JP6983139B2 - 固形製剤用組成物並びに固形製剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
シングルユニット型は、消化管内で投与剤形が保たれたまま活性成分を徐々に放出して徐放性を示すものであり、水溶性高分子やワックスと混合して打錠することにより製造される。シングルユニット型の種類としては、マトリックス型等が挙げられる。一方、マルチプルユニット型は、投与された錠剤やカプセル剤が速やかに崩壊して活性成分を高分子皮膜でコーティングした顆粒を放出し、徐放性を示すものである。
HPMCを用いた徐放性製剤としては、特定の置換度及び粉体物性を有するHPMC粒子を含む徐放性製剤(特許文献1)及び高粘度のHPMC及び低粘度のHPMCを含むゼロ次放出の徐放性製剤(特許文献2)等が挙げられる。
本発明は、HPMCの低含有量においても溶出ばらつきが小さい固形製剤を製造することができるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを少なくとも含む固形製剤用組成物並びに固形製剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一つの態様によれば、絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜15,0000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを少なくとも含む固形製剤用組成物が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、この固形製剤用組成物を少なくとも含んでなる固形製剤が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを乾式混合して混合物を得る工程と、前記混合物を打錠して錠剤を得る工程とを少なくとも含む錠剤の製造方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを造粒して造粒物を得る工程と、前記造粒物を打錠して錠剤を得る工程とを少なくとも含む錠剤の製造方法が提供される。
固形製剤用組成物に用いるHPMCの絶対分子量測定による多分散度は、4.0以上、好ましくは4.0〜20.0、より好ましくは5.0〜17.0、更に好ましくは7.0〜17.0である。多分散度が4.0未満では、溶出ばらつきが大きくなる。
多分散度は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)で定義され、分子量の広がり(分子量分布)を表す。Mw/Mnの値が小さいほど分子量分布は狭く、Mw/Mnの値が大きいほど分子量分布は広い。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と多角度光散乱(MALLS)の組合せによる絶対分子量測定法(Tablets & Capsules,14−20,July,2007)により測定することができる。
SECによる相対分子量測定法は、HPMCの分子会合の影響が十分に除去されていないため、実際の多分散度(Mw/Mn)よりも高い値になるとの指摘がされている。一方で、SECとLALLSの組合せによる絶対分子量測定法及びSECとMALLSの組合せによる絶対分子量測定法は、上述した問題が少ない点で好ましく、測定方法がより簡便であり、精度良く分子量測定が行えることから、SECとMALLSの組合せによる絶対分子量測定法がより好ましい。よって、本発明においては、SECとMALLSの組合せによる絶対分子量測定法を採用した。
固形製剤用組成物に用いるHPMCの絶対分子量測定による数平均分子量(Mn)は、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは15,000〜150,000である。
2質量%水溶液の20℃における粘度は、水溶液の粘度が600mPa・s未満の場合には、第十七改正日本薬局方に記載の一般試験法粘度測定法の毛細管粘度計法に従い、ウベロ−デ型粘度計を用いて測定することができる。一方、ウベローデ粘度計にて測定した水溶液の粘度が600mPa・s以上の場合には、Anton Paar社のレオメーターであるMCR301を用いて測定することができる。
固形製剤用組成物に用いるHPMCのヒドロキシプロポキシ基の置換度は、特に制限されないが、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは3.0〜32.0質量%、より好ましくは3.0〜12.0質量%、更に好ましくは4.0〜12.0質量%、特に好ましくは8.5〜10.5質量%である。
なお、メトキシ基及びヒドロキシプロポキシ基の置換度は、第十七改正日本薬局方に記載のヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)の置換度の測定方法に準拠した方法で測定できる。
なお、平均粒子径は、英国Malvern社製のマスターサイザー3000やドイツSympatec社のHELOS装置を用いて、圧縮空気で粉体サンプルを噴出させたものにレーザー光を照射し、その回折強度により体積換算平均粒子径を測定する乾式レーザー回析法により測定できる。
低重合度パルプの固有粘度は、活性成分の溶出ばらつきの低減の観点から、好ましくは300〜700ml/g、より好ましくは330〜630ml/g、更に好ましくは330〜510ml/g、特に好ましくは330〜410ml/gである。高重合度パルプの固有粘度は、活性成分の溶出ばらつきの低減の観点から、好ましくは750〜2,500ml/g、より好ましくは850〜2,000ml/g、更に好ましくは1,200〜2,000ml/g、特に好ましくは1,400〜2,000ml/gである。低重合度パルプ及び高重合度パルプの固有粘度は、JIS P8215:1998「7.B法−一定のせん断速度における極限粘度数の測定」による粘度測定法に準拠して、ウベローデ粘度計を用いて測定することができる。
低重合度パルプと高重合度パルプの質量比は、活性成分の溶出ばらつきの低減の観点から、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは10:90〜70:30である。
低重合度パルプ及び高重合度パルプの形態としては、シート状パルプ、チップ状パルプ及び粉末パルプ等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等が挙げられるが、経済的な観点から水酸化ナトリウム溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液等の水溶液がより好ましいが、エタノール等のアルコール溶液や水溶性アルコールと水との混合溶液であってもよい。
エーテル化剤としては、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化メチル、酸化プロピレン等の酸化アルキレン等が挙げられるが、経済的な観点から、塩化メチル及び酸化プロピレンが好ましい。
低粘度HPMCの絶対分子量測定による多分散度は、活性成分の溶出ばらつきの低減の観点から、好ましくは1.5〜3.9、より好ましくは1.8〜3.5、更に好ましくは2.0〜3.0である。低粘度HPMCの絶対分子量測定による重量平均分子量(Mw)は、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは10,000〜200,000である。低粘度HPMCの絶対分子量測定による数平均分子量(Mn)は、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは5,000〜60,000である。
高粘度HPMCの絶対分子量測定による多分散度は、活性成分の溶出ばらつきの低減の観点から、好ましくは1.5〜3.9、より好ましくは1.8〜3.7、更に好ましくは2.0〜3.7である。高粘度HPMCの絶対分子量測定による重量平均分子量(Mw)は、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは240,000〜1,000,000である。高粘度HPMCの絶対分子量測定による数平均分子量(Mn)は、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは70,000〜300,000である。
低粘度HPMC及び高粘度HPMCの置換度タイプは、同じ置換度タイプであっても異なる置換度タイプであっても良いが、徐放性製剤における活性成分の溶出を抑制する観点から、同じ置換度タイプであることが好ましい。
通常、固形製剤中のHPMCの含有量(固形製剤用組成物中のHPMCの含有量)は、徐放性製剤における活性成分の溶出性を制御し、かつ溶出ばらつきを低減する観点から、20質量%以上であることが推奨される。しかし、本発明によればHPMCの低含有量であっても溶出性を制御しつつ、かつ溶出ばらつきを低減できることからHPMCの含有量を20質量%未満とすることができ、錠剤の小型化が期待できる。
医薬品に用いられる薬物としては、例えば、中枢神経系薬物、循環器系薬物、呼吸器系薬物、消化器系薬物、抗生物質、鎮咳・去たん剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛消炎剤、利尿剤、自律神経作用薬、抗マラリア剤、止潟剤、向精神剤、ビタミン類及びその誘導体等が挙げられる。
循環器系薬物としては、例えば、モルシドミン、ビンポセチン、プロプラノロール、メチルドパ、ジピリダモール、フロセミド、トリアムテレン、ニフェジビン、アテノロール、スピロノラクトン、メトプロロール、ピンドロール、カプトプリル、硝酸イソソルビト、塩酸デラプリル、塩酸メクロフェノキサート、塩酸ジルチアゼム、塩酸エチレフリン、ジギトキシン及び塩酸アルプレノロール等が挙げられる。
消化器系薬物としては、例えば、2−[〔3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル〕メチルスルフィニル]ベンゾイミダゾール及び5−メトキシ−2−〔(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチルスルフィニル〕ベンゾイミダゾール等の抗潰瘍作用を有するベンゾイミダゾール系薬物、シメチジン、ラニチジン、塩酸ピレンゼピン、パンクレアチン、ビサコジル及び5−アミノサリチル酸等が挙げられる。
鎮咳・去たん剤としては、例えば、塩酸ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、クエン酸イソアミニル及びリン酸ジメモルファン等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン及び塩酸プロメタジン等が挙げられる。
解熱鎮痛消炎剤としては、例えば、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、スルピリン、アスピリン及びケトプロフェン等が挙げられる。
自律神経作用薬としては、例えば、リン酸ジヒドロコデイン及びdl−塩酸メチルエフェドリン、硫酸アトロピン、塩化アセチルコリン、ネオスチグミン等が挙げられる。
抗マラリア剤としては、例えば、塩酸キニーネ等が挙げられる。
止潟剤としては、例えば、塩酸ロペラミド等が挙げられる。
向精神剤としては、例えば、クロルプロマジン等が挙げられる。
ビタミン類及びその誘導体としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、フルスルチアミン、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸カルシウム及びトラネキサム酸等が挙げられる。
ミネラルとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、鉄、銅、セレン、クロム、硫黄、ヨウ素等が挙げられる。
カロテノイドとしては、例えば、β−カロチン、α−カロチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、リコペン、アスタキサンチン、マルチカロチン等が挙げられる。
酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸等が挙げられる。
塩基性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン及びヒスチジン等が挙げられる。
中性アミノ酸としては、例えば、アラニン及びグリシン等の直鎖状の脂肪族アミノ酸、バリン、ロイシン及びイソロイシン等の分岐状の脂肪族アミノ酸、セリン及びトレオニン等のヒドロキシアミノ酸、システイン及びメチオニン等の含硫アミノ酸、フェニルアラニン及びチロシン等の芳香族アミノ酸、トリプトファン等の複素環式アミノ酸及びプロリン等のイミノ酸等が挙げられる。
酸性アミノ酸アミドとしては、例えば、アスパラギン及びグルタミン等が挙げられる。
アミノ酸誘導体としては、例えばアセチルグルタミン、アセチルシステイン、カルボキシメチルシステイン、アセチルチロシン、アセチルヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシプロリン、グルタチオン、クレアチン、S−アデノシルメチオニン、グリシルグリシン、グリシルグルタミン、ドーパ、アラニルグルタミン、カルニチン及びγ−アミノ酪酸等が挙げられる。
健康食品素材としては、例えばローヤルゼリー、食物繊維、プロテイン、ビフィズス菌、乳酸菌、キトサン、酵母、グルコサミン、レシチン、ポリフェノール、動物魚介軟骨、スッポン、ラクトフェリン、シジミ、エイコサペンタエン酸、ゲルマニウム、酵素、クレアチン、カルニチン、クエン酸、ラズベリーケトン、コエンザイムQ10、メチルスルホニルメタン及びリン脂質結合大豆ペプチド等が挙げられる。
結合剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、グルコース、白糖、乳糖、マルトース、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マクロゴール類、アラビアゴム、ゼラチン、寒天、でんぷん、粉末セルロース、結晶セルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
滑択剤、凝集防止剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類及び安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
活性成分の溶解補助剤としては、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸及びアジピン酸等の有機酸等が挙げられる。
これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、活性成分の溶出性を制御する観点から、好ましくは1〜97.99質量%である。
混合方法は、特に制限されないが、一般的に用いられる混合機を用いて行うことができる。混合機としては、例えば、V型混合機、リボン型混合機、コンテナー型混合機、タンブラー型混合機等が挙げられる。
造粒方法は、特に制限されないが、乾式造粒法、湿式造粒法等が挙げられ、一般的に用いられる造粒機を用いて行うことができる。造粒機としては、ローラーコンパクター等の乾式造粒機や高速撹拌造粒機、流動層造粒機等が挙げられる。
混合時間及び造粒時間は、特に制限されないが、通常1〜120分間である。
固形製剤の剤形としては、錠剤、顆粒剤及び細粒剤等が挙げられるが、服用性の観点から、錠剤であることが好ましい。なお、顆粒剤及び細粒剤は、HPMC及び活性成分を少なくとも含む固形製剤用組成物を造粒して得られる造粒物のことをいい、カプセルに充填することにより、カプセル剤として使用することもできる。
また、固形製剤は血中に溶け込む活性成分の濃度を一定値以下に制御したり、あるいは服用回数を減少させたりできる観点から、徐放性製剤であることが好ましく、取り扱いが容易で最も汎用されている徐放性製剤であるマトリックス錠がより好ましい。
乾式直接打錠法は、乾式混合により得られる固形製剤用組成物を打錠する方法であり、造粒工程がなく、製造工程を簡略化できるため、生産性の高い方法である。
湿式撹拌造粒打錠法は、固形製剤用組成物に結合剤溶液を噴霧しつつ、容器内に設置されているブレード等で流動運動を与えて造粒し造粒物を製造した後に、乾燥、打錠する方法であり、短時間で造粒できる長所がある。
湿式撹拌造粒に用いられる装置としては、バーチカルグラニュレーターやハイスピードミキサー等が挙げられる。
流動層造粒打錠法は、流動層内で固形製剤用組成物の粉体を流動させながら結合剤液を噴霧することで、固形製剤用組成物の粉体同士を凝集させて造粒し造粒物を製造した後に、打錠する方法であり、乾燥も同時に行える利点がある。
流動層造粒に用いられる装置としては、マルチプレックスやフローコーター等が挙げられる。
乾式造粒打錠法は、圧縮造粒により得られる固形製剤用組成物の圧縮造粒物を打錠末として打錠する方法であり、水や溶剤の影響を受けやすい活性成分を用いる場合において有効な方法である。
圧縮造粒物は、例えば、ローラーコンパクター等の圧密造粒機等を用いてローラー圧縮することにより製造することできる。
いずれの打錠法による打錠も、常法によって行うことが出来る。
以上のようにして、絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ20℃における2質量%水溶液の粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース及び活性成分を少なくとも含む固形製剤用組成物及び固形製剤を得ることが出来る。
<固形製剤用組成物の調製に用いる原料HPMC>
実施例1〜11及び比較例1〜5の固形製剤用組成物の調製に使用した原料HPMC−1〜9の2質量%水溶液の20℃における粘度、メトキシ基の置換度、ヒドロキシプロポキシ基の置換度、平均粒子径、分子量及び多分散度について表1に示す。なお、実施例11に用いた原料HPMC−8及び比較例5に用いた原料HPMC−9は、それぞれ合成例1及び2に示す方法にて製造した。
内部撹拌機付き圧力容器内で、固有粘度が380mL/gである木材由来の粉末パルプ(低重合度パルプ)を無水換算で5.2kgと、固有粘度が1,880mL/gであるリンター由来の粉末パルプ(高重合度パルプ)を無水換算で2.8kgに、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液を11.5kg加え、アルカリセルロースを製造した。得られたアルカリセルロースに、塩化メチル9.2kg及び酸化プロピレン2.3kgを加えて反応させ、粗HPMCを得た。
その後、粗HPMCを温度90℃の熱水に分散させ、脱水、洗浄した後、ジャケット加熱と熱風による加熱を併用した乾燥機にて、残存水分量が2質量%以下になるまで乾燥した。乾燥品を圧密粉砕により粉砕した後、目開き355μmの篩で篩過して原料HPMC−8を得た。
固有粘度が820mL/gである木材由来の粉末パルプのみを無水換算で8.0kg用いた以外は、合成例1と同様の方法にて原料HPMC−9を得た。
<2質量%水溶液の20℃における粘度>
第十七改正日本薬局方のヒプロメロースの粘度測定方法に記載の第1法の方法にてHPMCの2質量%水溶液を調製し、第十七改正日本薬局方に記載の一般試験法粘度測定法の毛細管粘度計法に従い、ウベロ−デ型粘度計を用いて測定した。
水溶液の粘度が600mPa・s未満の場合には、ウベロ−デ型粘度計を用いて測定された値を2質量%水溶液の20℃における粘度とした。
一方、水溶液の粘度が600mPa・s以上の場合には、Anton Paar社のレオメーターであるMCR301を用いて、水溶液の粘度を再度測定した。すなわち、レオメーターの試料測定部を予め20℃に温調しておき、調製された2質量%水溶液を、CC27測定カップ(CC27/T200/AL、直径29mm及び高さ68mmのアルミ製の円筒状容器)の標線(25ml)まで注ぎ入れ、ボブシリンダー(CC27、直径26.7mm及び高さ40.0mm)をCC27測定カップ内の測定位置にセットし、0.01sec-1のせん断速度にて2分間保持した後に、0.4sec-1のせん断速度にて測定を開始し、測定開始から5分後の値を2質量%水溶液の20℃における粘度とした。
メトキシ基及びヒドロキシプロポキシ基の置換度は、第十七改正日本薬局方のヒプロメロースの置換度の測定方法に準拠した方法によって測定した。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置 マスターサイザー3000(Malvern社製)を用いて、乾式法にて、Fraunhofer回折理論により、分散圧2bar、散乱強度2〜10%の条件で、体積基準の累積分布曲線の50%累積値に相当する径を測定した。
分子量の測定は、ポンプ(LC−20AD、島津製作所社製)、デガッサー(DGU−20A3R、島津製作所社製)、オートサンプラ―(SIL−20A、島津製作所社製)、カラムオーブン(CTO−20A、島津製作所社製)、ガードカラム(SB−G、昭光サイエンス社製)、サイズ排除カラム(OHpak SB−806M HQ,昭光サイエンス社製)、18角度式光散乱検出器(DAWN Heleos 2、Wyatt Technologies社製)及び示差屈折率測定器(Optilab rEx、WyattTechnologies社製)で構成されたGPC−MALLSシステムを用いた。
HPMCを50mL容積のスクリュー瓶に秤量した後、マグネチックスターラー撹拌下で0.1Mの硝酸ナトリウム塩(NaNO3)緩衝液を20mL加えて、室温にて1時間撹拌することにより溶解した。次いで氷冷下で1時間撹拌し、HPMCを完全に溶解した。その後、室温にて30分間放置して溶液を室温に戻した。なお、溶液の濃度は、HPMCの2質量%水溶液の20℃における粘度により異なり、6mPa・s未満では0.30質量%、6以上50mPa・s未満では0.20質量%、50以上400mPa・s未満では0.15質量%、400以上4000mPa・s未満では0.10質量%、4,000以上8,000mPa・s未満では0.05質量%、8,000以上15,000mPa・s未満では0.04質量%、15,000以上75,000mPa・s未満では0.02質量%、75,000mPa・s以上150,000mPa・s以下では0.01質量%になるように調製した。調製した溶液は0.45μmのメンブレンフィルター(DIMIC−13CP、Advantec社製)を用いて濾過した。標準品として、プルラン(P50、昭光サイエンス社製)5mgに0.1Mの硝酸ナトリウム塩(NaNO3)緩衝液を2mL加えて、溶解した後に、0.20μmのメンブレンフィルター(DIMIC−13CP、Advantec社製)を用いて濾過した。
標準品のプルラン溶液及びHPMC溶液の分子量を、0.1Mの硝酸ナトリウム塩(NaNO3)緩衝液を移動相に用いて、1.0mL/minの流速にて、カラム温度40℃、示差屈折率測定器の温度25℃、インジェクション量200μL、測定時間20分間の測定条件にて測定した。
測定終了後、解析ソフトとしてASTRA VI(バージョン6.1.4.25)を用いて、下記方法にて解析を実施した。なお、HPMCのdn/dc値は0.139mL/gを用いた。得られた光散乱のクロマトグラムよりピーク範囲を選択し、光散乱の検出器はDetector番号5〜16番までを使用した。分子量の計算は、外挿線法(一次)を用いてAUTO Fittingにて計算し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び多分散度(Mw/Mn)を測定した。なお、HPMCの分子量測定結果は、標準品として測定したプルランの測定結果を用いて標準化(Normalize)を実施した。
低粘度HPMCとして原料HPMC−1、高粘度HPMCとして原料HPMC−4を表2に示す混合比で計量した後、混合し、固形製剤用組成物に用いるHPMC混合物を調製した。調製したHPMC混合物の2質量%水溶液の20℃における粘度、メトキシ基の置換度、ヒドロキシプロポキシ基の置換度、平均粒子径、分子量及び多分散度を表2に示す。なお、各種物性は、原料HPMCと同様の方法にて測定した。
次に、テオフィリン(白鳥製薬社製)85質量部と、調整したHPMC混合物15質量部を3分間混合し、固形製剤用組成物を得た。得られた固形製剤用組成物を単発打錠機を用いて、下記の打錠条件で打錠し、乾式直接打錠法により徐放性錠剤を製造した。
打錠機 HANDTAB−200(市橋精機社製)
錠剤サイズ 480mg/錠、直径12mm、平杵
打錠圧 10kN
製造した徐放性錠剤について、第十七改正日本薬局方の溶出試験法(パドル法)に従い、下記の溶出試験条件にて溶出試験を行った。
溶出試験開始後より1、2、4、8、12及び16時間後に試験液を採取し、UV検出器(UV−1700、島津製作所社製)を用いて、採取した試験液中のテオフィリン量を波長271nmの吸光度を測定することにより求めた。溶出試験は6錠の錠剤を用いて実施し、各錠について各時間における溶出率を算出し、下記式により、各時間における平均溶出率を算出した。その結果を表3に示す。
また、各時間における溶出率ばらつき(RSD)を下記式により算出し、これに基づいて下記式により平均溶出率ばらつきを算出した。その結果を表3に示す。
溶出試験器 NTR−6400A(富山産業社製)
試験液 精製水900mL
試験温度 37℃
パドル回転数 50回転/分
測定錠剤数 6錠
各時間における平均溶出率(%)
= 各時間における各錠の溶出率の平均値
平均溶出率ばらつき(%)
= (各時間における溶出率ばらつき(%)の合計)/6
但し、各時間における溶出率ばらつきは、下記式による。
各時間における溶出率ばらつき(%)
=(各時間における溶出率の標準偏差/各時間における平均溶出率)×100
実施例1と同様な方法により、低粘度HPMCと高粘度HPMCの種類及び混合比を表2に示す処方に変更して固形製剤用組成物を製造した。なお、実施例11は表1に示す原料HPMC−8のみ、比較例1は原料HPMC−3のみ、比較例5は原料HPMC−9のみを用いた。得られた固形製剤用組成物に用いたHPMCの20℃における2質量%水溶液の粘度、メトキシ基の置換度ヒドロキシプロポキシ基の置換度、平均粒子径、分子量及び多分散度を表2に示す。
また、実施例1と同様の方法にて徐放性錠剤を製造し、溶出試験を実施した。
各時間の平均溶出率及び平均溶出率ばらつきの測定結果を表3に示す。
一方で、比較例1、2及び5の固形製剤用組成物を用いて製造された徐放性錠剤は、用いたHPMCの多分散度が4.0未満であったため、溶出ばらつきが大きかった。
また比較例3及び4の固形製剤用組成物を用いて製造された徐放性錠剤は、用いたHPMCの20℃における2質量%水溶液の粘度が、1,500mPa・s未満であったため、15質量部のHPMCの添加量では、8時間後における平均溶出率が95%及び86%と8時間程度でほとんどの薬物が溶出しており、実施例と比較して、溶出の抑制効果に劣るものであった。
Claims (11)
- サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と多角度光散乱(MALLS)の組合せによる絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを少なくとも含む固形製剤用組成物。
- 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、2質量%水溶液の20℃における粘度が2〜150mPa・sである低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、2質量%水溶液の20℃における粘度が3,500〜200,000mPa・sである高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを少なくとも含む請求項1に記載の固形製剤用組成物。
- 前記低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースと前記高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースの質量比が、5:95から95:5である請求項2に記載の固形製剤用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の固形製剤用組成物を少なくとも含んでなる固形製剤。
- 前記固形製剤が、徐放性製剤である請求項4に記載の固形製剤。
- 錠剤である請求項4又は請求項5に記載の固形製剤。
- サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と多角度光散乱(MALLS)の組合せによる絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを乾式混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を打錠して錠剤を得る工程と
を少なくとも含む錠剤の製造方法。 - サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と多角度光散乱(MALLS)の組合せによる絶対分子量測定による多分散度が4.0以上であり、かつ2質量%水溶液の20℃における粘度が1,500〜150,000mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースと、活性成分とを造粒して造粒物を得る工程と、
前記造粒物を打錠して錠剤を得る工程と
を少なくとも含む錠剤の製造方法。 - 固有粘度が300〜700ml/gである低重合度パルプと、固有粘度が750〜2,500ml/gである高重合度パルプに、アルカリ金属水酸化物溶液を接触させてアルカリセルロースを得る工程と、
前記アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得る工程と
を更に含む請求項7又は請求項8に記載の錠剤の製造方法。 - 前記低重合度パルプと前記重合度パルプの質量比が、1:99から99:1である請求項9に記載の錠剤の製造方法。
- 前記低重合度パルプの固有粘度に対する前記高重合度パルプの固有粘度の比(高重合度パルプの固有粘度/低重合度パルプの固有粘度)が、3.0以上である請求項9又は請求項10に記載の錠剤の製造方法。
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