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JP7150257B2 - イソシアン酸の生成方法、生成装置、内蔵キット及びガス発生装置 - Google Patents

イソシアン酸の生成方法、生成装置、内蔵キット及びガス発生装置 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 2017年自動車技術会秋季大会、平成29年10月11日。公益社団法人自動車技術会、自動車技術会論文集,第49巻,第2号(3月号),平成30年3月25日。
本発明は、熱分解によってイソシアン酸を生成する前躯体から高純度のイソシアン酸を生成する方法、生成装置、内蔵キット、ガス発生装置及び分析方法に関する。
ディーゼルエンジンの排気処理(NOx浄化)において尿素SCR(Selective Catalytic Reduction:選択触媒還元)システムは有効なものとされており、様々な用途への適用が検討されている。例えば、排出ガスの規制強化に対応するためトラック等のディーゼル車用、環境への負荷を低減する観点から発電等の工業用プロセス、また、重油を使用して作動する船舶のディーゼル内燃エンジン用等への適用が図られている。
尿素SCRシステムは、新たな規制に対応するとともに、その適用範囲を拡大させるため、排気温度が低くなったときの尿素水噴射の高効率化、浄化性能の向上及び尿素水の消費の低減、等の特性及び性能の向上が求められている。これらの技術課題に対して尿素SCRシステムによるNOx浄化機構の解明やその予測モデルを従来よりも高精度に行う必要があるが、いまだ不明な点や不明確な点がある。そのため、これらを明らかにすることにより高性能で高効率の尿素SCRシステムを確立することが強く要望されている。
尿素SCRシステムは、尿素水を用いて噴射される尿素の熱分解や加水分解反応を経ることによりNOxの還元剤となるアンモニア(NH)を生成し、これをSCR触媒に供給してNOx浄化を行っている。その反応機構については、例えば、特許文献1及び2において尿素の熱分解や加水分解反応に関する反応式が記載されている。特許文献1及び2に開示されているように、尿素の熱分解によって中間生成物として生じるイソシアン酸(HNCO)が加水分解反応によってNHを生成することは周知の事項である。
また、特許文献3には、固体還元剤として使用するシアヌル酸を高温で加熱してガス状のイソシアン酸に変換し、さらに、より高温で加熱して前記ガス状のイソシアン酸を熱分解させてNH(アミドイオン)を生成させ、該NHを排気ガスと混合することにより排ガス内の窒素酸化物を還元する方法が提案されている。ここで、シアヌル酸は、固体の形態をガス状のイソシアン酸に変換するため、加熱を300~450℃の温度レベルで行うことが記載されている。
また、前記特許文献2には、尿素、アンモニア及びイソシアン酸等からなる混合ガスからイソシアン酸の量を測定するため、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)分析装置を使用することが開示されている。さらに、特許文献4には、尿素SCRシステムにおいて尿素の分解反応を正確に予測するための尿素水分解解析プログラムが提案されている。
しかしながら、イソシアン酸(HNCO)の加水分解反応については不明な点が多く、定量的な解明が十分に行われているとは言えないのが現況である。これは、イソシアン酸(HNCO)が不安定で重合しやすいだけでなく、単独の化合物として製造又は入手することが非常に難しいことに起因している。さらに、HNHOの量は前記FT-IRによって測定が可能であるものの、HNCOの加水分解反応速度を解析するためには連続的な濃度計測を高精度に行うことが必要である。しかし、イソシアン酸の赤外スペクトルは、大気中に含まれる二酸化炭素又は排ガス中に含まれる窒素酸化物等の他のガスが共存すると、それら他のガスに起因する赤外吸収が重なって観測される。そのため、再現性のある高信頼性のデータを得ることができず、このことも解明が進まない原因のひとつとなっている。
一方、イソシアン酸は、上記のように加水分解反応の解明という目的以外にも、その高い反応性によって多くの化合物の合成の原料として有用性の高いC-1構造単位を有する化合物である。そのため、特許文献5には、N,N-ジ置換された尿素の分解によってイソシアン酸を製造する方法が提案されている。
特開2010-223650号公報 国際公開第2013/054609号 特表2001-523165号公報 特開2013-15029号公報 特開平6-171927号公報
上記のようにイソシアン酸はその有用性から大きなニーズがあり、イソシアン酸を単体として使用することができれば、尿素SCRシステムによるNOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上が大きく進展する。また、イソシアン酸単体は、多くの化合物の合成原料として使用することが可能となるため、有機合成及び新材料開発の分野においても様々な貢献が期待できる。さらに、イソシアン酸を用いる各種の反応ではイソシアン酸の反応速度の解析及び反応挙動の把握をより正確に行うため、イソシアン酸の量を高精度に計測できる方法を確立する必要が求められている。
前記特許文献1、2及び4には、尿素の熱分解や加水分解の反応機構、反応式、反応条件及び反応生成物について詳細な説明がなされており、その反応過程でイソシアン酸が生成することが記載されている。しかしながら、イソシアン酸を高純度で生成又は単離する方法及びその装置については具体的な記載や示唆がされておらず、全く不明である。前記特許文献1、2及び4に記載の発明は、そもそも高純度イソシアン酸の生成方法及びその装置に関するものではなく、高純度で得られるイソシアン酸をNOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上のために役立てるという目的と効果は全く認識されていなかったものと考えられる。
また、前記特許文献3に記載の発明は、SCR(選択触媒還元)システムにおいて、固体還元剤であるシアヌル酸をガス化させ、さらに高温で熱分解又は加水分解を行うことによって形成されるNH(アミドイオン)又はアンモニア(NH)を還元生成物として用いて排ガスと混合させることにより、排ガス内の窒素酸化物を還元する方法である(特許文献3の図1及び図3を参照)。ここで、シアヌル酸の加熱(300~450℃)によって生成するガス状のイソシアン酸は、NH又はNHを形成するための前駆体として使用されるものであるが、イソシアン酸を高純度で生成又は単離する方法については具体的に記載や示唆がされておらず、不明である。また、前記特許文献3に記載の発明には、NOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上のために高純度で得られるイソシアン酸を役立てるという認識はそもそもなかったものと解される。
また、前記特許文献2には、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)分析装置によってイソシアン酸の量を測定できることが記載されているが、定量的な計測方法については具体的に開示されていない。そのため、イソシアン酸の量をどの程度の精度で計測できるのかが不明である。さらに、FT-IR計測において、イソシアン酸と共存するガス、例えば、二酸化炭素及び窒素酸化物等によって影響を受けない解析方法についても具体的に触れられていない。このように、FT-IR分析装置を用いたとしても、従来の解析方法ではイソシアン酸の量の高精度計測に対して十分に対応できるものではなかった。
一方、前記特許文献5には、イソシアン酸を高収率で製造できる新規のイソシアン酸分離方法が提案されているが、具体的に得られた収率は50~86%であり、熱分解副生成物の混入を避けることが困難である。そのため、収率が高く、熱分解副生成物の混入がない高純度イソシアン酸の生成方法及びその生成装置が求められている。さらに、前記特許文献5に記載の発明ではイソシアン酸の量を計測するとき、イソシアン酸の希釈剤として使用する有機相を水で抽出した後、電位差滴定又は逆滴定する方法が採用されている。しかし、滴定による測定方法はやや煩雑で、計測結果を得るまでの時間がやや長いという問題があった。そのため、滴定方法よりも簡便で、且つ、短時間の測定が可能であり、かつ、高精度で再現性の高い計測結果が得られる定量分析方法及びその評価方法が強く望まれている。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、尿素SCRシステムによるNOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上を行うだけでなく、多くの化合物の合成の原料として有用性の高いC-1構造単位を有する化合物を提供するため、熱分解によってイソシアン酸を生成する前躯体を用いてガス化及び熱分解を行うときの加熱方法とその条件の最適化を行うとともに、生成されるイソシアン酸を効率的に回収及び捕集できる方法を確立することにより、従来の方法よりも簡便で、かつ、高純度イソシアン酸を高収率で得ることができる高純度イソシアン酸の生成方法、生成装置及び内蔵キットを提供することにある。さらに、生成される高純度イソシアン酸を効率的に発生させるための高純度イソシアン酸のガス発生装置、及びFT-IRによってイソシアン酸の濃度を高精度に計測評価することができる分析方法を提供することにある。
本発明は、イソシアン酸を生成する前躯体としてシアヌル酸を用い、シアヌル酸のガス化及び熱分解の各工程を経て得られる不安定なイソシアン酸を、前記シアヌル酸やその熱分解副生成物が含まれないように、予熱した高温の不活性ガス気流中に希釈し、その状態で前記不活性ガスだけを排出しながらコールドトラップすることにより高純度イソシアン酸だけを単離して捕集する生成方法及びその装置を採用することにより上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、イソシアン酸多量体であるシアヌル酸を熱分解することによってイソシアン酸を生成する方法であって、シアヌル酸を300℃以上の温度T1で加熱することにより前記シアヌル酸をガス化するガス化工程と、前記ガス化工程の後に連続して前記T1よりも高い温度T2で加熱することにより前記シアヌル酸を熱分解する熱分解工程と、前記熱分解工程で熱分解して得られるガス状のイソシアン酸を、前記熱分解工程で使用する加熱装置の出口側で、前記T1の温度以上に予熱された不活性ガスが形成する高温気流中に流入させることにより前記不活性ガスで希釈するためのガス混合工程と、前記ガス状のイソシアン酸と前記熱された不活性ガスとの混合気流をコールドトラップ部に導入し、前記コールドトラップ部の容器に設けた排出口から前記不活性ガスを排出させながら、前記コールドトラップ部をイソシアン酸の沸点以下に冷却し、前記イソシアン酸を捕集する捕集工程と、を有し、前記ガス化工程及び前記熱分解工程において、前記シアヌル酸は、管状のシアヌル酸加熱用容器の内部に載置され、該シアヌル酸加熱用容器の内部に前記不活性ガスの導入又は循環が行われない状態で加熱されることを特徴とするイソシアン酸の生成方法を提供する。
[2]本発明は、前記ガス化工程及び前記熱分解工程の加熱温度T1及びT2が、それぞれ330℃~450℃及び450℃~700℃であり、前記捕集工程においてコールドトラップの容器の冷却温度が20℃以下で、前記不活性ガスの沸点以上であることを特徴とする前記[1]に記載のイソシアン酸の生成方法を提供する。
[3]本発明は、イソシアン酸多量体であるシアヌル酸を熱分解することによって高純度イソシアン酸を生成するための装置であって、前記シアヌル酸を内部に載置し、前記シアヌル酸を挿入するための入口開口部、及び前記シアヌル酸の熱分解によって発生するイソシアン酸ガスが流出するための出口開口部をそれぞれ1つだけ有する管状のシアヌル酸加熱用容器と、前記シアヌル酸加熱用容器を加熱するため、300℃以上の温度T1で加熱する加熱部分(A1)、及び前記加熱部分A1から発生するシアヌル酸ガスを前記加熱部分(Aの加熱温度よりも高い温度T2で加熱する加熱部分(A2)を有する加熱装置(A)と、不活性ガス供給装置(B1)と、該不活性ガス供給装置(B1)から供給される不活性ガスを加熱する加熱装置(C)と、前記シアヌル酸加熱用容器の内部に不活性ガスの導入又は循環が行われない状態で前記加熱装置(A)によって前記シアヌル酸の加熱が行われる前記加熱部分(A1)及び前記加熱部分(A2)を経て、前記シアヌル酸加熱用容器の出口開口部から排出されるイソシアン酸ガスを冷却して捕集するためのコールドトラップ部と、前記加熱装置(A)、加熱装置(C)及び前記コールドトラップ部の容器をそれぞれ繋ぐ連結配管と、を有し、前記連結配管の途中には、前記加熱部分(A2)の出口から排出されるイソシアン酸ガスを、前記加熱装置(C)を通して余予熱された不活性ガスの気流中に流入させるための配管ジョイント部が設けられており、前記コールドトラップ部の容器には前記余予熱された不活性ガスともに前記イソシアン酸ガスを導入するためのガス導入用開口部と、前記コールドトラップ部の容器に導入された前記不活性ガスだけを排出するためのガス排出用開口部と、が備えられていることを特徴とするイソシアン酸の生成装置を提供する。
[4]本発明は、前記[3]に記載の生成装置によって得られるイソシアン酸の保菅及び運搬を可能にするため、前記イソシアン酸が、単独の液体又は固体の状態で、又は前記イソシアン酸に対して不活性の有機化合物で希釈された液体の状態で、前記不活性ガスともに前記コールドトラップ部の容器内に内蔵され、密封されたイソシアン酸の内蔵キットを提供する。
[5]本発明は、前記[3]に記載の高純度イソシアン酸の生成装置と、前記コールドトラップ部の容器をイソシアン酸の融点以上で温度の調整及び制御を行うための温度調整槽と、イソシアン酸をコールドトラップ部の容器から留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガス発生装置(B2)と、該バブリングによって留出するイソシアン酸ガスを不活性ガスで希釈することによりイソシアン酸の濃度調整を行うための不活性ガス発生装置(B3)と、不活性ガス発生装置(B2)及び(B3)のそれぞれガス流路途中に配置され、前記不活性ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[6]本発明は、前記[4]に記載の内蔵キットと、前記内蔵キットの温度をイソシアン酸の融点以上で温度の調整及び制御を行うための温度調整槽と、イソシアン酸をコールドトラップの容器から留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガス発生装置(B2)と、該バブリングによって留出するイソシアン酸ガスを不活性ガスで希釈することによりイソシアン酸の濃度調整を行うための不活性ガス発生装置(B3)と、不活性ガス発生装置(B2)及び(B3)のそれぞれガス流路途中に配置され、前記不活性ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[7]本発明は、前記[5]又は[6]に記載のイソシアン酸の発生装置が、さらに、前記イソシアン酸ガス及び前記不活性ガスとは異なる他成分ガスを前記イソシアン酸に混合するための他成分ガス発生装置、及び該他成分ガス発生装置のガス流路の途中に配置され、前記他成分ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[8]本発明は、前記[5]~[7]のいずれか一項に記載のイソシアン酸のガス発生装置において、複数台で配置される不活性ガス発生装置が、その台数よりも数を減じた台数、又は1台に集約して設けられることを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[9]本発明は、前記[5]~[8]のいずれか一項に記載のイソシアン酸のガス発生装置は、該ガス発生装置から発生するイソシアン酸の濃度を、前記イソシアン酸に起因する赤外スペクトルの計測波長の中から2265~2280cm-1の領域で観測される吸光度を用いて計測するための計測装置として、赤外吸収スペクトル測定装置を備えることを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[10]本発明は、イソシアン酸に起因する赤外スペクトルの測定波数の中から2267~2268cm-1の範囲で計測される吸光度の積分値とイソシアン酸濃度との関係をあらかじめ求めた検量線に、濃度未知のイソシアン酸を前記赤外吸収スペクトル測定装置によって実測するときに2267~2268cm-1の範囲で計測される吸光度の積分値を対応させることによりイソシアン酸の濃度を定量的に求めるための分析手段を有することを特徴とする前記[9]に記載のイソシアン酸のガス発生装置を提供する。
[発明の効果]
本発明の生成方法及び生成装置によれば、不安定なイソシアン酸を簡便な方法で確実に単離し、原料又は熱分解による反応副生物の混入を抑制することが可能であるため、高純度イソシアン酸を高収率で生成することができる。また、本発明による高純度イソシアン酸の内蔵キットは、不安定なイソシアン酸を単離した状態で安定的に、且つ長期で使用することができるため、尿素SCRシステムによるNOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上を行うとき、又は多くの有機化合物の合成においてC-1構造単位を有する合成原料として適用することができる。
本発明による高純度イソシアン酸のガス発生装置は、上記生成装置又は内蔵キットとの組み合わせによって、イソシアン酸が必要なときに必要な量だけ使用したいときに利用することができるため、使い勝手が良く、且つ、メンテナンスにも優れる。その際に、イソシアン酸の発生量を正確に計測できる方法として、FT-IR等の赤外吸収スペクトル測定装置を用いて、本発明の高純度イソシアン酸の分析方法に適用することが可能であり、高純度イソシアン酸の製造又はNOx浄化機構の解明において必要となるイソシアン酸の定量評価法として活用することができる。
本発明による高純度イソシアン酸の生成方法を概略的に示す図である。 本発明による高純度イソシアン酸の生成装置を示す断面図である。 本発明による高純度イソシアン酸の生成装置が有する加熱装置(A)の変形例を示す断面図である。 本発明による高純度イソシアン酸の発生装置を模式的に示す断面図である。 本発明による高純度イソシアン酸の発生装置の変形例を模式的に示す断面図である。 イソシアン酸を捕集した内蔵キットを用いる高純度イソシアン酸の発生装置を示す断面図である。 本発明による高純度イソシアン酸の発生装置において他成分ガス発生装置を備える装置例を示す図である。 窒素ガス雰囲気下で計測したイソシアン酸の赤外吸収スペクトルを示す図である。 イソシアン酸及び他成分ガスの2220~2230cm-1における吸光度を示す図である。 CO濃度から求めたイソシアン酸濃度とイソシアン酸の吸光度の積分値との関係を示す図である。 他成分ガスの導入前と導入後においてFT-IR計測によるイソシアン酸濃度を比較した結果を示す図である。
<高純度イソシアン酸の生成方法>
本発明による高純度イソシアン酸の生成方法について図1を用いて概略的に説明する。高純度イソシアン酸の生成方法は基本的に4つの工程を有する。すなわち、熱分解によってイソシアン酸を生成する前躯体としてイソシアン酸多量体であるシアヌル酸[(HNCO)]を用いてシアヌル酸をガス化するガス化工程と、ガス状のシアヌル酸を熱分解する熱分解工程と、熱分解したイソシアン酸をガス状態で不活性ガスと混合させるため、高温に熱された不活性ガス中に流入させるガス混合工程と、不活性ガスを排出しながら高純度のイソシアン酸(HNCO)だけを冷却し、固体又は液体の状態でイソシアン酸だけを捕集する捕集工程とを有する。本発明で使用する不活性ガスは、イソシアン酸に対して化学的に不活性な気体であり、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
本発明は、シアヌル酸ガスとイソシアン酸ガスが混合することをできるだけ避けるため、シアヌル酸のガス化と熱分解をそれぞれ別の工程で行う。両者のガスが共存する状態では、イソシアン酸だけを高純度で生成することが難しく、そのような状態を避けるためである。そして、シアヌル酸のガス化及び熱分解を効率的に行うため、ガス化工程においてシアヌル酸を300℃以上の温度T1で加熱し、前記ガス化工程の後に連続して行う熱分解工程において前記T1よりも高い温度T2で加熱する。加熱温度T2としては、少なくともガス化温度より高く設定する必要があり、効率的な熱分解を行うため前記T1よりも50℃以上、好ましくは100℃以上の高い温度に設定して加熱することが必要である。
本発明による高純度イソシアン酸の生成方法は、図1に示す各工程の中で、特に、ガス混合工程を有する点で従来のシアヌル酸ガスの熱分解方法(例えば、前記特許文献3)とは大きく異なる。本発明はイソシアン酸だけを高純度で生成させることを目的としており、そのために次の2つの機能を有するガス混合工程を採用することが大きな特徴である。すなわち、(i)シアヌル酸を熱分解して得られるイソシアン酸が再重合することを抑制又は防止するため、所定の温度以上に予熱された不活性ガス中にイソシアン酸を流入することによって希釈し、イソシアン酸の濃度を薄めること、及び(ii)原料のシアヌル酸がガス化及び熱分解の工程中に粉状となって飛散するのを防止するため、前記熱分解工程によって生成するガス状のイソシアン酸を、イソシアン酸ガスが排出される加熱装置の出口側で前記予熱された不活性ガスと混合を行うこと、である。また、前記ガス化工程及び前記熱分解工程において、シアヌル酸を不活性ガスの導入又は循環を行わない状態で加熱することにより、それらの飛散を抑制又は防止する効果を高めることができる。
本発明のガス化工程で加熱するときの温度T1としては、シアヌル酸のガス化を効率的に行うため、シアヌル酸の融点(330℃)に近い温度である300℃以上で加熱する必要があるが、さらに、シアヌル酸のガス化を促進するには、T1が330℃以上であることが好ましい。また、シアヌル酸ガスの熱分解においては、熱分解させる温度T2として、効率的な熱分解を行うためシアヌル酸ガスの熱分解を加速することができる450℃以上が好ましい。
前記ガス化工程の加熱温度T1及び熱分解工程の加熱温度T2は、上限温度を特に規定する必要がないが、ガス化工程において加熱温度T1が450℃を超える場合、ガス化と同時に熱分解が起こり、シアヌル酸ガスとイソシアン酸ガスが混合した状態が生まれやすくなる。仮にガス化工程でイソシアン酸ガスが発生すると、その後の熱分解工程においてT1よりも高い温度T2で再加熱されるため、イソシアン酸そのものの分解が起こるまで熱分解反応が進行し、イソシアン酸よりも低分子のガス状化合物が生成しやすくなる。また、熱分解工程において加熱温度T2が700℃を超える場合でもイソシアン酸そのものの熱分解が促進されるため、同様に、イソシアン酸よりも低分子のガス状化合物が生成されやすくなる。このように、高純度でイソシアン酸を生成するという本発明の目的を達成するためには、温度T1及びT2は、それぞれ450℃以下及び700℃以下に設定することが好ましい。
このようにして生成するイソシアン酸のガスは、温度T1以上に熱された高温の不活性ガスの流れの中に流入して該不活性ガスと混合した状態でコールドトラップ容器内に導入され、該コールドトラップ部でイソシアン酸の沸点以下に急速冷却されて捕集される。高純度のイソシアン酸の捕集は、冷却時に使用する冷却剤の温度によって単独の液体又は固体の状態で高収率に行うことができる。イソシアン酸は沸点及び融点がそれぞれ23.5℃及び-86℃であるので、冷却温度としては20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃未満である。さらに、冷却温度は、前記コールドトラップの容器内に混合気流として導入される不活性ガスの沸点以上であることが好ましい。冷却温度を前記不活性ガスの沸点以上に設定することにより、前記コールドトラップの容器から前記不活性ガスの排出をスムーズに行うことができる。冷却剤としては、例えば、氷水(冷却温度:約0℃)、ドライアイス‐アセトン冷媒(冷却温度:-78℃)、液体窒素(冷却温度:-196℃)等を使用することができる。
冷却・捕集工程では、熱分解したイソシアン酸のガスと混合した不活性ガスだけがコールドトラップの容器から外へ排出されるため、不活性ガスは逆流又は滞留することなく、所定の圧力の下で一定の流れが形成される。したがって、前記ガス化工程及び前記熱分解工程の最中にシアヌル酸等の微粉が飛散することを防止するため、加熱装置の入口又は途中から不活性ガスの導入又は循環を行わない状態でシアヌル酸の加熱をおこなっても、熱分解反応によって生成するイソシアン酸は不活性ガスの一定の流れの中へスムーズに流入するようになる。本発明は、この機構に基づいて、イソシアン酸ガスと高温で熱された不活性ガスとの混合を加熱装置の出口側で行うことが可能になる。
<高純度イソシアン酸の生成装置>
図2に、本発明による高純度イソシアン酸の生成装置を模式的に断面図で示す。図2に示すように、本発明による高純度イソシアン酸の生成装置1は、固形のシアヌル酸2をガス化し、さらに熱分解を行うための加熱装置(A)3と、シアヌル酸に不活性のガスを供給するための不活性ガス供給装置(B1)4と、不活性ガス供給装置4から供給される不活性ガスを加熱するための加熱装置(C)5と、加熱装置(A)3の出口側から排出されるイソシアン酸を冷却して捕集するためのコールドトラップ部6としてコールドトラップ部6の容器7及び冷却槽8と、加熱装置(A)3、不活性ガス発生装置(B1)4及びコールドトラップ部6の容器7をそれぞれ繋ぐ連結配管9と、を有する。ここで、不活性ガス供給装置(B1)4と加熱装置(C)5との途中には、不活性ガスの流量を調整するためのガス流量調整装置(マスフローコントローラ)10を配置するのが実用的である。
加熱装置(A)3は、基本的に、ガス化のための加熱部分(A1)11、及び熱分解のための加熱部分(A2)12を有し、前者では温度T1に設定され、後者では前記T1より高温の温度T2に設定される。ここで、温度T2は温度T1より50℃以上高く設定される。固形状のシアヌル酸2は、図2に示すように、筒状のシアヌル酸加熱用容器13の加熱部分(A1)11に相当する部分に載置した後、温度T1で加熱することによりガス化が行われる。そして、連結配管9の途中には、加熱部分(A2)12の出口側から排出されるイソシアン酸ガスを、加熱装置(C)5を通して熱された不活性ガスの気流中に流入させるための配管ジョイント部14が設けられる。また、コールドトラップ部6の容器7には、加熱装置(C)5によって予熱された不活性ガスともにイソシアン酸ガスを導入するためのガス導入用開口部15と、前記コールドトラップ部6の容器7に導入された不活性ガスだけを排出するためのガス排出用開口部16と、が備えられている。
本発明による高純度イソシアン酸の生成方法は、図2に示す加熱装置(A)3に配置されるシアヌル酸加熱用容器13の内部に存在する空気による酸化を防止するため、固形状のシアヌル酸2のガス化工程を行う前に、窒素、アルゴン等の不活性ガスによって加熱容器内部をガス置換することが実用的である。さらに、その後に行うガス化工程及び熱分解工程においても酸化反応を防止するため、加熱装置(A)3の加熱容器内部に外気が浸入するのを防止する必要がある。そのため、加熱装置(A)3による加熱は、図2に示すように、シアヌル酸を挿入するための入口開口部、及びシアヌル酸の熱分解によって生成するガス状のイソシアン酸を流出させるための出口開口部をそれぞれ1つだけ有する管状のシアヌル酸加熱用容器13を用いて行うことが好ましい。加熱装置(A)3による加熱は、シアヌル酸加熱用容器13の加熱部分(A1)11に相当する部分に載置して行う。シアヌル酸加熱用容器13の材質としては耐熱性の金属、ガラス及びセラミックが挙げられるが、加熱中の化学的安定性に優れ、加熱中に不純物ガスの発生が少ないという点から金属が好適である。金属の中でも、純度が高く、耐熱性に優れるSUSが特に好ましい。また、シアヌル酸の加熱状態を目視できるという点から石英ガラス等の耐熱性ガラスを使用してもよい。
また、上述したように、高純度のイソシアン酸を高収率で生成させるためには、ガス化工程及び熱分解工程において固形状のシアヌル酸2が微粉となって飛散し、ガス状のイソシアン酸中に混合することを抑制又は防止する必要がある。したがって、本発明による生成装置は、ガス化工程及び熱分解工程の加熱時において、加熱装置(A)3のシアヌル酸加熱用容器13の内部に不活性ガスを導入又は循環を行わないようにすることが好ましい。その際、例えば、ガス化工程及び熱分解工程のときに、シアヌル酸加熱用容器13の内部に不活性ガスを導入又は循環を行うために付帯させた設備の動作を停止したり、不活性ガスの配管部分の流路入口を閉じるようにする。
本発明はシアヌル酸のガス化と熱分解反応を分離させることを目的に、それぞれの加熱操作に対応した工程を有することを基本的な技術思想とするが、これらの工程は加熱部分を2つに分離して個別に行う必要は必ずしもない。例えば、図3に示すように、ガス化工程から熱分解工程に向けて加熱温度をT1からT2へと3以上のステップ又は連続的に設定温度を変えることができる加熱装置を加熱装置(A)として使用してもよい。図3は、図2に示す生成装置において加熱装置(A)3だけを抜き出して図示したものであり、(a)は段階的に加熱を行う加熱装置(A)の例として3ステップによる加熱条件の場合を示し、(b)は連続的に加熱条件を変えて加熱を行う加熱装置(A)の例を示す断面図である。また、図3の(a)及び(b)の下段には、温度設定条件を模式的に示している。
図3の(a)に示すように、3のステップで段階的に加熱を行う場合は、最前部の第1ステップにおける加熱温度を前記T1に設定し、最後尾のステップの加熱温度を前記T2に設定すればよい。第1のステップと最後部のステップに間に挿入するステップにおいて温度T12で加熱する加熱部分(A12)17は、前記T1より高く、T2より低く設定する。段階的な加熱を行う場合の昇温ステップ数は3ステップに限定されず、4ステップ以上であってもよいが、固体のシアヌル酸が載置される部分を含む加熱部分は温度T1に設定し、最後尾の加熱部分の温度はT2に設定する。また、各ステップに対応した温度に設定調整するときの各加熱部分の長さは、全ステップにおいて同じである必要はなく、シアヌル酸加熱用容器13の径及び長さに応じて異なっていてもよい。
図3の(b)に示すように、連続的な温度変化によって加熱を行う場合は、最前列の入口から少なくとも固体のシアヌル酸が載置される部分が含まれるまでの距離を前記T1の加熱温度に設定し、最後尾に位置する出口側から所定の距離までは加熱温度を前記T2に設定する。それらの間の距離は、加熱温度をT1からT2の間で連続的に変えて設定する。
図3に示す加熱設定温度条件は、筒状のシアヌル酸加熱用容器13の長手方向における温度変化(T1からT2)の勾配を緩やかにすることができるため、ガス化工程から熱分解工程への移行がスムーズに進むという利点を有する。特に、温度T1と温度T2との温度差が大きい場合には、ガス化から熱分解に至る工程において急激な温度変化による副反応の発生等に注意を払う必要がある。したがって、図3に示す加熱条件を採用することにより、シアヌル酸の熱分解工程において副反応による低分子量化合物の生成又は低分子量ガスの発生を抑制できるという効果が得られる。
<高純度イソシアン酸の内蔵キット>
本発明の生成方法によって生成する高純度イソシアン酸は、上述したように、コールドトラップ部6の容器7を冷却するときに使用される冷却剤の温度によってコールドトラップ部6の容器7内を冷却することにより、単独の液体又は固体の状態で捕集することができる。その後、コールドトラップ部6の容器7が有するガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16を、アンプル管のように封じ切るか、又は開閉バルブを有する配管を用いる場合には該開閉バブルを閉じた後、コールドトラップ部6の容器7から取り外してキャップ等によって封栓する。このようにして、高純度イソシアン酸の保菅及び運搬を可能にする内蔵キットとして利用することができる。このとき、前記内蔵キットの内部には不活性ガスの一部が排出されないで残存する状態となり、この残存した不活性ガスが希釈剤としてイソシアン酸の再重合や分解を抑制する機能を有するため、高純度イソシアン酸の化学的安定性の向上に寄与する。したがって、本発明による高純度イソシアン酸の内蔵キットは、低温で、又は凍結した状態で、中長期的に保管又は貯蔵することができるという利点を有する。さらに、本発明の内蔵キットによって高純度イソシアン酸を小分けして常時ストックできる状態を確保することができるため、イソシアン酸が必要なときに所望な量だけ使用するときに便利である。
本発明による高純度イソシアン酸の内蔵キットは、不活性ガスと同じ機能を有する希釈剤として、イソシアン酸に対して不活性の有機化合物を使用してもよい。イソシアン酸は前記有機化合物で希釈された高純度の液体又は固体の状態で、前記不活性ガスともに前記コールドトラップ部の容器内に内蔵及び密封される。前記イソシアン酸に対して不活性の有機化合物としては脂肪族、脂環式、又は芳香族の炭化水素が使用できる。本発明に使用する前記不活性の有機化合物は、沸点がイソシアン酸の沸点(23.5℃)よりも高く50℃以上で、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上であり、融点がイソシアン酸の沸点よりも低く0℃以下で、好ましくは-20℃以下であることが好ましい。さらに、沸点が150℃以上で、且つ、融点がイソシアン酸の融点(-86℃)に近い-20~-100℃の間にあるものがより好適である。そのような範囲に含まれる沸点を有する炭化水素化合物を選ぶことにより、前記イソシアン酸に対して不活性の有機化合物中からイソシアン酸を蒸発させて留出させるとき、不要な成分である前記有機化合物の混入を抑制又は防止することができる。前記有機化合物は、さらにイソシアン酸の融点(-86℃)に近い融点を有することにより、イソシアン酸を液体状態の均一相に近い形態で保管又は保存することが可能になり、希釈剤としての機能を十分に発揮することができる。仮に、両者の成分のどちらかが液相中において固体の状態で分離混合される場合は、分離したイソシアン酸の偏析によって再重合が起こる確率が高くなる場合がある。
前記イソシアン酸に対して不活性の有機化合物としては、例えば炭素数6~16の脂肪族鎖式又は脂環式の飽和炭化水素;キシレン、クメン等の芳香族炭化水素;ジエチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル;パラフィン又はその混合物が挙げられる。本発明においては、それらの化合物の中で、融点がイソシアン酸に近く、且つ、沸点が高く、取り扱いが容易な飽和炭化水素又はエーテルを選んで使用することが好ましい。
<高純度イソシアン酸のガス発生装置>
本発明による高純度イソシアン酸の生成装置を用いて単離された高純度イソシアン酸は、尿素SCRシステムによるNOx浄化機構の解明やその予測モデルの精度向上を行う場合、また、有機化合物の合成の原料として提供する場合に使用することができる。そこで、それらの場合に使用するときの高純度イソシアン酸のガス発生装置を図4~図7を用いて説明する。
本発明による高純度イソシアン酸のガス発生装置の例を図4に模式的に示す。図4に示すガス発生装置20は、図2に示す高純度イソシアン酸の生成装置1に備わる冷却槽8に代えて、コールドトラップ部6の容器7に捕集されたイソシアン酸を留出させるため、その融点以上で温度の調整と制御を行うための温度調整槽21を有する。それに加え、イソシアン酸をコールドトラップ部6の容器7から留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガス発生装置(B2)22と、該バブリングによって留出するイソシアン酸を不活性ガスで希釈することによりイソシアン酸の濃度調整を細かく行うための不活性ガス発生装置(B3)23と、を有する。さらに、不活性ガス発生装置(B2)22及び(B3)23のガス流路の途中には、それぞれ流量を調整するためのマスフローコントローラ24及び25を配置するのが実用的である。
本発明において不活性ガス発生装置(B2)22から供給される不活性ガスは、捕集された液状のイソシアン酸をバブリングして留出させるために使用するものであり、バブリング量によってイソシアン酸の濃度を変化させることができる。さらに、イソシアン酸の濃度調整を精密に行うときには不活性ガス発生装置(B3)23から供給する不活性ガスを利用して希釈操作を行う。その際、不活性ガスとイソシアン酸とをより均一に混合させるため両者のガスが合流する位置26に所定の空間を有する混合室を設けてもよい。
一方、バブリングによって留出するイソシアン酸の濃度を精密に調整する必要がない場合は、不活性ガス発生装置(B3)23からの不活性ガスの供給を止めることもできる。また、不活性ガス発生装置(B2)22からの不活性ガスをイソシアン酸の融点以上の温度に熱した状態でコールドトラップ部の容器に供給することも可能であり、より高温の不活性ガスを供給する場合は、図5において点線で示すように、不活性ガス流路の途中に加熱装置27を設けてもよい。
コールドトラップ部6の容器7に捕集されたイソシアン酸を発生させる場合は、容器7の冷却温度及びイソシアン酸ガスの発生速度と発生量に応じて、図2に示す高純度イソシアン酸の生成装置1から冷却槽8を設置したままの状態で、又は冷却槽8を取り外した後、さらに温度を上げてコールドトラップ部6の容器7の温度制御を行う。冷却槽8を取り外した後に温度調整を行う場合、例えば、次のような3通りの方法で行う。第1は、コールドトラップ部6の容器7に捕集されたイソシアン酸を温度調整槽21によってその融点以上の温度に上げた状態で、不活性ガス発生装置(B2)22から供給される不活性ガスを用いてバブリングを行う方法である。このとき、不活性ガス発生装置(B2)22から供給される不活性ガスは、加熱装置27による予熱工程を省略して供給される。第2は、温度調整槽21を使用しないで容器7の温度を上げる場合、不活性ガス発生装置(B2)22からの不活性ガスを加熱装置27によってイソシアン酸の融点以上の温度に熱し、コールドトラップ部6の容器7の内部に供給させる方法である。第3は、第1及び第2の方法を併用した方法であり、コールドトラップ部6の容器7に捕集されたイソシアン酸の温度を調整するとともに、加熱装置27で熱された不活性ガスを供給することにより、高純度イソシアン酸を発生させる方法である。なお、本発明のガス発生装置において冷却槽8を設置したままの状態でイソシアン酸ガスを発生させる場合、冷却槽8が温度調整槽21に相当し、温度を調整及び制御する槽として機能することになる。
図4に示すガス発生装置は、不活性ガス発生装置として(B1)4、(B2)22、及び(B3)23の3台を有するが、本発明においてはこれら3台の不活性ガス発生装置を1台又は2台に集約してもよい。図5に、高純度イソシアン酸の発生装置の変形例として、不活性ガス発生装置を1台に集約したときの例を模式的に示す。図5に示すように、不活性ガス発生装置28から供給する不活性ガスは開閉バルブ29a、29b、29cの開閉バルブによって3方向に分けられ、イソシアン酸の生成用、コールドトラップ部6の容器7に捕集されたイソシアン酸のバブリング用、及び留出したイソシアン酸ガスの濃度調整用としてそれぞれ使用することができる。そして、イソシアン酸の生成用として使用する不活性ガスを使用するときは、流路途中に設ける開閉バルブ29aを開け、開閉バルブ29b及び29cを閉じる。一方、イソシアン酸液体のバブリング用及び濃度調整用として開閉バブル29b及び29cを開ける場合は、開閉バルブ29aが閉じられる。ここで、3方向に分けて供給する不活性ガスの流量調整は、マスフローコントローラ30a、30b、30cによって行う。
図6は、イソシアン酸を捕集した内蔵キットを用いて高純度イソシアン酸を発生させるための装置を模式的に示す断面図である。図6に示すガス発生装置31は、内蔵キット32に捕集されたイソシアン酸を利用するためのものであり、図2に示す高純度イソシアン酸の生成装置とは分離して独立に設けられる。
図6に示すように、内蔵キット32は、図6の一点鎖線内に示す形態例のいずれかを使用することができる。内蔵キット32aは、ガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16が開閉栓を使って閉じられた状態でキャップが取り付けられる例である。内蔵キット32bは、ガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16がアンプル形状に封じ切られた例であり、イソシアン酸のガス発生装置に組み込む際に、再度、開口部の閉じられた部分を開けて使用する。また、内蔵キット32cは、ガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16を、イソシアン酸の生成方法及び発生方法においてそれぞれ分離して独立で使用するため、それらの2組が設けられた例である。イソシアン酸の生成が完了した後は、一方の組のガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16が封じ切られる。本発明の内蔵キットは、図6に示す例に限定されるものではなく、例えば、イソシアン酸の生成及びイソシアン酸ガスの発生が、ガス導入又は排出を切り替えるための方向変換用コックを有するような真空ラインを用いて一連の装置を用いて行われる場合は、ガス導入用開口部及びガス排出用開口部をそれぞれ分離して設ける必要がなく、内蔵キットの開口部は1つであってもよい。そのような内蔵キットを使ってイソシアン酸の発生操作を行うときには、新たにガス導入用及びガス排出用として2つの開口部を設ける。
高純度イソシアン酸のガス発生装置31は、例えば、内蔵キット32aが取り付けられた状態で、さらに、内蔵キット32a内のイソシアン酸をその融点以上に温度を上げて温度調整を行うための温度調整装置33と、イソシアン酸を内蔵キット32aから留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガスと、該バブリングによって留出するイソシアン酸の濃度を精密に制御するために使用する不活性ガスと、の両者を供給するための不活性ガス発生装置34と、を有する。不活性ガス発生装置34からの不活性ガスは、開閉バルブ35aと35bによって2方向に分けた後、マスフローコントローラ36a及び36bによって各用途に合わせて所望の量で供給される。また、不活性ガス発生装置34から開閉バブル35a及びマスフローコントローラ36aを通過して供給される不活性ガスは、イソシアン酸の融点以上の温度に熱してから内蔵キット32aに供給することも可能である。その場合は、図6において点線で示す加熱装置37を、不活性ガスの通路の途中に配置してもよい。
本発明による高純度イソシアン酸のガス発生装置は、さらに、高純度イソシアン酸及び不活性ガスとは異なる他成分ガスを前記高純度イソシアン酸ガス中に添加するために、図7に示す高純度イソシアン酸のガス発生装置40のように、他成分ガスの添加ラインを備えていてもよい。成分ガスの添加ラインは、以下に述べるような他成分ガス発生装置の少なくとも一つから構成される。
まず、イソシアン酸ガス中に、例えば水を添加するため、不活性ガス発生装置41が、開閉バルブ42b及びマスフローコントローラ(ガス流量調整装置)43bを介して水を内蔵する容器44に連結される構成である。容器44に内蔵される水は、不活性ガス発生装置41から供給される不活性ガスによるバブリングを行って水蒸気を発生し、さらに、不活性ガス発生装置41から開閉バルブ42c及びマスフローコントローラ43cを介して供給される不活性ガスによって水蒸気の濃度が調整される。このようにして所定の濃度に調整した水蒸気は、開閉バルブ42a及びマスフローコントローラ43aを介して不活性ガス発生装置41から供給される不活性ガスによってバブリングを行って内蔵キット49から揮発するイソシアン酸ガスと混合される。不活性ガス発生装置41からマスフローコントローラ43a、43b及び43cを介して供給される不活性ガスは、それぞれ開閉バルブ42a、42b、42cを使ってその流路の開閉が行われる。
図7に示すイソシアン酸のガス発生装置によって、水だけでなく、水以外の液状の化合物を用いる場合であっても同様の方法でイソシアン酸ガスへの添加を容易に行うことができる。水以外の液状の化合物としては、例えば、アルコール、エーテル、エステル、リン酸類、硫化物等の有機又は無機の液状化合物が挙げられる。例えば、イソシアン酸を用いて有機化合物の合成を行うとき、又はイソシアン酸の反応に与える他成分の影響を調べるとき等、前記液状の他成分を気体状態でイソシアン酸に添加する場合には図7に示す装置を使用することができる。
次に、上記液体成分の他にも、前記高純度イソシアン酸及び前記不活性ガスとは異なる他成分としてガス状のものを用いてイソシアン酸ガスに添加するときの構成について説明する。図7に示すように、他成分ガス発生装置45から供給される他成分ガスをマスフローコントローラ46によって流量調整を行い、所望の濃度でイソシアン酸ガスに添加する構成である。他成分ガスとしては、用途に応じて、例えば、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、一酸化二窒素(NO)、アンモニア(NH)及びガス状の低分子量有機化合物等が挙げられる。この構成を有する装置は、例えば、イソシアン酸の反応挙動に及ぼす他成分ガスの影響等を調べるときに利用することができる。
図7に示す発生装置は、他成分ガス発生装置として液状又は気体の化合物についてそれぞれ1種類を発生させるときの構成が記載されているが、本発明は他の成分がそれぞれ2種以上であっても、それぞれの成分をイソシアン酸ガスに添加するための上記構成の数を増やして並列又は直列に配置することによって対応することが可能である。また、イソシアン酸ガスと複数種の他成分ガスとの混合を同時に一か所の空間で行う場合は、図7において一点鎖線で示すようなガス混合室47を設けてもよい。
<高純度イソシアン酸の分析方法>
図7に示すガス発生装置40は、発生するイソシアン酸ガスの発生確認、及びその濃度の精密計測を行うため、各種の計測装置に繋げて使用することができる。図7には、計測装置として陽子移動型質量分析計(Proton Transfer Reaction Spectrometer:PTR-MS)及びフーリエ変換型赤外吸収測定装置(FT-IR)に連結した例を示している。イソシアン酸ガスの発生確認は、PTR-MS及びFT-IRを用いてイソシアン酸を計測するとともに、イソシアン酸以外の生成物の有無を定量的に確認することによって調べることができる。
PTR-MSによる計測は、質量分析部として四重極型の質量分析装置を用い、四重極に印加する電圧を調整することにより、特定の質量数のイオンのみを二次電子倍増管に導いて行うことができる。PTR-MSの計測によってイソシアン酸及びイソシアン酸の二量体や三量体の存在を高精度で確認することができ、本発明によって生成したイソシアン酸の純度を調べることができる。
FT-IRによって高精度にイソシアン酸の計測を行うためには、イソシアン酸以外の他成分ガスの干渉が少ない波長での吸光度に着目し、その波長で吸光度の計測を行う必要がある。FT-IR計測において、イソシアン酸の吸光度ピークは800cm-1付近と2200cm-1付近に現われるが、800cm-1付近は他成分の干渉が避けられない。そのため、高精度計測には吸光度が大きな2200cm-1付近での計測が適当である。さらに、2200cm-1付近の波長域において2220~2270cm-1では他成分ガスの一つである一酸化二窒素(NO)ガスの干渉があり、2280~2320cm-1付近では二酸化炭素(CO)ガスによる干渉が大きいことが分かった。本発明の高純度イソシアン酸の分析方法は、FT-IR計測時の波長として2265~2280cm-1の範囲に絞って吸光度を計測することにより、NOとCOだけでなく、他成分ガスの干渉を避けたイソシアン酸だけの計測を実現できる。さらに、2265~2280cm-1の波長範囲の中から、特に2267~2268cm-1の狭い波長域に絞って吸光度を計測することによりイソシアン酸濃度の高精度計測を行う。
FT-IRによるイソシアン酸濃度は、イソシアン酸の濃度に対する吸光度の積分値の検量線(キャリブレーションカーブ)をあらかじめ作成し、吸光度ピーク面積の実測値を前記検量線に対応させることにより高精度に計測することができる。検量線を作成するときのイソシアン酸濃度は、図7に示すイソシアン酸のガス発生装置40の出口部分に繋げたFT-IR装置に、イソシアン酸を導入するときの通路と並列にイソシアン酸の酸化触媒ライン48を設け、その酸化触媒ライン48でイソシアン酸から等量生成するCO濃度を用いて決定することができる。そのような方法で作成する検量線は、CO濃度から求める各イソシアン酸濃度と各イソシアン酸による吸光度スペクトルの2267~2268cm-1における吸光度の積分値とが1次に比例しており、良好な直線性を示すことが確認された。FT-IRによるイソシアン酸の濃度計測方法の詳細な具体例については、後述の実施例で説明する。
このように、本発明による高純度イソシアン酸の分析方法は、FT-IR計測によりイソシアン酸に起因する赤外吸収スペクトルの測定波数の中から2265~2280cm-1の領域で、より好ましくは2267~2268cm-1付近で観測される吸光度を用いることにより、イソシアン酸の濃度を高精度に計測することができる。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例において高純度イソシアン酸の生成方法及び生成装置の具体例を説明する。
イソシアン酸の発生源には、イソシアン酸の3量体である固形のシアヌル酸(C、98.0%以上、東京化成工業(株)製)を使用した。本実施例で使用した生成装置は、図2に示すように、加熱装置(A)において加熱部分11及び12にそれぞれ配置するヒーター2つと、不活性ガスとして窒素ガスを使用し、窒素ガスを熱するための加熱装置(C)5に配置するヒーター1つとから構成されている。図2において、固形のシアヌル酸2は、外径1インチ、長さ600mmの金属SUS管(シアヌル酸加熱用容器13に相当するもの)内に約20gをセットし、あらかじめSUS管内の雰囲気を窒素ガスで置換した。次いで、SUS管内への窒素ガスの供給を止めた後、窒素ガスを流さない状態で加熱部分11に配置するヒーターにより温度T1として350℃に加熱した。シアヌル酸は融点が330℃であるため、シアヌル酸2はSUS管内で昇華してガス化する。昇華してガス化したシアヌル酸ガスは、ヒーターにより温度T2として600℃に加熱された加熱部分12に達し、その部分で熱分解されてガス状のイソシアン酸を生成する。
このようにして生成したイソシアン酸は高濃度であり、温度が低下すると重合して再びシアヌル酸を生成する。そのため、不活性ガス(窒素ガス)発生装置(B1)4から発生させた窒素ガスの流量をマスフローコントローラ10で調整し、さらに、加熱装置(C)5に配置するヒーターによって前記温度T1と同じ350℃で熱した後、熱後の窒素ガスを配管のジョイント部分14でイソシアン酸ガスと合流させ、混合させることによりイソシアン酸ガスを希釈した。このように窒素ガスで希釈することによりイソシアン酸のシアヌル酸への重合反応を抑制しながら、冷却槽8を用いて-78℃に冷却したコールドトラップ部6の容器7へ導入した。容器7へ導入されたイソシアン酸は急冷され、液体状態となって捕集される。
捕集された液体イソシアン酸は、例えば図4に示すイソシアン酸のガス発生装置を用いる場合、不活性ガス発生装置(B1)4から窒素ガスの供給を停止するか、または窒素ガス流路途中に配置する開閉バルブ等によって供給を止めた後、不活性ガス(窒素ガス)発生装置(B2)22から窒素ガスを供給し、バブリングを行うことによりイソシアン酸ガスを発生させる。窒素ガスのバブリングによって発生するイソシアン酸ガスは、必要であれば、不活性ガス(窒素ガス)発生装置(B3)23から供給される窒素ガスにより希釈され、その濃度の調整が行われる。また、図5に示すイソシアン酸のガス発生装置を用いる場合は、イソシアン酸の生成用、バブリング用及びイソシアン酸の濃度調整用として各用途に応じて、不活性ガス(窒素ガス)発生装置28から供給される窒素ガスが、開閉バブル29a、29b及び29cを用いて流路の振り分けが行われる。
また、本実施例においてコールドトラップ部6の容器7に捕集された液体イソシアン酸は、容器7に備わるガス導入用開口部15及びガス排出用開口部16を封じ切るか、又は開閉バルブを有する配管を用いて該開閉バブルを閉じた後、図2に示す高純度イソシアン酸の発生装置1から取り外すことにより液体イソシアン酸の内蔵キットとして使用することができる。以下に述べる実施例2においては、内蔵キットに含まれる液体イソシアン酸を用いて、図7に示すイソシアン酸の発生装置40によってイソシアン酸を発生させた例を具体的に説明する。
<実施例2>
図7に示すイソシアン酸の発生装置40は、内蔵キット49の内部に不活性ガスを流入させ、不活性ガスバブリングによってイソシアン酸を発生させるライン(41、42a、43a)と、水を水蒸気の形態で添加するライン(41、42b、43b、44)と、希釈用の不活性ガスを供給するライン(41、42c、43c)とを有し、必要に応じて他成分ガスの添加ライン(45、46)を加えることができる。これら4つのラインは、イソシアン酸の発生装置において混合ガス発生部として構成される。各ガスは、流量をマスフローコントローラ(43a、43b、43c、46)で調整することにより濃度を制御した。
本実施例においては、温度調整槽50として-78℃に温度を制御した冷却槽をそのまま使用し、液体イソシアン酸が含まれる内蔵キット49の内部に不活性ガスとして窒素ガスを流入させることにより窒素ガスバブリングを行ってイソシアン酸を発生させた。温度調整槽50としては、内蔵キット49に捕集された液体イソシアン酸を-78℃に冷却するため、図2に示す高純度イソシアン酸の発生装置1で使用した冷却槽8と同じものを使用した。なお、内蔵キット49に含まれるイソシアン酸の温度をあげて留出を促進させる場合は、温度調整装置50及び不活性ガス予熱用の加熱装置51(図7において点線で示す装置)の少なくとも何れかを使用する。また、希釈用の不活性ガスは、バブリング用と同様に窒素ガスを用いた。
図7に示すように、イソシアン酸のガス発生装置40には前記混合ガス発生部に加え、PTR-MS及びFT-IRからなるガス測定部を併設した。このガス測定部により、イソシアン酸の発生確認を行った。
冷蔵キット49から発生させ、窒素ガスで希釈したイソシアン酸ガスをPTR-MSを通過させて計測した質量スペクトルは、イソシアン酸の質量数43に対応する信号強度が他の質量数の信号強度より6桁以上大きくなっており、他方、重合反応により生成が懸念されたイソシアン酸の二量体又は三量体を示す質量数86又は129の信号は検出されなかった。質量スペクトルに観測される全ての信号強度(質量数18~130までの和)に対する質量数43の信号強度の割合は99.5%であり、高純度のイソシアン酸が生成されたことが確認できた。
次に、FT-IRを用いて、イソシアン酸の赤外吸収スペクトルを計測した。FT-IR計測では、吸収長2m、体積190cmの加熱可能なセルを用いて計測を行った。セル部の温度は113℃とし、ガス流量は200~500sccm(standard cubic cm)とし、スペクトルは500~3500cm-1の範囲を波長分解能0.5cm-1で取得し、6回の積算を行った。
FT-IR計測によって得られた窒素ガス雰囲気下におけるイソシアン酸の赤外吸収スペクトルを図8に示す。図8から分かるように、2200~2300cm-1に大きなピークが観測されており、スペクトル形状からNH等の不純物が存在しないことが確認された。
以上のように、シアヌル酸から生成されるイソシアン酸を液体で捕集し、これを窒素ガスでバブリングすることにより、不純物をほとんど有しないイソシアン酸ガスを安定して発生させることができる。本実施例においては、液体イソシアン酸の温度を上げ、イソシアン酸の揮発を加速させても、不純物がほとんど含まれないイソシアン酸ガスを安定して発生させることができることを確認している。
<実施例3>
高精度なイソシアン酸の計測を行うためには、他成分ガスの干渉の少ない波長での吸光度を用いた計測を行う必要がある。そこで、図7に示すガス発生装置40を用いて、実施例2と同じ方法でイソシアン酸ガスを発生させ、FT-IRによって成分ガス共存下でイソシアン酸計測を行うための最適波長を検討した。イソシアン酸の計測に最適な吸収線を選択するため、イソシアン酸の加水分解反応速度計測時に共存する可能性が考えられる代表的なガスとして、CO、CO、NO、NO、NO、NH、及びHOの各ガスを使用した。本実施例では、加水分解反応速度計測実験等の検討を行うときに発生させるイソシアン酸濃度を~100ppm程度と想定し、これに対してHOは加水分解反応がイソシアン酸の疑一次反応とみなせる大過剰濃度として2%、その他の成分ガスの濃度についてはイソシアン酸濃度よりも数倍高い、CO:500ppm、CO:500ppm、NO:500ppm、NO:400ppm、NH:500ppm、NO:500ppmを想定した。これら各成分ガスの赤外吸収スペクトルを計測し、イソシアン酸の赤外吸収スペクトルと比較することにより、計測に適した干渉の少ない波長の検討及び探索を行った。
図8に示す赤外吸収スペクトルから分かるように、イソシアン酸計測には、吸光度のピークがある800cm-1付近及び2200cm-1付近の波長域が適しているが、他成分の干渉を避けて高精度の計測を実現するためには吸光度の大きな2200cm-1付近での計測が望ましい。イソシアン酸及び各成分ガスの赤外吸収スペクトルを比較した結果を図9に示す。図9は、イソシアン酸の特徴的な吸収ピーク及び他成分の吸収ピークを含む、2220~2320cm-1の波長範囲における吸光度を示す図である。
図9から、大部分で他成分ガスのスペクトル干渉を受けており、2220~2320cm-1付近ではNOの干渉が、2280~2320cm-1付近ではCOの干渉が大きいことが分かる。一方、2265~2280cm-1付近では、他成分ガスによる干渉の影響が小さく、NO及びCOの干渉を避けたイソシアン酸計測が実現できる。本実施例においては、2265~2280cm-1の範囲から特に2267~2268cm-1の吸光度に着目してイソシアン酸の計測を行った。イソシアン酸の計測において、2267~2268cm-1の吸光度が、NO、COを含め、他成分ガスから干渉を受けないことは次のようにして確認した。
まず、イソシアン酸単独の2267~2268cm-1における吸光度を計測した。次に、イソシアン酸を一定濃度発生させ、これにCO、CO、NO、NO、NH、NO、HOのいずれかの成分を追加し、さらに追加成分のガス濃度を変化させたときの2267~2268cm-1の吸光度を計測した。両者の吸光度を比較した結果、いずれの他成分ガスを流通させてもイソシアン酸の吸光度には大きな変化がみられなかった。このように、FT-IRによるイソシアン酸計測において、2267~2268cm-1の吸光度を選択することが計測波長として適当であることが確認された。
<実施例4>
本実施例において、イソシアン酸計測装置の濃度較正について説明する。イソシアン酸濃度の較正には、イソシアン酸の酸化により生成するCO濃度を計測する手法、及び市販のイソシアネート計測チューブを用いた。CO濃度は、FT-IRを用いて連続計測が可能であるため、発生するイソシアン酸のわずかな濃度変動にも対応して正確な濃度較正を行うことができる。一方、バッチ式のチューブ計測は、CO濃度によるイソシアン酸濃度計測の確認のために行った。
CO濃度の計測は、図7に示すガス生成装置40に備わるバイパスラインを用いて、イソシアン酸を直接FT-IRに導入して得たスペクトルと、同じ試料を酸化触媒ライン48に通過させてFT-IRに導入して得たCO濃度とからイソシアン酸濃度の較正を行った。酸化触媒ライン48においてイソシアン酸は酸化触媒52によって完全酸化されて等量のCOが生成するものとして、CO濃度によりイソシアン酸濃度を求めた。イソシアン酸酸化のための酸化触媒52としてはPt/Pd/Alを用い、ヒーターを用いて700℃に加熱した。
一方、バッチ式のチューブ計測では、チューブとしてSigma-Aldrich社製ASSETTMEZ4-NCO Dry Sampleを用いた。チューブ内部にはジブチルアミンが保持されており、イソシアン酸と反応すると安定な尿素誘導体を形成し、チューブ内に誘導体が捕集される。チューブ内に捕集した誘導体をLC-MS/MS(SCIEX社製QTRAP(R)5500LC-MS/MS)によって定量計測し、イソシアン酸濃度を計測した。捕集方法、抽出方法はISO17734法に準拠した。
まず、図7に示す高純度イソシアン酸のガス発生装置40において、希釈用窒素ガスの流量を制御することによりイソシアン酸濃度を変化させ、各イソシアン酸濃度におけるイソシアン酸の赤外吸収スペクトルをFT-IRによって測定し、各濃度の標準スペクトルを取得した。各スペクトルのイソシアン酸濃度は、酸化触媒ライン48においてイソシアン酸から等量生成するCO濃度を用いて求めた。CO濃度から求めたイソシアン酸濃度と、各濃度におけるイソシアン酸スペクトルの2267-2268cm-1の吸光度の積分値との関係を調べた。その結果を図10に示す。図10から分かるように、イソシアン酸濃度に対して吸光度は1次に比例し、良好な直線関係を示す。これにより、FT-IR計測で得られる吸光度からイソシアン酸濃度を決定することができる。
図10に示す結果の妥当性を調べるため、FT-IRによって得られたスペクトルから計測したイソシアン酸濃度と、上述したバッチ式のチューブ計測によってCO濃度から求めたイソシアン酸濃度との比較を行った。その結果、2つの異なる手法で計測されるイソシアン酸濃度は、相関係数が0.99と非常に高く、イソシアン酸が適用される濃度範囲においてよく一致した。すなわち、連続計測によるFT-IR計測において、イソシアン酸濃度を高精度に計測できることが確認された。
図10に示す検量線を用いて、実施例3と同様な方法でFT-IR計測した、他成分ガスの導入前と導入後のイソシアン酸濃度を比較した結果を図11に示す。図11から分かるように、イソシアン酸ガスがCO、CO、NO、NO、NO、NH、及びHOの各ガスと共存する混合ガスにおいても、これら他成分ガスによるスペクトル干渉の影響を受けることなく、イソシアン酸濃度の定量計測が可能である。
さらに、イソシアン酸濃度を変化させて図7に示すイソシアン酸のガス発生装置内に流通させたときのイソシアン酸濃度を連続計測した結果、各濃度水準において計測濃度のばらつきを標準誤差の2倍で評価すると、そのばらつきが±2.0~2.9ppmであった。このように、イソシアン酸濃度が連続的に変化する場合でも、精度よく計測できることが確認された。
以上のように、本発明の生成方法及び生成装置によれば、不安定なイソシアン酸を簡便な方法で確実に単離し、高純度イソシアン酸を高収率で生成することができる。また、本発明による高純度イソシアン酸の内蔵キットは、不安定なイソシアン酸を単離した状態で安定的に、且つ長期で使用することができるため、イソシアン酸を、加水分解等の反応解析や尿素SCRシステムモデルの予測のため、又は有機化合物の合成原料として利用することができる。
さらに、本発明による高純度イソシアン酸のガス発生装置は、上記生成装置又は内蔵キットとの組み合わせによって、イソシアン酸が必要なときに必要な量だけ使用したいときに利用することができるため、使い勝手が良く、且つ、メンテナンスにも優れる。その際に、イソシアン酸の発生量を正確に計測できる方法として、本発明のFT-IRによる定量評価法を活用することができる。
1・・・高純度イソシアン酸の生成装置
2・・・シアヌル酸
3・・・加熱装置(A)
4・・・不活性ガス発生装置(B1)
5・・・加熱装置(C)
6・・・コールドトラップ部
7・・・コールドトラップ部の容器
8・・・コールドトラップ部の冷却槽
9・・・連結配管
10・・・マスフローコントローラ
11・・・ガス化のための加熱部分(A1)
12・・・熱分解のための加熱部分(A2)
13・・・シアヌル酸加熱用容器
14・・・配管ジョイント部
15・・・ガス導入用開口部
16・・・ガス排出用開口部
17・・・加熱部分(A12)
20・・・高純度イソシアン酸のガス発生装置
21・・・温度調整槽
22・・・不活性ガス発生装置(B2)
23・・・不活性ガス発生装置(B3)
24,25・・・マスフローコントローラ
26・・・イソシアン酸ガスと不活性ガスとの合流位置
27・・・加熱装置
28,31,34・・・不活性ガス発生装置
29a,29b,29c・・・開閉バルブ
30a,30b,30c・・・マスフローコントローラ
31・・・高純度イソシアン酸のガス発生装置
32・・・イソシアン酸の内蔵キット
33・・・温度調整槽
34・・・不活性ガス発生装置
35a,35b・・・開閉バルブ
36a,36b・・・マスフローコントロー
37・・・加熱装置
40・・・高純度イソシアン酸のガス発生装置
41・・・不活性ガス発生装置
42a,42b,42c・・・開閉バルブ
43a,43b,43c,46・・・マスフローコントローラ
44・・・水を内蔵する容器
45・・・他成分ガス発生装置
47・・・ガス混合室
48・・・酸化触媒ライン
49・・・イソシアン酸の内蔵キット
50・・・温度調整槽
51・・・加熱装置
52・・・酸化触媒

Claims (10)

  1. イソシアン酸多量体であるシアヌル酸を熱分解することによってイソシアン酸を生成する方法であって、
    シアヌル酸を300℃以上の温度T1で加熱することにより前記シアヌル酸をガス化するガス化工程と、
    前記ガス化工程の後に連続して前記T1よりも高い温度T2で加熱することにより前記シアヌル酸を熱分解する熱分解工程と、
    前記熱分解工程で熱分解して得られるガス状のイソシアン酸を、前記熱分解工程で使用する加熱装置の出口側で、前記T1の温度以上に予熱された不活性ガスが形成する高温気流中に流入させることにより前記不活性ガスで希釈するためのガス混合工程と、
    前記ガス状のイソシアン酸と前記熱された不活性ガスとの混合気流をコールドトラップ部に導入し、前記コールドトラップ部の容器に設けた排出口から前記不活性ガスを排出させながら、前記コールドトラップ部をイソシアン酸の沸点以下に冷却し、前記イソシアン酸を捕集する捕集工程と、を有し、
    前記ガス化工程及び前記熱分解工程において、前記シアヌル酸は、管状のシアヌル酸加熱用容器の内部に載置され、該シアヌル酸加熱用容器の内部に前記不活性ガスの導入又は循環が行われない状態で加熱されることを特徴とするイソシアン酸の生成方法。
  2. 前記ガス化工程及び前記熱分解工程の加熱温度T1及びT2が、それぞれ330℃~450℃及び450℃~700℃であり、前記捕集工程においてコールドトラップの容器の冷却温度が20℃以下で、前記不活性ガスの沸点以上であることを特徴とする請求項1に記載のイソシアン酸の生成方法。
  3. イソシアン酸多量体であるシアヌル酸を熱分解することによってイソシアン酸を生成するための装置であって、
    前記シアヌル酸を内部に載置し、前記シアヌル酸を挿入するための入口開口部、及び前記シアヌル酸の熱分解によって発生するイソシアン酸ガスが流出するための出口開口部をそれぞれ1つだけ有する管状のシアヌル酸加熱用容器と、
    前記シアヌル酸加熱用容器を加熱するため、300℃以上の温度T1で加熱する加熱部分(A1)、及び前記加熱部分A1から発生するシアヌル酸ガスを前記加熱部分(Aの加熱温度よりも高い温度T2で加熱する加熱部分(A2)を有する加熱装置(A)と、
    不活性ガス供給装置(B1)と、
    該不活性ガス供給装置(B1)から供給される不活性ガスを加熱する加熱装置(C)と、
    前記シアヌル酸加熱用容器の内部に不活性ガスの導入又は循環が行われない状態で前記加熱装置(A)によって前記シアヌル酸の加熱が行われる前記加熱部分(A1)及び前記加熱部分(A2)を経て、前記シアヌル酸加熱用容器の出口開口部から排出されるイソシアン酸ガスを冷却して捕集するためのコールドトラップ部と、
    前記加熱装置(A)、加熱装置(C)及び前記コールドトラップ部の容器をそれぞれ繋ぐ連結配管と、を有し、
    前記連結配管の途中には、前記加熱部分(A2)の出口から排出されるイソシアン酸ガスを、前記加熱装置(C)を通して予熱された不活性ガスの気流中に流入させるための配管ジョイント部が設けられており、前記コールドトラップ部の容器には前記予熱された不活性ガスともに前記イソシアン酸ガスを導入するためのガス導入用開口部と、前記コールドトラップ部の容器に導入された前記不活性ガスだけを排出するためのガス排出用開口部と、が備えられていることを特徴とするイソシアン酸の生成装置。
  4. 請求項3に記載の生成装置によって得られるイソシアン酸の保菅及び運搬を可能にするため、前記イソシアン酸が、単独の液体又は固体の状態で、又は前記イソシアン酸に対して不活性の有機化合物で希釈された液体の状態で、前記不活性ガスともに前記コールドトラップ部の容器内に内蔵され、密封されたイソシアン酸の内蔵キット。
  5. 請求項3に記載のイソシアン酸の生成装置と、
    前記コールドトラップ部の容器をイソシアン酸の融点以上で温度の調整及び制御を行うための温度調整槽と、
    イソシアン酸をコールドトラップ部の容器から留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガス発生装置(B2)と、
    該バブリングによって留出するイソシアン酸ガスを不活性ガスで希釈することによりイソシアン酸の濃度調整を行うための不活性ガス発生装置(B3)と、
    不活性ガス発生装置(B2)及び(B3)のそれぞれガス流路途中に配置され、前記不活性ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置。
  6. 請求項4に記載の内蔵キットと、
    前記内蔵キットの温度をイソシアン酸の融点以上で温度の調整及び制御を行うための温度調整槽と、
    イソシアン酸をコールドトラップの容器から留出させる目的で不活性ガスによるバブリングを行うための不活性ガス発生装置(B2)と、
    該バブリングによって留出するイソシアン酸ガスを不活性ガスで希釈することによりイソシアン酸の濃度調整を行うための不活性ガス発生装置(B3)と、
    不活性ガス発生装置(B2)及び(B3)のそれぞれガス流路途中に配置され、前記不活性ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置。
  7. 請求項5又は6に記載のイソシアン酸の発生装置は、さらに、前記イソシアン酸ガス及び前記不活性ガスとは異なる他成分ガスを前記イソシアン酸に混合するための他成分ガス発生装置、及び該他成分ガス発生装置のガス流路の途中に配置され、前記成分ガスの流量を調整するためのマスフローコントローラと、を有することを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置。
  8. 請求項5~7のいずれか一項に記載のイソシアン酸のガス発生装置は、複数台で配置される不活性ガス発生装置が、その台数よりも数を減じた台数、又は1台に集約して設けられることを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置。
  9. 請求項5~8のいずれか一項に記載のイソシアン酸のガス発生装置は、該ガス発生装置から発生するイソシアン酸の濃度を、前記イソシアン酸に起因する赤外スペクトルの計測波長の中から2265~2280cm-1の領域で観測される吸光度を用いて計測するための計測装置として、赤外吸収スペクトル測定装置を備えることを特徴とするイソシアン酸のガス発生装置。
  10. イソシアン酸に起因する赤外スペクトルの測定波数の中から2267~2268cm-1の範囲で計測される吸光度の積分値とイソシアン酸濃度との関係をあらかじめ求めた検量線に、濃度未知のイソシアン酸を前記赤外吸収スペクトル測定装置によって実測するときに2267~2268cm-1の範囲で計測される吸光度の積分値を対応させることによりイソシアン酸の濃度を定量的に求めるための分析手段を有することを特徴とする請求項9に記載のイソシアン酸のガス発生装置。
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