本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに交差する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、液吸収性の吸収体と、前記吸収体よりも前記厚さ方向の肌側に配置された液透過性のトップシートと、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に配置された液不透過性のバックシートと、機能性組成物とを有する吸収性物品であって、前記機能性組成物は、冷感成分もしくは温感成分を内包した複数のマイクロカプセルを含み、少なくとも前記バックシートよりも前記厚さ方向の肌側に、前記機能性組成物が前記幅方向に帯状に塗布された帯状塗布領域を有し、前記帯状塗布領域のうち、前記吸収性物品の前記幅方向の両端部に位置する領域を端部塗布領域とし、前記吸収体の前記幅方向の両端部に位置する領域を吸収体塗布領域とすると、前記端部塗布領域の前記長手方向の最大長さは、前記吸収体塗布領域の前記長手方向の最大長さよりも長いことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、着用者の大腿部と接し易い部分である幅方向の端部は、吸収性物品の中央部等と比較して汗をかきやすい部分でもある。そのような幅方向の端部に設けられる端部塗布領域では、汗との反応(化学的刺激)、若しくは、擦れることによる物理的摩擦によりマイクロカプセルが崩壊し、カプセル内から冷感もしくは温感成分が放出される。そして、その端部塗布領域の長さが吸収体塗布領域よりも長いことから、端部塗布領域は汗との反応や物理的接触による作用を引き出す部分が多く、装着からより短時間で冷感もしくは温感成分を放出することができる。放出された成分が揮発し、着用者は、装着後の早い段階から冷感又は温感効果を実感できる。また、吸収体の幅方向の両端部にも塗布領域が存在するため、排出された体液が吸収体の両端に向かって広がる際にも冷感もしくは温感効果を実感でき、効果の持続性を向上させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記帯状塗布領域を複数有し、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された複数の粘着部を有し、前記複数の粘着部は、前記幅方向に沿って設けられ、前記長手方向に所定の間隔で並んで配置され、前記複数の前記帯状塗布領域と、前記複数の粘着部とが前記厚さ方向に見て重複する重複領域と、前記複数の前記帯状塗布領域と、前記複数の粘着部とが前記厚さ方向に見て重複しない非重複領域とを有することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、重複領域と非重複領域とでは、機能性組成物の身体への接触状態が異なり、冷感成分或いは温感成分の発現時間が異なる。すなわち、重複領域は肌と密着するため、冷感又は温感作用が発現しやすい。非重複領域は、重複領域よりも時間をかけて冷感又は温感成分が揮発するため、持続性の向上を図れる。
かかる吸収性物品であって、前記複数の前記帯状塗布領域の前記長手方向のそれぞれの長さは、前記複数の粘着部の前記長手方向のそれぞれの長さよりも短いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、各帯状塗布領域の太さ(長手方向の長さ)と各粘着部の太さ(長手方向の長さ)が異なることにより、重複領域と非重複領域が形成される。そのような重複領域と非重複領域とによって、冷感又は温感作用を発現させ易くしつつ、冷感又は温感効果の持続性の向上を図ることができる。
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された粘着部を有し、前記端部塗布領域は、前記粘着部の前記幅方向の両端よりも前記幅方向の外側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、粘着部の幅方向の両端よりも外側に位置する端部塗布領域は、着用者の大腿部と擦れ易い部分であり、また汗を吸収することが多い。そのような着用者の動きによる摩擦や汗との接触により、より短時間で冷感又は温感効果を発現させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記端部塗布領域は、前記吸収体の前記幅方向の両端よりも前記幅方向の外側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収体の幅方向の両端よりも外側に位置する端部塗布領域は、着用者の大腿部と擦れ易い部分であり、また汗を吸収することが多い。そのような着用者の動きによる摩擦や汗との接触により、より短時間で冷感又は温感効果を発現させることができる。また、吸収体の両端よりも外側にあることで、放出された冷感或いは温感成分が吸収され得る要因が少なく、効果を持続させ易い。
かかる吸収性物品であって、前記吸収体の前記幅方向の長さは、70mm以下であり、前記吸収性物品の前記長手方向の長さは、14cm~17.5cmの範囲内にあり、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された複数の粘着部を有し、前記複数の粘着部を前記厚さ方向の非肌側から覆う剥離シートが設けられており、前記吸収性物品の前記幅方向の端部には、前記吸収性物品の平面形状における外縁に沿って、前記トップシートと前記バックシートとを接合する接合部が設けられており、前記接合部と、前記端部塗布領域とは、前記厚さ方向に見て重複し、前記接合部の前記幅方向の両端部は、前記剥離シートよりも前記幅方向の外側に位置する部分を有することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、幅方向および長手方向の大きさが小さい吸収性物品の場合、剥離シートを長手方向に沿ってだけでなく、幅方向に沿って剥がすことも考えられる。その際、剥離シートに覆われていない接合部の幅方向の両端部(すなわち、吸収性物品の幅方向の両端部)は、吸収性物品の装着時に指で触れることが多い部分である。当該両端部には、機能性組成物が塗布された端部塗布領域が設けられており、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易く、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
また、互いに交差する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備え、液吸収性の吸収体と、前記吸収体よりも前記厚さ方向の肌側に配置された液透過性のトップシートと、前記吸収体よりも前記厚さ方向の非肌側に配置された液不透過性のバックシートと、機能性組成物とを有する吸収性物品であって、前記機能性組成物は、冷感成分もしくは温感成分を内包した複数のマイクロカプセルを含み、少なくとも前記バックシートよりも前記厚さ方向の肌側に、前記機能性組成物が前記長手方向に帯状に塗布された帯状塗布領域を有し、前記帯状塗布領域のうち、前記吸収性物品の前記長手方向の両端部に位置する領域を端部塗布領域とし、前記吸収体の前記長手方向の両端部に位置する領域を吸収体塗布領域とすると、前記端部塗布領域の前記幅方向の最大長さは、前記吸収体塗布領域の前記幅方向の最大長さよりも長いことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品の長手方向の端部は、前側は下腹部と、後側は臀部と接し易く、吸収性物品の中央部等と比較して汗をかきやすい部分でもある。そのような端部に設けられる端部塗布領域では、汗との反応(化学的刺激)もしくは、擦れることによる物理的摩擦によりマイクロカプセルが崩壊し、カプセル内から冷感もしくは温感成分が放出される。そして、その端部塗布領域の長さが吸収体塗布領域よりも長いことから、当該端部塗布領域は汗との反応や物理的接触による作用を引き出す部分が多く、装着からより短時間で冷感もしくは温感成分を放出することができる。放出された成分が揮発し、着用者は、装着後の早い段階から冷感又は温感効果を実感できる。また、吸収体の長手方向の両端部にも塗布領域が存在するため、排出された体液が吸収体の両端に向かって広がる際にも冷感もしくは温感効果を実感でき、効果の持続性を向上させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された粘着部を有し、前記端部塗布領域は、前記粘着部の前記長手方向の両端よりも前記長手方向の外側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、当該粘着部が下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、吸収性物品が着衣に固定される。当該粘着部が配置されている部分は、固定された下着の動きに追従し易いが、粘着部よりも長手方向の外側に位置する端部塗布領域は、着用者の肌に密着したまま、着用者の腹部の呼吸に対応する動きや臀部の動きに追従して、肌と接触する機会が多くなる。密着による汗の吸収や、物理的接触によって、着用者は冷感又は温感効果を得やすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記端部塗布領域は、前記吸収体の前記長手方向の両端よりも前記長手方向の外側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、端部塗布領域は、動きの多い着用者の腹部や臀部に密着する領域であるため、密着による汗の吸収や、物理的接触によって冷感又は温感効果を得やすい。そのような端部塗布領域が吸収体よりも長手方向の外側に位置することで、マイクロカプセルから放出された冷感或いは温感成分が吸収され得る要因が少なく、効果を持続させ易い。
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品を包装する包装材を有し、前記包装材は、前記吸収性物品を内包しつつ、第1の折り位置にて、前記包装材の前記長手方向の一端部が前記長手方向の内側に折り畳まれ、第2の折り位置にて、前記包装材の前記長手方向の他端部が、折り畳まれた前記一端部を前記厚さ方向の肌側から覆うように前記長手方向の内側に折り畳まれ、前記包装材の前記一端部は、前記包装材の前記一端部側に位置する前記吸収性物品の前記長手方向の一端部よりも前記長手方向の内側に位置することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、包装材が被っていない吸収性物品の長手方向の一端部は、吸収性物品の装着時に指で触れることが多い部分である。当該一端部には機能性組成物が塗布されており、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易く、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された粘着部を有し、前記粘着部を前記厚さ方向の非肌側から覆う剥離シートが設けられており、前記吸収性物品の前記長手方向の端部には、前記吸収性物品の平面形状における外縁に沿って、前記トップシートと前記バックシートとを接合する接合部が設けられており、前記接合部と、前記端部塗布領域とは、前記厚さ方向に見て重複し、前記接合部の前記長手方向の両端部は、前記剥離シートよりも前記長手方向の外側に位置する部分を有することが望ましい。
このような吸収性物品によれば、剥離シートによって覆われていない接合部の長手方向の両端部(すなわち、吸収性物品の長手方向の両端部)は、吸収性物品の装着時に指で触れることが多い部分である。当該両端部には、機能性組成物が塗布された端部塗布領域が設けられており、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易く、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品の少なくとも前記長手方向又は前記幅方向の端部には、前記吸収性物品の平面形状における外縁に沿って、前記トップシートと前記バックシートとを接合する接合部が設けられており、前記端部塗布領域と前記接合部とは、前記厚さ方向にみて重複する重複部分を有し、平面視において、前記重複部分における前記マイクロカプセルの平均粒径は、前記吸収体塗布領域における前記マイクロカプセルの平均粒径よりも小さいことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、トップシートとバックシートとを厚さ方向に押圧することによって接合部が形成される際に、端部塗布領域に含まれるマイクロカプセルも一緒に押圧されることで、マイクロカプセルが分裂し、当該領域内では、平均粒径が小さくなったマイクロカプセルが複数存在することになる。平均粒径が小さいマイクロカプセルが複数集まる重複領域と、吸収体塗布領域とでは、重複領域の方が肌とマイクロプセルとが接触する合計面積が大きく、冷感又は温感効果を発現し易くなる。そして、吸収体塗布領域においても、体液と接触した際に冷感又は温感効果が発現されるため、効果の持続性も得られる。
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品の少なくとも前記長手方向又は前記幅方向の端部には、前記吸収性物品の平面形状における外縁に沿って、前記トップシートと前記バックシートとを接合する接合部が設けられており、前記接合部の色は、前記吸収性物品の中央部の色よりも濃いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、装着前に、冷感成分或いは温感成分が存在する部分を視認できるようにすることにより、着用者に冷感或いは温感作用を想起させ、体感を早められる。
かかる吸収性物品であって、前記バックシートは、前記厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された複数の粘着部を有し、前記複数の粘着部は、前記幅方向又は前記長手方向に沿って所定の間隔で配置され、前記吸収体の前記幅方向の長さは、70mm以下であり、前記複数の粘着部の前記所定の間隔は、前記吸収体の前記厚さ方向の長さよりも短いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収体の幅方向の長さが短い吸収性物品であるため、装着時に排泄部と接触させつつ、ずれないように下着に固定する複数の粘着部を有している。着用者の動きに追従する力が下着を伝って当該各粘着部にかかっても、吸収体の厚みの方が厚いため、吸収性物品が変形しにくい。よって、身体と密着している状態を維持し易い。
かかる吸収性物品であって、前記吸収性物品の前記長手方向及び前記幅方向の端部には、前記吸収性物品の平面形状における外縁に沿って、前記トップシートと前記バックシートとを接合する接合部が設けられており、前記接合部と、前記帯状塗布領域とは、前記厚さ方向に見て重複する重複部分を有し、前記接合部における前記トップシートの肌側面の平均摩擦係数は、前記吸収体と前記接合部との間における、前記トップシートの肌側面の平均摩擦係数よりも高いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、接合部は、着用者の大腿部、又は、下腹部或いは臀部と接触し易い部分であり、そのような接合部の平均摩擦係数が高いため、肌と接触した際に物理的な摩擦によってマイクロカプセルが崩壊し易く、着用者は冷感又は温感効果を得やすい。
===第1実施形態===
以下、第1実施形態に係る吸収性物品としてパンティーライナー1を例に挙げて実施形態を説明する。但し、上記に限らず、本実施形態の吸収性物品1は、生理用ナプキン、又は軽失禁用パッド等のように、使用者の着衣に固定して使用される物品であればよい。
<吸収性物品1の基本構成>
図1は、第1実施形態におけるパンティーライナー1(以下、ライナー1とも言う)を肌側から見た概略平面図である。図2は、第1実施形態におけるパンティーライナー1を非肌側から見た概略平面図である。図3は、図1のA-A線に沿った概略断面図である。ライナー1は、図1及び図2に示すように、平面視縦長形状のシート状部材であり、互いに交差する長手方向、幅方向、及び厚さ方向を備える。以下の説明において、「長手方向」とは、ライナー1の製品の長手方向を示し、「厚さ方向」とは、ライナー1の製品が有する厚みの方向を示し、「幅方向」とは、長手方向及び厚さ方向に直交する短手方向を示す。なお、長手方向において、ライナー1の使用時における使用者の腹側の方向を「前方」とし、使用者の背側の方向を「後方」とする。また、厚さ方向は、ライナー1の使用時において使用者の肌と接する側となる「肌側」と、その反対側となる「非肌側」とを有する。
図1及乃至図3に示すように、パンティーライナー1は、パルプ繊維等の液体吸収性素材を所定形状に積層してなる吸収体2と、吸収体2よりも厚さ方向の肌側に配置されたトップシート3と、トップシート3の非肌側に配置されたセカンドシート4と、吸収体2よりも厚さ方向の非肌側に配置されたバックシート5とを有した薄厚のシート状部材であり、その平面形状は、例えば略砂時計形状をなしている。そして、これらの各部材2~5は、厚さ方向に隣接する部材とホットメルト接着剤等の接着剤HMAで接合されている。
トップシート3及びセカンドシート4は、体液等の液体を透過させる液透過性のシートであり、エアスルー不織布等を例示できる。バックシート5は、液不透過性のシートであり、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等を例示できる。トップシート3及びバックシート5は、平面サイズが吸収体2よりも大きい。
バックシート5の厚さ方向の非肌側面には、図2及び図3に示すように、接着剤が塗布された粘着部6が幅方向に沿って設けられている。ライナー1の使用時に、粘着部6は下着等の着衣の肌側面に貼り付けられ、これによりライナー1は着衣に固定される。図2では、幅方向に長辺を有する長方形状の複数の粘着部6が長手方向に間隔を空けて並んでいるが、粘着部6の形状や数はこれに限定されない。
吸収体2は、排泄液を吸収して内部に保持する部材であり、図3に示すように、吸収性コア21と、吸収性コア21よりも厚さ方向の非肌側に配置されたカバーシート22とを有している。吸収性コア21を構成する吸収材料としては、液体吸収性繊維であるパルプ繊維、セルロース系吸収性繊維、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物などを使用することができる。吸収性コア21とカバーシート22との間には接着剤HMAが設けられており、本実施形態では、当該接着剤HMAによって吸収性コア21とカバーシート22とが接着されている。なお、必ずしも吸収性コア21とカバーシート22とが直接接着されている必要はなく、吸収性コア21とカバーシート22との間に他のシート部材等が設けられていてもよい。
ライナー1の肌側面には、図1に示すように、複数の線状圧搾部30が設けられている。ライナー1の線状圧搾部30では、図3に示すように、トップシート3、セカンドシート4及び吸収体2が、厚さ方向の肌側から圧搾されて凹んでおり、隣接領域に比べて吸収体2の密度が高くなっている。この複数の線状圧搾部30によって、トップシート3から吸収体2までが厚さ方向の肌側から圧搾(エンボス加工)され、接合一体化されている。複数の線状圧搾部30は、吸収体2の外周縁部に沿って複数連なって形成されていて、これにより、全体として長手方向に長い略環状をなしている。尚、線状圧搾部30は、少なくとも吸収体2が厚さ方向に圧縮されていればよい。
また、ライナー1の肌側面には、複数の点状圧搾部31が設けられている。点状圧搾部31は、線状圧搾部30と同様に、トップシート3、セカンドシート4及び吸収体2が、厚さ方向の肌側から圧搾されて凹んでいる。また、点状圧搾部31は、線状圧搾部30がトップシート3上に区画する略閉じた領域内に離散的に形成されている。この点状圧搾部31は、或る形状及び面積を有して形成される。図1において、点状圧搾部31は円形或いはハート型として示されているが、それらの形状に限られるものではない。
また、ライナー1には、ライナー1の平面形状における外縁に沿って、トップシート3と、セカンドシート4と、バックシート5とを厚さ方向に押圧して接合する接合部40が設けられている。本実施形態では、接合部40は、ライナー1の全周に亘って形成されているが、必ずしも全周に亘って形成されなくてもよく、また、加熱圧着によって形成されてもよい。また、接合部40では、少なくともトップシート3とバックシート5とが接合されていればよい。
<機能性組成物の塗布領域>
図4は、第1実施形態における機能性組成物の塗布領域を説明する図である。尚、図4では、理解しやすくするため、ライナー1に設けられている線状圧搾部30と点状圧搾部31とが省略されている。図5は、図4に示すXの領域の拡大図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態におけるライナー1は、トップシート3とセカンドシート4との間に、着用者に対して冷感又は温感を与える機能性組成物が幅方向に帯状に塗布された帯状塗布領域50を有している。本実施形態では、帯状塗布領域50は、長手方向に間隔を空けて複数本並んでいるが、帯状塗布領域50の形状や数はこれに限定されない。例えば、機能性組成物の塗布領域は、面状、線状、スパイラル状、Z状、線状、ドット状等の形状で配置されてもよい。また、第1実施形態では、全ての帯状塗布領域50がライナー1の幅方向の両端まで到達しているが、全ての帯状塗布領域50が到達していなくてもよい。
第1実施形態における機能性組成物は、冷感成分もしくは温感成分を内包した複数のマイクロカプセルを含んでいる。また、機能性組成物は、冷感成分若しくは温感成分をマイクロカプセルに内包させたまま保持する溶媒を含んでいてもよい。尚、機能性組成物は、冷感若しくは温感成分だけでなく、芳香機能、消臭機能、スキンケア機能、並びにそれらの任意の組み合わせから成る機能等を有する機能性成分を含むことができる。尚、マイクロカプセルの詳細については後述する。
また、本実施形態のライナー1では、帯状塗布領域50をトップシート3とセカンドシート4との間に配置することにより、すなわち、着用者の肌に近い場所に形成することにより、着用者が冷感或いは温感を実感し易くしている。また、帯状塗布領域50を着用者の肌から遠い場所に形成することにより、着用者が冷感或いは温感を長時間実感することもができるため、帯状塗布領域50は、少なくともバックシート5よりも厚さ方向の肌側に配置されていればよい。
<冷感成分>
上記冷感成分としては、当技術分野で冷感剤として知られているものが挙げられる。冷感剤は、揮発性の物質であり、例えば、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するものであってよい。このような冷感剤として、例えば、メントール及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル)、サリチル酸メチル、カンファー、キュウリエキス、植物(例えば、ミント、ユーカリ、ナツメグ)由来の精油等が挙げられる。また、冷感剤は、気化熱により周囲の温度を下げるものであってもよい。このような冷感剤として、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。
<温感成分>
着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために、機能性組成物は、冷感成分の代わりに温感成分(温感剤)を含有することができる。温感剤は、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、揮発性の物質である溶媒と混合された状態で備えられる。
上記温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン(LD50:47mg/kg,分子量:305)、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル(LD50:2,188mg/kg,分子量:213)、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル(LD50:4,900mg/kg,分子量:210)、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール(LD50:250mg/kg,分子量:294)、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油(例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル等)、炭化水素(例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン)等が挙げられる。親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
なお、温感剤は、温度感受性TRPチャネルを刺激するものが好ましい。例えば、温度感受性TRPチャネルの1つであるTRPV1は、カプサイシン、酸等の刺激により活性化される。そして、着用者のTRPV1が活性化されると、交換神経系を介して産熱が引き起こされる(着用者が体内で熱を作り出す)。つまり、携帯用使い捨てカイロのようにそれ自身が高温になって着用者を温めるのではなく、カプサイシン等のようにそれ自身が高温になることなく着用者を温めるのがよい。そうすると、着用者は、低温火傷や火傷することなく、冷たさや温かさを感じることができる。
<マイクロカプセル>
本明細書において、マイクロカプセルは、直径1~1,000μmの大きさを有し、芯材(冷感成分又は温感成分)を内包する空間を有するカプセルを意味する。上記カプセルは、芯材を内包し且つ芯材の放出を制御することができるものであれば、その外観形状は特に制限されず、例えば、球形、不定形等の外観形状が挙げられる。また、上記カプセルは、芯材を保持する空間を1つ有する単核型、芯材を保持する空間を複数有する多核型、又は、粒子内部に微粒子状の芯物質が分散する構造、或いは液体状の芯物質が含浸する構造のマトリックス型であることができる。上記空間の形状としては、球形、不定形等の空間形状が挙げられる。
マイクロカプセルにおいては、芯材を内包(或いは含有)する膜材(壁材)が物理的な刺激若しくは化学的な刺激によって変化し、内包(或いは含有)する成分を放出させる。物理的な刺激としては、例えば、熱、物理的圧力、物理的衝撃、振動、光などをマイクロカプセルの壁材に与えることが挙げられる。化学的な刺激としては、例えば、体液等の液体(水溶液)とマイクロカプセルの壁材との接触などが挙げられる。
これらの物理的又は化学的な刺激をマイクロカプセルの壁材に与えることによって、壁材の劣化、変性、柔軟化、多孔化、溶解、崩壊又は分解等を起こすことができる。この結果、マイクロカプセル内の芯材の放出を開始させるか、又は、刺激前に徐々に放出していた場合には、その放出の程度を促進させることができる。
例えば、マイクロカプセルが水崩壊性である場合、体液等の液体と接することにより、内包する冷感成分もしくは温感成分を放出する程度に崩壊する性質を意味する。具体的には、マイクロカプセルの壁材が水に溶解して崩壊する場合、マイクロカプセルが液体と接触すると、マイクロカプセルが水に膨潤してその強度が低下し、マイクロカプセルが破壊されることにより崩壊する場合等が挙げられる。
本開示のライナー1において、マイクロカプセルが水に溶解することにより崩壊する場合には、マイクロカプセルは、25℃において、水100gに対して、好ましくは10~300g、より好ましくは20~200g、そしてさらに好ましくは30~100gの範囲の水溶解度を有する。上記水溶解度は、試験温度を25℃にした以外は、OECDガイドラインNo.105フラスコ法に従って測定される。
上記マイクロカプセルは、当該マイクロカプセルの分散媒である溶媒に不溶であることが好ましく、そして当該マイクロカプセルの分散媒である溶媒に膨潤しないことが好ましい。内包する冷感或いは温感成分の保護の観点からである。
例えば、上記マイクロカプセルは、25℃において、マイクロカプセルの分散媒である溶媒100gに対して、好ましくは1.0g以下、より好ましくは0.5g以下、そしてさらに好ましくは0.1g以下の溶媒溶解度を有する。
上記溶媒溶解度は、25℃において、100gの溶媒に、1.0g(0.5g,0.1g)の試料を添加し、24時間静置し、必要に応じて軽く攪拌し、次いで、試料が溶解したか否か目視で評価することにより評価する。
水崩壊性のマイクロカプセルの素材としては、例えば、糖類、例えば、単糖類(例えば、ブドウ糖)、二糖類(例えば、ショ糖)、多糖類(例えば、デキストリン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、水溶性でんぷん等)、ゼラチン、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等)等が挙げられる。
上記マイクロカプセルは市販されており、例えば、Symrise社から市販される、INCAP(商標)等が挙げられる。
また、上記マイクロカプセルは、水にマイクロカプセルの素材を溶解させて水溶液を形成し、当該水溶液に冷感成分若しくは温感成分及び界面活性剤を混合し、上記水溶液をスプレーしながら減圧乾燥することにより製造することができる。
上述のマイクロカプセルの分散媒である溶媒としては、冷感或いは温感成分をマイクロカプセルに内包させたまま保持するものであること、すなわち、マイクロカプセルを溶解又は膨潤させないものであることが好ましい。そのような溶媒については、日本国特許公開公報2016-13154号を参照することができる。
機能性組成物の塗布領域を目視で確認する方法の一例として、マイクロカプセルが水溶性でんぷんから形成されている場合には、ヨウ素等によって塗布領域を着色することができる。
また、機能性組成物に含有されるマイクロカプセルは、シクロデキストリンを用いて形成されてもよい。シクロデキストリンは、サイクロデキストリンまたは環状オリゴ糖とも呼ばれ、ゲストとして分子(ここでは、冷感成分又は温感成分)を空洞に取り込み(包接し)、取り込んだゲスト分子を放出(徐放)する性能を有する。また、シクロデキストリンは、水(汗等)と接触して機能を発揮する物質、または水を介した反応により機能を発揮する物質である。
シクロデキストリンは、α―シクロデキストリンや、β―シクロデキストリンなどの任意の種類のものであってよい。
そして、冷感成分又は温感成分を包接したシクロデキストリンの徐放効果により、冷感効果又は温感効果を長時間維持することができる。また、シクロデキストリンに包接されている冷感成分又は温感成分は、水分により放出されるため、ライナー1に体液が付着したときに、より多くの冷感成分又は温感成分を解放する。
また、マイクロカプセルの素材(壁材)として、ウレタン樹脂やメラミン樹脂等を使用することもできる。ウレタン樹脂によって形成されたマイクロカプセルは、擦るなどの物理的な刺激によって壁材が破壊され、マイクロカプセル内から冷感又は温感成分が放出される。
上述のように、マイクロカプセルを含有した組成物を吸収性物品に塗布することによって、又は、冷感剤或いは温感剤を吸収性物品に直接塗布する等によって、着用者に冷感或いは温感効果を与えることができる。そして、冷感或いは温感効果を提供するだけでなく、効果の持続性を高めることが求められる。
この点、本実施形態において、ライナー1は次のような構成を有している。機能性組成物が塗布されている帯状塗布領域50のうち、ライナー1の幅方向の両端部に位置する領域を端部塗布領域50e(図5)とし、ライナー1の吸収体2の幅方向の両端部に位置する領域を吸収体塗布領域50c(図5)とすると、端部塗布領域50eの長手方向の最大長さL1は、吸収体塗布領域50cの長手方向の最大長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。ここで、端部塗布領域50eとは、ライナー1の幅方向の端から、幅方向において2mmの幅を有する部分をいう。そして、吸収体塗布領域50cは、吸収体2の幅方向の端から、幅方向において2mmの幅を有する部分をいう。そして、第1実施形態のライナー1では、ライナー1の平面形状における外縁に沿って、トップシート3と、セカンドシート4と、バックシート5とを厚さ方向に押圧して接合した接合部40が設けられており、トップシート3とセカンドシート4との間に設けられた帯状塗布領域50も同様に押圧される。その押圧により、接合部40と帯状塗布領域50とが重なる領域に位置する端部塗布領域50eでは、長手方向の幅(長さ)が吸収体塗布領域50cと比較して、長手方向に広がっている。
ライナー1の幅方向の端部(すなわち、端部塗布領域50e)は、着用者の大腿部と接し易い部分である。また、ライナー1の幅方向の端部は、幅方向において吸収体2が存在する領域(すなわち、吸収体塗布領域50cを含む)と比較して汗をかきやすい部分でもある。そのような幅方向の端部に設けられる端部塗布領域50eでは、化学的な刺激である汗(水分)との反応、もしくは、擦れることによる物理的な刺激により端部塗布領域50e内のマイクロカプセルが崩壊(或いは、溶解)し、マイクロカプセルから冷感もしくは温感成分が放出される(シクロデキストリンから成る場合は、成分がマイクロカプセルから解離して放出される)。そして、その端部塗布領域50eの長手方向の最大長さL1が吸収体塗布領域50cの長手方向の最大長さL2よりも長いことから、端部塗布領域50eは、汗との反応や物理的接触による作用を引き出す部分が多く、装着からより短時間で冷感もしくは温感成分を放出することができる。そのようにして放出された成分が揮発し、着用者は、装着後の早い段階から冷感又は温感効果を実感できる。
また、ライナー1の幅方向において吸収体2が存在する領域にも帯状塗布領域50が存在するため、体液排出後にも体液に反応して放出された冷感成分或いは温感成分により、冷感(温感)効果を実感でき、効果の持続性の向上を図ることが可能である。また、吸収体2が存在する部分において、帯状塗布領域50の長手方向の幅(長さ)が必要以上に広くならないことで、体液の吸収性を阻害しないという利点もある。
また、上述のように、端部塗布領域50eと接合部40とは、厚さ方向にみて重複する重複部分を有している。尚、第1実施形態においては、端部塗布領域50eはいずれも接合部40と厚さ方向にみて重複しているため、ここでは端部塗布領域50e全域が重複部分である。
図5には、端部塗布領域50e及び吸収体塗布領域50cの一部を拡大することによって、含有されている各マイクロカプセルの状態が概略的に示されている。ここで、吸収体塗布領域50cにおける複数のマイクロカプセルの各粒径R1から算出した平均粒径RA1と、上記重複部分(端部塗布領域50e)における複数のマイクロカプセルの各粒径R2から算出した平均粒径RA2とを比較すると、平面視において、上記重複部分におけるマイクロカプセルの平均粒径RA2は、吸収体塗布領域50cにおけるマイクロカプセルの平均粒径RA1よりも小さい(RA1>RA2)。
尚、各マイクロカプセルの粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)等を用いて測定することができる。端部塗布領域50e(重複部分)及び吸収体塗布領域50cのそれぞれにおいて、複数個(例えば20個ずつ)のマイクロカプセルの粒径R1及びR2を測定し、その平均値を平均粒径(RA1、RA2)とする。
上記重複部分において、少なくともトップシート3とバックシート5とを厚さ方向に押圧することによって接合部40が形成される際、端部塗布領域50eに含まれる複数のマイクロカプセルも一緒に押圧されることで、各マイクロカプセルが分裂し、端部塗布領域50e内では、粒径が小さくなったマイクロカプセルが複数存在することになる。平均粒径が小さいマイクロカプセルが複数集まる上記重複領域(端部塗布領域50e)と、ライナー1の吸収体塗布領域50cとでは、粒径が小さいマイクロカプセルが集まる重複領域(端部塗布領域50e)の方が肌とマイクロプセルとが接触する合計面積が大きい。接触する面積が大きいことで、端部塗布領域50eは、汗との反応、或いは物理的刺激を受ける機会が増え、冷感又は温感効果を発現し易くなる。そして、吸収体塗布領域50cにおいても、体液と接触した際に冷感又は温感効果が発現されるため、効果の持続性も得られる。
また、図2及び図4に示すように、バックシート5は、厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された粘着部6を有し、端部塗布領域50eは、粘着部6の幅方向の両端6Seよりも幅方向の外側に位置している。粘着部6の幅方向の両端6Seよりも外側に位置する端部塗布領域50eは、元々着用者の大腿部と擦れ易い部分であり、また汗を吸収することが多い。そのような物理的な刺激若しくは化学的な刺激により、マイクロカプセルから冷感又は温感成分が放出され、より短時間で冷感又は温感効果を発現させることができる。
また、図4に示すように、端部塗布領域50eは、吸収体2の幅方向の両端2Seよりも幅方向の外側に位置している。このように、吸収体2の幅方向の両端2Seよりも外側に位置する端部塗布領域50eは、着用者の大腿部と擦れ易い部分であることから、物理的な刺激若しくは汗などの化学的な刺激を受ける機会が多く、より短時間で冷感又は温感効果を発現させることができる。また、吸収体2の幅方向の両端2Seよりも外側に端部塗布領域50eがあることで、放出された冷感或いは温感成分が吸収され得る要因が少なく、冷感(温感)効果を持続させ易い。
また、ライナー1の平面形状における外縁に沿って設けられる接合部40において、当該接合部40の色は、ライナー1の中央部(吸収体2が配置されている部分)の色よりも濃いことが望ましい。例えば、冷感成分を含有する機能性組成物が塗布されたライナー1の場合、接合部40の色を濃い水色、接合部40よりも幅方向の内側、すなわち、吸収体2が配置されている部分の色が薄い水色、或いは白などであった場合、接合部40が目立つ構成となる。それにより、装着前に、冷感成分が存在する部分を視認できるようになり、着用者に冷感作用(温感成分が含有されている場合は温感作用)を想起させ、着用者の体感を早められる。尚、ここで言う色の「濃い」及び「薄い」は、2つの領域の色の色差を肉眼で視認できる程度の色の違いのことである。2つの領域の濃度の比較は周知の方法で行うとよい。例えば、測色器(コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-300等)を用いて、2つの領域(接合部40及びライナー1の中央部)の「色差」を測定することができる。
図6は、図4に示すライナー1の一部を拡大し、粘着部6との位置関係を説明する図である。具体的には、ライナー1の長手方向の一方側を拡大して示し、ライナー1を厚さ方向の肌側から見た際に、バックシート5に設けられている粘着部6の位置が理解し易いように、粘着部6を実線で示している。第1実施形態における粘着部6は、幅方向に沿って、長手方向に所定の間隔(図2のS1)で並んで配置されている。帯状塗布領域50も、同様に、幅方向に沿って、長手方向に間隔を空けて複数設けられている。図6に示すように、ライナー1は、複数の帯状塗布領域50と、複数の粘着部6とが厚さ方向に見て重複する重複領域6pと、重複しない非重複領域6nとを有している。重複領域6pは、帯状塗布領域50が存在することから、機能性組成物が塗布されている領域である。反対に、非重複領域6nは、機能性組成物が塗布されていない領域である。よって、重複領域6pと非重複領域6nとでは、機能性組成物の身体への接触状態が異なることから、冷感成分或いは温感成分の発現時間が異なる。すなわち、重複領域6pでは、体液による化学的刺激が冷感或いは温感成分を放出させるため、冷感又は温感作用が発現しやすい。非重複領域6nは、機能性組成物が直接塗布されている領域ではないが、重複領域6pから放出された冷感又は温感成分が揮発して非重複領域6nにも移動し、時間をかけて冷感又は温感作用を発現し続けるため、冷感或いは温感効果の持続性の向上を図ることができる。
また、図6に示すように、複数の帯状塗布領域50の長手方向のそれぞれの長さL3は、複数の粘着部6の長手方向のそれぞれの長さL4よりも短い(L3<L4)。各帯状塗布領域50の太さ(長さL3)と各粘着部6の太さ(長さL4)が異なることにより、長手方向に帯状塗布領域50と粘着部6とを並んで設けたときに、重複領域6pと非重複領域6nが形成される。そのような重複領域6pと非重複領域6nとによって、上述したように、ライナー1の冷感或いは温感効果の持続性の向上を図ることができる。
また、ライナー1は、バックシート5の複数の粘着部6を厚さ方向の非肌側から覆う剥離シート(不図示、後述の剥離シート7(図9)に相当)が設けられている。剥離シートの幅方向の端は、各粘着部6の幅方向の端を覆う位置まで延在していればよい。そして、ライナー1の幅方向の両端部には接合部40(図1、図2等)が設けられており、当該接合部40の幅方向の両端部40Se(図2)は、剥離シートよりも幅方向の外側に位置する部分を有している。また、ライナー1の吸収体2の幅方向の長さ(幅)は、70mm以下が好ましく、ライナー1の長手方向の長さは、14cm~17.5cmの範囲内にあることが好ましい。そのようなライナー1は、通常の生理用ナプキン等と比較して全体の大きさが小さく、剥離シートを長手方向に沿ってだけでなく、幅方向に沿って剥がすことも考えられる。その場合、当該両端部40Se(すなわち、ライナー1の幅方向の両端部)は、ライナー1の装着時に指で触れることが多い部分である。両端部40Seには、図4に示すように、端部塗布領域50eが設けられており(すなわち、接合部40の両端部40Seと、端部塗布領域50eとは厚さ方向に見て重複し)、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易い。それにより、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
また、ライナー1の吸収体2の幅方向の長さ(幅)は、70mm以下が好ましい。そして、図2に示すように、バックシート5に設けられた複数の粘着部6は、幅方向に沿って所定の間隔S1で配置されている。好ましくは、複数の粘着部6の上記所定の間隔S1は、吸収体2の厚さ方向の長さ(厚み)よりも短い。
なお、本明細書における「厚み」は、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)等を用いて測定できる。その場合、ライナー1(吸収性物品)を包装状態から取り出し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、一時間経過させる。測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分から吸収体2を取り除く。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。
ライナー1は、吸収体2の幅方向の長さ(幅)が短い吸収性物品であるため、装着時に着用者の排泄部と接触させつつ、ずれないように下着に固定できるように、複数の粘着部6を有している。そして、着用者の動きに追従する力が下着を伝って当該各粘着部6にかかっても、吸収体2の厚みの方が厚いため、ライナー1が変形しにくい。それにより、ライナー1が身体と密着している状態を維持し易い。
また、ライナー1の平面形状における外縁に沿って、少なくともトップシート3とバックシート5とを接合する接合部40が設けられているが、図4に示すように、接合部40と、帯状塗布領域50とは、厚さ方向に見て重複する重複部分40pを有している。そして、接合部40におけるトップシート3の肌側面の平均摩擦係数は、吸収体2と接合部40との間の部分zmにおける、トップシート3の肌側面の平均摩擦係数よりも高くなっている。平均摩擦係数は、接合部40及び上記部分zmそれぞれにおけるトップシート3の肌側面の風合いを示す指標であり、値が高い(大きい)程表面の抵抗感が大きくなることを示す。抵抗感が大きくなることは、物理的な刺激を得やすい領域であること意味する。
尚、摩擦係数の測定は、例えば、カトーテック株式会社製のKES-FB4を用いて測定することができる。接合部40は、上述の重複部分40pを有し、そして、着用者の大腿部、又は、下腹部或いは臀部と接触し易い部分である。そのような接合部40の平均摩擦係数が高いことから、重複部分40pにおいては、着用者の肌と接触した際に物理的な刺激によってマイクロカプセルが崩壊し易く、着用者は冷感又は温感効果を得やすい。
===第2実施形態===
次に、図7~図9に基づいて、第2実施形態に係るライナー1について説明する。尚、以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。第2実施形態に係るライナー1は、機能性組成物が長手方向に帯状に塗布されている点で異なる。
図7は、第2実施形態における機能性組成物の塗布領域を説明する図である。尚、図7では、理解しやすくするため、ライナー1に設けられている線状圧搾部30と点状圧搾部31とが省略されている。図8は、図7に示すX’の領域の拡大図である。図9は、第2実施形態におけるパンティーライナー1を非肌側から見た概略平面図である。
図7に示すように、第2実施形態のライナー1は、冷感成分もしくは温感成分を内包した複数のマイクロカプセルを含有する機能性組成物が長手方向に帯状に塗布された帯状塗布領域50’を有している。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、帯状塗布領域50’をトップシート3とセカンドシート4との間に配置しているが、少なくともバックシート5よりも厚さ方向の肌側に配置されていればよい。帯状塗布領域50’を着用者の肌から遠い場所に形成することにより、着用者が冷感或いは温感を長時間実感することも可能になる。
第2実施形態では、帯状塗布領域50’は、幅方向に間隔を空けて複数本並んでいるが、帯状塗布領域50’の形状や数はこれに限定されない。例えば、機能性組成物の塗布領域は、面状、線状、スパイラル状、Z状、線状、ドット状等の形状で配置されてもよい。また、第2実施形態では、全ての帯状塗布領域50’がライナー1の長手方向の両端まで到達しているが、全ての帯状塗布領域50’が到達していなくてもよい。
図8に示すように、機能性組成物が塗布されている帯状塗布領域50’のうち、ライナー1の長手方向の両端部に位置する領域を端部塗布領域50e’とし、ライナー1の長手方向の中央部に位置する領域を吸収体塗布領域50c’とすると、端部塗布領域50e’の幅方向の最大長さL5は、吸収体塗布領域50c’の幅方向の最大長さL6よりも長くなっている(L5>L6)。ここで、端部塗布領域50e’は、ライナー1の長手方向の端から、長手方向において2mm内側の部分をいう。そして、吸収体塗布領域50c’は、吸収体2の長手方向の端から、長手方向において2mm内側の部分をいう。第2実施形態のライナー1においても、ライナー1の平面形状における外縁に沿って、トップシート3と、セカンドシート4と、バックシート5とを厚さ方向に押圧して接合した接合部40が設けられており、トップシート3とセカンドシート4との間に設けられた帯状塗布領域50’も同様に押圧される。その押圧により、接合部40と帯状塗布領域50’とが重なる領域に位置する端部塗布領域50e’では、幅方向の長さが、吸収体塗布領域50c’と比較して、幅方向に広がっている。
ライナー1の長手方向の両端部において、前方は着用者の下腹部と接し易く、後方は臀部と接し易い。また、当該両端部は、ライナー1の中央部(すなわち、吸収体塗布領域50c’)等と比較して汗をかきやすい部分でもある。そのような端部に設けられる端部塗布領域50e’では、汗などによる化学的な刺激、もしくは、擦れることによる物理的な刺激によりマイクロカプセルから冷感もしくは温感成分が放出される。そして、その端部塗布領域50e’の幅方向の最大長さL5が吸収体塗布領域50c’の幅方向の最大長さL6よりも長いことから(すなわち、幅が広いことから)、端部塗布領域50e’は、汗との反応や物理的接触による作用を引き出す部分が多く、装着からより短時間で冷感もしくは温感成分を放出することができる。そのようにして放出された成分が揮発し、着用者は、装着後の早い段階から冷感又は温感効果を実感できる。また、ライナー1の長手方向の中央側(つまり、吸収体2が存在する部分)にも帯状塗布領域50’が存在するため、体液排出後にも体液に反応して冷感成分或いは温感成分が放出される。それにより、冷感(温感)効果を実感でき、効果の持続性を向上させることができる。また、吸収体2が存在する部分において、機能性組成物が塗布された帯状塗布領域50の幅方向の長さ(幅)が必要以上に広くならないことで、体液の吸収性を阻害しないという利点もある。
また、図8の一部を拡大して各マイクロカプセルの状態を示すように、第2実施形態においても、端部塗布領域50e’と接合部40との重複部分のマイクロカプセルの各粒径R2から算出する平均粒径RA2は、吸収体塗布領域50c’のマイクロカプセルの各粒径R1から算出する平均粒径RA1よりも小さくなっている(RA1>RA2)。この詳細は、第1実施形態と同様である。
また、図9に示すように、バックシート5は、厚さ方向の非肌側面に接着剤が塗布された粘着部6’を有している。第2実施形態では、粘着部6’は、長手方向に沿って設けられている。そして、端部塗布領域50e’は、ライナー1の長手方向の両端部に設けられているため(図7)、粘着部6’の長手方向の両端6Le(図9)よりも長手方向の外側に位置している。ライナー1は、粘着部6’が下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、着衣に固定されるものである。粘着部6’が配置されている部分は、固定された下着の動きに追従し易いが、当該粘着部6’よりも長手方向の外側に位置する端部塗布領域50e’は着用者の肌に密着したまま、着用者の腹部の呼吸に対応する動きや臀部の動きに追従して、肌と接触する機会が多くなる。そのような密着による汗の吸収や、物理的接触によって、マイクロカプセルから冷感又は温感成分が放出され易くなり、着用者は、冷感又は温感効果を得やすくなる。
さらに、端部塗布領域50e’は、図7に示すように、吸収体2の長手方向の両端2Leよりも長手方向の外側に位置している。上述したように、端部塗布領域50eは、動きの多い着用者の腹部や臀部に密着する領域であるため、密着による汗の吸収や、物理的接触によって冷感又は温感効果を得やすい。そのような端部塗布領域50eが吸収体2よりも長手方向の外側に位置することで、マイクロカプセルから放出された冷感或いは温感成分が吸収され得る要因が少なく、冷感若しくは温感効果を持続させ易い。
また、図9に示すように、バックシート5に設けられた複数の粘着部6’は、長手方向に沿って所定の間隔S2で配置されている。好ましくは、上述の第1実施形態と同様に、複数の粘着部6’の上記所定の間隔S2は、吸収体2の厚さ方向の長さ(厚み)よりも短い。ライナー1は、吸収体2の幅方向の長さ(幅)が短い吸収性物品であるため、装着時に着用者の排泄部と接触させつつ、ずれないように下着に固定するために複数の粘着部6’を有している。そして、着用者の動きに追従する力が下着を伝って当該各粘着部6’にかかっても、吸収体2の厚みの方が厚いため、ライナー1が変形しにくい。それにより、ライナー1が身体と密着している状態を維持し易い。なお、ここでの吸収体2の「厚み」は、第1実施形態と同様の方法で測定可能である。
図10は、第2実施形態における、包装材60を有する展開状態のライナー1を肌側から見た概略平面図である。図11は、図10のライナー1を包装した状態の概略平面図である。図10に示すように、包装材60は、ライナー1を個別に包装するシート状の包装部材であり、ライナー1の使用時には取り外される部材である。包装材60の材料としては、例えば、プラスチックフィルム、ナイロンフィルム等の各種フィルムや、不織布、不織布をラミネート加工したフィルム等を用いることができるが、ライナー1は機能性組成物を備えているため、冷感(温感)成分の揮発を防ぐことができる素材(フィルム層)を用いることが好ましい。
ライナー1は、バックシート5の粘着部6’を厚さ方向の非肌側から覆う剥離シート7が設けられており、剥離シート7と包装材60とが弱い接着力によって接着部65で接着されて取り付けられている。包装材60は、ライナー1を内包しつつ、第1の折り位置FL1にて、包装材60の長手方向の一端部60e1が長手方向の内側に折り畳まれ、第2の折り位置FL2にて、包装材60の長手方向の他端部60e2が、折り畳まれた上記一端部60e1を厚さ方向の肌側から覆うように長手方向の内側に折り畳まれることで三つ折りにされる。ライナー1とともに折り畳まれた包装材60は、幅方向における端部61が長手方向に沿って接着されて封止され、図11に示す個別に包装された状態となる。
そして、図10に示すように、包装材60の一端部60e1は、包装材60の当該一端部60e1側に位置するライナー1の長手方向の一端部1enよりも長手方向の内側に位置している。包装材60が被っていないライナー1の長手方向の一端部1enは、ライナー1の装着時に指で触れることが多い部分である。当該一端部1enには、図7に示すように、機能性組成物が塗布されており、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易く、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
また、図9に示すように、接合部40の長手方向の両端部40Leは、剥離シート7よりも長手方向の外側に位置する部分を有している。剥離シート7によって覆われていない接合部40の長手方向の両端部40Le(すなわち、ライナー1の長手方向の両端部)は、ライナー1の装着時に指で触れることが多い部分である。当該両端部40Leには、図7に示すように、端部塗布領域50e’が設けられており(すなわち、両端部40Seと、端部塗布領域50eとは厚さ方向に見て重複し)、指で触れた際に冷たさ又は暖かさを直接感じ易い。それにより、冷感或いは温感作用の存在を着用前から着用者に意識させることができる。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
上述の第1及び第2実施形態では、各帯状塗布領域50において、幅方向或いは長手方向に沿って機能性組成物が連続的に塗布されていたが、これに限らない。機能性組成物は、間欠的に塗布されていてもよい。