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JP7135525B2 - 微細酸化物分散金属塊の製造方法 - Google Patents

微細酸化物分散金属塊の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶融金属を凝固させて金属塊を製造するにあたり、微細な酸化物系介在物が多量に分散した金属塊を製造することのできる、微細酸化物分散金属塊の製造装置及び微細酸化物分散金属塊の製造方法に関する。
本発明が対象とする金属材料はその種類を限定されるものではないが、以下に鉄鋼材料を例にとって説明する。
近年、船舶や建造物など鋼材を用いた構造物は大型化する傾向にあり、鋼材の高強度化、厚肉化が強く求められている。鋼材は一般的に溶接により接合されるが、鋼材の厚肉化に伴い、鋼材に対して大きな熱量を加える大入熱溶接を行うことが効率の観点から求められている。しかし、大入熱溶接時には溶接熱影響部(以下HAZと称する)が鋼材の溶融温度に近い高温にさらされるとともに、高温からの冷却速度が小さくなるため、組織がきわめて粗大化しやすく、さらに上部マルテンサイトや島状マルテンサイトといった鋼材の靭性を低下させる要因となる組織の形成が促進される。そのため、大入熱溶接構造物においては、HAZ部の靱性が低下する問題が生じていた。
HAZ部の靭性を改善する方法に関しては、微細なTiNを分散析出させることでこれらをピン止め粒子として用い、溶接時のオーステナイト粒粗大化を抑制する技術が広く知られている。しかし、入熱量50kJ/mmを超えるような大入熱溶接においては、HAZ部の温度が高温に達するため、鋼材内のTiNが固溶、消失してしまい、オーステナイト粒粗大化を食い止められないという問題がある。
このような大入熱溶接HAZ靭性の問題を解決するために、近年は高温下においても固溶しづらい酸化物系介在物を溶鋼段階で鋼材内に多量に分散させ、ピン止め粒子として有効活用する技術に注目が集まり、これまでに例えば特許文献1~2に挙げられるような技術が提案されている。
特許文献1は、母材およびHAZ靭性に優れた鋼材およびその製造方法に関するものである。具体的には、鋼材に含まれる全Ti量のうち、2.0μmを超えるTi含有介在物として鋼材に含まれるTi量が0.010%以下であり、0.1μmを超えるTi含有介在物として鋼材に含まれる全Ti量を全Ti量から引いた値が鋼材中全Ti量に対し0.30~0.70の割合にするというものであり、溶鋼段階におけるSi量の規定およびAl23含有介在物の個数を1mm2あたり10個以下としてから鋳造することで製造できるとしている。これにより、母材およびHAZの靱性改善をより精度良く実現できるとしている。
特許文献2は、母材靭性およびHAZ靭性に優れた高張力鋼板に関するものである。具体的には、最大径0.2~2μm以下の酸化物が200個/mm2以上存在し、マルテンサイト組織を29体積%以上含有し残部がベイナイトであることを要点とする。これにより、母材靱性およびHAZ靱性にすぐれる高張力鋼板を提供できるとしている。
外部から加えられた電場によってイオン(帯電した物質)を移動させることができる物質として、固体電解質が知られている。酸素イオンを移動させることができるので、酸素イオン導電体とも呼ばれる。固体電解質として安定化ジルコニアが古くから使われている。外部からジルコニアに電圧を加えるとマイナス極側からプラス極側へ酸素イオンが移動するため酸素ポンプを構成することができ、雰囲気制御などに利用される(例えば非特許文献1参照)。特許文献3には、溶融金属と接する面を酸素イオン導電体で構成し、電圧を付加して酸素イオン導電体側から溶融金属側に電流を流すことにより、金属酸化物からなる付着物の形成を防止する方法が開示されている。
特開2013-60631号公報 特開2014-9387号公報 特開2001-170761号公報
「固体電解質の冶金学への利用」日本金属学会会報10巻(1971)1号28-43頁
特許文献1および特許文献2はいずれも、溶接熱に起因するHAZ靭性の低下に対処する方法として、酸化物系介在物を鋼材内に多数分散させることによるHAZ靭性改善に言及している。しかし、これら方法では、鋼中に生成する酸化物系介在物の微細化が十分とは言えず、特に入熱量が大きい場合には十分なHAZ靭性が得られないという課題を有していた。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、大入熱溶接時にも十分なHAZ靭性を得られるような、微細な酸化物系介在物が多量に分散した金属塊を製造する方法を提供することである。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)溶鋼を収容する溶鋼容器と、少なくとも一部が安定化ジルコニアで構成される耐火物と、溶鋼容器内に収容された溶鋼に接触する対極電極と、直流電源とを有し、前記耐火物は、前記溶鋼容器内に溶鋼を収容したときにその一部が溶鋼中に浸漬し、前記耐火物の溶鋼に接触しない部分に接触電極を設け、前記直流電源の正極が前記対極電極に接続され、直流電源の負極が前記接触電極に接続されている、微細酸化物分散金属塊の製造装置を用い、
前記溶鋼容器に脱酸剤によって完全脱酸された溶鋼を収容し、前記直流電源を用いて通電し、前記溶鋼容器から溶鋼を鋳型に注入して金属塊を製造する際、安定化ジルコニアと溶鋼との接触面における平均電流密度を0.05~1.5A/cm 2 とすることを特徴とする、微細酸化物分散金属塊の製造方法
(2)前記安定化ジルコニアで構成される耐火物が、ストッパーを形成する耐火物であることを特徴とする上記(1)に記載の微細酸化物分散金属塊の製造方法
(3)金属塊の内部に最大径1μm以下の酸化物介在物が350個/mm2以上存在することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の微細酸化物分散金属塊の製造方法。
本発明によれば、微細な酸化物系介在物が多量に分散した金属塊(鋳片または金属材料)を製造することができる。
本発明を適用したタンディッシュ底部のストッパーおよび注入口の縦断面を模式的に示した図である。 本発明を適用したタンディッシュ底部のストッパーおよび注入口の縦断面を模式的に示した図である。 大気溶解炉を用いた実験の状況を示す図である。
鋼中の分散粒子による結晶粒成長のピンニングに関しては、基本的な式として、下の(a)式に示すZenerの式や、(b)式に示す修正Zenerの式がよく知られており、結晶粒径は分散粒子の径とその体積率で定式化されている。
D=(4/3)・(d/f) (a)
D=(8/3)・(d/f2/3) (b)
ここで、D:結晶粒径、d:分散粒子の半径、f:分散粒子の体積率である。すなわち、酸化物系介在物を用いてより大きなピンニング効果を得るためには、介在物の体積率が大きく、酸化物系介在物の径は小さいほど望ましいと考えられる。
微細な酸化物系介在物をより多く鋼中に分散させる方法として従来は、(1)酸素を多く含む溶鋼に脱酸剤を添加して酸化物系介在物を形成する、(2)脱酸剤成分を多く含む溶鋼に気体又は固体酸素源を添加して酸化物系介在物を形成する方法が知られている。しかし、これらの方法では、前述のように、十分に微細な酸化物を大量に形成することができなかった。本発明者らはそこで、一般的な製造方法により製造される鋳片より多量の酸化物系介在物を溶鋼中で形成し、かつそれらが微細かつ多量であることが望ましいと考え、それを実現せしむ方法について検討した。
前述のように、固体電解質(酸素イオン導電体)に外部から電場を加えることにより、酸素イオンを移動させることができる。溶融金属と接する面を酸素イオン導電体で構成し、電圧を付加して固体電解質(酸素イオン導電体)側から溶融金属側に電流を流すことにより、金属酸化物からなる付着物の形成を防止する方法は知られていた。本発明者らは逆に、溶融金属と接する面を固体電解質で構成し、電圧の向きを逆にして、溶融金属側から固体電解質側に電流を流すこととすれば、固体電解質から溶融金属に酸素が供給され、供給された酸素によって溶融金属中に微細な酸化物系介在物を多量に生成できるのではないかと着想した。即ち、(3)脱酸剤成分を多く含む溶鋼に固体電解質から酸素分を添加する方法を着想した。
また、上記(1)~(3)の方法で酸素もしくは脱酸剤を溶融金属中に添加するプロセスとして、(A)鋳込み段階の前(例えば製錬段階)において添加する方法、(B)鋳込みの段階において添加する方法の2つによる効果の度合いを比較評価すべきと考えた。
そこで、これらの組み合わせのうち、微細酸化物を溶鋼中に多量分散させるために最も適正な方法を確認するため、以下に示す実験を実施した。
大気溶解炉と真空溶解炉のそれぞれで100kgの溶鋼を製造し、表1に示す成分1と成分2の成分系に調整した。成分1については、溶鋼中に自由酸素が残っており、方法(1)で用いる。成分2については、Alによって完全脱酸がされており、方法(2)(3)で用いる。
大気溶解炉において溶鋼を製造したものについては、上記(1)~(3)の方法で溶鋼中に酸化物系介在物を形成する工程を大気溶解炉にて行い、速やかにタンディッシュを介して溶鋼を鋳型に注入し、鋼塊を製造した。即ち上記(A)の方法を用いている。
また、真空溶解炉において溶鋼を製造したものについては、溶鋼をタンディッシュに移注し、上記(1)~(3)の方法で溶鋼中に酸化物系介在物を形成する工程をタンディッシュにて行い、鋼塊を製造した。即ち上記(B)の方法を用いている。
(A)(B)いずれも、得られた鋼塊から20mm×20mmの大きさの介在物観察用サンプルを切り出し、SEM観察することで円相当径0.05~1μmならびに1μm以上の酸化物系介在物の個数密度(個/mm2)を調査した。
上記(3)の方法で脱酸剤成分を多く含む溶鋼に固体電解質から酸素分を添加する方法について説明する。固体電解質としては、5mol%CaO安定化ZrO2を用いた。
(A)の方法で大気溶解炉内で固体電解質から酸素分を添加するに際しては、図3に示す手段を用いた。大気溶解炉12内の溶融金属20に、固体電解質15で形成された棒状の酸素供給体13を浸漬させる。酸素供給体13と溶融金属20の接触面積は30cm2である。酸素供給体13の溶融金属20より上部側の外周に接触電極16を設けている。大気溶解炉12に対極電極17を設ける。直流電源9を準備し、酸素供給体13に設けた接触電極16を負極19側、大気溶解炉12に設けた対極電極17を正極18側として、リード線8によって直流電源9と接続した。大気溶解炉12内で、表1の成分2の成分系(完全脱酸)に対し、360秒にわたって電流1Aで電流を流し、その後大気溶解炉12からタンディッシュ1に移注した。
(B)の方法でタンディッシュ内で固体電解質から酸素分を添加するに際しては、図1に示す手段を用いた。タンディッシュ1の底部には上ノズル6と浸漬ノズル7が設けられ、ストッパー2によって溶融金属の流量調整が行われる。ストッパー2は、ストッパー鉄心3、ストッパーヘッド4、ストッパースリーブ5によって形成される。ここでは、ストッパースリーブ5を固体電解質15によって形成した。固体電解質15と溶融金属20の接触面積は30cm2である。ストッパースリーブ5の溶融金属20より上部側の外周に接触電極16を設けている。浸漬ノズル7がアルミナグラファイト製であり導電性を有するので、浸漬ノズル7の外周にリード線8を接触させ、浸漬ノズル7を対極電極17とした。直流電源9を準備し、ストッパースリーブ5に設けた接触電極16を負極、浸漬ノズル7(対極電極17)を正極として、リード線8によって直流電源9と接続した。図示しない真空溶解炉から溶融金属20をタンディッシュ1に移注し、浸漬ノズル7を経由してタンディッシュ1から溶融金属20を流出する過程において、表1の成分2の成分系(完全脱酸)に対し、360秒にわたって電流1Aで電流を流した。
方法(1)(酸素を多く含む溶鋼に脱酸剤を添加)については、表1の成分1(未脱酸)を対象とし、(A)の方法では大気溶解炉12内、(B)の方法ではタンディッシュ1内で、溶融金属中に表2に示す量のAlを添加した。
方法(2)(脱酸剤成分を多く含む溶鋼に酸素源を添加)については、(A)の方法では大気溶解炉12内、(B)の方法ではタンディッシュ1内で、溶融金属中に表2に示す合計量の気体酸素を、アルゴンとの混合ガスとして360秒にわたって吹き込んだ。
Al添加量、酸素ガス吹き込み量、通電条件、得られた鋼塊中のsol.AlおよびT.Oの濃度、酸化物系介在物個数を併せて表2に示す。
Figure 0007135525000001
Figure 0007135525000002
タンディッシュにおいて固体電解質を介した通電による酸素の添加を行ったもの(B3)において、微細な酸化物系介在物が最も多量に分散していた。その理由は詳細には不明であるが、以下のように推測できる。即ち、脱酸剤を添加したもの(A1)(B1)は、脱酸剤が鋼中で溶融するとともに急速に酸化物形成反応が進行し、粗大な酸化物ができた。酸素を添加したもの(A2)(B2)も同様に、酸素ガスの気泡周囲で急速に酸化物形成反応が進行し、粗大な酸化物ができたと推定される。また、同じ通電でも、溶解炉で通電されるもの(A3)よりもタンディッシュにて通電した場合(B3)に微細な酸化物系介在物が多量に存在したのは、B3条件では、酸素が供給され、微細な酸化物系介在物ができてからすぐに溶鋼が鋳型に注入されるため、鋳型内で凝固するまで時間が短く、微細な酸化物系介在物の凝集合体が起こりづらかったためと推定される。
また、固体電解質を介した通電による酸素の添加により生成する酸化物系介在物は1μm未満のものが主であり、表2に示されるように、溶鋼全体の酸素量を大きく上げることなく微細な酸化物系介在物が多数分散する溶鋼を得ることができる。
この実験結果は、脱酸剤を上記のAlに替えて、Zr、REMなど種々の酸化物の組み合わせに変更して行った実験においても、微細な酸化物系介在物はタンディッシュにて通電された場合において最も多量に存在する傾向は変わらなかった。
ここで、固体電解質を用いて溶鋼中に酸素を供給するためには、雰囲気中の酸素ガスを酸素イオンとして固体電解質内に取り込み、固体電解質内で酸素イオンを輸送し、溶鋼中に溶融酸素として放出する必要がある。すなわち、固体電解質はその一部が溶鋼内に浸漬し、他の一部が導線に接続された接触電極に接触し、接触電極部は雰囲気中に設置される。また、固体電解質への酸素の取り込みは固体電解質、接触電極、雰囲気の三相界面で行われるため、固体電解質と接触電極の接触面積は大きい方が望ましい。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。本発明の微細酸化物分散金属塊の製造装置は、溶融金属20を収容する溶融金属容器21と、少なくとも一部が固体電解質15で構成される耐火物22と、溶融金属容器21内に収容された溶融金属20に接触する対極電極17と、直流電源9とを有し、前記耐火物22は、溶融金属容器21内に溶融金属20を収容したときにその一部が溶融金属20中に浸漬し、前記耐火物22の溶融金属20に接触しない部分に接触電極16を設け、直流電源9の正極18が対極電極17に接続され、直流電源9の負極19が接触電極16に接続されていることを特徴とする。図1、図2に示すように、溶融金属容器20をタンディッシュ1とすることができる。対極電極17を浸漬ノズル7とすることができる。
固体電解質としては、酸化物系の固体電解質を用いることができる。安定化ジルコニア(ZrO2)が好ましい。例えば、CaO安定化ZrO2、Y23(イットリア)安定化ZrO2を用いることができる。
固体電解質で構成される耐火物22が、ストッパー2を形成する耐火物であると好ましい。図1、図2に示す例では、ストッパースリーブ5を固体電解質15で形成している。固体電解質15において、溶融金属20と接触する部位から接触電極16を設けている部位に至るまでの温度は、溶融金属20からの輻射熱と熱伝導の結果として、600℃以上の温度を確保することができる。
上記本発明の微細酸化物分散金属塊の製造装置を用いた、微細酸化物分散金属塊の製造方法においては、溶融金属容器21に溶融金属20を収容し、直流電源9を用いて通電し、その後、溶融金属容器20から溶融金属20を図示しない鋳型に注入して金属塊を製造することを特徴とする。直流電源9の正極18が対極電極17に接続され、直流電源9の負極19が接触電極16に接続されているので、直流電源9を用いて通電すると、電流は、正極18から対極電極17を経由して溶融金属容器21中の溶融金属20内を流れ、耐火物22の溶融金属との接触部から耐火物22中に流れ、耐火物に接触する接触電極16を経由して、直流電源9の負極19へと流れる。このとき固体電解質である耐火物22中では、接触電極16の部分で雰囲気から耐火物22に酸素が取り込まれ、電流の向きと逆向きに、接触電極16の部分から溶融金属20と接触する部分に向けて酸素イオンが移動し、溶融金属中に酸素が供給される。
本発明に係る通電による微細酸化物系介在物の分散方法において、直流電源9の正極18を溶融金属20側の対極電極17に、負極19を固体電解質15側の接触電極16に接続し、通電を行うことで溶融金属20への酸素供給が可能であるが、過大な時間およびコストをかけることなく微細酸化物系介在物を鋳片内で一定数以上存在させるためには、平均電流密度を適正な範囲に制御することが望ましい。なお、ここで言う平均電流密度とは、電流量を固体電解質のうち溶鋼に浸漬されている部分の面積で除した単位面積当たりの電流値である。
平均電流密度が0.05A/cm2未満では、鋼中に十分な量の酸素を効率良く供給することができず、時間当たりの溶鋼の処理量を少なくせざるを得ないばかりか、鋼中で微細酸化物系介在物の凝集合体を招き望ましくない。一方、平均電流密度が1.5A/cm2を超えると、固体電解質内において電荷の担体となる物質のうち電子が占める割合が高まる。電子による電気伝導は鋼中への酸素富化に寄与しないため、過大な電流は製造コスト上昇の原因となる。以上より、電流密度は0.05A/cm2以上1.5A/cm2以下とすることが望ましい。
上記本発明の微細酸化物系介在物の分散金属塊の製造方法で製造された金属塊の内部には、最大径1μm以下の酸化物介在物が350個/mm2以上存在する。このように微細な酸化物を分散した結果として、この金属塊を用いて製造された金属構造物において、大入熱溶接を行ったときのHAZ靱性が優れるという効果を得ることができる。
本発明に係る金属塊の製造方法においては、溶鋼中の酸素濃度は不可逆的に増大するため、当該溶融金属容器内に持ち込まれる溶鋼中にAl23クラスターなどの粗大な酸化物系介在物を除去する効果は期待できない。粗大な酸化物系介在物が含有されていたとしても本発明により得られる微細な酸化物系介在物を多量分散させる効果は問題なく得られるが、浸漬ノズルの閉塞、金属塊加工時の割れ発生などが懸念される。よって、当該溶融金属容器への注入前に溶鋼中の酸素濃度は十分下げておくことが望ましい。
本発明の効果を得るためには、固体電解質を溶鋼に浸漬した上で、固体電解質が酸素を含む雰囲気と接する部分と溶鋼の間で通電を行う必要がある。その方法として、例えば図1に示す装置のように、ストッパー2のストッパースリーブ5を固体電解質15とし、ストッパースリーブ5上方の非浸漬部に接触電極16を設け、浸漬ノズル7を対極電極17とし、固体電解質15と溶融金属20との接触部を介して通電する方法が有効である。また、図2に示す装置においては、ストッパースリーブ5を固体電解質15とする点については図1と同様である。一方図2においては、円筒状のストッパースリーブ5の内周に接触電極16を設けている。ストッパースリーブ5の内周側とストッパー鉄心3の外周との間に通気部を設け、ストッパースリーブ5の内周に金属メッシュ製の接触電極16を設ける方法が考えられる。ストッパースリーブ5の内周側とストッパー鉄心3の外周との間に通気用のパイプを配設することもできる。図2に示す装置であれば、固体電解質15における溶融金属20との接触部と接触電極16との間隔を短くすることができるので、効率よく通電を行うことが可能となる。また図2においては、対極電極17として、溶融金属20に浸漬した電極棒23を用いている。
本発明では、その方法をストッパー方式の注入系を使用した図を代表例として示したが、固体電解質を溶鋼内に浸漬したもの、ここではストッパーを直流電源の負極に接続する電極として用い、電子を荷電粒子とする耐火物、ここでは浸漬ノズルを直流電源の正極に接続する電極として溶鋼との通電を図れば、その位置を問わず効果を得ることができる。また、本発明はストッパー方式のタンディッシュのみならず、SN(スライディングノズル)方式のタンディッシュやSNとストッパーを併用するタイプのタンディッシュにも適用することができる。
溶鋼を連続鋳造するに際して本発明を適用した。一次精錬装置で精錬した溶鋼を取鍋に出鋼し、その後、真空精錬装置で脱ガス処理を行い、取鍋の溶鋼を連続鋳造装置のタンディッシュに移注し、タンディッシュから連続鋳造鋳型内に溶鋼を注入し、鋼を連続鋳造して鋳片を形成した。タンディッシュ1の底部には注入用の開口部が設けられ(図1参照)、当該開口部は、上ノズル6と浸漬ノズル7から構成される。上ノズル6の上部にストッパー2が設けられ、ストッパーの先端部(ストッパーヘッド4)と上ノズル6の開口部との間の開口面積を調整することにより、タンディッシュ1から鋳型(図示せず)への注入速度を調整する。
以上説明したようなストッパー方式の注入装置により溶鋼を連続鋳造するためのタンディッシュ1において、図1に示すようにストッパー2の胴部のストッパースリーブ5を5mol%のCaOで安定化したZrO2(固体電解質15)で構成した。ストッパースリーブ5の上部には、ストッパースリーブ5を取り巻くように接触電極16を設けた。直流電源9を準備し、直流電源9の負極19と接触電極16の間をリード線8で接続した。浸漬ノズル7を対極電極17とし、直流電源9の正極と対極電極17との間をリード線8で接続した。以上のように設定することで溶鋼を介して電気回路を構成した。
このタンディッシュ1に、上記のようにあらかじめ真空精錬設備にて脱ガス処理を行い、表3に示すaもしくはbの成分に調整した溶鋼を注入した。タンディッシュ内溶鋼表面がストッパースリーブ5の固体電解質15(安定化ZrO2)の下限位置より上、接触電極16より下に保持されるよう制御しつつ、直流電源9の正極18から、対極電極17である浸漬ノズル7を経由し、さらにタンディッシュ1内の溶融金属20に電流が流れ、溶融金属20と固体電解質15との接触部において固体電解質15に電流が流れる。固体電解質15内においては、さらに接触電極16まで電流が流れ、接触電極16からリード線8を経由して直流電源9の負極19に電流が戻る。このようにして直流電流を流しながら1550℃の溶鋼を200mm×200mmの矩形鋳型に注入し、鋳造速度0.80m/分で連続鋳造した。固体電解質15内の直流電流に対応して、接触電極16の位置で大気から酸素が固体電解質15内に供給され、固体電解質15内の電流と逆向きに酸素イオンが移動し、固体電解質15と溶融金属20との接触部から溶融金属20内に酸素が供給される。比較例においては、正極18と負極19の接続を逆にして固体電解質15内の電流を逆向きとして比較例、電流を流さない比較例の鋳造も行った。
連続鋳造で製造した鋳片内における酸化物系介在物個数の測定は、鋳片の厚み中心部から20mm×20mmの大きさの観察用サンプルを切り出し、鏡面研磨面をSEM観察することで行った。0.05~1μmの大きさの酸化物系介在物は10000~50000倍の倍率で10mm2の面積にわたって、1μm以上の大きさの酸化物系介在物個数の測定は1000~5000倍の倍率で200mm2の面積にわたってそれぞれ観察した。
表3に鋼材の化学成分、表4通電条件と介在物の分散状態を示す。
Figure 0007135525000003
Figure 0007135525000004
表4からわかるように、ストッパー2の接触電極16側を負極19、浸漬ノズル7(対極電極17)側を正極18に接続して電流を流した実施例1~4では、0.05~1μmの微小な酸化物系介在物がいずれも350個/mm2を超えて存在し、しかも1μm以上の酸化物系介在物数の平均値は電流を流さなかった水準と大きな差は認められなかった。
一方、通電方向が同じでも平均電流密度が0.04A/m2と過少であった比較例5は0.05~1μmの微小な酸化物系介在物が350個/mm2に達しておらず、本発明例より劣った。また、ストッパー2の接触電極16側を正極18、浸漬ノズル7(対極電極17)側を負極19に接続して電流を流した比較例6~8および、直流電源を接続しなかった比較例9~10では、0.05~1μmの微小な酸化物系介在物がいずれも50個/mm2未満であった。
1 タンディッシュ
2 ストッパー
3 ストッパー鉄心
4 ストッパーヘッド
5 ストッパースリーブ
6 上ノズル
7 浸漬ノズル
8 リード線
9 直流電源
10 羽口レンガ
11 金属メッシュ
12 大気溶解炉
13 酸素供給体
15 固体電解質
16 接触電極
17 対極電極
18 正極
19 負極
20 溶融金属
21 溶融金属容器
22 耐火物
23 電極棒

Claims (3)

  1. 溶鋼を収容する溶鋼容器と、少なくとも一部が安定化ジルコニアで構成される耐火物と、溶鋼容器内に収容された溶鋼に接触する対極電極と、直流電源とを有し、前記耐火物は、前記溶鋼容器内に溶鋼を収容したときにその一部が溶鋼中に浸漬し、前記耐火物の溶鋼に接触しない部分に接触電極を設け、前記直流電源の正極が前記対極電極に接続され、直流電源の負極が前記接触電極に接続されている、微細酸化物分散金属塊の製造装置を用い、
    前記溶鋼容器に脱酸剤によって完全脱酸された溶鋼を収容し、前記直流電源を用いて通電し、前記溶鋼容器から溶鋼を鋳型に注入して金属塊を製造する際、
    安定化ジルコニアと溶鋼との接触面における平均電流密度を0.05~1.5A/cm 2 とすることを特徴とする、微細酸化物分散金属塊の製造方法。
  2. 前記安定化ジルコニアで構成される耐火物が、ストッパーを形成する耐火物であることを特徴とする請求項1に記載の微細酸化物分散金属塊の製造方法
  3. 金属塊の内部に最大径1μm以下の酸化物介在物が350個/mm2以上存在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細酸化物分散金属塊の製造方法。
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