以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
なお、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、目標を特に区別しないで説明する場合には、「目標値322」と記載し、個々の目標を区別して説明する場合には、「目標値322-1」、「目標値322-2」のように記載することがある。
(1)第1の実施の形態
図1において、100は全体として第1の実施の形態による車両運行支援システムを示す。車両運行支援システム100は、車両運行支援装置110を備える。車両運行支援装置110は、入力部120および出力部130と接続されている。
図1は、車両運行支援装置110に係る構成の一例を示す図である。
車両運行支援装置110は、例えば、一般的なコンピュータ、サーバ等の計算機である。車両運行支援装置110は、入力部120から入力された数値、計算実施命令等に従って処理を行い、処理した結果(計算結果)を出力部130に送信する。
入力部120は、公知の入力装置であるキーボード、マウス、タッチパッド等であり、車両運行支援装置110が行う計算に用いる数値、計算実施命令等の入力を受け付けて、車両運行支援装置110に送信する。
出力部130は、公知の出力装置である液晶ディスプレイ、ドットマトリクスLED(Light Emitting Diode)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等であり、車両運行支援装置110から送信された情報を出力する。なお、本実施の形態では、車両運行支援装置110の出力を、出力部130の代わりに、または出力部130と併用して、音声出力装置(不図示)によって出力するようにしてもよいし、プリンタによって印刷するようにしてもよい。音声出力装置には、公知の音声出力装置を利用可能である。また、プリンタには、公知のプリンタを利用可能である。
なお、図1では、車両運行支援装置110と入力部120と出力部130とを別体に示すが、この構成に限られるものではない。例えば、上述した音声出力装置も含め、車両運行支援装置110と入力部120と出力部130と音声出力装置とは、一体化された装置で構成されてもよい。
図1に示すように、車両運行支援装置110は、記憶部111と、情報インターフェース部112と、プロセッサ部113とを備える。
記憶部111は、プログラム、データ等の記憶を行う機能を有する。記憶部111は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の公知の記憶装置を利用して実現される。
情報インターフェース部112は、各装置間の情報の送受信を行う機能を有する。情報インターフェース部112は、例えば、イーサネット(登録商標)のコネクタ、USBポート、光ファイバを用いたネットワーク、無線LAN、携帯電話などの無線ネットワーク、地上子と車両(以下では、列車を例に挙げて説明する。)との間では周波数変調を用いた無線通信等、公知の製品を利用して実現される。
プロセッサ部113は、プログラムの実行、制御途中の情報の一時的な保持を行う機能を有する。プロセッサ部113は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の公知の製品を利用して実現される。
車両運行支援装置110の機能(例えば、後述の作成部201、計算部202、判定部203などの演算部)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、車両運行支援装置110の機能の一部は、車両運行支援装置110と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
図2は、車両運行支援装置110の機能構成の一例を示す図である。
図2に示すように、車両運行支援装置110は、作成部201、計算部202、および判定部203を備える。車両運行支援装置110は、要求仕様データ211、入力項目データ212、入力データ213、仕様反映入力データ214、出力データ215、および判定結果データ216を記憶する。車両運行支援装置110の各部による具体的な処理および各データの具体例については、図面を参照しながら後述する。
作成部201は、要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213とから仕様反映入力データ214を作成する。計算部202は、仕様反映入力データ214について処理を行って出力データ215を作成する。判定部203は、要求仕様データ211と出力データ215とから判定結果データ216を作成する。作成された判定結果データ216は、出力部130に送信されて出力される。
まず、作成部201が入力情報とする要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213とのうち、要求仕様データ211について図3を用いて説明する。
図3は、要求仕様データ211の一例を示す図である。要求仕様データ211は、対象状態310および目標320の情報を有する。
対象状態310は、列車の運行での障害(例えば、列車の運行に係る装置の故障)の発生を想定する事項である。対象状態310は、障害の分類を示す分類311と、障害が発生した時刻(時間)を示す発生時刻312と、障害が発生した場所を示す発生場所313と、障害が発生した設備を示す発生設備314との情報を含んで構成される。本例では、分類311として「駅の制御装置に故障発生」、発生時刻312として「13:00」、発生場所313として図示しない路線の「駅A」、発生設備314として図示しない「下り線の分岐装置故障」を示している。
目標320は、目標の個数を示す目標数321と、列車の運行における1以上の目標値を示す目標値322との情報を有する。
要求仕様データ211は、図示していない要求書に従ってユーザ(鉄道事業者、鉄道部品提供者など)が作成する情報である。
次に、入力項目データ212について図4を用いて説明する。
図4は、入力項目データ212の一例を示す図である。入力項目データ212は、図示していない要求書に従って作成される情報(手順書)である。入力項目データ212は、要求仕様データ211に記された対象状態310に対応して行う作業を作業の各段階の情報として保持する、入力項目データ212は、作業の段階を示す段階401と、作業の種類を示す作業種類402と、作業の状態または作業の内容を示す状態または実施事項403とを対応付けた情報を有する。
図4に示す入力項目データ212は、図3の要求仕様データ211に示す対象状態310である分類311「駅の制御装置に故障発生」、発生時刻312「13:00」、発生場所313「駅A」、発生設備314「下り線の分岐装置故障」に対応して、段階401として「段階1」~「段階9」の9段階の情報を保持する。より具体的には、入力項目データ212は、段階401と状態または実施事項403との対応として、段階401「段階1」についての状態または実施事項403「駅の信号装置に故障発生」から段階401「段階9」についての状態または実施事項403「管理センタの担当者は列車の運休設定などのダイヤ変更を実施」までを保持する。
入力項目データ212は、要求仕様データ211に記された対象状態310に対応して予め保持してもよいし、処理を行う際に入力部120を介してユーザが入力してもよい。複数の異なる入力項目データ212を保持して出力部130に表示し、入力部120を介してユーザが選択指定してもよい。
次に、入力データ213について図5を用いて説明する。
図5は、入力データ213の一例を示す図である。入力データ213は、入力項目データ212の段階401である段階501と、作業の種類を示す作業種類502と、作業を主体(例えば、対象者)を示す主体条件503と、対象者が行う作業の内容を示す詳細内容504と、対象者の習熟度を示す習熟度505と、作業に要する時間を示す所要時間506と、計算部202が行う計算(計算機シミュレーション処理)で更新する対象となる更新対象507と、計算機シミュレーション処理で更新する内容を示す更新内容508との情報を対応付けて保持する。
例えば、段階501が「段階3」についてみると、作業種類502は、「故障報告」であり、主体条件503は、「管理センタ担当者」であり、詳細内容504は、「駅の信号装置故障」である。また、「段階3」の作業の所要時間506は、習熟度505によって異なり、習熟度505が「新人」である場合は「5分」、習熟度505が「熟練者」である場合は「2分」である。また、更新対象507は無く、更新内容508も無い。
次に、図6および図7を用いて、仕様反映入力データ214を生成する際に用いる故障条件データ600および実施時刻データ700について説明する。
図6は、故障条件データ600の一例を示す図である。故障条件データ600は、主体条件503(主体の種類)と習熟度505(所要時間506であってもよい。)との組合せの各々を故障条件の情報として保持する。故障条件データ600は、故障条件601と、故障発生駅602と、運転者603と、管理センタ担当者604と、修理作業者605との情報を対応付けて保持する。なお、故障条件データ600は、後述のステップS1103において作成される。
図7は、実施時刻データ700の一例を示す図である。実施時刻データ700は、故障条件601ごとの各段階の対応を終了する時間を示す情報を含む情報である。より具体的には、実施時刻データ700は、故障条件701(仕様反映入力データ214の故障条件601)と、各段階において作業を実施したときの時刻を示す実施時刻702との情報を対応付けて保持する。なお、実施時刻データ700は、後述のステップS1104において作成される。
次に、仕様反映入力データ214について図8を用いて説明する。
図8は、仕様反映入力データ214の一例を示す図である。仕様反映入力データ214は、列車の運行に影響する段階の情報を含む情報である。より具体的には、仕様反映入力データ214は、故障条件801(仕様反映入力データ214の故障条件601)と、更新対象507の段階において作業を実施したときの時刻を示す実施時刻802との情報を対応付けて保持する。なお、仕様反映入力データ214は、後述のステップS1105において作成される。
次に、出力データ215について図9を用いて説明する。
図9は、出力データ215の一例を示す図である。出力データ215は、車両の運行に係る計算が行われた結果(計算結果)を示す情報である。より具体的には、出力データ215は、計算結果を識別するための比較条件901と、故障条件902(仕様反映入力データ214の故障条件601)と、当該故障条件において列車を運行したときの運行本数を示す運転本数903と、当該故障条件において列車を運行したときの消費電力を示す消費電力904との情報を対応付けて保持する。なお、出力データ215(運転本数903および消費電力904)については、計算部202において既存の計算式が用いられて計算される。
次に、判定結果データ216について図10を用いて説明する。
図10は、判定結果データ216の一例を示す図である。判定結果データ216は、目標値322を達成する計算結果の故障条件を特定可能な情報を含む情報である。より具体的には、判定結果データ216は、比較条件1001と、故障条件1002と、運転本数1003と、運転本数比1004と、消費電力1005と、消費電力比1006と、目標達成合否1007との情報を対応付けて保持する。なお、判定結果データ216は、図12に示す処理により作成される。
次に、車両運行支援装置110が行う処理について説明する。
図11は、作成部201が行う処理に係るフローチャートの一例を示す図である。かかる処理は、ステップS1101より開始する。
ステップS1102では、作成部201は、入力情報である要求仕様データ211と、入力項目データ212と、入力データ213とを読み込む。なお、入力データ213より読み込んだ内容については、ユーザは、変更して使ってもよい。
ステップS1103では、作成部201は、入力データ213から計算部202が実行する条件数を計算する。入力データ213は、図5に示すように各段階について対象者の種類と対象者の習熟度(所要時間)との対応を持つため、ステップS1103では、作成部201は、作成する仕様反映入力データ214について、対象者と習熟度との組合せを反映した故障条件を作成する。
図5に示す例では、入力データ213には、対象者として「管理センタ担当者」、「修理作業者」、および「運転者」の3種類があり、それぞれ習熟度として「新人」と「熟練者」との2種類がある。また、図5に示す例では、「段階6」は、故障発生駅について移動作業に要する時間の情報を有する。故障発生駅は、図3に示す要求仕様データ211より「駅A」であるので、「故障発生駅」として「駅A」の1つの情報がある。これより仕様反映入力データ214としては、作成部201は、(式1)で定まる8個の故障条件を作成する。
「管理センタの担当者」の2情報×「修理作業者」の2情報×「運転者」の2情報×「故障発生駅」の1情報 = 8通り ・・・(式1)
なお、(式1)により算出される8個の故障条件の一例については図6に示すものとなる。
ステップS1104では、作成部201は、各故障条件(条件)の各段階について実施条件を作成する。実施条件は、計算部202の行う処理において情報の変更を行う契機となる情報を含む。実施条件としては、例えば、特定の列車の出発時間を変更する場合、特定の列車の停車時間を増加する場合、特定の列車が特定の駅に到着した場合、特定の列車の最高速度を変更する場合、特定の列車の速度が特定の値となった場合、特定の変電所が送出する累積電力量が指定値を超過した場合、特定の時刻になった場合、特定の条件を持たずに各段階に進行した時点で無条件に実施する場合などがある。
本実施の形態では、図3に示す要求仕様データ211より発生時刻312「13:00」が「段階1」の実施条件となる。また、図5の入力データ213より、計算部202の処理(計算機シミュレーションの実施)途上で対象となる情報と、計算機シミュレーションの実施で対象とする内容との対応付けがあるのは、「段階4」で列車ダイヤについて駅停車中または次の停車駅に走行中の列車に対して駅の出発を取り止める「出発抑止を設定」すること、「段階8」で列車ダイヤについて出発抑止を解除して列車が駅を出発するよう「出発時刻を設定」すること、「段階9」で列車ダイヤについて「運休列車を設定」することの3件である。これらは、全て当該段階で条件となる列車などの状態指定が無いため、特定の条件を持たずに各段階に進行した時点で無条件に実施する。このことより、当該段階に進行した時刻が実施条件となる。このため、各条件について前後する段階の時間差を制約する情報である図5に示す入力データ213の所要時間506を「段階1」の「13:00」に順次加算することで実施条件となる時刻を得ることができる。なお、各故障条件の実施条件である実施時刻の例は、図7に示すものとなる。
図7に示す実施時刻データ700の各故障条件701の実施時刻702のうち、「故障条件1」について作成する場合を例に手順を説明する。故障が発生するのは、図3の要求仕様データ211より発生時刻312「13:00」であるので、「段階1」の実施時刻702-1は、「13:00」である。
次の「段階2」の実施時刻702-2は、「段階1」の発生より図4の入力項目データ212が保持する「管理センタの端末は駅の信号装置故障発生を表示」する処理に要する時間で定まる。ここでは、この情報は、全ての故障条件について一律で「1分」とし、入力データ213に保持し、作成部201は、ステップS1102で取得する。これより「段階2」の実施時刻702-2は、「13:01」となる。
次の「段階3」の実施時刻702-3は、「管理センタ担当者は管理センタの責任者に故障報告」する対応に要する時間であり、「故障条件1」では、図6に示すように管理センタ担当者604が「新人」の場合である。この場合、図5の入力データ213より所要時間506は「5分」であり、「段階3」の実施時刻702-3は、「13:06」となる。
「段階4」の実施時刻702-4は、「管理センタ担当者は、全線で運転停止を指示」(管理センタ担当者が責任者から指示を受ける運行判断)する対応に要する時間である。図5の入力データ213より所要時間506は「5分」であり、「段階4」の実施時刻702-4は、「13:11」となる。
「段階5」の実施時刻702-5は、「管理センタ担当者は修理作業を依頼する作業手配」に要する時間である。図5の入力データ213より所要時間506は「5分」であり、「段階5」の実施時刻702-5は、「13:16」となる。
「段階6」の実施時刻702-6,702-7は、「修理作業者が故障駅は故障駅に到着し作業開始」(修理作業者が故障駅に移動する作業準備と修理作業と)に要する時間である。このうち、作業準備に要する時間は、図3に示す要求仕様データ211より発生場所313「駅A」であり、図5の入力データ213より故障駅が「駅A」の場合の所要時間506(移動時間)は、「10分」である。よって、「段階6」のうち実施時刻702-6は、「13:26」となる。また、「故障条件1」では、図6に示すように修理作業者605が「新人」の場合である。この場合、図5の入力データ213より所要時間506は「15分」であり、「段階6」の実施時刻702-7は、「13:41」となる。
「段階7」の実施時刻702-8は、「修理作業者は故障駅で作業完了し管理センタの担当者に報告」する対応に要する時間(管理センタ担当者が修理作業者より作業の完了報告を受ける時間)である。図5の入力データ213より所要時間506は「3分」であり、「段階7」の実施時刻702-8は、「13:44」となる。
「段階8」の実施時刻702-9は、「管理センタの担当者は全線で運転再開を指示」する対応に要する時間(列車の運転者が管理センタ担当者の指示により列車運行を再開するまでの時間)である。「故障条件1」では、図6に示すように運転者603が「新人」の場合である。この場合、図5の入力データ213より所要時間506は「2分」であり、「段階3」の実施時刻702-9は、「13:46」となる。
なお、「段階9」の実施時刻は、「管理センタの担当者は列車の運休設定などの列車ダイヤ変更を実施」する対応に要する時間(運転再開の後で管理センタの担当者が列車の運休を指示する調整に要する時間)である。本実施の形態では、全ての条件で対象外とするため、説明を省略する。
ステップS1105では、作成部201は、各故障条件(条件)の各段階について仕様反映入力データ214(実施条件)を求める。ステップS1104より計算機シミュレーションの実施途上で対象となる情報と、計算機シミュレーションの実施で対象とする内容との対応付けがあるのは、「段階4」で列車ダイヤについて出発抑止を設定すること、「段階8」で列車ダイヤについて出発時刻を設定すること、「段階9」で列車ダイヤについて運休列車を設定することの3件である。また、「段階9」は、本実施の形態では、全ての故障条件で対象外としている。これらより、仕様反映入力データ214は、「段階4」で列車ダイヤについて出発抑止の設定と、「段階8」で列車ダイヤについて出発時刻の設定との2件である。なお、各故障条件の仕様反映入力データ214の例は、図8に示すものとなる。
図8に示す仕様反映入力データ214の故障条件801のうち、「故障条件1」を作成する場合を例に説明する。図5に示す入力データ213から、実施時刻データ700の各故障条件701の実施時刻702のうち、「段階4」の実施時刻702-4で列車ダイヤに出発抑止を設定し、「段階8」の実施時刻702-9で列車ダイヤに出発抑止を解除し出発時刻を設定することがわかる。つまり、故障条件801「故障条件1」においては、「段階4」の実施時刻702-4「13:11」が実施時刻802-1(出発抑止)に設定され、「段階8」の実施時刻702-9「13:46」が実施時刻802-2(運転再開)に設定される。
ステップS1106では、作成部201は、ステップS1104およびステップS1105を全ての故障条件(条件)と段階とについて実施したかを確認する。作成部201は、実施していない場合、ステップS1104に戻って処理を繰り返し、実施した場合、ステップS1107に進む。
ステップS1107では、作成部201は、ステップS1102で読み込んだ情報のうち、入力データ213に保存する処理を行う。例えば、「管理センタの端末は駅の信号装置故障発生を表示」する処理に要する時間を読み込んだ後に変更した場合、変更内容を入力データ213に保存する。
ステップS1108では、作成部201は、仕様反映入力データ214を書き出す。書き出す内容は、図8の仕様反映入力データ214に示す情報である。最後にステップS1109で終了する。
上記ステップS1101~ステップS1109を行うことで、作成部201は、要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213とから仕様反映入力データ214を作成する。仕様反映入力データ214には、図示していない列車の各駅の着発時刻を記載した列車ダイヤデータ、図示していない列車が走行する路線の勾配、曲線等を記載した路線データ、図示していない列車の加減速性能、消費電力等を記載した列車データを含む。なお、列車ダイヤデータ、路線データ、および列車データは、計算部202が列車の運行に係る計算に用いる情報であり、公知の情報を用いることができる。
次に、計算部202は、作成部201により作成された各故障条件の仕様反映入力データ214について、列車の運行に係る計算を行い、出力データ215を作成する。計算部202は、例えば、時間経過毎に図示していない列車の位置、速度などを計算し、図示していない消費電力、遅れ時間の累積値などを求める公知の技術を用いて計算を行う。
本実施の形態では、計算部202は、図8に示す仕様反映入力データ214に従い、内部時刻が「段階4」となった際に出発抑止を設定した列車ダイヤに更新して計算を続行し、「段階8」となった際に出発抑止を取り消した列車ダイヤに更新して計算を続行する。各故障条件について求めた出力データ215として、一日の運転本数と消費電力との結果の例は図9に示すものとなる。なお、計算部202は、これまで述べた信号装置故障ありの「故障条件1」~「故障条件8」に加えて、装置故障が発生しない場合についても「故障条件0」として計算を行う。
計算部202は、図8に示す仕様反映入力データ214を用いることにより、装置故障が発生した発生時刻「13:00」から各故障条件において出発抑止が設定される「段階4」の実施時刻までの間に各列車が走行することで生じる列車の抑止駅の違い、および抑止を取り消して列車が走行を再開する「段階8」以降の列車の運転状態の違いを、運転本数、消費電力などの計算に反映することができる。
次に、判定部203は、要求仕様データ211と出力データ215とから判定結果データ216を作成する。判定部203が行う処理について、図12を用いて説明する。
ここで、図3に示す要求仕様データ211より、目標320は「2件」であり、目標値322-1は、「故障発生日の一日消費電力量は故障なし運行日の105%以下」であり、目標値322-2は、「故障発生日の運行列車本数は故障なし運行日の95%以上」である。これに対して図9に示す出力データ215の一日の運転本数と消費電力との評価の結果の一例については図10に示すものとなる。
図12は、判定部203が行う処理に係るフローチャートの一例を示す図である。かかる処理は、ステップS1201より開始する。
ステップS1202では、判定部203は、入力情報である要求仕様データ211と出力データ215とを読み込む。
ステップS1203では、判定部203は、各故障条件(条件)について運転本数比を計算する。運転本数比については、判定部203は、(式2)を用いて計算する。
運転本数比=故障ありの運転本数÷故障なしの運転本数 ・・・(式2)
出力データ215の故障条件902「故障条件1」について計算する場合、故障なしに該当する「故障条件0」の運転本数903「600本」と、故障ありに該当する「故障条件1」の運転本数903「551本」とから、(式2)より運転本数比は、551÷600=92%となる。
ステップS1204では、判定部203は、各故障条件(条件)について消費電力比を計算する。消費電力比については、(式3)を用いて計算する。
消費電力比=故障ありの消費電力÷故障なしの消費電力 ・・・(式3)
出力データ215の故障条件902「故障条件1」について計算する場合、故障なしに該当する「故障条件0」の消費電力904「193.8MWh」と、故障ありに該当する「故障条件1」の消費電力904「205.3MWh」とから、(式3)より消費電力比は、205.3÷193.8=106%となる。
ステップS1205では、判定部203は、各故障条件(条件)について目標達成合否を判定する。ステップS1202で取得した目標値322に対して、「故障条件1」では、運転本数比が「92%」であり、消費電力比が「106%」であるので、判定部203は、目標未達成と判定し、目標達成合否1007を「否」と設定する。なお、図9に示す出力データ215において、図3に示す要求仕様データ211の目標値322を達成するのは、「故障条件3」、「故障条件5」~「故障条件8」となる。
ステップS1206では、判定部203は、全ての故障条件(条件)について実施したかを判定する。判定部203は、実施していない場合は、ステップS1203に戻って処理を繰り返し、実施した場合は、ステップS1207に進む。
ステップS1207では、判定部203は、判定結果データ216を書き出し、出力部130に判定結果データ216を送信する。出力部130は、判定結果データ216を表示する。判定結果データ216は、例えば、図10に示すものとなる。出力部130が表示する内容は、例えば、図10に示す判定結果データ216の全情報でもよいし、各故障条件および判定結果などの一部の情報でもよいし、目標達成合否1007が「合」の情報でもよい。そして、判定部203は、次のステップS1208で処理を終了する。
上記ステップS1201~ステップS1208を用いることで、判定部203は、要求仕様データ211と出力データ215とから判定結果データ216を作成し、出力部130は、判定結果データ216を表示する。
以上の構成により、車両運行支援装置110は、図3に示す要求仕様データ211の対象状態(障害)が発生した場合について、図示していない要求書に従って作成した図4の入力項目データ212と図5の入力データ213とで定まる8個の故障条件の組合せについて計算部202を行い、図3に示す要求仕様データ211の目標320を達成する故障条件を判定することにより、作業の習熟度を反映した対象状態と目標を達成できる条件とを取得し、図示していない要求書について目標を達成できる条件を取得することができる。
ここでは、所要時間を対象者の習熟度に対応付けたが、例えば、図示しない信号装置の種類と所要時間(処理時間)とで対応付けてもよいし、図示しない信号装置および管理センタの間で情報伝達を行う通信装置の種類と処理時間とで対応付けてもよい。
例えば、図4に示す入力項目データ212において、「段階2」の故障検知について、図示しない信号装置と管理センタとの間で情報伝達を行う通信装置の種類が「A」、「B」、「C」、の3種類ある場合の入力データ213の一例を図13に示す。図5に示す入力データ213と比較して、「段階2」に対応する通信装置の3種類と所要時間とが追加となるため、作成部201は、故障条件データ600としては、(式4)で定まる24個の故障条件を作成する。
「通信装置」の3情報×「管理センタの担当者」の2情報×「修理作業者」の2情報×「運転者」の2情報×「故障発生駅」の1情報 = 24通り ・・・(式4)
これ以降の手順については、先に飛べたものと同じであるので、説明を省略する。
本実施の形態によれば、各条件を特定可能な情報と、各条件について車両の運行の状態を示す計算結果とが対応付けられて出力されるので、ユーザは、目標とする運行の状態を達成できる条件を得ることができる。
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に示す車両運行支援装置110の構成において、図3に示す要求仕様データ211の対象状態に対応する図4に示す入力項目データ212および図5に示す入力データ213がない場合に、入力項目データ212および入力データ213を既存の入力項目データ212および既存の入力データ213から作成する方法について説明する。以下では、図示していない要求書がユーザにより検討中である場合(検討中要求書)を例に挙げて説明する。
例えば、検討中要求書とは異なる1以上の要求書に対応する既存のデータ(要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213と)を用いて、検討中要求書に対応する要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213とを作成部201が仮に定め、計算部202と判定部203とが行った結果から目標達成合否を判定して出力することで、ユーザは、仮に定めた要求仕様データ211と入力項目データ212と入力データ213とに対応する要求書の内容について、目標とする運行状態の達成可否となる条件を得ることができる。
以下では、第1の実施の形態と異なる構成について主に説明する。なお、計算部202および判定部203の処理は、第1の実施の形態と同じであるので、説明は省略する。
図14は、作成部201が行う処理に係るフローチャートの一例を示す図である。かかる処理は、ステップS1401より開始する。
ステップS1402では、作成部201は、入力情報である要求仕様データ211と、入力項目データ212と、入力データ213とを読み込む。これらのうち、入力項目データ212と、入力データ213とは、異なる要求書に対応する情報である。また、要求仕様データ211には、検討中要求書に対応する情報と、異なる要求書に対応する情報とが含まれる。
なお、異なる要求書に対応する要求仕様データ211と、入力項目データ212と、入力データ213とは、それぞれ第1の実施の形態で説明した図3~図5に記載した内容であるので、説明を省略する。
検討中要求書に対応する要求仕様データ1500を図15に示す。
図15は、要求仕様データ1500の一例を示す図である。検討中要求書に対応する要求仕様データ1500は、要求仕様データ211と同様に、対象状態1510と目標1520との情報を有する。ここでは、対象状態1510は、分類1511として「駅のプラットホームドア装置の一部に故障発生」、発生時刻1512として「14:00」、発生箇所1513として図示しない路線の「駅C」、発生設備1514として図示しない「下上り線ホームの1扉に対応する装置が故障」が格納されている。
ステップS1403では、作成部201は、異なる要求書に対応する入力項目データ212と入力データ213とを作業種類で対応付けた後に、段階毎に分解して整理して保持する。作成部201は、整理については、例えば、項目毎に同じ内容のデータ、数値の大小関係などに従って並べ直すソートを行う。作成部201は、整理を行った結果、入力項目データ212と入力データ213とは、図16に示す入力項目段階候補データ1600として保持する。
ステップS1404では、作成部201は、異なる要求書に対応する入力項目段階候補データ1600から検討中要求書に対応する入力項目データ212を作成する。作成は、入力項目段階候補データ1600が保持する各候補を出力部130により表示し、入力部120を用いて選択することで指定してもよいし、選択した上で入力部120を用いて修正してもよい。
例えば、最初の段階は、検討中要求書に対応する要求仕様データ1500の分類1511が「駅のプラットホームドア装置の一部に故障発生」する段階であり、作成部201は、最も近い(類似する)候補1601「候補1」の状態または実施事項403「駅の信号装置に故障発生」を選択する。ユーザは、選択された内容を「駅のプラットホームドア装置の一部に故障発生」に修正(「信号装置」を「ホームドア装置」に修正)することで「段階1」のデータ(入力項目データ212および入力データ213)を作成できる。
2番目の段階は、故障を検知する段階であり、作成部201は、入力項目段階候補データ1600より「候補2」の「管理センタの端末は駅の信号装置故障発生を表示」を選択し、ユーザは、「管理センタの端末は駅のホームドア装置故障発生を表示」に修正する。また、所要時間506については、ホームドア装置の仕様を反映して設定する。ここでは一律「1分」とする。
3番目の段階は、故障を報告する段階であり、作成部201は、入力項目段階候補データ1600より「候補3」の「管理センタの担当者は管理センタの責任者に故障報告」を選択する。なお、ユーザは、選択した内容(所要時間506など)を変える必要がない場合は、選択した時点の値をそのまま適用すればよい。
4番目の段階は、故障に対応して運行の判断を行う段階である。ここでは、検討中要求書で実施事項として「列車運行を止めずにホームドア装置が故障した駅のみ安全確認のために停車時間を一律1分増加」と仮決めした場合を説明する。入力項目段階候補データ1600より仮決めした実施事項に近い情報として「候補4」の「出発抑止」を選択する。ユーザは、更新対象507の「列車ダイヤ」については変更することなく、更新内容508を「ホームドア装置が故障した駅のみ停車時間を一律1分増加」とする。
作成部201は、以上のような手順を必要に応じて繰り返し行い、検討中要求書に対応する入力項目データ212および入力データ213を作成する。
ステップS1405~ステップS1411については、第1の実施の形態で作成部201について説明した図11のステップS1103~ステップS1109と同じであるので、説明は省略する。
以上の構成により、要求仕様データ211の対象状態に対応する入力項目データ212および入力データ213がない場合においても、図示していない異なる要求書に対応する入力項目データ212および入力データ213を用いて検討中要求書に対応する入力項目データ212および入力データ213を作成できることを説明した。第1の実施の形態の内容より検討中要求書に対応する入力項目データ212および入力データ213について判定結果データ216を作成し、検討中要求書の要求仕様データ211の目標を達成する故障条件を判定することができる。このことから、第2の実施の形態の手順により、要求書が検討中である場合においても、要求仕様データ211の目標320を達成する故障条件を判定することができる。
なお、ステップS1403およびステップS1404では、異なる要求書に対応する入力項目データ212が保持する全ての段階を分解してソートした結果より、対象とする要求書に対応する手順を選択して作成したが、これに限られるものではない。
例えば、ユーザが入力部120を介して、異なる要求書に対応する入力項目データ212を複写し、数値の変更、段階の挿入、削除などの編集を行い、作成してもよい。
また、例えば、作成部201は、異なる要求書ごとに入力項目データ212および入力データ213を対応付けた入力項目段階候補データ1600を作成し、要求仕様データ1500の分類1511と、入力項目段階候補データ1600の状態または実施事項403との類似度を算出し、要求仕様データ1500の分類1511に最も類似する(最も類似度が高い)状態または実施事項403が含まれる入力項目段階候補データ1600を流用するデータとして選定してもよい。
これら選択、複写などを行う際の情報として、各要求書が持つ全ての段階を作業の種類で分類して前段階に対する各作業種類の割合情報(例えば、類似度)を作成し、作成対象とする要求書に対応する作業の割合が近い要求書に対応する入力項目データ212を自動選択してもよい。また、自動選択の代わりに割合の近い順に候補として表示し、ユーザが手動で選択を行ってもよい。
本実施の形態によれば、検討中の要求書において目標とする運行の状態を達成できる条件を得ることができる。
(3)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、本発明を車両運行支援装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
また、上述の実施の形態において、「記憶部」は、メモリ部とPDEV部の少なくとも一部とのうちの少なくとも1つ(典型的には少なくともメモリ部)である。
また、上述の実施の形態において、「メモリ部」は、1以上のメモリであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリ部における少なくとも1つのメモリは、揮発性メモリであってもよいし不揮発性メモリであってもよい。
また、上述の実施の形態において、「PDEV部」は、1以上のPDEVであり、典型的には補助記憶デバイスでよい。「PDEV」は、物理的な記憶デバイス(Physical storage DEVice)を意味し、典型的には、不揮発性の記憶デバイス、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)である。
また、上述の実施の形態において、「プロセッサ部」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
また、上述の実施の形態において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ部によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部(例えばメモリ)及び/又はインターフェース部(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主語がプロセッサとされてもよい。プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサ部あるいはそのプロセッサ部を有する装置が行う処理としてもよい。また、プロセッサ部は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
本発明は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
車両(例えば、列車であってもよいし、バスであってもよいし、飛行機であってもよいし、その他の車両であってもよい。)の運行に係る障害に対する作業が複数の段階の対応で構成され(例えば、入力項目データ212、手順書なお、)、上記複数の段階のうち、上記車両の運行に影響する段階の情報(例えば、更新対象507、更新内容508、入力データ213など)を用いて上記車両の運行に係る計算を行う車両運行支援装置(例えば、車両運行支援装置110)であって、上記複数の段階の各々において対応を行う主体の種類を示す主体種類情報(例えば、習熟度505)と上記対応に要する時間である所要時間情報(例えば、所要時間506)とが対応付けられた情報(例えば、入力データ213)から、上記主体種類情報と上記所要時間情報との組合せを計算の条件として設定し(例えば、故障条件データ600を作成し)、設定した条件をもとに上記車両の運行に係る計算を行う際、上記車両の運行に影響する段階の情報を上記主体種類情報および上記所要時間情報に応じた情報(例えば、仕様反映入力データ214など)に変更して計算を行う演算部(例えば、作成部201、計算部202、判定部203)と、上記演算部により計算された結果(例えば、運転本数903、消費電力904)と、計算に用いた条件を特定可能な情報(例えば、故障条件902、故障条件データ600)とを対応付けて(例えば、出力データ215、判定結果データ216)出力(例えば、表示、印刷、データ出力、音声出力)する出力部(例えば、出力部130)と、を備えることを特徴とする。
上記構成では、例えば、車両の運行の手順書に従った作業の各条件について車両の運行に係る計算を行って、計算結果と条件とを対応付けて出力するので、ユーザは、目標とする運行の状態を達成できる条件を得ることができるようになる。
上記車両の運行に係る障害が発生した時間を示す障害発生時間情報(例えば、発生時刻312)と、上記車両の運行に影響する段階を示す影響段階情報(例えば、更新対象507、更新内容508)とを記憶し、上記演算部は、上記障害発生時間情報と上記所要時間情報とをもとに、上記複数の段階の各々における対応が終了する時間を最初の段階から順次に算出し、算出した時間(例えば、実施時刻データ700)から、上記影響段階情報をもとに、上記車両の運行に影響する段階の対応が終了する時間を特定し、特定した時間(例えば、仕様反映入力データ214)を用いて、設定した条件において車両を運行したときの運行本数を示す運転本数情報(例えば、運転本数903)、および/または、設定した条件において車両を運行したときの消費電力を示す消費電力情報(例えば、消費電力904)を算出し、上記出力部は、上記演算部により計算された運転本数情報および/または消費電力情報と、計算に用いた条件を特定可能な情報とを対応付けて出力する、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、各条件に人材の習熟度を含める場合、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、どのような人材を割り当てると、目標とする運転本数および/または消費電力を達成できるかを把握でき、保守、運用を適切にできるようになる。また、鉄道事業者に鉄道に係る製品を提供するメーカにとってみれば、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者に対して、どのような人材を割り当てると、目標とする運転本数および/または消費電力を達成できるかを提案できるようになる。
また、例えば、各条件に制御装置の種類を含める場合、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、どのような装置を導入すると、目標とする運転本数および/または消費電力を達成できるかを把握でき、保守、運用を適切にできるようになる。また、鉄道事業者に鉄道に係る製品を提供するメーカにとってみれば、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者に対して、どのような装置を割り当てると、目標とする運転本数および/または消費電力を達成できるかを提案できるようになる。
上記主体は、上記車両の運転者、上記車両を管理する管理センタの担当者、および/または、上記車両の運行に係る障害の対応を行う作業者であり、上記主体の種類は、習熟度である(例えば、図5に示す主体条件503を参照。)、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、各条件に人材の習熟度を含める場合、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、どのような人材を割り当てると、目標とする運転の状態を達成できるかを把握できるようになる。
上記主体は、上記車両の運行に係る制御を行う制御装置(例えば、通信装置、信号装置など)であり、上記主体の種類は、上記制御装置の種類である(例えば、図5に示す主体条件503を参照。)、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、各条件に制御装置の種類を含める場合、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、どのような制御装置を導入すると、目標とする運行の状態を達成できるかを把握できるようになる。
上記車両の運行に影響する段階の情報は、上記段階の対応が終了する時間を示す時間情報である(例えば、仕様反映入力データ214)、ことを特徴とする。
上記車両の運行における目標を示す目標情報(例えば、目標値322)を記憶し、上記演算部は、上記目標情報をもとに、計算した結果のうち、上記目標を達成する結果の条件を選定し(例えば、図12に示す処理を実行して判定結果データ216を作成し)、上記出力部は、上記演算部により選定された条件を特定可能な情報(例えば、判定結果データ216)を出力する、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、ユーザは、目標とする運行の状態を達成できる条件を容易に得ることができるようになる。
上記車両の運行に影響する段階は、上記車両の運行を行うためのダイヤ(例えば、列車ダイヤ)の出発時間の変更に係る段階(例えば、図5に示す「段階4)、「段階8」)である、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、出発時間の変更を加味した車両の運行に係る計算の結果と、目標とする運行の状態を達成できる条件とを得ることができる。
上記車両の運行に影響する段階は、上記車両の最高速度を変更する段階である、ことを特徴とする。
例えば、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、車両の最高速度の変更を加味した車両の運行に係る計算の結果と、目標とする運行の状態を達成できる条件とを得ることができる。
上記車両の運行に影響する段階は、上記車両の運行を行うためのダイヤの停車時間の増加に係る段階である、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、鉄道の運用ノウハウがない鉄道事業者であっても、停車時間の増加を加味した車両の運行に係る計算の結果と、目標とする運行の状態を達成できる条件とを得ることができる。
上記主体種類情報と上記所要時間情報とを記憶し、上記出力部は、上記主体種類情報と上記所要時間情報とを表示し、上記演算部は、入力部を介して上記出力部により表示された情報の変更を受け付け、受け付けた情報を用いて計算を行う(例えば、図14に示す処理を行う)、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、ユーザは、要求書に対応する手順書を新たに作成する場合において、既存のデータを流用できるので、当該要求書で目標とする運行の状態を達成できる条件を容易に把握することができる。
上記車両の運行に係る障害の分類を示す分類情報と、上記主体種類情報と、上記所要時間情報とが対応付けられた情報を複数記憶し、上記演算部は、記憶している上記分類情報と、入力部を介して入力された検討中の障害の分類を示す検討中分類情報との類似度合いを算出し、類似度合いが最も高い上記分類情報が対応付けられている上記主体種類情報および上記所要時間情報を選択し、上記出力部は、上記演算部により選択された上記主体種類情報および上記所要時間情報を表示する、ことを特徴とする。
上記構成によれば、例えば、ユーザは、要求書を検討中である状況において、障害の状態を示す情報を入力することで、要求書の要求に最も類似する既存のデータが選定されるので、既存のデータの修正を少なくすることができ、目標とする運行の状態を達成できる条件をより容易に把握することができるようになる。
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。