を使用した2~3ラウンドのフローサイトメトリーソーティングを行って、改善された結合物を提示する酵母細胞の画分を濃縮した。磁気ビーズ濃縮およびフローサイトメトリーによる選択は、基本的には、Keith D. Miller,1 Noah B. Pefaur,2 and Cheryl L. Baird1 Current Protocols in Cytometry 4.7.1-4.7.30, July 2008 に記載のとおりである。
CD80、CD86およびNKp30ライブラリーと共に、標的リガンドタンパク質は、以下のとおりR&D Systems(USA)から供給された:ヒトrCD28.Fc(すなわち、組換えCD28-Fc融合タンパク質)、rPDL1.Fc、rCTLA4.Fc、およびrB7H6.Fc。2色フローサイトメトリーを実施例3に実質的に記載のとおり実施した。フローサイトメトリーソートからの酵母アウトプットを、より高い特異的結合親和性についてアッセイした。ソートアウトプット酵母を増殖させて再誘導し、これらがコードする特定の親和性改変IgSFドメインバリアントを発現させた。次いで、この集団を、フローサイトメトリーによって、親、野生型酵母系統、または任意の他の選択されたアウトプット、例えばビーズアウトプット酵母集団と比較することができる。
B7-H6への結合について選択されたNKp30酵母バリアントの場合、F2ソートアウトプットは、16.6nMのrB7H6.Fcで染色されたときMFI値533を与えたが、一方で、親NKp30系統のMFIは、同じ濃度のrB7H6.Fcで染色されたとき90と測定された(6倍改善)。
中でも、同定されたNKp30バリアントは、SEQ ID NO:54に示される位置に対応するNKp30細胞外ドメイン内の位置を基準に変異L30V/A60V/S64P/S86Gを含有するバリアントであった。中でも、同定されたCD86バリアントは、SEQ ID NO:29に示される位置に対応するCD86細胞外ドメイン内の位置を基準に変異Q35H/H90L/Q102Hを含有するバリアントであった。中でも、同定されたCD80バリアントは、表8に示されかつ以下にさらに記載されるバリアントであった。
ICOSLと同様に、上記の全てのF2アウトプットのMFIは、FL1にて抗HAタグ抗体を用いて測定したとき、野生型系統と比較して増加することなく、時に低下した場合もあったが、このことは、向上した結合性が、選択されたバリアントの酵母の表面での増加した発現と、高いリガンド結合を有する中から低エクスプレッサーを選択するだけの検証したゲーティング戦略と相関しなかったことを示唆している。
例示的な選択アウトプットを、実施例4に実質的に記載のとおり、Fc分子に融合されたCD80の親和性改変(バリアント)細胞外ドメイン(ECD)(バリアントECD-Fc融合分子)を含有する免疫調節タンパク質として再フォーマットし、Fc融合タンパク質を実施例5に実質的に記載のとおり発現させかつ精製した。
次いで、細胞が発現したカウンター構造体への例示的なCD80 Fc融合バリアントの結合を、実施例6に実質的に記載のとおり評価した。同族結合パートナーを発現する細胞を生産するために、ヒトCD28、CTLA4およびPD-L1の各々に対する全長の哺乳動物表面発現構築物を実施例6に記載のとおり実質的に生産した。結合研究およびフローサイトメトリーを実施例6に記載のとおり実質的に行った。加えて、Fc融合バリアントタンパク質の生物活性を、実施例6に記載のとおり、混合リンパ球反応(MLR)または抗CD3同時固定アッセイのいずれかによって実質的に特性解析した。
例示的な試験バリアントについての結合および活性研究の結果を表8および9に示す。具体的には、表8は、それぞれの同族構造CD28に対する親和性成熟のスクリーニングにおいて選択されたCD80のECDにおける例示的なIgSFドメインアミノ酸置換(交換)を示す。表9は、それぞれの同族構造PD-L1に対する親和性成熟のスクリーニングにおいて選択されたCD80のECDにおける例示的なIgSFドメインアミノ酸置換(交換)を示す。上記のとおり、表毎に、例示的なアミノ酸置換は、以下のとおり、それぞれの参照(例えば未改変)ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって示される。例えば、表8および9中の参照(例えば未改変)ECD配列は、SEQ ID NO:28に示される未改変のCD80 ECD配列である。アミノ酸位置が中央に示されており、対応する参照(例えば未改変)アミノ酸が番号の前に記載されており、同定されたバリアントアミノ酸置換が番号の後に記載されている。2列目は、各バリアントECD-Fc融合分子のバリアントECDの配列番号を示す。
また、同族カウンター構造体リガンドを発現するように改変された細胞への各バリアントFc融合分子の結合についての平均蛍光強度(MFI)値と、同じ細胞が発現するカウンター構造体リガンドへのアミノ酸置換を含有しない対応する参照(例えば未改変)のECD-Fc融合分子の結合と比較したMFIの比とによって測定された場合の、結合活性が示される。また、バリアントFc融合分子のT細胞の活性を調節する機能活性が、i)抗CD3と同時固定された表示のバリアントECD-Fc融合分子またはii)MLRアッセイ中の表示のバリアントECD-Fc融合分子のいずれかで生成された培養上清中のIFN-γの計算値(pg/mL)に基づいて示されている。また、表は、両方の機能性アッセイにおける各バリアントECD-Fcによって生産されたIFN-γの、対応する参照(例えば未改変)ECD-Fcと比べた比も示している。
示されるとおり、選択は、少なくとも1つ、いくつかの場合では複数の同族カウンター構造体リガンドに対する向上した結合性を示すように親和性が改変された多数のCD80 IgSFドメインバリアントの同定をもたらした。加えて、その結果は、バリアント分子の親和性改変がまた、当該分子のフォーマットに応じて免疫活性を増強および低下させる改善された活性を示したことを示した。例えば、リガンドの同時固定は、おそらく、アミノ酸交換を含有しない参照(例えば未改変または野生型)ECD-Fc分子と比較して、細胞との多価相互作用を提供してクラスター化するか、またはアゴニスト活性を有利にするアビディティを向上させて、T細胞活性化を向上させる。しかしながら、分子が溶液で二価Fc分子として提供されるとき、同じIgSFドメインバリアントは、アミノ酸交換を含有しない参照(例えば未改変または野生型)ECD-Fc分子と比較して、T細胞活性化を低下させるアンタゴニスト活性を示した。
(表8)CD28に対して選択されたCD80バリアント。分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ。
(表9)PD-L1に対して選択されたCD80バリアント。分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ。
実施例8
異なる親和性改変ドメインを含有するスタックされた分子の生成および評価
この実施例は、同定されたバリアントICOSLポリペプチドと、もう1つのさらなるバリアントCD80、CD86、ICOSL、およびNKp30分子とが互いに連結されてFcに融合されたものに由来する、少なくとも2つの異なる親和性が改変されたドメインを含有するスタック構築物として生成された、さらなる免疫調節タンパク質について記載する。
1つまたは複数のカウンター構造体リガンドについて親和性が改変された上記の選択されたバリアント分子を使用して、2つ以上の親和性改変IgSFドメインを含有する「スタック」分子(すなわち、II型免疫調節タンパク質)を生成した。Gibson assembly kit(New England Biolabs, USA)を使用した標準的なGibsonアセンブリによってFcへのその融合を可能にするフォーマットで該スタックをコードする遺伝子ブロック(Integrated DNA Technologies, Coralville, IA)としてスタック構築物を得た。
以下のとおり設計されたタンパク質をコードする全てのスタックのコーディング核酸分子を生成した:シグナルペプチド、続いて関心対象の第一のバリアントIgV、続いて3つのGGGGS(G4S)モチーフから構成される15アミノ酸リンカー(SEQ ID NO:228)、続いて関心対象の第二のIgV、続いて2つのGGGGSリンカー(SEQ ID NO: 229)、続いて3つのアラニン(AAA)、続いて上記のとおりのヒトIgG1 Fc。各スタックにおけるIgVドメインの正確なホールディングの可能性を最大限にするため、第一のIgVの前に、通常野生型タンパク質で生じる全ての残基をこのIgVとシグナルペプチド(リーディング配列)との間に置く。同様に、第一のIgVの後に、通常該IgVを野生型タンパク質中で次のIgドメイン(典型的には、IgCドメイン)またはこのような第二のIgVドメインが存在しない場合は該IgVを膜貫通ドメイン(トレーリング配列)に接続する残基のいずれかに接続する全ての残基が続く。両方のIgVドメインが同じ親タンパク質由来であった(例えば、別のICOSL IgVでスタックされたICOSL IgV)場合は両方の間のリンカーが繰り返し存在しなかったこと以外は、同じ設計原理を第二のIgVドメインに適用した。
表10は、例示的なスタックされた構築物の設計を示す。表10に示される例示的なスタック分子は、表示のとおりのIgドメイン(例えばIgVドメイン)およびさらに上記のとおりのトレーリング配列を含有する。表には、以下の成分が次の順序で存在する:シグナルペプチド(SP; SEQ ID NO:225)、Igドメイン1(例えばIg1)、トレーリング配列1(TS1)、リンカー1(LR1; SEQ ID NO:228)、Igドメイン2(Ig2)、トレーリング配列2(TS2)、リンカー2(LR2; SEQ ID NO:230)およびFcドメイン(C5S/R77C/N82G/V87Cアミノ酸置換を含有するSEQ ID NO:226)。いくつかの場合では、リーディング配列1(LS1)は、シグナルペプチドとIgV1の間に存在し、いくつかの場合では、リーディング配列2(LS2)は、リンカーとIgV2の間に存在する。
(表10)例示的なスタックされた構築物の成分のアミノ酸配列(SEQ ID NO)
少なくとも1つの親和性改変IgVドメインを含有するCD80、CD86、ICOSLまたはNkp30由来のバリアントIgVドメインの種々の組み合わせを含有するバリアントのIgVがスタックされたFc融合分子のハイスループット発現および精製を、実質的に実施例5に記載のとおりに行った。また、バリアントのIgVがスタックされたFc融合分子のそれぞれのカウンター構造体に対する結合性および抗CD3同時固定アッセイによる機能活性を、実質的に実施例6に記載されるとおりに評価した。例えば、スタックされたIgSF Fc融合タンパク質の共刺激生物活性を上記と同様の固定化抗CD3アッセイで決定した。この場合、4nMの抗CD3(OKT3, Biolegend, USA)を、組織培養処理96ウェルプレート(Corning, USA)上で4nM~120nMのヒトrB7-H6.Fc(R&D Systems, USA)またはヒトrPD-L1.Fc(R&D Systems, USA)と一晩同時固定した。翌日、未結合タンパク質をPBSで洗い出し、そして、100,000個の精製したpan T細胞を各ウェルのEx-Vivo 15培地(Lonza, Switzerland)100ulに加えた。その後、スタックされたIgSFドメインを100ulの容量中8nM~40nMの濃度で合計200ulの容量で加えた。細胞を3日間培養した後、培養上清を収集し、上に述べたとおりDuoset ELISA kit(R&D Systems, USA)でヒトIFN-γレベルを測定した。
結果を表11~13に示す。具体的には、表11は、NKp30 IgVドメインおよびICOSL IgVドメインを含有するバリアントIgVスタックFc融合分子についての結合および機能活性結果を示す。表12および13は、バリアントICOSL IgVドメインとバリアントCD80またはCD86 IgVドメインとを含有するバリアントIgVスタックFc融合分子についての結合および機能活性結果を示す。
表11~13の各々について、1列目は、アミノ末端(N末端)ドメインから始まり、続いてC末端ヒトIgG1 Fcドメインの前に中央のWTまたは親和性が改変されたドメインが位置する、スタックされた、親和性が改変されたまたは野生型(WT)ドメインの構造的構成および配向を示す。2列目は、各「スタック」分子中に含有される各IgVドメインの配列の配列番号を示す。3列目は結合パートナーを示しており、当該結合パートナーに対して、1列目に表示されている親和性が改変されたスタックされたドメインが選択された。
また、種々のカウンター構造体リガンドを発現するようにトランスフェクトされた細胞への各スタック分子の結合についての平均蛍光強度(MFI)値と、同じ細胞が発現するカウンター構造体リガンドへのアミノ酸置換を含有しない参照(例えば未改変)IgVドメインを含有する対応するスタック分子の結合と比較したMFIの比率とによって測定された場合の、結合活性が示される。また、バリアントスタック分子の、T細胞の活性を調節する機能活性が、溶液の表示のバリアントスタック分子および実施例6に記載されるとおりの抗CD3と同時固定された適切なリガンドで生成された培養上清中のIFN-γの計算レベル(pg/mL)に基づいて示されている。また、表は、同時固定アッセイにおける各バリアントスタック分子によって生産されたIFN-γの、対応する参照(例えば未改変)スタック分子と比べた比率も示している。
示されるとおり、結果は、それぞれの参照(例えば野生型または未改変)のIgVドメインを含有する対応するスタック分子と比較して、少なくとも1つの同族カウンター構造体リガンドに対して親和性が改変された向上した結合活性を示した少なくとも1つのバリアントIgSFドメインを含有するスタック分子を生成することが可能であったことを示した。いくつかの場合では、分子中の両方のバリアントIgSFドメインのうちの一方または組み合わせのいずれかに由来するスタック分子は、複数の同族カウンター構造体リガンドに対する向上した結合性を示した。結果はまた、スタックされた分子中のIgVドメインの順序が、いくつかの場合では、改善された結合活性の程度も変化させうることを示した。いくつかの場合では、ターゲティング同時固定アッセイで評価したときに機能的T細胞活性もまた変化した。
(表11)NKp30 IgVドメインおよびICOSL IgVドメインを含有するスタックされたバリアントIgV Fc融合タンパク質
(表12)CD80 IgVドメインおよびICOSL IgVドメインを含有するスタックされたバリアントIgV Fc融合タンパク質
(表13)CD80またはCD86 IgVドメインおよびICOSL IgVドメインを含有するスタックされたバリアントIgV Fc融合タンパク質
実施例9:膜貫通型免疫調節タンパク質を発現する改変細胞の生成および評価
上記のバリアントCD80、またはICOSL親和性改変IgSFドメインのいずれかを含有する細胞外ドメイン(ECD)を含有する膜貫通型免疫調節タンパク質(TIP)がキメラ抗原受容体(CAR)と共発現された、改変されたT細胞を生成した。当該TIPは、対応する野生型CD80またはICOSL膜貫通型タンパク質配列の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインも含有していた。改変細胞の免疫調節活性を、CARだけを発現している細胞または対応する野生型CD80もしくはICOSL膜貫通型タンパク質をCARと共発現している細胞と比較した。
例示的なCD80-TIPは、SEQ ID NO:28に示されるCD80細胞外ドメインならびにSEQ ID NO:1の243~288番目の残基に対応する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインの位置に関してI67T/L70Q/A91G/T120Sに対応するIgVおよびIgCドメインにアミノ酸変異を含有する親和性改変IgSFドメインを有するバリアントCD80であった。例示的なCD80-TIPのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:241に示され、かつ、SEQ ID NO:242に示されるヌクレオチドの配列によってコードされている。対応する野生型CD80膜貫通型タンパク質は、SEQ ID NO:1の35~288番目のアミノ酸残基として示されるアミノ酸配列を有しており、かつ、SEQ ID NO:251に示されるアミノ酸配列によってコードされている。
例示的なICOSL-TIPは、SEQ ID NO:32に示されるICOSL細胞外ドメインならびにSEQ ID NO:5の257~302番目の残基に対応する膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインにおける位置に関してN52H/I143Tに対応するIgVドメインにおけるアミノ酸変異を含有する親和性改変IgSFドメインを有するバリアントICOSLであった。例示的なICOSL-TIPのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:243に示され、かつ、SEQ ID NO:244に示されるヌクレオチドの配列によってコードされている。対応する野生型ICOSL膜貫通型タンパク質は、SEQ ID NO:5の19~302番目のアミノ酸残基として示されるアミノ酸配列を有しており、かつ、SEQ ID NO:252に示されるアミノ酸配列によってコードされている。
親和性改変ドメインを含有するTIPまたは対応する親和性が改変されていないIgSFドメインを含有する野生型膜貫通型タンパク質を、T細胞においてCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有する第1世代キメラ抗原受容体(CAR)と共発現させた。第1世代CARは、CD19に特異的なscFv(SEQ ID NO:245)、CD8に由来するヒンジおよび膜貫通ドメイン(SEQ ID NO:246)ならびにCD3ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:47に示される)を含んだ。CD19 scFv-CD3ζCARをコードするヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:248に示され、CD19 scFv-CD3ζCARのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:479に示される。
CARをコードする核酸分子のみ、または自己切断性T2A配列によってCARから分離された例示的なTIPもしくは野生型膜貫通型タンパク質のうちの1つ(SEQ ID NO:249に示されるヌクレオチドの配列によってコードされているSEQ ID NO:250)をコードする核酸分子も生成した。例示的な構築物は、表14に示される核酸配列を含有した。対照として、CD28共刺激ドメインを追加で含有する第2世代CARをコードする核酸構築物も生成した(CD19 scFv-CD28-CD3ζ)。
核酸分子をレンチウイルスベクターに個別にクローニングし、これを使用して3人の異なる健康なドナーから得られたヒトPBMC試料から単離されたT細胞を形質導入した。ベクターおよびレンチウイルスパッケージング構築物でのHEK293細胞の同時トランスフェクション後に、核酸配列を含有するレンチウイルス粒子を生産した。レンチウイルス粒子を超遠心分離によって培養培地から収集し、qRT-PCRによって滴定した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、3人の正常な血液ドナーから密度沈降法を使用して単離した。PBMCを抗CD3および抗CD28抗体ならびにIL-2と一晩培養し、次いで、レンチウイルス調製物を感染多重度5:1で形質導入した。対照の第2世代CARをコードするレンチウイルスベクターを、1人のドナー由来の細胞を形質導入するためだけに使用した。
培養の2週間(14日)後、細胞を、96ウェルマイクロエレクトロニクスプレート(E-プレート)の培養培地中のインピーダンス変化を測定し、かつリアルタイムプロットで細胞の数および形態学の変化を示すAcea Real-Time Cell Analyzer(RTCA)を使用して、標的抗原を発現する細胞との共培養後の細胞傷害性について分析した。CD19発現HeLa標的細胞(HeLa-CD19)を96ウェルE-プレートに播種し、RTCAシステムを使用して各単層のインピーダンスを24時間モニタリングした。改変されたT細胞をウェルにエフェクター:標的比10:1で加え、ウェルをさらに48時間モニタリングした。その結果を、測定された電気インピーダンスの変化から生じる細胞指数(Cell Index)(CI)値として表示および記録し、次いで、全ての時点の全てのウェルのCI読み取り値を同じ時間(基準時間)の個々のウェルのCI値で割って比率変換し、基準時間での値の割合を表すノーマライズされた細胞指数値を得た(Zhang et al. “Introduction to the Data Analysis of the Roche xCELLigence(登録商標)System with RTCA Package. ” Bioconductor. May, 3, 2016, bioconductor.org/packages/devel/bioc/vignettes/RTCA/inst/doc/aboutRTCA.pdf. Accessed September 9, 2016を参照のこと)。このアッセイでは、単層のインピーダンスの低下は、形質導入細胞による標的細胞の殺傷を反映する。
結果は、形質導入されていないT細胞と比較して第1世代CARを発現する細胞で低下したインピーダンスが得られたが、第1世代CARを発現する細胞についての低下したインピーダンスの程度は、第2世代CARを発現する細胞よりも小さかったことを示した。第1世代CARを発現する細胞における低下したインピーダンスは、概して、アッセイの最初の8時間まで続いたが、一方で、第2世代CARを発現する細胞のみその後もインピーダンスの低下が続いた。
図1に示されるとおり、1人のドナーでは、TIPまたは対応する野生型膜貫通型タンパク質を第1世代CARと共発現する細胞の各々は、インピーダンスのより大きな低下を示し、このことは、第1世代CARのみを発現する細胞と比較して大きい細胞傷害活性を示した。さらに、結果は、親和性が改変されていないIgSFドメインを含有する対応する野生型CD80またはICOSL膜貫通型タンパク質を共発現しているCAR発現細胞と比較して、CD80-TIPまたはICOSL-TIPを共発現しているCAR発現細胞において細胞傷害活性がより大きかったことを示した。これらのTIP改変細胞の観察された結果は、CD80-TIPまたはICOSL-TIPをCARと共発現する細胞における細胞傷害活性が、抗原特異的T細胞、例えばCAR発現T細胞の細胞傷害性免疫応答を調節する活性の増強を発揮したこと示した。
その他の2人のドナーでは、CD80-TIPを発現する細胞は、対応する野生型CD80膜貫通型タンパク質を発現する細胞と比較してより大きなインピーダンスの低下をもたらさなかった。1人のドナーでは、野生型膜貫通型タンパク質構築物を細胞に形質導入するのに十分ではなかったが、このドナーでは、ICOS-L TIPは、試験したその他の構築物と比較して最良の細胞傷害性を与えた。他のドナーでは、ICOS-L-TIPを発現する細胞は、対応する野生型ICOS-L膜貫通型タンパク質を発現する細胞と比較してより大きなインピーダンスの低下をもたらさなかった。試験した細胞において、CD80-TIP、ICOSL-TIPまたは対応する野生型膜貫通型タンパク質のいずれかをCARと共発現する全ての細胞は、第1世代CARのみを発現する細胞よりも大きな細胞傷害活性を示した。ドナーの中で観察された結果の違いは、ドナーの中のT細胞の違い、細胞の表面の種々の改変されたタンパク質の発現レベルの違い、細胞における殺傷の評価(例えば、14日目の形質導入細胞の評価、単一のエフェクター:標的細胞比の評価)のためのこの例示的アッセイにおいて使用された特定の条件、または他の要因に関連し得る。
実施例10
ICOSL IgSFドメインバリアントの結合および活性の評価
追加のECD ICOSLバリアントを上記のとおり酵母選択法によって実質的に同定し、これを使用して、実施例5に記載のとおりECD-Fc融合タンパク質を生産した。結合研究を実施して、実施例6に記載のとおり同族結合パートナーに対するICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質の特異性および親和性を実質的に評価した。
A. 結合および機能的特性解析
細胞が発現した全長同族結合パートナーCD28、ICOSおよびCTLA-4への結合を実施例6に記載のとおり実質的に評価した。また、ECD ICOSLバリアントの生物活性を、同時固定アッセイについて、ヒトT細胞と10nMのプレート結合抗CD3および40nMのICOSL Fcバリアントタンパク質の混合物との培養によって共刺激活性を決定した以外は、実施例6に記載のとおり、抗CD3同時固定アッセイまたはヒト混合リンパ球反応(MLR)で実質的に評価した。
表15は、細胞が発現したカウンター構造体への追加のICOSL IgSFドメインバリアントの結合、および抗CD3同時固定アッセイまたはMLRアッセイにおける生物活性の例示的な結果を示す。表15に示す例示的なアミノ酸置換は、SEQ ID NO:32に示されるそれぞれの参照(例えば未改変)ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定されている。アミノ酸位置が中央に示されており、対応する未改変(例えば、野生型)アミノ酸が番号の前に記載されており、同定されたバリアントアミノ酸置換が番号の後に記載されている。2列目は、各バリアントECD-Fc融合分子のバリアントECDの配列番号を示す。
表15の結果は、同族カウンター構造体リガンドを発現するように改変された細胞への各バリアントFc融合分子の結合についての平均蛍光強度(MFI)値、および同じ細胞が発現するカウンター構造体リガンドへのアミノ酸置換を含有しない対応する参照(例えば未改変)ECD-Fc融合分子の結合についてのMFIのと比較した比率によって測定した場合の結合活性を示している。また、バリアントFc融合分子の、T細胞の活性を調節する機能活性が、i)抗CD3と同時固定された表示のバリアントECD-Fc融合分子またはii)MLRアッセイにおける表示のバリアントECD-Fc融合分子のいずれかで生成された培養上清中のIFN-γの計算レベル(pg/mL)に基づいて示されている。表はまた、両方の機能性アッセイにおける各バリアントECD-Fcによって産生されたIFN-γの、対応する未改変(親)ECD-Fcと比較した比率も示している。
結果は、親和性が改変されたICOSL IgSFドメインバリアントの、少なくとも1つの同族カウンター構造体リガンドに対する結合親和性の変化(向上を含む)、および/または免疫活性の改善を示す。具体的には、実施例6で同定された初期ヒットと同様に、選択は、少なくとも1つ、いくつかの場合では複数の同族カウンター構造体リガンドに対して向上した結合性を示すように親和性が改変された多数の追加のICOSL IgSFドメインバリアントの同定をもたらした。加えて、その結果は、バリアント分子の親和性改変がまた、実施例6に記載のとおり、分子のフォーマットに応じて免疫活性を増強および/または低減する改善された活性を発揮したことを示した。
(表15)ICOSLバリアント:結合データおよび共刺激生物活性データ
B. 抗CD3共刺激アッセイにおけるサイトカイン産生
上記の例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、上記の抗CD3共刺激(同時固定)生物活性アッセイにおけるサイトカインIL-17の刺激についてさらに評価した。ヒトT細胞を、プレートに結合した10nMの抗CD3および40nMのICOSL Fcバリアントタンパク質の混合物と共に培養した。上清を収集し、ELISAによってIL-17レベルを決定した。抗CD3と共に固定化された表示のバリアントECD-Fc融合分子および対応する未改変(親)ECD-Fcで生成された培養上清中のIL-17の量(pg/mL)を測定した。比較のために、この表に、例示的なバリアントに対する表15に示した同じアッセイにおけるIFN-γの産生の結果も示されている。
上清中で測定されたIL-17のpg/mLならびに対応する未改変(野生型)ECD-Fcと比較して各バリアントECD-Fcによって産生されたIL-17の比率(増加倍率)を示す結果が表16に示されている。IFN-γについても類似の結果が示されている。また、細胞によって産生された総IL-17またはIFN-γサイトカインの割合(%)も示されている。結果は、バリアント分子の親和性改変が、共刺激アッセイにおいてIFN-γに加えてIL-17を増加させる変化した機能的T細胞活性を発揮したことを示した。
(表16)ICOSL IgSFドメインバリアントの共刺激生物反応性データ
実施例11
膜貫通型免疫調節タンパク質を発現するさらなる改変T細胞の生成および増殖の評価
この実施例は、ICOSLの親和性改変IgSFドメインを含有する細胞外ドメイン(ECD)を含有する膜貫通型免疫調節タンパク質(TIP)をキメラ抗原受容体(CAR)と共に発現する、さらなる改変T細胞の生成を記載する。具体的には、SEQ ID NO:32に示されるICOSL細胞外ドメイン内の位置を基準にアミノ酸変異N52D、N52H/N57Y/Q100P、E16V/N52H/N57Y/Q100R/V110D/H115R/Y152C/K156M/C198R、またはN52H/N57Y/Q100Rを含有する例示的なバリアントICOSL ECDを含むTIPを生成した。当該TIPは、対応する野生型ICOSL膜貫通型タンパク質配列の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン(SEQ ID NO:5の257~302番目の残基に対応する)も含有していた。シグナルペプチドを有するおよび有さないTIPの配列は、以下のとおりである:N52D(SEQ ID NO:496および497);N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:498および499);E16V/N52H/N57Y/Q100R/V110D/H115R/Y152C/K156M/C198R(SEQ ID NO:500および501)、およびN52H/N57Y/Q100R(SEQ ID NO:502および503)。比較のために、全長膜貫通野生型ICOSL(SEQ ID NO:5の19~302番目のアミノ酸残基)も細胞において発現させた。シグナルペプチドを有するおよび有さない野生型TIPの配列は、SEQ ID NO:494および495に示されている。TIPをコードする核酸は、自己切断T2A配列によってTIPから分離される緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする配列も含んだ。
親和性が改変されたドメインを含有するTIPまたは対応する親和性が改変されていないIgSFドメインを含有する野生型膜貫通型タンパク質を、T細胞において、キメラ抗原受容体(CAR)と共に発現させた。CARをコードするヌクレオチド配列は、以下を次の順でコードする:CD8シグナル配列(SEQ ID NO:481)、抗CD19scFv(SEQ ID NO:482)、CD8に由来するヒンジ/膜貫通領域(SEQ ID NO:483)、4-1BBに由来する共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:484)、およびCD3ζシグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:247)。得られた抗CD19 CARは、SEQ ID NO:490に示されるアミノ酸配列を有する。CARをコードする核酸はまた、自己切断T2A配列(SEQ ID NO:488に示される)によってCARから分離される青色蛍光タンパク質(BFP; SEQ ID NO:489)をコードする配列も含んだ。
CAR単独をコードする核酸分子または例示的なTIPの1つもしくは野生型ICOSLをコードする核酸分子のいずれかをクローニングしたウイルスベクター構築物を別々に生成した。CARをコードするウイルスベクターおよびTIPまたは野生型ICOSLをコードするウイルスベクターを、T細胞に同時形質導入した。形質導入のために、初代T細胞を、抗CD3および抗CD28ビーズ(Dynal)でビーズ:細胞比1:1にて活性化し、100IU/mLのIL-2の存在下で37℃にて2日間インキュベートした。次いで、T細胞を採取し、8μg/mLのポリブレンの存在下、CARウイルス上清400μLおよびTIPウイルス上清400μLで形質導入した。細胞を、1000gにて30℃で30分間スピノキュレーションした。次いで、細胞を移し、37℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、細胞を収集し、ウイルス上清を除去した。細胞を完全培地および50IU/mLのIL-2に再懸濁した。細胞を増殖させ、2日毎に合計6日間IL-2および培地で再度満たした。磁石を使用してビーズを細胞から除去し、増殖アッセイで評価する前に計数した。例示的な形質導入T細胞におけるTIPおよびCARの例示的な発現プロファイルが図2Aに示されている。
抗原に応答するCAR T細胞およびCAR-TIP T細胞の増殖を評価するために、細胞を、細胞トレース遠赤色素で標識した。CD19を発現するNalm6標的細胞を、標的:T細胞比1.5:1から開始し、8点希釈での1:2希釈によって力価測定した。標識されたCAR T細胞またはCAR-TIP T細胞をNalm6細胞に加え、そして、培養物を4日間インキュベートした後、細胞をフローサイトメトリーによって解析した。上清を収集し、サイトカイン放出アッセイでさらに評価した。
図2Bに示すとおり、CAR
+初代T細胞は、用量依存的にCD19
+NALM6細胞へと増殖する。CARのみのT細胞と比較して、CARおよび野生型ICOSLまたは例示的なICOSL TIPの1つのいずれかを共発現するT細胞は、CARのみ発現するT細胞と比較して、増強された増殖を示した。CARおよび
バリアントICOSL ECDのいずれかを含有するTIPの共発現は、CARおよび野生型ICOSLを共発現するT細胞より大きい増殖を示したが、このことは、初代T細胞上に発現するTIPが、T細胞増殖を増強する改善された共刺激シグナルを提供することを示している。
実施例12
ICOSL IgSFドメインバリアントの精製および精製されたICOSL IgSFドメインバリアントの評価
実施例6および10に記載される例示的な候補ヒットについて精製戦略を採用した。293細胞株(Expi293)に由来するヒト細胞に発現構築物を一過性にトランスフェクトし、ECD ICOSL Fc融合分子を細胞において発現させた。次いで、Fc融合タンパク質を、親和性クロマトグラフィー(MabSelect SuRe)によってプロテインAで上清から精製した。この初期の精製工程に続いて、分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)工程を行って、タンパク質をさらに精製した(Superdex200 16×60)。両精製工程からの試料を貯留し、分析用SECによって比較した。プロテインA精製後にタンパク質の濃度を決定した。得られた精製タンパク質をまた、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)での分析用SECによって分析して純度を評価した。
精製された試料中の主要ピークの割合(%)を決定し、初期プロテインA工程で精製されたタンパク質(プロテインAプールの主要ピーク%)対プロテインAに続き分取SECで精製されたタンパク質(SECプール(T=D0)の主要ピーク%)と比較した。表17に示すとおり、追加のSEC工程は、精製タンパク質のタンパク質純度を実質的に増加させた。タンパク質の安定性をさらに評価するために、分取SECによって精製されたタンパク質を室温で24時間放置し、次に、HPLCによる主要ピーク%(SECプール(T=D24)の主要ピーク%)を評価し、D0試料と比較した。D0対D24の主要ピーク%の変化を決定した(SECプールの主要ピーク▲%)。表17に示すとおり、試験した例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子の大部分は、この時点で主要ピーク%はほとんど変化を示すことなく、このことは、タンパク質バリアントの最小限の凝集が起こったことを示している。
実施例13
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの共刺激生物活性の評価
実施例12に記載のとおり精製された例示的なECD ICOSL Fc融合分子を、実施例6に実質的に記載のとおりMLRによって生物活性について評価した。10nMまたは40nMのICOSL Fcバリアントタンパク質の混合物を、10nMの抗CD3の存在下で96ウェルプレートに一晩結合させた。プレートを洗浄し、100,000のCFSE標識パンT細胞を96時間加えた。上清を収集し、IFN-γおよびIL-17レベルをELISAによって測定した。
例示的な試験バリアント(10nMおよび40nMのICOSL Fc)との抗CD3共刺激によって誘導されたサイトカイン分泌の結果を図3Aおよび3Bを示し、それはICOSLのECDにおける例示的なIgSFドメインアミノ酸置換(交換)を表示する。図3Aおよび3Bの棒グラフは、それぞれ、ELISAによる上清中の分泌されたIFN-γおよびIL-17の量(pg/mL)を示す。WT ICOSLとの抗CD3共刺激によって誘導されたレベルと比較して試験バリアントとの抗CD3共刺激によって誘導されたサイトカイン放出のレベルを水平線によって表示する。結果は、バリアント分子の親和性改変が、共刺激アッセイにおいてIFN-γおよびIL-17分泌を実質的に増加させることを含め、機能的T細胞活性を調節する活性を発揮したことを示した。増加した免疫活性をいくつかのバリアントで観察した。
実施例14
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの増殖の評価
実施例12に記載のとおり精製された例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、T細胞の抗CD3誘導性増殖を共刺激する能力について評価した。初代T細胞を、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した。10nMまたは40nMのバリアントECD ICOSL Fcまたは野生型ECD ICOSLタンパク質の混合物を、10nMの抗CD3の存在下で96ウェルプレートに一晩結合させ、次いで、標識T細胞を加えて3日間インキュベートした。対照として、結合した抗CD3およびIgGまたはIgG単独の存在下で増殖も評価した。細胞をCD4またはCD8表面マーカーについて染色し、フローサイトメトリーによってCFSE希釈を評価することによって、全T細胞、CD4+T細胞またはCD8+T細胞の増殖を決定した。
結果を、図4Aおよび図4Bに、それぞれ、40nMおよび10nMのICOSLで試験した例示的なバリアントについて示す。図4Aに示すとおり、ほとんど全ての試験バリアントECD ICOSL Fc融合分子がWT対照より大きい増殖を誘導した。図4Bに示すとおり、増殖の違いは10nMでより顕著であったが、ある特定のバリアントはこのより低い濃度でさえ最大の増殖を提供した。
実施例15
精製されたICOSL IgSFドメインバリアントヒットの結合および活性の評価
実施例12に記載のとおり精製された例示的なバリアントECD ICOSL Fc融合分子を、実施例6または実施例10に記載のとおりの方法を実質的に使用して結合および機能的活性について評価した。
A. フローサイトメトリー結合アッセイ
293細胞株(Expi293)に由来するヒト細胞にCD28、CTLA-4、ICOSをトランスフェクトしたかまたはモックトランスフェクトした。次いで、細胞を、100,000pM~46pMで力価測定したECD ICOSL Fc融合分子または野生型ECD ICOSL-Fcとインキュベートし、実施例6に記載のとおり、PEコンジュゲートされた抗ヒトFcを使用して結合を観察した。フローサイトメトリーおよび平均蛍光強度(MFI)によって結合を評価し、Cell Quest Pro software(Becton Dickinson, USA)を使用してシグナルに陽性の細胞の割合(%)を決定した。半最大MFI応答(MFI EC50)または陽性細胞%((+)EC50%)を与えたICOSL-Fcの濃度を決定した。
表18は、結果を示す。表18に示されるICOSLアミノ酸置換は、SEQ ID NO:32に示されるそれぞれの参照(例えば未改変)ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定される。いくつかの値(例えば、CD28へのWT結合)について、EC50を得ることは不可能であったので、データフォーマット目的で1000000pMを任意に選んだ。上の実施例10に記載のとおりの先の結合アッセイから得られた結果と同様に、少なくとも1つの同族カウンター構造体リガンドに対するバリアントICOSL ECD-Fc融合分子の結合親和性の変化が観察された。
(表18)ICOSLバリアントについてのフローサイトメトリーEC50
B. ForteBio結合アッセイ
受容体とICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質との間のタンパク質-タンパク質相互作用を、Fortebio結合アッセイを使用してさらに評価した。ICOS、CD28、およびCTLA-4受容体を抗ヒト捕捉センサー(ForteBio Octet AHC)上に個別にロードし、野生型未改変ICOSL ECD-Fc融合分子、野生型PD-L2 ED-Fc融合分子またはバリアントICOSL Fc融合分子を受容体に4点力価測定で結合させた。各力価測定を包括的に適合させて、各タンパク質の会合(kon)および解離(Kdis)を計算した。バリアントICOSL ECD-Fc融合分子と共に試験した各受容体の抗ヒト捕捉センサーのローディング応答を決定した。解離定数(KD)を計算し、野生型と比較して改善倍率値(fold imp.)を決定した。
ICOSへの結合結果を表19に示し、CD28への結合結果を表20に示し、CTLA-4への結合結果を表21に示す。表19~21に示される例示的なアミノ酸置換は、SEQ ID NO:32に示されるそれぞれの参照未改変ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定される。
(表21)CTLA-4 ForteBio結合アッセイ
C. 同時固定アッセイ
ICOSL融合バリアントの共刺激生物活性を、実施例6に記載のとおり、抗CD3同時固定アッセイにおいて実質的に決定した。およそ0.37nM、1.3nM、または10nMのマウス抗ヒトCD3(OKT3, Biolegends, USA)を、10nMまたは40nMのバリアントICOSL ECD Fcまたは野生型ICOSL ECD-Fcを含むPBS中で希釈した。この混合物を組織培養処理平底96ウェルプレートに一晩加え、刺激タンパク質のプレートのウェルへの付着を促進させた。翌日、未結合タンパク質をプレートから洗い出し、100,000個の精製ヒトパンT細胞を各ウェルに加えた。細胞を3日間培養した後、培養上清を採取し、ヒトIFN-γレベルをELISAキットで測定した。
表22は、抗CD3同時固定アッセイにおいて種々の条件下で細胞によって産生されたIFN-γの量(pg/mL)を示す。表において、例示的なバリアントECD ICOSL-Fc融合体のアミノ酸置換は、SEQ ID NO:32に示される未改変ICOSL ECD配列に対応するアミノ酸位置番号によって指定され、各バリアントICOSL ECD-Fc融合分子のバリアントECDの対応する配列番号を示す。機能的アッセイにおいて各バリアントICOSL ECD-Fcの存在下で産生されたIFN-γの、対応する未改変(野生型)ECD-Fcの存在下と比較した比率を示す(倍率↑WT)。示すとおり、バリアントICOSL-ECD-Fc分子の共刺激シグナル伝達は、野生型ICOSLと比較して大幅に大きかった。
(表22)共刺激アッセイにおけるIFN-γ応答の評価
D. 生物反応性抑制の評価のための混合リンパ球反応
融合バリアントによるT細胞活性の調節を、実施例6に記載のとおり、実質的に混合リンパ球反応(MLR)で決定した。ヒト単球を、IL-4およびGM-CSFの存在下で6日間インキュベートし、最後の24時間で追加のLPSを用いて樹状細胞へと成熟させた。1ウェル当たり1×104の樹状細胞および1×105のヒトCFSE標識T細胞をプレーティングし、PBS中で希釈した3つの異なる濃度(40nM、13.3nMまたは4.4nM)の野生型または組換えバリアントICOSL ECD-Fc分子の存在下で4日間インキュベートした。同じ濃度のヒトIgG、PD-L2-Fcまたはベラタセプト(L104EおよびA29Y変異を含有するCTLA4-Fc)を対照として使用した。上清を採取し、IFN-γ応答をELISAによって特性解析した。
図5は、種々の条件下でのIFN-γ産生を示す。野生型ICOSLの存在下で細胞によって産生されたIFN-γのレベルを水平線によって示す。陰性対照タンパク質PD-L2-Fcの存在下では、IFN-ガンマ産生の抑制は観察されなかった。対照的に、試験ICOSLバリアントの大部分は、MLRにおいてIFN-γ産生のある程度の阻害を示した。ある特定のバリアントは、試験した最低濃度の4.4nMでさえ、培養物中で産生された検出可能なIFN-γが非常に低いか全くないIFN-γの大幅な阻害を示した。バリアントECD ICOSL-Fcの4.4nMのバリアントの存在下でのMLR抑制割合(%)を表23に示す。表において、負の値は、アッセイにおける炎症効果を表示する。
(表23)MLRにおけるICOSLについての共刺激生物活性データ
E. フローサイトメトリーによる増殖および細胞内サイトカインマーカーの評価
野生型または組換えバリアントICOSL ECD-Fc分子の存在下で4日間インキュベートした上記のとおりのMLR研究からのカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)標識パンT細胞を、ゴルジ阻害剤(Golgi/Block/Plug)の存在下でのホルボールミリスタートアセタート(PMA)/イオノマイシンとの6時間の再刺激によって、サイトカインレベルについてさらに試験した。ヒトIgG、抗CD28、抗ICOSL、PD-L2-Fc、またはベラタセプト(L104EおよびA29Y変異を含有するCTLA4-Fc)とインキュベートしたMLR研究からのT細胞もまた再刺激した。T細胞をCD4またはCD8表面マーカーについて染色し、固定し、透過処理し、そして、表24および25に示すとおりの種々のサイトカインについて細胞内染色した。
特定の細胞内サイトカインに陽性であったCD4+およびCD8+T細胞の割合(%)をそれぞれ表24に示す。結果は、多数のバリアントICOSL ECD-Fc分子がまた、1つまたは複数のサイトカイン(いくつかの場合では、大半のサイトカインを含む)を抑制できたことを示した。総スコアおよび平均スコアを計算して、このアッセイで調べたパラメーター全体で試験した個々の分子の効果の合計を評価した。また、増殖も評価し、そして、CFSE希釈によって決定した場合の分化した細胞の割合(%)も表24および25に示す。提供した結果の中で、特にCD8+細胞から、ある特定のバリアントがベラタセプトと同等またはより良好な活性を示すことを結果は示している。
(表24)CD4
+T細胞の増殖および細胞内サイトカインレベルの評価
(表25)CD8
+T細胞の増殖および細胞内サイトカインレベルの評価
実施例16
B細胞とT細胞の共培養におけるサイトカイン産生の評価
B細胞およびCD4+T細胞を同じドナーから精製し、CSFEで標識し、1:1の細胞比にて、各々1ウェル当たり5×104の細胞で96ウェルプレートにプレーティングした。バリアントICOSL ECD-Fc融合分子またはベラタセプトを1ウェル当たり終濃度40nMで加えた。細胞を刺激しないか、または100ng/mLのブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、1μg/mLのヤマゴボウマイトジェン(PWM)もしくは両方と200μl/ウェルの終容量にて37℃で7日間インキュベートした。
細胞を採取し、表面を以下のBおよびT細胞系列マーカーについて染色した(IgM、IgD、CD38、CD138、CD27、CD19、CD4、CD3)。フローサイトメトリーによって増殖を評価し、培養上清を、LEGENDplex human Th cytokine detection kit(Biolegend, USA)を使用してIL-5、IL-13またはIL-21サイトカインについて解析した。
図6Aに示すとおり、分化したB細胞の数は、B/T細胞共培養物において、バリアントICOSL ECD Fc融合分子の存在下でインキュベートしたときタンパク質なし対照と比較して低減した。試験した例示的なバリアントに対する拮抗効果の程度は、CTLA-4-Igベラタセプト(L104E、A29Y)と似ていた。同じく、図6B~6Dに示すとおり、バリアントICOSL ECD Fc融合分子は、インビトロの初代ヒトB細胞/T細胞共培養において、タンパク質なし対照ならびに野生型ICOSL対照を含有する培養物と比較してサイトカイン産生を阻害した。ベラタセプトと比較して、例示的な試験バリアントICOSL ECD Fc融合分子は、いくつかの場合ではサイトカイン産生の遮断においてより効果的であった。
実施例17
移植片対宿主-疾患(GvHD)モデルにおける生存および疾患活動の評価
例示的なICOSLバリアントECD-Fcタンパク質を、移植片対宿主疾患(GvHD)モデルにおいて活性について評価した。雌のNSGマウス(1群当たりn=10)に照射し(100ラド)、-1日目にγグロブリン10mgを皮下投与した。0日目に、マウスは、1000万のヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、ならびに、100μgのWT-ICOSL ECD Fc、バリアントICOSL ECD Fc分子N52H/I143T(SEQ ID NO:135に示されるECD)、バリアントICOSL ECD Fc分子N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:113に示されるECD)、対照として75μgのベラタセプト(CTLA-4-Ig L104E/A29Y; 米国特許出願公報第US20160271218号)または食塩水のいずれかの腹腔内注射投薬を受けた。15日目に、移植したヒトCD45+細胞の表現型をフローサイトメトリーによって決定した。35日目に研究を終了した後、生存、体重減少、および疾患活動のエンドポイント測定値を評価した。
図7Aは、食塩水、WT ICOSL-ECD Fc、バリアントICOSL ECD-Fc分子、またはベラタセプトで処置された、GVHDマウスの生存を示す。食塩水またはWT ICSOL ECD-Fcを投与したマウスと比較して、バリアントICOSL ECD-Fc N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:113に示されるECD)を投与したマウスの生存の有意な差が観察された(マンテル-コックスおよびゲーハン-ブレスロウ-ウィルコクソン検定によってp<0.0001)。図7Bは、食塩水、WT ICOSL ECD-Fc、バリアントICOSL ECD-Fc分子、またはベラタセプトで処置されたマウスの体重減少に、研究過程にわたって類似の差があることを示す。
疾患活動指数(DAI)を研究中1週間に3回決定し、マウスの体重減少、姿勢、活動、被毛状態の外観および皮膚のスコアリングを評価した。研究過程にわたる疾患の等級を図7Cに示す。ICOSL FcバリアントN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:113に示されるECD)またはベラタセプトを受けた処置群は、大幅に改善されたDAIスコアを示した。また、研究14日目の末梢血中のヒトT細胞の割合(%)もフローサイトメトリーによって評価した。測定値を処置群で平均化し、誤差バーは平均の標準誤差(SEM)を表す。図7Dは、血液中の生CD3+/CD4+またはCD3+/CD8+細胞の割合(%)を示す。N52H/N57Y/Q100Pを有するバリアントICOSL ECD Fc(SEQ ID NO:113に示されるECD)またはベラタセプトを受けた処置群は、食塩水処置群と比較して有意に異なるCD4+T細胞のレベルを示した(それぞれ対応のないt検定によってp=0.008および0.006)。この研究は、インビボモデリング中のヒト初代T細胞およびGVHDに対するバリアントICOSL Fcバリアントタンパク質の治療効果を実証する。
バリアントICOSL ECD-Fc N52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:365に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:291に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:288に示されるECD)を含む、さらなるバリアントICOSL ECD-Fc融合分子を用いて類似研究を行った。上記で示したようにインビトロMLR研究において活性が低かったN52H/Q100R(SEQ ID NO:285に示されるECD)も試験した。NSGマウス(n=9/群)を上記のように処置した。この研究では、ICOSL-Fcまたはベラタセプトを用いた投薬は1週間に3回、0日目~37日目まで継続し、生き残ったマウスを49日目に殺した。群間の生存率の統計的差異を求めるために、データをマンテル・コックス(Mantel-Cox)(ログランク(log rank))検定を用いて分析した。結果として生じた生存曲線を図7Eに示した。ベラタセプトと、ICOSL-FcバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:365に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:291に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:288に示されるECD)は食塩水およびWT ICOSL-Fcと比較して生存期間を有意に延ばした(p<0.001)。実験の時間経過にわたって平均DAIスコアをプロットした。最後の観察(すなわち、終了日に収集した平均スコア)は、計画された最終試験日(49日目)の前に終了した群についてはグラフの前の方に記載した。経時データ(すなわち、DAIスコア)の群間の有意差を、「処置」効果について二元配置反復測定(2-way repeated measures)ANOVAを用いて求めた。結果として生じたDAIスコアを図7Fに示した。ベラタセプトとICOSL-FcバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198R(SEQ ID NO:365に示されるECD)、N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:291に示されるECD)、およびN52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:288に示されるECD)は、DAIスコアの二元配置ANOVAにより食塩水およびWT ICOSL-Fcと比較して(p<0.001)、ベラタセプトとN52H/N57Y/Q100R/C198Rを有するICOSL-Fcバリアントとの間(p=0.035)でDAIスコアを有意に低減した。
場合によってはバリアントICOSL-Fc活性はベラタセプト処置と比較して改善した。ベラタセプトに匹敵するか、またはベラタセプトより優れたレベルの生存の向上および疾患発達の減弱により証明されたように、ICOSL-Fcバリアント投与はGVHDの影響から保護された。このモデルにおいてWT ICOSL-Fcと変異N52H/Q100Rを有するバリアントICOSL-Fc(SEQ ID NO:285に示されるECD)は効果がなかったので、このモデルでの活性はインビトロ活性と相関関係にあった。
実施例18
スタックされた分子による活性化の評価
実施例8に記載のとおり、局在化ドメインとしてのNKp30 IgVドメイン(「L」で指定される)および共刺激ドメインとしてのICOSL IgVドメイン(「C」で指定される)を含有するスタックされたバリアントIgV Fc融合タンパク質を実質的に生成および評価した。具体的には、この実験において試験される構築物は、(1)コンセンサスNKp30バリアントのIgからなるNKp30(SEQ ID NO:143)とICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100PのIgVドメイン(SEQ ID NO:113に示されるECDおよびSEQ ID NO:201に示されるIgV)を含有する、バリアントIgV Fc融合タンパク質(vIgD C-L)を有するスタックされた構築物;(2)NKp30野生型ドメインIgドメイン(SEQ ID NO:214)および野生型ICOSL(WT C-L)のVドメイン(SEQ ID NO:196)を有するスタックされた構築物;(3)野生型ICOSL IgVドメイン(WT Cドメイン; SEQ ID NO:196)を有する構築物、ならびに(3)野生型NKp30ドメイン(WT Lドメイン; SEQ ID NO:214)を有する構築物を含む。
CD32+K562細胞を、細胞表面にB7-H6を安定に発現するように改変した。次いで、細胞をマイトマイシンで処置し、10nMの抗CD3およびスタックされたバリアントまたは対照ドメイン100、33、11、または3.7nMの存在下または非存在下でパンT細胞と共にプレートティングした。細胞を3日間培養した後、培養上清を採取し、ELISAを使用してヒトIFN-γレベルを測定した。
図8Aに示すとおり、バリアントおよび野生型の両方の共刺激局在化ドメインスタックは、改変されたK562細胞に局在化して共刺激シグナルをパンT細胞に送達し、IFN-γ分泌を誘導することができた。バリアントIgV Fc融合タンパク質(vIgD C-L)を有するスタックされた構築物は、試験した全ての濃度で増加した機能的活性結果を示した一方で、個々のドメイン成分は、互いに組み合わせなかったとき効果がなかった。
実施例19
インビボ遅延型過敏症の評価
バリアントICOSL ECD-Fc融合分子を、マウス遅延型過敏症(DTH)モデルでインビボ抗炎症活性について評価した。オボアルブミン(OVA)で感作したマウスで遅延型過敏症免疫反応を誘発し、チャレンジ後の応答を評価した。試験したバリアントICOSL ECD-Fc融合分子は、以下のアミノ酸置換を有するバリアントECDを含有していた:N52H/N57Y/Q100P(SEQ ID NO:113に示されるECD)、N52H/Q100R(SEQ ID NO:285に示されるECD)、またはN52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:291に示されるECD)。EUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有するFc骨格(Fc#1と指定される)(SEQ ID NO:477に示される)またはEUナンバリングによる変異C220S/E233P/L234V/L235A/G236del/S267Kを含有するFc骨格(Fc#2と指定される)(SEQ ID NO:478に示される)のいずれかに、G4S(GGGGS; SEQ ID NO:636)リンカーありまたはなしのいずれかでバリアントを融合させた。表26は、試験した構築物を示す。
感作のために、8週齢の雌のBALB/cマウスに、Sigma Adjuvant(100μL;カタログ番号S6322-1VL)に乳化したOVA 100μgを尾の基部に0日目に皮下注射した。1日目および4日目に、マウスに、バリアントICOSL ECD-Fc融合タンパク質、75μgのCTLA-4 Fc(アバタセプト)、または陰性対照としてPBSを腹腔内注射によって投与した。7日目、OVAチャレンジの2~3時間前に、マウスに、対照としてPBS、75μgのCTLA-4 Fc(Orencia社のアバタセプト)、または表示のバリアントICOSLポリペプチドを腹腔内注射によってさらに投与した。アバタセプトおよびバリアントICOSL-Fc融合分子をモル当量で投薬した。
OVAチャレンジのために、左耳介へのPBS 10μL容量中のOVA 10μgの皮内注射を、治療的処置の2~3時間後にイソフルランガス麻酔下で送達した。ベースラインの耳介厚を、OVAチャレンジ前に測定した。
8日目に、イソフルラン麻酔下でMitutoyoキャリパーを使用して耳介厚を測定し、OVAチャレンジ前後の耳介厚の変化を決定した。図9に示すとおり、表示のバリアントICOSL ECD-Fc融合分子で処置されたマウスは、PBS対照と比較して有意に低いOVA誘導性耳介腫脹を示した(1元配置ANOVAによって<0.0001)。試験した表示のバリアントICOSL ECD-Fc融合分子のいずれかと比較してアバタセプトで処置されたマウスの耳介厚間でも、バリアントICOSL処置間でも有意な差はなかった。これらの結果は、バリアントICOSL分子が免疫応答をインビボで低減することができることを実証する。
実施例20
バリアントICOSL IgSFドメイン含有分子の生成ならびに結合および活性の評価
追加のバリアントICOSL IgSF(例えば、ECD)ドメイン含有分子を以下に記載のとおり生成した。以下の表の各々において、表は、バリアントICOSLのECDにおけるアミノ酸置換を、SEQ ID NO:32に示されるそれぞれの参照(例えば未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列におけるアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されるとおり表示する。いくつかの場合では、バリアントICOSL ECD-FcのAAAリンカー配列の除去が「ΔAAA」によって表示される。2列目は、バリアントECD-Fc融合分子に含有される各バリアントECDドメインの配列番号を示す。
A. 追加のバリアントの生成
1. 溶解性バリアント
N30D、K42E、N52H、N52Y、N52S、N57Y、E90A、Q100R、Q100P、L102R、V110D、H115R、F120S、V122A、F138L、I143V、I143T、H152C、K156M、F172S、N194D、C198R、L203P、R221I、I224Vを含む変異を含有する変異体の収集物から、変異H115R、F172SおよびC198Rを、潜在的にタンパク質溶解性を増強またはタンパク質発現を増強し得る変異として同定した(「溶解性変異」)。これらの3つの変異(H115R、F172SおよびC198R)を部位特異的変異導入によって同じクローンセットにランダムに導入し、これらの溶解性変異の1つまたは複数を含有する誘導体の収集物を生成した。プールした変異原性オリゴをプールした親クローンと単一反応で反応させて部位特異的変異導入反応を実施したので、クローンのいくつかはまた、他の親クローン由来のいくつかの変異を含有する。生成したバリアントは、表27Aにまとめるとおり、3~10個の異なるアミノ酸変異を種々の組み合わせで含有していた。
(表27A)例示的なバリアントICOSLポリペプチド
2. バックバリアント
SEQ ID NO:32に示される位置を基準に参照(例えば野生型)ICOSLのECDにおいて、実施例6に記載の選択バリアントにおいて同定されたN52H、N52Y、N57Y、Q100R、Q100P、F138L、C198R、L203Pを含む特定の例示的な変異をさらに組み合わせて、さらなる組み合わせバリアントを生成した。生成したバリアントは、表27Bに示すとおり、1~3つの異なるアミノ酸変異を種々の組み合わせで含有していた。
(表27B)例示的なバリアントICOSLポリペプチド
3. グリコシル化バリアント
SEQ ID NO:32に示される位置を基準に参照(例えば野生型)ICOSLのECDにおいてN52H、N52Q、N84Q、N119Q、N155H、N155Q、N168Q、N207Qから選択される例示的なグリコシル化変異を種々の組み合わせで組み合わせて、さらなる組み合わせバリアントを生成した。生成したバリアントは、表27Cに示すとおり、1~5つの異なるアミノ酸変異を種々の組み合わせで含有していた。「X」で指定されている変異は、表示の位置のNまたはQのいずれかを示す。
(表27C)(グリコシル化):例示的なバリアントICOSLポリペプチド
B. 細胞が発現したカウンター構造体への結合
追加のバリアントを、実施例4に記載のとおり、Fc融合タンパク質としてフォーマットした。バリアントFc融合分子を結合研究において評価し、ICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質の同族結合パートナーに対する特異性および親和性を評価した。同族結合パートナーヒトCD28、ICOSおよびCTLA4をトランスフェクトしたExpi293細胞を、実施例6に記載のとおり結合研究において使用した。各形質転換体についてMFIを決定し、対応する未改変(親)ECD-Fcと比較した。
例示的なバリアントICOSL ECD-Fc融合分子の結合に関する結果を表28A~Cに示す。表28A~Cに示すとおり、特定の変異の種々の組み合わせで生成されたICOSL IgSF(例えば、ECD)ドメインバリアントは、少なくとも1つ、いくつかの場合では複数の同族カウンター構造体リガンドに対して向上した結合性を示した。
C. 抗CD3同時固定アッセイを用いた生物活性特性解析
また、実施例6に記載のとおり、生成したバリアントFc融合分子の共刺激生物活性を抗CD3同時固定アッセイにおいて評価した。表28A~Cは、アッセイにおける各バリアントECD-Fcによって産生されたIFN-γの、対応する未改変(野生型)ICOSL ECD-Fcと比較して比率を示す。「X」で指定されている変異は、表示の位置でのSEQ ID NO:32の表示の位置に対応するQまたは野生型残基を示す。示すとおり、生成したバリアントFc融合分子は、免疫活性を増強する改善された活性を示した。
(表28A)選択変異を含有するバリアントICOSL ECD-Fc分子の、分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ
(表28B)選択変異を含有するバリアントICOSL ECD-Fc分子の、分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ
(表28C)グリコシル化変異を含有するバリアントICOSL ECD-Fc分子の、分子配列、結合データ、および共刺激生物活性データ
実施例21
HER2ターゲティング抗体を有する融合分子の生成および評価
この実施例は、コンジュゲート(「vIgDコンジュゲート」)を形成するための腫瘍ターゲティング物質とコンジュゲートされたバリアントICOSL ECD-Fc融合分子の生成および評価を記載する。
ICOSL vIgDのVドメイン(N52H/N57Y/Q100P; SEQ ID NO:201に示される)のみを、介在GGGSGGGSリンカーを用いて、HER2ターゲティング抗体の軽鎖(図10A)および重鎖(図10B)のアミノおよびカルボキシル末端に融合させた。vIgDコンジュゲートの例示的な配置を図10Cに示す。
HER2結合を評価するために、HER2 DNAまたはモックExpi293形質転換体を、100pM~100nMの濃度のバリアントICOSLコンジュゲート(vIgD N52H/N57Y/Q100Pコンジュゲート)を含有する力価測定量のHER2ターゲティング抗体で染色した。野生型ICOSL ECD-Fc融合体、野生型PD-L2 IgV-Fc融合体、およびN52H/N57Y/Q100Pに変異を有するバリアントICOSL ECD-Fc融合分子を含む対照タンパク質も試験した。平均蛍光強度(MFI)または陽性細胞の割合(%)を、実施例6に記載のとおり形質転換体毎に決定した。図11A~Bに示すとおり生成したIgSFコンジュゲートは全て、Expi293細胞において観察されるHER2発現の内因性レベルと比較して、HER2への結合を保持した。同様に、vIgDコンジュゲートはまた、CD28、CTLA-4、およびICOSを含むICOSLの同族結合パートナーへの結合を示した。
また、実施例6に記載のとおり、ヒト初代T細胞インビトロアッセイのタンパク質生物活性および増殖も特性解析した。vIgDコンジュゲートを、10nMの抗CD3の存在下、30~0.1nMで96ウェルプレートに一晩結合させた。プレートを洗浄し、100,000のCFSE標識パンT細胞をプレートに加え、72時間インキュベートした。上清中のIFNγレベルをELISAによってアッセイした。図12に示すとおり、表示の配置を有するvIgDコンジュゲートは、親野生型ICOSL ECD-Fc融合分子コンジュゲートと比較して、より大きいIFNγ分泌および増殖を示した。
実施例22
初代ヒトT細胞のNanostringの転写シグネチャー
組織培養プレートを、10nMの抗CD3で、40nMのFc対照タンパク質、野生型ICOSL-Fc、野生型CD80-Fc、これらのタンパク質の両方、または表示のとおりの変異を有するバリアントICOSL Fc融合タンパク質と共にコートした。次いで、精製ヒトT細胞を、タンパク質でコートしたプレート上にプレーティングし、37℃でインキュベートした。上記の各処置群からの培養物を24、48および72時間で採取し、各細胞試料からトータルRNAを調製した。RNAをNanostringに転写し、Cancer Immune chipを使用して各試料における750の遺伝子の転写産物を定量化した。処置群間および種々の時点にわたる転写産物レベルの比較を可能にするNanostringのプロプライエタリーソフトウエアを使用して、転写産物値をノーマライズした。図18および図19に示すとおり、試験したバリアントICOSL ECD-Fcポリペプチドは、野生型CD80 ECD-Fc、野生型ICOSL ECD-Fc、または両方の組み合わせと比較して変化した炎症活性を示す。
実施例23
HER2ターゲティング抗体を有する融合分子の生成および評価
また、VmAbおよびHER2発現標的細胞と共培養したヒトT細胞の増殖も特性解析した。CFSE標識パンT細胞を、VmAbまたは対照タンパク質の存在下、細胞表面抗CD3単鎖Fv(OKT3)およびHER2を提示するK562由来の人工標的細胞で72時間刺激した。増殖を、CD4+またはCD8+染色T細胞に対するCFSE希釈のフローサイトメトリー解析によって測定した。Vmabを、標的細胞数または利用したVmAbの濃度のいずれかを変化させてアッセイした。第一のアッセイでは、K562標的細胞を2500~78の細胞/ウェルに力価測定し、100,000のT細胞にエフェクター:標的(E:T)範囲40~1280:1で加えた。VmAb、親IgSFドメイン、またはWT ICOSLを1000pMで加えた。第二のアッセイでは、K562標的細胞を、625の細胞/ウェルで、100,000のT細胞にエフェクター:標的比160:1で加えた。VmAbまたは対照タンパク質を力価測定し、3000~37pMで加えた。図20Aおよび20Bに示すとおり、アッセイの両配置共に、vIgDコンジュゲートを含有するVmAbが、親抗体、親IgSFドメイン、またはWT ICOSLと比較して優れた増殖を提供することを実証する。追加的に、vIgDコンジュゲートは、低いE:T比(1280:1)または低いタンパク質濃度(37pM)で増殖を媒介した。
実施例24
膜貫通免疫調節タンパク質およびT細胞受容体を発現する改変された細胞の作製および評価
本実施例は、ヒトT細胞における様々なバリアントICOSL IgSFドメイン含有膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)と例示的な組換えE6特異的T細胞受容体(TCR)の発現およびT細胞増殖の評価について説明する。
0日目に、ヒトHLA-A2+T細胞を抗CD3/抗CD28活性化ビーズ(ThermoFisher Scientific, USA)によって活性化し、1日目に、HPV E6に特異的なTCR(WO2015/009606に記載)と、およびバリアントICOSL IgSFドメインを含有する様々な膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)を形質導入した。例示的なICOSL-TIPには、SEQ ID NO:32に示されるICOSL細胞外ドメインの中の位置を基準にして、
に対応するアミノ酸変異を含有する親和性改変IgSFドメインがあった。ICOSL TIPはまた、SEQ ID NO:5の257~302番目の残基に対応する膜貫通・細胞質ドメインを含んだ。比較のために、T細胞には、HPV E6 TCRと、WT CD80-TIP(SEQ ID NO:1の35~288番目のアミノ酸として示され、SEQ ID NO:251に示されるヌクレオチド配列によってコードされる)またはWT ICOSL-TIP(SEQ ID NO:5の19~302番目のアミノ酸として示され、SEQ ID NO:252に示されるヌクレオチド配列によってコードされる)のいずれかも同時形質導入した。形質導入のために、改変された細胞においてTIPと、TCRα鎖およびTCRβ鎖を含有するTCRを共発現させるために、それぞれがP2Aリボソームスキップ配列をコードする配列(SEQ ID NO:863)によって互いに隔てられている、TIPとTCRα鎖配列およびTCRβ鎖配列をコードするポリヌクレオチドを挿入したウイルスベクター構築物を細胞に形質導入した。詳細に述べると、核酸構築物には、以下の構造:ICOSL-P2A1-TCRβ-P2A2-TCRαがあった。この構造では、ヌクレオチド配列P2A1およびP2A2はそれぞれ、SEQ ID NO:863に示されるP2Aをコードしたが、配列間の組換えを回避するためにヌクレオチド配列が異なった。
対照として、T細胞にモック形質導入したか、例示的なE6 TCRだけを形質導入した。
T細胞活性化ビーズを3日目に除去し、サイトカインIL-2、IL-7、およびIL-15を培養物に添加した。形質導入後、6日目にTIPおよびTCRの細胞表面発現をフローサイトメトリーによって評価した。改変された細胞の35~65%がTCRとTIPについて二重陽性であった。TCR発現細胞をHPV E6ペプチドの存在下で拡大させ、14日目に評価したときに>90%がTCR/TIP二重陽性の細胞集団を得た。14日目に、改変された細胞を、扁平上皮がん細胞株UPCI:SCC152(ATCC(登録商標)CRL-3240(商標); HPV+、HLA-A2+)、類表皮がんCaSki細胞(ATCC(登録商標)No.CRL-1550(商標); HPV+、HLA-A2+)、または扁平上皮がんSiHa細胞(ATCC(登録商標)HTB-35(商標); HPV+、HLA-A2-)のいずれかのHPV感染細胞とインキュベートした。標的細胞との同時培養を開始した後3日目に、改変された細胞の増殖を評価した。図21に示したように、2種類のHPV+細胞株において、E6 TCRを用いて改変されたT細胞の増殖が増強することが観察されたが、HPV-SiHa株では有意に増強しなかった。バリアントICOSL TIPを共発現させた改変された細胞の増殖はHLA-A2+HPV+標的SCC152およびCaski細胞株に応答して増強した。
実施例25
Fc融合免疫調節タンパク質の作製および評価
様々なリンカーとFc分子を使用したこと以外は実質的に実施例4に記載のように、バリアントICOSL IgSF(例えば、ECD)ドメイン含有分子をFc融合タンパク質として並べた。ICOSLのECDと、少なくとも1つの親和性改変ドメインを含有するFc融合タンパク質(例えば、バリアントICOSL ECD-Fc)である免疫調節タンパク質を作製するために、コード核酸分子は、以下:不活性ヒトIgG1 Fcに直接的に、またはリンカーを介して間接的に連結されたバリアント(変異体)ECDのように設計されたタンパク質をコードするように作製した。詳細に述べると、作製した免疫調節タンパク質はリンカーを含有せず(なし)、AAAもG4S(SEQ ID NO:636)リンカーも含有しなかった。不活性ヒトIgG1 Fcは、EUナンバリングによる以下の変異:
またはそのアロタイプを含有した。交換C220Sを含めた。なぜなら、結果として生じるタンパク質が、システインと共有結合を形成することができる抗体軽鎖を含まないからである。組換えバリアントFc融合タンパク質を293細胞において産生させ、実施例5において実質的に説明したようにプロテインAを用いて精製した。
バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質を、同族結合パートナーに対する結合性を評価する結合研究において評価した。実施例6に記載のように結合研究において、同族結合パートナーであるヒトCD28、ICOS、およびCTLA4でトランスフェクトしたExpi293細胞を標的細胞として使用した。それぞれの結合パートナーを発現する標的細胞に対するバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質の結合のMFIを求め、対応する未改変(野生型)ICOSL ECD-Fcと、同じ標的細胞との結合性について比較した。バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質によるT細胞活性の調節も、実施例6において実質的に説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いて確かめた。
様々なリンカーとFc領域を含有する例示的なバリアントICOSL ECD-Fc融合免疫調節タンパク質の結合の結果を表29に示した。この表は、SEQ ID NO:32に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにバリアントICOSLのECDにおけるアミノ酸置換を示している。1列目は、バリアントICOSL Fc融合体に含まれる、それぞれのバリアントECDドメインのSEQ ID NO識別子も示す。2列目は、Fc融合タンパク質に使用したリンカーと、リンカーのSEQ ID NO識別子を示す。3列目は、EUナンバリングによるFc変異と、バリアントICOSL Fc融合タンパク質に含まれるFcのSEQ ID NO識別子を示す。
表29に示したように、試験したバリアントICOSL Fc融合タンパク質の中で、同族結合パートナーとの結合について同様の結果が観察された。これらの結果から、異なるFc分子または異なるリンカーを用いたFc融合体のフォーマットは、ICOSL IgSFドメインバリアントの、その同族結合パートナーに対する結合に影響を及ぼさなかったことが分かる。さらに、Fc融合体フォーマットの全てがMLR反応中で溶解状態で二価Fc分子として提供されたときに、アミノ酸置換を含有しない参照(例えば、未改変または野生型)ECD-Fc分子と比較してT細胞活性化を低減するアンタゴニスト活性を示した。場合によっては、上清中に、検出可能なIFN-γは測定されなかった。このことは、補助刺激リガンド同族結合パートナーと、IFN-γ分泌を誘導するリガンドとの相互作用が完全にブロックされたことと一致した。
(表29)バリアントICOSL ECD-Fc分子の分子配列、結合データ、および補助刺激生理活性データ
実施例26
CHO細胞におけるバリアントICOSL分子の発現
実施例5に記載のようにExpi293細胞においてバリアントICOSL Fc融合タンパク質を発現させる代わりとして、懸濁チャイニーズハムスター卵巣細胞(ExpiCHO-S)細胞を用いて様々なICOSL分子を産生した。GSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:635)を用いて、SEQ ID NO:477に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有する不活性FcまたはSEQ ID NO:637に示されるそのアロタイプに連結されたバリアント(変異体)ECD N52H/N57Y/Q100R/F172S(SEQ ID NO:291)を含有する例示的なバリアントICOSL IgSF(例えば、ECD)Fc融合タンパク質をコードするDNA構築物を用いて細胞をトランスフェクトした。
ExpiCHO-S細胞と、ExpiCHO(商標)発現系を用いたトランスフェクション用試薬はThermoFisher Scientific(Cat#A29133)から購入した。細胞を解凍し、製造業者の推奨プロトコールに従って拡大させた。少なくとも2回継代した後に、トランスフェクションの24時間前に細胞を分割し、高密度になるまで拡大させた。次いで、細胞をトランスフェクション用の細胞数まで希釈し、DNA複合体をExpiFectamine(商標)CHO試薬を用いて形成し、細胞に添加した。DNA複合体を添加して1日後に、ExpiCHO(商標)feedとExpiFectamine(商標)CHO Enhancerを培養物に添加し、次いで、32℃インキュベーターに入れた。細胞生存率および細胞質量をモニタリングし、生存率が80%未満になったときに培養物を収集した。次いで、細胞ペレットを除去するために培養物を低速で遠心分離し、透明化した上清を0.2um濾過滅菌した。タンパク質を実施例5に記載のように精製した。
A.タンパク質分析
精製されたバリアントICOSL Fc融合タンパク質をSDS-PAGEに流し、タンパク質染色によって分析した。CHO細胞から生じた細胞では複数のバンドが観察されたが、293細胞から生じた細胞では観察されなかった。このことは、CHO細胞において発現させたときにタンパク質分解によるICOSL切断が起こったという観察と一致する。表30Aは、SDS-PAGEによって観察されたときのアミノ酸配列と潜在的な炭水化物に基づいて計算した、インタクトなタンパク質、単一切断(single-clipped)、および二重切断(double clipped)タンパク質の分子量を図示する。低分子量の還元/非還元切断種(単一切断および二重切断)の存在によって示されたように、ExpiCHO-S由来細胞において発現させたICOSL Fc融合タンパク質のタンパク質分解が観察された。観察されたバンドのサイズおよびマススペクトロメトリー(Mass Sprectromety)分析に基づいて、これらの結果は、配列LQQN/LTに対応するICOSL ECDにある潜在的な切断部位と一致し(「/」は潜在的な切断部位を示す)、それによって、Fc融合タンパク質の一方または両方の鎖においてECDのスターク(stalk)領域前の切断と、この配列のFc部分の除去が起こる。観察されたプロテアーゼ切断によって、CHO細胞において産生させたときに不均一なタンパク質産物が生じることがある。また、膜貫通免疫調節タンパク質として発現させたフォーマットの場合、ある特定の細胞において起こるプロテアーゼ切断によって、細胞から可溶性タンパク質が放出され、それによって、改変された細胞上にある細胞表面発現型のバリアントタンパク質が低減する可能性がある。
(表30A)タンパク質分解を圧制するために、SDS-PAGEを用いたプロテインAカラムクロマトグラフィーからの捕捉および溶出後に検出された還元/非還元種
1タンパク質MWマーカーと比べたSDS-PAGEからのMW推定値
実施例27
ICOSL IgSFドメイン含有分子のタンパク質分解耐性バリアントの作製
CHO細胞などの細胞において発現させたときにバリアントICOSLポリペプチドをタンパク質分解耐性にするために、様々なさらなる形態のバリアントICOSLポリペプチドを作製した。以下のさらなる改変されたICOSL ECD参照配列:(1)LQQN/LTプロテアーゼ切断部位の全てまたは一部を欠く様々なECD切断(トランケーション型#4、#5、#6、#7、もしくは#8と名付けた);(2)SEQ ID NO:32に示される位置を基準に切断部位N207および/もしくはL208に変異を含有するICOSLバリアント参照配列;またはIgVドメインを、この分子の唯一のIgSFドメインとして含有するICOSL単独IgV参照配列(SEQ ID NO:32の1~122番目のアミノ酸に対応するSEQ ID NO:545に示される)を作製した。場合によっては、上記の戦略の組み合わせをICOSL ECD参照配列において示した。以下の表30Bは、作製した様々な参照配列を示す。
SEQ ID NO:32に示されるナンバリングを基準に例示的な変異N52H/N57Y/Q100R/F172Sを様々な参照配列に導入した。SEQ ID NO:545に示される参照ICOSL IgVは、F172Sに対応する位置を含有しないので、バリアントICOSL IgVは変異F172Sを含有しなかった。作製したバリアントICOSLポリペプチドは、SEQ ID NO:633に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237A/K447delを含有する不活性FcまたはSEQ ID NO:637に示されるそのアロタイプに(G4S)2リンカー(SEQ ID NO:229)を介して連結されている、作製した参照ICOSL IgSFドメインを含有するFc融合タンパク質として並べられた。
(表30B)例示的なICOSL IgSF含有ドメイン参照配列
A.タンパク質分解の評価
上記のバリアントICOSL Fc融合分子をコードするDNA構築物をトランスフェクションによってチャイニーズハムスター卵巣細胞(ExpiCHO-S)に導入した。次いで、実施例5に記載のようにアフィニティクロマトグラフィー(affinity chromatograpy)によってプロテインAを用いてICOSL Fc融合タンパク質を上清から精製した。精製されたタンパク質を分析用SECによって分析した。
SECによって、インタクトなタンパク質はシングルピークを示すのに対して、切断されたタンパク質は、低分子量種を含む複数のピークを示した。実施例26記載のSDS-PAGE結果と一致して、バリアントICOSL ECD Fc融合タンパク質をExpiCHO-S由来細胞において発現させ、SECによって評価したときに、図22Aに示した複数のピークによって示されたようにタンパク質分解が観察された。図22B~22Gに示したように、推定ECDプロテアーゼ切断部位が除去されたかまたは変異した改変参照ICOSLポリペプチドを用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質のSEC分析によってシングルピークが観察された。このことから、このタンパク質の切断が低減したことが分かる。しかしながら、ある精製ロットでは、SEQ ID NO:604に示される参照ICOSLポリペプチドを用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質(トランケーション型#5)のSEC分析によって低分子量種が観察されたが、このロットに、これらの種が存在した理由は分からなかった。図22Gに示したように、ICOSL IgV単独参照配列を用いて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質のSEC分析でも、低分子量種の生成、従って、タンパク質分解が観察されなかった。
B.結合および活性
CHO細胞において、上記の様々な参照配列中にバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質をコードするDNA構築物をトランスフェクトした後に産生および精製したタンパク質の結合および活性を比較した。場合によっては、以下で評価した精製クローンは、上記の変異以外に、試験したタンパク質の免疫調節性活性に影響を及ぼすと思われない、さらなる変異を含有することが後で発見された。
結果として生じた精製されたバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質を、同族結合パートナーに結合するかどうか、実質的に上記で説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いてT細胞活性を調節するかどうか評価した。表30Cは、SEQ ID NO:32に示されるそれぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにICOSL参照配列中のアミノ酸置換を示し、それぞれのICOSL参照配列のSEQ ID NO識別子を示す。示したように、試験した全てのフォーマットについて、結合およびMLRアンタゴニスト活性はおおむね似ていた。
(表30C)バリアントICOSL分子の分子配列、結合データ、および補助刺激生理活性データ
C.293(Expi293)またはCHO細胞において発現させたタンパク質の結合および活性
上記のICOSL参照配列に基づいて作製したバリアントICOSL Fc融合タンパク質を、293(Expi293)細胞またはCHO細胞において発現させた後の結合および活性について評価した。さらに、表30Dに示したように、例示的なICOSL参照配列中に例示的なIgSFドメインICOSLバリアントN52H/N57Y/Q100R/C198RまたはN52H/Q100RをコードするDNA構築物も、SEQ ID NO:477に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237Aを含有する不活性Fcに連結し、293細胞またはCHO細胞をDNA構築物でトランスフェクトした後に産生および精製した。さらに、例示的なバリアント免疫調節タンパク質を単量体として作製し、細胞を、バリアントICOSL ECD参照配列においてバリアントをコードするが、Fc配列との融合を含まないDNA構築物でトランスフェクトした。
結果として生じた精製されたバリアントICOSL Fc融合タンパク質またはバリアントICOSL単量体を、同族結合パートナーに結合するかどうか、実質的に上記で説明したように混合リンパ球反応(MLR)を用いてT細胞活性を調節するかどうか評価した。表30Dは、SEQ ID NO:32に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列中のアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにバリアントICOSLの参照配列中のアミノ酸置換を示し、それぞれの参照ICOSL配列のSEQ ID NO識別子を示す。3列目は、ICOSLタンパク質を産生するのに使用した細胞タイプ(ExpiCHO-SまたはExpi293)を示す。表30Dに示したように、結果は、バリアントICOSL免疫調節タンパク質がCHO細胞で産生されても293細胞で産生されても、かなり似た結合性と活性を示す。
(表30D)様々な細胞を用いて産生されたバリアントICOSL ECD Fc融合分子の分子配列、結合データ、および補助刺激生理活性データ
実施例28
ICOSL IgSFドメインバリアントのNNKバリアントライブラリーの作製ならびに結合および活性の評価
SEQ ID NO:32に示される位置を基準に52位、57位、および100位に変異を有する、さらなるバリアントICOSL IgSFドメイン含有分子を作製した。コードコドンが全ての可能性のあるアミノ酸をコードするが、2つの停止残基TAAおよびTGAをコードすることを阻止するように、バリアントをNNKライブラリーから作製した。式中、K=TまたはGである。酵母ライブラリーを作製するために、実施例2において実質的に説明したようにNNKライブラリーDNAを酵母に導入した。実施例3において実質的に説明したように、このライブラリーを用いて、ICOSLの親和性が改変されたバリアントを発現する酵母を選択した。
選択されたバリアントICOSL IgSFドメイン含有分子は、SEQ ID NO:633に示されるEUナンバリングによる変異C220S/L234A/L235E/G237A/K447delを含有する不活性FcまたはSEQ ID NO:637に示されるそのアロタイプにGSGGGGSリンカー(SEQ ID NO:635)を介して連結された、作製した参照ICOSL IgSFドメインを含有すること以外は実施例4において実質的に説明したようにFc融合タンパク質として並べられた。
バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質を、同族結合パートナーに対する結合性を評価する結合研究において評価した。実施例6に記載のように結合研究において、同族結合パートナーであるヒトCD28、ICOS、およびCTLA4でトランスフェクトしたExpi293細胞を標的細胞として使用した。それぞれの結合パートナーを発現する標的細胞に対する100nMのバリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質の結合のMFIを求め、対応する参照(例えば、未改変または野生型)ICOSL IgV-Fcと、同じ標的細胞との結合性について比較した。作製したICOSLバリアントFc融合分子の補助刺激生理活性も、実施例6に記載のように抗CD3(10mM)同時固定化(coimmobilization)アッセイにおいて評価した。バリアントICOSL Fc融合免疫調節タンパク質によるT細胞活性の調節も、実施例6において実質的に説明したように1nM ICOSL-Fcを用いた混合リンパ球反応(MLR)を用いて確かめた。トリプリケートウェル(triplicate well)からのIFN-γ分泌を確かめた。
MLRアッセイにおける補助刺激生理活性または活性に基づいた、例示的なバリアントICOSL IgV-Fc融合分子の結合および機能活性の結果を表31に示した。以下の表は、SEQ ID NO:32に示される、それぞれの参照(例えば、未改変)ICOSL細胞外ドメイン(ECD)配列におけるアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置番号によって指定されたようにバリアントICOSLにおけるアミノ酸置換を示す。2列目は、バリアントIgV-Fc融合分子に含まれる、それぞれのバリアントIgVドメインのSEQ ID NO識別子を示す。示したように、52位、57位、および100位に特定の変異の様々な組み合わせを用いて作製したICOSL IgSF(例えば、IgV)ドメインバリアントは、少なくとも1種類の、場合によっては複数種の同族結合パートナーに対して結合変化を示した。表の最後の2つの縦列は、MLRアッセイにおけるi)抗CD3と共に同時固定化された、示されたバリアントIgV-Fc融合可溶性分子、またはii)示されたバリアントIgV-Fc融合分子のいずれかを用いて産生された、培養上清中のIFN-γレベル計算値(pg/mL)に基づいた、T細胞活性を調整するためのバリアントFc融合分子の機能活性も図示する。この表はまた、両機能アッセイにおける、対応する参照(例えば、未改変または野生型)ECD-Fcと比較した、それぞれのバリアントECD-Fcによって産生されたIFN-γの比も図示する。バリアントFc融合タンパク質はまた免疫学的活性の変化も示した。いくつかのバリアント分子の補助刺激シグナル伝達は野生型ICOSLと比較してかなり大きかった。あるバリアントはIFN-γを大幅に阻害し、MLRアッセイにおける培養物中に産生されたIFN-γは非常に少ない量から検出不可能な量まで及んだ。
(表31)さらなる例示的なバリアントICOSLポリペプチド
実施例29
膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)を発現するK562細胞の評価
SEQ ID NO:5に示されるWTヒトICOSLのネイティブな膜貫通・細胞内ドメインと融合したvIgD ICOSLドメインのECDを含有する膜貫通免疫調節タンパク質(TIP)を発現するようにK562細胞を改変した。例示的なバリアントICOSL-TIPには、SEQ ID NO:32に示されるICOSL細胞外ドメインにおける位置を基準に
に対応するアミノ酸変異を含有する親和性改変IgSFドメインがあった。
K562細胞(ATCC)を、同時培養アッセイにおいてT細胞ともっとはっきりと区別させるためにCFSEで標識した。精製された初代ヒトT細胞をCell Trace Far Red(両方ともThermo-Fisherから入手した)で標識し、96ウェル丸底組織培養プレートに抗CD3抗体と共に同時プレートした。T細胞にTCRシグナルを供給するために、抗CD3抗体のK562提示を、この細胞が発現するFc受容体CD32を介して可能にする、ある範囲の濃度にわたって可溶性フォーマットで、この刺激抗体を含めた。細胞を72時間インキュベートし、CD4+(図23A)およびCD8+(図23B)の増殖をモニタリングし、抗CD3濃度に対して割った細胞のパーセントとして報告した。各点はトリプリケートウェル(triplicate weel)の平均を表し、エラーバーは標準偏差を表す。
野生型K562細胞は可溶性抗CD3抗体とコインキュベートされたときに、T細胞が増殖するように用量依存的にT細胞を刺激したのに対して、K562細胞は抗CD3の非存在下では刺激しなかった。図23Aおよび23Bに示したように表面上のWT ICOSL TIP発現は応答を増強したが、K562細胞がバリアントICOSL TIPを発現したときの方が効果が高かった。このことから、細胞の表面で発現したこれらの分子はT細胞に優れた補助刺激を供給したことが分かる。
実施例30
融合分子とのHER2ターゲティング抗体の結合および補助刺激機能の評価
図24A~24Fに示した様々な配置で図示したように、変異N52H/N57Y/Q100Rを含有する例示的なバリアントICOSL ECDを、例示的な抗HER2抗体トラスツズマブの重鎖または軽鎖のN末端またはC末端のいずれかと融合させた。図24A~24Fに図示した構築物のそれぞれをコードするVmAb DNAをトランスフェクションによってHEK-293細胞に導入し、分泌タンパク質をプロテインAおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。結果として得られたV-mAbタンパク質を、次に、適切な結合特性を保持しているかどうか評価した。HEK-293細胞をHER2、CD28、またはICOS発現ベクターで一過的にトランスフェクトし、次いで、それぞれのトランスフェクタントを、個々のV-mAbタンパク質と、結合した試薬を検出するための二次抗体とインキュベートした。図24Aに示したように、HER2結合は全てのV-mAbによって保持されたが、結合の大きさはいくらか低減した。さらに、V-mAbと、CD28でトランスフェクトされた細胞との結合はおおむね損なわれていなかったが、いくつかの形態はある程度の結合低減を示した(図24A)。このデータから、融合タンパク質を形成するために抗体重鎖および/または軽鎖と融合したICOSLバリアントはカウンター構造体と抗体結合活性をおおむね保持していたことが分かった。
T細胞の標的特異的補助刺激をVmAbが引き起こすことができるかどうか試験するために、補助刺激を測定するためにT細胞レポーター株を含むトランスフェクトされた細胞系を使用した。補助刺激機能を評価するために、IL-2プロモータールシフェラーゼレポーターを有するジャーカット細胞を使用した。細胞を刺激する目的で、K562細胞を人工抗原提示細胞として使用するために改変した。詳細に述べると、HER2発現を指示する別のレンチウイルスによる形質導入と共に、または伴わずに、K562細胞に、単鎖Fvバージョンの抗CD3抗体OKT3をコードするレンチウイルスを形質導入した。細胞表面抗CD3単鎖Fv(OKT3)を提示するK562細胞または細胞表面抗CD3単鎖Fv(OKT3)を表面HER2発現と共に提示するK562細胞をジャーカットアッセイ緩衝液(RPMI1640+5%FBS)に2x104細胞/ウェルでプレートした。標的細胞を、20,000pM~6pMに滴定したV-mAbまたは対照タンパク質と室温で20分間インキュベートした。最終体積/ウェルが100μlになるように、IL-2-ルシフェラーゼレポーター遺伝子(Promega)を発現するジャーカットエフェクター細胞を1x105細胞/ウェルで添加した。標的細胞とジャーカット細胞を37℃で5時間インキュベートした。プレートをインキュベーターから取り出し、室温で15分間馴れされた。100μLの細胞溶解液およびルシフェラーゼ基質溶液(BioGlo luciferase reagent, Promega)を各ウェルに添加し、プレートをオービタルシェーカー上で10分間インキュベートした。ルミネセンスを、Cytation 3 imaging reader(BioTek Instruments)を用いて1秒/ウェル積分時間(integration time)で測定した。各試験試料について相対ルミネセンス値(RLU)を求め、報告した。
図24Bに示したように、ネイティブなトラスツズマブを含めてもルシフェラーゼ誘導は影響を受けなかった。同様に、バリアントICOSL-Fcタンパク質N52H/N57Y/Q100R(トラスツズマブと融合されていない)を含めても応答は影響を受けなかった(図24B)。しかしながら、複数種のV-mAbを含めると、HER2+K562/OKT3細胞の存在下では、HER2発現を欠くK562/OKT3よりもかなり頑強な有意な補助刺激シグナルが供給された(図24C~24F)。いくつかの場合には、HER2を欠くK562/OKT3細胞においてシグナルが誘導されたが、これは、CD32を介したV-mAb提示を可能にするV-mAbのFcドメインに起因する可能性が最も高い。結果から、バリアントICOSLポリペプチドと抗体との融合体を用いて局在的なT細胞補助刺激シグナルを送達できることが分かる。
実施例31
ICOSLおよびNKp30親和性改変ドメインを含有するスタックされた分子の作製
本実施例は、前記の特定されたバリアントICOSLポリペプチドと、特定されたバリアントNKp30ポリペプチドに由来する、親和性が改変されたIgVドメインを含有するマルチドメインスタック構築物として作製した免疫調節タンパク質について説明する。詳細に述べると、例示的なバリアントICOSL IgV(SEQ ID NO:548に示されるN52D;SEQ ID NO:567に示されるN52H/Q100R;SEQ ID NO:565に示されるN52H/N57Y/Q100R;SEQ ID NO:761に示されるN52L/N57H/Q100R)と、例示的なバリアントNKp30 IgV分子L30V/A60V/S64P/S86G(SEQ ID NO:504)を一緒に連結し、様々な配置で不活性Fc(ヒトIgG1 Fc、例えば、SEQ ID NO:637に示されるヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびL235Eを含有する)に融合した。バリアントICOSL IgVとバリアントNKp30 IgVがGSGGGS(SEQ ID NO:635)および/または3xGGGGS(SEQ ID NO:228)ペプチドリンカーを介してFc領域のN末端またはC末端に様々に連結された、同一のFcサブユニットを含有するホモ二量体スタック構築物を作製した。スタック分子の作製には他のリンカーとFc領域も適している。作製した例示的なスタックを以下に示した。
免疫調節タンパク質をコードする核酸分子は、例示的なシグナルペプチドMGSTAILALLLAVLQGVSA (SEQ ID NO:225に示される)をコードする残基も含有した。関心対象のFc融合タンパク質をコードする発現構築物を、Invitrogenから入手したExpi293 HEK293細胞において、製造業者の市販のExpifectamine試薬と、培地を用いて一過的に発現させた。上清を収集し、タンパク質を捕捉し、AKTAタンパク質精製システムを用いてプロテインAカラムから溶出させた。
表32に示した順序で様々な配列配置をとるホモ二量体スタックを産生するようにコード核酸分子を設計した。
(表32)ICOSL/NKp30免疫調節タンパク質の説明
実施例32
ICOSLおよびNKp30ドメインを含有するスタック分子の、細胞で発現しているカウンター構造体との結合性および生理活性の評価
本実施例は、実施例31において作製した例示的なICOSL/NKp30スタック免疫調節タンパク質の、同族結合パートナーに対する特異性および親和性を示すための結合研究について説明する。実施例31において作製した例示的なICOSL/NKp30スタック免疫調節タンパク質を、ヒト初代T細胞インビトロアッセイにおける生理活性特徴付けについても評価した。
A.細胞で発現しているカウンター構造体との結合
ICOSL/NKp30スタック結合研究を、ICOSLドメインバリアント免疫調節タンパク質またはNKp30-Fcに特異的な同族結合パートナーが安定的または一過的に細胞表面に発現している細胞に対して行った。
バリアントICOSLドメインの結合パートナーとの結合性を評価するために、全長ヒトCD28、CTLA-4、またはICOSの表面発現のためにレンチウイルスを形質導入したチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を使用した。
NKp30の同族結合パートナーを発現する細胞を産生するために、ヒトB7-H6を含有する全長哺乳動物表面発現構築物をpcDNA3.1発現ベクター(Life Technologies)にクローニングした。結合研究をExpi293F一過的トランスフェクション系(Life Technologies, USA)を用いて行った。簡単に述べると、30mLトランスフェクションの場合、約7500万個のExpi293F細胞を30μgの発現構築物DNAおよび1.5mLの希釈したExpiFectamine 293試薬と48時間インキュベートし、48時間経ったら細胞を染色のために収集した。
フローサイトメトリー分析のために、200,000個の細胞のある特定の安定細胞株、一過的トランスフェクション、または適切な負の対照を96ウェル丸底プレートにプレートした。細胞を遠心沈殿させ、非特異的結合をブロックするために染色用緩衝液(PBS(リン酸緩衝食塩水)、1%BSA(ウシ血清アルブミン)、および0.1%アジ化ナトリウム)に20分間懸濁した。その後に、細胞を再度、遠心分離し、50μL中に100nM~32pMのICOSL/NKp30スタックまたは対照タンパク質を含有する染色用緩衝液に懸濁した。一次染色を45分間行った後に、染色用緩衝液で細胞を2回洗浄した。50μLの染色用緩衝液で1:150希釈し、30分間インキュベートしたPE結合抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch,USA)を用いて結合タンパク質を検出した。最終インキュベーション後に、結合しなかった結合抗体を除去するために細胞を2回洗浄し、2%ホルムアルデヒド/PBSで固定し、LSRII(Becton Dickinson, USA)フローサイトメーターによって分析した。FlowJoバージョン10ソフトウェア(FlowJo LLC, USA)を用いて各試料について平均蛍光強度(MFI)を計算した。
全てのICOSL-NKp30 Fc融合タンパク質または対照についてMFIによって測定される結合活性を評価した。図25A~25Dに示したように、例示的なスタックタンパク質は高親和性でICOSLおよびNKp30の同族タンパク質に結合した。
B.親和性成熟IgSFドメインを含有する分子の生理活性の評価
初代ヒトT細胞においてサイトカイン産生を誘導するために、可溶性ICOSL/NKp30スタックタンパク質の生理活性をB7-H6+細胞との同時培養物において試験した。B7-H6を内因的に発現するK562細胞に、細胞表面抗ヒトCD3単鎖Fv(OKT3)を発現するレンチウイルスを形質導入して、K562/OTK3標的を得た。ヒト初代T細胞を、200μL最終体積のEx-Vivo15培地中で、100nM~49pMに滴定したICOSL/Nkp30スタックまたは対照タンパク質と2.5または10:1のエフェクター:標的(E:T)比で同時培養した。3~5日目にアッセイを終わらせ、培養上清を、IL-2およびTNF-α ELISA MAXキット(Biolegend, USA)を用いて試験した。光学密度をBioTek Cytation Multimode Microplate Reader(BioTek Corp., USA)によって測定し、ELISAキットに入れられていた滴定済みのrIL-2およびrTNF-α標準に対して定量した。
試験した例示的なICOSL/NKp30スタックタンパク質を対象にした生理活性研究の結果を図26Aおよび図26Bに示した。図26Aおよび図26Bは、培養上清中にあるIL-2またはIFN-γレベルの計算値(pg/mL)を示す。それぞれのスタックタンパク質の配列識別子(SEQ ID NO)を図26Aおよび図26Bに示した。親ICOSLまたはNKp30だけのタンパク質と比較してICOSL/NKp30スタックを用いたサイトカイン産生が増加したことにより証明されるように、このアッセイにおいて例示的なICOSL/NKp30スタックタンパク質の存在下でインキュベートすると、初代ヒトT細胞においてB7-H6依存的なサイトカイン誘導レベルが増加した。
C.増殖の評価
ICOSL/NKp30スタックタンパク質およびB7-H6+細胞と同時培養したヒトT細胞の増殖も特徴付けた。CFSE標識ヒト初代T細胞をK562/OKT3を用いて2.5~10:1のE:T比でICOSL/NKp30スタックタンパク質または対照タンパク質の存在下で3~5日間刺激した。例示的なICOSL/NKp30スタックタンパク質を200μL最終体積のEx-Vivo15培地中で100nM~49pMで滴定した。増殖は、前記のようにLSRIIフローサイトメーターおよびFlowjoソフトウェアを用いて、CD4+またはCD8+で染色したT細胞のCFSE希釈液のフローサイトメトリー分析によって測定した。
図27に示したように、試験した例示的なICOSL/NKp30スタックタンパク質は、親ICOSLまたはNKp30だけのタンパク質と比較して、ICOSL/NKp30スタックの増殖の増強によって証明されたように初代ヒトCD4+T細胞増殖をB7H6依存的に補助刺激した。
実施例33
腫瘍モデルにおけるICOSLとNKp30ドメインを含有するスタック分子と抗PD-1抗体の組み合わせの評価
本実施例は、実施例31に記載のように作製し、B7-H6+CT26結腸がん細胞を有するマウスにおいて単独で、または抗マウスPD-1モノクローナル抗体(mPD-1 mAb)と組み合わせて評価した、例示的なICOSL/NKp30スタックタンパク質の抗腫瘍活性の評価について説明する。
マウスに約0.3x105個のB7-H6+CT26腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍を13日目まで成長させ、マウスをステージ分類し、平均腫瘍量(80~120mm3)を測定した。腫瘍細胞を移植した後、6日目から腫瘍を電子ノギスで2次元測定した。腫瘍量を測定し、腫瘍量の中央値を求めた。出発腫瘍が最も小さかった(約75mm3)3匹のマウス/群を分析から除外した。
図28に示したように、試験したICOSL/NKp30スタックタンパク質とmPD-1 mAbの組み合わせは、Fc対照、ICOSL単独もしくはNKp30単独のいずれか、ICOSL/NKp30スタック単独、または抗マウスPD-1 mAb単独で処置した群と比較して腫瘍成長(腫瘍量の中央値)を経時的に有意に低減した。親CT26(B7-H6陰性)腫瘍を有する、あらゆる治療群の成長に差異は観察されなかった。図28に示したように、この組み合わせの抗腫瘍活性は、試験したICOSL/NKp30スタックタンパク質と抗PD-1抗体の組み合わせが個々の試薬単独よりも優れているという知見と一致する。
実施例34
CIAモデルにおけるICOSL IgV-Fc融合分子の投薬およびインビボ効果の評価
バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を、予防的投薬または治療的投薬を用いるコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおいて抗炎症性活性があるかどうか評価した。疾患発症の前または直後にバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を最大4回投薬した。試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子は、不活性Fc(ヒトIgG1 Fc、例えば、SEQ ID NO:637に示されるヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびL235Eを含有する)と融合した、SEQ ID NO:570に示されるN52H/N57Y/Q100PまたはSEQ ID NO:565に示されるN52H/N57Y/Q100Rを有するバリアントICOSL IgVを含有した。
関節炎を誘導するために、-18日目または-21日目にマウスの尾に、ニワトリまたはウシコラーゲンII/CFAエマルジョンを注射し、0日目にニワトリまたはウシコラーゲンII/IFAエマルジョン(「ブースト」)を注射した。予防的投薬のためにマウスにバリアントICOSL IgV-Fc融合分子(N52H/N57Y/Q100P)を投薬し、疾患発症前にブースト日から4回の投薬を開始した。治療的/遅延処置の場合、観察された足スコアが1より大きくなったときから開始して、マウスにバリアントICOSL IgV-Fc融合分子(N52H/N57Y/Q100R)を投薬した。投薬は2日ごとに、合計4回の投薬が行われた。対照として、Fcだけの分子とCTLA-4-Fc(アバタセプト)分子も試験した。発赤または膨張に基づいて足スコアを確かめた。抗コラーゲン(CII IgG)抗体ならびにIL-6およびTNFα炎症性サイトカインを測定するために血清も収集した。流入領域リンパ節からの細胞を収集し、CD4、CD8、CD44、またはT濾胞性ヘルパー(TFH)細胞マーカー(CD25-CD4+PD-1+CXCR5+)を対象にして染色した。図29A~29Dは予防的投薬の結果を示す。予防的投薬処置時にバリアントICOSL IgV-Fc融合分子で処置したマウスは、低い平均合計足スコア(図29A)、および検出された少ないCII IgG(図29B)により示されるように関節リウマチのCIAマウスモデルにおいて疾患を抑制した。*ICOSL IgV-Fc対アバタセプトについてはp<0.05。**ICOSL IgV-Fc対PBSについてはp<0.001(二元配置反復測定ANOVAによる)。バリアントICOSL IgV-Fc融合分子処置マウスでは、Fc対照と比較して低レベルの血清中サイトカイン(図29C)とCD44+活性化T細胞またはTFH細胞(図29D)も観察された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(一元配置ANOVAによる)。ICOSL IgV-Fc処置群対Fc対照群では流入領域リンパ節中のB細胞画分も有意に低減した(p<0.05)(図29E)。
図30A~30Dは遅延投薬の結果を示す。バリアントICOSL-IgV Fcはアバタセプト対照を含む他の群と比較して最低の平均合計パウスコア(図30A)と最高のパーセント体重変化(図30B)をもたらした。図30Cおよび図30Dに示したように、治療CIAモデルにおいて、バリアントICOS IgV-Fcで処置したマウスでは血清中サイトカインも抑制された。群間の統計的有意性:独立スチューデントt検定により*p<0.05; **p<0.01; ***p<0.001。図30Cおよび図30Dでは水平の点線は各サイトカインのアッセイ定量下限(LLOQ)を示している。
まとめると、これらのデータから、CD28およびICOS経路は炎症性関節炎において重要な役割を果たしていることが証明される。特に、バリアントICOSLデュアルCD28/ICOSアンタゴニストの優れた活性は、両経路の遮断が必要であり、かつ1つだけの経路遮断では部分的な利益しか得られないという観察と一致する。
実施例35
EAEモデルにおけるICOSL IgV-Fc融合分子のインビボ効果の評価
養子移入実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルにおいてバリアントICOSL IgV-Fc融合分子の抗炎症活性を評価した。試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子は、不活性Fc(ヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびL235Eを含有する)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/ N57Y/Q100R; SEQ ID NO:565)を含有する。
雌C57BL/6マウスにMOG35-55/CFAエマルジョンを皮下注射した。11日後に脾臓細胞を入手し、MOG35-55ペプチド、IL-12、および抗IFNγと共に培養した。培養して3日後に、脳炎惹起性T細胞を腹腔内注射により送達した(0日目)。0日目から開始して1日おきにマウスにバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を合計5回の投薬で投薬した。対照として、Fcのみの分子およびCTLA-4-Fc分子(アバタセプト)も試験した。T細胞を注射して20日後に、マウスの体重を量り、表33に記載のようにEAEスコアについてモニタリングおよび評価した。試験終了時に、炎症促進性サイトカインを分析するために血清を収集し、フローサイトメトリー分析のために流入領域リンパ節からの細胞を収集した。
図31Aに示したように、バリアントICOSL IgV-Fc融合分子で処置したマウスは、低いEAEスコアによって示されたようにEAEマウスモデルにおいて疾患を抑制した。*p<0.0001。一元配置ANOVA曲線下面積(AUC)による;バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を対照と比較した。
鼠径部リンパ節T細胞のフローサイトメトリー分析のために、前記細胞をviability dyeで染色し、抗CD44、抗CD62L、抗CD4、抗CD8で分析し、生きているナイーブ(CD62L+CD44-)ならびにTエフェクターメモリー(Tem)(CD62L-CD44+)CD4+およびCD8+T細胞のパーセントについて評価した。図31Cに示したように、CD4+およびCD8+Tem細胞はバリアントICOSL IgV-Fc融合分子を用いた処置により低減した(****p<0.0001; ***p<0.001。一元配置ANOVAによる)。
血清中サイトカインを0日目(1回目の投薬の2時間後)および6日目(4回目の投薬の1時間前)に評価した。図31Dに示したように、試験したバリアントICOSL IgV-Fc融合分子によって、0日目に、IL-5、IL-10、IL-12p70、およびTNFαを含む血清中炎症促進性サイトカインが低減した。バリアントICOSL IgV-Fc融合分子を用いた処置によって6日目に、血清中のIFN-γおよびIL-6のレベルはFc対照と比較して低減した。
実施例36
移植片対宿主病(GvHD)モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの用量設定試験
用量設定試験は、移植片対宿主病(GVHD)のマウスモデルにおいて不活性Fc(ヒトIgG1 Fc、例えば、SEQ ID NO:637に示されるヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびL235Eを含有する)と融合したバリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:565)を含有する20μg、100μg、または500μgのバリアントICOSL IgV-Fc分子を用いて行った。バリアントICOSL IgV-Fc分子の活性をベラタセプト(CTLA-4-FcL104E/A29Y;米国特許出願公開番号US2016/0271218)と比較した。
雌NSGマウス(群1、処置なしについてはn=5/群;治療群2~7についてはn=10/群)に10mgのガンマグロブリンを皮下投与し、次いで、-1日目に放射線照射した(100cGy/rad)。0日目(放射線照射後24時間以内)に、表34に示したように群2~7のマウスに試験物品を投薬し、次いで、投薬後、全マウスに1x107個のヒトPBMCを尾静脈を介してIV注射した。
疾患活動指数(DAI)は、マウスを試験中に週3回評価し、マウスの体重減少、姿勢、活動、毛の外観、および皮膚に基づいて疾患をスコア付けすることによって求めた。42日目に試験を終了した後に、生存、体重減少、および疾患活動のエンドポイント測定値を評価した。試験エンドポイントまで生き残っている動物のパーセントを表すカプラン・マイヤー生存プロットを作成し、生存曲線比較をマンテル・コックスおよびゲハン・ブレスロウ・ウィルコックス(Gehan-Breslow-Wilcox)検定(95%CI)によって分析した。血液/血清試料を、試験の終了時に(42日目)生き残っている動物から収集し、細胞をフローサイトメトリーによって、マウスまたはヒトマーカーであるCD4、CD8、CD28、ICOS、活動マーカーまたは疲弊(exhaustion)マーカー(PD-1、Ki67)およびFoxP3(Tregマーカー)を含むT細胞マーカーについて評価した。血清中の炎症促進性サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-10、IL-12(p70)、IL-17A、IL-4、IL-5、およびTNFα)のレベルも評価した。
図32A~32Bは、それぞれの投与計画に従って処置したGVHDマウスの生存およびDAIスコアを示す。示したように、試験した全ての用量レベルにおいて、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、ベラタセプトで処置したマウスと比較して生存性を有意に向上させ(図32A)、疾患スコアを低減した(図32B)(すなわち、それぞれ、42日目に100%対40%生存;マンテル・コックスログランク検定によりp<0.01)。注目すべきことに、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の単回投与(100μg)による疾患からの保護は、100μgベラタセプトの反復投薬と同様であった。
試験の終了時に収集した血液のフローサイトメトリー分析から、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、ヒト細胞/マウス細胞比の低下(図33A)と全T細胞数の大幅な低下(図33B)により観察されるように移入ヒトT細胞の拡大を効果的に抑制したことが証明された。図33C~33Fに示したように、ICOS(図33C~33D)およびCD28(図33E~33F)を対象にして同時染色した、CD4+およびCD8+T細胞の試験終了時に収集した血液のフローサイトメトリー染色から、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では染色は本質的に示されなかったが、ベラタセプト処置マウスでは、ICOSを発現するCD4+およびCD8+T細胞を容易に検出することができた。これらの結果は、ICOSL IgV-Fc処置マウスにはT細胞が残っていないことと、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)がその標的分子CD28とICOSに結合し、フローサイトメトリー抗体によるCD28とICOSの検出をブロックできることとも一致する。ほとんど残っていないヒトT細胞上でのバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の結合は抗ヒトIgG Fcを用いた検出によって確認された。注目すべきことに、移入ヒトT細胞の大部分は初めはCD28を発現し、10~20%しかICOS+でなかったが、試験の終結/終了時に食塩水処置マウスまたはベラタセプト処置マウスに残っている活性化T細胞は>80%ICOS+であった。
バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)で処置した群では、CD4+およびCD8+T細胞におけるPD1の低発現と、CD4+T細胞におけるKi67の低発現により証明されたように(図34A~3B)、T細胞の活性化マーカーまたは疲弊マーカーの存在も抑制された。エフェクターT細胞とTregの比は、ベラタセプトと比較してバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では依然として安定していた(図34C)。血清中炎症性サイトカインも、ベラタセプトと比較してバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)処置群では抑制された(図35A~35D)。
バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の血清曝露をモニタリングするために薬物動態学的(PK)分析も行った。抗ヒトICOSL mAb捕捉抗体と、検出試薬としてFc特異的マウス抗ヒトIgGを用いた定量PK ELISAを用いてマウス血清試料中の試験物品濃度を測定した。
GVHDモデルにおけるバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の観察された血清曝露は、別の研究において確かめられた正常マウスの血清曝露より45%少なかった(図35E)。GvHDモデルにおいてバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の終末半減期が長くなったことは、GvHDの後の時点では(ヒトT細胞が消失するので)標的(CD28、ICOS)の低減が原因であるかもしれない、および/または正常マウスでは、薬物曝露を妨害することができる抗薬物抗体(ADA)形成が原因であるかもしれない。バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)の血清曝露が正常マウスと比較して少なかったという観察は、GvHDモデルにおける標的介在性薬物動態(target mediated drug disposition)(TMDD)が原因であるかもしれない(すなわち、マウスオルソログと比較してヒトCD28およびICOSに対する親和性が高い)、ならびに/またはこのモデルにおいて使用したNOD/SCID(NSG)マウスではFcRnが無いことが原因であるかもしれない。
まとめると、これらの結果は、バリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)が単回投与だけでも強力なアンタゴニスト活性を示し、ベラタセプトよりも優れた活性を示すという観察と一致する。この観察は、優れたICOS+T細胞制御を示したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)に起因する可能性がある。それ以外の場合では、ICOS+T細胞は1つだけのICOSまたはCD28の経路遮断、例えば、CD28経路アンタゴニストであるベラタセプトによる遮断から逃れる。
実施例37
CD4+CD45RBhigh誘導性大腸炎モデルにおけるバリアントICOSL-IgV Fcの評価
CD4+CD45RBhigh誘導性大腸炎モデルにおける疾患発達に対する、不活性Fc(ヒトIgG1 Fc、例えば、SEQ ID NO:637に示されるヒトIgG1 Fcにおいて変異L234A、L235E、およびL235Eを含有する)と融合した、バリアントICOSL IgV(N52H/N57Y/Q100R; SEQ ID NO:565)を含有する例示的なバリアントICOSL IgV-Fcの効果を評価した。
CD4+CD45RBhighドナー細胞を、15匹の雄BALB/Cドナーマウスから入手した脾臓細胞懸濁液から負の選択によって濃縮した。0日目に、大腸炎を誘導するために、30万個のCD4+CD25-CD45RBhigh(Treg枯渇)ドナー細胞を免疫不全C.B17(SCID)マウス(1群あたりn=12または21)に静脈内注射した。対照として、このモデルにおいて大腸炎の発達を誘導しない、30万個のCD4+細胞(Treg細胞を含有する)をSCIDマウスレシピエント(n=12)に注射した。細胞移入日に、各群のマウスにバリアントICOSL-IgV Fc、またはFcのみ、またはビヒクル対照を投薬した。表35は試験群の処置レジメンをまとめたものである。
体重(0日目から測定した)と便の硬さスコア(10日目から測定した)を週3回評価した。一日疾患活動指数(DAI)を体重と便スコアから計算した。試験を42日目に終わらせた後、結腸の長さと重量を求め、組織学的的に分析するために収集した。バリアントICOSL-IgV Fc処置群対ビヒクル群のエンド体重と、エンド結腸の重量と長さの統計解析を両側スチューデントt検定を用いて評価した。便スコアとDAIスコアをウィルコクソンノンパラメトリックt検定を用いて比較した。
DAI結果を表36(DAI)と図36Aに示し、結腸の測定値を表37に示し、結腸の組織学結果を表38と図36Bに示した。示したように、試験したバリアントICOSL IgV-Fc(N52H/N57Y/Q100R)は、このモデルにおいて大腸炎の発達を有意に低減した。このことは、このCD28/ICOSデュアルアンタゴニストが炎症性腸疾患(IBD)を効果的に処置するのに役に立つことと一致する。
(表36)疾患活動スコア
^大腸炎は誘導されない/ビヒクルと比較
*ビヒクルと比較
~Fc対照, 300μgと比較
(表37)結腸測定
^大腸炎は誘導されない/ビヒクルと比較
*ビヒクルと比較
~Fc対照, 300μgと比較
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供された、特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する様々な変更が本明細書の説明および教示から明らかになる。このような変更は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施されることがあり、本開示の範囲内にあると意図される。