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JP7022255B1 - 環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法 - Google Patents

環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く工業的規模で生産することができる製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】粗環状アルキレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出す、第一の蒸留分離工程と、前記工程で得られた該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する環状アルキレンカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から塔頂成分(Bt)と、側面抜出口からサイドカット成分(Bs)と、塔底から塔底成分(Bb)との3つの成分を連続的に抜き出す、第2の蒸留分離工程と、を含み、前記サイドカット成分(Bs)が、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートである、環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法に関する。
エチレンカーボネートは、1,3-ジオキソラン-2-オンとも呼ばれ、各種特性に優れている。例えば、エチレンカーボネートは、優れた極性有機溶媒及び有機合成中間体であり、具体的には、例えば、プラスチック、染料、高分子合成、ガス浄化分離、電子工業及び有機合成工業などの分野に広く用いられている。また、具体的には、例えば、主にアクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル樹脂等の紡糸液として用いられ、また、プラスチック及びゴム中間体の発泡剤、土質安定剤、塗料除去剤、悪臭消臭剤、選択的芳香族炭化水素抽出溶剤、又は、合成アンモニア工業、石油工業における酸性ガスの浄化溶剤等に用いられる。そのため、エチレンカーボネートを工業的に生産する大規模な工業生産装置が開発されている。エチレンカーボネートは主に、アンモニア原料ガス、都市ガス、油田ガスなどの酸性ガスの浄化溶剤;電子工業用液晶溶剤;フラドリゾン、ビニレンカーボネート、ハロゲン化エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレングリコール等の有機製品を生産する原材料として用いられる。
特に、高純度のエチレンカーボネートはリチウム電池電解液の良溶媒として有用である。近年、リチウム電池の生産量が大きく増加するにつれて、高純度のエチレンカーボネートの市場需要も大幅に上昇している。したがって、リチウム電池電解液の良溶媒として使用できるような高純度のエチレンカーボネートを開発することが求められている。
高純度の環状アルキレンカーボネートを製造する方法については、いくつか提案がなされている。
例えば、特許文献1には、エチレンカーボネート粗生成物を連続精留プロセスに送り,頂部で軽質成分不純物を除去し、底部で重質成分不純物を除去し、側部にエチレンカーボネート中間精製品を採取し、上記ステップで得られたエチレンカーボネート中間精製品を緩衝した後、バッチ精留プロセスに送り,加熱して気液平衡を確立した後に頂部で軽質成分物質を除去し、側部にエチレンカーボネート生成物を採取することを特徴とするエチレンカーボネート精製プロセスが提案されている。特許文献1に記載のエチレンカーボネート精製プロセスは、このように連続精留とバッチ精留との2塔式で、1塔目は側面抜出口(サイドカット抜出口)を有し、該側面抜出口からエチレンカーボネート中間精製品を採取しており、2塔目がバッチ精留である。また、例えば、特許文献2には、供給タンク、中間バッファタンク、電子グレード製品缶、予備精製塔及びその付属設備、電子グレード製品塔及びその付属装置を含み、精製塔液位計液位、中間バッファタンク液位計液位、製品塔液位計液位が液位自動制御を設定し、精製塔加熱制御弁群と精製塔還流流量計が連鎖自己制御を設置し、製品塔加熱制御弁群と製品塔還流流量計が連鎖自己制御を設定する、電子級エチレンカーボネートの精留及び制御装置が提案されている。特許文献2に記載の電子級エチレンカーボネートの精留及び制御装置は、2つの連続精留からなる2塔式で、1塔目は側面抜出口(サイドカット抜出口)を有し、該側面抜出口からエチレンカーボネート中間精製品を採取している。
中国特許出願公開第106588862号明細書 中国実用新案第208260225号明細書
しかしながら、特許文献1に記載のエチレンカーボネート精製プロセスは、2塔目がバッチ精留であるため、最終的なエチレンカーボネートの収率が十分でなく、改善の余地がある。また、特許文献2に記載の電子級エチレンカーボネートの精留及び制御装置は、2塔とも連続式であるが、1塔目の側面抜出口からエチレンカーボネート中間精製品を採取しているため、1塔目の高さを高くする必要があり、その分、設備投資が多く、更にエネルギー効率も精製塔全体で低下し、改善の余地がある。
そして、特許文献1及び2に記載の従来法では精製塔が連続式でもバッチ式でも1塔目の導入液における粗エチレンカーボネートの純度が99.7質量%以上となっているので、このような導入純度まで粗エチレンカーボネートを精製するために他の設備が必要となり、改善の余地がある。
そこで、本発明は、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く工業的規模で生産することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、粗環状アルキレンカーボネートを特定の蒸留分離工程で精製することにより、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く工業的規模で生産することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
粗環状アルキレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出す、第一の蒸留分離工程と、
前記工程で得られた該塔底成分(Ab)を、側面抜出口(サイドカット抜出口)を有する環状アルキレンカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から塔頂成分(Bt)と、側面抜出口からサイドカット成分(Bs)と、塔底から塔底成分(Bb)との3つの成分を連続的に抜き出す、第2の蒸留分離工程と、を含み、
前記サイドカット成分(Bs)が、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートである、環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法。
[2]
前記粗環状アルキレンカーボネートが粗エチレンカーボネートである、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記粗環状アルキレンカーボネートが、原料としてエチレンオキサイドと二酸化炭素とを使用して得られる粗エチレンカーボネートである、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、前記精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(1)及び(2)の条件を満たす、[1]から[3]のいずれかに記載の製造方法。
10≦VA/BsV≦1000・・・(1)
10≦VB/BsV≦1000・・・(2)
[5]
前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(3)及び(4)の条件を満たす、[1]から[4]のいずれかに記載の製造方法。
10≦Da/BsV≦50・・・(3)
10≦Db/BsV≦50・・・(4)
[6]
前記低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、下記式(5)及び(6)の条件を満たす、[1]から[5]のいずれかに記載の製造方法。
2≦DA/Da≦10・・・(5)
2≦DB/Db≦10・・・(6)
[7]
前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bのリボイラータイプが、強制循環式、クロスパイプ流下膜式、又は、薄膜蒸発式である、[1]から[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bの充填物が、規則充填物であり、
該規則充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド、又は、ガーゼパッキングのいずれかである、[1]から[7]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く工業的規模で生産することができる。
図1は本発明の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法のプロセスフローの一例の概略図である。 図2は従来の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法のプロセスフローの一例の概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法は、粗環状アルキレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出す、第一の蒸留分離工程と、前記工程で得られた該塔底成分(Ab)を、側面抜出口(サイドカット抜出口)を有する環状アルキレンカーボネート精製塔B(以下、単に「精製塔B」とも記す)に連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から塔頂成分(Bt)と、側面抜出口からサイドカット成分(Bs)と、塔底から塔底成分(Bb)との3つの成分を連続的に抜き出す、第2の蒸留分離工程と、を含み、前記サイドカット成分(Bs)が、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートである。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法は、このように粗環状アルキレンカーボネートを特定の蒸留分離工程で精製することにより、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く工業的規模で生産することができる。具体的には、粗エチレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、サイドカット抜きを行わず、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出すという方法により、低沸分離塔A(1塔目)を低沸点成分の除去に特化させるため、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができる。次いで該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から低沸点成分(塔頂成分(Bt))と、側面抜出口からエチレンカーボネート(サイドカット成分(Bs))と、塔底から高沸点成分(塔底成分(Bb))との3つの成分を連続的に抜き出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級の環状アルキレンカーボネートを製造することができる。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができる。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を抑制することができる。
なお、本実施形態において、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートとは、環状アルキレンカーボネートの純度が99.97質量%以上であり、酸化アルキレン、アルキレングリコール及びジアルキレングリコールの3成分の各々の含有量が50質量ppm以下であり、水分含有量が50質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下である環状アルキレンカーボネートをいう。
また、本実施形態において、工業的規模とは、環状アルキレンカーボネートを1t(トン)/時間以上、好ましくは2t(トン)/時間以上、より好ましくは3t(トン)/時間以上、さらに好ましくは4t(トン)/時間以上の割合で製造する規模をいう。工業的規模の上限は、特に限定されないが、例えば、15t(トン)/時間以下である。
低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートは、粗エチレンカーボネートであることが好ましい。
また、低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートは、原料としてエチレンオキサイドと二酸化炭素とを使用して得られる粗エチレンカーボネートであることが好ましい。
また、低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートの純度は、99.5質量%以下であってもよい。従来、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを得るためには、低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートの純度を99.7質量%以上とする必要があるが、本実施形態の製造方法は、低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートの純度が99.5質量%以下であっても低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで十分な蒸留分離が可能であり、最終的に電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを得ることができる。
低沸分離塔Aに連続的に導入する粗環状アルキレンカーボネートは、旭化成法などで得られる粗エチレンカーボネート、すなわち、原料としてエチレンオキサイド(EO)と二酸化炭素(CO2)とを使用して得られる純度が99.5質量%の粗エチレンカーボネートであってもよい。低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、低沸分離塔Aへの導入液をエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートとしても十分な蒸留分離が可能である。
なお、旭化成法とは国際公開第2004/108696号に記載の環状アルキレンカーボネートの製造方法である。具体的には、アルキレンオキサイドを反応器中で触媒の存在下に二酸化炭素と反応させて環状アルキレンカーボネートを製造する方法であって、反応器は配管を介して熱交換器のプロセス側流路と連通して循環回路を形成しており、該熱交換器は温度を所定の温度範囲内に調整した熱交換媒体を流すための熱交換側流路とアルキレンカーボネートの製造に関連して熱交換が行われるプロセス液を流すためのプロセス側流路とを有し、該製造方法は上記反応中又は反応後に温度が140~200℃の熱交換媒体を該熱交換器の熱交換側流路に流しながら、該反応器と該熱交換器のプロセス側流路とを含む上記循環回路にプロセス液を流して、プロセス側流路の内部温度を135~200℃に維持することを特徴とする製造方法である。
以下、本実施形態に用いる粗環状アルキレンカーボネートの製造方法の一例を説明する。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法で原料として使用するアルキレンオキサイドは、例えば、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0007022255000002
(式中、R1、R2、R3及びR4は名々独立に水素原子、炭素数1~8の直鎖状炭化水素基、炭素数3~8の脂環式炭化水素基又は炭素数6~8の芳香族炭化水素基を表す。)
このようなアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ビニルエチレンオキサイド、シクロへキセンオキサイド及びスチレンオキサイド等が挙げられ、特にエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドが入手の容易さなどの点で好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法において、上記アルキレンオキサイドを触媒の存在下で二酸化炭素との反応に反応器中で付して、反応混合物を反応器中に得ることが好ましい。反応混合物は、下記式(2)で表される環状アルキレンカーボネートを含有する。
Figure 0007022255000003
(式中のR1、R2、R3及びR4は式(1)において定義した通りである。)
本実施形態において、環状アルキレンカーボネートの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、シクロへキセンカーボネート及びスチレンカーボネートが挙げられ、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法において、アルキレンオキサイドと二酸化炭素とから環状アルキレンカーボネートを得る反応は、以下の式(3)で表される。
Figure 0007022255000004
(式中のR1、R2、R3及びR4は式(1)において定義した通りである。)
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法において、アルキレンオキサイドと二酸化炭素との反応で使用する触媒は、上記式(3)の反応を実施するために通常用いられる触媒であれば特に限定はない。具体的には、テトラエチルアンモニウムブロマイド、5員環/6員環炭化水素のハロゲン化物、ロダンアンモニウム又はその熱分解生成物のような有機物質系触媒、金属又はアルカリ金属の臭化物や沃化物などの無機物質系触媒、並びにこれらに少量のアルコール類や水を添加したものなどが用いられるが、触媒回収の容易な無機物質系の触媒が好ましい。触媒の使用量には特に限定はないが、反応系に対して0.l~3質量%が好ましく、0.l~2質量%が更に好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法において、アルキレンオキサイドと二酸化炭素との反応温度は、好ましくは100~200℃であり、より好ましくは150~190℃である。反応圧力は、好ましくは2~15MPaであり、より好ましくは4~12MPaである。反応時間は、原料であるアルキレンオキサイドと二酸化炭素との組成比、アルキレンオキサイドの種類、使用触媒の種類と濃度、反応温度等によって異なる。例えば、完全混合反応器の滞留液量と全供給液量から求められる平均滞留時間を反応時間と定義すると、通常、0.5~10時間、好ましくは1~5時間である。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法を実施するに当り、原料であるアルキレンオキサイドと二酸化炭素の量比は、アルキレンオキサイドに対する二酸化炭素のモル比で表して、通常、1~5、好ましくは1~2である。通常、反応器から余剰の二酸化炭素ガスを放出すると、同伴する未反応のアルキレンオキサイドも増える。したがって、アルキレンオキサイドと二酸化炭素との量比を調整する際には、余剰の二酸化炭素ガスを反応器から放出するのではなく、反応器圧力が一定となるように二酸化炭素供給量を調整する方法が好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法において上記反応を実施するための反応器は、配管を介して熱交換器のプロセス側流路と連通して循環回路を形成していることが好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法の反応方式としては、完全混合の反応器、完全混合反応器を直列に用いた多段反応方式、プラグフロー反応器、完全混合反応器とプラグフロー反応器を組み合せた方式等の、一般的に用いられる反応方式を使用することができる。
粗環状アルキレンカーボネートを完全混合方式の反応器を用いて製造する場合には、反応混合物中に二酸化炭素が溶解し易いように、大流量の反応液をポンプで循環する方法が好ましい。通常、単位時間当たりの循環回数は10~50回/時間であり、好ましくは20~40回/時間である。反応混合物をポンプ循環する配管の途中に熱交換器を設けて、反応熱の除去を行う場合には、大流量の循環を行うと、熱交換器の冷却能力が上がるので好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法に用いられる熱交換器は、温度を所定の温度範囲内に調整した熱交換媒体を流すための熱交換側流路と、粗環状アルキレンカーボネートの製造に関連して熱交換が行われるプロセス液を流すためのプロセス側流路とを有するものであることが好ましい。プロセス液とは、熱交換器によって処理される(即ち、温度が調節される)液体であり、熱交換媒体とは、プロセス液の温度を調節するための媒体である。そして熱交換器の熱交換側流路とは、熱交換媒体を流すための流路であり、プロセス側流路とは、プロセス液を流すための流路である。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法で用いる熱交換器は、温度が140℃~200℃の熱交換媒体を熱交換器の熱交換側流路に流し、プロセス側流路の内部温度を135℃~200℃に維持することのできるものが好ましい。例えば、反応器内部に設ける蛇管式熱交換器、二重管式熱交換器、一般的な多管式熱交換器などを単独又は組み合わせて用いることができる。熱交換器は、伝熱面積を大きくし、装置の小型化が可能な多管式熱交換器を用いるのが好ましい。
多管式熱交換器を用いる場合には、プロセス液と熱交換媒体は、多管式熱交換器のチューブ側及びシェル側のいずれを熱交換側流路又はプロセス側流路にしてもかまわない。熱交換器のチューブ側及びシェル側のそれぞれに何を通液するかは、小型の熱交換器を用いるために総括伝熱係数(U)を大きくする場合や、汚れ物質が付着しやすい流体をチューブ側に通液することで洗浄を容易にする場合等、必要に応じて適宜選択すればよい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法で用いる熱交換器は、予熱器と冷却器の両方として機能する装置が好ましい。このような熱交換器は、スタートアップ時は反応液を反応開始温度まで昇温する予熱器として使用し、定常運転中は反応熱の除去を行う為の冷却器として使用することができる。
熱交換器のプロセス側流路の材質はプロセス液に対する耐蝕性があれば特に限定はない。鉄錆はその触媒作用によりアルキレンオキサイドの重合物の生成原因となるので、ステンレス鋼を用いるのが好ましい。
粗環状アルキレンカーボネートの製造方法で用いる熱交換媒体は、その温度を140℃~200℃、好ましくは140℃~180℃に維持することのできるものが好ましく、例えば、一般的に熱交換媒体として用いられる水、蒸気、熱媒油等が挙げられる。熱交換媒体としては、熱的に安定で蒸気圧の低い熱媒油が、熱交換器の設計圧を低くできるので好ましい。更に、熱媒油は温度調整が容易なので、熱交換媒体として用いると、熱交換媒体の供給量の増減で反応温度が調整できるので、粗環状アルキレンカーボネート製造装置の運転操作が容易となる。
図1は本実施形態の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法のプロセスフローの一例の概略図である。この図1中、Aは、環状アルキレンカーボネートと低沸点成分とを連続的に蒸留分離する低沸分離塔であり、Bは、塔頂成分(Bt)と、サイドカット成分(Bs)と、塔底成分(Bb)との3つの成分に連続的に蒸留分離する精製塔である。またA2は低沸分離塔Aの塔頂凝縮器であり、A5は低沸分離塔Aのリボイラーである。同様にB2は精製塔Bの塔頂凝縮器であり、B5は精製塔Bのリボイラーである。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法では、このように低沸分離塔Aにおいて、環状アルキレンカーボネートを含む成分を、側面抜出口ではなく、塔底から抜き出すことにより、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができる。更に低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、エネルギーコストも低減でき、また、最終的に得られる環状アルキレンカーボネートの収率も向上する。
本実施形態の製造方法において、第一の蒸留分離工程は、粗環状アルキレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出す工程である。
低沸分離塔Aの材質としては、特に限定されないが、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼が挙げられ、特に、ステンレス鋼が好ましい。
また、低沸分離塔Aにおいて、理論段数は、好ましくは10~50段であり、より好ましくは15~40段であり、更に好ましくは20~30段である。低沸分離塔Aにおいて、粗環状アルキレンカーボネートを理論段で上から1~40段目の位置から導入することが好ましく、上から3~30段目の位置から導入することがより好ましく、上から5~20段目の位置から導入することが更に好ましい。
低沸分離塔Aにおいて、粗環状アルキレンカーボネートの導入量は、1500~15000kg/時間であることが好ましく、3000~14000kg/時間であることがより好ましく、4000~13500kg/時間であることが更に好ましい。
低沸分離塔Aにおいて、塔頂から低沸点成分(塔頂成分(At))を抜き出す。塔頂成分(At)の抜出流量は、135~1500kg/時間であることが好ましく、250~1450kg/時間であることがより好ましく、300~1400kg/時間であることが更に好ましい。
低沸分離塔Aにおいて、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)を抜き出す。塔底成分(Ab)の抜出流量は、1300~14500kg/時間であることが好ましく、3000~14000kg/時間であることがより好ましく、4000~13500kg/時間であることが更に好ましい。
本実施形態の製造方法では、低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで、導入液を環状アルキレンカーボネートの純度が工業級に相当するスペックであっても十分な低沸点成分の分離が可能となり、塔底成分(Ab)において、低沸点成分の少ない環状アルキレンカーボネートを得ることができる。
また、低沸分離塔Aの操作条件は、塔頂還流比が好ましくは1~40であり、より好ましくは5~30であり、更に好ましくは10~20である。低沸分離塔Aにおいて、塔頂還流量は、200~60000kg/時間であることが好ましく、1250~43500kg/時間であることがより好ましく、3000~28000kg/時間であることが更に好ましい。低沸分離塔Aにおいて、塔底部の温度は、100~150℃であることが好ましく、110~140℃であることがより好ましく、120~130℃であることがさらに好ましい。本実施形態の製造方法では、低沸分離塔Aにおいて、環状アルキレンカーボネートを含む成分を、側面抜出口ではなく、塔底から抜き出すことにより、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を抑制できる。低沸分離塔Aにおいて、リボイラーでの蒸気使用量は、100~17600kg/時間であることが好ましく、350~13000kg/時間であることがより好ましく、800~9000kg/時間であることが更に好ましい。低沸分離塔Aにおいて、環状アルキレンカーボネートを含む成分を、側面抜出口ではなく、塔底から抜き出すことにより、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、蒸気使用量を低減することができる。
本実施形態の製造方法において、第2の蒸留分離工程は、第一の蒸留分離工程で得られた該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から塔頂成分(Bt)と、側面抜出口からサイドカット成分(Bs)と、塔底から塔底成分(Bb)との3つの成分を連続的に抜き出す工程である。そして、精製塔Bの側面抜出口から、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを得ることができる。
また、精製塔Bの材質としては、特に限定されないが、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼が挙げられ、特に、ステンレス鋼が好ましい。精製塔Bにおいて、理論段数は、好ましくは5~30段であり、より好ましくは6~20段であり、更に好ましくは7~15段である。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から1~25段目の位置から導入することが好ましく、上から2~15段目の位置から導入することがより好ましく、上から3~10段目の位置から導入することが更に好ましい。
また、精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から1~25段目の位置とすることが好ましく、上から2~15段目の位置とすることがより好ましく、上から3~10段目の位置とすることが更に好ましい。
また、精製塔Bの操作条件は、塔頂還流比が好ましくは10~100であり、より好ましくは50~90であり、更に好ましくは60~80である。精製塔Bにおいて、塔頂還流量は、400~25000kg/時間であることが好ましく、2500~21000kg/時間であることがより好ましく、3600~16000kg/時間であることが更に好ましい。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))を抜き出す。塔頂成分(Bt)の抜出流量は、25~250kg/時間であることが好ましく、50~230kg/時間であることがより好ましく、60~200kg/時間であることが更に好ましい。精製塔Bにおいて、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))を抜き出す。塔底成分(Bb)の抜出流量は、15~150kg/時間であることが好ましく、25~140kg/時間であることがより好ましく、30~130kg/時間であることが更に好ましい。精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)として環状アルキレンカーボネートを抜き出す。サイドカット成分(Bs)の抜出流量は、1300~14000kg/時間であることが好ましく、2500~13000kg/時間であることがより好ましく、3000~12500kg/時間であることが更に好ましい。
サイドカット成分(Bs)として得られる環状アルキレンカーボネートは、上述したとおり、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートであり、純度が99.97質量%以上であり、酸化アルキレン、アルキレングリコール及びジアルキレングリコールの3成分の各々の含有量が50質量ppm以下であり、水分含有量が50質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下である。
なお、本実施形態において、環状アルキレンカーボネートの純度及び金属成分の含有量は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
精製塔Bにおいて、塔底部の温度は、100~150℃であることが好ましく、110~140℃であることがより好ましく、120~130℃であることがさらに好ましい。本実施形態の製造方法では、低沸分離塔Aにおいて低沸点成分が十分に除去されていることから、精製塔Bにおいて、塔負荷を低減でき、塔底温度を低くできることから、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を抑制できる。精製塔Bにおいて、リボイラーでの蒸気使用量は、100~7300kg/時間であることが好ましく、600~6100kg/時間であることがより好ましく、900~4700kg/時間であることが更に好ましい。本実施形態の製造方法では、低沸分離塔Aにおいて低沸点成分が十分に除去されていることから、精製塔Bにおいて、塔負荷を低減でき、塔底温度を低くできることから、蒸気使用量を低減することができる。
以上のとおり、第2の蒸留分離工程において、塔底成分(Ab)を精製塔Bに連続的に導入し、側面抜出口から環状アルキレンカーボネートを抜出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級の環状アルキレンカーボネートを製造することができる。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができる。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を抑制できる。
このように本実施形態の製造方法では、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを長期間安定して効率良く工業的規模で製造できる。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの製造方法の連続運転の定常状態において、前記低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、前記精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(1)及び(2)の条件を満たすことが好ましい。
10≦VA/BsV≦1000・・・(1)
10≦VB/BsV≦1000・・・(2)
例えば、BsV=1.325t/時間で製造する装置を用いる場合、通常は低沸分離塔A及び精製塔Bの制御のしやすさから、VA及びVBを1,500L程度で運転し、VA/BsV=1132及びVB/BsV=1132程度となるような範囲に設定するのが通常である。一方、これを上記式(1)及び(2)の条件を満たすようにすると、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成を抑制することができる傾向にある。同様の観点から、VA/BsVは、20~500であることがより好ましく、30~200であることが更に好ましく、また、VB/BsVは、20~500であることがより好ましく、30~200であることが更に好ましい。
なお、本実施形態において、連続運転の定常状態とは、各流量が所定の範囲で安定した状態で、通常、原料投入から72時間以上で定常状態となる。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの製造方法の連続運転の定常状態において、前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(3)及び(4)の条件を満たすことが好ましい。
10≦Da/BsV≦50・・・(3)
10≦Db/BsV≦50・・・(4)
上記式(3)及び(4)の条件を満たすと、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成を抑制することができる傾向にある。同様の観点から、Da/BsVは、12~40であることがより好ましく、15~30であることが更に好ましく、また、Db/BsVは、12~40であることがより好ましく、15~30であることが更に好ましい。
本実施形態の環状アルキレンカーボネートの製造方法において、前記低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、下記式(5)及び(6)の条件を満たすことが好ましい。
2≦DA/Da≦10・・・(5)
2≦DB/Db≦10・・・(6)
上記式(5)及び(6)の条件を満たすと、環状アルキレンカーボネートの分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成を抑制することができる傾向にある。同様の観点から、DA/Daは、3~8であることがより好ましく、3~7であることが更に好ましく、また、DB/Dbは、3~8であることがより好ましく、3~7であることが更に好ましい。
なお、本実施形態において、低沸分離塔Aの塔本体内径は、塔の全長にわたる長径の部分の位置の内径(cm)をいい、低沸分離塔Aの塔釜内径は、塔底部の液保有している小径の部分の位置の内径(cm)をいう。
本実施形態において、前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bのリボイラータイプは、強制循環式、クロスパイプ流下膜式、又は、薄膜蒸発式であることが好ましい。このようなリボイラーを用いると、熱交換効率が良くなりプロセス流体が接触するチューブ壁面温度が低下し、分解や重合による不純物の生成を抑制できる。
本実施形態において、前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bの充填物が、規則充填物であることが好ましい。該規則充填物としては、金属製や樹脂製のものが挙げられ、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド、又は、ガーゼパッキングであることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔エチレンカーボネートの純度〕
実施例及び比較例で得られたエチレンカーボネートの純度は、HG/T 5391に記載されたガスクロマトグラフィー法により測定した。
〔酸化アルキレン、アルキレングリコール及びジアルキレングリコールの含有量〕
実施例及び比較例で得られたエチレンカーボネートにおける酸化アルキレン、アルキレングリコール及びジアルキレングリコールの3成分の各々の含有量は、HG/T 5391に記載されたガスクロマトグラフィー法により測定した。
〔水分含有量〕
実施例及び比較例で得られたエチレンカーボネートにおける水分含有量は、HG/T 5391に記載された電量滴定法により測定した。
〔金属成分の含有量〕
実施例及び比較例で得られたエチレンカーボネートにおけるナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分の含有量は、HG/T 5391に記載された誘導結合プラズマ(ICP)法により測定した。
[実施例1]
図1は実施例1で用いたエチレンカーボネートの製造方法のプロセスフロー概略図である。この図1中、Aは、エチレンカーボネートと低沸点成分とを連続的に蒸留分離する低沸分離塔であり、Bは、塔頂成分(Bt)と、サイドカット成分(Bs)と、塔底成分(Bb)との3つの成分に連続的に蒸留分離する精製塔である。またA2は低沸分離塔Aの塔頂凝縮器であり、A5は低沸分離塔Aのリボイラーである。同様にB2は精製塔Bの塔頂凝縮器であり、B5は精製塔Bのリボイラーである。低沸分離塔Aのリボイラータイプは、強制循環式であり、精製塔Bのリボイラータイプは、強制循環式であった。また、低沸分離塔A及び精製塔Bの充填物がガーゼパッキングであった。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。実施例1において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とした。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から3段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを1500kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が135kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底部では純度99.73質量%のエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)が1365kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は25kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は15kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが1325kg/時間(BsV=1.325t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度が99.994質量%であり、ジエチレングリコール(以下「DEG」とも記す。)濃度が15質量ppmであり、酸化エチレン及びエチレングリコールの各々の含有量が30質量ppm以下であり、水分含有量が20質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下であり、電解液用途のスペック(電子級スペック)を満たしていた。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.8であり、塔頂還流量が2000kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。低沸分離塔Aのリボイラーでの蒸気使用量は900kg/時間であった。
また、該精製塔Bの操作条件は、還流比が70.0であり、塔頂還流量が1750kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。該精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は670kg/時間であった。
また、実施例1のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは73であり、VB/BsVは73であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
実施例1では粗エチレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、サイドカット抜きを行わず、低沸点成分(塔頂成分(At))とエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出し、蒸留分離するという方法により、低沸分離塔A(1塔目)を低沸点成分の除去に特化させたため、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができた。更に低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、導入液をエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートとしても十分な分離が可能となった。次いで該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、側面抜出口からエチレンカーボネートを抜出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級のエチレンカーボネートを製造することができた。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができた。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を下げられた。
このように実施例1では、電子級スペックのエチレンカーボネートを効率良く工業的規模で製造できた。
[実施例2]
実施例1と同様に図1に示すプロセスフローにより低沸分離塔A及び精製塔Bを用いてエチレンカーボネートを精製した。但し、低沸分離塔A及び精製塔Bの充填物はテクノパックであった。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。実施例2において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とした。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から3段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを5350kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が495kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底部では純度99.73質量%のエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)が4855kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は95kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は45kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが4715kg/時間(BsV=4.715t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度が99.994質量%であり、DEG濃度が18質量ppmであり、酸化エチレン及びエチレングリコールの各々の含有量が30質量ppm以下であり、水分含有量が20質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下であり、電解液用途のスペック(電子級スペック)を満たしていた。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.9であり、塔頂還流量が7400kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。低沸分離塔Aのリボイラーでの蒸気使用量は3200kg/時間であった。
また、該精製塔Bの操作条件は、還流比が66.3であり、塔頂還流量が6300kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。該精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は2400kg/時間であった。
また、実施例2のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは73であり、VB/BsVは73であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
実施例2では粗エチレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、サイドカット抜きを行わず、低沸点成分(塔頂成分(At))とエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出し、蒸留分離するという方法により、低沸分離塔A(1塔目)を低沸点成分の除去に特化させたため、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができた。更に低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、導入液をエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートとしても十分な分離が可能となった。次いで該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、側面抜出口からエチレンカーボネートを抜出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級のエチレンカーボネートを製造することができた。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができた。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を下げられた。
このように実施例2では、電子級スペックのエチレンカーボネートを効率良く工業的規模で製造できた。
[実施例3]
実施例1と同様に図1に示すプロセスフローにより低沸分離塔A及び精製塔Bを用いてエチレンカーボネートを精製した。但し、低沸分離塔A及び精製塔Bの充填物はメラパックであった。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。実施例3において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とした。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から3段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを5350kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が510kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底部では純度99.72質量%のエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)が4840kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は95kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は50kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが4695kg/時間(BsV=4.695t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度が99.991質量%であり、DEG濃度が25質量ppmであり、酸化エチレン及びエチレングリコールの各々の含有量が30質量ppm以下であり、水分含有量が20質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下であり、電解液用途のスペック(電子級スペック)を満たしていた。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.5であり、塔頂還流量が7400kg/時間であり、塔底部の温度が128℃であった。低沸分離塔Aのリボイラーでの蒸気使用量は3200kg/時間であった。
また、該精製塔Bの操作条件は、還流比が66.3であり、塔頂還流量が6300kg/時間であり、塔底部の温度が126℃であった。該精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は2400kg/時間であった。
また、実施例3のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは53であり、VB/BsVは53であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
実施例3では粗エチレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、サイドカット抜きを行わず、低沸点成分(塔頂成分(At))とエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出し、蒸留分離するという方法により、低沸分離塔A(1塔目)を低沸点成分の除去に特化させたため、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができた。更に低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、導入液をエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートとしても十分な分離が可能となった。次いで該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、側面抜出口からエチレンカーボネートを抜出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級のエチレンカーボネートを製造することができた。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができた。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を下げられた。
このように実施例3では、電子級スペックのエチレンカーボネートを効率良く工業的規模で製造できた。
[実施例4]
実施例1と同様に図1に示すプロセスフローにより低沸分離塔A及び精製塔Bを用いてエチレンカーボネートを精製した。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、実施例1と同様にエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。実施例4において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とした。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から3段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを5350kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が500kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底部では純度99.73質量%のエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)が4850kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は90kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は50kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが4710kg/時間(BsV=4.710t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度が99.994質量%であり、DEG濃度が15質量ppmであり、酸化エチレン及びエチレングリコールの各々の含有量が30質量ppm以下であり、水分含有量が20質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下であり、電解液用途のスペック(電子級スペック)を満たしていた。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.8であり、塔頂還流量が7400kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。低沸分離塔Aのリボイラーでの蒸気使用量は3200kg/時間であった。
また、該精製塔Bの操作条件は、還流比が70.0であり、塔頂還流量が6300kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。該精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は2400kg/時間であった。
また、実施例4のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは73であり、VB/BsVは73であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
実施例4では粗エチレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、サイドカット抜きを行わず、低沸点成分(塔頂成分(At))とエチレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出し、蒸留分離するという方法により、低沸分離塔A(1塔目)を低沸点成分の除去に特化させたため、塔高さを短くすることができ、設備投資を少なくすることができた。更に低沸分離塔Aにおいて低沸点成分の除去に特化させたことで塔負荷に余裕ができ、導入液をエチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートとしても十分な分離が可能となった。次いで該塔底成分(Ab)を、側面抜出口を有する精製塔Bに連続的に導入し、側面抜出口からエチレンカーボネートを抜出すことで微量残った低沸点成分も高沸点成分も除去することができ、電子級のエチレンカーボネートを製造することができた。そして精製塔B(2塔目)も低沸分離塔A(1塔目)で低沸点成分がほとんど除去されているので塔負荷に余裕があり、分離のためのエネルギー消費を下げることができた。更に、精製塔Bにおいて、塔負荷を上げないので塔の圧損も小さくでき、塔底温度を低くできることから、分解や重合反応等による低沸点副生物や高沸点副生物の生成量が少なくでき、結果として廃棄物量を下げられた。
このように実施例4では、電子級スペックのエチレンカーボネートを効率良く工業的規模で製造できた。
[比較例1]
図2は比較例1で用いたエチレンカーボネートの製造方法のプロセスフロー概略図である。この図2中、Aは、エチレンカーボネートと低沸点成分とを連続的に蒸留分離する低沸分離塔であり、Bは、塔頂成分(Bt)と、サイドカット成分(Bs)と、塔底成分(Bb)との3つの成分に連続的に蒸留分離する精製塔である。またA2は低沸分離塔Aの塔頂凝縮器であり、A5は低沸分離塔Aのリボイラーである。同様にB2は精製塔Bの塔頂凝縮器であり、B5は精製塔Bのリボイラーである。低沸分離塔Aのリボイラータイプは、強制循環式であり、精製塔Bのリボイラータイプは、強制循環式であった。また、低沸分離塔A及び精製塔Bの充填物が規則充填物であった。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。比較例1において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とし、側面抜出口を有していた。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。低沸分離塔Aにおいて、側面抜出口を理論段で上から13段目の位置とした。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から2段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを1500kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が135kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底の塔底成分の抜出量は10kg/時間であった。低沸分離塔Aの側面抜出口では純度99.93質量%のエチレンカーボネートを含む成分が1355kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は25kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は5kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが1325kg/時間(BsV=1.325t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度99.99質量%であり、DEG濃度が55質量ppmであったため、DEG濃度が50質量ppm以下という電子級スペックを満たしていておらず、電解液用途としてはスペックアウトであった。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.8であり、塔頂還流量が2000kg/時間であり、塔底部の温度は124℃であった。該低沸分離塔Aリボイラーでの蒸気使用量は900kg/時間であった。
また、精製塔Bの操作条件は、還流比が70.0であり、塔頂還流量が1750kg/時間であり、塔底部の温度が124℃であった。精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は670kg/時間であった。
また、比較例1のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは73であり、VB/BsVは73であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
[比較例2]
比較例1と同様に図2に示すプロセスフローにより低沸分離塔A及び精製塔Bを用いてエチレンカーボネートを精製した。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。比較例2において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を35段分とし、側面抜出口を有していた。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から31段目の位置から導入した。低沸分離塔Aにおいて、側面抜出口を理論段で上から23段目の位置とした。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から2段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを1500kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が140kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底部の高沸点成分の抜出流量が15kg/時間であった。低沸分離塔Aの側面抜出口では純度99.92質量%のエチレンカーボネートを含む成分が1345kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。精製塔Bにおいて、塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(Bt))の抜出流量は25kg/時間であり、塔底からの高沸点成分(塔底成分(Bb))の抜出流量は5kg/時間であった。また、精製塔Bにおいて、側面抜出口よりサイドカット成分(Bs)としてエチレンカーボネートが1315kg/時間(BsV=1.315t/時間)の割合で抜き出された。精製塔Bにおいて、側面抜出口より抜き出されたエチレンカーボネートは、純度99.99質量%、DEG濃度15質量ppmであった。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が15.0であり、塔頂還流量が2100kg/時間であり、塔底部の温度が128℃であった。該低沸分離塔Aのリボイラーでの蒸気使用量は920kg/時間であった。このように比較例2では、電子級スペックのエチレンカーボネートを得るために低沸分離塔Aとして理論段数を35段分と高くしたため、塔圧損が大きく、塔底部の温度が128℃と高くなり、また、リボイラーでの蒸気使用量も920kg/時間と比較例1と比べて多く必要となってエネルギーコストがかかった。また、このようにエネルギーコストをかけたにもかかわらず、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(BsV:エチレンカーボネートの生産量)が「1315kg/時間」であり、実施例1の「1325kg/時間」に比べて悪くなっていた。
また、該精製塔Bの操作条件は、還流比が70.0であり、塔頂還流量が1750kg/時間であり、塔底部の温度は124℃であった。該精製塔Bのリボイラーでの蒸気使用量は670kg/時間であった。
また、比較例2のエチレンカーボネート精製の連続運転の定常状態において、低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとし、低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、VA/BsVは73であり、VB/BsVは73であり、Da/BsVは19であり、Db/BsVは19であり、DA/Daは4.4であり、DB/Dbは4であった。
[比較例3]
比較例1及び2と同様に図2に示すプロセスフローにより低沸分離塔A及び精製塔Bを用いてエチレンカーボネートを精製した。但し、比較例3ではこの図2中、精製塔Bとしてエチレンカーボネートバッチ精製塔を用いた。その他は比較例1及び2と同様とした。
低沸分離塔Aに連続的に導入する導入液は、エチレンカーボネートの純度が99.5質量%の工業級に相当するスペックの粗エチレンカーボネートを使用した。比較例3において、低沸分離塔Aは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を25段分とし、側面抜出口を有していた。低沸分離塔Aにおいて、粗エチレンカーボネートを理論段で上から14段目の位置から導入した。低沸分離塔Aにおいて、側面抜出口を理論段で上から13段目の位置とした。精製塔Bは、材質としてステンレス鋼を用い、理論段数を9段分とし、側面抜出口を有していた。精製塔Bにおいて、低沸分離塔Aの塔底成分(Ab)を理論段で上から7段目の位置から導入した。精製塔Bにおいて、側面抜出口を理論段で上から2段目の位置とした。
粗エチレンカーボネートを1500kg/時間の流量で低沸分離塔Aに導入し、低沸分離塔Aの塔頂からの低沸点成分(塔頂成分(At))の抜出流量が135kg/時間であった。低沸分離塔Aの塔底の塔底成分の抜出量は10kg/時間であった。低沸分離塔Aの側面抜出口では純度99.93質量%のエチレンカーボネートを含む成分が1355kg/時間の割合で抜き出され、精製塔Bに導入された。
該低沸分離塔Aの操作条件は、還流比が14.9であり、塔頂還流量が2015kg/時間であり、塔底部の温度は124℃であった。精製塔Bには低沸分離塔Aの側面抜出口より抜き出した液を18トン送り込み、還流量6000kg/時間で1.5時間全還流の後、低沸点成分を抜出流量1300kg/時間の割合で2時間抜出した。その後、純度99.992質量%(電子級スペック)のエチレンカーボネートを13.2トン回収した。このように比較例3では、電子級スペックのエチレンカーボネートの回収効率が悪いことがわかった。該精製塔Bの塔釜に残った高沸点成分は2.0トンであった。該精製塔Bの操作条件は、還流比が4.6であり、塔底部の温度が124~130℃であった。
本発明の環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法は、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートを効率良く製造することができる。また、本発明の製造方法で得られた環状アルキレンカーボネートは、例えば、リチウム電池電解液として有用である。
A:低沸分離塔、B:環状アルキレンカーボネート精製塔、A2:低沸分離塔Aの塔頂凝縮器、A5:低沸分離塔Aのリボイラー、B2:環状アルキレンカーボネート精製塔Bの塔頂凝縮器、B5:環状アルキレンカーボネート精製塔Bのリボイラー。

Claims (54)

  1. 粗環状アルキレンカーボネートを低沸分離塔Aに連続的に導入し、該低沸分離塔Aにおいて、塔頂から塔頂成分(At)と、塔底から環状アルキレンカーボネートを含む塔底成分(Ab)とを連続的に抜き出す、第一の蒸留分離工程と、
    前記工程で得られた該塔底成分(Ab)を、側面抜出口(サイドカット抜出口)を有する環状アルキレンカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、該精製塔Bにおいて、塔頂から塔頂成分(Bt)と、側面抜出口からサイドカット成分(Bs)と、塔底から塔底成分(Bb)との3つの成分を連続的に抜き出す、第の蒸留分離工程と、を含み、
    前記サイドカット成分(Bs)が、電子級スペックの環状アルキレンカーボネートであり、
    前記サイドカット成分(Bs)において、環状アルキレンカーボネートの純度が99.97質量%以上であり、酸化アルキレン、アルキレングリコール及びジアルキレングリコールの3成分の各々の含有量が50質量ppm以下であり、水分含有量が50質量ppm以下であり、ナトリウム、カリウム、銅、鉄、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル及びカルシウムの9つの各々の金属成分が1μg/mL以下である、環状アルキレンカーボネートの工業的製造方法。
  2. 前記サイドカット成分(Bs)において、環状アルキレンカーボネートの純度が99.991質量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記サイドカット成分(Bs)において、環状アルキレンカーボネートの純度が99.994質量%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記サイドカット成分(Bs)において、酸化アルキレン及びアルキレングリコールの各々の含有量が30質量ppm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記サイドカット成分(Bs)において、ジアルキレングリコールの含有量が25質量ppm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記サイドカット成分(Bs)において、ジアルキレングリコールの含有量が18質量ppm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記サイドカット成分(Bs)において、ジアルキレングリコールの含有量が15質量ppm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記サイドカット成分(Bs)において、水分含有量が20質量ppm以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 環状アルキレンカーボネートを1トン/時間以上の割合で製造する、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 環状アルキレンカーボネートを2トン/時間以上の割合で製造する、請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 環状アルキレンカーボネートを3トン/時間以上の割合で製造する、請求項1から10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 環状アルキレンカーボネートを4トン/時間以上の割合で製造する、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 環状アルキレンカーボネートを15トン/時間以下の割合で製造する、請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 前記環状アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、シクロへキセンカーボネート又はスチレンカーボネートである、請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記粗環状アルキレンカーボネートが、原料としてアルキレンオキサイドと二酸化炭素とを使用して得られる粗アルキレンカーボネートである、請求項1から14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 前記アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ビニルエチレンオキサイド、シクロへキセンオキサイド又はスチレンオキサイドである、請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記粗環状アルキレンカーボネートが粗エチレンカーボネートである、請求項1から16のいずれか一項に記載の製造方法。
  18. 前記粗環状アルキレンカーボネートが、原料としてエチレンオキサイドと二酸化炭素とを使用して得られる粗エチレンカーボネートである、請求項1から17のいずれか一項に記載の製造方法。
  19. 前記粗環状アルキレンカーボネートの純度が99.5質量%以下である、請求項1から18のいずれか一項に記載の製造方法。
  20. 前記低沸分離塔Aにおいて、理論段数が10~50段である、請求項1から19のいずれか一項に記載の製造方法。
  21. 前記低沸分離塔Aにおいて、理論段数が15~40段である、請求項1から20のいずれか一項に記載の製造方法。
  22. 前記低沸分離塔Aにおいて、理論段数が20~30段である、請求項1から21のいずれか一項に記載の製造方法。
  23. 前記低沸分離塔Aにおいて、塔底部の温度が100~150℃である、請求項1から22のいずれか一項に記載の製造方法。
  24. 前記低沸分離塔Aにおいて、塔底部の温度が110~140℃である、請求項1から23のいずれか一項に記載の製造方法。
  25. 前記低沸分離塔Aにおいて、塔底部の温度が120~130℃である、請求項1から24のいずれか一項に記載の製造方法。
  26. 前記低沸分離塔Aにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が100~17600kg/時間である、請求項1から25のいずれか一項に記載の製造方法。
  27. 前記低沸分離塔Aにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が350~13000kg/時間である、請求項1から26のいずれか一項に記載の製造方法。
  28. 前記低沸分離塔Aにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が800~9000kg/時間である、請求項1から27のいずれか一項に記載の製造方法。
  29. 前記精製塔Bにおいて、塔底部の温度が100~150℃である、請求項1から28のいずれか一項に記載の製造方法。
  30. 前記精製塔Bにおいて、塔底部の温度が110~140℃である、請求項1から29のいずれか一項に記載の製造方法。
  31. 前記精製塔Bにおいて、塔底部の温度が120~130℃である、請求項1から30のいずれか一項に記載の製造方法。
  32. 前記精製塔Bにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が100~7300kg/時間である、請求項1から31のいずれか一項に記載の製造方法。
  33. 前記精製塔Bにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が600~6100kg/時間である、請求項1から32のいずれか一項に記載の製造方法。
  34. 前記精製塔Bにおいて、リボイラーでの蒸気使用量が900~4700kg/時間である、請求項1から33のいずれか一項に記載の製造方法。
  35. 前記低沸分離塔Aの本体塔底液保有量(L)をVAとし、前記精製塔Bの本体塔底液保有量(L)をVBとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(1)及び(2)の条件を満たす、請求項1から34のいずれか一項に記載の製造方法。
    10≦VA/BsV≦1000・・・(1)
    10≦VB/BsV≦1000・・・(2)
  36. VA/BsVが20~500である、請求項35に記載の製造方法。
  37. VA/BsVが30~200である、請求項35又は36に記載の製造方法。
  38. VB/BsVが20~500である、請求項35から37のいずれか一項に記載の製造方法。
  39. VB/BsVが30~200である、請求項35から38のいずれか一項に記載の製造方法。
  40. 前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとし、前記サイドカット成分(Bs)の抜き出し量(t/時間)をBsVとしたとき、下記式(3)及び(4)の条件を満たす、請求項1から39のいずれか一項に記載の製造方法。
    10≦Da/BsV≦50・・・(3)
    10≦Db/BsV≦50・・・(4)
  41. Da/BsVが12~40である、請求項40に記載の製造方法。
  42. Da/BsVが15~30である、請求項40又は41に記載の製造方法。
  43. Db/BsVが12~40である、請求項40から42のいずれか一項に記載の製造方法。
  44. Db/BsVが15~30である、請求項40から43のいずれか一項に記載の製造方法。
  45. 前記サイドカット成分(Bs)の抜出流量(BsV)が1300~14000kg/時間である、請求項35から44のいずれか一項に記載の製造方法。
  46. 前記サイドカット成分(Bs)の抜出流量(BsV)が2500~13000kg/時間である、請求項35から45のいずれか一項に記載の製造方法。
  47. 前記サイドカット成分(Bs)の抜出流量(BsV)が3000~12500kg/時間である、請求項35から46のいずれか一項に記載の製造方法。
  48. 前記低沸分離塔Aの塔本体内径(cm)をDAとし、前記低沸分離塔Aの塔釜内径(cm)をDaとし、前記精製塔Bの塔本体内径(cm)をDBとし、前記精製塔Bの塔釜内径(cm)をDbとしたとき、下記式(5)及び(6)の条件を満たす、請求項1から47のいずれか一項に記載の製造方法。
    2≦DA/Da≦10・・・(5)
    2≦DB/Db≦10・・・(6)
  49. DA/Daが3~8である、請求項48に記載の製造方法。
  50. DA/Daが3~7である、請求項48又は49に記載の製造方法。
  51. DB/Dbが3~8である、請求項48から50のいずれか一項に記載の製造方法。
  52. DB/Dbが3~7である、請求項48から51のいずれか一項に記載の製造方法。
  53. 前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bのリボイラータイプが、強制循環式、クロスパイプ流下膜式、又は、薄膜蒸発式である、請求項1から52のいずれか一項に記載の製造方法。
  54. 前記低沸分離塔A及び/又は前記精製塔Bの充填物が、規則充填物であり、
    該規則充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド、又は、ガーゼパッキングのいずれかである、請求項1から53のいずれか一項に記載の製造方法。
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