JP7110040B2 - 高熱伝導性樹脂部材の製造方法及び、当該製造方法を用いて製造された樹脂部材 - Google Patents
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放熱を行うために、これまで、ヒートシンクなどの放熱体や、熱伝導率の高いフィラーを含有した放熱部材が提案されており、熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウム)を削り出して作製した放熱部材や、熱伝導率フィラーを分散したものをシート状に加工、もしくは射出成形で作製した放熱部材等も知られている。
更に、下記の特許文献3には、グラファイト樹脂複合体として、グラファイト焼結体に熱硬化樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含浸させてなるものが開示されている。
3Dプリンタを用いて立体造形物を製造する方式としては、主に、光造形方式、粉末焼結積層方式、熱溶融積層方式、インクジェット方式が知られている。このうち、熱溶融積層法(FDM:Fused Deposition Modeling)では、原料として、PLA(ポリ乳酸)やABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)等の熱可塑性樹脂からなるフィラメントを用い、溶融させた樹脂を一層ずつ積層し、冷却固化することにより、熱可塑性樹脂からなる立体造形物を得ることが一般的である。
しかしながら、これまで、樹脂中に混練された熱伝導性フィラーの配向が制御されることによって高い熱伝導性を示す立体造形物(高熱伝導性樹脂部材)を、3Dプリンタを用いて製造することについては提案されていない。
本発明者等は、前記の課題を解決するために種々検討を行った結果、グラファイト等の熱伝導性フィラーの所定量を、射出成形に用いられる熱可塑性樹脂に添加して加熱溶融混練し、得られた混練物(熱伝導性フィラー含有コンパウンド)を用いて、熱溶融積層3Dプリンタにより、ノズルの移動方向(各層に平行な方向)に沿って熱伝導性フィラーを配向させて積層造形すると、高い熱伝導性を有する3次元形状の造形物が製造できることを見出して、本発明を完成した。
工程A:熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率が10:90~40:60である熱伝導性フィラー含有コンパウンドを準備する工程、及び
工程B:前記熱伝導性フィラー含有コンパウンドを用いて、熱溶融積層3次元プリンタにより線状体を押し出して積層造形し、各線状体に含まれる前記熱伝導性フィラーが当該線状体の長手方向に沿って配向した内部構造を有する樹脂部材を製造する工程
を含むことを特徴とする。
又、本発明では、造型物の曲がり部においても熱伝導性フィラーが連続して配向した状態となるために、部材の形状の自由度が高まり、例えば熱伝導性フィラーとしてグラファイトを用いた場合には、部材の軽量化も達成される。
本発明の製造方法における工程Aでは、熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率が10:90~40:60である熱伝導性フィラー含有コンパウンドを準備するが、当該コンパウンドは、熱伝導性フィラーと熱可塑性樹脂を、体積比率が10:90~40:60となるように秤量し、加熱溶融混練を行うことにより製造できる。この際、熱伝導性フィラーの添加量が10体積%よりも少なくなると充分な熱伝導性が得られなくなり、逆に40体積%よりも多くなると熱伝導性は向上するが、3Dプリンタによる押出し適性が悪くなるので好ましくない。
本発明において特に好ましい熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率は15:85~35:65である。
本発明の製造方法にて使用される熱伝導性フィラーの粒径は5μm~400μmが好ましく、特に好ましい熱伝導性フィラーは、粒径20μm~300μmの薄片状グラファイトであるが、本発明では、粒径が異なる2種以上の熱伝導性フィラーを混合して使用してもよい。
本発明の製造方法の工程Aにて準備される熱伝導性フィラー含有コンパウンドの形状は特に限定されないが、好ましい形態の一例として、ペレット状の形態を挙げることができ、混練後の押し出されてきた溶融物を冷却してロータリーカッターにてペレット状にカットしたものが好ましい。
本発明では、3Dプリンタのノズルから熱伝導性フィラー含有コンパウンドが吐出される際に、フィラー粒子が線状体の長手方向に沿って配向し(図1参照)、これにより熱伝導パス(熱伝導経路)が形成され、樹脂部材が、熱源から放熱先への経路が曲がった形状を有するものであっても、造形方向(吐出ノズルの移動方向)への熱伝導が起こる。
図2は、上記工程Bにより製造される樹脂部材の、各線状体の長手方向に対して垂直な方向の積層断面の状態を示すイメージ図であり、本発明では、上記の積層造形によって、各線状体中の熱伝導性フィラーが実質的に同心円状に配列し、かつ、線状体の長手方向(ノズルの移動方向)に沿って配向した層が形成される。
更に、3Dプリンタのノズル吐出方向(ノズル移動方向)が熱伝導の方向となり、押出形成された各層の間の密着強度が充分なものとなるように、造形条件が選択される。
本発明では、造型物表面への熱硬化樹脂架橋体膜の被覆や、インサート成形などによる樹脂被覆を行っても、熱源から放熱側への高いレベルでの熱伝導が達成される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
熱伝導性フィラーとして薄片化黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、UP-20、粒径20μm)、熱可塑性樹脂としてABS樹脂(デンカ株式会社製、GR-2000)を準備し、前記熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率が、以下の表1記載の組成となるように秤量し、加圧型ニーダー(日本スピンドル製造株式会社製)を用いて190℃で溶融混練した。この際、実施例3においては、樹脂の流動性を高めるために、可塑剤として市販のアクリル系ポリマー ARUFON UP-1010(東亜合成株式会社製)を添加した。
上記で製造した各ペレットを原料にして、ペレット投入口を有する押出装置を備えたFDM方式の3Dプリンタ(エス.ラボ株式会社製CERA_P3 造形範囲 X150mm×Y150mm×Z150mm、スクリュー径φ20mm、ノズル径1.0mm)を使用し、造形温度180~210℃にて、図4に示される形状を有したL字型の部材(辺の長さ50mm、幅10mm、高さ3mm)を造形した(実施例1)。この際、1層目の造形は、直角に曲がっている形状の端から造形を開始し、中間の曲がり点を通過して他端まで造形を行い、端から端の折り返しを実施して幅が10mmになるようにし、2層目は、1層目の上にクリアランス高さが0.6mmとなるようにして1層目の上に積層した。同様に、5層目まで積層を行った。
図3は、実施例1で製造された高熱伝導性樹脂部材の、図4に示されるX-X線断面のSEM写真であり、このSEM写真から、本発明の製造方法を用いることにより、樹脂部材を構成する線状体の長手方向に沿って薄片化黒鉛(薄片化グラファイト)が配向していることが確認された。
図4は、熱伝導性測定実験の測定方法を示す図であり、A点に50℃ヒーター面10mm×10mmを押し当て、経過時間ごとのB点の温度を測定した。
図5には、上記実施例1~3及び比較例1の造形品についての、B点の温度上昇を示すグラフが示されており、横軸は時間(分)であり、縦軸は温度(℃)である。
図5に示されるように、本発明の製造方法を用いて製造された部材(実施例1~3)はいずれも、比較例1の部材(加熱プレス打ち抜き品)よりも高い熱伝導性を有するものであることが確認された。
Claims (3)
- 熱伝導性を有する樹脂部材を製造するための方法であって、当該方法が以下の工程A及びB:
工程A:熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率が10:90~40:60である熱伝導性フィラー含有コンパウンドを準備する工程、及び
工程B:前記熱伝導性フィラー含有コンパウンドを用いて、熱溶融積層3次元プリンタにより線状体を押し出して積層造形し、各線状体に含まれる前記熱伝導性フィラーが当該線状体の長手方向に沿って配向した内部構造を有する樹脂部材を製造する工程
を含み、
前記熱伝導性フィラーが、粒径5~300μmの薄片状グラファイトであり、
前記熱伝導性フィラーが前記熱伝導性フィラー含有コンパウンドの30重量%~45重量%である、熱伝導性樹脂部材の製造方法。 - 前記熱溶融積層3次元プリンタとして、スクリューと、ギヤポンプと、ノズルを有する押出装置と、前記押出装置のノズルに対向して位置するテーブル装置と、前記押出装置における前記ノズルからの樹脂の吐出を制御し、かつ、前記押出装置及び/又は前記テーブル装置の、基準面に対するX軸,Y軸,Z軸方向への移動を制御する制御装置を備えた3次元プリンタを使用することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂部材の製造方法。
- 熱伝導性フィラー:熱可塑性樹脂の体積比率が10:90~40:60である線状体よりなる層が積層された層構成を有しており、しかも、各線状体に含まれる前記熱伝導性フィラーが当該線状体の長手方向に沿って配向した内部構造を有する熱伝導性樹脂部材であって、
前記熱伝導性フィラーが、粒径5~300μmの薄片状グラファイトであり、
前記熱伝導性フィラーが前記熱伝導性樹脂部材の30重量%~45重量%である、
熱伝導性樹脂部材。
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