[go: up one dir, main page]

JP7038823B2 - 曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系銅合金及びその製造方法 - Google Patents

曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系銅合金及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7038823B2
JP7038823B2 JP2020528030A JP2020528030A JP7038823B2 JP 7038823 B2 JP7038823 B2 JP 7038823B2 JP 2020528030 A JP2020528030 A JP 2020528030A JP 2020528030 A JP2020528030 A JP 2020528030A JP 7038823 B2 JP7038823 B2 JP 7038823B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
cold rolling
copper alloy
stage
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020528030A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021523977A (ja
Inventor
リ,シダン
クァク,ウォンシン
チェオン,ウォンソク
Original Assignee
プンサン コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プンサン コーポレーション filed Critical プンサン コーポレーション
Publication of JP2021523977A publication Critical patent/JP2021523977A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7038823B2 publication Critical patent/JP7038823B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C9/00Alloys based on copper
    • C22C9/06Alloys based on copper with nickel or cobalt as the next major constituent
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B3/00Rolling materials of special alloys so far as the composition of the alloy requires or permits special rolling methods or sequences ; Rolling of aluminium, copper, zinc or other non-ferrous metals
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B37/00Control devices or methods specially adapted for metal-rolling mills or the work produced thereby
    • B21B37/48Tension control; Compression control
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B15/00Obtaining copper
    • C22B15/0026Pyrometallurgy
    • C22B15/0028Smelting or converting
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C1/00Making non-ferrous alloys
    • C22C1/02Making non-ferrous alloys by melting
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22FCHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
    • C22F1/00Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
    • C22F1/08Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of copper or alloys based thereon
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B3/00Rolling materials of special alloys so far as the composition of the alloy requires or permits special rolling methods or sequences ; Rolling of aluminium, copper, zinc or other non-ferrous metals
    • B21B2003/005Copper or its alloys

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Description

本発明は、強度、電気伝導度及び曲げ加工性に優れた銅-コバルト-シリコン-鉄-リン(Cu-Co-Si-Fe-P)系合金に関し、コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%及び銅とその他の不可避的な不純物からなり、650MPa以上の引張強さ、65%IACS以上の電気伝導度を有し、小型電子機器の部品に使用可能な高い曲げ加工性を有する銅-コバルト-シリコン-鉄-リン(Cu-Co-Si-Fe-P)系合金及びその製造方法に関する。
近来、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラなどの小型電子機器の部品には、従来部品よりも軽量で、且つ従来部品の性能と同等又はそれ以上の優れた性能特性が求められる。
従来には小型電子機器に590MPa程度の強度を有する燐青銅合金が用いられたが、近来にはさらに高い強度の合金が電子機器用として求められている。
また、小型電子機器は、使用中に部品から発生する熱を発散して部品の過熱を防止する必要がある(放熱性)。よって、外部の衝撃から部品を保護する用途として用いられる放熱板用銅合金は、強度だけではなく、放熱性も共に求められる。銅合金の放熱性は、熱伝導度によって測定することができるが、熱伝導度は電気伝導度からウィーデマン-フランツ(Wiedenmann-Franz)の法則によって換算することができ、所定の温度で2つの特性は互いに比例関係であるため、結果として、熱伝導度は銅合金の電気伝導度を測定することで分かることができる。
また、近来の小型電子機器用の素材は、軽薄短小の傾向にあり、0.1mm以下の厚さが求められる。しかしながら、このような厚さでHEM加工(完全密着曲げ)などの180°に近い過酷な曲げ加工が行われるため、このような薄板の状態でも優れた曲げ加工性が求められる。工程中に曲げ加工性の不足により割れ(crack)が生じる場合、製品の信頼性に悪影響を及ぼすため、該当用途として適用することができない。
これにより、近来の電子機器に用いられる電子材料用銅合金板材の場合、引張強さが600MPa以上、電気伝導度が50%IACS以上、90°での曲げ加工性が求められている。しかし、1回の溶体化処理を施した後、析出処理を施す一般の工程からは、0.1t以下において強度と電気伝導度とのバランスを維持することはできるものの、曲げ加工性を確保することが難しいという問題がある。
結果として、電子材料用銅合金は、高強度及び高い電気伝導度の特性だけではなく、優れた曲げ加工性も同時に満たす必要がある。
韓国特許出願第10-2011-7011427号は、クロム(Cr)を添加する場合、熱間加工時に結晶粒界に優先して析出され割れ(crack)の発生を抑制することで収率の低下を抑制し、Cr-Si系化合物を生成して導電率を上昇させ、結晶粒径の粗大化が抑制可能であると開示している。しかし、Crは酸化性が高く、鋳造時に母合金を使用する必要があるため、製造コストが上昇し、現場で製造するとき、成分比率を合わせるのに困難性がある。また、Crの含量が高くなると、Cr-Si系化合物の生成が増加し
、これによりCoSiを形成するSiが不足となり、合金の強度が低下する。また、溶体化処理前に析出によって結晶粒を15~30μmに制御する方法を提案しているが、析出熱処理はその工程費用が最も高い工程の1つであって、この方法を用いる場合、2回の析出工程を経なければならないため、全体の工程費用が増加する。
韓国特許出願第10-2012-7009703号は、電子材料用のCu-Si-Co系合金及び製造方法に関し、As、Sb、Be、B、Ti、Zr、Al及びFeの添加量を調整することで、強度、導電率、応力緩和特性、めっき性などの製品特性を改善して、母相に対する固溶や第2相粒子に含有されるか、新たな組成の第2相粒子を形成することで、さらに効果が発揮できると開示している。しかし、該当元素が析出されず、母相に残っている場合、強度は増加するものの、電気伝導度が減少し、放熱性が減少する。よって、強度と電気伝導度とを同時に向上させるためには、該当元素の母相内の濃度が減少できる方案がさらに必要である。また、製造工程では、第1時効処理後に圧延を行い、また第2時効処理を行っているが、費用が最も高い工程である析出工程を少なくとも2回行うことになり、全体の工程費用が増加する。
韓国特許出願第10-2015-7030854号は、析出硬化型銅合金において結晶粒径が3μm以下である場合、結晶粒界に析出されたコバルトシリサイドなどの第2相粒子が増加し、強度に寄与しない粒界析出が増加するため、所望の強度を得ることができ、粗大な結晶粒は曲げ加工性を低下するという問題があり、平均結晶粒径を5~15μmに制御することが最も理想的であると開示している。また、多段時効により第2相間の距離を制御する。この多段時効は、数回の析出工程に比べて工程費用を半分ぐらいに低減することができる。しかし、この方法のみでは、曲げ加工性を確保した場合には、電子部品用の放熱板で求められる650MPa以上の引張強さ、65%IACS以上の電気伝導度のバランスを取ることが難しく、実施例でも、強度が650MPa以上である場合、電気伝導度が殆ど65%IACSに至らず、電気伝導度が65%IACS以上の場合には、強度が殆ど650MPaに至らないことが分かる。
よって、曲げ加工性を向上させ、引張強さと電気伝導度性のバランスを取る銅合金の設計及びその製造工程の設計が必要である。
本発明は、Cu-Co-Si-Fe-P系合金の強度と電気伝導度のバランスを維持しながらも、最近の産業界で求めている薄板化の要求に合わせて、0.06~0.1mmの薄板でも曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系合金の製造方法を提供する。
本発明によれば、コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%、銅(Cu)残部量及び不可避な不純物、及び選択的に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下からなり、コバルト(Co)とシリコン(Si)の含量の和が1.4≦Co+Si≦3.5であり、コバルト(Co)/シリコン(Si)の質量の比は3.5≦Co/Si≦4.5であり、鉄(Fe)/リン(P)の質量の比は1.0<Fe/Pである電子材料用の
銅合金を提供する。
上記銅合金は、CoSi及びFePを析出相とする。
上記銅合金は、0.06mm~0.1mmの薄板において曲げ半径(R)と板厚(t)
の比(R/t)を0にし、曲げ方向を圧延垂直及び水平方向に180度完全密着庫時に割れが発生しない。
上記銅合金は、10μm未満の微細結晶粒と10~35μmの粗大結晶粒とが混合されているバイモダル構造(bimodal structure)を有し、この微細結晶粒の面積は、全体面積の0.1%以上である。
上記銅合金は、板材である。
本発明によれば、(a)コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%及び銅(Cu)残部量、及び選択的にニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下を溶解してインゴットを鋳造するステップ;(b)得られたインゴットを900~1100℃にて30分~4時間維持して熱間圧延を行うステップ;(c)冷間圧下率を90%以上で1次冷間圧延処理を行うステップ;(d)400~800℃にて5~500秒間中間熱処理を行うステップ;(e)冷間圧下率70%以下で2次冷間圧延を行うステップ;(f)900~1100℃にて5~500秒間溶体化処理を行うステップ;(g)冷間圧下率10%以上で3次冷間圧延処理を行うステップ;(h)2段析出するステップであって、480~600℃にて1~24時間加熱する第1段、及び400~550℃にて1~24時間加熱する第2段を含む2段析出を行うステップ;(i)冷間圧下率5~70%で最終冷間圧延を行うステップ、及び(j)300~700℃にて2~3000秒間応力除去処理を行うステップを含む、上述した本発明の電子材料用銅合金の製造方法を提供する。
上記(h)2段析出ステップにおいて、1段と2段の温度差は40~120℃の範囲である。
本発明により得られるCu-Co-Si-Fe-P系銅合金は、強度及び電気伝導度のバランスを維持し、且つ0.06~0.1mmの薄板でも曲げ加工性に優れる。
実施例2の試料を厚さ0.1mmで圧延幅方向(B.W.)に180°完全密着曲げ加工する時の曲げ加工断面の光学顕微鏡写真である。 比較例5の試料を厚さ0.1mmで圧延幅方向(B.W.)に180°完全密着曲げ加工する時の曲げ加工断面の光学顕微鏡写真である。 Fe及びPの添加時に形成される第2相の形状及び成分を確認するための実施例5に係る試料の走査電子顕微鏡とEDS測定結果のイメージである。 Fe/Pが1未満の場合に形成される第2相の形状及び成分を確認するための比較例7に係る試料の走査電子顕微鏡とEDS測定結果のイメージである。
以下、本発明をより詳細に説明する。しかし、以下の説明は、本発明の具現のための例示的な実施様態として理解しなければならず、本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲に記載の内容によって定義される。
本明細書において、成分元素の含量は、特に指示のない限り、質量%である。
本発明は、コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%、残
部量の銅(Cu)及び不可避な不純物、及び選択的に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下からなり、コバルト(Co)とシリコン(Si)の含量の和が1.4質量%≦Co+Si≦3.5質量%であり、コバルト(Co)/シリコン(Si)の質量の比は、3.5≦Co/Si≦4.5であり、鉄(Fe)/リン(P)の質量の比は、1.0<Fe/Pである
Cu-Co-Si-Fe-P系銅合金を提供する。本発明に係るCu-Co-Si-Fe-P系銅合金は、微細結晶粒と粗大結晶粒の混在と鉄(Fe)及びリン(P)の添加により、CoSi相の粗大化が抑制され、微細FeP相が分散されて、曲げ加工性が向上される。
本発明に係る銅合金の組成及び含量の具体的な意義は、以下のようである。
(1)コバルト(Co): 1.2~2.5質量%
本発明の銅合金基地において、Co及びCoSiは硬化状として作用する。Coは常温にて0.35質量%、CoSiは300℃にて0.3質量%の固溶度の限界を有する。この数値は、NiSiの固溶度よりも低い数値であるため、Co及びCoSiはNiSiより容易に銅基地上で析出相を形成して、Cu-Ni-Si系合金より同じ強度で電気伝導度を向上させる役割を果たす。Coを1.2質量%未満に添加する場合、650MPa以上の強度を有することは難しく、2.5質量%を超えて添加する場合、65%IACSの電気伝導度を得ることができない。
(2)シリコン(Si): 0.2~1.0質量%
本発明の銅合金において、シリコン(Si)はコバルト(Co)と共にCoSi析出相を形成して、電位の移動を阻害し、強度を向上させて、析出相が発生する場合、銅基地上に固溶されていた元素が減少することで、電気伝導度の向上にも寄与する。Si含量が0.2質量%未満である場合、電気伝導度の向上効果を十分に発揮できず、1.0質量%超えである場合、析出相になれず、銅基地内に残っているSiがかえって電気伝導度を低下し、鋳造性及び冷間圧延性にも悪影響を及ぼすため、0.2~1.0質量%の含量で添加する。
(3)鉄(Fe): 0.01~0.5質量%
本発明の銅合金において、鉄(Fe)は、FeP相を形成して、溶体化処理時にピン固定効果を奏し、結晶粒が粗大化することを阻害し、強度に寄与する。本発明の銅合金において、Feの含量は0.01~0.5質量%の範囲である。Fe含量が0.01質量%未満である場合、FeP相の生成に寄与せず、後述するバイモダル(bimodal)構造に必要な微細結晶粒を得ることができない。一方、Feの含量が0.5質量%を超える場合には、FeP相の析出量が増加することにつれて、CoSiの析出駆動力が減少し、CoSiの析出量が減少する。
(4)リン(P): 0.001~0.2質量%
本発明の銅合金において、リン(P)は、Fe-P化合物の析出粒子(FeP相)を形成して、銅合金の強度を向上させる元素として作用する。また、製造工程中、鋳造ステップにおいて脱酸剤として寄与し、熱間圧延又は溶体化処理のステップにおいて結晶粒の成長を抑制する効果を有する。Pの含量が0.001質量%未満である場合、FeP相が形成されないため、結晶粒微細化の効果を得ることができず、0.2質量%を超える場合、熱間圧延時に側面割れ(side crack)を引き起こして加工性を阻害する。
(5)コバルト(Co)とシリコン(Si)の重量の合計: 1.4~3.5質量%
本発明の銅合金において、コバルト(Co)及びシリコン(Si)は、工程中に熱処理を施すことで、基地上で析出され、電気伝導度と強度とを同時に向上させる。コバルト(Co)とシリコン(Si)の含量の合計は、1.4~3.5質量%である。この範囲を超える場合、電気伝導度が65%IACS未満に低下し、この範囲未満の場合、強度が低下し、電子部品用放熱板の用途として用いることができない。
(6)コバルト(Co)/シリコン(Si)質量の比: 3.5≦Co/Si≦4.5
Si質量に対するCo質量の比であるCo/Siが低過ぎる場合、SiOの酸化皮膜が表面に形成されて表面品質を低下して、Siに対するCoの比率が高過ぎる場合、シリサイドの形成に必要なSiが不足して、高い強度を得ることが難しいため、合金組成中のCo/Siの比は、3.5≦Co/Si≦4.5の範囲に制御する必要がある。
(7)鉄(Fe)/リン(P)の質量の比: 1.0<Fe/P
P質量に対するFe質量の比であるFe/Pが低過ぎる場合、2μm以上の粗大なCo-P系析出物が形成されて、電気伝導度と強度が減少する。また、析出されずに基地上に残っているPは、電気伝導度の減少に影響を及ぼす。
1.0<Fe/Pの範囲である場合、熱間圧延工程において冷却時に析出されたCo
Si及びFePの2相粒子が溶体化処理工程において再結晶及び再結晶の成長を阻害する役割となるため、本発明で目指す強度、電気伝導度、及び曲げ加工性が得られるバイモダル構造を形成するためには、1.0<Fe/Pと添加することが必須である。
(8)ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg): 0.05質量%
以下
本発明の電子材料用銅合金において、選択的に、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)のうちの1種以上をさらに含むことができる。この成分元素のそれぞれは固溶されて強度を向上させる効果を有するが、一方では、電気伝導度を減少させるため、その含量をそれぞれ0.05質量%以下に制限する。つまり、0.05質量%以下の微量を添加しては、該当元素が電気伝導度の減少に大きい影響を及ぼさない。該当成分の追加分だけ残部量の銅含量が減少する。
(9)不可避な不純物
不可避な不純物は、製造工程において不可避に添加される元素であって、例えば、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、カドミウム(Cd)などであり、総0.05質量%以下に制御されれば、本発明の銅合金の特性に大きい影響を及ぼさない。
(10)バイモダル構造(bimodal structure)
本発明に係る銅合金は、電子走査顕微鏡(FE-SEM)とEDSを用いて微細組織を観察した結果、10μm未満の結晶粒(以下、微細結晶粒)と10~35μmの結晶粒(以下、粗大結晶粒)が混在する微細組織であるバイモダル構造を有し、このとき、微細結晶粒の面積は全体面積の0.1%以上である。この構造において、微細結晶粒はホール-ペッチの式によって強度を向上させる役割を果たし、粗大結晶粒は延伸率を高めて加工性を向上させる役割を果たす。
一般に、結晶粒が粗大な場合には、合金内の結晶粒界の面積が小さく、応力が集中して、曲げ加工時に応力が粒界に沿って集中されて、粗大なシワが生じるか、割れが発生し易い。しかし、バイモダル構造では、微細結晶粒が共に存在するため、粗大結晶粒のみが存在する場合よりも結晶粒界の面積が大きいため、応力の集中度が低い。よって、バイモダル構造を有する銅合金の曲げ加工性が向上する。
一方、本発明に係る銅合金は、銅基地内に均一に分布されたサイズ500nm以下に微
細に生成されたCoSi及びFePの析出物を含む。これに関して、結晶粒界に析出された析出物は強度に寄与しないため、微細結晶粒のみが存在する場合、結晶粒界に析出された析出物が多くて、強度の確保に不利であるが、バイモダル構造では粗大結晶粒と微細結晶粒とが混在するため、粗大結晶粒内に析出された析出物が強度に寄与し、このため、本発明に係る銅合金の強度は向上することができる。
本発明に係る銅合金は板材である。特に、本発明に係る銅合金は小型電子機器部品への用途のために、0.1mm以下の薄板として製造される。本発明によれば、この板材は、0.06mm以上0.1mm以下でも曲げ加工性に優れる。つまり、本発明に係る銅合金板材は、曲げ半径Rと板厚の比であるR/tを0とし、曲げ方向を圧延垂直及び水平方向に180度(°)完全密着した場合、割れが発生しない。例えば、図1は、後述する本発明に係る実施例2の試料を厚さ0.1mmで圧延幅方向(B.W.)に180°完全密着曲げ加工した曲げ加工断面の光学顕微鏡写真であって、割れが発生していないことが確認できる。
本発明に係るCu-Co-Si-Fe-P合金の製造方法
本発明に係るCu-Co-Si-Fe-P合金は、以下の方法により製造することができる。
本発明に係る銅合金の製造方法は、(a)コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si) 0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%及び銅(Cu)残部量、及び選択的に、ニッケル(Ni)、
マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下になるように溶解及び鋳造してインゴットを得るステップ、(b)インゴットを900~1100℃にて30分~4時間維持して熱間加工するステップ、(c)冷間圧下率90%以上で1次冷間圧延処理を行うステップ、(d)400~800℃にて~500秒間中間熱処理を行うステップ、(e)冷間圧下率70%以下で2次冷間圧延を行うステップ、(f)900~1100℃にて5~500秒間溶体化処理を行うステップ、(g)冷間圧下率10%以上で3次冷間圧延を行うステップ、(h)480~600℃にて1~24時間1次析出を行うステップ及び400~550℃にて1~24時間2次析出を行うステップからなる2段析出ステップ、(i)冷間圧下率5~70%で最終冷間圧延を行うステップ、及び(j)300~700℃にて2~3000秒間応力除去焼鈍を行うステップを含む。
具体的に、本発明に係る銅合金の製造方法は以下のようである。
先ず、コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%及び銅(Cu)残部量、及び選択的に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下になるように溶解び鋳造して、所望の組成の溶湯を得て、スラブ状に鋳造する((a)溶解鋳造ステップ)。該ステップにおいて不可避な不純物が少し追加されることがあるが、総含量は0.05質量%以下に制御される。
得られたインゴットを900~1100℃にて30分~4時間維持して熱間圧延する((b)熱間圧延ステップ)。熱間圧延が900℃未満の温度で、30分未満に維持されて行われる場合、銅合金基地内にコバルト及びニッケルが十分に固溶されず、粗大なCoSi晶出物が残り、熱間圧延時に割れを引き起こして加工性が低下するという問題があり、熱間圧延が1100℃超え、4時間超えで行われる場合、結晶粒が粗大化し、最終製品の強度を低下させるという問題が生じるか、インゴットの再溶解の危険性が増加する。熱
間圧延の終了時の温度を900℃以上にして、900℃から350℃までの平均冷却速度を10℃/s以上にして冷却させることで、粗大なCo晶出物が残らないようにすることができる。
次いで、生成物を90%以上の圧下率で1次冷間圧延処理を行う((c)1次冷間圧延ステップ)。該冷間圧延ステップにおいて圧下率が高いほど析出サイトとなる変形が増加し、均一に析出物が発生することができる。
次に、400~800℃にて~500秒間中間熱処理を行う((d)中間熱処理ステップ)。該ステップにおいて生成物は、加工組織の一部が解かされた亜焼鈍組織を形成させ、再結晶率は50%以下に制御される。該当温度範囲で中間熱処理が行われる場合、熱間圧延の冷却時に生成されたFeP相及びCoSi相が再結晶及び結晶粒の成長を阻害する効果が得られる。温度が400℃未満、及び10秒未満である場合は、一部の再結晶が進行されず、亜焼鈍組織が生成されなく、800℃超え、及び500秒超えでは再結晶率が50%以下に制御され難いため、最終ステップで互いにサイズの異なる組織を得ることが難しい。
次いで、冷間圧下率70%以下で冷間圧延を行う((e)2次冷間圧延ステップ)。この2次冷間圧延を行わずに中間熱処理後に溶体化処理する場合には、不均一なせん断組織が生成されず、さらに結晶粒を成長させる駆動力が足りないため、本発明において目指す互いに異なるサイズの微細組織を得ることができない。冷間圧下率が70%を超える場合は、既存に形成された結晶粒が維持されず、互いに異なるサイズの微細組織を得ることができない。
次に、900~1100℃にて5~500秒間溶体化処理を行う((f)溶体化処理ステップ)。該溶体化処理では、Co、Si、FeなどをCuマトリクス上に固溶させ、結晶粒を所定のサイズに再結晶させる。溶体化処理が900℃未満、及び5秒未満で行われる場合、固溶元素がマトリクス上に十分に固溶されず、最終ステップにおいて所望の電気伝導度が得られない。溶体化処理が1100℃超え、及び500秒超えで行われる場合、微細結晶粒が残存せず、全ての結晶粒が粗大に成長し、最終ステップにおいて所望の強度が得られない。
その後、10%以上の冷間圧下率で冷間圧延を行う((g)3次冷間圧延ステップ)。冷間圧延により析出物の形成のためのサイトが増加する。
次に、2段析出処理を行う((h)2段析出処理ステップ)。1段ではCoSi及びFePの析出粒子を形成して、2段では析出された粒子を強度に寄与する範囲で最大に成長させることで電気伝導度を高め、同時に新たに析出粒子を析出させることで強度及び電気伝導度を高めることができる。材料をコイル状に巻いたまま2段析出する。
2段析出処理は、炉内で2つの維持温度を有する1つの工程であって、480~600℃にて1~24時間析出処理を行うステップ(1段)、及び400~550℃にて1~24時間析出処理を行うステップ(2段)を含む。1段析出処理温度が600℃超え、24時間超えである場合は、析出物が粗大化して所望の強度が得られず、480℃未満、1時
間未満である場合は、析出物の形成が足りず、所望の強度及び電気伝導度が得られない。2段の温度が550℃超え、及び24時間超えである場合は、析出物が粗大化して所望の強度が得られず、また400℃未満、及び1時間未満である場合は、電気伝導度及び強度向上の効果が得られない。
2段間の温度差は40~120℃の範囲である。温度差が40℃より小さい場合、1段
で析出された析出物が粗大化して強度の低下をもたらし、温度差が120℃より大きい場合は、1段析出工程で析出された析出物が2段析出工程ではほぼ成長せず、電気伝導度を高めることができない。また、2段で新たに析出物が形成され難くなるため、強度及び電気伝導度への寄与が少ない。
1段析出処理ステップ及び2段析出処理ステップの間に、炉内で0.1℃/分以上~50℃/分以下の速度で温度を降下することができる。この速度で温度を降下すると、強度と電気伝導度のバランスが向上するという利点がある。温度降下速度が0.1℃/分未満である場合は、析出物が粗大化して強度が低下し、50℃/分を超える場合、2段析出時に安定した温度制御が難しく、2段目において微細析出物をさらに析出させて強度及び電気伝導度を向上させることが難しい。
次いで、析出後に圧下率5~70%で最終圧さで冷間圧延を行う((i)最終冷間圧延ステップ)。5%未満の圧下率で冷間圧延する場合、最終製品において均一な板状を得ることが難しく、70%超えの圧下率で冷間圧延を行う場合、冷間圧延後に応力除去焼鈍を行っても最終製品における曲げ加工性が低下する。
300~700℃にて2~3000秒間応力除去焼鈍処理を行う((j)応力除去焼鈍ステップ)。応力除去焼鈍を行わない場合、材料内部の応力が不均一変形をもたらすため、曲げ加工性が低下する可能性がある。
各工程の間には酸化スケールを取り除くための酸洗と研磨が行われてもよい。
本発明に係るCu-Co-Si-Fe-P系合金は、析出硬化型銅合金であって、銅基地内にCoSi及びFePの析出相を形成して、微細結晶粒と粗大結晶粒とが混在する組織を形成させて、強度と電気伝導度のバランスを維持しながら、曲げ加工性を向上させる。Fe、Pの同時添加及び再結晶率を50%以下に制御する中間熱処理と、冷間圧下率70%以下の2次冷間圧延、溶体化処理工程により、結晶粒のサイズが10μm未満の微細結晶粒領域と10~35μmの粗大結晶粒領域とが混在するバイモダル構造を形成させることができ、バイモダル構造により、強度と電気伝導度とのバランスを維持しながら、曲げ加工性を同時に向上させることができる。
本発明によれば、中間熱処理により亜焼鈍組織を形成した後、2次冷間圧延及び溶体化処理により、10μm未満の結晶粒と10~35μmの結晶粒とが混在して分布する微細組織を生成し、2段析出処理により、CoSi及びFePの析出物が微細なサイズで均一に分布する組織を形成させることで、2段析出処理後に最終圧延ステップにおいて5~70%の圧延後にも強度と電気伝導度のバランスを維持しながらも曲げ加工性が確保可能なCu-Co-Si-Fe-P合金を製造することができる。
本発明に係るCu-Co-Si-Fe-P系合金は、電子部品放熱板、コネクタ、リレー、スイッチなどに用いることができる。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は、本発明及びその利点をより良く理解するために提供するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1~12
表1~表3及び後述のように、実施例1~12に係る試片が得られた。各実施例に係る工程条件は、表2及び表3に示した。
表1に示された含量のCo、Si、Fe、P及びCuを高周波溶解炉で1300℃にて溶解し、厚さ30mmのインゴットを鋳造した((a)溶解及び鋳造ステップ)。
このインゴットを1000℃にて1時間加熱した後、板厚さ11mmまで熱間圧延した((b)熱間圧延ステップ)。熱間圧延の終了時の材料温度は920℃であった。その後、熱間圧延された生成物を析出物が生成される温度である900℃~350℃の範囲における平均冷却速度を10℃/s以上として、粗大なCo系晶出物が残らないように水冷した。
次いで、1次冷間圧延を94~95%の冷間圧下率で施した((c)1次冷間圧延ステップ)。
次いで、中間熱処理を780℃、加熱時間60秒で施し、その後に水冷した((d)中間熱処理ステップ)。このとき、再結晶率は50%以下に、再結晶部分の再結晶粒の平均結晶粒径は1μm以上のサイズに形成した。
その後、2次冷間圧延を70%の加工度で施した((e)2次冷間圧延ステップ)。
次いで、溶体化処理を950℃、加熱時間30秒の条件で施し、その後には水冷した((f)溶体化処理ステップ)。
次いで、3次冷間圧延を6%の冷間圧下率で施した((g)3次冷間圧延ステップ)。
次いで、2段析出処理を表2に示された条件で施した((h)2段析出処理ステップ)。
最終冷間圧延を圧下率33%(0.1mm)及び60%(0.06mm)の条件で施し((i)最終冷間圧延ステップ)、最後に、応力除去焼鈍を500℃、加熱時間30秒の条件で施し、各試験片を得た((j)応力除去処理ステップ)。各工程の間には適宜に面削、酸洗、脱脂を施した。
比較例1~31
表3に示されたように、表1に示された29個の組成と、表2に示された工程条件を採用するという点を除けば、実施例の製造方式と同様にして、比較例1~31の試片を製造した。
Figure 0007038823000001
Figure 0007038823000002
このようにして得られた実施例と比較例の各試片に対して各種の特性評価を行った。実施した特定評価は、以下のようである。
(1)引張強さ
圧延平行方向の引張試験片をKS B 0801に従って製作し、測定した。その結果を表3に示した。
(2)電気伝導度(E.C)
KS D 0240非鉄金属の電気伝導度の測定規格を適用して測定した。試験温度補正済みのダブルブリッジ(Double bridge)型装備を用いて、板状素材を利用して測定した。その結果を表2に示した。
(3)曲げ加工性: 180°曲げ性試験
0.1mm厚さの試料を幅100mm、長さ200mmに切り出したものを曲げ加工性測定用試験片として用いた。所定の曲げ半径(R)で170°程度にB.Wに曲げた後、
曲げ内側半径(R)の2倍の介在物を180°に押し曲げて180°曲げ試験を行い、曲げ部に割れの生じない最小の曲げ半径(MBR)を板厚さに分けた値であるMBR/tを求めた。その結果を表2、及び図1~2に示した。図1~2は、試片の走査電子顕微鏡(SEM)分析イメージである。図1は、実施例2の厚さ0.1mmで圧延幅方向(B.W.)に180°完全密着曲げ加工時の曲げ加工断面の光学顕微鏡写真である。図2は、比較例5の厚さ0.1mmで圧延幅方向(B.W.)に180°完全密着曲げ加工時の曲げ加工断面の光学顕微鏡写真である。図1は、上記条件で曲げ加工断面に割れが発生していないが、図2の曲げ加工断面には割れが発生していることが分かる。
(4)観測
得られた試片を光学顕微鏡(Optical Microscopy)と走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)を用いて、結晶粒サ
イズ及び微細結晶面積率を確認した。その結果を以下の表3及び図3~4に示した。具体的に、図3は、実施例5に係るFe及びPの添加時に形成される第2相の形状及び成分を示す走査電子顕微鏡とEDS測定結果イメージである。図4は、比較例7に係るFe/P<1の場合に形成される第2相の形状及び成分を示す走査電子顕微鏡とEDS測定結果イ
メージである。図3の実施例5に係る試料は、Fe及びPの添加により形成される第2相が確認できるが、図4の比較例7に係る試料は、2~4μmサイズの粗大なCo-P析出物と微細なCoSiが同時に形成されることを観察することができる。
Figure 0007038823000003
実施例1~12は、本発明の要件を満たす電子材料用銅合金であって、電子機器用放熱板として用いられるように高強度と高い電気伝導度、薄板における曲げ加工性をいずれも備えている。比較例1からCo+Si含量が1.4mass未満である場合、強度が低下することが分かり、比較例2及び3からCo+Si含量が3.5massである場合、電気伝導度が低下することが分かる。
比較例4及び5は、Fe及びPが添加されない場合、目指す曲げ加工性を確保することができず、比較例13~16からは、Fe又はPのみが添加される場合、熱間圧延性、電気伝導度及び曲げ加工性が低下することが確認できる。
比較例6から、Fe及びPが同時に添加されても、添加量が足りない場合は、溶体化処理において微細結晶粒が残らず、バイモダル構造が形成されないため、曲げ加工性が向上できず、基地に残っているFe及びPが電気伝導度に悪影響を及ぼすことが分かる。比較例7及び8から、Fe/Pの比率が1以下である場合、2μm以上のCo-P系析出物が形成され、粗大過ぎる析出物により電気伝導度が低下することが分かる。この内容は、図4から確認できる。
比較例9から、Fe/P>1であっても、Feを添加過ぎた場合は、電気伝導度が低下
することが分かる。
実施例10~12から、Mg、Mn、Niなどをそれぞれ0.05%以下添加した場合は、最終の物性に大きい影響を及ぼさないが、比較例10~12から、Mg、Mn、Niなどを総0.05%以上添加する場合、電気伝導度が低下することが確認でき、該当組成においてCoSiに該当元素が添加されるか、該当元素がシリコンと結合してシリサイドを形成することを観察することができなかった。
比較例13及び14から、Feのみを添加する場合、電気伝導度が少し減少し、微細結晶粒が形成されず、曲げ加工性が良好ではないことが分かる。
比較例15及び16から、Pのみを添加する場合、電気伝導度が大きく減少し、Pの含量が増加するほど加工性が良くなく、サイド割れが激しくなり、曲げ加工性も低下することが分かる。
比較例17から、シリコンの含量が1.0%を超える場合、熱間圧延ステップからサイドクラックが生じ、完成品が製造できないことが分かる。
比較例18から、中間熱処理温度が低い場合、亜焼鈍組織が形成されず、溶体化処理後に10μm未満の微細結晶粒と10~35μmの粗大結晶粒とが混在するバイモダル構造が生成されず、0.1mm薄板における曲げ加工性が向上しないことが分かる。また、比較例19から、中間熱処理温度が高い場合にも、バイモダル構造が生成されず、曲げ加工性が向上しないことが分かる。比較例20から、中間熱処理と溶体化処理との間に70%以下の冷間圧延が施されていない場合にも、バイモダル構造が生成されなく、また比較例21から、圧下率が70%以上である場合にも、バイモダル構造がされず、曲げ加工性が向上しないことが分かる。比較例22から、溶体化処理温度が低過ぎる場合、基地上にCo、Si、Feなどが十分に固溶されず、最終製品で析出物の形成が足りず、電気伝導度及び強度が低下することが分かる。また、比較例23から、溶体化処理時間が長過ぎる場合、結晶粒が粗大化し強度が減少して、バイモダル構造が生成されず、曲げ加工性を顕著に低下させることが分かる。
比較例24から、1段析出の温度が高い場合、比較例25から、1段析出の時間が長い場合、いずれも析出物が粗大化し強度が低下することが分かる。比較例26及び27から、2段析出を行わない場合、60%IACS以上の電気伝導度を有する合金が得られないことが分かる。比較例28の結果から、2段析出の温度が低い場合、1段で析出された元
素が成長せず、さらに析出される析出物が足りないことを観察することができ、電気伝導度の向上及び所望の強度を得ることができない。比較例29からは、2段析出の時間が短い場合、1段で析出された元素の成長及び追加の析出が足りず、所望の強度及び電気伝導度を得ることができない。
比較例30からは、2段析出の温度差が不足し、析出物が粗大化することで、所望の強度が得られない。また、比較例31からは、2段析出の温度差が大きく析出物が成長するか、さらに析出され難く、所望の電気伝導度及び強度が得られない。

Claims (2)

  1. コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%、銅(Cu)残部量及び不可避な不純物、及び選択的に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下からなり、コバルト(Co)とシリコン(Si)の含量の和が1.4≦Co+Si≦3.5であり、コバルト(Co)/シリコン(Si)の質量の比は3.5≦Co/Si≦4.5であり、鉄(Fe)/リン(P)の質量の比は1.0<Fe/Pであり、
    前記銅合金は、Co Si及びFe Pを析出相として含み、
    前記銅合金は、10μm未満の微細結晶粒と10~35μmの粗大結晶粒とが混在しているバイモダル構造(bimodal structure)を有し、前記微細結晶粒の面積は、全面積の0.1%以上であり、
    前記銅合金は、0.06mm~0.1mmの薄板において曲げ半径(R)と板厚さ(t)の比(R/t)を0とし、曲げ方向を圧延垂直及び水平方向に180度完全密着した時に割れが発生せず、
    前記銅合金は、650MPa以上の引張強さ、65%IACS以上の電気伝導度を有し、
    前記銅合金は、板材である、電子材料用銅合金。
  2. (a)コバルト(Co)1.2~2.5質量%、シリコン(Si)0.2~1.0質量%、鉄(Fe)0.01~0.5質量%、リン(P)0.001~0.2質量%及び銅(Cu)残部量、及び選択的に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれた1種以上各0.05質量%以下を溶解してインゴットを鋳造するステップ;
    (b)得られたインゴットを900~1100℃にて30分~4時間維持して熱間圧延を行うステップ;
    (c)冷間圧下率90%以上で1次冷間圧延処理を行うステップ;
    (d)400~800℃にて5~500秒間中間熱処理を行うステップ;
    (e)冷間圧下率70%以下で2次冷間圧延を行うステップ;
    (f)900~1100℃にて5~500秒間溶体化処理を行うステップ;
    (g)冷間圧下率10%以上で3次冷間圧延処理を行うステップ;
    (h)2段析出するステップであって、480~600℃にて1~24時間加熱を行う第1段、及び400~550℃にて1~24時間加熱を行う第2段を含む2段析出を行うステップ;
    (i)冷間圧下率5~70%で最終冷間圧延を行うステップ、及び
    (j)300~700℃にて2~3000秒間応力除去処理を行うステップ
    を含み、(h)2段析出ステップにおいて、1段と2段の温度差は、40~120℃の範囲である、請求項1に記載の電子材料用銅合金の製造方法。
JP2020528030A 2019-04-09 2020-01-20 曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系銅合金及びその製造方法 Active JP7038823B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020190041379A KR102005332B1 (ko) 2019-04-09 2019-04-09 굽힘가공성이 우수한 Cu-Co-Si-Fe-P계 구리 합금 및 그 제조 방법
KR10-2019-0041379 2019-04-09
PCT/KR2020/000941 WO2020209485A1 (ko) 2019-04-09 2020-01-20 굽힘가공성이 우수한 cu-co-si-fe-p계 구리합금 및 그 제조 방법

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021523977A JP2021523977A (ja) 2021-09-09
JP7038823B2 true JP7038823B2 (ja) 2022-03-18

Family

ID=68207356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020528030A Active JP7038823B2 (ja) 2019-04-09 2020-01-20 曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系銅合金及びその製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US11591682B2 (ja)
JP (1) JP7038823B2 (ja)
KR (1) KR102005332B1 (ja)
CN (1) CN112055756B (ja)
WO (1) WO2020209485A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102005332B1 (ko) * 2019-04-09 2019-10-01 주식회사 풍산 굽힘가공성이 우수한 Cu-Co-Si-Fe-P계 구리 합금 및 그 제조 방법
JP7525322B2 (ja) 2020-07-29 2024-07-30 Dowaメタルテック株式会社 Cu-Ni-Co-Si系銅合金板材、その製造方法および導電ばね部材
CN112391556B (zh) * 2020-11-17 2022-02-11 中南大学 一种双峰晶粒尺寸、双尺度纳米相强化的高强高导Cu-Cr-Nb合金
KR102403910B1 (ko) * 2021-11-29 2022-06-02 주식회사 풍산 강도, 전기전도도 및 굽힘가공성이 우수한 자동차 또는 전기전자 부품용 동합금판재의 제조 방법 및 이로부터 제조된 동합금판재
CN116197235B (zh) * 2023-04-28 2023-06-30 太原晋西春雷铜业有限公司 一种c19400和c19210铸锭混合热轧的方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008056977A (ja) 2006-08-30 2008-03-13 Mitsubishi Electric Corp 銅合金及びその製造方法
JP2012201977A (ja) 2011-03-28 2012-10-22 Jx Nippon Mining & Metals Corp 電子材料用Cu−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP2014205864A (ja) 2013-04-10 2014-10-30 Jx日鉱日石金属株式会社 導電性及び応力緩和特性に優れる銅合金板

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5085908B2 (ja) * 2006-10-03 2012-11-28 Jx日鉱日石金属株式会社 電子材料用銅合金及びその製造方法
EP2248921A4 (en) * 2008-01-31 2011-03-16 Furukawa Electric Co Ltd COPPER ALLOY MATERIAL FOR ELECTRICAL / ELECTRONIC COMPONENT AND METHOD FOR MANUFACTURING COPPER ALLOY MATERIAL
CN101939460B (zh) * 2008-02-08 2012-09-05 三井住友金属矿山伸铜株式会社 沉淀硬化型铜合金条的制造方法
KR20110039372A (ko) * 2008-08-05 2011-04-15 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 전기·전자부품용 동합금재
JP2010236029A (ja) 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Mining & Metals Co Ltd 電子材料用Cu−Si−Co系合金及びその製造方法
JP4708485B2 (ja) * 2009-03-31 2011-06-22 Jx日鉱日石金属株式会社 電子材料用Cu−Co−Si系銅合金及びその製造方法
JP4620173B1 (ja) * 2010-03-30 2011-01-26 Jx日鉱日石金属株式会社 Cu−Co−Si合金材
JP4677505B1 (ja) * 2010-03-31 2011-04-27 Jx日鉱日石金属株式会社 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP4830035B2 (ja) 2010-04-14 2011-12-07 Jx日鉱日石金属株式会社 電子材料用Cu−Si−Co系合金及びその製造方法
JP2011246740A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Jx Nippon Mining & Metals Corp 電子材料用Cu−Co−Si系合金板又は条
JP4799701B1 (ja) * 2011-03-29 2011-10-26 Jx日鉱日石金属株式会社 電子材料用Cu−Co−Si系銅合金条及びその製造方法
JP2013104078A (ja) * 2011-11-11 2013-05-30 Jx Nippon Mining & Metals Corp Cu−Co−Si系合金及びその製造方法
KR102005332B1 (ko) * 2019-04-09 2019-10-01 주식회사 풍산 굽힘가공성이 우수한 Cu-Co-Si-Fe-P계 구리 합금 및 그 제조 방법

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008056977A (ja) 2006-08-30 2008-03-13 Mitsubishi Electric Corp 銅合金及びその製造方法
JP2012201977A (ja) 2011-03-28 2012-10-22 Jx Nippon Mining & Metals Corp 電子材料用Cu−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP2014205864A (ja) 2013-04-10 2014-10-30 Jx日鉱日石金属株式会社 導電性及び応力緩和特性に優れる銅合金板

Also Published As

Publication number Publication date
US20210230727A1 (en) 2021-07-29
JP2021523977A (ja) 2021-09-09
KR102005332B1 (ko) 2019-10-01
CN112055756B (zh) 2021-12-17
WO2020209485A1 (ko) 2020-10-15
US11591682B2 (en) 2023-02-28
CN112055756A (zh) 2020-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7038823B2 (ja) 曲げ加工性に優れたCu-Co-Si-Fe-P系銅合金及びその製造方法
JP5312920B2 (ja) 電子材料用銅合金板又は条
JP4937815B2 (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP4934759B2 (ja) 銅合金板材及びこれを用いたコネクタ並びに銅合金板材の製造方法
CN103403202B (zh) Cu-Ni-Si系合金及其制造方法
KR102126731B1 (ko) 구리합금 판재 및 구리합금 판재의 제조 방법
JP5225787B2 (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si系合金板又は条
JP4799701B1 (ja) 電子材料用Cu−Co−Si系銅合金条及びその製造方法
JP2008196042A (ja) 強度と成形性に優れる電気電子部品用銅合金板
JP5451674B2 (ja) 電子材料用Cu−Si−Co系銅合金及びその製造方法
TW201736613A (zh) 銅合金板材及銅合金板材的製造方法
JP2011052316A (ja) 高強度で曲げ加工性に優れた銅合金
WO2012043170A1 (ja) 電子材料用Cu-Co-Si系銅合金及びその製造方法
TWI432586B (zh) Cu-Co-Si alloy material
JP4834781B1 (ja) 電子材料用Cu−Co−Si系合金
JP5291494B2 (ja) 高強度高耐熱性銅合金板
JP4664584B2 (ja) 高強度銅合金板および高強度銅合金板の製造方法
JP2011246740A (ja) 電子材料用Cu−Co−Si系合金板又は条
CN118355138A (zh) 用于生产具有优异的强度、电导率和可弯曲性的用于汽车组件或电气/电子组件的铜合金板的方法以及由此生产的铜合金板
TWI432587B (zh) Cu-Co-Si-Zr alloy and its manufacturing method
JP3766051B2 (ja) 耐熱性に優れた銅合金およびその製造方法
JP2013117060A (ja) 電子材料用Cu−Co−Si系合金
JP4679040B2 (ja) 電子材料用銅合金
JP2012229469A (ja) 電子材料用Cu−Si−Co系銅合金及びその製造方法
JP5595961B2 (ja) 電子材料用Cu−Ni−Si系銅合金及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200520

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7038823

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250