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JP7163010B2 - 正極活物質、正極、および二次電池 - Google Patents

正極活物質、正極、および二次電池 Download PDF

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Description

本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置または電子機器、またはそれらの製造方法に関する。特に、二次電池に用いることのできる正極活物質、二次電池、および二次電池を有する電子機器に関する。
なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池(二次電池ともいう)、リチウムイオンキャパシタ、及び電気二重層キャパシタなどを含む。
また、本明細書中において電子機器とは、蓄電装置を有する装置全般を指し、蓄電装置を有する電気光学装置、蓄電装置を有する情報端末装置などは全て電子機器である。
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、又は、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
リチウムイオン二次電池に要求されている特性としては、さらなる高エネルギー密度化、サイクル特性の向上及び様々な動作環境での安全性、長期信頼性の向上などがある。
高エネルギー密度化には、正極における正極活物質の担持量を増やすことが有効である。たとえば下記特許文献1乃至特許文献4のような試みが行われている。
特開2003-217582号公報 特開2005-276609号公報 特開2006-318926号公報 特開2013-214493号公報
本発明の一態様は、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極を提供することを目的の一とする。または、エネルギー密度の高い二次電池を提供することを目的の一とする。または、充放電特性の優れた二次電池を提供することを目的の一とする。または、本発明の一態様は、安全性又は信頼性の高い二次電池を提供することを目的の一とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、表面が平滑な略球状の正極活物質を用いて正極を作製する。表面が平滑な略球状の正極活物質は、充放電に伴い体積が変化しても応力集中が起こりにくい。そのためクラックや破断が生じにくい。該正極活物質を用いることでサイクル特性の良好な二次電池を提供することができる。また、粒径の異なる粒子を混合して正極に用いると、担持量を増大させることができ、エネルギー密度の高い二次電池を提供することができる。
本発明の一態様は、正極活物質と、集電体と、を有し、正極活物質は略球状であり、かつ表面がなめらかであり、作製工程中に加圧してもクラックが生じにくく、または放電および放電を繰り返してもクラックが生じにくく、集電体上に正極活物質を高密度に配列可能であり、正極活物質は、表層部にフッ化リチウムを有し、作製工程中に加熱しても隣り合う粒子同士が焼結しにくく、または焼結した場合でも解砕が容易である、正極である。
上記において、正極活物質は、算術平均粒径の標準偏差が0.2以下の大きさのそろった正極活物質であることが好ましい。
また上記において、正極活物質は、メディアン径D50から求めた理想的な比表面積Aと、実際の比表面積Aの比A/Aが2以下の表面のなめらかな正極活物質であることが好ましい。
また上記において、正極活物質は、X線光電子分光で測定される、表面のフッ素の結合エネルギーのピーク位置が、684.4eVを超え686.0eV未満であることが好ましい。
また上記において、正極活物質は、第1の粒子と、第2の粒子と、を有し、第2の粒子のメディアン径は、第1の粒子のメディアン径の0.66倍以下であることが好ましい。
また本発明の別の一態様は、正極活物質の作製方法であって、作製方法は、少なくとも第1の工程、第2の工程および第3の工程を有し、第1の工程は、遷移金属の酸化物または遷移金属の水酸化物を略球状に加工して第1の材料を作製する工程であり、第2の工程は、第1の材料と、リチウム源と、を混合して第1の混合物を作製する工程であり、第3の工程は、第1の混合物を加熱する工程である、正極活物質の作製方法である
上記において、第2の工程における加熱温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
また本発明の別の一態様は、正極活物質であって、算術平均粒径の標準偏差が0.2以下であり、メディアン径D50から求めた理想的な比表面積Aと、実際の比表面積Aの比A/Aが2以下であり、X線光電子分光で測定される、表面のフッ素の結合エネルギーのピーク位置が、684.4eVを超え686.0eV未満である、正極活物質である。
また本発明の別の一態様は、上記の正極と、負極と、を有する二次電池である。
本発明の一態様により、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極を提供することができる。または、エネルギー密度の高い二次電池を提供することができる。または、充放電特性の優れた二次電池を提供することができる。または、安全性又は信頼性の高い二次電池を提供することができる。
本発明の一態様の正極の断面図。 本発明の一態様の正極活物質の模式図。 本発明の一態様の正極活物質の作製方法を説明する図。 二次電池の充電方法を説明する図。 二次電池の充電方法を説明する図。 二次電池の放電方法を説明する図。 コイン型二次電池を説明する図。 円筒型二次電池を説明する図。 二次電池モジュールおよび車両を説明する図。 二次電池パックの例を説明する図。 二次電池パックの例を説明する図。 電子機器の例を説明する図。 電子機器および蓄電システムの例を説明する図。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本明細書等において、活物質等の粒子の表層部とは、表面から10nm程度までの領域をいう。ひびやクラックにより生じた面も表面といってよい。また表層部より深い領域を、内部という。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。また、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
(実施の形態1)
[正極および正極活物質]
図1乃至図3を用いて、本発明の一態様である正極活物質100および正極活物質100を有する正極120の一例について説明する。
図1(A)は正極120の断面図である。また図1(B)は、図1(A)中の破線部分の拡大図である。正極120は、正極活物質100と、集電体110と、を有する。さらに正極120は、正極活物質100同士を結着するバインダ(図示しない)、および導電助剤111を有することが好ましい。
正極120はたとえば図1(C)に示すように、集電体110上に枠121を設け、その中に正極活物質100、バインダおよび導電助剤111を有するスラリーを流し込むことで作製することができる。
正極活物質100は、一次粒子のメディアン径D50が500nm以上50μm以下の略球状であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。ここでいう略球状とは、必ずしも理想的な球である必要はなく、楕円球状、一部が欠けた球状、歪んだ球状、表面に凹凸を有する球状を含む。
また、正極活物質100の算術平均径の標準偏差は0.2以下が好ましく、0.19以下がより好ましい。このように粒径の揃った略球状とすると、充電および放電を繰り返しても応力集中が起こりにくい。また作製工程中に正極120を加圧しても圧力が集中しにくい。そのため、正極活物質100が割れにくい。
正極活物質100が割れると、過剰に表面積が増大するため、電解液の分解が進む、または正極活物質が有する酸素または遷移金属が失われる、等の劣化が進む原因となる。そのため割れにくい正極活物質100を用いることで、サイクル特性の優れた二次電池にすることができる。また略球状は摩擦の少ない形状であるため、流動性に富み、作製工程において高い圧力を加えなくても担持量を増やしやすく好ましい。
また正極活物質100は、表面がなめらかであることが好ましい。表面のなめらかな正極活物質100はクラックが少ないため、充放電に伴い体積が変化しても割れにくい。なめらかさの指標としてはたとえば、定容法によるガス吸着法にて測定した実際の比表面積Aと、理想的な比表面積Aとの比を用いることができる。理想的な比表面積Aは、すべての粒子の直径がD50と同じであり、重量が同じであり、形状は理想的な球であるとして計算して求める。A/Aは2以下であることが好ましい。
メディアン径D50は、レーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。比表面積は、たとえば定容法によるガス吸着法を用いた比表面積測定装置等によって測定することができる。
また正極活物質100の粒子は、他の正極活物質100の粒子と複数点で接することが好ましい。正極活物質100が形状および粒径の揃った略球状であると、他の粒子と複数点で接することがより容易となる。正極活物質100の粒子が他の正極活物質100の粒子と接していると、図2(A)のように導電助剤111を少なくしても正極活物質100の粒子同士の導電性を保つことができるため、正極120における正極活物質100の担持量を増やすことができる。
正極活物質100が有する粒子が、他の粒子と接していることは、断面SEM(走査型電子顕微鏡)、表面SEMまたは断面TEM(透過型電子顕微鏡)による観察等により判断することができる。
また図2(B)のように導電助剤111と共に、または導電助剤111に代えてグラフェン112を用いてもよい。導電助剤111によく用いられるアセチレンブラックよりも、グラフェン112は導電性が高く二次元的な広がりを持つため、少ない量で導電性を確保することができる。そのため正極120における正極活物質100の担持量を増やすことができる。
さらに正極活物質100は、図2(C)に示す第1の粒子100aおよび第2の粒子100bのように、異なる大きさの粒子を有していてもよい。このとき、第2の粒子100bのメディアン径(D50)が第1の粒子のメディアン径(D50)の0.66倍以下であると、正極120における正極活物質100の担持量を増やすことができ好ましい。
また図2(C)では2種の大きさの異なる粒子を有する例を示したが、3種以上の大きさの異なる粒子を有していてもよい。
さらに正極活物質100は、表層部に融点の低い材料、またはヤング率の低い材料を多く有することが好ましい。表層部に融点の低い材料またはヤング率の低いやわらかい材料を多く有すると、複数の粒子が凝集した場合、または隣り合う粒子が焼結した場合でも、解砕が容易である。なお正極活物質100の表層部のすべてが表層部に融点の低い材料、またはヤング率の低い材料であると、充放電の際の抵抗が増大する恐れがある。そのため正極活物質100の表層部は、融点の低い材料またはヤング率の低い材料と、内部と同じ材料と、が混合していることが好ましい。
ここでいう融点が低い材料とは、正極活物質100の内部の材料よりも融点が低い材料である。たとえば正極活物質100の内部の材料がコバルト酸リチウム(融点約1140℃)の場合、これよりも融点の低い材料としては、フッ化リチウム(融点848℃)、炭酸リチウム(融点723℃)、フッ化ナトリウム(融点993℃)、塩化リチウム(融点613℃)、塩化ナトリウム(融点800℃)等がある。
またここでいうヤング率の低い材料とは、正極活物質100の内部の材料よりもヤング率の低い材料である。たとえば正極活物質100の内部の材料がコバルト酸リチウム(ヤング率約100GPa)の場合、これよりヤング率の低い材料としては、フッ化リチウム(ヤング率65GPa)、フッ化ナトリウム(ヤング率79GPa)塩化ナトリウム(ヤング率40GPa)、等がある。
正極活物質100の表層部に融点の低い材料またはヤング率の低い材料が存在するか否かは、たとえばX線光電子分光(XPS)を用いた分析により判断できる。たとえば正極活物質100の表面のフッ素の結合エネルギーのピーク位置が684.4eVを超え686.0eV未満であると、表層部にフッ化リチウムを有することがわかる。そのため融点の低い材料またはヤング率の低い材料として、フッ化リチウムを用いていると判断できる。
<正極活物質の材料>
正極活物質100の内部の材料として様々な複合酸化物を用いることができる。例えば、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等を用いることができる。またポリアニオン系の正極材料を用いることができる。ポリアニオン系の正極材料としては例えば、オリビン型の結晶構造を有する材料、ナシコン型の材料、等が挙げられる。また複合酸化物に限られず、酸素を有さない材料、例えば硫黄を有する正極材料を用いてもよい。
層状岩塩型の結晶構造を有する材料として例えば、LiMOで表される複合酸化物を用いることができる。元素Mは、Co、Ni、Mnより選ばれる一以上であることが好ましい。LiCoOは、容量が大きいこと、大気中で安定であること、熱的に比較的安定であること等の利点があり好ましい。さらに元素Mとして、Co、Ni、Mnより選ばれる一以上に加えて、Alを有してもよい。
例えば、LiNiMnCo(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=y=z=1/3またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNiMnCo(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.8またはその近傍、y=0.1またはその近傍、z=0.1またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNiMnCo(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.5またはその近傍、y=0.3またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNiMnCo(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.6またはその近傍、y=0.2またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNiMnCo(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.4またはその近傍、y=0.4またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。
近傍とは例えば、その値の0.9倍より大きく1.1倍より小さい値である。
また正極活物質が有する遷移金属やリチウムの少なくとも一部をLi、Fe、Co、Ni、Cr、Al、Mgなどから選ばれる一以上の元素で置換した材料や、正極活物質にFe、Co、Ni、Cr、Al、Mgなどから選ばれる一以上の元素をドープした材料を正極活物質として使用してもよい。たとえばLiFeO、LiMnO等も用いることができる。
また、層状岩塩型の結晶構造を有する複合酸化物のうち、高電圧で充電したときに擬スピネル型結晶構造を有する材料を用いることが特に好ましい。このような正極活物質は、充電状態と放電状態における結晶構造の変化および体積の変化が抑制されているため、高電圧で充放電を繰り返しても結晶構造が崩れにくい。そのためサイクル特性の良好な正極活物質である。
擬スピネル型の結晶構造とは、空間群R-3mであり、スピネル型結晶構造ではないものの、コバルト等の遷移金属が酸素6配位位置を占め、陽イオンの配列がスピネル型と似た対称性を有する結晶構造をいう。擬スピネル型結晶構造は、ユニットセルにおけるコバルトと酸素の座標を、Co(0,0,0.5)、O(0,0,x)、0.20≦x≦0.25の範囲内で示すことができる。また、擬スピネル型結晶構造を有する正極活物質を、CuKα1線による粉末XRDを用いて分析すると、2θ=19.30±0.20°(19.10°以上19.50°以下)、および2θ=45.55±0.10°(45.45°以上45.65°以下)に回折ピークが出現する。より詳しく述べれば、2θ=19.30±0.10°(19.20°以上19.40°以下)、および2θ=45.55±0.05°(45.50°以上45.60以下)に鋭い回折ピークが出現する。
ここでいう高電圧での充電とは、たとえば電池電圧が4.6V(対極リチウムの場合)となるまで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電することをいう。
高電圧で充電したときに擬スピネル型結晶構造を有する複合酸化物は、たとえば不純物の少ない層状岩塩型の結晶構造を有する複合酸化物を合成した後で、フッ化リチウムおよびフッ化マグネシウム等のフッ素源およびマグネシウム源を混合し、適切な温度および時間で加熱することで作製することができる。適切な温度とは、たとえば600℃以上950℃以下、より好ましくは700℃以上900℃以下である。適切な時間とは、1時間以上100時間以下、より好ましくは2時間以上60時間以下である。
さらに複合酸化物を複数組み合わせた固溶体を正極材料として用いることができる。例えば、LiNiMnCo(x、y、z>0、x+y+z=1)とLiMnOの固溶体を正極活物質として用いることができる。
スピネル型の結晶構造を有する材料として例えば、LiMで表される複合酸化物を用いることができる。元素MとしてMnを有することが好ましい。例えば、LiMnを用いることができる。また元素Mとして、Mnに加えてNiを有することにより、二次電池の放電電圧が向上し、エネルギー密度が向上する場合があり、好ましい。また、LiMn等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、50モル%以下のニッケル酸リチウム(LiNiOやLiNi1-x(M=Co、Al等))を混合すると、二次電池の特性を向上させることができ好ましい。
ポリアニオン系の正極材料として例えば、酸素と、元素Xと、金属Aと、金属Mと、を有する複合酸化物を用いることができる。金属MはFe、Mn、Co、Ni、Ti、V、Nbの一以上であり、金属AはLi、Na、Mgの一以上であり、元素XはS、P、Mo、W、As、Siの一以上である。
オリビン型の結晶構造を有する材料として例えば、複合材料(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNiCoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を用いることができる。
特にLiFePOは、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
また、一般式Li(2-j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li(2-j)MSiOの代表例としては、Li(2-j)FeSiO、Li(2-j)NiSiO、Li(2-j)CoSiO、Li(2-j)MnSiO、Li(2-j)FeNiSiO、Li(2-j)FeCoSiO、Li(2-j)FeMnSiO、Li(2-j)NiCoSiO、Li(2-j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)FeNiCoSiO、Li(2-j)FeNiMnSiO、Li(2-j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2-j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
また、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe(MnO、Fe(SO、LiFe(PO等がある。また、正極活物質の材料として、LiMPOF、LiMP、LiMO(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物を用いることができる。
また、正極活物質の材料として、組成式LiMnで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするためには例えば、1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3とすることが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、LiCO:MnCO:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318で表されるが、この組成からずれることもある。
また、正極材料として、NaFeF、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、TiS、MoS等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V、V13、LiV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
また、正極材料として、リチウム含有金属硫化物を用いることができる。例えば、LiTiS、LiNbSなどが挙げられる。
また、正極材料として、一般式LiMBO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II))で表されるホウ酸塩系正極材料を用いることができる。
正極活物質の表面に炭素層などの導電性材料を設けてもよい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。例えば、正極活物質への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合することで形成することができる。また、導電性材料として、グラフェン、マルチグラフェン、酸化グラフェン(GO:Graphene Oxide)又はRGO(Reduced Graphene Oxide)を用いることができる。ここで、RGOは例えば、酸化グラフェン(GO)を還元して得られる化合物を指す。
なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP-MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。例えばナトリウム含有層状酸化物を用いることができる。
ナトリウムを有する材料として例えば、NaFeOや、Na2/3[Fe1/2Mn1/2]O、Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O、NaFe(SO、Na(PO、NaFePOF、NaVPOF、NaMPO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II))、NaFePOF、NaCo(PO、などのナトリウム含有酸化物を正極活物質の材料として用いることができる。
これらの正極活物質100の材料は、上述した方法、または公知の方法で合成することができる。
[正極活物質の作製方法]
次に、正極活物質100の材料を、表面のなめらかな、形状および粒径の揃った球状に加工する方法の例について説明する。ここでいう球状化とは、略球状に加工することをいい、かならずしも理想的な球にまで加工しなくともよい。
<物理研磨法>
まず図3を用いて、正極活物質の材料を物理的に研磨することで球状に加工する方法について説明する。この方法では、上述の正極活物質100の材料を、研磨装置を用いて研磨した後、粒子を大きさによって分けることのできる分級装置210を用いて分級し、略球状の正極活物質100を得る。
複数の研磨装置を用いると、より表面をなめらかにすることができ好ましい。たとえば図3に示すように粗研削する研磨装置201a、中研削する研磨装置201b、仕上げ研磨をする研磨装置201cを順に用いることが好ましい。研磨装置はそれぞれ、モーター202、第1のディスク203a、第2のディスク203bを有する。第1のディスク203aと第2のディスク203bの間に正極活物質の材料を投入し、第1のディスク203aと第2のディスク203bの一方または両方を回転させることで、正極活物質の材料を物理的に研磨する。
分級は、ふるい、乾式分級、湿式分級等により行うことができる。湿式サイクロン等の遠心力場による分級装置を用いると、高い分級精度が得られ好ましい。湿式サイクロンを用いる場合は、小さすぎる粒子221は集塵機220を用いて回収することが好ましい。
この物理研磨法は、小型設備で大量の処理が可能なため、生産性が高い。また後述する他の方法よりも温度上昇が少ない点も好ましい。
<高周波誘導熱プラズマ法>
また、上述の正極活物質の材料を、熱プラズマにより加熱して球状化してもよい。たとえばプラズマ用ガスを高周波誘導により約1万度の熱プラズマにし、該プラズマ中に正極活物質の材料を導入する。熱プラズマ処理後の球状化された粒子を、湿式サイクロン等で分級してもよい。
熱プラズマの高熱によりリチウム等の一部の元素が失われる場合は、熱プラズマ処理の後に失われた元素を有する材料と混合することが好ましい。たとえば高周波誘導熱プラズマ処理の後にフッ化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム等のリチウム源と混合することが好ましい。このリチウム源に、融点の低い材料またはヤング率の低い材料を用いれば、正極活物質100の表層部に融点の低い材料またはヤング率の低い材料を多く含ませることができ、より好ましい。
この高周波誘導熱プラズマ法は、真球に近い正極活物質100を作製することができる点が好ましい。また、プラズマ用ガスによって、粒子を酸化、還元、窒化または炭化することが可能であるため、正極活物質100の表面修飾の工程を兼ねることができる。
なお、正極活物質の原料の一部、たとえば遷移金属の酸化物または水酸化物を、高周波誘導熱プラズマ法により球状に加工してもよい。たとえばコバルト酸リチウムの粒径は、原料の酸化コバルトまたは水酸化コバルトの粒径の影響を受けることが知られている。そのため、リチウム源と、高周波誘導熱プラズマ法により球状に加工された遷移金属の酸化物または水酸化物と、を混合し焼成することでも、略球状の正極活物質100を作製することができる場合がある。
たとえば正極活物質の原料として酸化コバルト、リチウム源としてフッ化リチウムを用いる場合は、まず酸化コバルトを高周波誘導熱プラズマ法により球状に加工する。次に球状に加工された酸化コバルトと、フッ化リチウムと、を混合する。該混合物を、たとえば900℃以上1100℃以下、10時間焼成する。このような工程でも、略球状の正極活物質100を作製することができる場合がある。
<ガスバーナ法>
また、上述の正極活物質100の材料を、高温の酸素バーナ火炎中に投入して溶融させ、球状化してもよい。処理後の球状化された粒子を、湿式サイクロン等で分級してもよい。
このガスバーナ法も、真球に近い正極活物質100を作製することができる点が好ましい。
また酸素バーナ火炎の高熱によりリチウム等の一部の元素が失われる場合は、高周波誘導熱プラズマ法と同様に、失われた元素を有する材料と混合することが好ましい。
さらに高周波誘導熱プラズマ法と同様に、正極活物質の原料の一部、たとえば遷移金属の酸化物または水酸化物をガスバーナ法により球状に加工してもよい。
本実施の形態に記載の構成は、本実施の形態に記載の他の構成、または他の実施の形態に記載の構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極活物質100を有する二次電池に用いることのできる材料の例について説明する。本実施の形態では、正極、負極および電解液が、外装体に包まれている二次電池を例にとって説明する。
[正極]
正極は、正極活物質層および正極集電体を有する。
<正極活物質層>
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を有する。また、正極活物質層は、正極活物質に加えて、活物質表面の被膜、導電助剤またはバインダなどの他の物質を含んでもよい。
正極活物質としては、先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることができる。先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池とすることができる。
導電助剤としては、炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、活物質層中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、正極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
また、導電助剤としてグラフェン化合物を用いてもよい。
グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。そのため、グラフェン化合物を導電助剤として用いることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。スプレードライ装置を用いることで、活物質の表面全体を覆って導電助剤であるグラフェン化合物を被膜として形成することが好ましい。また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここでグラフェン化合物として例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンまたはRGOを用いることが特に好ましい。ここで、RGOは例えば、酸化グラフェン(graphene oxide:GO)を還元して得られる化合物を指す。
粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。そのため導電助剤の量が多くなりがちであり、相対的に活物質の担持量が減少してしまう傾向がある。活物質の担持量が減少すると、二次電池の容量が減少してしまう。このような場合には、導電助剤としてグラフェン化合物を用いると、グラフェン化合物は少量でも効率よく導電パスを形成することができるため、活物質の担持量を減らさずに済み、特に好ましい。
また、予め、スプレードライ装置を用いることで、活物質の表面全体を覆って導電助剤であるグラフェン化合物を被膜として形成し、さらに活物質同士間をグラフェン化合物で導電パスを形成することもできる。
バインダとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。またバインダとして、フッ素ゴムを用いることができる。
また、バインダとしては、例えば水溶性の高分子を用いることが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。また、これらの水溶性の高分子を、前述のゴム材料と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
バインダは上記のうち複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば粘度調整効果の特に優れた材料と、他の材料とを組み合わせて使用してもよい。例えばゴム材料等は接着力や弾性力に優れる反面、溶媒に混合した場合に粘度調整が難しい場合がある。このような場合には例えば、粘度調整効果の特に優れた材料と混合することが好ましい。粘度調整効果の特に優れた材料としては、例えば水溶性高分子を用いるとよい。また、粘度調整効果に特に優れた水溶性高分子としては、前述の多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉を用いることができる。
なお、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えばカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩などの塩とすることにより溶解度が上がり、粘度調整剤としての効果を発揮しやすくなる。溶解度が高くなることにより電極のスラリーを作製する際に活物質や他の構成要素との分散性を高めることもできる。本明細書においては、電極のバインダとして使用するセルロースおよびセルロース誘導体としては、それらの塩も含むものとする。
水溶性高分子は水に溶解することにより混合と分散に適した粘度になり、活物質や、バインダとして組み合わせる他の材料、例えばスチレンブタジエンゴムなどを、水溶液中に均一に分散させることができる。また、官能基を有するために活物質表面に吸着しやすいことが期待される。また、例えばカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えば水酸基やカルボキシル基などの官能基を有する材料が多く、官能基を有するために高分子同士が相互作用し、活物質表面を広く覆って存在することが期待される。
活物質表面を覆う、または表面に接するバインダが膜を形成する場合には、不動態膜としての役割を果たして電解液の分解を抑える効果も期待される。ここで、不動態膜とは、電子の伝導性のない膜、または電気伝導性の極めて低い膜であり、例えば活物質の表面に不動態膜が形成された場合には、電池反応電位において、電解液の分解を抑制することができる。また、不動態膜は、電気の伝導性を抑えるとともに、リチウムイオンは伝導できるとさらに望ましい。
<正極集電体>
正極集電体としては、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性が高い材料を用いることができる。また正極集電体に用いる材料は、正極の電位で溶出しないことが好ましい。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
[負極]
負極は、負極活物質層および負極集電体を有する。また、負極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい。
<負極活物質>
負極活物質としては、例えば合金系材料や炭素系材料等を用いることができる。
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素を用いることができる。例えば、シリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。また、これらの元素を有する化合物を用いてもよい。例えば、SiO、MgSi、MgGe、SnO、SnO、MgSn、SnS、VSn、FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、AgSn、AgSb、NiMnSb、CeSb、LaSn、LaCoSn、CoSb、InSb、SbSn等がある。ここで、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素、および該元素を有する化合物等を合金系材料と呼ぶ場合がある。
本明細書等において、SiOは例えば一酸化シリコンを指す。あるいはSiOは、SiOと表すこともできる。ここでxは1近傍の値を有することが好ましい。例えばxは、0.2以上1.5以下が好ましく、0.3以上1.2以下がより好ましい。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等を用いればよい。
黒鉛としては、人造黒鉛や、天然黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛としては例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等が挙げられる。ここで人造黒鉛として、球状の形状を有する球状黒鉛を用いることができる。例えば、MCMBは球状の形状を有する場合があり、好ましい。また、MCMBはその表面積を小さくすることが比較的容易であり、好ましい場合がある。天然黒鉛としては例えば、鱗片状黒鉛、球状化天然黒鉛等が挙げられる。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に低い電位を示す(0.05V以上0.3V以下 vs.Li/Li)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が比較的小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO)、リチウムチタン酸化物(LiTi12)、リチウム-黒鉛層間化合物(Li)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、LiN型構造をもつLi3-xN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV、Cr等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムとの合金を作らない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe、CuO、CuO、RuO、Cr等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn、CuN、Ge等の窒化物、NiP、FeP、CoP等のリン化物、FeF、BiF等のフッ化物でも起こる。
負極活物質層が有することのできる導電助剤およびバインダとしては、正極活物質層が有することのできる導電助剤およびバインダと同様の材料を用いることができる。
<負極集電体>
負極集電体には、正極集電体と同様の材料を用いることができる。なお負極集電体は、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることが好ましい。
[電解液]
電解液は、溶媒と電解質を有する。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
また、電解液の溶媒として、難燃性および難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、および四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはパーフルオロアルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiAlCl、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、Li12Cl12、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiN(CFSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiN(CSO等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
二次電池に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。
また、電解液にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert-ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOB、またスクシノニトリル、アジポニトリル等のジニトリル化合物などの添加剤を添加してもよい。添加する材料の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
ポリマーゲル電解質を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化および軽量化が可能である。
ゲル化されるポリマーとして、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等を用いることができる。
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマーや、PVDF、およびポリアクリロニトリル等、およびそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVDF-HFPを用いることができる。また、形成されるポリマーは、多孔質形状を有してもよい。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
[セパレータ]
また二次電池は、セパレータを有することが好ましい。セパレータとしては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いることができる。セパレータはエンベロープ状に加工し、正極または負極のいずれか一方を包むように配置することが好ましい。
セパレータは多層構造であってもよい。たとえばポリプロピレン、ポリエチレン等の有機材料フィルムに、セラミック系材料、フッ素系材料、ポリアミド系材料、またはこれらを混合したもの等をコートすることができる。セラミック系材料としては、たとえば酸化アルミニウム粒子、酸化シリコン粒子等を用いることができる。フッ素系材料としては、たとえばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。ポリアミド系材料としては、たとえばナイロン、アラミド(メタ系アラミド、パラ系アラミド)等を用いることができる。
セラミック系材料をコートすると耐酸化性が向上するため、高電圧充放電の際のセパレータの劣化を抑制し、二次電池の信頼性を向上させることができる。またフッ素系材料をコートするとセパレータと電極が密着しやすくなり、出力特性を向上させることができる。ポリアミド系材料、特にアラミドをコートすると、耐熱性が向上するため、二次電池の安全性を向上させることができる。
たとえばポリプロピレンのフィルムの両面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートしてもよい。また、ポリプロピレンのフィルムの、正極と接する面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートし、負極と接する面にフッ素系材料をコートしてもよい。
多層構造のセパレータを用いると、セパレータ全体の厚さが薄くても二次電池の安全性を保つことができるため、二次電池の体積あたりの容量を大きくすることができる。
[外装体]
二次電池が有する外装体としては、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。また、フィルム状の外装体を用いることもできる。フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。
[充放電方法]
二次電池の充放電は、たとえば下記のように行うことができる。
≪CC充電≫
まず、充電方法の1つとしてCC充電について説明する。CC充電は、充電期間のすべてで一定の電流を二次電池に流し、所定の電圧になったときに充電を停止する充電方法である。二次電池350を、図4(A)に示すように内部抵抗Rと二次電池容量Cの等価回路と仮定する。この場合、二次電池電圧Vは、内部抵抗Rにかかる電圧Vと二次電池容量Cにかかる電圧Vの和である。
CC充電を行っている間は、図4(A)に示すように、スイッチがオンになり、一定の電流Iが二次電池350に流れる。この間、電流Iが一定であるため、V=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧Vも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。
そして二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、充電を停止する。CC充電を停止すると、図4(B)に示すように、スイッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧Vが0Vとなる。そのため、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなった分、二次電池電圧Vが下降する。
CC充電を行っている間と、CC充電を停止してからの、二次電池電圧Vと充電電流の例を図4(C)に示す。CC充電を行っている間は上昇していた二次電池電圧Vが、CC充電を停止してから若干低下する様子が示されている。
≪CCCV充電≫
次に、上記と異なる充電方法であるCCCV充電について説明する。CCCV充電は、まずCC充電にて所定の電圧まで充電を行い、その後CV(定電圧)充電にて流れる電流が少なくなるまで、具体的には終止電流値になるまで充電を行う充電方法である。
CC充電を行っている間は、図5(A)に示すように、定電流電源351のスイッチがオン、定電圧電源352のスイッチがオフになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、V=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧Vも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。
そして二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、CC充電からCV充電に切り替える。CV充電を行っている間は、図5(B)に示すように、定電圧電源のスイッチがオン、定電流電源のスイッチがオフになり、二次電池電圧Vが一定となる。一方、二次電池容量Cにかかる電圧Vは、時間の経過とともに上昇する。V=V+Vであるため、内部抵抗Rにかかる電圧Vは、時間の経過とともに小さくなる。内部抵抗Rにかかる電圧Vが小さくなるに従い、V=R×Iのオームの法則により、二次電池に流れる電流Iも小さくなる。
そして二次電池に流れる電流Iが所定の電流、例えば0.01C相当の電流となったとき、全てのスイッチをオフにして充電を停止する。CCCV充電を停止すると、図5(C)に示すように、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧Vが0Vとなる。しかし、CV充電により内部抵抗Rにかかる電圧Vが十分に小さくなっているため、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなっても、二次電池電圧Vはほとんど降下しない。
CCCV充電を行っている間と、CCCV充電を停止してからの、二次電池電圧Vと充電電流の例を図5(D)に示す。CCCV充電を停止しても、二次電池電圧Vがほとんど降下しない様子が示されている。
≪CC放電≫
次に、放電方法の1つであるCC放電について説明する。CC放電は、放電期間のすべてで一定の電流を二次電池から流し、二次電池電圧Vが所定の電圧、例えば2.5Vになったときに放電を停止する放電方法である。
CC放電を行っている間の二次電池電圧Vと放電電流の例を図6に示す。放電が進むに従い、二次電池電圧Vが降下していく様子が示されている。
次に、放電レート及び充電レートについて説明する。放電レートとは、電池容量に対する放電時の電流の相対的な比率であり、単位Cで表される。定格容量X(Ah)の電池において、1C相当の電流は、X(A)である。2X(A)の電流で放電させた場合は、2Cで放電させたといい、X/5(A)の電流で放電させた場合は、0.2Cで放電させたという。また、充電レートも同様であり、2X(A)の電流で充電させた場合は、2Cで充電させたといい、X/5(A)の電流で充電させた場合は、0.2Cで充電させたという。
(実施の形態3)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極活物質100を有する二次電池の形状の例について説明する。本実施の形態で説明する二次電池に用いる材料は、先の実施の形態の記載を参酌することができる。
[コイン型二次電池]
まずコイン型の二次電池の一例について説明する。図7(A)はコイン型(単層偏平型)の二次電池の外観図であり、図7(B)は、その断面図である。
コイン型の二次電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。
なお、コイン型の二次電池300に用いる正極304および負極307は、それぞれ活物質層は片面のみに形成すればよい。
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えばステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図7(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の二次電池300を製造する。
正極304に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れたコイン型の二次電池300とすることができる。
ここで図7(C)を用いて二次電池の充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いた二次電池を一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いた二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「-極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いていない。
図7(C)に示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池300が充電される。二次電池300の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。
[円筒型二次電池]
次に円筒型の二次電池の例について図8を参照して説明する。円筒型の二次電池400は、図8(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)401を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)402を有している。これら正極キャップ401と電池缶(外装缶)402とは、ガスケット(絶縁パッキン)410によって絶縁されている。
図8(B)は、円筒型の二次電池400の断面を模式的に示した図である。内部構造を説明するために電池缶402は底面のみ示している。中空円柱状の電池缶402の内側には、帯状の正極404と負極406とがセパレータ405を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。電池缶402には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。また、電池素子が設けられた電池缶402の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
円筒型の二次電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極404には正極端子(正極集電リード)403が接続され、負極406には負極端子(負極集電リード)407が接続される。正極端子403および負極端子407は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。負極端子407は電池缶402の底に溶接される。正極端子403は導電板419に溶接され、防爆板412およびPTC素子(Positive Temperature Coefficient)411を介して正極キャップ401と電気的に接続されている。PTC素子411は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
また、図8(C)のように複数の二次電池400を、導電板413および導電板414の間に挟んでモジュール415を構成してもよい。複数の二次電池400は、ワイヤ416により導電板413および導電板414と電気的に接続される。複数の二次電池400は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池400を有するモジュール415を構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
図8(D)はモジュール415の上面図である。図を明瞭にするために導電板413を点線で示した。図8(D)に示すように、複数の二次電池400の間に温度制御装置417を有していてもよい。二次電池400が過熱されたときは、温度制御装置417により冷却し、二次電池400が冷えすぎているときは温度制御装置417により加熱することができる。そのためモジュール415の性能が外気温に影響されにくくなる。また、複数の二次電池400同士の間、および温度制御装置417と二次電池400との間に、緩衝材418を設けることができる。緩衝材418を設けることで、二次電池400同士が接触、または温度制御装置417と二次電池400が接触して、電池缶402および温度制御装置417等に傷がつくことを防止できる。
正極404に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた円筒型の二次電池400とすることができる。
図8(C)および図8(D)では、24個の二次電池400を有するモジュール415の例について説明したが、図9(A)に示すようにより多くの二次電池400を有するモジュール420としてもよい。モジュール420が有する複数の二次電池400、導電板413および導電板414は筐体423の中に配置されることが好ましい。またモジュール420は、導電板413または導電板414と電気的に接続される正極端子421および負極端子422を有することが好ましい。また、温度制御装置417および緩衝材418を有することが好ましい。
なお、図9(A)では円筒形の二次電池400を有するモジュール420について説明したが、これに限られず、たとえば短冊状の正極および負極をそれぞれ複数枚重ねた二次電池を有するモジュールとしてもよい。
さらに図9(B)に示すように、複数のモジュール420を有する、より大きなモジュール430としてもよい。モジュール430を、たとえば図9(C)に示すように車両440に搭載することで、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図9(C)に示す車両440は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。
二次電池は電気モーター(図示せず)を駆動するだけでなく、ヘッドライトやルームライトなどの発光装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、車両440が有するスピードメーター、タコメーター、ナビゲーションシステムなどの表示装置および半導体装置に電力を供給することができる。
車両440は、モジュール430が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図9(C)は地上設置型の充電装置451から、ケーブル452を介して充電している状態を示している。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置451は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により車両440に搭載されたモジュール430を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
また図9(D)は、本発明の一態様の二次電池を用いた二輪の車両の例である。図9(D)示すスクータ460は、二次電池462、サイドミラー461、方向指示灯464を備える。二次電池462は、モーター(図示せず)、前照灯(図示せず)、方向指示灯464等に電気を供給することができる。
スクータ460は、座席下収納に二次電池462を収納することができる。二次電池462は高エネルギー密度であるため座席下収納のスペースが小さくても収納可能である。二次電池462は取り外し可能となっており、充電時には二次電池462を屋内に持って運び、充電し、走行する前に収納すればよい。
本発明の一態様によれば、二次電池のサイクル特性が良好となり、二次電池の容量を大きくすることができる。よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。二次電池自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、例えば電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避できれば、省エネルギー、および二酸化炭素の排出の削減に寄与することができる。また、サイクル特性が良好であれば二次電池を長期に渡って使用できるため、コバルトをはじめとする希少金属の使用量を減らすことができる。
[二次電池パック]
次に二次電池と、該二次電池を保護または制御する機能と、を有する電池パックの例について、図10および図11を用いて説明する。
図10(A)は、二次電池パック530の外観を示す図である。図10(B)は二次電池パック530の構成を説明する図である。二次電池パック530は、回路基板500と、二次電池513と、を有する。二次電池513には、ラベル510が貼られている。回路基板500は、シール515により固定されている。また二次電池パック530は、アンテナ514を有する。
回路基板500は二次電池513を保護または制御する機能を有する回路512を有する。また回路基板500は、端子511と電気的に接続されている。また回路基板500は、アンテナ514、二次電池513の正極リードおよび負極リードの一方551、正極リードおよび負極リードの他方552と電気的に接続される。
なお、アンテナ514はコイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
二次電池パック530は、アンテナ514と、二次電池513との間に層516を有する。層516は、例えば二次電池513による電磁界への影響を防止することができる機能を有する。層516としては、例えば磁性体を用いることができる。
二次電池513は、図10(C)に示すような捲回された電池素子593を有する。電池素子593は、負極594と、正極595と、セパレータ596と、を有する。電池素子593は、セパレータ596を挟んで負極594と、正極595とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。
なお、二次電池の構造は、図10に限定されない。
例えば、図11(A-1)及び図11(A-2)に示すように二次電池パック530の対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図11(A-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図11(A-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。
図11(A-1)に示すように、二次電池パック530の一対の面の一方に層516を挟んでアンテナ514が設けられ、図11(A-2)に示すように、一対の面の他方に層517を挟んでアンテナ518が設けられる。層517は、例えば二次電池513による電磁界への影響を防止することができる機能を有する。層517としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ514及びアンテナ518の両方のサイズを大きくすることができる。アンテナ518は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ518には、例えばアンテナ514に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ518を介した二次電池と他の機器との通信方式としては、NFCなど、二次電池と他の機器との間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図11(B-1)に示すように、二次電池パック530に表示装置520を設けてもよい。表示装置520は、端子511に電気的に接続される。なお、表示装置520が設けられる部分にラベル510を設けなくてもよい。
表示装置520には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置520としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置520の消費電力を低減することができる。
又は、図11(B-2)に示すように、二次電池パック530にセンサ521を設けてもよい。センサ521は、端子522を介して端子911に電気的に接続される。
センサ521としては、例えば、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定することができる機能を有すればよい。センサ521を設けることにより、例えば、二次電池が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路512内のメモリに記憶しておくこともできる。
[電子機器]
次に図12および図13を用いて、本発明の一態様である二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
図12(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機600は、筐体601に組み込まれた表示部602の他、操作ボタン603、外部接続ポート604、スピーカ605、マイク606などを備えている。なお、携帯電話機600は、二次電池607を有している。上記の二次電池607に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯電話機を提供できる。
携帯電話機600は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
操作ボタン603は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯電話機600に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン603の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯電話機600は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯電話機600は外部接続ポート604を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また外部接続ポート604を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は外部接続ポート604を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯電話機600はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
図12(B1)および図12(B2)は、折りたたみ可能な表示部を有する電子機器の一例を示している。電子機器610は、筐体612に組み込まれた、折りたたみ可能な表示部611の他、外部接続ポート613、外部接続ポート614、二次電池615を有している。上記の二次電池615に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な電子機器を提供できる。
折りたたみ可能な表示部611を有することで、広い表示部による視認性向上と携帯性向上を両立させることができる。表示部611としては、たとえばEL表示装置を用いることができる。表示部611の少なくとも一部はタッチパネルの機能を有する。
また電子機器610は、図12(B2)に示すように表示部611の裏面にも、表示部616を有していてもよい。
図12(C)は電子書籍端末の一例を示している。電子書籍端末620は、表示部621、回路基板622、二次電池623、電源ボタン624、操作ボタン625を有する。操作ボタン625を押すことで、ページめくり等の操作を行うことができる。上記の二次電池623に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な電子書籍端末を提供できる。
回路基板622は、制御回路およびメモリを有する。制御回路およびメモリには、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタを適用することができる。金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはオフ電流が極めて低いため、消費電力の低い電子書籍端末620とすることができる。
回路基板622、二次電池623等の主な部品を電子書籍端末620の中央からずらして配置することで、重心が一方に寄り、片手でも持ちやすい電子書籍端末620とすることができる。
図13(A1)および図13(A2)はイヤホン型コンピュータの一例を示す図である。イヤホン型コンピュータは、左右の耳に装着するために2つのデバイス、たとえば第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bを有することが好ましい。第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bはいずれもスピーカ651、制御回路652、二次電池653およびマイク654を有する。また、第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bはいずれも加速度センサおよび通信アンテナを有することが好ましい。またGPSを搭載することが好ましい。
第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bは、たとえばマイク654で音を電気信号に変換し、該信号を制御回路7602で分析し、音声である場合は音声認識する。そして該音声の言語がユーザの指定した言語でない場合は、ユーザの指定した言語に翻訳し、翻訳結果をスピーカ651から出力することができる。
制御回路652には、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタを適用することができる。金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはオフ電流が極めて低いため、消費電力の低い第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bとすることができる。
また制御回路652が有する音声認識機能および翻訳機能は、たとえばRNN(回帰型ニューラルネットワーク)をはじめとするニューラルネットワークの手法を用いて学習した結果を用いることができる。
また第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bがGPSおよび通信アンテナを有すると、位置情報を取得でき、ランニングをはじめとするスポーツに活用することができる。
さらに、第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bと、他の電子機器を、無線通信を介して連携して使用してもよい。たとえば携帯電話のハンズフリー機能と連携して、第1のデバイス650aまたは第2のデバイス650bのスピーカ651から通話音声を出力することができる。
第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bを収納可能なケース655は、二次電池656、および表示部657を有することが好ましい。二次電池7611を有することで、第1のデバイス650aおよび第2のデバイス650bが有する二次電池653を充電することができる。また表示部657には、第1のデバイス650a、第2のデバイス650bおよびケース655の充電状態を表示することができる。また、連携した他の電子機器でより詳細な充電状態を確認してもよい。
日用電子機器に二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な製品を提供できる。例えば、日用電子機器として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の二次電池としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、大容量の二次電池が望まれている。
図13(B)はタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図13(H)において電子タバコ640は、加熱素子を含むアトマイザ641と、アトマイザに電力を供給する二次電池644と、液体供給ボトルやセンサなどを含むカートリッジ642で構成されている。安全性を高めるため、二次電池644の過充電や過放電を防ぐ保護回路を二次電池644に電気的に接続してもよい。図13(B)に示した二次電池644は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池644は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。本発明の一態様の二次電池は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができる小型であり、且つ、軽量の電子タバコ640を提供できる。
図13(C)は蓄電システム700を説明する図である。蓄電システム700は、発電装置702と、蓄電装置701と、を有する。発電装置としては、太陽光発電、風力発電、波力発電、海流発電、潮力発電等を利用した発電装置を用いることができる。蓄電装置701に本発明の一態様の二次電池を用いることで、高容量で長寿命な蓄電装置701とすることができる。
本実施の形態に記載の構成は、本実施の形態に記載の他の構成、または他の実施の形態に記載の構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
100 正極活物質
100a 粒子
100b 粒子
110 集電体
111 導電助剤
112 グラフェン
120 正極
121 枠
201a 研磨装置
201b 研磨装置
201c 研磨装置
210 分級装置
220 集塵機
221 粒子
300 二次電池
301 正極缶
302 負極缶
303 ガスケット
304 正極
305 正極集電体
306 正極活物質層
307 負極
308 負極集電体
309 負極活物質層
350 二次電池
351 定電流電源
352 定電圧電源
310 セパレータ
400 二次電池
401 正極キャップ
402 電池缶
403 正極端子
404 正極
405 セパレータ
406 負極
407 負極端子
411 PTC素子
412 防爆板
413 導電板
414 導電板
415 モジュール
416 ワイヤ
417 温度制御装置
418 緩衝材
419 導電板
420 モジュール
421 正極端子
422 負極端子
423 筐体
430 モジュール
440 車両
451 充電装置
452 ケーブル
460 スクータ
461 サイドミラー
462 二次電池
464 方向指示灯
500 回路基板
510 ラベル
511 端子
512 回路
513 二次電池
514 アンテナ
515 シール
516 層
517 層
518 アンテナ
520 表示装置
521 センサ
522 端子
530 二次電池パック
551 一方
552 他方
593 電池素子
594 負極
595 正極
596 セパレータ
600 携帯電話機
601 筐体
602 表示部
603 操作ボタン
604 外部接続ポート
605 スピーカ
606 マイク
607 二次電池
610 電子機器
611 表示部
612 筐体
613 外部接続ポート
614 外部接続ポート
615 二次電池
616 表示部
620 電子書籍端末
621 表示部
622 回路基板
623 二次電池
624 電源ボタン
625 操作ボタン
640 電子タバコ
641 アトマイザ
642 カートリッジ
644 二次電池
650a デバイス
650b デバイス
651 スピーカ
652 制御回路
653 二次電池
654 マイク
655 ケース
656 二次電池
657 表示部
700 蓄電システム
701 蓄電装置
702 発電装置
911 端子
914 アンテナ
7602 制御回路
7611 二次電池

Claims (7)

  1. 正極活物質と、集電体と、を有し、
    前記正極活物質は略球状であり、かつメディアン径D50から求めた理想的な比表面積Aと、実際の比表面積Aの比A/Aが2以下の表面のなめらかな正極活物質であり、
    作製工程中に加圧してもクラックが生じにくく、または放電および放電を繰り返してもクラックが生じにくく、
    前記集電体上に前記正極活物質を高密度に配列可能であり、
    前記正極活物質は、表層部にフッ化リチウムを有し、
    前記正極活物質は、マグネシウムを有し、
    作製工程中に加熱しても隣り合う粒子同士が焼結しにくく、または焼結した場合でも解砕が容易であり、
    前記正極活物質は、層状岩塩型の結晶構造を有する複合酸化物であって、電池電圧が4.6V(対極リチウムの場合)となるまで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電したときに擬スピネル型結晶構造を有し、
    前記擬スピネル型結晶構造は、空間群R-3mの結晶構造を示し、且つ、CuKα1線による粉末XRDを用いて分析したとき、2θ=19.30±0.20°、及び2θ=45.55±0.10°に回折ピークを有する、正極。
  2. 請求項1において、
    前記正極活物質は、算術平均粒径の標準偏差が0.2以下の大きさのそろった正極活物質である、正極。
  3. 請求項1または請求項2のいずれか一において、
    前記正極活物質は、X線光電子分光で測定される、表面のフッ素の結合エネルギーのピーク位置が、684.4eVを超え686.0eV未満である、正極。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記正極活物質は、第1の粒子と、第2の粒子と、を有し、
    前記第2の粒子のメディアン径は、前記第1の粒子のメディアン径の0.66倍以下である、正極。
  5. 請求項1乃至請求項に記載の正極と、
    負極と、を有する二次電池。
  6. 正極活物質であって、前記正極活物質は、
    算術平均粒径の標準偏差が0.2以下であり、
    メディアン径D50から求めた理想的な比表面積Aと、実際の比表面積Aの比A/Aが2以下であり、
    X線光電子分光で測定される、表面のフッ素の結合エネルギーのピーク位置が、684.4eVを超え686.0eV未満であり、
    表層部にフッ化リチウムを有し、
    マグネシウムを有し、
    前記正極活物質は、層状岩塩型の結晶構造を有する複合酸化物であって、電池電圧が4.6V(対極リチウムの場合)となるまで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電したときに擬スピネル型結晶構造を有し、
    前記擬スピネル型結晶構造は、空間群R-3mの結晶構造を示し、且つ、CuKα1線による粉末XRDを用いて分析したとき、2θ=19.30±0.20°、及び2θ=45.55±0.10°に回折ピークを有する、、正極活物質。
  7. 請求項に記載の正極活物質と、導電助剤と、集電体と、を有する正極と、
    負極と、
    を有する二次電池。
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