[go: up one dir, main page]

JP6958459B2 - 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6958459B2
JP6958459B2 JP2018065588A JP2018065588A JP6958459B2 JP 6958459 B2 JP6958459 B2 JP 6958459B2 JP 2018065588 A JP2018065588 A JP 2018065588A JP 2018065588 A JP2018065588 A JP 2018065588A JP 6958459 B2 JP6958459 B2 JP 6958459B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel sheet
molten
alloy
hot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018065588A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019173138A (ja
Inventor
藤原 進
真也 植杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018065588A priority Critical patent/JP6958459B2/ja
Publication of JP2019173138A publication Critical patent/JP2019173138A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6958459B2 publication Critical patent/JP6958459B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する関心が一層高まっており、自動車用部材をはじめとする種々の加工品に用いられる鋼板は、高強度、かつ薄肉化による軽量化が求められている。また、該鋼板は、使用時の塑性変形を防止する観点から、高い降伏強度を有することが求められている。さらに、様々な変形様式の加工が鋼板に施される場合には、鋼板は、強度に加えて高い加工性(例えば、曲げ加工性等)を有することが要求される。そのため、高価な合金元素の添加に加え複雑な熱処理を組み合わせて、金属組織を緻密に制御されて得られた鋼板に係る発明が多くなされている。
上記のような鋼板を得るための技術としては、曲げ加工性を向上させるために、規定された化学組成を有し、残留オーステナイト相の面積率等の金属組織の相について規定された溶融めっき鋼板およびその製造方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2009−270126号公報(2009年11月19日公開) 特開2013−117042号公報(2013年6月13日公開) 特開2015−193897号公報(2015年11月5日公開)
しかしながら、上述の溶融めっき鋼板は、いずれも変態強化により鋼板の高強度化を図るとともに、残留オーステナイトを利用して高強度化と加工性との両立を図って得られる。上述の鋼板を得るためには、Si、Mn等の高価な合金元素を多量に、鋼板へ添加する必要があるため、上述の製造方法では製造コストが高くなるという問題点があった。また、変態強化では、硬質相と軟質相との大きな強度差に起因して、鋼板に安定的に良好な曲げ性を確保することは非常に困難であった。
本発明の一態様は、製造コストを低減するとともに、高い降伏強度および安定的に良好な曲げ加工性を有する鋼板およびその製造方法を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板は、素材鋼板の表面に溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板であって、上記素材鋼板は、質量%でCが0.005%以上0.08%以下、Siが0.8%以下、Mnが0.1%以上1.8%以下、Pが0.05%以下、Sが0.005%以下、Tiが0.02%以上0.2%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、およびAlが0.1%以下であり、かつFeおよび不可避的不純物を残部として含み、上記素材鋼板における下記(1)式で表される上記Tiと上記Cとの当量比が0.4以上1.5以下であり、上記素材鋼板は、圧延方向と平行な断面における金属組織がフェライト相およびベイニティックフェライト相の一方または両方からなる相を主相として含み、かつマルテンサイト相およびセメンタイト相をさらに含み、マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の割合が、面積比で3%以下であり、かつ、最大粒子径が20nm以下である上記Tiを含む炭化物が分散して析出している。上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板は、降伏強度が600N/mm以上であり、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上である。ただし、下記(1)式の元素記号の箇所には、上記素材鋼板中における元素の含有量(質量%)が代入される。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12) (1)
上記の本発明の一態様によれば、製造コストを低減するとともに、高い降伏強度および安定的に良好な曲げ加工性を有する鋼板およびその製造方法を実現できる。
実施例および比較例の評価における溶接試験に用いられるボス溶接材の外観を模式的に示す図である。 実施例および比較例の評価における溶接試験に用いられる、試験片と拘束板との接合体の構造を模式的に示す図である。
本実施形態に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の素材鋼板の成分組成および製造方法について、以下に説明する。なお、「%」とは、「質量%」を意味する。
〔素材鋼板の成分組成〕
上記素材鋼板は、Cが0.005%以上0.08%以下、Siが0.8%以下、Mnが0.5%以上1.8%以下、Pが0.05%以下、Sが0.005%以下、Tiが0.02%以上0.2%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、およびAlが0.1%以下であり、かつFeおよび不可避的不純物を残部として含む。
炭素(C)は、Ti(後述)を含む炭化物を形成し、ベイニティックフェライト(後述)またはフェライト組織中(後述)に微細に析出して高強度化に有効な元素である。C含有量が0.005%未満では、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板において600N/mm以上の降伏強度を得ることができない場合がある。一方、C含有量が0.08%を越えると、析出物の粗大化と、硬質第2相(例えば、マルテンサイト)およびセメンタイトの形成とにより、曲げ加工性が低下する。本実施形態における素材鋼板のC含有量は0.005%以上0.08%以下である。また、所望の強度と曲げ加工性とを得るという観点から、該C含有量は、好ましくは、0.01%以上0.06%以下、さらに好ましくは0.01%以上0.04%以下である。
ケイ素(Si)は、素材鋼板の固溶強化に有効な元素である。しかし、Siの含有量が過剰であると、連続溶融めっき工程(後述)での加熱時に、素材鋼板の表面に酸化物を形成し、該素材鋼板のめっき性を阻害するとともに製造コストの上昇を招きやすいので、添加量の上限を0.8%とする。本実施形態における素材鋼板のSi含有量は0.8%以下である。めっき性の向上および製造コストの低減という観点から、好ましくは、0.4%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
マンガン(Mn)は、素材鋼板の高強度化に有効な元素である。Mnの含有量が0.5%未満では、該溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板において600N/mm以上の降伏強度を得ることが難しい場合がある。一方、Mnの含有量が1.8%を超えると、該素材鋼板において偏析が生じやすくなり、その結果曲げ加工性が低下する場合がある。また、Mnの含有量が1.8%を超えると製造コストの上昇を招く。本実施形態における素材鋼板のMn含有量は、0.5%以上1.8%以下である。また、所望の強度と曲げ加工性とを得るという観点から、該Mn含有量は、好ましくは、1.0%以上1.8%以下、さらに好ましくは1.0%以上1.5%以下である。
リン(P)は素材鋼板の固溶強化に有効な元素であるが、P含有量が0.05%を超えると、該素材鋼板における偏析が生じやすくなり、曲げ加工性が低下する場合がある。したがって、Pの添加量の上限を0.05%とする。本実施形態における素材鋼板のP含有量は、0.05%以下である。また、所望の曲げ加工性を得るという観点から、好ましくは、0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。なお、Pの含有量は0を含まない。
硫黄(S)はMnと硫化物を形成し、曲げ加工性を始めとする局部の延性を劣化させる。このため、Sは極力低減すべき元素であるが、0.005%までは許容できるので、含有量の上限を0.005%に限定する。本実施形態における素材鋼板のS含有量は0.005%以下である。また、適度な延性を得るという観点から、好ましくは、0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下である。なお、Sは不可避的不純物であり、その含有量は0を含まない。
チタン(Ti)はCと結合して、微細なTiの炭化物として析出し、素材鋼板の高強度化とセメンタイトの析出抑制とに有効な元素である。また、TiはNとの親和性が高く、素材鋼板中のNをTiNとして固定するため、Tiを添加することは、上記のように固溶B量の確保に有効である。これらの作用を十分得るためには、0.02%以上のTiが素材鋼板に含まれている必要がある。一方、Ti含有量が0.2%を超えるとその効果は飽和するとともに、製造コストの上昇を招く。そのため、Ti含有量は0.02%以上から0.20%以下の範囲に限定する。本実施形態における素材鋼板のTi含有量は0.02%以上0.20%以下である。
ホウ素(B)は結晶粒界に偏析して原子間結合力を高め、溶融金属脆化割れの抑制に有効な元素である。また、Bは粒界に偏析してフェライト変態およびパーライト変態を抑制し、ベイニティックフェライト組織を得易くなることから、素材鋼板の強度を高めるために有効な元素である。B含有量が0.0005%未満ではこれらの効果があまり望めず、0.01%を超えて添加してもその効果は飽和するとともに製造コストの上昇を招く。そのため、本実施形態における素材鋼板のB含有量は0.0005%以上0.01%以下である。
アルミニウム(Al)は、製鋼時に脱酸材として添加される。その効果を得るためには、0.005%以上の添加が必要である。一方、0.1%を超えて添加してもその効果は飽和するとともにかえって製造コストの上昇を招く。本実施形態における素材鋼板のAl含有量は0.1%以下である。
鉄(Fe)は、素材鋼板の主たる金属成分である。鉄は、素材鋼板中の各種成分の不可避的不純物を除く残部を構成する。
不可避的不純物は、素材鋼板の原料由来の、素材鋼板中に含まれる微量の成分およびその製造工程中のコンタミネーションとして不可避的に含有される微量成分である。不可避的不純物には、前述したPおよびSのほか、例えばN、Cu、NiおよびCr等がその代表例として含まれる。基本的には微量しか含まれず、素材鋼板の特性には大きな影響を及ぼさないが、合計で0.5%を超えて不可避的不純物を含有すると、曲げ加工性を劣化させる可能性がある。したがって、不可避的不純物の含有量としては、0.5%未満とすることが好ましい。
また、不可避的不純物のうち、窒素(N)は、素材鋼板中に固溶窒素として残存するとBNを生成し、耐溶融金属脆化割れの抑制に有効な固溶B量の減少につながる。検討の結果、素材鋼板中におけるNの含有量は0.005%以下に制限されることが好ましい。
上記素材鋼板は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。当該他の成分の例には、ニオブおよびバナジウムが含まれる。
ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)は、フェライト粒の微細化に有効である。また、Tiと同様にCを含む複合炭化物を形成し、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の降伏強度上昇に寄与する。このため、必要に応じてこれらの元素の1種以上を素材鋼板中へ含有することが好ましい。本実施形態における素材鋼板のNb含有量およびV含有量は0.1%以下である。従って、本実施形態における素材鋼板は、0.1%以下のNbおよび0.1%以下のVの一方または両方をさらに含有することが、高強度化の観点から好ましい。
上記素材鋼板における下記(1)式で表される上記Tiと上記Cとの当量比は、0.4以上1.5以下である。上記当量比を有する素材鋼板は、良好な曲げ加工性を有する。上記Ti/C当量比は、以下の(1)式によって定義される。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12)・・・(1)
上記(1)式の元素記号の箇所には、素材鋼板中における元素の含有量(質量%)が代入される。良好な曲げ加工性を有する鋼板を得るために、本実施形態における素材鋼板は、上記Ti/C当量比が0.4以上1.5以下であるように、上記TiおよびCの含有量が制御される。Ti/C当量比が0.4未満では、マルテンサイト量およびセメンタイト量が増加するため、上記鋼板の曲げ加工性が低下する。一方、Ti/C当量比が1.5を超えた場合、その効果が飽和するとともに、製造コストの上昇を招く。
〔溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の強度〕
本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が有する降伏強度は600N/mm以上であり、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上に規定される。上述の降伏強度の引張強度に対する割合の数値を満たすために、後述する製造方法が用いられる。なお、「上述の降伏強度の引張強度に対する割合」とは、以下の(2)式により算出される。
降伏強度/引張強度×100・・・(2)
上記の降伏強度、および、降伏強度の引張強度に対する割合は、上記に記載した化学成分範囲に制御するとともに、後述する製造方法における冷間圧延工程、および焼鈍を含む連続溶融めっき工程を適切な条件で行うことによって実現することが可能である。
上述の降伏強度を測定する手法としては、JIS Z2241(金属材料引っ張り試験方法)が挙げられる。また、曲げ加工性を測定する為の手段としては、JIS Z2248(金属材料曲げ試験方法)が挙げられる。
上記素材鋼板の板巾方向の端から25mmの位置における板厚と、板巾中央部における板厚との差(CH25)が±50μm以下であることが、めっき鋼板における板厚方向における厚さの均一性を高める観点から好ましい。「板巾中央部」とは、板巾方向において、上記端から25mmの位置よりも内側の部分であり、好ましくは板巾方向における中心を含む部分である。上記板厚は、公知の方法によって測定、調整することが可能である。
〔素材鋼板の金属組織〕
本発明の実施形態に係る素材鋼板は、圧延方向と平行な断面において、金属組織がフェライト相およびベイニティックフェライト相の一方または両方からなる相を主相として含み、かつマルテンサイト相およびセメンタイト相をさらに含む。ここで、マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の割合は、面積比で3%以下である。
曲げ加工の際、フェライト相またはベイニティックフェライト相と、マルテンサイトまたはセメンタイト相との境界面は亀裂の起点となり易いため、上記構成によれば、亀裂の起点が低減され、その結果安定的に良好な曲げ加工性が得られる。
また、上記素材鋼板は、最大粒子径が20nm以下である上記Tiを含む炭化物が分散して析出している。上記構成によれば、オロワン機構に基づく粒子分散強化により、上記素材鋼板が高い降伏強度が得られるとともに、良好な曲げ加工性を有する。
上記Tiを含む炭化物は、Ti以外にNbまたはVをさらに含む炭化物も含まれる。
また、上記Tiを含む炭化物の最大粒子径は、降伏強度の観点から、さらには10nm以下であることが好ましい。上記最大粒子径の測定方法としては、例えば、複数の各溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板から作製した薄膜を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、Ti含有炭化物が30個以上含まれる一定の領域内の、当該炭化物の粒子径(長径)を測定し、その平均値をTi含有炭化物の平均粒子径とすることが挙げられる。ここで、上記最大粒径が5nm未満では、上記オロワン機構が働き難くなる。したがって、上記Tiを含む炭化物の最大粒径は5nm以上とすることがより好ましい。
上記マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の、上記素材鋼板の表面における面積比を算出する一例として、以下の手順が挙げられる。(i)切出しした溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板サンプルを圧延方向と平行な断面を鏡面に研磨する(ii)ナイタール試薬等を用いて上記断面をエッチング処理した後、該断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する(iii)各視野の面積に対する、その視野中に存在するマルテンサイト相およびセメンタイト相が認められる領域の面積の比を、視野毎に算出し、算出した値の平均値を算出し、上記面積比とする。
〔溶融Zn−Al−Mg合金めっき層〕
本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板は、その表面に溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を有する。該めっき層の成分組成について、以下に説明する。なお、後述の「溶融めっき浴液」とは、上記めっき層を連続溶融めっき工程(後述)において用いられる槽(ポット)の中に貯留されている、後述する各金属が溶融されている液を意味する。
上記めっき層中に含まれるAlは、上記めっき鋼板が有する耐食性を向上させる。また、溶融めっき浴液中にAlを含有させることで、Mg酸化物系のドロスの発生を抑制する作用もある。これらの作用を十分に得るためには、上記めっき層に含まれるAl含有量を3.0%以上とする必要があり、4.0%以上とすることがより好ましい。一方、Al含有量が22.0%を超えると、上記めっき層と上記素材鋼板との界面でFe−Al合金層の成長が著しくなり、めっきの密着性が悪くなる。優れためっき密着性を確保するには、15.0%以下のAl含有量とすることが好ましく、10.0%以下とすることがより好ましい。
上記めっき層中に含まれるMgは、該めっき層の表面に均一な腐食生成物を生成させることにより、上記めっき鋼板の耐食性を著しく高める作用を呈する。その作用を十分に発揮させるためには、上記めっき層のMg含有量を0.05%以上とする必要があり、2.0%以上を確保することが望ましい。一方、Mg含有量が10.0%を超えるとMg酸化物系のドロスが発生し易くなる。より高品質のめっき層を得るためには、5.0%以下のMg含有量とすることが好ましく、4.0%以下とすることがより好ましい。
溶融めっき浴液中にTiおよびBの一方または両方を含有させると、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板において、斑点状の外観不良を与えるZn11Mg相の生成および成長が抑制される。TiおよびBは、それぞれ単独で含有させてもZn11Mg相の抑制効果は生じるが、製造条件の自由度を大幅に緩和させるという観点から、TiおよびBを複合で含有させることが望ましい。これらの効果を十分に得るためには、上記めっき層のTi含有量は0.0005%以上、B含有量は0.0001%以上とすることが効果的である。ただし、Ti含有量が多くなりすぎると、めっき層中にTi−Al系の析出物が生成し、めっき層に凹凸が生じて、外観を損なう。このため、溶融めっき浴液にTiを添加する場合は0.10%以下の含有量範囲とする必要があり、0.01%以下とすることがより好ましい。また、B含有量が多くなりすぎると、めっき層中にAl−B系あるいはTi−B系の析出物が生成および粗大化し、凹凸が生じて外観を損なう。このため、溶融めっき浴液にBを添加する場合は0.05%以下の含有量範囲とする必要があり、0.005%以下とすることがより好ましい。
溶融めっき浴液中にSiを含有させると、上記Fe−Al合金層の成長が抑制され、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の加工性が向上する。また、めっき層中に含まれるSiはめっき層の黒色への変化を防止し、表面の光沢性を維持する上でも有効な元素である。このようなSiの作用を十分に引き出すためには、溶融めっき液のSi含有量を0.005%以上とすることが効果的である。ただし、過剰にSiを添加すると溶融めっき浴液中に含まれるドロス量が多くなるので、めっき浴液にSiを含有させる場合は2.0%以下の含有量範囲とする。
溶融めっき浴中へ、上記素材鋼板およびポット構成部材などからある程度のFeおよび不可避的不純物が混入する。溶融Zn−Al−Mg合金めっきにおいて、めっき浴中に含まれるFeは2.0%程度まで含有が許容される。上記めっき浴液中には、上述した元素以外にもその他の元素として、例えば、Ca、Sr、Na、希土類元素、Ni、Co、Sn、Cu、CrまたはMnの1種以上が混入してもよい。この場合、それらの合計含有量は1%以下であることが望ましい。
以上の説明から明らかなように、上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき層の好ましい組成は、例えば、Alが3.0%以上22.0%以下、Mgが0.05%以上10.0%以下、Tiが0.1%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、Siが0以上2.0%以下、およびFeが2.0%以下であり、かつ残部が不可避的不純物である。
なお、溶融めっき浴液中の組成は、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板に塗装されるめっき層の組成に、ほぼそのまま反映される。
上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板は、好ましくは、以下の製造方法によって製造することができる。以下、上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法について説明する。
〔溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法〕
本実施の形態に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法は、通常の溶融めっき鋼帯の製造方法に準じればよく、製銑(高炉)、製鋼、連続鋳造、熱間圧延、酸洗、冷間圧延の各工程を経た後、連続溶融めっき工程を経て製造される。上述の一連の各工程について、以下に詳細に説明する。
<製鋼工程・連続鋳造工程>
まず、製鋼工程において、高炉で得られた銑鉄を転炉および真空脱ガスで不純物を取り除くとともに成分調整を行うことにより、所定の化学成分を有する溶鋼が得られる。その後は、連続鋳造によって鋼のスラブを製造する。
<熱間圧延工程>
上記熱間圧延工程は、上記スラブを所定の温度まで加熱する。スラブを加熱するときの温度としては、添加元素を十分に固溶させるため、1100℃以上とすることが好ましい。
加熱されたスラブは、粗圧延工程および仕上げ圧延工程を経て所定の板厚まで圧延される。なお、仕上げ圧延終了温度はAr3変態点以上で終了することが好ましい。Ar3点未満では板厚の変動が大きくなり、良好な板厚精度が得られなくなるためである。
仕上げ圧延工程において所望の厚さまで圧延された鋼帯は、巻取装置を用いて巻取られる。このとき、巻取温度としては、500℃以上650℃以下である。巻取温度が500℃未満である場合、Tiを含む炭化物の析出量が不十分となり、その結果、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の強度が低下するおそれがある。一方、巻取温度が650℃を超える場合、Ti含有炭化物の粗大化が起こり、その結果、最終的に得られる溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の強度低下および曲げ加工性が低下する場合がある。
上記酸洗工程は、上記熱間圧延処理が施されて得られた熱間圧延鋼帯の表面に付着するスケールを、酸洗処理により除去する。
上記冷間圧延工程では、4%以上60%以下の冷間圧延率で、上記酸洗処理後の鋼帯へ冷間圧延を行う。
上記冷間圧延率を4%以上に制御することにより、降伏強度が600N/mmであり、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上である溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が得られる。また、上記冷間圧延率を60%以下に制御することにより、良好な曲げ加工性を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が得られる。仮に、上記冷間圧延率が4%未満であった場合、上記降伏強度が600N/mm未満となる場合がある。一方、上記冷間圧延率が60%を越えると、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の有する延性が大きく低下し、その結果、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の有する曲げ加工性が劣化する場合がある。
上記連続溶融Zn−Al−Mgめっき工程における連続焼鈍工程での焼鈍温度は、550℃以上750℃以下である。焼鈍温度が550℃未満では素材鋼板表面の還元処理が十分に行えなくなるため、めっき不良を生じる可能性がある。また、750℃を超えて焼鈍を行うと、素材鋼板の金属組織が再結晶して軟化するため、600MPa以上の降伏強度が得られなくなる。
焼鈍を施された素材鋼板は、所定の成分に調整された溶融Zn−Al−Mgめっき浴中に通板され、所望の付着量を有する溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板が得られる。
該めっき鋼板は、室温まで冷却後、降伏伸び抑制および形状修正のため、調質圧延および、またはテンションレベラーを通板してもよい。調質圧延やテンションレベラーは、連続めっきラインの後段に設置したインライン装置でもよいし、オフライン装置で付与してもよい。調質圧延やテンションレベラーにて付与する歪量が大きすぎると製品の加工性が劣化するため、付与する歪量は、伸び率で2%以下とすることが望ましい。
(まとめ)
(1)本発明の一態様に係る溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板は、素材鋼板の表面に溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板において、上記素材鋼板は、質量%でCが0.005%以上0.08%以下、Siが0.8%以下、Mnが0.1%以上1.8%以下、Pが0.05%以下、Sが0.005%以下、Tiが0.02%以上0.2%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、およびAlが0.1%以下であり、かつFeおよび不可避的不純物を残部として含み、上記素材鋼板における下記(1)式で表される上記Tiと上記Cとの当量比が0.4以上1.5以下であり、上記素材鋼板は、圧延方向と平行な断面において、金属組織がフェライト相およびベイニティックフェライト相の一方または両方からなる相を主相として含み、かつマルテンサイト相およびセメンタイト相をさらに含み、マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の割合が、面積比で3%以下であり、かつ、上記素材鋼板の表面には、最大粒子径が20nm以下である上記Tiを含む炭化物が分散して析出しており、降伏強度が600N/mm以上であり、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上である。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12) (1)
ただし、上記(1)式の元素記号の箇所には、上記素材鋼板中における元素の含有量(質量%)が代入される。
上記構成によれば、所望の降伏強度および良好な曲げ加工性を上記めっき鋼板が十分に有するための、成分組成および分散態様となっている。また、マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の、上記素材鋼板の表面における割合を規定することにより、曲げ加工の際にフェライト相またはベイニティックフェライト相と、マルテンサイトまたはセメンタイト相との界面での亀裂の起点を低減し、その結果曲げ加工性を向上できる。さらに、600N/mm以上の降伏強度、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上という高い数値が得られる。従って、より高い降伏強度および曲げ加工性を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が実現される。
(2)また、本発明の一態様に係るめっき鋼板は、上記素材鋼板が、質量%で、0.1%以下のNbおよび0.1%以下のVの一方または両方をさらに含有してもよい。
上記構成によれば、高強度化の観点からより一層効果的である。
(3)また、本発明の一態様に係るめっき鋼板は、上記素材鋼板における不可避的不純物の内のNの含有量が質量%で0.005%以下であることが好ましい。
上記構成によれば、素材鋼板における耐溶融金属脆化割れを抑制する観点からより一層効果的である。
(4)また、本発明の一態様に係るめっき鋼板が有する上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき層の組成は、Alが3.0%以上22.0%以下、Mgが0.05%以上10.0%以下、Tiが0.1%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、Siが0以上2.0%以下、およびFeが2.0%以下であり、かつ残部が不可避的不純物であってよい。
上記構成によれば、より加工性に優れるような成分組成となっている。そのため、より曲げ加工性に優れた溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が実現される。
(5)また、本発明の一態様に係るめっき鋼板は、上記素材鋼板の板巾方向の端から25mmの位置における板厚と、板巾中央部における板厚との差(CH25)が±50μm以下であってもよい。
上記構成によれば、良好な板厚精度を有するために、歩留りが向上し、かつ加工時に係るコストが低減する。従って、製造時のコストをより低減するような溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が実現される。
(6)また、本発明の一態様に係る鋼板の製造方法は、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法であって、上記素材鋼板に含まれる上記組成を有するスラブに対して熱間圧延処理を行う熱間圧延工程、上記熱間圧延処理が施されて得られた熱間圧延鋼帯を酸洗処理する酸洗工程、上記酸洗処理後の鋼帯を冷間圧延処理する冷間圧延工程、上記冷間圧延処理後に得られた鋼帯を連続焼鈍処理後、インラインにて請求項3に記載の組成を含む溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を上記鋼帯の表面に施す連続溶融めっき工程を含み、上記熱間圧延工程において上記鋼が巻取られる時の巻取温度が500℃以上650℃以下であり、上記冷間圧延工程において4%以上60%以下の冷間圧延率で上記酸洗処理後の鋼帯へ冷間圧延を行い、上記連続焼鈍処理において用いられる炉内における温度である焼鈍温度が550℃以上750℃以下である。
上記構成によれば、熱間圧延工程において上記巻取温度で鋼帯を巻取り、冷間圧延工程、および焼鈍を含む連続溶融めっき工程を適切な条件で行うことにより、600N/mm以上の降伏強度、かつ降伏強度の引張強度に対する割合が80%である溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が得られる。
表1に組成を示す各鋼A〜Wを溶製し、そのスラブを1250℃に加熱した後、仕上げ圧延温度880℃、および巻取温度520〜680℃で熱間圧延し、板厚2.6mmの熱延鋼帯を得た。鋼A〜Wの組成を表1および表2に示す。
Figure 0006958459
Figure 0006958459
熱延鋼帯を所定の巻取温度T1で巻き取った。次いで、熱延鋼帯を酸洗して4%、30%および50%の冷延率で冷間圧延を施した後、連続溶融めっきラインにて、水素−窒素混合ガス中500〜790℃の焼鈍温度T2で焼鈍を行い、約420℃まで平均冷却速度5℃/secで冷却して素材鋼板(めっき原板)1〜24を得た。その後、素材鋼板表面が大気に触れない状態のまま下記のめっき浴組成を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき浴中に浸漬した後引き上げ、ガスワイピング法にてめっき付着量を片面あたり約90g/mに調整した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板1〜24を得た。めっき浴温は約410℃であった。
〔めっき浴組成(質量%)〕
Al:6.0%、Mg:3.0%、Ti:0.002%、B:0.0005%、Si:0.01%、Fe:0.1%、Zn:残部
〔Ti含有炭化物の平均粒子径〕
採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板サンプルから作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、Ti含有炭化物が30個以上含まれる一定の領域内の当該炭化物の粒子径(長径)を測定し、その平均値をTi含有炭化物の平均粒子径R1とした。
〔断面の金属組織〕
採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板のサンプルから切出した試料の圧延方向と平行な断面を研磨し、ナイタール試薬にてエッチングしてSEM観察し、観察された組織から当該鋼板の断面における金属組織の主相を判定した。
〔マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の面積率〕
硬質第2相(マルテンサイト相)およびセメンタイト相の面積率Smsは、採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板のサンプルから切り出した試料の圧延方向と平行な断面を研磨し、ナイタール試薬にてエッチングしてSEM観察し、観察された組織から画像解析によって算出した。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板1〜24のそれぞれについて、製造条件における熱間圧延での巻取温度T1、めっきラインでの焼鈍温度T2、断面における金属組織の主相、当該断面における炭化物の平均粒子径R1、および、当該断面におけるマルテンサイト相とセメンタイト相との合計の面積率Sms、を表3に示す。表3中、「BF」はベイニティックフェライト相を、「F」はフェライト相を、「P」はパーライト相をそれぞれ表す。
Figure 0006958459
〔引張特性〕
採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板のサンプルの長手方向が素材鋼板の圧延方向に対し直角になるように採取したJIS5号試験片を用い、JISZ2241に準拠して降伏強度YS、引張強さTSおよび全伸びT.Elを求めた。
〔曲げ試験〕
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板1〜24における冷延率30%および50%のめっき鋼板から圧延方向と直角方向に20×50mmのサンプルを採取し、これを135°曲げ試験に供した。即ち、採取したサンプルの長手方向の中央部で圧延方向が曲げの軸となるように先端R1.0mm、先端角度45°のV型パンチ、ダイスを用いて、20kNの押し付け力で曲げ加工を施し、曲げ加工部先端の外表面における割れの発生有無を○×で評価した。「○」は、割れが発生しないことを表し、「×」は割れが発生したことを表す。
〔溶融金属脆化割れ性の評価〕
溶融金属脆化特性は、次の手順により溶接試験を行って評価した。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板1〜24における冷延率30%および50%のめっき鋼板から100mm×75mmのサンプルを切り出し、これを溶融金属脆化に起因する最大割れ深さを評価するための試験片とした。溶接試験は、図1に示す外観のボス溶接材を作製する「ボス溶接」を行い、その溶接部断面を観察して割れの発生状況を調べた。すなわち、試験片3の板面中央部に直径20mm×長さ25mmの棒鋼(JISに規定されるSS400材)からなるボス(突起)1を垂直に立て、このボス1を試験片3にアーク溶接にて接合した。溶接ワイヤーはYGW12を用い、溶接開始点から溶接ビード6がボスの周囲を1周し、溶接始点を過ぎた後もさらに少し溶接を進めて溶接開始点を過ぎて溶接ビードの重なり部分8ができたところで溶接を終了とした。溶接条件は、190A,23V,溶接速度0.3m/min、シールドガス:Ar−20vol.%CO、シールドガス流量:20L/minとした。
なお、溶接に際しては、図2に示すように、あらかじめ試験片3を拘束板4と接合しておいたものを用いた。接合体は、まず120mm×95mm×板厚4mmの拘束板4(JISに規定されるSS400材)を用意し、この板面中央部に試験片3を置き、その後、試験片3の全周を拘束板4に溶接したものである。上記のボス溶接材の作製は、この接合体(試験片3と拘束板4)を水平な実験台5の上にクランプ2にて固定し、この状態でボス溶接を行ったものである。
ボス溶接後、ボス1の中心軸を通り、かつ前記のビードの重なり合う部分8を通る切断面9で、ボス1/試験片3/拘束板4の接合体を切断し、その切断面9について顕微鏡観察を行い、試験片3に観察された割れの最大深さを測定し、これを最大母材割れ深さとした。この割れは溶融金属脆化割れに該当するものである。溶融金属脆化特性の割れ性(耐LMEC性)として、最大母材割れ深さが0.1mm以下を合格、0.1mmを超えるものを不合格として評価した。「○」が合格を、「×」が不合格をそれぞれ示す。
上記評価結果を表4および表5に示す。
Figure 0006958459
Figure 0006958459
本発明範囲である溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板1〜15では、いずれの条件においても600MPa以上の降伏強度であるとともに先端曲げR1.0ミリの135°曲げが可能な高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板が得られる。
しかし、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板16はC量が多く、また溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板17はTi量が低くてTi/C比が低いため、硬質第2相+セメンタイト面積率Smsが高く、曲げ加工性に劣る。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板18はMn量が多いため、硫化物の析出に起因して曲げ加工性に劣る。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板19はBの含有量が少ないため、十分な降伏強度が得られておらず、また、耐LMEC性が劣る。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板20はP量が多いため、曲げ加工性に劣る。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板21はC量が低く、そのためTi/C比が高く、十分な降伏強度が得られない。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板22はMn量が低いため、十分な降伏強度が得られない。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板23は熱間圧延での巻取り温度T1が高いためTi炭化物の粒子径が大きく、曲げ加工性に劣る。溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板24はめっきラインでの焼鈍温度が高すぎて転位密度が低くなり、降伏強度に劣る。
[冷間圧延率(冷延率)の検討]
表1のA鋼、F鋼を用い、上記の実施例と同様にこれらの鋼のスラブを1250℃に加熱した後、仕上げ圧延温度880℃、巻取温度(T1)590℃で熱間圧延し、板厚2.6mmの熱延鋼帯を得た。得られた熱延鋼帯を酸洗して2%、4%、50%、60%および70%の冷延率で冷間圧延を施した後、連続溶融めっきラインにて、水素−窒素混合ガス中620又は630℃の焼鈍温度(T2)で焼鈍を行い、約420℃まで平均冷却速度5℃/secで冷却して素材鋼板25〜34(めっき原板)とした。その後、鋼板表面が大気に触れない状態のまま、上記の実施例と同じめっき浴組成を有する溶融Zn−Al−Mg系めっき浴中に浸漬した後引き上げ、ガスワイピング法にて、めっき付着量を片面あたり約90g/mに調整した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板25〜34を得た。めっき浴温は約410℃であった。
得られた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板25〜34の引張特性、曲げ加工性、耐溶融金属脆化割れ性(耐LMEC性)を前述した実施例等と同様にして測定し、また判定した。結果を表6に示す。
Figure 0006958459
表6より明らかなように、冷延率が4〜60%であれば、600MPa以上の降伏強度と良好な曲げ加工性が得られるが、冷延率が4%未満では、降伏強度が600MPaを下回り、引張強度が不足する場合がある。また、冷延率が60%を超えると、良好な曲げ加工性が得られない場合がある。
1 ボス
2 クランプ
3 試験片
4 拘束板
5 実験台
6 溶接ビード
7 試験片全周溶接部の溶接ビード
8 溶接ビードの重なり部分
9 切断面

Claims (6)

  1. 素材鋼板の表面に溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板であって、
    上記素材鋼板は、質量%でCが0.005%以上0.08%以下、Siが0.8%以下、Mnが0.5%以上1.8%以下、Pが0.05%以下、Sが0.005%以下、Tiが0.02%以上0.2%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、およびAlが0.1%以下であり、かつ残部がFeおよび不可避的不純物からなり
    上記素材鋼板における下記(1)式で表される上記Tiと上記Cとの当量比が0.4以上1.5以下であり、
    上記素材鋼板は、圧延方向と平行な断面における金属組織がフェライト相およびベイニティックフェライト相の一方または両方からなる相を主相として含み、かつマルテンサイト相およびセメンタイト相をさらに含み、マルテンサイト相およびセメンタイト相の合計の割合が、面積比で3%以下であり、かつ、
    平均粒子径が20nm以下である上記Tiを含む炭化物が分散して析出しており、
    降伏強度が600N/mm以上であり、かつ
    降伏強度の引張強度に対する割合が80%以上であることを特徴とする、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板。
    Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12) (1)
    ただし、上記(1)式の元素記号の箇所には、上記素材鋼板中における元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 上記素材鋼板が、質量%で0.1%以下のNbおよび0.1%以下のVの一方または両方をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板。
  3. 上記素材鋼板における不可避的不純物の内のNの含有量が質量%で0.005%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板。
  4. 上記溶融Zn−Al−Mg合金めっき層の組成は、Alが3.0%以上22.0%以下、Mgが0.05%以上10.0%以下、Tiが0.1%以下、Bが0.0005%以上0.01%以下、Siが0以上2.0%以下、およびFeが2.0%以下であり、かつ残部がZnおよび不可避的不純物からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板。
  5. 上記素材鋼板の板巾方向の端から25mmの位置における板厚と、板巾中央部における板厚との差(CH25)が±50μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法であって、
    上記素材鋼板に含まれる上記組成を有するスラブに対して熱間圧延処理を行う熱間圧延工程、
    上記熱間圧延処理が施されて得られた熱間圧延鋼帯を酸洗処理する酸洗工程、
    上記酸洗処理後の鋼帯を冷間圧延処理する冷間圧延工程、
    上記冷間圧延処理後に得られた鋼帯を連続焼鈍処理後、請求項に記載の組成である溶融Zn−Al−Mg合金めっき層を上記鋼帯の表面に施す連続溶融めっき工程を含み、
    上記熱間圧延工程において上記鋼が巻取られる時の巻取温度が500℃以上650℃以下であり、
    上記冷間圧延工程において4%以上60%以下の冷間圧延率で上記酸洗処理後の鋼帯へ冷間圧延を行い、
    上記連続焼鈍処理において用いられる炉内における温度である焼鈍温度が550℃以上750℃以下であることを特徴とする、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法。
JP2018065588A 2018-03-29 2018-03-29 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法 Active JP6958459B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018065588A JP6958459B2 (ja) 2018-03-29 2018-03-29 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018065588A JP6958459B2 (ja) 2018-03-29 2018-03-29 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019173138A JP2019173138A (ja) 2019-10-10
JP6958459B2 true JP6958459B2 (ja) 2021-11-02

Family

ID=68166528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018065588A Active JP6958459B2 (ja) 2018-03-29 2018-03-29 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6958459B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5321672B2 (ja) * 2011-11-08 2013-10-23 Jfeスチール株式会社 材質均一性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法
MX2016007942A (es) * 2013-12-19 2016-09-19 Nisshin Steel Co Ltd Hojas de acero resvestida por sumersion en caliente con un sistema de base en zn-ai-mg con excelente maleabilidad y metodo para fabricar la misma.
JP6048423B2 (ja) * 2014-02-05 2016-12-21 Jfeスチール株式会社 靭性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法
JP6209175B2 (ja) * 2015-03-03 2017-10-04 日新製鋼株式会社 めっき表面外観およびバーリング性に優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019173138A (ja) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111492075B (zh) 钢板、热浸镀锌钢板和合金化热浸镀锌钢板
JP6525114B1 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP6777173B2 (ja) スポット溶接用高強度亜鉛めっき鋼板
JP6238474B2 (ja) 加工性に優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板及びその製造方法
JP6264505B1 (ja) 薄鋼板およびめっき鋼板、並びに、熱延鋼板の製造方法、冷延フルハード鋼板の製造方法、薄鋼板の製造方法およびめっき鋼板の製造方法
JP5958659B2 (ja) 高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
TWI422688B (zh) 延展性優異之高強度鋼板及其製造方法
WO2019189842A1 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼板、高強度部材およびそれらの製造方法
CN111936650B (zh) 高强度镀锌钢板、高强度部件和它们的制造方法
JP2017048412A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、およびそれらの製造方法
WO2011152017A1 (ja) 曲げ性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP6402830B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
CN108474092B (zh) 高强度熔融镀敷热轧钢板及其制造方法
JP2014189812A (ja) 溶接構造部材用高強度めっき鋼板およびその製造法
CN114207169B (zh) 钢板及其制造方法
JPWO2019003539A1 (ja) 熱間プレス部材およびその製造方法ならびに熱間プレス用冷延鋼板およびその製造方法
JP2023027288A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
KR20190022786A (ko) 고강도 강판 및 그 제조 방법
JP2018090893A (ja) 熱延鋼板の製造方法および冷延フルハード鋼板の製造方法
JP4360319B2 (ja) 高張力溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP2009228079A (ja) 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
JP6801496B2 (ja) 曲げ加工性に優れた高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板及びその製造方法
JP2018145500A (ja) 曲げ加工性に優れた自動車部品用高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板及びそれを用いた自動車部品
JP6958459B2 (ja) 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板およびその製造方法
JP5092858B2 (ja) 溶融亜鉛めっき用鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20200901

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210907

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210920

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6958459

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151