最初に本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機及びコンベア装置の概要について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の概要とワーク排出の流れを示す平面図である。図1において、10はコンベア装置、20は搬送コンベア、21はコンベア上面、22は排出路、22aは角部、23は排出路上面、24は第2のガイド側板、25は第1のガイド側板(上流側)、26は第1のガイド側板(下流側)、27は第1の排出路側板、28は第2の排出路側板、30は第1の排出用羽根車、31、32、33、34、35及び36は羽根部材、37はドラム部材、40は第2の排出用羽根車(上側)、41、42、43、44、45及び46は羽根部材、47はドラム部材、50は回転規制部、51は電磁アクチュエータ、52はロックレバー、52aは開口部、52bはフック部、53は軸受、54及び55はストッパ、56は復帰用スプリング、57は支持部材、57aは開口部、60は第2の排出用羽根車(下側)、70はワークである。また、図8は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車の構成及び配置を示し、(a)は第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車と搬送コンベアの位置関係を示す正面図、(b)は第1の排出用羽根車のみの平面図、(c)は第2の排出用羽根車(上側)の平面図、(d)は第2の排出用羽根車(下側)の平面図である。図8において、31a、32a、33a、34a、35a及び36aは先端部、61、62、63、64、65及び66は羽根部材、67はドラム部材、85は第1の排出用羽根車用支柱、86は第2の排出用羽根車用支柱、87は基台であり、その他の符号は図1と同じものを示す。さらに、図9は、本発明の第1の実施の形態に係るコンベア装置のブロック図である。図9において、15はワーク排出機、59は電源部、80はコントローラ、81はコンベア駆動部、82は検査カメラ、83はロータリエンコーダ、84はローラコンベア部であり、その他の符号は図1と同じものを示す。くわえて、図11は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車の細部の構成を示す平面図(1)である。図11において、29は排出用間隙、64は羽根部材、71は排出対象ワークであり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第1の実施の形態に係るコンベア装置10は、図9に示すように、搬送コンベア20などのワークを搬送するための構成部と、搬送コンベア20上を搬送されているワークの中から、例えば、ラベルが正しく貼付されなかったものなどの特定のワークを排出路22に排出する構成部、すなわちワーク排出機15から構成されている。なお、図1及び図9に示した搬送コンベア20は、一部のみ記載したものであり、ほとんどの部分は記載を省略している。また、搬送コンベア20に付設される各種の機器についても、その記載を省略している。ワーク排出機15は、その機能を発揮する関係から排出路22の近傍に設けられている。さらに、後述するように、ワーク排出機15の構成品は、搬送コンベア20の排出路22側と、排出路22と反対側とに、搬送コンベア20を挟むような位置関係となるように設けられている。
ワークを搬送するための構成部は、ガラス瓶、ペットボトル、金属缶や果実などのワークを載置した状態で特定方向に搬送する搬送コンベア20、搬送コンベア20の駆動源、いわゆるセンタドライブとなるコンベア駆動部81、特定のワークを検出するために搬送コンベア20の所定位置を通過しているワークを撮影する検査カメラ82、ワーク排出機15の電磁アクチュエータ51を作動させるタイミングを得るために特定のワークの通過を検出するロータリエンコーダ83などを備えている。また、ワーク排出機15は、特定のワークを排出路22に排出する第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の回転を規制する電磁アクチュエータ51、電磁アクチュエータ51の駆動源となる電源部59、電源部59を制御するコントローラ80を備えている。コントローラ80は、搬送コンベア20を所定の搬送速度で起動させるようにコンベア駆動部81を制御している。なお、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)40、第2の排出用羽根車(下側)60は、搬送コンベア20上に、互いに接した状態、又は、相前後するワーク同士の間に僅かな間隙を置いて連続的に搬送されているワークからの押圧力によって回転するものであり、モータなどの駆動源によって回転するものではない。
以上の構成において、図11に示すように、電磁アクチュエータ51によって、第2の排出用羽根車(上側)40の羽根部材44、及び、第2の排出用羽根車(下側)60の羽根部材64が搬送コンベア20の搬送方向と直交する方向を向いた状態で、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の回転を停止させる。停止している羽根部材44及び羽根部材64に排出対象ワーク71が当接すると、排出対象ワーク71は回転し続けている第1の排出用羽根車30の羽根部材31によって排出用間隙29に向かって押し出される。
さらに、ワークを搬送するための構成部とワーク排出機15との細部の構成について説明する。搬送コンベア20は、図1及び図8に示すように、ワークを載置するコンベア上面21側が水平方向又はほぼ水平方向に延びるように設けられている。なお、本発明は、前述のように、搬送コンベア20上の多数のワークが互いに接した状態で、又は、相前後するワーク同士の間に僅かな間隙を置いて搬送されることを前提としたものである。したがって、ワーク同士の間に相当な間隙がある状態で搬送される場合、具体的には、互いの間隙がワークの相当径を超えているような場合には、本発明は採用困難であると言える。
また、搬送コンベア20は、図1に示すように、ローラコンベア部84の領域を除いてベルトコンベアで構成され、ワーク排出機15を設けている部位とその前後の領域のみをローラコンベア部84としている。これは、ワークをワーク排出機15によって進行方向と異なる方向に押し出す際に、ワークと搬送コンベア20の表面との間に作用する摩擦力を低減することによって、ワークの底面に擦り傷が付くこと、及び、ワーク排出機15に対する付加を低減するための構成である。なお、ワークが非常に軽い場合や、ワークの底面に擦り傷が付きにくい場合には、搬送コンベア20全体をベルトコンベアで構成してもよい。逆に、搬送コンベア20全体をローラコンベアで構成してもよい。
さらに、搬送コンベア20は、図1に示すように、ワーク70が搬送コンベア20から落下することを防止すると共に、ワーク70を搬送方向に向かって案内するために、コンベア上面21の両端部のすぐ近傍に第1のガイド側板(上流側)25及び第1のガイド側板(下流側)26と、第2のガイド側板24とがそれぞれ設けられている。第1のガイド側板(上流側)25と第1のガイド側板(下流側)26とは、排出路22を接続するために、図11に示した排出用間隙29が設けられている。また、第2のガイド側板24は、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60を配置する空間を確保するために、図8(a)に示すように、ワーク70よりもかなり低い高さになされている。なお、図8(a)には記載していないが、第1のガイド側板(上流側)25及び第1のガイド側板(下流側)26も、第2のガイド側板24と同じ高さに形成されている。なお、第1のガイド側板(上流側)25及び第1のガイド側板(下流側)26と、第2のガイド側板24とは、必ずしも同じ高さにする必要はない。さらに、第1のガイド側板(上流側)25及び第1のガイド側板(下流側)26と、第2のガイド側板24との両方について、ワークの形状や高さによっては、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60のいずれかのもの又は全部よりも高い位置に同じ幅(上下方向の長さ)で設けてもよい。
排出路22は、特定のワークを受け入る領域であり、ローラコンベアによって構成されている。排出路22の排出路上面23は、搬送コンベア20のコンベア上面21とほぼ同じ幅であり、かつ、同じ高さとなるように設けられている。また、排出路22は、排出路上面23の両端部のすぐ近傍に第1の排出路側板27と第2の排出路側板28とがそれぞれ設けられている。第1の排出路側板27及び第2の排出路側板28は、第1のガイド側板(上流側)25及び第1のガイド側板(下流側)26と同じ高さになるように形成されている。なお、排出路22は、ワーク排出機15の作動に支障がなければ、ローラコンベア以外のコンベアでもよく、さらにスロープやトレイであってもよい。
コントローラ80は、検査カメラ82によって撮影されている搬送コンベア20上の多数のワークの中に、例えば、形状に異常があるなど特定の条件に当てはまるものが発見されると、排出路22へ排出対象物と判断する。そして、コントローラ80は、排出対象物ありと判断すると、直ちに排出対象ワーク71の検出時点とロータリエンコーダ83の検出値(角度)から、排出対象ワーク71に先行する排出対象でないワーク70が第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)を通過するのに必要な時間を算出し、この時間の経過後に電源部59を介して電磁アクチュエータ51を作動して第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)の回転を停止させる。すなわち、コントローラ80は、排出対象でないワーク70を押圧している第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)の羽根部材がロックレバー52のフック部52bの近傍を通過した後、電磁アクチュエータ51に通電してロックレバー52のフック部52bに次の羽根部材を係止させる。係止された次の羽根部材は、搬送方向と直交する方向を向いた状態で停止することになる。このようにコントローラ80が制御することによって、排出対象ワーク71が搬送方向にそのまま流れるのを阻止することと、排出対象ワーク71を排出用間隙29に押し出すことが同時に実行される。
また、このコントローラ80による制御動作は、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)の羽根部材は60度間隔で6枚設けられているので、排出対象でないワーク70を搬送方向に押している羽根部材が通過してからフック部52bに係止すべき次の羽根部材を係止するまでの間に行えばよいので、時間的な余裕がある。これに対して、他の構成にした場合、例えば、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)のドラム部材37及び67を拘束することによって第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)の回転を停止させるようにした場合、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)の次の羽根部材を搬送方向と直交する方向を向いた状態で停止するためには、次の羽根部材の方向(位置)を正確に把握し、次の羽根部材が搬送方向と直交する方向を向いた瞬間にドラム部材37及び67を拘束しなければならない。したがって、本発明の第1の実施の形態に係るコンベア装置10には、このような厳密な位置制御が必要でないという非常に大きな利点がある。なお、ロータリエンコーダ83に代えて、例えば光学センサを用いて電磁アクチュエータ51を作動させるタイミングを決定することも可能である。ただし、電磁アクチュエータ51に通電する、又は、通電を停止するタイミングは、第一の排出用羽根車30の方向(位置)に基づいて決定する必要があるので、第一の排出用羽根車30の方向(位置)を随時、かつ、即座に検出できることから、ロータリエンコーダを用いることが非常に望ましい。なお、コントローラ80には、図示していないユーザインタフェースなどが接続されるが、本発明との関連性が薄いので説明を省略する。
第1の排出用羽根車30は、図8(b)に示すように、垂直方向に延びる略円筒形状に形成されると共に、排出用間隙29に面するように配置されたドラム部材37の周側面に羽根部材31、32、33、34、35及び36が等間隔、すなわち60度間隔で配置されている。ドラム部材37は、図8(a)に示すように、第1の排出用羽根車用支柱85によって回転可能に支持されている。さらに、ドラム部材37は、平面視において、その周側面が第1のガイド側板(上流側)25と第1の排出路側板27との内側面(ワーク70又は排出対象ワーク71に対向する面)とが重なり合うようになされている。したがって、第1の排出用羽根車30は、第1のガイド側板(上流側)25の近傍で、かつ、排出用間隙29よりも搬送コンベア20の搬送方向において上流側となるところに回転中心が位置するように配置されることになる。
くわえて、第1のガイド側板(上流側)25と第1の排出路側板27とは互いに接続されておらず、平面視において、これらの内側面とドラム部材37の周側面とが重なり合っている部分が端部となっている。したがって、第1のガイド側板(上流側)25の内側面と第1の排出路側板27の内側面とは、平面視において、ドラム部材37の周側面を介して連続しているように見える。このように構成することによって、排出対象ワーク71を排出路22に排出する際に、第1のガイド側板(上流側)25と第1の排出路側板27とを接続している角部によって排出が阻害されることがなく、ドラム部材37の周囲を回り込むようにスムーズに排出されるようになる。
羽根部材31、32、33、34、35及び36は、それぞれ同じ矩形板状に形成されており、図8(b)に示すように、基端側がドラム部材37の周側面に等間隔に固定されている。また、羽根部材31、32、33、34、35及び36は、水平方向又はほぼ水平方向に回転するように配置されている。くわえて、羽根部材31、32、33、34、35及び36は、図11に示すように、平面視において、搬送コンベア20の搬送方向に直交する方向に向いているときに、羽根部材31、32、33、34、35及び36の先端部31a、32a、33a、34a、35a及び36aと、第2のガイド側板24との間隙がワーク70の円相当径よりも狭くなるような長さに形成されている。これは、ワーク70が羽根部材31、32、33、34、35及び36と、第2のガイド側板24との間隙をすり抜けて行くことを防止するためである。また、羽根部材31、32、33、34、35及び36は、ワークからの押圧力によって歪みを生じないような十分な剛性を増大させるために、先端部31a、32a、33a、34a、35a及び36aを垂直方向に延びる円柱状に形成している。なお、第1の排出用羽根車30の羽根の枚数は、6枚に限られるものではなく、前述の条件を満たすものであれば、例えば、3枚や4枚、あるいは8枚などであってもよい。
第2の排出用羽根車(上側)40と第2の排出用羽根車(下側)60とは、図8(c)及び(d)に示すように、垂直方向に延びる略円筒形状に形成されたドラム部材47とドラム部材67との周側面に、羽根部材41、42、43、44、45及び46と羽根部材61、62、63、64、65及び66とが等間隔、すなわち60度間隔でそれぞれ配置されている。また、羽根部材41、42、43、44、45及び46と羽根部材61、62、63、64、65及び66とは、搬送コンベア20の搬送方向において、第1の排出用羽根車30の回転中心よりも下流側となるところに回転中心が位置するように、かつ、水平方向又はほぼ水平方向に回転するように配置されている。さらに、羽根部材41、42、43、44、45及び46と羽根部材61、62、63、64、65及び66とは、図8(a)に示すように、垂直方向において、第1の排出用羽根車30の羽根部材31、32、33、34、35及び36の上側と下側とに、かつ、互いに重なり合わない高さにそれぞれ配置されている。第1の排出用羽根車30と、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60とをこのように配置したことによって、例えば、ビール瓶のように、底面積に対して高さが相当に高いワークであっても、安定的に排出することが可能となる。
なお、この実施の形態に係るコンベア装置10では、平面視において、第1の排出用羽根車30と、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60とは、互いの羽根部材が重なり合うことがない大きさとしているが、前述のように、これらの羽根部材は垂直方向において互いに重なり合うことがないように配置されているので、平面視において第1の排出用羽根車30と、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60との羽根部材が互いに重なり合うように形成されていたとしても問題ない。ところで、コンベア装置10においては、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60のように、2段の「第2の排出用羽根車」を設けているが、必ずしも2段に分けて設ける必要はない。すなわち、底面積と比較して高い円柱状のものをワークとして扱う場合には、2段の「第2の排出用羽根車」はワークを安定的に押し出す上で大きな効果を発揮するが、高さが低いもの、又は、球体に近いものをワークとして扱う場合には1段の「第2の排出用羽根車」で十分である。逆に、底面積と比較して非常に高いものをワークとして扱う場合には、例えば、2段の「第1の排出用羽根車」と3段の「第2の排出用羽根車」とを設ける、つまり排出用羽根車の段数を任意の段数だけ増やしてもよい。また、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60は、それぞれ6枚の羽根部材を等間隔に設けているが、羽根部材の枚数は3枚以上であればよい。ただし、発明者が得た知見によれば、6枚とした場合、最も確実に排出できると共に、ワークの形状が制限されない、ワークを確実に排出するための補助的なガイド部材を設ける必要がないなど、最も有利な枚数であると言える。
ドラム部材47とドラム部材67とは、図8(a)に示すように、第2の排出用羽根車用支柱85によって回転可能に支持されている。くわえて、ドラム部材47とドラム部材67とは、個別に回転しないように、かつ、羽根部材41、42、43、44、45及び46と羽根部材61、62、63、64、65及び66とが平面視において互いに重なるように、互いに固定的に接続されている。したがって、羽根部材61、62、63、64、65及び66は、停止しているときと回転しているときのいずれにおいても、平面視において羽根部材41、42、43、44、45及び46の下にそれぞれ隠れている状態となる。第1の排出用羽根車用支柱85と第2の排出用羽根車用支柱86とは、基端部が基台87に対してそれぞれ固定されている。なお、第1の排出用羽根車用支柱85と第2の排出用羽根車用支柱86とは、例えば、図示していない搬送コンベア20の構造材などに固定してもよい。
第2の排出用羽根車(上側)40を停止させる回転規制部50は、図1に示すように、電磁アクチュエータ51、ロックレバー52、軸受53、ストッパ54及び55、復帰用スプリング56、並びに、支持部材57を備えている。また、回転規制部50は、ロックレバー52を羽根部材41、42、43、44、45及び46のいずれかに係止させることから、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の近傍に設けられている。なお、第2の排出用羽根車(下側)60は第2の排出用羽根車(上側)40と一体的に回転又は停止するので、第2の排出用羽根車(下側)60に対しては回転規制部を設けていない。電磁アクチュエータ51は、直動型ソレノイドからなり、通電することによってロックレバー52を押圧する。なお、電磁アクチュエータ51は、直動型ソレノイドに限られるものではなく、同様の作動を実現できるものであれば、例えば、回転型ソレノイド、揺動型ソレノイド、ボイスコイルモータなどであってもよい。
復帰用スプリング56は、一方の端部がストッパ54の先端寄りの開口部52aに係止され、他方の端部が支持部材57の開口部57aに係止され、かつ、引張された状態で設けられている。ロックレバー52は、軸受53を中心として回転するように設けられているが、ストッパ54とストッパ55とによって回転範囲が制限されている。すなわち、電磁アクチュエータ51に通電していないときは、復帰用スプリング56から加わる引っ張り応力によって、復帰用スプリング56側に回転する。ロックレバー52は、ストッパ55に当接したところで回転が規制され、電磁アクチュエータ51に通電するまでこの状態が保たれる。電磁アクチュエータ51に通電すると、ロックレバー52は電磁アクチュエータ51によって第2の排出用羽根車(上側)40側に回転する。ロックレバー52は、ストッパ54に当接したところで回転が規制され、電磁アクチュエータ51への通電を停止するまでこの状態が保たれる。ロックレバー52がストッパ54に当接した状態になると、図1の羽根部材41のように、フック部52bに最も接近していた羽根部材が係止され、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の回転が停止する。
続けて、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60に必要となる大きさ等のさらなる条件について説明する。図12は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車の細部の構成を示す平面図(2)である。図12において用いた符号は、図1及び図11と同じものを示す。また、図13は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車の細部の構成を示す平面図(3)である。図13において用いた符号は、図1及び図11と同じものを示す。さらに、図14は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機の第1の排出用羽根車及び第2の排出用羽根車の構成の条件を満さない参考例を示し、(a)は第2の排出用羽根車が条件を満たしていない参考例の平面図、(b)は第1のガイド側板(下流側)と第2の排出路側板との角部が条件を満たしていない参考例の平面図である。図14において用いた符号は、図1及び図11と同じものを示す。
第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60については、配置等について前述の条件を満たす必要があるが、さらに以下に説明する条件を満たす必要がある。すなわち、図11に示すように、排出対象ワーク71が発見されると、コントローラ80は排出対象ワーク71が第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60に接近したときに、回転規制部50によって第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60を停止させる。ここで、排出対象ワーク71が第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の間近に接近した状態において平面視したときに、排出対象ワーク71と第1の排出用羽根車30の羽根部材31との当接点Sと、排出対象ワーク71の中心点Cを結ぶ仮想的直線と、当接点Sと排出対象ワーク71と第2の排出用羽根車40の羽根部材44の先端部の最先端点Tとを結ぶ仮想的直線とを想定する。また、当接点Sと最先端点Tとを結ぶ仮想的直線よりも中心点Cが排出用間隙29側に位置しているときに、当接点Sと最先端点Tとを通る仮想的直線と当接点Sと中心点Cとを通る仮想的直線とがなす角度を正の値の角度である(0度を超えている)とする。本発明では、当接点Sと最先端点Tとを通る仮想的直線と当接点Sと中心点Cとを通る仮想的直線とがなす角度を正の値の角度である(0度を超える)ことを条件としており、コンベア装置10はこのように構成されている。この条件は、別の観点から定義するならば、当接点Sと中心点Cを第1の排出用羽根車30の回転中心を中心点として1回転させて円環状の軌跡を描いたときに、中心点Cの軌跡の径が当接点Sの軌跡の径よりも小さくなることを条件としていると言える。
角度θ1が0度を超えていると、図12に示すように、羽根部材31に押圧された排出対象ワーク71が羽根部材44と当接したときに、羽根部材44から排出対象ワーク71に加わる力Fは、排出対象ワーク71を逆方向に押し戻す力F1と、排出対象ワーク71を排出用間隙29に向かって押し出す力F2との分力となる。よって、排出対象ワーク71を含むワーク70の搬送方向において、羽根部材44の先端部が排出用間隙29の中間又はその近傍となる位置にあれば、F2によって排出対象ワーク71が排出用間隙29の範囲から外れないように排出路22側に押し出すことができる。言い換えるならば、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60は、排出対象ワーク71を確実に排出するために、ワーク70の搬送方向において、これらの回転中心が排出用間隙29の中間又はその近傍に位置するように配置されていることが非常に望ましいと言える。また、羽根部材31は後続のワーク70によって押圧され続けているので、排出対象ワーク71も羽根部材31によってさらに押圧される。排出対象ワーク71は、F2の力によって羽根部材44の先端部を乗り越えるようにして排出用間隙29側に移動する。排出対象ワーク71が羽根部材44を乗り越えるときに、当接点Sと中心点Cを通る仮想的直線と、当接点Sと最先端点Tとを通る仮想的直線とがなす角度θ2も0度を超えている。
なお、図14(a)に示すように、排出対象ワーク71と第1の排出用羽根車30の羽根部材31との接する当接点点Sと、排出対象ワーク71の中心点Cとを通る仮想的直線と、当接点Sと排出対象ワーク71と第2の排出用羽根車40の羽根部材44の先端部の最先端点Tとを通る仮想的直線とがなす角度θ4がマイナスの角度である、すなわち、中心点Cが当接点Sと最先端点Tとを通る仮想的直線よりも第2のガイド側板24側に位置していると、排出対象ワーク71は、羽根部材31と羽根部材44とに挟まれたままの状態に陥るので、コンベア装置10が正常に機能しなくなる。
さらに、排出対象ワーク71が移動すると、図13に示すように、第1のガイド側板(下流側)26と第2の排出路側板28との角部22aに対して排出対象ワーク71が当接する。本発明では、当接点Sと中心点Cとを通る仮想的直線と、当接点Sと角部22aの点Dとを通る仮想的直線とがなす角度θ3も0度を超えることも条件としており、コンベア装置10はこのように構成されている。その理由は、θ1の場合と同様に、角度θ3も0度を超えていると、排出対象ワーク71が角部22aを乗り越えて排出路22に進入して行くことによる。逆に、図14(b)に示すような構成になっており、角度θ5がほぼ0度であると、排出対象ワーク71は、羽根部材31と角部22aとに挟まれたままの状態に陥るので、コンベア装置10が正常に機能しなくなる。さらに、角度θ5がマイナスの角度となる場合は、排出路22側に押し戻される可能性もある。以上のように、本発明においては、角度θ1及び角度θ3が前述の条件を満たしているので、排出対象ワーク71を排出路22へ確実に排出できる。
続けて、ワーク排出機15の作動について説明する。図2乃至図7は、本発明の第1の実施の形態に係るワーク排出機におけるワーク排出の手順を示す平面図(1)乃至(6)である。図2乃至図7において用いた符号は、すべて図1と同じものを示す。図2に示すように、コンベア装置10の駆動中において、ワーク70の中に排出対象ワーク71が混在してくると、図3に示すように、第1の排出用羽根車30の羽根部材33と羽根部材34との間に位置するところまでそのまま作動し続ける。コントローラ80は、通過検出センサ83で得た情報によって、図3の状態から所定時間経過後に電磁アクチュエータ51を作動させる。そうすると、図4に示すように、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60が停止し、排出対象ワーク71は、羽根部材41及び羽根部材61に当接する。
排出対象ワーク71は、図5に示すように、羽根部材41及び羽根部材61を乗り越えるように排出用間隙29側に接近すると共に、第1の排出用羽根車30の羽根部材34によって排出路22に進入して行く。これと同時に、電磁アクチュエータ51への通電を停止し、排出対象でないワーク70が通常通りに搬送されるようにする。そうすると、図6及び図7に示すように、多数のワーク70が搬送されることによって、第1の排出用羽根車30、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60が図2の時点と同様に通常の回転状態に戻るが、排出対象ワーク71は第1の排出用羽根車30によってさらに排出されて行く。また、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60よりも下流側のワーク70の流れは、排出対象ワーク71の排出によって短時間停止するが、排出対象ワーク71の次のワーク70が第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60に送り込まれることによってただちに搬送されている状態に復帰する。
さらに、本発明の第2の実施の形態に係るコンベア装置について説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態に係るコンベア装置の概要とワーク排出の流れを示す平面図である。図10において、11はコンベア装置、90は第1の排出用羽根車、91、92、93、94、95及び96は羽根部材、91a、92a、93a、94a、95a及び96aは先端部、97はドラム部材であり、その他の符号は図1と同じものを示す。
本発明の第2の実施の形態に係るコンベア装置11では、図10に示すように、第1の排出用羽根車90の一部の形状をコンベア装置10の第1の排出用羽根車30と異なる形状としている。すなわち、羽根部材91、92、93、94、95及び96は、先端部91a、92a、93a、94a、95a及び96aにおいて、回転方向に向かって突出しており、さらに最先端部から基端側に向かって下り勾配となるような傾斜面を形成している。なお、第1の排出用羽根車90の97はドラム部材、及び、その他の構成品はコンベア装置10と同じである。第2の実施の形態に係るコンベア装置11では、先端部91a、92a、93a、94a、95a及び96aに傾斜面を形成することによって、排出対象ワーク71を排出路22へさらに確実に排出できる。なお、先端部91a、92a、93a、94a、95a及び96aの形状は、図10に示したものに限られるものではなく、最先端部から基端側に向かって下り勾配となるような傾斜面、又は、階段状面を含む形状であれば他の形状であってもよい。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るコンベア装置10、又は、第2の実施の形態に係るコンベア装置11では、電磁アクチュエータ51に通電しているときに、平面視において、第1の排出用羽根車30又は90の羽根部材に当接している排出対象ワーク71の当接部分と排出用間隙29側に向いて停止している第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の羽根部材の先端部とを通る仮想的直線よりも当接している排出対象ワーク71の中心点が常に排出用間隙側に位置するようになされているので、電磁アクチュエータ51に通電すると、停止した第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の羽根部材に当接した排出対象ワーク71が後続するワーク70から押圧されることよって排出用間隙29側に押し出され、さらに第1の排出用羽根車30又は90の羽根部材によって排出用間隙から排出されるようになる。したがって、1個の電磁アクチュエータ51をコントローラ80によってオンオフするのみで排出対象ワーク71の排出機能を実現が可能となり、消費電力が小さくなり、かつ、簡便に設置できるようになる。コントローラ80が電磁アクチュエータ51を作動させるタイミングは、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(上側)60の羽根部材が60度回転する範囲内であればよく、このような厳密な位置制御が必要でないという非常に大きな利点がある。
また、第1の排出用羽根車90の羽根部材91、92、93、94、95及び96の先端部91a、92a、93a、94a、95a及び96aが回転方向に向かって突出しているので、平面視において、第1の排出用羽根車90の羽根部材91、92、93、94、95及び96に当接した排出対象ワーク71の中心が羽根部材91、92、93、94、95及び96の先端部91a、92a、93a、94a、95a及び96aよりも第1の排出用羽根車90の中心寄りにあると、排出対象ワーク71が第1の排出用羽根車90の中心寄りに僅かに移動し、排出対象ワーク71が排出用間隙29からより確実に排出されるようになる。さらに、停止した第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60の羽根部材に当接した排出対象ワーク71が排出用間隙29側に向かって押し出されるので、排出対象ワーク71が排出用間隙29からより確実に排出されるようになる。くわえて、第1の排出用羽根車30又は90の羽根部材の基端部をドラム部材37又は97に固定することによって、排出対象ワーク71が排出用間隙から排出する際の羽根部材のたわみを低減でき、当該ワークが排出用間隙からより確実に排出されるようになる。さらに、ドラム部材37又は97の外周面を排出用間隙29に接続された第1のガイド側板(上流側)25及び第1の排出路側板27の代用品として利用できる。排出対象ワーク71を排出可能で、かつ、消費電力も小さくなる。また、コンベア装置10又は11を簡単に設置できる。排出対象ワーク71が排出用間隙29から排出する際に排出対象ワーク71に生じる摩擦抵抗を小さくできるので、第1の排出用羽根車30又は90、並びに、第2の排出用羽根車(上側)40及び第2の排出用羽根車(下側)60のさらなる軽量化などが可能となる。
本発明は以上に説明した内容に限定されるものではなく、例えば、本発明の第1の実施の形態に係る第1の排出用羽根車30の羽根部材31、32、33、34、35及び36の先端部の近傍部分に、通常は折り畳まれた状態になっており、排出対象ワーク71に当接する直前に立ち上がって、排出対象ワーク71に当接すると排出対象ワーク71を抱え込むようにしながら排出路22に向かって押し出し、押し出した後には再び折り畳まれるようなフラップ部材を設ける、あるいは、羽根部材31、32、33、34、35及び36の先端部の近傍部分に、通常は凹陥した状態になっており、排出対象ワーク71に当接する直前に突出して、排出対象ワーク71に当接すると排出対象ワーク71を抱え込むようにしながら排出路22に向かって押し出し、押し出した後には再び後退して凹陥するような突起部材を設けるなど、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々の構成にすることが可能である。