[go: up one dir, main page]

JP7041896B2 - 回転機の巻線絶縁劣化診断装置 - Google Patents

回転機の巻線絶縁劣化診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7041896B2
JP7041896B2 JP2018198828A JP2018198828A JP7041896B2 JP 7041896 B2 JP7041896 B2 JP 7041896B2 JP 2018198828 A JP2018198828 A JP 2018198828A JP 2018198828 A JP2018198828 A JP 2018198828A JP 7041896 B2 JP7041896 B2 JP 7041896B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
canonical
data
verification data
insulation deterioration
winding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018198828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019191142A (ja
Inventor
鵬 陳山
志強 廖
浩輔 藤田
貴雅 堀
孝則 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Mie University NUC
Original Assignee
Meidensha Corp
Mie University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp, Mie University NUC filed Critical Meidensha Corp
Publication of JP2019191142A publication Critical patent/JP2019191142A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7041896B2 publication Critical patent/JP7041896B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Relating To Insulation (AREA)
  • Tests Of Circuit Breakers, Generators, And Electric Motors (AREA)

Description

本発明は、 回転機の巻線絶縁劣化診断に関する。
高電圧の電力機器である回転機には、内部の巻線の絶縁性を高めるために様々な絶縁材料が用いられている。これらの絶縁材料は徐々に劣化して絶縁破壊に至るが、その主な原因が部分放電である。
巻線の間で部分放電が継続すると、絶縁材料を侵食し、やがては絶縁破壊に至る。そこで、回転機の突然の故障を抑制し安心して使用するために、部分放電を検知して巻線絶縁劣化の初期的な段階を検出する必要がある。
回転機の巻線絶縁劣化を診断する手法として、従来、以下の2つの方法が実施されている。
1.運転停止時の回転機から回転子を抜き出し、巻線の各部分を目視で点検して絶縁劣化の有無を判断する方法。
2.回転機に絶縁抵抗試験や直流吸収試験、誘電正接試験、交流電流試験、部分放電試験などの電気的試験を実施し、これら電気的試験の総合結果から巻線の絶縁劣化の程度を判定する方法。
しかし、上記2つの方法には、共通して、リアルタイムで回転機の巻線絶縁劣化を診断することができないという問題点がある。さらに、これらの診断手法は、通常、数年に一度のメンテナンス時にしか実施することができず、また、回転機から回転子を抜き出すのに多大な労力を要するため、実施頻度を上げることも難しい。
そこで、回転機の巻線絶縁劣化をリアルタイムに診断するシステムとして、特許文献1が開示されている。
特許文献1は回転電機を各回転電機に応じたノイズ除去条件でノイズを除去して部分放電を効率よく計測し、回転電機の異常監視を行う。回転電機のフレーム内部に複数の部分放電検出手段としてアンテナを設置する。第1の狭帯域検出回路と第2の狭帯域検出回路で検出する電磁波の中心周波数を300MHz~3GHzの範囲とする。前記第1の狭帯域検出回路からの信号と前記第2の狭帯域検出回路からの信号との信号強度比較を行って部分放電とノイズを識別し、部分放電のみを精度よく計測する。
特許第3685367号公報
大森宏,"判別分析",東京大学大学院農学生命科学研究科,数理統計学演習,〔2017年11月14日検索〕,インターネット〈http://lbm.ab.a.u-tokyo.ac.jp/~omori/kensyu/discriminant.htm〉 NPG-2形部分放電校正器 NKS http://nihon-keisokuki.com/Nks/npg-2/npg-2.htm
しかし、特許文献1に係る回転機の巻線絶縁劣化診断装置では、回転機の内部にセンサを設置する必要があるため、センサの設置時及び、更新時に多大な労力を要してしまう。また、着目する周波数帯域がMHz~GHz帯と高周波帯域であるため、この帯域を検出することができる高性能なセンサが必要となってしまう。
以上示したようなことから、回転機の巻線絶縁劣化診断装置において、センサの設置を容易にし、かつ、低周波数帯域で回転機の巻線絶縁劣化を診断することが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、回転機の接地線に流れる電流検出値を計測する電流センサと、学習データおよび検証データの前記電流検出値から複数次元の特徴量を算出し、学習データおよび検証データの前記複数次元の特徴量を次元圧縮し、学習データの次元圧縮した特徴量と、検証データの次元圧縮した特徴量と、に基づいて巻線における部分放電の有無を検知する解析装置と、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、前記解析装置で行う前記複数次元の特徴量を次元圧縮する処理は、前記学習データおよび前記検証データの前記複数次元の特徴量を正準判別分析し、第一正準変量を算出することにより行うことを特徴とする。
また、他の態様として、前記解析装置で行う前記複数次元の特徴量を次元圧縮する処理は、前記学習データにおける前記複数次元の特徴量を正準判別分析し、第一正準変量および前記第一正準変量を算出するための係数である第一正準判別係数を求め、前記検証データにおける前記複数次元の特徴量と前記第一正準判別係数に基づいて第一正準変量を算出することにより行うことを特徴とする。
また、その一態様として、前記複数次元の特徴量は、前記電流検出値をデジタルサンプリングして時系列電流データを収集し、前記時系列電流データを等間隔にN等分し、等間隔に分割した前記時系列電流データそれぞれについて周波数変換を行って周波数スペクトルを算出し、N通りの前記周波数スペクトルから算出した以下の(1)式~(7)式に示す7つの無次元特徴パラメータであることを特徴とする。
Figure 0007041896000001
Figure 0007041896000002
f1~pf7:無次元特徴パラメータ
f:周波数
S(f):周波数スペクトル。
また、その一態様として、前記解析装置における部分放電の検知は、学習データの前記第一正準変量の平均値および標準偏差に基づいて設定された閾値と、検証データの前記第一正準変量の平均値と、の比較により行うことを特徴とする。
また、その一態様として、巻線の絶縁劣化指標として、以下の(14)式に示す「健全度」(%)を用いることを特徴とする。
Figure 0007041896000003
μ:正常時の平均値
σ:標準偏差
μv’ ̄:検証データの第一正準変量の平均値。
また、他の態様として、巻線の絶縁劣化指標として、以下の(15)式に示す「異常度」を用いることを特徴とする。
Figure 0007041896000004
μ:正常時の平均値
σ:標準偏差
μv’ ̄:検証データの第一正準変量の平均値。
また、他の態様として、前記学習データにおいて、予め、複数パターンの放電電荷量に対応する第一正準変量を算出し、前記検証データの前記第一正準変量が、どの学習データの第一正準変量に近似するかを判定することで放電電荷量を推定することを特徴とする。
本発明によれば、回転機の巻線絶縁劣化診断装置において、センサの設置を容易にし、かつ、低周波数帯域で回転機の巻線絶縁劣化を診断することが可能となる。
実施形態1における回転機の巻線絶縁劣化診断装置を示すブロック図。 巻線絶縁劣化診断処理を示すフローチャート。 実施形態1における部分放電の検出手順を示す図。 標準偏差における正常、注意、危険の範囲を示す図。 正常時、注意時、危険時における健全度を示す図。 正常時、注意時、危険時における異常度を示す図。 実施形態2における部分放電の検出手順を示す図。 実施形態2における学習データ計測装置を示す構成図。 放電電荷量の定量評価の指標値を示すグラフ。
以下、本願発明における回転機の巻線絶縁劣化診断装置の実施形態1,2を図1~図9に基づいて詳述する。
[実施形態1]
回転機の巻線絶縁劣化診断装置の構成を図1に示す。図1に示すように、電源5から回転機4に電流が供給される。電源5、および、回転機4は接地されている。巻線絶縁劣化診断装置1は、回転機4の接地線の電流を計測する電流センサ2と、部分放電を検出する解析装置3と、を有する。本実施形態1では、巻線で発生した部分放電を、接地線の電流から検出しようとするものである。接地線には、容易にセンサを設置できるが、ノイズ成分が多く乗ってしまうため、低周波領域では、巻線で発生した部分放電が検出しづらいという問題点がある。本実施形態1はその問題点も解決したものである。
解析装置3で実行する本実施形態1における回転機4の巻線絶縁劣化診断方法を図2に基づいて説明する。
実運用においては、図2において診断処理手順(S1~S3)を一定期間(たとえば1時間)ごとに行う方法や、リアルタイムに連続して繰り返し行う方法等が考えられる。
(S1:診断対象の時系列データ収集)
電流センサ2において接地線の電流を計測し、解析装置3において、計測した電流検出値をデジタルサンプリングする。サンプリングした電流検出値が時系列電流データとなる。ここで、以降の解析において、学習データとして、回転機4が正常に運転し巻線でほとんど部分放電が発生していない電流データが必要になる。そこで、学習データは回転機4のメンテナンス直後等に、事前に計測しておくと良い。
計測間隔は、たとえば、30分や1時間に一度、5秒程度計測すると良い。また、サンプリング周波数に関しては、本実施形態1が低周波帯域に着目して部分放電を検出することを目的にしているため、~数百kHzに設定する。電源周波数は大きなノイズ成分となるため、診断前にあらかじめ除去する。
部分放電成分は電源周波数よりも高い周波数帯に含まれるため、計測した時系列電流データをハイパスフィルタに通して電源周波数成分を除去し、部分放電成分を含む周波数帯の時系列電流データを抽出し、診断対象にする。例えば、1000Hzのハイパスフィルタにより、1000Hz以上の周波数帯の時系列電流データを抽出して診断対象にする。
(S2:部分放電の検出)
S2の全体の処理の流れを図3に示す。まず、このS2では学習データと検証データそれぞれについて行うが、まず、学習データについて説明する。
(学習データ)
収集した時系列電流データを等間隔にn等分する。たとえば、収集した時系列電流データから、サンプル数が2のべき乗で最大になるように切り出し、これを8等分や10等分すると良い。
次に、等間隔に分割した時系列電流データそれぞれについて周波数変換を行い、周波数スペクトルS(f)を算出する。ここで、fは周波数である。
そして、算出した周波数スペクトルS(f)の特徴を表すために、以下の(1)~(7)式に表す周波数領域の無次元特徴パラメータ(複数次元の特徴量)pf1~pf7を算出する。
Figure 0007041896000005
ただし、f ̄,σは以下の(8)式,(9)式の通りであり、Nは周波数スペクトルS(f)の総数である。なお、本明細書では、fのバーをf ̄と示す。f以外の符号にバーを付ける場合も同様である。
Figure 0007041896000006
(1)式は、波形の平均特徴周波数を表すものであり、その波形において平均的な周波数スペクトルを持つ周波数帯域を示す。
(2)式は、波形の単位時間当たり時間平均をクロースする頻度を表すものであり、時間領域の等分区間において、その区間の平均値を波形が何回往復したか、その頻度を示す。
(3)式は、波形の安定指数を表すものであり、波形の暴れ度合を示す。値が小さいほど波形が安定していることを示している。正弦波sin(t)を例に挙げると、sin(t)は波形の安定指数が小さく、波形が安定していると言える。一方、これにノイズg(t)が加わったsin(t)+g(t)は波形の安定指数が大きく、波形が不安定であると言える。
(4)式は、波形の変動率を表すものであり、波形全体で周波数変換を行い、周波数スペクトルの全ピークtoピークの変化率の平均値を求めたものとなっている。
(5)式は、波形の歪度を表すものであり、波形の左右対称性の違いを示す。
(6)式は、波形の尖度を表すものであり、波形のピークと裾が正規分布からどれだけ異なっているかを示す。
(7)式は、波形全体の周波数スペクトルの平均値と分散の相対的な比率を示す。
これらの無次元特徴パラメータpf1~pf7は、低周波数帯においても、正常時と部分放電発生時とで異なる値となる。これらのパラメータを監視することで部分放電の発生を検出することが可能となる。
ここで、時系列電流データを計測する際、アンプの電圧変動や増幅倍数等による信号の振幅変化は、無次元特徴パラメータの値にばらつきをもたらす可能性がある。そこで、これらの影響を無くすために、(1)~(7)式に対して、以下の(10)式および(11)式で周波数スペクトルの正規化を行う。
Figure 0007041896000007
ただし、S’(fi)とS(fi)はそれぞれ正規化前後の周波数スペクトルであり、p’iとpiはそれぞれ正規化前後の無次元特徴パラメータである。また、p ̄niとSpniは、それぞれ学習データで求めた無次元特徴パラメータp’iの平均値と標準偏差である。
以上の処理を実行すると、等間隔に分割された時系列電流データに基づいて、それぞれ7種類の周波数領域の無次元特徴パラメータpf1~pf7が求まる。これらの無次元特徴パラメータpf1~pf7を用いることで、~数百kHzの低周波帯域でも接地線の電流から部分放電の特徴を捉えることが可能となる。
7つの無次元特徴パラメータpf1~pf7に対して、次元圧縮を行う。本実施形態1では、この7種類の周波数領域の特徴パラメータを説明変数として、CDA(Canonical Discriminant Analysis:正準判別分析)を行い、一次元の特徴量に圧縮する。なお、CDAに関しては非特許文献1に記載されているため、ここでの説明は省略する。
CDAを実行することで、重み付けした説明変数の数と同じ数の正準変量uiが求まる。(ただし、i=1、…、7)
正準変量uiは群間の変動を説明しており、第一正準変量u1が最も良く群間の変動を示しており、第二、第三と数が増えるに従って、その精度は低下する。ここでは、最も精度の良い第一正準変量u1のみに着目する。これをn通りの7つの無次元特徴パラメータpf1~pf7に対してそれぞれ実行することで、n通りの第一正準変量u1を求めることができる。
ここで、事前にn通りの学習データの第一正準変量u1(以降、us)に対して、n通りの学習データの第一正準変量usの平均値us ̄が原点0になるような移動処理を行う。なお、学習データの第一正準変量usの平均値us ̄が原点0になるような移動処理を行った際の第一正準変量usをus’とする。
ここで、部分放電検出のために、n通りの学習データの第一正準変量us’に基づいて検証データの評価指数uv’ ̄の閾値に用いる平均値μ,標準偏差σを算出する。
(1)以下の(12)式に基づいて、n通りの学習データの第一正準変量us’の平均値μを算出する。
(2)以下の(13)式に基づいて、n通りの学習データの第一正準変量us’の標準偏差σを算出する。
Figure 0007041896000008
ただし、Nはサンプルデータの総数(=n)、xiはi個目の学習データの第一正準変量us’の値であり、平均値μはほぼ0である。
図4に示すように、平均値μと標準偏差σの値から、後述する検証データの評価指数μv’ ̄の閾値を設定する。検証データの評価指数uv’ ̄の闘値の範囲は、正常・注意・危険の3領域に分けて、次のように定める。正常時の検証データの評価指数uv’ ̄の範囲は、μ以上、μ+3σ以下の範囲とする。注意時の検証データの評価指数uv’ ̄の範囲は、μ+3σ以上、μ+6σ以下の範囲とする。そして、危険時の検証データの評価指数uv’ ̄の範囲は、μ+6σ以上の範囲とする。なお、μ+3σの場合は正常時、注意時どちらと判定してもよく、μ+6σの場合は注意時と危険時どちらと判定しても良い。部分放電発生の有無は、検証データの評価指数u ̄v’が上記正常時の範囲に入っているか否かで判断することができる。
(検証データ)
検証データの第一正準変量u1(以降、uv)を算出するまでは、学習データと同じ処理を行う。そして、検証データの第一正準変量uvに対して、学習データの第一正準変量usに行った移動処理と全く同じ移動処理を行う(uv’)。部分放電の発生の有無は、学習データの第一正準変量usと検証データの第一正準変量uvとの差分から判定することができる。学習データの第一正準変量usと検証データの第一正準変量uvに対して、この移動処理を行うことで、移動処理後の検証データのみで部分放電を検出することが可能となる。
この移動処理したn通りの第一正準変量uv’の平均値uv’ ̄を求める。この平均値uv’ ̄は評価指標となる。この評価指標uv’ ̄と学習データから求めた閾値を比較することにより、図4に示すように、検証データが正常時、注意時、異常時かを判定する。
(S3:巻線の絶縁劣化判定)
次に、巻線の絶縁劣化指標として、「健全度」(%)を用いる方法を説明する。「健全度」は、図5に示すように、学習データから求めた平均値μ,標準偏差σおよび検証データから求めた評価指標uv’ ̄から以下の(14)式のように定める。
Figure 0007041896000009
検証データの評価指標uv’ ̄が正常時(μ≦uv’ ̄≦μ+3σ)の範囲に収まっていた場合、巻線に部分放電はほとんど発生しておらず、絶縁劣化が生じていないものとし、「健全度」は100(%)とする。検証データの評価指標uv’ ̄が注意時(μ+3σ≦uv’ ̄≦μ+6σ)の範囲に収まっていた場合、巻線に部分放電が発生しており、絶縁劣化が進行しているものとし、検証データの評価指標uv’ ̄の値に応じて変化する「健全度」の値に応じて、回転機4のメンテナンスを推奨・実施する。検証データの評価指標uv’ ̄が危険時(uv’ ̄≧μ+6σ)の範囲に収まっていた場合、巻線の絶縁破壊が生じている、または、生じる寸前であるものと、即時、回転機4の運転停止を要求する。
次に、巻線の絶縁劣化指標として、「異常度」を用いる方法を説明する。「異常度」は、学習データから求めた平均値μ,標準偏差σおよび検証データから求めた評価指標uv’ ̄から図6に示すように、以下の(15)式のように定める。
Figure 0007041896000010
「異常度」が1未満(正常時)の場合、巻線に部分放電はほとんど発生しておらず、絶縁劣化が生じていないものとする。「異常度」が1以上、2未満(注意時)の場合、巻線に部分放電が発生しており、絶縁劣化が進行しているものとし、検証データの評価指標uv’ ̄の値に応じて変化する「健全度」の値に応じて、回転機4のメンテナンスを推奨・実施する。「異常度」が2以上(危険時)の場合、巻線の絶縁破壊が生じている、または、生じる寸前であるものと、即時回転機4の運転停止を要求する。
以上示したように、本実施形態1によれば、回転機4の接地線に電流センサ2を設置するだけで良いため、従来のような筐体内部にセンサを設置する手間がかからない。また、低周波領域に着目しているため、高周波領域を検出するための高精度なセンサが不要となる。
また、定義した評価指標は、低周波領域でも部分放電の特徴が現れる、7種類の無次元特徴パラメータを用いて求めている。正常時と異常時とでは、定義した評価指標に差異が生じるため、設定した闘値の判定により、確実に部分放電の発生の有無を検出することができる。
また、巻線の絶縁劣化の判定は、前述の闘値判定を基に行うため、精度良く巻線の絶縁劣化を検出することができる。
また、本実施形態1によれば、メンテナンス時でなくても、リアルタイムで回転機の巻線絶縁劣化を診断することが可能となる。
以上の方法により、安価で信頼性の高い回転機の巻線絶縁劣化診断装置が実現可能となる。
[実施形態2]
本実施形態2では、CDA計算工程における演算時間の短縮方法および放電量を定量的に評価する手法について説明する。まず、CDA計算工程における演算時間の短縮方法について説明する。本実施形態2では、実施形態1の図3における部分放電検出手順を図7のように変更する。実施形態1と同様の箇所についてはその説明を省略する。
実施形態1では、学習データと検証データそれぞれにおいて、算出した周波数領域の7種類の無次元特徴パラメータを説明変数としてCDAを実行し、重み付けした説明変数の数と同じ数の正準変量uiを求めている。この手順では、演算処理の重いCDAを学習データと検証データで2回行う必要があるため、結果、演算時間が長くなってしまう。
そこで、本実施形態2では、図7のように部分放電の検出手順を、学習工程と評価工程に分割することでこの問題を解決する。
まず、学習工程では学習データにおける周波数領域の7種類の無次元特徴パラメータを算出する。そして、これを説明変数としてCDAを実行し、n×n行列の正準判別係数ψiiおよびn通りの第一正準変量us’ ̄を求める(ただし、i=1,…,7)。ここで、正準判別係数ψiiは、評価値となる正準変量uiを求めるための係数である。
次に、評価工程では、検証データにおける周波数領域の7種類の無次元特徴パラメータを算出する。そして、この7種類の無次元特徴パラメータと正準判別係数ψiiの行列演算に基づいて、検証データの正準変量uiを算出し、第一正準変量uv’ ̄のみを抽出する。その後は、実施形態1と同様に学習データの第一正準変量us’ ̄と検証データの第一正準変量uv’ ̄を比較し、部分放電の有無を判定する。
つまり、正準判別係数ψiiを事前に求めておくことで、評価工程の検証データでは、周波数領域の7種類の無次元特徴パラメータを求めるだけで、検証データの第一正準変量uv’ ̄を算出することができる。検証データを学習データと同じ評価領域に落とし込むためには、学習データから求めた正準判別係数ψiiを用いて検証データの第一正準変量uv’ ̄を算出する必要がある。
つまり、学習データから正準判別係数ψiiを事前に求めておくことで、検証データにおけるCDAの演算を省略することができ、演算時間を短縮することができる。
次に、放電量を定量的に評価する手法について説明する。実施形態1では、部分放電検出のために、学習データ(放電電荷量0pC)に対してσ法を用いて閾値を求めることで「健全度」や「異常度」を設定し、回転機4の巻線の絶縁劣化度合を診断した。しかし、実施形態1の手法では実際に発生している放電電荷量が分からないため、発生している放電電荷量を定量的に評価することができないという問題があった。
そこで、本実施形態2では、学習データとして様々な放電電荷量のデータを用意することで、この問題を解決する。
まず、学習データを得るために、図8に示すような閉ループ方式の回路装置を構築する。三相交流の電源5に対して直列にコンデンサ7が接続される。巻線絶縁劣化診断装置1は、電源5およびコンデンサ7の閉ループの電流を検出する電流センサ2と、部分放電を検出する解析装置3と、を有する。
また、コンデンサ7に対して並列に放電校正器6が接続される。放電校正器6は、直角波電圧発生部8と、コンデンサ9と、を備える。
3相交流の電源(電圧)5を印加したこの回路に、放電校正器6で任意の校正電荷を発生させることで、部分放電現象を発生させることができる。
図8中のコンデンサ7は、絶縁物中のポイド(空隙)の静電容量を模擬したものであり、ここに一定値を超える高電圧(部分放電開始電圧)が印加されると部分放電が発生する。放電校正器6は、印加させる電圧を調整することで、放電電荷量の校正を行うことが可能となる。放電校正器を用いて放電電荷量の校正を行う方法は、非特許文献2に開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
この装置で様々な放電電荷量の学習データを計測し、様々な放電電荷量に対応する第一正準変量us’ ̄をそれぞれ算出する。ここで、学習データには、例えば、0~20000pCまで1000pC刻みの放電電荷量のデータを用意すると良い。算出した第一正準変量(指標値)us’ ̄は、図9に示すように放電電荷量に比例した傾向になる。この第一正準変量us’ ̄を指標値として、発生している放電電荷量の定量評価を行う。
次に、発生している放電電荷量が不明な検証データを用意する。こちらも同様にノイズ成分を排除し、学習データから事前に算出しておいた正準判別係数ψiiを用いて正準変量uiを算出し、第一正準変量uv’ ̄を抽出する。そして、この第一正準変量uv’ ̄が図9のどの放電電荷量の指標値に近似しているかを判定することで、発生している放電電荷量を推定する。
つまり、発生している放電電荷量が不明なデータでも、事前に各放電電荷量の指標値(第一正準変量us’ ̄)が決定していれば、検証データの第一正準変量uv’ ̄がどの放電電荷量の指標値に近似しているかを判定することで、発生している放電電荷量を推定することができる。
以上示したように、本実施形態2によれば、回転機の巻線の絶縁診断におけるCDA計算工程において、学習データから正準判別係数ψiiを事前に求めておくことで、検証データにおけるCDAの演算を省略することができ、演算時間を短縮することができる。
また、発生している放電電荷量が不明なデータでも、事前に各放電電荷量の指標値を決定させておくことで、検証データの第一正準変量uv’ ̄と各放電電荷量の指標値の近似比較により、発生している放電電荷量を推定することができる。以上の方法により、信頼性の高い回転機の巻線絶縁劣化診断装置が実現可能となる。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
例えば、実施形態1,2では、次元圧縮する方法として、正準判別分析を説明しているが、主成分分析等その他の方法により行っても良い。
また、実施形態1,2では、電流検出値から複数次元の特徴量を算出する方法として、7つの無次元特徴パラメータを算出する方法を説明しているが、その他の方法でも良い。
1…巻線絶縁劣化診断装置
2…電流センサ
3…解析装置
4…回転機
5…電源

Claims (7)

  1. 回転機の接地線に流れる電流検出値を計測する電流センサと、
    学習データおよび検証データの前記電流検出値から複数次元の特徴量を算出し、学習データおよび検証データの前記複数次元の特徴量を次元圧縮し、学習データの次元圧縮した特徴量と、検証データの次元圧縮した特徴量と、に基づいて巻線における部分放電の有無を検知する解析装置と、
    を備え、
    前記解析装置で行う前記複数次元の特徴量を次元圧縮する処理は、
    前記学習データおよび前記検証データの前記複数次元の特徴量を正準判別分析し、第一正準変量を算出することにより行うことを特徴とする回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
  2. 回転機の接地線に流れる電流検出値を計測する電流センサと、
    学習データおよび検証データの前記電流検出値から複数次元の特徴量を算出し、学習データおよび検証データの前記複数次元の特徴量を次元圧縮し、学習データの次元圧縮した特徴量と、検証データの次元圧縮した特徴量と、に基づいて巻線における部分放電の有無を検知する解析装置と、
    を備え、
    前記解析装置で行う前記複数次元の特徴量を次元圧縮する処理は、
    前記学習データにおける前記複数次元の特徴量を正準判別分析し、第一正準変量および前記第一正準変量を算出するための係数である第一正準判別係数を求め、
    前記検証データにおける前記複数次元の特徴量と前記第一正準判別係数に基づいて第一正準変量を算出することにより行うことを特徴とする回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
  3. 前記複数次元の特徴量は、
    前記電流検出値をデジタルサンプリングして時系列電流データを収集し、前記時系列電流データを等間隔にN等分し、等間隔に分割した前記時系列電流データそれぞれについて周波数変換を行って周波数スペクトルを算出し、N通りの前記周波数スペクトルから算出した以下の(1)式~(7)式に示す7つの無次元特徴パラメータであることを特徴とする請求項1または2記載の回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
    Figure 0007041896000011
    Figure 0007041896000012
    pf1~pf7:無次元特徴パラメータ
    f:周波数
    S(f):周波数スペクトル
  4. 前記解析装置における部分放電の検知は、学習データの前記第一正準変量の平均値および標準偏差に基づいて設定された閾値と、検証データの前記第一正準変量の平均値と、の比較により行うことを特徴とする請求項1または2記載の回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
  5. 巻線の絶縁劣化指標として、以下の(14)式に示す「健全度」(%)を用いることを特徴とする請求項4記載の回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
    Figure 0007041896000013
    μ:正常時の平均値
    σ:標準偏差
    μv’ ̄:検証データの第一正準変量の平均値
  6. 巻線の絶縁劣化指標として、以下の(15)式に示す「異常度」を用いることを特徴とする請求項4記載の回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
    Figure 0007041896000014
    μ:正常時の平均値
    σ:標準偏差
    μv’ ̄:検証データの第一正準変量の平均値
  7. 前記学習データにおいて、予め、複数パターンの放電電荷量に対応する第一正準変量を算出し、
    前記検証データの前記第一正準変量が、どの学習データの第一正準変量に近似するかを判定することで放電電荷量を推定することを特徴とする請求項1または2記載の回転機の巻線絶縁劣化診断装置。
JP2018198828A 2018-04-23 2018-10-23 回転機の巻線絶縁劣化診断装置 Active JP7041896B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018081934 2018-04-23
JP2018081934 2018-04-23

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019191142A JP2019191142A (ja) 2019-10-31
JP7041896B2 true JP7041896B2 (ja) 2022-03-25

Family

ID=68390064

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018198828A Active JP7041896B2 (ja) 2018-04-23 2018-10-23 回転機の巻線絶縁劣化診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7041896B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7527724B2 (ja) * 2020-08-06 2024-08-05 日東工業株式会社 放電検出システム
CN115812157A (zh) * 2020-08-26 2023-03-17 松下知识产权经营株式会社 异常检测装置、异常检测方法以及程序
WO2022085358A1 (ja) * 2020-10-19 2022-04-28 三菱電機株式会社 マグネットワイヤ被覆の検査装置、マグネットワイヤ被覆の検査方法、および電気機械の製造方法
KR20230061480A (ko) 2021-04-09 2023-05-08 히타치 에너지 스위처랜드 아게 진단 파라미터 예측 에러의 변동을 이용한 전기 장비의 상태 결정
JP7613324B2 (ja) 2021-09-17 2025-01-15 株式会社明電舎 異常診断装置及び異常診断方法
JP2023132742A (ja) * 2022-03-11 2023-09-22 株式会社 日立パワーデバイス パワー半導体モジュールの部分放電要因推定方法、パワー半導体モジュールの部分放電要因推定装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005102351A (ja) 2003-09-22 2005-04-14 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 絶縁劣化診断装置
JP2005331415A (ja) 2004-05-20 2005-12-02 Toenec Corp 絶縁診断システム
JP2010185861A (ja) 2009-02-12 2010-08-26 Toenec Corp 電気設備の良否診断システム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005102351A (ja) 2003-09-22 2005-04-14 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 絶縁劣化診断装置
JP2005331415A (ja) 2004-05-20 2005-12-02 Toenec Corp 絶縁診断システム
JP2010185861A (ja) 2009-02-12 2010-08-26 Toenec Corp 電気設備の良否診断システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019191142A (ja) 2019-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7041896B2 (ja) 回転機の巻線絶縁劣化診断装置
KR101482509B1 (ko) 베어링 결함 진단 시스템 및 그 진단 방법
TWI587294B (zh) 設備異音的檢測方法及檢測裝置
US8278939B2 (en) Diagnostic method for determining deformations in a transformer winding
CN109116193A (zh) 基于局放信号综合熵值的电气设备危险性放电判别方法
CN117407679B (zh) 智能末屏传感器的数据采集方法及系统
KR101607047B1 (ko) 결함 검출을 위한 신호 분석 방법 및 장치
CN105093059B (zh) 一种基于归一化奇异谱熵的变压器绕组工作状态检测方法
CN112285496A (zh) 一种用于高压电气设备局部放电的定量方法及系统
RU2700368C1 (ru) Способ определения технического состояния цифрового трансформатора по параметрам частичных разрядов в изоляции
WO2014006662A1 (en) Method for diagnosing an electric device
US11867763B2 (en) Method for monitoring circuit breaker and apparatus and internet of things using the same
CN103968939A (zh) 基于平均位移法的变压器绕组松动故障检测方法
JP5539762B2 (ja) 避雷装置の故障判定方法
CN117457004A (zh) 一种基于声纹特征的电力设备健康监测方法
CN111948528B (zh) 开闭装置的诊断方法以及装置
JP2019039845A (ja) 部分放電診断装置および部分放電診断方法
JP2019045401A (ja) 部分放電診断装置および部分放電診断方法
KR20180042897A (ko) 압축센싱 기반 구조물 상태진단 시스템 및 그 방법
US20230400515A1 (en) Determination and classification of electric motor winding insulation degradation
Tahir et al. Novel calculation method for power transformer winding fault detection using Frequency Response Analysis
Mezni et al. Bearings ball fault detection using kullback leibler divergence in the EMD framework
JP7443269B2 (ja) 絶縁診断システムおよび絶縁診断方法
KR102032653B1 (ko) 결함 평가를 이용한 기계 상태 모니터링 장치 및 방법
CN112601967B (zh) 用于对电气设备进行状况监测的方法和系统

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181107

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7041896

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150