以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
(エスカレータの構成例)
図1は、実施形態にかかるエスカレータ1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、複数の踏段100、欄干パネル101、手摺りベルト102、乗降口103、乗降板104、スカートガードパネル105、インナーデッキ106、アウターデッキ107、及びインレット108を備える。
複数の踏段100は無端状に連結されている。各々の踏段100は、例えばアルミダイカストから形成され、設定された傾斜角度を有して図示しないトラスによって支持されている。また、各々の踏段100は、図示しない駆動モータにより、上下階における乗降口103間の階段状の乗り台として循環移動する。すなわち、各々の踏段100は、上階の乗降口103と下階の乗降口103との間を周回しながら移動する。これにより、各々の踏段100は、エスカレータ1の利用者の足場となる。
欄干パネル101は、エスカレータ1の幅方向において、複数の踏段100の両側に設置されている。つまり、1対の欄干パネル101が、複数の踏段100を挟んで対向して設置されている。欄干パネル101は、例えば透明のガラスやアクリルなどによって形成されている。
手摺りベルト102は、エスカレータ1に乗っている際に利用者が手を掛けることができるよう構成されている。手摺りベルト102は、無端状のベルトであり、1対の欄干パネル101のそれぞれの周縁部に移動可能に巻き付けられている。手摺りベルト102は、図示しない駆動モータにより各々の踏段100の移動に同期して移動する。手摺りベルト102は、例えばゴムなどで形成されている。
乗降板104は、上下階に位置する乗降口103にそれぞれ設けられている。乗降板104は、利用者がエスカレータ1に乗降する際の足場となるほか、取り外し可能に設置されている。乗降板104の踏段100に面する端部にはコムプレート104cが設けられている。乗降板104の下には、駆動モータ及び折り畳まれた踏段100等が格納される。
つまり、上下階の間で階段状に並ぶ複数の踏段100は、上下階の乗降板104の近傍では互いに略水平となり、入口側の乗降板104下方から引き出され、出口側の乗降板104下方へと引き込まれる。
スカートガードパネル105は、複数の踏段100の幅方向両端部の近傍で、エスカレータ1の延伸方向に延びる。スカートガードパネル105は、上下階の乗降口103近傍に設置される2対の先端パネル105fと、上下階の先端パネル105fの間に設置される複数の中間パネル105mとによって構成されている。
すなわち、1対の先端パネル105fは、上階の乗降板104近傍に踏段100を挟んで対向して設置される。これらの先端パネル105fは、複数の踏段100の移動方向において、コムプレート104cの前後に跨る位置に設置されている。
また、もう1対の先端パネル105fは、下階の乗降板104近傍に踏段100を挟んで対向して設置される。これらの先端パネル105fは、複数の踏段100の移動方向において、コムプレート104cの前後に跨る位置に設置されている。
これらの2対の先端パネル105fのうち、少なくともエスカレータ1の出口側の1対には、1対の安全装置としての板状部材200が踏段100を挟んで対向するように固定されている。ただし、板状部材200の大部分は踏段100よりも低い位置に隠れている。板状部材200の詳細の構成については後述する。
複数の踏段100の幅方向片側の上下階に設置される先端パネル105fの間には、これらを接続するように複数の中間パネル105mが配列されている。また、複数の踏段100の幅方向もう一方側の上下階に設置される先端パネル105fの間にも、これらを接続するように複数の中間パネル105mが配列されている。
インナーデッキ106は、スカートガードパネル105の上端部を覆う。アウターデッキ107は、欄干パネル101を挟んでインナーデッキ106に隣接して設置されている。スカートガードパネル105、インナーデッキ106、及びアウターデッキ107等で囲われた空間内には、例えば図示しない操作盤に接続される機器およびその他の配電機器等が収納されている。
インレット108は、上下階の乗降口103近傍に、それぞれの先端パネル105fに接続されるように設置される。上下階の乗降口103のうち、入口側に設置される1対のインレット108からは、それぞれの手摺りベルト102が繰り出される。また、上下階の乗降口103のうち、出口側に設置される1対のインレット108には、それぞれの手摺りベルト102が繰り込まれる。
図2は、実施形態にかかるエスカレータ1の踏段100及びコムプレート104cの詳細構成の一例を示す図である。図2(a)は正面から見た踏段100及びコムプレート104cの模式図であり、図2(b)は踏段100及びコムプレート104cの上面図である。
図2に示すように、踏段100は、踏み面に凹凸状の踏段クリート110cを備える。この場合、踏段クリート110cの凸部上端が踏段100の実質的な上面にあたる。踏み面が凹凸状に構成されることで、利用者が足を滑らせたりすることを抑制することができる。
また、踏段100は、幅方向の両端部にデマケーションクリート110dを備える。デマケーションクリート110dは、例えば黄色等の目を引く着色がなされており、利用者が踏段100両端部に近付きすぎないように注意を促す。図2の例のように、デマケーションクリート110dが、踏段100の上面にあたる踏段クリート110cの凸部上端よりも上方に突出していてもよい。
コムプレート104cは、踏段100と対向する端面に櫛歯114c,114dを備える。櫛歯114cは、踏段100の踏段クリート110cと若干の隙間を保って、踏段クリート110cの凹部に組み合わさるように設置される。櫛歯114dは、踏段100のデマケーションクリート110dと若干の隙間を保って、デマケーションクリート110d凹部に組み合わさるように設置される。
櫛歯114dの踏段100と対向する先端部分は、櫛歯114cの踏段100と対向する先端部分よりも、踏段100側から後退している。また、例えば踏段100の上面から突出するデマケーションクリート110dの高さに合わせ、櫛歯114dは全体的に櫛歯114cよりも高い位置に配置される。
踏段100及びコムプレート104cの幅方向の両端部外側には、スカートガードパネル105の先端パネル105fが設置されている。先端パネル105fは、踏段100及びコムプレート104cとの間に所定の隙間を有している。
コムプレート104cに対して踏段100側であって、先端パネル105fと踏段100との隙間には、先端パネル105fに固定されて板状部材200が設置されている。板状部材200は、例えば先端パネル105fと踏段100との隙間の1/2以上の板厚を有する。一例として、先端パネル105fと踏段100との隙間は数mm程度であって例えば4mm弱とすることができ、板状部材200の板厚は例えば1mm以上であってよい。
(板状部材の構成例)
次に、図3及び図4を用いて、エスカレータ1の先端パネル105fが有する板状部材200の詳細の構成例について説明する。図3は、実施形態にかかるスカートガードパネル105の先端パネル105fを含む斜視図である。
図3において、板状部材200を有する先端パネル105f、先端パネル105fの上端部を覆うインナーデッキ106、及び先端パネル105fに接続されるインレット部品108aを実線で示す。インナーデッキ106に並んで設置されるアウターデッキ107、及びインレット部品108aと組み合わされてインレット108を構成するインレット部品108bを破線で示す。
図3に示すように、先端パネル105fは、略矩形状の平板の一部に切り欠き部105nが設けられ、インレット部品108aに接続される側の側端部下方が階段状に切り取られた形状を有する。
上述のように、上下階の乗降口103近傍に設置される2対の先端パネル105fのうち、少なくとも出口側の1対の先端パネル105fの踏段100と対向する側面には、それぞれ板状部材200が固定されている。
安全装置としての板状部材200は、例えばステンレス等の金属製、または樹脂製である。ただし、所定の強度を備え、先端パネル105fの側面に固定することが可能であれば、板状部材200の材質は任意である。板状部材200が例えばステンレス製等である場合、板状部材200は例えばスポット溶接等によって先端パネル105fに固定されている。
板状部材200は、梁部201、側端部202c,202s、切り欠き部203、下端部204、掃き出し部205、及び頸部206を備える。
板状部材200の下端部204は、略水平方向に延びる平坦面となっている。下端部204は、先端パネル105fの下端部と重なる位置に固定されている。
板状部材200の第1の側端部としての側端部202cは、インレット部品108a側、つまり、コムプレート104cが配置される側の端部である。側端部202cには、下方部分が略L字型に切り取られた切り欠き部203が設けられている。L字型の垂直部分を構成する切り欠き部203の端面は、先端パネル105fの階段状の切り欠き部105nの垂直に延びる部分と重なる位置に固定されている。
側端部202cに設けられた切り欠き部203によって、板状部材200は、コムプレート104cが配置される側へと突き出した掃き出し部205、及び掃き出し部205と板状部材200の本体とを接続するように細く延びる頸部206を有する。
第2の側端部としての側端部202sは、側端部202cの反対側、つまり、コムプレート104cとは反対側の端部である。側端部202sは、先端パネル105fの中間パネル105mと接続される側の側端部と重なる位置に固定されている。
梁部201は、板状部材200の上端部に設けられ、インレット部品108a側、つまり、コムプレート104cが配置される側へ向かって高さが増していく。すなわち、梁部201は、側端部202c側で高く、側端部202s側で低くなっており、側端部202cから側端部202sへと向かう直線状の傾斜を有する。
この梁部201の傾斜は、例えば側端部202cから側端部202sまで一定の勾配を有する。梁部201の傾斜角は、後述する板状部材200の機能に合わせて適宜、調整することができる。
図4は、実施形態にかかる板状部材200と他部材との相対的な位置関係を示す模式図である。
図4は、エスカレータ1の乗降口103のうち出口側を示しており、複数の踏段100の移動方向が矢印で示されている。つまり、図4において、複数の踏段100は紙面の右側から左側へと移動する。
また、図4において、スカートガードパネル105の先端パネル105f、並びに踏段100の移動方向の前後で先端パネル105fに接続されるインレット108及び中間パネル105mが点線で示されている。
また、踏段クリート110cの凸部上端である踏段クリート面が破線で示され、デマケーションクリート110dの凸部上端であるデマケーションクリート面が一点鎖線で示されている。この場合、上述のように踏段クリート面が踏段100の実質的な上面となる。
図4に示すように、コムプレート104cの踏段100の移動方向に対向する端部は、先端パネル105fの2つの側端部の間に位置する。
コムプレート104cのデマケーションクリート110dと組み合わされる櫛歯114dの先端部分は、踏段クリート110cと組み合わされる櫛歯114cの先端部分より、踏段100の移動方向側に後退した位置に配置される。櫛歯114dの下面は、デマケーションクリート面よりも低く、踏段クリート面よりも高い位置にある。櫛歯114cの下面は、踏段クリート面よりも低い位置にある。
また、櫛歯114c,114dの先端部分におけるコムプレート104cの上面は、踏段100の移動方向に向かって高くなる傾斜を有している。このため、櫛歯114dの先端部分におけるコムプレート104cの上面高さは、櫛歯114cの先端部分におけるコムプレート104cの上面高さよりも高い位置にある。
コムプレート104cの下方には、支持部材109sに支持された複数のガイドローラ109が設置されている。ガイドローラ109は、コムプレート104cの下方を移動する踏段100の左右方向の位置を調整する機構である。
板状部材200は、上述のとおり、下端部204、側端部202s、及び切り欠き部203の垂直部分が先端パネル105fの下端部、中間パネル105m側の側端部、及び切り欠き部105nの垂直部分とそれぞれ重なるように先端パネル105fに固定されている。
このように固定されることで、板状部材200の掃き出し部205は、コムプレート104c側へと迫り出し、板状部材200の側端部202cは、コムプレート104cの板状部材200に対向する側の端部位置よりも、踏段100の移動方向手前に位置することとなる。
また、掃き出し部205の頭頂部、つまり、側端部202c側における梁部201の高さ位置は、コムプレート104cの櫛歯114c,114dのいずれの下面よりも高い。さらに、側端部202c側における梁部201の高さ位置は、櫛歯114c,114dの先端部分におけるコムプレート104cの上面よりも高い。
また、側端部202c側における梁部201の高さ位置は、例えば踏段100の上面にあたる踏段クリート面よりも高く、デマケーションクリート面よりも低い。また、側端部202s側における梁部201の高さ位置は踏段クリート面よりも低い。
梁部201の高さ位置が上記のように設定されていることで、板状部材200は、エスカレータ1の利用者から殆ど視認されることなく先端パネル105fに固定された状態となる。
また、上述のように、板状部材200は側端部202cに切り欠き部203を有する。これにより、板状部材200とガイドローラ109との接触が抑制される。つまり、ガイドローラ109は、板状部材200の切り欠き部203により生じたスペースに配置される。
なお、既設のエスカレータ1に対して、板状部材200を備える先端パネル105fを設置する場合、既存の先端パネル近傍のインナーデッキ106を取り外して、先端パネル105fと既存の先端パネルとを交換すればよい。欄干パネル101等の他の部材を取り外す必要がないので、簡便に先端パネル105fの交換をすることが可能である。
また、既設または新設を問わず、エスカレータ1に板状部材200を備える先端パネル105fを設置する場合、出口側のみならず入口側にも先端パネル105fを設置してもよい。後述するように、板状部材200は主に出口側で所定の機能を発揮する。出口側だけでなく、入口側にも先端パネル105fを設置することで、エスカレータ1の下降運転と上昇運転とを切り替えた場合にも対応することができる。
(板状部材の機能例)
次に、図5を用いて、エスカレータ1の先端パネル105fが有する板状部材200の機能例について説明する。
図5は、実施形態にかかる板状部材200の機能の一例を説明する模式図である。図5(Aa)~(Ac)は、エスカレータ1の利用者が乗った踏段100をエスカレータ1出口側の正面から見た図であり、図5(Ba)~(Bc)は、エスカレータ1の利用者が乗った踏段100を側面から見た図である。
また、図5(Aa)~(Ac)及び図5(Ba)~(Bc)は、エスカレータ1の利用者が乗った踏段100が、エスカレータ1の出口側に位置する乗降板104のコムプレート104c端部へと近づいていく経過を示している。この場合のエスカレータ1の運転方向は問わないが、ここではエスカレータ1が下降運転をしており、図5(Aa)~(Ac)及び図5(Ba)~(Bc)はエスカレータ1の下階側の様子を示していることとする。
図5(Aa)(Ba)に示すように、踏段100に乗った利用者は、例えばロング丈のスカート等を着用しており、利用者の衣服の裾部HMは、踏段100と先端パネル105fとの隙間に垂れ下がっている。利用者が乗った踏段100がコムプレート104cへと近づいていくと、踏段100は板状部材200の上方に差し掛かる。図5(Aa)(Ba)の時点では、利用者の衣服の裾部HMは板状部材200とは接していない。
図5(Ab)(Bb)に示すように、利用者が乗った踏段100が更にコムプレート104cへと近づくと、利用者の衣服の裾部HMは板状部材200の梁部201に接することとなり、梁部201の傾斜に沿って迫り上げられていく。図5(Ab)(Bb)は、踏段100が板状部材200の頸部206付近に差し掛かったところを示している。
図5(Ac)(Bc)に示すように、利用者が乗った踏段100は、コムプレート104cの手前で板状部材200の最頂部である掃き出し部205近傍に到達する。利用者の衣服の裾部HMは、少なくとも板状部材200の最頂部における高さ位置を保ったまま、掃き出し部205によってコムプレート104cに向かって斜め上方へと掃き出される。
上述のように、板状部材200の梁部201は、側端部202c側において、コムプレート104cの櫛歯114dにより構成される下面よりも高く、更には櫛歯114dの踏段100側先端部分におけるコムプレート104cの上面よりも高い位置に設置される。
このため、利用者の衣服の裾部HMは、櫛歯114dの先端部分におけるコムプレート104cの上面よりも高い位置を保ったまま、コムプレート104cの上面上を通過していくこととなる。よって、裾部HMが、例えばコムプレート104cと先端パネル105fとの隙間に挟まってしまうことが抑制される。
なお、梁部201の傾斜角は、上述したように、板状部材200の機能に合わせて適宜調整可能であり、先端パネル104fの中間パネル104mとの接続部分からコムプレート104cの踏段100の移動方向の手前位置に至る板状部材200において、上記機能が充分に得られる角度とすることができる。また、図5(Aa)~(Ac)及び図5(Ba)~(Bc)の例ではエスカレータ1が下降運転をしていることとしたが、エスカレータ1が上昇運転をしており、板状部材200がエスカレータ1の上階側に設置されている場合にも、板状部材200は上記機能と同様の機能を発揮する。
(比較例)
次に、図6を用いて、比較例の先端パネル105f’を備えるエスカレータについて説明する。
図6に示すように、比較例の先端パネル105f’は上述の板状部材200を有さない。このため、利用者の衣服の裾部HMが、例えば踏段100と比較例の先端パネル105f’との隙間に垂れ下がっていた場合、コムプレート104cが有する複数の櫛歯104dのうち、先端パネル105f’側の櫛歯104dの先端部分に衣服の裾部HMが捉えられ、踏段100がコムプレート104c側へと移動していくのに伴って、先端パネル105f’側の櫛歯104dと先端パネル105f’との隙間に裾部HMが巻き込まれてしまう恐れがある。
実施形態のエスカレータ1によれば、スカートガードパネル105が、スカートガードパネル105と複数の踏段100との隙間に配置される板状部材200を備え、板状部材200は、乗降板104の端部側に向かって高さが増していく梁部201を上端部に有する。これにより、コムプレート104cとスカートガードパネル105との隙間における巻き込みを抑制することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200は、乗降板104のコムプレート104cの端部位置よりも踏段100の移動方向手前に位置する側端部202cを有する。これにより、コムプレート104cに到達する前に利用者の衣服等をコムプレート104cよりも高い位置に保持することができ、より確実に巻込みを抑制することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200は、先端パネル105fの中間パネル105m側の側端部と重なって位置する側端部202sを有する。これにより、板状部材200を先端パネル105f内にコンパクトに収めることができる。よって、エスカレータ1を新設する場合、先端パネル105fを既存パーツと異ならせるだけで板状部材200をエスカレータ1に設置することができる。また、既設のエスカレータ1に対しては、先端パネル105fを交換するだけで板状部材200を設置することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200は切り欠き部203を有する。これにより、コムプレート104c下方のガイドローラ109を避けて板状部材200を設置することができる。また、エスカレータ1の運転中も、板状部材200とガイドローラ109との接触を抑制することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200の梁部201の高さ位置は、側端部202c側でコムプレート104cの下面よりも高い。これにより、例えば利用者の衣服等をコムプレート104cの下面よりも高い位置に保持することができ、より確実にコムプレート104cとスカートガードパネル105との隙間における巻き込みを抑制することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200の梁部201の高さ位置は、側端部202c側で、コムプレート104cの踏段100側の先端部分における上面よりも高い。これにより、例えば利用者の衣服等をコムプレート104cの先端部分における上面よりも高い位置に保持することができ、よりいっそう確実に巻き込みを抑制することができる。
実施形態のエスカレータ1によれば、板状部材200の梁部201の高さ位置は、側端部202c側で、複数の踏段100のそれぞれのデマケーションクリート110dの上端部よりも低い。これにより、エスカレータ1の利用者から殆ど視認されることなく板状部材200を設置することができ、エスカレータ1の利用の妨げとなるのを抑制することができる。
(変形例1~4)
次に、図7~図10を用いて、実施形態の変形例1~4の板状部材200a~200dについて説明する。変形例1~4の板状部材200a~200dは、梁部201a~201dの形状が上述の実施形態とは異なる。
したがって、以下の図面においては、板状部材200a~200dにおいて上述の実施形態の構成と共通する構成に、上述の実施形態の構成と同様の符号を付してその説明を省略する。
図7は、実施形態の変形例1にかかる板状部材200aの構成の一例を示す平面図である。図7に示すように、板状部材200aの梁部201aは、梁部211a,211b及び屈曲部211cを有する。
梁部211a,211bは、板状部材200aの側端部202c側から側端部202s側へと向かう直線状の傾斜をそれぞれ有している。梁部211aは側端部202c側に配置される。梁部211bは、側端部202s側に配置され、梁部211aよりも急勾配となっている。
屈曲部211cは、梁部211a,211bの間に配置される。つまり、側端部202cから側端部202sまでの間に、梁部201aの勾配が屈曲部211cを挟んで緩勾配から急勾配へと変化する。
なお、梁部201aは、梁部211a,211bのような直線部分を3つ以上有していてもよく、屈曲部211cのような勾配の変化点を2つ以上有していてもよい。また、上記のように、側端部202c側で緩勾配となり、側端部202s側で急勾配となる梁部を曲線状に形成することも可能である。
図8は、実施形態の変形例2にかかる板状部材200bの構成の一例を示す平面図である。図8に示すように、板状部材200bの梁部201bは、板状部材200bの側端部202c側から側端部202s側へと向かう曲線状の傾斜を有している。この場合、曲線状の梁部201bは、例えば全体的に上凸とすることができる。
図9は、実施形態の変形例3にかかる板状部材200cの構成の一例を示す平面図である。図9に示すように、板状部材200cの梁部201cは、梁部212a,212b及び屈曲部212cを有する。
梁部212a,212bは、板状部材200cの側端部202c側から側端部202s側へと向かう直線状の傾斜をそれぞれ有している。梁部212aは側端部202c側に配置される。梁部212bは、側端部202s側に配置され、梁部212aよりも緩勾配となっている。
屈曲部212cは、梁部212a,212bの間に配置される。つまり、側端部202cから側端部202sまでの間に、梁部201cの勾配が屈曲部212cを挟んで急勾配から緩勾配へと変化する。
なお、梁部201cは、梁部212a,212bのような直線部分を3つ以上有していてもよく、屈曲部212cのような勾配の変化点を2つ以上有していてもよい。また、上記のように、側端部202c側で急勾配となり、側端部202s側で緩勾配となる梁部を曲線状に形成することも可能である。
図10は、実施形態の変形例4にかかる板状部材200dの構成の一例を示す平面図である。図10に示すように、板状部材200dの梁部201dは、梁部213a,213b及び反転部213cを有する。
梁部213a,213bは、板状部材200dの側端部202c側から側端部202s側へと向かう曲線状の傾斜をそれぞれ有している。梁部213aは、側端部202c側に配置され、上凸の傾斜を有する。梁部213bは、側端部202s側に配置され、下凸の傾斜を有する。
反転部213cは、梁部213a,213bの間に配置される。つまり、側端部202cから側端部202sまでの間に、梁部201dの曲率が反転部213cを挟んで上凸から下凸へと反転する。これにより、梁部201dはS字状の傾斜を有することとなる。
なお、梁部201dは、梁部213a,213bのような曲率の異なる曲線部分を3つ以上有していてもよく、反転部213cのような曲率の変化点を2つ以上有していてもよい。
変形例1~4の板状部材200a~200dによれば、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
(変形例5)
次に、図11を用いて、実施形態の変形例5の板状部材200eについて説明する。変形例5の板状部材200eは、一部に面取りされた面を有する点が上述の実施形態とは異なる。以下の図面においては、板状部材200eにおいて上述の実施形態の構成と共通する構成に、上述の実施形態の構成と同様の符号を付してその説明を省略する。
図11は、実施形態の変形例5にかかる板状部材200eの構成の一例を示す平面図である。図11に示すように、板状部材200eは、側端部202cの反対側、つまり、踏段100の移動方向と対向する側の端部である側端部202eを備える。
板状部材200eの側端部202eは、上端部および下端部の少なくともいずれかに面取りされた面を有する。図11の例では、側端部202eは、上端部の両方が面取りされて、面取り部202t,202bをそれぞれ有する。
なお、図11の例では、実施形態の板状部材200に面取り部102t,102bを設けた例を示しているが、変形例1~4の板状部材200a~200dに、このような面取り部202t,202bを設けてもよい。
変形例5の板状部材200eによれば、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
変形例5の板状部材200eによれば、側端部202eは上端部および下端部の少なくともいずれかに面取り部202t,202bを有する。踏段100の移動方向と対向する側端部202eが面取り部202t,202bを有することで、板状部材200eに向かって移動する踏段100が、万が一、板状部材200eの側端部202eと接触した場合でも板状部材200e及び踏段100の破損を抑制することができる。
なお、上述の実施形態および変形例1~5では、踏段100が、踏段100の上面から突出したデマケーションクリート110dを備えることとした。しかし、デマケーションクリート110dは、踏段100上面から突出することなく、踏段100上面と同じ高さを有していてもよい。
この場合、コムプレート104cのそれぞれの櫛歯114c,114sの高さも同じであってもよい。また、板状部材200,200a~200dの側端部202c側の梁部201,201a~201dの高さは、少なくともコムプレート104cの櫛歯114c,114sの下面より高く、更には櫛歯114c,114sの先端部分のコムプレート104c上面より高ければよい。このとき、側端部202c側の梁部201,201a~201dの高さは、踏段100の上面高さより高くとも低くともよい。
また、上述の実施形態および変形例1~5では、エスカレータ1がガイドローラ109を備えることとしたが、エスカレータ1の構成はこれに限られない。例えば、エスカレータ1は、踏段100を案内する樹脂製ガイドを備えることがあり、この場合、ガイドローラ109は設けられなくともよい。エスカレータ1がガイドローラ109を有さない場合、板状部材200,200a~200dの切り欠き部203は形成されていなくともよい。
また、上述の実施形態および変形例1~5では、乗客コンベアはエスカレータ1であることとしたが、上述の実施形態および変形例1~5の板状部材200,200a~200dは、例えば踏段が階段状ではなく水平に設置される水平型エスカレータ等にも適用可能である。
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。