以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
先ず、図1に於いて、本実施例に係る飛行体誘導システムについて説明する。
飛行体誘導システム1は、主に各1台の飛行装置(UAV)2、位置測定装置3、地上基地4、遠隔操縦機5から構成される。尚、図1では、前記位置測定装置3として、トータルステーション(TS)が用いられた場合を示している。
前記飛行装置2は、主に飛行体15(後述)と、該飛行体15にジンバル機構を介して鉛直に支持された支持部材としてのシャフト6と、該シャフト6の下端に設けられたカメラ7と、前記シャフト6の上端に設けられたGPS装置8と、前記シャフト6の下端に設けられた再帰反射体としてのプリズム9と、該プリズム9と一体に設けられ、前記カメラ7の光軸と既知の関係で設けられた方向角センサ10と、前記地上基地4との間で通信を行う飛行体通信部11とを具備している。尚、前記カメラ7は、航空写真を撮影し、或は写真測量の為測定対象物を撮影する測定装置として機能する。
ここで、前記飛行装置2について、基準位置が設定され、該基準位置と前記カメラ7、前記GPS装置8、前記プリズム9との関係は既知となっている。尚、前記飛行装置2の基準位置としては、例えば、前記カメラ7の撮像素子(図示せず)の中心位置等とする。
尚、該カメラ7は水平軸(後述)を介して回転可能に支持され、前記カメラ7の光軸は前記シャフト6の軸心と平行な平面内を回転する様になっている。又、前記カメラ7の回転範囲は、少なくとも該カメラ7の光軸が鉛直の位置から水平な位置迄の範囲を含む。
前記シャフト6は、前記ジンバル機構により該シャフト6の軸心が鉛直になる様に支持されるので、前記カメラ7の光軸が鉛直となる場合は、該カメラ7の光軸と前記シャフト6の軸心とは合致する。
前記プリズム9の光軸も、前記シャフト6の軸心と平行になる様に設けられており、鉛直となる様に設定されている。更に、前記プリズム9と前記カメラ7との位置関係も既知となっている。尚、該カメラ7及び前記プリズム9の光軸が鉛直になる様支持されればよく、前記シャフト6の軸心は必ずしも鉛直でなくてもよい。
前記プリズム9は下方に向けて設けられ、該プリズム9は下方全範囲から入射される光を再帰反射する光学特性を有している。又、該プリズム9の代わりに反射シールを前記シャフト6の所定位置に設けてもよい。
前記GPS装置8が測定する位置は、前記シャフト6の軸心上に存在し、且つ前記GPS装置8が測定する位置は、前記カメラ7に対して既知となっている。
前記方向角センサ10は、前記飛行装置2の向きを検出する。前記方向角センサ10としては、例えば図2(B)に示されるものがある。
周囲に円周所要等分した位置に受光センサ30(図2(B)中では受光センサ30a〜30d)が設けられている。それぞれの該受光センサ30は、前記位置測定装置3から発せられる測距光、或は追尾光を受光可能であり、どの前記受光センサ30が測距光、或は追尾光を検知したかを判断することで、測距光、或は追尾光に対する向き(即ち、前記位置測定装置3に対する前記飛行装置2の向き)を検出する様になっている。
前記位置測定装置3は任意の位置に設置され、更に該位置測定装置3が水平となる様に整準される。該位置測定装置3は、ノンプリズム測定(プリズム、再帰反射体を用いない測定)及びプリズム測定(プリズム、再帰反射体を測定対象とする測定)による距離測定が可能であると共に、水平角、鉛直角が測定可能である。
ノンプリズム測定は、前記位置測定装置3の設置位置を基準として、予定した範囲をノンプリズム測定可能となっている。
又、該位置測定装置3は追尾機能を有し、プリズム測定している状態では、前記位置測定装置3は前記飛行装置2の飛行中、前記プリズム9を追尾しつつ、該プリズム9の前記位置測定装置3の設置位置を基準とした3次元座標(斜距離(slope distance)、水平角、鉛直角)を測定する。尚、本実施例では、前記位置測定装置3としてトータルステーション(TS)が用いられているが、追尾機能を有し、斜距離、水平角、鉛直角が測定できる測定装置であれば、トータルステーションに限定されるものではない。
前記位置測定装置3は、前記地上基地4と有線或は無線により電気的に接続され、測定された前記プリズム9(即ち前記飛行装置2)の3次元座標は座標データとして前記地上基地4に入力される。
前記位置測定装置3の設置位置(絶対座標)は、以下の方法により測定できる。
該位置測定装置3により飛行中の前記飛行装置2の位置を測定し、更に前記GPS装置8により前記飛行装置2の2箇所の位置座標を測定する。次に、前記位置測定装置3で取得した測定結果、前記GPS装置8で取得した位置座標(GPS座標)に基づき、後方交会法により、前記位置測定装置3の設置位置(GPS座標)が測定される。更に、GPS座標を座標変換することで、絶対座標を求めることができる。従って、GPS座標を求めれば、前記位置測定装置3の絶対座標を求めることができ、該位置測定装置3の設置位置を基準としてノンプリズム測定した結果も、絶対座標に変換できる。
更に又、前記位置測定装置3により前記プリズム9(即ち、前記飛行装置2)を追尾し、測定した前記プリズム9の3次元座標(即ち、前記飛行装置2の3次元座標)も、同様にGPS座標、更に絶対座標に変換できる。従って、前記位置測定装置3により測定した前記飛行装置2の位置座標を、前記地上基地4から前記飛行装置2にリアルタイムで送信することで、前記位置測定装置3が測定した位置座標に基づき前記飛行装置2を飛行させることができる。尚、以下の説明では、前記位置測定装置3の測定結果をGPS座標系に変換したものもGPS座標と称す。
尚、前記位置測定装置3を既知点に設置し、後方交会法により該位置測定装置3の設置位置を測定する工程を省略してもよい。
前記地上基地4は、例えばPCであり、演算機能を有する演算装置、データ、プログラムを格納する記憶部、更に基地通信部を有している。該基地通信部は前記位置測定装置3、前記遠隔操縦機5と通信可能であり、該遠隔操縦機5は前記飛行体通信部11との間で無線通信が可能となっている。
尚、前記飛行装置2は、後述する様に制御装置を具備している。従って、該制御装置に前記飛行体15の飛行ルートや測定対象物に対する撮影距離等のデータを有する飛行計画データを設定することで、前記位置測定装置3からの位置データ、又は前記GPS装置8が測定した位置データに基づき、前記飛行装置2を自律飛行させることが可能となっている。
前記遠隔操縦機5は、マニュアル操作を行う場合に前記飛行装置2の飛行を遠隔操作可能となっている。マニュアル操作を行う場合、前記地上基地4は、ノンプリズム測定の結果に基づき飛行計画を設定し、該飛行計画に従って前記飛行装置2が遠隔操作される様、前記遠隔操縦機5に飛行範囲、飛行ルートに関する飛行制御データを送信する。前記地上基地4より飛行範囲に関する飛行制御データが送信されることで、前記遠隔操縦機5から送信される飛行制御信号は前記飛行制御データの制限を受け、前記飛行装置2が前記飛行範囲内を飛行する様に制御される。更に、前記遠隔操縦機5は前記カメラ7、該カメラ7のシャッタを遠隔操作可能となっている。
次に、図2(A)、図2(B)、図3に於いて、前記飛行装置2について更に説明する。
前記飛行体15は、放射状に延出する複数で、且つ偶数のプロペラフレーム17を有し、各プロペラフレーム17の先端にプロペラユニットが設けられる。該プロペラユニットは、前記プロペラフレーム17の先端に取付けられたプロペラモータ18(図示では、図3中プロペラモータ18a,18e)と、該プロペラモータ18の出力軸に取付けられたプロペラ19(図示ではプロペラ19a〜19h)により構成される。前記プロペラモータ18により前記プロペラ19が回転され、前記飛行体15が飛行する様になっている。
前記飛行体15は、中心に中空円筒状の主フレーム21を有し、該主フレーム21の上端には外方に向って延出する外フランジ22、下端には中心に向って延出する内フランジ23が設けられている。該内フランジ23の中心部には、円形の孔24が形成される。
前記プロペラフレーム17は棒状であり、前記主フレーム21の軸心と直交する平面内に配設され、水平方向に等角度間隔で所定数(少なくとも4本、好ましくは8本、図示では8本(プロペラフレーム17a〜17h))設けられている。前記プロペラフレーム17の内端部は、前記主フレーム21を貫通すると共に、前記外フランジ22に固着されている。
前記主フレーム21を上下に貫通する様に前記シャフト6が設けられ、該シャフト6はジンバル25により鉛直となる様に支持され、該ジンバル25は防振部材26を介して前記内フランジ23に設けられている。
前記ジンバル25は、直交する2方向の揺動軸27a,27bを有し、前記ジンバル25は前記シャフト6を直交する2方向に揺動自在に支持する。前記防振部材26は、前記プロペラモータ18、前記プロペラ19が回転した際の振動を吸収し、振動が前記シャフト6に伝達されない様にしている。
傾斜センサ28は、前記シャフト6の下端に設けられ、前記飛行体15の飛行状態の変化により生じる前記シャフト6の傾きを検出する。又、前記傾斜センサ28は前記シャフト6が鉛直に対して傾斜した場合、鉛直線と前記シャフト6の軸心との角度を検出するものである。前記傾斜センサ28の検出結果は、後述する制御装置35(図4参照)に送信される。
前記方向角センサ10は前記飛行体15の向きを検出する。該飛行体15の向きとは、例えば、前記位置測定装置3が設置された位置を基準とした前記飛行体15の向きである。尚、本実施例では、前記方向角センサ10として、図2(B)に示されるものが用いられている。又、該方向角センサ10として、方位センサが用いられてもよい。
本実施例では、前記方向角センサ10が前記プリズム9と一体に設けられた場合を示している。カメラホルダ32(後述)の下面には、支持部材34を介して前記方向角センサ10が設けられている。更に、該方向角センサ10の下面に、前記プリズム9が設けられている。図2(B)を参照して前記方向角センサ10を略述する。
円筒状に形成したセンサケース29の外周面に沿って前記受光センサ30a,30b,30c,30dが設けられている。該受光センサ30a,30b,30c,30dは、円周を4等分した位置に配設され、各受光センサ30a,30b,30c,30dは前記位置測定装置3から発せられる測距光或は追尾光を受光した場合に、受光信号を発する様に構成されている。又、どの位置の前記受光センサ30a,30b,30c,30dが測距光或は追尾光を受光しているかを判断することで、前記飛行装置2の前記位置測定装置3に対する向きが検出される。
前記シャフト6の下端には制御ボックス31が設けられる。該制御ボックス31の内部には、前記制御装置35及びIMU((Inertial Measurement Unit):慣性計測装置)40(後述)が収納されている。前記制御ボックス31の下面には前記カメラホルダ32が設けられ、該カメラホルダ32に水平軸33を介して前記カメラ7が設けられている。該カメラ7は前記水平軸33を中心に回転可能であり、前記カメラホルダ32には前記水平軸33を介して前記カメラ7を回転する撮像方向変更モータ(図示せず)が設けられている。尚、前記カメラ7の基準姿勢は光軸が鉛直であり、前記撮像方向変更モータは前記制御装置35の指令に従って前記カメラ7を鉛直に対して所要角度回転させる。図2(A)では、分り易い様に、前記カメラ7の光軸は水平、図3では前記カメラ7の光軸は鉛直となっている。
該カメラ7としてはデジタルカメラが用いられ、静止画像が撮影できると共に、動画像も撮影できる様になっている。又、撮像素子として、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサ等が用いられ、各画素は撮像素子内での位置が特定できる様になっている。例えば、撮像素子のカメラの光軸が通過する点を原点とする直交座標によって、各画素の位置が特定される。
前記シャフト6の上端には、前記GPS装置8が設けられている。該GPS装置8の中心(該GPS装置8の基準位置)は前記シャフト6の軸心と一致しており、又前記プリズム9の光軸は前記シャフト6の軸心と平行となっている。
前記制御ボックス31、前記カメラホルダ32、前記カメラ7、前記プリズム9等は、バランスウェイトとして機能する。前記シャフト6に外力が作用しない状態、即ち、フリーの状態では、前記シャフト6は鉛直な状態となるように前記制御ボックス31、前記カメラホルダ32、前記カメラ7、前記プリズム9等の重量バランスが設定される。
前記シャフト6を鉛直姿勢に安定して保持する為、該シャフト6が急激に傾斜した場合(前記飛行体15の姿勢が急激に変化した場合)に、迅速に鉛直状態に復帰できる様、バランス補助部材を設けてもよい。尚、前記制御ボックス31、前記カメラホルダ32、前記カメラ7、前記プリズム9等のバランスウェイト機能で、前記シャフト6を鉛直に充分保持できる場合は、バランス補助部材を設けなくてもよい。
以下の例では、バランス補助部材としてダンパバネ16を設けた場合を説明する。
前記プロペラフレーム17と前記シャフト6との間には、前記ダンパバネ16が掛渡される。該ダンパバネ16は少なくとも3本、好ましくは4本設けられ、該ダンパバネ16は前記揺動軸27a,27bと平行に延出する前記プロペラフレーム17と、前記シャフト6との間に設けられることが好ましい。
又、4本の前記ダンパバネ16は、それぞれ前記シャフト6と前記プロペラフレーム17間に張力を作用させており、前記飛行体15が水平姿勢(前記プロペラフレーム17が水平な状態)で、張力のバランスにより前記シャフト6が鉛直状態を保つ様に設定されている。又、前記ダンパバネ16の張力、バネ定数は小さく設定されており、前記飛行体15が傾いた場合に、重力の作用で前記シャフト6が鉛直方向を向く様になっている。
前記ダンパバネ16は、前記シャフト6を鉛直な状態に付勢する付勢手段であり、該シャフト6が揺動、振動した場合に、迅速に鉛直状態に復帰させるものであり、振動を減衰させるものである。又、付勢手段としては、前記ダンパバネ16の他に、前記ジンバル25の前記揺動軸27a,27bが回転した場合に、復帰方向に回転させる捩りコイルバネとしてもよい。
前記飛行装置2の制御系を、図4を参照して説明する。
前記制御ボックス31の内部に前記制御装置35及び前記IMU40が収納される。
該制御装置35は、主に制御演算部36、クロック信号発生部37、記憶部38、飛行撮像制御部39、飛行制御部41、ジャイロユニット42、モータドライバ部43、前記飛行体通信部11を具備している。
前記カメラ7の撮影は、前記飛行撮像制御部39によって制御され、又前記カメラ7によって撮影された画像は、画像データとして前記飛行撮像制御部39に入力される。
前記記憶部38には、プログラム格納部とデータ格納部とが形成される。該プログラム格納部には前記カメラ7の撮影を制御する為の撮影プログラム、前記プロペラモータ18を駆動制御し、後述する飛行制御信号に基づき飛行を制御する為の飛行制御プログラム、前記IMU40の検出結果を基に前記飛行装置2の位置をリアルタイムで演算する飛行装置位置演算プログラム、演算された位置に基づき前記飛行体15を所定位置迄復帰させる復帰プログラム、取得したデータを前記地上基地4に送信し、又前記遠隔操縦機5からの飛行指令等を受信する為の通信プログラム、前記カメラ7で取得したデータを処理して格納する為のデータ処理プログラム、前記カメラ7で取得された動画像データを用いてトラッキングする為の画像トラッキングプログラム、飛行計画を作成する飛行計画作成プログラム等のプログラムが格納されている。
前記データ格納部には、自律飛行が実行される為の飛行計画データ、前記カメラ7で取得した静止画像データ、動画像データ、飛行中に前記GPS装置8で測定された前記飛行装置2の位置データ、前記遠隔操縦機5から送信される前記位置測定装置3で測定した前記飛行装置2の位置データ、前記IMU40により測定された移動距離データ、前記飛行装置2の位置データ、更に前記静止画像データ、前記動画像データを取得した際の時刻、位置データ等が格納される。
前記飛行撮像制御部39は、前記制御演算部36から発せられる制御信号に基づき、前記カメラ7の撮像に関する制御を行う。制御の態様としては、測定対象物に応じたカメラ角度の選定、前記カメラ7の撮像の制御、動画像を取得中、所定時間間隔で静止画像を取得する制御等である。又、前記カメラ7については、前記クロック信号発生部37から発せられるクロック信号に基づき撮影時期が制御され、或は同期制御される。
前記方向角センサ10は前記飛行体15の向きを検出し、検出結果を前記制御演算部36に入力し、前記ジャイロユニット42は前記飛行体15の飛行状態での姿勢を検出し、検出結果を前記制御演算部36に入力する。
前記飛行体通信部11は、前記遠隔操縦機5で前記飛行体15の飛行が遠隔操作される場合に、前記遠隔操縦機5からの飛行制御信号を受信し、該飛行制御信号を前記制御演算部36に入力する。或は、前記カメラ7で撮影した画像データを、撮影した時刻と共に地上側の前記地上基地4に送信する等の機能を有する。
前記制御演算部36は、前記位置測定装置3で測定した位置座標をGPS座標に変換し、前記飛行装置2のGPS座標として取得する。更に、前記制御演算部36は、前記GPS装置8で測定した前記飛行装置2のGPS座標を取得する。得られたGPS座標と前記遠隔操縦機5から送信される飛行指令に基づき飛行制御信号を演算し、或は前記記憶部38に格納された飛行計画データと前記GPS座標に基づき飛行制御信号を演算し、前記飛行制御部41に出力する。
前記位置測定装置3の測定結果に基づき得られるGPS座標、及び前記GPS装置8で測定したGPS座標のどちらを利用するかについては、原則として取得できたGPS座標が利用される。例えば、前記飛行装置2と前記位置測定装置3との間に障害物が存在し、該位置測定装置3により前記飛行装置2の追尾ができない場合は、前記位置測定装置3からの位置データがなくなるので、前記GPS装置8により測定したGPS座標が用いられる。又、前記IMU40により測定された位置データは、前記GPS装置8又は前記位置測定装置3によって取得された位置データに基づき、リアルタイムで或は所定時間間隔で更新される。
又、建物等で人工衛星からの電波が遮断される様な環境では、前記位置測定装置3の測定結果に基づき得られるGPS座標が利用される。尚、前記飛行装置2を飛行させる位置情報として、GPS座標から求めた絶対座標を用いてもよい。
更に、前記飛行装置2が人工衛星からの電波が遮断される橋梁の下等に位置し、且つ前記飛行装置2と前記位置測定装置3との間に障害物が存在する場合、即ち該位置測定装置3と前記GPS装置8のどちらからもGPS座標が得られない場合がある。この場合には、GPS座標の取得が途切れた位置、例えば前記位置測定装置3が前記飛行装置2を追尾不能となった位置からの移動距離、移動方向(即ち前記飛行装置2の現在位置)を前記IMU40が計測し、計測結果に基づき前記制御演算部36が前記飛行装置2をGPS座標が取得可能な位置迄復帰させる為の飛行制御信号を出力する。ここで、復帰させる迄の前記飛行装置2の位置情報は、前記IMU40により取得する。
尚、前記位置測定装置3からの測定結果、前記GPS装置8による測定結果の両方が得られる場合は、予め利用する優先順位を定めてもよい。尚、測定精度は前記位置測定装置3の方がよいので、精度を優先する場合は、前記位置測定装置3による測定結果を優先することが好ましい。
又、前記制御演算部36は、前記記憶部38に格納された所要のプログラムに基づき、画像を取得する為に必要な制御を実行する。
前記飛行制御部41は、前記制御演算部36から飛行制御信号が入力されると、該飛行制御信号に基づき、前記モータドライバ部43を介して前記プロペラモータ18a〜18hを所要の状態に駆動する。
次に、図5を参照して前記位置測定装置3について説明する。
該位置測定装置3は、主に測定制御装置45、カメラ部46(図1参照)、測距部47、水平角検出器48、鉛直角検出器49、水平回転駆動部51、鉛直回転駆動部52、表示部53、操作部54等を具備する。
前記カメラ部46としては、デジタルカメラが用いられ、静止画像が撮影できると共に、動画像も撮影できる様になっている。又、撮像素子として、画素の集合体であるCCD、CMOSセンサ等が用いられ、各画素は撮像素子内での位置が特定できる様になっている。又、前記カメラ部46は、光学的或はデジタル処理或は光学的、デジタル処理の両方で、ズーム可能なカメラとなっている。前記カメラ部46により撮像された動画像又は静止画像の中から測定対象物を検出し、該測定対象物を視準(画像追尾)する様になっている。
前記測距部47は前記カメラ部46を介して測距光を射出し、更に該カメラ部46を介して前記測定対象物からの反射光を受光し、測距を行うものである。又、前記測距部47は、測定モードとしてノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、更にプリズム測定を行いつつ前記測定対象物(プリズム)を追尾する追尾測定モードの3モードを有し、3モードのいずれかで前記測定対象物迄の距離を測定可能となっている。尚、追尾測定モードは、前記測距光の他に前記カメラ部46を介して追尾光が射出される。
前記水平角検出器48は、前記カメラ部46の視準方向の内、水平角を検出する。又、前記鉛直角検出器49は、前記カメラ部46の視準方向の内、鉛直角を検出する。前記水平角検出器48、前記鉛直角検出器49の検出結果は、前記測定制御装置45に入力される。
前記表示部53は、例えばタッチパネルであり、又タッチした状態で指をスライドさせることで視準位置の調整が行える様になっている。又、前記操作部54は、測定モードの変更、測定条件の設定、視準位置の微調整等の各種操作が行える様になっている。又、前記表示部53は前記操作部54の機能を兼ねることもできる。
前記測定制御装置45は、主に演算処理部55、撮像制御部56、測距制御部57、位置測定記憶部58、位置測定通信部59、追尾制御部60、モータ駆動制御部61、画像処理部62等を有する。
前記撮像制御部56は、前記演算処理部55からの指令に基づき前記カメラ部46の倍率、撮影のタイミング等を設定する。又、前記撮像制御部56は、設定された倍率や撮影のタイミング等に従って前記カメラ部46を制御する。
前記測距制御部57は、前記演算処理部55からの測定モード選択指令に基づき、前記測距部47がノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、追尾測定モードのいずれかのモードで測定を実行するかを決定する。又、前記測距制御部57は、決定された測定モードに従って前記測距部47による測定を制御する。ここで、ノンプリズム測定モードでは、前記位置測定装置3は橋梁やダム等の構築物を測定対象物として測定を実行する。追尾測定モードでは、測定対象物が前記プリズム9となり、前記飛行装置2を追尾しつつ該飛行装置2の位置を測定する。
前記位置測定記憶部58には、ノンプリズム測定モード、プリズム測定モード、追尾測定モードの各測定モードにより測距を行う為の測定プログラム、追尾光を受光して追尾を行う追尾プログラム、画像処理で追尾を行う画像追尾プログラム、前記飛行装置2及び前記地上基地4と通信を行う為の通信プログラム等のプログラム等が格納されている。又、前記位置測定記憶部58には、測定対象物の測定結果(測距、測角)、前記カメラ部46で取得された画像が格納される様になっている。
前記位置測定通信部59は、追尾測定モードで測定対象物(前記プリズム9)を測定した結果(前記プリズム9の斜距離、鉛直角、水平角)をリアルタイムで前記地上基地4に送信する。尚、プリズム追尾と、撮像画像から測定対象物を検出し追尾を行う画像追尾とは、同時に並行して行われ、プリズム追尾が優先して実行される。
前記追尾制御部60は、前記プリズム9に反射された追尾光を受光した際の撮像素子上での受光位置を基に撮像素子の中心と前記プリズム9の受光位置との差を演算する。又、前記追尾制御部60は、演算結果を基に撮像素子の中心と前記プリズム9の受光位置との偏差を0とする様制御信号を前記モータ駆動制御部61に送信する。
前記モータ駆動制御部61は、前記カメラ部46に測定対象物を視準させる為に、或は前記追尾制御部60からの制御信号を基に前記カメラ部46に測定対象物を追尾させる為に、前記水平回転駆動部51、前記鉛直回転駆動部52を制御し、前記カメラ部46を鉛直方向に、或は水平方向に回転させる。
又、前記画像処理部62は、例えば前記カメラ部46で取得された画像から特徴点やエッジを抽出する等、所定の画像処理を行う。画像処理により、測定対象物が検出され、該測定対象物の撮像素子中の位置と、前記水平角検出器48、前記鉛直角検出器49との検出結果に基づき、測定対象物の方向角が演算される。画像追尾が実行される場合は、この演算された方向角が用いられる。
図6は、前記地上基地4の概略構成、及び前記飛行装置2、前記位置測定装置3、前記地上基地4、前記遠隔操縦機5の関連を示す図である。
前記地上基地4は、演算機能を有する制御装置63、基地記憶部64、更に基地通信部65を有する。
前記制御装置63は、クロック信号発生部(図示せず)を有している。前記制御装置63は、前記遠隔操縦機5を介して受信した画像データ、シャッタ時刻データ、座標データをそれぞれクロック信号に関連付け、該クロック信号に基づき時系列のデータとして処理し、前記基地記憶部64に保存する。又、前記制御装置63は、概略飛行計画(後述)を作成し、該概略飛行計画データを基に詳細飛行計画データ(後述)を作成する。
前記基地記憶部64には、インターネット等から得られる地図情報、或は前記カメラ部46で取得された画像に基づき飛行範囲や飛行ルート等を設定し、概略の飛行計画を作成する概略飛行計画作成プログラム、前記位置測定装置3によって得られる飛行範囲の測定結果を基に概略飛行計画を修正し、詳細な飛行計画を作成する詳細飛行計画作成プログラム、詳細飛行計画に基づき前記飛行装置2の飛行を制御する為の飛行制御データを作成する為の飛行制御プログラム、前記遠隔操縦機5と前記位置測定装置3間でデータ通信を行う通信プログラム、前記飛行装置2から送信される2位置以上の該飛行装置2のGPS座標に基づき、前記位置測定装置3の設置位置のGPS座標を演算するプログラム、前記位置測定装置3の測定結果(前記プリズム9の斜距離、鉛直角、水平角)を、前記位置測定装置3の設置位置のGPS座標に基づきGPS座標に変換するプログラム等の各種プログラムが格納される。
尚、前記位置測定装置3の測定結果を、該位置測定装置3の設置位置のGPS座標に基づきGPS座標に変換する作業については、前記位置測定装置3の測定結果をそのまま前記飛行装置2に送信し、該飛行装置2の前記制御装置35で実行させてもよい。
更に、前記飛行装置2で取得した画像、前記位置測定装置3で測定した測定データ(座標データ)、画像を取得した時の時刻、位置座標、詳細飛行計画データ等の各種データが前記基地記憶部64に保存される。
前記基地通信部65は、前記地上基地4と前記遠隔操縦機5との間で有線通信或は無線通信を行う。
尚、詳細飛行計画データが前記遠隔操縦機5又は前記基地通信部65を介して、前記飛行装置2に送信され、詳細飛行計画データは前記記憶部38に保存される。前記飛行制御部41は前記飛行装置2を詳細飛行計画データに基づき自律飛行させる。或は、詳細飛行計画データを前記地上基地4の前記基地記憶部64に保存し、詳細飛行計画を基に作成された飛行制御信号を前記飛行装置2に送信することで、該飛行装置2が自律飛行する様にしてもよい。
橋梁やダム等の構築物の点検作業を行う場合、例えば0.2mm程度の微小なクラックを検出する必要がある。従って、該クラックを前記飛行装置2により撮影した画像から検出する為には、該飛行装置2を測定対象物に接近させた状態で飛行させ、撮影距離(オフセット)を2m〜10m程度として画像を取得する必要がある。
先ず、既存の地図情報や写真や設計図等を基に測定範囲が設定され、地図上で飛行ルートが設定される。又、飛行ルートの設定では、例えば航空写真を撮影する場合では、オーバラップ率、撮影ポイント等が考慮される。以上により、飛行条件、撮影条件等を含む飛行計画(概略飛行計画)が作成される。該概略飛行計画は、地図等2次元の情報に基づいており、2次元の飛行計画データであり、測定対象物表面の凹凸、傾斜、湾曲には対応していない。従って、前記飛行装置2を自律飛行させた場合、撮影距離が変動することで、クラックを検出できなくなる虞れがある。又、単に前記飛行装置2を測定対象物に接近させた状態で飛行させた場合、前記飛行装置2と測定対象物とが接触する虞れがある。
前記飛行装置2と測定対象物との撮影距離を適正に維持しつつ、前記飛行装置2を飛行させる為には、測定対象物の表面の凹凸に対応した3次元の飛行計画(詳細飛行計画)を作成する必要がある。
以下、図7のフローチャート及び図8(A)、図8(B)、図9を参照し、前記飛行装置2を測定対象物に接近させた状態で飛行させる為の、詳細飛行計画の作成処理について説明する。尚、詳細飛行計画は、橋梁やダム等の構築物の点検作業に先立って、予め作成される様になっている。
STEP:01 先ず始めに、橋梁やダム等の構築物を測定対象物とし、図面、或は写真に基づき測定範囲68の設定に必要な測定点を決定する。測定点としては、図8(A)に示される様に、測定対象物66(図示では橋脚の上部)の角点67等であり、測定点によって閉空間が形成される様にする。
前記位置測定装置3を前記測定対象物66に対して所定の位置、例えば既知点に設置する。前記位置測定装置3により決定された測定点をノンプリズム測定モードにて測定する。測定結果と写真や既知の地図情報を基に前記測定範囲68を設定する。該測定範囲68に基づき前記飛行装置2を飛行させる為の飛行範囲を設定する。該飛行範囲は、前記測定範囲68を充分にカバーする様に設定され、好ましくは該測定範囲68より大きく設定される。
尚、本実施例では、図8(A)に示される様に、橋脚の上部を前記測定対象物66とし、前記カメラ部46で取得された写真から前記測定対象物66の前記角点67を検出し、該角点67で囲まれた部分を前記測定範囲68として設定してもよい。又、図8(A)では、前記測定範囲68と飛行範囲とを同一に設定した場合を示している。
STEP:02 次に、前記位置測定装置3により該測定範囲68内での概略飛行ルート69(図8(B)参照)を設定する。該概略飛行ルート69は進行方向で隣接する画像間及び隣接する前記概略飛行ルート69間のそれぞれのオーバラップ率、前記測定対象物66に対する撮影距離を考慮して設定される。又、前記概略飛行ルート69上に撮影位置(撮影ポイント)等を設定し、概略飛行計画を作成する。尚、前記概略飛行ルート69は、図面上で設定したものを撮像画像上に転写してもよく、或は撮像画像上で直接設定してもよい。又、概略飛行計画の作成は、前記操作部54を介し手動で行ってもよいし、前記位置測定記憶部58に格納されたプログラムに基づいて自動で作成される様にしてもよい。
ここで、前記飛行装置2による撮影位置は、該飛行装置2の移動速度とインターバルタイマー等を用いた撮影のタイミングにより設定してもよいし、前記位置測定装置3や前記GPS装置8により測定された座標データを用いて設定してもよい。
STEP:03 概略飛行計画を作成した後、前記位置測定装置3により設定した前記概略飛行ルート69を、ノンプリズム測定モードでスキャン測定する。該概略飛行ルート69をスキャン測定することで、該概略飛行ルート69上の前記測定対象物66表面の3次元座標(GPS座標)が測定される。更に、3次元座標に基づき概略飛行ルート69上の凹凸、湾曲、傾斜が測定できる。又、前記位置測定装置3による前記概略飛行ルート69のスキャン測定の過程で測定値が得られなかった部分、即ち前記概略飛行ルート69のうち障害物により死角となっている部分(死角部分)を検出する。
STEP:04 前記位置測定装置3による前記概略飛行ルート69のスキャン結果に基づき、前記測定制御装置45は概略飛行計画を修正する。即ち、前記測定対象物66表面(測定面)の凹凸、湾曲、傾斜に対応した、前記飛行装置2と前記測定対象物66の表面との距離が一定となる様、該測定対象物66に対する近接離反方向の移動を含む詳細飛行ルートを演算する。更に、前記測定制御装置45は、概略飛行計画から、死角部分を削除し、死角となる部分のない前記詳細飛行ルートを作成する。
尚、撮影ポイントの設定、オーバラップ率の設定、前記測定対象物66と前記飛行装置2間の距離の設定は、詳細飛行ルートに基づき設定してもよい。
上記した様に、前記測定対象物66に対する近接離反方向の移動を含む詳細飛行ルートを作成し、又死角部分を削除した該詳細飛行ルートを作成する。このことで、図9に示される様に、前記測定対象物66の表面に対して一定距離を保った、3次元の詳細飛行ルート71が作成される。更に、該詳細飛行ルート71に基づき概略飛行計画が修正される。例えば、撮影ポイントの位置の変更、撮影ポイントの数の増減、撮影ポイントでの前記飛行装置2の向きの修正等である。概略飛行計画が修正されることで、詳細飛行計画が作成される。
衛星からの電波の受信ができる場合は、前記GPS装置8で取得した位置情報に基づき設定された前記詳細飛行ルート71に基づき前記飛行装置2が自律飛行する。
次に、衛星からの電波が受信できない場所で、詳細飛行計画を基に前記飛行装置2を自律飛行させる場合について説明する。尚、詳細飛行計画は事前に前記飛行装置2に設定されている。
該飛行装置2が前記位置測定装置3により追尾された状態で、前記制御演算部36が、前記記憶部38に格納された詳細飛行計画から前記詳細飛行ルート71を読込み、更に前記位置測定装置3は測定結果を前記飛行装置2に送信する。該飛行装置2は前記位置測定装置3の測定結果を受信することで、前記飛行装置2の現在の位置情報(GPS座標)を取得する。
尚、前記位置測定装置3が設置されている位置の座標が不明(既知点でない場合)、衛星からの電波を受信できる空間で前記飛行装置2を飛行させ、前記GPS装置8により2点のGPS座標を取得する。更に、該2点それぞれの前記飛行装置2の位置を前記位置測定装置3で測定することで、後方交会法により該位置測定装置3の設置位置のGPS座標、絶対座標が取得できる。
次に、前記詳細飛行ルート71と前記飛行装置2の現在位置とを比較し、現在位置が前記詳細飛行ルート71上を移動する様に前記飛行制御部41に飛行制御信号を発し、該飛行制御部41は前記飛行制御信号に基づき前記モータドライバ部43を介して前記プロペラモータ18の駆動を制御する。
次に、撮影ポイント(目標位置)を前記記憶部38から読込み、前記制御演算部36は目標位置と現在位置とが一致したかどうかを判断する。偏差が0又は許容範囲となった場合、前記カメラ7による撮影等所要の作業が実行される。所要の作業が完了すると、詳細飛行計画から次の撮影ポイント(目標位置)が読込まれ、順次目標位置と現在位置とが一致する様前記飛行装置2の飛行を制御する。
上記した処理は、前記飛行装置2が詳細飛行計画の前記詳細飛行ルート71を飛行し終える迄繰返され、予定された作業が終了すると、前記飛行装置2は元の待機位置に帰還する。
尚、前記飛行装置2の自律飛行中、風等の影響により、該飛行装置2が前記詳細飛行ルート71上から外れることがある。この場合、特に前記飛行装置2が前記測定対象物66に接近した場合、前記飛行装置2と前記測定対象物66との接触を避ける為、前記飛行装置2を早期に前記詳細飛行ルート71上へと復帰させる必要がある。
本実施例では、前記飛行装置2の前記詳細飛行ルート71上から前記測定対象物66側への離脱を前記位置測定装置3が検知すると、該位置測定装置3が警告音を発する様にしている。警告音が発せられると、作業者は、前記地上基地4に前記飛行装置2を前記詳細飛行ルート71上へと復帰させる為の復帰処理を実行させる。復帰処理としては、例えば、前記飛行装置2を前記詳細飛行ルート71上を最初に外れた地点迄復帰させる等である。
復帰処理が実行されることで、前記飛行装置2と前記測定対象物66との接触が防止される。
尚、警告音に基づき作業者が前記地上基地4に復帰処理を実行させるのではなく、前記飛行装置2が前記測定対象物66へと接近した時点で、前記位置測定装置3が前記地上基地4へと警告信号を発し、該地上基地4が警告信号に基づき自動で復帰処理を実行する様にしてもよい。
上述の様に、本実施例では、地図情報や写真等に基づき作成された概略飛行計画の2次元の前記概略飛行ルート69を前記位置測定装置3によりスキャン測定し、前記概略飛行ルート69に於ける前記測定対象物66表面(測定面)の凹凸、湾曲、傾斜を測定し、該測定面に対応する近接離反方向の移動を含む3次元の前記詳細飛行ルート71を作成している。
従って、前記測定対象物66の測定面の凹凸、湾曲、傾斜に拘わらず、該測定面と前記飛行装置2との距離(オフセット)を一定とすることができるので、該飛行装置2を前記測定対象物66の表面に接近させた状態での飛行が可能となり、微小なクラックを検出可能な至近距離から前記測定対象物66の表面の画像を撮影することができる。これにより、クラックの検出精度を向上させることができる。
又、詳細飛行計画では、前記概略飛行ルート69を前記位置測定装置3でスキャン測定した際に、前記測定対象物66をスキャンできなかった部分、即ち障害物等により死角となっている部分を検出し、詳細飛行計画から死角部分に対応する前記詳細飛行ルート71の部分を削除することで、死角部分のない前記詳細飛行ルート71を作成している。
従って、前記飛行装置2の自律飛行中、前記位置測定装置3による追尾が途切れることがないので、前記位置測定装置3による位置情報が得られなくなる状態が回避でき、前記飛行装置2は安定、確実な自律飛行を行うことができる。
尚、本実施例では、測定装置として、前記飛行装置2に前記カメラ7を搭載し、該カメラ7により測定対象物の画像を取得する様にしているが、前記飛行装置2に前記カメラ7の代わりに他の測定装置を搭載してもよい。例えば、測定装置としてレーザスキャナを前記飛行装置2に搭載し、該飛行装置2が前記詳細飛行ルート71に沿って飛行中、前記レーザスキャナにより測定対象物の点群データを取得させる様にしてもよい。或は、測定装置が地質の調査、作物の生長状態を調査する為のスペクトルカメラであってもよい。
更に、前記飛行装置2の前記カメラ7で撮影された画像を基に、前記測定対象物66の写真測量を行ってもよいのは言う迄もない。この場合、前記カメラ7は測定装置として機能する。