JP7004207B2 - 熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの文献に記載された熱交換器は、伝熱管と、この伝熱管を内部に収容し、かつ伝熱管がロウ付けされる側板部を有するケースとを備えている。伝熱管の材質は、フェライト系ステンレスである。ケースの材質は、オーステナイト系ステンレスである。
このような構成によれば、熱交換器によって燃焼ガスから潜熱回収を行なった際に発生する強酸性の凝縮水に対し、伝熱管およびケースの双方に好ましい耐食性をもたせることが可能である。また、伝熱管をオーステナイト系ステンレスよりも廉価なフェライト系ステンレス製としているため、熱交換器全体のコストが高価になることを抑制することも可能である。
これを解消する手段としては、ケースの側板部を、たとえば特許文献3に記載されているようなロウ濡れ性を向上させたフェライト系ステンレス製にすることが考えられる。ただし、このステンレス鋼材は、高価である。また、ロウ濡れ性が過剰となって、ロウ材が必要な箇所に留まらないことによるロウ付け不良を生じる可能性がある。
B=3.8×Al〔質量%〕+1.7×Ti〔質量%〕
で求められる値であり、前記伝熱管は、その表層部にチタンを含有しており、前記側板部は、その表層部にチタンを含有せず、またはチタンの含有率が前記伝熱管の表層部のチタンの含有率よりも低くされていることを特徴としている。
すなわち、ロウ付け指数Bは、後述する実施形態の内容から理解されるように、ロウ濡れ性を阻害するアルミおよびチタンの酸化膜(Al2O3およびTiO2)の存在比を示すものであり、このロウ付け指数Bが、過小であると、ロウ濡れ性が過剰となり、また反対に大きいと、ロウ濡れ性が悪くなる。図5を参照して後述する試験のデータから理解されるように、側板部の表層部のロウ付け指数Bが、60~82の範囲である場合には、伝熱管との関係において適度なロウ濡れ性が得られることとなる。
このため、本発明によれば、伝熱管とケースの側板部とのロウ付け性をよくし、それらを適切かつ強固に接合することが可能である。また、伝熱管およびケースの側板部は、ともにフェライト系ステンレス製であるため、側板部をオーステナイト系ステンレス製としていた従来技術よりも製造コストを廉価にすることが可能である。好ましい耐食性をもたせることも可能である。
すなわち、チタンは、フェライト系ステンレスの耐食性をよくする一方、ロウ付け性を悪化させる。このため、チタンを表層部に含有する伝熱管については、ロウ付け性は多少悪化する可能性はあるものの、耐食性を良好なものとすることができる。伝熱管は、その内部に流体が流通する中空状であるため、側板部よりも優れた耐食性が求められるのが通常であるが、前記構成によれば、そのような条件に合致したものとなる。
一方、側板部の表層部は、チタンを含有せず、または伝熱管の表層部よりもチタンの含有率が低いため、側板部のロウ付け性をよくすることができる。このため、伝熱管がチタンを多く含有していることに起因してそのロウ付け性が悪化しているにも拘わらず、伝熱管と側板部とのロウ付け性が悪化しないようにすることが可能である。側板部は、伝熱管ほど優れた耐食性は求められないため、チタンの含有率が低く、側板部の耐食性が伝熱管よりも低いものとされていたとしても、とくに不具合はないものとすることが可能である。
なお、耐食性を高めるための元素としては、たとえばモリブデンがあるが、このモリブデンはかなり高価であるのに対し、チタンはそれよりも廉価である。したがって、経済性にも優れる。
B=3.8×Al〔質量%〕+1.7×Ti〔質量%〕
で求められる値であり、前記伝熱管は、その表層部にチタンを含有するものとする一方、前記側板部は、その表層部にチタンを含有せず、またはチタンの含有率が前記伝熱管の表層部のチタンの含有率よりも低いものとすることを特徴としている。
伝熱管2の材質は、たとえばJIS規格SUS445JIである。伝熱管2の表層部には、後述するロウ付け用の熱処理により、チタン濃度が25%〔カチオン原子%〕以上のチタン酸化膜が形成されている。このチタン酸化膜は、PH3程度の強酸性に対しても優れた耐食性をもつ。
一方、ケース1は、脱酸素材としてのアルミを含む材質であるが、その詳細については、後述する。
図2に示す熱処理は、加熱炉として真空炉を使用しており、加熱炉内に図1に示した熱交換器Aが搬入されて行なわれる。加熱条件としては、加熱炉内の温度を徐々に上昇させて1000℃に達すると、その後1000℃~1200℃の範囲の加熱状態を約120分にわたって維持し、その後は加熱を停止して加熱炉内において徐冷する。一方、加熱温度が900℃以上の温度域にある際には、加熱炉内を、10-2~10-3Paの真空雰囲気に維持する。加熱停止時に伴って真空雰囲気状態を解除する際には、加熱炉内に不活性ガスを充填する。
なお、加熱炉としては、真空炉に代えて、水素炉を用いることも可能である。水素炉を用いる場合、加熱温度が900℃以上の温度域にある際に、露点温度が-80~20℃の水素雰囲気に維持することにより、前記熱処理と同様な結果が得られる。
ロウ付け指数Bは、アルミおよびチタンの含有量〔質量%〕をパラメータとする次の式1で求められる値である。
B=3.8×Al〔質量%〕+1.7×Ti〔質量%〕 …式1
すなわち、前記したロウ付け用の熱処理時においては、側板部11の表層部のアルミおよびチタンは、全て酸化物としてのAl2O3およびTiO2として存在するが、これらは、ロウ濡れ性を低くする要因である。
ここで、Al2O3について考察すると、アルミ(原子量27)の1原子から1/2のAl2O3(分子量51)が生成する。このため、これら原子量および分子量の比率は、1:3.8となる。したがって、アルミの表層元素分析値を×3.8とすることで、Al2O3の存在比率が求められる。
同様に、TiO2の場合、チタン(原子量48)の1原子からTiO2(分子量80)が生成するので、これら原子量および分子量の比率は、1:1.7となる。したがって、チタンの表層元素分析値を×1.7とすることで、TiO2の存在比率を求めることができる。
式1により求められるロウ付け指数Bは、ロウ濡れ性を低くするAl2O3およびTiO2の存在比を示すものである。
図5における試料S1~S6のロウ付け指数Bは、前記した式1を用いて算出したものである。
S6を1つずつ載せ、かつステンレス鋼板2Aの上面と試料S1~S6のそれぞれの側面とが交差する箇所に、ニッケル製のロウ材3を載置する。この状態で、ロウ材3を加熱し、この加熱溶融ロウ材が流れる距離を測定する。
試料S1は、ロウ濡れ性を阻害するAl2O3およびTiO2の存在比が他と比較して小さく、ロウ付け指数Bは1である。この試料S1においては、ロウ流れ距離が長いことからも理解されるように、ロウ濡れ性が過剰となり、ロウ付け試験では、溶融したロウ材が過剰に下方に流れてロウ付け不良を生じた。
試料S6は、Al2O3およびTiO2の存在比が大きく、ロウ付け指数Bは147である。この試料S6においては、ロウ流れ距離が極端に短いことからも理解されるように、ロウ濡れ性が悪く、ロウ付け試験ではロウ付け不良を生じた。
1 ケース
11 側板部
2 伝熱管
Claims (2)
- 伝熱管およびこの伝熱管を収容するケースを備え、このケースの側板部に、前記伝熱管がロウ付けされており、かつ前記伝熱管および前記側板部は、ともにアルミを含むフェライト系ステンレス製とされている、熱交換器であって、
前記側板部の表層部は、ロウ付け指数Bが、60~82の範囲であり、
前記ロウ付け指数Bは、アルミおよびチタンの含有量〔質量%〕をパラメータとする次の式、
B=3.8×Al〔質量%〕+1.7×Ti〔質量%〕
で求められる値であり、
前記伝熱管は、その表層部にチタンを含有しており、
前記側板部は、その表層部にチタンを含有せず、またはチタンの含有率が前記伝熱管の表層部のチタンの含有率よりも低くされていることを特徴とする、熱交換器。 - 伝熱管およびこの伝熱管を収容するケースを備え、このケースの側板部に、前記伝熱管がロウ付けされており、かつ前記伝熱管および前記側板部は、ともにアルミを含むフェライト系ステンレス製とされている熱交換器を製造するための方法であって、
前記側板部については、前記ロウ付けのための熱処理により、表層部のロウ付け指数Bを、60~82の範囲とし、
前記ロウ付け指数Bは、アルミおよびチタンの含有量〔質量%〕をパラメータとする次の式、
B=3.8×Al〔質量%〕+1.7×Ti〔質量%〕
で求められる値であり、
前記伝熱管は、その表層部にチタンを含有するものとする一方、
前記側板部は、その表層部にチタンを含有せず、またはチタンの含有率が前記伝熱管の表層部のチタンの含有率よりも低いものとすることを特徴とする、熱交換器の製造方法。
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