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JP6936757B2 - 電動パワーステアリング装置及び電動パワーステアリング装置の管理システム - Google Patents

電動パワーステアリング装置及び電動パワーステアリング装置の管理システム Download PDF

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JP6936757B2 JP2018062734A JP2018062734A JP6936757B2 JP 6936757 B2 JP6936757 B2 JP 6936757B2 JP 2018062734 A JP2018062734 A JP 2018062734A JP 2018062734 A JP2018062734 A JP 2018062734A JP 6936757 B2 JP6936757 B2 JP 6936757B2
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Description

本発明は、電動パワーステアリング装置、及び電動パワーステアリング装置の管理システムに関する。
車両用のステアリング装置として、特許文献1には、操舵補助トルクを発生する電動モータを備える電動パワーステアリング装置が開示されている。この電動パワーステアリング装置は、トーションバーに加えられるトルクを検出するトルクセンサと、電動モータの回転角を検出する回転角センサと、を備えており、電動モータは、トルクセンサ及び回転角センサにより検出されるトルク及び回転角に応じて制御される。電動モータが発生するトルクは、ウォームギア及びウォームホイールを介してピニオン軸に伝達され、更に、ピニオン軸のピニオン及びラックシャフトのラックを介してラックシャフトに伝達される。これにより、ラックシャフトがその軸方向に移動し、ドライバの操舵に応じた適切な操舵補助が実現される。
特開2016−179748号公報
電動パワーステアリング装置において、ウォームギア、ウォームホイール、ピニオン、ラック等のトルクを伝達する伝達部は、トルクの伝達により摩耗等の劣化を引き起こす。伝達部の劣化に伴って伝達部の粘性抵抗や等価抵抗等の機械的特性が変化するので、初期の操舵フィーリングを維持するためには、伝達部の劣化度に応じて、電動モータを制御するための制御パラメータを変化させる必要がある。
また、伝達部は、著しく劣化した場合には破損するおそれがある。そのため、伝達部の劣化度に基づいて、電動パワーステアリング装置の交換時期を管理することが望ましい。
このような理由から、電動パワーステアリング装置において、伝達部の劣化度を把握することが要求されている。
伝達部の劣化度は、伝達部に作用するトルク、伝達部の変位速度、及び伝達部の変位量等の伝達部の状態量から算出されることがわかっている。そのため、伝達部の劣化度を把握する方法として、これらの状態量を検出するセンサを電動パワーステアリング装置に設けることが考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示される電動パワーステアリング装置にこれらの状態量を検出するセンサを設けた場合には、電動モータの制御のためのトルクセンサ及び回転角センサとは別のセンサを電動パワーステアリング装置に設けることになる。そのため、センサの個数が増え、電動パワーステアリング装置のコストが増加する。
本発明は、電動パワーステアリング装置における伝達部の劣化度を、安価な構成で把握することを目的とする。
第1の発明は、ステアリングシャフトと、トーションバーと、トルク検出部と、電動モータと、回転角検出部と、電動モータを制御する制御部と、ステアリングシャフトに作用するトルク及び電動モータのトルクをラックシャフトに伝達する伝達部と、トルク検出部により検出される操舵トルク、及び回転角検出部により検出されるモータ回転角に基づいて、伝達部の状態量を推定する推定部と、推定部により推定された状態量に基づいて、伝達部の劣化度を算出する劣化度算出部と、を備える。
第1の発明では、制御部による電動モータの制御のために検出される操舵トルク及びモータ回転角に基づいて、伝達部の状態量が推定される。そのため、電動モータの制御のための検出部と、伝達部の劣化度の算出のための検出部と、を共通化することができる。したがって、電動パワーステアリング装置の検出部の増加を防ぐことができる。
第2の発明は、舵角検出部を更に備え、推定部は、トルク検出部により検出される操舵トルク、回転角検出部により検出されるモータ回転角、及び前記舵角検出部により検出される舵角に基づいて伝達部の状態量を推定する。
第2の発明では、3つの検出量が推定部で用いられるため、2つの検出量のみが推定部で用いられる場合と比較して、状態量の推定に用いられるモデルを詳細に構築することができる。したがって、伝達部の状態量をより正確に推定することができ、伝達部の劣化度をより正確に把握することができる。
第3の発明は、推定部が、伝達部におけるトルクを状態量として推定し、劣化度算出部は、推定されたトルクに基づいて荷重の最大値を算出し、伝達部の劣化度を算出する。
第3の発明では、一時的な過大な荷重を受けることで生じる過大荷重劣化度を把握することができる。
第4の発明は、推定部が、伝達部の変位速度及び変位量を状態量として更に推定し、劣化度算出部は、繰返し回数と許容繰返し回数とを算出し、算出した繰返し回数及び許容繰返し回数に基づいて伝達部の劣化度を算出する。
第4の発明では、荷重を繰返し受けることで生じる繰返し荷重劣化度を把握することができる。
第5の発明は、制御部が、劣化度算出部により算出された劣化度に基づいて、電動モータを制御するための制御パラメータを変化させる。
第5の発明では、電動モータは、劣化度の変化に伴う伝達部の負荷の変化を見込んでトルクを発生するように制御される。したがって、操舵フィーリングを維持することができる。
第6の発明は、算出された劣化度に基づいて、電動パワーステアリング装置の交換の要否を判定する判定部と、判定部が、電動パワーステアリング装置の交換が必要であると判定した場合に、電動パワーステアリング装置の交換時期が来たことを報知する報知部と、を備える。
第6の発明では、電動パワーステアリング装置の交換の要否が、算出された劣化度に基づいて、判定される。したがって、電動パワーステアリング装置の交換時期をより適切に管理することができる。
本発明によれば、電動パワーステアリング装置における伝達部の劣化度を、安価な構成で把握することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置及び管理システムの構成図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置及び管理システムのブロック図である。 図3は、劣化度算出部の詳細を示すブロック図である。 図4は、過大荷重劣化度算出部によって行われる処理を説明するためのフロー図である。 図5は、繰返し荷重劣化度算出部によって行われる処理を説明するためのフロー図である。 図6は、判定部によって行われる処理を説明するためのフロー図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置及び管理システムの構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず、図1から図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る電動パワーステアリング装置100、及び電動パワーステアリング装置100の管理システム1000について説明する。電動パワーステアリング装置100は、車両に搭載され、ドライバによるステアリングホイール10の操作(以下、「ステアリング操作」と称する)を補助する。管理システム1000は、電動パワーステアリング装置100の交換時期を管理する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール10に連結されるステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20の回転に伴って車輪1を転舵するラックシャフト30と、を備えている。ラックシャフト30は、ナックルアーム31を介して車輪1に連結されており、車輪1は、ラックシャフト30の変位によって転舵される。
ステアリングシャフト20は、運転者によるステアリング操作に伴って回転する入力シャフト21と、ラックシャフト30を変位させる出力シャフト22と、入力シャフト21と出力シャフト22とを連結するトーションバー23と、により構成される。
出力シャフト22とラックシャフト30とは、第1伝達部41を介して互いに連結されている。第1伝達部41は、出力シャフト22に設けられるピニオンギア41aと、ラックシャフト30に設けられるラックギア41bと、からなる。ピニオンギア41aとラックギア41bとは互いに噛み合っており、出力シャフト22のトルクは、ピニオンギア41a及びラックギア41bを介してラックシャフト30の軸方向の荷重に変換されてラックシャフト30に伝達される。これにより、ラックシャフト30は、伝達されるトルクによりその軸方向に変位し、車輪1を転舵する。
また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリング操作に応じて駆動される電動モータ50を更に備える。電動モータ50の出力軸は、第2伝達部42を介してステアリングシャフト20の出力シャフト22に連結されている。
第2伝達部42は、電動モータ50の出力軸に設けられるウォームシャフト42aと、出力シャフト22に設けられるウォームホイール42bと、からなる。ウォームシャフト42aとウォームホイール42bとは互いに噛み合っており、電動モータ50のトルクは、ウォームシャフト42a及びウォームホイール42bを通じて出力シャフト22に伝達される。電動モータ50から出力シャフト22に伝達されたトルクは、ピニオンギア41a及びラックギア41bを通じてラックシャフト30に更に伝達される。
このように、電動パワーステアリング装置100は、電動モータ50のトルクを出力シャフト22を通じてラックシャフト30に伝達することによってステアリング操作を補助するいわゆるコラムタイプの電動パワーステアリング装置である。
電動モータ50は、制御部としてのコントローラ60によって制御される。コントローラ60は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUにより実行される制御プログラム等を記憶するROM(Read−Only Memory)と、CPUの演算結果等を記憶するRAM(random access memory)と、を含むマイクロコンピュータで構成される。コントローラ60は、単一のマイクロコンピュータで構成されていてもよいし、複数のマイクロコンピュータで構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置100は、トーションバー23に作用する操舵トルクを検出するトルク検出部としてのトルクセンサ51と、電動モータ50の回転角を検出する回転角検出部としての回転角センサ52と、ステアリングホイール10の回転角(以下、「舵角」とも称する)を検出する舵角検出部としての舵角センサ53と、を更に備える。トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53から出力される信号は、コントローラ60に入力される。
図2に示すように、コントローラ60は、補助トルク算出部60aと、補正部60bと、電流目標値算出部60cと、を備えている。補助トルク算出部60aは、トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53から入力される信号に基づいて、ステアリング操作の補助に必要なトルク(以下、「補助トルク」と称する)を算出する。
補正部60bは、電動モータ50を制御するための制御パラメータに基づいて、算出された補助トルクを補正する。制御パラメータは、第1及び第2伝達部41,42の機械的特性(例えばフリクション)により決定される。したがって、第1及び第2伝達部41,42における負荷を見込んで電動モータ50を駆動させることができる。
電流目標値算出部60cは、補正された補助トルクに基づいて、電動モータ50に供給される電流の大きさの目標値を算出する。算出された電流目標値は、電流供給部61に入力され、電流供給部61から電動モータ50に、電流目標値に基づいた大きさの電流が供給される。
このように、コントローラ60は、トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53によりそれぞれ検出される操舵トルク、モータ回転角及び舵角に応じて電動モータ50を制御する。したがって、所望の操舵フィーリングでのステアリング操作が可能になる。
ところで、第1及び第2伝達部41,42の粘性抵抗や等価抵抗等の機械的特性は、第1及び第2伝達部41,42の劣化に伴って変化する。そのため、所望の操舵フィーリングを維持するためには、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を把握し、劣化度に基づいて、補正部60bにおける制御パラメータを変更する必要がある。
また、第1及び第2伝達部41,42が著しく劣化した場合には、電動パワーステアリング装置100の交換が望ましい。電動パワーステアリング装置100の交換時期を適切に管理するためには、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を把握する必要がある。
電動パワーステアリング装置100では、後述の構成により第1及び第2伝達部41,42の劣化度を把握することによって、所望の操舵フィーリングを維持すると共に、電動パワーステアリング装置100の交換時期を管理している。以下、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を把握するための構成、操舵フィーリングを維持するための構成、及び電動パワーステアリング装置100の交換時期を管理するための構成について、詳述する。
まず、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を把握するための構成について、図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置100は、第1及び第2伝達部41,42の状態量を推定する推定部71と、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を算出する劣化度算出部72と、を備えている。推定部71及び劣化度算出部72は、コントローラ60と同様に、マイクロコンピュータで構成される。推定部71及び劣化度算出部72は、コントローラ60を構成するマイクロコンピュータで構成されていてもよいし、コントローラ60を構成するマイクロコンピュータとは別のマイクロコンピュータで構成されていてもよい。
図2に示すように、推定部71は、トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53から入力される信号に基づいて、第1及び第2伝達部41,42に作用するトルク、第1及び第2伝達部41,42の変位速度及び変位量を状態量として推定する。これらのトルク、変位速度及び変位量を状態量として推定する方法については、後述する。
劣化度算出部72は、推定されたトルク、変位速度及び変位量に基づいて、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を算出する。第1及び第2伝達部41,42の劣化には、一時的な過大な荷重を受けることで生じる過大荷重劣化と、荷重を繰り返し受けることで生じる繰返し荷重劣化と、があり、劣化度算出部72は、過大荷重劣化度と繰返し荷重劣化度との両方を算出する。
具体的には、劣化度算出部72は、図3に示すように、過大荷重劣化度を算出する過大荷重劣化度算出部72aと、繰返し荷重劣化度を算出する繰返し荷重劣化度算出部72bと、を備えている。以下では、過大荷重劣化度算出部72a及び繰返し荷重劣化度算出部72bによって行われる処理について、詳述する。
ここでは、第1伝達部41のピニオンギア41aの劣化度を算出する処理について説明する。第1伝達部41のラックギア41b、並びに第2伝達部42のウォームシャフト42a及びウォームホイール42bの劣化度を算出する処理については、ピニオンギア41aの劣化度を算出する処理と略同じであるため、省略する。
まず、図4を参照して、過大荷重劣化度算出部72aによって行われる処理について説明する。
ステップS401では、推定部71により推定されたトルクを取得する。ステップS402では、取得されたトルクに基づいて、ピニオンギア41aの歯に作用する荷重を算出する。具体的には、取得されたトルクをピニオンギア41aの基準ピッチ円の半径で除すことによって、歯に作用する荷重を算出する。算出された荷重は、基準ピッチ円上の円周力に相当する。基準ピッチ円の直径は、ピニオンギア41aの仕様によって定まる値であり、既知である。
ステップS403では、算出された荷重のデータを、不図示の記憶部に記憶する。記憶部には、過去に算出された荷重のデータが記憶されており、ステップS403では、算出された荷重のデータが記憶部に更に記憶される。
ステップS404では、記憶部に記憶された複数の荷重のデータに基づいて、ピニオンギア41aの歯に作用した荷重の最大値を算出する。算出された荷重の最大値は、ピニオンギア41aの歯に一時的に加えられる過大な荷重に相当し、例えば、車輪1が縁石等の障害物に乗り上げて衝撃を受けたときにピニオンギア41aに加えられる荷重である。
ステップS405では、算出された荷重の最大値に基づいて、ピニオンギア41aの過大荷重劣化度を算出する。具体的には、算出された荷重の最大値を、ピニオンギア41aの歯の曲げ強さで除すことにより歯の曲げに起因する過大荷重劣化度を算出すると共に、算出された荷重の最大値を、ピニオンギア41aの歯面強さで除すことにより歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度を算出する。
ピニオンギア41aの歯の曲げ強さは、ピニオンギア41aの仕様から例えばルイスの式によって算出される値であり、既知である。また、ピニオンギア41aの歯面強さは、ピニオンギア41aの仕様から例えばヘルツの式によって算出される値であり、既知である。
以上により、過大荷重劣化度が算出され、過大荷重劣化度算出部72aにおける処理が終了する。
次に、図5を参照して、繰返し荷重劣化度算出部72bによって行われる処理について説明する。
ステップS501では、推定部71により推定されたトルク、変位速度及び変位量を取得する。取得される変位速度及び変位量は、それぞれ、ピニオンギア41aの周方向における変位速度及び変位量、すなわちピニオンギア41aの回転速度及び回転角度である。
ステップS502では、取得されたトルクに基づいて、ピニオンギア41aの歯に作用する荷重の平均値を算出する。具体的には、図4に示すステップS402,S403と同様に、歯に作用する荷重を算出し、荷重のデータを記憶部に記憶する。その後、記憶部に記憶された複数の荷重のデータに基づいて、ピニオンギア41aの歯に作用した荷重の平均値を算出する。算出された荷重の平均値は、ピニオンギア41aの歯に繰り返し加えられる荷重の平均値である。
ステップS503では、取得された回転速度に基づいて、ピニオンギア41aの回転速度の平均値を算出する。具体的には、まず、取得された回転速度を不図示の記憶部に記憶する。記憶部には、過去に取得された回転速度のデータが記憶されており、取得された回転速度のデータが記憶部に更に記憶される。次に、記憶部に記憶された複数の回転速度のデータに基づいて、ピニオンギア41aの回転速度の平均値を算出する。
ステップS504では、算出された荷重の平均値と回転速度の平均値とに基づいて、歯の曲げ強さに対する許容繰返し回数と歯面強さに対する許容繰返し回数とを算出する。歯の曲げ強さに対する許容繰返し回数は、ピニオンギア41aの仕様、荷重の平均値及び回転速度の平均値から例えばルイスの式によって算出される。また、歯面強さに対する許容繰返し回数は、ピニオンギア41aの仕様、荷重の平均値及び回転速度の平均値から例えばヘルツの式によって算出される。
ステップS505では、取得された回転角度に基づいて、ピニオンギア41aがラックギア41bと噛み合った回数(以下、「繰返し回数」と称する)を算出する。具体的には、取得された回転角度を累積し、回転角度の累積値からピニオンギア41aの回転回数を算出することにより、繰返し回数を算出する。
ステップS506では、歯の曲げ強さに対する許容繰返し回数と、歯面強さに対する許容繰返し回数と、繰返し回数と、に基づいて、ピニオンギア41aの繰返し荷重劣化度を算出する。具体的には、算出された繰返し回数を、算出された歯の曲げ強さに対する許容繰返し回数で除すことにより、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度を算出する。また、算出された繰返し回数を、算出された歯面強さに対する許容繰返し回数で除すことにより、歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度を算出する。
以上により、繰返し荷重劣化度が算出され、繰返し荷重劣化度算出部72bにおける処理が終了する。
このように、電動パワーステアリング装置100では、推定部71により推定されたトルク、変位速度及び変位量に基づいて、第1及び第2伝達部41,42の劣化度が算出される。推定部71は、トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53によりそれぞれ検出される操舵トルク、モータ回転角及び舵角に基づいて、第1及び第2伝達部41,42におけるトルク、変位速度及び変位量を推定する。
検出される操舵トルク、モータ回転角及び舵角は、ステアリング操作の状況や、障害物への乗り上げといった車両の運転状況に応じて変化する。そのため、劣化度算出部72は、ステアリング操作の状況や車両の運転状況に応じて劣化度を算出する。したがって、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を高い精度で把握することができる。
また、トルクセンサ51、回転角センサ52及び舵角センサ53によりそれぞれ検出される操舵トルク、モータ回転角及び舵角は、コントローラ60による電動モータ50の制御に用いられる。すなわち、第1及び第2伝達部41,42の状態量は、コントローラ60による電動モータ50の制御のために検出される操舵トルク、モータ回転角及び舵角に基づいて、推定される。したがって、電動モータ50の制御のための検出部とは別の検出部を電動パワーステアリング装置100に設けることなく、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を算出することができる。これにより、電動パワーステアリング装置100の検出部としてのセンサの増加を防ぐことができ、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を、安価な構成で把握することができる。
次に、電動パワーステアリング装置100の操舵フィーリングを維持するための構成について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、劣化度算出部72によって算出された第1及び第2伝達部41,42の劣化度は、コントローラ60の補正部60bに入力される。補正部60bは、入力される劣化度に基づいて制御パラメータを変化させる。
前述のように、劣化度算出部72は、ステアリング操作の状況や車両の運転状況に応じて劣化度を算出することができる。そのため、制御パラメータを、ステアリング操作の状況や車両の運転状況に応じて変化させることができる。したがって、劣化に伴う第1及び第2伝達部41,42における負荷を見込んで電動モータ50のトルクを適切に発生させることができ、操舵フィーリングを維持することができる。
次に、電動パワーステアリング装置100の交換時期を管理するための構成について、図1及び図2を参照して詳述する。
図1に示すように、管理システム1000は、劣化度算出部72により算出された劣化度に基づいて電動パワーステアリング装置100の交換の要否を判定する判定部81と、判定部81による判定結果に基づいて作動する報知部82と、を備えている。判定部81は、コントローラ60と同様に、マイクロコンピュータで構成される。報知部82は、車両に搭載される。報知部82は、運転者が視認可能な装置、例えば文字表示装置やランプであってもよいし、音によって運転者に報知するブザーやスピーカであってもよい。
図6を参照して、判定部81によって行われる処理について説明する。ここでは、第1伝達部41のピニオンギア41aの劣化度に基づく判定処理について説明する。第1伝達部41のラックギア41b、並びに第2伝達部42のウォームシャフト42a及びウォームホイール42bの劣化度に基づく判定処理については、ピニオンギア41aの劣化度に基づく判定処理と略同じであるため、省略する。
ステップS601では、劣化度算出部72により算出された劣化度を取得する。取得する劣化度は、ピニオンギア41aの歯の曲げ及び歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度、並びに歯の曲げ及び歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度である。
ステップS602では、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度が予め定められた第1閾値を超えたか否かを判定する。第1閾値は、例えば「1」である。歯の曲げに起因する過大荷重劣化度が1を超えることは、ステップS404(図4参照)により算出された荷重の最大値が、ピニオンギア41aの歯の曲げ強さを超えることと同義である。
ステップS602にて、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度が第1閾値を超えたと判定した場合には、ステップS606に進む。ステップS602にて、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度が第1閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS603に進む。
ステップS603では、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度が予め定められた第2閾値を超えたか否かを判定する。第2閾値は、例えば「1」である。歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度が1を超えることは、ステップS404(図4参照)により算出された荷重の最大値が、ピニオンギア41aの歯面強さを超えることと同義である。
ステップS603にて、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度が第2閾値を超えたと判定した場合には、ステップS606に進む。ステップS603にて、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度が第2閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS604に進む。
ステップS604では、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が予め定められた第3閾値を超えたか否かを判定する。第3閾値は、例えば「1」である。歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が1を超えることは、ステップS505(図5参照)にて算出された繰返し回数が、ステップS504(図5参照)にて算出された歯の曲げ強さに対する許容繰返し回数を超えることと同義である。
ステップS604にて、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が第3閾値を超えたと判定した場合には、ステップS606に進む。ステップS604にて、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が第3閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS605に進む。
ステップS605では、歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度が予め定められた第4閾値を超えたか否かを判定する。第4閾値は、例えば「1」である。歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度が1を超えることは、ステップS505(図5参照)にて算出された繰返し回数が、ステップS504(図5参照)にて算出された歯面強さに対する許容繰返し回数を超えることと同義である。
ステップS605にて、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が第4閾値を超えたと判定した場合には、ステップS606に進む。ステップS605にて、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度が第3閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS601に戻る。
ステップS606では、報知部82を作動させる信号を出力する。これにより、報知部82は作動し、電動パワーステアリング装置100の交換が必要であることを運転者に報知する。報知部82を作動させる信号を出力後、判定部81によって行われる処理が終了する。
管理システム1000では、劣化度算出部72によって算出された劣化度に基づいて、電動パワーステアリング装置100の交換の要否が判定され、交換時期が管理される。前述のように、劣化度算出部72は、ステアリング操作の状況や車両の運転状況に応じて劣化度を算出することができるため、電動パワーステアリング装置100の交換時期をより適切に管理することができる。
次に、推定部71によって行われる処理を説明する。推定部71は、拡張オブザーバによる数式モデルを利用し、制御入力値である電流供給部61に指令する電流値と、出力値として検出される操舵トルク、モータ回転角、舵角との入出力関係に基づいて第1及び第2伝達部41,42の状態量を推定する。
推定部71による状態量の推定方法について、表1、表2に示す記号を参照して詳細に説明する。表1は、電動パワーステアリング装置100の主な諸元を示す表であり、表2は、電動パワーステアリング装置100における主な変数を示す表である。
Figure 0006936757
Figure 0006936757
電動パワーステアリング装置100における状態方程式は、次の式(1−1)で表される。
Figure 0006936757
また、電動パワーステアリング装置100における出力方程式は、次の式(1−2)で表される。
Figure 0006936757
式(1−1)及び式(1−2)に拡張オブザーバ理論を適用すると、次の式(1−3)及び式(1−4)が得られる。
Figure 0006936757
式(1−3)及び式(1−4)の拡張システムモデルに対し、次の式(1−5)で示されるオブザーバを構築する。
Figure 0006936757
式(1−5)を用いることにより、時々刻々変化する観測量y及び制御量uから、状態量及び外乱zの成分、並びにその微分値z’の成分を推定することができる。
ピニオンギア41aからラックギア41bに伝達するトルクの推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角、モータ回転角速度、モータ回転角加速度、舵角に基づいて、具体的には次の式(1−6)により算出される。
Figure 0006936757
また、ピニオンギア41aの回転角度の推定値及び回転速度の推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角及びモータ回転角速度に基づいて、具体的には次の式(1−7)及び式(1−8)により算出される。
Figure 0006936757
また、ウォームシャフト42aからウォームホイール42bに伝達するトルクの推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角速度及びモータ回転角加速度に基づいて、具体的には次の式(1−9)により算出される。
Figure 0006936757
また、ウォームシャフト42aの回転角度の推定値及び回転速度の推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角及びモータ回転角速度に基づいて、具体的には次の式(1−10)及び式(1−11)により算出される。
Figure 0006936757
以上により、第1及び第2伝達部41,42におけるトルク、変位速度及び変位量が推定される。
以上の本実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
電動パワーステアリング装置100では、電動モータ50の制御に用いられるトルク、回転角及び舵角に基づいて、第1及び第2伝達部41,42の状態量が推定される。したがって、電動モータ50の制御のための検出部と、第1及び第2伝達部41,42の劣化度の算出のための検出部と、を共通化することができる。したがって、電動パワーステアリング装置100の検出部としてのセンサの増加を防ぐことができ、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を、安価な構成で把握することができる。
また、劣化度算出部72は、推定部71により推定されたトルクに基づいて荷重の最大値を算出し、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を算出する。したがって、一時的な過大な荷重を受けることで生じる過大荷重劣化度を把握することができる。
また、劣化度算出部72は、推定部71により推定されたトルク、変位速度及び変位量に基づいて繰返し回数と許容繰返し回数とを算出し、算出した繰返し回数及び許容繰返し回数に基づいて、第1及び第2伝達部41,42の劣化度を算出する。したがって、荷重を繰り返し受けることで生じる繰返し荷重劣化度を把握することができる。
また、コントローラ60は、劣化度算出部72により算出された劣化度に基づいて、電動モータ50を制御するための制御パラメータを変化させる。したがって、劣化に伴う第1及び第2伝達部41,42における負荷の変化を見込んでトルクを発生するように電動モータ50を制御することができ、操舵フィーリングを維持することができる。
また、判定部81は、劣化度算出部72によって算出された劣化度に基づいて、電動パワーステアリング装置100の交換の要否を判定する。したがって、電動パワーステアリング装置100の交換時期をより適切に管理することができる。
なお、電動パワーステアリング装置100では、舵角が舵角センサ53により検出され第1及び第2伝達部41,42の状態量の推定に用いられているが、舵角センサ53により検出した舵角を用いることなく、第1及び第2伝達部41,42の状態量を推定することもできる。この場合には、式(1−2)及び式(1−4)に代えて、次の式(1−2’)及び式(1−4’)を用いる。
Figure 0006936757
Figure 0006936757
検出した舵角を第1及び第2伝達部41,42の状態量の推定に用いる場合には、舵角を検出することなく第1及び第2伝達部41,42の状態量を推定する場合と比較して、状態量の推定に用いられるモデルを詳細に構築することができる。したがって、第1及び第2伝達部41,42の状態量をより正確に推定することができ、第1及び第2伝達部41,42の劣化度をより正確に把握することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電動パワーステアリング装置200について、図7を参照して説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
電動パワーステアリング装置200は、電動モータ50のトルクを、出力シャフト22とは別のシャフトを通じてラックシャフト30に伝達することによってステアリング操作を補助するいわゆるデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置である。
図7に示すように、電動パワーステアリング装置200では、電動モータ50の出力軸は、出力シャフト22とは独立して設けられるピニオンシャフト222に第2伝達部242を介して連結されている。
第2伝達部242は、電動モータ50の出力軸に設けられるウォームシャフト42aと、ピニオンシャフト222に設けられるウォームホイール242bと、からなる。電動モータ50のトルクは、ウォームシャフト42a及びウォームホイール242bを通じてピニオンシャフト222に伝達される。
ピニオンシャフト222は、第3伝達部243を介してラックシャフト30と連結されている。第3伝達部243は、ピニオンシャフト222に設けられるピニオンギア243aと、ラックギア41bと、からなる。ピニオンシャフト222のトルクは、ピニオンギア243a及びラックギア41bを介してラックシャフト30の軸方向の荷重に変換されてラックシャフト30に伝達される。
また、電動パワーステアリング装置200は、電動パワーステアリング装置100と同様に、コントローラ60と、推定部71と、劣化度算出部72と、を備えている。コントローラ60及び劣化度算出部72の構成及び動作については、第1実施形態と略同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、推定部71によって行われる処理を説明する。推定部71は、拡張オブザーバによる数式モデルを利用し、制御入力値である電流供給部61に指令する電流値と、出力値として検出される操舵トルク、モータ回転角、舵角との入出力関係に基づいて第1、第2及び第3伝達部41,242,43の状態量を推定する。
第2実施形態における推定部71による状態量の推定方法について、表1及び表2に示す記号に加えて、表3及び表4に示す記号を参照して詳細に説明する。表3は、電動パワーステアリング装置200の諸元のうち表1に示されていない諸元を示す表である。表4は、電動パワーステアリング装置200の変数のうち表2に示されていない変数を示す表である。
Figure 0006936757
Figure 0006936757
電動パワーステアリング装置200における状態方程式は、次の式(2−1)で表される。
Figure 0006936757
また、電動パワーステアリング装置200における出力方程式は、次の式(2−2)で表される。
Figure 0006936757
式(2−1)及び式(2−2)に拡張オブザーバ理論を適用すると、次の式(2−3)及び式(2−4)が得られる。
Figure 0006936757
式(2−3)及び式(2−4)の拡張システムモデルに対し、次の式(2−5)で示されるオブザーバを構築する。
Figure 0006936757
式(2−5)を用いることにより、時々刻々変化する観測量y及び制御量uから、状態量及び外乱zの成分、並びにその微分値z’の成分を推定することができる。
ピニオンギア41aからラックギア41bに伝達するトルクの推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角、モータ回転角速度、モータ回転角加速度、舵角に基づいて、具体的には次の式(2−6−1)により算出される。
Figure 0006936757
ピニオンギア243aからラックギア41bに伝達するトルクの推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角、モータ回転角速度、モータ回転角加速度、舵角に基づいて、具体的には次の式(2−6−2)により算出される。
Figure 0006936757
また、ピニオンギア243aの回転角度の推定値及び回転速度の推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角及びモータ回転角速度に基づいて、具体的には次の式(2−7)及び式(2−8)により算出される。
Figure 0006936757
また、ウォームシャフト42aからウォームホイール242bに伝達するトルクの推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角速度及びモータ回転角加速度に基づいて、具体的には次の式(2−9)により算出される。
Figure 0006936757
また、ウォームシャフト42aの回転角度の推定値及び回転速度の推定値は、推定されたz、z’の成分の中からモータ回転角及びモータ回転角速度に基づいて、具体的には次の式(2−10)及び式(2−11)により算出される。
Figure 0006936757
以上により、第1、第2及び第3伝達部41,242,243におけるトルク、変位速度及び変位量が推定される。
以上の本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、電動パワーステアリング装置200では、舵角を舵角センサ53により検出し第1、第2及び第3伝達部41,242,243の状態量の推定に用いているが、検出した舵角を用いることなく、第1、第2及び第3伝達部41,242、243の状態量を推定することもできる。この場合には、式(2−2)及び式(2−4)に代えて、次の式(2−2’)及び式(2−4’)を用いる。
Figure 0006936757
Figure 0006936757
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
電動パワーステアリング装置100,200は、ステアリング操作に伴って回転するステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20の一部を構成するトーションバー23と、トーションバー23に作用する操舵トルクを検出するトルクセンサ51と、車輪1を転舵するラックシャフト30を変位させる電動モータ50と、電動モータ50の回転角を検出する回転角センサ52と、トルクセンサ51により検出される操舵トルク、及び回転角センサ52により検出されるモータ回転角に応じて電動モータ50を制御するコントローラ60と、ステアリングシャフト20に作用するトルク及び電動モータ50のトルクをラックシャフト30に伝達する第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243と、トルクセンサ51により検出される操舵トルク、及び回転角センサ52により検出されるモータ回転角に基づいて、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の状態量を推定する推定部71と、推定部71により推定された状態量に基づいて、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度を算出する劣化度算出部72と、を備える。
この構成では、コントローラ60による電動モータ50の制御のために検出される操舵トルク及びモータ回転角に基づいて、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の状態量が推定される。そのため、電動モータ50の制御のためのセンサと、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度の算出のためのセンサと、を共通化することができる。したがって、電動パワーステアリング装置100,200のセンサの増加を防ぐことができ、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度を、安価な構成で把握することができる。
また、電動パワーステアリング装置100,200は、舵角を検出する舵角センサ53を更に備え、推定部71は、トルクセンサ51により検出される操舵トルク、回転角センサ52により検出されるモータ回転角、及び舵角センサ53により検出される舵角に基づいて第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の状態量を推定する。
この構成では、3つの検出量が推定部71で用いられるため、2つの検出量のみが推定部71で用いられる場合と比較して、状態量の推定に用いられるモデルを詳細に構築することができる。したがって、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の状態量をより正確に推定することができ、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度をより正確に把握することができる。
また、電動パワーステアリング装置100,200では、推定部71は、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243におけるトルクを状態量として推定し、劣化度算出部72は、推定部71により推定されたトルクに基づいて荷重の最大値を算出し、算出した荷重の最大値に基づいて第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度を算出する。
この構成では、一時的な過大な荷重を受けることで生じる過大荷重劣化度を把握することができる。
また、電動パワーステアリング装置100,200では、推定部71は、第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の変位速度及び変位量を状態量として更に推定し、劣化度算出部72は、推定された変位量に基づいて繰返し回数を算出すると共に推定されたトルクと変位速度とに基づいて許容繰返し回数を算出し、算出した繰返し回数及び許容繰返し回数に基づいて第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の劣化度を算出する。
この構成では、荷重を繰返し受けることで生じる繰返し荷重劣化度を把握することができる。
また、電動パワーステアリング装置100,200では、コントローラ60は、劣化度算出部72により算出された劣化度に基づいて、電動モータ50を制御するための制御パラメータを変化させる。
この構成では、電動モータ50は、劣化度の変化に伴う第1伝達部41、第2伝達部42,242及び第3伝達部243の負荷の変化を見込んでトルクを発生するように制御される。したがって、操舵フィーリングを維持することができる。
また、本実施形態は、電動パワーステアリング装置100,200を管理する管理システム1000に係る。管理システム1000は、劣化度算出部72により算出された劣化度に基づいて、電動パワーステアリング装置100,200の交換の要否を判定する判定部81と、判定部81が、電動パワーステアリング装置100,200の交換が必要であると判定した場合に、電動パワーステアリング装置100,200の交換時期が来たことを報知する報知部82と、を備える。
この構成では、電動パワーステアリング装置100,200の交換の要否が、算出された劣化度に基づいて判定される。したがって、電動パワーステアリング装置100,200の交換時期をより適切に管理することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、電動パワーステアリング装置100はコラムタイプの電動パワーステアリング装置を前提としているが、シングルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置であってもよい。
また、電動パワーステアリング装置100,200の劣化度算出部72は、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度と、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度と、の少なくとも1つを算出するように構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置100の推定部71は、第1伝達部41及び第2伝達部42の少なくとも一方の状態量を推定するように構成されていてもよく、劣化度算出部72は、第1伝達部41及び第2伝達部42の少なくとも一方の劣化度を算出するように構成されていてもよい。同様に、電動パワーステアリング装置200の推定部71は、第1伝達部41、第2伝達部242及び第3伝達部243の少なくとも1つの状態量を推定するように構成されていてもよく、劣化度算出部72は、第1伝達部41、第2伝達部242及び第3伝達部243の少なくとも1つの劣化度を算出するように構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置100,200の補正部60bは、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度と、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度と、の少なくとも1つに基づいて制御パラメータを変更するように構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置100,200の判定部81は、歯の曲げに起因する過大荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する過大荷重劣化度と、歯の曲げに起因する繰返し荷重劣化度と、歯面の損傷に起因する繰返し荷重劣化度と、の少なくとも1つに基づいて電動パワーステアリング装置100,200の交換の要否を判定するように構成されていてもよい。
また、電動パワーステアリング装置100の第1及び第2伝達部41、42の少なくとも一方は、ベルト式の伝達機構であってもよい。同様に、電動パワーステアリング装置200の第1、第2及び第3伝達部41、242,243の少なくとも1つは、ベルト式の伝達機構であってもよい。
管理システム1000の報知部82は、車両に搭載される形態に限られず、車両から離れて設けられていてもよく、例えば管理センターといった場所に設けられていてもよい。この場合には、管理センターにおいても電動パワーステアリング装置100,200の交換時期を管理することができる。
1・・・車輪、20・・・ステアリングシャフト、23・・・トーションバー、30・・・ラックシャフト、41・・・第1伝達部、42・・・第2伝達部、50・・・電動モータ、51・・・トルクセンサ(トルク検出部)、52・・・回転角センサ(回転角検出部)、53・・・舵角センサ(舵角検出部)、60・・・コントローラ(制御部)、71・・・推定部、72・・・劣化度算出部、81・・・判定部、82・・・報知部、100,200・・・電動パワーステアリング装置、242・・・第2伝達部、243・・・第3伝達部、1000・・・管理システム

Claims (6)

  1. ステアリング操作に伴って回転するステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトの一部を構成するトーションバーと、
    前記トーションバーに作用する操舵トルクを検出するトルク検出部と、
    車輪を転舵するラックシャフトを変位させる電動モータと、
    前記電動モータの回転角を検出する回転角検出部と、
    前記トルク検出部により検出される操舵トルク、及び前記回転角検出部により検出されるモータ回転角に応じて前記電動モータを制御する制御部と、
    前記ステアリングシャフトに作用するトルク及び前記電動モータのトルクを前記ラックシャフトに伝達する伝達部と、
    前記トルク検出部により検出される操舵トルク、及び前記回転角検出部により検出されるモータ回転角に基づいて、前記伝達部の状態量を推定する推定部と、
    前記推定部により推定された状態量に基づいて、前記伝達部の劣化度を算出する劣化度算出部と、を備えることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    舵角を検出する舵角検出部を更に備え、
    前記推定部は、前記トルク検出部により検出される操舵トルク、前記回転角検出部により検出されるモータ回転角、及び前記舵角検出部により検出される舵角に基づいて前記伝達部の状態量を推定することを特徴とする
    電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記推定部は、前記伝達部におけるトルクを状態量として推定し、
    前記劣化度算出部は、前記推定部により推定されたトルクに基づいて荷重の最大値を算出し、算出した荷重の最大値に基づいて前記伝達部の劣化度を算出することを特徴とする
    電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記推定部は、前記伝達部の変位速度及び変位量を状態量として更に推定し、
    前記劣化度算出部は、推定された変位量に基づいて繰返し回数を算出すると共に推定されたトルクと変位速度とに基づいて許容繰返し回数を算出し、算出した繰返し回数及び許容繰返し回数に基づいて前記伝達部の劣化度を算出することを特徴とする
    電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置であって、
    前記制御部は、前記劣化度算出部により算出された劣化度に基づいて、前記電動モータを制御するための制御パラメータを変化させることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置を管理する管理システムであって、
    前記劣化度算出部により算出された劣化度に基づいて、前記電動パワーステアリング装置の交換の要否を判定する判定部と、
    前記判定部が、前記電動パワーステアリング装置の交換が必要であると判定した場合に、前記電動パワーステアリング装置の交換時期が来たことを報知する報知部と、を備えることを特徴とする
    電動パワーステアリング装置の管理システム。
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