以下に、本発明にかかる除湿装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる除湿装置10が第1サイクルで運転されている状態の側面模式断面図である。図1に示すように除湿装置10は、風路12と、冷媒回路14と、制御部16とを備える。制御部16は除湿装置10の全体を統括的に制御する。なお、図1および図6において、空気の流れは白抜き矢印で示し、冷媒回路14の冷媒流路は太線で示し、冷媒の流れは冷媒流路上の矢型で示す。
風路12は、第1通気口18fから延在する第1空気流路20fと、第2通気口18sから延在する第2空気流路20sと、第1空気流路20fと第2空気流路20sとをつなぐ折返し流路20mと、第1通気口18fに設けられた第1ファン(送気手段)22fと、第2通気口18sに設けられた第2ファン(送気手段)22sとを有する。第1空気流路20fと第2空気流路20sとは並列しており、風路12は全体として略U字形状となっている。風路12はこれ以外の形状でもよく、例えば直線状でもよい。なお、第1ファン22fおよび第2ファン22sは風路12に空気を流通させるためのものであり、設置される数および箇所は限定されない。例えば、第1ファン22fおよび第2ファン22sはいずれか一方が省略されてもよい。第1ファン22fおよび第2ファン22sは制御部16からの指令(例えば、通電方向の切り替え)により、空気を双方向に送気可能な構成である。
除湿装置10の説明においては、第1空気流路20fに係る構成要素には符号に「f」を付し、第2空気流路20sに係る構成要素には符号に「s」を付し、折返し流路20mに係る構成要素には符号に「m」を付す。ただし、これらの添え字は理解を容易にするための概念的なものであり、発明を限定するものではない。
第1通気口18fにはセンサ24fが設けられ、第2通気口18sにはセンサ24sが設けられている。センサ24f,24sは風路12に吸入される空気の温度または湿度の少なくとも一方を検出するものであり、検出値は制御部16に供給される。センサ24f,24sは、まとめて1つにして風路12の外に配置し、雰囲気の温度または湿度の少なくとも一方を検出するようにしてもよい。第1通気口18fにはルーバー26fが設けられ、第2通気口18sにはルーバー26sが設けられている。ルーバー26f,26sは風路12に対する吸気および排気の方向を調整可能であり、例えば外部で吸気と排気とが交わらない方向に設定される。
折返し流路20mの下部には受水部28が設けられている。受水部28は、後述する中間熱交換器30mで凝縮し滴下した水分を受ける槽である。受水部28には受水した水分を外部に排水する排水孔28aが設けられている。排水孔28aが設けられていることにより、ユーザが水分を排水させる手間がなくなる。排水孔28aには風路12からの空気漏れを防止するためのバルブが設けられていてもよい。この場合、除湿装置10の運転が停止しているときにバルブを開けて受水部28の水分を排水させることができる。受水部28は排水孔28aがないカートリッジ式としてもよい。受水部28がカートリッジ式である場合、ユーザは水分が溜まった受水部28を適宜取出して排水させることができ、また洗浄やメンテナンスが可能となる。
冷媒回路14は、第1空気流路20fに設けられた第1熱交換器30fと、折返し流路20mに設けられた中間熱交換器30mと、第2空気流路20sに設けられた第2熱交換器30sとを有する。すなわち、第1熱交換器30f、中間熱交換器30mおよび第2熱交換器30sは、風路12における空気流路に沿ってこの順に配置されている。第1熱交換器30f、中間熱交換器30mおよび第2熱交換器30sは、風路12を流通する空気と冷媒回路14を流通する冷媒とが逆方向に流れることにより多数の伝熱壁を介して熱交換を行う。第1熱交換器30f、第2熱交換器30sおよび中間熱交換器30mは、それぞれ空気および冷媒が双方向に流通可能である。第1熱交換器30fと中間熱交換器30mとの距離、および中間熱交換器30mと第2熱交換器30sとの距離は、風路12が過大に長くならない範囲で適宜設定可能である。中間熱交換器30mは、折返し流路20mで水平に設けられていると受水部28で受水しやすい。
第1熱交換器30fおよび第2熱交換器30sにおいて空気が流通する表面には水分の吸着および脱着が可能な水分吸着材が担持されている。本願で「吸着」とは空気からの吸湿で、実質的に吸水と同義であり、「脱着」とはその反意であって空気への放湿で、実質的に脱水と同義である。水分吸着材つまりデシカントとしては、例えばゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分を吸着できる材料が適用可能である。
冷媒回路14はさらに、第1熱交換器30fと第2熱交換器30sとの間の冷媒流路に設けられて冷媒を圧縮する圧縮機(圧縮手段)32と、第1熱交換器30fと中間熱交換器30mとの間の冷媒流路に設けられた第1膨張弁34fと、第2熱交換器30sと中間熱交換器30mとの間の冷媒流路に設けられた第2膨張弁34sとを有する。第1膨張弁34f、第2膨張弁34sは通過する冷媒を膨張させる。第1膨張弁34fおよび第2膨張弁34sは、それぞれ冷媒が双方向に流通可能である。圧縮機32は、制御部16からの指令(例えば、通電方向の切り替え)により冷媒を双方向に吐出可能な双方向圧縮機である。第1膨張弁34fおよび第2膨張弁34sは制御部16の作用下に連続的に開度可変となっている。
第1熱交換器30fと第2熱交換器30s、第1膨張弁34fと第2膨張弁34s、および第1ファン22fと第2ファン22sはそれぞれ同仕様のものを適用可能である。
除湿装置10は、制御部16の作用下に第1サイクルおよび第2サイクルを含む形式で運転される。第1サイクルでは、圧縮機32は冷媒を第2熱交換器30sから吸い込んで第1熱交換器30fに吐出し、第1ファン22fおよび第2ファン22sは空気を第1通気口18fから第2通気口18sへ向かって流れるように送気し、第1膨張弁34fが冷媒を適度に膨張させるように開度が設定され、第2膨張弁34sは全開状態に設定される。
図2は、第1サイクルにおける冷媒回路14のP-h線図であり、横軸は比エンタルピー[h]で、縦軸は圧力[P]である。符号35aは飽和蒸気線、符号35bは飽和液線、その境界の点35cは臨界点である。図2に示すように、第2熱交換器30sから吸い出された冷媒は圧縮機32で圧縮されることにより圧力とともに比エンタルピーが増大し高温となる。そして、冷媒は第1熱交換器30fで第1空気流路20f(図1参照)の空気と熱交換することによってエンタルピーが減少して低温となる。第1熱交換器30fは凝縮器として機能する。さらに、冷媒は第1膨張弁34fで膨張することによって低圧となる。さらにまた、冷媒は中間熱交換器30mおよび第2熱交換器30sで折返し流路20mおよび第2空気流路20s(図1参照)の空気と熱交換することによってエンタルピーが増大し、その後第2熱交換器30sを通って圧縮機32に吸い込まれる。中間熱交換器30mおよび第2熱交換器30sは冷媒に関して蒸発器として機能する。この場合、第2膨張弁34sは全開であることから冷媒に対して特段の作用がない。図2から明らかなように、冷媒回路14は圧縮行程、凝縮行程、膨張行程および蒸発行程を繰り返すヒートポンプ回路となっている。
なお、第1サイクルにおける第1膨張弁34fは冷媒が膨張し減圧するように適度な固定開度に設定可能である。一方、上記のとおり第1サイクルにおける第2膨張弁34sは全開である。また、後述するように第2サイクルにおける第2膨張弁34sは冷媒が膨張し減圧するように適度な固定開度に設定可能であり、第1膨張弁34fは全開である。したがって、第1膨張弁34fおよび第2膨張弁34sは、それぞれ全開状態を含んで少なくとも2段階に開度可変であればよい。
図1に戻り、空気はまず第1ファン22fによって第1通気口18fから第1空気流路20f内に吸い込まれ、第1熱交換器30fで冷媒と熱交換することにより加熱され、第1熱交換器30fの水分吸着材に含まれていた水分が脱着されて空気の相対湿度が高まる。
そして、高湿度となった空気は、低温の中間熱交換器30mと冷媒と熱交換することによって冷却されて凝縮する。中間熱交換器30mで凝縮して液相となった水分は受水部28に滴下する。さらに、空気は第2熱交換器30sを通過することによりその表面に担持された水分吸着材によって水分が吸着され、水分量が減少するとともに一層冷却される。その後、空気は第2ファン22sによって第2空気流路20sから第2通気口18sを通って外部に排出される。
図3は、除湿装置10で風路12を通過する空気の湿り空気線図である。図3の湿り空気線図で符号OAは吸入側(第1サイクルでは第1通気口18f)の空気の状態を示し、符号SAは排出側(第1サイクルでは第2通気口18s)の空気の状態を示す。横軸は温度[T]、縦軸は飽和水蒸気圧(絶対湿度)[P]である。なお、後述する各湿り空気線図においても符号OA,SA、縦軸、横軸は同様である。以下、図3の説明は第1サイクルに基づいて行う。
図3に示すように、吸入空気OAは、まずL11に沿って温度が上昇する。これは空気が第1熱交換器30fにおいて冷媒と熱交換することによる。また、空気はL12に沿って斜めに上昇し、飽和蒸気線36に達する。これは空気が第1熱交換器30fに担持された水分吸着材によって脱着されることによる。なお、L11とL12とは実際は複合的な経路となる。
さらに、空気はL13で示すように飽和蒸気線36に沿って斜めに下降する。これは空気が中間熱交換器30mによって凝縮することによる。このL13の縦軸相当量が結露量であり、この間で温度も低下する。さらにまた、空気は飽和蒸気線36からL14に沿って斜めに下降する。これは空気が第2熱交換器30sに担持された吸着材によって吸着されることによる。また、空気はL15に沿って温度が低下する。これは空気が第2熱交換器30sにおいて冷媒と熱交換することによる。なお、L14とL15とは実際は複合的な経路となる。L15の終端が放出空気SAであり、風路12から外部に放出される。
図3から明らかなように、空気のエンタルピーHはOAの地点から次第に増加してL12の終端で最大となるが、その後低下しSAの地点では元の状態に戻る。すなわち、この運転はエンタルピー一定運転となっている。なお、空気はOAの地点とSAの地点とを比較すると、温度がΔTだけ増大し、飽和蒸気圧がΔPだけ減少している。
以下に説明するように、除湿装置10では、第1膨張弁34fおよび第2膨張弁34sが制御部16の作用下に連続的に開度可変である場合、第1サイクルのときにセンサ24fの検出値に基づいて第1膨張弁34fの開度を調整することによって除湿量を調整することができる。また、同様に第2サイクルのときにセンサ24sの検出値に基づいて第2膨張弁34sの開度を調整することによって除湿量を調整することができる。
図4(a)は、第1サイクルで、図3の場合と比較して第1膨張弁34fの開度を絞った場合の風路12を通過する空気の湿り空気線図であり、図4(b)は第1サイクルで、図3の場合と比較して第1膨張弁34fの開度を開いた場合の風路12を通過する空気の湿り空気線図である。図4(a)のL21~L25および図4(b)のL31~L35は、図3におけるL11~L15に相当する。
図4(a)に示すように、L21,L22は上記のL11,L12と同様であるが、L23では上記のL13よりも飽和蒸気線36に沿った斜め方向の下降量が大きくなっている。これは、第1膨張弁34fの開度を一層減少させて中間熱交換器30mの温度をより低温にして露点を下げたことによる。これにより、このL23の縦軸相当量である結露量が大きくなる。そしてSAの地点では、OAの地点と比較した温度差ΔTおよび飽和蒸気圧差ΔPが図3に示す場合と比較してそれぞれ大きくなっており、高除湿量運転となっている。
図4(b)に示すように、L31,L32は上記のL11,L12と同様であるが、L33では上記のL13よりも飽和蒸気線36に沿った斜め方向の下降量が小さくなっている。これは、第1膨張弁34fの開度を増大させて中間熱交換器30mの温度をやや上昇させて露点を上げたことによる。これにより、このL33の縦軸相当量である結露量が小さくなる。そしてSAの地点では、OAの地点と比較した温度差ΔTおよび飽和蒸気圧差ΔPが図3に示す場合と比較してそれぞれ小さくなっており、低除湿量運転となっている。
このように、第1サイクルでは第1膨張弁34fの開度に基づいて露点を調整することにより、結露させる量、すなわち除湿量を調整することができる。除湿の目標量は第1サイクルではセンサ24fの検出値に基づいて設定することができる。なお、第2サイクルの場合も第2膨張弁34sの調整によって同様の除湿量調整が可能である。
除湿装置10では、第1通気口18fから吸入された空気よりも第2通気口18sから排出される空気の方が低湿度となる。第1サイクルでは第1熱交換器30fに担持された水分吸着材は次第に放湿し、第2熱交換器30sに担持された水分吸着材は次第に吸湿する。第2熱交換器30sに担持された水分吸着材の吸湿量が多くなり、水分の単位時間当たりの吸着量が減少してきた段階で第1サイクルを終了し、第2サイクルに切り替える。サイクルの切り替えについてはさらに後述する。
図5(a)は、第1サイクルで第2膨張弁34sの開度をやや絞った場合の冷媒回路14のP-h線図であり、図5(b)は第2サイクルで第1膨張弁34fの開度をやや絞った場合の冷媒回路14のP-h線図である。図5に示すように、除湿装置10の運転においては、中間熱交換器30mの下流側となる第1膨張弁34fまたは第2膨張弁34sをやや絞ることによってその下流側で蒸発器として機能する第1熱交換器30fまたは第2熱交換器30sの温度をさらに下げることができる。つまり、蒸発器として機能する第1熱交換器30fまたは第2熱交換器30sは中間熱交換器30mよりも一層低温になる。これにより中間熱交換器30mの下流側の第1熱交換器30fまたは第2熱交換器30sは、相対的に湿度が上がることから吸着材による水分吸着量が増え、除湿機能が高まる。
なおこの場合、中間熱交換器30mの下流側となる第1膨張弁34fまたは第2膨張弁34sの開度は、例えばセンサ24f,24sの検出値に基づいて比例的に制御してもよいし、所定の固定開度としてもよい。基本的には、中間熱交換器30mでの結露量を確保するため、中間熱交換器30mの上流側の膨張弁による減圧量の方が、下流側の膨張弁による減圧量よりも大きくなるように開度設定される。中間熱交換器30mの上流側と下流側の膨張弁はそれぞれ固定開度であってもよい。つまり、第1膨張弁34fおよび第2膨張弁34sは少なくとも2段階に開度可変であればよい。
図6は、除湿装置10が第2サイクルで運転されている状態の側面模式断面図である。図6に示すように、第2サイクルでは、風路12における空気の流通方向および冷媒回路14における冷媒の流通方向が第1サイクル(図1参照)と逆向きに設定される。すなわち、第2サイクルでは、圧縮機32は冷媒を第1熱交換器30fから吸い込んで第2熱交換器30sに吐出し、第1ファン22fおよび第2ファン22sは空気を第2通気口18sから第1通気口18fへ向かって流れるように送気し、第2膨張弁34sが冷媒を適度に膨張させるように開度が設定され、第1膨張弁34fは全開状態に設定される。
図7は、第2サイクルにおける冷媒回路14のP-h線図である。横軸および縦軸は図2と同様である。第1サイクルにかかる図2のP-h線図と比較すれば明らかなように、第2サイクルでは第1熱交換器30fと第2熱交換器30sとが入れ替わっており、第1膨張弁34fと第2膨張弁34sとが入れ替わっている。すなわち、第2サイクルにおいては第2熱交換器30sが凝縮器として機能し、第1熱交換器30fが蒸発器として作用する。中間熱交換器30mは、第1サイクルと同様に蒸発器として作用する。この場合、第1膨張弁34fは全開であることから冷媒に対して特段の作用がない。
このように、第2サイクルでは空気および冷媒の流れが第1サイクルと逆になっていることから、第1サイクルと同様の除湿作用があり、第2熱交換器30sに担持された水分吸着材は次第に放湿し、第1熱交換器30fに担持された水分吸着材は次第に吸湿する。第1熱交換器30fに担持された水分吸着材の吸湿量が多くなり、水分の単位時間当たりの吸着量が減少してきた段階で第2サイクルを終了し、第1サイクルに切り替える。
制御部16は、第1サイクルと第2サイクルとを所定タイミングで交互に切替える。所定タイミングは規定時間、センサ24f,24sの検出温度、湿度に基づく切替条件成立時などである。規定時間は、例えば第1熱交換器30fおよび第2熱交換器30sのうち空気の流れの下流側における方で水分吸着材の吸湿量が所定値まで高まると想定される時間である。
第1サイクルと第2サイクルとの切り替えは、圧縮機32の動作方向切り替えと、第1ファン22fおよび第2ファン22sの動作方向切り替えとによって行われる。圧縮機32の動作方向切り替えと第1ファン22fおよび第2ファン22sの動作方向切り替えとは必ずしも厳密に同時である必要はない。例えば、まず圧縮機32、第1ファン22fおよび第2ファン22sを停止させ、次いで圧縮機32を逆方向に回転させ、さらに熱的に安定した状態になった後に第1ファン22fおよび第2ファン22sを逆転させてもよい。除湿装置10では、少なくとも第1サイクルと第2サイクルとが設けられて、これらが所定タイミングで切り替え運転がなされていればよく、例えば、第1サイクルと第2サイクルとの間に所定の休止サイクルやメンテナンスサイクルが適宜設けられていてもよい。規定時間で第1サイクルと第2サイクルとを切り替える方式は、簡便であって低コストとなる。
このように構成される除湿装置10は、第1熱交換器30fおよび第2熱交換器30sに水分吸着材が担持されており、該水分吸着材の温度制御は、第1熱交換器30f、第2熱交換器30sを介して直接的に行われるため、熱効率が高い。また、独立的な水分吸着手段を設ける必要がなく、装置の小型化が可能である。さらに、除湿装置10では、冷媒および空気の流れは圧縮機32、第1ファン22fおよび第2ファン22sで制御され、流路変更のための専用手段(例えば、ダンパやダクト)が不要であり、部品数を低減することができる。これにより、低コスト化や高耐久性が得られる。
また、除湿装置10では風路12を流通する空気の加熱は冷媒回路14によって行われ、電気ヒータなどの他の加熱手段が不要である。除湿装置10は独立的な構成であり、設置に際しては配管作業などの外部機器との接続が不要である。除湿装置10は、風路12における単一の空気流路で連続的な除湿・調湿制御が可能である。除湿装置10の用途としては、例えば生活空間における夏期の除湿、乾燥物を製造する加工工場、および店舗用途に好適である。店舗としては、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ショッピングセンターが挙げられる。
図8は、除湿装置10に適用可能な変形例にかかる圧縮手段40の模式図であり(a)は第1サイクルの動作状態を示し、(b)は第2サイクルの動作状態を示す。圧縮手段40は上記の圧縮機32に置き替え可能である。図8に示すように、圧縮手段40は、単方向圧縮機40aと四方弁(流路切替手段)40bとによって構成されている。四方弁40bは制御部16によって操作される。図8(a)に示すように、第1サイクルでは単方向圧縮機40aの吐出口から吐出した冷媒は、四方弁40bによって左方向に案内され第1熱交換器30fに供給される。また、図8(b)に示すように、第2サイクルでは単方向圧縮機40aの吸引口に供給される冷媒は、第2熱交換器30sから四方弁40bによって右方向から案内される。
圧縮手段40における単方向圧縮機40aは一方向への高効率の圧縮が可能である。また、流路の切り替え手段は四方弁40bだけで足りる。単方向圧縮機40aおよび四方弁40bは廉価である。
図9は、除湿装置10に適用可能な変形例にかかる送気手段の模式図であり、(a)は第1変形例にかかる送気手段42を示し、(b)は第2変形例にかかる送気手段44を示す。送気手段42,44は上記の第1ファン22fおよび第2ファン22sに置き替え可能である。
図9(a)に示すように、送気手段42は、ファン42aと流路切替手段42bとによって構成されている。流路切替手段42bは連動して搖動する2枚の羽根がファン42aからの送気を第1通気口18fか第2通気口18sの一方へ案内し、他方を開放する。流路切替手段42bは制御部16によって操作される。ファン42aは単方向送気型である。実線矢印で示すように、第1サイクルではファン42aから送気された空気は流路切替手段42bによって第1通気口18fに案内される。また、仮想線矢印で示すように、第2サイクルではファン42aから送気された空気は流路切替手段42bによって第2通気口18sに案内される。
このように、送気手段42では、ファン42aに方向性がないことから高効率の送気が可能である。また、流路の切り替え手段は流路切替手段42bだけで足りる。単方向性のファン42aおよび流路切替手段42bは廉価である。
図9(b)に示すように、送気手段44は第1送気部44fと第2送気部44sとを備える。第1送気部44fと第2送気部44sは同じ構成であり、それぞれ第1ファン22fおよび第2ファン22sと置き替え可能である。第1送気部44fおよび第2送気部44sはそれぞれファン46aとファン46bとを備える。ファン46a,46bはそれぞれ単方向送気型である。ファン46aとファン46bは同じものであるが、前者は風路12内に空気を送気する向きに設けられており、後者は逆に風路12から外部に送気する向きに設けられている。
実線矢印で示すように、第1サイクルでは第1送気部44fのファン46aから吸入された空気は風路12を通って第2送気部44sのファン46bから外部に排気される。このとき第1送気部44fのファン46bおよび第2送気部44sのファン46aは停止している。仮想線矢印で示すように、第2サイクルでは第2送気部44sのファン46aから吸入された空気は風路12を通って第1送気部44fのファン46bから外部に排気される。このとき第1送気部44fのファン46aおよび第2送気部44sのファン46bは停止している。
このように、送気手段44ではファン46a,46bに方向性がないことから高効率の送気が可能である。また、流路の切り替え手段が不要で構成が簡便である。
次に、変形例にかかる除湿装置10Aについて説明する。除湿装置10Aの説明において上記の除湿装置10と同様の構成要素については同符号を付してその詳細な説明を省略する。除湿装置10Aは第1運転形式または第2運転形式で運転されるものとする。
図10は、変形例にかかる除湿装置10Aが第1運転形式の第1サイクルで運転されている状態の側面模式断面図である。図10に示すように除湿装置10Aでは、第1空気流路20fが仕切板47fによって第1熱交換流路48fと第1開放流路50fとに分割されており、第2空気流路20sが仕切板47sによって第2熱交換流路48sと第2開放流路50sとに分割されている。
第1熱交換流路48fの端部には第1熱交換器30fが設けられ、第2熱交換流路48sの端部には第2熱交換器30sが設けられている。第1開放流路50fおよび第2開放流路50sと折返し流路20mとの間は連通している。なお、ここでいう連通とは熱的機器が介在していないことであり、例えばフィルタなどが設けられていてもよい。
除湿装置10Aでは、第1通気口18fにファン52fおよびファン54fが設けられており、第2通気口18sにファン52sおよびファン54sが設けられている。ファン52f,52s,54f,54sはそれぞれ双方向型であって、制御部16によって風向および風量が制御される。ファン52f,52s,54f,54sはそれぞれ順に第1熱交換流路48f、第2熱交換流路48s、第1開放流路50f、第2開放流路50sに対する吸気または排気を行う。つまり、第1開放流路50f、第1熱交換流路48f、第2開放流路50sおよび第2熱交換流路48sにはそれぞれ送気手段が設けられている。
図10に示すように、除湿装置10Aが第1運転形式の第1サイクルで運転されている状態では、ファン52f,54fが吸気方向の送気を行い、ファン52sが排気方向の送気を行い、ファン54sは停止している。図示を省略するが、除湿装置10Aが第1運転形式の第2サイクルで運転されている状態では、ファン52s,54sが吸気方向の送気を行い、ファン52fが排気方向の送気を行い、ファン54fは停止している。つまり、第1サイクルと第2サイクルとでは風路12の空気の流通形式が逆になっている。第1サイクルおよび第2サイクルとも、吸気側の2つのファンによる風量と排気側の1つのファンによる風量とが概ね等しくなるように設定するとよい。冷媒の循環方向は第1サイクルおよび第2サイクルとも上記の場合と同様である。
第1サイクルを例に説明すると、吸気側に関してはファン52fから吸気されて第1熱交換流路48fを通って第1熱交換器30fで冷媒と熱交換された空気と、ファン54fから吸気されて第1開放流路50fを通った空気とが折返し流路20mで中間熱交換器30mに到達するまでに混合される。そして中間熱交換器30mおよび第2熱交換器30sで熱交換が行われた後に第2熱交換流路48sを通ってファン52sから外部に排出されることになる。
図11は、変形例にかかる除湿装置10Aが第1運転形式で運転されている場合の風路12を通過する空気の湿り空気線図である。以下、第1サイクルを前提に説明するが、第2サイクルでも同様である。図11におけるL41~L45は図3におけるL11~L15に相当する。L41,L42は上記のL11,L12と同様であるが、中間熱交換器30mでの熱交換に相当するL43に移る前に混合空気を示すMAを経由する。すなわち、L42の終端が第1熱交換流路48fおよび第1熱交換器30fを通った空気であり、第1熱交換器30fをバイパスして第1開放流路50fを通る空気(つまりOA)と混合されて混合空気MAが生成される。この混合空気MAが生成される経路は図11において破線で示している。そして混合空気MAがL43の始端に導かれる。なお、MAの位置は、ファン52fとファン54fとの風量比によりL42の終端とOAとの間で調整可能である。
そして、第2熱交換器30sにおける熱交換と吸着材による水分吸着を示すL44、L45を経た後にSAとして外部に排出される。
ここで、空気のOAの地点からL42の終端まで増加するエンタルピーHは図3に示す場合と同様であるが、L43(つまり中間熱交換器30m)に導かれる混合空気MAはL42の終端からずれており、L43~L45(つまり中間熱交換器30m~第2熱交換器30s)によってエンタルピーCだけ減少した排気SAは、吸気OAとエンタルピーが異なっている。これによって、排気SAを吸気OAよりも低温にすることができる。
図12は、変形例にかかる除湿装置10Aが第2運転形式の第1サイクルで運転されている状態の側面模式断面図である。
図12に示すように、除湿装置10Aが第2運転形式の第1サイクルで運転されている状態では、ファン52f,54fが吸気方向の送気を行い、ファン52s、54sが排気方向の送気を行う。図示を省略するが、除湿装置10Aが第2運転形式の第2サイクルで運転されている状態では、ファン52s,54sが吸気方向の送気を行い、ファン52f、54fが排気方向の送気を行う。つまり、第1サイクルと第2サイクルとでは風路12の空気の流通形式が逆になっている。冷媒の循環方向は第1サイクルおよび第2サイクルとも上記の場合と同様である。
この第2運転形式は、吸気側に関しては上記の第1運転形式と同様である。排気側に関しては、第1サイクルを例に説明すると、中間熱交換器30mで熱交換が行われた後、第2熱交換流路48sを通って第2熱交換器30sで冷媒と熱交換されてファン52sから排気され空気と、第2開放流路50sを通ってファン54sから排気された空気とが混合される。
図13は、変形例にかかる除湿装置10Aが第2運転形式で運転されている場合の風路12を通過する空気の湿り空気線図である。以下、第1サイクルを前提に説明するが、第2サイクルでも同様である。図13におけるL51~L55は図11におけるL41~L45と同様である。また、MAおよびSAが生成される過程も同様である。エンタルピーHおよびエンタルピーCについても図11と同様である。
除湿装置10Aが第2運転形式で運転されている場合、排気側で混合空気MSAが生成される。すなわち、L53の終端が中間熱交換器30mを通った空気であり、このL53の終端から下方へ向かう矢印が第2熱交換器30sをバイパスして第2開放流路50sを通る空気であり、SAから上方へ向かう矢印が第2熱交換器30sおよび第2熱交換流路48sを通った空気である。そして、この2系統の空気によって混合空気MSAが生成される。なお、MSAの位置は、ファン52sとファン54sとの風量比によりL53の終端とSAとの間で調整可能である。
このような第2運転形式では、中間熱交換器30m通過直後の空気質と第2熱交換器30sを通過した低温低湿空気とを混合させることができ、湿度の状態を調整することができる。以上のように、除湿装置10Aによれば、空気側、排気側の風路を分割することにより空気質の調整範囲を広げることができる。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。