図1は本発明に係る印刷機を模式的に示す正面図であり、図2は図1の印刷機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、Z方向を鉛直方向とし、X方向およびY方向を水平方向とするXYZ直交座標軸を適宜示す。この印刷機1は、マスクMを保持するマスク保持ユニット2と、マスクMの上方に配置されたスキージユニット3と、マスクMの下方に配置された基板保持機構4とを備える。さらに、印刷機1は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成された主制御部10と、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶部11とを備える。
記憶部11には、印刷動作の際にスキージユニット3がスキージ31をマスクMに押圧する印圧(圧力)や、スキージ31をマスクMに摺動させる速度等を規定する印刷プログラムが記憶されている。そして、主制御部10が印刷プログラムに従って各ユニット2、3を制御することで、基板保持機構4により基板BをマスクMに下方から接触させつつスキージユニット3のスキージ31の先端をマスクMの上面にX方向へ摺動させる。これによって、マスクMの上面に供給された半田Dを、マスクMを貫通するパターンを介して基板Bの上面に印刷する印刷動作が実行される。
また、印刷機1は、各可動部の動作を制御する駆動制御部12およびバルブ制御部13を備え、主制御部10は、駆動制御部12およびバルブ制御部13によりユニット2、3の可動部を制御する。さらに、印刷機1は、例えば液晶ディスプレイ等で構成された表示ユニット14と、キーボードやマウスといった入力機器で構成された入力ユニット15とを備える。したがって、オペレータは、表示ユニット14の表示内容を確認することで印刷機1の稼働状況を確認したり、入力ユニット15を操作することで印刷機1に指令を入力したりできる。なお、表示ユニット14および入力ユニット15はタッチパネルにより一体的に構成しても構わない。また、印刷機1は、外部装置との通信を実行する通信部16を備え、この通信部16は、例えば上述の印刷プログラムを外部のサーバから受信して、記憶部11に記憶する。
マスク保持ユニット2はクランプ部材21を有し、マスクMはその周縁部に設けられたフレーム22を介してクランプ部材21に着脱可能に取り付けられる。これによって、平板形状を有するマスクMがマスク保持ユニット2によりXY平面に平行に(すなわち、水平)に保持される。このマスクMは、平面視において矩形状を有し、基板Bへの印刷パターンに応じた形状の貫通孔(マスクパターン)を有する。
基板保持機構4は、マスク保持ユニット2に保持されたマスクMの下方に配置され、外部から搬入した基板Bの位置をマスクMに対して合わせる機能を担う。この基板保持機構4は、基板Bの搬入・保持・搬出を担う基板搬送ユニット5を有する。基板搬送ユニット5は、基板BをY方向に搬送する基板搬送部51と、基板搬送部51から受け取った基板Bを保持する基板保持部53と、基板搬送部51および基板保持部53を支持する平板形状の可動テーブル55とを有する。
図3は図1の印刷機が備える基板保持機構の基板搬送部の一例を模式的に示す図である。図3および以下の図では、搬入側から搬出側へY方向に平行に基板Bが搬送される順搬送方向Yfと、順搬送方向Yfと逆の逆搬送方向Ybとを適宜示す。基板搬送部51では、基板Bを搬入する搬入コンベア51Aと、基板搬送部51Aから受け取った基板Bを所定の作業位置Loに支持する作業コンベア51Bと、作業コンベア51Bから受け取った基板Bを搬出する搬出コンベア51CとがY方向に配列されている。これらコンベア51A、51B、51Cは互いに同じ高さに配置され、Y方向に延びる水平な搬送経路に沿って基板Bを搬送する。
コンベア51A、51B、51Cのそれぞれは、X方向に間隔を空けつつY方向に平行に配置された(換言すれば、Y方向に並列に配置された)一対のベルトコンベアCで構成される。一対のベルトコンベアCの上面は同じ高さで水平に配置され、基板BのX方向の両端を下方から支持する。具体的には、ベルトコンベアCは、複数の歯付プーリCpと、無端状の歯付ベルトCbとを有し、歯付ベルトCbがこれら歯付プーリCpに掛け渡されて、歯付ベルトCbと歯付プーリCpとが相互に噛み合う。そして、歯付ベルトCbの上面(すなわち、ベルトコンベアCの上面)によって基板Bが支持される。
また、基板搬送部51は、コンベア51A、51B、51Cを駆動するコンベア駆動部M51(図2)を有する。このコンベア駆動部M51は、3個のコンベア51A、51B、51Cにそれぞれ対応して設けられた3個のコンベアモータMcで構成される。コンベア51A、51B、51Cそれぞれでは、一対のベルトコンベアCの歯付プーリCpが同一のコンベアモータMcに接続され、コンベアモータMcがこれら歯付プーリCpを回転させると、歯付ベルトCbが歯付プーリCpに従動して回転する。このように、一対のベルトコンベアCが共通のコンベアモータMcによりY方向に駆動される。このコンベアモータMcはサーボモータであり、駆動制御部12は、コンベアモータMcのエンコーダ出力に基づきコンベアモータMcに対してサーボ制御を実行することができる。
さらに、基板搬送部51では、入口センサSiおよび出口センサSoが、3個のコンベア51A、51B、51Cにそれぞれ対して設けられている。つまり、3個のコンベア51A、51B、51Cでは、それぞれの順搬送方向Yfの上流側の端に到達した基板Bが入口センサSiにより検出され、それぞれの順搬送方向Yfの下流側の端に到達した基板Bが出口センサSoにより検出される。
かかる構成では、サーボ制御により基板Bを作業位置Loに搬入することができる。つまり、搬入コンベア51Aから作業コンベア51Bに受け渡されて順搬送方向Yfに搬送される基板Bの先端が作業コンベア51Bに設けられた入口センサSiの検出位置に到達すると、この入口センサSiから主制御部10に基板Bの検出信号が送信される。主制御部10は、検出信号を受信すると、この入口センサSiの検出位置から作業位置Loまでの距離を基板Bが移動したタイミング(すなわち、基板Bが作業位置Loに到達したタイミング)でコンベアモータMcをサーボ制御により停止させる。こうして、基板Bが作業位置Loに搬入される。
図1に示すように、基板保持部53は、平板形状の昇降テーブル531と、可動テーブル55に対してZ方向にスライド可能なスライド支柱532とを有し、可動テーブル55がスライド支柱532の上端に支持されている。この昇降テーブル531の上面にはZ方向に立設された複数のバックアップピンPがX方向およびY方向に間隔を空けて並ぶ。さらに、基板保持部53にはバックアップ駆動部M533(図2)が設けられており、駆動制御部12からの指令を受けたバックアップ駆動部M533がスライド支柱532を昇降させることで、昇降テーブル531とともにバックアップピンPを昇降させる。例えば基板搬送部51による基板Bの搬入時には、バックアップ駆動部M533は、各バックアップピンPの上端を基板搬送部51のベルトコンベアCの上面より下方に位置させる。そして、基板搬送部51の作業コンベア51BがバックアップピンPの直上、すなわち作業位置Loに基板Bを停止させると、バックアップ駆動部M533はバックアップピンPを上昇させることで、バックアップピンPの上端を基板搬送部51のベルトコンベアCの上面より上方へ突出させる。これによって、バックアップピンPの上端が基板Bの下面に接触しつつ基板Bを押し上げて、基板搬送部51から各バックアップピンPの上端へ基板Bが受け渡される。
また、基板保持部53は、作業コンベア51Bの一対のベルトコンベアCの上方でX方向に間隔を空けて配置された一対のクランププレート534と、これらクランププレート534の少なくとも一方をX方向に駆動するプレート駆動部M534(図2)とを有する。各クランププレート534の上面はX方向およびY方向に平行な平面であり、同じ高さに位置する。プレート駆動部M534は、バルブ制御部13からの指令に応じてバルブを開閉することで、クランププレート534へ供給するエアを調整する。これによって、クランププレート534がX方向に駆動される。
そして、駆動制御部12がバックアップピンP上の基板Bを一対のクランププレート534の間にまで上昇させ、バルブ制御部13からの指令を受けたバルブが動作してこれらクランププレート424の間隔を狭めることで、基板Bがこれらクランププレート534によりX方向(水平方向)からクランプされる。
また、基板搬送ユニット5は、可動テーブル55を駆動するテーブル駆動機構56を有する。このテーブル駆動機構56は、X軸テーブル561と、X軸テーブル561の上面に取り付けられたY軸テーブル562と、Y軸テーブル562の上面に取り付けられたR軸テーブル563と、R軸テーブル563に対して可動テーブル55を昇降させるボールネジ564とを有する。さらに、テーブル駆動機構56は、X軸テーブル561をX方向に駆動するX軸駆動部M561と、Y軸テーブル562をY方向へ駆動するY軸駆動部M562と、R軸テーブル563をR方向(Z方向に平行な軸を中心とする回転方向)に駆動するR軸駆動部M563と、ボールネジ564を回転させることで可動テーブル55をZ方向に駆動するZ軸駆動部M564とを有する。したがって、駆動制御部12は、各駆動部M561〜M564(図2)を制御することで、可動テーブル55に配置された基板搬送部51および基板保持部53をX、Y、Z、R方向に駆動することができる。例えば搬入された基板BをマスクMに対して位置決めする際には、駆動制御部12は、クランププレート534にクランプされた基板Bの位置を、X・Y・R軸駆動部M561〜M563によりX・Y方向に調整するとともに、Z軸駆動部M564によりZ方向に調整する。これによって、クランププレート534および基板Bそれぞれの上面がマスクMの下面に接触する。
さらに、基板保持機構4は、基板搬送ユニット5によりY方向に搬送される基板Bを停止させるストッパユニット6を有する。図4はストッパユニットの構成の一部を模式的に示す斜視図である。ストッパユニット6は、X方向およびY方向に移動可能なストッパヘッド61を有し、ストッパヘッド61は、Z方向に平行なピン形状を有してZ方向に昇降可能なストッパ611を有する。このストッパヘッド61には、アクチュエータあるいはモータ等で構成されたZ軸駆動部M61(図2)が取り付けられており、Z軸駆動部M61がストッパ611をZ方向に平行に駆動する。
また、ストッパユニット6は、ストッパヘッド61をY方向に平行に移動可能に支持するY軸レール62と、Y方向に平行にY軸レール62に取り付けられたY軸ボールネジ63と、Y軸レール62に取り付けられてY軸ボールネジ63を回転駆動するY軸モータM63とを有する。そして、Y軸ボールネジ63のナットにストッパヘッド61が取り付けられている。さらに、ストッパユニット6は、Y軸レール62をX方向に平行に移動可能に支持するX軸レール64と、X方向に平行に設けられたX軸ボールネジ65と、X軸ボールネジ65を回転駆動するX軸モータM65(図1、図2)とを有する。そして、X軸モータM65のナットにY軸レール62が取り付けられている。かかる構成では、ストッパ611は、ストッパヘッド61に伴ってY方向(順搬送方向Yfおよび逆搬送方向Ybの両方向)およびX方向へ移動可能である。
Y軸モータM63およびX軸モータM65はサーボモータであり、駆動制御部12は、Y軸モータM63およびX軸モータM65に対してサーボ制御を実行することで、ストッパヘッド61のストッパ611のX方向およびY方向における位置(XY座標)を調整することができる。さらに、駆動制御部12は、Z軸駆動部M61を制御することで、Z方向においてストッパ611の高さを調整することができる。
かかる構成では、図5に示すように、ストッパ611を用いて基板Bを作業位置Loに搬入することができる。図5はストッパによる基板Bの搬入動作の一例を模式的に示す図である。つまり、図5の「待機」の欄に示すように、駆動制御部12は、作業コンベア51Bによって基板Bを順搬送方向Yfに搬送しつつ、基板Bの搬送経路上の待機位置Lwにストッパ611を待機させる。つまり、この待機位置Lwは、作業コンベア51Bを構成する一対のベルトコンベアCのX方向の間に位置して、順搬送方向Yfの下流側から作業位置Loに隣接する。そして、待機位置Lwのストッパ611は、正面視においてベルトコンベアCの上側の歯付ベルトCbに交差しており、基板Bの搬送経路上に位置する。したがって、図5の「停止」の欄に示すように、基板Bが作業位置Loに到達すると、待機位置Lwのストッパ611に当接して停止する。こうして、基板Bが作業位置Loに搬入される。
また、図4に示すように、ストッパヘッド61には認識カメラ71が取り付けられており、認識カメラ71はストッパヘッド61と一体的にX方向およびY方向へ移動する。この認識カメラ71は、その上方および下方のそれぞれを撮像することができる。そして、主制御部10は、マスクMと基板Bとの位置合わせを、これらを認識カメラ71により撮像した結果に基づき実行する。つまり、認識カメラ5は、基板BがマスクMから下方に離間した状態において、基板BとマスクMとの間の高さに位置するように設けられており、主制御部10は、駆動制御部12によって基板BとマスクMとの間で認識カメラ5を移動させつつ、基板BおよびマスクMそれぞれのフィデューシャルマークを基板搬送ユニット5により撮像する。そして、主制御部10は、これらフィデューシャルマークの撮像結果に基づき基板搬送ユニット5を制御することで、マスクMと基板Bとの位置合わせを実行する。
さらに、印刷機1は、マスクMの下側に設けられたクリーニングユニット72を備える。このクリーニングユニット72は、X軸ボールネジ65のナットに取り付けられており、X軸モータM65の駆動によってストッパユニット6に伴ってX方向に移動する。そして、主制御部10はクリーニングユニット72によってガーゼGをマスクMに下方から押圧しつつガーゼGをマスクMの下面にX方向(クリーニング方向)へ摺動させる。これによって、マスクMの下面に付着した半田DをガーゼGで拭き取るクリーニングが実行される。
上述の通り、印刷機1では、作業位置Loに基板Bを停止させる方式として、作業コンベア51Bを駆動するコンベアモータMcのサーボ制御による方式(サーボ停止モード)と、ストッパ611による方式(ストッパ停止モード)とを選択的に使用できる。続いては、これらの方式の使い分ける印刷機1の動作の一例について説明する。
図6は図1の印刷機による動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは主制御部10の制御によって実行される。ステップS101では、ストッパ停止モードの選択の有無を示すストッパフラグがオフにセットされる。つまり、図6の例では、印刷を開始した時点では、基板Bを停止させるモードとして、サーボ停止モードがデフォルトで選択される。また、ステップS102では、後述する基板Bの停止位置が作業位置Loからずれた回数のカウント値がゼロにリセットされる。
基板Bの搬入が基板搬送部51により開始されると(ステップS103)、ストッパフラグがオンであるか否かが確認される(ステップS104)。ここでは、ストッパフラグがオフであるので、ステップS104で「NO」と判断され、ステップS105に進む。ステップS105では、作業コンベア51Bを駆動するコンベアモータMcに対するサーボ制御によって、基板Bが停止される(サーボ停止モード)。かかるサーボ停止モードでは、ストッパ611は基板Bの搬送経路から退避しており、基板Bに当接しない。
ステップS106では、認識カメラ71が停止した基板Bの上方に移動して、この基板Bのフィデューシャルマークを撮像することで、基板Bの停止位置を認識する。そして、この停止位置が認識カメラ71から主制御部10に送信される。ステップS107では、主制御部10は、停止位置と作業位置Loとの位置ずれ(例えば、それぞれの中心のY方向の距離)が閾値より大きいかを判断する。ここでは、位置ずれが閾値より大きいとすると(ステップS107で「YES」)、ステップS108でカウント値がインクリメントされ、「1」となる。なお、このような位置ずれは、基板Bと歯付ベルトCbとの間の摩擦力が弱く、歯付ベルトCbの停止時に基板Bが歯付ベルトCbに対して滑って前進することで発生し、基板Bの重量が軽い場合等に生じやすい。ステップS109では、カウント値が所定値N(Nは2以上の整数)に到達したか否かが確認される。ここでは、カウント値が所定値N未満であるため(ステップS109で「NO」)、ステップS113に進む。
つまり、主制御部10は、マスクMに対して基板Bの位置をX方向およびY方向に調整しつつ基板BをマスクMまで上昇させると(ステップS113)、スキージ31をマスクMの上面に摺動させる(ステップS114)。こうして基板Bに半田Dが印刷されると、基板BがマスクMから下降する(ステップS115)そして、ステップS116では、全基板Bへの印刷が完了したかが判断される。ここでは、印刷が未完であるとすると(ステップS116で「NO」)、ステップS117でクリーニングユニット72がマスクMのクリーニングを開始し、ステップS118で半田Dが印刷された先行基板Bの搬出が開始される。また、ステップS103では、後続基板Bの搬入が開始される。こうして、マスクMのクリーニング、先行基板Bの搬出および後続基板Bの搬入が並行して実行される。
ストッパフラグがオフであるので、ステップS104では「NO」と判断され、上述と同様にサーボ制御により基板Bが停止される(サーボ停止モード)。ステップS106で認識した基板Bの停止位置と作業位置Loとの位置ずれが、閾値以下であれば(ステップS107で「NO」)、カウント値がゼロにリセットされてから(ステップS111)、ステップS113に進んで、上述と同様にステップS113〜S118、S103を実行できる。
一方、ステップS106で認識した基板Bの停止位置と作業位置Loとの位置ずれが、再び閾値よりも大きければ(ステップS107で「YES」)、カウント値がインクリメントされて「2」となる。したがって、例えば所定値Nが「2」であれば、ステップS109で「YES」と判断され、ステップS110でストッパフラグがオンにセットされる。そして、上述と同様にステップS113〜S118、S103を実行できる。
ただし、ストッパフラグがオンであるため、ステップS104で「YES」と判断される。したがって、ステップS103で搬入が開始された基板Bは、ステップS112でストッパ611によって作業位置Loに停止される(ストッパ停止モード)。そして、上述と同様にステップS113〜S118、S103を実行できる。
かかる動作が全基板Bに対する印刷が完了するまで、繰り返し実行される。そして、全基板Bに対する印刷が完了すると(ステップS116で「YES」)、図6のフローチャートが終了する。
以上に説明した実施形態では、歯付プーリCpの回転に伴って歯付プーリCpに噛み合う無端状の歯付ベルトCbを回転させることで、歯付ベルトCb上の基板Bが順搬送方向Yfに搬送される。そして、作業位置Loに到達した基板Bをストッパ611に順搬送方向Yfの上流側から当接させることで基板Bを停止させるステップS112のストッパ停止モード(第1停止モード)と、基板Bが作業位置Loに到達するタイミングでコンベアモータMcが停止するようにコンベアモータMcに対してサーボ制御を実行することで基板Bを停止させるステップS105のサーボ停止モード(第2停止モード)とが選択的に実行される。したがって、ストッパ611によるストッパ停止モードおよびサーボ制御によるサーボ停止モードのうち、状況に応じた適切な方式で基板Bを停止させることが可能となっている。
また、基板Bの停止位置を検出して主制御部10に伝達する認識カメラ71が具備されている。したがって、基板Bの停止位置が作業位置Loに対して適切か否かを確認することが可能となっている。
具体的には、主制御部10は、サーボ停止モード(ステップS105)により停止させた基板Bの停止位置と作業位置Loとを比較した結果に基づきサーボ停止モードからストッパ停止モードへの切換の要否を検討するモード検討処理を実行する(ステップS107〜S110)。そして、このモード検討処理で切換が必要と判断すると、モード検討処理より後の基板Bの停止をストッパ停止モードにより実行する(ステップS112)。したがって、サーボ停止モードで停止させた基板Bと歯付ベルトCbとの間に滑りが生じた場合には、基板Bの停止モードの切換が必要と判断して、その後の基板Bの停止をストッパ停止モードで適切に実行できる。
また、主制御部10は、モード検討処理では、停止位置と作業位置Loとの差(位置ずれ)が閾値より大きいか否かを判断した結果に基づき、切換の要否を判断する(ステップS107)。かかる構成では、閾値との比較といった簡便な処理によって、基板Bの停止モードの切換の要否を判断できる。
また、主制御部10は、モード検討処理では、作業コンベア51Bにより連続して搬送されたN枚の基板Bについて停止位置と作業位置Loとの差が閾値より大きいことを確認すると、切換が必要と判断する。かかる構成では、基板Bの滑りが一時的な要因に起因する場合に、基板Bの停止モードがサーボモードからストッパ停止モードに切り換えられるのを抑制できる。
また、マスクMに下方からガーゼGを押圧しつつガーゼGをマスクMに摺動させることで、マスクMをクリーニングするクリーニングユニット72が具備されている。そして、主制御部10は、先行基板BをマスクMから下方に離間させると、作業コンベア51Bによって後続基板Bを作業位置Loへ向けて搬送する基板搬送(ステップS103)と、クリーニングユニット72によるマスクMのクリーニング(ステップS117)とを並行して実行する。かかる構成では、基板Bを作業位置Loへ向けて搬送する基板搬送の期間を、マスクMのクリーニングに有効に活用することができる。
ところで、上述のとおり、サーボ停止モードでは、コンベアモータMcに対するサーボ制御により基板Bを停止できるため、ストッパ611は不要である。しかしながら、サーボ停止モードにおいて、ストッパ611を次のように活用することもできる。
図7はサーボ停止モードで実行可能なストッパの動作の第1例を示す図である。図7に示すステップS201は、半田Dが印刷された先行基板B1の作業位置Loからの搬出と、後続基板B2の作業位置Loへの搬入とを開始する直前の状態(図6のステップS103の直前の状態)が示されている。このステップS201では、ストッパ611は、先行基板B1と後続基板B2との間において基板B2の搬送経路上に位置する。この際、ストッパ611は、先行基板B1および後続基板B2の両方から離れており、これらに当接しない。
そして、主制御部10は、コンベア51A、51B、51Cを駆動する3個のコンベアモータMcと、ストッパ611を駆動するY軸モータM63とを、サーボ制御により同期させることで、基板B1、B2の順搬送方向Yfへの搬送と、ストッパ611の順搬送方向Yfへの移動とを同期させる。これによって、ストッパ611は、先行基板B1と後続基板B2との間に位置しつつ、これらの基板B1、B2と同一の速度で移動する(ステップS202)。そして、先行基板B1を作業位置Loから搬出しつつ、後続基板B2を作業位置Loに搬入することができる(ステップS203)。
以上に説明した実施形態では、主制御部10は、順搬送方向Yfに間隔を空けて並ぶ2枚の基板B1、B2をコンベア51A、51B、51Cにより同時に搬送する場合には、ストッパ611を2枚の基板B1、B2の間に位置させつつ順搬送方向Yfへ移動させる。かかる構成では、コンベア51A、51B、51Cにより同時に搬送される2枚の基板B1、B2のうち、先行基板B1の搬送速度が低下する、あるいは先行基板B1が停止する等の理由により後続基板B2が先行基板B1に追い付くことで、2枚の基板B1、B2が誤って接触するのをストッパ611により防止することが可能となっている。
また、主制御部10は、コンベア51A、51B、51Cによる2枚の基板B1、B2の搬送と、ストッパ611の移動とを同期させる。したがって、コンベア51A、51B、51Cにより搬送される基板B1、B2に、ストッパ611が不用意に接触するのを抑制できる。
図8はサーボ停止モードで実行可能なストッパの動作の第2例を示す図である。ここでは、上記の第1例と異なる部分を中心に説明することとし、共通する部分は相当符号を付して説明を適宜省略する。ただし、第1例と共通する構成を具備することで、同様の効果を奏することは言うまでもない。
図8の例では、ステップS202に示す状態において、先行基板B1の搬送が障害物によって妨害され、基板B1が作業コンベア51Bと搬出コンベア51Cとに跨る位置で停止したとする。このような場合、コンベア51A、51B、51Cの搬送がエラー停止して、表示ユニット14がユーザに警告を出す。そして、警告を確認したユーザは、障害物を取り除くと、先行基板B1を排出する基板排出動作の実行を命じる指令を入力ユニット15に入力する。
かかる指令を受けた主制御部10は、ストッパヘッド61の水平方向への移動を制御して順搬送方向Yfの下流側から後続基板B2にストッパ611を当接させてから(ステップS204)、コンベア51B、51Cの歯付ベルトCbの回転させる(ステップS205)。これによって、後続基板B2をストッパ611によって停止させつつ、先行基板B1を作業コンベア51Bから搬出コンベア51Cに排出することができる(ステップS206)。
以上に説明した実施形態では、主制御部10は、順搬送方向Yfに間隔を空けて並ぶ2枚の基板B1、B2のうち順搬送方向Yfの上流側の後続基板B2をストッパ611により停止させつつ作業コンベア51Bを回転させることで、2枚の基板B1、B2のうち順搬送方向Yfの下流側の先行基板B1を搬入コンベア51Aから順搬送方向Yfに排出する基板排出動作を実行する(ステップS204〜S206)。かかる構成では、例えば先行基板B1の搬送が障害物により妨害されてエラー停止したような場合には、障害物がユーザにより取り除かれた後に基板排出動作を実行することで、後続基板B2を残しつつ先行基板B1のみを排出することができる。
図9はサーボ停止モードで実行可能なストッパの動作の第3例を示す図である。この第3例は、サーボ停止モードによる基板Bの停止位置Lsが作業位置Loからずれた際に実行可能なリカバリー動作を示す。つまり、図9のステップS105に示すように、サーボ停止モードにより停止させた基板Bの停止位置Lsは、作業位置Loに対して順搬送方向Yfにずれ量ΔYだけずれている。上記の図6のフローチャートにおいて、このような位置ずれをステップS106で確認すると、主制御部10は、ステップS107〜S111に代えて、次の動作を実行してから、ステップS113を実行する。
つまり、主制御部10は、順搬送方向Yfの下流側から基板Bにストッパ611を当接させてから(ステップS121)、ストッパ611を逆搬送方向Ybに移動させる。これによって、主制御部10は、ストッパ611によって基板Bを逆搬送方向Ybに押して、基板Bを作業位置Loまで移動させる(ステップS122)。
このように主制御部10は、サーボ停止モードにより停止させた基板Bの停止位置Lsが作業位置Loから順搬送方向Yfにずれていることを確認すると、ストッパ611によって基板Bを逆搬送方向Ybへ向けて押すことで基板を作業位置Loに移動させる。かかる構成では、基板Bの滑りが生じた場合であっても、基板Bを作業位置Loに確実に位置させることができる。
図10はサーボ停止モードで実行可能なストッパの動作の第4例を示す図である。この第4例も、第3例と同様にリカバリー動作を示す。つまり、図10のステップS105に示すように、サーボ停止モードにより停止させた基板Bの停止位置Lsは、作業位置Lo(図10のステップS132)に対して順搬送方向Yfにずれ量ΔYだけずれている。上記の図6のフローチャートにおいて、このような位置ずれをステップS106で確認すると、主制御部10は、ステップS107〜S111に代えて、次の動作を実行してから、ステップS113を実行する。
つまり、主制御部10は、逆搬送方向Ybへの基板Bの搬送機路上であって、作業位置Loに逆搬送方向Ybの下流側から隣接する位置にストッパ611を位置させる(ステップS131)。そして、主制御部10は、作業コンベア51Bによって基板Bを逆搬送方向Ybへ搬送し、これによって作業位置Loに到達した基板Bはストッパ611に当接して、作業位置Loで停止する(ステップS132)。
このように主制御部10は、サーボ停止モードにより停止させた基板Bの停止位置Lsが作業位置Loから順搬送方向Yfにずれていることを確認すると、作業コンベア51Bによって基板Bを逆搬送方向Ybへ搬送し、作業位置Loに到達した基板Bをストッパ611にストッパ611を逆搬送方向Ybの上流側から当接させることで基板Bを停止させる。かかる構成では、基板Bの滑りが生じた場合であっても、基板Bを作業位置Loに確実に位置させることができる。
このように本実施形態では、基板保持機構4と主制御部10とが協働して本発明の「基板搬送装置」の一例として機能し、ベルトコンベアCが本発明の「コンベア」の一例に相当し、歯付ベルトCbが本発明の「歯付ベルト」の一例に相当し、歯付プーリCpが本発明の「歯付プーリ」の一例に相当し、コンベアモータMcが本発明の「サーボモータ」の一例に相当し、ストッパ611が本発明の「ストッパ」の一例に相当し、主制御部10が本発明の「制御部」の一例に相当し、認識カメラ71が本発明の「検出部」の一例に相当し、順搬送方向Yfが本発明の「順搬送方向」の一例に相当し、逆搬送方向Ybが本発明の「逆搬送方向」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、基板B1、B2が本発明の「2枚の基板」の一例に相当し、基板B1が本発明の「先行基板」の一例に相当し、基板B2が本発明の「後続基板」の一例に相当し、作業位置Loが本発明の「目標位置」の一例に相当し、停止位置Lsが本発明の「停止位置」の一例に相当し、ステップS112のストッパ停止モードが本発明の「第1停止モード」の一例に相当し、ステップS105のサーボ停止モードが本発明の「第2停止モード」の一例に相当し、ステップS106〜S111が本発明の「モード検討処理」の一例に相当し、閾値が本発明の「閾値」の一例に相当し、ステップS204〜S206が本発明の「基板排出動作」の一例に相当し、印刷機1が本発明の「印刷機」の一例に相当し、マスク保持ユニット2が本発明の「マスク保持部」の一例に相当し、マスクMが本発明の「マスク」の一例に相当し、スキージユニット3が本発明の「スキージユニット」の一例に相当し、スキージ31が本発明の「スキージ」の一例に相当し、「印刷プログラム」が本発明の「印刷プログラム」の一例に相当し、クリーニングユニット72が本発明の「クリーニングユニット」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の図6のフローチャートによれば、サーボ停止モードがデフォルトで設定され、基板Bの滑りが生じた場合にストッパ停止モードへ切り換えていた。しかしながら、サーボ停止モードおよびストッパ停止モードのいずれを選択する基準は、これに限られない。
例えば、印刷機1の外部のサーバで印刷プログラムを生成する際に、いずれの停止モードを使用するかを当該印刷プログラムに設定できるように構成しても良い。この際、印刷対象となる基板Bが所定重量未満の場合にはストッパ停止モードを選択する一方、印刷対象となる基板Bが所定重量以上の場合にはサーボ停止モードを選択して、印刷プログラムに設定できる。あるいは、順搬送方向Yfの上流側の端部に切り欠きを有する基板Bを停止する場合には、ストッパ611が当該端部のいずれの部分に当接するかによって、基板Bの停止位置がぶれる可能性があるため、基板Bの重量によらずサーボ停止モードを選択して、印刷プログラムに設定しても良い。
かかる構成では、印刷機1は、ストッパ停止モードおよびサーボ停止モードのうち、印刷プログラムに規定された一の停止モードを選択的に実行する。したがって、ストッパ停止モードおよびサーボ停止モードのうち、印刷プログラムの規定に応じた適切な方式で基板Bを停止させることが可能となる。
あるいは、入力ユニット15(入力操作部)においてストッパ停止モードおよびサーボ停止モードのいずれかを選択するユーザの入力操作を受け付けて、主制御部10が入力ユニット15に対する入力操作により選択された一の停止モードを実行しても良い。かかる構成では、ストッパ停止モードおよびサーボ停止モードのうち、ユーザのニーズに応じた適切な方式で基板Bを停止させることが可能となる。
また、ストッパ611の形状や寸法等の具体的な構成を適宜変更したり、図6のフローチャートの各ステップの実行順序を適宜変更したりできる。
また、図6等を用いて上述した基板搬送方法を実行可能な基板処理装置は印刷機1に限られない。したがって、基板Bに部品を実装する部品実装機において、この基板搬送方法を実行することもできる。
図11は本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図である。この部品実装機9は、CPUおよびRAM等で構成されたプロセッサーである主制御部90(制御部)を有し、基板Bへの部品の実装手順を規定する実装プログラムに基づき主制御部90が部品実装機9の各部を制御することで、部品実装を実行する。
部品実装機9は、上述と同様の基板搬送部51を備える。そして、部品実装機9は、基板搬送部51によって、部品実装に要する基板Bの搬送を実行する。つまり、部品実装機9は、基板搬送部51によりY方向の上流側から作業位置Loに搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Bを基板搬送部51により作業位置LoからY方向の下流側へ搬出する。特に、基板搬送部51の各コンベア51A、51B、51のそれぞれには、上述と同様にコンベアモータMcが設けられており、主制御部90は、コンベアモータMcに対するサーボ制御によって、基板Bを作業位置Loに停止させることができる(サーボ停止モード)。
基板搬送部51のX方向の両側それぞれでは2つの部品供給部91がY方向に並んでおり、各部品供給部91では、複数のテープフィーダー911がY方向に並ぶ。各テープフィーダー911に対しては、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品を所定間隔おきに収容した部品供給テープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダー911は部品供給リールから引き出された部品供給テープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給位置に部品を供給する。
さらに、部品実装機9は、上述と同様のストッパユニット6を備える。したがって、主制御部90は、ストッパユニット6のストッパヘッド61に設けられたストッパ611を用いて基板Bを作業位置Loに停止させることができる(ストッパ停止モード)。
また、ストッパユニット6のストッパヘッド61には、実装ヘッド92が取り付けられており、実装ヘッド92はストッパヘッド61に伴ってX方向およびY方向へ移動可能である。この実装ヘッド92には、X方向に所定ピッチで一列に並ぶ複数のノズル93が着脱可能に取り付けられている。そして、主制御部90は、実装ヘッド92のノズル93を部品供給位置に上方から対向させると、部品供給位置に供給された部品をノズル93に吸着させる。続いて、主制御部90は部品を吸着したノズル93を基板Bの上方に移動させ、ノズル93に部品の吸着を解除させることで基板Bに部品を実装する。
そして、この部品実装機9は上述した基板搬送方法を適宜実行することができる。この際、印刷機1に対する変形と同様の変形を部品実装機9に対して行うこともできる。例えば、サーボ停止モードおよびストッパ停止モードのいずれを選択する基準としては、種々の基準が考えられる。
具体的には、部品実装機9の外部のサーバで実装プログラムを生成する際に、いずれの停止モードを使用するかを当該実装プログラムに設定できるように構成しても良い。かかる構成では、ストッパ停止モードおよびサーボ停止モードのうち、実装プログラムの規定に応じた適切な方式で基板Bを停止させることが可能となる。