JP7120322B2 - プレコート鋼板 - Google Patents
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Description
プレコート鋼板は、その用途に応じて、耐食性、加工性、意匠性等といった様々な特性が希求されており、かかる特性を実現するために、従来様々な技術が提案されている。
また、プレコート鋼板の着色皮膜の形成には、溶剤系の塗料が使用される場合が多い。プレコート鋼板の製造に溶剤系の塗料を使用する場合には、インシネレーターや臭気対策を施した設備が必要となるため、プレコート鋼板は塗装専用ラインで製造されることが一般的である。従って、塗装原板の製造工程だけでなく塗装工程が必要となるため、プレコート鋼板の製造コストが増大する。
これに対し、安価でありながら、意匠性や耐食性、加工性、耐候性等のプレコート鋼板に求められる性能を実現できる技術が希求されている。
前記着色皮膜層が前記リン酸化合物を含む場合には、前記リン酸化合物の濃度は、前記着色皮膜層の全固形分質量に対して、P量に換算して0.3~5.0質量%であり、前記リン酸化合物の平均粒子径が、0.10~10μmであり、
前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記着色皮膜層と前記亜鉛合金めっき層との界面と平行方向に200μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在する。
前記着色皮膜層が前記バナジウム化合物を含む場合には、前記バナジウム化合物は、バナジン酸化合物又は酸化バナジウムであり、前記バナジウム化合物の濃度は、前記着色皮膜層の全固形分質量に対して、V量に換算して0.5~8.0質量%であり、前記着色皮膜層の前記厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記界面から表面側に向かって前記厚さ方向に1μmかつ前記界面と平行方向に200μmの範囲内に、バナジウム元素の濃度が3%以上である第2の領域が1~10個存在する。
(2)上記(1)に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層が前記リン酸化合物を含んでもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記界面と平行方向に40μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在してもよい。
(4)上記(1)~(3)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記界面と平行方向に20μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在してもよい。
(5)上記(1)~(4)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の層厚が8μm超、15μm以下であり、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に2μmの範囲である表面部、前記着色皮膜層の層厚中心を中心として前記厚さ方向に2μmの範囲である中心部、前記界面から前記表面側に向かって前記厚さ方向に2μmの範囲である深部それぞれに対して、FE-EPMAを用いて2μm×200μmの範囲で検出されるリン元素の濃度を測定し、前記表面部のリン酸化合物濃度をPA、前記中心部のリン酸化合物濃度をPB、前記深部のリン酸化合物濃度をPCとしたときに、PA/PBが0.5~2.0であり、かつ、PA/PCが0.5~2.0であってもよい。
(6)上記(1)~(5)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の層厚が8μm以下であり、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に2μmの範囲である表面部及び前記界面から前記表面側に向かって前記厚さ方向に2μmの範囲である深部それぞれに対して、FE-EPMAを用いて前記厚さ方向の断面をマッピング観察し、前記表面部のリン酸化合物濃度をPA、前記深部のリン酸化合物濃度をPCとしたときに、PA/PCが0.5~2.0であってもよい。
(7)上記(1)~(6)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層が前記バナジウム化合物を含んでもよい。
(8)上記(7)に記載のプレコート鋼板では、前記バナジウム化合物の平均粒子径が、0.10~10μmであってもよい。
(9)上記(7)又は(8)に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の層厚をTとし、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向にTかつ前記界面と平行方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPD、前記着色皮膜層の層厚中心から前記界面に向かって前記厚さ方向にT/2かつ前記界面方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPEとしたときに、PE/PDが1.0~5.0であってもよい。
(10)上記(7)~(9)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記亜鉛合金めっき層が、4~22質量%のAlと、1~5質量%のMgと、を含有してもよい。
(11)上記(7)~(10)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記亜鉛合金めっき層が、0.01~2.0質量%のSiを含有してもよい。
(12)上記(7)~(11)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色顔料が、アルミ顔料であってもよい。
(13)上記(12)に記載のプレコート鋼板では、前記着色顔料の平均粒子径が7~30μmであり、かつ、平均アスペクト比が20以上であってもよい。
(14)上記(12)又は(13)に記載のプレコート鋼板では、前記着色顔料が、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に0.5μmの範囲、又は、前記界面から前記表面に向かって前記厚さ方向に0.5μmの範囲には存在しなくてもよい。
(15)上記(1)~(14)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層に含まれる前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂であってもよい。
(16)上記(1)~(15)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層がメラミンを更に含有してもよい。
(17)上記(16)に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の表面に、メラミン濃化層を備えてもよい。
(18)上記(1)~(17)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層と前記亜鉛合金めっき層との間に、化成処理皮膜層を更に備えてもよい。
(19)上記(1)~(18)の何れか一態様に記載のプレコート鋼板では、前記着色皮膜層の層厚が、2μm以上であってもよい。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(プレコート鋼板100)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプレコート鋼板100の層構成を示す模式図である。プレコート鋼板100は、鋼板1と、鋼板1上に設けられ、1~25質量%のAlと、0.1~13質量%のMgと、0~2.0質量%のSiと、を含有し、残部がZn及び不純物からなる亜鉛合金めっき層10と、亜鉛合金めっき層10上に設けられ、リン酸化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色皮膜層20と、を備える。
本実施形態に係るプレコート鋼板100に用いられる鋼板(母材鋼板)1は特に限定されず、公知の特性や化学組成を有する鋼板1を使用することが可能である。鋼板1の化学組成は特に限定されず、プレコート鋼板100に求められる機械的強度を実現可能な化学組成であることが好ましい。
本実施形態に係る鋼板1上には、1~25質量%のAlと、0.1~13質量%のMgと、0~2.0質量%のSiと、を含有し、残部がZn及び不純物からなる亜鉛合金めっき層10が設けられている。すなわち、本実施形態に係る亜鉛合金めっき層10は、Zn、Al及びMgを有する三元系の亜鉛合金を含有する合金めっき層である。本実施形態に係るプレコート鋼板100は、亜鉛合金めっき層10を有することで、溶融亜鉛めっき鋼板よりも優れた耐食性を実現できる。
亜鉛合金めっき層におけるMgの濃度が0.1質量%未満である場合には、耐食性が不足するため、好ましくない。一方、Mgの濃度が13質量%を超える場合には、亜鉛合金めっき層10を形成する際に用いられるめっき浴中でドロスが発生するため、好ましくない。
本実施形態に係る亜鉛合金めっき層10は、4~22質量%のAlと、1~5質量%のMgと、を含有することが好ましい。
鋼板1へのめっき付着量の制御は、鋼板1の引き上げ速度や、めっき浴の上方に設けられたワイピングノズルより噴出するワイピングガスの流量や、流速調整などにより行うことが可能である。
亜鉛合金めっき層10の製造に当たっては、切板めっき法やコイルを用いた連続法等を用いてもよい。
亜鉛合金めっき層10の付着量は、より好ましくは、鋼板1の片面当たり25~95g/m2の範囲である。
亜鉛合金めっき層10上には、着色皮膜層20(より詳細には、単層の着色皮膜層20)が設けられる。着色皮膜層20は、リン酸化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を少なくとも含有する。
鋼板1の両面に亜鉛合金めっき層10が設けられている場合、着色皮膜層20は一方の亜鉛合金めっき層10上に設けられてもよく、両方の亜鉛合金めっき層10上に設けられてもよい。
本実施形態に係る着色皮膜層20に含有されるリン酸化合物は、着色皮膜層20中に一定量が偏りなく分布していることが重要であり、リン酸化合物がそのように分布する限り、リン酸化合物が含有される形態については、特に限定されない。以下、かかるリン酸化合物について、詳細に説明する。
着色皮膜層20の層厚が8μm超、15μm以下である場合には、着色皮膜層20の表面から厚さ方向に2μmの範囲である表面部60、着色皮膜層20の層厚中心90を中心として厚さ方向に2μmの範囲である中心部70、界面40から表面側に向かって厚さ方向に2μmの範囲である深部80それぞれに対して、FE-EPMAを用いて2μm×200μmの範囲で検出されるリン元素の濃度を測定し、表面部60のリン酸化合物濃度をPA、中心部70のリン酸化合物濃度をPB、深部80のリン酸化合物濃度をPCとしたときに、PA/PBが0.5~2.0であり、かつ、PA/PCが0.5~2.0であることが好ましい。PA/PB及びPA/PCが0.5~2.0である場合には、リン酸化合物が着色皮膜層20全体に均等に分散しており、優れた耐食性を得ることができるためである。
着色皮膜層20の第1の領域30以外の部分は、バインダー樹脂に由来する各種の樹脂成分を主成分とし、その他に着色顔料等を含んでもよい。
上記のような分析方法により、着色皮膜層20中のメラミン樹脂を確認することができる。なお、着色皮膜層20中のメラミン樹脂は、エネルギー分散型X線分光法、又は、フーリエ変換赤外分光法で着色皮膜層20を分析して、窒素とオスミウムを検出したり、トリアジン環に帰属される振動ピークを検出することでも確認できる。
従来のプレコート鋼板のように、溶剤系塗料を用いて、亜鉛合金めっき層10側からプライマー層、着色皮膜層、クリア皮膜層等の複数層を形成する場合(つまり、合計膜厚が20μm以上と厚い場合)には、プライマー層にリン酸化合物を多量に添加することで、耐食性を向上することが可能である。
従って、本実施形態に係る着色皮膜層20に含まれるリン酸化合物は、例えば図4に示したように、着色皮膜層20の平面方向に一定量が均一に存在し、かつ、過剰に含まれないことが必要である。
しかしながら、図7に示したように、亜鉛合金めっき層10の近傍のみにしか第1の領域30(リン酸化合物)が存在しない場合には、次のような問題が生じる。つまり、亀裂の深さが場所によって異なると、着色皮膜層20の表面近傍に第1の領域30(リン酸化合物)が存在しないために、亀裂が浅い箇所からのリン酸イオンの溶出量が少なくなり、耐食性が劣る。
従って、リン酸化合物は、着色皮膜層20の平面方向のみならず、着色皮膜層20の膜厚方向にも均一に分布することが重要となる。
FE-EPMAマッピング観察によりリン元素濃度を測定する方法は以下の通りである。すなわち、プレコート鋼板を適当な大きさに切断して、ミクロトーム、集束イオンビーム加工、樹脂埋め込み研磨等により、断面観察可能な試験体を作製する。その上で、断面方向から着色皮膜層のFE-EPMAマッピング分析を、加速電圧15kV(ビーム径は約30nm)、倍率5000倍で実施する。検出対象元素としてPを選択し、P元素の存在位置及び元素濃度をマッピングする。なお、P元素濃度は、リン酸濃度が既知のサンプルを用いて作成される検量線(濃度と検出強度の関係式)から求める。
なお、マッピング分析において1視野で200μmの範囲を観察できない場合には、複数の視野でマッピング分析を行い、各視野での分析結果を合計することで200μmの範囲の分析結果とする。
すなわち、リン酸化合物は、着色皮膜層20のマトリックスとして機能するバインダー樹脂と比較して比重が大きいために、通常は、着色皮膜層20を形成するための処理液が塗布された後、処理液を乾燥及び固化させるまでの間に、下方(すなわち、亜鉛合金めっき層10に向かう方向)に沈降しやすい状態となっている。しかしながら、バインダー樹脂として水分散型の水性樹脂を用いることで、リン酸化合物同士が密に凝集せず分散しやすい状態となる。これにより、リン酸化合物の分散が適切に実現されて、上記のような、特定のリン酸化合物の分布状態が実現される。
これらのリン酸化合物のうち、あるリン酸化合物を単独で用いてもよいし、複数のリン酸化合物を組み合わせて用いてもよい。これらリン酸化合物の中では、トリポリリン酸二水素アルミニウムを用いることが、特に好ましい。
リン酸化合物の平均粒子径は、1~5μmの範囲内であることがより好ましい。
リン酸化合物の濃度が5.0質量%を超える場合には、リン酸化合物が着色皮膜層20中に密な間隔で分布するため、上記のようなリン酸化合物の分布状態を実現することができない。また、リン酸化合物の濃度が5.0質量%を超える場合には、腐食環境においてリン酸化合物が溶出した箇所が腐食因子の侵入経路となり、着色皮膜層20自体のバリア性が低下することもあるため、好ましくない。
着色皮膜層20におけるリン酸化合物の濃度は、より好ましくは、P量に換算して1.0~3.0質量%である。
着色皮膜層20中のP量に換算したリン酸化合物の濃度は、着色皮膜層20の断面をFE-EPMAにより分析することで測定できる。
本実施形態に係る着色皮膜層20中に含有される着色顔料には、一般的な塗装において通常使用される着色顔料を用いることができる。当該顔料の例には、黒色、白色、メタリック色、及び、有彩色の、各色の公知の金属や酸化物などからなる着色顔料が含まれる。なお、本明細書において着色顔料とは、リン及びバナジウムを含まない顔料を表す。
着色皮膜層20に含まれる着色顔料の濃度は、着色皮膜を溶解し、ICP発光分光分析装置で着色顔料元素を定量分析することで求めることができる。
着色顔料の平均粒子径及び平均アスペクト比は、次のように求める。まず、着色皮膜の表面から電界放出型電子プローブマイクロアナライザー(Field Emission-Electron Probe Micro Analyzer:FE-EPMA)で元素マッピングし、任意の1つの顔料の長径の長さX1と短径の長さX2を求め、その顔料の粒子径Xを(X1+X2)/2で算出する。ここで、長径とは、元素マッピングで特定された顔料の像の輪郭内において、その顔料を横断する最大の線分を意味し、短径とは、長径に垂直な線分であって、その顔料を横断する最大のものを意味する。次に、断面方向からFE-EPMAで元素マッピングを行い、任意の一つの顔料の厚さY(上述の長径と短径の測定平面に垂直な方向で顔料を横断する最大の線分の長さ)の値を測定する。同様の方法を用いて任意の10個以上の顔料について粒子径と厚さとを求め、それぞれを平均化して顔料の平均粒子径[X]及び平均厚さ[Y]を算出し、平均アスペクト比を[X]/[Y]で求める。
アルミ顔料が、界面40の近傍や、着色皮膜層20の最表層近傍に存在する場合には、腐食環境において、アルミ顔料が腐食因子の侵入経路となり易く、耐食性に劣る結果となり易いため、好ましくない。
界面40とアルミ顔料との間隔及び着色皮膜層20の最表層とアルミ顔料との間隔は、プレコート鋼板100を適当な大きさに切断して樹脂埋め込みし、断面を研磨し、断面方向から電子顕微鏡観察等で観察することによって確認可能である。
バインダー樹脂として用いられる樹脂の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ふっ素樹脂、或いはこれらの変性樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。
更に、これらの樹脂をメラミン樹脂、やイソシアネート樹脂等の公知の架橋剤成分により架橋させてもよい。また、バインダー樹脂として、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂等のエネルギー線硬化樹脂を用いてもよい。
これら樹脂の中では、特に、ポリエステル樹脂、及び、アクリル樹脂の少なくとも何れか一方をバインダー樹脂として用いることが好ましい。
着色皮膜層20の厚さは、例えば、2~15μmの範囲内であることが好ましい。
着色皮膜層20の厚さが2μm未満である場合には、屋外で使用した場合に着色皮膜層20が劣化したり、亜鉛合金めっき層10の表面が灰黒色に変色したりすることで、本実施形態に係るプレコート鋼板100の色調を所望の範囲に維持することが困難となることがあるため、好ましくない。
一方、着色皮膜層20の厚さが15μmを超える場合には、プレコート鋼板100の製造に係るコストが増加し、かつ、加工性が低下する傾向にあることから、好ましくない。
着色皮膜層20の厚さは、3~10μmの範囲内であることがより好ましい。
上述の説明では亜鉛合金めっき層10の表面に着色皮膜層20が形成される場合を説明したが、亜鉛合金めっき層10の表面に化成処理皮膜層(不図示)を形成し、化成処理皮膜層(不図示)の表面に着色皮膜層20を形成する態様としてもよい。
化成処理皮膜層(不図示)が設けられることによって、着色皮膜層20の密着性をより向上させることができ、かつ、耐食性をより向上させることができるため好ましい。
次に、本実施形態に係るプレコート鋼板100の製造方法について説明する。
本実施形態に係るプレコート鋼板100の製造方法は、亜鉛合金めっき層10が形成された鋼板1に対して、リン酸化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色塗料を塗布する工程を含む。ここで、上記の着色塗料は、着色皮膜層20を形成するために用いられる着色塗料処理液である。
リン酸化合物は樹脂よりも比重が大きいため、通常は、リン酸化合物が下方に沈降しやすい状態となる。これに対し、塗料粘度を粘度調整剤により上記範囲に調整することで、塗料を加熱時に発生する対流により着色皮膜中に分散されたリン酸化合物が沈降することを抑制できる。また、塗料保管時の沈降抑制や塗装後のレベリングによる外観均一化などの効果も得られる。
SNシックナー617を着色塗料処理液に添加することにより、着色塗料の粘度を前記範囲に制御できる。
図2は、本発明の第2実施形態に係るプレコート鋼板200の層構成を示す模式図である。プレコート鋼板200は、鋼板1と、鋼板1上に設けられ、1~25質量%のAlと、0.1~13質量%のMgと、0~2.0質量%のSiと、を含有し、残部がZn及び不純物からなる亜鉛合金めっき層10と、亜鉛合金めっき層10上に設けられ、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色皮膜層120と、を備える。つまり、プレコート鋼板200では、着色皮膜層120がバナジウム化合物を含有する点が第1実施形態とは異なる。
なお、第1実施形態と共通する点については説明を割愛する。
亜鉛合金めっき層10上には、着色皮膜層(より詳細には、単層の着色皮膜層)120が設けられる。本実施形態に係る着色皮膜層120は、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を少なくとも含有する。
本実施形態に係る着色皮膜層120に含有されるバナジウム化合物は、着色皮膜層120の亜鉛合金めっき層10側の界面140付近に分布していることが重要である。バナジウム化合物がそのように分布する限り、バナジウム化合物が含有される形態については、特に限定されない。以下、かかるバナジウム化合物について、詳細に説明する。
バナジン酸イオンがめっき成分及び素地鋼板成分と反応することを容易にするために、バナジウム化合物は、着色皮膜層120の亜鉛合金めっき層10側の界面140付近に存在することが重要である。特に、プレコート鋼板200の端面が露出する際には、バナジウム化合物の存在状態は極めて重要となる。
第2の領域130は、界面140から表面側に向かって厚さ方向に1μmかつ界面方向に40μmの範囲内に1~10個存在することが好ましい。第2の領域130は、界面140から表面側に向かって厚さ方向に1μmかつ界面方向に20μmの範囲内に1~10個存在することがより好ましい。
着色皮膜層120の層厚をTとし、着色皮膜層120の表面から厚さ方向にTかつ界面方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPD、着色皮膜層120の層厚中心190から界面140に向かって厚さ方向にT/2(つまり、厚さ方向に層厚中心190から界面140までの範囲)かつ界面方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPEとしたときに、PE/PDが1.0~5.0であることが好ましい。
なお、本明細書ではバナジン酸リンをリン酸化合物に分類する。
着色皮膜層120におけるバナジウム化合物の濃度は、より好ましくは、V量に換算して1.5~6.5質量%である。
着色皮膜層20中のV量に換算したバナジウム化合物の濃度は、着色皮膜層20の断面をFE-EPMAにより分析する。
次に、本実施形態に係るプレコート鋼板200の製造方法について説明する。
本実施形態に係るプレコート鋼板200の製造方法は、亜鉛合金めっき層10が形成された鋼板1に対して、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色塗料を塗布する工程を含む。ここで、上記の着色塗料は、着色皮膜層120を形成するために用いられる着色塗料処理液である。
着色塗料がバナジウム化合物を含有する点以外は、プレコート鋼板100の製造方法と共通するため、説明を割愛する。
図3は、本発明の第3実施形態に係るプレコート鋼板300の層構成を示す模式図である。プレコート鋼板300は、鋼板1と、鋼板1上に設けられ、1~25質量%のAlと、0.1~13質量%のMgと、0~2.0質量%のSiと、を含有し、残部がZn及び不純物からなる亜鉛合金めっき層10と、亜鉛合金めっき層10上に設けられ、リン酸化合物、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色皮膜層220と、を備える。つまり、プレコート鋼板300では、着色皮膜層220がリン酸化合物及びバナジウム化合物の両方を含有する点が第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態と共通する点については説明を割愛する。
亜鉛合金めっき層10上には、着色皮膜層(より詳細には、単層の着色皮膜層)220が設けられる。本実施形態に係る着色皮膜層220は、リン酸化合物、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を少なくとも含有する。
次に、本実施形態に係るプレコート鋼板300の製造方法について説明する。
本実施形態に係るプレコート鋼板300の製造方法は、亜鉛合金めっき層10が形成された鋼板1に対して、リン酸化合物、バナジウム化合物、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色塗料を塗布する工程を含む。ここで、上記の着色塗料は、着色皮膜層220を形成するために用いられる着色塗料処理液である。
着色塗料がリン酸化合物とバナジウム化合物との両方を含有する点以外は、プレコート鋼板100及びプレコート鋼板200の製造方法と共通するため、説明を割愛する。
以下の表1に示すA1~A5の5種類の亜鉛系めっき鋼板を準備した。更に、これら亜鉛系めっき鋼板に対して、クロメートフリー系化成処理(CT-E300/日本パーカライジング社製)を60mg/m2施しためっき鋼板も準備した。化成処理に用いた処理液は、その成分としてシランカップリング剤を含有するものであり、かかる化成処理により形成される化成処理皮膜層は、下地被膜層として機能する。なお、化成処理の有無は、表5-1~5-5に記載した。
着色皮膜層の形成に用いる着色塗料を調製した。
バインダー樹脂として、以下の表4に示す樹脂を用意し、各樹脂溶液に対し、硬化剤としてメラミン系硬化剤を固形分割合で15質量%添加した。更に、防錆顔料として、以下の表2に示す防錆顔料を準備した。製造された着色皮膜層に含まれる防錆顔料の平均粒子径及び濃度は、以下の方法で測定した。
<平均粒子径>
防錆顔料の平均粒子径は以下の方法で求めた。鋼板を断面方向から観察し、FE-EPMAによりリン(P)元素又はバナジウム(V)元素をマッピングした。このとき、連続した9ピクセル以上を1つの粒子とし、その面積Spを求める。リン酸化合物の粒子径はφp=2×(Sp/π)0.5により求める。任意の幅200μmを測定し、その範囲に確認されたリン酸化合物粒子又はバナジウム化合物の粒子の粒子径φpの平均を求めた。
<濃度>
防錆顔料の濃度は、着色皮膜層の断面をFE-EPMAにより分析することで測定した。
防錆顔料の平均粒子径及び濃度を表5-1~5-5に示した。なお、表5-1~5-5に示す防錆顔料の濃度は、リン酸化合物の場合はP量に換算した濃度であり、バナジウム化合物の場合はV量に換算した濃度である。
また、用いた着色顔料の種類を表3に、濃度、平均粒子径及び平均アスペクト比を表5-1~5-5に示した。
着色顔料の濃度は、着色皮膜を溶解し、ICP発光分光分析装置で着色顔料元素を定量分析することによって測定した。また、着色顔料の平均粒子径及び平均アスペクト比は、上述したFE-EPMAを用いた方法によって測定した。
上記のようにして調製した着色塗料を、乾燥膜厚が表5-1~5-5に示した膜厚になるように、バーコータを用いてめっき鋼板に塗布し、60秒で最高到達板温度(PMT)が200℃になるように加熱して、着色皮膜層を形成した。
上記方法により作製した各サンプルについて、以下のような基準に基づき性能を評価した。性能評価において、VeryGood、Good、Fairを合格とし、Poorを不合格とした。得られた評価結果を、表6-1~6-3に示した。
リン酸化合物の着色皮膜層における分布を、以下の方法により分析した。
作製した各サンプルを15×20mmに切断して樹脂埋め込みし、断面を研磨し、断面方向から着色皮膜層のFE-EPMAマッピング分析を加速電圧15kV、倍率5000倍で実施した。この際に、着色皮膜層の任意の領域において、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が、膜厚方向の長さ2μm×平面方向の長さ200μmの範囲内に存在する個数を確認した。
同様にして、PA/PB及びPA/PCの値を測定した。なお、膜厚が8μm以下の場合、PA/PBの項目にはスラッシュを記載している。
バナジウム化合物の着色皮膜層における分布を、以下の方法により分析した。
作製した各サンプルを15×20mmに切断して樹脂埋め込みし、断面を研磨し、断面方向から着色皮膜層のFE-EPMAマッピング分析を加速電圧15kV、倍率5000倍で実施した。この際に、着色皮膜層の亜鉛めっき層との界面から表層側に向かって膜厚方向に1μmの領域において、バナジウム元素の濃度が3%以上である第2の領域が、平面方向の長さ200μmの範囲内に存在する個数を確認した。
同様にして、PE/PDの値を測定した。
着色顔料としてアルミ顔料を用いたサンプルについて、アルミ顔料の着色皮膜層における分布を、以下の方法により分析した。
作製した各サンプルを15×20mmに切断して樹脂埋め込みし、断面を研磨し、断面方向から電子顕微鏡観察を加速電圧15kV、倍率5000倍で実施した。着色皮膜層の亜鉛合金めっき層側の界面から0.5μmまでの範囲内、及び、着色皮膜層の最表層から0.5μmの範囲内に、アルミニウム元素が存在するか否かを確認した。評価基準は、以下の通りである。
なお、アルミ顔料を用いていない実施例・比較例では、「着色顔料の分布」の評価結果の欄に「-」を記入している。
Fair:上記2つの部分のうち何れか一方のみに存在する
Poor:上記2つの部分のうち何れにも存在する
サンプルをエリクセン試験機により7mm押し出し加工し、JASO-M609に規定された複合サイクル腐食試験を30サイクル行った後に、加工部における錆発生面積率を評価した。評価基準は、以下の通りである。
Good:5mm以上、8mm未満
Fair:8mm以上、10mm未満
Poor:10mm以上
JIS Z2371に準拠した塩水噴霧試験(SST)を480時間実施し、端面からの錆進展距離を、以下の基準により評価した。
Good:5mm以上8mm未満
Fair:8mm以上10mm未満
Poor:10mm以上
サンシャインカーボンアーク灯式の促進耐候性試験を500時間実施し、試験前後での着色皮膜表面の色差ΔEを以下の基準により評価した。なお、色差ΔEは、分光測色計(スガ試験機社製、型式:SC-T45)を用いて測定した。
Good:色差ΔEが3以上4未満
Fair:色差ΔEが4以上6未満
Poor:色差ΔEが6以上
作製したサンプルの外観を、以下の基準により評価した。
Good:色調、表面艶がやや不均一であり(目を凝らして確認できるレベル)、下地は透けて見えない。
Fair:色調、表面艶がやや不均一であり(目を凝らして確認できるレベル)、下地がやや透けて見える。
Poor:色調、表面艶が不均一である(容易に確認できるレベル)、または下地が透けて見える。
作製したサンプルに対して、20℃雰囲気中で180°折り曲げ加工を施した後、折り曲げ加工部の外観を、以下の基準で評価した。
Good:着色皮膜層に僅かに亀裂が認められる(加工前のサンプルと並べると、目を凝らせば分かるレベル)
Fair:着色皮膜層に僅かに亀裂が認められる(加工前のサンプルと並べると、容易に分かるレベル)
Poor:着色皮膜層に亀裂が認められる(加工後サンプルのみを見て、容易に分かるレベル)。
10 亜鉛合金めっき層
20,120,220 着色皮膜層
100,200,300 プレコート鋼板
30 第1の領域
130 第2の領域
40,140 (亜鉛合金めっき層と着色皮膜層との)界面
Claims (19)
- 鋼板と;
前記鋼板上に設けられ、1~25質量%のAlと、0.1~13質量%のMgと、0~2.0質量%のSiと、を含有し、残部がZn及び不純物からなる亜鉛合金めっき層と;
前記亜鉛合金めっき層上に設けられ、リン酸化合物とバナジウム化合物との少なくとも一方、着色顔料及びバインダー樹脂を含む着色皮膜層と;
を備え、
前記着色皮膜層が前記リン酸化合物を含む場合には、
前記リン酸化合物の濃度は、前記着色皮膜層の全固形分質量に対して、P量に換算して0.3~5.0質量%であり;
前記リン酸化合物の平均粒子径が、0.10~10μmであり、
前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記着色皮膜層と前記亜鉛合金めっき層との界面と平行方向に200μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在し、
前記着色皮膜層が前記バナジウム化合物を含む場合には、
前記バナジウム化合物は、バナジン酸化合物又は酸化バナジウムであり;
前記バナジウム化合物の濃度は、前記着色皮膜層の全固形分質量に対して、V量に換算して0.5~8.0質量%であり;
前記着色皮膜層の前記厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記界面から表面側に向かって前記厚さ方向に1μmかつ前記界面と平行方向に200μmの範囲内に、バナジウム元素の濃度が3%以上である第2の領域が1~10個存在する
ことを特徴とする、プレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層が前記リン酸化合物を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記界面と平行方向に40μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の厚さ方向の断面をFE-EPMAでマッピング観察したときに、前記厚さ方向に2μmかつ前記界面と平行方向に20μmの範囲内に、リン元素の濃度が3%以上である第1の領域が1~15個存在する
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の層厚が8μm超、15μm以下であり、
前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に2μmの範囲である表面部、前記着色皮膜層の層厚中心を中心として前記厚さ方向に2μmの範囲である中心部、前記界面から前記表面側に向かって前記厚さ方向に2μmの範囲である深部それぞれに対して、FE-EPMAを用いて2μm×200μmの範囲で検出されるリン元素の濃度を測定し、前記表面部のリン酸化合物濃度をPA、前記中心部のリン酸化合物濃度をPB、前記深部のリン酸化合物濃度をPCとしたときに、PA/PBが0.5~2.0であり、かつ、PA/PCが0.5~2.0である
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の層厚が8μm以下であり、
前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に2μmの範囲である表面部及び前記界面から前記表面側に向かって前記厚さ方向に2μmの範囲である深部それぞれに対して、FE-EPMAを用いて前記厚さ方向の断面をマッピング観察し、前記表面部のリン酸化合物濃度をPA、前記深部のリン酸化合物濃度をPCとしたときに、PA/PCが0.5~2.0である
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層が前記バナジウム化合物を含む
ことを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記バナジウム化合物の平均粒子径が、0.10~10μmである
ことを特徴とする、請求項7に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の層厚をTとし、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向にTかつ前記界面と平行方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPD、前記着色皮膜層の層厚中心から前記界面に向かって前記厚さ方向にT/2かつ前記界面方向に200μmの範囲でFE-EPMAを用いて検出されるバナジウム元素の濃度をPEとしたときに、PE/PDが1.0~5.0である
ことを特徴とする、請求項7又は8に記載のプレコート鋼板。 - 前記亜鉛合金めっき層が、
4~22質量%のAlと;
1~5質量%のMgと;
を含有する
ことを特徴とする、請求項7~9の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記亜鉛合金めっき層が、0.01~2.0質量%のSiを含有する
ことを特徴とする、請求項7~10の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色顔料が、アルミ顔料である
ことを特徴とする、請求項7~11の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色顔料の平均粒子径が7~30μmであり、かつ、平均アスペクト比が20以上である
ことを特徴とする、請求項12に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色顔料が、前記着色皮膜層の表面から前記厚さ方向に0.5μmの範囲、又は、前記界面から前記表面に向かって前記厚さ方向に0.5μmの範囲には存在しない
ことを特徴とする、請求項12又は13に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層に含まれる前記バインダー樹脂が、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂である
ことを特徴とする、請求項1~14の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層がメラミンを更に含有する
ことを特徴とする、請求項1~15の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の表面に、メラミン濃化層を備える
ことを特徴とする、請求項16に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層と前記亜鉛合金めっき層との間に、化成処理皮膜層を更に備える
ことを特徴とする、請求項1~17の何れか1項に記載のプレコート鋼板。 - 前記着色皮膜層の層厚が、2μm以上である
ことを特徴とする、請求項1~18の何れか1項に記載のプレコート鋼板。
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